JP2004079656A - イオン注入工程の3次元シミュレーション方法および装置 - Google Patents
イオン注入工程の3次元シミュレーション方法および装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】多層膜構造の不純物濃度分布を求めるイオン注入計算を含む3次元シミュレーションの計算時間が膨大である。
【解決手段】半導体装置に対し、細かな多数のメッシュからなる立方体状の3次元計算領域を設定する工程(ST1)と、3次元計算領域内で半導体に対してほぼ水平に膜が重なった構造の平坦領域を求める工程(ST2)と、平坦領域に属するメッシュ点の分布を、深さ方向の1次元計算により求める工程(ST3)とを含む。
【選択図】 図3
【解決手段】半導体装置に対し、細かな多数のメッシュからなる立方体状の3次元計算領域を設定する工程(ST1)と、3次元計算領域内で半導体に対してほぼ水平に膜が重なった構造の平坦領域を求める工程(ST2)と、平坦領域に属するメッシュ点の分布を、深さ方向の1次元計算により求める工程(ST3)とを含む。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造のイオン注入工程の3次元シミュレーション方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
イオン注入は、基板に不純物を導入するための方法で、現在、半導体製造において最も広く用いられている技術である。最近のLSIの微細化に伴い、熱工程を減らして不純物の熱拡散を抑え、なるべく浅く不純物を導入することが求められるようになってきている。したがって、イオン注入工程によって導入された不純物の基板内部の分布を正確に求めることは、ますます重要になってきている。
【0003】
イオン注入工程の不純物分布の計算方法では、普通、解析式を使う方法が用いられる。この方法では、イオン注入による不純物の分布が、深さ方向、水平方向それぞれにおいて幾つかのパラメータを含む解析式から計算される。そして、これらパラメータは実験データを用いて決められるのが普通である。
【0004】
深さ方向の分布を表す解析式としてよく用いられるものにPearson関数がある。さらに、最近では、深さ方向の分布を表すのに2つのPearson関数を用いることも多くなってきている。
これらの分布関数のパラメータは、般的に、実験データとの比較により求めることが多い。たとえばPearson関数をSIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)の測定データと合わせ込み、最も一致度が高いときのPearson関数のパラメータを抽出する。
【0005】
一方、水平方向についてはGauss関数がよく用いられる。
【0006】
製造に使われるイオン注入はいろいろな膜をデポジションした後に行われることが殆どである。このような多層膜構造の場合、解析式を用いる計算では、各層の膜厚を計算したい材料の膜厚に換算するという方法がよくとられる。
【0007】
多層膜中にイオン注入により導入した不純物の分布を3次元計算する場合、3次元計算領域を定め、この領域を細かなメッシュに分割して、それぞれのメッシュに対して深さ方向と水平方向の3次元計算を、決められた解析式を用いて実行する。この計算方法としていろいろな方法が考えられる。不純物濃度に対応した各メッシュ点の密度を順次計算していく最も一般的な方法をとった場合、計算時間はメッシュの数にほぼ比例することになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
3次元多層膜構造の場合、十分な計算精度を持ったメッシュ構造を考えると、そのメッシュの数は数万から数十万個になる。2次元構造の場合、数千個あれば十分であることを考えると、3次元計算では、2次元の場合に比べて、メッシュの数だけから言っても10倍から100倍の時間がかかることになる。
【0009】
また、イオン注入は通常、チャネリング防止などの観点から多少なりとも角度をつけて行われ、また、垂直で行う場合でも注入イオンはランダムに角度を変えながら膜内を進行するため周囲のメッシュからの影響を考慮する必要があるが、3次元計算では考慮すべき周囲のメッシュが2次元計算時より多い。その結果、実際は、1点の濃度の計算も3次元的に計算するほうが2次元的に計算するよりはるかに時間がかかることとなる。
【0010】
現在のコンピュータの性能下で2次元計算のアルゴリズムを実行すると、そのイオン注入計算は分オーダーで完了する。
しかし、同じコンピュータの性能で3次元計算をしようとすると、その計算時間は、数十分から1時間を越えることになる。
このように3次元構造のイオン注入計算に多くの時間を要する原因は、前記したように、メッシュ点の数が2次元構造に比べて2桁程度多いことに加え、周囲からの影響を3次元で考慮する必要があるためである。
【0011】
本発明の目的は、半導体上に単数または複数の膜を堆積させた構造の不純物濃度分布を求めるイオン注入計算を含む3次元シミュレーションにおいて、その計算時間を短縮することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る3次元シミュレーション方法は、半導体装置のイオン注入工程後の不純物濃度分布を予測する3次元シミュレーション方法であって、前記半導体装置に対し、細かな多数のメッシュからなる立方体状の3次元計算領域を設定する工程と、前記3次元計算領域内で半導体に対してほぼ水平に膜が重なった構造の平坦領域を求める工程と、前記平坦領域に属するメッシュ点の分布を、深さ方向の1次元計算により求める工程と、を含む。
【0013】
好適に、前記平坦領域を求める工程では、前記3次元計算領域の半導体面に垂直な4つの稜線の少なくとも1つの稜線に接する部分を基点に前記平坦領域を探索する。
また、好適には、前記平坦領域を求める工程が、半導体と膜間あるいは膜同士間の任意の境界面内で基点メッシュを1つ決め、この基点メッシュの面に垂直な単位ベクトルである基点法線ベクトルを計算する工程と、前記境界面内で前記基点メッシュに接する他のメッシュを探索し、探索した前記メッシュの法線ベクトルを計算する工程と、メッシュの前記探索と法線ベクトルの前記計算とを繰り返して、法線ベクトルの向きが前記基点法線ベクトルとほぼ同じと認められ、かつ、前記基点メッシュに連鎖的に連なるメッシュ群を特定し、特定した当該メッシュ群と前記基点メッシュからなる領域を境界面の平坦部として定める工程と、他の境界面がある場合、その境界面内で同様にして平坦部を求める工程と、半導体面に垂直な方向からみて複数の平坦部が互いに重なる重複部分を求め、当該重複部分により2次元範囲が限定された前記構造の3次元領域を前記平坦領域として確定する工程と、を含む。
【0014】
前記メッシュ点の分布を求める工程では、補間処理を用いて、よりきめの細かい分布を作成するとよい。すなわち、当該工程が、前記構造の平坦領域内で、任意の着目したメッシュの半導体面に垂直な方向からみた投影領域でメッシュ点の1次元分布を求める工程と、予め登録しておいた分布テーブルを参照してメッシュ点間の補間を行い、求めたメッシュ点の1次元分布を、より細かな分布に変換する工程と、前記メッシュ点の1次元分布の計算と補間とを、着目するメッシュを変えながら前記構造の平坦領域内で全てのメッシュに対して繰り返す工程と、を含む。
【0015】
前記構造を構成する膜が複数あり、それらの材料が異なる場合に、好適に、任意の1つの材料の膜に、他の全ての材料の膜を換算して予め多層膜の構造パラメータを簡略化する工程を、さらに含む。
【0016】
前記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係る3次元シミュレーション装置は、半導体装置のイオン注入工程後の不純物濃度分布を予測する3次元シミュレーション装置であって、前記半導体装置に対し、細かな多数のメッシュからなる直方体状の3次元計算領域を設定する計算領域設定手段と、前記3次元計算領域内で半導体に対してほぼ水平に膜が重なった構造の平坦領域を求める平坦領域探索手段と、前記平坦領域に属するメッシュ点の分布を、深さ方向の1次元計算により求める分布計算手段と、を有している。
【0017】
半導体面に対してほぼ水平に膜が重なった3次元計算領域の部分(平坦領域)では、境界面における計算対象メッシュの周囲からの影響を、どの計算点でも同じとしても問題がない。したがって、メッシュ点の不純物濃度は、メッシュ点の表面からの深さと、その間の多層膜構造とが判れば見積もることができる。
本発明は、このことを利用したものであり、まず、平坦領域を求め、その平坦領域内で深さ方向のメッシュ点の1次元計算と(その補間)を実行する。具体的には、基点メッシュを、たとえば3次元計算領域の4つの稜線に接する部分に定め、その基点メッシュと法線ベクトルの向きが等価と認められるメッシュの集まりを平坦部として定める。つぎに、平坦部を垂直投射して得られる構造部分を計算すべき平坦領域とする。このようにして確定された計算領域では、前記した1次元補間計算で代用しても3次元計算と同じ確かさで不純物濃度分布を求めることができる。なお、平坦領域以外の部分では、従来と同様にメッシュごとの順次計算方法などを用いる。
