JP2004085146A - Method of preventing corrosion and scale generation in boiler device - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ボイラ装置の腐食抑制およびスケール生成抑制方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ボイラ装置の構成部材,とくにボイラから蒸気を発生させるための主として鋼管製の伝熱管は、腐食が原因で破損する場合がある。この伝熱管の腐食は、ボイラ水のシリカ濃度が低いと生じやすい。通常、ボイラ内においてシリカを含むボイラ水は、熱によりボイラ内の伝熱管に皮膜を形成する。これにより、伝熱管の腐食を抑制している。しかし、ボイラ水中のシリカ濃度が低いと、ボイラ内の伝熱管に皮膜があまり生成せず、ボイラ水と接触している伝熱管の内面部分に均等に,あるいは局部的に腐食が進行して、伝熱管の減肉をもたらす可能性がある。
【0003】
このため、伝熱管の腐食を抑制するために、給水に含まれるシリカ濃度からボイラの伝熱管に形成される皮膜の良否を予測している。このボイラ内の伝熱管に形成する皮膜の良否の予測方法として、通常給水のシリカ濃度を一回測定し、それに応じて腐食抑制剤を添加している。しかし、給水の水質は日々変動し、シリカ濃度が上昇すると、ボイラ水のシリカ濃度は上昇し、腐食抑制剤の添加量が少なくても良いにもかかわらず、腐食抑制剤の添加量は予め設定されているため、腐食抑制剤の添加量が過多となり、薬品が無駄に使われることになる。逆に、シリカ濃度が下降すると、ボイラ水のシリカ濃度が下降し、腐食抑制剤を増量しなければならないにもかかわらず、腐食抑制剤の添加量は予め設定されているため、腐食抑制剤の添加量が不足し、伝熱管の腐食を引き起こす可能性がある。
【0004】
また、ボイラ装置の構成部材,とくにボイラから蒸気を発生させるための主として鋼管製の伝熱管は、スケール生成が原因で破損する場合がある。この伝熱管のスケール生成は、ボイラ水のシリカ濃度が高いと生じやすい。通常、ボイラ内においてシリカは、硬度分(カルシウムイオン,マグネシウムイオンなど)と結合し、伝熱管にシリカ系スケールとして付着する。これにより、伝熱管の熱伝導率が低下して伝熱管の破損などを引き起こす可能性がある。
【0005】
このため、伝熱管へのスケール生成を抑制するために、給水に含まれるシリカ濃度からボイラ水のシリカ濃度を予測している。このボイラ水のシリカ濃度予測方法として、通常給水のシリカ濃度を一回測定し、それに応じてスケール分散剤を供給している。しかし、給水の水質は日々変動し、シリカ濃度が減少すると、ボイラ水のシリカ濃度は減少し、スケール分散剤の供給量が少なくても良いにもかかわらず、スケール分散剤の供給量は予め設定されているため、スケール分散剤の供給量が過多となり、薬品が無駄に使われることになる。逆に、シリカ濃度が上昇すると、ボイラ水のシリカ濃度が上昇し、スケール分散剤を増量しなければならないにもかかわらず、スケール分散剤の供給量は予め設定されているため、スケール分散剤の供給量が不足し、伝熱管にスケールの生成を引き起こす可能性がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明が解決しようとする課題は、腐食抑制剤またはスケール分散剤を用いてボイラ装置に発生する腐食およびスケールの生成を抑制するにあたり、腐食抑制剤およびスケール分散剤の使用量を適正化することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、請求項1に記載の発明は、給水を加熱して蒸気を生成するボイラと、このボイラへ給水を供給する給水部と、前記ボイラで生成した蒸気を負荷機器へ供給する蒸気供給部とを備えたボイラ装置において、腐食抑制剤またはスケール分散剤を用いて前記ボイラにおける腐食およびスケールの生成を抑制する方法であって、前記ボイラのボイラ水のシリカ濃度を測定する測定工程と、この測定工程における測定結果に基づいて、前記給水部に対して腐食抑制剤またはスケール分散剤を供給する薬剤供給工程とを含むことを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の発明は、給水を加熱して蒸気を生成するボイラと、このボイラへ給水を供給する給水部と、前記ボイラで生成した蒸気を負荷機器へ供給する蒸気供給部と、前記負荷機器で使用した蒸気を復水として前記給水部へ供給する復水供給部とを備えたボイラ装置において、腐食抑制剤またはスケール分散剤を用いて前記ボイラにおける腐食およびスケールの生成を抑制する方法であって、前記ボイラのボイラ水のシリカ濃度を測定する測定工程と、この測定工程における測定結果に基づいて、前記給水部に対して腐食抑制剤またはスケール分散剤を供給する薬剤供給工程とを含むことを特徴としている。
【0009】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記測定工程における測定結果に基づいて、腐食抑制剤またはスケール分散剤の供給量を調節することを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1を参照して、この発明の実施の形態に係るボイラ装置を説明する。図1において、ボイラ装置1は、給水を加熱して蒸気を生成するボイラ2と、このボイラ2へ給水を供給する給水装置3(給水部の一例)と、蒸気を使用する負荷機器4と、前記ボイラ2で生成した蒸気を負荷機器4へ供給する蒸気配管5(蒸気供給部の一例)と、腐食抑制剤を前記給水装置3へ供給する腐食抑制剤供給装置6と、スケール分散剤を前記給水装置3へ供給するスケール分散剤供給装置7と、ボイラ水中に含まれるシリカ濃度を測定するシリカ濃度測定装置8とを主に備えている。
【0011】
前記給水装置3は、前記ボイラ2へ給水するために、補給水の注水路9と、この注水路9からの補給水を貯留する給水タンク10と、この給水タンク10に貯留された給水を前記ボイラ2へ供給する給水路11とを主に備えている(図1参照)。ここで、前記注水路9は、軟水化装置12と脱酸素装置13とをこの順にそれぞれ備えている。前記軟水化装置12は、補給水中に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオンなどの硬度成分をナトリウムイオンに置換して軟水に変換するものである。一方、前記脱酸素装置13は、補給水中に含まれる溶存酸素を機械的に除去するものである。また、前記給水路11は、給水を前記ボイラ2へ送り出す給水ポンプ14を備えている。
【0012】
前記負荷機器4は、前記ボイラ2からの蒸気を用いて所要の熱交換するもの,すなわち前記ボイラ装置1における負荷装置であり、前記蒸気配管5の下流側に接続されている。
【0013】
