JP2004079314A - 金属電極のみを用いるセル構造のpdp並びにその前面パネルの電極構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】材料費と量産収率を左右する製造工程で形成される金属電極のみを用いるセル構造のAC型PDP並びにその前面パネルを提供する。さらに、背面パネルの背面隔壁リブに加えて、上下セル間の誤放電防止隔壁リブを設け、セル間の領域を少なくして発光効率を向上させたPDPを提供する。
【解決手段】前面パネルにおいて金属電極のみを用いる第1及び第2のバス電極は、端子部と連結させる端子電極と放電を開始させるための主電極と、その間の給電と放電の安定性を保つ枝電極から構成し、主電極の長さは、放電が不安定にならない範囲で短くする。さらに、非放電領域を減少させるために、背面パネルに背面隔壁リブの側面から3角状の突出壁を設け、その先端と隣接の突出壁の先端とを接続して突起隔壁リブを形成してセル間の領域を少なくして発光効率を向上させ、しかも金属電極のみを用いるPDPを構成する。
【選択図】 図3
【解決手段】前面パネルにおいて金属電極のみを用いる第1及び第2のバス電極は、端子部と連結させる端子電極と放電を開始させるための主電極と、その間の給電と放電の安定性を保つ枝電極から構成し、主電極の長さは、放電が不安定にならない範囲で短くする。さらに、非放電領域を減少させるために、背面パネルに背面隔壁リブの側面から3角状の突出壁を設け、その先端と隣接の突出壁の先端とを接続して突起隔壁リブを形成してセル間の領域を少なくして発光効率を向上させ、しかも金属電極のみを用いるPDPを構成する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ACプラズマディスプレイ(PDP)に関する。特に、金属電極のみを用いる(透明電極を必要としない)セル構造のAC型PDP、並びに、そのPDPの前面パネルの電極構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
PDPは前面パネルと背面パネルの2枚の板状ガラスを所定の間隔を保って張り合わせ、多くの微少空間であるセル構造を形成させ、封入したガスを放電させ、ガス放電により発生した紫外線がそのセル内の蛍光体を励起し、可視光を得て、表示動作させる自発光型ディスプレイである。その中の従来の一般的なAC型PDPの構成について図1、図2により以下説明する。
【0003】
図1は前面パネル及び背面パネルの電極構造を示す斜視図である。
【0004】
図1(a)は前面パネル1を示す。前面パネル1は、そのガラス基板10上に一方向(図では水平方向)に延びたITO膜などの第1透明電極13及びその上の一端側にバス電極線となるスキャン用第1金属電極(Ag)11を積層した第1複合電極15と、その第1の複合電極15に並行する第2透明電極14及びその上にバス電極線として放電維持のサステン用第2金属電極12を積層した第2複合電極16とにより構成される複数の複合電極対が、その対の第1及び第2透明電極13、14間で所定の放電間隙長を離して対向配置され、それらの電極対の各中心位置を第1の所定ピッチ間隔長P1(図には示さず)で配列される構成である。
【0005】
図1(b)は背面パネル2を示す。背面パネル2はそのガラス基板20上に、前面パネルのバス電極に直交する垂直方向に延びる複数のデータ用第3背面金属電極21と、中心位置が第2の所定ピッチ間隔P2(図には示さず)で配列され、第3背面金属電極21の中間部に配設される背面隔壁リブ22から構成される。
【0006】
図2は前記背面パネル2上側に前記前面パネル1を搭載し、それぞれの電極を直交するように対向させ組み立てた状態を示す。
【0007】
図2(a)は前面パネル1の第1金属電極11に沿って、パネル面に垂直に切断した断面図である。前面パネル1側は、ガラス基板10の上に第1透明電極13と第1金属電極11を積層した第1複合電極15が形成され、これを覆うように透明な誘電体層17が形成され、更にその上に薄い保護膜(MgO)17が形成される。
【0008】
一方背面パネル2側は、ガラス基板20の上に、前面パネル1上の第1複合電極15に直交するように第3背面金属電極21が形成され、それらを覆うように白色誘電体層23が形成され、その上に第3背面金属電極21の中間部に背面隔壁リブ22が形成され、更に背面隔壁リブ22の間の底面にある白色誘電体層23を覆うようにして蛍光体24が形成される。25は放電ガスである。
【0009】
図2(b)は図2(a)のX−X′断面を示す断面図である。第1複合電極15及び第2複合電極16からなる電極対と第3背面金属電極21の間の領域Aが、セルがアドレッシングされた時に放電のおこる領域である。19はセル間の誤放電を防止するために前面パネル上に設けた電極のない領域(ブラックストライプ領域)で、これに対応する領域Bは放電を起こさない非放電領域である。
【0010】
図2(c)は平面図である。第1及び第2複合電極対15、16と、第3背面金属電極21との間には放電ガス空間を介してそれらの電極群が直交するように対向して配置されて、複数のセル構成を形成し、第1複合電極15と第3電極21により第1複合電極15が逐次スキャンした行の発光させるべきセルを帯電せせるアドレッシングを順次行を選択して行うと共に、第2複合電極16によって、そのセル面放電発光を維持するいわゆる3電極面放電機構である。
【0011】
Wは背面隔壁22間の間隔長である。Lは第1及び第2金属電極11、12間の垂直方向のセル発光部の放電電極間隙長である。また、Mは第1及び第2複合電極15、16対のセルと隣接する複合電極15、16対のセルとの間であるセル間の非放電領域の垂直方向の長さである。
従ってセルの放電領域Aは面積L×Wであり、セル間の非放電領域Bは面積M×Wである。
【0012】
従来の通常の背面隔壁形態のAC型PDPでは、上下セルへの誤放電を防止するためL/Mは1程度に設定されていた。すなわち、発光効率に関係する面積比A/(A+B)は50%程度であった。
【0013】
なお、以上のようなAC型PDPに関しでは、例えば、特開平2000−156166号公報などに数多く公開されている。
【0014】
AC型PDPは、実用化しようとすれば、一般的に以上のように発光面積の比率が小さくなり、発光効率が低下する要因の一つであるが、さらに、以下のような問題点があった。
【0015】
従来の前面パネル1のガラス基板10にはITOという第1及び第2透明電極13、14を使用しているが、透明電極を用いる理由は、セル構造内で発光した可視光線が、ガラス基板10の外側へなるべく多く透過できるようにするためである。しかし透明電極13、14だけでは電気抵抗が高いため、そのITOの電気抵抗を補完するために電気伝導度の良いAg又はCr−Ni−Crの電極材料をバス電極として第1及び第2金属電極11、12を積層させ、それぞれ第1及び第2複合電極15、16を形成させなければならない。
【0016】
しかしながらITO電極形成には材料費の増加と工程数の増加による製造コスト増加の問題点があった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前述した問題点を鑑みてなされたものであり、材料費と量産収率に大きく関係する透明電極13、14を必要としないセル構造のPDP並びにその前面パネルの電極構造を提供し、以下に示す多くの課題を解決することを目的とする。
【0018】
即ち、複合電極15、16を構成する、透明電極(ITO電極)13、14を廃止し、バス電極のみ、即ち金属電極11、12のみで放電を起こそうとする時、各バス電極は透明電極の役割もしなければならない。これはバス電極だけで放電を一つのセル全体に拡散させなければならないということであり、従来技術のままでは、各バス電極は従来の透明電極と同じ幅を必要とすることを意味する。
【0019】
しかし、各バス電極幅を従来の透明電極幅と同程度とすれば、前述した可視光線が前面パネルのガラス基板10から放射できる面積が非常に小さくなり輝度低下となる。従来の以上のようなバス電極だけの放電を解決するために本発明は次のようなバス電極構造を提供する。
【0020】
