JP2004072643A - 無線通信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】通信相手となる無線通信装置との同期を確立して無線通信を行う無線通信装置で、初期の同期確立を効率化する。
【解決手段】無線受信手段が通信相手となる無線通信装置から無線送信される信号を受信し、同期確立条件判定手段が当該受信信号が所定の同期確立条件を満たすか否かを判定し、同期確立制御手段が、当該判定結果に基づいて、初期の同期確立を待機する状態では受信信号が同期確立条件を満たした時点で同期が確立された状態とし、当該同期確立状態では受信信号が同期確立条件を満たさない期間が所定の前方保護期間継続した時点で同期が外れた状態とし、当該同期外れ状態では受信信号が同期確立条件を満たす期間が所定の後方保護期間継続した時点で同期が確立された状態とする。
【選択図】 図1
【解決手段】無線受信手段が通信相手となる無線通信装置から無線送信される信号を受信し、同期確立条件判定手段が当該受信信号が所定の同期確立条件を満たすか否かを判定し、同期確立制御手段が、当該判定結果に基づいて、初期の同期確立を待機する状態では受信信号が同期確立条件を満たした時点で同期が確立された状態とし、当該同期確立状態では受信信号が同期確立条件を満たさない期間が所定の前方保護期間継続した時点で同期が外れた状態とし、当該同期外れ状態では受信信号が同期確立条件を満たす期間が所定の後方保護期間継続した時点で同期が確立された状態とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信相手となる無線通信装置との同期を確立して無線通信を行う無線通信装置に関し、特に、初期の同期確立を効率化した無線通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、直接拡散符号分割多元接続(DS−CDMA:Direct Sequence − Code Division Multiple Access)方式を採用する移動通信システムの基地局装置や移動局装置では、ユーザチャネルのフレームや制御チャネルのフレームを無線により通信することが行われており、ベースバンド信号処理部の機能によりフレームの同期を判定することが行われている。
【0003】
移動通信システムの基地局装置及び移動局装置において、ユーザチャネルのフレーム又は制御チャネルのフレームの同期を判定する方式の例として、第1のフレーム同期判定方式と第2のフレーム同期判定方式を示す。
【0004】
第1のフレーム同期判定方式では、受信信号に関する希望波信号電力対干渉波信号電力比(SIR:Signal to Interference Power Ratio)の測定値(受信SIR測定値)と同期判定のための基準となる閾値(同期確立SIR閾値)とを比較して、受信SIR測定値が閾値以上である(或いは、閾値を超える)場合にはフレーム同期に関する条件が満たされた状態であると判定し、受信SIR測定値が閾値未満(或いは、閾値以下)である場合にはフレーム同期に関する条件が満たされない状態であると判定する。
【0005】
第2のフレーム同期判定方式では、ユーザ(例えば、移動局装置)に関する制御情報を報知するために用いられる個別物理制御チャネル(DPCCH:Dedicated Physical Control Channel)のパイロット(PILOT)部にマッピングされている既知のシンクワード(Sync Word)のシンボル(SW)と、受信したシンクワードシンボルとの相違に基づく誤りビット数をフレーム単位でカウントして、各フレーム毎に、誤りビット数が同期判定のための基準となる許容誤りビット数以下(或いは、許容誤りビット数未満)である場合にはフレーム同期に関する条件が満たされた状態であると判定し、誤りビット数が許容誤りビット数を超える(或いは、許容誤りビット数以上である)場合にはフレーム同期に関する条件が満たされない状態であると判定する。
【0006】
上記した第1のフレーム同期方式及び第2のフレーム同期方式のいずれの方式においても、例えば、フェージングによる瞬時変動や移動局装置の移動に伴う場所的変動により、フレーム毎に判定される同期に関する状態が安定しなくなることが生じる。すなわち、例えば、同期捕捉ができているにもかかわらず、同期外れであると判定してしまうような場合が生じる。
【0007】
そこで、このような誤検出を防止するために、一般的に、フレーム同期に関して後方保護の処理及び前方保護の処理が行われている。具体的には、後方保護の処理では、同期を確立するに際して、所定のフレーム回数(後方保護フレーム回数)連続して同期確立条件を満たすことが検出された場合にフレーム同期が確立された状態であると判定する。また、前方保護の処理では、同期が確立されている状態において、所定のフレーム回数(前方保護フレーム回数)連続して同期外れ条件を満たす(つまり、同期確立条件を満たさない)ことが検出された場合に同期が外れた状態であると判定する。
【0008】
また、基地局装置及び移動局装置では、無線送信の送信電力を制御することが行われる。
ここで、移動局装置が基地局装置に対する無線送信の送信電力を制御する処理を代表させて、その処理の一例を説明する。なお、基地局装置が移動局装置に対する無線送信の送信電力を制御する処理についても同様である。
【0009】
すなわち、基地局装置は、移動局装置から無線により受信する信号の受信SIR測定値と希望とする受信SIR値(希望受信SIR値)との大小を比較して、受信SIR測定値が希望受信SIR値を超える場合には移動局装置からの送信電力を減少させることを指示する情報から成る送信電力制御(TPC:Transmit Power Control)ビットを移動局装置に対するユーザチャネルに挿入して無線により送信し、一方、受信SIR測定値が希望受信SIR値未満である場合には移動局装置からの送信電力を増加させることを指示する情報から成る送信電力制御(TPC)ビットを移動局装置に対するユーザチャネルに挿入して無線により送信する。
【0010】
一方、移動局装置は、基地局装置から受信したTPCビットを判定して得られる指示(TPCコマンド)の内容に従って、基地局装置に対する無線送信の送信電力を減少するように或いは増加するように制御する。
このような送信電力制御の処理により、移動局装置から基地局装置に対して無線送信される信号の送信電力が基地局装置側で希望する値へ制御される。
なお、基地局装置において受信SIR測定値と希望受信SIR値とが等しい場合には、例えば、送信電力制御が行われる必要はないが、任意の制御が行われてもよい。
【0011】
次に、上記した第1のフレーム同期判定方式による処理の一例を示す。
図3には、基地局装置と移動局装置との間で行われる無線通信の状況の一例として、基地局装置における受信SIRと送信電力とフレーム同期状態との関係を示してある。
具体的には、基地局装置の受信側に関する無線通信状況として、(a)同期確立SIR閾値と、(b)受信SIR測定値の推移P2と、(c)フレーム同期の判定結果と、(d)判定される送信電力制御(TPC)コマンド(判定TPCコマンド)を示してある。また、基地局装置の送信側に関する無線通信状況として、(e)送信電力の推移Q2を示してある。
【0012】
ここで、同期確立SIR閾値としては、受信SIR測定値に関して一定の値が設定されている。
また、受信SIR測定値P2が所定の後方保護段数(後方保護のフレーム数)だけ連続して同期確立SIR閾値以上となった場合に同期が確立された状態であると判定し、一方、受信SIR測定値P2が所定の前方保護段数(前方保護のフレーム数)だけ連続して同期確立SIR閾値未満となった場合に同期が外れた状態であると判定する。
【0013】
また、フレーム同期判定結果としては、同期確立状態であること、又は、同期外れの状態であることが得られる。
また、判定TPCコマンドとしては、受信側で送信電力制御(TPC)ビットを判定した結果として得られ、例えば、送信側の送信電力を増加させるための“1”値、又は、送信側の送信電力を低減させるための“0”値が設定される。なお、TPCコマンドが特に設定されない場合には、判定TPCコマンドは“不定”となる。
【0014】
また、送信側は、受信側から通知されるTPCコマンドに従って、TPCコマンドが“1”値である場合には送信電力Q2を例えばX[dB]ずつ段階的に増加させ、TPCコマンドが“0”値である場合には送信電力Q2を例えばX[dB]ずつ段階的に減少させる。ここで、Xは例えば1や1.5や2などの任意の数値を示す。送信側は、初期の同期が確立されるまでの間は送信電力を増加し、その後、受信側から有効なTPCコマンドが通知されている間は送信電力制御をオンにして送信電力制御を行い、受信側から有効なTPCコマンドが通知されなくなった場合(“不定”である場合)には送信電力制御をオフにして送信電力制御を行わない。
【0015】
同図を参照して、基地局装置と移動局装置との間で同期を確立する処理の一例を示す。
なお、本明細書では、基地局装置から移動局装置への通信の方向を下りと言い、移動局装置から基地局装置への通信の方向を上りと言う。
また、本例では、移動通信システムに備えられる基地局装置と移動局装置との無線通信において、基地局装置が移動局装置から無線により受信する上りのフレームの同期を判定する場合の基地局装置における動作を代表させて説明するが、移動局装置が基地局装置から無線により受信する下りのフレームの同期を判定する場合についても同様である。
【0016】
まず、上位レイヤから上り/下りの新規チャネルのオープン指令(上りCH Open、下りCH Open)があった場合に、当該オープン指令に基づいて初期の同期を確立するための動作を開始する。
【0017】
すなわち、受信側は、受信SIRの測定結果と同期確立SIR閾値とを毎フレームにおいて比較し、後方保護フレーム回数連続して同期確立SIR閾値以上である受信SIR測定結果が得られた場合に上りのフレーム同期が確立された状態であると判定する。その後、受信側は、例えばフェージングの影響などに起因して、前方保護フレーム回数連続して同期確立SIR閾値未満である受信SIR測定結果が得られた場合に上りのフレーム同期が外れた状態であると判定する。更に、その後、受信側は、再び、後方保護フレーム回数連続して同期確立SIR閾値以上である受信SIR測定結果が得られた場合に上りのフレーム同期が確立された状態であると判定する。また、受信側は、上りのユーザチャネルに挿入されている送信電力制御(TPC)ビットを判定した結果を送信側に通知する。
【0018】
一方、送信側は、上りのフレーム同期が確立されるまでの間、上りの送信電力を増加させる過程中であると認識して、送信電力を増加し続ける。
そして、送信側は、例えば上りのフレーム同期が確立された際に送信電力制御がオンである状態へ推移し、その後、受信側から通知されるTPCビットを判定した結果として得られるTPCコマンド(判定TPCコマンド)に基づいて、送信電力を±X[dB]ずつ制御すること(閉ループ送信電力制御)を行う。また、送信側は、送信する各フレームに、受信側が受信SIR測定結果と同期確立SIR閾値とを比較した結果をTPCビットとして挿入する。
【0019】
その後、送信側は、上りのフレーム同期が外れた場合には、送信電力制御がオフである状態へ推移して、例えば判定TPCコマンドの内容にかかわらずに、同期外れが起こった直前のフレームにおける送信電力を維持する。また、送信側は、再び、上りのフレーム同期が確立された場合に、送信電力制御をオンにする。
【0020】
また、上記した第2のフレーム同期判定方式による処理の一例を示す。
図4には、基地局装置と移動局装置との間で行われる無線通信の状況の一例として、基地局装置における誤りビット数と送信電力とフレーム同期状態との関係を示してある。
具体的には、基地局装置の受信側に関する無線通信状況として、(a)シンクワードシンボル(SW)の誤りビット数の推移V2と、(b)許容誤りビット数と、(c)フレーム同期の判定結果と、(d)判定される送信電力制御(TPC)コマンド(判定TPCコマンド)を示してある。また、基地局装置の送信側に関する無線通信状況として、(e)送信電力の推移W2を示してある。
【0021】
ここで、許容誤りビット数としては、シンクワードシンボルの誤りビット数に関して一定の値が設定されている。
また、シンクワードシンボルの誤りビット数V2が所定の後方保護段数(後方保護のフレーム数)だけ連続して許容誤りビット数以下となった場合に同期が確立された状態であると判定し、一方、シンクワードシンボルの誤りビット数V2が所定の前方保護段数(前方保護のフレーム数)だけ連続して許容誤りビット数を超えた場合に同期が外れた状態であると判定する。
【0022】
また、第2のフレーム同期判定方式において基地局装置と移動局装置との間で同期を確立する処理の一例としては、例えば受信SIR測定値の代わりにシンクワードシンボルの誤りビット数を用いるといった点を除いては、上記した第1のフレーム同期判定方式の場合と同様である。
【0023】
なお、同図では、移動通信システムに備えられる基地局装置と移動局装置との無線通信において、基地局装置が移動局装置から無線により受信する上りのフレームの同期を判定する場合の基地局装置における動作を代表させて示してあるが、移動局装置が基地局装置から無線により受信する下りのフレームの同期を判定する場合についても同様である。
【0024】
ここで、同期確立に関して、従来技術の例を示す。
特開平9−98110号公報(文献1)に記載された「拡散符号初期同期方法および装置」では、DS−CDMA方式を採用する移動通信において1つの通信装置が複数の拡散符号を用いて通信を行う構成において、受信側の通信装置が初期同期過程及び同期保持過程を用いて受信信号の拡散符号と拡散符号のレプリカとの同期を確保するに際して、受信信号の拡散符号と拡散符号のレプリカとの相関検出値の拡散符号数分の和などの値と閾値との比較結果に基づいて、同期しているか否かを判定することが行われている。
