JP2004081247A - 体内埋め込み型機器システム及びそのリセット方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】体内埋め込み型機器を体内に埋め込んだままで、誤作動なく、確実にそのリセット可能な体内埋め込み型機器システム及びそのリセット方法を提供すること。
【解決手段】経皮的電力伝送手段3により体内に伝送された駆動電力を使用して体内制御回路6に基づき体内駆動部を駆動させる体内埋め込み型機器システムにおいて、前記経皮的電力伝送手段3により体内に伝送された電流のうちスイッチング周波数以外の電流を通すことのできるフィルター8と、そのフィルター8を通過した電流を受けて前記体内制御回路6をリセットさせるリセット回路10とを備えることを特徴とする体内埋め込み型機器システム、及びそのリセット方法。
【選択図】 図1
【解決手段】経皮的電力伝送手段3により体内に伝送された駆動電力を使用して体内制御回路6に基づき体内駆動部を駆動させる体内埋め込み型機器システムにおいて、前記経皮的電力伝送手段3により体内に伝送された電流のうちスイッチング周波数以外の電流を通すことのできるフィルター8と、そのフィルター8を通過した電流を受けて前記体内制御回路6をリセットさせるリセット回路10とを備えることを特徴とする体内埋め込み型機器システム、及びそのリセット方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、体内埋め込み型機器システム及び体内埋め込み型機器システムのリセット方法に関し、さらに詳しくは、リセット用の電流を供給することによって誤作動なく、確実にリセットすることができる体内埋め込み型機器システム及び体内埋め込み型機器システムのリセット方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば空気駆動型人工心臓は、従来は血液ポンプのみが体内に埋め込まれ、体外にある駆動装置と前記血液ポンプとがチューブにより結ばれ、前記駆動装置により前記チューブを介して前記血液ポンプに陰圧及び陽圧が加えられることによって駆動していた。
【0003】
このような人工心臓においては、ベッドサイドに大型の駆動装置を設置することが必要になり、この駆動装置につながるチューブによって患者の自由が束縛され、またチューブが体内に入る貫通口から菌等が体内に入り込み、感染症を引き起こすなどの欠点があった。
【0004】
このような理由から、患者の負担軽減及び感染症予防等のために、皮膚を完全に閉じた状態で機器を体内に埋め込む完全体内埋め込み型人工心臓などの完全体内埋め込み型機器の研究開発が進められている。完全体内埋め込み型機器に対する駆動電力の供給は、電磁誘導作用を利用した経皮的電力伝送方式によって行われることが多い。また完全体内埋め込み型装置においては、その制御は通常体内に設けられたマイコンによって行われる。したがって完全体内埋め込み型機器を使用する場合には、通常、電力供給手段、経皮的電力伝送手段、体内制御手段及び完全体内埋め込み型機器を含む体内埋め込み型機器システムが形成される。
【0005】
体内埋め込み型機器システムは、前記のような利点を有するが、その一方皮膚が完全に閉ざされた状態で機器が体内に埋め込まれているので、リセットを行う必要が生じた場合、その操作を行うことが困難である。体内埋め込み型機器システムのリセットを行う方法としては、例えば体外から操作をすることのできる機械的又は磁力的なスイッチをこのシステムに設ける方法が考えられたが、この方法は、誤作動の危険性が極めて高く、実際上適用は困難である。
【0006】
そこで機器を体内に埋め込んだままで、誤作動なく、確実に体内埋め込み型機器システムのリセットを行う技術の開発が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、体内埋め込み型機器システムが有する前記欠点を解消することを目的とする。すなわちこの発明の目的は、体内埋め込み型機器を体内に埋め込んだままで、誤作動の危険がなく、確実にそのリセットをすることのできる体内埋め込み型機器システムを提供することであり、また体内埋め込み型機器を体内に埋め込んだままで、誤作動の危険がなく、確実にそのリセットをする体内埋め込み型機器システムのリセット方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するためのこの発明は、経皮的電力伝送手段により体内に伝送された駆動電力を使用して体内制御回路に基づき体内駆動部を駆動させる体内埋め込み型機器システムにおいて、前記経皮的電力伝送手段により体内に伝送された電流のうち電磁誘導作用のためのスイッチング周波数の電流は通さないが、スイッチング周波数以外の電流を通すことのできるフィルターと、そのフィルターを通過した電流を受けて前記体内制御回路をリセットさせるリセット回路とを備えることを特徴とする体内埋め込み型機器システムであり、
前記体内埋め込み型機器システムの好適な態様は、体内埋め込み型人工臓器システムである。
【0009】
前記目的を達成するための他の発明は、経皮的電力伝送手段により体内に伝送された駆動電力を使用して体内制御回路に基づき体内駆動部を駆動させる体内埋め込み型機器システムに、経皮的電力伝送手段における電磁誘導作用のためのスイッチング周波数の電流は通さないが、スイッチング周波数以外の電流を通すことのできるフィルターと、前記体内制御回路をリセットさせるリセット回路とを設け、前記フィルターを通過する電流を前記経皮的電力伝送手段により体内に伝送し、前記フィルターを通過した電流を前記リセット回路に供給することにより前記体内制御回路をリセットすることを特徴とする体内埋め込み型機器システムのリセット方法であり、
前記体内埋め込み型機器システムのリセット方法の好適な態様では、前記体内埋め込み型機器システムが体内埋め込み型人工臓器システムである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1に、この発明に係る体内埋め込み型機器システムの一具体例である体内埋め込み型人工心臓システム1のブロックダイアグラムを示す。
