JP2004077205A - プラズマ・アークによる損傷評価装置と評価方法 - Google Patents
プラズマ・アークによる損傷評価装置と評価方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】プラズマやアークに曝される材料の実使用条件を簡単に模擬し、該材料の損傷形態および損傷メカニズムを明確化して耐アーク性の向上に寄与するプラズマ・アークによる損傷評価装置と評価方法を提供する。
【解決手段】真空ポンプ2を具備した減圧チャンバー1内にプラズマ発生部3が設置されており、その対向面に評価試験体8の加熱面が配置されている。評価試験体8の冷却手段として水などの冷却媒体11が評価試験体8の底面を冷却するよう送り込まれるようになっている。また、評価試験体8には内部の温度を計測するための複数の熱電対12が配置されている。減圧チャンバー1の外部には評価試験体8加熱面の表面温度を測定するための放射温度計13が設けられている。
【選択図】 図1
【解決手段】真空ポンプ2を具備した減圧チャンバー1内にプラズマ発生部3が設置されており、その対向面に評価試験体8の加熱面が配置されている。評価試験体8の冷却手段として水などの冷却媒体11が評価試験体8の底面を冷却するよう送り込まれるようになっている。また、評価試験体8には内部の温度を計測するための複数の熱電対12が配置されている。減圧チャンバー1の外部には評価試験体8加熱面の表面温度を測定するための放射温度計13が設けられている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力用開閉装置に使用されるプラズマやアークに曝される材料の耐アーク性向上を目的として、前記材料を評価試験体としてその損傷挙動を評価する装置及び評価方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電力用開閉装置の小型縮小化、性能向上の開発は継続的に進められているが、それに伴って電力用開閉装置を構成する材料の使用環境は益々厳しくなっている。特に、接点部またはその近傍において使用される材料は発生するアークに曝されるため、最も使用環境が厳しい。このような中で、機器の小型縮小化を進める上では、接点部またはその近傍に使用される材料の耐アーク特性を向上することが求められている。また、電力用開閉装置に限らず、材料がプラズマやアークに曝される機器では材料の損傷が問題となっている。材料の耐アーク性を向上させるためには、アークによる材料の損傷形態や損傷メカニズムを明らかにしなくてはならない。そこで、実使用条件を模擬した評価試験が非常に重要である。
【0003】
材料の損傷を評価する方法としては、高温での機械的強度試験、各種雰囲気中での炉内加熱、炉内加熱から急冷する熱衝撃試験などが知られている。また、ガスタービンに適用される遮熱コーティングにおいては、より実機条件に近い評価について評価手法が検討されている(機械の研究、第52巻、第10号、1049頁)。この評価手法は燃焼ガスによる高温腐食環境を模擬した試験方法であり、バーナーによる定常加熱試験と、加熱・冷却を繰返す熱サイクル試験とが行われている。この他にも、熱源をレーザー加熱、赤外線ランプ、ヒーターとした材料の耐熱特性評価試験が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、プラズマやアークに曝される材料の損傷を評価するためには、実器において材料の損傷を評価する必要がある。しかしながら、実器での試験は非常に大掛かりであり、コストが高かった。また、材料の損傷のみを評価することが難しく、寿命評価などに限界があった。このため、簡易的に実器を模擬したアーク環境下での材料の損傷を評価できる評価装置および評価方法の開発が強く望まれている。
【0005】
また、従来の技術において、バーナー炎を熱源とした加熱評価試験を実施した場合、入熱量が低い、燃焼ガス以外の雰囲気形成が難しい、移行アークを発生しにくいといった問題点がある。また、赤外線ランプによる加熱評価試験は手軽な熱源であるが、やはり入熱量が低い、腐食性雰囲気形成が難しい、移行アークを発生しにくい。レーザーを熱源とした加熱評価試験では、高い入熱量を得られるが、腐食性雰囲気形成が難しい点、移行アークを発生しにくい点は、上記試験と同様である。
【0006】
本発明は、以上の問題点を解消するために提案されたものであり、その目的は、プラズマやアークに曝される材料の実使用条件を簡単に模擬し、該材料の損傷形態および損傷メカニズムを明確化して耐アーク性の向上に寄与するプラズマ・アークによる損傷評価装置と評価方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1〜6の発明は、プラズマやアークに曝される材料を評価試験体としてその損傷挙動を評価する損傷評価装置において、次のような構成上の特徴を有している。
【0008】
請求項1の発明は、排気系を有するチャンバーを設け、このチャンバー内に前記評価試験体を入れると共にプラズマ発生部を配置したことを特徴としている。このような請求項1の発明によれば、チャンバー内の任意の雰囲気中で、プラズマを発生させることができ、そのプラズマによって評価試験体の加熱評価試験を低コストで簡単に実施することができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のプラズマ・アークによる損傷評価装置において、前記プラズマ発生部にプラズマ構成ガスとしてAr、He、H2、O2、N2あるいはそれらの混合ガスを用いたことを特徴としている。