【0025】
特開2001−119368号公報(文献2)に記載された「受信装置及び受信方法、並びに媒体」では、同期信号を検出するために用いられる閾値及び窓の幅を制御することにより、初期同期時に迅速且つ確実に同期信号を検出することが図られており、また、受信信号からデータを復調する際の誤り率に基づいて同期タイミングを修正することにより、高精度な同期保持が図られている。
【0026】
特開2001−145151号公報(文献3)に記載された「DS−CDMA基地局間非同期セルラにおける初期同期方法」では、DS−CDMA方式を採用する基地局間が非同期であるセルラにおいて、受信信号と所定のコードとの相関電力値の最大値などと閾値との比較結果に基づいて実行される3段階のセルサーチを行うに際して、例えば干渉波の電力が増大することなどにより同期の誤検出の確率が増加するような場合においても、3段階のセルサーチが繰り返される数を減少して高速なセルサーチが可能な初期同期方式を実現することが図られている。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例で示したような従来における第1のフレーム同期判定方式又は第2のフレーム同期判定方式では、チャネルオープンの後に同期確立のための処理が行われて初期のフレーム同期が確立されるまでの間に、例えば初めて受信SIR測定値が同期確立SIR閾値以上となってから又は初めてシンクワードシンボルの誤りビット数が許容誤りビット数以下となってから、最低でも後方保護フレーム回数分は同期確立までに時間を要してしまい、初期の同期確立が遅延してしまうといった不具合があった。また、このような遅延に伴って、上り或いは下りの送信電力増加過程の状態が最低でも後方保護フレーム回数分延びてしまい、不要な送信電力の増加を発生させてしまうといった不具合があった。
【0028】
特に、同期確立の遅延が生じると、当該遅延に係るフレーム数がそのまま基地局装置の内部における処理の遅延となるため、基地局装置の基本性能の低下につながってしまう。また、不要な送信電力の増加が生じると、セル内に存在する他のユーザにとっては干渉電力の成分が増大してしまってこれにより受信SIRを劣化させてしまう原因にもなり得る。
【0029】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたもので、通信相手となる無線通信装置との同期を確立して無線通信を行うに際して、後方保護の処理及び前方保護の処理を行う構成において、初期の同期確立を効率化することができる無線通信装置を提供することを目的とする。
【0030】
なお、詳細を後述する本発明と比較すると、上記従来例で示した文献1〜文献3では、例えば、初期同期確立待ち状態と同期確立状態と同期外れ状態との3つの状態を有して所定の遷移条件に基づいて状態の遷移を行う本発明に係る同期確立制御については記載されておらず、また、このような同期確立制御と送信電力制御との組み合わせについては記載されていない。
【0031】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る無線通信装置では、通信相手となる無線通信装置との同期を確立して無線通信を行うに際して、次のようにして、同期確立の制御を行う。
すなわち、無線受信手段が通信相手となる無線通信装置から無線により送信される信号を受信し、同期確立条件判定手段が通信相手となる無線通信装置から受信する信号が所定の同期確立条件を満たすか否かを判定する。そして、同期確立制御手段が、同期確立条件判定手段の判定結果に基づいて、初期の同期確立を待機する状態(初期同期確立待ち状態)では通信相手となる無線通信装置から受信する信号が同期確立条件を満たした時点で通信相手となる無線通信装置との同期が確立された状態(同期確立状態)とし、当該同期確立状態では通信相手となる無線通信装置から受信する信号が同期確立条件を満たさない期間が所定の前方保護期間継続した時点で通信相手となる無線通信装置との同期が外れた状態(同期外れ状態)とし、当該同期外れ状態では通信相手となる無線通信装置から受信する信号が同期確立条件を満たす期間が所定の後方保護期間継続した時点で通信相手となる無線通信装置との同期が確立された状態(同期確立状態)とする。
【0032】
従って、例えば従来と比べて、初期同期確立待ち状態から初期的に同期を確立するまでの時間を短くすることができ、初期の同期確立までの処理遅延を低減することができる。また、これにより、例えば、通信相手となる無線通信装置への送信電力が制御されるような場合に、通信相手となる無線通信装置への送信電力を不要に増加させてしまうことを抑制することができる。
【0033】
また、同期確立状態では、前方保護期間が用いられているため、例えば通信相手となる無線通信装置から受信する信号のレベルなどに関する変動があっても、不要に同期外れ状態へ遷移(推移)してしまうことを抑制することができる。また、同期外れ状態では、後方保護期間が用いられているため、例えば通信相手となる無線通信装置から受信する信号のレベルなどに関する変動があっても、確実に同期が確保された場合に同期確立状態へ遷移することができる。
このように、本発明では、初期同期確立待ち状態と同期確立状態と同期外れ状態とを設けて、全体として効率的な状態遷移を行うことができる。
【0034】
ここで、本発明に係る無線通信装置や通信相手となる無線通信装置としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、移動通信システムに備えられる基地局装置や移動局装置などを用いることができる。
また、同期の確立としては、例えばフレーム同期の確立などの種々な同期確立が用いられてもよい。
また、無線通信としては、種々な形態の無線通信が行われてもよい。
【0035】
また、通信相手となる無線通信装置から受信する信号が所定の同期確立条件を満たすか否かを判定するために用いられる当該信号としては、種々な信号が用いられてもよい。
また、所定の同期確立条件としては、種々な条件が用いられてもよい。
また、所定の同期確立条件としては、例えば、初期同期確立待ち状態と同期確立状態と同期外れ状態とで同一の条件が用いられるが、これら3つの状態のいずれか1つにおいて異なる条件が用いられる態様や、或いは、これら3つの状態のそれぞれにおいて異なる条件が用いられる態様が用いられてもよい。
【0036】
また、通信相手となる無線通信装置から受信する信号が所定の同期確立条件を満たすか否かを判定する仕方としては、種々な仕方が用いられてもよい。
一例として、通信相手となる無線通信装置から受信する信号に基づいて得られる値に関する条件を所定の同期確立条件として用いて、通信相手となる無線通信装置から受信する信号に基づいて得られる値が当該同期確立条件を満たすか否かを判定することにより、通信相手となる無線通信装置から受信する信号が所定の同期確立条件を満たすか否かを判定するような態様を用いることができる。
【0037】
また、同期確立条件判定手段としては、例えば、通信相手となる無線通信装置から受信する信号が所定の同期確立条件を満たすことを検出する手段から構成されてもよく、或いは、通信相手となる無線通信装置から受信する信号が所定の同期確立条件から外れること(つまり、所定の同期確立条件を満たさないこと)を検出する手段から構成されてもよい。つまり、通信相手となる無線通信装置から受信する信号が所定の同期確立条件を満たすこと或いは満たさないことのいずれか一方を検出する構成では、当該一方が検出されない場合には他方が検出されたものとみなすことができ、実質的には、当該一方であるか或いは当該他方であるかを判定することができる。
【0038】
また、初期同期確立待ち状態としては、例えば、本発明に係る無線通信装置と通信相手となる無線通信装置との間で同期を確立する制御が初期的に開始されるような場合における状態が用いられる。
また、同期確立状態としては、例えば、本発明に係る無線通信装置と通信相手となる無線通信装置との間で同期が確立されている場合における状態が用いられる。
また、同期外れ状態としては、例えば、本発明に係る無線通信装置と通信相手となる無線通信装置との間で確立された同期が外れてしまって再び同期を確立する制御が行われるような場合における状態が用いられる。
【0039】
また、初期同期確立待ち状態では、例えば、通信相手となる無線通信装置から受信する信号が同期確立条件を満たしたと判定した時点で、その後において当該信号が当該同期確立条件を満たした状態が継続するか否かにかかわらずに、通信相手となる無線通信装置との同期が確立された状態とする。
【0040】
また、所定の前方保護期間としては、種々な長さの期間が用いられてもよい。
また、所定の後方保護期間としては、種々な長さの期間が用いられてもよい。
また、所定の前方保護期間の長さと所定の後方保護期間の長さとしては、例えば、同一の長さが用いられてもよく、或いは、異なる長さが用いられてもよい。
また、所定の前方保護期間の長さや所定の後方保護期間の長さとしては、例えば、フレームの数を用いて設定されてもよく、或いは、時間を用いて設定されてもよく、また、他の態様により設定されてもよい。
【0041】
また、本発明に係る無線通信装置は、一構成例として、次のような構成とする。
すなわち、直接拡散符号分割多元接続(DS−CDMA)方式によりフレームを用いて無線通信を行う移動通信システムの無線通信装置として構成される。
また、所定の同期確立条件として、通信相手となる無線通信装置から受信する信号の信号対干渉比に関する値が所定の閾値を超える場合に当該同期確立条件が満たされることが設定される。そして、同期確立条件判定手段は、フレーム毎に、通信相手となる無線通信装置から受信する信号の信号対干渉比に関する値が閾値を超える場合には同期確立条件を満たすと判定する一方、当該値が当該閾値未満である場合には同期確立条件を満たさないと判定する。
【0042】
従って、通信相手となる無線通信装置から受信する信号の信号対干渉比に関する同期確立条件を用いた構成において、初期の同期確立までの遅延処理を低減することができ、初期同期確立待ち状態と同期確立状態と同期外れ状態との間の状態遷移を全体として効率化することができる。
【0043】
ここで、移動通信システムとしては、例えば携帯電話システムや簡易型携帯電話システム(PHS:Personal Handy phone System)などの種々な通信システムが用いられてもよい。
また、フレームを用いて無線通信を行う態様としては、種々な態様が用いられてもよい。
また、フレームとしては、種々なものが用いられてもよい。
【0044】
一例として、複数のチャネルが用いられる構成では、各チャネル毎に異なるフレームが用いられるような態様が用いられてもよい。なお、このような構成では、例えば、各フレーム毎(例えば、各チャネル毎)に同期を確立する態様や、或いは、或るフレーム(例えば、或るチャネル)について確立した同期に基づいて他のフレーム(例えば、他のチャネル)の同期を確立する態様などが用いられる。また、例えば、チャネル毎の複数のフレームは、符号分割多重方式や、時間分割多重方式や、周波数分割多重方式により、多重化することも可能である。
【0045】
また、通信相手となる無線通信装置から受信する信号の信号対干渉比に関する値としては、種々な値が用いられてもよく、例えば、希望波信号電力対干渉波信号電力比(SIR)の値が用いられる。
また、所定の閾値としては、種々な値が用いられてもよい。
また、通信相手となる無線通信装置から受信する信号の信号対干渉比に関する値が所定の閾値を超える場合としては、当該信号のレベルが比較的大きいような場合が用いられる。
【0046】
また、同期確立条件判定手段は、フレーム毎に、通信相手となる無線通信装置から受信する信号が所定の同期確立条件を満たすか否かを判定する。この場合、所定の前方保護期間の長さや所定の後方保護期間の長さとしては、例えば、フレームの数を用いて設定される。
【0047】
また、本発明では、通信相手となる無線通信装置から受信する信号の信号対干渉比に関する値が所定の閾値と等しい場合については、特に限定はなく、例えば、同期確立条件を満たすと判定する態様が用いられてもよく、或いは、同期確立条件を満たさないと判定する態様が用いられてもよい。
【0048】
また、本発明に係る無線通信装置では、一構成例として、次のような構成とする。
すなわち、直接拡散符号分割多元接続(DS−CDMA)方式によりフレームを用いて無線通信を行う移動通信システムの無線通信装置として構成される。
また、通信相手となる無線通信装置から無線により送信されるフレームには、所定のパターンの信号(所定パターン信号)が含まれる。
また、所定の同期確立条件として、通信相手となる無線通信装置から受信する所定パターン信号の誤りに関する値が所定の閾値未満である場合に当該同期確立条件が満たされることが設定される。そして、同期確立条件判定手段は、フレーム毎に、通信相手となる無線通信装置から受信する所定パターン信号の誤りに関する値が閾値未満である場合には同期確立条件を満たすと判定する一方、当該値が当該閾値を超える場合には同期確立条件を満たさないと判定する。
【0049】
従って、通信相手となる無線通信装置から受信する所定パターン信号の誤りに関する同期確立条件を用いた構成において、初期の同期確立までの遅延処理を低減することができ、初期同期確立待ち状態と同期確立状態と同期外れ状態との間の状態遷移を全体として効率化することができる。
【0050】
ここで、所定パターン信号としては、種々なパターンの信号が用いられてもよい。
