JP2004075851A - たばこフィルタープラグ用ホットメルト接着剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、巻紙の接着強さなどの性能が著しく改善され、またフィルタープラグ製造機使用時の連続加熱による塗布安定性及び色相変化に優れたたばこフィルタープラグ用ホットメルト接着剤に関する。
【解決手段】ケン化度が10〜49%のエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物10〜40重量部、接着付与樹脂20〜50重量部、70〜110℃の軟化点を有する合成ワックス20〜50重量部を含有することを特徴とする、たばこフィルタープラグ用ホットメルト接着剤であって、好ましくは接着付与剤が淡色ロジンエステル樹脂と水添石油樹脂を含むことを特徴とするたばこフィルタープラグ用ホットメルト接着剤である。
【選択図】なし
【解決手段】ケン化度が10〜49%のエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物10〜40重量部、接着付与樹脂20〜50重量部、70〜110℃の軟化点を有する合成ワックス20〜50重量部を含有することを特徴とする、たばこフィルタープラグ用ホットメルト接着剤であって、好ましくは接着付与剤が淡色ロジンエステル樹脂と水添石油樹脂を含むことを特徴とするたばこフィルタープラグ用ホットメルト接着剤である。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たばこのフィルタープラグに使用されるホットメルト接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
たばこフィルタープラグはフィルタープラグ製造機を用い、フィルター素材、たとえばセルロースアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコールなどの合成素材、たとえばパルプシート、クレープ紙、ガラス繊維などの再生素材あるいは、綿、羊毛などの天然素材に所要の前処理を行い、さらにフィルター素材のフィラメント同士の結合剤、フィルター機能の改善あるいは喫味の改善のための添加物等を添加した後、棒状のフィルター体に成形すると同時に、巻紙により同棒状体を巻き、巻紙両側端の重ね合わせ部分(以下ラップ部分という)を接着剤で貼合せた後、所定の長さに切断することにより製造される。
【0003】
また、デュアルフィルターおよびトリプルフィルターを製造する場合は、予め製造された複数種のフィルタープラグ素材を所定の長さに切断した後、所定の順序に配列し、必要であれば添加物などを充填し、同時に巻紙で棒状体に巻き上げ、巻紙のラップ部分を貼合せた後、所定の長さに切断することにより製造される。
【0004】
巻紙には、成形したフィルター棒状体を巻き上げる前に、巻紙の重ね合わせ部分の一方、通常外側になる方の内面に塗布される「ラップのり」と呼ばれる接着剤と、巻紙をフィルター棒状体に固定するために、巻紙内面のほぼ中央に線状に塗布する「レールのり」と呼ばれる接着剤とが塗布される。レールのりとラップのりは、フィルタープラグ製造条件に応じて、同種あるいは異種の接着剤が使用される。
【0005】
従来、このフィルタープラグ製造用の接着剤としては、酢酸ビニル系エマルジョンが使用されていたが、最近ではフィルタープラグ製造機の高速化とプラグ巻き取り機の多孔質化に伴い、ホットメルト接着剤を使用する場合が増えており、作業能率が大幅に改善されている。ホットメルト接着剤は通常、アプリケーターを使用し、140℃〜180℃で塗布される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
現在一般に使用されているホットメルト接着剤は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAという)をベースポリマーとする配合物であるが、この接着剤を使用して製造したフィルタープラグは以下の欠点を有している。
【0007】
第一に、巻き取り時のラップ部の初期の接着強さは、おおむねフィルター付き紙巻きタバコ工場での使用に適した十分な水準にあるが、経時的に低下する傾向があり、約4〜6ヶ月で使用に不適な値(約5gf/ラップ部分幅以下)にまで低下し、使用中あるいは使用前にラップ部がはく離するなどのトラブルが発生するおそれがある。
【0008】
したがって、製造されたフィルタープラグはフィルター製造者および紙巻きたばこ製造業者の両者において、常に在庫管理に留意し、2〜3ヶ月以内に使用するようにしなければならない。また輸出用など蔵置期間が6ヶ月あるいはそれ以上となる場合には、紙巻きたばこ工場で使用前にラップ部はく離という状態になるおそれがある。
【0009】