この3次元シミュレーション方法では平坦領域のみで計算効率が向上するが、半導体装置は平坦領域の割合が他の領域より多い場合が普通であり、本発明によって全体の計算効率はかなり改善される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るシミュレーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【0019】
本実施形態における3次元シミュレーション装置(3次元シミュレータ)は、半導体デバイスに対し、細かな多数のメッシュからなる直方体状の3次元計算領域を設定し、3次元計算領域内で半導体に対してほぼ水平に膜が重なった構造の平坦領域を探索し、平坦領域に属するメッシュ点の分布を深さ方向の1次元計算とその補間で求めることにより、3次元計算の回数を低減し、計算時間の削減とコンピュータ資源の有効活用を図るものである。
【0020】
この3次元シミュレータ1は、大まかには、デバイスの計算領域を設定し各種データおよび計算条件を決めるなど、実計算の準備に必要な各種処理を行うプリプロセッサ2と、所定の解析式を基に不純物分布を求めるメインプロセッサ3と、メインプロセッサ3の結果を所定の出力形式に適合したかたちに変換し出力するポストプロセッサ4と、これら各プロセッサ2,3,4にデータおよび条件を与え、また計算結果を蓄積する記憶装置5と、表示装置6とから構成されている。また、イオン注入直後の不純物濃度分布データを実測するSIMS測定装置7が記憶装置5にオンライン又はオフラインで接続されている。
【0021】
記憶装置5内には、前記SIMS測定装置7からの不純物濃度分布データを記憶する実測値データベース8と、所定の解析式から予め求められ、不純物が注入される材料および注入条件ごとに、注入深さとその深さの不純物濃度分布データが1対1に対応して数値化されて記憶された1次元不純物濃度分布テーブルと、が格納されている。1次元不純物濃度分布テーブルは補間処理に用いることから、以下、補間データベース9という。
【0022】
プリプロセッサ2内には、予め与えられたデバイス構造パラメータから構築されるデバイス形状を所定の規則に従って細かなメッシュに分割し、その直方体状の特定領域を3次元計算領域として設定する計算領域設定手段21を含む。このメッシュの分割を支配するパラメータはオペレータが変更でき、また、直方体状の3次元計算領域の指定もオペレータの操作によって変えることができる。
なお、プリプロセッサ2は、必要に応じて、実測値データベース8からの不純物濃度分布データに対しバラツキを緩和する処理を行ない、あるいは、解析式の関数パラメータを抽出し、抽出したパラメータが適用された解析式を用いて補間データベース9を構築するなどの各種処理を行う。その他、プリプロセッサ2は、オペレータの条件入力を受け付け、各種データからプロセスモデルを作成し、また境界等の条件を策定するなど、シミュレーションの実計算の準備に必要な処理すべてを行う。
【0023】
メインプロセッサ3は、プロセスおよびデバイスシミュレーションを行う手段であり、ここではイオン注入工程の不純物分布の3次元計算を行う。メインプロセッサ3は、また、3次元計算に先立って3次元計算を行う平坦領域を探索する平坦領域探索手段31と、探索した平坦領域内で1次元不純物分布計算を行い、他の部分では通常の3次元不純物分布計算を行う分布計算手段32とを有する。1次元または3次元の計算としては、モンテカルロ法など粒子モデルに基づくシミュレーション方法もあるが、ここでは解析式を使う方法を実行する。すなわち、イオン注入による不純物濃度分布が、深さ方向(およ水平方向)それぞれで幾つかのパラメータを含む解析式から計算される。そして、これらパラメータは実験データ、たとえばSIMSの実測データから決められる。
【0024】
つぎに、本実施形態に係る3次元シミュレーション方法の手順を、プリプロセッサ2およびメインプロセッサ3の処理を中心に説明する。
ここでは、MOSトランジスタのソース・ドレイン不純物領域を形成するためのイオン注入において、シリコン基板上の複数の絶縁膜を通して基板に不純物を導入する場合の不純物濃度分布を予測する。そして、基板上に二酸化珪素膜が堆積され、その上に窒化珪素膜が堆積されている場合を例とする。
前記したように本実施形態では、このようなシリコン基板などの半導体に対しほぼ水平に形成された箇所を有する膜内の不純物シミュレーション過程で、処理の効率化を図るものであり、以下、この絶縁膜内の不純物分布シミュレーションを中心に説明する。
【0025】
図2は、このシミュレーションに用いたMOSトランジスタの構造を示す斜視図である。
単結晶シリコンからなる半導体基板SUBに、RIE等により溝(トレンチ)Tが形成され、トレンチT内に二酸化珪素などからなる素子分離絶縁膜ISOが埋め込まれている。トレンチT周囲の基板表面に二酸化珪素からなるゲート酸化膜OXが形成されている。ゲート酸化膜OX上から素子分離絶縁膜ISO上にかけて、ドープド多結晶珪素からなるゲート電極GDが細長いライン上に形成されている。ゲート電極GDの幅は0.1μm程度である。ゲート電極GD上、ゲート電極周囲の素子分離絶縁膜ISOおよびゲート酸化膜OX上を覆って窒化珪素からなる窒化膜NIが堆積されている。このため、トレンチ周囲の基板表面領域(活性領域)上は、酸化膜OXと窒化膜NIとからなる多層膜構造となっている。この活性領域には、当該多層膜をスルー膜とするイオン注入によりN型不純物が導入され、これによりソース・ドレイン不純物領域S/Dが形成されている。
【0026】
図3は、本実施形態に係る3次元シミュレーション方法の主要工程を示すフローチャートである。
まず、ステップST1において、プリプロセッサ2による各種処理(前処理)が実行される。
まず、プリプロセッサ2がデバイス形状に応じて計算領域を細かいメッシュに分割する。このメッシュの形成方法は種々あるが、ここでは、直方体メッシュで区切られたシリコン等を適宜、たとえば8分割ベース法などを用いて4面体メッシュに変換する方法が採用されている。全てを4面体メッシュにしてもよいし、プロセスに応じて複雑な形状を表現する箇所や非連続箇所、あるいは計算精度を高めたい箇所を中心に部分的に4面体メッシュを形成してもよい。ただし、多層膜の場合は複雑な形状を反映させるため通常は、全て4面体メッシュとなっている。
【0027】
また、プリプロセッサ2内の計算領域設定手段21が、3次元計算を行うべき領域を直方体状のエリアで設定する。この3次元計算領域の取り方は任意であるが、ここでは、図2に示すように、3次元計算領域22の4つの稜線、すなわち基板SUBに垂直な方向の4辺のうち1辺がソース側のn+不純物領域(一方のソース・ドレイン不純物領域S/D)を通り、他の1辺がドレイン側のn+不純物領域(他方のソース・ドレイン不純物領域S/D)を通り、残りの2辺が素子分離絶縁膜ISO内を通る場合を想定する。
【0028】
また、プリプロセッサ2は、解析式のパラメータを抽出する。
本例では、深さ方向の分布を表す解析式としてPearson関数を用いるとする。これは、次式(1)の微分方程式で定義される関数f(u)である。
【数1】
df(u)/du
=(u−b1)f(u)/(b0+b1u+b2u2)…(1)
【0029】
ここで、zを基板の深さ方向の座標とすると、u、b0、b1、b2、Aは次式(2−1)〜(2−5)のように表される。
【数2】
u =z−Rp …(2−1)
b0=−σ2(4β−3γ2)/A …(2−2)
b1=−σγ(β−3)/A …(2−3)
b2=(−2β+3γ2+6)/A …(2−4)
A=10β−12γ2−18 …(2−5)
【0030】
Rp,σ,γ,βは、実験データ、特にSIMSのデータから求められる。ここで、Rpはイオン注入の投影飛程、σは投影飛程の標準偏差、γは分布の偏りを表す“ひずみ(skew ness)”、βはピーク付近の分布形状を表す“とがり(kurtosis)”のパラメータである。SIMSの測定結果から得られる分布関数をM(z)とすると、Rp,σ,γ,βは近似的に次式(3−1)〜(3−4)により表される。
【数3】
【0031】
しかし、この関係はあくまで近似で、通常、実際のM(z)とPearson関数を精度よく一致させるには、何らかの合わせ込み作業が必要になる。
この合わせ込み作業は予めプリプロセッサ2で実行され、これにより、前記したPearson関数のRP,σ,γ,βといったパラメータが抽出される。具体的には、SIMSデータが示す不純物濃度の分布関数M(z)を、たとえば最小自乗法(Levenberg−Marquart法等)を用いてPearson関数f(u)と比較し、双方の一致度が高くなるようにf(u)のパラメータRP,σ,γ,βを変化させる。そして、この最も一致度が高いときのパラメータRP,σ,γ,βを不純物濃度分布パラメータとして抽出する。
この作業を、想定されるイオン注入条件、注入対象となる材料の条件を適宜変えながら繰り返し、これら条件の組ごとに不純物濃度分布パラメータRP,σ,γ,βを決定しておく。これらのパラメータは、記憶装置5にテーブル化されて予め格納してある。
なお、前記した分布関数M(z)を規定するSIMSデータも記憶装置5内に、実測値データベース8として保管されている。
【0032】
また、この抽出されたパラメータを用いた分布関数f(u)に基づいて、特定材料の表面からの深さzと、その点の特定不純物の濃度N(z)との対応を数値化し、前記した補間データベース9が構築されている。この作業もプリプロセッサ2が行うものとし、補間データベース9は記憶装置5内に格納されている。なお、深さのピッチΔzは任意であるが、ここでは0.1nmとする。