すなわち、前記可視光線がガラス基板10から放射できる面積を広くなるようにすると共に(以下、可視光線が放射できる面積の全体の面積に対する比率を開口率と呼ぶ)、放電がセル全体領域に広まるバス電極構造を提供する。
【0021】
まず、バス電極がセル領域を占める面積を減らすために、バス電極を構成する第1金属電極と第2金属電極は、それぞれ以下のような構成とする。第1金属電極は、セルの垂直方向の中心部に放電をおこさせる幅の小さい、水平方向に延びる複数の電極(第1放電主電極)と、バス電極端子部に連結する幅の小さい水平方向に延びる電極(第1端子部電極)と、それらの2電極を連結する複数の幅の小さい枝部の電極群(第1枝部電極)とからなるFENCE形態の新しい構造とする。
【0022】
第2金属電極は、セルの垂直方向の中心部に放電をおこさせる幅の小さい、水平方向の長さが限定され、左右隣接セルに連続せず、セル構造内毎に配置し、全体として長方形の形態を示す電極(第2放電主電極)と、バス電極端子部に連結する幅の小さい水平方向に延びる電極と(第2端子部電極)と、それらの2電極を連結する複数の幅の小さい枝部の電極群(第2枝部電極)とからなる新しいPIN立て形態の構造とする。
【0023】
第1金属電極は、さらに面積を小さくして開口率を上昇させるようにするために、第1放電主電極の形状を第2金属電極の第2放電主電極と同じように長方形の構造としてもよい。その場合の水平方向の長さは第2金属電極の長さより長くして、HAMMER立て形態の構造となる。
【0024】
本構造のバス電極は放電主電極で放電が開始されればその放電は枝部電極を通じて、そのセル全体に広がるようにするものである。
【0025】
ここでバス電極を構成する各放電主電極、端子部電極、枝部電極の幅を小さくすれば前記開口率は上昇するが放電面積の減少によって放電が不安定になる。これは輝度の減少の要因となる。
【0026】
一方、前記各電極の幅を大きくすれば放電は安定するが開口率は減少する。とくに放電主電極の幅と枝部電極の幅が放電現象に大きな違いを生じさせる。幅が過度に小さくなれば不安定放電によりにより誤放電現象が発生してパネル全体の均一性がおちる。
【0027】
また、枝部電極を用いた構成を使用せず、パネルの両端のみで電極を連結させた時は、放電がセル全体に広がることはなく、放電電圧も上昇する結果となる。
【0028】
以上の多くの課題を解決するために最適のバス電極幅を定め、セルの中央部に枝部電極を位置するように構成し、開口率と放電の安定性のよい、透明電極不要のバス電極を備えたPDPを提供することが第1の目的である。
【0029】
さらに、以上の透明電極不要のバス電極を備えるPDPの開口率を、より有効にするために、背面パネルのガラス基板の上に形成された背面隔壁リブの間に左右から突起させた垂直方向の突起隔壁リブを設けて、各セル毎に周囲をリブで囲み、背面隔壁リブによる左右セルの誤放電防止に加えて、突起隔壁リブによる上下セルの誤放電防止により、従来より、セル間の間隙長Mを小さく設計可能となり、しかもブラックストライプ領域も必要がなくなり、透明電極不要のバス電極との組み合わせにより、従来のPDPのL/Mが1程度であるのに対し、その数倍の値が可能となる。従って、発光効率も増加する。
【0030】
以上の透明電極不要のバス電極を備えたPDPを提供することが第2の目的である。
【0031】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の金属電極のみを用いるセル構造のPDPは、水平方向に延びる第1金属電極及び第2金属電極からなる複数の電極対のそれぞれの中心位置が第1の所定ピッチ間隔で配列されるバス電極構成の前面パネルと、前記水平方向と直交する垂直方向に延びる複数のデータ用第3背面金属電極の中心位置が第2の所定ピッチ間隔で配列され、それぞれの前記第3背面金属電極間に背面隔壁リブを配設する電極構成の背面パネルとを放電ガス空間を挟んで対向させる封合によるセル構造を形成させ、前記第1金属電極及び第2金属電極のいずれか一方をスキャン電極、残りの一方をサステン電極とし、前記スキャン電極と前記第3背面金属電極により前記セルのアドレッシングを行い、前記スキャン電極及びサステン電極によりアドレッシングされたセル群の放電を維持するようにしたAC型PDPであって、
前記第1金属電極は、印加電圧端子と連結され、前記水平方向に延びる第1端子部電極と、その第1端子部電極に並行して水平方向に延び、前記セル構造毎に配置される第1放電主電極と、前記第1端子部電極と第1放電主電極の間を架け橋形態の金属電極で連結する第1枝部電極とから構成され、第1金属電極全体としてFENCEの形態を示し、前記第2金属電極は印加電圧端子と連結され、前記水平方向に延びる第2端子部電極と、その水平方向の長さが隣接する前記背面隔壁リブの対向する側壁間隔より短く、その端子部電極に並行して、電極ヘッド方向に配置される第2放電主電極と、前記第2端子部電極と第2放電主電極の間を架け橋形態の金属電極で連結する第2枝部電極から構成され、第2金属電極全体としてはPINを立てた形態を示すことを特徴とする金属電極のみを用いるセル構造とする。
【0032】
また、前記第1放電主電極が、前記第2放電主電極と同様に、その水平方向の長さが隣接する前記背面隔壁リブの対向する側壁間隔より短く、且つ、前記第2放電主電極より長く、第1金属電極全体としてHAMMERを立てた形態を示すセル構造であってもよい。
【0033】
また、前記第1端子部電極及び第2端子部電極の線幅は60〜80μmの範囲とし、前記第1放電主電極の線幅は60〜80μmの範囲とし、前記第2放電主電極の線幅は50〜80μmの範囲とし、前記第1枝部電極及び第2枝部電極の線幅は40〜60μmの範囲とし、前記第2放電主電極の水平方向の長さは、前記第2枝部電極の線幅の1.2〜2.0倍として、それらの範囲より小さい値の場合の放電の不安定性を抑制し、それらの範囲より大きい値の場合の可視光線を少なくする開口率低下を防止する。
【0034】
また、前記第1金属電極をHAMMERを立てた形態にする場合は、第1放電主電極の水平方向の長さは、前記第1放電主電極の水平方向端が前記背面パネル上の背面隔壁リブの側壁から10〜20μm隔離される長さとする。
【0035】
また、前記各バス電極の、前記第1放電主電極及び第2放電主電極のヘッド先端を所定の間隙距離で対向して配置し、第1端子部電極及び第2端子部電極から印加された電圧はそれぞれ、第1枝部電極と第2枝部電極を介して前記間隙に印加され、前記スキャン電極及び第3背面金属電極によるアドレッシングされたセルの初期放電を前記スキャン電極及びサステン電極による、放電維持のサステン電圧により、そのセル全体の前記第1枝部電極、第2枝部電極、第1端子部電極、及び第2端子部電極に広げる。
【0036】
また、前記第1金属電極を前記第3背面金属電極と共にアドレッシングにより初期放電を起こさせるスキャン電極とし、前記第2金属電極を放電を維持するためのサステン電極とすることにより放電を安定にすることが出来る。
【0037】
また、前記背面パネルの第2の所定ピッチで配置された背面隔壁リブ群は、その両側面から第1の所定ピッチ毎にそれぞれ3角形状に突起する突起壁リブと、それら突起壁リブ先端及びそれに対向する突起壁リブの先端を接続し形成した突起隔壁リブとによる構造とすることにより、その形成された各セルは、それぞれ、水平方向は背面隔壁リブにより、且つ、垂直方向は突起隔壁リブによりほぼ6角形状に隔壁で周囲を取巻くHEXAGON形態セル構造を備え、各セルの左右方向に加え上下方向をも、そのセル間の誤放電が抑制できる。
【0038】
また、前記HEXAGON形態セル構造は、前記背面隔壁リブ及び突起隔壁リブに加えて、それらの隔壁リブ厚さを一定に維持して、しかも放電ガスを通す部分を最大に小さくするためのホール部の3部分で構成される。
【0039】
また、隣接上下セルの誤放電防止隔壁である前記突起隔壁リブの隔壁幅が隣接左右セルの誤放電防止隔壁である前記背面隔壁リブの隔壁幅の50〜60%になるように形成し、焼成工程後に突起隔壁リブの高さが背面隔壁リブの高さより低くなることを利用して、その高さに3〜5μmの差異が起こるようにして、排気工程及びガス投入工程時のガス分子の通路とする構造とする。
【0040】
