JP2004072556A - 送信機及び送信電力制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】温度によるダイオードの検波効率の変化を補償して電力制御を行うことのできる、安価なTDMA通信の送信機及び送信電力制御方法を提供する。
【解決手段】検波回路16は、直流バイアス用の電圧を供給してダイオードで送信信号の検波を行い、検波出力電圧を測定、記憶し、APC制御回路17は、送信信号が送信された時間帯の検波出力電圧と、送信信号が送信されない時間帯の検波出力電圧との差を求め、この差に基づいて、ゲインコントロール回路12の電力制御の利得を変更する制御信号を生成し、ゲインコントロール回路12に出力する送信機及び送信電力制御方法である。
【選択図】 図1
【解決手段】検波回路16は、直流バイアス用の電圧を供給してダイオードで送信信号の検波を行い、検波出力電圧を測定、記憶し、APC制御回路17は、送信信号が送信された時間帯の検波出力電圧と、送信信号が送信されない時間帯の検波出力電圧との差を求め、この差に基づいて、ゲインコントロール回路12の電力制御の利得を変更する制御信号を生成し、ゲインコントロール回路12に出力する送信機及び送信電力制御方法である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、TDMA通信方式の送信機及び送信電力制御方法に係り、特に温度による検波効率の変化の補償を行って電力制御を安定して行うことができ、製作コストを低減できる送信機及び送信電力制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話等の無線通信では従来、送信機において検波ダイオードを用いた検波回路によって送信信号を検波し、検波結果から検波出力電圧を検出して送信信号の電力を測定し、測定結果に基づいて送信信号の電力制御を行っている。
【0003】
従来の送信機で用いられている検波回路の構成について、図7を用いて説明する。図7は、従来の検波回路の回路図である。
図7の検波回路は、入力抵抗81と、ダイオード82と、負荷抵抗83と、コンデンサ84とから構成されている。図7の検波回路では、入力抵抗81は一端がダイオード82のアノード側に並列に接続され、他端は接地されている。また負荷抵抗83及びコンデンサ84はそれぞれ、一端がダイオード82のカソード側に並列に接続され、他端が接地されている。
【0004】
図7の検波回路では、信号入力端(図ではRFin)から入力される無線送信対象である高周波信号は、並列接続の入力抵抗81を介してダイオード82のアノードに印加され、検波される。検波結果はダイオード82のカソードから並列接続の負荷抵抗83、コンデンサ84を介して出力され、信号出力端から検波出力電圧Vdetを得ることができる。
【0005】
検波回路において、ダイオードは、ショットキーダイオードなど比較的高周波応答が良好で検波効率がよいものを用いるのが望ましい。ダイオードによる検波には、ダイオードの自乗検波領域を使用する自乗検波と直線領域を使用する直線検波とが知られている。自乗検波は入力信号が小さいときに適しており、検波出力として信号の平均値が得られる。直線検波は入力信号電力が大きな場合に適しており、検波出力として入力信号のピーク値が得られる。
【0006】
また、ダイオードの順方向電圧は周囲の温度により変化し、これに伴い検波効率が変化することも知られている。図8は、ショットキーダイオードの送信電力に対する検波出力電圧の温度特性を示したグラフ図である。
図8において、縦軸は検波出力電圧を、横軸は送信信号の電力を表している。図8で示すように、規定の検波出力電圧に対応する送信電力(図では定格出力電力)は、低温及び高温ではΔPだけ変動が生じていることが分かる。
このため送信機では通常、温度補償機能を備えた検波回路を用いることで、温度に対応した電力制御を行っている。
【0007】
温度補償機能を備えた検波回路について、図9を用いて説明する。図9は、温度補償を行う従来の検波回路の回路図である。
図9の検波回路は、増幅器91と、コンデンサ92と、ダイオード93と、抵抗94と、コンデンサ95と、抵抗96と、抵抗97と、ダイオード98と、差動増幅器99とから構成されている。図9の検波回路では、増幅器91と、コンデンサ92と、ダイオード93と、抵抗96と、差動増幅器99の反転入力端子とが直列に接続されている。また、抵抗94及びコンデンサ95はそれぞれ、一端がダイオード93のカソードと抵抗96の間に並列に接続され、他端が接地されている。そして差動増幅器99は非反転入力端子は接地され、反転入力端子と出力端子は、直列に接続された抵抗97及びダイオード98を介して接続されている。
【0008】
図9の検波回路では、信号入力端から入力された高周波の送信信号は、増幅器91において増幅された後、コンデンサ92を介してダイオード93のアノードに入力される。送信信号はダイオード93において検波されカソードから出力され、並列接続の抵抗94、コンデンサ95及び直列接続の抵抗96を介して、差動増幅器99に出力される。
【0009】
図9の検波回路において、ダイオード93とダイオード98は同様の特性を有するものであり、例えば立ち上がり電圧(Vf)などは互いに等しい。また、温度特性を補償するために、抵抗96と抵抗97の定数は同じである必要がある。したがって増幅器99の出力端子から出力される反転増幅結果を用いて、抵抗97及びダイオード98を介して出力された信号を合成することにより、温度補償を実現することができ、所望の検波出力電圧Vdetを得ることができる。
送信機は検波回路で得られた検波出力電圧に基づいて、送信電力が適性な値となるよう送信信号のゲインコントロール制御を行った上で、無線送信を行う。
【0010】
また、温度補償を行う検波回路として、平成13年11月16日公開の特開2001−320241号「検波回路」(出願人:シャープ株式会社、発明者:明石英太郎)では、ダイオードのアノードに所定のバイアスを供給する電圧源を設け、ダイオードのカソード側にコンデンサを並列に接続し、さらにダイオードの逆方向抵抗値よりも十分小さい抵抗値を持つ抵抗器をコンデンサに並列に接続し、ダイオードのアノードとコンデンサ及び抵抗器との接点から検波信号を取り出すことで、ダイオードの温度特性の影響を小さく抑える検波回路が提案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の送信機では、以下に説明するように、製作コストが多大となるという問題点があった。
図9に示すような検波回路では、温度補償を行うために、同様の特性のダイオードを2つ使用する必要がある。しかしながら、無線周波数が非常に高い場合、すなわら準ミリ波帯やミリ波帯でも使用可能なショットキーダイオードは非常に高価であり、送信機の製作コストが多大となっていた。
このような温度補償のためにのみ高価な部品を複数使用するのは、送信機のコストパフォーマンス上望ましくなく、安価に製作できる送信機が切望されている。
【0012】
また、上記特開2001−320241号記載の検波回路では、温度又はダイオードの種類に応じて、検波回路で用いる抵抗器の抵抗値を設定する必要があるため、設定のための労力が多大となる。
【0013】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、ダイオードの温度補償を行って安定した電力制御を行うことのできる、安価な送信機及び送信電力制御方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、送信対象である送信信号の検波を一つのダイオードを用いて行い、検波後の検波出力電圧に基づいて送信信号の送信電力制御を行うTDMA通信方式の送信機における送信電力制御方法であって、ダイオードの入力側に直流バイアスとして正の電圧を供給してダイオードで送信信号の検波を行い、検波後の送信信号の検波出力電圧を測定し、送信信号が送信されている時間帯の検波出力電圧及び送信信号が送信されていない時間帯の検波出力電圧との差を求めてダイオードにおける温度による検波効率の変化を補償し、差の値に基づいて、送信信号の電力制御の利得を変化させるものであり、ダイオードの温度補償を行って安定して電力制御を行うことができ、且つ送信機の製作コストを低減することができる。
【0015】