【0011】
体内埋め込み型人工心臓システム1は、電力供給手段2、経皮的電力伝送手段3、整流回路4、体内エネルギー貯蔵手段5、制御回路6、駆動部7、フィルター8、整流回路9及びリセット回路10を有して成る。経皮的電力伝送手段3は、送電部11と受電部12とから形成される。
【0012】
体内埋め込み型人工心臓システム1を構成する前記要素のうち、電力供給手段2及び経皮的電力伝送手段3の送電部11は体外に設置され、経皮的電力伝送手段3の受電部12、整流回路4、体内エネルギー貯蔵手段5、制御回路6、駆動部7、フィルター8、整流回路9及びリセット回路10は体内に収容される。体内に収容される前記各要素は、皮膚を完全に閉じた状態で体内に埋め込まれる。したがって体内埋め込み型人工心臓システム1は、完全体内埋め込み型のシステムである。
【0013】
図1において、体内埋め込み型人工心臓システム1の中の、経皮的電力伝送手段3の受電部12から整流回路4、体内エネルギー貯蔵手段5及び制御回路6を経て、駆動部7に至る経路は、駆動側経路13を形成し、公知の体内埋め込み型人工心臓システムが有する経路と同様の経路である。
【0014】
図1において、体内埋め込み型人工心臓システム1の中の、経皮的電力伝送手段3の受電部12からフィルター8、整流回路9及びリセット回路10を経て体内制御回路6に至る経路は、リセット側経路14を形成し、従来の体内埋め込み型人工心臓システムが有していない経路である。リセット側経路14が、この発明に係る体内埋め込み型人工心臓システム1の特徴となる部分である。
【0015】
体内埋め込み型人工心臓システム1のうち、電力供給手段2、経皮的電力伝送手段3、整流回路4、体内エネルギー貯蔵手段5、制御回路6及び駆動部7から成る部分は、従来の体内埋め込み型人工心臓システムと同様である。すなわち体内埋め込み型人工心臓システム1は、従来の体内埋め込み型人工心臓システムに、フィルター8、整流回路9及びリセット回路10を付加することによって形成することができる。
【0016】
電力供給手段2は、駆動部7の駆動に必要な電力を交流電力として駆動側経路14に供給する手段であり、またリセットに必要な電流をリセット側経路13に供給する手段である。電力供給手段2としては、前記機能を有していれば特に制限はなく、公知の電力供給手段を使用することができ、例えば二次電池又は商業用電源に接続された直流電源による直流電力をパワーMOS−FET等の半導体素子によるスイッチングによって交流電力に変換する手段を挙げることができる。
【0017】
経皮的電力伝送手段3は、電力供給手段2により供給された交流電力を体内に伝送する手段である。経皮的電力伝送手段3は、前述のように送電部11及び受電部12から成り、送電部11は体外に設けられ、受電部12は体内に設けられる。
【0018】
経皮的電力伝送手段3としては、前記機能を有していれば特に制限はないが、通常は送電部11が体外コイルであり、受電部12が体内コイルであって、前記体外コイルと体内コイルとの間の電磁誘導作用により電力伝送を行う経皮トランスが採用される。このような経皮トランスにおいては、前記体外コイルと体内コイルとが皮膚を挟んで対向して設置され、電力供給手段2により供給された電力を前記体外コイルが前述のようにして体内コイルに伝送する。このことによって、駆動部7を駆動させるのに必要な電力及びリセットに必要な電流が体内に供給される。前記経皮トランスの種類としては、前記機能を確保することができれば特に制限はなく、例えば空心型経皮トランス、アモルファス磁性繊維線を用いた経皮トランス、ポットコア型経皮トランス及び体外結合型経皮トランスを挙げることができる。
【0019】
整流回路4は、経皮的電力伝送手段3の受電部12に接続され、経皮的電力伝送手段3により体内に供給された交流電力を直流電力に変換する。整流回路4としては、前記機能を有していれば特に制限はなく、公知の整流回路を使用することができる。
【0020】
体内エネルギー貯蔵手段5は、整流回路4に接続され、整流回路4から供給される直流電力を受けて、その電気エネルギーを蓄える手段であり、通常二次電池である。体内エネルギー貯蔵手段5は、体内埋め込み型人工心臓システム1の使用者が、その体外装置、すなわち電力供給手段2及び経皮的電力伝送手段3の送電部11を所定の部位から取り外したとき、又は体外装置が故障したときなどに、バックアップ電源としての役割を果たす。体内エネルギー貯蔵手段5として使用する二次電池としては、前記機能を有し、安全性等を確保することができれば特に制限はなく、例えばニッケルカドミウム二次電池、ニッケル水素二次電池及びリチウムイオン二次電池を挙げることができる。
【0021】
体内制御回路6は、体内エネルギー貯蔵手段5から直流電力が供給され、その直流電力に基づいて駆動部7の駆動を制御する回路である。体内制御回路6としては、駆動部7の駆動態様が所定の態様になるように制御することができれば特に制限はなく、従来の体内埋め込み型人工心臓システムに使用される体内制御回路と同様の体内制御回路を使用することができる。
【0022】
駆動部7は、人工心臓の本体を成す部分であり、血液を輸送する機能を有する。駆動部7は、制御回路6の制御に従って駆動する。駆動部7としては、人工心臓として機能を発揮することができる限り特に制限はなく、従来の体内埋め込み型人工心臓システムに使用される駆動部と同様の駆動部を使用することができる。駆動部7は、通常はアクチュエータ及び血液ポンプを有して成る。
【0023】
フィルター8は、経皮的電力伝送手段3の受電部12に接続される。フィルター8は、経皮的電力伝送手段3により体内に伝送された電流のうち、駆動部7の駆動のために供給される電流の周波数、すなわちスイッチング周波数の電流は通さないが、スイッチング周波数以外の電流を通すことのできるフィルターである。フィルター8を通過した電流は、整流回路9に供給される。
【0024】
フィルター8は、前記機能を有していればその種類には特に制限はなく、例えばスイッチング周波数よりも高い遮断周波数以上の周波数の電流のみを通過させるハイパスフィルターであってもよく、スイッチング周波数よりも低い遮断周波数以下の周波数の電流のみを通過させるローパスフィルターであってもよく、またスイッチング周波数を含まない周波数領域の電流のみを通過させる帯域フィルターであってもよい。