このような請求項2の発明によれば、安定的にプラズマを発生させることができると共に、チャンバー内はこれらのプラズマ構成ガスの雰囲気となり、不活性雰囲気、酸化性雰囲気、還元性雰囲気などの雰囲気での評価試験ができる。また、プラズマ構成ガスを変化させることによりプラズマ温度を変えることもできるので、入熱量を変化させた評価試験を容易に行うことができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載のプラズマ・アークによる損傷評価装置において、前記プラズマ発生部に前記プラズマ構成ガス以外にSF6ガス、CO2ガスあるいはそれらの混合ガスからなる絶縁性ガスを混入したことを特徴としている。
このような請求項3の発明によれば、種々のガス雰囲気中での評価試験が可能である。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラズマ・アークによる損傷評価装置において、前記プラズマ発生部と前記評価試験体との間に電圧をかける移行アーク電源を具備したことを特徴としている。
このような請求項4の発明によれば、移行アーク電源にてプラズマ発生部と前記評価試験体との間に電圧をかけることで、安定的に評価試験体を陰極または陽極として移行アークを発生させることができる。これにより、評価試験体表面においてアークの発生する電極材料表面のアーク損耗を模擬することができる。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプラズマ・アークによる損傷評価装置において、前記評価試験体の底面を冷却する冷却手段を備えたことを特徴としている。
このような請求項5の発明によれば、評価試験体の底面を水冷、空冷などの冷却手段により冷却するため、評価試験体に温度傾斜場を与えることができる。したがって、評価試験体の中に定常的な熱応力を発生させる評価試験が実施することができる。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラズマ・アークによる損傷評価装置において、前記評価試験体に複数の熱電対を挿入したことを特徴としている。
このような請求項6の発明によれば、評価試験体に複数の熱電対を挿入し、評価試験体内の複数箇所の温度を計測することで温度勾配を測定することができる。これにより、入熱量を定量的に評価することが可能となり、また、入熱量と評価試験体の損傷の関係を明らかにできる。さらに、繰り返し試験時の入熱量の安定化を図ることができる。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載のプラズマ・アークによる損傷評価装置において、前記評価試験体の表面温度を測定する放射温度計を設けたことを特徴としている。
このような請求項7の発明によれば、評価試験体の表面温度を放射温度計によって測定するため、表面温度から評価試験体内部の温度を推定でき、評価試験体内の等価熱伝導度の変化を把握することができる。このため、評価試験体内部での亀裂の発生などの損傷も評価することが可能となる。
【0015】
請求項8〜10の発明は、プラズマ・アークによる損傷評価方法であり、請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置によって発生したプラズマで導電性あるいは電気絶縁性の評価試験体を照射し、この評価試験体の重量・体積変化、あるいは表面粗さの変化で損傷評価を行うことを特徴としている。このような請求項8の発明によれば、発生したプラズマで評価試験体を照射し、評価試験体の重量・体積変化、あるいは表面粗さの変化で損傷評価を行うことで、定量的にプラズマによる材料の損傷を評価することができる。
【0016】
請求項9の発明は、請求項4記載の装置によって発生したプラズマと移行アークで導電性の評価試験体を照射し、この評価試験体の重量・体積変化、あるいは表面粗さの変化で損傷評価を行うことを特徴としている。
このような請求項9の発明によれば、発生したプラズマと移行アークで評価試験体を照射し、評価試験体の重量・体積変化、あるいは表面粗さの変化で損耗評価を行うことにより、定量的にプラズマと移行アークによる材料の損傷を評価することができる。
【0017】
請求項10の発明は、請求項3記載の装置を用いて前記絶縁性ガスの分解ガスによって導電性あるいは電気絶縁性の評価試験体における化学的反応に伴う損傷評価を行うことを特徴としている。
このような請求項10の発明によれば、プラズマ構成ガス以外の絶縁性ガスの分解ガスによる評価試験体の化学的反応に伴う損傷を評価することにより、アーク熱やアークスポットによる材料の損傷だけでなく、腐食性の分解ガスによる材料の損傷も評価することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わるプラズマ・アークによる損傷評価装置と評価方法の実施の形態の一例について、図面を参照して具体的に説明する。
