JP2004080231A - 平板型スピーカ - Google Patents
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Abstract
【課題】振動板に皺が形成されるのを防止することにより、音質を良好なものに改善したスピーカを提供する。
【解決手段】振動板2と対向板3の双方にパターン形状が連続パルス状の第1の導体2Aと第2の導体3Aを形成し、第2の導体3Aに電流発生手段4から所定の直流電流を与え、第1の導体2Aに音声信号Vsを与える。第1の導体2Aと第2の導体3A間では引力および斥力が発生して振動板2から音が発生する。また振動板2上の導線2A間には斥力が作用するため、振動板2に皺が形成されるのを防止できるため、音質を良好なものに改善できる。また振動板2として透明フィルムを、および導体としてITOを使用すると透明なスピーカとすることができ、ディスプレイ装置の表面などに設置することが可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】振動板2と対向板3の双方にパターン形状が連続パルス状の第1の導体2Aと第2の導体3Aを形成し、第2の導体3Aに電流発生手段4から所定の直流電流を与え、第1の導体2Aに音声信号Vsを与える。第1の導体2Aと第2の導体3A間では引力および斥力が発生して振動板2から音が発生する。また振動板2上の導線2A間には斥力が作用するため、振動板2に皺が形成されるのを防止できるため、音質を良好なものに改善できる。また振動板2として透明フィルムを、および導体としてITOを使用すると透明なスピーカとすることができ、ディスプレイ装置の表面などに設置することが可能となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平面板を振動板に用いた平板型スピーカに係わり、特に良好な音質を得ることができるとともにディスプレイ装置などの表面に設けることも可能とした平板型スピーカに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の平板型スピーカとしては、例えば特開平10−276497号公報などに記載されたものが存在する。
【0003】
前記公報に記載された平板型スピーカは、表面に平面渦巻きコイル状の導線パターンが形成された振動板と、同一形状の導線パターンが形成された固定板とを対向させた構造となっておいる。前記固定板側の導線パターンに直流電流を与えながら振動板側の導線パターンに音声信号を与えると、前記音声信号の電流の方向に応じて互いの導線間に引力および斥力が発生する。これにより、前記振動板が上下方向に振動させられて発音が生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記公報に記載された平板型スピーカは、振動板に導線を平面渦巻きコイル状に形成したものであるが、前記導線パターンでは隣り合う導線間に常に同一方向の電流が流れるため、同一平面上で隣り合う導線間に常に引力が作用している。このため、振動板を薄膜フィルムなどで形成すると、振動中(発音中)にフィルムに皺が形成され、良好な音質を得難いものとなっていた。
【0005】
また導線パターンを平面渦巻き状とする場合には、渦巻きの中心と外部とを連結する引出し用の導線が前記渦巻きを形成する導線と接触しないようにする必要があるが、そのためには前記引出し用の導線を渦巻きが形成されている面とは反対側の面(裏面)に形成するとともに、振動板の中心に穴を穿設して渦巻きの中心と前記引出し用の導線とを連結する必要がある。したがって、振動板の表裏両面に導線パターンを形成する必要が生じるため、それだけ導線パターンを形成する工程が煩雑になるという問題もある。
【0006】
さらに振動板を透明化することができれば、ディスプレイ装置に重ねた状態でスピーカを配置することが可能となり、機器本体内のスピーカ専用のスペースを不要とすることが可能となる。
【0007】
しかし、上記公報に記載されたスピーカは、ジルコニアなどからなるセラミック平面板、または表面にSiO2、SiN、プラスチックなどからなる絶縁膜が形成された金属箔などからなる振動板の表面に、銅、アルミニウムなどの金属を蒸着等の手段を用いて渦巻きコイルを形成した構成であり、振動板は透明ではなかった。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、簡単な構成で良好な音質を得ることができるよにした平板型スピーカを提供することを目的としている。