また、所定パターン信号としては、例えば、通信相手となる無線通信装置から送信される全てのフレームに含まれてもよく、或いは、一部のフレームのみに含まれてもよい。
【0051】
また、通信相手となる無線通信装置から受信する所定パターン信号の誤りに関する値としては、種々な値が用いられてもよく、例えば、誤りビット数の値や、ビット誤り率の値が用いられる。
また、所定の閾値としては、種々な値が用いられてもよい。
また、通信相手となる無線通信装置から受信する所定パターン信号の誤りに関する値が所定の閾値未満である場合としては、当該所定パターン信号の誤りが比較的少ないような場合が用いられる。
【0052】
また、同期確立条件判定手段は、フレーム毎に、通信相手となる無線通信装置から受信する信号が所定の同期確立条件を満たすか否かを判定する。この場合、所定の前方保護期間の長さや所定の後方保護期間の長さとしては、例えば、フレームの数を用いて設定される。
【0053】
また、本発明では、通信相手となる無線通信装置から受信する所定パターン信号の誤りに関する値が所定の閾値と等しい場合については、特に限定はなく、例えば、同期確立条件を満たすと判定する態様が用いられてもよく、或いは、同期確立条件を満たさないと判定する態様が用いられてもよい。
【0054】
以下で、更に、以上に示した構成も含めて、本発明に係る無線通信装置の構成例を示す。
本発明に係る無線通信装置では、一構成例として、同期確立条件判定手段は、フレーム毎に通信相手となる無線通信装置から受信する信号の信号対干渉比の値(信号対干渉比値)を検出する信号対干渉比値検出手段と、フレーム毎に信号対干渉比値検出手段により検出される信号対干渉比値と閾値との大小を比較する信号対干渉比値比較手段とを有し、フレーム毎に信号対干渉比値比較手段による比較結果に基づいて通信相手となる無線通信装置から受信する信号が同期確立条件を満たすか否かを判定する。
ここで、信号対干渉比の値としては、例えば、希望波信号電力対干渉波信号電力比(SIR)の値が用いられる。
【0055】
また、本発明に係る無線通信装置では、一構成例として、同期確立条件判定手段は、通信相手となる無線通信装置から受信する所定パターン信号の誤りに関する値(誤り値)を検出する所定パターン信号誤り値検出手段と、所定パターン信号誤り値検出手段により検出される誤り値と閾値との大小を比較する所定パターン信号誤り値比較手段とを有し、フレーム毎に所定パターン信号誤り値比較手段による比較結果に基づいて通信相手となる無線通信装置から受信する信号が同期確立条件を満たすか否かを判定する。
ここで、所定パターン信号の誤りに関する値としては、例えば、誤りビット数の値などが用いられる。
【0056】
また、本発明に係る無線通信装置では、一構成例として、通信相手となる無線通信装置などから所定パターン信号を特定する情報(所定パターン信号特定情報)が無線により送信される。そして、同期確立条件判定手段は、通信相手となる無線通信装置などから受信した所定パターン信号特定情報に基づいて、通信相手となる無線通信装置から受信する信号が同期確立条件を満たすか否かを判定する。
【0057】
ここで、所定パターン信号を特定する情報としては、種々な情報が用いられてもよい。
また、所定パターン信号を特定する情報としては、例えば同期確立の制御が行われる前に予め通知される。
また、同期確立条件判定手段は、例えば、所定パターン信号特定情報により特定される所定パターン信号を基準として、通信相手となる無線通信装置から受信する所定パターン信号の誤りに関する値を検出する。
【0058】
また、本発明に係る無線通信装置では、一構成例として、同期確立条件判定手段は、所定パターン信号を特定する情報(所定パターン信号特定情報)を記憶する所定パターン信号特定情報記憶手段を有し、所定パターン信号特定情報記憶手段の記憶内容に基づいて通信相手となる無線通信装置から受信する信号が同期確立条件を満たすか否かを判定する。
【0059】
ここで、所定パターン信号を特定する情報としては、例えば、予め設定される態様が用いられてもよく、或いは、通信相手となる無線通信装置などから予め通知されるような態様が用いられてもよい。
また、所定パターン信号特定情報記憶手段は、例えば、メモリを用いて構成することができる。
また、同期確立条件判定手段は、例えば、所定パターン信号特定情報記憶手段に記憶された所定パターン信号特定情報により特定される所定パターン信号を基準として、通信相手となる無線通信装置から受信する所定パターン信号の誤りに関する値を検出する。
【0060】
また、本発明に係る無線通信装置では、一構成例として、フレームとして、ユーザチャネルのフレーム又は制御チャネルのフレームが用いられる。
ここで、ユーザチャネルのフレームでは、例えば通信情報の信号が通信される。
また、制御チャネルのフレームでは、例えば制御を行うための信号が通信される。
また、例えば、ユーザチャネルのフレームと制御チャネルのフレームとのいずれか一方のみに本発明が適用されてもよく、或いは、これら両方のフレームに本発明が適用されてもよい。
【0061】
また、本発明に係る無線通信装置では、一構成例として、次のような構成とする。
すなわち、通信相手となる無線通信装置から受信する信号に基づいて通信相手となる無線通信装置の送信電力を制御する情報(送信電力制御情報)を通信相手となる無線通信装置に対して無線により送信する送信電力制御情報無線送信手段を備える。そして、通信相手となる無線通信装置は、無線により受信した送信電力制御情報に基づいて送信電力を制御する送信電力制御手段を備える。
【0062】
ここで、通信相手となる無線通信装置から受信する信号に基づいて通信相手となる無線通信装置の送信電力を制御する態様としては、種々な態様が用いられてもよく、例えば、通信相手となる無線通信装置から受信する信号の電力が希望の電力を超える場合には通信相手となる無線通信装置の送信電力を減少させるように制御する一方、通信相手となる無線通信装置から受信する信号の電力が希望の電力未満である場合には通信相手となる無線通信装置の送信電力を増加させるように制御するような態様が用いられる。なお、通信相手となる無線通信装置から受信する信号の電力が希望の電力と等しい場合には、例えば、送信電力制御が行われる必要はないが、任意の制御が行われてもよい。
【0063】
また、通信相手となる無線通信装置の送信電力を制御する情報としては、種々な情報が用いられてもよく、例えば、“1”値と“0”値とのいずれか一方の情報を送信電力の増加の指示に割り当てて他方の情報を送信電力の減少の指示に割り当てるような態様を用いることができる。
【0064】
また、通信相手となる無線通信装置が受信した送信電力制御情報に基づいて送信電力を制御する態様としては、種々な態様が用いられてもよく、例えば、送信電力増加の指示があった場合には1回の送信電力制御情報についてX[dB]だけ送信電力を増加させ、送信電力減少の指示があった場合には1回の送信電力制御情報についてX[dB]だけ送信電力を減少させるような態様を用いることができる。ここで、Xとしては、種々な数値が用いられてもよい。
【0065】
また、本発明に係る無線通信装置は、一構成例として、移動通信システムの基地局装置又は移動局装置として構成される。
ここで、本発明に係る無線通信装置が基地局装置として構成される場合には、通信相手となる無線通信装置は例えば移動局装置として構成される。また、本発明に係る無線通信装置が移動局装置として構成される場合には、通信相手となる無線通信装置は例えば基地局装置として構成される。
【0066】
また、基地局装置や移動局装置としては、種々な構成のものが用いられてもよい。
また、通信方式としては、例えばCDMA(Code Division Multiple Access)方式やTDMA(Time Division Multiple Access)方式やFDMA(Frequency Division Multiple Access)方式などの種々な通信方式が用いられてもよい。
【0067】
【発明の実施の形態】
本発明に係る実施例を図面を参照して説明する。
まず、第1実施例を説明する。
本例では、上記図3を参照して示した第1のフレーム同期判定方式に本発明を適用した場合を示す。
図1には、基地局装置と移動局装置との間で行われる無線通信の状況の一例として、基地局装置における受信SIRと送信電力とフレーム同期状態との関係を示してある。
具体的には、基地局装置の受信側に関する無線通信状況として、(a)同期確立SIR閾値と、(b)受信SIR測定値の推移P1と、(c)フレーム同期の判定結果と、(d)判定される送信電力制御(TPC)コマンド(判定TPCコマンド)を示してある。また、基地局装置の送信側に関する無線通信状況として、(e)送信電力の推移Q1を示してある。
【0068】
ここで、同期確立SIR閾値としては、受信SIR測定値に関して一定の値が設定されている。
また、初期の同期が確立されるのを待機する状態(初期同期確立待ち状態)では、受信SIR測定値P1が同期確立SIR閾値以上となった場合に同期が確立された状態であると判定して同期が確立された状態(同期確立状態)へ遷移する。
【0069】
また、同期確立状態では、受信SIR測定値P1が所定の前方保護段数(前方保護のフレーム数)だけ連続して同期確立SIR閾値未満となった場合に同期が外れた状態であると判定して同期が外れた状態(同期外れ状態)へ遷移する。
また、同期外れ状態では、受信SIR測定値P1が所定の後方保護段数(後方保護のフレーム数)だけ連続して同期確立SIR閾値以上となった場合に同期が確立された状態であると判定して再び同期確立状態へ遷移する。
【0070】
また、フレーム同期判定結果としては、初期同期確立待ち状態であること、同期確立状態であること、又は、同期外れ状態であることが得られる。
また、判定TPCコマンドとしては、受信側で送信電力制御(TPC)ビットを判定した結果として得られ、例えば、送信側の送信電力を増加させるための“1”値、又は、送信側の送信電力を低減させるための“0”値が設定される。なお、TPCコマンドが特に設定されない場合には、判定TPCコマンドは“不定”となる。
【0071】
また、送信側は、受信側から通知されるTPCコマンドに従って、TPCコマンドが“1”値である場合には送信電力Q1を例えばX[dB]ずつ段階的に増加させ、TPCコマンドが“0”値である場合には送信電力Q1を例えばX[dB]ずつ段階的に減少させる。ここで、Xは例えば1や1.5や2などの任意の数値を示す。送信側は、初期の同期が確立されるまでの間は送信電力を増加し、その後、受信側から有効なTPCコマンドが通知されている間は送信電力制御をオンにして送信電力制御を行い、受信側から有効なTPCコマンドが通知されなくなった場合(“不定”である場合)には送信電力制御をオフにして送信電力制御を行わない。
【0072】
同図を参照して、基地局装置と移動局装置との間で同期を確立する処理の一例を示す。
なお、本例では、移動通信システムに備えられる基地局装置と移動局装置との無線通信において、基地局装置が移動局装置から無線により受信する上りのフレームの同期を判定する場合の基地局装置における動作を代表させて説明するが、移動局装置が基地局装置から無線により受信する下りのフレームの同期を判定する場合についても同様である。
【0073】
まず、上位レイヤから新規チャネルのオープン指令があるときには、初期同期確立待ち状態にある。そして、上位レイヤから上り/下りの新規チャネルのオープン指令(上りCH Open、下りCH Open)があった場合に、当該オープン指令に基づいて初期の同期を確立するための動作を開始する。
【0074】
すなわち、受信側は、初期同期確立待ち状態において、受信SIRの測定結果と同期確立SIR閾値とを毎フレームにおいて比較し、初めて同期確立SIR閾値以上である受信SIR測定結果が得られた場合に、初期的に上りのフレーム同期が確立された状態であると判定して、例えば当該受信SIR測定結果が得られたフレームにおいて、同期確立状態へ遷移する。ここで、本例では、初期同期確立待ち状態においては、後方保護の処理が設けられていない。
【0075】
その後、受信側は、例えばフェージングの影響などに起因して、前方保護フレーム回数連続して同期確立SIR閾値未満である受信SIR測定結果が得られた場合に上りのフレーム同期が外れた状態であると判定して同期外れ状態へ遷移する。更に、その後、受信側は、再び、後方保護フレーム回数連続して同期確立SIR閾値以上である受信SIR測定結果が得られた場合に上りのフレーム同期が確立された状態であると判定して同期確立状態へ遷移する。また、受信側は、上りのユーザチャネルに挿入されている送信電力制御(TPC)ビットを判定した結果を送信側に通知する。
【0076】
一方、送信側は、初期同期確立待ち状態において上りのフレーム同期が確立するまでの間、初期同期確立待ち状態であるときを上りの送信電力を増加させる過程中であると認識して、送信電力を増加し続ける。
そして、送信側は、例えば上りのフレーム同期が確立されて同期確立状態へ遷移した際に送信電力制御がオンである状態へ推移し、その後、受信側から通知されるTPCビットを判定した結果として得られるTPCコマンド(判定TPCコマンド)に基づいて、送信電力を±X[dB]ずつ制御すること(閉ループ送信電力制御)を行う。また、送信側は、送信する各フレームに、受信側が受信SIR測定結果と同期確立SIR閾値とを比較した結果をTPCビットとして挿入する。
【0077】
その後、送信側は、上りのフレーム同期が外れた場合には、送信電力制御がオフである状態へ推移して、例えば判定TPCコマンドの内容にかかわらずに、同期外れが起こった直前のフレームにおける送信電力を維持する。また、送信側は、再び、上りのフレーム同期が確立された場合に、送信電力制御をオンにする。
