JP2004080217A - ネットワーク間接続方法、仮想ネットワーク間接続装置およびネットワーク間接続システム - Google Patents
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Abstract
【課題】障害からの復旧時にVRRPパケットの受信処理を確実に行い、データのトラフィック量の増大を防ぐこと。
【解決手段】同一のネットワーク内に接続され、VRRPを用いてマスタとバックアップの関係に設定されるとともに、互いに接続されたインターフェースの代替用ポート10c,11cを有する複数のルータ10,11によって構築され、経路上の障害時に前記代替用ポートを介して入力するパケットの転送を行う仮想ネットワーク間接続装置において、物理ポートで送受信されるVRRPパケットとは別に、代替用ポートを介して送受信されるVRRPパケットをの有無をIP処理部22で監視し、VRRPパケットが受信できない場合に、代替用ポートを介したパケットの中継を停止させる。
【選択図】 図1
【解決手段】同一のネットワーク内に接続され、VRRPを用いてマスタとバックアップの関係に設定されるとともに、互いに接続されたインターフェースの代替用ポート10c,11cを有する複数のルータ10,11によって構築され、経路上の障害時に前記代替用ポートを介して入力するパケットの転送を行う仮想ネットワーク間接続装置において、物理ポートで送受信されるVRRPパケットとは別に、代替用ポートを介して送受信されるVRRPパケットをの有無をIP処理部22で監視し、VRRPパケットが受信できない場合に、代替用ポートを介したパケットの中継を停止させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、冗長性を確保することができるVRRP(Virtual Router Redundancy Protocol:RFC2338)を用いたネットワーク間接続方法、仮想ネットワーク間接続装置およびネットワーク間接続システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、このRFC2338の非特許文献1に示すように、このVRRPは、デフォルトルータによるデフォルトルートの設定のみを頼りにして動作するホスト装置を助けるために作られたプロトコルであり、同一ネットワーク上に設置されている複数台のネットワーク間接続装置(ルータ)を組み合わせ、ルータ同士の負荷分散およびバックアップ機能を実現するものである。すなわち、このVRRPは、グループ化された複数台のルータを、ネットワーク上に設置されたノード(例えばホスト装置や他のルータ)から一台の仮想ルータとして認識できるようにするものである。
【0003】
このようなグループ化されたルータは、インターフェースで設定された優先度やIPアドレスオーナーであるかなどを基準にして、それぞれマスタルータ(仮想ルータ)とバックアップルータが決定されており、VRID(VirtualRouter Identifier)毎にIPアドレスが設定され、該当VRIDのマスタルータのみがそのIPアドレスを用いて実際にパケットの中継処理を行っている。なお、このIPアドレスは、ルータ自身に設定されているIPアドレスとは別の仮想ルータとしてのIPアドレスである。
【0004】
マスタルータは、広告(Advertisement)パケットをLAN上に定期的に送信することによって正常に動作していることをバックアップルータに通知している。バックアップルータは、広告パケットを受信することによってマスタルータが動作していることを確認し、この確認ができている間はスタンバイ状態を維持する。また、バックアップルータは、一定時間に広告パケットを受信できなかった場合には、マスタルータや回線などに異常が生じ、経路上に障害が発生したと判断して、マスタルータに遷移してパケットの中継処理を行っている。
【0005】
図15は、VRRPを用いた仮想ルータの従来のシステム構成の概念を示す構成図の一例である。図において、ルータ10は、図示しないインターフェースに設けられた回線接続用の2つの物理ポート10a,10bを有している。この物理ポート10aは、回線Aを介してホスト装置であるPC装置1と接続され、また物理ポート10bは、回線Cを介してインターネット2と接続されている。ルータ11も、図示しないインターフェースに設けられた回線接続用の2つの物理ポート11a,11bを有している。この物理ポート11aは、回線Bを介してPC装置1と接続され、また物理ポート11bは、回線Dを介してインターネット2と接続されている。また、上述した基準に基づいて、例えばルータ10は予めマスタルータに設定されており、ルータ11は予めバックアップルータに設定されている。
【0006】
ルータ10は、IPアドレスが設定された仮想ルータZとして通信データの中継を行っている。また、ルータ10は、設定されたインターフェースに対して広告パケットを定期的に送出することにより、ルータ10自身が正常に動作していることをバックアップルータ11に知られている。これにより、PC装置1は、2台のルータ10,11を意識することなく、仮想ルータZに対して上記IPアドレスを中継ルータのIPアドレスとして指定し、通信データを送出することができる。
【0007】
ここで、例えば回線Aが切断されてしまった場合、ルータ11の物理ポート11aには広告パケットが届かなくなるので、ルータ11が仮想ルータZとして機能し、通信データの中継動作を行う。したがって、PC装置1から送出された通信データは、回線Bを介してルータ11に入力し、物理ポート11bから回線Dを介してインターネット2に中継することが可能となる。
【0008】
この従来例では、回線Aの断線状態からさらに回線Dが断線されてしまうと、ルータ11での中継動作が行えなくなり、仮想ルータZとして機能しなくなるので、PC装置1からインターネット2へのアクセスができなくなってしまう。このように、この従来例では、仮想ルータZを構成している全てのルータに接続されている回線のうち、各ルータに接続されているそれぞれ1本でも回線が切断されてしまうとデータ中継ができなくなる。
【0009】
そこで、各ルータに、回線接続用の物理ポートとは別の代替用の物理ポート(以下、「代替用ポート」という)を設け、互いの代替用ポートを信号線で接続する構成のものがある(たとえば、特願2001−376361号参照)。これら物理ポートの上位層には図示しないIPアドレスを持つインターフェースである論理ポートが存在しており、この論理ポートの代替用の物理ポートが上記代替用ポートである。
【0010】
この特願2001−376361号の発明では、各ルータが接続されている回線のうち、それぞれ1本の回線が切断されても、回線の断線時にバックアップ状態のルータをマスタ状態に遷移させ、さらに物理ポートとは別の代替用ポートを介した経路でパケットを送信することで、インターネットとPC装置間でのパケット中継を可能としていた。
【0011】
そして、これら回線の切断が回復すると、マスタ状態に遷移していたルータは、再びバックアップ状態に遷移し、もう一方のマスタ状態のルータが物理ポートを介した経路で、インターネットとPC装置間のパケット中継を行っていた。
【0012】
【非特許文献1】
Steven Knight、外8名、“RFC2338 Virtual Router Redundancy Protocol”[online]、1998年4月、p.1−3.6−7.11−13、AlterNIC The Network Center、[平成14年8月2日検索]、インターネット<URL: HYPERLINK ”http://alternic.net/rfcs/rfc2300/rfc2338.html”>
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例では、ユニキャストのパケット中継に対しては、仮想ルータを使うことで冗長なパケット中継を実現できるが、マルチキャストのパケット中継の場合には、適切な中継を行えないことがあるという問題点があった。
【0014】
すなわち、回線が復旧する場合において、公告パケットは、通常1秒間隔でマスタ状態のルータが送信しているので、たとえば回線の復旧後で、次の公告パケットが送信されるまでの間は、どちらのルータもマスタ状態になっている。この時に、マルチキャストのパケットが仮想ルータに受信されると、どちらのルータもこの同じマルチキャストのパケットをPC装置に送信することとなる。
【0015】
このような事態は、ユニキャストのパケットに対しても発生することがあるが、ユニキャストのパケットの場合には、逆方向のパケットが流れることによって、MACアドレスの学習テーブルにエントリが生成された時点で中継パケットの重複はなくなり、通常であれば数パケット程度の送信時間の限られた比較的短い時間でのパケット重複中継であるので、これに対して影響されることなく、一方のルータによるパケット中継に切り替わる。しかし、マルチキャストの場合には、中継するデータは送信者から受信者への一方向のトラフィックであることと、宛先がマルチキャストアドレスのため、復旧時には、通常の物理ポートと代替用ポートへの重複中継が行われることになる。このような場合には、各ルータで学習している送信元MACアドレスに対する受信ポートがパケット受信毎に変わってしまう。
【0016】
通常、受信ポートに対する送信元MACアドレスの学習では、受信ポートの変更があると、ルータのホストCPUにこの通知が知らされるので、このアドレス学習に費やすCPUの処理負荷が増大してしまう。この処理負荷の増大がマルチキャストパケットの中継毎に発生することになると、この処理の状態によっては、CPUの動作はこの処理に占有されてしまい、VRRPパケットの受信処理などの他の処理ができなくなる事態が発生する。そして、この結果、VRRP(広告)パケットの受信処理が行われず、一方のルータがマスタ状態からバックアップ状態へ遷移できなくなり、両方のルータがVRRPのマスタ状態のままで、パケット中継が継続してしまい、マルチキャストパケットの配信における2重化が続き、データのトラフィック量が増大するという問題点があった。現状のCPUでは、たとえば数Mbpsを超えるデータがマルチキャストでコンテンツ配信される場合に、このような問題が発生することがあった。
【0017】
この発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、障害からの復旧時にデータのトラフィック量の増大を防ぎ、VRRPパケットの受信処理を確実に行い、データ中継の伝送効率を向上することができるネットワーク間接続方法、仮想ネットワーク間接続装置およびネットワーク間接続システムを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1にかかるネットワーク間接続方法では、複数のネットワーク間接続装置が、実装するVRRPによってマスタとバックアップの関係に設定された仮想ネットワーク間接続装置を構築するとともに、前記各ネットワーク間接続装置が、互いに接続されたインターフェースの代替用ポートを有し、経路上の障害時に前記代替用ポートを介して入力するパケットを転送するネットワーク間接続方法において、前記マスタ状態のネットワーク間接続装置は、代替用ポートを介して前記VRRPのパケットを他方のネットワーク間接続装置に送信する送信工程を含み、前記ネットワーク間接続装置は、前記代替用ポートを介してVRRPパケットを受信する受信工程と、該VRRPパケットの受信の有無を監視する監視工程と、該VRRPパケットを受信してから一定時間経過後に、前記代替用ポートを介したマルチキャストパケットの中継を停止する中継制御工程とを含むことを特徴とする。