【0009】
また本発明は、振動板を透明化することにより、スピーカ専用のスペースを不要にできるようにした平板型スピーカを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、表面に所定のパターン形状からなる第1の導線が形成された振動板と、前記第1の導線と同一のパターン形状からなる第2の導線が形成された前記振動板に対向する対向板と、前記第1の導線と第2の導線のいずれか一方の導線に所定の直流電流を与える電流供給手段とが設けられ、他方の導線に音声信号を与えることにより音が発生する平板型スピーカにおいて、
前記第1および第2の導線のパターン形状が、複数の凹凸を交互に繰り返す連続パルス状に形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
この場合、前記振動板と対向板に対し垂直にする方向から前記振動板と対向板を見たときに、前記第1の導線と第2の導線とが重なり合うものが好ましい。
【0012】
本発明では、振動板にパルス状に形成された導線間に斥力を発生させることができるため、振動板に皺が形成されるのを防止できる。よって、スピーカの音質を良好なものに改善することができる。
【0013】
また導線は一方の平面にのみ形成するだけでよく、両面に形成する必要がなくなるため、導線を形成する工程を容易とすることができる。
【0014】
また前記対向板が、振動板および対向板を支持する支持部材の一部で形成されているものである。
【0015】
上記構成では対向板側が振動しないため、音がスピーカの前面からのみ生じる一方向性のスピーカとすることができる。
【0016】
あるいは、前記対向板が、振動自在に支持されている請求項1記載の平板型スピーカ。
【0017】
上記構成では、振動板と対向板の双方の振動が可能となるため、スピーカの両面から音を発する双方向スピーカとすることができる。
【0018】
さらに前記振動板と対向板が透明なフィルム又は部材で形成され、且つ前記第1および第2の導線がITOで形成されているものにでき、この場合には、ディスプレイ装置の表面に前記振動板および対向板が設けることができる。
【0019】
上記構成では、ディスプレイ装置の表面から音を発生させることができる。スピーカをディスプレイ装置の表面に設ける場合には、上記一方向性のスピーカが好ましいが、対向板である支持部材を透明とすればよく、例えばディスプレイ装置の最も外側に設けられるガラス基板を前記対向板として利用することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態を示す平板型スピーカの構成を示す斜視図、図2は第1の実施の形態として図1のII−II線に相当する断面図である。また図3は第2の実施の形態として双方向スピーカを示す図2同様の断面図、図4は第3の実施の形態として双方向スピーカを示す図2同様の断面図である。
【0021】
図1に示す平板型スピーカ1は、図示しない支持部材の内部に振動板2と対向板3とを平行に対向させた状態で設けらている。前記振動板2は、例えばポリエチレン、PET、ポリエステルなどの薄い透明フィルムで形成されている。振動板2のXおよびY方向の側部は前記支持部材に保持され、振動板2は図示Z1−Z2方向である上下方向に自在に振動可能である。
【0022】
前記対向板3はスピーカの特性によって異なる。すなわち、図2に示すように音を一方向(Z1方向)に発生させる指向性重視の一方向性のスピーカである場合には前記対向板3は支持部材5の一部(内面)を利用できる。一方、図3又は図4に示すように、音を振動板の両面方向(Z1およびZ2方向)に発生させる双方向スピーカである場合には前記対向板3は前記振動板2と同様のフィルムで形成されている。
【0023】
図1に示すように、前記振動板2と対向板3には、同一のパターン形状からなる第1の導線2Aと第2の導線3Aが形成されている。
【0024】
前記第1の導線2Aは、前記透明フィルムからなる振動板2の裏面(図示Z2側の面)に対し蒸着、スパッタまたは印刷などの手段で形成されている。前記第1の導線2Aは銅やアルミニウムなどの導体で形成することが可能である。ただし、透明電極を形成するITOなどの酸化物で第1の導線2Aを形成すると、前記第1の導線2Aを有する振動板2全体を透明にできる。
【0025】