前記腐食抑制剤供給装置6は、腐食抑制剤を前記給水装置3へ供給するために、腐食抑制剤を貯蔵している腐食抑制剤タンク15と、前記給水路11へ連絡する腐食抑制剤供給路16とを主に備えている。前記腐食抑制剤タンク15内に貯蔵されている腐食抑制剤は、前記ボイラ2の伝熱管(図示省略)における腐食を抑制する機能を有するものであれば、とくに限定されるものではないが、たとえば水酸化ナトリウム,水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物,シリカ,コハク酸やクエン酸などの有機多塩基酸またはその塩などが挙げられる。さらに、腐食抑制剤は、前記例示のものおよびこれら以外のもののうちから、適宜2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0014】
一方、前記腐食抑制剤供給路16は、前記腐食抑制剤タンク15内の腐食抑制剤を前記給水路11に対して供給する腐食抑制剤供給ポンプ17を備えている。この腐食抑制剤供給ポンプ17は、前記給水路11中を前記ボイラ2へ向けて移動中の一定量の給水に対し、所定量の腐食抑制剤を供給することができる定量ポンプである。
【0015】
前記スケール分散剤供給装置7は、スケール分散剤を前記給水装置3へ供給するために、スケール分散剤を貯蔵しているスケール分散剤タンク18と、前記給水路11へ連絡するスケール分散剤供給路19とを主に備えている。前記スケール分散剤タンク18内に貯蔵されているスケール分散剤は、前記ボイラ2の伝熱管(図示省略)におけるスケールの生成および成長を硬度分を分散させることにより抑制する機能を有するものであれば、とくに限定されるものではないが、たとえばエチレンジアミン四酢酸またはその塩,リン酸またはその塩,ポリアクリル酸およびポリマレイン酸などのポリカルボン酸またはその塩などが挙げられる。さらに、スケール分散剤は、前記例示のものおよびこれら以外のもののうちから、適宜2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0016】
一方、前記スケール分散剤供給路19は、前記スケール分散剤タンク18内のスケール分散剤を前記給水路11に対して供給するスケール分散剤供給ポンプ20を備えている。このスケール分散剤供給ポンプ20は、前記給水路11中を前記ボイラ2へ向けて移動中の一定量の給水に対し、所定量のスケール分散剤を供給することができる定量ポンプである。
【0017】
前記シリカ濃度測定装置8は、ボイラ水中に含まれるシリカ濃度を測定するために、前記ボイラ2内のボイラ水を排出するために設けているボイラ水排出路21において、測定試料供給路22に設けられている(図1参照)。ここにおいて、シリカは、ケイ酸の他、ケイ酸の塩(すなわち、ケイ酸塩)も含むものを意味している。ケイ酸の塩には、オルトケイ酸塩(nSiO2・(n+1)M2O)や,ポリケイ酸塩(nSiO2・nM2O,nSiO2・(n−1)M2OおよびnSiO2・(n−2)M2O)もしくはこれらの水和物が含まれる。塩の化学式において、Mはアルカリ金属やアルカリ土類金属などの金属元素を示しており、金属元素が一価の場合は、前記のとおりであり、金属元素が二価の場合は、一価の場合の半分の原子数になる。また、ポリケイ酸塩の化学式において、nは2よりも大きい。以下、シリカという場合は、前記のような塩も含む概念を意味する場合がある。シリカ濃度を測定する場合、前記シリカ濃度測定装置8は、図2に示すように、測定セル23と、測定部24と、試薬供給装置25と、制御装置26とを主に備えている。
【0018】
前記測定セル23は、たとえばアクリル樹脂を筒状に形成した透明な容器であり、上部に開口部27を備えている。また、前記測定セル23の底部近傍の側面には、前記測定試料供給路22と接続された試料導入路28が設けられている。この試料導入路28は、前記測定試料供給路22側から順にフィルター29,定流量弁30および電磁弁31をそれぞれ備えており、前記ボイラ水排出路21から前記測定試料供給路22を介して供給されるボイラ水を前記測定セル23内へ供給可能に設定されている。ここにおいて、前記フィルター29の上流側には、測定試料を適宜の温度に冷却する冷却装置(図示省略)が設けられている。そして、前記測定セル23の側部には、前記開口部27の近傍において、測定試料を外部へ排出する試料排出路32が設けられている。
【0019】
また、前記測定セル23の底部には、攪拌装置33が設けられている。この攪拌装置33は、攪拌子34とステータ35とを備えている。この攪拌子34は、前記測定セル23の底部において回転可能に配置されており、磁石(図示省略)を内蔵している。前記ステータ35は、前記攪拌子34を取り囲むように、前記測定セル23の外側に配置されており、電磁誘導コイル(図示省略)を備えている。この電磁誘導コイルには、電流が供給されるように設定されている。
【0020】
前記測定部24は、前記測定セル23内に貯留されたボイラ水(以下、「ボイラ水試料」と云う。)の透過光強度を測定するものであり、前記測定セル23を挟んで対向する発光体36と受光体37とを備えている。ここで、この発光体36は、たとえばLEDであり、また前記受光体37は、たとえばフォトトランジスタである。
【0021】
前記試薬供給装置25は、前記開口部27に着脱可能に配置されており、図3(前記試薬供給装置25を図2のIII方向から見た縦断面図)に示すように、試薬カセット38,試薬カートリッジ39および排出装置40を主に備えている。この試薬カセット38は、装着具(図示省略)により底部が前記開口部27に気密状態を維持するように、着脱可能に装着されている。前記試薬カセット38の壁部には、上下方向に延びるスリット41が形成されている。また、前記試薬カセット38の内部には、前記スリット41と対向する内面に押圧部材42が上下方向に装着されている。
【0022】
前記試薬カートリッジ39は、容器43と試薬の収納体44とを主に備えている。この容器43は、前記試薬カートリッジ39の上部に装着されており、前記収納体44の上部は前記容器43内に収容されている。前記収納体44は、シリカと反応して変色する試薬(たとえば、モリブデンアンモニウム)およびpH調整液(たとえば、硫酸)が貯蔵された貯蔵部45と、この貯蔵部45内の試薬およびpH調整液を外部へ排出する排出部46とを備えている。この排出部46は、たとえばフッ素ゴム製のチューブからなり、前記貯蔵部45から延びかつ先端部に排出ノズル47を備えている。前記排出部46は、前記試薬カートリッジ39の内部を上下方向に延びており、前記排出ノズル47が前記開口部27から前記測定セル23内へ挿入されることになる。ここにおいて、前記排出ノズル47は、前記測定セル23内のボイラ水試料が逆流するのを防止する逆止弁(図示省略)を内蔵している。
【0023】
前記排出装置40は、前記貯蔵部45内に貯蔵された試薬およびpH調整液を排出させるものであり、モータ(図示省略)に接続された回転駆動軸48,駆動アーム49および押圧ローラ50を主に備えている。この回転駆動軸48は、前記スリット41の外側に配置されており、図3の反時計方向へ回転可能である。前記駆動アーム49は、一端が前記回転駆動軸48に連結されており、他端に前記押圧ローラ50が回転自在に装着されている。前記駆動アーム50は、前記回転駆動軸48の回転により、図3に二点鎖線で示すように、反時計方向へ回転可能であり、この回転により、前記スリット41の部分において前記押圧ロ−ラ50が前記試薬カセット38から出入り可能に設定されている。