また、本発明は、送信対象である送信信号の検波を一つのダイオードを用いて行い、検波後の検波出力電圧に基づいて前記送信信号の送信電力制御を行うTDMA通信方式の送信機における送信電力制御方法であって、ダイオードの出力側に直流バイアスとして負の電圧を供給してダイオードで送信信号の検波を行い、検波後の送信信号の検波出力電圧を測定し、送信信号が送信されている時間帯の検波出力電圧及び送信信号が送信されていない時間帯の検波出力電圧との差を求めてダイオードにおける温度による検波効率の変化を補償し、差の値に基づいて、送信信号の電力制御の利得を変化させるものであり、ダイオードの温度補償を行って安定して電力制御を行うことができ、且つ送信機の製作コストを低減することができる。
【0016】
また、本発明は、TDMA通信方式の送信機において、検波ダイオードを備え、検波ダイオードに直流バイアスとして電圧を供給して、無線送信の対象である送信信号を検波ダイオードで検波を行い、検波後の送信信号の検波出力電圧を測定し、記憶する検波回路と、検波回路で記憶された検波出力電圧のうち、送信信号が送信されている時間帯の検波出力電圧及び送信信号が送信されていない時間帯の検波出力電圧との差を求めてダイオードにおける温度による検波効率の変化を補償し、差の値に基づいて、送信信号の電力制御の利得を変化させる制御信号を生成して出力するAPC制御回路と、送信信号の送信電力が一定の値となるよう電力制御を行い、且つAPC制御回路から出力された制御回路にしたがって、電力制御の利得を変化させるゲインコントロール回路とを有するものであり、ダイオードの温度補償を行って安定して電力制御を行うことができ、且つ送信機の製作コストを低減することができる。
【0017】
また、本発明は、上記送信機において、検波回路は、検波ダイオードの入力側に直流バイアスとして正の電圧を供給し、検波ダイオードで検波を行い、検波結果を出力する検波部と、検波部から出力された検波結果から検波出力電圧を測定してデジタル変換するA/D変換器と、A/D変換器でデジタル変換された検波出力電圧を記憶するメモリとを有する検波回路であり、ダイオードの温度補償を行って安定して電力制御を行うことができ、且つ送信機の製作コストを低減することができる。
【0018】
また、本発明は、上記送信機において、検波回路は、送信信号を検波ダイオードで検波を行い、検波ダイオードの出力側に直流バイアスとして負の電圧を供給し、検波結果を出力する検波部と、検波部から出力された検波結果から検波出力電圧を測定してデジタル変換するA/D変換器と、A/D変換器でデジタル変換された検波出力電圧を記憶するメモリとを有する検波回路であり、ダイオードの温度補償を行って安定して電力制御を行うことができ、且つ送信機の製作コストを低減することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
本発明の実施の形態に係る送信機は、検波回路において、直流バイアス用の電圧を供給してダイオードで送信信号の検波を行い、検波出力電圧を測定、記憶し、APC制御回路において、送信信号が送信された時間帯の検波出力電圧と、送信信号が送信されない時間帯の検波出力電圧との差を求め、この差の値に基づいて送信信号の電力制御の利得を変化させるものであり、これによりダイオードの温度による検波効率の変化を補償して安定した電力制御を行い、送信機の製作コストを低減することができる。
尚、請求項における検波部は図2及び図6のコンデンサ21からオペアンプ28までの一連の回路に相当する。
【0020】
本発明の第1の実施の形態の送信機の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る送信機(以下、第1の送信機)の構成ブロック図である。尚、第1の送信機は時分割多重(Time Division Multiple Access:以下TDMA)通信方式によって無線送信を行うものである。
第1の送信機は、変調回路部11と、ゲインコントロール回路12と、増幅器13と、方向性結合器14と、検波回路15と、APC制御回路16とから構成される。
【0021】
次に、第1の送信機の各部の構成について説明する。
変調回路部11は、送信対象のデータを、高周波のアナログ信号である送信信号に変調して、ゲインコントロール回路12に出力する。
ゲインコントロール回路12は、送信信号に対し、電力が一定の値となるように電力制御を行い、増幅器13に出力する。また、ゲインコントロール回路12は、後述するAPC制御回路17から出力される制御信号にしたがって、送信信号の利得の変更を行う。
増幅器13は、送信信号を増幅し、方向性結合器14に出力する。
方向性結合器14は、増幅器13で増幅された送信信号を、アンテナ15及び検波回路16とに分離して出力する。
アンテナ15は、方向性結合器14から出力された送信信号を無線信号にて無線送信する。
【0022】
検波回路16は、方向性結合器14から出力された送信信号の検波出力電圧を検出する。検波回路16の構成については、後述する。
APC(Auto Power Control)制御回路17は、検波回路16で算出された検波出力電圧に対し、送信信号の送信時間帯及び未送信時間帯における検波出力電圧の差を求め、その差の値に基づいて、ゲインコントロール回路12の利得を変更する制御信号を生成し、ゲインコントロール回路12に出力する。これにより、APC制御回路17は、温度補償された送信電力制御を実現するものである。
【0023】
次に、検波回路16の構成について、図2を用いて説明する。図2は、第1の送信機で用いる検波回路16の回路図である。
第1の送信機で用いる検波回路16は、コンデンサ21と、電源22と、高周波バイアス回路23と、ダイオード24と、抵抗25と、抵抗26と、コンデンサ27と、オペアンプ28と、A/D変換器29と、メモリ30とから構成される。
【0024】
図2の検波回路は、入力端子RFinから順にコンデンサ21と、ダイオード24と、抵抗26とが直列に接続され、抵抗26の他端がオペアンプ28の非反転入力端子に接続されている。また、電源22の正極とバイアス回路23は直列に接続されており、バイアス回路23の他端はコンデンサ21とダイオード24のアノードの間に並列に接続され、電源22の負極は接地されている。
また、抵抗25の一端は、ダイオード24のカソードと抵抗26の間に並行に接続され、他端は接地されており、コンデンサ27の一端は抵抗26とオペアンプ28の非反転端子の間に並行に接続されており、他端は接地されている。また、オペアンプ28は、反転端子と出力端子が接続されている。
【0025】
そして、オペアンプ28の出力端子はA/D変換器29の入力側に接続されており、さらにA/D変換器29の出力側はメモリ30に接続されている。
また、メモリ30は図1のAPC制御回路17と接続しており、メモリ30に記憶されているデータは、APC制御回路17からのアクセスによって読み出される。
【0026】
次に、検波回路の各部について説明する。
コンデンサ21は、入力端子RFinに入力された送信信号を静電容量として蓄えて、ダイオード24に出力する。
電源22は、直流バイアス用の正の電圧Vccをバイアス回路23を介して送信信号に供給する。
バイアス回路23は、高周波に対してハイインピーダンスとなる性質を有しており、電源22の電圧を送信信号に供給する。
【0027】
ダイオード24は、アノードに入力された送信信号を検波し、検波された送信信号をカソードから出力する。ダイオード24には、高周波においても検波効率のよいダイオード(例えばショットキーダイオード)を用いることが望ましい。
抵抗25は、ダイオード24で検波された送信信号に負荷を加えて、抵抗26及びコンデンサ27に供給する。
抵抗26及びコンデンサ27は、平滑回路を構成するものであり、抵抗25から供給された送信信号に対し、出力波形の平滑化を行い、オペアンプ28に出力する。
【0028】
オペアンプ28は、ボルテージ・フォロワであり、非反転端子に入力される送信信号をそのまま出力する。オペアンプ28は、インピーダンスの異なる回路間で送信信号を有効に伝えるために設けられている。
A/D変換器29は、オペアンプ28から出力される送信信号の検波出力電圧Vdetの値をデジタル変換し、メモリ30に出力する。
メモリ30は、A/D変換器29でデジタル変換された検波出力電圧Vdetの値を記憶する。
【0029】
次に、第1の送信機の動作について図1〜図5を用いて説明する。
送信データの無線送信にあたり、図1の送信機の変調回路部11は、送信データを高周波のアナログ信号である送信信号に変調して、ゲインコントロール回路12に出力する。
