JP2004075417A - 茸廃菌床の炭化物及び空気清浄装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】空気浄化性能が高く、低コストの茸廃菌床の炭化物及び空気清浄装置を提供する。
【解決手段】この発明はおがくずを主体として形成された茸菌床に茸を発生させた後の廃菌床を茸収穫時の形状を保持した状態で炭化させてなり、その炭化物に多数の通気孔23を貫通させて穿設することもできる。
またこの発明の装置は、中空のケーシング1内に送風機5を設け、ケーシング1内の該送風機5の上流側に吸気口17を下流側に排気口18を設けるとともに、空気を吸気して排気する経路中に空気を浄化する浄化剤19を配置した装置において、浄化剤19として上記炭化物21を用いている。
【選択図】 図2
【解決手段】この発明はおがくずを主体として形成された茸菌床に茸を発生させた後の廃菌床を茸収穫時の形状を保持した状態で炭化させてなり、その炭化物に多数の通気孔23を貫通させて穿設することもできる。
またこの発明の装置は、中空のケーシング1内に送風機5を設け、ケーシング1内の該送風機5の上流側に吸気口17を下流側に排気口18を設けるとともに、空気を吸気して排気する経路中に空気を浄化する浄化剤19を配置した装置において、浄化剤19として上記炭化物21を用いている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は主として空気等の清浄等に用いる茸廃菌床の炭化物とその炭化物を利用した空気清浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、空気が水の浄化,脱臭処理に活性炭や木粉炭を用いることが公知であるが、これらの場合は通気や通水を行うために流通経路全体を塞ぐように配置し且つ適度な粒状にし、或いはポーラスな成形体にする必要があるほか、いずれも活性炭や木炭の市場価格に加工コストが付加されるためにコスト高を免れない。またおがくずを加圧成形して炭化した炭化物にも同様なことが言える。
【0003】
さらにいずれも比較的密度が高く、材料自体の通気性もその密度に妨げられるので通気を十分に図るための粒度調整等が必要であるほか、粒状物に対しても粒体への単なる表面接触にとどまるので、材料の量に対する清浄機能も限度がある等の問題がある。
【0004】
他方、近時茸生産の主流となりつつある菌床栽培の廃菌床は、茸生産者にとって産業廃棄物等としてその処理方法にも場所的時間的な制約や負荷が大きく、コスト的にも負担となる等の問題があった。
【0005】
この発明はこれらの問題を解決するために、茸廃菌床を高付加価値の産業資材に再資源化して有効利用するとともに、従来の炭化物よりより優れた性能の炭化物と、その炭化物を利用した空気清浄装置を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の炭化物は、第1に、おがくずを主体として形成された茸菌床に茸を発生させた後の廃菌床を炭化させてなることを特徴としている。
【0007】
第2に、廃菌床を茸収穫時の形状を保持した状態で炭化したことを特徴としている。
【0008】
第3に、炭化物に多数の通気孔23を貫通させて穿設したことを特徴としている。
【0009】
また上記炭化物を利用した空気清浄装置は、第1に中空のケーシング1内に送風機5を設け、ケーシング1内の該送風機5の上流側に吸気口17を下流側に排気口18を設けるとともに、空気を吸気して排気する経路中に空気を浄化する浄化剤19を配置した装置において、浄化剤19として請求項1,2又は3の炭化物21を用いたことを特徴としている。
【0010】
第2に、浄化剤19として請求項4の炭化物21を用い、通気孔23が空気の吸排気経路を構成するように炭化物21を配置したことを特徴としている。
【0011】
第3に、浄化剤19をフィルター機能を備えた布,紙,又は不織布等のカバー22で密封包装してなることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下図示する実施形態につき詳述すると、図1〜図3はこの発明の装置及び炭化物の実施例を示し、装置Aは木板製で中空の箱状に製作された上部開放型のケーシング1と、その上部開放端を開閉自在に塞ぐ被せ蓋2を備えている。ケーシング1は前後左右の周壁3と底板4からなっている。