【0033】
なお、深さ方向の分布を表すのに2つのPearson関数(Dual−Pearson関数)を用いてもよい。Dual−Pearson関数F(z)は、次式(4)により表される。
【数4】
ここで、zは基板の深さ方向の座標、f1とf2は規格化された2つのPearson関数、DOSEはイオン注入ドーズ、Rは注入ドーズに占めるf1の割合を示すパラメータである。また、Rp1,σ1,γ1,β1は第1Pearson関数f1の分布形状を決定するパラメータ、Rp2,σ2,γ2,β2は第2Pearson関数f2の分布形状を決定するパラメータを示し、具体的に、Rp1,Rp2はイオン注入の投影飛程、σ1,σ2はそれぞれ投影飛程Rp1,Rp2の標準偏差、γ1,γ2は分布の偏りを表す“ひずみ”、β1,β2はピーク付近の分布形状を表す“とがり”のパラメータである。
【0034】
前記の式(4)に示されるように、Dual−Pearson関数F(z)は、2つのPearson関数f1とPearson関数f2から構成されている。Pearson関数f1はランダムに散乱された不純物の濃度分布を表しており、Pearson関数f2は基板格子間をチャネリングした不純物の濃度分布を表している。
このように、2つのPearson関数が組み合わされていることから、他のGauss関数、Pearson関数では再現が難しいイオン注入時の基板深さ方向の不純物濃度分布のチャネリングテールを高精度に表現できる。また、異なる注入ドーズ間で、Pearson関数f1の占める割合Rを注入ドーズに応じて変化させることにより、チャネリングの度合いの注入ドーズ依存性を表現することが可能である。
このようなDual−Pearson関数F(z)は、シリコン中の不純物濃度の計算に適している。しかし、本例では絶縁膜中の不純物濃度の計算は、より計算が簡単なPearson関数f(u)を用いることとし、以下の説明を進める。Dual−Pearson関数を用いても同様な方法が可能なことは言うまでもない。
【0035】
一方、水平方向は、たとえば次式(5)で定義されるGauss関数を用いる。
【数5】
ここで、rはイオン注入の軸からの水平方向の距離を表す。
【0036】
シリコン上に単一または複数の膜が積層された構造に対して、解析式を用いて不純物濃度分布を計算する場合、各層の膜厚を計算したい材料の膜厚に換算することが必要である。この膜厚換算も、図3のステップST1においてプリプロセッサ2が行う。
【0037】
本実施例では、前記したように、シリコン基板SUB上に酸化膜OXがTox、窒化膜NIがTSiNの各膜厚でデポジッションされた構造を想定している。まず、一番上の窒化膜NI内の分布計算は、窒化膜NIが半無限であると仮定して計算し、表面から深さTSiNまでの分布を窒化膜中の分布とする。
【0038】
つぎに、酸化膜OX中の分布を計算する場合、酸化膜OX上にある窒化膜NIの厚みを酸化膜OXではどの程度の膜厚になるかを推定する。よく使われるのは、各材質へのイオン注入時の投影飛程RPの値で、RPの値が小さいものほどイオンを止める能力が高いと考え、RPの値の比で他の材質の膜厚を換算する。この場合、厚みTSiNの窒化膜NIを酸化膜で換算すると、その換算後の窒化膜厚USiNは[Rp(OX)/Rp(SiN)]Toxとなる。ここで、Rp(OX),Rp(SiN)はそれぞれ酸化シリコン、窒化シリコンの投影飛程Rpである。そして、半無限に酸化膜があると考えて深さ方向の分布を計算し、表面からUSiNと(USiN+Tox)の間の分布を酸化膜OX中の分布とする。
【0039】
なお、他の膜がある場合、以下、同じことを繰り返して、多層膜中の分布を決めていく。
【0040】
つぎに、図3のステップST2〜ST4の工程でメインプロセッサ3が行う処理および計算を説明する。
この手順は、大まかに分けると、同じ多層構造の中で基板にほぼ水平に膜が堆積された平坦領域を探索する工程ST2、平坦領域内でメッシュ点の深さ方向の濃度の計算を行う工程ST32、および他の部分の濃度計算を行う工程ST4からなる。なお、本実施形態では、3次元の計算領域の一部分(平坦領域)の計算方法に特徴があるため、この部分の計算方法を詳しく述べる。残りの部分は従来の方法で計算するため、ここでの説明は省略する。
【0041】
図4のフローチャートに、平坦領域の探索工程ST2の内容を詳細に示す。
大抵の形状の計算では、境界条件のために3次元の計算領域の側面では、膜材質が水平になっていることが多い。そこで、本例では3次元の計算領域の4つの垂直な稜線のうち1つの稜線から始めて、同じ多層膜の構造がどこまで広がっているかを探索を行い、探索した領域の水平度を検地しながら水平度が高いと認識できる領域を3次元計算領域の内側に順次拡大していく手法をとる。そして、探索の結果を用いて、多層膜構造の平坦領域を確定する。
【0042】
なお、以下、探索および平坦領域の確定の説明に図5(A)〜図6を用いる。ここで、図5(A)は、図2の3次元計算領域22を、ソース・ドレイン不純物領域S/D側から見た斜視図である。また、図5(B)は図5(A)の丸印で囲んだ部分Aを上方から見た拡大図、図5(C)は四面体メッシュにおける法線ベクトルを説明するための図である。さらに、図6は、平坦領域の確定手法を示す図である。
【0043】
まず、図4のステップST201において、多層膜構造内の境界面の数Mを入力し、計算対象の境界面番号jを初期値1に設定する。本例では、多層膜構造内の境界面は、図5(A)に示すように、窒化膜NIの上の境界面S1、窒化膜NIと酸化膜OXの界面S2、酸化膜OXと基板SUBのシリコンとの界面S3の3つであり、境界面数M=3となる。
【0044】
ステップST202において、探索の基点を選ぶ。ここで、計算領域の境界面は無数の四面体メッシュの3角形の面で構成されていると仮定し、1番目の境界面S1を通る1つの稜線に着目する。本例では、図5(A)に示す3次元計算領域22の4つの稜線22a、22b、22c,22dのうち稜線22aに、まず着目する。そして、着目した稜線22aを頂点に持つ三角形を1つ選び、この三角形を探索の基点メッシュの一番目の境界に属する面(以下、基点三角形)とする。図5(B)では基点三角形を記号▲1▼を付して表している。
続くステップST203では、この基点三角形の法線ベクトル(図5(C)参照)を計算する。この法線ベクトルは、領域の水平度を測る基準となるものであり、以下、基点法線ベクトルという。
【0045】
つぎに、ステップST204において、基点三角形▲1▼に辺を接する他の三角形を探索する。そして、次のステップST205で探索された三角形の数を数え、これを変数Nに代入する。また、隣接三角形の番号iを初期値1とし、つぎのステップST206でi番目の隣接三角形の法線ベクトルを計算する。図5(B)では、このとき探索された隣接三角形を記号▲2▼で表しており、その数Nは2である。
【0046】
ステップST207で、法線ベクトルが垂直か否かを、たとえば基点法線ベクトルとの比較で調べる。稜線では、形状計算の境界条件から、ほぼ確実に境界面は水平になっているので、計算した法線ベクトルの向きが基点法線ベクトルの向きとほぼ一致する。この一致度は多少の許容範囲内であるか否かにより調べる。法線ベクトルが垂直なら、その三角形の領域は稜線部分と同じ多層膜構造を持っている可能性がある。
そこで、続くステップST208において、j番目の境界面の平坦部に、法線ベクトルが垂直な隣接三角形(i=1)を1つ加える。本例では、図5(B)に示す基点三角形▲1▼に2つの隣接三角形▲2▼の一方を加えた部分が、当該平坦部となる。
なお、このステップST208は、先のステップST207で法線ベクトルが垂直でないと判断された場合にスキップされる。
【0047】
つぎのステップST209で変数iをインクリメントし(i:1→2)、つぎのステップST210の判断で、この変数が隣接三角形数Nを超えていないと判断され、処理がステップST206の前に戻る。そして、i=2の隣接三角形に対しステップST206〜ST208の処理や判断がなされる。この段階で、平坦部は、基点三角形▲1▼に2つの隣接三角形▲2▼の双方を加えた部分にまで拡大される。つぎのステップST209でi=3となるため、処理はステップST210から次のステップST211に移行する。
【0048】
ステップST211では、「平坦部に新たに三角形が加えられたか否か」が判断される。この判断結果が「No」となるまで、ステップST202〜ST210が繰り返される。
通常、探索が開始されてから暫くは境界面が平坦なので、図5(B)に示す隣接三角形▲3▼、…と次々に隣接三角形が平坦部に付加され、平坦部が拡大する。そして、ゲートの近くまでくると付け加えるべき三角形が次第に減ってきて、最後には平坦部の拡大が停止する。このとき、ステップST211で「No」と判断され、当該稜線22aを基点とした第1番目の境界面S1部分で平坦部が確定する。
【0049】
つぎのステップでは境界面に関する変数jがインクリメントされ、検索対象の境界面を2番目の境界面に移し、ステップST202からの処理を再度実行する。これにより、稜線22aを基点とした第2番目の境界面S2部分で平坦部が確定する。必要なら他の境界面についても同様な処理を行った後、ステップST213で、多層膜構造に境界面が存在しないと判断されると、処理は図3のステップST3に移行する。