ゲインコントロール回路12は、アンテナ15の出力端における送信信号の電力が一定の値となるよう、送信信号の電力制御を行う。
【0030】
ゲインコントロール回路12から出力された送信信号は、増幅器13において増幅され、方向性結合機14に出力される。方向性結合器14は、送信信号をアンテナ15及び検波回路16に分離して出力する。
アンテナ15に入力された送信信号は、無線送信される。
【0031】
検波回路16は、入力された送信信号を検波し、検波出力電圧を算出する。
検波回路16の動作について図2を用いて具体的に説明すると、方向性結合器14から出力された送信信号は、検波回路16の入力端子からコンデンサ21を介し、ダイオード24のアノード(入力端子)に入力される。
ダイオード24への入力に際し、送信信号にはバイアス回路23を介して、直流バイアス用の電源22からの一定の電圧Vccが供給される。
【0032】
ダイオード24のカソード(出力端子)から出力される検波済みの送信信号は、抵抗24を介して、平滑回路を構成する抵抗26及びコンデンサ27に出力され、出力波形の平滑化が行われる。
さらに送信信号は、オペアンプ28の非反転入力端子に入力され、そのまま出力された後、A/D変換器29において検波出力電圧Vdetのデジタル変換が行われる。デジタル変換された検波出力電圧Vdetの値は、メモリ30に出力され、記憶される。
【0033】
図1において、APC制御回路17は、検波回路16におけるメモリ30にアクセスし、検出された検波出力電圧Vdetの値を読み出す。そしてAPC制御回路17は、送信信号が送信される時間帯及び送信されない時間帯における検波出力電圧の差を求め、この差に基づいてゲインコントロール回路12の利得を変更する制御信号を生成し、ゲインコントロール回路12に出力する。
【0034】
以下、第1の送信機における温度補償の原理について、図3〜図5を用いて説明する。一般に、TDMA通信方式による無線通信では、各通信機において、スロット時間単位で送受信の許可又は禁止が決められている。
図3は、TDMA通信方式における基本的なタイムスロットの構成図である。尚、図3は、互いに無線通信を行っている親局及び子局におけるタイムスロットの構成を示している。図3において、Txは送信のみ許可された時間、Rxは受信のみ許可された時間、T/Rは送受信が許可された時間、Gは送受信とも禁止された時間であることを示している。
【0035】
TDMA通信方式では、まず親局及び子局間で、各種信号を送受信することで、無線通信路を確立する。図3において、報知信号から許可信号までの送受信がこれに該当する。図3に示すように、各局において、種類の異なる信号の通信時間の間には送受信の禁止された時間が設けられている。
また、親局から許可信号が送信されると、両局間においてデータ通信が開始されるが、この場合においても異なる種類のデータ間には、送受信の禁止された時間が設けられている。
以後、上記各時間のうち、受信のみ許可された時間又は送受信とも禁止された時間を未送信時間帯、その他の時間を送信時間帯と称して説明する。
【0036】
既に説明した通り、第1の送信機における検波回路16では、電源22を用いて直流バイアス用に電圧Vccを供給している。電圧Vccの供給は、送信信号の有無によらず行われるため、検波回路16は送信時間帯においては、送信信号に電圧Vccを重畳して検波を行い、未送信時間帯においては、電圧Vccに対して検波を行い、それぞれの検波結果に対する検波出力電圧を検出することになる。ここで送信時間帯における検波出力電圧をVdet、未送信時間帯における検波出力電圧をVdetRefと表すことにする。
【0037】
第1の送信機における温度と検波出力電圧値の関係について、図4及び図5を用いて説明する。図4は、第1の送信機の検波回路における検波出力電圧の温度特性を示したグラフ図であり、図5は、送信時間帯及び未送信時間帯における検波出力電圧の温度特性を示した表である。図4及び図5とも、ダイオード24にショットキーダイオードを用いた場合の測定結果である。
【0038】
図4のグラフは、横軸は時間を、縦軸は電圧値を示しており、グラフの上段にある曲線は送信時間帯における検波出力電圧Vdetを、中段にある曲線は未送信時間帯における検波出力電圧VdetRefを、下段にある曲線は両時間帯の検波出力電圧の差Vdet―VdetRefを表している。図4のグラフは、−30℃〜80℃の範囲で、温度特性を温度別に表したものである。
また、図5の表に示されている値は、図4のグラフにおいて、送信時間帯及び未送信時間帯における検波出力電圧値が定常状態となる0.5マイクロ秒時以後のVdet、VdetRef、Vdet―VdetRefを示している。
【0039】
図5に示されるように、Vdet、VdetRefの値は温度によって相当のばらつきがあるが、Vdet―VdetRefに関しては、0.02Vの範囲に収まっており、ほとんど温度による依存性がないといえる。これは検波ダイオードは順方向バイアス電流を流すことにより順方向電圧は温度によって変わるが、整流能率は温度に依存しないという性質から説明できる。ゆえに、Vdet―VdetRefの演算を行うことにより、温度によるダイオード24の検波効率の変化は補償される。
【0040】
第1の送信機において、APC制御回路17は、最新の送信時間帯及び未送信時間帯における検波出力電圧Vdet、VdetRefをメモリ30から読み出し、Vdet―VdetRefの演算を行い、この値にしたがって送信電力の電力値を一定にするよう、ゲインコントロール回路12の利得を変更する制御信号を生成し、出力している。このような制御を行うことによって、APC制御回路17は容易に温度補償を実現でき、ダイオード24の整流能率に基づいて送信信号の電力制御を行うことができる。
演算を行うにあたり、APC制御回路17では、時間帯の間隔が短いことにより次の送信時間帯までに演算が間に合わない場合も考えられるが、スロット時間はミリ秒を単位として設定されており、このような微小な時間において急激に温度変化があることは想定しにくく、問題はない。
【0041】
図1の送信機において、APC制御回路17から制御信号が出力されると、ゲインコントロール回路12は、当該制御信号に基づいて、送信信号の電力制御における利得を変更して、引き続き電力制御を行う。以上が第1の送信機の動作である。
【0042】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る送信機(以下、第2の送信機)について、第1の送信機との相違点を中心に図を用いて説明する。
第2の送信機の全体の構成は、図1に示される第1の送信機とほぼ同一であるが、第2の送信機では、検波回路16及びAPC制御回路17の構成が異なっている。
【0043】
第2の送信機における検波回路の構成及び動作について、図6を用いて説明する。図6は、第2の送信機における検波回路の回路図である。尚、第1の送信機における検波回路と同一の構成を有する部分については、同一の符号を付して説明する。
図6の検波回路では、抵抗31と電源32の負極が直列に接続されており、抵抗31の他端はダイオード24のアノードと抵抗26との間に接続され、電源32の正極は接地され、バイアス回路23には電源は接続されていない。これらの点が第1の送信機における検波回路と異なっている。
【0044】
図6の検波回路において、電源32は、直流バイアス用に負の電圧−Vccを抵抗31を介して検波後の送信信号に供給している。図6の検波回路も、第1の送信機における検波回路と同様に、送信信号の検波出力電圧をA/D変換器29でデジタル変換し、メモリ30に出力する。
そしてAPC制御回路17で送信時間帯及び未送信時間帯における検波出力電圧の差を求め、この差に基づいてゲインコントロール回路12の利得を変更する制御信号を生成し、ゲインコントロール回路12に出力する。
【0045】
図6の検波回路は、送信信号の電圧を降下させるように電圧Vccを供給するものであるため、送信時間帯及び未送信時間帯における検波出力電圧の差の値は第1の送信機のものとは異なるが、送信電力の基準値に対する相対値は同一となるため、第1の送信機と同一の制御で温度補償及び電力制御を実現することができる。
【0046】
第1及び第2の送信機における検波回路では、検波結果に含まれるダイオード24による温度特性を損なわないよう、オペアンプ28にボルテージ・フォロワを用いているが、同様の目的を達成するものであれば、非反転増幅器など、他の種類のオペアンプ又は回路を用いてもよい。