【0013】
ケーシング1内の下半部には、外部から空気を導入し、モーター付の送風機5を収容設置している最下段の吸入室6と、その上部の送風室7とが設けられ、送風室7の上部にはケーシング1内の概ね上半部を占める浄化室8が設けられている。9,11は各室を仕切る仕切板である。
【0014】
送風室7内には清浄装置操作用の制御部10が設けられ、ケーシング1の周壁3の正面には送風機ON,OFF用のスイッチ10a,パイロットランプ10b,送風量調節用のつまみ10c等の操作部が設けられている。
【0015】
送風室7内中央にはすり鉢状に形成されたカップ状の回転体12aと、該回転体の傾斜した周面に放射状に且つ下向きに突設された多数のベーン12b,ファン12が縦軸方向に収容されており、回転体12aの中心には吸入室6側より上向きに突出したモーター軸13が一体的に嵌合され、モーター回転によりファン12が回転駆動される。
【0016】
モーター軸13は下段の仕切板9の略中央に穿設された大径の通風孔14を介して回転体12aに嵌合され、ベーン12bは回転体12aの中心側からその傾斜した背面(周面)に沿って放射状に形成されているが、外周端側が回転方向に対して遅れ方向に湾曲している。その結果ファン12が回転すると吸入室6から通風孔14を介して斜め上方に空気が送られる。
【0017】
また上段の仕切板11には中央と左右振り分け位置にネット付の通風孔16a,16b,16cが穿設され、ファン12によって吹き上げられた空気は該通風孔16a〜16cより上部の浄化室8に送風される。ケーシング1の左右の周壁下部には吸入口17が穿設され、蓋2には左右位置に排気口18が穿設され、それぞれ未浄化エアの吸入室6への吸入と浄化エアの大気中への放出が行われる(図1矢印参照)。なお、この例のケーシング1の内部は240(H)×135(D)×285(W)(mm)で浄化室は240(H)である。
【0018】
浄化室8内には後述する本発明の炭化物からなる浄化剤19が収容されて仕切板11上に載置されている。浄化剤19は図3に示すように1個又は複数に分割された茸廃菌床の炭化物21が、通気性を備え一定以上の粒径の微粒子を捕捉するフィルター機能を備えた不織布,布,紙等からなるカバー22に略密閉状態で包装されて構成されている。
【0019】
また炭化物21には上下方向に多数の通気孔23が上下貫通して穿設されており、この通気孔23は浄化室8内を通過する空気が流通するためのもので、炭化物に対する空気の接触面積を増やし、さらに通気孔23を通じてさらにポーラスな炭化物内部への空気の流通を促すものである。
【0020】
上記炭化物21は椎茸や舞茸等の栽培に使用された廃菌床を炭化したもので、その主材(原)料は広葉樹チップやおがくずであるが、一般には枕状又はブロック状,円柱状等に成形されている。そして材料調合時には茸の栄養分となるフスマや米糖その他の調整材が加えられるが、茸栽培の後には大半が木質繊維である。
【0021】
炭化物は木炭の製炭法と同様の方法等によって行われたもの、具体的には市販の移動式炭焼き炉を用いて製炭したものを用いた。
図6(A),(B)はそれぞれ椎茸と舞茸の廃菌床の電子顕微鏡写真(250倍)で、この写真から明らかなように原料が茸によって養分を失ったおがくずが大半であるため、通常の木炭に比し、空隙率が極めて高いこと及び各空隙間が連続した空隙を形成していることが確認できる。またこのような構造により、空気等の浄化剤として使用した場合、内部の通気性にも優れ、空気等との接触面積も高いことが推定される。
【0022】
図5は上記炭化物21を使用した図1,図2に示す装置Aに80×90×250(mm)のサイズの炭化物21を収容し、1980ccの自動車のガソリンエンジン31の排気ガスを、1450×1100×1380(mm)のサイズの密閉容器(ビニール袋)33に導いて略大気圧と同程度の圧力下で封入したものの内部で、排気ガスの浄化実験を行った場合の実験図を示す。32はエンジン31側の排気管と容器33とを接続するホースである。