[構成]
図1に、本発明における損傷評価装置の代表的な実施の形態の構成例を表す。図1に示すように、本実施の形態では真空ポンプ2を具備した減圧チャンバー1内にプラズマ発生部3が設置されており、その対向面に評価試験体8の加熱面が配置されている。
【0019】
プラズマ発生部3にはプラズマ電極(陰極)4aとプラズマ電極(陽極)4bが設けられている。なお、プラズマ発生部3にプラズマ構成ガスとしてはAr、He、H2、O2、N2あるいはそれらの混合ガスが用いられている。さらに、プラズマ発生部3には前記プラズマ構成ガス以外にSF6ガス、CO2ガスあるいはそれらの混合ガスからなる絶縁性ガスが混入されている。プラズマ電極(陰極)4aにはプラズマガス流入口6が形成され、電極4a,4bの間にはプラズマガス・絶縁性ガス流入口10が形成されている。さらに、電極4a,4bにはプラズマ電源5が接続されている。このようなプラズマ発生部3ではプラズマ電源5により電圧を電極4a,4b間に印加し、プラズマガス流入口6およびプラズマガス・絶縁性ガス流入口10から流入したプラズマ構成ガスのプラズマフレーム7を形成するようになっている。
【0020】
また、プラズマ電極(陰極)4aおよび評価試験体8には移行アーク電源9が接続されている。そして、前記プラズマフレーム7を発生させながら、移行アーク電源9により、プラズマ発生部3と評価試験体8に電圧を印加することにより、プラズマ発生部3と評価試験体8の間に移行アークを発生させることができる。このとき、評価試験体8を陰極・陽極と変化させることが可能なようになっている。さらに、評価試験体8の冷却手段として水などの冷却媒体11が評価試験体8の底面を冷却するよう送り込まれるようになっている。また、評価試験体8には内部の温度を計測するための複数の熱電対12が配置されている。減圧チャンバー1の外部には評価試験体8加熱面の表面温度を測定するための放射温度計13が設けられている。
【0021】
[プラズマ加熱試験]
次に実際の評価試験の結果の例を以下に示す。初めに、プラズマ加熱試験の例を示す。図2は評価結果の例として、φ20mmの加熱面を有するCu基材上にW/Cu溶射コーティングを1mmの膜厚で形成した評価試験体のプラズマ加熱による熱サイクル試験を実施したときの温度履歴を示している。ここで、熱サイクルは減圧チャンバー1内のプラズマ発生部を移動することにより、加熱と非加熱を状態を20秒毎に5回繰り返すことにより実施した。なお、プラズマの加熱、非加熱の制御は評価試験体8の位置を変化させることや、プラズマ発生部3と評価試験体8の間に遮熱板を設けることによっても可能である。
【0022】
ここで評価試験体8の底面は冷却媒体11により冷却しているため、評価試験体8に温度傾斜場を与えることができる。したがって、評価試験体8の中に定常的な熱応力を発生させる評価試験が実施することが可能である。また、評価試験体8には加熱面から2.5mm間隔で熱電対12が3本挿入されており、底面側から熱電対12の温度履歴をそれぞれ図2中に14、15、16として示している。図2にはこれらの熱電対12温度から外挿した表面温度17も示している。このとき加熱したプラズマは水素とアルゴンの1:2の混合ガスをプラズマ構成ガスとして、出力10kWのプラズマであり、プラズマ発生部3先端と評価試験体8の距離を40mmとしており、入熱量(熱流速)は10MW/m2であった。ここで、プラズマ出力、プラズマ構成ガス(Ar、He、H2、O2、N2あるいはそれらの混合ガス)の種類、ガス流量、プラズマ発生部3と評価試験体8の距離などを変化させることにより、熱流速を最大30MW/m2まで制御することができる。また、冷却条件を変化させることにより、熱流速が一定であっても、評価試験体8の温度を変化させることもできる。
【0023】
さらに、評価試験体8加熱面の表面温度を放射温度計13で測定した場合、その放射温度計13による温度と図2中に示した熱電対温度による外挿表面温度を比較すると、評価試験体8内部の等価熱伝導率を評価することができる。つまり、評価試験体8内の等価熱伝導率が低下した場合には、評価試験体8内に熱伝導率を阻害する亀裂などの損傷が発生したしたことがわかる。図2には示したような熱サイクル試験などの加熱試験した後の評価試験体は外観観察や断面組織観察などの形状・構造変化により材料損傷を評価でき、さらに、加熱前後の重量や体積の変化や表面粗さの変化などにより、定量的に材料損傷を評価することができる。
【0024】
なお、上述のプラズマ過熱試験ではCu基材上にW/Cu溶射コーティング膜を形成した評価試験体8を用いたが、接点部材やその周辺部材に用いられる鋼、アルミニウム、銅、タングステン、カーボンあるいはこれらの合金、もしくはこれらを主体とした導電性の複合材料、または、接点周辺部材に用いられるエポキシやPTFEなどの電気絶縁性の高分子材料、あるいは電気絶縁性の高分子材料を主体とした複合材料を評価試験体8としても、プラズマ加熱試験を実施することができる。評価試験体が電気絶縁性の高分子材料やこれを主体とした複合材料である場合、プラズマ光による材料の損傷も評価することができる。
【0025】
[移行アーク試験]
