JP2004079139A - 光情報記録再生ヘッド装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光源から照射された光束を対物レンズによって光ディスク上に導き、光情報の記録、再生、及び消去を行う光情報記録再生ヘッド装置において、光源と対物レンズとの間に配設され、光ディスク上で発生する球面収差を、光の発散度を変化させて補正する収差補正光学系を有し、収差補正光学系は、対物レンズ側に配設された第1のレンズ群と、光源側に配設された第2のレンズ群との少なくとも2つのレンズ群を有し、対物レンズは、第1のレンズ群の対物レンズ側の焦点位置近傍に対物レンズの主点が位置するように配設される。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、光源から照射された光束を光ディスク上に導き、光情報の記録、再生、及び消去を行う光情報記録再生ヘッド装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光情報記録再生ヘッド装置は、記録媒体である光ディスク上にレーザビームを照射し、その反射される光の偏光状態を検出して、光ディスク上の情報の記録、再生、及び消去を行う装置である。
【0003】
近年、光ディスクの高密度化が進んでおり、様々な光記録媒体が提案されている。光ディスクの高密度化の条件としては、光源である半導体レーザの波長を短くすること、ピットにレーザビームを集光させる対物レンズのNAを高くすることが挙げられる。この2つの条件を達成することによって、光ディスク上に、より小さなスポットを照射させることが可能となる。そのため、光ディスク上に書き込まれる情報をより小さくしても、その情報を処理することが可能となり、その結果、光ディスクの高密度化を図ることができる。
【0004】
しかしながら、近年行われているような半導体レーザの短波長化、及び対物レンズの高NA化が進むにつれて、種々の誤差(例えば光ディスクの厚みが不均一である)による球面収差が、より容易に、より大きく発生してしまう。そして、従来の光ディスクを用いた場合では問題とならなかった程度の誤差でも、近年の高密度化された光ディスクにおいては、球面収差が容易に大きく発生し、再生される信号のSN比が大きく劣化してしまい、問題となってしまう。
【0005】
そこで、光源から対物レンズの間に、この高密度化された光ディスクの球面収差を補正する機構として、ビームエキスパンダを配設することが一般に行われている。センサなどによって球面収差が検出されると、ビームエキスパンダがそのレンズ間隔を可変させ、その結果、この球面収差は補正される。
【0006】
ところが、ビームエキスパンダがそのレンズ間隔を可変させると、そのレンズ間隔によっては平行光以外に、拡散光や収束光も対物レンズに向けて射出されるため、NAが変化してしまう。さらにNAの変化を防ぐためにアパーチャーを配設しても、光の状態によってはアパーチャーが光をけってしまうため、対物レンズに入射するビームの光量は変化してしまう。そして、このビームの光量が変化することによって、ピットから反射される光の偏光状態も変化してしまうため、光ディスクから良好に読み取り、及び書き込みを行うことが困難となってしまう。この問題を解決するためには、対物レンズに入射するビームの光量を略一定に保つように半導体レーザの出力を制御する方法などが用いられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したように対物レンズに入射するビームの光量を略一定に保つように半導体レーザの出力を制御する場合、そのような機構を装置内部に設けなければならない。そのため、装置の大型化、構成の複雑化、及びコストアップを招いてしまう。
【0008】