【0023】
尚HC測定は、排ガス温度が降下することによって発生した水滴中の溶解HC値をテスターで測定する方法によって行った。表1は上記装置による排気ガス中のHC吸着試験の結果である。
【0024】
【表1】
【0025】
表1によれば浄化開始後75分で、無処理のものは殆ど変化がないのに対し、椎茸廃菌床炭で約33.6%、舞茸廃菌床炭で約26.7%のHC削減率を示した。
【0026】
同時にCO削減効果確認を行ったが、椎茸廃菌床炭で約2.2%、舞茸廃菌床炭で約1.2%といずれも有用な効果が見られなかった。またHC,CO共に椎茸廃菌床炭の方が僅かに浄化能力が優れていることも判明した。
【0027】
図5は上記のようにして空気浄化を行った炭化物21の水中での沈降実験方法を示す説明図で、実験は上記一種類の炭化物と未使用炭化物を水中に投入し、その沈降量の経時変化を周面での目視寸法で計測することより行った。
【0028】
これらの計測及び観察結果によれば、未使用のものは投入直後に内部に水分が吸収含浸される(毛細管現象)ことが確認されるが、使用済みのものは表面が水を弾いて浸水しない現象が確認された。表2は空気浄化に使用したものと未使用の廃菌床炭との水中での沈降実験結果を示す。この実験は空気浄化により、各炭化物がどのように変化するのかを確認しようとするものである。
【0029】
【表2】
【0030】
表2から明らかなようにいずれの炭化物も未使用のものは4日後又は8時間後に略100%沈降するのに対し、使用済のものは4日後又は11時間後に20%沈降し、それ以後の沈降が停止したことが確認される。また椎茸廃菌床炭より舞茸廃菌床炭がいずれのケースでも沈降が速いが、これは図6に示すように両者の空隙率及びその透水性に差があるためと思われる。
【0031】
その他本発明の装置により人の居住する室内の空気浄化を行うと、空気がさわやかになる等の評価が多く、気管支疾患の患者の呼吸が改善され、風邪等の病気にかかり難い等の現象が見られたが、客観的データや理論的解明等は行われていない。但し、この発明の炭化物を空気流通経路に置くと、被覆シートを通して0.00μm程度の炭素の微細粒子が飛散することが確認されており、この微粒子が「薬用炭」と同様に何らかの形で人体に好影響を及ぼしているものと推定される。
【0032】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されるので、炭化物としての従来の木炭等と比較して連続した高い空隙率のものを得ることができ、炭化物による空気の高性能の浄化や消臭処理等が低コストで容易に実現でき、茸の廃菌床を使用するので比較的大量な材料が継続的に入手、供給が可能である。また産業廃棄物等として処理コストを要する廃菌床を高付加価値の商品として有効活用できる利点がある。
【0033】
また空気清浄装置は単純な構造のケーシングに動力としては簡単な送風機を収容し、浄化剤としての炭化物を収容するスペース(浄化室)を設けるだけで足りるので、操作も簡単で低コストに提供できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の清浄装置の全体斜視図である。
【図2】清浄装置の正面断面図である。
【図3】本発明の浄化剤及び炭化物の斜視図である。
【図4】排ガスの浄化実験の状態を示す実験図である。
【図5】炭化物の水中での沈降実験図である。
【図6】(A),(B)はそれぞれ椎茸廃菌床と舞茸廃菌床の炭化物の顕微鏡写真である。
【符号の簡単な説明】
A 空気清浄装置
1 ケーシング
5 送風機
14 通風孔
17 吸気口
18 排気口
19 浄化剤
21 炭化物
22 カバー
23 通気孔
【発明の属する技術分野】
この発明は主として空気等の清浄等に用いる茸廃菌床の炭化物とその炭化物を利用した空気清浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、空気が水の浄化,脱臭処理に活性炭や木粉炭を用いることが公知であるが、これらの場合は通気や通水を行うために流通経路全体を塞ぐように配置し且つ適度な粒状にし、或いはポーラスな成形体にする必要があるほか、いずれも活性炭や木炭の市場価格に加工コストが付加されるためにコスト高を免れない。またおがくずを加圧成形して炭化した炭化物にも同様なことが言える。