また、ホール部を形成するに際して、そのホールの内側と、外側の間のホール周囲隔壁幅が前記背面隔壁リブの隔壁幅と同じ幅に形成し、焼成工程後も突起隔壁リブの高さ以外の背面隔壁リブとホール周囲隔壁の高さは同じとなる構造とする。
【0041】
また、前記前面パネルと背面パネルとを封合するに際しては、前記前面パネルのバス電極構成要素の中の前記第1枝部電極及び第2枝部電極の位置が、前記背面パネルの前記HEXAGON形態セル構造の背面隔壁の中央位置に合うように配設される。
【0042】
また、前記第1枝部電極及び第2枝部電極の位置は、前記背面隔壁リブの中央位置から−50μm〜+50μmの範囲内に入るように配設される。
【0043】
次に、本発明の金属電極のみを用いるセル構造のPDPにおける前面パネルは、前記第1金属電極と第2金属電極からなる複数の電極対であるバス電極を形成する層と、その上側に誘電体を形成する層と、その上に保護膜であるMgOを形成する層との3層から構成され、所定の放電を開始させるための透明電極層領域及び隣接上下セルの誤放電防止のためのブラックストライプ領域形成のための非放電領域を必要としないことを特徴とする電極構造を有する。
【0044】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を以下図に基づいて説明する。
【0045】
図3は本発明に係るバス電極の第1の形態を示す。図3(a)は前面パネルのバス電極の平面図、図3(b)は前面パネルと背面パネルを封合させたセル構造とした場合の、背面隔壁リブとバス電極の位置関係、及び、バス電極各部の寸法を示す。
【0046】
図3(a)で、前面パネル(図には示さず)のガラス基板(図には示さず)上に形成されるバス電極は、第1金属電極31及び第2金属電極32から構成され、透明電極は必要としない。更に、第1金属電極31は電圧印加端子と連結する第1端子部電極31−1と、放電を起こす役割をする第1放電主電極31−2と、前記第1端子部電極31−1と第1放電主電極31−2を連結する第2のピッチP2で設けられた複数の第1枝電極部31−3からなり、全体としてFENCEの形態をなす。
【0047】
第2金属電極32は電圧印加端子と連結する第2端子部電極32−1と、水平方向の長さが背面隔離リブ(本図には示さず)と重ならない範囲に限定され、隣接左右セルに連結されない、放電を起こす役割をする第2放電主電極32−2と、前記第2端子部電極32−1と第2放電主電極32−2を連結する第2のピッチで設けられた複数の第2枝電極部32−3からなり、全体としてPINを立てたの形態をなす。
【0048】
ここで、1例として、第1金属電極31をスキャン電極、第2金属電極32をサステン電極とした場合の放電動作について説明する。第1金属電極及び第2金属電極の端子部電極31−1、32−1に印加された電圧は、それぞれ枝部電極31−3、32−3を経由して、それぞれの放電主電極31−2、32−2に印加される。スキャン電極(本例の場合第1金属電極)と第3背面金属電極(本図には示さず)でアドレッシングされ放電開始されているセル内では、第1金属電極及び第2金属電極の放電主電極31−2、32−2の間隙33で放電が立ち上がって開始し、それぞれの枝部電極31−3、32−3を伝わって、それぞれの端子部電極31−1、32−1までその放電先端が移動し広がる。この状態になれば、そのセル全体で紫外線が均一に放射されるようになり、それが蛍光体に反応して可視光線を発光するようになる。
【0049】
さらに詳しく第1金属電極及び第2金属電極の各部寸法、及び、いずれの電極をスキャン電極とするかによる放電現象の違いを実験的に解析して得られた最適値について説明する。
【0050】
本発明によれば、第1金属電極と第2金属電極の形状が異なっており、いずれをスキャン電極とするかにより、放電の安定性に差が生じた。第1金属電極(FENCE形態の電極)をスチャン電極、第2金属電極(PIN形態の電極)をサステン電極とした方がアドレッシングされた時、放電開始が安定である。従って、以下に述べる寸法は、このような電圧印加を行った場合の実験に基づいて得られたものである。
【0051】
図3(b)において、C、Aはそれぞれ第1金属電極及び第2金属電極の放電主電極の幅を示す。同様に、E−1、E−2はそれぞれ第1金属電極及び第2金属電極の端子部電極の幅、D−1、D−2は枝部電極の幅を示す。B−1は第2金属電極の放電主電極の水平方向の長さ、Bは枝部電極からのはみ出し長さを示す。
42は背面隔離リブで、P2は背面隔離リブの配設ピッチを示す。
【0052】
第1金属電極及び第2金属電極の各放電主電極の幅C、Aはその線幅が広いほど安定的な放電が起きる。しかし開口率が落ちるので、必要最小限度に幅を狭くする必要がある。その限度は放電が不安定になり始める幅に製造上の許容誤差を加えた電極幅にしなければならない。実験結果により第1金属電極の第1放電主電極の幅Cは60〜80μm、第2金属電極の第2放電主電極の幅Aは50〜80μmの範囲にすれば、安定した放電で、且つ、最大の開口率が得られた。
【0053】
第1金属電極及び第2金属電極の各端子部電極の幅E−1、E−2、枝部電極の幅D−1、D−2は、線幅が広いほど、放電をセル全体に広める役割を良く果たすようになるが、開口率が落ちるので、放電主電極の場合と同様に必要最小の幅にする必要がある。実験結果により、放電が安定で、且つ、最大開口率にする範囲は、第1金属電極及び第2金属電極の各端子部電極の幅E−1、E−2、枝部電極の幅D−1、D−2は、いずれも40〜60μmである。
【0054】
第2金属電極の第2放電主電極の水平方向長さB−1についても、長い方が放電が安定であるが、開口率が落ちるので、必要最小の長さにする必要がある。実験結果により、放電が安定で、且つ、最大開口率にする第2放電主電極の水平方向長さB−1の範囲は、第2端子部電極の幅E−2の1.2〜2.0倍で、第2端子部電極からの、はみ出し長さBを10μm程度まで短くすることが可能である。具体的には、第2主電極の水平方向長さB−1の範囲は、70〜120μmとなる。
【0055】
第1金属電極及び第2金属電極の各枝部電極31−3、32−3の役割から明らかなようにこれら枝部電極の各セルに対する位置は、セルの中心位置にあるのが最も効率的である。また、実験結果により、その中心位置より−50μm〜+50μmの範囲内に入れば、その効率は維持できる。
【0056】
図4は本発明の背面パネル上に形成された背面隔壁リブに対して突起隔壁リブを加えたHEXAGON型隔壁を示しており、図4(a)は平面図、図4(b)は斜視図である。
ここで、41は第3背面金属電極、42は背面隔壁リブを示す。ほぼ6角形状に隔壁で囲まれたHEXAGON型隔壁は左右セルの誤放電防止用隔壁、すなわち背面隔壁リブ42と、上下セルの誤放電防止用隔壁、すなわち突起隔壁リブ45とにより周囲が囲まれている。
【0057】
これらのリブは、低融点ガラスに金属酸化物を混ぜてペースト状にして印刷し、510℃、10分程度焼成して形成するが、線幅に応じて焼成後の高さが異なる性質がある。この性質を利用して、隣接上下セルの誤放電防止隔壁である突起隔壁リブ45の隔壁幅が、隣接左右セルの誤放電防止隔壁である背面隔壁リブ42の隔壁幅の50〜60%になるように形成することにより、突起隔壁リブ45の高さを背面隔壁リブ42の高さより3〜5μm低くすることができる。前面パネルと背面パネルを組み合わせた時、高さが他の部分より3〜5μm低い突起隔壁リブ45の部分を通路として、排気と放電ガスの投入が行われる。
【0058】
ガス通路として利用するために高さを他の部分より低くした突起隔壁リブ45以外のリブは、焼成後の高さを一定にして誤放電を防止する必要があるため、ホール部46を設けている。すなわち、ホール部46の周囲のホール部リブ47の幅を、背面隔壁リブ42の幅と同じにすることにより焼成後の高さがほぼ一様になる。
【0059】
図5は本発明のバス電極を形成した前面パネルを、本発明のHEAGON形態の隔壁リブを形成した背面パネルに組み合わせた形態を示す。図5(a)は本発明の斜視図、図5(b)は本発明の平面図、図5(c)は比較のために示した従来技術の平面図で、基本的に図2(c)と同じである。図5(b)、図5(c)でLは各セルの上下方向の放電する部分の長さ、Mは上下方向隣接セル間の放電しない部分の長さ、Wは背面隔壁リブ22の側面間の長さである。