そこで、本発明は上記の事情に鑑み、半導体レーザの出力を制御することなく、光ディスクから良好に読み取り、及び書き込みを行うことができるため、装置の小型化、簡便化、及びコストダウンを図ることができる光情報記録再生ヘッド装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するため、請求項1に光情報記録再生ヘッド装置は、光源から照射された光束を対物レンズによって光ディスク上に導き、光情報の記録、再生、及び消去を行う光情報記録再生ヘッド装置において、光源と対物レンズとの間に配設され、光ディスク上で発生する球面収差を、光の発散度を変化させて補正する収差補正光学系を有し、収差補正光学系は、対物レンズ側に配設された第1のレンズ群と、光源側に配設された第2のレンズ群との少なくとも2つのレンズ群を有し、対物レンズは、第1のレンズ群の対物レンズ側の焦点位置近傍に対物レンズの主点が位置するように配設されることを特徴とする。このように各光学素子を配設することによって、収差補正光学系から対物レンズに向けて、拡散光や収束光が射出された場合においても、第1のレンズ群の対物レンズ側の焦点位置近傍に、対物レンズの主点が位置しているため、収差補正光学系から射出されるビームの状態に関わらず、対物レンズの主点上で形成されるビーム径は、略一定となる。その結果、光ディスク上で読み取り、及び書き込みに利用されるスポットの光量の変化を抑えることができ、光ディスクから良好に読み取り、及び書き込みを行うことが可能となる。
【0010】
また、請求項2に記載の光情報記録再生ヘッド装置は、収差補正光学系は、第1のレンズ群と第2のレンズ群の少なくとも1つのレンズ群を移動させて、第1のレンズ群と第2のレンズ群との間隔を可変させることにより光の発散度を変化させることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に記載の光情報記録再生ヘッド装置は、第1のレンズ群と対物レンズとの間の任意の位置に、アパーチャーを設けることを特徴とする。第1のレンズ群の焦点位置に、対物レンズの主点が位置するよう対物レンズを配設すると、アパーチャーは任意の位置に配設することができる。そのため、設計の自由度が向上する。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態の光情報記録再生ヘッド装置100の構成を示す斜視図である。光情報記録再生ヘッド装置100は、光源部10と、ピックアップ部50と、スピンドルモータ90と、固定テーブル91から概略構成されている。
【0013】
図2は、本発明の実施形態の光源部10の構成を示す斜視図である。光源部10は、レーザダイオード11と、コリメータレンズ12と、第1のアナモフィックプリズム13と、第2のアナモフィックプリズム14と、ミラー15と、直角プリズム16と、ウォラストンプリズム17と、集光レンズ18と、複合センサ19から構成される。
【0014】
レーザダイオード11は、断面形状が楕円形状となる発散レーザ光を照射する半導体レーザである。このレーザダイオード11の発散レーザ光は、コリメータレンズ12に向けて射出される。
【0015】
コリメータレンズ12は、レーザダイオード11から入射した発散レーザ光を平行光束に変換する。変換されたこの平行光束は、第1のアナモフィックプリズム13に向けて射出される。
【0016】
第1のアナモフィックプリズム13、及び第2のアナモフィックプリズム14は、コリメータレンズ12から入射した平行光束を、断面形状が略円形状となる平行光束に整形する。そして、この整形された平行光束は、ミラー15に向けて射出される。
【0017】
ミラー15は、第2のアナモフィックプリズム14から入射した平行光束を90度折り曲げて、ピックアップ部50に導光する。そして、この平行光束は、図1に示すようにレンズアクチュエータ部60が有するSA補正レンズ部61に入射する。
【0018】
図3は、本発明の実施形態のレンズアクチュエータ部60の断面図であり、この断面図は、図1に示す光源部10から対物レンズ66までの光軸を含む平面によって切断された図である。レンズアクチュエータ部60は、SA(Spherical aberration)補正レンズ部61と、キャリッジ63と、直角プリズム64と、2軸アクチュエータ65と、対物レンズ66から構成されている。
【0019】
SA補正レンズ部61は、ビームエキスパンダ62を含む。ビームエキスパンダ62は、球面収差を補正する光学系であり、本発明の実施形態においては、正レンズと負レンズが1枚ずつ貼り合わされた第1レンズ群62aと、1枚の負レンズである第2レンズ62bから構成されている。第1レンズ群62aは第1レンズ枠61aに保持され、第2レンズ62bは第2レンズ枠61bに保持されている。第1レンズ枠61aは、レンズアクチュエータ部60の外枠であるキャリッジ63に固定されている。第1レンズ枠61aと第2レンズ枠61bには、それぞれヘリコイド61A、61Bが螺刻されており、そのヘリコイドによって第2レンズ枠61bは、第1レンズ枠61aに対して、ビームエキスパンダ62の光軸と平行な矢印Aの方向に移動することができる。