また、直流バイアス用の電源を供給して送信信号の検波を行うものであれば、第1及び第2の送信機における検波回路は、他の構成の回路を用いてもよい。
【0047】
上述したように、第1及び第2の送信機によれば、TDMA通信方式の送信機であって、検波回路において検波対象の送信信号に一定の電圧を供給してダイオードで検波し、検波結果の検波出力電圧を測定し、APC制御回路において送信信号の送信時間帯及び未送信時間帯における検波出力電圧の差を求め、この差に基づいてゲインコントロール回路12における電力制御の利得を変更する制御命令を生成して出力するようにしているため、ダイオードの温度補償を行って安定した電力制御を行うことができ、且つ安価に製作できる効果がある。
【0048】
特に、従来の検波回路では、検波ダイオードの他に、同一の特性を有する温度補償のためのダイオードが必要であったが、第1及び第2の送信機における検波回路は、温度補償のためのダイオードに代わって、送信時間帯及び未送信時間帯における検波出力電圧値を測定するA/D変換器と、当該検波出力電圧値を記憶するメモリを設け、さらに送信時間帯及び未送信時間帯における検波出力電圧値の差の演算を行うAPC制御回路を設ければよく、各装置は簡単な構成であり安価であるため、従来よりも製作コストを低減でき、ダイオードの温度補償を行う送信機を安価に提供できる。
【0049】
また、第1及び第2の送信機は、送信時間帯及び未送信時間帯における検波出力電圧値の差に基づいて電力制御の利得を変更するようにしているため、差を求めることによって温度補償を実現でき、結果として温度に依存しない整流能率に基づいて電力制御を安定して行うことができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、送信対象である送信信号の検波を一つのダイオードを用いて行い、検波後の検波出力電圧に基づいて送信信号の送信電力制御を行うTDMA通信方式の送信機における送信電力制御方法であって、ダイオードの入力側に直流バイアスとして正の電圧を供給してダイオードで送信信号の検波を行い、検波後の送信信号の検波出力電圧を測定し、送信信号が送信されている時間帯の検波出力電圧及び送信信号が送信されていない時間帯の検波出力電圧との差を求めてダイオードにおける温度による検波効率の変化を補償し、差の値に基づいて、送信信号の電力制御の利得を変化させる送信電力制御方法としているので、ダイオードの温度補償を行って安定して電力制御を行うことができ、且つ送信機の製作コストを低減することができる効果がある。
【0051】
また、本発明によれば、送信対象である送信信号の検波を一つのダイオードを用いて行い、検波後の検波出力電圧に基づいて送信信号の送信電力制御を行うTDMA通信方式の送信機における送信電力制御方法であって、ダイオードの出力側に直流バイアスとして負の電圧を供給してダイオードで前記送信信号の検波を行い、検波後の送信信号の検波出力電圧を測定し、送信信号が送信されている時間帯の検波出力電圧及び送信信号が送信されていない時間帯の検波出力電圧との差を求めてダイオードにおける温度による検波効率の変化を補償し、差の値に基づいて、送信信号の電力制御の利得を変化させる送信電力制御方法としているので、ダイオードの温度補償を行って安定して電力制御を行うことができ、且つ送信機の製作コストを低減することができる効果がある。
【0052】
本発明によれば、TDMA通信方式の送信機において、検波ダイオードを備え、検波ダイオードに直流バイアスとして電圧を供給して、無線送信の対象である送信信号を検波ダイオードで検波を行い、検波後の送信信号の検波出力電圧を測定し、記憶する検波回路と、検波回路で記憶された検波出力電圧のうち、送信信号が送信されている時間帯の検波出力電圧及び送信信号が送信されていない時間帯の検波出力電圧との差を求めてダイオードにおける温度による検波効率の変化を補償し、差の値に基づいて、送信信号の電力制御の利得を変化させる制御信号を生成して出力するAPC制御回路と、送信信号の送信電力が一定の値となるよう電力制御を行い、且つAPC制御回路から出力された制御回路にしたがって、電力制御の利得を変化させるゲインコントロール回路とを有する送信機としているので、ダイオードの温度補償を行って安定して電力制御を行うことができ、且つ送信機の製作コストを低減することができる効果がある。
【0053】
本発明によれば、上記送信機において、検波回路は、検波ダイオードの入力側に直流バイアスとして正の電圧を供給し、検波ダイオードで検波を行い、検波結果を出力する検波部と、検波部から出力された検波結果から検波出力電圧を測定してデジタル変換するA/D変換器と、A/D変換器でデジタル変換された検波出力電圧を記憶するメモリとを有する検波回路である送信機としているので、ダイオードの温度補償を行って安定して電力制御を行うことができ、且つ送信機の製作コストを低減することができる効果がある。
【0054】
本発明によれば、上記送信機において、検波回路は、送信信号を検波ダイオードで検波を行い、検波ダイオードの出力側に直流バイアスとして負の電圧を供給し、検波結果を出力する検波部と、検波部から出力された検波結果から検波出力電圧を測定してデジタル変換するA/D変換器と、A/D変換器でデジタル変換された検波出力電圧を記憶するメモリとを有する検波回路である上記送信機としているので、ダイオードの温度補償を行って安定して電力制御を行うことができ、且つ送信機の製作コストを低減することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る送信機の構成ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る送信機で用いる検波回路の回路図である。
【図3】TDMA通信方式における基本的なタイムスロットの構成図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る送信機の検波回路における検波出力電圧の温度特性を示したグラフ図である。
【図5】送信時間帯及び未送信時間帯における検波出力電圧の温度特性を示した表である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る送信機における検波回路の回路図である。
【図7】従来の検波回路の回路図である。
【図8】ショットキーダイオードの送信電力に対する検波出力電圧の温度特性を示したグラフ図である。
【図9】温度補償を行う従来の検波回路の回路図である。
【符号の説明】
11…変調回路部、 12…ゲインコントロール回路、 13…増幅器、 14…方向性結合器、 15…アンテナ、 16…検波回路、 17…APC制御回路、 21,27,84,92,95…コンデンサ、 22,32…電源、 23…バイアス回路、 24,82,93,98…ダイオード、 25,26,31,81,83,94,96,97…抵抗、 28…オペアンプ、 99…差動増幅器
【発明の属する技術分野】
本発明は、TDMA通信方式の送信機及び送信電力制御方法に係り、特に温度による検波効率の変化の補償を行って電力制御を安定して行うことができ、製作コストを低減できる送信機及び送信電力制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話等の無線通信では従来、送信機において検波ダイオードを用いた検波回路によって送信信号を検波し、検波結果から検波出力電圧を検出して送信信号の電力を測定し、測定結果に基づいて送信信号の電力制御を行っている。
【0003】
従来の送信機で用いられている検波回路の構成について、図7を用いて説明する。図7は、従来の検波回路の回路図である。
図7の検波回路は、入力抵抗81と、ダイオード82と、負荷抵抗83と、コンデンサ84とから構成されている。図7の検波回路では、入力抵抗81は一端がダイオード82のアノード側に並列に接続され、他端は接地されている。また負荷抵抗83及びコンデンサ84はそれぞれ、一端がダイオード82のカソード側に並列に接続され、他端が接地されている。
【0004】
図7の検波回路では、信号入力端(図ではRFin)から入力される無線送信対象である高周波信号は、並列接続の入力抵抗81を介してダイオード82のアノードに印加され、検波される。検波結果はダイオード82のカソードから並列接続の負荷抵抗83、コンデンサ84を介して出力され、信号出力端から検波出力電圧Vdetを得ることができる。