【0019】
この請求項1の発明によれば、一般の物理ポートの他に、代替ポートにもマスタ状態のネットワーク間接続装置からVRRPパケットを定期送信することによって、受信側のネットワーク間接続装置では、このVRRPパケットの受信の有無を監視し、マルチキャストなどによって一方向に大量のデータが送信される場合に、VRRPパケットの受信処理が行われず、VRRPパケットの受信が認識できなくなると、一定時間経過後にこの代替用ポートを介したマルチキャストパケットの中継を停止して、VRRPパケットの受信処理を行う。
【0020】
また、請求項2にかかるネットワーク間接続方法では、中継制御工程では、前記代替用ポートへの前記マルチキャストパケットの中継を停止するとともに、前記代替用ポートから他の物理ポートへの前記マルチキャストパケットの中継を停止することを特徴とする。
【0021】
この請求項2の発明によれば、経路上の障害復旧時には、両方のネットワーク間接続装置がマスタ状態になっており、いずれのネットワーク間接続装置からもVRRPパケットが、代替用ポートから他方のネットワーク間接続装置に送信されることとなるので、自装置から代替用ポートを介して相手側ネットワーク間接続装置に出力するマルチキャストパケットの中継を停止するとともに、相手側から代替用ポートを介して入力するマルチキャストパケットの中継も停止することで、VRRPパケットの受信処理を確実に行い、データ中継の伝送効率を高める。
【0022】
また、請求項3にかかるネットワーク間接続装方法では、前記中継制御工程では、前記VRRPパケットを受信してから、前記一定時間内に前記代替用ポートを介して次のVRRPパケットの受信があると、前記一定時間をカウントするタイマ手段をリスタートさせることを特徴とする。
【0023】
この請求項3の発明によれば、送信されるVRRPパケットのインターバルが一定時間内の場合には、通信相手がマスタ状態で、かつ中継されるデータのトラフィック量の増大がなく、このVRRPパケットの受信処理が正常に行われているので、タイマ手段をリスタートさせることで、代替用ポートを介したパケット中継を継続させる。
【0024】
また、請求項4にかかる仮想ネットワーク間接続装置では、同一のネットワーク内に接続され、VRRPを用いてマスタとバックアップの関係に設定されるとともに、互いに接続されたインターフェースの代替用ポートを有する複数のネットワーク間接続装置によって構築され、経路上の障害時に前記代替用ポートを介して入力するパケットの転送を行う仮想ネットワーク間接続装置において、前記代替用ポートを介して前記VRRPのパケットを他方のネットワーク間接続装置に送信する送信手段と、前記代替用ポートを介して入力するVRRPパケットを受信する受信手段と、前記VRRPパケットの受信の有無を監視する監視手段と、前記監視結果に応じて、代替用ポートを介したマルチキャストパケットの中継を停止する中継制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0025】
この請求項4の発明によれば、物理ポートで送受信されるVRRPパケットとは別に、代替用ポートを介して送受信されるVRRPパケットを監視する機構を各ネットワーク間接続装置に設け、VRRPパケットが受信できない場合に、代替用ポートを介したパケットの中継を停止する。
【0026】
また、請求項5にかかる仮想ネットワーク間接続装置では、前記仮想ネットワーク間接続装置は、前記VRRPパケットの受信からの一定時間をカウントするタイマ手段をさらに備え、前記中継制御手段は、前記タイマ手段でカウントされた一定時間経過後に前記代替用ポートを介したマルチキャストパケットの中継を停止することを特徴とする。
【0027】
この請求項5の発明によれば、VRRPパケットのインターバルをタイマ手段でカウントしており、このカウント値が一定時間を超える場合には、代替用ポートを介したパケット中継において、データのトラフィック量の増大などによる障害が発生したか、相手側がマスタ状態でなくなったかいずれかの状況になるので、パケットの代替用ポート上への中継を停止する。
【0028】
また、請求項6にかかる仮想ネットワーク間接続装置では、前記仮想ネットワーク間接続装置は、少なくともマルチキャストグループのグループIPアドレスと、代替用ポートに該当する出力ポートとVLANの情報がエントリされている記憶手段をさらに備え、前記中継制御手段は、前記タイマ手段のカウントが満了すると、前記代替用ポートに該当するエントリを削除して、当該代替用ポートを介したマルチキャストパケットの中継を停止することを特徴とする。
【0029】
この請求項6の発明によれば、ネットワーク間接続装置による代替用ポート上へのパケット中継を停止する機構として、タイマ手段のカウントが満了すると、記憶手段のエントリ情報のうち、代替用ポートに該当する出力ポートとVLANのエントリ情報を削除して、代替用ポートを介したマルチキャストパケットの中継を行えないようにして、VRRPパケットの中継処理を行えるようにする。
【0030】
また、請求項7にかかる仮想ネットワーク間接続装置では、前記中継制御手段は、前記代替用ポートへ中継する前記マルチキャストパケットを廃棄するとともに、前記代替用ポートから他の物理ポートへ中継する前記マルチキャストパケットを廃棄して前記パケット中継を停止することを特徴とする。
【0031】
この請求項7の発明によれば、マルチキャストパケットの中継を停止する場合には、代替用ポートへ送信するパケットおよび代替用ポートから受信するパケットを廃棄して中継制御手段の負荷を軽減する。
【0032】
また、請求項8にかかる仮想ネットワーク間接続装置では、前記中継制御手段は、前記VRRPパケットを受信してから前記タイマ手段でカウントされる一定時間内に前記代替用ポートを介して次のVRRPパケットの受信があると、当該タイマ手段をリスタートさせることを特徴とする。
【0033】
この請求項8の発明によれば、タイマ手段でのカウント値が一定時間内の時に、次のVRRPパケットの受信がある場合には、このVRRPパケットの受信処理が正常に行われているので、タイマ手段をリスタートさせることで、代替用ポートを介したパケット中継を継続させる。
【0034】
また、請求項9にかかるネットワーク間接続システムでは、同一のネットワーク内に接続され、VRRPを用いてマスタとバックアップの関係に設定される複数のネットワーク間接続装置によって構築される仮想ネットワーク間接続装置と、前記仮想ネットワーク間接続装置にマルチキャストパケットを送信するノードと、前記仮想ネットワーク間接続装置から転送されたマルチキャストパケットを受信するノードと、これら装置を接続させる伝送路とを有するネットワーク間接続システムにおいて、前記仮想ネットワーク間接続装置は、請求項4〜8のいずれか一つに記載の仮想ネットワーク間接続装置からなり、経路上の障害復旧時に前記代替用ポートを介したマルチキャストパケットの中継を停止することを特徴とする。
【0035】
この請求項9の発明によれば、通信相手から送信されるVRRPパケットのインターバルが一定時間を超える場合には、通信相手がマスタ状態でなくなったか、中継されるデータのトラフィック量が増大しているので、代替用ポートを介したマルチキャストパケットの中継を停止することで、障害からの復旧時にデータのトラフィック量の増大を防止する。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下に図1〜図14の添付図面を参照して、この発明にかかるネットワーク間接続方法、仮想ネットワーク間接続装置およびネットワーク間接続システムの好適な実施の形態を説明する。
【0037】
(実施の形態1)
図1は、この発明にかかるVRRPを用いた仮想ルータのシステムにおける実施の形態1の構成を示す構成図である。図において、このシステムでは、図15に示した各ルータ10,11に、回線接続用の物理ポート10a,10b,11a,11bとは別の代替用の物理ポート(以下、「代替用ポート」という)10c,11cを設け、互いの代替用ポート10c,11cを信号線3で接続する構成になっている。これら物理ポートの上位層には図示しないIPアドレスを持つインターフェースである論理ポートが存在しており、この論理ポートの代替用の物理ポートが上記代替用ポートである。なお、物理ポート10a,11aは、マルチキャストの受信者であるPC装置1と接続され、物理ポート10b,11bは、インターネット2のマルチキャストの送信者と接続されている。
【0038】
この実施の形態では、例えば物理ポート10aと11aを有する論理ポートの代替用ポートを、代替用ポート10c,11cとする。この上位層の論理ポートは、論理ポート毎にVRRPのマスタ状態とバックアップ状態が設定されている。この状態設定は、上述したごとく、予め設定された優先度やIPアドレスオーナーであるかなどを基準にしてそれぞれマスタの論理ポートとバックアップの論理ポートが決定されている。物理ポートは、このポートの上位層の論理ポートの状態に依存している。なお、その他の構成は、図15に示した仮想ルータのシステム構成と同じである。以下、同一構成部分には、同一符号を付すものとする。
【0039】
各ルータ10,11は、同一の構成からなり、その一例を図2のブロック図に示す。図2において、ルータ10,11は、回線接続用の物理ポート10a,10b(11a,11b)に繋がる物理インターフェース(以下、「物理I/F」という)20と、代替用ポート10c(11c)と物理I/F20が接続されるレイヤ2のMACフレーム処理部21と、その上位層のレイヤ3のIP処理部22と、VRRP処理部23とから構成されている。
【0040】
MACフレーム処理部21は、図3に示すように、代替用ポート10c(11c)または物理I/F20からのパケットを受信するパケット受信部21aと、代替用ポート10c(11c)または物理I/F20へパケットを送信するパケット送信部21bと、VRRP状態のデータを記憶するVRRP状態テーブル21cと、IP処理部22との間でパケットの入出力を行うIP処理I/F21dとから構成されている。VRRP状態テーブル21cには、例えば各論理ポートに対するマスタ状態またはバックアップ状態を示すデータや優先度を示すデータなどが記憶されている。
【0041】
IP処理部22は、図2に示すように、入力するパケットのIPアドレスから、このパケットがユニキャストパケットか、マルチキャストパケットかを判別して、対応する処理部を選択する処理選択部22aと、ユニキャストパケットのパケット処理を行うユニキャスト処理部22bと、マルチキャストパケットの処理を行うマルチキャスト処理部22cとから構成されている。この処理選択部22aでは、パケットのIPアドレスがマルチキャストグループのグループIPアドレスか、各PC装置に設定された個別のIPアドレスかどうかを判断することで、このパケットがユニキャストパケットかマルチキャストパケットか判断している。
【0042】