【0020】
図4は、本発明の実施形態の第1レンズ群62aと第2レンズ62bの種々の間隔における光束の状態を示す図であり、図の簡略化を図るためにSA補正レンズ部61と、対物レンズ66と、光ディスク200のみが示されている。第2レンズ枠61bが矢印Aの方向に移動することによって、第1レンズ群62aと第2レンズ62bとの間隔は変化する。図4(a)に示すように第2レンズ枠61bが設計値である基準位置にある場合、ビームエキスパンダ62は、光源部10から入射した平行光束を、拡大した平行光束として対物レンズ66に向けて射出する。
【0021】
光ディスク200の厚さの誤差等により、光ディスク記録面上でオーバーな球面収差が発生した場合、図4(b)に示すように第2レンズ62bを基準位置より第1レンズ群62a側に移動させ、ビームエキスパンダ62は、光源部10から入射した平行光束を発散光束として対物レンズ66に向けて射出する。対物レンズ66に入射する光束が平行光束から発散光束に変化すると対物レンズ66で発生する球面収差がアンダー方向に変化するため、光ディスク記録面上での球面収差を補正することができる。
【0022】
また、光ディスク記録面上でアンダーな球面収差が発生した場合は、図4(c)に示すように第2レンズ62bが基準位置より第1レンズ群62aから離れる方向に移動し、ビームエキスパンダ62は、光源部10から入射した平行光束を、収束光束として対物レンズ66に向けて射出する。この場合対物レンズ66で発生する球面収差がオーバー方向に変化するため、光ディスク記録面上での球面収差を補正することができる。
【0023】
ビームエキスパンダ62から射出した光束は、キャリッジ63に固定された直角プリズム64によって90度折り曲げられて、対物レンズ66に向かう。対物レンズ66は、2軸アクチュエータ65に固定されている。
【0024】
2軸アクチュエータ65は、後述する複合センサ19の検出結果によって対物レンズ66を、対物レンズ66の光軸と平行な矢印Bの方向(フォーカス方向)と、対物レンズ66の光軸と直交する矢印Cの方向(トラッキング方向)に移動させる。また、2軸アクチュエータ65は、対物レンズ66のSA補正レンズ部61側の近傍位置にアパーチャー65aを有する。アパーチャー65aは、2軸アクチュエータ65に形成された凸部であり、絞り機能(固定絞り)を有している。
【0025】
図4に示すように対物レンズ66は、第1レンズ群62aの対物レンズ66側の焦点f上に、対物レンズ66の主点66aが位置するように配設されている。そのため、光束が図4(a)〜(c)のどの状態においても、SA補正レンズ部61から入射される光束は、対物レンズ66の主点66a上において、常に一定のビーム径dとなる。その結果、光ディスク200上で読み取り、及び書き込みに利用されるスポットの光量の変化を略抑えることができ、さらにスポットのプロファイル(強度分布)も略一定にすることができるため、良好な読み取り、及び書き込みを行うことが可能となる。
【0026】
光ディスク200は、図1に示す固定テーブル91上にセットされ、スピンドルモータ90によって、回転軸90a中心に回転する。光ディスク200が回転することによって光情報記録再生ヘッド装置100は、光ディスク200上の情報の読み取り、及び書き込みを行うことができる。また、リニアモータ部70は、レンズアクチュエータ部60をトラッキング方向に移動させることができる。
【0027】
光ディスク200上に照射したスポット光は反射し、レンズアクチュエータ部60を介して、光源部10に戻り光として入射する。そして、この戻り光は、ミラー15により90度折り曲げられて、第2のアナモフィックプリズム14に導かれ、第1のアナモフィックプリズム13と第2のアナモフィックプリズム14との間に設けられたハーフミラー13aにより90度折り曲げられて、直角プリズム16に導かれ、さらに直角プリズム16により90度折り曲げられて、ウォラストンプリズム17に射出される。
【0028】
ウォラストンプリズム17は、偏光プリズムであり、本発明の実施形態においては、直角プリズム16から入射した戻り光を、偏光方向の異なる3つの光束に分離させる。そして、3つに分離された光束は、集光レンズ18を介して、複合センサ19に向けて射出される。
【0029】