【0005】
検波回路において、ダイオードは、ショットキーダイオードなど比較的高周波応答が良好で検波効率がよいものを用いるのが望ましい。ダイオードによる検波には、ダイオードの自乗検波領域を使用する自乗検波と直線領域を使用する直線検波とが知られている。自乗検波は入力信号が小さいときに適しており、検波出力として信号の平均値が得られる。直線検波は入力信号電力が大きな場合に適しており、検波出力として入力信号のピーク値が得られる。
【0006】
また、ダイオードの順方向電圧は周囲の温度により変化し、これに伴い検波効率が変化することも知られている。図8は、ショットキーダイオードの送信電力に対する検波出力電圧の温度特性を示したグラフ図である。
図8において、縦軸は検波出力電圧を、横軸は送信信号の電力を表している。図8で示すように、規定の検波出力電圧に対応する送信電力(図では定格出力電力)は、低温及び高温ではΔPだけ変動が生じていることが分かる。
このため送信機では通常、温度補償機能を備えた検波回路を用いることで、温度に対応した電力制御を行っている。
【0007】
温度補償機能を備えた検波回路について、図9を用いて説明する。図9は、温度補償を行う従来の検波回路の回路図である。
図9の検波回路は、増幅器91と、コンデンサ92と、ダイオード93と、抵抗94と、コンデンサ95と、抵抗96と、抵抗97と、ダイオード98と、差動増幅器99とから構成されている。図9の検波回路では、増幅器91と、コンデンサ92と、ダイオード93と、抵抗96と、差動増幅器99の反転入力端子とが直列に接続されている。また、抵抗94及びコンデンサ95はそれぞれ、一端がダイオード93のカソードと抵抗96の間に並列に接続され、他端が接地されている。そして差動増幅器99は非反転入力端子は接地され、反転入力端子と出力端子は、直列に接続された抵抗97及びダイオード98を介して接続されている。
【0008】
図9の検波回路では、信号入力端から入力された高周波の送信信号は、増幅器91において増幅された後、コンデンサ92を介してダイオード93のアノードに入力される。送信信号はダイオード93において検波されカソードから出力され、並列接続の抵抗94、コンデンサ95及び直列接続の抵抗96を介して、差動増幅器99に出力される。
【0009】
図9の検波回路において、ダイオード93とダイオード98は同様の特性を有するものであり、例えば立ち上がり電圧(Vf)などは互いに等しい。また、温度特性を補償するために、抵抗96と抵抗97の定数は同じである必要がある。したがって増幅器99の出力端子から出力される反転増幅結果を用いて、抵抗97及びダイオード98を介して出力された信号を合成することにより、温度補償を実現することができ、所望の検波出力電圧Vdetを得ることができる。
送信機は検波回路で得られた検波出力電圧に基づいて、送信電力が適性な値となるよう送信信号のゲインコントロール制御を行った上で、無線送信を行う。
【0010】
また、温度補償を行う検波回路として、平成13年11月16日公開の特開2001−320241号「検波回路」(出願人:シャープ株式会社、発明者:明石英太郎)では、ダイオードのアノードに所定のバイアスを供給する電圧源を設け、ダイオードのカソード側にコンデンサを並列に接続し、さらにダイオードの逆方向抵抗値よりも十分小さい抵抗値を持つ抵抗器をコンデンサに並列に接続し、ダイオードのアノードとコンデンサ及び抵抗器との接点から検波信号を取り出すことで、ダイオードの温度特性の影響を小さく抑える検波回路が提案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の送信機では、以下に説明するように、製作コストが多大となるという問題点があった。
図9に示すような検波回路では、温度補償を行うために、同様の特性のダイオードを2つ使用する必要がある。しかしながら、無線周波数が非常に高い場合、すなわら準ミリ波帯やミリ波帯でも使用可能なショットキーダイオードは非常に高価であり、送信機の製作コストが多大となっていた。
このような温度補償のためにのみ高価な部品を複数使用するのは、送信機のコストパフォーマンス上望ましくなく、安価に製作できる送信機が切望されている。
【0012】
また、上記特開2001−320241号記載の検波回路では、温度又はダイオードの種類に応じて、検波回路で用いる抵抗器の抵抗値を設定する必要があるため、設定のための労力が多大となる。
【0013】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、ダイオードの温度補償を行って安定した電力制御を行うことのできる、安価な送信機及び送信電力制御方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、送信対象である送信信号の検波を一つのダイオードを用いて行い、検波後の検波出力電圧に基づいて送信信号の送信電力制御を行うTDMA通信方式の送信機における送信電力制御方法であって、ダイオードの入力側に直流バイアスとして正の電圧を供給してダイオードで送信信号の検波を行い、検波後の送信信号の検波出力電圧を測定し、送信信号が送信されている時間帯の検波出力電圧及び送信信号が送信されていない時間帯の検波出力電圧との差を求めてダイオードにおける温度による検波効率の変化を補償し、差の値に基づいて、送信信号の電力制御の利得を変化させるものであり、ダイオードの温度補償を行って安定して電力制御を行うことができ、且つ送信機の製作コストを低減することができる。
【0015】
また、本発明は、送信対象である送信信号の検波を一つのダイオードを用いて行い、検波後の検波出力電圧に基づいて前記送信信号の送信電力制御を行うTDMA通信方式の送信機における送信電力制御方法であって、ダイオードの出力側に直流バイアスとして負の電圧を供給してダイオードで送信信号の検波を行い、検波後の送信信号の検波出力電圧を測定し、送信信号が送信されている時間帯の検波出力電圧及び送信信号が送信されていない時間帯の検波出力電圧との差を求めてダイオードにおける温度による検波効率の変化を補償し、差の値に基づいて、送信信号の電力制御の利得を変化させるものであり、ダイオードの温度補償を行って安定して電力制御を行うことができ、且つ送信機の製作コストを低減することができる。
【0016】
また、本発明は、TDMA通信方式の送信機において、検波ダイオードを備え、検波ダイオードに直流バイアスとして電圧を供給して、無線送信の対象である送信信号を検波ダイオードで検波を行い、検波後の送信信号の検波出力電圧を測定し、記憶する検波回路と、検波回路で記憶された検波出力電圧のうち、送信信号が送信されている時間帯の検波出力電圧及び送信信号が送信されていない時間帯の検波出力電圧との差を求めてダイオードにおける温度による検波効率の変化を補償し、差の値に基づいて、送信信号の電力制御の利得を変化させる制御信号を生成して出力するAPC制御回路と、送信信号の送信電力が一定の値となるよう電力制御を行い、且つAPC制御回路から出力された制御回路にしたがって、電力制御の利得を変化させるゲインコントロール回路とを有するものであり、ダイオードの温度補償を行って安定して電力制御を行うことができ、且つ送信機の製作コストを低減することができる。
【0017】
また、本発明は、上記送信機において、検波回路は、検波ダイオードの入力側に直流バイアスとして正の電圧を供給し、検波ダイオードで検波を行い、検波結果を出力する検波部と、検波部から出力された検波結果から検波出力電圧を測定してデジタル変換するA/D変換器と、A/D変換器でデジタル変換された検波出力電圧を記憶するメモリとを有する検波回路であり、ダイオードの温度補償を行って安定して電力制御を行うことができ、且つ送信機の製作コストを低減することができる。
【0018】
また、本発明は、上記送信機において、検波回路は、送信信号を検波ダイオードで検波を行い、検波ダイオードの出力側に直流バイアスとして負の電圧を供給し、検波結果を出力する検波部と、検波部から出力された検波結果から検波出力電圧を測定してデジタル変換するA/D変換器と、A/D変換器でデジタル変換された検波出力電圧を記憶するメモリとを有する検波回路であり、ダイオードの温度補償を行って安定して電力制御を行うことができ、且つ送信機の製作コストを低減することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