第二に、フィルター付き紙巻きたばこ製造工程において、フィルターチップアタッチメント機で、両端に紙巻きたばこを接続したフィルタープラグ(製品の2倍の長さ)を、ロータリーナイフで2等分に切断する際、同ナイフにフィルタープラグを製造するために使用したホットメルト接着が付着するが、その付着量が多い場合はたばこ巻紙機を停止してナイフを清掃する頻度が増加するため、生産効率上ホットメルト接着剤の付着量を大幅に減少させる、具体的には後述の試験方法によるのりあか量値で100mg以下にすることが強く求められる。
【0010】
これらの問題を解決する手段として特公平4−18834にはケン化度50%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物またはそのカルボキシル変性体100重量部に対して、粘着付与樹脂15〜200重量部、ワックス30〜300重量部を含有するホットメルト接着剤が提案されている。
【0011】
しかしながら、ケン化度50%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物またはカルボキシル変性体を使用した接着剤は、加熱安定性すなわち連続加熱における粘度変化並びに色相安定性に劣り、フィルタープラグ製造時に増粘による塗布むらおよび変色による商品価値の低下が問題となる可能性があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、誠意研究を重ねた結果、ベースポリマーにケン化度10〜49%のエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物を使用することにより、経時的な接着性の低下が少なく、またフィルタープラグ切断時のロータリーナイフに付着するホットメルト接着剤量(のりあか)が少なく、色相安定性の向上したホットメルト接着剤が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
すなわち、本発明は以下のたばこフィルタープラグ用ホットメルト接着剤に係るものである。
【0014】
項1.ケン化度が10〜49%のエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物10〜40重量部、接着付与樹脂20〜50重量部、70〜110℃の軟化点を有する合成ワックス20〜50重量部を含有することを特徴とする、たばこフィルタープラグ用ホットメルト接着剤。
【0015】
項2.エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物のケン化度が10〜40%であることを特徴とする項1に記載のたばこフィルタープラグ用ホットメルト接着剤。
【0016】
項3.接着付与樹脂がロジンエステル樹脂及び/又は水添石油樹脂を含むことを特徴とする項1又は2に記載のたばこフィルタープラグ用ホットメルト接着剤。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明接着剤のベースポリマーとして用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAとする)のケン化物(以下、ケン化EVAとする)は、高圧法によるプロセスで製造されるEVAを通常のケン化操作、例えば炭化水素溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)または低沸点アルコール(メタノール、エタノール、プロピルアルコールなど)中において、アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラートなど)の存在下でケン化することによって得られる。
【0018】
EVAはメルトインデックス(以下MIという。190℃、2160g荷重で測定)が10〜1000g/10minのもので、かつ酢酸ビニル含有量が20〜40重量%のものが好ましく用いられる。
【0019】
このようにして得られたケン化EVAのケン化度は10〜49%であることが必須であり、好ましくは10〜40%である。ケン化度がこの範囲より大きいと、アプリケーターで連続加熱使用したときの加熱安定性に問題が生じる。すなわち増粘によるホットメルト接着剤の塗布むら、黄変による商品価値の低下を引き起こす。
【0020】
ここでケン化度とは、EVAに含有される酢酸ビニル残基の加水分解の度合いのことであり、その計算は次式により行われる。
【0021】
ケン化度=(A−B)÷A×100
ただし式中のA、Bは次の通りである。
A:ケン化前のポリマーに含まれる酢酸ビニル基のモル数
B:ケン化後のポリマーに含まれる酢酸ビニル残基のモル数
ケン化EVAの配合量は、10〜40重量部、好ましくは20〜40重量部である。10重量部より少ないと接着性が悪くなり40重量部より多いと溶融粘度が高くなり高速での塗布性に支障を来す場合がある。