なお、注目する垂直な稜線は、3次元計算の場合に4つあるので、一般にはこれらの操作で境界面ごとに4つずつの領域が求まる。図4のフロー図では、他の稜線22bから22dに接する部分の平坦部の決定は、同様な処理なので省略している。同じ稜線に接する部分で境界面を変えながら探索する手順をとってもよいし、逆に、同じ境界面で稜線を変えながら探索する手順をとってもよい。構造によっては、これらのうち幾つかが合体する可能性もある。そこで、以後、求まった平坦部の各境界面での数を単に複数個と表現する。
【0050】
本実施形態で計算効率を高める前提として多層膜構造内で各層が水平でなければならないので、各境界面で求めた2次元領域(平坦部)の垂直方向への射影同士が重なる部分が求める計算対象の3次元平坦領域である。
図6は、この垂直方向の射影の様子を模式的に示すものである。図6において、境界面S1上で4つの平坦部H1a、H1b,H1c,H1dが図示のようなパターンにて求まり、境界面S2上で平坦部H2a、H2b,H2c,H2dが図示のようなパターンにて求まったとする。これらの垂直方向の射影の重なり部分は、境界面S2に投影された斜線部となる。この斜線部を断面にもつ多層膜構造部分が求める3次元平坦領域として確定する。このように垂直方向への射影を考えることで、計算対象領域を同じ多層膜構造で複数個見つけることができる。
【0051】
つぎに、この複数個の3次元平坦領域内のメッシュ点の濃度の計算工程(ST3)を詳細に説明する。そのフローチャートを図7に示す。
【0052】
まず、複数個の3次元平坦領域の一つを考える。この領域はそれを含む稜線と同じ多層膜の構造をしていることは明らかであるが、続くステップST32で分布表を作成する必要から、その前に、ステップST31で多層膜構造を解析する。これにより、膜厚等が3次元計算領域ごとに正確に調べられる。
次のステップST32では、先に構築された補間データベースから必要なデータを呼び出して、シミュレーションしようとするイオン注入条件および多層膜構造に適合したZ座標と濃度分布の表を作成する。この分布表は、記憶装置5内に保管される。
【0053】
同じ3次元平坦領域内では、基本的に、内部のイオン注入後の不純物の分布は同じと考えられる。ただし、平坦領域の内側の境界近傍では、平坦でない周囲の多層膜部分からの注入イオンの広がりの影響があり、この境界近傍では必ずしも他の領域と同じ分布とは限らない。
そこで、次のステップST33では、多層膜の中でも水平方向の投影飛程の標準偏差σが最も大きい材質の当該標準偏差σlを用いて、その2倍から3倍内側の平坦領域に計算の範囲を限定する。なお、この倍率はユーザーが変更できるようにしておくのが望ましい。これにより、その後、図8において1点破線より外側の範囲で計算が行われることとなる。
【0054】
つぎのステップST34,ST35では、平坦領域内のメッシュ点での不純物濃度を計算する。
ステップST34において、図6のH1aとH2aの斜線部分を上面と下面とする3次元領域に属するメッシュ点の数をNとし、i番目のメッシュ点に着目する。
ステップST35において、i番目のメッシュ点の濃度を1次元計算または表から求める。ここでは、平坦領域内の濃度は同じなので、i番目のメッシュ点の濃度は、ステップST32で作成された表より求めることができる。図8(A)に、メッシュ点の分布の様子を模式的に示す。また、図8(B)は、メッシュ点の濃度分布をグラフ化したものである。
【0055】
ステップST36において補間を行う。着目メッシュ点iの濃度は、図9に示すように、補間データベースの濃度の補間により、簡単に求めることができる。
【0056】
他の稜線が属する平坦領域に対しても同様に計算を行って、その結果をメモリに格納する。
その後、図3に示すステップST4で、平坦でない多層膜部分を含めた残りの部分を3次元計算によりシミュレーションする。
そして、その結果を、前記メモリに格納された平坦領域の計算結果と統合して所定の形式で、たとえば表示装置6に出力することにより、当該3次元シミュレーションが完了する。
【0057】
この方法では、平坦領域の境界面にある三角形の下方領域ごとに1回の細かなメッシュの1次元計算と、各メッシュ点間の補間で計算がすむので、メッシュ点ごとに3次元計算を行うより圧倒的に短い時間で計算がすむ。
【0058】
実際に、STI(Shallow Trench Isolation)を使ったMOSトランジスタの計算を行った。
計算に使ったトランジスタの構造は図2と同じであり、ゲート長が0.2μm、ゲート幅0.4μmであった。この場合のメッシュ点の数は全体で82354個であった。4つの稜線と同じ多層膜構造をもつ平坦領域は、この場合に4つあり、それぞれ、メッシュ点を5353個、14012個、5353個、14012個含んでいた。
本発明を使った場合の計算時間は2903秒で、本発明を使わない場合は4675秒であり、本発明を使うことで計算時間を約40%節約できた。これにより、コンピュータ資源の有効活用が可能となった。
【0059】
【発明の効果】
本発明に係る3次元シミュレーション方法および装置によれば、半導体上に単数または複数の膜を堆積させた構造の不純物濃度分布求めるイオン注入計算を含む3次元シミュレーションの計算時間を短縮し、コンピュータ資源の有効利用が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るシミュレーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る3次元シミュレーションに用いたMOSトランジスタの構造を示す斜視図である。
【図3】実施形態に係る3次元シミュレーション方法の主要工程を示すフローチャートである。
【図4】実施形態に係る3次元シミュレーション方法において、平坦領域の探索工程の内容を詳細に示すフローチャートである。
【図5】(A)は3次元計算領域をソース・ドレイン不純物領域側から見た斜視図である。(B)は(A)の丸印で囲んだ部分を上方から見た拡大図である。(C)は四面体メッシュにおける法線ベクトルの説明図である。
【図6】平坦領域の確定手法を示す図である。
【図7】複数個の3次元平坦領域内のメッシュ点の濃度の計算工程を詳細に説明するフローチャートである。
【図8】(A)は、メッシュ点の分布の様子を模式的に示す図である。(B)は、メッシュ点の濃度分布を示すグラフである。
【図9】補間点を示すグラフの拡大図である。
【符号の説明】
1…3次元シミュレータ、2…プリプロセッサ、3…メインプロセッサ、4…ポストプロセッサ、5…記憶装置、6…表示装置、7…測定装置、8…実測値データベース、9…補間データベース、21…計算領域設定手段、22…3次元計算領域、22a〜22d…稜線、31…平坦領域検索手段、32…分布計算手段、GD…ゲート電極、H1a〜H2d…平坦部、ISO…素子分離絶縁膜、NI…窒化膜、OX…ゲート酸化膜、RP…投影飛程、RP,σ,γ,β…パラメータ、S/D…ソース・ドレイン不純物領域、S1,S2…境界面、SUB…シリコン基板、T…トレンチ
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造のイオン注入工程の3次元シミュレーション方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
イオン注入は、基板に不純物を導入するための方法で、現在、半導体製造において最も広く用いられている技術である。最近のLSIの微細化に伴い、熱工程を減らして不純物の熱拡散を抑え、なるべく浅く不純物を導入することが求められるようになってきている。したがって、イオン注入工程によって導入された不純物の基板内部の分布を正確に求めることは、ますます重要になってきている。
【0003】
イオン注入工程の不純物分布の計算方法では、普通、解析式を使う方法が用いられる。この方法では、イオン注入による不純物の分布が、深さ方向、水平方向それぞれにおいて幾つかのパラメータを含む解析式から計算される。そして、これらパラメータは実験データを用いて決められるのが普通である。
【0004】
深さ方向の分布を表す解析式としてよく用いられるものにPearson関数がある。さらに、最近では、深さ方向の分布を表すのに2つのPearson関数を用いることも多くなってきている。
これらの分布関数のパラメータは、般的に、実験データとの比較により求めることが多い。たとえばPearson関数をSIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)の測定データと合わせ込み、最も一致度が高いときのPearson関数のパラメータを抽出する。
【0005】
一方、水平方向についてはGauss関数がよく用いられる。
【0006】
製造に使われるイオン注入はいろいろな膜をデポジションした後に行われることが殆どである。このような多層膜構造の場合、解析式を用いる計算では、各層の膜厚を計算したい材料の膜厚に換算するという方法がよくとられる。
【0007】