【0025】
例えば、前記スイッチング周波数が100kHzであるとする。フィルター8がハイパスフィルターである場合には、その遮断周波数を、スイッチング周波数である100kHzより高い周波数、例えば500kHzにする。すると電力供給手段2から経皮的電力伝送手段3の送電部11にスイッチング周波数の電流が供給され、受電部12がその電流を受けた場合に、その電流は、フィルター8を通過することができず、すべて整流回路4に流れる。電力供給手段2から経皮的電力伝送手段3の送電部11に前記遮断周波数以上の周波数、例えば1000kHzの電流が供給され、受電部12がその電流を受けた場合には、その電流は、フィルター8を通過することができ、その通過した電流は整流回路9に流れる。
【0026】
フィルター8がローパスフィルターである場合には、その遮断周波数を、スイッチング周波数である100kHzより低い周波数、例えば50kHzにする。すると電力供給手段2から経皮的電力伝送手段3の送電部11にスイッチング周波数の電流が供給され、受電部12がその電流を受けた場合に、その電流は、フィルター8を通過することができず、すべて整流回路4に流れる。電力供給手段2から経皮的電力伝送手段3の送電部11に前記遮断周波数以下の周波数、例えば20kHzの電流が供給され、受電部12がその電流を受けた場合には、その電流は、フィルター8を通過することができ、その通過した電流は整流回路9に流れる。
【0027】
フィルター8が通すことのできる電流の周波数は、前記要件が満たされる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜決定することができる。したがってフィルター8の前記遮断周波数も、目的に応じて適宜決定可能である。
【0028】
整流回路9は、フィルター8に接続され、フィルター8を通過した交流電力を直流電力に変換する。整流回路9としては、前記機能を有していれば特に制限はなく、公知の整流回路を使用することができる。
【0029】
リセット回路10は、整流回路9から直流電力が供給され、その直流電力に基づいて体内制御回路6をリセットする回路である。リセット回路10は、前記機能を有していればその構造に特に制限はなく、体内制御回路6の構造に応じて適宜その構造を決定することができる。
【0030】
体内埋め込み型人工心臓システム1を構成する前記要素のうち、体内に収容される経皮的電力伝送手段3の受電部12、整流回路4、体内エネルギー貯蔵手段5、制御回路6及び駆動部7の、体内における収容位置は、人工心臓として機能を発揮することができる限り特に制限はなく、従来の体内埋め込み型人工心臓システムに使用されるこれらの要素の収容位置と同様の位置にすることができる。体内埋め込み型人工心臓システム1を構成する前記要素のうち、体内に収容されるフィルター8、整流回路9及びリセット回路10の、体内における収容位置は、これらの要素の前記機能が確保される限り特に制限はなく、これらの要素以外の要素との相対的位置関係及び体内における収容可能スペース等を考慮して、適宜決定することができる。
【0031】
体内埋め込み型人工心臓システム1は、次のように作用する。
通常の人工心臓駆動時においては、電力供給手段2から経皮的電力伝送手段3の送電部11にスイッチング周波数の交流電流(以下、スイッチング交流電流ということがある)が供給される。前記スイッチング周波数は、体内埋め込み型人工心臓システム1の駆動部7を駆動させることができれば特に制限はないが、通常は約100kHzである。
【0032】
送電部11に供給されたスイッチング周波数の交流電流は、体内に収容された経皮的電力伝送手段3の受電部12に経皮的に伝送される。受電部12には整流回路4及びフィルター8が接続されているが、フィルター8は前述のように、スイッチング周波数の交流電流は通さないフィルターであるので、受電部12に伝送された前記交流電流は、フィルター8を通過することはなく、すべて整流回路4に流れる。
【0033】
整流回路4に供給された前記交流電流は、整流回路4で直流電流に変換される。その直流電流は、体内エネルギー貯蔵手段5に供給され、体内エネルギー貯蔵手段5に電気エネルギーが蓄えられる。体内エネルギー貯蔵手段5から体内制御回路6に直流電力が与えられる。そして体内制御回路6の制御の下に駆動部7が駆動して、人工心臓の機能が発揮される。
【0034】
以上のように、スイッチング周波数の交流電流が電力供給手段2から経皮的電力伝送手段3により体内に送られた場合には、その電流は専ら駆動部7の起動電力の供給に使用され、その電流がフィルター8を通過してリセット回路10に供給されることによって体内制御回路6がリセットされることはない。
【0035】
体内埋め込み型人工心臓システム1をリセットする場合には、フィルター8を通過することのできる周波数を有するリセット用の交流電流(以下、リセット用交流電流ということがある)が、電力供給手段2から経皮的電力伝送手段3の送電部11に供給される。
【0036】
例えばフィルター8がハイパスフィルターであり、その遮断周波数が500kHzである場合には、その遮断周波数以上の周波数、例えば1000kHzの電流が電力供給手段2から経皮的電力伝送手段3の送電部11に供給される。また例えばフィルター8がローパスフィルターであり、その遮断周波数が50kHzである場合には、その遮断周波数以下の周波数、例えば20kHzの電流が電力供給手段2から経皮的電力伝送手段3の送電部11に供給される。
【0037】
送電部11に供給されたそのような周波数の交流電流は、体内に収容された経皮的電力伝送手段3の受電部12に経皮的に伝送される。受電部12に伝送された前記周波数の交流電流は、前述のように受電部12に接続されたフィルター8を通過することができる。フィルター8を通過したその交流電流は、整流回路9に流れる。
【0038】
整流回路9に供給された前記交流電流は、整流回路4で直流電流に変換される。その直流電流は、リセット回路10に供給される。リセット回路10に接続される体内制御回路6は、リセット回路10の機能によりリセットされ、駆動部7は初期状態に戻される。