図1に示すように、前記第1の導線2Aのパターン形状は複数の凹凸を交互に繰り返す連続パルス状であり、図示Y1およびY2には略U字形状に形成された複数の折り返し部2a,2a,2a…と折り返し部2b,2b,2b…を有している。また一方の折り返し部2aと他方の折り返し部2bとの間には直線部2c,2c,2c,…を有しているが、前記直線部2c,2c,2c,…どうしは全て平行である。前記第1の導線2Aの始点2dと終点2eには前記振動板2の外部に延びる引き出し線が設けられており、この間に音声信号Vsが与えられる。
【0026】
一方、前記対向板3の表面には、前記第1の導線2Aと同一の連続パルス状の第2の導線3Aが形成されており、この第2の導線3Aは前記第1の導線2A同様の複数の折り返し部3a,3a,3a…および折り返し部3b,3b,3b…と直線部3c,3c,3c,…を有している。また前記第2の導線3Aの始点3dと終点3eとの間には所定の直流電流を与える電流供給手段4が接続されている。
【0027】
前記第1の導線2Aと第2の導線3Aは、前記振動板2および対向板3に垂直に交叉する図示Z方向から見ると互いに重なり合うとともに、前記第1の導線2A上の任意の一点とそれに対応する第2の導線3A上の点の距離は全て等しい。
【0028】
上記振動板2および対向板3では、第1の導線2Aおよび第2の導線3Aを一方の面のみに形成すればよく、従来のように両面に形成する必要がない。よって、蒸着、スパッタあるいは印刷等の手段を用いて行われる導線を形成する工程を容易にできる。
【0029】
図2の第1の実施の形態に示す一方向性のスピーカでは、前記対向板3の第2の導線3Aに所定の直流電流を与えた状態で、前記第1の導線2Aに音声信号Vsが与えられる。このとき、前記振動板2と対向板3との間では、第2の導線3Aに流れる電流が作り出す磁界と第1の導線2Aに流れる音声信号Vsによる電流とによって、前記第1の導線2Aにはフレミングの左手の法則に従う電磁力が発生する。この電磁力の向きは音声信号Vsの電流の向きに従うものであり、第1の導線2Aと第2の導線3Aに流れる電流の向きが同一方向であれば互いに引き合う引力f1となり、電流の向きが互いに逆方向であるときには互いに反発しあう斥力f2となって作用する。よって、図2では振動板2のみが音声信号Vsに応じて図示上下方向(Z1およびZ2方向)に振動するため、振動板2から音声信号Vsに応じた音を図示Z1方向に発生させることができる。
【0030】
また音声信号Vsの電流の方向を問わず、振動板2の同一平面上で隣り合う直線部2c,2c間では、互いに逆方向の電流が流れる。すなわち、前記隣り合う直線部2c,2c間には互いに反発しあう斥力が発生するため、前記振動板2に皺が形成されなくなる。よって、振動板2の音質を良好なものに改善することができる。
【0031】
次に、図3の第2の実施の形態に示す双方向性のスピーカでは、対向板3がフィルムで形成されているために振動板として機能する。よって、振動板2側の第1の導線2Aに音声信号Vsを与え、対向板3側の第2の導線3Aに所定の直流を与えると、前記第1の導線2Aと第2の導線3Aの間に作用する引力f1および斥力f2により前記対向板3が振動板2と逆方向に振動する。すなわち、両導線間に引力f1が作用して振動板2がZ2方向に振動するときには対向板3は図示Z1方向に振動する。また両導線間に斥力f2が作用して振動板2がZ1方向に振動するときには対向板3は図示Z2方向に振動する。よって、音声信号Vsに応じた音を、平板型スピーカ1の両面から上下方向(Z1およびZ2方向)に発生させることができる。
【0032】
次に、図4の第2の実施の形態に示す双方向スピーカでは、対向板3が上記同様のフィルムで形成されているとともに、前記振動板2と対向板3との間には容易に変形し難いガラス基板などで形成された支持板6が設けられている。前記支持板6は、前記振動板2と対向板3の双方に対し平行に設けられているとともに、その一方の面には前記第1の導体2Aおよび第2の導体3Aと同一のパターン形状の第3の導体6Aが形成されている。前記第1の導体2A、第2の導体3Aおよび第3の導体6Aは、各面に垂直に交叉する図示Z方向から見ると重なり合っている。
【0033】
図4に示すスピーカでは、前記第3の導体6Aに所定の直流電流が与えられ、第1の導体2Aと第2の導体3Aに音声信号Vsが与えられている。あるいはその逆に、前記第3の導体6Aに所定の音声信号Vsを与え、第1の導体2Aと第2の導体3Aに直流電流を与えるものであってもよい。