【0078】
なお、基地局装置や移動局装置は、例えば、無線信号を送信や受信するアンテナや、送信対象となる信号を処理してアンテナから無線により送信する送信機や、アンテナにより受信した信号を処理する受信機や、各種の処理や制御を行う制御部などを備えて構成されている。
【0079】
また、本例の基地局装置や移動局装置では、直接拡散符号分割多元接続(DS−CDMA)方式を用いた無線通信が行われている。
また、本例の基地局装置や移動局装置では、同期判定基準が受信信号の信号対干渉比に対して設定され、また、ユーザチャネルのフレーム又は制御チャネルのフレームの各フレーム毎にフレーム同期に関する基準を満たすか否かを判定することが行われている。
【0080】
以上のように、本例の基地局装置や移動局装置では、受信SIR測定値と同期確立SIR閾値との大小を比較して受信SIR測定値が同期確立SIR閾値以上である場合にはフレーム同期に関する条件が満たされた状態であると判定して受信SIR測定値が同期確立SIR閾値未満である場合にはフレーム同期に関する条件が満たされない状態であると判定するフレーム同期判定方式において、例えば初期同期確立待ち状態と同期確立状態と同期外れ状態とのいずれの状態であるかを3値判定し、チャネルオープン時の初期同期確立待ち状態であるときだけ、受信SIR測定値が同期確立SIR闘値以上となった時点で同期が確立されたと判定する。つまり、例えば上記図3を参照して示した第1のフレーム同期判定方式と比べて、本例のフレーム同期判定方式では、初期同期確立待ち状態においてのみ後方保護の処理を外した構成となっている。
【0081】
具体的には、本例の基地局装置や移動局装置により行われるフレーム同期判定の方式では、初期同期確立待ち状態と同期確立状態と同期外れ状態との3つの状態を設け、初期同期確立待ち状態のときには受信信号が同期判定基準を満たした時点で同期確立状態へ遷移し、同期確立状態のときには前方保護回数だけ同期判定基準を満たさない時点で同期外れ状態へ遷移し、同期外れ状態のときには後方保護回数だけ同期判定基準を満たした時点で同期確立状態へ遷移する。
【0082】
従って、本例の基地局装置や移動局装置では、例えば従来のフレーム同期判定方式と比較して、初期のフレーム同期が確立されるまでの処理遅延を削減することができ、これにより、例えば基地局装置の内部の処理遅延を抑制することが可能となる。また、本例の基地局装置や移動局装置では、例えば従来のフレーム同期判定方式と比較して、初期のフレーム同期が確立される前における送信電力増加過程の区間を短縮化することができることにより、不要な送信電力の増加を抑制することが可能となり、これにより、例えば同一のセル内において、他のユーザに対する干渉電力の影響を抑制することができ、例えば収容するチャネルの数を増大することが可能となる。このように、本例の基地局装置や移動局装置では、同期判定状態を3値化することなどを行うことにより、初期の同期確立までの処理遅延の抑制を図るとともに、送信電力増加過程の短縮化を図ることができる。
【0083】
なお、本例の基地局装置や移動局装置では、無線送信手段の機能や、無線受信手段の機能や、信号対干渉比値検出手段や信号対干渉比値比較手段から構成される同期確立条件判定手段の機能や、同期確立制御手段の機能や、送信電力制御情報無線送信手段の機能や、送信電力制御手段の機能を備えている。また、本例では、所定の同期確立条件として、受信SIR測定値に関する所定の閾値を用いた条件が用いられている。また、本例では、所定の前方保護期間として前方保護フレーム回数が用いられており、所定の後方保護期間として後方保護フレーム回数が用いられている。
【0084】
次に、第2実施例を説明する。
本例では、上記図4を参照して示した第2のフレーム同期判定方式に本発明を適用した場合を示す。
図2には、基地局装置と移動局装置との間で行われる無線通信の状況の一例として、基地局装置における誤りビット数と送信電力とフレーム同期状態との関係を示してある。
具体的には、基地局装置の受信側に関する無線通信状況として、(a)シンクワードシンボル(SW)の誤りビット数の推移V1と、(b)許容誤りビット数と、(c)フレーム同期の判定結果と、(d)判定される送信電力制御(TPC)コマンド(判定TPCコマンド)を示してある。また、基地局装置の送信側に関する無線通信状況として、(e)送信電力の推移W1を示してある。
【0085】
ここで、許容誤りビット数としては、シンクワードシンボルの誤りビット数に関して一定の値が設定されている。
また、初期の同期が確立されるのを待機する状態(初期同期確立待ち状態)では、シンクワードシンボルの誤りビット数V1が許容誤りビット数以下となった場合に同期が確立された状態であると判定して同期が確立された状態(同期確立状態)へ遷移する。
【0086】
また、同期確立状態では、シンクワードシンボルの誤りビット数V1が所定の前方保護段数(前方保護のフレーム数)だけ連続して許容誤りビット数を超えた場合に同期が外れた状態であると判定して同期が外れた状態(同期外れ状態)へ遷移する。
また、同期外れ状態では、シンクワードシンボルの誤りビット数V1が所定の後方保護段数(後方保護のフレーム数)だけ連続して同期確立SIR閾値以下となった場合に同期が確立された状態であると判定して再び同期確立状態へ遷移する。
【0087】
また、本例のフレーム同期判定方式において基地局装置と移動局装置との間で同期を確立する処理の一例としては、例えば受信SIR測定値の代わりにシンクワードシンボルの誤りビット数を用いるといった点を除いては、上記第1実施例で示したフレーム同期判定方式の場合と同様である。
【0088】
なお、同図では、移動通信システムに備えられる基地局装置と移動局装置との無線通信において、基地局装置が移動局装置から無線により受信する上りのフレームの同期を判定する場合の基地局装置における動作を代表させて示してあるが、移動局装置が基地局装置から無線により受信する下りのフレームの同期を判定する場合についても同様である。
【0089】
また、本例の基地局装置や移動局装置では、直接拡散符号分割多元接続(DS−CDMA)方式を用いた無線通信が行われており、且つ、移動局装置(或いは、基地局装置)はユーザの制御情報を報知する個別物理制御チャネル(DPCCH)のパイロット部に基地局装置(或いは、移動局装置)において既知のシンクワードシンボルを挿入して基地局装置(或いは、移動局装置)へ送信する。
また、本例の基地局装置や移動局装置では、同期判定基準がフレーム単位でのシンクワードシンボルの受信値の規定値からの誤り数に対して設定され、また、ユーザチャネルのフレーム又は制御チャネルのフレームの各フレーム毎にフレーム同期に関する基準を満たすか否かを判定することが行われている。
【0090】
また、本例では、例えば、個別物理制御チャネル(DPCCH)のスロットのフォーマットなどに応じてシンクワードを構成するシンボルの数が異なるような場合には、シンクワードのシンボル数に応じてシンクワードシンボルに関する許容誤りビット数の値を制御することが行われる。
【0091】
以上のように、本例の基地局装置や移動局装置では、個別物理制御チャネル(DPCCH)のパイロット部にマッピングされる既知のシンクワードのシンボル(SW)に対して受信したシンクワードシンボルの誤りビット数をフレーム単位でカウントして当該誤りビット数が許容誤りビット数以下である場合にはフレーム同期に関する条件が満たされた状態であると判定して当該誤りビット数が許容誤りビット数を超える場合にはフレーム同期に関する条件が満たされない状態であると判定するフレーム同期判定方式において、例えば初期同期確立待ち状態と同期確立状態と同期外れ状態とのいずれの状態であるかを3値判定し、チャネルオープン時の初期同期確立待ち状態であるときだけ、誤りビット数が許容誤りビット数以下となった時点で同期が確立されたと判定する。つまり、例えば上記図4を参照して示した第2のフレーム同期判定方式と比べて、本例のフレーム同期判定方式では、初期同期確立待ち状態においてのみ後方保護の処理を外した構成となっている。
【0092】
具体的には、本例の基地局装置や移動局装置により行われるフレーム同期判定の方式では、初期同期確立待ち状態と同期確立状態と同期外れ状態との3つの状態を設け、初期同期確立待ち状態のときには受信信号が同期判定基準を満たした時点で同期確立状態へ遷移し、同期確立状態のときには前方保護回数だけ同期判定基準を満たさない時点で同期外れ状態へ遷移し、同期外れ状態のときには後方保護回数だけ同期判定基準を満たした時点で同期確立状態へ遷移する。
【0093】
従って、本例の基地局装置や移動局装置では、例えば上記第1実施例で述べたのと同様な効果を得ることができる。
なお、本例の基地局装置や移動局装置では、無線送信手段の機能や、無線受信手段の機能や、所定パターン信号特定情報記憶手段や所定パターン信号誤り値検出手段や所定パターン信号誤り値比較手段から構成される同期確立条件判定手段の機能や、同期確立制御手段の機能や、送信電力制御情報無線送信手段の機能や、送信電力制御手段の機能を備えている。また、本例では、所定の同期確立条件として、所定パターン信号の誤りに関する所定の閾値を用いた条件が用いられており、また、所定パターン信号として、シンクワードシンボルの信号が用いられている。また、本例では、所定の前方保護期間として前方保護フレーム回数が用いられており、所定の後方保護期間として後方保護フレーム回数が用いられている。
【0094】
ここで、本発明に係る無線通信装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。なお、本発明は、例えば本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムなどとして提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
【0095】
また、本発明に係る無線通信装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【0096】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る無線通信装置によると、通信相手となる無線通信装置との同期を確立して無線通信を行うに際して、通信相手となる無線通信装置から無線により送信される信号を受信し、通信相手となる無線通信装置から受信する信号が所定の同期確立条件を満たすか否かを判定し、そして、同期確立条件判定手段の判定結果に基づいて、初期の同期確立を待機する状態(初期同期確立待ち状態)では通信相手となる無線通信装置から受信する信号が同期確立条件を満たした時点で通信相手となる無線通信装置との同期が確立された状態(同期確立状態)とし、当該同期確立状態では通信相手となる無線通信装置から受信する信号が同期確立条件を満たさない期間が所定の前方保護期間継続した時点で通信相手となる無線通信装置との同期が外れた状態(同期外れ状態)とし、当該同期外れ状態では通信相手となる無線通信装置から受信する信号が同期確立条件を満たす期間が所定の後方保護期間継続した時点で通信相手となる無線通信装置との同期が確立された状態(同期確立状態)とするようにしたため、例えば従来と比べて、初期同期確立待ち状態から初期的な同期を確立するまでの時間を短くすることができ、初期の同期確立までの処理遅延を低減することができ、また、例えば通信相手となる無線通信装置への送信電力が制御されるような場合に、通信相手となる無線通信装置への送信電力を不要に増加させてしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る同期確立制御の一例を示す図である。
【図2】本発明の第2実施例に係る同期確立制御の一例を示す図である。
【図3】従来例に係る第1のフレーム同期判定方式による同期確立制御の一例を示す図である。
【図4】従来例に係る第2のフレーム同期判定方式による同期確立制御の一例を示す図である。
【符号の説明】
P1、P2・・受信SIR測定値の推移特性、
Q1、Q2、W1、W2・・送信電力の推移特性、
V1、V2・・シンクワードシンボルの誤りビット数の推移特性、
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信相手となる無線通信装置との同期を確立して無線通信を行う無線通信装置に関し、特に、初期の同期確立を効率化した無線通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、直接拡散符号分割多元接続(DS−CDMA:Direct Sequence − Code Division Multiple Access)方式を採用する移動通信システムの基地局装置や移動局装置では、ユーザチャネルのフレームや制御チャネルのフレームを無線により通信することが行われており、ベースバンド信号処理部の機能によりフレームの同期を判定することが行われている。
【0003】
移動通信システムの基地局装置及び移動局装置において、ユーザチャネルのフレーム又は制御チャネルのフレームの同期を判定する方式の例として、第1のフレーム同期判定方式と第2のフレーム同期判定方式を示す。
【0004】
第1のフレーム同期判定方式では、受信信号に関する希望波信号電力対干渉波信号電力比(SIR:Signal to Interference Power Ratio)の測定値(受信SIR測定値)と同期判定のための基準となる閾値(同期確立SIR閾値)とを比較して、受信SIR測定値が閾値以上である(或いは、閾値を超える)場合にはフレーム同期に関する条件が満たされた状態であると判定し、受信SIR測定値が閾値未満(或いは、閾値以下)である場合にはフレーム同期に関する条件が満たされない状態であると判定する。