以上により体内埋め込み型人工心臓システム1のリセットが完了する。
【0039】
体内埋め込み型人工心臓システム1においては、電力供給手段2から経皮的電力伝送手段3にリセット用の電流を供給するだけでリセットをすることができるのでリセット操作がきわめて容易である。
【0040】
体内埋め込み型人工心臓システム1においては、フィルター8がスイッチング周波数の電流の通過を確実に阻止するので、人工心臓の通常の駆動中に、スイッチング交流電流がリセット側経路14に流通することにより、リセットの必要のないときに体内制御回路6が誤ってリセットされることはない。また体内埋め込み型人工心臓システム1においては、フィルター8がリセット用交流電流を確実に通過させるので、リセット用交流電流が経皮的電力伝送手段3に供給されれば確実にリセット用の電流がリセット側経路14に流れ、体内制御回路6がリセットされる。すなわち体内埋め込み型人工心臓システム1においては、誤作動のおそれがなく、必要なときにだけ確実にリセットを実施することができる。
【0041】
体内埋め込み型人工心臓システム1においては、リセット側経路14は、駆動側経路13とは独立に機能するので、例えば体内制御回路6が暴走した場合であっても、リセット側経路14が正常に機能する限り、体内制御回路6のリセットを行うことが可能である。
【0042】
体内埋め込み型人工心臓システム1をリセットする場合において、リセット用交流電流を経皮的電力伝送手段3の送電部11に供給する方法としては、リセット可能な電流がリセット回路10に供給される限り特に制限はなく、例えば前記スイッチング交流電流とともにリセット用交流電流を経皮的電力伝送手段3の送電部11に供給する方法であってもよく、前記スイッチング交流電流の周波数を変更してリセット用交流電流とし、そのリセット用交流電流のみを経皮的電力伝送手段3の送電部11に供給する方法でもあってもよい。
【0043】
リセット用電流の周波数は、リセット回路10によるリセット制御が可能である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜決定することができる。
【0044】
この発明に係る体内埋め込み型人工心臓システムの駆動側経路については、図1に示される駆動側経路13に制限されることはなく、この発明の目的を達成することができる限り駆動側経路13に対して適宜変更を加えることができる。例えば整流回路4で得られた直流電流は、体内エネルギー貯蔵手段5に送らず、直接体内制御回路6に供給するようにしてもよい。
【0045】
以上、この発明に係る体内埋め込み型機器システムを、体内埋め込み型人工心臓システムを例にして説明したが、この発明に係る体内埋め込み型機器システムは、経皮的電力伝送手段により体内に伝送された駆動電力を使用して体内制御回路に基づき体内駆動部を駆動させる体内埋め込み型機器システムであれば適用することが可能であり、体内埋め込み型人工心臓システム以外の体内埋め込み型人工臓器システム、例えば体内埋め込み型人工膵臓システムに適用することができる。
【0046】
この発明に係る体内埋め込み型機器システムのリセット方法は、従来の体内埋め込み型人工心臓システムに、前述のフィルター及びリセット回路を付加することにより行うことができる。この発明に係る体内埋め込み型機器システムのリセット方法は、具体的には、この発明に係る体内埋め込み型機器システムにおける前記説明に基づいて実施することができる。
【0047】
【発明の効果】
この発明に係る体内埋め込み型機器システム及び体内埋め込み型機器システムのリセット方法においては、経皮的電力伝送手段にリセット用の電流を供給するだけでリセットをすることができるのでリセット操作がきわめて容易である。
【0048】
この発明に係る体内埋め込み型機器システム及び体内埋め込み型機器システムのリセット方法においては、フィルター及びリセット回路の機能により、誤作動のおそれがなく、必要なときにだけ確実にリセットを実施することができる。
【0049】
この発明に係る体内埋め込み型機器システム及び体内埋め込み型機器システムのリセット方法においては、リセット側経路が駆動側経路とは独立に機能するので、体内制御回路が暴走した場合であっても、体内制御回路を確実にリセットすることができる。
【0050】
この発明に係る体内埋め込み型機器システムにおいては、従来の体内埋め込み型機器システムに前記フィルター及びリセット回路を付加するだけで製造することができるので、コスト的負担が小さい。この発明に係る体内埋め込み型機器システムのリセット方法においては、従来の体内埋め込み型機器システムに前記フィルター及びリセット回路を付加するだけで実施することができるので、コスト的負担が小さい。またこの発明に係る体内埋め込み型機器システム及び体内埋め込み型機器システムのリセット方法においては、前記の理由により、体内に埋め込む要素の重量及び体積の増加を最小限に止めることができるので、患者への負担が小さい。
【0051】
この発明に係る体内埋め込み型機器システムにおいては、前記リセット経路が機械的要素を有しないので、故障が少ない。この発明に係る体内埋め込み型機器システムのリセット方法においては、従来の体内埋め込み型機器システムに対して付加される前記リセット経路が機械的要素を有しないので、装置の故障が少なく、装置の故障による実施不能の危険性が低い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明に係る体内埋め込み型機器システムの一具体例である体内埋め込み型人工心臓システム1のブロックダイアグラムである。
【符号の説明】
1・・体内埋め込み型人工心臓システム、2・・電力供給手段、3・・経皮的電力伝送手段、4・・整流回路、5・・体内エネルギー貯蔵手段、6・・制御回路、7・・駆動部、8・・フィルター、9・・整流回路、10・・リセット回路、11・・送電部、12・・受電部、13・・駆動側経路、14・・リセット側経路
【発明の属する技術分野】