【0034】
前記振動板2と支持板6との間では、第1の導線2Aと第3の導線6Aとの間に作用する引力f1および斥力f2で振動板2が振動させられ、対向板3と支持板6との間では、第2の導線3Aと第3の導線6Aとの間に作用する引力f1および斥力f2で対向板3が振動させられるが、前記振動板2と対向板3の振動方向は互いに逆向きである。
【0035】
よって、この実施の形態においても、音声信号Vsに応じた音声を、平板型スピーカ1の両面から上下方向(Z1およびZ2方向)に発生させることができる。
【0036】
ただし、図3に示すものでは第1の振動板2と第2の対向板3の双方が振動すると互いの対向距離が変化するが、前記フレミングの法則に従う引力および斥力は導線間の距離に反比例するため、前記対向距離が接近した状態にある場合と離間した状態にある場合とでは、発生する引力f1および斥力f2の差が大きく音質に悪影響を与えることが考えられる。
【0037】
一方、図4に示すものでは第3の導線6Aを有する支持板6は振動せず、常に第1の振動板2と第2の対向板3の中間に位置する。よって、実質的には図2に示す一方向性のスピーカを背中合わせに接合して双方向性のスピーカにしたことと同じであり、発生する引力f1および斥力f2の差を小さくできるため、音質に与える悪影響を小さくできる。
【0038】
上記第1の実施の形態では振動板2に透明フィルムを使用し、第2の実施の形態では振動板2と対向板3の双方に透明フィルムを使用し且つ第1の導体2Aおよび第2の導体3AにITOを使用することで、平板型スピーカ1全体を透明化することができる。また第3の実施の形態では、さらに加えて支持板6にも透明なガラス基板を使用することで平板型スピーカ1全体を透明化することができる。
【0039】
このため、例えば携帯電話やTVなどのディスプレイ装置の表面に前記透明化された平板型スピーカ1を取り付けることが可能となる。この場合、ディスプレイ装置の表面から音を発生させることができる。
【0040】
よって、新たにスピーカを設ける必要がなくなるため、例えば携帯電話機などでは本体の小型化を促進できるようになる。あるいはさらに大きな面積のディスプレイ装置を採用することが可能となる。
【0041】
しかも、上記平板型スピーカは、ボイスコイル型スピーカのようにコイル、ボビン、磁石などを必要としないため、部品点数も削減できる。さらに振動板2と対向板3との対向距離を縮めること、ディスプレイ装置の表面に配置した場合であっても機器本体を薄型化することが可能である。
【0042】
なお、上記第1および第2の実施の形態では、第1の導体に音声信号を与え、第2の導体に直流電流を与えた場合について説明したが、第1の導体に直流電流を与え、第2の導体に音声信号を与えるものであってもよい。
【0043】
【発明の効果】
以上のように本発明では、振動板の表面に形成された導体間に斥力を発生させることができるため、振動板の皺が形成されるのを防止でき、スピーカの音質を向上させることができる。
【0044】
またディスプレイ装置の表面にスピーカを設けることが可能となり、スピーカ専用のスペースを不要にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す平板型スピーカの構成を示す斜視図、
【図2】第1の実施の形態として図1のII−II線に相当する断面図、
【図3】第2の実施の形態として双方向スピーカを示す図2同様の断面図、
【図4】第3の実施の形態として双方向スピーカを示す図2同様の断面図、
【符号の説明】
1 平板型スピーカ
2 振動板
3 対向板
2A 第1の導体
3A 第2の導体
4 電流供給手段
6 支持板
6A 第3の導体
Vs 音声信号
【発明の属する技術分野】
本発明は、平面板を振動板に用いた平板型スピーカに係わり、特に良好な音質を得ることができるとともにディスプレイ装置などの表面に設けることも可能とした平板型スピーカに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の平板型スピーカとしては、例えば特開平10−276497号公報などに記載されたものが存在する。
【0003】