【0024】
なお、前記試薬供給装置25は、本特許出願人の特許である特許第3186577号(発明の名称:液体吐出装置)とほぼ同様の構成を採用しているので、詳細は、同公報を参照されたい。
【0025】
前記制御装置26は、前記シリカ濃度測定装置8の動作を制御するものであり、図4に示すように、演算装置51と入出力ポート52とを主に備えている。この演算装置51は、中央制御装置53(以下、「CPU53」と云う。),前記制御装置26の動作プログラムを記憶している読み取り専用記憶装置54(以下、「ROM54」と云う。)および読み書き可能な記憶装置55(以下、「RAM55」と云う。)を主に備えている。
【0026】
一方、前記入出力ポート52の入力側には、オペレータが動作条件などを入力するスイッチ56および前記受光体37などが接続されている。また、その出力側には、測定結果などを表示するLCD57,前記発光体36,前記電磁弁31,前記ステータ35および前記回転駆動軸48を駆動するモータ(符号省略)などが接続されている。
【0027】
前記制御装置26は、前記ROM54に記憶させた動作プログラムにしたがって、前記演算装置51が前記入出力ポート52を介して入力された各種の情報を前記RAM55で適宜保存しながら演算処理し、前記演算装置51は、そこで得られた演算結果に基づいて、前記入出力ポート52を介して各種の動作指令を各部材に対して伝達するように設定されている。
【0028】
つぎに、前記ボイラ装置1の動作を説明し、あわせて前記ボイラ装置1の腐食抑制およびスケール生成抑制方法を説明する。前記ボイラ装置1を運転する場合は、前記注水路9から前記給水タンク10へ補給水を供給し、この補給水を前記ボイラ2への給水として前記給水タンク10に貯留する。ここで、貯留される給水は、前記軟水化装置12および前記脱酸素装置13で処理されたもの,すなわち脱酸素された軟水である。そして、前記給水ポンプ14を作動させ、前記給水タンク10に貯留された給水を前記給水路11を介して前記ボイラ2へ供給する。
【0029】
前記ボイラ2へ前記給水路11を介して供給される給水は、ボイラ水として前記ボイラ2内に貯留される。そして、前記ボイラ2に貯留されたボイラ水は、加熱されて徐々に蒸気になる。生成した蒸気は、前記蒸気配管5を介して前記負荷機器4へ供給される。前記負荷機器4へ供給された蒸気は、所望の熱交換を行った後、廃棄される。
【0030】
ところで、前記ボイラ2内のボイラ水は、シリカ濃度が低い場合がある。この場合、シリカが前記ボイラ2内の伝熱管へ皮膜を形成する作用が弱くなる可能性があり、前記ボイラ2内の伝熱管の破損をもたらす可能性がある。逆に、シリカ濃度が高い場合がある。この場合、シリカは硬度分と結合し、シリカ系スケールを生成する可能性があり、前記ボイラ2内の伝熱管へシリカ系スケールが付着し、前記ボイラ2内の伝熱管の破損をもたらす可能性がある。
【0031】
そこで、前記ボイラ装置1は、前記シリカ濃度測定装置8により、ボイラ水にシリカが予め設定した第一設定値以上であるか否かおよび予め設定した第二設定値以下であるか否かを一定時間毎に測定する。そして、前記シリカ濃度測定装置8での測定結果に基づいて、前記腐食抑制剤供給装置6から給水中へ腐食抑制剤を供給する。または、前記シリカ濃度測定装置8での測定結果に基づいて、前記スケール分散剤供給装置7から給水中へスケール分散剤を供給する。以下、図5,図6および図7に示す動作フローチャートにしたがって、この動作を詳細に説明する。ここにおいて、第一設定値は、第二設定値より高い値である。
【0032】
前記ボイラ装置1の運転が開始されると、プログラムは、ステップS1において、前記制御装置26の内部タイマーの経過時間tをゼロ(0)に設定し、またつぎのステップS2において、経過時間tが一定時間t1に到達したか否かを判断する。経過時間tが一定時間t1になると、プログラムはステップS3へ移行し、経過時間tをゼロ(0)にリセットする。ここにおいて、一定時間t1は、通常0.1〜24時間程度の時間である。
【0033】
ステップS3の後、プログラムはステップS4へ移行し、前記シリカ濃度測定装置8において前洗浄工程を実施する。まず、前記ボイラ水排出路21内のボイラ水は、前記測定試料供給路22を経由して前記試料導入路28から前記測定セル23内へ流入する。この際、ボイラ水中に含まれる爽雑物は、前記フィルター29により取り除かれる。また、前記測定セル23内へ流入するボイラ水の流量は、前記定流量弁30により制御される。前記測定セル23内へ連続的に流入するボイラ水は、前記測定セル23内を満たし、前記試料排出路32から外部へ連続的に排出される。このとき、前記ステータ35の電磁誘導コイルが通電され、それによって生じる磁場を前記攪拌子34内の磁石が受ける。これにより、前記測定セル23内の前記攪拌子34が回転し、前記測定セル23内へ流入したボイラ水は攪拌される。この結果、前記測定セル23は、連続的に流入するボイラ水により洗浄される。
【0034】
前記のような前洗浄工程の後、プログラムはステップS5へ移行し、ボイラ水中のシリカ濃度を測定する(シリカ濃度測定工程)。ここでは、前記ステータ35の電磁誘導コイルへの通電を一旦停止し、またボイラ水の供給も停止する。これにより、前記測定セル23内へのボイラ水の流入が断たれ、前記測定セル23内において、図2に一点鎖線で示す水位まで所定量のボイラ水がボイラ水試料として貯留される。また、前記排出ノズル47の先端部は、貯留されたボイラ水試料中に位置することになる。この状態で前記測定部24を作動させ、前記発光体36から前記受光体37へ向けて光を照射する。そして、ボイラ水試料の透過光強度(A)を測定する。
【0035】
つぎに、前記ステータ35の電磁誘導コイルへの通電を開始して前記攪拌子34の回転を再開し、その状態を継続しながら、前記排出装置40のモータを駆動させて前記回転駆動軸48を回転させる。この結果、前記駆動アーム49が図3の反時計方向へ回転し、それにともなって前記押圧ローラ50が前記排出部46を前記押圧部材42と協働して下方向へ扱く。この結果、前記測定セル23内のボイラ水試料には、前記貯蔵部45に貯蔵された試薬およびpH調整液の一定量が注入される。そして、このような前記駆動アーム49の回転運動を所定回数繰り返すと、ボイラ水試料には前記駆動アーム49の回転動作毎に、一定量の試薬およびpH調整液が前記測定セル23内へ断続的に注入される(注入工程)。したがって、試薬およびpH調整液が徐々に注入されることになる。このようにして前記測定セル23内に注入された試薬およびpH調整液は、前記攪拌子34の回転により攪拌されるボイラ水試料中に溶解され、ボイラ水試料を変色させる。
【0036】