【0003】
さらにいずれも比較的密度が高く、材料自体の通気性もその密度に妨げられるので通気を十分に図るための粒度調整等が必要であるほか、粒状物に対しても粒体への単なる表面接触にとどまるので、材料の量に対する清浄機能も限度がある等の問題がある。
【0004】
他方、近時茸生産の主流となりつつある菌床栽培の廃菌床は、茸生産者にとって産業廃棄物等としてその処理方法にも場所的時間的な制約や負荷が大きく、コスト的にも負担となる等の問題があった。
【0005】
この発明はこれらの問題を解決するために、茸廃菌床を高付加価値の産業資材に再資源化して有効利用するとともに、従来の炭化物よりより優れた性能の炭化物と、その炭化物を利用した空気清浄装置を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の炭化物は、第1に、おがくずを主体として形成された茸菌床に茸を発生させた後の廃菌床を炭化させてなることを特徴としている。
【0007】
第2に、廃菌床を茸収穫時の形状を保持した状態で炭化したことを特徴としている。
【0008】
第3に、炭化物に多数の通気孔23を貫通させて穿設したことを特徴としている。
【0009】
また上記炭化物を利用した空気清浄装置は、第1に中空のケーシング1内に送風機5を設け、ケーシング1内の該送風機5の上流側に吸気口17を下流側に排気口18を設けるとともに、空気を吸気して排気する経路中に空気を浄化する浄化剤19を配置した装置において、浄化剤19として請求項1,2又は3の炭化物21を用いたことを特徴としている。
【0010】
第2に、浄化剤19として請求項4の炭化物21を用い、通気孔23が空気の吸排気経路を構成するように炭化物21を配置したことを特徴としている。
【0011】
第3に、浄化剤19をフィルター機能を備えた布,紙,又は不織布等のカバー22で密封包装してなることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下図示する実施形態につき詳述すると、図1〜図3はこの発明の装置及び炭化物の実施例を示し、装置Aは木板製で中空の箱状に製作された上部開放型のケーシング1と、その上部開放端を開閉自在に塞ぐ被せ蓋2を備えている。ケーシング1は前後左右の周壁3と底板4からなっている。
【0013】
ケーシング1内の下半部には、外部から空気を導入し、モーター付の送風機5を収容設置している最下段の吸入室6と、その上部の送風室7とが設けられ、送風室7の上部にはケーシング1内の概ね上半部を占める浄化室8が設けられている。9,11は各室を仕切る仕切板である。
【0014】
送風室7内には清浄装置操作用の制御部10が設けられ、ケーシング1の周壁3の正面には送風機ON,OFF用のスイッチ10a,パイロットランプ10b,送風量調節用のつまみ10c等の操作部が設けられている。
【0015】
送風室7内中央にはすり鉢状に形成されたカップ状の回転体12aと、該回転体の傾斜した周面に放射状に且つ下向きに突設された多数のベーン12b,ファン12が縦軸方向に収容されており、回転体12aの中心には吸入室6側より上向きに突出したモーター軸13が一体的に嵌合され、モーター回転によりファン12が回転駆動される。
【0016】
モーター軸13は下段の仕切板9の略中央に穿設された大径の通風孔14を介して回転体12aに嵌合され、ベーン12bは回転体12aの中心側からその傾斜した背面(周面)に沿って放射状に形成されているが、外周端側が回転方向に対して遅れ方向に湾曲している。その結果ファン12が回転すると吸入室6から通風孔14を介して斜め上方に空気が送られる。
【0017】
また上段の仕切板11には中央と左右振り分け位置にネット付の通風孔16a,16b,16cが穿設され、ファン12によって吹き上げられた空気は該通風孔16a〜16cより上部の浄化室8に送風される。ケーシング1の左右の周壁下部には吸入口17が穿設され、蓋2には左右位置に排気口18が穿設され、それぞれ未浄化エアの吸入室6への吸入と浄化エアの大気中への放出が行われる(図1矢印参照)。なお、この例のケーシング1の内部は240(H)×135(D)×285(W)(mm)で浄化室は240(H)である。