【0060】
セルの放電領域Aの面積はL×Wとなり、隣接セル間の非放電領域Bの面積はM×Wとなり、発光効率はA/(A+B)の比となる。
【0061】
図5(c)の従来例では、上下隣接セル間に誤放電防止用の隔壁リブがないので、その距離Mを長くして誤放電防止を行うのが一般的であり、従ってL/Mは約1.0程度に設計せざるを得ない。
【0062】
一方、図5(b)の本発明では、上下隣接セル間に誤放電防止用の突起隔壁リブ45があるので、L/M及びA/Bの比を数倍程度にすることができる。本発明の場合は、バス電極の第1及び第2枝部電極31−3,32−3、第1及び第2主電極31−2、32−2の面積分だけ、従来技術の場合より開口率が落ちるが、これを考慮しても発光効率A/(A+B)は大幅に向上する。
【0063】
図6は本発明に係るバス電極の第2の形態を示す。図6(a)は前面パネル上のバス電極の平面図、図6(b)は前面パネルと背面パネルを封合させたセル構造とした場合の、背面隔壁リブとバス電極の位置関係を示す。
【0064】
図6(a)で第1金属電極61は、電圧印加端子と連結する第1端子部電極61−1と、水平方向の長さが背面隔離リブ(本図には示さず)と重ならない範囲に限定され、隣接左右セルに連結されないが、第2放電主電極よりは長い第1放電主電極部61−2と、前記第1端子部電極61−1と第1放電主電極61−2を連結する第2のピッチで設けられた複数の第2枝部電極61−3からなり、第1金属電極全体としてHAMMERを立てた形態をなす。
【0065】
第2金属電極62は、本発明のバス電極の第1の形態における第2金属電極と全く同じで、第2端子部電極62−1と、第2放電主電極62−2と、第2枝部電極62−3からなり、PINを立てた形態をなす。
【0066】
図6(b)で、第1金属電極61の主放電電極61−2と背面隔壁リブ72の側面間の距離B−2は10〜20μmとし、前面パネルと背面パネルを組み合わせた時に、合わせ誤差が生じても放電主電極61−2が左右に隣接するセルにはみ出さないようにした。
【0067】
また、第1金属電極61及び第2金属電極62の各主放電電極61−2、62−2の水平方向の長さF−1、F−2はF−1>F―2として、第1金属電極61をスキャン電極、第2金属電極62をサステン電極とした方が放電は安定である。
【0068】
バス電極の第2の形態では、第1の形態に比べ、バス電極の面積が減っているため、開口率が向上している。
【0069】
【発明の効果】
本発明の金属電極のみを用いるセル構造のPDP並びにその前面パネルの電極構造は以下に示す効果が得られる。
【0070】
(1)AC型PDPの前面パネルのバス電極を構成する第1金属電極及び第2金属電極を、電圧印加端子に接続される幅の狭い端子部電極、幅が狭く、しかも長さ短くした放電主電極、端子部電極と放電主電極を連結する幅の狭い枝部電極で構成され、全体としてPINを立てた形態の電極、もしくは、放電主電極の長さを少し長くして、全体としてHAMMERを立てた形態の電極、もしくは、放電主電極の長さをさらに延長して、左右隣接セルと接続して、全体としてFENCEの形態の電極を組み合わせて構成し、開口率が良く、且つ、セル全体が安定して放電できるようにして、前面パネル製造工程における、従来のITO透明電極工程が不要となり、材料費の低減と量産収率の高いPDPが提供できる。
【0071】
(2)さらに、AC型PDPの背面パネルの従来の背面隔壁リブに加えて、上下方向の誤放電を防止する突起隔壁リブを設け、各セル構造をほぼ6角形状のHEXAGON形態の隔壁に形成することにより、上下セル間の電極間の距離を長くする必要がなく、従ってブラックストライプ領域の必要もなく、上下セル間距離を従来技術を用いた場合より短くすることができる。よって、その分蛍光体の領域を増加させることができる。即ち、単位セルあたりの発光効率を向上させてPDPとして輝度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は従来技術のPDPを説明するための、前面パネルの分解斜視図、(b)は従来技術のPDPを説明するための、背面パネルの分解斜視図である。
【図2】(a)は従来技術のPDPを説明するための、組み立てた断面図、(b)は従来技術のPDPを説明するため、(a)と90°異なる方向の組み立て断面図、(c)は従来技術のPDPを説明するための、組み立て平面図である。
【図3】(a)は本発明に係る前面パネルに形成されるバス電極を説明するための平面図、(b)は本発明に係る前面パネルに形成されるバス電極の各部寸法を示す平面図である。
【図4】(a)は本発明に係るHEXAGON形態セルを構成する、背面パネルに形成されるリブを説明するための平面図、(b)は本発明に係るセルHEXAGON形態セルを構成する、背面パネルに形成されるリブを説明するための斜視図である。
【図5】(a)は本発明に係るバス電極とHEXAGON形態セルを組み合わせた斜視図、(b)は本発明に係るバス電極とHEXAGON形態セルを組み合わせた平面図、(c)は図5(b)と比較するための従来技術の平面図である。
【図6】(a)は本発明に係る第2の実施例を説明するための、前面パネルに形成されるバス電極を説明するための平面図、(b)は本発明に係る第2の実施例のバス電極の各部寸法を示す平面図である。
【符号の説明】
31 第1金属電極
31−1 第1端子部電極
31−2 第1放電主電極
31−3 第1枝部電極
32 第2金属電極
32−1 第2端子部電極
32−2 第2放電主電極
32−3 第2枝部電極
41 第3背面金属電極
42 背面隔壁リブ
45 突起隔壁リブ
46 ホール
47 ホール部リブ
【発明の属する技術分野】
本発明は、ACプラズマディスプレイ(PDP)に関する。特に、金属電極のみを用いる(透明電極を必要としない)セル構造のAC型PDP、並びに、そのPDPの前面パネルの電極構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
PDPは前面パネルと背面パネルの2枚の板状ガラスを所定の間隔を保って張り合わせ、多くの微少空間であるセル構造を形成させ、封入したガスを放電させ、ガス放電により発生した紫外線がそのセル内の蛍光体を励起し、可視光を得て、表示動作させる自発光型ディスプレイである。その中の従来の一般的なAC型PDPの構成について図1、図2により以下説明する。
【0003】
図1は前面パネル及び背面パネルの電極構造を示す斜視図である。
【0004】
図1(a)は前面パネル1を示す。前面パネル1は、そのガラス基板10上に一方向(図では水平方向)に延びたITO膜などの第1透明電極13及びその上の一端側にバス電極線となるスキャン用第1金属電極(Ag)11を積層した第1複合電極15と、その第1の複合電極15に並行する第2透明電極14及びその上にバス電極線として放電維持のサステン用第2金属電極12を積層した第2複合電極16とにより構成される複数の複合電極対が、その対の第1及び第2透明電極13、14間で所定の放電間隙長を離して対向配置され、それらの電極対の各中心位置を第1の所定ピッチ間隔長P1(図には示さず)で配列される構成である。
【0005】
図1(b)は背面パネル2を示す。背面パネル2はそのガラス基板20上に、前面パネルのバス電極に直交する垂直方向に延びる複数のデータ用第3背面金属電極21と、中心位置が第2の所定ピッチ間隔P2(図には示さず)で配列され、第3背面金属電極21の中間部に配設される背面隔壁リブ22から構成される。
【0006】
図2は前記背面パネル2上側に前記前面パネル1を搭載し、それぞれの電極を直交するように対向させ組み立てた状態を示す。
【0007】
図2(a)は前面パネル1の第1金属電極11に沿って、パネル面に垂直に切断した断面図である。前面パネル1側は、ガラス基板10の上に第1透明電極13と第1金属電極11を積層した第1複合電極15が形成され、これを覆うように透明な誘電体層17が形成され、更にその上に薄い保護膜(MgO)17が形成される。
【0008】