続いて、移行アーク試験の評価試験の結果の例を以下に示す。移行アーク試験では、電力用開閉装置などで一般的に接点材料として使用されているW/Cu合金材料(W含有率:80体積%)を評価試験体8として試験した。移行アーク試験ではアルゴンをプラズマ構成ガスとして8kWの出力でプラズマを発生させながら、プラズマ発生部3先端と評価試験体8の距離を50mmとして、評価試験体8を陰極として、プラズマ発生部3先端と評価試験体8に電圧を印加し、70Aの移行アークを5秒間発生させる試験を実施した。なお、評価試験体8を陰極・陽極と変化させることが可能なので、異なる移行アークによる損傷を評価することもできる。また、評価試験体8において先鋭化した先端を形成させ、この先端に移行アークが集中し易くさせても良い。これにより、移行アークがより安定し、より短時間での材料の移行アーク損傷を評価することができる。さらに、プラズマ発生部3に電力用開閉装置に絶縁ガスとして用いられるSF6ガスに関して、これをプラズマ発生部3に流入する場合と、流入しない場合の試験を実施した。
【0026】
図3にはSF6ガスを流入しない条件で試験を実施したときのW/Cu合金評価試験体の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した写真を示しており、図4にはSF6ガスを流入した条件でのW/Cu合金評価試験体の表面の観察写真を示す。SF6ガスを流していない図3では100μm程度のアークスポットが観察されており、アーク熱による材料の損傷が生じていることがよくわかる。
【0027】
一方、SF6ガスを流して試験した図4に示した試験後の評価試験体の表面は30μm程度の塊状物が部分的に存在していることがわかる。この塊状物をエネルギー分散型X線分析(EDX)にて分析した結果、Cuを主成分としていることが明らかとなった。つまり、融点が3000℃以上のWではなく、融点が1000℃程度のCuがW/Cu合金表面に残存している。この現象は流入したSF6ガスが分解し、金属腐食性の高いフッ素系ガスが生じ、このガスがW/Cu合金を腐食した場合、Cuのフッ化物は固体であるのに対し、Wのフッ化物は気体であるために、W/Cu合金表面にCuのみが残存したものである。この結果から、本評価試験では、移行アークの熱による材料の損傷だけでなく、腐食性ガスによる材料の損耗も評価できることがわかる。
【0028】
なお、図3、4には試験後の評価試験体の表面観察により材料損傷を評価したが、加熱前後の重量や体積の変化や表面粗さの変化などにより、定量的に材料損傷を評価することができる。上述の移行アーク試験ではW/Cu合金を評価試験体としてを用いたが、接点部材に用いられる鋼、アルミニウム、銅、タングステン、カーボンあるいはこれらの合金、あるいはこれらを主体とした導電性の複合材料、評価試験体として移行アーク試験を実施することができる。また、腐食性ガスを発生源としてSF6ガスを用いたが、その他のガスでも同様な試験を実施することができる。
【0030】
[作用効果]
以上のような本実施の形態によれば、減圧チャンバー1内の任意に雰囲気中で、プラズマ発生部3によりプラズマを安定して発生させ、そのプラズマによって評価試験体8の加熱評価試験を低コストで簡略的に実施することができる。したがって、プラズマやアークに曝される材料の実使用条件を簡単に模擬することができ、材料の損傷形態および損傷メカニズムを明確化して耐アーク性の向上に寄与することが可能となる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、チャンバー内に前記評価試験体を入れると共にプラズマ発生部を配置するといった簡単な構成により、プラズマやアークに曝される材料の実使用条件を簡単に模擬し、該材料の損傷形態および損傷メカニズムを明確化して耐アーク性の向上に寄与するプラズマ・アークによる損傷評価装置と評価方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における損傷評価装置の代表的な実施の形態の構成図。
【図2】プラズマ加熱試験の評価結果を示すグラフ。
【図3】SF6ガスを流入しない条件で試験を実施したときのW/Cu合金評価試験体の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)による観察写真。
【図4】SF6ガスを流入した条件でのW/Cu合金評価試験体の表面の観察写真。
【符号の説明】
1…減圧チャンバー
2…真空ポンプ
3…プラズマ発生部
4a…プラズマ電極(陰極)
4b…プラズマ電極(陽極)
5…プラズマ電源
6…プラズマガス流入口
7…プラズマフレーム
8…評価試験体
9…移行アーク電源
10…プラズマガス・絶縁性ガス流入口
11…冷却媒体
12…熱電対
13…放射温度計
14,15,16…熱電対の温度履歴
17…表面温度履歴
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力用開閉装置に使用されるプラズマやアークに曝される材料の耐アーク性向上を目的として、前記材料を評価試験体としてその損傷挙動を評価する装置及び評価方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電力用開閉装置の小型縮小化、性能向上の開発は継続的に進められているが、それに伴って電力用開閉装置を構成する材料の使用環境は益々厳しくなっている。特に、接点部またはその近傍において使用される材料は発生するアークに曝されるため、最も使用環境が厳しい。このような中で、機器の小型縮小化を進める上では、接点部またはその近傍に使用される材料の耐アーク特性を向上することが求められている。また、電力用開閉装置に限らず、材料がプラズマやアークに曝される機器では材料の損傷が問題となっている。材料の耐アーク性を向上させるためには、アークによる材料の損傷形態や損傷メカニズムを明らかにしなくてはならない。そこで、実使用条件を模擬した評価試験が非常に重要である。