多層膜中にイオン注入により導入した不純物の分布を3次元計算する場合、3次元計算領域を定め、この領域を細かなメッシュに分割して、それぞれのメッシュに対して深さ方向と水平方向の3次元計算を、決められた解析式を用いて実行する。この計算方法としていろいろな方法が考えられる。不純物濃度に対応した各メッシュ点の密度を順次計算していく最も一般的な方法をとった場合、計算時間はメッシュの数にほぼ比例することになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
3次元多層膜構造の場合、十分な計算精度を持ったメッシュ構造を考えると、そのメッシュの数は数万から数十万個になる。2次元構造の場合、数千個あれば十分であることを考えると、3次元計算では、2次元の場合に比べて、メッシュの数だけから言っても10倍から100倍の時間がかかることになる。
【0009】
また、イオン注入は通常、チャネリング防止などの観点から多少なりとも角度をつけて行われ、また、垂直で行う場合でも注入イオンはランダムに角度を変えながら膜内を進行するため周囲のメッシュからの影響を考慮する必要があるが、3次元計算では考慮すべき周囲のメッシュが2次元計算時より多い。その結果、実際は、1点の濃度の計算も3次元的に計算するほうが2次元的に計算するよりはるかに時間がかかることとなる。
【0010】
現在のコンピュータの性能下で2次元計算のアルゴリズムを実行すると、そのイオン注入計算は分オーダーで完了する。
しかし、同じコンピュータの性能で3次元計算をしようとすると、その計算時間は、数十分から1時間を越えることになる。
このように3次元構造のイオン注入計算に多くの時間を要する原因は、前記したように、メッシュ点の数が2次元構造に比べて2桁程度多いことに加え、周囲からの影響を3次元で考慮する必要があるためである。
【0011】
本発明の目的は、半導体上に単数または複数の膜を堆積させた構造の不純物濃度分布を求めるイオン注入計算を含む3次元シミュレーションにおいて、その計算時間を短縮することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る3次元シミュレーション方法は、半導体装置のイオン注入工程後の不純物濃度分布を予測する3次元シミュレーション方法であって、前記半導体装置に対し、細かな多数のメッシュからなる立方体状の3次元計算領域を設定する工程と、前記3次元計算領域内で半導体に対してほぼ水平に膜が重なった構造の平坦領域を求める工程と、前記平坦領域に属するメッシュ点の分布を、深さ方向の1次元計算により求める工程と、を含む。
【0013】
好適に、前記平坦領域を求める工程では、前記3次元計算領域の半導体面に垂直な4つの稜線の少なくとも1つの稜線に接する部分を基点に前記平坦領域を探索する。
また、好適には、前記平坦領域を求める工程が、半導体と膜間あるいは膜同士間の任意の境界面内で基点メッシュを1つ決め、この基点メッシュの面に垂直な単位ベクトルである基点法線ベクトルを計算する工程と、前記境界面内で前記基点メッシュに接する他のメッシュを探索し、探索した前記メッシュの法線ベクトルを計算する工程と、メッシュの前記探索と法線ベクトルの前記計算とを繰り返して、法線ベクトルの向きが前記基点法線ベクトルとほぼ同じと認められ、かつ、前記基点メッシュに連鎖的に連なるメッシュ群を特定し、特定した当該メッシュ群と前記基点メッシュからなる領域を境界面の平坦部として定める工程と、他の境界面がある場合、その境界面内で同様にして平坦部を求める工程と、半導体面に垂直な方向からみて複数の平坦部が互いに重なる重複部分を求め、当該重複部分により2次元範囲が限定された前記構造の3次元領域を前記平坦領域として確定する工程と、を含む。
【0014】
前記メッシュ点の分布を求める工程では、補間処理を用いて、よりきめの細かい分布を作成するとよい。すなわち、当該工程が、前記構造の平坦領域内で、任意の着目したメッシュの半導体面に垂直な方向からみた投影領域でメッシュ点の1次元分布を求める工程と、予め登録しておいた分布テーブルを参照してメッシュ点間の補間を行い、求めたメッシュ点の1次元分布を、より細かな分布に変換する工程と、前記メッシュ点の1次元分布の計算と補間とを、着目するメッシュを変えながら前記構造の平坦領域内で全てのメッシュに対して繰り返す工程と、を含む。
【0015】
前記構造を構成する膜が複数あり、それらの材料が異なる場合に、好適に、任意の1つの材料の膜に、他の全ての材料の膜を換算して予め多層膜の構造パラメータを簡略化する工程を、さらに含む。
【0016】
前記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係る3次元シミュレーション装置は、半導体装置のイオン注入工程後の不純物濃度分布を予測する3次元シミュレーション装置であって、前記半導体装置に対し、細かな多数のメッシュからなる直方体状の3次元計算領域を設定する計算領域設定手段と、前記3次元計算領域内で半導体に対してほぼ水平に膜が重なった構造の平坦領域を求める平坦領域探索手段と、前記平坦領域に属するメッシュ点の分布を、深さ方向の1次元計算により求める分布計算手段と、を有している。
【0017】
半導体面に対してほぼ水平に膜が重なった3次元計算領域の部分(平坦領域)では、境界面における計算対象メッシュの周囲からの影響を、どの計算点でも同じとしても問題がない。したがって、メッシュ点の不純物濃度は、メッシュ点の表面からの深さと、その間の多層膜構造とが判れば見積もることができる。
本発明は、このことを利用したものであり、まず、平坦領域を求め、その平坦領域内で深さ方向のメッシュ点の1次元計算と(その補間)を実行する。具体的には、基点メッシュを、たとえば3次元計算領域の4つの稜線に接する部分に定め、その基点メッシュと法線ベクトルの向きが等価と認められるメッシュの集まりを平坦部として定める。つぎに、平坦部を垂直投射して得られる構造部分を計算すべき平坦領域とする。このようにして確定された計算領域では、前記した1次元補間計算で代用しても3次元計算と同じ確かさで不純物濃度分布を求めることができる。なお、平坦領域以外の部分では、従来と同様にメッシュごとの順次計算方法などを用いる。
この3次元シミュレーション方法では平坦領域のみで計算効率が向上するが、半導体装置は平坦領域の割合が他の領域より多い場合が普通であり、本発明によって全体の計算効率はかなり改善される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るシミュレーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【0019】
本実施形態における3次元シミュレーション装置(3次元シミュレータ)は、半導体デバイスに対し、細かな多数のメッシュからなる直方体状の3次元計算領域を設定し、3次元計算領域内で半導体に対してほぼ水平に膜が重なった構造の平坦領域を探索し、平坦領域に属するメッシュ点の分布を深さ方向の1次元計算とその補間で求めることにより、3次元計算の回数を低減し、計算時間の削減とコンピュータ資源の有効活用を図るものである。
【0020】
この3次元シミュレータ1は、大まかには、デバイスの計算領域を設定し各種データおよび計算条件を決めるなど、実計算の準備に必要な各種処理を行うプリプロセッサ2と、所定の解析式を基に不純物分布を求めるメインプロセッサ3と、メインプロセッサ3の結果を所定の出力形式に適合したかたちに変換し出力するポストプロセッサ4と、これら各プロセッサ2,3,4にデータおよび条件を与え、また計算結果を蓄積する記憶装置5と、表示装置6とから構成されている。また、イオン注入直後の不純物濃度分布データを実測するSIMS測定装置7が記憶装置5にオンライン又はオフラインで接続されている。
【0021】
記憶装置5内には、前記SIMS測定装置7からの不純物濃度分布データを記憶する実測値データベース8と、所定の解析式から予め求められ、不純物が注入される材料および注入条件ごとに、注入深さとその深さの不純物濃度分布データが1対1に対応して数値化されて記憶された1次元不純物濃度分布テーブルと、が格納されている。1次元不純物濃度分布テーブルは補間処理に用いることから、以下、補間データベース9という。
【0022】
プリプロセッサ2内には、予め与えられたデバイス構造パラメータから構築されるデバイス形状を所定の規則に従って細かなメッシュに分割し、その直方体状の特定領域を3次元計算領域として設定する計算領域設定手段21を含む。このメッシュの分割を支配するパラメータはオペレータが変更でき、また、直方体状の3次元計算領域の指定もオペレータの操作によって変えることができる。
なお、プリプロセッサ2は、必要に応じて、実測値データベース8からの不純物濃度分布データに対しバラツキを緩和する処理を行ない、あるいは、解析式の関数パラメータを抽出し、抽出したパラメータが適用された解析式を用いて補間データベース9を構築するなどの各種処理を行う。その他、プリプロセッサ2は、オペレータの条件入力を受け付け、各種データからプロセスモデルを作成し、また境界等の条件を策定するなど、シミュレーションの実計算の準備に必要な処理すべてを行う。
【0023】
メインプロセッサ3は、プロセスおよびデバイスシミュレーションを行う手段であり、ここではイオン注入工程の不純物分布の3次元計算を行う。メインプロセッサ3は、また、3次元計算に先立って3次元計算を行う平坦領域を探索する平坦領域探索手段31と、探索した平坦領域内で1次元不純物分布計算を行い、他の部分では通常の3次元不純物分布計算を行う分布計算手段32とを有する。1次元または3次元の計算としては、モンテカルロ法など粒子モデルに基づくシミュレーション方法もあるが、ここでは解析式を使う方法を実行する。すなわち、イオン注入による不純物濃度分布が、深さ方向(およ水平方向)それぞれで幾つかのパラメータを含む解析式から計算される。そして、これらパラメータは実験データ、たとえばSIMSの実測データから決められる。