この発明は、体内埋め込み型機器システム及び体内埋め込み型機器システムのリセット方法に関し、さらに詳しくは、リセット用の電流を供給することによって誤作動なく、確実にリセットすることができる体内埋め込み型機器システム及び体内埋め込み型機器システムのリセット方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば空気駆動型人工心臓は、従来は血液ポンプのみが体内に埋め込まれ、体外にある駆動装置と前記血液ポンプとがチューブにより結ばれ、前記駆動装置により前記チューブを介して前記血液ポンプに陰圧及び陽圧が加えられることによって駆動していた。
【0003】
このような人工心臓においては、ベッドサイドに大型の駆動装置を設置することが必要になり、この駆動装置につながるチューブによって患者の自由が束縛され、またチューブが体内に入る貫通口から菌等が体内に入り込み、感染症を引き起こすなどの欠点があった。
【0004】
このような理由から、患者の負担軽減及び感染症予防等のために、皮膚を完全に閉じた状態で機器を体内に埋め込む完全体内埋め込み型人工心臓などの完全体内埋め込み型機器の研究開発が進められている。完全体内埋め込み型機器に対する駆動電力の供給は、電磁誘導作用を利用した経皮的電力伝送方式によって行われることが多い。また完全体内埋め込み型装置においては、その制御は通常体内に設けられたマイコンによって行われる。したがって完全体内埋め込み型機器を使用する場合には、通常、電力供給手段、経皮的電力伝送手段、体内制御手段及び完全体内埋め込み型機器を含む体内埋め込み型機器システムが形成される。
【0005】
体内埋め込み型機器システムは、前記のような利点を有するが、その一方皮膚が完全に閉ざされた状態で機器が体内に埋め込まれているので、リセットを行う必要が生じた場合、その操作を行うことが困難である。体内埋め込み型機器システムのリセットを行う方法としては、例えば体外から操作をすることのできる機械的又は磁力的なスイッチをこのシステムに設ける方法が考えられたが、この方法は、誤作動の危険性が極めて高く、実際上適用は困難である。
【0006】
そこで機器を体内に埋め込んだままで、誤作動なく、確実に体内埋め込み型機器システムのリセットを行う技術の開発が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、体内埋め込み型機器システムが有する前記欠点を解消することを目的とする。すなわちこの発明の目的は、体内埋め込み型機器を体内に埋め込んだままで、誤作動の危険がなく、確実にそのリセットをすることのできる体内埋め込み型機器システムを提供することであり、また体内埋め込み型機器を体内に埋め込んだままで、誤作動の危険がなく、確実にそのリセットをする体内埋め込み型機器システムのリセット方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するためのこの発明は、経皮的電力伝送手段により体内に伝送された駆動電力を使用して体内制御回路に基づき体内駆動部を駆動させる体内埋め込み型機器システムにおいて、前記経皮的電力伝送手段により体内に伝送された電流のうち電磁誘導作用のためのスイッチング周波数の電流は通さないが、スイッチング周波数以外の電流を通すことのできるフィルターと、そのフィルターを通過した電流を受けて前記体内制御回路をリセットさせるリセット回路とを備えることを特徴とする体内埋め込み型機器システムであり、
前記体内埋め込み型機器システムの好適な態様は、体内埋め込み型人工臓器システムである。
【0009】
前記目的を達成するための他の発明は、経皮的電力伝送手段により体内に伝送された駆動電力を使用して体内制御回路に基づき体内駆動部を駆動させる体内埋め込み型機器システムに、経皮的電力伝送手段における電磁誘導作用のためのスイッチング周波数の電流は通さないが、スイッチング周波数以外の電流を通すことのできるフィルターと、前記体内制御回路をリセットさせるリセット回路とを設け、前記フィルターを通過する電流を前記経皮的電力伝送手段により体内に伝送し、前記フィルターを通過した電流を前記リセット回路に供給することにより前記体内制御回路をリセットすることを特徴とする体内埋め込み型機器システムのリセット方法であり、
前記体内埋め込み型機器システムのリセット方法の好適な態様では、前記体内埋め込み型機器システムが体内埋め込み型人工臓器システムである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1に、この発明に係る体内埋め込み型機器システムの一具体例である体内埋め込み型人工心臓システム1のブロックダイアグラムを示す。
【0011】
体内埋め込み型人工心臓システム1は、電力供給手段2、経皮的電力伝送手段3、整流回路4、体内エネルギー貯蔵手段5、制御回路6、駆動部7、フィルター8、整流回路9及びリセット回路10を有して成る。経皮的電力伝送手段3は、送電部11と受電部12とから形成される。
【0012】
体内埋め込み型人工心臓システム1を構成する前記要素のうち、電力供給手段2及び経皮的電力伝送手段3の送電部11は体外に設置され、経皮的電力伝送手段3の受電部12、整流回路4、体内エネルギー貯蔵手段5、制御回路6、駆動部7、フィルター8、整流回路9及びリセット回路10は体内に収容される。体内に収容される前記各要素は、皮膚を完全に閉じた状態で体内に埋め込まれる。したがって体内埋め込み型人工心臓システム1は、完全体内埋め込み型のシステムである。
【0013】
図1において、体内埋め込み型人工心臓システム1の中の、経皮的電力伝送手段3の受電部12から整流回路4、体内エネルギー貯蔵手段5及び制御回路6を経て、駆動部7に至る経路は、駆動側経路13を形成し、公知の体内埋め込み型人工心臓システムが有する経路と同様の経路である。
【0014】
図1において、体内埋め込み型人工心臓システム1の中の、経皮的電力伝送手段3の受電部12からフィルター8、整流回路9及びリセット回路10を経て体内制御回路6に至る経路は、リセット側経路14を形成し、従来の体内埋め込み型人工心臓システムが有していない経路である。リセット側経路14が、この発明に係る体内埋め込み型人工心臓システム1の特徴となる部分である。
【0015】