【0003】
材料の損傷を評価する方法としては、高温での機械的強度試験、各種雰囲気中での炉内加熱、炉内加熱から急冷する熱衝撃試験などが知られている。また、ガスタービンに適用される遮熱コーティングにおいては、より実機条件に近い評価について評価手法が検討されている(機械の研究、第52巻、第10号、1049頁)。この評価手法は燃焼ガスによる高温腐食環境を模擬した試験方法であり、バーナーによる定常加熱試験と、加熱・冷却を繰返す熱サイクル試験とが行われている。この他にも、熱源をレーザー加熱、赤外線ランプ、ヒーターとした材料の耐熱特性評価試験が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、プラズマやアークに曝される材料の損傷を評価するためには、実器において材料の損傷を評価する必要がある。しかしながら、実器での試験は非常に大掛かりであり、コストが高かった。また、材料の損傷のみを評価することが難しく、寿命評価などに限界があった。このため、簡易的に実器を模擬したアーク環境下での材料の損傷を評価できる評価装置および評価方法の開発が強く望まれている。
【0005】
また、従来の技術において、バーナー炎を熱源とした加熱評価試験を実施した場合、入熱量が低い、燃焼ガス以外の雰囲気形成が難しい、移行アークを発生しにくいといった問題点がある。また、赤外線ランプによる加熱評価試験は手軽な熱源であるが、やはり入熱量が低い、腐食性雰囲気形成が難しい、移行アークを発生しにくい。レーザーを熱源とした加熱評価試験では、高い入熱量を得られるが、腐食性雰囲気形成が難しい点、移行アークを発生しにくい点は、上記試験と同様である。
【0006】
本発明は、以上の問題点を解消するために提案されたものであり、その目的は、プラズマやアークに曝される材料の実使用条件を簡単に模擬し、該材料の損傷形態および損傷メカニズムを明確化して耐アーク性の向上に寄与するプラズマ・アークによる損傷評価装置と評価方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1〜6の発明は、プラズマやアークに曝される材料を評価試験体としてその損傷挙動を評価する損傷評価装置において、次のような構成上の特徴を有している。
【0008】
請求項1の発明は、排気系を有するチャンバーを設け、このチャンバー内に前記評価試験体を入れると共にプラズマ発生部を配置したことを特徴としている。このような請求項1の発明によれば、チャンバー内の任意の雰囲気中で、プラズマを発生させることができ、そのプラズマによって評価試験体の加熱評価試験を低コストで簡単に実施することができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のプラズマ・アークによる損傷評価装置において、前記プラズマ発生部にプラズマ構成ガスとしてAr、He、H2、O2、N2あるいはそれらの混合ガスを用いたことを特徴としている。
このような請求項2の発明によれば、安定的にプラズマを発生させることができると共に、チャンバー内はこれらのプラズマ構成ガスの雰囲気となり、不活性雰囲気、酸化性雰囲気、還元性雰囲気などの雰囲気での評価試験ができる。また、プラズマ構成ガスを変化させることによりプラズマ温度を変えることもできるので、入熱量を変化させた評価試験を容易に行うことができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載のプラズマ・アークによる損傷評価装置において、前記プラズマ発生部に前記プラズマ構成ガス以外にSF6ガス、CO2ガスあるいはそれらの混合ガスからなる絶縁性ガスを混入したことを特徴としている。
このような請求項3の発明によれば、種々のガス雰囲気中での評価試験が可能である。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラズマ・アークによる損傷評価装置において、前記プラズマ発生部と前記評価試験体との間に電圧をかける移行アーク電源を具備したことを特徴としている。
このような請求項4の発明によれば、移行アーク電源にてプラズマ発生部と前記評価試験体との間に電圧をかけることで、安定的に評価試験体を陰極または陽極として移行アークを発生させることができる。これにより、評価試験体表面においてアークの発生する電極材料表面のアーク損耗を模擬することができる。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプラズマ・アークによる損傷評価装置において、前記評価試験体の底面を冷却する冷却手段を備えたことを特徴としている。