前記公報に記載された平板型スピーカは、表面に平面渦巻きコイル状の導線パターンが形成された振動板と、同一形状の導線パターンが形成された固定板とを対向させた構造となっておいる。前記固定板側の導線パターンに直流電流を与えながら振動板側の導線パターンに音声信号を与えると、前記音声信号の電流の方向に応じて互いの導線間に引力および斥力が発生する。これにより、前記振動板が上下方向に振動させられて発音が生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記公報に記載された平板型スピーカは、振動板に導線を平面渦巻きコイル状に形成したものであるが、前記導線パターンでは隣り合う導線間に常に同一方向の電流が流れるため、同一平面上で隣り合う導線間に常に引力が作用している。このため、振動板を薄膜フィルムなどで形成すると、振動中(発音中)にフィルムに皺が形成され、良好な音質を得難いものとなっていた。
【0005】
また導線パターンを平面渦巻き状とする場合には、渦巻きの中心と外部とを連結する引出し用の導線が前記渦巻きを形成する導線と接触しないようにする必要があるが、そのためには前記引出し用の導線を渦巻きが形成されている面とは反対側の面(裏面)に形成するとともに、振動板の中心に穴を穿設して渦巻きの中心と前記引出し用の導線とを連結する必要がある。したがって、振動板の表裏両面に導線パターンを形成する必要が生じるため、それだけ導線パターンを形成する工程が煩雑になるという問題もある。
【0006】
さらに振動板を透明化することができれば、ディスプレイ装置に重ねた状態でスピーカを配置することが可能となり、機器本体内のスピーカ専用のスペースを不要とすることが可能となる。
【0007】
しかし、上記公報に記載されたスピーカは、ジルコニアなどからなるセラミック平面板、または表面にSiO2、SiN、プラスチックなどからなる絶縁膜が形成された金属箔などからなる振動板の表面に、銅、アルミニウムなどの金属を蒸着等の手段を用いて渦巻きコイルを形成した構成であり、振動板は透明ではなかった。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、簡単な構成で良好な音質を得ることができるよにした平板型スピーカを提供することを目的としている。
【0009】
また本発明は、振動板を透明化することにより、スピーカ専用のスペースを不要にできるようにした平板型スピーカを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、表面に所定のパターン形状からなる第1の導線が形成された振動板と、前記第1の導線と同一のパターン形状からなる第2の導線が形成された前記振動板に対向する対向板と、前記第1の導線と第2の導線のいずれか一方の導線に所定の直流電流を与える電流供給手段とが設けられ、他方の導線に音声信号を与えることにより音が発生する平板型スピーカにおいて、
前記第1および第2の導線のパターン形状が、複数の凹凸を交互に繰り返す連続パルス状に形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
この場合、前記振動板と対向板に対し垂直にする方向から前記振動板と対向板を見たときに、前記第1の導線と第2の導線とが重なり合うものが好ましい。
【0012】
本発明では、振動板にパルス状に形成された導線間に斥力を発生させることができるため、振動板に皺が形成されるのを防止できる。よって、スピーカの音質を良好なものに改善することができる。
【0013】
また導線は一方の平面にのみ形成するだけでよく、両面に形成する必要がなくなるため、導線を形成する工程を容易とすることができる。
【0014】
また前記対向板が、振動板および対向板を支持する支持部材の一部で形成されているものである。
【0015】
上記構成では対向板側が振動しないため、音がスピーカの前面からのみ生じる一方向性のスピーカとすることができる。
【0016】
あるいは、前記対向板が、振動自在に支持されている請求項1記載の平板型スピーカ。
【0017】
上記構成では、振動板と対向板の双方の振動が可能となるため、スピーカの両面から音を発する双方向スピーカとすることができる。
【0018】
さらに前記振動板と対向板が透明なフィルム又は部材で形成され、且つ前記第1および第2の導線がITOで形成されているものにでき、この場合には、ディスプレイ装置の表面に前記振動板および対向板が設けることができる。
【0019】