前記のような注入工程において、前記制御装置26は、前記攪拌子34の回転を継続し、また前記測定部24により、徐々に注入される試薬およびpH調整液により変色するボイラ水試料の透過光強度(B)を連続的に測定する。この際、前記制御装置26は、ボイラ水試料に対して注入される試薬およびpH調整液の量の増加にともなう透過光強度の変化量を測定する(変化量測定工程)。ここで測定する透過光強度の変化量は、通常一定量の試薬およびpH調整液が注入される前後の透過光強度の差(ΔB)である。たとえば、図9に示すように、ボイラ水試料の透過光強度は、試薬およびpH調整液の注入回数(すなわち、前記駆動アーム49の回転動作数)にしたがって徐々に減少する。ここで、ボイラ水試料中のシリカの全てが第X回目以前に注入された試薬およびpH調整液と反応した場合、第X回目より後の注入動作においてそれ以上の試薬およびpH調整液を注入しても、ボイラ水試料の変色は進行しにくくなり、ボイラ水試料の透過光強度は変化しにくくなる。すなわち、試薬およびpH調整液の第X回目の注入後の透過光強度B1と第X+1回目の注入後の透過光強度B2との差(B1−B2,すなわち前記ΔB)は、微差になる。したがって、前記ΔBが所定量以下になったとき、ボイラ水試料にそれ以上の試薬およびpH調整液を注入しても、その試薬およびpH調整液はボイラ水試料中のシリカとの反応に関与せず、そのままの状態でボイラ水試料中に残留することになる。
【0037】
そこで、前記制御装置26は、前記ΔBが所定量以下になったと判定した場合、前記駆動アーム49の回転動作を停止する。これにより、ボイラ水試料に対する試薬およびpH調整液の追加的な注入が停止される。続いて、前記制御装置26は、その時点におけるボイラ水試料の透過光強度(B)と試薬およびpH調整液注入前の前記透過光強度(A)との比(透過光強度比:B/A)を求める。そして、予め作成された透過光強度比とシリカ濃度との検量線データに基づいて、前記制御装置26は、ボイラ水試料中のシリカ濃度を算出し、その結果を前記LCD57に表示する。
【0038】
前記のような測定工程の後、プログラムはステップS6へ移行し、このステップS6において、ボイラ水試料のシリカ濃度が第一設定値以上か否かを判定する。ステップS5のシリカ濃度測定工程においてシリカ濃度が予め設定した第一設定値,たとえば600mg/リットル以上と測定された場合、プログラムはステップS6からステップS7へ移行して、前記CPU53のスケール分散剤供給識別フラグがオン(ON)であるか否かを判定する。スケール分散剤供給識別フラグがオフ(OFF)の場合、プログラムはステップS8へ移行し、スケール分散剤供給工程を実施する。
【0039】
このステップS8におけるスケール分散剤供給工程において、前記制御装置26は、前記スケール分散剤供給装置7の前記スケール分散剤供給ポンプ20を作動させ、前記給水路11に対してスケール分散剤を供給する。これにより、前記給水路11を前記ボイラ2へ向けて通過中の給水へスケール分散剤が供給される。ここにおいて、前記制御装置26は、ステップS5において測定したシリカ濃度に基づいて、前記スケール分散剤供給ポンプ20の動作を制御するように設定している。より具体的には、前記制御装置26は、ステップS5において測定したシリカ濃度が予め設定した第一設定値に近い場合は、前記給水路11を通過する単位量の給水に対し、比較的少量のスケール分散剤が供給されるように、前記スケール分散剤供給ポンプ20を連続して作動させる。一方、ステップS5において測定したシリカ濃度が予め設定した第一設定値より高い場合は、前記給水路11を通過する単位量の給水に対し、比較的多量のスケール分散剤が供給されるように、前記スケール分散剤供給ポンプ20を連続的に作動させる。すなわち、前記制御装置26は、給水に対して供給するスケール分散剤の量がステップS5において測定したシリカ濃度にしたがうように前記スケール分散剤供給ポンプ20を作動させる。ここにおいて、前記スケール分散剤供給ポンプ20は、前記制御装置26からの停止指令を受けない限り作動し続ける。
【0040】
そして、ステップS8の終了後、プログラムはステップS9へ移行し、スケール分散剤供給識別フラグをオン(ON)に設定する。そして、ステップS10において、後洗浄工程を実施する。この後洗浄工程において、プログラムは、前記攪拌子34を回転させながらボイラ水を供給する。ここで、前記測定セル23内に貯留された試薬およびpH調整液を含むボイラ水試料は、前記試料導入路28から新たに流入するボイラ水により押し出され、前記試料排出路32から外部へ排出される。これにより、前記測定セル23は、新たに流入するボイラ水により洗浄されることになる。ステップS10の終了後、プログラムはステップS2へ戻る。
【0041】
逆に、ステップS7において、スケール分散剤供給識別フラグがオン(ON)の場合、プログラムはステップS11へ移行し、スケール分散剤供給量調整工程を実施する。
【0042】
このスケール分散剤供給量調整工程は、今回のステップS5で測定したシリカ濃度が、前回のステップS5で測定したシリカ濃度と異なる場合、ステップS11において、プログラムが今回のステップS5で測定したシリカ濃度にしたがって、前記スケール分散剤供給ポンプ20を作動させることになるため、前記給水路11から前記ボイラ2へ供給される給水に対して供給されるスケール分散剤の量を変化させることになる。
【0043】
そして、プログラムはステップS10へ移行し、後洗浄工程を実施した後、プログラムはステップS2へ戻る。
【0044】
この結果、前記給水路11から前記ボイラ2内へ供給される給水は、ボイラ水のシリカ濃度に応じた適正量のスケール分散剤が導入されることになるので、前記ボイラ2において、スケールの生成が効果的に抑制される。
【0045】
逆に、ステップS6において、ステップS5のシリカ濃度測定工程においてシリカ濃度が予め設定した第一設定値,たとえば600mg/リットル未満と測定された場合、プログラムはステップS6からステップS12へ移行して、このステップS12において、ボイラ水試料のシリカ濃度が第二設定値以下か否かを判定する。ステップS5のシリカ濃度測定工程においてシリカ濃度が予め設定した第二設定値,たとえば150mg/リットル以下と測定された場合、プログラムはステップS12からステップS13へ移行して、前記CPU53の腐食抑制剤供給識別フラグがオン(ON)であるか否かを判定する。腐食抑制剤供給識別フラグがオフ(OFF)の場合、プログラムはステップS14へ移行し、腐食抑制剤供給工程を実施する。
【0046】