【0024】
つぎに、本実施形態に係る3次元シミュレーション方法の手順を、プリプロセッサ2およびメインプロセッサ3の処理を中心に説明する。
ここでは、MOSトランジスタのソース・ドレイン不純物領域を形成するためのイオン注入において、シリコン基板上の複数の絶縁膜を通して基板に不純物を導入する場合の不純物濃度分布を予測する。そして、基板上に二酸化珪素膜が堆積され、その上に窒化珪素膜が堆積されている場合を例とする。
前記したように本実施形態では、このようなシリコン基板などの半導体に対しほぼ水平に形成された箇所を有する膜内の不純物シミュレーション過程で、処理の効率化を図るものであり、以下、この絶縁膜内の不純物分布シミュレーションを中心に説明する。
【0025】
図2は、このシミュレーションに用いたMOSトランジスタの構造を示す斜視図である。
単結晶シリコンからなる半導体基板SUBに、RIE等により溝(トレンチ)Tが形成され、トレンチT内に二酸化珪素などからなる素子分離絶縁膜ISOが埋め込まれている。トレンチT周囲の基板表面に二酸化珪素からなるゲート酸化膜OXが形成されている。ゲート酸化膜OX上から素子分離絶縁膜ISO上にかけて、ドープド多結晶珪素からなるゲート電極GDが細長いライン上に形成されている。ゲート電極GDの幅は0.1μm程度である。ゲート電極GD上、ゲート電極周囲の素子分離絶縁膜ISOおよびゲート酸化膜OX上を覆って窒化珪素からなる窒化膜NIが堆積されている。このため、トレンチ周囲の基板表面領域(活性領域)上は、酸化膜OXと窒化膜NIとからなる多層膜構造となっている。この活性領域には、当該多層膜をスルー膜とするイオン注入によりN型不純物が導入され、これによりソース・ドレイン不純物領域S/Dが形成されている。
【0026】
図3は、本実施形態に係る3次元シミュレーション方法の主要工程を示すフローチャートである。
まず、ステップST1において、プリプロセッサ2による各種処理(前処理)が実行される。
まず、プリプロセッサ2がデバイス形状に応じて計算領域を細かいメッシュに分割する。このメッシュの形成方法は種々あるが、ここでは、直方体メッシュで区切られたシリコン等を適宜、たとえば8分割ベース法などを用いて4面体メッシュに変換する方法が採用されている。全てを4面体メッシュにしてもよいし、プロセスに応じて複雑な形状を表現する箇所や非連続箇所、あるいは計算精度を高めたい箇所を中心に部分的に4面体メッシュを形成してもよい。ただし、多層膜の場合は複雑な形状を反映させるため通常は、全て4面体メッシュとなっている。
【0027】
また、プリプロセッサ2内の計算領域設定手段21が、3次元計算を行うべき領域を直方体状のエリアで設定する。この3次元計算領域の取り方は任意であるが、ここでは、図2に示すように、3次元計算領域22の4つの稜線、すなわち基板SUBに垂直な方向の4辺のうち1辺がソース側のn+不純物領域(一方のソース・ドレイン不純物領域S/D)を通り、他の1辺がドレイン側のn+不純物領域(他方のソース・ドレイン不純物領域S/D)を通り、残りの2辺が素子分離絶縁膜ISO内を通る場合を想定する。
【0028】
また、プリプロセッサ2は、解析式のパラメータを抽出する。
本例では、深さ方向の分布を表す解析式としてPearson関数を用いるとする。これは、次式(1)の微分方程式で定義される関数f(u)である。
【数1】
df(u)/du
=(u−b1)f(u)/(b0+b1u+b2u2)…(1)
【0029】
ここで、zを基板の深さ方向の座標とすると、u、b0、b1、b2、Aは次式(2−1)〜(2−5)のように表される。
【数2】
u =z−Rp …(2−1)
b0=−σ2(4β−3γ2)/A …(2−2)
b1=−σγ(β−3)/A …(2−3)
b2=(−2β+3γ2+6)/A …(2−4)
A=10β−12γ2−18 …(2−5)
【0030】
Rp,σ,γ,βは、実験データ、特にSIMSのデータから求められる。ここで、Rpはイオン注入の投影飛程、σは投影飛程の標準偏差、γは分布の偏りを表す“ひずみ(skew ness)”、βはピーク付近の分布形状を表す“とがり(kurtosis)”のパラメータである。SIMSの測定結果から得られる分布関数をM(z)とすると、Rp,σ,γ,βは近似的に次式(3−1)〜(3−4)により表される。
【数3】
【0031】
しかし、この関係はあくまで近似で、通常、実際のM(z)とPearson関数を精度よく一致させるには、何らかの合わせ込み作業が必要になる。
この合わせ込み作業は予めプリプロセッサ2で実行され、これにより、前記したPearson関数のRP,σ,γ,βといったパラメータが抽出される。具体的には、SIMSデータが示す不純物濃度の分布関数M(z)を、たとえば最小自乗法(Levenberg−Marquart法等)を用いてPearson関数f(u)と比較し、双方の一致度が高くなるようにf(u)のパラメータRP,σ,γ,βを変化させる。そして、この最も一致度が高いときのパラメータRP,σ,γ,βを不純物濃度分布パラメータとして抽出する。
この作業を、想定されるイオン注入条件、注入対象となる材料の条件を適宜変えながら繰り返し、これら条件の組ごとに不純物濃度分布パラメータRP,σ,γ,βを決定しておく。これらのパラメータは、記憶装置5にテーブル化されて予め格納してある。
なお、前記した分布関数M(z)を規定するSIMSデータも記憶装置5内に、実測値データベース8として保管されている。
【0032】
また、この抽出されたパラメータを用いた分布関数f(u)に基づいて、特定材料の表面からの深さzと、その点の特定不純物の濃度N(z)との対応を数値化し、前記した補間データベース9が構築されている。この作業もプリプロセッサ2が行うものとし、補間データベース9は記憶装置5内に格納されている。なお、深さのピッチΔzは任意であるが、ここでは0.1nmとする。
【0033】
なお、深さ方向の分布を表すのに2つのPearson関数(Dual−Pearson関数)を用いてもよい。Dual−Pearson関数F(z)は、次式(4)により表される。
【数4】
ここで、zは基板の深さ方向の座標、f1とf2は規格化された2つのPearson関数、DOSEはイオン注入ドーズ、Rは注入ドーズに占めるf1の割合を示すパラメータである。また、Rp1,σ1,γ1,β1は第1Pearson関数f1の分布形状を決定するパラメータ、Rp2,σ2,γ2,β2は第2Pearson関数f2の分布形状を決定するパラメータを示し、具体的に、Rp1,Rp2はイオン注入の投影飛程、σ1,σ2はそれぞれ投影飛程Rp1,Rp2の標準偏差、γ1,γ2は分布の偏りを表す“ひずみ”、β1,β2はピーク付近の分布形状を表す“とがり”のパラメータである。
【0034】
前記の式(4)に示されるように、Dual−Pearson関数F(z)は、2つのPearson関数f1とPearson関数f2から構成されている。Pearson関数f1はランダムに散乱された不純物の濃度分布を表しており、Pearson関数f2は基板格子間をチャネリングした不純物の濃度分布を表している。
このように、2つのPearson関数が組み合わされていることから、他のGauss関数、Pearson関数では再現が難しいイオン注入時の基板深さ方向の不純物濃度分布のチャネリングテールを高精度に表現できる。また、異なる注入ドーズ間で、Pearson関数f1の占める割合Rを注入ドーズに応じて変化させることにより、チャネリングの度合いの注入ドーズ依存性を表現することが可能である。
このようなDual−Pearson関数F(z)は、シリコン中の不純物濃度の計算に適している。しかし、本例では絶縁膜中の不純物濃度の計算は、より計算が簡単なPearson関数f(u)を用いることとし、以下の説明を進める。Dual−Pearson関数を用いても同様な方法が可能なことは言うまでもない。
【0035】
一方、水平方向は、たとえば次式(5)で定義されるGauss関数を用いる。
【数5】
ここで、rはイオン注入の軸からの水平方向の距離を表す。
【0036】
シリコン上に単一または複数の膜が積層された構造に対して、解析式を用いて不純物濃度分布を計算する場合、各層の膜厚を計算したい材料の膜厚に換算することが必要である。この膜厚換算も、図3のステップST1においてプリプロセッサ2が行う。
【0037】
本実施例では、前記したように、シリコン基板SUB上に酸化膜OXがTox、窒化膜NIがTSiNの各膜厚でデポジッションされた構造を想定している。まず、一番上の窒化膜NI内の分布計算は、窒化膜NIが半無限であると仮定して計算し、表面から深さTSiNまでの分布を窒化膜中の分布とする。
【0038】
つぎに、酸化膜OX中の分布を計算する場合、酸化膜OX上にある窒化膜NIの厚みを酸化膜OXではどの程度の膜厚になるかを推定する。よく使われるのは、各材質へのイオン注入時の投影飛程RPの値で、RPの値が小さいものほどイオンを止める能力が高いと考え、RPの値の比で他の材質の膜厚を換算する。この場合、厚みTSiNの窒化膜NIを酸化膜で換算すると、その換算後の窒化膜厚USiNは[Rp(OX)/Rp(SiN)]Toxとなる。ここで、Rp(OX),Rp(SiN)はそれぞれ酸化シリコン、窒化シリコンの投影飛程Rpである。そして、半無限に酸化膜があると考えて深さ方向の分布を計算し、表面からUSiNと(USiN+Tox)の間の分布を酸化膜OX中の分布とする。