上記構成では、ディスプレイ装置の表面から音を発生させることができる。スピーカをディスプレイ装置の表面に設ける場合には、上記一方向性のスピーカが好ましいが、対向板である支持部材を透明とすればよく、例えばディスプレイ装置の最も外側に設けられるガラス基板を前記対向板として利用することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態を示す平板型スピーカの構成を示す斜視図、図2は第1の実施の形態として図1のII−II線に相当する断面図である。また図3は第2の実施の形態として双方向スピーカを示す図2同様の断面図、図4は第3の実施の形態として双方向スピーカを示す図2同様の断面図である。
【0021】
図1に示す平板型スピーカ1は、図示しない支持部材の内部に振動板2と対向板3とを平行に対向させた状態で設けらている。前記振動板2は、例えばポリエチレン、PET、ポリエステルなどの薄い透明フィルムで形成されている。振動板2のXおよびY方向の側部は前記支持部材に保持され、振動板2は図示Z1−Z2方向である上下方向に自在に振動可能である。
【0022】
前記対向板3はスピーカの特性によって異なる。すなわち、図2に示すように音を一方向(Z1方向)に発生させる指向性重視の一方向性のスピーカである場合には前記対向板3は支持部材5の一部(内面)を利用できる。一方、図3又は図4に示すように、音を振動板の両面方向(Z1およびZ2方向)に発生させる双方向スピーカである場合には前記対向板3は前記振動板2と同様のフィルムで形成されている。
【0023】
図1に示すように、前記振動板2と対向板3には、同一のパターン形状からなる第1の導線2Aと第2の導線3Aが形成されている。
【0024】
前記第1の導線2Aは、前記透明フィルムからなる振動板2の裏面(図示Z2側の面)に対し蒸着、スパッタまたは印刷などの手段で形成されている。前記第1の導線2Aは銅やアルミニウムなどの導体で形成することが可能である。ただし、透明電極を形成するITOなどの酸化物で第1の導線2Aを形成すると、前記第1の導線2Aを有する振動板2全体を透明にできる。
【0025】
図1に示すように、前記第1の導線2Aのパターン形状は複数の凹凸を交互に繰り返す連続パルス状であり、図示Y1およびY2には略U字形状に形成された複数の折り返し部2a,2a,2a…と折り返し部2b,2b,2b…を有している。また一方の折り返し部2aと他方の折り返し部2bとの間には直線部2c,2c,2c,…を有しているが、前記直線部2c,2c,2c,…どうしは全て平行である。前記第1の導線2Aの始点2dと終点2eには前記振動板2の外部に延びる引き出し線が設けられており、この間に音声信号Vsが与えられる。
【0026】
一方、前記対向板3の表面には、前記第1の導線2Aと同一の連続パルス状の第2の導線3Aが形成されており、この第2の導線3Aは前記第1の導線2A同様の複数の折り返し部3a,3a,3a…および折り返し部3b,3b,3b…と直線部3c,3c,3c,…を有している。また前記第2の導線3Aの始点3dと終点3eとの間には所定の直流電流を与える電流供給手段4が接続されている。
【0027】
前記第1の導線2Aと第2の導線3Aは、前記振動板2および対向板3に垂直に交叉する図示Z方向から見ると互いに重なり合うとともに、前記第1の導線2A上の任意の一点とそれに対応する第2の導線3A上の点の距離は全て等しい。
【0028】
上記振動板2および対向板3では、第1の導線2Aおよび第2の導線3Aを一方の面のみに形成すればよく、従来のように両面に形成する必要がない。よって、蒸着、スパッタあるいは印刷等の手段を用いて行われる導線を形成する工程を容易にできる。
【0029】
図2の第1の実施の形態に示す一方向性のスピーカでは、前記対向板3の第2の導線3Aに所定の直流電流を与えた状態で、前記第1の導線2Aに音声信号Vsが与えられる。このとき、前記振動板2と対向板3との間では、第2の導線3Aに流れる電流が作り出す磁界と第1の導線2Aに流れる音声信号Vsによる電流とによって、前記第1の導線2Aにはフレミングの左手の法則に従う電磁力が発生する。この電磁力の向きは音声信号Vsの電流の向きに従うものであり、第1の導線2Aと第2の導線3Aに流れる電流の向きが同一方向であれば互いに引き合う引力f1となり、電流の向きが互いに逆方向であるときには互いに反発しあう斥力f2となって作用する。よって、図2では振動板2のみが音声信号Vsに応じて図示上下方向(Z1およびZ2方向)に振動するため、振動板2から音声信号Vsに応じた音を図示Z1方向に発生させることができる。
【0030】