【0005】
第2のフレーム同期判定方式では、ユーザ(例えば、移動局装置)に関する制御情報を報知するために用いられる個別物理制御チャネル(DPCCH:Dedicated Physical Control Channel)のパイロット(PILOT)部にマッピングされている既知のシンクワード(Sync Word)のシンボル(SW)と、受信したシンクワードシンボルとの相違に基づく誤りビット数をフレーム単位でカウントして、各フレーム毎に、誤りビット数が同期判定のための基準となる許容誤りビット数以下(或いは、許容誤りビット数未満)である場合にはフレーム同期に関する条件が満たされた状態であると判定し、誤りビット数が許容誤りビット数を超える(或いは、許容誤りビット数以上である)場合にはフレーム同期に関する条件が満たされない状態であると判定する。
【0006】
上記した第1のフレーム同期方式及び第2のフレーム同期方式のいずれの方式においても、例えば、フェージングによる瞬時変動や移動局装置の移動に伴う場所的変動により、フレーム毎に判定される同期に関する状態が安定しなくなることが生じる。すなわち、例えば、同期捕捉ができているにもかかわらず、同期外れであると判定してしまうような場合が生じる。
【0007】
そこで、このような誤検出を防止するために、一般的に、フレーム同期に関して後方保護の処理及び前方保護の処理が行われている。具体的には、後方保護の処理では、同期を確立するに際して、所定のフレーム回数(後方保護フレーム回数)連続して同期確立条件を満たすことが検出された場合にフレーム同期が確立された状態であると判定する。また、前方保護の処理では、同期が確立されている状態において、所定のフレーム回数(前方保護フレーム回数)連続して同期外れ条件を満たす(つまり、同期確立条件を満たさない)ことが検出された場合に同期が外れた状態であると判定する。
【0008】
また、基地局装置及び移動局装置では、無線送信の送信電力を制御することが行われる。
ここで、移動局装置が基地局装置に対する無線送信の送信電力を制御する処理を代表させて、その処理の一例を説明する。なお、基地局装置が移動局装置に対する無線送信の送信電力を制御する処理についても同様である。
【0009】
すなわち、基地局装置は、移動局装置から無線により受信する信号の受信SIR測定値と希望とする受信SIR値(希望受信SIR値)との大小を比較して、受信SIR測定値が希望受信SIR値を超える場合には移動局装置からの送信電力を減少させることを指示する情報から成る送信電力制御(TPC:Transmit Power Control)ビットを移動局装置に対するユーザチャネルに挿入して無線により送信し、一方、受信SIR測定値が希望受信SIR値未満である場合には移動局装置からの送信電力を増加させることを指示する情報から成る送信電力制御(TPC)ビットを移動局装置に対するユーザチャネルに挿入して無線により送信する。
【0010】
一方、移動局装置は、基地局装置から受信したTPCビットを判定して得られる指示(TPCコマンド)の内容に従って、基地局装置に対する無線送信の送信電力を減少するように或いは増加するように制御する。
このような送信電力制御の処理により、移動局装置から基地局装置に対して無線送信される信号の送信電力が基地局装置側で希望する値へ制御される。
なお、基地局装置において受信SIR測定値と希望受信SIR値とが等しい場合には、例えば、送信電力制御が行われる必要はないが、任意の制御が行われてもよい。
【0011】
次に、上記した第1のフレーム同期判定方式による処理の一例を示す。
図3には、基地局装置と移動局装置との間で行われる無線通信の状況の一例として、基地局装置における受信SIRと送信電力とフレーム同期状態との関係を示してある。
具体的には、基地局装置の受信側に関する無線通信状況として、(a)同期確立SIR閾値と、(b)受信SIR測定値の推移P2と、(c)フレーム同期の判定結果と、(d)判定される送信電力制御(TPC)コマンド(判定TPCコマンド)を示してある。また、基地局装置の送信側に関する無線通信状況として、(e)送信電力の推移Q2を示してある。
【0012】
ここで、同期確立SIR閾値としては、受信SIR測定値に関して一定の値が設定されている。
また、受信SIR測定値P2が所定の後方保護段数(後方保護のフレーム数)だけ連続して同期確立SIR閾値以上となった場合に同期が確立された状態であると判定し、一方、受信SIR測定値P2が所定の前方保護段数(前方保護のフレーム数)だけ連続して同期確立SIR閾値未満となった場合に同期が外れた状態であると判定する。
【0013】
また、フレーム同期判定結果としては、同期確立状態であること、又は、同期外れの状態であることが得られる。
また、判定TPCコマンドとしては、受信側で送信電力制御(TPC)ビットを判定した結果として得られ、例えば、送信側の送信電力を増加させるための“1”値、又は、送信側の送信電力を低減させるための“0”値が設定される。なお、TPCコマンドが特に設定されない場合には、判定TPCコマンドは“不定”となる。
【0014】
また、送信側は、受信側から通知されるTPCコマンドに従って、TPCコマンドが“1”値である場合には送信電力Q2を例えばX[dB]ずつ段階的に増加させ、TPCコマンドが“0”値である場合には送信電力Q2を例えばX[dB]ずつ段階的に減少させる。ここで、Xは例えば1や1.5や2などの任意の数値を示す。送信側は、初期の同期が確立されるまでの間は送信電力を増加し、その後、受信側から有効なTPCコマンドが通知されている間は送信電力制御をオンにして送信電力制御を行い、受信側から有効なTPCコマンドが通知されなくなった場合(“不定”である場合)には送信電力制御をオフにして送信電力制御を行わない。
【0015】
同図を参照して、基地局装置と移動局装置との間で同期を確立する処理の一例を示す。
なお、本明細書では、基地局装置から移動局装置への通信の方向を下りと言い、移動局装置から基地局装置への通信の方向を上りと言う。
また、本例では、移動通信システムに備えられる基地局装置と移動局装置との無線通信において、基地局装置が移動局装置から無線により受信する上りのフレームの同期を判定する場合の基地局装置における動作を代表させて説明するが、移動局装置が基地局装置から無線により受信する下りのフレームの同期を判定する場合についても同様である。
【0016】
まず、上位レイヤから上り/下りの新規チャネルのオープン指令(上りCH Open、下りCH Open)があった場合に、当該オープン指令に基づいて初期の同期を確立するための動作を開始する。
【0017】
すなわち、受信側は、受信SIRの測定結果と同期確立SIR閾値とを毎フレームにおいて比較し、後方保護フレーム回数連続して同期確立SIR閾値以上である受信SIR測定結果が得られた場合に上りのフレーム同期が確立された状態であると判定する。その後、受信側は、例えばフェージングの影響などに起因して、前方保護フレーム回数連続して同期確立SIR閾値未満である受信SIR測定結果が得られた場合に上りのフレーム同期が外れた状態であると判定する。更に、その後、受信側は、再び、後方保護フレーム回数連続して同期確立SIR閾値以上である受信SIR測定結果が得られた場合に上りのフレーム同期が確立された状態であると判定する。また、受信側は、上りのユーザチャネルに挿入されている送信電力制御(TPC)ビットを判定した結果を送信側に通知する。
【0018】
一方、送信側は、上りのフレーム同期が確立されるまでの間、上りの送信電力を増加させる過程中であると認識して、送信電力を増加し続ける。
そして、送信側は、例えば上りのフレーム同期が確立された際に送信電力制御がオンである状態へ推移し、その後、受信側から通知されるTPCビットを判定した結果として得られるTPCコマンド(判定TPCコマンド)に基づいて、送信電力を±X[dB]ずつ制御すること(閉ループ送信電力制御)を行う。また、送信側は、送信する各フレームに、受信側が受信SIR測定結果と同期確立SIR閾値とを比較した結果をTPCビットとして挿入する。
【0019】
その後、送信側は、上りのフレーム同期が外れた場合には、送信電力制御がオフである状態へ推移して、例えば判定TPCコマンドの内容にかかわらずに、同期外れが起こった直前のフレームにおける送信電力を維持する。また、送信側は、再び、上りのフレーム同期が確立された場合に、送信電力制御をオンにする。
【0020】
また、上記した第2のフレーム同期判定方式による処理の一例を示す。
図4には、基地局装置と移動局装置との間で行われる無線通信の状況の一例として、基地局装置における誤りビット数と送信電力とフレーム同期状態との関係を示してある。
具体的には、基地局装置の受信側に関する無線通信状況として、(a)シンクワードシンボル(SW)の誤りビット数の推移V2と、(b)許容誤りビット数と、(c)フレーム同期の判定結果と、(d)判定される送信電力制御(TPC)コマンド(判定TPCコマンド)を示してある。また、基地局装置の送信側に関する無線通信状況として、(e)送信電力の推移W2を示してある。
【0021】
ここで、許容誤りビット数としては、シンクワードシンボルの誤りビット数に関して一定の値が設定されている。
また、シンクワードシンボルの誤りビット数V2が所定の後方保護段数(後方保護のフレーム数)だけ連続して許容誤りビット数以下となった場合に同期が確立された状態であると判定し、一方、シンクワードシンボルの誤りビット数V2が所定の前方保護段数(前方保護のフレーム数)だけ連続して許容誤りビット数を超えた場合に同期が外れた状態であると判定する。
【0022】
また、第2のフレーム同期判定方式において基地局装置と移動局装置との間で同期を確立する処理の一例としては、例えば受信SIR測定値の代わりにシンクワードシンボルの誤りビット数を用いるといった点を除いては、上記した第1のフレーム同期判定方式の場合と同様である。
【0023】
なお、同図では、移動通信システムに備えられる基地局装置と移動局装置との無線通信において、基地局装置が移動局装置から無線により受信する上りのフレームの同期を判定する場合の基地局装置における動作を代表させて示してあるが、移動局装置が基地局装置から無線により受信する下りのフレームの同期を判定する場合についても同様である。
【0024】
ここで、同期確立に関して、従来技術の例を示す。
特開平9−98110号公報(文献1)に記載された「拡散符号初期同期方法および装置」では、DS−CDMA方式を採用する移動通信において1つの通信装置が複数の拡散符号を用いて通信を行う構成において、受信側の通信装置が初期同期過程及び同期保持過程を用いて受信信号の拡散符号と拡散符号のレプリカとの同期を確保するに際して、受信信号の拡散符号と拡散符号のレプリカとの相関検出値の拡散符号数分の和などの値と閾値との比較結果に基づいて、同期しているか否かを判定することが行われている。
【0025】
特開2001−119368号公報(文献2)に記載された「受信装置及び受信方法、並びに媒体」では、同期信号を検出するために用いられる閾値及び窓の幅を制御することにより、初期同期時に迅速且つ確実に同期信号を検出することが図られており、また、受信信号からデータを復調する際の誤り率に基づいて同期タイミングを修正することにより、高精度な同期保持が図られている。
【0026】
特開2001−145151号公報(文献3)に記載された「DS−CDMA基地局間非同期セルラにおける初期同期方法」では、DS−CDMA方式を採用する基地局間が非同期であるセルラにおいて、受信信号と所定のコードとの相関電力値の最大値などと閾値との比較結果に基づいて実行される3段階のセルサーチを行うに際して、例えば干渉波の電力が増大することなどにより同期の誤検出の確率が増加するような場合においても、3段階のセルサーチが繰り返される数を減少して高速なセルサーチが可能な初期同期方式を実現することが図られている。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例で示したような従来における第1のフレーム同期判定方式又は第2のフレーム同期判定方式では、チャネルオープンの後に同期確立のための処理が行われて初期のフレーム同期が確立されるまでの間に、例えば初めて受信SIR測定値が同期確立SIR閾値以上となってから又は初めてシンクワードシンボルの誤りビット数が許容誤りビット数以下となってから、最低でも後方保護フレーム回数分は同期確立までに時間を要してしまい、初期の同期確立が遅延してしまうといった不具合があった。また、このような遅延に伴って、上り或いは下りの送信電力増加過程の状態が最低でも後方保護フレーム回数分延びてしまい、不要な送信電力の増加を発生させてしまうといった不具合があった。
【0028】
特に、同期確立の遅延が生じると、当該遅延に係るフレーム数がそのまま基地局装置の内部における処理の遅延となるため、基地局装置の基本性能の低下につながってしまう。また、不要な送信電力の増加が生じると、セル内に存在する他のユーザにとっては干渉電力の成分が増大してしまってこれにより受信SIRを劣化させてしまう原因にもなり得る。
【0029】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたもので、通信相手となる無線通信装置との同期を確立して無線通信を行うに際して、後方保護の処理及び前方保護の処理を行う構成において、初期の同期確立を効率化することができる無線通信装置を提供することを目的とする。
【0030】
なお、詳細を後述する本発明と比較すると、上記従来例で示した文献1〜文献3では、例えば、初期同期確立待ち状態と同期確立状態と同期外れ状態との3つの状態を有して所定の遷移条件に基づいて状態の遷移を行う本発明に係る同期確立制御については記載されておらず、また、このような同期確立制御と送信電力制御との組み合わせについては記載されていない。