マルチキャスト処理部22cは、図4に示すように、入力するマルチキャストパケットの中継制御の処理を行う中継処理部22c1と、マルチキャストパケットをフォワーディングするためのルート情報を格納するマルチキャストフォワーディングテーブル22c2とから構成されている。
【0043】
このマルチキャストフォワーディングテーブル22c2は、図5に示すように、たとえば配信されるコンテンツを示すマルチキャストグループのグループIPアドレスと、このグループIPアドレスに対応し、当該マルチキャストグループに参加を希望する各受信者のPC装置が接続されるインターフェースの出力ポート番号と、その出力ポートに設定されているVLANの情報とが対になって格納されている。このマルチキャストフォワーディングテーブル22c2にエントリされている出力ポートとVLANには、代替用ポートに該当する出力ポートと出力VLANもエントリされている。
【0044】
なお、ユニキャスト処理部22bも同様に、図示しない中継処理部とユニキャストフォワーディングテーブルとから構成され、ユニキャストフォワーディングテーブルには、宛先IPアドレスや受信者PC装置に至るネクストホップルータのIPアドレスやこのルータが接続されるインターフェースの出力ポート番号などが格納されている。
【0045】
VRRP処理部23は、図6に示すように、IP処理部22からのパケットを受信するVRRPパケット受信部23aと、IP処理部22へパケットを送信するVRRPパケット送信部23bと、VRRP状態を管理するVRRP状態管理部23cと、後述する各タイマのカウント処理を行うタイマ処理部23dとから構成されている。
【0046】
タイマ処理部23dは、図7に示すように、マスタダウンタイマ23d1と、広告タイマ23d2と、マスタ監視タイマ23d3とを有し、これらタイマ23d1〜23d3の所定時間毎のカウント処理を行う。マスタ監視タイマ23d3は、マルチキャスト処理部22cの中継処理部22c1と接続されており、マスタ監視タイマ23d3でのカウントが満了すると、中継処理部22c1は、マルチキャストフォワーディングテーブル22c2の出力ポート、出力VLANのエントリのうち、代替用ポートに該当するエントリを削除することにより、代替用ポートを介したマルチキャストパケットの中継を停止している。
【0047】
VRRP状態管理部23cは、それぞれの論理ポートまたは自ルータがマスタ状態であるかバックアップ状態であるかを管理するとともに、タイマ処理部23dの広告タイマおよびマスタダウンタイマのカウント状態を管理している。
【0048】
このシステムで送受信されるVRRPパケットは、図8に示すように、VRRPプロトコルのバージョン情報を示すバージョンと、VRRPパケットの種類を示すタイプ(ここで、広告パケットは「1」で示されている)と、仮想ルータの識別情報を示すバーチャルルータID(VRID)と、仮想ルータの優先度を示すプライオリティと、この広告パケットに含まれるIPアドレスの数を示すカウントIPアドレス、利用される認証方法を識別するための認証タイプと、広告パケットの送信間隔(通常は1秒)を示す広告インターバルと、チェックサムと、仮想ルータに関連付けられたIPアドレスからなるIPアドレスと、認証を行うための認証データからなる認証データとから構成されている。
【0049】
次に、このような構成におけるルータの動作を図9〜図14のフローチャートに基づいて説明する。ところで、ルータの動作には、大きく分けて3つのイベント、例えばパケット受信、バックアップ状態、マスタ状態のイベントでの動作がある。この実施の形態では、図9〜図12でパケット受信の動作を示し、図13でバックアップ状態からマスタ状態への遷移の動作を示し、図14でマスタ状態の動作を説明する。
【0050】
なお、ルータ10,11におけるマスタルータとバックアップルータの設定は、上述したように、優先度やIPアドレスオーナーなどの基準によって予め決まっており、この例では、上記基準に基づいてルータ10がマスタ状態、ルータ11がバックアップ状態にあるものとする。そして、マスタルータは、タイマ処理部23dのマスタダウンタイマを停止させ、かつ広告タイマをスタートさせるものとする。また、バックアップルータは、タイマ処理部23dの広告タイマを停止させ、かつマスタダウンタイマをスタートさせるものとする。
【0051】
まず、図9において、MACフレーム処理部21のパケット受信部21aは、パケットを受信すると(ステップ101)、VRRP状態テーブル21cを参照して、バックアップ状態でかつ代替用ポートからの入力かどうかを判断する(ステップ102)。
【0052】
ここで、ルータがバックアップ状態でかつ代替用ポートからのパケット受信の場合には、受信したパケットが広告パケットかどうか判断する(ステップ103)。ここで、この受信パケットが広告パケットでない場合には、そのパケットを破棄して動作を終了する(ステップ105)。また、この受信パケットが広告パケットの場合には、相手ルータがマスタ状態で、かつこのVRRPパケットの受信処理が正常に行われていると判断して、マスタ監視タイマ23d3をリスタートし(ステップ104)、ステップ105に進んでこの広告パケットを廃棄する。
【0053】
また、ステップ102において、ルータがバックアップ状態でない場合、または代替用ポートからの受信でない場合には、パケットの宛先アドレスであるMACアドレスを参照して自分宛てかどうか判断する(ステップ106)。
【0054】
ここで、自分宛てでない場合には、このパケットをパケット送信部21bに出力して(ステップ107)、ここでレイヤ2レベルのフォワーディング処理を行い、代替用ポート以外の物理I/Fから物理ポートへ出力する(ステップ108)。また、自分宛ての場合には、IP処理I/F21dを介してIP処理部22へこのパケットを出力し(ステップ109)、このIP処理部22の中継処理部22c1で、上記パケットが広告パケットかどうか、図8に示したパケットのフレーム構成中のタイプから判断する(ステップ110)。
【0055】
なお、このステップ110では、パケットが広告パケットかどうか判断しているが、このパケットが広告パケットの場合とは、たとえば自ルータがマスタ状態で代替用ポートからの広告パケットの場合(以下、「1の場合」という)、自ルータがマスタ状態で物理ポートからの広告パケットの場合(以下、「2の場合」という)、または自ルータがバックアップ状態で物理ポートからの広告パケットの場合(以下、「3の場合」という)が考えられる。
【0056】
ここで、1の場合は、たとえば上述したごとく、経路上の障害復旧時に代替用ポートを介した広告パケットの受信の場合が考えられ、2の場合は、経路上の障害復旧時に物理ポートを介した広告パケットの受信の場合が考えられ、また3の場合は、もっとも一般的なもので、マスタ状態のルータから物理ポートを介した広告パケットの受信の場合が考えられる。これらのうち、1の場合は、代替用ポートに対応して設けられたがマスタ監視タイマ23d3を、中継処理部22c1がリスタートして(ステップ111)、図10に進む。また、2と3の場合には、このステップ111をスルーして図11に進む。
【0057】
ところで、この中継処理部22c1は、図12のフローチャートに示すように、マスタ監視タイマ23d3のカウント値が満了すると(ステップ201)、たとえば相手側のルータがマスタ状態でなくなったか、中継されるデータのトラフィック量が増大して広告パケットの受信処理ができなくない障害状態が発生していると判断して、代替用ポートを介してのマルチキャストの中継を停止する(ステップ202)。
【0058】
すなわち、中継処理部22c1は、マスタ監視タイマ23d3のカウント値が満了すると、マルチキャストフォワーディングテーブル22c2にエントリされている代替用ポートに該当する出力ポートとVLANの情報を削除して、当該代替用ポートへ出力するマルチキャストパケットおよび当該代替用ポートから入力するマルチキャストパケットを廃棄して、広告パケットの受信処理を行えるようにする。
【0059】
なお、代替用ポートを介して入力する広告パケットに対しては、受信の有無のみを監視しており、この広告パケットに応じて、各ルータは、自己の状態(マスタ状態か、バックアップ状態か)を遷移させることは行っていない。すなわち、この状態の遷移は、物理ポートを介して入力する広告パケットに対して、その物理ポート毎に行っているからである。
【0060】
次に、図10のフローチャートについて説明する。まず、図10においては、IP処理部22では、このルータの現在の状態がバックアップ状態かどうか判断し(ステップ112)、バックアップ状態の場合には、マスタダウンタイマをリスタートする(ステップ113)。また、このルータがバックアップ状態でない場合には、マスタルータと判断し(ステップ114)、次にマスタ状態を継続するかどうか判断する(ステップ115)。なお、ここでの判断は、受信した広告パケットの送信元IPアドレス、優先度、自己のIPアドレス、専制モードオンかどうかで判断する。なお、専制モードとは、優先度の低いルータが後からマスタ状態になれるかどうかを示すモードで、オンの場合はそれが可能となることを示している。
【0061】
ここで、マスタ状態を継続する場合には、その状態を維持し(ステップ116)、またマスタ状態をやめてバックアップ状態になった場合には、VRRPパケット受信部23aは、マスタダウンタイマをリスタートさせた後(ステップ117)、広告タイマを停止させる(ステップ118)。
【0062】
ステップ110において、上記受信したパケットが広告パケットではない場合には、図11に進んで現在の状態がバックアップ状態かどうか判断し(ステップ119)、バックアップ状態の場合には、受信したパケットを破棄する(ステップ120)。また、ルータがバックアップ状態でない場合には、IP処理部22によるレイヤ3レベルのIP中継処理を行った後(ステップ121)、MACフレーム処理部21のパケット送信部21bに出力して、パケット送信部21bによるMACヘッダの処理を行った後に(ステップ122)、物理I/Fへ送信する(ステップ123)。これにより、物理I/Fは、物理ポートを介して回線にパケットを送信することができる。
【0063】
次に、ルータがバックアップ状態からマスタ状態に遷移する場合の動作について図13のフローチャートを用いて説明する。図において、VRRPパケット送信部23bとVRRP状態管理部23cは、タイマ処理部23dのマスタダウンタイマをモニタしている。
【0064】
そして、マスタダウンタイマのカウント値が満了すると(ステップ301)、VRRP状態管理部23cは、もう一方のルータに故障が発生したか回線が断線したと判断して、ルータをマスタ状態に遷移する(ステップ302)。VRRPパケット送信部23bは、広告パケットを作成し、上記広告パケットをVRRPパケット送信部23bからIP処理部22およびMACフレーム処理部21を介して物理I/Fへ送信し、さらに物理I/Fから物理ポートへと送信する(ステップ303)。
【0065】
なお、IP処理部およびMACフレーム処理部21では、それぞれのヘッダの処理を行った後に広告パケットを出力している。
【0066】