本発明の実施の形態に係る送信機は、検波回路において、直流バイアス用の電圧を供給してダイオードで送信信号の検波を行い、検波出力電圧を測定、記憶し、APC制御回路において、送信信号が送信された時間帯の検波出力電圧と、送信信号が送信されない時間帯の検波出力電圧との差を求め、この差の値に基づいて送信信号の電力制御の利得を変化させるものであり、これによりダイオードの温度による検波効率の変化を補償して安定した電力制御を行い、送信機の製作コストを低減することができる。
尚、請求項における検波部は図2及び図6のコンデンサ21からオペアンプ28までの一連の回路に相当する。
【0020】
本発明の第1の実施の形態の送信機の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る送信機(以下、第1の送信機)の構成ブロック図である。尚、第1の送信機は時分割多重(Time Division Multiple Access:以下TDMA)通信方式によって無線送信を行うものである。
第1の送信機は、変調回路部11と、ゲインコントロール回路12と、増幅器13と、方向性結合器14と、検波回路15と、APC制御回路16とから構成される。
【0021】
次に、第1の送信機の各部の構成について説明する。
変調回路部11は、送信対象のデータを、高周波のアナログ信号である送信信号に変調して、ゲインコントロール回路12に出力する。
ゲインコントロール回路12は、送信信号に対し、電力が一定の値となるように電力制御を行い、増幅器13に出力する。また、ゲインコントロール回路12は、後述するAPC制御回路17から出力される制御信号にしたがって、送信信号の利得の変更を行う。
増幅器13は、送信信号を増幅し、方向性結合器14に出力する。
方向性結合器14は、増幅器13で増幅された送信信号を、アンテナ15及び検波回路16とに分離して出力する。
アンテナ15は、方向性結合器14から出力された送信信号を無線信号にて無線送信する。
【0022】
検波回路16は、方向性結合器14から出力された送信信号の検波出力電圧を検出する。検波回路16の構成については、後述する。
APC(Auto Power Control)制御回路17は、検波回路16で算出された検波出力電圧に対し、送信信号の送信時間帯及び未送信時間帯における検波出力電圧の差を求め、その差の値に基づいて、ゲインコントロール回路12の利得を変更する制御信号を生成し、ゲインコントロール回路12に出力する。これにより、APC制御回路17は、温度補償された送信電力制御を実現するものである。
【0023】
次に、検波回路16の構成について、図2を用いて説明する。図2は、第1の送信機で用いる検波回路16の回路図である。
第1の送信機で用いる検波回路16は、コンデンサ21と、電源22と、高周波バイアス回路23と、ダイオード24と、抵抗25と、抵抗26と、コンデンサ27と、オペアンプ28と、A/D変換器29と、メモリ30とから構成される。
【0024】
図2の検波回路は、入力端子RFinから順にコンデンサ21と、ダイオード24と、抵抗26とが直列に接続され、抵抗26の他端がオペアンプ28の非反転入力端子に接続されている。また、電源22の正極とバイアス回路23は直列に接続されており、バイアス回路23の他端はコンデンサ21とダイオード24のアノードの間に並列に接続され、電源22の負極は接地されている。
また、抵抗25の一端は、ダイオード24のカソードと抵抗26の間に並行に接続され、他端は接地されており、コンデンサ27の一端は抵抗26とオペアンプ28の非反転端子の間に並行に接続されており、他端は接地されている。また、オペアンプ28は、反転端子と出力端子が接続されている。
【0025】
そして、オペアンプ28の出力端子はA/D変換器29の入力側に接続されており、さらにA/D変換器29の出力側はメモリ30に接続されている。
また、メモリ30は図1のAPC制御回路17と接続しており、メモリ30に記憶されているデータは、APC制御回路17からのアクセスによって読み出される。
【0026】
次に、検波回路の各部について説明する。
コンデンサ21は、入力端子RFinに入力された送信信号を静電容量として蓄えて、ダイオード24に出力する。
電源22は、直流バイアス用の正の電圧Vccをバイアス回路23を介して送信信号に供給する。
バイアス回路23は、高周波に対してハイインピーダンスとなる性質を有しており、電源22の電圧を送信信号に供給する。
【0027】
ダイオード24は、アノードに入力された送信信号を検波し、検波された送信信号をカソードから出力する。ダイオード24には、高周波においても検波効率のよいダイオード(例えばショットキーダイオード)を用いることが望ましい。
抵抗25は、ダイオード24で検波された送信信号に負荷を加えて、抵抗26及びコンデンサ27に供給する。
抵抗26及びコンデンサ27は、平滑回路を構成するものであり、抵抗25から供給された送信信号に対し、出力波形の平滑化を行い、オペアンプ28に出力する。
【0028】
オペアンプ28は、ボルテージ・フォロワであり、非反転端子に入力される送信信号をそのまま出力する。オペアンプ28は、インピーダンスの異なる回路間で送信信号を有効に伝えるために設けられている。
A/D変換器29は、オペアンプ28から出力される送信信号の検波出力電圧Vdetの値をデジタル変換し、メモリ30に出力する。
メモリ30は、A/D変換器29でデジタル変換された検波出力電圧Vdetの値を記憶する。
【0029】
次に、第1の送信機の動作について図1〜図5を用いて説明する。
送信データの無線送信にあたり、図1の送信機の変調回路部11は、送信データを高周波のアナログ信号である送信信号に変調して、ゲインコントロール回路12に出力する。
ゲインコントロール回路12は、アンテナ15の出力端における送信信号の電力が一定の値となるよう、送信信号の電力制御を行う。
【0030】
ゲインコントロール回路12から出力された送信信号は、増幅器13において増幅され、方向性結合機14に出力される。方向性結合器14は、送信信号をアンテナ15及び検波回路16に分離して出力する。
アンテナ15に入力された送信信号は、無線送信される。
【0031】
検波回路16は、入力された送信信号を検波し、検波出力電圧を算出する。
検波回路16の動作について図2を用いて具体的に説明すると、方向性結合器14から出力された送信信号は、検波回路16の入力端子からコンデンサ21を介し、ダイオード24のアノード(入力端子)に入力される。
ダイオード24への入力に際し、送信信号にはバイアス回路23を介して、直流バイアス用の電源22からの一定の電圧Vccが供給される。
【0032】
ダイオード24のカソード(出力端子)から出力される検波済みの送信信号は、抵抗24を介して、平滑回路を構成する抵抗26及びコンデンサ27に出力され、出力波形の平滑化が行われる。
さらに送信信号は、オペアンプ28の非反転入力端子に入力され、そのまま出力された後、A/D変換器29において検波出力電圧Vdetのデジタル変換が行われる。デジタル変換された検波出力電圧Vdetの値は、メモリ30に出力され、記憶される。
【0033】
図1において、APC制御回路17は、検波回路16におけるメモリ30にアクセスし、検出された検波出力電圧Vdetの値を読み出す。そしてAPC制御回路17は、送信信号が送信される時間帯及び送信されない時間帯における検波出力電圧の差を求め、この差に基づいてゲインコントロール回路12の利得を変更する制御信号を生成し、ゲインコントロール回路12に出力する。
【0034】
以下、第1の送信機における温度補償の原理について、図3〜図5を用いて説明する。一般に、TDMA通信方式による無線通信では、各通信機において、スロット時間単位で送受信の許可又は禁止が決められている。
図3は、TDMA通信方式における基本的なタイムスロットの構成図である。尚、図3は、互いに無線通信を行っている親局及び子局におけるタイムスロットの構成を示している。図3において、Txは送信のみ許可された時間、Rxは受信のみ許可された時間、T/Rは送受信が許可された時間、Gは送受信とも禁止された時間であることを示している。
【0035】
TDMA通信方式では、まず親局及び子局間で、各種信号を送受信することで、無線通信路を確立する。図3において、報知信号から許可信号までの送受信がこれに該当する。図3に示すように、各局において、種類の異なる信号の通信時間の間には送受信の禁止された時間が設けられている。