一方背面パネル2側は、ガラス基板20の上に、前面パネル1上の第1複合電極15に直交するように第3背面金属電極21が形成され、それらを覆うように白色誘電体層23が形成され、その上に第3背面金属電極21の中間部に背面隔壁リブ22が形成され、更に背面隔壁リブ22の間の底面にある白色誘電体層23を覆うようにして蛍光体24が形成される。25は放電ガスである。
【0009】
図2(b)は図2(a)のX−X′断面を示す断面図である。第1複合電極15及び第2複合電極16からなる電極対と第3背面金属電極21の間の領域Aが、セルがアドレッシングされた時に放電のおこる領域である。19はセル間の誤放電を防止するために前面パネル上に設けた電極のない領域(ブラックストライプ領域)で、これに対応する領域Bは放電を起こさない非放電領域である。
【0010】
図2(c)は平面図である。第1及び第2複合電極対15、16と、第3背面金属電極21との間には放電ガス空間を介してそれらの電極群が直交するように対向して配置されて、複数のセル構成を形成し、第1複合電極15と第3電極21により第1複合電極15が逐次スキャンした行の発光させるべきセルを帯電せせるアドレッシングを順次行を選択して行うと共に、第2複合電極16によって、そのセル面放電発光を維持するいわゆる3電極面放電機構である。
【0011】
Wは背面隔壁22間の間隔長である。Lは第1及び第2金属電極11、12間の垂直方向のセル発光部の放電電極間隙長である。また、Mは第1及び第2複合電極15、16対のセルと隣接する複合電極15、16対のセルとの間であるセル間の非放電領域の垂直方向の長さである。
従ってセルの放電領域Aは面積L×Wであり、セル間の非放電領域Bは面積M×Wである。
【0012】
従来の通常の背面隔壁形態のAC型PDPでは、上下セルへの誤放電を防止するためL/Mは1程度に設定されていた。すなわち、発光効率に関係する面積比A/(A+B)は50%程度であった。
【0013】
なお、以上のようなAC型PDPに関しでは、例えば、特開平2000−156166号公報などに数多く公開されている。
【0014】
AC型PDPは、実用化しようとすれば、一般的に以上のように発光面積の比率が小さくなり、発光効率が低下する要因の一つであるが、さらに、以下のような問題点があった。
【0015】
従来の前面パネル1のガラス基板10にはITOという第1及び第2透明電極13、14を使用しているが、透明電極を用いる理由は、セル構造内で発光した可視光線が、ガラス基板10の外側へなるべく多く透過できるようにするためである。しかし透明電極13、14だけでは電気抵抗が高いため、そのITOの電気抵抗を補完するために電気伝導度の良いAg又はCr−Ni−Crの電極材料をバス電極として第1及び第2金属電極11、12を積層させ、それぞれ第1及び第2複合電極15、16を形成させなければならない。
【0016】
しかしながらITO電極形成には材料費の増加と工程数の増加による製造コスト増加の問題点があった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前述した問題点を鑑みてなされたものであり、材料費と量産収率に大きく関係する透明電極13、14を必要としないセル構造のPDP並びにその前面パネルの電極構造を提供し、以下に示す多くの課題を解決することを目的とする。
【0018】
即ち、複合電極15、16を構成する、透明電極(ITO電極)13、14を廃止し、バス電極のみ、即ち金属電極11、12のみで放電を起こそうとする時、各バス電極は透明電極の役割もしなければならない。これはバス電極だけで放電を一つのセル全体に拡散させなければならないということであり、従来技術のままでは、各バス電極は従来の透明電極と同じ幅を必要とすることを意味する。
【0019】
しかし、各バス電極幅を従来の透明電極幅と同程度とすれば、前述した可視光線が前面パネルのガラス基板10から放射できる面積が非常に小さくなり輝度低下となる。従来の以上のようなバス電極だけの放電を解決するために本発明は次のようなバス電極構造を提供する。
【0020】
すなわち、前記可視光線がガラス基板10から放射できる面積を広くなるようにすると共に(以下、可視光線が放射できる面積の全体の面積に対する比率を開口率と呼ぶ)、放電がセル全体領域に広まるバス電極構造を提供する。
【0021】
まず、バス電極がセル領域を占める面積を減らすために、バス電極を構成する第1金属電極と第2金属電極は、それぞれ以下のような構成とする。第1金属電極は、セルの垂直方向の中心部に放電をおこさせる幅の小さい、水平方向に延びる複数の電極(第1放電主電極)と、バス電極端子部に連結する幅の小さい水平方向に延びる電極(第1端子部電極)と、それらの2電極を連結する複数の幅の小さい枝部の電極群(第1枝部電極)とからなるFENCE形態の新しい構造とする。
【0022】
第2金属電極は、セルの垂直方向の中心部に放電をおこさせる幅の小さい、水平方向の長さが限定され、左右隣接セルに連続せず、セル構造内毎に配置し、全体として長方形の形態を示す電極(第2放電主電極)と、バス電極端子部に連結する幅の小さい水平方向に延びる電極と(第2端子部電極)と、それらの2電極を連結する複数の幅の小さい枝部の電極群(第2枝部電極)とからなる新しいPIN立て形態の構造とする。
【0023】
第1金属電極は、さらに面積を小さくして開口率を上昇させるようにするために、第1放電主電極の形状を第2金属電極の第2放電主電極と同じように長方形の構造としてもよい。その場合の水平方向の長さは第2金属電極の長さより長くして、HAMMER立て形態の構造となる。
【0024】
本構造のバス電極は放電主電極で放電が開始されればその放電は枝部電極を通じて、そのセル全体に広がるようにするものである。
【0025】
ここでバス電極を構成する各放電主電極、端子部電極、枝部電極の幅を小さくすれば前記開口率は上昇するが放電面積の減少によって放電が不安定になる。これは輝度の減少の要因となる。
【0026】
一方、前記各電極の幅を大きくすれば放電は安定するが開口率は減少する。とくに放電主電極の幅と枝部電極の幅が放電現象に大きな違いを生じさせる。幅が過度に小さくなれば不安定放電によりにより誤放電現象が発生してパネル全体の均一性がおちる。
【0027】
また、枝部電極を用いた構成を使用せず、パネルの両端のみで電極を連結させた時は、放電がセル全体に広がることはなく、放電電圧も上昇する結果となる。
【0028】
以上の多くの課題を解決するために最適のバス電極幅を定め、セルの中央部に枝部電極を位置するように構成し、開口率と放電の安定性のよい、透明電極不要のバス電極を備えたPDPを提供することが第1の目的である。
【0029】
さらに、以上の透明電極不要のバス電極を備えるPDPの開口率を、より有効にするために、背面パネルのガラス基板の上に形成された背面隔壁リブの間に左右から突起させた垂直方向の突起隔壁リブを設けて、各セル毎に周囲をリブで囲み、背面隔壁リブによる左右セルの誤放電防止に加えて、突起隔壁リブによる上下セルの誤放電防止により、従来より、セル間の間隙長Mを小さく設計可能となり、しかもブラックストライプ領域も必要がなくなり、透明電極不要のバス電極との組み合わせにより、従来のPDPのL/Mが1程度であるのに対し、その数倍の値が可能となる。従って、発光効率も増加する。
【0030】
以上の透明電極不要のバス電極を備えたPDPを提供することが第2の目的である。
【0031】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の金属電極のみを用いるセル構造のPDPは、水平方向に延びる第1金属電極及び第2金属電極からなる複数の電極対のそれぞれの中心位置が第1の所定ピッチ間隔で配列されるバス電極構成の前面パネルと、前記水平方向と直交する垂直方向に延びる複数のデータ用第3背面金属電極の中心位置が第2の所定ピッチ間隔で配列され、それぞれの前記第3背面金属電極間に背面隔壁リブを配設する電極構成の背面パネルとを放電ガス空間を挟んで対向させる封合によるセル構造を形成させ、前記第1金属電極及び第2金属電極のいずれか一方をスキャン電極、残りの一方をサステン電極とし、前記スキャン電極と前記第3背面金属電極により前記セルのアドレッシングを行い、前記スキャン電極及びサステン電極によりアドレッシングされたセル群の放電を維持するようにしたAC型PDPであって、