次に、VRRPパケット送信部23bは、タイマ処理部23dを制御してマスタダウンタイマを停止させ(ステップ304)、広告タイマをリスタートさせる(ステップ305)。そして、広告タイマのリスタートから所定時間経過してカウントが満了すると(ステップ306)、再びステップ303に戻って、広告パケットを送信する。これにより、物理ポートから回線を介してもう一方のルータに広告パケットが送信される。
【0067】
次に、ルータがマスタ状態にある場合の動作について図14のフローチャートを用いて説明する。図において、VRRPパケット送信部23bは、上述したごとくタイマ処理部23dの広告タイマをモニタしている。
【0068】
そして、VRRPパケット送信部23bは、この広告タイマが満了すると(ステップ401)、広告パケットを作成してIP処理部22およびMACフレーム処理部21を介して物理I/Fへ送信する(ステップ402)。これにより、物理I/Fは、この広告パケットを物理ポートを介して回線に送信することができる。次に、VRRPパケット送信部23bは、広告タイマをリスタートさせ(ステップ403)、カウント値が満了するのを待つ。
【0069】
このような仮想ルータのシステムにおいて、例えば回線AとDが切断された場合、この実施の形態を用いると、ルータ10は、広告パケットを物理ポート10aから回線Aに送信するが、ルータ11には、回線Aの断線のために上記広告パケットは届かない。
【0070】
このため、ルータ11のマスタダウンタイマのカウント値は満了し、ルータ11のVRRP状態管理部23cは、ルータ10に故障が発生したか回線Aが断線したと判断する。この場合、ルータ11には、回線Bを介してPC装置1からパケットが届くので、それによって回線Bが正常であることを確認できる。そこで、VRRP状態管理部23cは、ルータの状態をバックアップ状態からマスタ状態にする。
【0071】
また、ルータ10は、広告パケットを物理ポート10bから回線Cにも送信するが、ルータ11には、回線Dの断線のために上記広告パケットは届かない。このため、ルータ11のマスタダウンタイマのカウント値は満了し、ルータ11のVRRP状態管理部23cは、ルータ10に故障が発生したか回線CかDが断線したと判断する。
【0072】
このように、回線AとDが断線された場合、この実施の形態では、ルータ10,11ともにマスタ状態になり、PC装置1からのパケットは、ルータ11の物理ポート11aから論理ポートに入力し、MACフレーム処理部21、IP処理部22(図2参照)で中継処理がなされた後に、代替用ポート11cを介して信号線3に出力される。
【0073】
そして、信号線3からのパケットは、ルータ10に取り込まれており、ここではスイッチング・リピータ動作が行われるので、パケットは代替用ポート10c、論理ポート、物理ポート10bを通り、回線Cを介してインターネット2へ送信される。
【0074】
また、インターネット2の送信者からのパケットは、回線Cを介してルータ10の物理ポート10bから論理ポートに入力し、MACフレーム処理部21、IP処理部22で中継処理がなされた後に、代替用ポート10cを介して信号線3に出力される。そして、信号線3からのパケットは、ルータ11に取り込まれており、ここではスイッチング・リピータ動作が行われるので、パケットは代替用ポート11c、論理ポート、物理ポート11aを通り、回線Bを介してPC装置1へ送信される。
【0075】
この状態で回線AとDが復旧すると、ルータ10,11はともにマスタ状態になっているので、回線C,Dを介して各ルータ10,11に取り込まれたパケットは、回線A,Bを介してPC装置1に2重化されて出力されることとなる。また、各ルータ10,11は、代替用ポート10c,11cを介して互いのルータに取り込まれることとなる。
【0076】
この時に、このパケットがデータ量が大きいマルチキャストパケットの場合には、代替用ポートを介した広告パケットの受信処理を行えない状態が発生する。各ルータ10,11では、代替用ポートを介した広告パケットの受信が行えなくなると、代替用ポートを介したマルチキャストパケットの中継を停止する。
【0077】
このように、この実施の形態1に示した仮想ルータのシステムでは、仮想ルータを構築する両ルータに物理ポートとは別の代替用ポートを設け、これら代替用ポートを信号線で接続し、回線の断線時にバックアップ状態のルータをマスタ状態に遷移させ、さらにこれら代替用ポートを介した経路でパケットを送信するので、各ルータのそれぞれ1本の回線が切断されても、良好にパケット通信を行うことが可能となり、データ中継の伝送効率を向上させることができる。
【0078】
また、この実施の形態では、障害復旧時に伴い代替用ポートを介した一定時間内の広告パケットの受信が不可能になると、この代替用ポートを介したマルチキャストパケットの送信を停止するので、障害復旧時のデータのトラフィック量の増大を防ぎ、VRRPパケットの受信処理を確実に行い、さらにデータ中継の伝送効率を向上させることができる。
【0079】
また、この実施の形態では、マルチキャストパケットをフォワーディングするために、マルチキャストグループのグループIPアドレスと、このグループIPアドレスに対応し、当該マルチキャストグループに参加を希望する各受信者のPC装置が接続されるインターフェースの出力ポート番号と、その出力ポートに設定されているVLANの情報とをマルチキャストフォワーディングテーブルに格納し、代替用ポートを介した広告パケットの受信が不可能になると、代替用ポートに該当する出力ポートと出力VLANのエントリ情報を削除するので、マルチキャストパケットの送信を確実に停止することができる。
【0080】
さらに、この実施の形態では、マスタ監視タイマでのカウント値が一定時間内の時に、次のVRRPパケットの受信がある場合には、このVRRPパケットの受信処理が正常に行われているので、マスタ監視タイマをリスタートさせるので、代替用ポートを介したパケット中継を継続させることができる。
【0081】
この発明は、これら実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明では、物理ポートで送受信されるVRRPパケットとは別に、代替用ポートにもマスタ状態のネットワーク間接続装置からVRRPパケットを定期送信し、通信相手側のネットワーク間接続装置では、このVRRPパケットの受信の有無を監視する機構を設け、代替用ポートを介して、このVRRPパケットが受信できない場合には、この代替用ポートを介したパケットの中継を停止するので、障害からの復旧時にデータのトラフィック量の増大を防ぎ、VRRPパケットの受信処理を確実に行い、データ中継の伝送効率を向上することができる。
【0083】
また、この発明では、代替ポートを介したVRRPのインターバルをカウントし、その間隔が一定時間を超える場合には、相手側がマスタ状態でなくなったか、障害が発生したと判断して、パケットの代替用ポート上への中継を停止するので、VRRPパケットの受信処理を確実に行い、データ中継の伝送効率を向上することができる。
【0084】
また、この発明では、ネットワーク間接続システムに請求項4〜8のいずれか一つに記載の仮想ネットワーク間接続装置を設け、経路上の障害復旧時に代替用ポートを介したVRRPパケットのインターバルが一定時間を超えると、代替用ポートを介したマルチキャストパケットの中継を停止するので、障害からの復旧時にデータのトラフィック量の増大を防ぎ、VRRPパケットの受信処理を確実に行い、データ中継の伝送効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかるVRRPを用いた仮想ルータのシステムにおける実施の形態1の構成を示す構成図である。
【図2】図1に示したルータの構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示したMACフレーム処理部の構成を示すブロック図である。
【図4】図2に示したマルチキャスト処理部の構成を示すブロック図である。
【図5】図4に示したマルチキャストフォワーディングテーブルの構成の一例を示す構成図である。
【図6】図2に示したVRRP処理部の構成を示すブロック図である。
【図7】図6に示したタイマ処理部の構成を示すブロック図である。
【図8】VRRPパケットのフレーム構成を示す図である。
【図9】図1に示したルータのパケット受信の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】同じく、パケット受信の動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】同じく、パケット受信の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】VRRPパケット受信の動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】図1に示したルータのバックアップ状態からマスタ状態への遷移の動作を説明するためのフローチャートである。
【図14】図1に示したルータのマスタ状態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】VRRPを用いた仮想ルータの従来のシステム構成の概念を示す構成図である。
【符号の説明】
1 PC
2 インターネット
3 信号線
10,11 ルータ
10a,10b,11a,11b 物理ポート
10c,11c 代替ポート
20 物理I/F
21 フレーム処理部
21a パケット受信部
21b パケット送信部
21c 状態テーブル
21d IP処理I/F
21e 学習テーブル
22 IP処理部
22a 処理選択部
22b ユニキャスト処理部
22c マルチキャスト処理部
22c1 中継処理部
22c2 マルチキャストフォワーディングテーブル
23 VRRP処理部
23a パケット受信部
23b パケット送信部
23d タイマ処理部
23c 状態管理部
A〜D 回線
Z 仮想ルータ
【発明の属する技術分野】
この発明は、冗長性を確保することができるVRRP(Virtual Router Redundancy Protocol:RFC2338)を用いたネットワーク間接続方法、仮想ネットワーク間接続装置およびネットワーク間接続システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、このRFC2338の非特許文献1に示すように、このVRRPは、デフォルトルータによるデフォルトルートの設定のみを頼りにして動作するホスト装置を助けるために作られたプロトコルであり、同一ネットワーク上に設置されている複数台のネットワーク間接続装置(ルータ)を組み合わせ、ルータ同士の負荷分散およびバックアップ機能を実現するものである。すなわち、このVRRPは、グループ化された複数台のルータを、ネットワーク上に設置されたノード(例えばホスト装置や他のルータ)から一台の仮想ルータとして認識できるようにするものである。
【0003】
このようなグループ化されたルータは、インターフェースで設定された優先度やIPアドレスオーナーであるかなどを基準にして、それぞれマスタルータ(仮想ルータ)とバックアップルータが決定されており、VRID(VirtualRouter Identifier)毎にIPアドレスが設定され、該当VRIDのマスタルータのみがそのIPアドレスを用いて実際にパケットの中継処理を行っている。なお、このIPアドレスは、ルータ自身に設定されているIPアドレスとは別の仮想ルータとしてのIPアドレスである。