【0039】
なお、他の膜がある場合、以下、同じことを繰り返して、多層膜中の分布を決めていく。
【0040】
つぎに、図3のステップST2〜ST4の工程でメインプロセッサ3が行う処理および計算を説明する。
この手順は、大まかに分けると、同じ多層構造の中で基板にほぼ水平に膜が堆積された平坦領域を探索する工程ST2、平坦領域内でメッシュ点の深さ方向の濃度の計算を行う工程ST32、および他の部分の濃度計算を行う工程ST4からなる。なお、本実施形態では、3次元の計算領域の一部分(平坦領域)の計算方法に特徴があるため、この部分の計算方法を詳しく述べる。残りの部分は従来の方法で計算するため、ここでの説明は省略する。
【0041】
図4のフローチャートに、平坦領域の探索工程ST2の内容を詳細に示す。
大抵の形状の計算では、境界条件のために3次元の計算領域の側面では、膜材質が水平になっていることが多い。そこで、本例では3次元の計算領域の4つの垂直な稜線のうち1つの稜線から始めて、同じ多層膜の構造がどこまで広がっているかを探索を行い、探索した領域の水平度を検地しながら水平度が高いと認識できる領域を3次元計算領域の内側に順次拡大していく手法をとる。そして、探索の結果を用いて、多層膜構造の平坦領域を確定する。
【0042】
なお、以下、探索および平坦領域の確定の説明に図5(A)〜図6を用いる。ここで、図5(A)は、図2の3次元計算領域22を、ソース・ドレイン不純物領域S/D側から見た斜視図である。また、図5(B)は図5(A)の丸印で囲んだ部分Aを上方から見た拡大図、図5(C)は四面体メッシュにおける法線ベクトルを説明するための図である。さらに、図6は、平坦領域の確定手法を示す図である。
【0043】
まず、図4のステップST201において、多層膜構造内の境界面の数Mを入力し、計算対象の境界面番号jを初期値1に設定する。本例では、多層膜構造内の境界面は、図5(A)に示すように、窒化膜NIの上の境界面S1、窒化膜NIと酸化膜OXの界面S2、酸化膜OXと基板SUBのシリコンとの界面S3の3つであり、境界面数M=3となる。
【0044】
ステップST202において、探索の基点を選ぶ。ここで、計算領域の境界面は無数の四面体メッシュの3角形の面で構成されていると仮定し、1番目の境界面S1を通る1つの稜線に着目する。本例では、図5(A)に示す3次元計算領域22の4つの稜線22a、22b、22c,22dのうち稜線22aに、まず着目する。そして、着目した稜線22aを頂点に持つ三角形を1つ選び、この三角形を探索の基点メッシュの一番目の境界に属する面(以下、基点三角形)とする。図5(B)では基点三角形を記号▲1▼を付して表している。
続くステップST203では、この基点三角形の法線ベクトル(図5(C)参照)を計算する。この法線ベクトルは、領域の水平度を測る基準となるものであり、以下、基点法線ベクトルという。
【0045】
つぎに、ステップST204において、基点三角形▲1▼に辺を接する他の三角形を探索する。そして、次のステップST205で探索された三角形の数を数え、これを変数Nに代入する。また、隣接三角形の番号iを初期値1とし、つぎのステップST206でi番目の隣接三角形の法線ベクトルを計算する。図5(B)では、このとき探索された隣接三角形を記号▲2▼で表しており、その数Nは2である。
【0046】
ステップST207で、法線ベクトルが垂直か否かを、たとえば基点法線ベクトルとの比較で調べる。稜線では、形状計算の境界条件から、ほぼ確実に境界面は水平になっているので、計算した法線ベクトルの向きが基点法線ベクトルの向きとほぼ一致する。この一致度は多少の許容範囲内であるか否かにより調べる。法線ベクトルが垂直なら、その三角形の領域は稜線部分と同じ多層膜構造を持っている可能性がある。
そこで、続くステップST208において、j番目の境界面の平坦部に、法線ベクトルが垂直な隣接三角形(i=1)を1つ加える。本例では、図5(B)に示す基点三角形▲1▼に2つの隣接三角形▲2▼の一方を加えた部分が、当該平坦部となる。
なお、このステップST208は、先のステップST207で法線ベクトルが垂直でないと判断された場合にスキップされる。
【0047】
つぎのステップST209で変数iをインクリメントし(i:1→2)、つぎのステップST210の判断で、この変数が隣接三角形数Nを超えていないと判断され、処理がステップST206の前に戻る。そして、i=2の隣接三角形に対しステップST206〜ST208の処理や判断がなされる。この段階で、平坦部は、基点三角形▲1▼に2つの隣接三角形▲2▼の双方を加えた部分にまで拡大される。つぎのステップST209でi=3となるため、処理はステップST210から次のステップST211に移行する。
【0048】
ステップST211では、「平坦部に新たに三角形が加えられたか否か」が判断される。この判断結果が「No」となるまで、ステップST202〜ST210が繰り返される。
通常、探索が開始されてから暫くは境界面が平坦なので、図5(B)に示す隣接三角形▲3▼、…と次々に隣接三角形が平坦部に付加され、平坦部が拡大する。そして、ゲートの近くまでくると付け加えるべき三角形が次第に減ってきて、最後には平坦部の拡大が停止する。このとき、ステップST211で「No」と判断され、当該稜線22aを基点とした第1番目の境界面S1部分で平坦部が確定する。
【0049】
つぎのステップでは境界面に関する変数jがインクリメントされ、検索対象の境界面を2番目の境界面に移し、ステップST202からの処理を再度実行する。これにより、稜線22aを基点とした第2番目の境界面S2部分で平坦部が確定する。必要なら他の境界面についても同様な処理を行った後、ステップST213で、多層膜構造に境界面が存在しないと判断されると、処理は図3のステップST3に移行する。
なお、注目する垂直な稜線は、3次元計算の場合に4つあるので、一般にはこれらの操作で境界面ごとに4つずつの領域が求まる。図4のフロー図では、他の稜線22bから22dに接する部分の平坦部の決定は、同様な処理なので省略している。同じ稜線に接する部分で境界面を変えながら探索する手順をとってもよいし、逆に、同じ境界面で稜線を変えながら探索する手順をとってもよい。構造によっては、これらのうち幾つかが合体する可能性もある。そこで、以後、求まった平坦部の各境界面での数を単に複数個と表現する。
【0050】
本実施形態で計算効率を高める前提として多層膜構造内で各層が水平でなければならないので、各境界面で求めた2次元領域(平坦部)の垂直方向への射影同士が重なる部分が求める計算対象の3次元平坦領域である。
図6は、この垂直方向の射影の様子を模式的に示すものである。図6において、境界面S1上で4つの平坦部H1a、H1b,H1c,H1dが図示のようなパターンにて求まり、境界面S2上で平坦部H2a、H2b,H2c,H2dが図示のようなパターンにて求まったとする。これらの垂直方向の射影の重なり部分は、境界面S2に投影された斜線部となる。この斜線部を断面にもつ多層膜構造部分が求める3次元平坦領域として確定する。このように垂直方向への射影を考えることで、計算対象領域を同じ多層膜構造で複数個見つけることができる。
【0051】
つぎに、この複数個の3次元平坦領域内のメッシュ点の濃度の計算工程(ST3)を詳細に説明する。そのフローチャートを図7に示す。
【0052】
まず、複数個の3次元平坦領域の一つを考える。この領域はそれを含む稜線と同じ多層膜の構造をしていることは明らかであるが、続くステップST32で分布表を作成する必要から、その前に、ステップST31で多層膜構造を解析する。これにより、膜厚等が3次元計算領域ごとに正確に調べられる。
次のステップST32では、先に構築された補間データベースから必要なデータを呼び出して、シミュレーションしようとするイオン注入条件および多層膜構造に適合したZ座標と濃度分布の表を作成する。この分布表は、記憶装置5内に保管される。
【0053】
同じ3次元平坦領域内では、基本的に、内部のイオン注入後の不純物の分布は同じと考えられる。ただし、平坦領域の内側の境界近傍では、平坦でない周囲の多層膜部分からの注入イオンの広がりの影響があり、この境界近傍では必ずしも他の領域と同じ分布とは限らない。
そこで、次のステップST33では、多層膜の中でも水平方向の投影飛程の標準偏差σが最も大きい材質の当該標準偏差σlを用いて、その2倍から3倍内側の平坦領域に計算の範囲を限定する。なお、この倍率はユーザーが変更できるようにしておくのが望ましい。これにより、その後、図8において1点破線より外側の範囲で計算が行われることとなる。
【0054】
つぎのステップST34,ST35では、平坦領域内のメッシュ点での不純物濃度を計算する。
ステップST34において、図6のH1aとH2aの斜線部分を上面と下面とする3次元領域に属するメッシュ点の数をNとし、i番目のメッシュ点に着目する。
ステップST35において、i番目のメッシュ点の濃度を1次元計算または表から求める。ここでは、平坦領域内の濃度は同じなので、i番目のメッシュ点の濃度は、ステップST32で作成された表より求めることができる。図8(A)に、メッシュ点の分布の様子を模式的に示す。また、図8(B)は、メッシュ点の濃度分布をグラフ化したものである。