前記第1金属電極は、印加電圧端子と連結され、前記水平方向に延びる第1端子部電極と、その第1端子部電極に並行して水平方向に延び、前記セル構造毎に配置される第1放電主電極と、前記第1端子部電極と第1放電主電極の間を架け橋形態の金属電極で連結する第1枝部電極とから構成され、第1金属電極全体としてFENCEの形態を示し、前記第2金属電極は印加電圧端子と連結され、前記水平方向に延びる第2端子部電極と、その水平方向の長さが隣接する前記背面隔壁リブの対向する側壁間隔より短く、その端子部電極に並行して、電極ヘッド方向に配置される第2放電主電極と、前記第2端子部電極と第2放電主電極の間を架け橋形態の金属電極で連結する第2枝部電極から構成され、第2金属電極全体としてはPINを立てた形態を示すことを特徴とする金属電極のみを用いるセル構造とする。
【0032】
また、前記第1放電主電極が、前記第2放電主電極と同様に、その水平方向の長さが隣接する前記背面隔壁リブの対向する側壁間隔より短く、且つ、前記第2放電主電極より長く、第1金属電極全体としてHAMMERを立てた形態を示すセル構造であってもよい。
【0033】
また、前記第1端子部電極及び第2端子部電極の線幅は60〜80μmの範囲とし、前記第1放電主電極の線幅は60〜80μmの範囲とし、前記第2放電主電極の線幅は50〜80μmの範囲とし、前記第1枝部電極及び第2枝部電極の線幅は40〜60μmの範囲とし、前記第2放電主電極の水平方向の長さは、前記第2枝部電極の線幅の1.2〜2.0倍として、それらの範囲より小さい値の場合の放電の不安定性を抑制し、それらの範囲より大きい値の場合の可視光線を少なくする開口率低下を防止する。
【0034】
また、前記第1金属電極をHAMMERを立てた形態にする場合は、第1放電主電極の水平方向の長さは、前記第1放電主電極の水平方向端が前記背面パネル上の背面隔壁リブの側壁から10〜20μm隔離される長さとする。
【0035】
また、前記各バス電極の、前記第1放電主電極及び第2放電主電極のヘッド先端を所定の間隙距離で対向して配置し、第1端子部電極及び第2端子部電極から印加された電圧はそれぞれ、第1枝部電極と第2枝部電極を介して前記間隙に印加され、前記スキャン電極及び第3背面金属電極によるアドレッシングされたセルの初期放電を前記スキャン電極及びサステン電極による、放電維持のサステン電圧により、そのセル全体の前記第1枝部電極、第2枝部電極、第1端子部電極、及び第2端子部電極に広げる。
【0036】
また、前記第1金属電極を前記第3背面金属電極と共にアドレッシングにより初期放電を起こさせるスキャン電極とし、前記第2金属電極を放電を維持するためのサステン電極とすることにより放電を安定にすることが出来る。
【0037】
また、前記背面パネルの第2の所定ピッチで配置された背面隔壁リブ群は、その両側面から第1の所定ピッチ毎にそれぞれ3角形状に突起する突起壁リブと、それら突起壁リブ先端及びそれに対向する突起壁リブの先端を接続し形成した突起隔壁リブとによる構造とすることにより、その形成された各セルは、それぞれ、水平方向は背面隔壁リブにより、且つ、垂直方向は突起隔壁リブによりほぼ6角形状に隔壁で周囲を取巻くHEXAGON形態セル構造を備え、各セルの左右方向に加え上下方向をも、そのセル間の誤放電が抑制できる。
【0038】
また、前記HEXAGON形態セル構造は、前記背面隔壁リブ及び突起隔壁リブに加えて、それらの隔壁リブ厚さを一定に維持して、しかも放電ガスを通す部分を最大に小さくするためのホール部の3部分で構成される。
【0039】
また、隣接上下セルの誤放電防止隔壁である前記突起隔壁リブの隔壁幅が隣接左右セルの誤放電防止隔壁である前記背面隔壁リブの隔壁幅の50〜60%になるように形成し、焼成工程後に突起隔壁リブの高さが背面隔壁リブの高さより低くなることを利用して、その高さに3〜5μmの差異が起こるようにして、排気工程及びガス投入工程時のガス分子の通路とする構造とする。
【0040】
また、ホール部を形成するに際して、そのホールの内側と、外側の間のホール周囲隔壁幅が前記背面隔壁リブの隔壁幅と同じ幅に形成し、焼成工程後も突起隔壁リブの高さ以外の背面隔壁リブとホール周囲隔壁の高さは同じとなる構造とする。
【0041】
また、前記前面パネルと背面パネルとを封合するに際しては、前記前面パネルのバス電極構成要素の中の前記第1枝部電極及び第2枝部電極の位置が、前記背面パネルの前記HEXAGON形態セル構造の背面隔壁の中央位置に合うように配設される。
【0042】
また、前記第1枝部電極及び第2枝部電極の位置は、前記背面隔壁リブの中央位置から−50μm〜+50μmの範囲内に入るように配設される。
【0043】
次に、本発明の金属電極のみを用いるセル構造のPDPにおける前面パネルは、前記第1金属電極と第2金属電極からなる複数の電極対であるバス電極を形成する層と、その上側に誘電体を形成する層と、その上に保護膜であるMgOを形成する層との3層から構成され、所定の放電を開始させるための透明電極層領域及び隣接上下セルの誤放電防止のためのブラックストライプ領域形成のための非放電領域を必要としないことを特徴とする電極構造を有する。
【0044】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を以下図に基づいて説明する。
【0045】
図3は本発明に係るバス電極の第1の形態を示す。図3(a)は前面パネルのバス電極の平面図、図3(b)は前面パネルと背面パネルを封合させたセル構造とした場合の、背面隔壁リブとバス電極の位置関係、及び、バス電極各部の寸法を示す。
【0046】
図3(a)で、前面パネル(図には示さず)のガラス基板(図には示さず)上に形成されるバス電極は、第1金属電極31及び第2金属電極32から構成され、透明電極は必要としない。更に、第1金属電極31は電圧印加端子と連結する第1端子部電極31−1と、放電を起こす役割をする第1放電主電極31−2と、前記第1端子部電極31−1と第1放電主電極31−2を連結する第2のピッチP2で設けられた複数の第1枝電極部31−3からなり、全体としてFENCEの形態をなす。
【0047】
第2金属電極32は電圧印加端子と連結する第2端子部電極32−1と、水平方向の長さが背面隔離リブ(本図には示さず)と重ならない範囲に限定され、隣接左右セルに連結されない、放電を起こす役割をする第2放電主電極32−2と、前記第2端子部電極32−1と第2放電主電極32−2を連結する第2のピッチで設けられた複数の第2枝電極部32−3からなり、全体としてPINを立てたの形態をなす。
【0048】
ここで、1例として、第1金属電極31をスキャン電極、第2金属電極32をサステン電極とした場合の放電動作について説明する。第1金属電極及び第2金属電極の端子部電極31−1、32−1に印加された電圧は、それぞれ枝部電極31−3、32−3を経由して、それぞれの放電主電極31−2、32−2に印加される。スキャン電極(本例の場合第1金属電極)と第3背面金属電極(本図には示さず)でアドレッシングされ放電開始されているセル内では、第1金属電極及び第2金属電極の放電主電極31−2、32−2の間隙33で放電が立ち上がって開始し、それぞれの枝部電極31−3、32−3を伝わって、それぞれの端子部電極31−1、32−1までその放電先端が移動し広がる。この状態になれば、そのセル全体で紫外線が均一に放射されるようになり、それが蛍光体に反応して可視光線を発光するようになる。
【0049】
さらに詳しく第1金属電極及び第2金属電極の各部寸法、及び、いずれの電極をスキャン電極とするかによる放電現象の違いを実験的に解析して得られた最適値について説明する。
【0050】
本発明によれば、第1金属電極と第2金属電極の形状が異なっており、いずれをスキャン電極とするかにより、放電の安定性に差が生じた。第1金属電極(FENCE形態の電極)をスチャン電極、第2金属電極(PIN形態の電極)をサステン電極とした方がアドレッシングされた時、放電開始が安定である。従って、以下に述べる寸法は、このような電圧印加を行った場合の実験に基づいて得られたものである。
【0051】