【0022】
本発明に使用される粘着付与樹脂は巻紙への密着性を向上させるために用いられる。粘着付与樹脂としては、ロジンエステル樹脂やテルペン樹脂等の天然系のものやその変性品及び石油系では脂肪族系や芳香族系、およびそれらの共重合体またはそれらの水添品が例示され、これらの1種又は2種以上を使用できる。好ましくは淡色ロジンエステル、水添された石油樹脂であり、両者を併用することが最も好ましい。なお、淡色ロジンエステルとは、ハーゼンカラーで300以内のロジンエステルをいう。
【0023】
これらの粘着付与樹脂は巻紙への密着性を向上させ、また加熱安定性が改善され、さらにホットメルト接着剤の色相が殆ど無色か白色となることからフィルタープラグに塗布されたときの塗布跡が全く目立たないため商品価値を損ねることがない。
【0024】
粘着付与樹脂の配合量は20〜50重量部、好ましくは30〜40重量部である。この範囲より少ないと巻紙の密着性が劣り、多いと粘着性が強くなりフィルタープラグ切断時にロータリーカッターに付着して作業性が悪くなる場合がある。
【0025】
本発明に使用される合成ワックスは、軟化点が70℃〜110℃、好ましくは90〜110℃である。合成ワックスは、ホットメルト接着剤の溶融粘度を下げて塗布作業性を向上させ、また合成ワックスの結晶性に起因する耐熱性をホットメルト接着剤に与える。合成ワックスの軟化点が70℃よりも低いとロータリーカッターに付着し易くなり110℃を越えると巻紙に対する接着性が悪くなる。
【0026】
合成ワックスの配合量は20〜50重量部、好ましくは30〜40重量部である。この範囲より少ないと溶融粘度が高くなって塗布作業性が悪化し、多いと接着性が悪化する場合がある。
【0027】
本発明のホットメルト接着剤組成物には更に加熱安定性を向上させるためにヒンダードフェノール系等のラジカル連鎖禁止剤やホスファイト系、チオエーテル系等の過酸化物分解剤を添加しても良い。また顔料や染料でホットメルト接着剤を着色することもできる。またEVAやエチレン−エチルアクリレート等のポリオレフィン重合体が配合されてもよい。
【0028】
本発明のホットメルト接着剤は各成分を加熱溶融型のニーダーや混合釜で均一に混練りして製造することができる。このようにして得られたホットメルト接着剤を、スチールベルト、水槽などにひも状に押しだし冷却したのち、ペレタイザー等のカッターで小片状に切断してフィルタープラグ製造に適した形状とすることができる。
【0029】
たばこフィルタープラグ製造において、ホットメルト接着剤は通常フィルタープラグ製造機に付設されたアプリケーターで140℃〜180℃に加熱して溶融し、ポンプにより定量的に加熱ホースを通って吐出口径が2mm程度の2本のノズルに送られ、レールのりは巻紙の内面のほぼ中央に線上に、ラップのりは巻紙のラップ部分の一方に塗布される。
【0030】
プラグ製造機のガーニチャー(巻き管部)で棒状に成形されたフィルター素材は巻紙で巻き上げられ、ラップ部を貼り合わされた後ヒーター部でラップ部分が再加熱、圧着されて、次いでクーラー部で冷却、圧着されて、ラップ部の接着工程を終了した後、切断部で所定の長さに切断される。
【0031】
このように製造されたたばこフィルタープラグはフィルター製造業者での貯蔵期間、たばこ製造工場への輸送、同工場での貯蔵期間を経て、フィルター付き紙巻きたばこ製造機に供給され、フィルターチップアタッチメント機でまず、製品のフィルターチップの2倍の長さに切断され、その両端に紙巻きたばこが接続された後ロータリーナイフ(1400〜1800回転/min)により2等分に切断され、2500〜4000本/minという高速でフィルター付き紙巻きたばこが製造される。
【0032】
たばこフィルタープラグ製造の際のレールのりとして用いられるホットメルト接着剤の性能は巻紙ラップ部のはく離接着強さには関係ないが、ロータリーナイフへのホットメルト接着剤の付着量の多少およびフィルター素材と巻紙との接着性の良否には直接影響する。
【0033】
本発明のホットメルト接着剤は、凝集力、耐熱性に優れ、また巻紙との接着性が良いのでレールのりとしても良好な結果をもたらす。また最近フィルタープラグの巻紙に用いられているホットメルトグラビアコート紙は、巻紙内面に予めホットメルト接着剤をコーティングしておき、プラグ製造工程で巻紙を加熱してホットメルト接着剤を溶融させ、巻紙のラップ部および巻紙とフィルター素材間の接着を行うものであるが、このグラビアコート巻紙用にも、本発明のホットメルト接着剤組成物を好適に使用することができる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。なお表例中の試験項目は次のような試験方法で行った。
(1)相溶性:ホットメルト接着剤をガラス瓶に100g取り、180℃の熱風循環式乾燥機に24時間放置し溶融状態を観察し、分離の有無を確認した。