【0004】
マスタルータは、広告(Advertisement)パケットをLAN上に定期的に送信することによって正常に動作していることをバックアップルータに通知している。バックアップルータは、広告パケットを受信することによってマスタルータが動作していることを確認し、この確認ができている間はスタンバイ状態を維持する。また、バックアップルータは、一定時間に広告パケットを受信できなかった場合には、マスタルータや回線などに異常が生じ、経路上に障害が発生したと判断して、マスタルータに遷移してパケットの中継処理を行っている。
【0005】
図15は、VRRPを用いた仮想ルータの従来のシステム構成の概念を示す構成図の一例である。図において、ルータ10は、図示しないインターフェースに設けられた回線接続用の2つの物理ポート10a,10bを有している。この物理ポート10aは、回線Aを介してホスト装置であるPC装置1と接続され、また物理ポート10bは、回線Cを介してインターネット2と接続されている。ルータ11も、図示しないインターフェースに設けられた回線接続用の2つの物理ポート11a,11bを有している。この物理ポート11aは、回線Bを介してPC装置1と接続され、また物理ポート11bは、回線Dを介してインターネット2と接続されている。また、上述した基準に基づいて、例えばルータ10は予めマスタルータに設定されており、ルータ11は予めバックアップルータに設定されている。
【0006】
ルータ10は、IPアドレスが設定された仮想ルータZとして通信データの中継を行っている。また、ルータ10は、設定されたインターフェースに対して広告パケットを定期的に送出することにより、ルータ10自身が正常に動作していることをバックアップルータ11に知られている。これにより、PC装置1は、2台のルータ10,11を意識することなく、仮想ルータZに対して上記IPアドレスを中継ルータのIPアドレスとして指定し、通信データを送出することができる。
【0007】
ここで、例えば回線Aが切断されてしまった場合、ルータ11の物理ポート11aには広告パケットが届かなくなるので、ルータ11が仮想ルータZとして機能し、通信データの中継動作を行う。したがって、PC装置1から送出された通信データは、回線Bを介してルータ11に入力し、物理ポート11bから回線Dを介してインターネット2に中継することが可能となる。
【0008】
この従来例では、回線Aの断線状態からさらに回線Dが断線されてしまうと、ルータ11での中継動作が行えなくなり、仮想ルータZとして機能しなくなるので、PC装置1からインターネット2へのアクセスができなくなってしまう。このように、この従来例では、仮想ルータZを構成している全てのルータに接続されている回線のうち、各ルータに接続されているそれぞれ1本でも回線が切断されてしまうとデータ中継ができなくなる。
【0009】
そこで、各ルータに、回線接続用の物理ポートとは別の代替用の物理ポート(以下、「代替用ポート」という)を設け、互いの代替用ポートを信号線で接続する構成のものがある(たとえば、特願2001−376361号参照)。これら物理ポートの上位層には図示しないIPアドレスを持つインターフェースである論理ポートが存在しており、この論理ポートの代替用の物理ポートが上記代替用ポートである。
【0010】
この特願2001−376361号の発明では、各ルータが接続されている回線のうち、それぞれ1本の回線が切断されても、回線の断線時にバックアップ状態のルータをマスタ状態に遷移させ、さらに物理ポートとは別の代替用ポートを介した経路でパケットを送信することで、インターネットとPC装置間でのパケット中継を可能としていた。
【0011】
そして、これら回線の切断が回復すると、マスタ状態に遷移していたルータは、再びバックアップ状態に遷移し、もう一方のマスタ状態のルータが物理ポートを介した経路で、インターネットとPC装置間のパケット中継を行っていた。
【0012】
【非特許文献1】
Steven Knight、外8名、“RFC2338 Virtual Router Redundancy Protocol”[online]、1998年4月、p.1−3.6−7.11−13、AlterNIC The Network Center、[平成14年8月2日検索]、インターネット<URL: HYPERLINK ”http://alternic.net/rfcs/rfc2300/rfc2338.html”>
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例では、ユニキャストのパケット中継に対しては、仮想ルータを使うことで冗長なパケット中継を実現できるが、マルチキャストのパケット中継の場合には、適切な中継を行えないことがあるという問題点があった。
【0014】
すなわち、回線が復旧する場合において、公告パケットは、通常1秒間隔でマスタ状態のルータが送信しているので、たとえば回線の復旧後で、次の公告パケットが送信されるまでの間は、どちらのルータもマスタ状態になっている。この時に、マルチキャストのパケットが仮想ルータに受信されると、どちらのルータもこの同じマルチキャストのパケットをPC装置に送信することとなる。
【0015】
このような事態は、ユニキャストのパケットに対しても発生することがあるが、ユニキャストのパケットの場合には、逆方向のパケットが流れることによって、MACアドレスの学習テーブルにエントリが生成された時点で中継パケットの重複はなくなり、通常であれば数パケット程度の送信時間の限られた比較的短い時間でのパケット重複中継であるので、これに対して影響されることなく、一方のルータによるパケット中継に切り替わる。しかし、マルチキャストの場合には、中継するデータは送信者から受信者への一方向のトラフィックであることと、宛先がマルチキャストアドレスのため、復旧時には、通常の物理ポートと代替用ポートへの重複中継が行われることになる。このような場合には、各ルータで学習している送信元MACアドレスに対する受信ポートがパケット受信毎に変わってしまう。
【0016】
通常、受信ポートに対する送信元MACアドレスの学習では、受信ポートの変更があると、ルータのホストCPUにこの通知が知らされるので、このアドレス学習に費やすCPUの処理負荷が増大してしまう。この処理負荷の増大がマルチキャストパケットの中継毎に発生することになると、この処理の状態によっては、CPUの動作はこの処理に占有されてしまい、VRRPパケットの受信処理などの他の処理ができなくなる事態が発生する。そして、この結果、VRRP(広告)パケットの受信処理が行われず、一方のルータがマスタ状態からバックアップ状態へ遷移できなくなり、両方のルータがVRRPのマスタ状態のままで、パケット中継が継続してしまい、マルチキャストパケットの配信における2重化が続き、データのトラフィック量が増大するという問題点があった。現状のCPUでは、たとえば数Mbpsを超えるデータがマルチキャストでコンテンツ配信される場合に、このような問題が発生することがあった。
【0017】
この発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、障害からの復旧時にデータのトラフィック量の増大を防ぎ、VRRPパケットの受信処理を確実に行い、データ中継の伝送効率を向上することができるネットワーク間接続方法、仮想ネットワーク間接続装置およびネットワーク間接続システムを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1にかかるネットワーク間接続方法では、複数のネットワーク間接続装置が、実装するVRRPによってマスタとバックアップの関係に設定された仮想ネットワーク間接続装置を構築するとともに、前記各ネットワーク間接続装置が、互いに接続されたインターフェースの代替用ポートを有し、経路上の障害時に前記代替用ポートを介して入力するパケットを転送するネットワーク間接続方法において、前記マスタ状態のネットワーク間接続装置は、代替用ポートを介して前記VRRPのパケットを他方のネットワーク間接続装置に送信する送信工程を含み、前記ネットワーク間接続装置は、前記代替用ポートを介してVRRPパケットを受信する受信工程と、該VRRPパケットの受信の有無を監視する監視工程と、該VRRPパケットを受信してから一定時間経過後に、前記代替用ポートを介したマルチキャストパケットの中継を停止する中継制御工程とを含むことを特徴とする。
【0019】
この請求項1の発明によれば、一般の物理ポートの他に、代替ポートにもマスタ状態のネットワーク間接続装置からVRRPパケットを定期送信することによって、受信側のネットワーク間接続装置では、このVRRPパケットの受信の有無を監視し、マルチキャストなどによって一方向に大量のデータが送信される場合に、VRRPパケットの受信処理が行われず、VRRPパケットの受信が認識できなくなると、一定時間経過後にこの代替用ポートを介したマルチキャストパケットの中継を停止して、VRRPパケットの受信処理を行う。
【0020】
また、請求項2にかかるネットワーク間接続方法では、中継制御工程では、前記代替用ポートへの前記マルチキャストパケットの中継を停止するとともに、前記代替用ポートから他の物理ポートへの前記マルチキャストパケットの中継を停止することを特徴とする。
【0021】
この請求項2の発明によれば、経路上の障害復旧時には、両方のネットワーク間接続装置がマスタ状態になっており、いずれのネットワーク間接続装置からもVRRPパケットが、代替用ポートから他方のネットワーク間接続装置に送信されることとなるので、自装置から代替用ポートを介して相手側ネットワーク間接続装置に出力するマルチキャストパケットの中継を停止するとともに、相手側から代替用ポートを介して入力するマルチキャストパケットの中継も停止することで、VRRPパケットの受信処理を確実に行い、データ中継の伝送効率を高める。
【0022】
また、請求項3にかかるネットワーク間接続装方法では、前記中継制御工程では、前記VRRPパケットを受信してから、前記一定時間内に前記代替用ポートを介して次のVRRPパケットの受信があると、前記一定時間をカウントするタイマ手段をリスタートさせることを特徴とする。
【0023】
この請求項3の発明によれば、送信されるVRRPパケットのインターバルが一定時間内の場合には、通信相手がマスタ状態で、かつ中継されるデータのトラフィック量の増大がなく、このVRRPパケットの受信処理が正常に行われているので、タイマ手段をリスタートさせることで、代替用ポートを介したパケット中継を継続させる。
【0024】
また、請求項4にかかる仮想ネットワーク間接続装置では、同一のネットワーク内に接続され、VRRPを用いてマスタとバックアップの関係に設定されるとともに、互いに接続されたインターフェースの代替用ポートを有する複数のネットワーク間接続装置によって構築され、経路上の障害時に前記代替用ポートを介して入力するパケットの転送を行う仮想ネットワーク間接続装置において、前記代替用ポートを介して前記VRRPのパケットを他方のネットワーク間接続装置に送信する送信手段と、前記代替用ポートを介して入力するVRRPパケットを受信する受信手段と、前記VRRPパケットの受信の有無を監視する監視手段と、前記監視結果に応じて、代替用ポートを介したマルチキャストパケットの中継を停止する中継制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0025】