体内埋め込み型人工心臓システム1のうち、電力供給手段2、経皮的電力伝送手段3、整流回路4、体内エネルギー貯蔵手段5、制御回路6及び駆動部7から成る部分は、従来の体内埋め込み型人工心臓システムと同様である。すなわち体内埋め込み型人工心臓システム1は、従来の体内埋め込み型人工心臓システムに、フィルター8、整流回路9及びリセット回路10を付加することによって形成することができる。
【0016】
電力供給手段2は、駆動部7の駆動に必要な電力を交流電力として駆動側経路14に供給する手段であり、またリセットに必要な電流をリセット側経路13に供給する手段である。電力供給手段2としては、前記機能を有していれば特に制限はなく、公知の電力供給手段を使用することができ、例えば二次電池又は商業用電源に接続された直流電源による直流電力をパワーMOS−FET等の半導体素子によるスイッチングによって交流電力に変換する手段を挙げることができる。
【0017】
経皮的電力伝送手段3は、電力供給手段2により供給された交流電力を体内に伝送する手段である。経皮的電力伝送手段3は、前述のように送電部11及び受電部12から成り、送電部11は体外に設けられ、受電部12は体内に設けられる。
【0018】
経皮的電力伝送手段3としては、前記機能を有していれば特に制限はないが、通常は送電部11が体外コイルであり、受電部12が体内コイルであって、前記体外コイルと体内コイルとの間の電磁誘導作用により電力伝送を行う経皮トランスが採用される。このような経皮トランスにおいては、前記体外コイルと体内コイルとが皮膚を挟んで対向して設置され、電力供給手段2により供給された電力を前記体外コイルが前述のようにして体内コイルに伝送する。このことによって、駆動部7を駆動させるのに必要な電力及びリセットに必要な電流が体内に供給される。前記経皮トランスの種類としては、前記機能を確保することができれば特に制限はなく、例えば空心型経皮トランス、アモルファス磁性繊維線を用いた経皮トランス、ポットコア型経皮トランス及び体外結合型経皮トランスを挙げることができる。
【0019】
整流回路4は、経皮的電力伝送手段3の受電部12に接続され、経皮的電力伝送手段3により体内に供給された交流電力を直流電力に変換する。整流回路4としては、前記機能を有していれば特に制限はなく、公知の整流回路を使用することができる。
【0020】
体内エネルギー貯蔵手段5は、整流回路4に接続され、整流回路4から供給される直流電力を受けて、その電気エネルギーを蓄える手段であり、通常二次電池である。体内エネルギー貯蔵手段5は、体内埋め込み型人工心臓システム1の使用者が、その体外装置、すなわち電力供給手段2及び経皮的電力伝送手段3の送電部11を所定の部位から取り外したとき、又は体外装置が故障したときなどに、バックアップ電源としての役割を果たす。体内エネルギー貯蔵手段5として使用する二次電池としては、前記機能を有し、安全性等を確保することができれば特に制限はなく、例えばニッケルカドミウム二次電池、ニッケル水素二次電池及びリチウムイオン二次電池を挙げることができる。
【0021】
体内制御回路6は、体内エネルギー貯蔵手段5から直流電力が供給され、その直流電力に基づいて駆動部7の駆動を制御する回路である。体内制御回路6としては、駆動部7の駆動態様が所定の態様になるように制御することができれば特に制限はなく、従来の体内埋め込み型人工心臓システムに使用される体内制御回路と同様の体内制御回路を使用することができる。
【0022】
駆動部7は、人工心臓の本体を成す部分であり、血液を輸送する機能を有する。駆動部7は、制御回路6の制御に従って駆動する。駆動部7としては、人工心臓として機能を発揮することができる限り特に制限はなく、従来の体内埋め込み型人工心臓システムに使用される駆動部と同様の駆動部を使用することができる。駆動部7は、通常はアクチュエータ及び血液ポンプを有して成る。
【0023】
フィルター8は、経皮的電力伝送手段3の受電部12に接続される。フィルター8は、経皮的電力伝送手段3により体内に伝送された電流のうち、駆動部7の駆動のために供給される電流の周波数、すなわちスイッチング周波数の電流は通さないが、スイッチング周波数以外の電流を通すことのできるフィルターである。フィルター8を通過した電流は、整流回路9に供給される。
【0024】
フィルター8は、前記機能を有していればその種類には特に制限はなく、例えばスイッチング周波数よりも高い遮断周波数以上の周波数の電流のみを通過させるハイパスフィルターであってもよく、スイッチング周波数よりも低い遮断周波数以下の周波数の電流のみを通過させるローパスフィルターであってもよく、またスイッチング周波数を含まない周波数領域の電流のみを通過させる帯域フィルターであってもよい。
【0025】
例えば、前記スイッチング周波数が100kHzであるとする。フィルター8がハイパスフィルターである場合には、その遮断周波数を、スイッチング周波数である100kHzより高い周波数、例えば500kHzにする。すると電力供給手段2から経皮的電力伝送手段3の送電部11にスイッチング周波数の電流が供給され、受電部12がその電流を受けた場合に、その電流は、フィルター8を通過することができず、すべて整流回路4に流れる。電力供給手段2から経皮的電力伝送手段3の送電部11に前記遮断周波数以上の周波数、例えば1000kHzの電流が供給され、受電部12がその電流を受けた場合には、その電流は、フィルター8を通過することができ、その通過した電流は整流回路9に流れる。
【0026】
フィルター8がローパスフィルターである場合には、その遮断周波数を、スイッチング周波数である100kHzより低い周波数、例えば50kHzにする。すると電力供給手段2から経皮的電力伝送手段3の送電部11にスイッチング周波数の電流が供給され、受電部12がその電流を受けた場合に、その電流は、フィルター8を通過することができず、すべて整流回路4に流れる。電力供給手段2から経皮的電力伝送手段3の送電部11に前記遮断周波数以下の周波数、例えば20kHzの電流が供給され、受電部12がその電流を受けた場合には、その電流は、フィルター8を通過することができ、その通過した電流は整流回路9に流れる。
【0027】