(2)粘度:JIS K−6862 B型回転粘度計
(3)軟化点:JIS K−6863 環球法
(4)はく離接着強さ:ホットメルト接着剤を厚さ30μのシート状にし、幅1mm(0.03g/m)にカットする。これを巻紙(25×100mm)にはさみ、ヒートシールテスターにて100℃×2秒、0.5kgf/cm2ゲージの条件で貼合せた。この試験片をフィルターの「とう」に挟んで、密閉された容器に入れ、40℃中で養生した。各経日後、幅25mmにカットしオートグラフではく離接着強さを測定した。
引張速度:10mm/min 雰囲気温度:20℃
(5)のりあか量:フィルターチップアタッチメント機のロータリーナイフをシミュレーションした専用の試験器機を用いて測定した。直径5mm長さ80mmのホットメルト接着剤を40℃に加温した回転刃に20秒間、30gの荷重で押し当て刃に付着したのりあかを測定した。ロータリーナイフのメンテナンスを考慮すると、のりあか量は100mg以下であることが求められる。
(6)加熱安定性:ホットメルト接着剤を200g缶に160g取り、180℃の熱風循環式乾燥機に、24、48、72及び96時間放置した後取り出し、180℃の粘度を測定して初期粘度との差を粘度変化率として計算した。なお、粘度測定は(2)と同様にして行った。
実施例1
ベースポリマー、粘着付与樹脂、ワックス及び安定剤を下記表1に記載の量で使用し、各成分が溶融する温度まで加熱し、溶融混合して、ホットメルト接着剤を得た。得られたホットメルト接着剤の外観の観察と上記試験項目(1)〜(6)の結果を表1に示す。なお、原材料には下記の物質を使用した。
原材料
*1 メルセン 6410M 東ソー(株)
*2 メルセン 6822M 東ソー(株)
*3 ウルトラセン722 東ソー(株)
*4 スーパーエステルA−100 荒川化学工業(株)
*5 パインクリスタルKE−100 荒川化学工業(株)
*6 アルコンM−100 荒川化学工業(株)
*7 パラフィン150°F 日本精鑞(株)
*8 サゾールH1 サゾール社
*9 イルガノクス1010 チバガイギー(株)
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】
実施例で示す通り、本発明は巻紙の接着強さなどの性能が著しく改善され、またフィルタープラグ製造機使用時の連続加熱による粘度変化が少ないため塗布安定性に優れ及び色相変化に優れたたばこフィルタープラグ用ホットメルト接着剤を提供する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、たばこのフィルタープラグに使用されるホットメルト接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
たばこフィルタープラグはフィルタープラグ製造機を用い、フィルター素材、たとえばセルロースアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコールなどの合成素材、たとえばパルプシート、クレープ紙、ガラス繊維などの再生素材あるいは、綿、羊毛などの天然素材に所要の前処理を行い、さらにフィルター素材のフィラメント同士の結合剤、フィルター機能の改善あるいは喫味の改善のための添加物等を添加した後、棒状のフィルター体に成形すると同時に、巻紙により同棒状体を巻き、巻紙両側端の重ね合わせ部分(以下ラップ部分という)を接着剤で貼合せた後、所定の長さに切断することにより製造される。
【0003】
また、デュアルフィルターおよびトリプルフィルターを製造する場合は、予め製造された複数種のフィルタープラグ素材を所定の長さに切断した後、所定の順序に配列し、必要であれば添加物などを充填し、同時に巻紙で棒状体に巻き上げ、巻紙のラップ部分を貼合せた後、所定の長さに切断することにより製造される。
【0004】
巻紙には、成形したフィルター棒状体を巻き上げる前に、巻紙の重ね合わせ部分の一方、通常外側になる方の内面に塗布される「ラップのり」と呼ばれる接着剤と、巻紙をフィルター棒状体に固定するために、巻紙内面のほぼ中央に線状に塗布する「レールのり」と呼ばれる接着剤とが塗布される。レールのりとラップのりは、フィルタープラグ製造条件に応じて、同種あるいは異種の接着剤が使用される。
【0005】
従来、このフィルタープラグ製造用の接着剤としては、酢酸ビニル系エマルジョンが使用されていたが、最近ではフィルタープラグ製造機の高速化とプラグ巻き取り機の多孔質化に伴い、ホットメルト接着剤を使用する場合が増えており、作業能率が大幅に改善されている。ホットメルト接着剤は通常、アプリケーターを使用し、140℃〜180℃で塗布される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