図3(b)において、C、Aはそれぞれ第1金属電極及び第2金属電極の放電主電極の幅を示す。同様に、E−1、E−2はそれぞれ第1金属電極及び第2金属電極の端子部電極の幅、D−1、D−2は枝部電極の幅を示す。B−1は第2金属電極の放電主電極の水平方向の長さ、Bは枝部電極からのはみ出し長さを示す。
42は背面隔離リブで、P2は背面隔離リブの配設ピッチを示す。
【0052】
第1金属電極及び第2金属電極の各放電主電極の幅C、Aはその線幅が広いほど安定的な放電が起きる。しかし開口率が落ちるので、必要最小限度に幅を狭くする必要がある。その限度は放電が不安定になり始める幅に製造上の許容誤差を加えた電極幅にしなければならない。実験結果により第1金属電極の第1放電主電極の幅Cは60〜80μm、第2金属電極の第2放電主電極の幅Aは50〜80μmの範囲にすれば、安定した放電で、且つ、最大の開口率が得られた。
【0053】
第1金属電極及び第2金属電極の各端子部電極の幅E−1、E−2、枝部電極の幅D−1、D−2は、線幅が広いほど、放電をセル全体に広める役割を良く果たすようになるが、開口率が落ちるので、放電主電極の場合と同様に必要最小の幅にする必要がある。実験結果により、放電が安定で、且つ、最大開口率にする範囲は、第1金属電極及び第2金属電極の各端子部電極の幅E−1、E−2、枝部電極の幅D−1、D−2は、いずれも40〜60μmである。
【0054】
第2金属電極の第2放電主電極の水平方向長さB−1についても、長い方が放電が安定であるが、開口率が落ちるので、必要最小の長さにする必要がある。実験結果により、放電が安定で、且つ、最大開口率にする第2放電主電極の水平方向長さB−1の範囲は、第2端子部電極の幅E−2の1.2〜2.0倍で、第2端子部電極からの、はみ出し長さBを10μm程度まで短くすることが可能である。具体的には、第2主電極の水平方向長さB−1の範囲は、70〜120μmとなる。
【0055】
第1金属電極及び第2金属電極の各枝部電極31−3、32−3の役割から明らかなようにこれら枝部電極の各セルに対する位置は、セルの中心位置にあるのが最も効率的である。また、実験結果により、その中心位置より−50μm〜+50μmの範囲内に入れば、その効率は維持できる。
【0056】
図4は本発明の背面パネル上に形成された背面隔壁リブに対して突起隔壁リブを加えたHEXAGON型隔壁を示しており、図4(a)は平面図、図4(b)は斜視図である。
ここで、41は第3背面金属電極、42は背面隔壁リブを示す。ほぼ6角形状に隔壁で囲まれたHEXAGON型隔壁は左右セルの誤放電防止用隔壁、すなわち背面隔壁リブ42と、上下セルの誤放電防止用隔壁、すなわち突起隔壁リブ45とにより周囲が囲まれている。
【0057】
これらのリブは、低融点ガラスに金属酸化物を混ぜてペースト状にして印刷し、510℃、10分程度焼成して形成するが、線幅に応じて焼成後の高さが異なる性質がある。この性質を利用して、隣接上下セルの誤放電防止隔壁である突起隔壁リブ45の隔壁幅が、隣接左右セルの誤放電防止隔壁である背面隔壁リブ42の隔壁幅の50〜60%になるように形成することにより、突起隔壁リブ45の高さを背面隔壁リブ42の高さより3〜5μm低くすることができる。前面パネルと背面パネルを組み合わせた時、高さが他の部分より3〜5μm低い突起隔壁リブ45の部分を通路として、排気と放電ガスの投入が行われる。
【0058】
ガス通路として利用するために高さを他の部分より低くした突起隔壁リブ45以外のリブは、焼成後の高さを一定にして誤放電を防止する必要があるため、ホール部46を設けている。すなわち、ホール部46の周囲のホール部リブ47の幅を、背面隔壁リブ42の幅と同じにすることにより焼成後の高さがほぼ一様になる。
【0059】
図5は本発明のバス電極を形成した前面パネルを、本発明のHEAGON形態の隔壁リブを形成した背面パネルに組み合わせた形態を示す。図5(a)は本発明の斜視図、図5(b)は本発明の平面図、図5(c)は比較のために示した従来技術の平面図で、基本的に図2(c)と同じである。図5(b)、図5(c)でLは各セルの上下方向の放電する部分の長さ、Mは上下方向隣接セル間の放電しない部分の長さ、Wは背面隔壁リブ22の側面間の長さである。
【0060】
セルの放電領域Aの面積はL×Wとなり、隣接セル間の非放電領域Bの面積はM×Wとなり、発光効率はA/(A+B)の比となる。
【0061】
図5(c)の従来例では、上下隣接セル間に誤放電防止用の隔壁リブがないので、その距離Mを長くして誤放電防止を行うのが一般的であり、従ってL/Mは約1.0程度に設計せざるを得ない。
【0062】
一方、図5(b)の本発明では、上下隣接セル間に誤放電防止用の突起隔壁リブ45があるので、L/M及びA/Bの比を数倍程度にすることができる。本発明の場合は、バス電極の第1及び第2枝部電極31−3,32−3、第1及び第2主電極31−2、32−2の面積分だけ、従来技術の場合より開口率が落ちるが、これを考慮しても発光効率A/(A+B)は大幅に向上する。
【0063】
図6は本発明に係るバス電極の第2の形態を示す。図6(a)は前面パネル上のバス電極の平面図、図6(b)は前面パネルと背面パネルを封合させたセル構造とした場合の、背面隔壁リブとバス電極の位置関係を示す。
【0064】
図6(a)で第1金属電極61は、電圧印加端子と連結する第1端子部電極61−1と、水平方向の長さが背面隔離リブ(本図には示さず)と重ならない範囲に限定され、隣接左右セルに連結されないが、第2放電主電極よりは長い第1放電主電極部61−2と、前記第1端子部電極61−1と第1放電主電極61−2を連結する第2のピッチで設けられた複数の第2枝部電極61−3からなり、第1金属電極全体としてHAMMERを立てた形態をなす。
【0065】
第2金属電極62は、本発明のバス電極の第1の形態における第2金属電極と全く同じで、第2端子部電極62−1と、第2放電主電極62−2と、第2枝部電極62−3からなり、PINを立てた形態をなす。
【0066】
図6(b)で、第1金属電極61の主放電電極61−2と背面隔壁リブ72の側面間の距離B−2は10〜20μmとし、前面パネルと背面パネルを組み合わせた時に、合わせ誤差が生じても放電主電極61−2が左右に隣接するセルにはみ出さないようにした。
【0067】
また、第1金属電極61及び第2金属電極62の各主放電電極61−2、62−2の水平方向の長さF−1、F−2はF−1>F―2として、第1金属電極61をスキャン電極、第2金属電極62をサステン電極とした方が放電は安定である。
【0068】
バス電極の第2の形態では、第1の形態に比べ、バス電極の面積が減っているため、開口率が向上している。
【0069】
【発明の効果】
本発明の金属電極のみを用いるセル構造のPDP並びにその前面パネルの電極構造は以下に示す効果が得られる。
【0070】
(1)AC型PDPの前面パネルのバス電極を構成する第1金属電極及び第2金属電極を、電圧印加端子に接続される幅の狭い端子部電極、幅が狭く、しかも長さ短くした放電主電極、端子部電極と放電主電極を連結する幅の狭い枝部電極で構成され、全体としてPINを立てた形態の電極、もしくは、放電主電極の長さを少し長くして、全体としてHAMMERを立てた形態の電極、もしくは、放電主電極の長さをさらに延長して、左右隣接セルと接続して、全体としてFENCEの形態の電極を組み合わせて構成し、開口率が良く、且つ、セル全体が安定して放電できるようにして、前面パネル製造工程における、従来のITO透明電極工程が不要となり、材料費の低減と量産収率の高いPDPが提供できる。
【0071】
(2)さらに、AC型PDPの背面パネルの従来の背面隔壁リブに加えて、上下方向の誤放電を防止する突起隔壁リブを設け、各セル構造をほぼ6角形状のHEXAGON形態の隔壁に形成することにより、上下セル間の電極間の距離を長くする必要がなく、従ってブラックストライプ領域の必要もなく、上下セル間距離を従来技術を用いた場合より短くすることができる。よって、その分蛍光体の領域を増加させることができる。即ち、単位セルあたりの発光効率を向上させてPDPとして輝度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は従来技術のPDPを説明するための、前面パネルの分解斜視図、(b)は従来技術のPDPを説明するための、背面パネルの分解斜視図である。