【0031】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る無線通信装置では、通信相手となる無線通信装置との同期を確立して無線通信を行うに際して、次のようにして、同期確立の制御を行う。
すなわち、無線受信手段が通信相手となる無線通信装置から無線により送信される信号を受信し、同期確立条件判定手段が通信相手となる無線通信装置から受信する信号が所定の同期確立条件を満たすか否かを判定する。そして、同期確立制御手段が、同期確立条件判定手段の判定結果に基づいて、初期の同期確立を待機する状態(初期同期確立待ち状態)では通信相手となる無線通信装置から受信する信号が同期確立条件を満たした時点で通信相手となる無線通信装置との同期が確立された状態(同期確立状態)とし、当該同期確立状態では通信相手となる無線通信装置から受信する信号が同期確立条件を満たさない期間が所定の前方保護期間継続した時点で通信相手となる無線通信装置との同期が外れた状態(同期外れ状態)とし、当該同期外れ状態では通信相手となる無線通信装置から受信する信号が同期確立条件を満たす期間が所定の後方保護期間継続した時点で通信相手となる無線通信装置との同期が確立された状態(同期確立状態)とする。
【0032】
従って、例えば従来と比べて、初期同期確立待ち状態から初期的に同期を確立するまでの時間を短くすることができ、初期の同期確立までの処理遅延を低減することができる。また、これにより、例えば、通信相手となる無線通信装置への送信電力が制御されるような場合に、通信相手となる無線通信装置への送信電力を不要に増加させてしまうことを抑制することができる。
【0033】
また、同期確立状態では、前方保護期間が用いられているため、例えば通信相手となる無線通信装置から受信する信号のレベルなどに関する変動があっても、不要に同期外れ状態へ遷移(推移)してしまうことを抑制することができる。また、同期外れ状態では、後方保護期間が用いられているため、例えば通信相手となる無線通信装置から受信する信号のレベルなどに関する変動があっても、確実に同期が確保された場合に同期確立状態へ遷移することができる。
このように、本発明では、初期同期確立待ち状態と同期確立状態と同期外れ状態とを設けて、全体として効率的な状態遷移を行うことができる。
【0034】
ここで、本発明に係る無線通信装置や通信相手となる無線通信装置としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、移動通信システムに備えられる基地局装置や移動局装置などを用いることができる。
また、同期の確立としては、例えばフレーム同期の確立などの種々な同期確立が用いられてもよい。
また、無線通信としては、種々な形態の無線通信が行われてもよい。
【0035】
また、通信相手となる無線通信装置から受信する信号が所定の同期確立条件を満たすか否かを判定するために用いられる当該信号としては、種々な信号が用いられてもよい。
また、所定の同期確立条件としては、種々な条件が用いられてもよい。
また、所定の同期確立条件としては、例えば、初期同期確立待ち状態と同期確立状態と同期外れ状態とで同一の条件が用いられるが、これら3つの状態のいずれか1つにおいて異なる条件が用いられる態様や、或いは、これら3つの状態のそれぞれにおいて異なる条件が用いられる態様が用いられてもよい。
【0036】
また、通信相手となる無線通信装置から受信する信号が所定の同期確立条件を満たすか否かを判定する仕方としては、種々な仕方が用いられてもよい。
一例として、通信相手となる無線通信装置から受信する信号に基づいて得られる値に関する条件を所定の同期確立条件として用いて、通信相手となる無線通信装置から受信する信号に基づいて得られる値が当該同期確立条件を満たすか否かを判定することにより、通信相手となる無線通信装置から受信する信号が所定の同期確立条件を満たすか否かを判定するような態様を用いることができる。
【0037】
また、同期確立条件判定手段としては、例えば、通信相手となる無線通信装置から受信する信号が所定の同期確立条件を満たすことを検出する手段から構成されてもよく、或いは、通信相手となる無線通信装置から受信する信号が所定の同期確立条件から外れること(つまり、所定の同期確立条件を満たさないこと)を検出する手段から構成されてもよい。つまり、通信相手となる無線通信装置から受信する信号が所定の同期確立条件を満たすこと或いは満たさないことのいずれか一方を検出する構成では、当該一方が検出されない場合には他方が検出されたものとみなすことができ、実質的には、当該一方であるか或いは当該他方であるかを判定することができる。
【0038】
また、初期同期確立待ち状態としては、例えば、本発明に係る無線通信装置と通信相手となる無線通信装置との間で同期を確立する制御が初期的に開始されるような場合における状態が用いられる。
また、同期確立状態としては、例えば、本発明に係る無線通信装置と通信相手となる無線通信装置との間で同期が確立されている場合における状態が用いられる。
また、同期外れ状態としては、例えば、本発明に係る無線通信装置と通信相手となる無線通信装置との間で確立された同期が外れてしまって再び同期を確立する制御が行われるような場合における状態が用いられる。
【0039】
また、初期同期確立待ち状態では、例えば、通信相手となる無線通信装置から受信する信号が同期確立条件を満たしたと判定した時点で、その後において当該信号が当該同期確立条件を満たした状態が継続するか否かにかかわらずに、通信相手となる無線通信装置との同期が確立された状態とする。
【0040】
また、所定の前方保護期間としては、種々な長さの期間が用いられてもよい。
また、所定の後方保護期間としては、種々な長さの期間が用いられてもよい。
また、所定の前方保護期間の長さと所定の後方保護期間の長さとしては、例えば、同一の長さが用いられてもよく、或いは、異なる長さが用いられてもよい。
また、所定の前方保護期間の長さや所定の後方保護期間の長さとしては、例えば、フレームの数を用いて設定されてもよく、或いは、時間を用いて設定されてもよく、また、他の態様により設定されてもよい。
【0041】
また、本発明に係る無線通信装置は、一構成例として、次のような構成とする。
すなわち、直接拡散符号分割多元接続(DS−CDMA)方式によりフレームを用いて無線通信を行う移動通信システムの無線通信装置として構成される。
また、所定の同期確立条件として、通信相手となる無線通信装置から受信する信号の信号対干渉比に関する値が所定の閾値を超える場合に当該同期確立条件が満たされることが設定される。そして、同期確立条件判定手段は、フレーム毎に、通信相手となる無線通信装置から受信する信号の信号対干渉比に関する値が閾値を超える場合には同期確立条件を満たすと判定する一方、当該値が当該閾値未満である場合には同期確立条件を満たさないと判定する。
【0042】
従って、通信相手となる無線通信装置から受信する信号の信号対干渉比に関する同期確立条件を用いた構成において、初期の同期確立までの遅延処理を低減することができ、初期同期確立待ち状態と同期確立状態と同期外れ状態との間の状態遷移を全体として効率化することができる。
【0043】
ここで、移動通信システムとしては、例えば携帯電話システムや簡易型携帯電話システム(PHS:Personal Handy phone System)などの種々な通信システムが用いられてもよい。
また、フレームを用いて無線通信を行う態様としては、種々な態様が用いられてもよい。
また、フレームとしては、種々なものが用いられてもよい。
【0044】
一例として、複数のチャネルが用いられる構成では、各チャネル毎に異なるフレームが用いられるような態様が用いられてもよい。なお、このような構成では、例えば、各フレーム毎(例えば、各チャネル毎)に同期を確立する態様や、或いは、或るフレーム(例えば、或るチャネル)について確立した同期に基づいて他のフレーム(例えば、他のチャネル)の同期を確立する態様などが用いられる。また、例えば、チャネル毎の複数のフレームは、符号分割多重方式や、時間分割多重方式や、周波数分割多重方式により、多重化することも可能である。
【0045】
また、通信相手となる無線通信装置から受信する信号の信号対干渉比に関する値としては、種々な値が用いられてもよく、例えば、希望波信号電力対干渉波信号電力比(SIR)の値が用いられる。
また、所定の閾値としては、種々な値が用いられてもよい。
また、通信相手となる無線通信装置から受信する信号の信号対干渉比に関する値が所定の閾値を超える場合としては、当該信号のレベルが比較的大きいような場合が用いられる。
【0046】
また、同期確立条件判定手段は、フレーム毎に、通信相手となる無線通信装置から受信する信号が所定の同期確立条件を満たすか否かを判定する。この場合、所定の前方保護期間の長さや所定の後方保護期間の長さとしては、例えば、フレームの数を用いて設定される。
【0047】
また、本発明では、通信相手となる無線通信装置から受信する信号の信号対干渉比に関する値が所定の閾値と等しい場合については、特に限定はなく、例えば、同期確立条件を満たすと判定する態様が用いられてもよく、或いは、同期確立条件を満たさないと判定する態様が用いられてもよい。
【0048】
また、本発明に係る無線通信装置では、一構成例として、次のような構成とする。
すなわち、直接拡散符号分割多元接続(DS−CDMA)方式によりフレームを用いて無線通信を行う移動通信システムの無線通信装置として構成される。
また、通信相手となる無線通信装置から無線により送信されるフレームには、所定のパターンの信号(所定パターン信号)が含まれる。
また、所定の同期確立条件として、通信相手となる無線通信装置から受信する所定パターン信号の誤りに関する値が所定の閾値未満である場合に当該同期確立条件が満たされることが設定される。そして、同期確立条件判定手段は、フレーム毎に、通信相手となる無線通信装置から受信する所定パターン信号の誤りに関する値が閾値未満である場合には同期確立条件を満たすと判定する一方、当該値が当該閾値を超える場合には同期確立条件を満たさないと判定する。
【0049】
従って、通信相手となる無線通信装置から受信する所定パターン信号の誤りに関する同期確立条件を用いた構成において、初期の同期確立までの遅延処理を低減することができ、初期同期確立待ち状態と同期確立状態と同期外れ状態との間の状態遷移を全体として効率化することができる。
【0050】
ここで、所定パターン信号としては、種々なパターンの信号が用いられてもよい。
また、所定パターン信号としては、例えば、通信相手となる無線通信装置から送信される全てのフレームに含まれてもよく、或いは、一部のフレームのみに含まれてもよい。
【0051】
また、通信相手となる無線通信装置から受信する所定パターン信号の誤りに関する値としては、種々な値が用いられてもよく、例えば、誤りビット数の値や、ビット誤り率の値が用いられる。
また、所定の閾値としては、種々な値が用いられてもよい。
また、通信相手となる無線通信装置から受信する所定パターン信号の誤りに関する値が所定の閾値未満である場合としては、当該所定パターン信号の誤りが比較的少ないような場合が用いられる。
【0052】
また、同期確立条件判定手段は、フレーム毎に、通信相手となる無線通信装置から受信する信号が所定の同期確立条件を満たすか否かを判定する。この場合、所定の前方保護期間の長さや所定の後方保護期間の長さとしては、例えば、フレームの数を用いて設定される。
【0053】
また、本発明では、通信相手となる無線通信装置から受信する所定パターン信号の誤りに関する値が所定の閾値と等しい場合については、特に限定はなく、例えば、同期確立条件を満たすと判定する態様が用いられてもよく、或いは、同期確立条件を満たさないと判定する態様が用いられてもよい。
【0054】
以下で、更に、以上に示した構成も含めて、本発明に係る無線通信装置の構成例を示す。
本発明に係る無線通信装置では、一構成例として、同期確立条件判定手段は、フレーム毎に通信相手となる無線通信装置から受信する信号の信号対干渉比の値(信号対干渉比値)を検出する信号対干渉比値検出手段と、フレーム毎に信号対干渉比値検出手段により検出される信号対干渉比値と閾値との大小を比較する信号対干渉比値比較手段とを有し、フレーム毎に信号対干渉比値比較手段による比較結果に基づいて通信相手となる無線通信装置から受信する信号が同期確立条件を満たすか否かを判定する。
ここで、信号対干渉比の値としては、例えば、希望波信号電力対干渉波信号電力比(SIR)の値が用いられる。
【0055】
また、本発明に係る無線通信装置では、一構成例として、同期確立条件判定手段は、通信相手となる無線通信装置から受信する所定パターン信号の誤りに関する値(誤り値)を検出する所定パターン信号誤り値検出手段と、所定パターン信号誤り値検出手段により検出される誤り値と閾値との大小を比較する所定パターン信号誤り値比較手段とを有し、フレーム毎に所定パターン信号誤り値比較手段による比較結果に基づいて通信相手となる無線通信装置から受信する信号が同期確立条件を満たすか否かを判定する。
ここで、所定パターン信号の誤りに関する値としては、例えば、誤りビット数の値などが用いられる。
【0056】
また、本発明に係る無線通信装置では、一構成例として、通信相手となる無線通信装置などから所定パターン信号を特定する情報(所定パターン信号特定情報)が無線により送信される。そして、同期確立条件判定手段は、通信相手となる無線通信装置などから受信した所定パターン信号特定情報に基づいて、通信相手となる無線通信装置から受信する信号が同期確立条件を満たすか否かを判定する。
【0057】