現在一般に使用されているホットメルト接着剤は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAという)をベースポリマーとする配合物であるが、この接着剤を使用して製造したフィルタープラグは以下の欠点を有している。
【0007】
第一に、巻き取り時のラップ部の初期の接着強さは、おおむねフィルター付き紙巻きタバコ工場での使用に適した十分な水準にあるが、経時的に低下する傾向があり、約4〜6ヶ月で使用に不適な値(約5gf/ラップ部分幅以下)にまで低下し、使用中あるいは使用前にラップ部がはく離するなどのトラブルが発生するおそれがある。
【0008】
したがって、製造されたフィルタープラグはフィルター製造者および紙巻きたばこ製造業者の両者において、常に在庫管理に留意し、2〜3ヶ月以内に使用するようにしなければならない。また輸出用など蔵置期間が6ヶ月あるいはそれ以上となる場合には、紙巻きたばこ工場で使用前にラップ部はく離という状態になるおそれがある。
【0009】
第二に、フィルター付き紙巻きたばこ製造工程において、フィルターチップアタッチメント機で、両端に紙巻きたばこを接続したフィルタープラグ(製品の2倍の長さ)を、ロータリーナイフで2等分に切断する際、同ナイフにフィルタープラグを製造するために使用したホットメルト接着が付着するが、その付着量が多い場合はたばこ巻紙機を停止してナイフを清掃する頻度が増加するため、生産効率上ホットメルト接着剤の付着量を大幅に減少させる、具体的には後述の試験方法によるのりあか量値で100mg以下にすることが強く求められる。
【0010】
これらの問題を解決する手段として特公平4−18834にはケン化度50%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物またはそのカルボキシル変性体100重量部に対して、粘着付与樹脂15〜200重量部、ワックス30〜300重量部を含有するホットメルト接着剤が提案されている。
【0011】
しかしながら、ケン化度50%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物またはカルボキシル変性体を使用した接着剤は、加熱安定性すなわち連続加熱における粘度変化並びに色相安定性に劣り、フィルタープラグ製造時に増粘による塗布むらおよび変色による商品価値の低下が問題となる可能性があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、誠意研究を重ねた結果、ベースポリマーにケン化度10〜49%のエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物を使用することにより、経時的な接着性の低下が少なく、またフィルタープラグ切断時のロータリーナイフに付着するホットメルト接着剤量(のりあか)が少なく、色相安定性の向上したホットメルト接着剤が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
すなわち、本発明は以下のたばこフィルタープラグ用ホットメルト接着剤に係るものである。
【0014】
項1.ケン化度が10〜49%のエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物10〜40重量部、接着付与樹脂20〜50重量部、70〜110℃の軟化点を有する合成ワックス20〜50重量部を含有することを特徴とする、たばこフィルタープラグ用ホットメルト接着剤。
【0015】
項2.エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物のケン化度が10〜40%であることを特徴とする項1に記載のたばこフィルタープラグ用ホットメルト接着剤。
【0016】
項3.接着付与樹脂がロジンエステル樹脂及び/又は水添石油樹脂を含むことを特徴とする項1又は2に記載のたばこフィルタープラグ用ホットメルト接着剤。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明接着剤のベースポリマーとして用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAとする)のケン化物(以下、ケン化EVAとする)は、高圧法によるプロセスで製造されるEVAを通常のケン化操作、例えば炭化水素溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)または低沸点アルコール(メタノール、エタノール、プロピルアルコールなど)中において、アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラートなど)の存在下でケン化することによって得られる。
【0018】