このステップS14における腐食抑制剤供給工程において、前記制御装置26は、前記腐食抑制剤供給装置6の前記腐食抑制剤供給ポンプ17を作動させ、前記給水路11に対して腐食抑制剤を供給する。これにより、前記給水路11を前記ボイラ2へ向けて通過中の給水へ腐食抑制剤が供給される。ここにおいて、前記制御装置26は、ステップS5において測定したシリカ濃度に基づいて、前記腐食抑制剤供給ポンプ17の動作を制御するように設定している。より具体的には、前記制御装置26は、ステップS5において測定したシリカ濃度が予め設定した第二設定値に近い場合は、前記給水路11を通過する単位量の給水に対し、比較的少量の腐食抑制剤が供給されるように、前記腐食抑制剤供給ポンプ17を連続して作動させる。一方、ステップS5において測定したシリカ濃度が予め設定した第二設定値より低い場合は、前記給水路11を通過する単位量の給水に対し、比較的多量の腐食抑制剤が供給されるように、前記腐食抑制剤供給ポンプ17を連続的に作動させる。すなわち、前記制御装置26は、給水に対して供給する腐食抑制剤の量がステップS5において測定したシリカ濃度にしたがうように前記腐食抑制剤供給ポンプ17を作動させる。ここにおいて、前記腐食抑制剤供給ポンプ17は、前記制御装置26からの停止指令を受けない限り作動し続ける。
【0047】
そして、ステップS14の終了後、プログラムはステップS15へ移行し、腐食抑制剤供給識別フラグをオン(ON)に設定する。そして、ステップS16において、ステップS10と同様に後洗浄工程を実施する。ステップS16の終了後、プログラムはステップS2へ戻る。
【0048】
逆に、ステップS13において、腐食抑制剤供給識別フラグがオン(ON)の場合、プログラムはステップS17へ移行し、腐食抑制剤供給量調整工程を実施する。
【0049】
この腐食抑制剤供給量調整工程は、今回のステップS5で測定したシリカ濃度が、前回のステップS5で測定したシリカ濃度と異なる場合、ステップS17において、プログラムが今回のステップS5で測定したシリカ濃度にしたがって、前記腐食抑制剤供給ポンプ17を作動させることになるため、前記給水路11から前記ボイラ2へ供給される給水に対して供給される腐食抑制剤の量を変化させることになる。
【0050】
そして、プログラムはステップS16へ移行し、ステップS10と同様に後洗浄工程を実施した後、プログラムはステップS2へ戻る。
【0051】
この結果、前記給水路11から前記ボイラ2内へ供給される給水は、ボイラ水のシリカ濃度に応じた適正量の腐食抑制剤が導入されることになるので、前記ボイラ2において、腐食が効果的に抑制される。
【0052】
逆に、ステップS12において、ステップS5のシリカ濃度測定工程においてシリカ濃度が予め設定した第二設定値,たとえば150mg/リットルを超えると測定された場合、プログラムはステップS12からステップS18へ移行して、前記CPU53のスケール分散剤供給識別フラグがオン(ON)であるか否かを判定する。スケール分散剤供給識別フラグがオン(ON)の場合、プログラムはステップS19へ移行し、スケール分散剤を供給する前記スケール分散剤供給ポンプ20の動作を停止する。これにより、前記スケール分散剤供給装置7は、前記給水路11に対するスケール分散剤の供給を停止する。この結果、予め設定した第一設定値未満かつ第二設定値を超えるボイラ水中のシリカ濃度における給水に対するスケール分散剤の無駄な供給が防止されることになる。
【0053】
そして、ステップS19の終了後、プログラムはステップS20へ移行し、前記CPU53のスケール分散剤供給識別フラグをオフ(OFF)に設定する。そして、ステップS21において、ステップS10と同様に後洗浄工程を実施する。ステップS21の終了後、プログラムはステップS2へ戻る。
【0054】
また、ステップS18において、スケール分散剤供給識別フラグがオフ(OFF)の場合、プログラムはステップS22へ移行して、前記CPU53の腐食抑制剤供給識別フラグがオン(ON)であるか否かを判定する。腐食抑制剤供給識別フラグがオン(ON)の場合、プログラムはステップS23へ移行し、腐食抑制剤を供給する前記腐食抑制剤供給ポンプ17の動作を停止する。これにより、前記腐食抑制剤供給装置6は、前記給水路11に対する腐食抑制剤の供給を停止する。この結果、予め設定した第一設定値未満かつ第二設定値を超えるボイラ水中のシリカ濃度における給水に対する腐食抑制剤の無駄な供給が防止されることになる。
【0055】
そして、ステップS23の終了後、プログラムはステップS24へ移行し、前記CPU53の腐食抑制剤供給識別フラグをオフ(OFF)に設定する。そして、ステップS21において、ステップS10と同様に後洗浄工程を実施する。ステップS21の終了後、プログラムはステップS2へ戻る。
【0056】
逆に、ステップS22において、腐食抑制剤供給識別フラグがオフ(OFF)の場合、プログラムはステップS21へ移行し、ステップS10と同様に後洗浄工程を実施する。ステップS21の終了後、プログラムはステップS2へ戻る。
【0057】
この結果、シリカ濃度が予め設定した第一設定値未満かつ第二設定値を超えるボイラ水の給水に対するスケール分散剤および腐食抑制剤の無駄な供給が防止されることになる。
【0058】
そして、プログラムは、ステップS2において、ステップS3でゼロ(0)にリセットした経過時間tが一定時間t1になったか否かを判定する。そして、経過時間tが一定時間t1に到達すると、再びステップS4以下を繰り返す。したがって、前記ボイラ装置1では、一定時間t1が経過する毎に、ボイラ水におけるシリカ濃度が測定され、またその結果に基づいて、必要に応じて前記腐食抑制剤供給装置6または前記スケール分散剤供給装置7から供給される腐食抑制剤またはスケール分散剤が前記給水路11を介して給水に対して供給されることになる。
【0059】
たとえば、先のステップS5においてボイラ水のシリカ濃度が予め設定した第一設定値以上の場合であっても、つぎの繰返し工程におけるステップS5においてシリカ濃度が予め設定した第一設定値未満であり、かつ予め設定した第二設定値を超える場合、プログラムはステップS6からステップS12を経由してステップS18へ移行する。ここで、先のステップS9においてスケール分散剤供給識別フラグがオン(ON)に設定されているため、プログラムはステップS19へ移行し、ステップS20〜ステップS21を経由してステップS2へ戻る。したがって、前記給水路11に対するスケール分散剤の供給が停止されることになる。逆に、先のステップS5においてボイラ水のシリカ濃度が予め設定した第一設定値未満であり、かつ予め設定した第二設定値を超える場合であっても、つぎの繰返し工程におけるステップS5においてボイラ水のシリカ濃度が予め設定した第一設定値以上の場合、プログラムはステップS6からステップS7へ移行し、ステップS8〜ステップS10を経由してステップS2ヘ戻る。したがって、前記給水路11から前記ボイラ2へ供給する給水には、前記スケール分散剤供給装置7からスケール分散剤の供給が開始されることになる。
【0060】