この請求項4の発明によれば、物理ポートで送受信されるVRRPパケットとは別に、代替用ポートを介して送受信されるVRRPパケットを監視する機構を各ネットワーク間接続装置に設け、VRRPパケットが受信できない場合に、代替用ポートを介したパケットの中継を停止する。
【0026】
また、請求項5にかかる仮想ネットワーク間接続装置では、前記仮想ネットワーク間接続装置は、前記VRRPパケットの受信からの一定時間をカウントするタイマ手段をさらに備え、前記中継制御手段は、前記タイマ手段でカウントされた一定時間経過後に前記代替用ポートを介したマルチキャストパケットの中継を停止することを特徴とする。
【0027】
この請求項5の発明によれば、VRRPパケットのインターバルをタイマ手段でカウントしており、このカウント値が一定時間を超える場合には、代替用ポートを介したパケット中継において、データのトラフィック量の増大などによる障害が発生したか、相手側がマスタ状態でなくなったかいずれかの状況になるので、パケットの代替用ポート上への中継を停止する。
【0028】
また、請求項6にかかる仮想ネットワーク間接続装置では、前記仮想ネットワーク間接続装置は、少なくともマルチキャストグループのグループIPアドレスと、代替用ポートに該当する出力ポートとVLANの情報がエントリされている記憶手段をさらに備え、前記中継制御手段は、前記タイマ手段のカウントが満了すると、前記代替用ポートに該当するエントリを削除して、当該代替用ポートを介したマルチキャストパケットの中継を停止することを特徴とする。
【0029】
この請求項6の発明によれば、ネットワーク間接続装置による代替用ポート上へのパケット中継を停止する機構として、タイマ手段のカウントが満了すると、記憶手段のエントリ情報のうち、代替用ポートに該当する出力ポートとVLANのエントリ情報を削除して、代替用ポートを介したマルチキャストパケットの中継を行えないようにして、VRRPパケットの中継処理を行えるようにする。
【0030】
また、請求項7にかかる仮想ネットワーク間接続装置では、前記中継制御手段は、前記代替用ポートへ中継する前記マルチキャストパケットを廃棄するとともに、前記代替用ポートから他の物理ポートへ中継する前記マルチキャストパケットを廃棄して前記パケット中継を停止することを特徴とする。
【0031】
この請求項7の発明によれば、マルチキャストパケットの中継を停止する場合には、代替用ポートへ送信するパケットおよび代替用ポートから受信するパケットを廃棄して中継制御手段の負荷を軽減する。
【0032】
また、請求項8にかかる仮想ネットワーク間接続装置では、前記中継制御手段は、前記VRRPパケットを受信してから前記タイマ手段でカウントされる一定時間内に前記代替用ポートを介して次のVRRPパケットの受信があると、当該タイマ手段をリスタートさせることを特徴とする。
【0033】
この請求項8の発明によれば、タイマ手段でのカウント値が一定時間内の時に、次のVRRPパケットの受信がある場合には、このVRRPパケットの受信処理が正常に行われているので、タイマ手段をリスタートさせることで、代替用ポートを介したパケット中継を継続させる。
【0034】
また、請求項9にかかるネットワーク間接続システムでは、同一のネットワーク内に接続され、VRRPを用いてマスタとバックアップの関係に設定される複数のネットワーク間接続装置によって構築される仮想ネットワーク間接続装置と、前記仮想ネットワーク間接続装置にマルチキャストパケットを送信するノードと、前記仮想ネットワーク間接続装置から転送されたマルチキャストパケットを受信するノードと、これら装置を接続させる伝送路とを有するネットワーク間接続システムにおいて、前記仮想ネットワーク間接続装置は、請求項4〜8のいずれか一つに記載の仮想ネットワーク間接続装置からなり、経路上の障害復旧時に前記代替用ポートを介したマルチキャストパケットの中継を停止することを特徴とする。
【0035】
この請求項9の発明によれば、通信相手から送信されるVRRPパケットのインターバルが一定時間を超える場合には、通信相手がマスタ状態でなくなったか、中継されるデータのトラフィック量が増大しているので、代替用ポートを介したマルチキャストパケットの中継を停止することで、障害からの復旧時にデータのトラフィック量の増大を防止する。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下に図1〜図14の添付図面を参照して、この発明にかかるネットワーク間接続方法、仮想ネットワーク間接続装置およびネットワーク間接続システムの好適な実施の形態を説明する。
【0037】
(実施の形態1)
図1は、この発明にかかるVRRPを用いた仮想ルータのシステムにおける実施の形態1の構成を示す構成図である。図において、このシステムでは、図15に示した各ルータ10,11に、回線接続用の物理ポート10a,10b,11a,11bとは別の代替用の物理ポート(以下、「代替用ポート」という)10c,11cを設け、互いの代替用ポート10c,11cを信号線3で接続する構成になっている。これら物理ポートの上位層には図示しないIPアドレスを持つインターフェースである論理ポートが存在しており、この論理ポートの代替用の物理ポートが上記代替用ポートである。なお、物理ポート10a,11aは、マルチキャストの受信者であるPC装置1と接続され、物理ポート10b,11bは、インターネット2のマルチキャストの送信者と接続されている。
【0038】
この実施の形態では、例えば物理ポート10aと11aを有する論理ポートの代替用ポートを、代替用ポート10c,11cとする。この上位層の論理ポートは、論理ポート毎にVRRPのマスタ状態とバックアップ状態が設定されている。この状態設定は、上述したごとく、予め設定された優先度やIPアドレスオーナーであるかなどを基準にしてそれぞれマスタの論理ポートとバックアップの論理ポートが決定されている。物理ポートは、このポートの上位層の論理ポートの状態に依存している。なお、その他の構成は、図15に示した仮想ルータのシステム構成と同じである。以下、同一構成部分には、同一符号を付すものとする。
【0039】
各ルータ10,11は、同一の構成からなり、その一例を図2のブロック図に示す。図2において、ルータ10,11は、回線接続用の物理ポート10a,10b(11a,11b)に繋がる物理インターフェース(以下、「物理I/F」という)20と、代替用ポート10c(11c)と物理I/F20が接続されるレイヤ2のMACフレーム処理部21と、その上位層のレイヤ3のIP処理部22と、VRRP処理部23とから構成されている。
【0040】
MACフレーム処理部21は、図3に示すように、代替用ポート10c(11c)または物理I/F20からのパケットを受信するパケット受信部21aと、代替用ポート10c(11c)または物理I/F20へパケットを送信するパケット送信部21bと、VRRP状態のデータを記憶するVRRP状態テーブル21cと、IP処理部22との間でパケットの入出力を行うIP処理I/F21dとから構成されている。VRRP状態テーブル21cには、例えば各論理ポートに対するマスタ状態またはバックアップ状態を示すデータや優先度を示すデータなどが記憶されている。
【0041】
IP処理部22は、図2に示すように、入力するパケットのIPアドレスから、このパケットがユニキャストパケットか、マルチキャストパケットかを判別して、対応する処理部を選択する処理選択部22aと、ユニキャストパケットのパケット処理を行うユニキャスト処理部22bと、マルチキャストパケットの処理を行うマルチキャスト処理部22cとから構成されている。この処理選択部22aでは、パケットのIPアドレスがマルチキャストグループのグループIPアドレスか、各PC装置に設定された個別のIPアドレスかどうかを判断することで、このパケットがユニキャストパケットかマルチキャストパケットか判断している。
【0042】
マルチキャスト処理部22cは、図4に示すように、入力するマルチキャストパケットの中継制御の処理を行う中継処理部22c1と、マルチキャストパケットをフォワーディングするためのルート情報を格納するマルチキャストフォワーディングテーブル22c2とから構成されている。
【0043】
このマルチキャストフォワーディングテーブル22c2は、図5に示すように、たとえば配信されるコンテンツを示すマルチキャストグループのグループIPアドレスと、このグループIPアドレスに対応し、当該マルチキャストグループに参加を希望する各受信者のPC装置が接続されるインターフェースの出力ポート番号と、その出力ポートに設定されているVLANの情報とが対になって格納されている。このマルチキャストフォワーディングテーブル22c2にエントリされている出力ポートとVLANには、代替用ポートに該当する出力ポートと出力VLANもエントリされている。
【0044】
なお、ユニキャスト処理部22bも同様に、図示しない中継処理部とユニキャストフォワーディングテーブルとから構成され、ユニキャストフォワーディングテーブルには、宛先IPアドレスや受信者PC装置に至るネクストホップルータのIPアドレスやこのルータが接続されるインターフェースの出力ポート番号などが格納されている。
【0045】
VRRP処理部23は、図6に示すように、IP処理部22からのパケットを受信するVRRPパケット受信部23aと、IP処理部22へパケットを送信するVRRPパケット送信部23bと、VRRP状態を管理するVRRP状態管理部23cと、後述する各タイマのカウント処理を行うタイマ処理部23dとから構成されている。
【0046】
タイマ処理部23dは、図7に示すように、マスタダウンタイマ23d1と、広告タイマ23d2と、マスタ監視タイマ23d3とを有し、これらタイマ23d1〜23d3の所定時間毎のカウント処理を行う。マスタ監視タイマ23d3は、マルチキャスト処理部22cの中継処理部22c1と接続されており、マスタ監視タイマ23d3でのカウントが満了すると、中継処理部22c1は、マルチキャストフォワーディングテーブル22c2の出力ポート、出力VLANのエントリのうち、代替用ポートに該当するエントリを削除することにより、代替用ポートを介したマルチキャストパケットの中継を停止している。
【0047】
VRRP状態管理部23cは、それぞれの論理ポートまたは自ルータがマスタ状態であるかバックアップ状態であるかを管理するとともに、タイマ処理部23dの広告タイマおよびマスタダウンタイマのカウント状態を管理している。
【0048】
このシステムで送受信されるVRRPパケットは、図8に示すように、VRRPプロトコルのバージョン情報を示すバージョンと、VRRPパケットの種類を示すタイプ(ここで、広告パケットは「1」で示されている)と、仮想ルータの識別情報を示すバーチャルルータID(VRID)と、仮想ルータの優先度を示すプライオリティと、この広告パケットに含まれるIPアドレスの数を示すカウントIPアドレス、利用される認証方法を識別するための認証タイプと、広告パケットの送信間隔(通常は1秒)を示す広告インターバルと、チェックサムと、仮想ルータに関連付けられたIPアドレスからなるIPアドレスと、認証を行うための認証データからなる認証データとから構成されている。