また音声信号Vsの電流の方向を問わず、振動板2の同一平面上で隣り合う直線部2c,2c間では、互いに逆方向の電流が流れる。すなわち、前記隣り合う直線部2c,2c間には互いに反発しあう斥力が発生するため、前記振動板2に皺が形成されなくなる。よって、振動板2の音質を良好なものに改善することができる。
【0031】
次に、図3の第2の実施の形態に示す双方向性のスピーカでは、対向板3がフィルムで形成されているために振動板として機能する。よって、振動板2側の第1の導線2Aに音声信号Vsを与え、対向板3側の第2の導線3Aに所定の直流を与えると、前記第1の導線2Aと第2の導線3Aの間に作用する引力f1および斥力f2により前記対向板3が振動板2と逆方向に振動する。すなわち、両導線間に引力f1が作用して振動板2がZ2方向に振動するときには対向板3は図示Z1方向に振動する。また両導線間に斥力f2が作用して振動板2がZ1方向に振動するときには対向板3は図示Z2方向に振動する。よって、音声信号Vsに応じた音を、平板型スピーカ1の両面から上下方向(Z1およびZ2方向)に発生させることができる。
【0032】
次に、図4の第2の実施の形態に示す双方向スピーカでは、対向板3が上記同様のフィルムで形成されているとともに、前記振動板2と対向板3との間には容易に変形し難いガラス基板などで形成された支持板6が設けられている。前記支持板6は、前記振動板2と対向板3の双方に対し平行に設けられているとともに、その一方の面には前記第1の導体2Aおよび第2の導体3Aと同一のパターン形状の第3の導体6Aが形成されている。前記第1の導体2A、第2の導体3Aおよび第3の導体6Aは、各面に垂直に交叉する図示Z方向から見ると重なり合っている。
【0033】
図4に示すスピーカでは、前記第3の導体6Aに所定の直流電流が与えられ、第1の導体2Aと第2の導体3Aに音声信号Vsが与えられている。あるいはその逆に、前記第3の導体6Aに所定の音声信号Vsを与え、第1の導体2Aと第2の導体3Aに直流電流を与えるものであってもよい。
【0034】
前記振動板2と支持板6との間では、第1の導線2Aと第3の導線6Aとの間に作用する引力f1および斥力f2で振動板2が振動させられ、対向板3と支持板6との間では、第2の導線3Aと第3の導線6Aとの間に作用する引力f1および斥力f2で対向板3が振動させられるが、前記振動板2と対向板3の振動方向は互いに逆向きである。
【0035】
よって、この実施の形態においても、音声信号Vsに応じた音声を、平板型スピーカ1の両面から上下方向(Z1およびZ2方向)に発生させることができる。
【0036】
ただし、図3に示すものでは第1の振動板2と第2の対向板3の双方が振動すると互いの対向距離が変化するが、前記フレミングの法則に従う引力および斥力は導線間の距離に反比例するため、前記対向距離が接近した状態にある場合と離間した状態にある場合とでは、発生する引力f1および斥力f2の差が大きく音質に悪影響を与えることが考えられる。
【0037】
一方、図4に示すものでは第3の導線6Aを有する支持板6は振動せず、常に第1の振動板2と第2の対向板3の中間に位置する。よって、実質的には図2に示す一方向性のスピーカを背中合わせに接合して双方向性のスピーカにしたことと同じであり、発生する引力f1および斥力f2の差を小さくできるため、音質に与える悪影響を小さくできる。
【0038】
上記第1の実施の形態では振動板2に透明フィルムを使用し、第2の実施の形態では振動板2と対向板3の双方に透明フィルムを使用し且つ第1の導体2Aおよび第2の導体3AにITOを使用することで、平板型スピーカ1全体を透明化することができる。また第3の実施の形態では、さらに加えて支持板6にも透明なガラス基板を使用することで平板型スピーカ1全体を透明化することができる。
【0039】
このため、例えば携帯電話やTVなどのディスプレイ装置の表面に前記透明化された平板型スピーカ1を取り付けることが可能となる。この場合、ディスプレイ装置の表面から音を発生させることができる。
【0040】
よって、新たにスピーカを設ける必要がなくなるため、例えば携帯電話機などでは本体の小型化を促進できるようになる。あるいはさらに大きな面積のディスプレイ装置を採用することが可能となる。
【0041】
しかも、上記平板型スピーカは、ボイスコイル型スピーカのようにコイル、ボビン、磁石などを必要としないため、部品点数も削減できる。さらに振動板2と対向板3との対向距離を縮めること、ディスプレイ装置の表面に配置した場合であっても機器本体を薄型化することが可能である。