一方、先のステップS5においてボイラ水のシリカ濃度が予め設定した第一設定値未満であり、かつ予め設定した第二設定値以下の場合であっても、つぎの繰返し工程におけるステップS5においてシリカ濃度が予め設定した第一設定値未満であり、かつ予め設定した第二設定値を超える場合、プログラムはステップS6からステップS12およびステップS18を経由してステップS22へ移行する。ここで、先のステップS15において腐食抑制剤供給識別フラグがオン(ON)に設定されているため、プログラムはステップS23へ移行し、ステップS24およびステップS21を経由してステップS2へ戻る。したがって、前記給水路11に対する腐食抑制剤の供給が停止されることになる。逆に、先のステップS5においてボイラ水のシリカ濃度が予め設定した第一設定値未満であり、かつ予め設定した第二設定値を超える場合であっても、つぎの繰返し工程におけるステップS5においてボイラ水のシリカ濃度が予め設定した第一設定値未満であり、かつ予め設定した第二設定値以下の場合、プログラムはステップS6からステップS12へ移行し、ステップS13〜ステップS16を経由してステップS2ヘ戻る。したがって、前記給水路11から前記ボイラ2へ供給する給水には、前記腐食抑制剤供給装置6から腐食抑制剤の供給が開始されることになる。
【0061】
前記のように、前記ボイラ装置1においては、ボイラ水におけるシリカ濃度とは無関係に、連続的にもしくは定期的に腐食抑制剤またはスケール分散剤を供給するのではなく、シリカ濃度に基づいて、前記給水路11を介して給水に対して腐食抑制剤またはスケール分散剤を供給することができるので、腐食抑制剤およびスケール分散剤の使用量を適正化することができ、結果的に腐食およびスケール生成の抑制に要するコストを削減することができる。また、前記ボイラ装置1は、前記ボイラ2内に腐食またはスケールが生成してから腐食抑制剤またはスケール分散剤を供給するのではなく、腐食またはスケールの発生原因となるボイラ水中のシリカ濃度に注目して腐食抑制剤またはスケール分散剤を供給しているので、前記ボイラ2における腐食およびスケールの生成を未然に防止することができる。
【0062】
[他の実施の形態]
(1)前記の実施の形態では、一定時間t1が経過する毎にボイラ水中のシリカ濃度を測定し、その結果に基づいて腐食抑制剤またはスケール分散剤を前記給水路11中の給水に対して供給しているが、この一定時間は状況に応じて変更することができる。たとえば、図8に示すように、動作フローチャートのステップS10またはステップS16の後にステップS25をさらに設定し、ここでステップS3でゼロ(0)にリセットした経過時間tが別の一定時間t2に到達したか否かを判断する。そして、ステップS25において経過時間tが一定時間t2に到達していると判断した場合、プログラムがステップS3へ移行するように設定する。ここにおいて、t2は、t1よりも短い時間である。
【0063】
この場合、前記ボイラ装置1は、ステップS5においてシリカ濃度が予め設定した第一設定値以上または予め設定した第二設定値以下の場合は、短めの一定時間t2の経過毎にボイラ水中のシリカ濃度を測定し、またステップS5においてシリカ濃度が予め設定した第一設定値未満かつ第二設定値を超える場合は、長めの一定時間t1の経過毎にボイラ水中のシリカ濃度を測定することになるので、給水に対する腐食抑制剤およびスケール分散剤の供給量を適正化することができる。
【0064】
(2)前記の実施の形態では、前記シリカ濃度測定装置8においてボイラ水中のシリカ濃度を測定し、その結果に基づいて、前記給水路11に対して供給する腐食抑制剤およびスケール分散剤の量を変化させているが、この発明はこれに限定されるものではない。たとえば、前記シリカ濃度測定装置8において、ボイラ水中にシリカ濃度が予め設定した第一設定値以上および第二設定値以下かどうかのみを単純に測定し、ボイラ水中にシリカ濃度が予め設定した第一設定値以上の場合は、シリカ濃度とは無関係に一定量のスケール分散剤を前記給水路11中の給水に対して供給するようにしてもよい。また、シリカ濃度が予め設定した第二設定値以下の場合は、シリカ濃度とは無関係に一定量の腐食抑制剤を前記給水路11注の給水に対して供給するようにしてもよい。
【0065】
(3)前記の実施の形態において用いられる前記シリカ濃度測定装置8は、ボイラ水中のシリカ濃度を自動的に測定することができるものであれば、他の形態のものに変更することもできる。ここにおいて、ボイラ水中のシリカ濃度を自動的に測定する方法としては、たとえば原子吸光光度計を用いた測定装置も採用することができる。
【0066】
(4)前記の実施の形態では、前記ボイラ装置1に前記シリカ濃度測定装置8を設け、前記シリカ濃度測定装置8において自動的に測定されたボイラ水中のシリカ濃度に基づいて、前記腐食抑制剤供給装置6および前記スケール分散剤供給装置7から前記給水路11に対して腐食抑制剤およびスケール分散剤を供給するようにしたが、この発明の腐食抑制およびスケール生成抑制方法はこれに限定されるものではない。たとえば、ボイラ水中のシリカ濃度を手作業により測定し、その測定結果に基づいて、前記給水路11に対して腐食抑制剤またはスケール分散剤を供給することができる。ここにおいて、ボイラ水中のシリカ濃度を手作業により測定する方法としては、たとえばJIS K 0101:1998に規定されている「モリブデン青吸光光度法」を採用することができる。
【0067】
(5)前記の実施の形態では、前記負荷機器4で使用した蒸気を復水として回収しない場合について説明したが、この発明はこれに限定されるものではない。たとえば、図10に示すように、前記負荷機器4で使用した蒸気を復水として前記給水タンク10へ供給する復水配管58(復水供給部の一例)を設けた構成とすることも、実施に応じて好適である。
【0068】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、腐食抑制剤またはスケール分散剤を用いてボイラ装置に発生する腐食およびスケールの生成を抑制するにあたり、腐食抑制剤およびスケール分散剤の使用量を適正化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に適用されるボイラ装置の概略図である。
【図2】前記ボイラ装置において用いられるシリカ濃度測定装置の縦断面概略図である。
【図3】前記シリカ濃度測定装置を構成する試薬供給装置部分を図2のIII方向から見た縦断面概略図である。
【図4】前記シリカ濃度測定装置の制御装置部分の概略構成を示す図である。
【図5】前記ボイラ装置における腐食抑制剤およびスケール分散剤の供給動作工程を示すフローチャートである。
【図6】前記ボイラ装置における腐食抑制剤およびスケール分散剤の供給動作工程を示すフローチャートである。
【図7】前記ボイラ装置における腐食抑制剤およびスケール分散剤の供給動作工程を示すフローチャートである。
【図8】他の実施の形態における腐食抑制剤およびスケール分散剤の供給動作工程を示すフローチャートである。
【図9】ボイラ水試料を通過する光の透過率に基づいてシリカ濃度を測定する判定テーブルを概念的に示したグラフである。
【図10】他の実施の形態におけるボイラ装置の概略図である。
【符号の説明】
1 ボイラ装置
2 ボイラ
3 給水部
4 負荷機器
5 蒸気供給部
58 復水供給部[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for suppressing corrosion and scale generation of a boiler device.