【図2】(a)は従来技術のPDPを説明するための、組み立てた断面図、(b)は従来技術のPDPを説明するため、(a)と90°異なる方向の組み立て断面図、(c)は従来技術のPDPを説明するための、組み立て平面図である。
【図3】(a)は本発明に係る前面パネルに形成されるバス電極を説明するための平面図、(b)は本発明に係る前面パネルに形成されるバス電極の各部寸法を示す平面図である。
【図4】(a)は本発明に係るHEXAGON形態セルを構成する、背面パネルに形成されるリブを説明するための平面図、(b)は本発明に係るセルHEXAGON形態セルを構成する、背面パネルに形成されるリブを説明するための斜視図である。
【図5】(a)は本発明に係るバス電極とHEXAGON形態セルを組み合わせた斜視図、(b)は本発明に係るバス電極とHEXAGON形態セルを組み合わせた平面図、(c)は図5(b)と比較するための従来技術の平面図である。
【図6】(a)は本発明に係る第2の実施例を説明するための、前面パネルに形成されるバス電極を説明するための平面図、(b)は本発明に係る第2の実施例のバス電極の各部寸法を示す平面図である。
【符号の説明】
31 第1金属電極
31−1 第1端子部電極
31−2 第1放電主電極
31−3 第1枝部電極
32 第2金属電極
32−1 第2端子部電極
32−2 第2放電主電極
32−3 第2枝部電極
41 第3背面金属電極
42 背面隔壁リブ
45 突起隔壁リブ
46 ホール
47 ホール部リブ
Claims (13)
- 水平方向に延びる第1金属電極及び第2金属電極からなる複数の電極対のそれぞれの中心位置が第1の所定ピッチ間隔で配列されるバス電極構成の前面パネルと、前記水平方向と直交する垂直方向に延びる複数のデータ用第3背面金属電極の中心位置が第2の所定ピッチ間隔で配列され、それぞれの前記第3背面金属電極間に背面隔壁リブを配設する電極構成の背面パネルとを放電ガス空間を挟んで対向させ封合してセル構造を形成させ、前記第1金属電極及び第2金属電極のいずれか一方をスキャン電極、残りの一方をサステン電極とし、前記スキャン電極と前記第3背面金属電極により前記セルのアドレッシングを行い、前記スキャン電極及びサステン電極によりアドレッシングされたセル群の放電を維持するようにしたAC型PDPであって、
前記第1金属電極は、印加電圧端子と連結され、前記水平方向に延びる第1端子部電極と、その第1端子部電極に並行して水平方向に延び、電極ヘッド方向に配置される第1放電主電極と、前記第1端子部電極と第1放電主電極の間を架け橋形態の金属電極で連結する第1枝部電極とから構成され、第1金属電極全体としてFENCEの形態をなし、前記第2金属電極は印加電圧端子と連結され、前記水平方向に延びる第2端子部電極と、その水平方向の長さが隣接する前記背面隔壁リブの対向する側壁間隔より短く、その端子部電極に並行して、前記セル構造毎に電極ヘッド方向に配置される第2放電主電極と、前記第2端子部電極と第2放電主電極の間を架け橋形態の金属電極で連結する第2枝部電極から構成され、第2金属電極全体としてPINを立てた形態をなすことを特徴とする金属電極のみを用いるセル構造のPDP。 - 前記第1放電主電極が、前記第2放電主電極と同様に、その水平方向の長さが隣接する前記背面隔壁リブの対向する側壁間隔より短く、且つ、前記第2放電主電極より長く、第1金属電極全体としてHAMMERを立てた形態をなすことを特徴とする請求項1記載の金属電極のみを用いるセル構造のPDP。
- 前記第1端子部電極及び第2端子部電極の線幅は60〜80μmの範囲とし、前記第1放電主電極の線幅は60〜80μmの範囲とし、前記第2放電主電極の線幅は50〜80μmの範囲とし、前記第1枝部電極及び第2枝部電極の線幅は40〜60μmの範囲とし、前記第2放電主電極の水平方向の長さは、前記第2枝部電極の線幅の1.2〜2.0倍として、それらの範囲より小さい値の場合の放電の不安定性を抑制し、それらの範囲より大きい値の場合の可視光線を少なくして、開口率低下を防止することを特徴とする請求項1又は2記載の金属電極のみを用いるセル構造のPDP。
- 前記第1放電主電極の水平方向の長さは、前記第1放電主電極の水平方向端が前記背面パネル上の背面隔壁リブの側壁から10〜20μm隔離される長さとすることを特徴とする請求項2記載の金属電極のみを用いるセル構造のPDP。
- 前記各バス電極の、前記第1放電主電極及び第2放電主電極のヘッド先端を所定の間隙距離で対向して配置し、第1端子部電極及び第2端子部電極から印加された電圧はそれぞれ、第1枝部電極と第2枝部電極を介して前記間隙に印加され、前記スキャン電極及び第3背面金属電極によるアドレッシングされたセルの初期放電を前記スキャン電極及びサステン電極による、放電維持のサステン電圧により、そのセル全体の前記第1枝部電極、第2枝部電極、第1端子部電極、及び第2端子部電極に広げることを特徴とする請求項1又は2記載の金属電極のみを用いるセル構造のPDP。
- 前記第1金属電極を前記第3背面金属電極と共にアドレッシングにより初期放電を起こさせるスキャン電極とし、前記第2金属電極を電極放電を維持するためのサステン電極とすることを特徴とする請求項1又は2記載の金属電極のみを用いるセル構造のPDP。
- 前記背面パネルの第2の所定ピッチで配置された背面隔壁リブ群は、その両側面から第1の所定ピッチ毎にそれぞれ3角形状に突起する突起壁リブと、それら突起壁リブ先端及びそれに対向する突起壁リブの先端を接続し形成した突起隔壁リブとによる構造とすることにより、その形成された各セルは、それぞれ、水平方向は背面隔壁リブにより、且つ、垂直方向は突起隔壁リブによりほぼ6角形状に隔壁で周囲を取巻くHEXAGON形態セル構造を備え、各セルの左右方向に加え上下方向をも、そのセル間の誤放電が抑制できることを特徴とする請求項1又は2記載の金属電極のみを用いるセル構造のPDP。
- 前記HEXAGON形態セル構造は、前記背面隔壁リブ及び突起隔壁リブに加えて、それらの隔壁リブ厚さを一定に維持して、しかも放電ガスを通す部分を最大に小さくするためのホール部の3部分で構成されたことを特徴とする請求項7記載の金属電極のみを用いるセル構造のPDP。
- 隣接上下セルの誤放電防止隔壁である前記突起隔壁リブの隔壁幅が隣接左右セルの誤放電防止隔壁である前記背面隔壁リブの隔壁幅の50〜60%になるように形成し、焼成工程後に突起隔壁リブの高さが背面隔壁リブの高さより低くなることを利用して、その高さに3〜5μmの差異が起こるようにして、排気工程及びガス投入工程時のガス分子の通路とする構造であることを特徴とする請求項8記載の金属電極のみを用いるセル構造のPDP。
- 前記HEXAGON形態セル構造は、ホール部を形成するに際して、そのホールの内側と、外側の間のホール周囲隔壁幅が前記背面隔壁リブの隔壁幅と同じ幅に形成し、焼成工程後も突起隔壁リブの高さ以外の背面隔壁リブとホール周囲隔壁の高さは同じとなる構造であることを特徴とする請求項9記載の金属電極のみを用いるセル構造のPDP。
- 前記前面パネルと背面パネルとを前記封合するに際しては、前記前面パネルのバス電極構成要素の中の前記第1枝部電極及び第2枝部電極の位置が、前記背面パネルの前記HEXAGON形態セル構造の背面隔壁の中央位置に合うように配設されることを特徴とする請求項10記載の金属電極のみを用いるセル構造のPDP。
- 前記第1枝部電極及び第2枝部電極の位置は、前記背面隔壁リブの中央位置から−50μm〜+50μmの範囲内に入るように配設されることを特徴とする請求項10記載の金属電極のみを用いるセル構造のPDP。
- 請求項1又は2記載の金属電極のみを用いるセル構造のPDPにおける前面パネルは、前記第1金属電極と第2金属電極からなる複数の電極対であるバス電極を形成する層と、その上側に誘電体を形成する層と、その上に保護膜であるMgOを形成する層との3層から構成され、所定の放電を開始させるための透明電極層領域及び隣接上下セルの誤放電防止のためのブラックストライプ領域形成のための非放電領域を必要としないことを特徴とする前面パネルの電極構造。
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