【0042】
なお、上記第1および第2の実施の形態では、第1の導体に音声信号を与え、第2の導体に直流電流を与えた場合について説明したが、第1の導体に直流電流を与え、第2の導体に音声信号を与えるものであってもよい。
【0043】
【発明の効果】
以上のように本発明では、振動板の表面に形成された導体間に斥力を発生させることができるため、振動板の皺が形成されるのを防止でき、スピーカの音質を向上させることができる。
【0044】
またディスプレイ装置の表面にスピーカを設けることが可能となり、スピーカ専用のスペースを不要にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す平板型スピーカの構成を示す斜視図、
【図2】第1の実施の形態として図1のII−II線に相当する断面図、
【図3】第2の実施の形態として双方向スピーカを示す図2同様の断面図、
【図4】第3の実施の形態として双方向スピーカを示す図2同様の断面図、
【符号の説明】
1 平板型スピーカ
2 振動板
3 対向板
2A 第1の導体
3A 第2の導体
4 電流供給手段
6 支持板
6A 第3の導体
Vs 音声信号
Claims (6)
- 表面に所定のパターン形状からなる第1の導線が形成された振動板と、前記第1の導線と同一のパターン形状からなる第2の導線が形成された前記振動板に対向する対向板と、前記第1の導線と第2の導線のいずれか一方の導線に所定の直流電流を与える電流供給手段とが設けられ、他方の導線に音声信号を与えることにより音が発生する平板型スピーカにおいて、
前記第1および第2の導線のパターン形状が、複数の凹凸を交互に繰り返す連続パルス状に形成されていることを特徴とする平板型スピーカ。 - 前記振動板と対向板に対し垂直に交叉する方向から前記振動板と対向板を見たときに、前記第1の導線と第2の導線とが重なり合うものである請求項1記載の平板型スピーカ。
- 前記対向板が、振動板および対向板を支持する支持部材の一部で形成されている請求項1または2記載の平板型スピーカ。
- 前記対向板が、振動自在に支持されている請求項1記載の平板型スピーカ。
- 前記振動板と対向板が透明な部材で形成され、且つ前記第1および第2の導線がITOで形成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の平板型スピーカ。
- ディスプレイ装置の表面に前記振動板および対向板が設けられている請求項5記載の平板型スピーカ。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002236215A JP2004080231A (ja) | 2002-08-14 | 2002-08-14 | 平板型スピーカ |
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JP2002236215A JP2004080231A (ja) | 2002-08-14 | 2002-08-14 | 平板型スピーカ |
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JP2002236215A Withdrawn JP2004080231A (ja) | 2002-08-14 | 2002-08-14 | 平板型スピーカ |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101012617B1 (ko) | 2008-12-04 | 2011-02-09 | 한국과학기술원 | 음향변환소자 및 그 제조방법과 이를 갖는 음향기기 |
KR101131002B1 (ko) * | 2004-06-18 | 2012-03-28 | 엘지디스플레이 주식회사 | 휴대용 멀티미디어 장치 |
WO2013066674A1 (en) * | 2011-10-31 | 2013-05-10 | Galliher Scot C | Methods for tensioning a membrane and apparatuses thereof |
-
2002
- 2002-08-14 JP JP2002236215A patent/JP2004080231A/ja not_active Withdrawn
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