このような請求項5の発明によれば、評価試験体の底面を水冷、空冷などの冷却手段により冷却するため、評価試験体に温度傾斜場を与えることができる。したがって、評価試験体の中に定常的な熱応力を発生させる評価試験が実施することができる。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラズマ・アークによる損傷評価装置において、前記評価試験体に複数の熱電対を挿入したことを特徴としている。
このような請求項6の発明によれば、評価試験体に複数の熱電対を挿入し、評価試験体内の複数箇所の温度を計測することで温度勾配を測定することができる。これにより、入熱量を定量的に評価することが可能となり、また、入熱量と評価試験体の損傷の関係を明らかにできる。さらに、繰り返し試験時の入熱量の安定化を図ることができる。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載のプラズマ・アークによる損傷評価装置において、前記評価試験体の表面温度を測定する放射温度計を設けたことを特徴としている。
このような請求項7の発明によれば、評価試験体の表面温度を放射温度計によって測定するため、表面温度から評価試験体内部の温度を推定でき、評価試験体内の等価熱伝導度の変化を把握することができる。このため、評価試験体内部での亀裂の発生などの損傷も評価することが可能となる。
【0015】
請求項8〜10の発明は、プラズマ・アークによる損傷評価方法であり、請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置によって発生したプラズマで導電性あるいは電気絶縁性の評価試験体を照射し、この評価試験体の重量・体積変化、あるいは表面粗さの変化で損傷評価を行うことを特徴としている。このような請求項8の発明によれば、発生したプラズマで評価試験体を照射し、評価試験体の重量・体積変化、あるいは表面粗さの変化で損傷評価を行うことで、定量的にプラズマによる材料の損傷を評価することができる。
【0016】
請求項9の発明は、請求項4記載の装置によって発生したプラズマと移行アークで導電性の評価試験体を照射し、この評価試験体の重量・体積変化、あるいは表面粗さの変化で損傷評価を行うことを特徴としている。
このような請求項9の発明によれば、発生したプラズマと移行アークで評価試験体を照射し、評価試験体の重量・体積変化、あるいは表面粗さの変化で損耗評価を行うことにより、定量的にプラズマと移行アークによる材料の損傷を評価することができる。
【0017】
請求項10の発明は、請求項3記載の装置を用いて前記絶縁性ガスの分解ガスによって導電性あるいは電気絶縁性の評価試験体における化学的反応に伴う損傷評価を行うことを特徴としている。
このような請求項10の発明によれば、プラズマ構成ガス以外の絶縁性ガスの分解ガスによる評価試験体の化学的反応に伴う損傷を評価することにより、アーク熱やアークスポットによる材料の損傷だけでなく、腐食性の分解ガスによる材料の損傷も評価することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わるプラズマ・アークによる損傷評価装置と評価方法の実施の形態の一例について、図面を参照して具体的に説明する。
[構成]
図1に、本発明における損傷評価装置の代表的な実施の形態の構成例を表す。図1に示すように、本実施の形態では真空ポンプ2を具備した減圧チャンバー1内にプラズマ発生部3が設置されており、その対向面に評価試験体8の加熱面が配置されている。
【0019】
プラズマ発生部3にはプラズマ電極(陰極)4aとプラズマ電極(陽極)4bが設けられている。なお、プラズマ発生部3にプラズマ構成ガスとしてはAr、He、H2、O2、N2あるいはそれらの混合ガスが用いられている。さらに、プラズマ発生部3には前記プラズマ構成ガス以外にSF6ガス、CO2ガスあるいはそれらの混合ガスからなる絶縁性ガスが混入されている。プラズマ電極(陰極)4aにはプラズマガス流入口6が形成され、電極4a,4bの間にはプラズマガス・絶縁性ガス流入口10が形成されている。さらに、電極4a,4bにはプラズマ電源5が接続されている。このようなプラズマ発生部3ではプラズマ電源5により電圧を電極4a,4b間に印加し、プラズマガス流入口6およびプラズマガス・絶縁性ガス流入口10から流入したプラズマ構成ガスのプラズマフレーム7を形成するようになっている。
【0020】
また、プラズマ電極(陰極)4aおよび評価試験体8には移行アーク電源9が接続されている。そして、前記プラズマフレーム7を発生させながら、移行アーク電源9により、プラズマ発生部3と評価試験体8に電圧を印加することにより、プラズマ発生部3と評価試験体8の間に移行アークを発生させることができる。このとき、評価試験体8を陰極・陽極と変化させることが可能なようになっている。さらに、評価試験体8の冷却手段として水などの冷却媒体11が評価試験体8の底面を冷却するよう送り込まれるようになっている。また、評価試験体8には内部の温度を計測するための複数の熱電対12が配置されている。減圧チャンバー1の外部には評価試験体8加熱面の表面温度を測定するための放射温度計13が設けられている。
【0021】
[プラズマ加熱試験]