また、親局から許可信号が送信されると、両局間においてデータ通信が開始されるが、この場合においても異なる種類のデータ間には、送受信の禁止された時間が設けられている。
以後、上記各時間のうち、受信のみ許可された時間又は送受信とも禁止された時間を未送信時間帯、その他の時間を送信時間帯と称して説明する。
【0036】
既に説明した通り、第1の送信機における検波回路16では、電源22を用いて直流バイアス用に電圧Vccを供給している。電圧Vccの供給は、送信信号の有無によらず行われるため、検波回路16は送信時間帯においては、送信信号に電圧Vccを重畳して検波を行い、未送信時間帯においては、電圧Vccに対して検波を行い、それぞれの検波結果に対する検波出力電圧を検出することになる。ここで送信時間帯における検波出力電圧をVdet、未送信時間帯における検波出力電圧をVdetRefと表すことにする。
【0037】
第1の送信機における温度と検波出力電圧値の関係について、図4及び図5を用いて説明する。図4は、第1の送信機の検波回路における検波出力電圧の温度特性を示したグラフ図であり、図5は、送信時間帯及び未送信時間帯における検波出力電圧の温度特性を示した表である。図4及び図5とも、ダイオード24にショットキーダイオードを用いた場合の測定結果である。
【0038】
図4のグラフは、横軸は時間を、縦軸は電圧値を示しており、グラフの上段にある曲線は送信時間帯における検波出力電圧Vdetを、中段にある曲線は未送信時間帯における検波出力電圧VdetRefを、下段にある曲線は両時間帯の検波出力電圧の差Vdet―VdetRefを表している。図4のグラフは、−30℃〜80℃の範囲で、温度特性を温度別に表したものである。
また、図5の表に示されている値は、図4のグラフにおいて、送信時間帯及び未送信時間帯における検波出力電圧値が定常状態となる0.5マイクロ秒時以後のVdet、VdetRef、Vdet―VdetRefを示している。
【0039】
図5に示されるように、Vdet、VdetRefの値は温度によって相当のばらつきがあるが、Vdet―VdetRefに関しては、0.02Vの範囲に収まっており、ほとんど温度による依存性がないといえる。これは検波ダイオードは順方向バイアス電流を流すことにより順方向電圧は温度によって変わるが、整流能率は温度に依存しないという性質から説明できる。ゆえに、Vdet―VdetRefの演算を行うことにより、温度によるダイオード24の検波効率の変化は補償される。
【0040】
第1の送信機において、APC制御回路17は、最新の送信時間帯及び未送信時間帯における検波出力電圧Vdet、VdetRefをメモリ30から読み出し、Vdet―VdetRefの演算を行い、この値にしたがって送信電力の電力値を一定にするよう、ゲインコントロール回路12の利得を変更する制御信号を生成し、出力している。このような制御を行うことによって、APC制御回路17は容易に温度補償を実現でき、ダイオード24の整流能率に基づいて送信信号の電力制御を行うことができる。
演算を行うにあたり、APC制御回路17では、時間帯の間隔が短いことにより次の送信時間帯までに演算が間に合わない場合も考えられるが、スロット時間はミリ秒を単位として設定されており、このような微小な時間において急激に温度変化があることは想定しにくく、問題はない。
【0041】
図1の送信機において、APC制御回路17から制御信号が出力されると、ゲインコントロール回路12は、当該制御信号に基づいて、送信信号の電力制御における利得を変更して、引き続き電力制御を行う。以上が第1の送信機の動作である。
【0042】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る送信機(以下、第2の送信機)について、第1の送信機との相違点を中心に図を用いて説明する。
第2の送信機の全体の構成は、図1に示される第1の送信機とほぼ同一であるが、第2の送信機では、検波回路16及びAPC制御回路17の構成が異なっている。
【0043】
第2の送信機における検波回路の構成及び動作について、図6を用いて説明する。図6は、第2の送信機における検波回路の回路図である。尚、第1の送信機における検波回路と同一の構成を有する部分については、同一の符号を付して説明する。
図6の検波回路では、抵抗31と電源32の負極が直列に接続されており、抵抗31の他端はダイオード24のアノードと抵抗26との間に接続され、電源32の正極は接地され、バイアス回路23には電源は接続されていない。これらの点が第1の送信機における検波回路と異なっている。
【0044】
図6の検波回路において、電源32は、直流バイアス用に負の電圧−Vccを抵抗31を介して検波後の送信信号に供給している。図6の検波回路も、第1の送信機における検波回路と同様に、送信信号の検波出力電圧をA/D変換器29でデジタル変換し、メモリ30に出力する。
そしてAPC制御回路17で送信時間帯及び未送信時間帯における検波出力電圧の差を求め、この差に基づいてゲインコントロール回路12の利得を変更する制御信号を生成し、ゲインコントロール回路12に出力する。
【0045】
図6の検波回路は、送信信号の電圧を降下させるように電圧Vccを供給するものであるため、送信時間帯及び未送信時間帯における検波出力電圧の差の値は第1の送信機のものとは異なるが、送信電力の基準値に対する相対値は同一となるため、第1の送信機と同一の制御で温度補償及び電力制御を実現することができる。
【0046】
第1及び第2の送信機における検波回路では、検波結果に含まれるダイオード24による温度特性を損なわないよう、オペアンプ28にボルテージ・フォロワを用いているが、同様の目的を達成するものであれば、非反転増幅器など、他の種類のオペアンプ又は回路を用いてもよい。
また、直流バイアス用の電源を供給して送信信号の検波を行うものであれば、第1及び第2の送信機における検波回路は、他の構成の回路を用いてもよい。
【0047】
上述したように、第1及び第2の送信機によれば、TDMA通信方式の送信機であって、検波回路において検波対象の送信信号に一定の電圧を供給してダイオードで検波し、検波結果の検波出力電圧を測定し、APC制御回路において送信信号の送信時間帯及び未送信時間帯における検波出力電圧の差を求め、この差に基づいてゲインコントロール回路12における電力制御の利得を変更する制御命令を生成して出力するようにしているため、ダイオードの温度補償を行って安定した電力制御を行うことができ、且つ安価に製作できる効果がある。
【0048】
特に、従来の検波回路では、検波ダイオードの他に、同一の特性を有する温度補償のためのダイオードが必要であったが、第1及び第2の送信機における検波回路は、温度補償のためのダイオードに代わって、送信時間帯及び未送信時間帯における検波出力電圧値を測定するA/D変換器と、当該検波出力電圧値を記憶するメモリを設け、さらに送信時間帯及び未送信時間帯における検波出力電圧値の差の演算を行うAPC制御回路を設ければよく、各装置は簡単な構成であり安価であるため、従来よりも製作コストを低減でき、ダイオードの温度補償を行う送信機を安価に提供できる。
【0049】
また、第1及び第2の送信機は、送信時間帯及び未送信時間帯における検波出力電圧値の差に基づいて電力制御の利得を変更するようにしているため、差を求めることによって温度補償を実現でき、結果として温度に依存しない整流能率に基づいて電力制御を安定して行うことができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、送信対象である送信信号の検波を一つのダイオードを用いて行い、検波後の検波出力電圧に基づいて送信信号の送信電力制御を行うTDMA通信方式の送信機における送信電力制御方法であって、ダイオードの入力側に直流バイアスとして正の電圧を供給してダイオードで送信信号の検波を行い、検波後の送信信号の検波出力電圧を測定し、送信信号が送信されている時間帯の検波出力電圧及び送信信号が送信されていない時間帯の検波出力電圧との差を求めてダイオードにおける温度による検波効率の変化を補償し、差の値に基づいて、送信信号の電力制御の利得を変化させる送信電力制御方法としているので、ダイオードの温度補償を行って安定して電力制御を行うことができ、且つ送信機の製作コストを低減することができる効果がある。
【0051】