フィルター8が通すことのできる電流の周波数は、前記要件が満たされる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜決定することができる。したがってフィルター8の前記遮断周波数も、目的に応じて適宜決定可能である。
【0028】
整流回路9は、フィルター8に接続され、フィルター8を通過した交流電力を直流電力に変換する。整流回路9としては、前記機能を有していれば特に制限はなく、公知の整流回路を使用することができる。
【0029】
リセット回路10は、整流回路9から直流電力が供給され、その直流電力に基づいて体内制御回路6をリセットする回路である。リセット回路10は、前記機能を有していればその構造に特に制限はなく、体内制御回路6の構造に応じて適宜その構造を決定することができる。
【0030】
体内埋め込み型人工心臓システム1を構成する前記要素のうち、体内に収容される経皮的電力伝送手段3の受電部12、整流回路4、体内エネルギー貯蔵手段5、制御回路6及び駆動部7の、体内における収容位置は、人工心臓として機能を発揮することができる限り特に制限はなく、従来の体内埋め込み型人工心臓システムに使用されるこれらの要素の収容位置と同様の位置にすることができる。体内埋め込み型人工心臓システム1を構成する前記要素のうち、体内に収容されるフィルター8、整流回路9及びリセット回路10の、体内における収容位置は、これらの要素の前記機能が確保される限り特に制限はなく、これらの要素以外の要素との相対的位置関係及び体内における収容可能スペース等を考慮して、適宜決定することができる。
【0031】
体内埋め込み型人工心臓システム1は、次のように作用する。
通常の人工心臓駆動時においては、電力供給手段2から経皮的電力伝送手段3の送電部11にスイッチング周波数の交流電流(以下、スイッチング交流電流ということがある)が供給される。前記スイッチング周波数は、体内埋め込み型人工心臓システム1の駆動部7を駆動させることができれば特に制限はないが、通常は約100kHzである。
【0032】
送電部11に供給されたスイッチング周波数の交流電流は、体内に収容された経皮的電力伝送手段3の受電部12に経皮的に伝送される。受電部12には整流回路4及びフィルター8が接続されているが、フィルター8は前述のように、スイッチング周波数の交流電流は通さないフィルターであるので、受電部12に伝送された前記交流電流は、フィルター8を通過することはなく、すべて整流回路4に流れる。
【0033】
整流回路4に供給された前記交流電流は、整流回路4で直流電流に変換される。その直流電流は、体内エネルギー貯蔵手段5に供給され、体内エネルギー貯蔵手段5に電気エネルギーが蓄えられる。体内エネルギー貯蔵手段5から体内制御回路6に直流電力が与えられる。そして体内制御回路6の制御の下に駆動部7が駆動して、人工心臓の機能が発揮される。
【0034】
以上のように、スイッチング周波数の交流電流が電力供給手段2から経皮的電力伝送手段3により体内に送られた場合には、その電流は専ら駆動部7の起動電力の供給に使用され、その電流がフィルター8を通過してリセット回路10に供給されることによって体内制御回路6がリセットされることはない。
【0035】
体内埋め込み型人工心臓システム1をリセットする場合には、フィルター8を通過することのできる周波数を有するリセット用の交流電流(以下、リセット用交流電流ということがある)が、電力供給手段2から経皮的電力伝送手段3の送電部11に供給される。
【0036】
例えばフィルター8がハイパスフィルターであり、その遮断周波数が500kHzである場合には、その遮断周波数以上の周波数、例えば1000kHzの電流が電力供給手段2から経皮的電力伝送手段3の送電部11に供給される。また例えばフィルター8がローパスフィルターであり、その遮断周波数が50kHzである場合には、その遮断周波数以下の周波数、例えば20kHzの電流が電力供給手段2から経皮的電力伝送手段3の送電部11に供給される。
【0037】
送電部11に供給されたそのような周波数の交流電流は、体内に収容された経皮的電力伝送手段3の受電部12に経皮的に伝送される。受電部12に伝送された前記周波数の交流電流は、前述のように受電部12に接続されたフィルター8を通過することができる。フィルター8を通過したその交流電流は、整流回路9に流れる。
【0038】
整流回路9に供給された前記交流電流は、整流回路4で直流電流に変換される。その直流電流は、リセット回路10に供給される。リセット回路10に接続される体内制御回路6は、リセット回路10の機能によりリセットされ、駆動部7は初期状態に戻される。
以上により体内埋め込み型人工心臓システム1のリセットが完了する。
【0039】
体内埋め込み型人工心臓システム1においては、電力供給手段2から経皮的電力伝送手段3にリセット用の電流を供給するだけでリセットをすることができるのでリセット操作がきわめて容易である。
【0040】
体内埋め込み型人工心臓システム1においては、フィルター8がスイッチング周波数の電流の通過を確実に阻止するので、人工心臓の通常の駆動中に、スイッチング交流電流がリセット側経路14に流通することにより、リセットの必要のないときに体内制御回路6が誤ってリセットされることはない。また体内埋め込み型人工心臓システム1においては、フィルター8がリセット用交流電流を確実に通過させるので、リセット用交流電流が経皮的電力伝送手段3に供給されれば確実にリセット用の電流がリセット側経路14に流れ、体内制御回路6がリセットされる。すなわち体内埋め込み型人工心臓システム1においては、誤作動のおそれがなく、必要なときにだけ確実にリセットを実施することができる。
【0041】
体内埋め込み型人工心臓システム1においては、リセット側経路14は、駆動側経路13とは独立に機能するので、例えば体内制御回路6が暴走した場合であっても、リセット側経路14が正常に機能する限り、体内制御回路6のリセットを行うことが可能である。
【0042】