【0018】
浄化室8内には後述する本発明の炭化物からなる浄化剤19が収容されて仕切板11上に載置されている。浄化剤19は図3に示すように1個又は複数に分割された茸廃菌床の炭化物21が、通気性を備え一定以上の粒径の微粒子を捕捉するフィルター機能を備えた不織布,布,紙等からなるカバー22に略密閉状態で包装されて構成されている。
【0019】
また炭化物21には上下方向に多数の通気孔23が上下貫通して穿設されており、この通気孔23は浄化室8内を通過する空気が流通するためのもので、炭化物に対する空気の接触面積を増やし、さらに通気孔23を通じてさらにポーラスな炭化物内部への空気の流通を促すものである。
【0020】
上記炭化物21は椎茸や舞茸等の栽培に使用された廃菌床を炭化したもので、その主材(原)料は広葉樹チップやおがくずであるが、一般には枕状又はブロック状,円柱状等に成形されている。そして材料調合時には茸の栄養分となるフスマや米糖その他の調整材が加えられるが、茸栽培の後には大半が木質繊維である。
【0021】
炭化物は木炭の製炭法と同様の方法等によって行われたもの、具体的には市販の移動式炭焼き炉を用いて製炭したものを用いた。
図6(A),(B)はそれぞれ椎茸と舞茸の廃菌床の電子顕微鏡写真(250倍)で、この写真から明らかなように原料が茸によって養分を失ったおがくずが大半であるため、通常の木炭に比し、空隙率が極めて高いこと及び各空隙間が連続した空隙を形成していることが確認できる。またこのような構造により、空気等の浄化剤として使用した場合、内部の通気性にも優れ、空気等との接触面積も高いことが推定される。
【0022】
図5は上記炭化物21を使用した図1,図2に示す装置Aに80×90×250(mm)のサイズの炭化物21を収容し、1980ccの自動車のガソリンエンジン31の排気ガスを、1450×1100×1380(mm)のサイズの密閉容器(ビニール袋)33に導いて略大気圧と同程度の圧力下で封入したものの内部で、排気ガスの浄化実験を行った場合の実験図を示す。32はエンジン31側の排気管と容器33とを接続するホースである。
【0023】
尚HC測定は、排ガス温度が降下することによって発生した水滴中の溶解HC値をテスターで測定する方法によって行った。表1は上記装置による排気ガス中のHC吸着試験の結果である。
【0024】
【表1】
【0025】
表1によれば浄化開始後75分で、無処理のものは殆ど変化がないのに対し、椎茸廃菌床炭で約33.6%、舞茸廃菌床炭で約26.7%のHC削減率を示した。
【0026】
同時にCO削減効果確認を行ったが、椎茸廃菌床炭で約2.2%、舞茸廃菌床炭で約1.2%といずれも有用な効果が見られなかった。またHC,CO共に椎茸廃菌床炭の方が僅かに浄化能力が優れていることも判明した。
【0027】
図5は上記のようにして空気浄化を行った炭化物21の水中での沈降実験方法を示す説明図で、実験は上記一種類の炭化物と未使用炭化物を水中に投入し、その沈降量の経時変化を周面での目視寸法で計測することより行った。
【0028】
これらの計測及び観察結果によれば、未使用のものは投入直後に内部に水分が吸収含浸される(毛細管現象)ことが確認されるが、使用済みのものは表面が水を弾いて浸水しない現象が確認された。表2は空気浄化に使用したものと未使用の廃菌床炭との水中での沈降実験結果を示す。この実験は空気浄化により、各炭化物がどのように変化するのかを確認しようとするものである。
【0029】
【表2】
【0030】
表2から明らかなようにいずれの炭化物も未使用のものは4日後又は8時間後に略100%沈降するのに対し、使用済のものは4日後又は11時間後に20%沈降し、それ以後の沈降が停止したことが確認される。また椎茸廃菌床炭より舞茸廃菌床炭がいずれのケースでも沈降が速いが、これは図6に示すように両者の空隙率及びその透水性に差があるためと思われる。
【0031】