ここで、所定パターン信号を特定する情報としては、種々な情報が用いられてもよい。
また、所定パターン信号を特定する情報としては、例えば同期確立の制御が行われる前に予め通知される。
また、同期確立条件判定手段は、例えば、所定パターン信号特定情報により特定される所定パターン信号を基準として、通信相手となる無線通信装置から受信する所定パターン信号の誤りに関する値を検出する。
【0058】
また、本発明に係る無線通信装置では、一構成例として、同期確立条件判定手段は、所定パターン信号を特定する情報(所定パターン信号特定情報)を記憶する所定パターン信号特定情報記憶手段を有し、所定パターン信号特定情報記憶手段の記憶内容に基づいて通信相手となる無線通信装置から受信する信号が同期確立条件を満たすか否かを判定する。
【0059】
ここで、所定パターン信号を特定する情報としては、例えば、予め設定される態様が用いられてもよく、或いは、通信相手となる無線通信装置などから予め通知されるような態様が用いられてもよい。
また、所定パターン信号特定情報記憶手段は、例えば、メモリを用いて構成することができる。
また、同期確立条件判定手段は、例えば、所定パターン信号特定情報記憶手段に記憶された所定パターン信号特定情報により特定される所定パターン信号を基準として、通信相手となる無線通信装置から受信する所定パターン信号の誤りに関する値を検出する。
【0060】
また、本発明に係る無線通信装置では、一構成例として、フレームとして、ユーザチャネルのフレーム又は制御チャネルのフレームが用いられる。
ここで、ユーザチャネルのフレームでは、例えば通信情報の信号が通信される。
また、制御チャネルのフレームでは、例えば制御を行うための信号が通信される。
また、例えば、ユーザチャネルのフレームと制御チャネルのフレームとのいずれか一方のみに本発明が適用されてもよく、或いは、これら両方のフレームに本発明が適用されてもよい。
【0061】
また、本発明に係る無線通信装置では、一構成例として、次のような構成とする。
すなわち、通信相手となる無線通信装置から受信する信号に基づいて通信相手となる無線通信装置の送信電力を制御する情報(送信電力制御情報)を通信相手となる無線通信装置に対して無線により送信する送信電力制御情報無線送信手段を備える。そして、通信相手となる無線通信装置は、無線により受信した送信電力制御情報に基づいて送信電力を制御する送信電力制御手段を備える。
【0062】
ここで、通信相手となる無線通信装置から受信する信号に基づいて通信相手となる無線通信装置の送信電力を制御する態様としては、種々な態様が用いられてもよく、例えば、通信相手となる無線通信装置から受信する信号の電力が希望の電力を超える場合には通信相手となる無線通信装置の送信電力を減少させるように制御する一方、通信相手となる無線通信装置から受信する信号の電力が希望の電力未満である場合には通信相手となる無線通信装置の送信電力を増加させるように制御するような態様が用いられる。なお、通信相手となる無線通信装置から受信する信号の電力が希望の電力と等しい場合には、例えば、送信電力制御が行われる必要はないが、任意の制御が行われてもよい。
【0063】
また、通信相手となる無線通信装置の送信電力を制御する情報としては、種々な情報が用いられてもよく、例えば、“1”値と“0”値とのいずれか一方の情報を送信電力の増加の指示に割り当てて他方の情報を送信電力の減少の指示に割り当てるような態様を用いることができる。
【0064】
また、通信相手となる無線通信装置が受信した送信電力制御情報に基づいて送信電力を制御する態様としては、種々な態様が用いられてもよく、例えば、送信電力増加の指示があった場合には1回の送信電力制御情報についてX[dB]だけ送信電力を増加させ、送信電力減少の指示があった場合には1回の送信電力制御情報についてX[dB]だけ送信電力を減少させるような態様を用いることができる。ここで、Xとしては、種々な数値が用いられてもよい。
【0065】
また、本発明に係る無線通信装置は、一構成例として、移動通信システムの基地局装置又は移動局装置として構成される。
ここで、本発明に係る無線通信装置が基地局装置として構成される場合には、通信相手となる無線通信装置は例えば移動局装置として構成される。また、本発明に係る無線通信装置が移動局装置として構成される場合には、通信相手となる無線通信装置は例えば基地局装置として構成される。
【0066】
また、基地局装置や移動局装置としては、種々な構成のものが用いられてもよい。
また、通信方式としては、例えばCDMA(Code Division Multiple Access)方式やTDMA(Time Division Multiple Access)方式やFDMA(Frequency Division Multiple Access)方式などの種々な通信方式が用いられてもよい。
【0067】
【発明の実施の形態】
本発明に係る実施例を図面を参照して説明する。
まず、第1実施例を説明する。
本例では、上記図3を参照して示した第1のフレーム同期判定方式に本発明を適用した場合を示す。
図1には、基地局装置と移動局装置との間で行われる無線通信の状況の一例として、基地局装置における受信SIRと送信電力とフレーム同期状態との関係を示してある。
具体的には、基地局装置の受信側に関する無線通信状況として、(a)同期確立SIR閾値と、(b)受信SIR測定値の推移P1と、(c)フレーム同期の判定結果と、(d)判定される送信電力制御(TPC)コマンド(判定TPCコマンド)を示してある。また、基地局装置の送信側に関する無線通信状況として、(e)送信電力の推移Q1を示してある。
【0068】
ここで、同期確立SIR閾値としては、受信SIR測定値に関して一定の値が設定されている。
また、初期の同期が確立されるのを待機する状態(初期同期確立待ち状態)では、受信SIR測定値P1が同期確立SIR閾値以上となった場合に同期が確立された状態であると判定して同期が確立された状態(同期確立状態)へ遷移する。
【0069】
また、同期確立状態では、受信SIR測定値P1が所定の前方保護段数(前方保護のフレーム数)だけ連続して同期確立SIR閾値未満となった場合に同期が外れた状態であると判定して同期が外れた状態(同期外れ状態)へ遷移する。
また、同期外れ状態では、受信SIR測定値P1が所定の後方保護段数(後方保護のフレーム数)だけ連続して同期確立SIR閾値以上となった場合に同期が確立された状態であると判定して再び同期確立状態へ遷移する。
【0070】
また、フレーム同期判定結果としては、初期同期確立待ち状態であること、同期確立状態であること、又は、同期外れ状態であることが得られる。
また、判定TPCコマンドとしては、受信側で送信電力制御(TPC)ビットを判定した結果として得られ、例えば、送信側の送信電力を増加させるための“1”値、又は、送信側の送信電力を低減させるための“0”値が設定される。なお、TPCコマンドが特に設定されない場合には、判定TPCコマンドは“不定”となる。
【0071】
また、送信側は、受信側から通知されるTPCコマンドに従って、TPCコマンドが“1”値である場合には送信電力Q1を例えばX[dB]ずつ段階的に増加させ、TPCコマンドが“0”値である場合には送信電力Q1を例えばX[dB]ずつ段階的に減少させる。ここで、Xは例えば1や1.5や2などの任意の数値を示す。送信側は、初期の同期が確立されるまでの間は送信電力を増加し、その後、受信側から有効なTPCコマンドが通知されている間は送信電力制御をオンにして送信電力制御を行い、受信側から有効なTPCコマンドが通知されなくなった場合(“不定”である場合)には送信電力制御をオフにして送信電力制御を行わない。
【0072】
同図を参照して、基地局装置と移動局装置との間で同期を確立する処理の一例を示す。
なお、本例では、移動通信システムに備えられる基地局装置と移動局装置との無線通信において、基地局装置が移動局装置から無線により受信する上りのフレームの同期を判定する場合の基地局装置における動作を代表させて説明するが、移動局装置が基地局装置から無線により受信する下りのフレームの同期を判定する場合についても同様である。
【0073】
まず、上位レイヤから新規チャネルのオープン指令があるときには、初期同期確立待ち状態にある。そして、上位レイヤから上り/下りの新規チャネルのオープン指令(上りCH Open、下りCH Open)があった場合に、当該オープン指令に基づいて初期の同期を確立するための動作を開始する。
【0074】
すなわち、受信側は、初期同期確立待ち状態において、受信SIRの測定結果と同期確立SIR閾値とを毎フレームにおいて比較し、初めて同期確立SIR閾値以上である受信SIR測定結果が得られた場合に、初期的に上りのフレーム同期が確立された状態であると判定して、例えば当該受信SIR測定結果が得られたフレームにおいて、同期確立状態へ遷移する。ここで、本例では、初期同期確立待ち状態においては、後方保護の処理が設けられていない。
【0075】
その後、受信側は、例えばフェージングの影響などに起因して、前方保護フレーム回数連続して同期確立SIR閾値未満である受信SIR測定結果が得られた場合に上りのフレーム同期が外れた状態であると判定して同期外れ状態へ遷移する。更に、その後、受信側は、再び、後方保護フレーム回数連続して同期確立SIR閾値以上である受信SIR測定結果が得られた場合に上りのフレーム同期が確立された状態であると判定して同期確立状態へ遷移する。また、受信側は、上りのユーザチャネルに挿入されている送信電力制御(TPC)ビットを判定した結果を送信側に通知する。
【0076】
一方、送信側は、初期同期確立待ち状態において上りのフレーム同期が確立するまでの間、初期同期確立待ち状態であるときを上りの送信電力を増加させる過程中であると認識して、送信電力を増加し続ける。
そして、送信側は、例えば上りのフレーム同期が確立されて同期確立状態へ遷移した際に送信電力制御がオンである状態へ推移し、その後、受信側から通知されるTPCビットを判定した結果として得られるTPCコマンド(判定TPCコマンド)に基づいて、送信電力を±X[dB]ずつ制御すること(閉ループ送信電力制御)を行う。また、送信側は、送信する各フレームに、受信側が受信SIR測定結果と同期確立SIR閾値とを比較した結果をTPCビットとして挿入する。
【0077】
その後、送信側は、上りのフレーム同期が外れた場合には、送信電力制御がオフである状態へ推移して、例えば判定TPCコマンドの内容にかかわらずに、同期外れが起こった直前のフレームにおける送信電力を維持する。また、送信側は、再び、上りのフレーム同期が確立された場合に、送信電力制御をオンにする。
【0078】
なお、基地局装置や移動局装置は、例えば、無線信号を送信や受信するアンテナや、送信対象となる信号を処理してアンテナから無線により送信する送信機や、アンテナにより受信した信号を処理する受信機や、各種の処理や制御を行う制御部などを備えて構成されている。
【0079】
また、本例の基地局装置や移動局装置では、直接拡散符号分割多元接続(DS−CDMA)方式を用いた無線通信が行われている。
また、本例の基地局装置や移動局装置では、同期判定基準が受信信号の信号対干渉比に対して設定され、また、ユーザチャネルのフレーム又は制御チャネルのフレームの各フレーム毎にフレーム同期に関する基準を満たすか否かを判定することが行われている。
【0080】
以上のように、本例の基地局装置や移動局装置では、受信SIR測定値と同期確立SIR閾値との大小を比較して受信SIR測定値が同期確立SIR閾値以上である場合にはフレーム同期に関する条件が満たされた状態であると判定して受信SIR測定値が同期確立SIR閾値未満である場合にはフレーム同期に関する条件が満たされない状態であると判定するフレーム同期判定方式において、例えば初期同期確立待ち状態と同期確立状態と同期外れ状態とのいずれの状態であるかを3値判定し、チャネルオープン時の初期同期確立待ち状態であるときだけ、受信SIR測定値が同期確立SIR闘値以上となった時点で同期が確立されたと判定する。つまり、例えば上記図3を参照して示した第1のフレーム同期判定方式と比べて、本例のフレーム同期判定方式では、初期同期確立待ち状態においてのみ後方保護の処理を外した構成となっている。
【0081】
具体的には、本例の基地局装置や移動局装置により行われるフレーム同期判定の方式では、初期同期確立待ち状態と同期確立状態と同期外れ状態との3つの状態を設け、初期同期確立待ち状態のときには受信信号が同期判定基準を満たした時点で同期確立状態へ遷移し、同期確立状態のときには前方保護回数だけ同期判定基準を満たさない時点で同期外れ状態へ遷移し、同期外れ状態のときには後方保護回数だけ同期判定基準を満たした時点で同期確立状態へ遷移する。
【0082】
従って、本例の基地局装置や移動局装置では、例えば従来のフレーム同期判定方式と比較して、初期のフレーム同期が確立されるまでの処理遅延を削減することができ、これにより、例えば基地局装置の内部の処理遅延を抑制することが可能となる。また、本例の基地局装置や移動局装置では、例えば従来のフレーム同期判定方式と比較して、初期のフレーム同期が確立される前における送信電力増加過程の区間を短縮化することができることにより、不要な送信電力の増加を抑制することが可能となり、これにより、例えば同一のセル内において、他のユーザに対する干渉電力の影響を抑制することができ、例えば収容するチャネルの数を増大することが可能となる。このように、本例の基地局装置や移動局装置では、同期判定状態を3値化することなどを行うことにより、初期の同期確立までの処理遅延の抑制を図るとともに、送信電力増加過程の短縮化を図ることができる。
【0083】