[0002]
[Prior art]
The components of the boiler device, especially the heat transfer tubes mainly made of steel tubes for generating steam from the boiler, may be damaged due to corrosion. The corrosion of the heat transfer tube is likely to occur when the silica concentration of the boiler water is low. Normally, boiler water containing silica in a boiler forms a film on a heat transfer tube in the boiler by heat. Thereby, corrosion of the heat transfer tube is suppressed. However, if the silica concentration in the boiler water is low, the heat transfer tubes in the boiler do not form much film, and corrosion progresses uniformly or locally on the inner surface of the heat transfer tubes in contact with the boiler water. This may result in thinning of heat transfer tubes.
[0003]
Therefore, in order to suppress the corrosion of the heat transfer tubes, the quality of the film formed on the heat transfer tubes of the boiler is predicted from the concentration of silica contained in the water supply. As a method for predicting the quality of the film formed on the heat transfer tubes in the boiler, the silica concentration of the normal feed water is measured once, and a corrosion inhibitor is added accordingly. However, the water quality of the feedwater fluctuates daily, and when the silica concentration increases, the silica concentration of the boiler water increases, and the addition amount of the corrosion inhibitor is set in advance even though the addition amount of the corrosion inhibitor may be small. Therefore, the added amount of the corrosion inhibitor becomes excessive, and the chemical is wasted. Conversely, when the silica concentration decreases, the silica concentration of the boiler water decreases, and although the amount of the corrosion inhibitor must be increased, the amount of the corrosion inhibitor is set in advance. Insufficient amounts may cause corrosion of heat transfer tubes.
[0004]
In addition, constituent members of the boiler device, particularly heat transfer tubes mainly made of steel tubes for generating steam from the boiler, may be damaged due to scale formation. This scale formation of the heat transfer tube is likely to occur when the silica concentration of the boiler water is high. Usually, silica is combined with hardness (calcium ions, magnesium ions, etc.) in the boiler and adheres to the heat transfer tube as silica-based scale. As a result, the heat conductivity of the heat transfer tube may be reduced, and the heat transfer tube may be damaged.
[0005]
Therefore, in order to suppress the generation of scale on the heat transfer tubes, the silica concentration of the boiler water is predicted from the silica concentration contained in the feed water. As a method for estimating the silica concentration of the boiler water, the silica concentration of the normal feed water is measured once, and the scale dispersant is supplied accordingly. However, the water quality of the feed water fluctuates every day, and when the silica concentration decreases, the silica concentration of the boiler water decreases, and the supply amount of the scale dispersant is set in advance even though the supply amount of the scale dispersant may be small. Therefore, the supply amount of the scale dispersant becomes excessive, and the chemical is wasted. Conversely, when the silica concentration increases, the silica concentration of the boiler water increases, and although the scale dispersant must be increased, the supply amount of the scale dispersant is set in advance. Insufficient supply can cause scale formation in heat transfer tubes.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
The problem to be solved by the present invention is to optimize the amounts of the corrosion inhibitor and the scale dispersant used in suppressing corrosion and scale generation in a boiler device using a corrosion inhibitor or a scale dispersant. It is.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
The present invention has been made to solve the problem, and the invention according to
[0008]
The invention according to
[0009]
Further, the invention according to
[0010]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
A boiler device according to an embodiment of the present invention will be described with reference to FIG. In FIG. 1, a
[0011]
The
[0012]
The
[0013]
The corrosion
[0014]
On the other hand, the corrosion
[0015]
The scale
[0016]
On the other hand, the scale
[0017]
The silica
[0018]
The measuring
[0019]
Further, a stirring
[0020]
The
[0021]
The
[0022]
The
[0023]
The
[0024]
The
[0025]
The
[0026]
On the other hand, the input side of the input /
[0027]
According to the operation program stored in the
[0028]
Next, the operation of the
[0029]
Water supplied to the
[0030]
The boiler water in the
[0031]
Therefore, the
[0032]
When the operation of the
[0033]
After step S3, the program proceeds to step S4, where the silica
[0034]
After the pre-cleaning step as described above, the program proceeds to step S5, and measures the silica concentration in the boiler water (silica concentration measuring step). Here, the power supply to the electromagnetic induction coil of the
[0035]
Next, the energization of the electromagnetic induction coil of the
[0036]
In the injection step as described above, the
[0037]
Therefore, when the
[0038]
After the measurement process as described above, the program proceeds to step S6, and in this step S6, it is determined whether or not the silica concentration of the boiler water sample is equal to or higher than a first set value. If the silica concentration is measured in the silica concentration measuring step of step S5 to be equal to or more than the first set value set in advance, for example, 600 mg / liter or more, the program proceeds from step S6 to step S7, where the
[0039]
In the scale dispersant supply step in step S <b> 8, the
[0040]
Then, after the end of step S8, the program proceeds to step S9, and sets the scale dispersant supply identification flag to ON. Then, in step S10, a post-cleaning step is performed. In the subsequent washing step, the program supplies boiler water while rotating the
[0041]
Conversely, if the scale dispersant supply identification flag is on (ON) in step S7, the program proceeds to step S11, and performs the scale dispersant supply amount adjustment step.