体内埋め込み型人工心臓システム1をリセットする場合において、リセット用交流電流を経皮的電力伝送手段3の送電部11に供給する方法としては、リセット可能な電流がリセット回路10に供給される限り特に制限はなく、例えば前記スイッチング交流電流とともにリセット用交流電流を経皮的電力伝送手段3の送電部11に供給する方法であってもよく、前記スイッチング交流電流の周波数を変更してリセット用交流電流とし、そのリセット用交流電流のみを経皮的電力伝送手段3の送電部11に供給する方法でもあってもよい。
【0043】
リセット用電流の周波数は、リセット回路10によるリセット制御が可能である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜決定することができる。
【0044】
この発明に係る体内埋め込み型人工心臓システムの駆動側経路については、図1に示される駆動側経路13に制限されることはなく、この発明の目的を達成することができる限り駆動側経路13に対して適宜変更を加えることができる。例えば整流回路4で得られた直流電流は、体内エネルギー貯蔵手段5に送らず、直接体内制御回路6に供給するようにしてもよい。
【0045】
以上、この発明に係る体内埋め込み型機器システムを、体内埋め込み型人工心臓システムを例にして説明したが、この発明に係る体内埋め込み型機器システムは、経皮的電力伝送手段により体内に伝送された駆動電力を使用して体内制御回路に基づき体内駆動部を駆動させる体内埋め込み型機器システムであれば適用することが可能であり、体内埋め込み型人工心臓システム以外の体内埋め込み型人工臓器システム、例えば体内埋め込み型人工膵臓システムに適用することができる。
【0046】
この発明に係る体内埋め込み型機器システムのリセット方法は、従来の体内埋め込み型人工心臓システムに、前述のフィルター及びリセット回路を付加することにより行うことができる。この発明に係る体内埋め込み型機器システムのリセット方法は、具体的には、この発明に係る体内埋め込み型機器システムにおける前記説明に基づいて実施することができる。
【0047】
【発明の効果】
この発明に係る体内埋め込み型機器システム及び体内埋め込み型機器システムのリセット方法においては、経皮的電力伝送手段にリセット用の電流を供給するだけでリセットをすることができるのでリセット操作がきわめて容易である。
【0048】
この発明に係る体内埋め込み型機器システム及び体内埋め込み型機器システムのリセット方法においては、フィルター及びリセット回路の機能により、誤作動のおそれがなく、必要なときにだけ確実にリセットを実施することができる。
【0049】
この発明に係る体内埋め込み型機器システム及び体内埋め込み型機器システムのリセット方法においては、リセット側経路が駆動側経路とは独立に機能するので、体内制御回路が暴走した場合であっても、体内制御回路を確実にリセットすることができる。
【0050】
この発明に係る体内埋め込み型機器システムにおいては、従来の体内埋め込み型機器システムに前記フィルター及びリセット回路を付加するだけで製造することができるので、コスト的負担が小さい。この発明に係る体内埋め込み型機器システムのリセット方法においては、従来の体内埋め込み型機器システムに前記フィルター及びリセット回路を付加するだけで実施することができるので、コスト的負担が小さい。またこの発明に係る体内埋め込み型機器システム及び体内埋め込み型機器システムのリセット方法においては、前記の理由により、体内に埋め込む要素の重量及び体積の増加を最小限に止めることができるので、患者への負担が小さい。
【0051】
この発明に係る体内埋め込み型機器システムにおいては、前記リセット経路が機械的要素を有しないので、故障が少ない。この発明に係る体内埋め込み型機器システムのリセット方法においては、従来の体内埋め込み型機器システムに対して付加される前記リセット経路が機械的要素を有しないので、装置の故障が少なく、装置の故障による実施不能の危険性が低い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明に係る体内埋め込み型機器システムの一具体例である体内埋め込み型人工心臓システム1のブロックダイアグラムである。
【符号の説明】
1・・体内埋め込み型人工心臓システム、2・・電力供給手段、3・・経皮的電力伝送手段、4・・整流回路、5・・体内エネルギー貯蔵手段、6・・制御回路、7・・駆動部、8・・フィルター、9・・整流回路、10・・リセット回路、11・・送電部、12・・受電部、13・・駆動側経路、14・・リセット側経路
Claims (4)
- 経皮的電力伝送手段により体内に伝送された駆動電力を使用して体内制御回路に基づき体内駆動部を駆動させる体内埋め込み型機器システムにおいて、前記経皮的電力伝送手段により体内に伝送された電流のうち電磁誘導作用のためのスイッチング周波数の電流は通さないが、スイッチング周波数以外の電流を通すことのできるフィルターと、そのフィルターを通過した電流を受けて前記体内制御回路をリセットさせるリセット回路とを備えることを特徴とする体内埋め込み型機器システム。
- 体内埋め込み型人工臓器システムである前記請求項1に記載の体内埋め込み型機器システム。
- 経皮的電力伝送手段により体内に伝送された駆動電力を使用して体内制御回路に基づき体内駆動部を駆動させる体内埋め込み型機器システムに、経皮的電力伝送手段における電磁誘導作用のためのスイッチング周波数の電流は通さないが、スイッチング周波数以外の電流を通すことのできるフィルターと、前記体内制御回路をリセットさせるリセット回路とを設け、前記フィルターを通過する電流を前記経皮的電力伝送手段により体内に伝送し、前記フィルターを通過した電流を前記リセット回路に供給することにより前記体内制御回路をリセットすることを特徴とする体内埋め込み型機器システムのリセット方法。
- 前記体内埋め込み型機器システムは、体内埋め込み型人工臓器システムである前記請求項3に記載の体内埋め込み型機器システムのリセット方法。
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2002
- 2002-08-22 JP JP2002242628A patent/JP2004081247A/ja active Pending
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