また、本発明によれば、送信対象である送信信号の検波を一つのダイオードを用いて行い、検波後の検波出力電圧に基づいて送信信号の送信電力制御を行うTDMA通信方式の送信機における送信電力制御方法であって、ダイオードの出力側に直流バイアスとして負の電圧を供給してダイオードで前記送信信号の検波を行い、検波後の送信信号の検波出力電圧を測定し、送信信号が送信されている時間帯の検波出力電圧及び送信信号が送信されていない時間帯の検波出力電圧との差を求めてダイオードにおける温度による検波効率の変化を補償し、差の値に基づいて、送信信号の電力制御の利得を変化させる送信電力制御方法としているので、ダイオードの温度補償を行って安定して電力制御を行うことができ、且つ送信機の製作コストを低減することができる効果がある。
【0052】
本発明によれば、TDMA通信方式の送信機において、検波ダイオードを備え、検波ダイオードに直流バイアスとして電圧を供給して、無線送信の対象である送信信号を検波ダイオードで検波を行い、検波後の送信信号の検波出力電圧を測定し、記憶する検波回路と、検波回路で記憶された検波出力電圧のうち、送信信号が送信されている時間帯の検波出力電圧及び送信信号が送信されていない時間帯の検波出力電圧との差を求めてダイオードにおける温度による検波効率の変化を補償し、差の値に基づいて、送信信号の電力制御の利得を変化させる制御信号を生成して出力するAPC制御回路と、送信信号の送信電力が一定の値となるよう電力制御を行い、且つAPC制御回路から出力された制御回路にしたがって、電力制御の利得を変化させるゲインコントロール回路とを有する送信機としているので、ダイオードの温度補償を行って安定して電力制御を行うことができ、且つ送信機の製作コストを低減することができる効果がある。
【0053】
本発明によれば、上記送信機において、検波回路は、検波ダイオードの入力側に直流バイアスとして正の電圧を供給し、検波ダイオードで検波を行い、検波結果を出力する検波部と、検波部から出力された検波結果から検波出力電圧を測定してデジタル変換するA/D変換器と、A/D変換器でデジタル変換された検波出力電圧を記憶するメモリとを有する検波回路である送信機としているので、ダイオードの温度補償を行って安定して電力制御を行うことができ、且つ送信機の製作コストを低減することができる効果がある。
【0054】
本発明によれば、上記送信機において、検波回路は、送信信号を検波ダイオードで検波を行い、検波ダイオードの出力側に直流バイアスとして負の電圧を供給し、検波結果を出力する検波部と、検波部から出力された検波結果から検波出力電圧を測定してデジタル変換するA/D変換器と、A/D変換器でデジタル変換された検波出力電圧を記憶するメモリとを有する検波回路である上記送信機としているので、ダイオードの温度補償を行って安定して電力制御を行うことができ、且つ送信機の製作コストを低減することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る送信機の構成ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る送信機で用いる検波回路の回路図である。
【図3】TDMA通信方式における基本的なタイムスロットの構成図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る送信機の検波回路における検波出力電圧の温度特性を示したグラフ図である。
【図5】送信時間帯及び未送信時間帯における検波出力電圧の温度特性を示した表である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る送信機における検波回路の回路図である。
【図7】従来の検波回路の回路図である。
【図8】ショットキーダイオードの送信電力に対する検波出力電圧の温度特性を示したグラフ図である。
【図9】温度補償を行う従来の検波回路の回路図である。
【符号の説明】
11…変調回路部、 12…ゲインコントロール回路、 13…増幅器、 14…方向性結合器、 15…アンテナ、 16…検波回路、 17…APC制御回路、 21,27,84,92,95…コンデンサ、 22,32…電源、 23…バイアス回路、 24,82,93,98…ダイオード、 25,26,31,81,83,94,96,97…抵抗、 28…オペアンプ、 99…差動増幅器
Claims (5)
- 送信対象である送信信号の検波を一つのダイオードを用いて行い、検波後の検波出力電圧に基づいて前記送信信号の送信電力制御を行うTDMA通信方式の送信機における送信電力制御方法であって、
前記ダイオードの入力側に直流バイアスとして正の電圧を供給して前記ダイオードで前記送信信号の検波を行い、検波後の送信信号の検波出力電圧を測定し、送信信号が送信されている時間帯の検波出力電圧及び送信信号が送信されていない時間帯の検波出力電圧との差を求めて前記ダイオードにおける温度による検波効率の変化を補償し、前記差の値に基づいて、前記送信信号の電力制御の利得を変化させることを特徴とする送信電力制御方法。 - 送信対象である送信信号の検波を一つのダイオードを用いて行い、検波後の検波出力電圧に基づいて前記送信信号の送信電力制御を行うTDMA通信方式の送信機における送信電力制御方法であって、
前記ダイオードの出力側に直流バイアスとして負の電圧を供給して前記ダイオードで前記送信信号の検波を行い、検波後の送信信号の検波出力電圧を測定し、送信信号が送信されている時間帯の検波出力電圧及び送信信号が送信されていない時間帯の検波出力電圧との差を求めて前記ダイオードにおける温度による検波効率の変化を補償し、前記差の値に基づいて、前記送信信号の電力制御の利得を変化させることを特徴とする送信電力制御方法。 - 検波ダイオードを備え、前記検波ダイオードに直流バイアスとして電圧を供給して、無線送信の対象である送信信号を前記検波ダイオードで検波を行い、検波後の送信信号の検波出力電圧を測定し、記憶する検波回路と、
前記検波回路で記憶された検波出力電圧のうち、送信信号が送信されている時間帯の検波出力電圧及び送信信号が送信されていない時間帯の検波出力電圧との差を求めて前記ダイオードにおける温度による検波効率の変化を補償し、前記差の値に基づいて、前記送信信号の電力制御の利得を変化させる制御信号を生成して出力するAPC制御回路と、
送信信号の送信電力が一定の値となるよう電力制御を行い、且つ前記APC制御回路から出力された制御回路にしたがって、電力制御の利得を変化させるゲインコントロール回路とを有することを特徴とするTDMA通信方式の送信機。 - 検波回路は、検波ダイオードの入力側に直流バイアスとして正の電圧を供給し、前記検波ダイオードで検波を行い、検波結果を出力する検波部と、
前記検波部から出力された検波結果から検波出力電圧を測定してデジタル変換するA/D変換器と、
前記A/D変換器でデジタル変換された検波出力電圧を記憶するメモリとを有する検波回路であることを特徴とする請求項3記載の送信機。 - 検波回路は、送信信号を前記検波ダイオードで検波を行い、検波ダイオードの出力側に直流バイアスとして負の電圧を供給し、検波結果を出力する検波部と、
前記検波部から出力された検波結果から検波出力電圧を測定してデジタル変換するA/D変換器と、
前記A/D変換器でデジタル変換された検波出力電圧を記憶するメモリとを有する検波回路であることを特徴とする請求項3記載の送信機。
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US7590082B2 (en) | 2004-12-27 | 2009-09-15 | Nec Corporation | Radio transmitter and transmission power adjustment method |
US7710201B2 (en) | 2007-03-06 | 2010-05-04 | Nec Corporation | Power amplifier circuit, control method thereof and control program thereof |
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-
2002
- 2002-08-08 JP JP2002230863A patent/JP2004072556A/ja active Pending
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