EVAはメルトインデックス(以下MIという。190℃、2160g荷重で測定)が10〜1000g/10minのもので、かつ酢酸ビニル含有量が20〜40重量%のものが好ましく用いられる。
【0019】
このようにして得られたケン化EVAのケン化度は10〜49%であることが必須であり、好ましくは10〜40%である。ケン化度がこの範囲より大きいと、アプリケーターで連続加熱使用したときの加熱安定性に問題が生じる。すなわち増粘によるホットメルト接着剤の塗布むら、黄変による商品価値の低下を引き起こす。
【0020】
ここでケン化度とは、EVAに含有される酢酸ビニル残基の加水分解の度合いのことであり、その計算は次式により行われる。
【0021】
ケン化度=(A−B)÷A×100
ただし式中のA、Bは次の通りである。
A:ケン化前のポリマーに含まれる酢酸ビニル基のモル数
B:ケン化後のポリマーに含まれる酢酸ビニル残基のモル数
ケン化EVAの配合量は、10〜40重量部、好ましくは20〜40重量部である。10重量部より少ないと接着性が悪くなり40重量部より多いと溶融粘度が高くなり高速での塗布性に支障を来す場合がある。
【0022】
本発明に使用される粘着付与樹脂は巻紙への密着性を向上させるために用いられる。粘着付与樹脂としては、ロジンエステル樹脂やテルペン樹脂等の天然系のものやその変性品及び石油系では脂肪族系や芳香族系、およびそれらの共重合体またはそれらの水添品が例示され、これらの1種又は2種以上を使用できる。好ましくは淡色ロジンエステル、水添された石油樹脂であり、両者を併用することが最も好ましい。なお、淡色ロジンエステルとは、ハーゼンカラーで300以内のロジンエステルをいう。
【0023】
これらの粘着付与樹脂は巻紙への密着性を向上させ、また加熱安定性が改善され、さらにホットメルト接着剤の色相が殆ど無色か白色となることからフィルタープラグに塗布されたときの塗布跡が全く目立たないため商品価値を損ねることがない。
【0024】
粘着付与樹脂の配合量は20〜50重量部、好ましくは30〜40重量部である。この範囲より少ないと巻紙の密着性が劣り、多いと粘着性が強くなりフィルタープラグ切断時にロータリーカッターに付着して作業性が悪くなる場合がある。
【0025】
本発明に使用される合成ワックスは、軟化点が70℃〜110℃、好ましくは90〜110℃である。合成ワックスは、ホットメルト接着剤の溶融粘度を下げて塗布作業性を向上させ、また合成ワックスの結晶性に起因する耐熱性をホットメルト接着剤に与える。合成ワックスの軟化点が70℃よりも低いとロータリーカッターに付着し易くなり110℃を越えると巻紙に対する接着性が悪くなる。
【0026】
合成ワックスの配合量は20〜50重量部、好ましくは30〜40重量部である。この範囲より少ないと溶融粘度が高くなって塗布作業性が悪化し、多いと接着性が悪化する場合がある。
【0027】
本発明のホットメルト接着剤組成物には更に加熱安定性を向上させるためにヒンダードフェノール系等のラジカル連鎖禁止剤やホスファイト系、チオエーテル系等の過酸化物分解剤を添加しても良い。また顔料や染料でホットメルト接着剤を着色することもできる。またEVAやエチレン−エチルアクリレート等のポリオレフィン重合体が配合されてもよい。
【0028】
本発明のホットメルト接着剤は各成分を加熱溶融型のニーダーや混合釜で均一に混練りして製造することができる。このようにして得られたホットメルト接着剤を、スチールベルト、水槽などにひも状に押しだし冷却したのち、ペレタイザー等のカッターで小片状に切断してフィルタープラグ製造に適した形状とすることができる。
【0029】
たばこフィルタープラグ製造において、ホットメルト接着剤は通常フィルタープラグ製造機に付設されたアプリケーターで140℃〜180℃に加熱して溶融し、ポンプにより定量的に加熱ホースを通って吐出口径が2mm程度の2本のノズルに送られ、レールのりは巻紙の内面のほぼ中央に線上に、ラップのりは巻紙のラップ部分の一方に塗布される。
【0030】
プラグ製造機のガーニチャー(巻き管部)で棒状に成形されたフィルター素材は巻紙で巻き上げられ、ラップ部を貼り合わされた後ヒーター部でラップ部分が再加熱、圧着されて、次いでクーラー部で冷却、圧着されて、ラップ部の接着工程を終了した後、切断部で所定の長さに切断される。
【0031】
このように製造されたたばこフィルタープラグはフィルター製造業者での貯蔵期間、たばこ製造工場への輸送、同工場での貯蔵期間を経て、フィルター付き紙巻きたばこ製造機に供給され、フィルターチップアタッチメント機でまず、製品のフィルターチップの2倍の長さに切断され、その両端に紙巻きたばこが接続された後ロータリーナイフ(1400〜1800回転/min)により2等分に切断され、2500〜4000本/minという高速でフィルター付き紙巻きたばこが製造される。
【0032】