【0055】
ステップST36において補間を行う。着目メッシュ点iの濃度は、図9に示すように、補間データベースの濃度の補間により、簡単に求めることができる。
【0056】
他の稜線が属する平坦領域に対しても同様に計算を行って、その結果をメモリに格納する。
その後、図3に示すステップST4で、平坦でない多層膜部分を含めた残りの部分を3次元計算によりシミュレーションする。
そして、その結果を、前記メモリに格納された平坦領域の計算結果と統合して所定の形式で、たとえば表示装置6に出力することにより、当該3次元シミュレーションが完了する。
【0057】
この方法では、平坦領域の境界面にある三角形の下方領域ごとに1回の細かなメッシュの1次元計算と、各メッシュ点間の補間で計算がすむので、メッシュ点ごとに3次元計算を行うより圧倒的に短い時間で計算がすむ。
【0058】
実際に、STI(Shallow Trench Isolation)を使ったMOSトランジスタの計算を行った。
計算に使ったトランジスタの構造は図2と同じであり、ゲート長が0.2μm、ゲート幅0.4μmであった。この場合のメッシュ点の数は全体で82354個であった。4つの稜線と同じ多層膜構造をもつ平坦領域は、この場合に4つあり、それぞれ、メッシュ点を5353個、14012個、5353個、14012個含んでいた。
本発明を使った場合の計算時間は2903秒で、本発明を使わない場合は4675秒であり、本発明を使うことで計算時間を約40%節約できた。これにより、コンピュータ資源の有効活用が可能となった。
【0059】
【発明の効果】
本発明に係る3次元シミュレーション方法および装置によれば、半導体上に単数または複数の膜を堆積させた構造の不純物濃度分布求めるイオン注入計算を含む3次元シミュレーションの計算時間を短縮し、コンピュータ資源の有効利用が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るシミュレーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る3次元シミュレーションに用いたMOSトランジスタの構造を示す斜視図である。
【図3】実施形態に係る3次元シミュレーション方法の主要工程を示すフローチャートである。
【図4】実施形態に係る3次元シミュレーション方法において、平坦領域の探索工程の内容を詳細に示すフローチャートである。
【図5】(A)は3次元計算領域をソース・ドレイン不純物領域側から見た斜視図である。(B)は(A)の丸印で囲んだ部分を上方から見た拡大図である。(C)は四面体メッシュにおける法線ベクトルの説明図である。
【図6】平坦領域の確定手法を示す図である。
【図7】複数個の3次元平坦領域内のメッシュ点の濃度の計算工程を詳細に説明するフローチャートである。
【図8】(A)は、メッシュ点の分布の様子を模式的に示す図である。(B)は、メッシュ点の濃度分布を示すグラフである。
【図9】補間点を示すグラフの拡大図である。
【符号の説明】
1…3次元シミュレータ、2…プリプロセッサ、3…メインプロセッサ、4…ポストプロセッサ、5…記憶装置、6…表示装置、7…測定装置、8…実測値データベース、9…補間データベース、21…計算領域設定手段、22…3次元計算領域、22a〜22d…稜線、31…平坦領域検索手段、32…分布計算手段、GD…ゲート電極、H1a〜H2d…平坦部、ISO…素子分離絶縁膜、NI…窒化膜、OX…ゲート酸化膜、RP…投影飛程、RP,σ,γ,β…パラメータ、S/D…ソース・ドレイン不純物領域、S1,S2…境界面、SUB…シリコン基板、T…トレンチ
Claims (7)
- 半導体装置のイオン注入工程後の不純物濃度分布を予測する3次元シミュレーション方法であって、
前記半導体装置に対し、細かな多数のメッシュからなる立方体状の3次元計算領域を設定する工程と、
3次元計算領域内で半導体に対してほぼ水平に膜が重なった構造の平坦領域を求める工程と、
前記平坦領域に属するメッシュ点の分布を、深さ方向の1次元計算により求める工程と、
を含む3次元シミュレーション方法。 - 前記平坦領域を求める工程では、前記3次元計算領域の半導体面に垂直な4つの稜線の少なくとも1つの稜線に接する部分を基点に前記平坦領域を探索する
請求項1に記載の3次元シミュレーション方法。 - 前記平坦領域を求める工程が、
半導体と膜間あるいは膜同士間の任意の境界面内で基点メッシュを1つ決め、この基点メッシュの面に垂直な単位ベクトルである基点法線ベクトルを計算する工程と、
前記境界面内で前記基点メッシュに接する他のメッシュを探索し、探索した前記メッシュの法線ベクトルを計算する工程と、
メッシュの前記探索と法線ベクトルの前記計算とを繰り返して、法線ベクトルの向きが前記基点法線ベクトルとほぼ同じと認められ、かつ、前記基点メッシュに連鎖的に連なるメッシュ群を特定し、特定した当該メッシュ群と前記基点メッシュからなる領域を境界面の平坦部として定める工程と、
他の境界面がある場合、その境界面内で同様にして平坦部を求める工程と、
半導体面に垂直な方向からみて複数の平坦部が互いに重なる重複部分を求め、当該重複部分により2次元範囲が限定された前記構造の3次元領域を前記平坦領域として確定する工程と、
を含む請求項1に記載の3次元シミュレーション方法。 - 前記メッシュ点の分布を求める工程が、
前記構造の平坦領域内で、任意の着目したメッシュの半導体面に垂直な方向からみた投影領域でメッシュ点の1次元分布を求める工程と、
予め登録しておいた分布テーブルを参照してメッシュ点間の補間を行い、求めたメッシュ点の1次元分布を、より細かな分布に変換する工程と、
前記メッシュ点の1次元分布の計算と補間とを、着目するメッシュを変えながら前記構造の平坦領域内で全てのメッシュに対して繰り返す工程と、
を含む請求項1に記載の3次元シミュレーション方法。 - 前記構造を構成する膜が複数あり、それらの材料が異なる場合に、任意の1つの材料の膜に他の全ての材料の膜を換算して、予め多層膜構造に関するパラメータを簡略化する工程を、
さらに含む請求項1に記載の3次元シミュレーション方法。 - 前記メッシュは3角形の面からなる4面体メッシュである
請求項1に記載の3次元シミュレーション方法。 - 半導体装置のイオン注入工程後の不純物濃度分布を予測する3次元シミュレーション装置であって、
前記半導体装置に対し、細かな多数のメッシュからなる直方体状の3次元計算領域を設定する計算領域設定手段と、
前記3次元計算領域内で半導体に対してほぼ水平に膜が重なった構造の平坦領域を求める平坦領域探索手段と、
前記平坦領域に属するメッシュ点の分布を、深さ方向の1次元計算により求める分布計算手段と、
を有する3次元シミュレーション装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002235515A JP2004079656A (ja) | 2002-08-13 | 2002-08-13 | イオン注入工程の3次元シミュレーション方法および装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002235515A JP2004079656A (ja) | 2002-08-13 | 2002-08-13 | イオン注入工程の3次元シミュレーション方法および装置 |
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ID=32019985
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JP2002235515A Pending JP2004079656A (ja) | 2002-08-13 | 2002-08-13 | イオン注入工程の3次元シミュレーション方法および装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2004079656A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007311444A (ja) * | 2006-05-17 | 2007-11-29 | Keio Gijuku | イオン照射効果評価方法、プロセスシミュレータ及びデバイスシミュレータ |
-
2002
- 2002-08-13 JP JP2002235515A patent/JP2004079656A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007311444A (ja) * | 2006-05-17 | 2007-11-29 | Keio Gijuku | イオン照射効果評価方法、プロセスシミュレータ及びデバイスシミュレータ |
US7800053B2 (en) | 2006-05-17 | 2010-09-21 | Keio University | Method of evaluating ion irradiation effect, process simulator and device simulator |
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