[0042]
In the scale dispersant supply amount adjusting step, when the silica concentration measured in the current step S5 is different from the silica concentration measured in the previous step S5, in step S11, the program adjusts the silica concentration measured in the current step S5. Therefore, since the scale
[0043]
Then, the program proceeds to step S10, and after performing the post-cleaning step, the program returns to step S2.
[0044]
As a result, in the feedwater supplied from the
[0045]
Conversely, in step S6, if the silica concentration is measured to be less than the preset first set value, for example, 600 mg / liter in the silica concentration measuring step of step S5, the program proceeds from step S6 to step S12, and the program proceeds to step S12. In step S12, it is determined whether or not the silica concentration of the boiler water sample is equal to or less than a second set value. If the silica concentration is measured to be equal to or less than the preset second set value, for example, 150 mg / liter, in the silica concentration measuring step of step S5, the program proceeds from step S12 to step S13, and the
[0046]
In the corrosion inhibitor supply step in step S <b> 14, the
[0047]
Then, after the end of step S14, the program proceeds to step S15, and sets the corrosion inhibitor supply identification flag to ON. Then, in step S16, a post-cleaning step is performed as in step S10. After the end of step S16, the program returns to step S2.
[0048]
Conversely, if the corrosion inhibitor supply identification flag is on (ON) in step S13, the program proceeds to step S17, and performs the corrosion inhibitor supply amount adjustment step.
[0049]
In the corrosion inhibitor supply amount adjusting step, when the silica concentration measured in the current step S5 is different from the silica concentration measured in the previous step S5, in step S17, the program changes the silica concentration measured in the current step S5. Therefore, since the corrosion
[0050]
Then, the program proceeds to step S16, and after performing the post-cleaning step as in step S10, the program returns to step S2.
[0051]
As a result, the water supplied from the
[0052]
Conversely, if it is determined in step S12 that the silica concentration exceeds a preset second set value, for example, 150 mg / liter in the silica concentration measurement step of step S5, the program proceeds from step S12 to step S18, It is determined whether or not the scale dispersant supply identification flag of the
[0053]
Then, after the end of step S19, the program proceeds to step S20, and sets the scale dispersant supply identification flag of the
[0054]
If the scale dispersant supply identification flag is off (OFF) in step S18, the program proceeds to step S22 to determine whether the corrosion inhibitor supply identification flag of the
[0055]
Then, after the end of step S23, the program proceeds to step S24, and sets the corrosion inhibitor supply identification flag of the
[0056]
Conversely, if the corrosion inhibitor supply identification flag is off (OFF) in step S22, the program proceeds to step S21, and performs the post-cleaning process as in step S10. After the step S21 ends, the program returns to the step S2.
[0057]
As a result, wasteful supply of the scale dispersant and the corrosion inhibitor to the feed of boiler water whose silica concentration is less than the first set value and exceeds the second set value is prevented.
[0058]
Then, in step S2, the elapsed time t reset to zero (0) in step S3 is equal to the fixed time t. 1 Is determined. Then, the elapsed time t becomes a certain time t 1 Is reached, step S4 and subsequent steps are repeated again. Therefore, in the
[0059]
For example, even when the silica concentration of the boiler water is equal to or higher than the first set value set in advance in step S5, the silica concentration is less than the first set value set in advance in step S5 in the next repetition process, If the second set value is exceeded, the program proceeds from step S6 to step S18 via step S12. Here, since the scale dispersant supply identification flag is set to ON in the previous step S9, the program proceeds to step S19, and returns to step S2 via steps S20 to S21. Therefore, the supply of the scale dispersant to the
[0060]
On the other hand, even if the silica concentration of the boiler water in the previous step S5 is less than the preset first set value and is equal to or less than the preset second set value, the silica concentration in step S5 in the next repetitive process is performed. Is less than the preset first set value and exceeds the preset second set value, the program proceeds from step S6 to step S22 via steps S12 and S18. Here, since the corrosion inhibitor supply identification flag has been set to ON in step S15, the program proceeds to step S23, and returns to step S2 via steps S24 and S21. Therefore, the supply of the corrosion inhibitor to the
[0061]
As described above, in the
[0062]
[Other embodiments]
(1) In the above embodiment, the fixed time t 1 The silica concentration in the boiler water is measured every time the water passes, and a corrosion inhibitor or a scale dispersant is supplied to the water supply in the
[0063]
In this case, if the silica concentration is equal to or more than the preset first set value or equal to or less than the preset second set value in step S5, the
[0064]
(2) In the above embodiment, the silica concentration in the boiler water is measured by the silica
[0065]
(3) As long as the silica
[0066]
(4) In the above embodiment, the silica
[0067]
(5) In the above embodiment, the case where the steam used in the
[0068]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, the amount of the corrosion inhibitor and the scale dispersant is optimized in suppressing the generation of corrosion and scale generated in the boiler device using the corrosion inhibitor or the scale dispersant. be able to.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic diagram of a boiler device applied to an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a schematic longitudinal sectional view of a silica concentration measuring device used in the boiler device.
FIG. 3 is a schematic vertical sectional view of a reagent supply device part of the silica concentration measuring device as viewed from a direction III in FIG. 2;
FIG. 4 is a diagram showing a schematic configuration of a control device portion of the silica concentration measuring device.
FIG. 5 is a flowchart showing a supply operation process of a corrosion inhibitor and a scale dispersant in the boiler device.
FIG. 6 is a flowchart showing a supply operation process of a corrosion inhibitor and a scale dispersant in the boiler device.
FIG. 7 is a flowchart showing a supply operation process of a corrosion inhibitor and a scale dispersant in the boiler device.
FIG. 8 is a flowchart showing a supply operation process of a corrosion inhibitor and a scale dispersant according to another embodiment.
FIG. 9 is a graph conceptually showing a determination table for measuring a silica concentration based on a transmittance of light passing through a boiler water sample.
FIG. 10 is a schematic diagram of a boiler device according to another embodiment.
[Explanation of symbols]
1 Boiler equipment
2 Boiler
3 Water supply department
4 Load equipment
5 Steam supply unit
58 Condensate supply section
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JP (1) | JP2004085146A (en) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011007179A (en) * | 2009-06-02 | 2011-01-13 | Electric Power Research Inst Inc | Dispersing agent utilizing method for cleaning recirculation pathway at the start of power generation facility |
WO2013140560A1 (en) * | 2012-03-22 | 2013-09-26 | システム・インスツルメンツ株式会社 | AUTOMATIC pH ADJUSTMENT APPARATUS |
JP2014031931A (en) * | 2012-08-02 | 2014-02-20 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | Device for estimating silica concentration in boiler water, silica concentration adjustment device, silica concentration estimation method and silica concentration adjustment method |
-
2002
- 2002-08-29 JP JP2002250013A patent/JP2004085146A/en active Pending
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