たばこフィルタープラグ製造の際のレールのりとして用いられるホットメルト接着剤の性能は巻紙ラップ部のはく離接着強さには関係ないが、ロータリーナイフへのホットメルト接着剤の付着量の多少およびフィルター素材と巻紙との接着性の良否には直接影響する。
【0033】
本発明のホットメルト接着剤は、凝集力、耐熱性に優れ、また巻紙との接着性が良いのでレールのりとしても良好な結果をもたらす。また最近フィルタープラグの巻紙に用いられているホットメルトグラビアコート紙は、巻紙内面に予めホットメルト接着剤をコーティングしておき、プラグ製造工程で巻紙を加熱してホットメルト接着剤を溶融させ、巻紙のラップ部および巻紙とフィルター素材間の接着を行うものであるが、このグラビアコート巻紙用にも、本発明のホットメルト接着剤組成物を好適に使用することができる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。なお表例中の試験項目は次のような試験方法で行った。
(1)相溶性:ホットメルト接着剤をガラス瓶に100g取り、180℃の熱風循環式乾燥機に24時間放置し溶融状態を観察し、分離の有無を確認した。
(2)粘度:JIS K−6862 B型回転粘度計
(3)軟化点:JIS K−6863 環球法
(4)はく離接着強さ:ホットメルト接着剤を厚さ30μのシート状にし、幅1mm(0.03g/m)にカットする。これを巻紙(25×100mm)にはさみ、ヒートシールテスターにて100℃×2秒、0.5kgf/cm2ゲージの条件で貼合せた。この試験片をフィルターの「とう」に挟んで、密閉された容器に入れ、40℃中で養生した。各経日後、幅25mmにカットしオートグラフではく離接着強さを測定した。
引張速度:10mm/min 雰囲気温度:20℃
(5)のりあか量:フィルターチップアタッチメント機のロータリーナイフをシミュレーションした専用の試験器機を用いて測定した。直径5mm長さ80mmのホットメルト接着剤を40℃に加温した回転刃に20秒間、30gの荷重で押し当て刃に付着したのりあかを測定した。ロータリーナイフのメンテナンスを考慮すると、のりあか量は100mg以下であることが求められる。
(6)加熱安定性:ホットメルト接着剤を200g缶に160g取り、180℃の熱風循環式乾燥機に、24、48、72及び96時間放置した後取り出し、180℃の粘度を測定して初期粘度との差を粘度変化率として計算した。なお、粘度測定は(2)と同様にして行った。
実施例1
ベースポリマー、粘着付与樹脂、ワックス及び安定剤を下記表1に記載の量で使用し、各成分が溶融する温度まで加熱し、溶融混合して、ホットメルト接着剤を得た。得られたホットメルト接着剤の外観の観察と上記試験項目(1)〜(6)の結果を表1に示す。なお、原材料には下記の物質を使用した。
原材料
*1 メルセン 6410M 東ソー(株)
*2 メルセン 6822M 東ソー(株)
*3 ウルトラセン722 東ソー(株)
*4 スーパーエステルA−100 荒川化学工業(株)
*5 パインクリスタルKE−100 荒川化学工業(株)
*6 アルコンM−100 荒川化学工業(株)
*7 パラフィン150°F 日本精鑞(株)
*8 サゾールH1 サゾール社
*9 イルガノクス1010 チバガイギー(株)
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】
実施例で示す通り、本発明は巻紙の接着強さなどの性能が著しく改善され、またフィルタープラグ製造機使用時の連続加熱による粘度変化が少ないため塗布安定性に優れ及び色相変化に優れたたばこフィルタープラグ用ホットメルト接着剤を提供する。
Claims (3)
- ケン化度が10〜49%のエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物10〜40重量部、接着付与樹脂20〜50重量部、70〜110℃の軟化点を有する合成ワックス20〜50重量部を含有することを特徴とする、たばこフィルタープラグ用ホットメルト接着剤。
- エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物のケン化度が10〜40%であることを特徴とする請求項1に記載のたばこフィルタープラグ用ホットメルト接着剤。
- 接着付与樹脂がロジンエステル樹脂及び/又は水添石油樹脂を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のたばこフィルタープラグ用ホットメルト接着剤。
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2002
- 2002-08-19 JP JP2002238251A patent/JP2004075851A/ja active Pending
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