次に実際の評価試験の結果の例を以下に示す。初めに、プラズマ加熱試験の例を示す。図2は評価結果の例として、φ20mmの加熱面を有するCu基材上にW/Cu溶射コーティングを1mmの膜厚で形成した評価試験体のプラズマ加熱による熱サイクル試験を実施したときの温度履歴を示している。ここで、熱サイクルは減圧チャンバー1内のプラズマ発生部を移動することにより、加熱と非加熱を状態を20秒毎に5回繰り返すことにより実施した。なお、プラズマの加熱、非加熱の制御は評価試験体8の位置を変化させることや、プラズマ発生部3と評価試験体8の間に遮熱板を設けることによっても可能である。
【0022】
ここで評価試験体8の底面は冷却媒体11により冷却しているため、評価試験体8に温度傾斜場を与えることができる。したがって、評価試験体8の中に定常的な熱応力を発生させる評価試験が実施することが可能である。また、評価試験体8には加熱面から2.5mm間隔で熱電対12が3本挿入されており、底面側から熱電対12の温度履歴をそれぞれ図2中に14、15、16として示している。図2にはこれらの熱電対12温度から外挿した表面温度17も示している。このとき加熱したプラズマは水素とアルゴンの1:2の混合ガスをプラズマ構成ガスとして、出力10kWのプラズマであり、プラズマ発生部3先端と評価試験体8の距離を40mmとしており、入熱量(熱流速)は10MW/m2であった。ここで、プラズマ出力、プラズマ構成ガス(Ar、He、H2、O2、N2あるいはそれらの混合ガス)の種類、ガス流量、プラズマ発生部3と評価試験体8の距離などを変化させることにより、熱流速を最大30MW/m2まで制御することができる。また、冷却条件を変化させることにより、熱流速が一定であっても、評価試験体8の温度を変化させることもできる。
【0023】
さらに、評価試験体8加熱面の表面温度を放射温度計13で測定した場合、その放射温度計13による温度と図2中に示した熱電対温度による外挿表面温度を比較すると、評価試験体8内部の等価熱伝導率を評価することができる。つまり、評価試験体8内の等価熱伝導率が低下した場合には、評価試験体8内に熱伝導率を阻害する亀裂などの損傷が発生したしたことがわかる。図2には示したような熱サイクル試験などの加熱試験した後の評価試験体は外観観察や断面組織観察などの形状・構造変化により材料損傷を評価でき、さらに、加熱前後の重量や体積の変化や表面粗さの変化などにより、定量的に材料損傷を評価することができる。
【0024】
なお、上述のプラズマ過熱試験ではCu基材上にW/Cu溶射コーティング膜を形成した評価試験体8を用いたが、接点部材やその周辺部材に用いられる鋼、アルミニウム、銅、タングステン、カーボンあるいはこれらの合金、もしくはこれらを主体とした導電性の複合材料、または、接点周辺部材に用いられるエポキシやPTFEなどの電気絶縁性の高分子材料、あるいは電気絶縁性の高分子材料を主体とした複合材料を評価試験体8としても、プラズマ加熱試験を実施することができる。評価試験体が電気絶縁性の高分子材料やこれを主体とした複合材料である場合、プラズマ光による材料の損傷も評価することができる。
【0025】
[移行アーク試験]
続いて、移行アーク試験の評価試験の結果の例を以下に示す。移行アーク試験では、電力用開閉装置などで一般的に接点材料として使用されているW/Cu合金材料(W含有率:80体積%)を評価試験体8として試験した。移行アーク試験ではアルゴンをプラズマ構成ガスとして8kWの出力でプラズマを発生させながら、プラズマ発生部3先端と評価試験体8の距離を50mmとして、評価試験体8を陰極として、プラズマ発生部3先端と評価試験体8に電圧を印加し、70Aの移行アークを5秒間発生させる試験を実施した。なお、評価試験体8を陰極・陽極と変化させることが可能なので、異なる移行アークによる損傷を評価することもできる。また、評価試験体8において先鋭化した先端を形成させ、この先端に移行アークが集中し易くさせても良い。これにより、移行アークがより安定し、より短時間での材料の移行アーク損傷を評価することができる。さらに、プラズマ発生部3に電力用開閉装置に絶縁ガスとして用いられるSF6ガスに関して、これをプラズマ発生部3に流入する場合と、流入しない場合の試験を実施した。
【0026】
図3にはSF6ガスを流入しない条件で試験を実施したときのW/Cu合金評価試験体の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した写真を示しており、図4にはSF6ガスを流入した条件でのW/Cu合金評価試験体の表面の観察写真を示す。SF6ガスを流していない図3では100μm程度のアークスポットが観察されており、アーク熱による材料の損傷が生じていることがよくわかる。
【0027】
一方、SF6ガスを流して試験した図4に示した試験後の評価試験体の表面は30μm程度の塊状物が部分的に存在していることがわかる。この塊状物をエネルギー分散型X線分析(EDX)にて分析した結果、Cuを主成分としていることが明らかとなった。つまり、融点が3000℃以上のWではなく、融点が1000℃程度のCuがW/Cu合金表面に残存している。この現象は流入したSF6ガスが分解し、金属腐食性の高いフッ素系ガスが生じ、このガスがW/Cu合金を腐食した場合、Cuのフッ化物は固体であるのに対し、Wのフッ化物は気体であるために、W/Cu合金表面にCuのみが残存したものである。この結果から、本評価試験では、移行アークの熱による材料の損傷だけでなく、腐食性ガスによる材料の損耗も評価できることがわかる。