複合センサ19は、図示しないサーボ用受光素子、及びデータ用受光素子を備える。これらの受光素子は、直角プリズム16から射出された戻り光と直交する同一平面上に配置されている。ウォラストンプリズム17により分離された3つの光束のうちの2つがデータ用受光素子に受光され、光ディスク200の情報として、演算処理される。
【0030】
また、ウォラストンプリズム17により分離された光束のうち残りの1つは、サーボ用受光素子に受光される。そして、このサーボ用受光素子の出力が図示しない演算部によって演算処理され、フォーカスエラー信号、及びトラッキングエラー信号として検出される。
【0031】
フォーカスエラー信号が検出されると、2軸アクチュエータ65は、このエラーを補正するようにフォーカス方向に対物レンズ66を移動させ、トラッキングエラー信号が検出されると、このエラーを補正するようにトラッキング方向に対物レンズ66を移動させる。そのため、対物レンズ66の主点66aは、第1レンズ群62aの対物レンズ66側の焦点f上から外れてしまう。しかしながら、これらのエラー信号による対物レンズ66の位置の移動量は微量であるため、この場合のスポットの光量の変化は、実用上問題とはならない。
【0032】
以上が本発明の実施形態である。本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく様々な範囲で変形が可能である。
【0033】
上記実施形態は、対物レンズ66から離れた第2レンズ62bが移動することによって、球面収差を補正しているが、第1レンズ群62aが移動して、球面収差を補正する構成にしてもよい。ただしこの場合、第2レンズ群62aの焦点位置が変化するが、その変化量は微量であるため、実用上問題とはならない。
【0034】
【発明の効果】
以上のように本発明の光情報記録再生ヘッド装置は、収差補正光学系の対物レンズ側のレンズの焦点位置近傍に、対物レンズの主点が位置するように対物レンズを配設している。そのため、常に対物レンズの主点上で形成されるビーム径が、略一定となる。その結果、光ディスク上で読み取り、及び書き込みに利用されるスポットの光量の変化を略抑えることができ、さらにスポットのプロファイル(強度分布)も略一定にすることができるため、良好な読み取り、及び書き込みを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の光情報記録再生ヘッド装置の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態の光源部の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態のレンズアクチュエータ部の断面図である。
【図4】本発明の実施形態の第1レンズ群と第2レンズの種々の間隔における光束の状態を示す図である。
【符号の説明】
10 光源部
50 ピックアップ部
60 SA補正レンズ部
62 ビームエキスパンダ
66 対物レンズ
100 光情報記録再生ヘッド装置
200 光ディスク
Claims (3)
- 光源から照射された光束を対物レンズによって光ディスク上に導き、光情報の記録、再生、及び消去を行う光情報記録再生ヘッド装置において、
前記光源と前記対物レンズとの間に配設され、光ディスク上で発生する球面収差を、光の発散度を変化させて補正する収差補正光学系を有し、
前記収差補正光学系は、前記対物レンズ側に配設された第1のレンズ群と、
前記光源側に配設された第2のレンズ群と、の少なくとも2つのレンズ群を有し、
前記対物レンズは、前記第1のレンズ群の前記対物レンズ側の焦点位置近傍に前記対物レンズの主点が位置するように配設されること、を特徴とする光情報記録再生ヘッド装置。 - 前記収差補正光学系は、前記第1のレンズ群と前記第2のレンズ群の少なくとも1つのレンズ群を移動させて、前記第1のレンズ群と前記第2のレンズ群との間隔を可変させることにより光の発散度を変化させること、を特徴とする請求項1に記載の光情報記録再生ヘッド装置。
- 前記光情報記録再生ヘッド装置は、前記第1のレンズ群と前記対物レンズとの間の任意の位置に、アパーチャーを設けること、を特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の光情報記録再生ヘッド装置。
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