【0049】
次に、このような構成におけるルータの動作を図9〜図14のフローチャートに基づいて説明する。ところで、ルータの動作には、大きく分けて3つのイベント、例えばパケット受信、バックアップ状態、マスタ状態のイベントでの動作がある。この実施の形態では、図9〜図12でパケット受信の動作を示し、図13でバックアップ状態からマスタ状態への遷移の動作を示し、図14でマスタ状態の動作を説明する。
【0050】
なお、ルータ10,11におけるマスタルータとバックアップルータの設定は、上述したように、優先度やIPアドレスオーナーなどの基準によって予め決まっており、この例では、上記基準に基づいてルータ10がマスタ状態、ルータ11がバックアップ状態にあるものとする。そして、マスタルータは、タイマ処理部23dのマスタダウンタイマを停止させ、かつ広告タイマをスタートさせるものとする。また、バックアップルータは、タイマ処理部23dの広告タイマを停止させ、かつマスタダウンタイマをスタートさせるものとする。
【0051】
まず、図9において、MACフレーム処理部21のパケット受信部21aは、パケットを受信すると(ステップ101)、VRRP状態テーブル21cを参照して、バックアップ状態でかつ代替用ポートからの入力かどうかを判断する(ステップ102)。
【0052】
ここで、ルータがバックアップ状態でかつ代替用ポートからのパケット受信の場合には、受信したパケットが広告パケットかどうか判断する(ステップ103)。ここで、この受信パケットが広告パケットでない場合には、そのパケットを破棄して動作を終了する(ステップ105)。また、この受信パケットが広告パケットの場合には、相手ルータがマスタ状態で、かつこのVRRPパケットの受信処理が正常に行われていると判断して、マスタ監視タイマ23d3をリスタートし(ステップ104)、ステップ105に進んでこの広告パケットを廃棄する。
【0053】
また、ステップ102において、ルータがバックアップ状態でない場合、または代替用ポートからの受信でない場合には、パケットの宛先アドレスであるMACアドレスを参照して自分宛てかどうか判断する(ステップ106)。
【0054】
ここで、自分宛てでない場合には、このパケットをパケット送信部21bに出力して(ステップ107)、ここでレイヤ2レベルのフォワーディング処理を行い、代替用ポート以外の物理I/Fから物理ポートへ出力する(ステップ108)。また、自分宛ての場合には、IP処理I/F21dを介してIP処理部22へこのパケットを出力し(ステップ109)、このIP処理部22の中継処理部22c1で、上記パケットが広告パケットかどうか、図8に示したパケットのフレーム構成中のタイプから判断する(ステップ110)。
【0055】
なお、このステップ110では、パケットが広告パケットかどうか判断しているが、このパケットが広告パケットの場合とは、たとえば自ルータがマスタ状態で代替用ポートからの広告パケットの場合(以下、「1の場合」という)、自ルータがマスタ状態で物理ポートからの広告パケットの場合(以下、「2の場合」という)、または自ルータがバックアップ状態で物理ポートからの広告パケットの場合(以下、「3の場合」という)が考えられる。
【0056】
ここで、1の場合は、たとえば上述したごとく、経路上の障害復旧時に代替用ポートを介した広告パケットの受信の場合が考えられ、2の場合は、経路上の障害復旧時に物理ポートを介した広告パケットの受信の場合が考えられ、また3の場合は、もっとも一般的なもので、マスタ状態のルータから物理ポートを介した広告パケットの受信の場合が考えられる。これらのうち、1の場合は、代替用ポートに対応して設けられたがマスタ監視タイマ23d3を、中継処理部22c1がリスタートして(ステップ111)、図10に進む。また、2と3の場合には、このステップ111をスルーして図11に進む。
【0057】
ところで、この中継処理部22c1は、図12のフローチャートに示すように、マスタ監視タイマ23d3のカウント値が満了すると(ステップ201)、たとえば相手側のルータがマスタ状態でなくなったか、中継されるデータのトラフィック量が増大して広告パケットの受信処理ができなくない障害状態が発生していると判断して、代替用ポートを介してのマルチキャストの中継を停止する(ステップ202)。
【0058】
すなわち、中継処理部22c1は、マスタ監視タイマ23d3のカウント値が満了すると、マルチキャストフォワーディングテーブル22c2にエントリされている代替用ポートに該当する出力ポートとVLANの情報を削除して、当該代替用ポートへ出力するマルチキャストパケットおよび当該代替用ポートから入力するマルチキャストパケットを廃棄して、広告パケットの受信処理を行えるようにする。
【0059】
なお、代替用ポートを介して入力する広告パケットに対しては、受信の有無のみを監視しており、この広告パケットに応じて、各ルータは、自己の状態(マスタ状態か、バックアップ状態か)を遷移させることは行っていない。すなわち、この状態の遷移は、物理ポートを介して入力する広告パケットに対して、その物理ポート毎に行っているからである。
【0060】
次に、図10のフローチャートについて説明する。まず、図10においては、IP処理部22では、このルータの現在の状態がバックアップ状態かどうか判断し(ステップ112)、バックアップ状態の場合には、マスタダウンタイマをリスタートする(ステップ113)。また、このルータがバックアップ状態でない場合には、マスタルータと判断し(ステップ114)、次にマスタ状態を継続するかどうか判断する(ステップ115)。なお、ここでの判断は、受信した広告パケットの送信元IPアドレス、優先度、自己のIPアドレス、専制モードオンかどうかで判断する。なお、専制モードとは、優先度の低いルータが後からマスタ状態になれるかどうかを示すモードで、オンの場合はそれが可能となることを示している。
【0061】
ここで、マスタ状態を継続する場合には、その状態を維持し(ステップ116)、またマスタ状態をやめてバックアップ状態になった場合には、VRRPパケット受信部23aは、マスタダウンタイマをリスタートさせた後(ステップ117)、広告タイマを停止させる(ステップ118)。
【0062】
ステップ110において、上記受信したパケットが広告パケットではない場合には、図11に進んで現在の状態がバックアップ状態かどうか判断し(ステップ119)、バックアップ状態の場合には、受信したパケットを破棄する(ステップ120)。また、ルータがバックアップ状態でない場合には、IP処理部22によるレイヤ3レベルのIP中継処理を行った後(ステップ121)、MACフレーム処理部21のパケット送信部21bに出力して、パケット送信部21bによるMACヘッダの処理を行った後に(ステップ122)、物理I/Fへ送信する(ステップ123)。これにより、物理I/Fは、物理ポートを介して回線にパケットを送信することができる。
【0063】
次に、ルータがバックアップ状態からマスタ状態に遷移する場合の動作について図13のフローチャートを用いて説明する。図において、VRRPパケット送信部23bとVRRP状態管理部23cは、タイマ処理部23dのマスタダウンタイマをモニタしている。
【0064】
そして、マスタダウンタイマのカウント値が満了すると(ステップ301)、VRRP状態管理部23cは、もう一方のルータに故障が発生したか回線が断線したと判断して、ルータをマスタ状態に遷移する(ステップ302)。VRRPパケット送信部23bは、広告パケットを作成し、上記広告パケットをVRRPパケット送信部23bからIP処理部22およびMACフレーム処理部21を介して物理I/Fへ送信し、さらに物理I/Fから物理ポートへと送信する(ステップ303)。
【0065】
なお、IP処理部およびMACフレーム処理部21では、それぞれのヘッダの処理を行った後に広告パケットを出力している。
【0066】
次に、VRRPパケット送信部23bは、タイマ処理部23dを制御してマスタダウンタイマを停止させ(ステップ304)、広告タイマをリスタートさせる(ステップ305)。そして、広告タイマのリスタートから所定時間経過してカウントが満了すると(ステップ306)、再びステップ303に戻って、広告パケットを送信する。これにより、物理ポートから回線を介してもう一方のルータに広告パケットが送信される。
【0067】
次に、ルータがマスタ状態にある場合の動作について図14のフローチャートを用いて説明する。図において、VRRPパケット送信部23bは、上述したごとくタイマ処理部23dの広告タイマをモニタしている。
【0068】
そして、VRRPパケット送信部23bは、この広告タイマが満了すると(ステップ401)、広告パケットを作成してIP処理部22およびMACフレーム処理部21を介して物理I/Fへ送信する(ステップ402)。これにより、物理I/Fは、この広告パケットを物理ポートを介して回線に送信することができる。次に、VRRPパケット送信部23bは、広告タイマをリスタートさせ(ステップ403)、カウント値が満了するのを待つ。
【0069】
このような仮想ルータのシステムにおいて、例えば回線AとDが切断された場合、この実施の形態を用いると、ルータ10は、広告パケットを物理ポート10aから回線Aに送信するが、ルータ11には、回線Aの断線のために上記広告パケットは届かない。
【0070】
このため、ルータ11のマスタダウンタイマのカウント値は満了し、ルータ11のVRRP状態管理部23cは、ルータ10に故障が発生したか回線Aが断線したと判断する。この場合、ルータ11には、回線Bを介してPC装置1からパケットが届くので、それによって回線Bが正常であることを確認できる。そこで、VRRP状態管理部23cは、ルータの状態をバックアップ状態からマスタ状態にする。
【0071】
また、ルータ10は、広告パケットを物理ポート10bから回線Cにも送信するが、ルータ11には、回線Dの断線のために上記広告パケットは届かない。このため、ルータ11のマスタダウンタイマのカウント値は満了し、ルータ11のVRRP状態管理部23cは、ルータ10に故障が発生したか回線CかDが断線したと判断する。
【0072】
このように、回線AとDが断線された場合、この実施の形態では、ルータ10,11ともにマスタ状態になり、PC装置1からのパケットは、ルータ11の物理ポート11aから論理ポートに入力し、MACフレーム処理部21、IP処理部22(図2参照)で中継処理がなされた後に、代替用ポート11cを介して信号線3に出力される。
【0073】
そして、信号線3からのパケットは、ルータ10に取り込まれており、ここではスイッチング・リピータ動作が行われるので、パケットは代替用ポート10c、論理ポート、物理ポート10bを通り、回線Cを介してインターネット2へ送信される。
【0074】
また、インターネット2の送信者からのパケットは、回線Cを介してルータ10の物理ポート10bから論理ポートに入力し、MACフレーム処理部21、IP処理部22で中継処理がなされた後に、代替用ポート10cを介して信号線3に出力される。そして、信号線3からのパケットは、ルータ11に取り込まれており、ここではスイッチング・リピータ動作が行われるので、パケットは代替用ポート11c、論理ポート、物理ポート11aを通り、回線Bを介してPC装置1へ送信される。
【0075】