なお、本例の基地局装置や移動局装置では、無線送信手段の機能や、無線受信手段の機能や、信号対干渉比値検出手段や信号対干渉比値比較手段から構成される同期確立条件判定手段の機能や、同期確立制御手段の機能や、送信電力制御情報無線送信手段の機能や、送信電力制御手段の機能を備えている。また、本例では、所定の同期確立条件として、受信SIR測定値に関する所定の閾値を用いた条件が用いられている。また、本例では、所定の前方保護期間として前方保護フレーム回数が用いられており、所定の後方保護期間として後方保護フレーム回数が用いられている。
【0084】
次に、第2実施例を説明する。
本例では、上記図4を参照して示した第2のフレーム同期判定方式に本発明を適用した場合を示す。
図2には、基地局装置と移動局装置との間で行われる無線通信の状況の一例として、基地局装置における誤りビット数と送信電力とフレーム同期状態との関係を示してある。
具体的には、基地局装置の受信側に関する無線通信状況として、(a)シンクワードシンボル(SW)の誤りビット数の推移V1と、(b)許容誤りビット数と、(c)フレーム同期の判定結果と、(d)判定される送信電力制御(TPC)コマンド(判定TPCコマンド)を示してある。また、基地局装置の送信側に関する無線通信状況として、(e)送信電力の推移W1を示してある。
【0085】
ここで、許容誤りビット数としては、シンクワードシンボルの誤りビット数に関して一定の値が設定されている。
また、初期の同期が確立されるのを待機する状態(初期同期確立待ち状態)では、シンクワードシンボルの誤りビット数V1が許容誤りビット数以下となった場合に同期が確立された状態であると判定して同期が確立された状態(同期確立状態)へ遷移する。
【0086】
また、同期確立状態では、シンクワードシンボルの誤りビット数V1が所定の前方保護段数(前方保護のフレーム数)だけ連続して許容誤りビット数を超えた場合に同期が外れた状態であると判定して同期が外れた状態(同期外れ状態)へ遷移する。
また、同期外れ状態では、シンクワードシンボルの誤りビット数V1が所定の後方保護段数(後方保護のフレーム数)だけ連続して同期確立SIR閾値以下となった場合に同期が確立された状態であると判定して再び同期確立状態へ遷移する。
【0087】
また、本例のフレーム同期判定方式において基地局装置と移動局装置との間で同期を確立する処理の一例としては、例えば受信SIR測定値の代わりにシンクワードシンボルの誤りビット数を用いるといった点を除いては、上記第1実施例で示したフレーム同期判定方式の場合と同様である。
【0088】
なお、同図では、移動通信システムに備えられる基地局装置と移動局装置との無線通信において、基地局装置が移動局装置から無線により受信する上りのフレームの同期を判定する場合の基地局装置における動作を代表させて示してあるが、移動局装置が基地局装置から無線により受信する下りのフレームの同期を判定する場合についても同様である。
【0089】
また、本例の基地局装置や移動局装置では、直接拡散符号分割多元接続(DS−CDMA)方式を用いた無線通信が行われており、且つ、移動局装置(或いは、基地局装置)はユーザの制御情報を報知する個別物理制御チャネル(DPCCH)のパイロット部に基地局装置(或いは、移動局装置)において既知のシンクワードシンボルを挿入して基地局装置(或いは、移動局装置)へ送信する。
また、本例の基地局装置や移動局装置では、同期判定基準がフレーム単位でのシンクワードシンボルの受信値の規定値からの誤り数に対して設定され、また、ユーザチャネルのフレーム又は制御チャネルのフレームの各フレーム毎にフレーム同期に関する基準を満たすか否かを判定することが行われている。
【0090】
また、本例では、例えば、個別物理制御チャネル(DPCCH)のスロットのフォーマットなどに応じてシンクワードを構成するシンボルの数が異なるような場合には、シンクワードのシンボル数に応じてシンクワードシンボルに関する許容誤りビット数の値を制御することが行われる。
【0091】
以上のように、本例の基地局装置や移動局装置では、個別物理制御チャネル(DPCCH)のパイロット部にマッピングされる既知のシンクワードのシンボル(SW)に対して受信したシンクワードシンボルの誤りビット数をフレーム単位でカウントして当該誤りビット数が許容誤りビット数以下である場合にはフレーム同期に関する条件が満たされた状態であると判定して当該誤りビット数が許容誤りビット数を超える場合にはフレーム同期に関する条件が満たされない状態であると判定するフレーム同期判定方式において、例えば初期同期確立待ち状態と同期確立状態と同期外れ状態とのいずれの状態であるかを3値判定し、チャネルオープン時の初期同期確立待ち状態であるときだけ、誤りビット数が許容誤りビット数以下となった時点で同期が確立されたと判定する。つまり、例えば上記図4を参照して示した第2のフレーム同期判定方式と比べて、本例のフレーム同期判定方式では、初期同期確立待ち状態においてのみ後方保護の処理を外した構成となっている。
【0092】
具体的には、本例の基地局装置や移動局装置により行われるフレーム同期判定の方式では、初期同期確立待ち状態と同期確立状態と同期外れ状態との3つの状態を設け、初期同期確立待ち状態のときには受信信号が同期判定基準を満たした時点で同期確立状態へ遷移し、同期確立状態のときには前方保護回数だけ同期判定基準を満たさない時点で同期外れ状態へ遷移し、同期外れ状態のときには後方保護回数だけ同期判定基準を満たした時点で同期確立状態へ遷移する。
【0093】
従って、本例の基地局装置や移動局装置では、例えば上記第1実施例で述べたのと同様な効果を得ることができる。
なお、本例の基地局装置や移動局装置では、無線送信手段の機能や、無線受信手段の機能や、所定パターン信号特定情報記憶手段や所定パターン信号誤り値検出手段や所定パターン信号誤り値比較手段から構成される同期確立条件判定手段の機能や、同期確立制御手段の機能や、送信電力制御情報無線送信手段の機能や、送信電力制御手段の機能を備えている。また、本例では、所定の同期確立条件として、所定パターン信号の誤りに関する所定の閾値を用いた条件が用いられており、また、所定パターン信号として、シンクワードシンボルの信号が用いられている。また、本例では、所定の前方保護期間として前方保護フレーム回数が用いられており、所定の後方保護期間として後方保護フレーム回数が用いられている。
【0094】
ここで、本発明に係る無線通信装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。なお、本発明は、例えば本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムなどとして提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
【0095】
また、本発明に係る無線通信装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【0096】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る無線通信装置によると、通信相手となる無線通信装置との同期を確立して無線通信を行うに際して、通信相手となる無線通信装置から無線により送信される信号を受信し、通信相手となる無線通信装置から受信する信号が所定の同期確立条件を満たすか否かを判定し、そして、同期確立条件判定手段の判定結果に基づいて、初期の同期確立を待機する状態(初期同期確立待ち状態)では通信相手となる無線通信装置から受信する信号が同期確立条件を満たした時点で通信相手となる無線通信装置との同期が確立された状態(同期確立状態)とし、当該同期確立状態では通信相手となる無線通信装置から受信する信号が同期確立条件を満たさない期間が所定の前方保護期間継続した時点で通信相手となる無線通信装置との同期が外れた状態(同期外れ状態)とし、当該同期外れ状態では通信相手となる無線通信装置から受信する信号が同期確立条件を満たす期間が所定の後方保護期間継続した時点で通信相手となる無線通信装置との同期が確立された状態(同期確立状態)とするようにしたため、例えば従来と比べて、初期同期確立待ち状態から初期的な同期を確立するまでの時間を短くすることができ、初期の同期確立までの処理遅延を低減することができ、また、例えば通信相手となる無線通信装置への送信電力が制御されるような場合に、通信相手となる無線通信装置への送信電力を不要に増加させてしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る同期確立制御の一例を示す図である。
【図2】本発明の第2実施例に係る同期確立制御の一例を示す図である。
【図3】従来例に係る第1のフレーム同期判定方式による同期確立制御の一例を示す図である。
【図4】従来例に係る第2のフレーム同期判定方式による同期確立制御の一例を示す図である。
【符号の説明】
P1、P2・・受信SIR測定値の推移特性、
Q1、Q2、W1、W2・・送信電力の推移特性、
V1、V2・・シンクワードシンボルの誤りビット数の推移特性、
Claims (3)
- 通信相手となる無線通信装置との同期を確立して無線通信を行う無線通信装置において、
通信相手となる無線通信装置から無線により送信される信号を受信する無線受信手段と、
通信相手となる無線通信装置から受信する信号が所定の同期確立条件を満たすか否かを判定する同期確立条件判定手段と、
同期確立条件判定手段の判定結果に基づいて、初期の同期確立を待機する状態では通信相手となる無線通信装置から受信する信号が同期確立条件を満たした時点で通信相手となる無線通信装置との同期が確立された状態とし、当該同期確立状態では通信相手となる無線通信装置から受信する信号が同期確立条件を満たさない期間が所定の前方保護期間継続した時点で通信相手となる無線通信装置との同期が外れた状態とし、当該同期外れ状態では通信相手となる無線通信装置から受信する信号が同期確立条件を満たす期間が所定の後方保護期間継続した時点で通信相手となる無線通信装置との同期が確立された状態とする同期確立制御手段と、
を備えたことを特徴とする無線通信装置。 - 請求項1に記載の無線通信装置において、
直接拡散符号分割多元接続方式によりフレームを用いて無線通信を行う移動通信システムの無線通信装置であり、
所定の同期確立条件として、通信相手となる無線通信装置から受信する信号の信号対干渉比に関する値が所定の閾値を超える場合に当該同期確立条件が満たされることが設定され、
同期確立条件判定手段は、フレーム毎に、通信相手となる無線通信装置から受信する信号の信号対干渉比に関する値が閾値を超える場合には同期確立条件を満たすと判定する一方、当該値が当該閾値未満である場合には同期確立条件を満たさないと判定する、
ことを特徴とする無線通信装置。 - 請求項1に記載の無線通信装置において、
直接拡散符号分割多元接続方式によりフレームを用いて無線通信を行う移動通信システムの無線通信装置であり、
通信相手となる無線通信装置から無線により送信されるフレームには所定のパターンの信号が含まれ、
所定の同期確立条件として、通信相手となる無線通信装置から受信する所定パターン信号の誤りに関する値が所定の閾値未満である場合に当該同期確立条件が満たされることが設定され、
同期確立条件判定手段は、フレーム毎に、通信相手となる無線通信装置から受信する所定パターン信号の誤りに関する値が閾値未満である場合には同期確立条件を満たすと判定する一方、当該値が当該閾値を超える場合には同期確立条件を満たさないと判定する、
ことを特徴とする無線通信装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002232314A JP2004072643A (ja) | 2002-08-09 | 2002-08-09 | 無線通信装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7519040B2 (en) | 2003-09-10 | 2009-04-14 | Nec Corporation | Synchronization judging circuit capable of operating moderately |
US7899029B2 (en) | 2006-12-11 | 2011-03-01 | Ntt Docomo, Inc. | Mobile communication system, user equipment in mobile communication system, control program thereof, and synchronization establishment determination method in mobile communication system |
-
2002
- 2002-08-09 JP JP2002232314A patent/JP2004072643A/ja active Pending
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US7899029B2 (en) | 2006-12-11 | 2011-03-01 | Ntt Docomo, Inc. | Mobile communication system, user equipment in mobile communication system, control program thereof, and synchronization establishment determination method in mobile communication system |
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