その他本発明の装置により人の居住する室内の空気浄化を行うと、空気がさわやかになる等の評価が多く、気管支疾患の患者の呼吸が改善され、風邪等の病気にかかり難い等の現象が見られたが、客観的データや理論的解明等は行われていない。但し、この発明の炭化物を空気流通経路に置くと、被覆シートを通して0.00μm程度の炭素の微細粒子が飛散することが確認されており、この微粒子が「薬用炭」と同様に何らかの形で人体に好影響を及ぼしているものと推定される。
【0032】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されるので、炭化物としての従来の木炭等と比較して連続した高い空隙率のものを得ることができ、炭化物による空気の高性能の浄化や消臭処理等が低コストで容易に実現でき、茸の廃菌床を使用するので比較的大量な材料が継続的に入手、供給が可能である。また産業廃棄物等として処理コストを要する廃菌床を高付加価値の商品として有効活用できる利点がある。
【0033】
また空気清浄装置は単純な構造のケーシングに動力としては簡単な送風機を収容し、浄化剤としての炭化物を収容するスペース(浄化室)を設けるだけで足りるので、操作も簡単で低コストに提供できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の清浄装置の全体斜視図である。
【図2】清浄装置の正面断面図である。
【図3】本発明の浄化剤及び炭化物の斜視図である。
【図4】排ガスの浄化実験の状態を示す実験図である。
【図5】炭化物の水中での沈降実験図である。
【図6】(A),(B)はそれぞれ椎茸廃菌床と舞茸廃菌床の炭化物の顕微鏡写真である。
【符号の簡単な説明】
A 空気清浄装置
1 ケーシング
5 送風機
14 通風孔
17 吸気口
18 排気口
19 浄化剤
21 炭化物
22 カバー
23 通気孔
Claims (6)
- おがくずを主体として形成された茸菌床に茸を発生させた後の廃菌床を炭化させてなる茸廃菌床の炭化物。
- 廃菌床を茸収穫時の形状を保持した状態で炭化した請求項1の茸廃菌床の炭化物。
- 炭化物に多数の通気孔(23)を貫通させて穿設した請求項2の茸廃菌床の炭化物。
- 中空のケーシング(1)内に送風機(5)を設け、ケーシング(1)内の該送風機(5)の上流側に吸気口(17)を下流側に排気口(18)を設けるとともに、空気を吸気して排気する経路中に空気を浄化する浄化剤(19)を配置した装置において、浄化剤(19)として請求項1,2又は3の炭化物(21)を用いた空気清浄装置。
- 浄化剤(19)として請求項4の炭化物(21)を用い、通気孔(23)が空気の吸排気経路を構成するように炭化物(21)を配置した請求項4の空気清浄装置。
- 浄化剤(19)をフィルター機能を備えた布,紙,又は不織布等のカバー(22)で密封包装してなる請求項4又は5の空気清浄装置。
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JP2002234796A JP2004075417A (ja) | 2002-08-12 | 2002-08-12 | 茸廃菌床の炭化物及び空気清浄装置 |
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JP2004075417A true JP2004075417A (ja) | 2004-03-11 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104087323A (zh) * | 2014-07-08 | 2014-10-08 | 浙江大学 | 一种利用食用菌废料制备生物炭的方法及应用 |
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2002
- 2002-08-12 JP JP2002234796A patent/JP2004075417A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN104087323A (zh) * | 2014-07-08 | 2014-10-08 | 浙江大学 | 一种利用食用菌废料制备生物炭的方法及应用 |
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