この状態で回線AとDが復旧すると、ルータ10,11はともにマスタ状態になっているので、回線C,Dを介して各ルータ10,11に取り込まれたパケットは、回線A,Bを介してPC装置1に2重化されて出力されることとなる。また、各ルータ10,11は、代替用ポート10c,11cを介して互いのルータに取り込まれることとなる。
【0076】
この時に、このパケットがデータ量が大きいマルチキャストパケットの場合には、代替用ポートを介した広告パケットの受信処理を行えない状態が発生する。各ルータ10,11では、代替用ポートを介した広告パケットの受信が行えなくなると、代替用ポートを介したマルチキャストパケットの中継を停止する。
【0077】
このように、この実施の形態1に示した仮想ルータのシステムでは、仮想ルータを構築する両ルータに物理ポートとは別の代替用ポートを設け、これら代替用ポートを信号線で接続し、回線の断線時にバックアップ状態のルータをマスタ状態に遷移させ、さらにこれら代替用ポートを介した経路でパケットを送信するので、各ルータのそれぞれ1本の回線が切断されても、良好にパケット通信を行うことが可能となり、データ中継の伝送効率を向上させることができる。
【0078】
また、この実施の形態では、障害復旧時に伴い代替用ポートを介した一定時間内の広告パケットの受信が不可能になると、この代替用ポートを介したマルチキャストパケットの送信を停止するので、障害復旧時のデータのトラフィック量の増大を防ぎ、VRRPパケットの受信処理を確実に行い、さらにデータ中継の伝送効率を向上させることができる。
【0079】
また、この実施の形態では、マルチキャストパケットをフォワーディングするために、マルチキャストグループのグループIPアドレスと、このグループIPアドレスに対応し、当該マルチキャストグループに参加を希望する各受信者のPC装置が接続されるインターフェースの出力ポート番号と、その出力ポートに設定されているVLANの情報とをマルチキャストフォワーディングテーブルに格納し、代替用ポートを介した広告パケットの受信が不可能になると、代替用ポートに該当する出力ポートと出力VLANのエントリ情報を削除するので、マルチキャストパケットの送信を確実に停止することができる。
【0080】
さらに、この実施の形態では、マスタ監視タイマでのカウント値が一定時間内の時に、次のVRRPパケットの受信がある場合には、このVRRPパケットの受信処理が正常に行われているので、マスタ監視タイマをリスタートさせるので、代替用ポートを介したパケット中継を継続させることができる。
【0081】
この発明は、これら実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明では、物理ポートで送受信されるVRRPパケットとは別に、代替用ポートにもマスタ状態のネットワーク間接続装置からVRRPパケットを定期送信し、通信相手側のネットワーク間接続装置では、このVRRPパケットの受信の有無を監視する機構を設け、代替用ポートを介して、このVRRPパケットが受信できない場合には、この代替用ポートを介したパケットの中継を停止するので、障害からの復旧時にデータのトラフィック量の増大を防ぎ、VRRPパケットの受信処理を確実に行い、データ中継の伝送効率を向上することができる。
【0083】
また、この発明では、代替ポートを介したVRRPのインターバルをカウントし、その間隔が一定時間を超える場合には、相手側がマスタ状態でなくなったか、障害が発生したと判断して、パケットの代替用ポート上への中継を停止するので、VRRPパケットの受信処理を確実に行い、データ中継の伝送効率を向上することができる。
【0084】
また、この発明では、ネットワーク間接続システムに請求項4〜8のいずれか一つに記載の仮想ネットワーク間接続装置を設け、経路上の障害復旧時に代替用ポートを介したVRRPパケットのインターバルが一定時間を超えると、代替用ポートを介したマルチキャストパケットの中継を停止するので、障害からの復旧時にデータのトラフィック量の増大を防ぎ、VRRPパケットの受信処理を確実に行い、データ中継の伝送効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかるVRRPを用いた仮想ルータのシステムにおける実施の形態1の構成を示す構成図である。
【図2】図1に示したルータの構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示したMACフレーム処理部の構成を示すブロック図である。
【図4】図2に示したマルチキャスト処理部の構成を示すブロック図である。
【図5】図4に示したマルチキャストフォワーディングテーブルの構成の一例を示す構成図である。
【図6】図2に示したVRRP処理部の構成を示すブロック図である。
【図7】図6に示したタイマ処理部の構成を示すブロック図である。
【図8】VRRPパケットのフレーム構成を示す図である。
【図9】図1に示したルータのパケット受信の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】同じく、パケット受信の動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】同じく、パケット受信の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】VRRPパケット受信の動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】図1に示したルータのバックアップ状態からマスタ状態への遷移の動作を説明するためのフローチャートである。
【図14】図1に示したルータのマスタ状態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】VRRPを用いた仮想ルータの従来のシステム構成の概念を示す構成図である。
【符号の説明】
1 PC
2 インターネット
3 信号線
10,11 ルータ
10a,10b,11a,11b 物理ポート
10c,11c 代替ポート
20 物理I/F
21 フレーム処理部
21a パケット受信部
21b パケット送信部
21c 状態テーブル
21d IP処理I/F
21e 学習テーブル
22 IP処理部
22a 処理選択部
22b ユニキャスト処理部
22c マルチキャスト処理部
22c1 中継処理部
22c2 マルチキャストフォワーディングテーブル
23 VRRP処理部
23a パケット受信部
23b パケット送信部
23d タイマ処理部
23c 状態管理部
A〜D 回線
Z 仮想ルータ
Claims (9)
- 複数のネットワーク間接続装置が、実装するVRRPによってマスタとバックアップの関係に設定された仮想ネットワーク間接続装置を構築するとともに、前記各ネットワーク間接続装置が、互いに接続されたインターフェースの代替用ポートを有し、経路上の障害時に前記代替用ポートを介して入力するパケットを転送するネットワーク間接続方法において、
前記マスタ状態のネットワーク間接続装置は、代替用ポートを介して前記VRRPのパケットを他方のネットワーク間接続装置に送信する送信工程を含み、
前記ネットワーク間接続装置は、前記代替用ポートを介してVRRPパケットを受信する受信工程と、
該VRRPパケットの受信の有無を監視する監視工程と、
該VRRPパケットを受信してから一定時間経過後に、前記代替用ポートを介したマルチキャストパケットの中継を停止する中継制御工程と、
を含むことを特徴とするネットワーク間接続方法。 - 前記中継制御工程では、前記代替用ポートへの前記マルチキャストパケットの中継を停止するとともに、前記代替用ポートから他の物理ポートへの前記マルチキャストパケットの中継を停止することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク間接続方法。
- 前記中継制御工程では、前記VRRPパケットを受信してから、前記一定時間内に前記代替用ポートを介して次のVRRPパケットの受信があると、前記一定時間をカウントするタイマ手段をリスタートさせることを特徴とする請求項1または2に記載のネットワーク間接続方法。
- 同一のネットワーク内に接続され、VRRPを用いてマスタとバックアップの関係に設定されるとともに、互いに接続されたインターフェースの代替用ポートを有する複数のネットワーク間接続装置によって構築され、経路上の障害時に前記代替用ポートを介して入力するパケットの転送を行う仮想ネットワーク間接続装置において、
前記代替用ポートを介して前記VRRPのパケットを他方のネットワーク間接続装置に送信する送信手段と、
前記代替用ポートを介して入力するVRRPパケットを受信する受信手段と、
前記VRRPパケットの受信の有無を監視する監視手段と、
前記監視結果に応じて、代替用ポートを介したマルチキャストパケットの中継を停止する中継制御手段と、
を備えたことを特徴とする仮想ネットワーク間接続装置。 - 前記仮想ネットワーク間接続装置は、前記VRRPパケットの受信からの一定時間をカウントするタイマ手段をさらに備え、
前記中継制御手段は、前記タイマ手段でカウントされた一定時間経過後に前記代替用ポートを介したマルチキャストパケットの中継を停止することを特徴とする請求項4に記載の仮想ネットワーク間接続装置。 - 前記仮想ネットワーク間接続装置は、少なくともマルチキャストグループのグループIPアドレスと、代替用ポートに該当する出力ポートとVLANの情報がエントリされている記憶手段をさらに備え、
前記中継制御手段は、前記タイマ手段のカウントが満了すると、前記代替用ポートに該当するエントリを削除して、当該代替用ポートを介したマルチキャストパケットの中継を停止することを特徴とする請求項5に記載の仮想ネットワーク間接続装置。 - 前記中継制御手段は、前記代替用ポートへ中継する前記マルチキャストパケットを廃棄するとともに、前記代替用ポートから他の物理ポートへ中継する前記マルチキャストパケットを廃棄して前記パケット中継を停止することを特徴とする請求項5または6に記載の仮想ネットワーク間接続装置。
- 前記中継制御手段は、前記VRRPパケットを受信してから前記タイマ手段でカウントされる一定時間内に前記代替用ポートを介して次のVRRPパケットの受信があると、当該タイマ手段をリスタートさせることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一つに記載の仮想ネットワーク間接続装置。
- 同一のネットワーク内に接続され、VRRPを用いてマスタとバックアップの関係に設定される複数のネットワーク間接続装置によって構築される仮想ネットワーク間接続装置と、前記仮想ネットワーク間接続装置にマルチキャストパケットを送信するノードと、前記仮想ネットワーク間接続装置から転送されたマルチキャストパケットを受信するノードと、これら装置を接続させる伝送路とを有するネットワーク間接続システムにおいて、
前記仮想ネットワーク間接続装置は、請求項4〜8のいずれか一つに記載の仮想ネットワーク間接続装置からなり、経路上の障害復旧時に前記代替用ポートを介したマルチキャストパケットの中継を停止することを特徴とするネットワーク間接続システム。
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