【0028】
なお、図3、4には試験後の評価試験体の表面観察により材料損傷を評価したが、加熱前後の重量や体積の変化や表面粗さの変化などにより、定量的に材料損傷を評価することができる。上述の移行アーク試験ではW/Cu合金を評価試験体としてを用いたが、接点部材に用いられる鋼、アルミニウム、銅、タングステン、カーボンあるいはこれらの合金、あるいはこれらを主体とした導電性の複合材料、評価試験体として移行アーク試験を実施することができる。また、腐食性ガスを発生源としてSF6ガスを用いたが、その他のガスでも同様な試験を実施することができる。
【0030】
[作用効果]
以上のような本実施の形態によれば、減圧チャンバー1内の任意に雰囲気中で、プラズマ発生部3によりプラズマを安定して発生させ、そのプラズマによって評価試験体8の加熱評価試験を低コストで簡略的に実施することができる。したがって、プラズマやアークに曝される材料の実使用条件を簡単に模擬することができ、材料の損傷形態および損傷メカニズムを明確化して耐アーク性の向上に寄与することが可能となる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、チャンバー内に前記評価試験体を入れると共にプラズマ発生部を配置するといった簡単な構成により、プラズマやアークに曝される材料の実使用条件を簡単に模擬し、該材料の損傷形態および損傷メカニズムを明確化して耐アーク性の向上に寄与するプラズマ・アークによる損傷評価装置と評価方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における損傷評価装置の代表的な実施の形態の構成図。
【図2】プラズマ加熱試験の評価結果を示すグラフ。
【図3】SF6ガスを流入しない条件で試験を実施したときのW/Cu合金評価試験体の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)による観察写真。
【図4】SF6ガスを流入した条件でのW/Cu合金評価試験体の表面の観察写真。
【符号の説明】
1…減圧チャンバー
2…真空ポンプ
3…プラズマ発生部
4a…プラズマ電極(陰極)
4b…プラズマ電極(陽極)
5…プラズマ電源
6…プラズマガス流入口
7…プラズマフレーム
8…評価試験体
9…移行アーク電源
10…プラズマガス・絶縁性ガス流入口
11…冷却媒体
12…熱電対
13…放射温度計
14,15,16…熱電対の温度履歴
17…表面温度履歴
Claims (10)
- プラズマやアークに曝される材料を評価試験体としてその損傷挙動を評価する損傷評価装置において、
排気系を有するチャンバーを設け、このチャンバー内に前記評価試験体を入れると共にプラズマ発生部を配置したことを特徴とするプラズマ・アークによる損傷評価装置。 - 前記プラズマ発生部にプラズマ構成ガスとしてAr、He、H2、O2、N2あるいはそれらの混合ガスを用いたことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ・アークによる損傷評価装置。
- 前記プラズマ発生部に前記プラズマ構成ガス以外にSF6ガス、CO2ガスあるいはそれらの混合ガスからなる絶縁性ガスを混入したことを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマ・アークによる損傷評価装置。
- 前記プラズマ発生部と前記評価試験体との間に電圧をかける移行アーク電源を具備したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラズマ・アークによる損傷評価装置。
- 前記評価試験体の底面を冷却する冷却手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプラズマ・アークによる損傷評価装置。
- 前記評価試験体に複数の熱電対を挿入したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラズマ・アークによる損傷評価装置。
- 前記評価試験体の表面温度を測定する放射温度計を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のプラズマ・アークによる損傷評価装置。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置によって発生したプラズマで導電性あるいは電気絶縁性の評価試験体を照射し、この評価試験体の重量・体積変化、あるいは表面粗さの変化で損傷評価を行うことを特徴とするプラズマ・アークによる損傷評価方法。
- 請求項4記載の装置によって発生したプラズマと移行アークで導電性の評価試験体を照射し、この評価試験体の重量・体積変化、あるいは表面粗さの変化で損傷評価を行うことを特徴とするプラズマ・アークによる損傷評価方法。
- 請求項3記載の装置を用いて前記絶縁性ガスの分解ガスによって導電性あるいは電気絶縁性の評価試験体における化学的反応に伴う損傷評価を行うことを特徴とするプラズマ・アークによる損傷評価方法。
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