JP2004069615A - 流量測定方法及び流量測定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】流速測定装置は、測定された流速と、流下断面積と、測定された流速を流下断面での平均流速に換算する校正係数に基づいて開水路6の流量を測定する。流速測定装置は、開流路6の平均流速を測定する流速測定部7A,7Bと、開水路の水位を測定する水位測定部8と、校正係数を有限要素法によるシミュレーションで求めた流量分布解析データに基づいて求めるシミュレーション演算部2と、測定された平均流速及び水位とシミュレーション演算部2が求めた校正係数とに基づいて全流下断面の流量を算出する変換部3とを備える。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自然河川、運河、下水道、用水路等の開水路の流量を高精度で測定するための流量測定方法及び流量測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、超音波センサを使用して河川等の開水路の流量を測定することが知られている。この流量測定では、開水路の両岸に配置された一対の超音波センサ間で超音波の発信及び受信を行い、流速によって流体中の超音波伝播速度や超音波の周波数が変化する現象を利用して流速を測定し、それに基づいて流量を算出する。流量Qは、測定された超音波伝達経路上での平均流速VSに、流下断面積Aを乗じることにより算出できる。しかし、一般に流下断面全体の平均流速Vmと超音波伝達経路上での平均流速Vsとは異なるため、校正係数Kを使用して下記の式(1)に基づいて、流量Qが算出される。
【0003】
【数7】
【0004】
前記式(1)において、dは開水路の底から超音波センサまでの高さ(測定高さ)、hは水位である。超音波伝達経路上での平均流速Vsは測定高さdの関数であり、流下断面積Aは水位hの関数である。また、校正係数Kは、測定高さd及び水位hの関数であり、開水路の底のプロファイル、護岸状態、構造物や分岐水路の有無等の条件によっても変化する。
【0005】
校正係数Kを求める方法は、以下のように種々知られている。まず、人工水路での実流量試験に基づいて、測定高さd及び水位hと校正係数Kの関係を求めることができる。また、浮き子を使用した測定、機械式流量計、ADCP(Acoustic Doppler Current Profile)等の他の測定方法による測定結果と比較することで校正係数Kを求めることができる。さらに、ISO6416に基づいて求めた校正係数Kの値を使用することもできる。さらにまた、校正係数Kを測定高さdと水位hの比の関数として定義し、通常水位でK≒1となるような測定高さd(例えば、d/hが水位hの60%となる測定高さd)に超音波センサを設定することが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、実際の河川では水位が安定する事はなく、低水位から高水位の洪水域まで大きく変化し、それによって流量も大幅に変化するので、前記人工水路での試験により実際の河川での校正係数Kを高精度で求めることは困難である。
【0007】
浮き子を使用する測定では表面流速や特定水深の流速は測定できるが、それに基づいて全体流量を測定するのは精度上限界がある。また、浮き子を使用する測定は、浮き子を投下可能な環境(例えば比較的近接して配置された2本の橋梁)がない場合には適用できない。機械式流量計やADCPによる流量測定は、水位安定時には可能であるが洪水状態の場合には困難である。さらに、それらの方法ですべての水位条件で流量を行うのは時間及び費用の点で困難である。
【0008】
河床条件、護岸条件等は個々の河川により異なるので、前記ISO6416に準じて一つの代表河川について厳密に測定された校正係数Kを一般化して使用するのは困難である。
【0009】
前記超音波センサの設置高さと水位の比から超音波センサの設置高さを設定する方法は、例えば洗堰のように水位の変動が大きい場合には適用することができない。
【0010】
そこで、本発明は、高精度の校正係数を使用して開水路の流量を高精度で測定することを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、測定された流速と、流下断面積と、前記測定された流速を流下断面での平均流速に換算する校正係数に基づいて開流路の流量を求める流量測定方法において、前記校正係数を有限要素法によるシミュレーションで求めた流速分布解析データに基づいて求めることを特徴とする、流量測定方法を提供する。
【0012】
第1の発明の流量測定方法では、有限要素法によるシミュレーションで求めた流速分布解析データに基づいて校正係数を求め、この校正係数と、測定された流速と、流下断面積とから流量を求めるので、低水位から高水位まで高精度での流量測定を行うことができる。また、校正係数をシミュレーションで得られた流速分布解析データに基づいて求めるので、他の浮き子を利用した測定や機械式流量計による測定によって校正係数を求めることが困難な洪水域においても、高精度の流量測定が可能である。
【0013】
具体的には、前記流速分布解析データに基づいてある測定高さでの平均流速に対する全流下断面での平均流速の比である校正係数を求め、この校正係数を使用して下記の式に基づいて流量を求める。
【0014】
【数8】
【0015】
また、流下断面を水深方向に複数の層に分割し、前記層に含まれる測定高さにおける平均流速に対する、その層の断面における平均流速の比である校正係数を求め、下記の式に基づいて流量を求めてもよい。
【0016】
【数9】
【0017】
この場合、前記複数の層毎に校正係数を求め、層毎の流量の総和として流下断面の流量を算出するので、より高精度での流量測定が可能である。
【0018】
さらに、流下断面の部分領域における平均流速に対する全流下断面での平均流速の比である校正係数を求め、下記の式に基づいて流量を求めてもよい。
【0019】
【数10】
【0020】
具体的には、前記部分領域の上限は水位から第1の一定値を引いた高さであり、かつ前記部分領域の下限は開水路の底から第2の一定値を加えた高さである。この場合、水位に対して部分領域が一義的に決まるので、水位が決まれば校正係数が一つに決まる。従って、流量測定に必要な校正係数のデータ数を大幅に低減することができる。
【0021】
第2の発明は、測定された流速と、流下断面積と、前記測定された流速を流下断面での平均流速に換算する校正係数に基づいて開水路の流量を測定する流量測定装置であって、開流路の平均流速を測定する流速測定部と、開水路の水位を測定する水位測定部と、前記校正係数を有限要素法によるシミュレーションで求めた流速分布解析データに基づいて求めるシミュレーション演算部と、前記流速測定部により測定された平均流速と、前記水位測定部により測定された水位と、シミュレーション演算部が求めた校正係数とに基づいて、全流下断面の流量を算出する変換部とを備えることを特徴とする、流量測定装置を提供する。
【0022】
具体的には、前記流速測定部は一つの測定高さにおける平均流速を測定し、前記シミュレーション演算部は、前記流速分布解析データに基づいて任意の測定高さでの平均流速に対する全流下断面の平均流速の比である校正係数を求め、前記変換部は、下記の式に基づいて流量を算出する。
【0023】
【数11】
【0024】
また、前記流速測定部は、水深方向に移動して任意の測定高さにおける平均流速を測定可能であり、前記シミュレーション演算部は、流下断面を水深方向に分割した複数の層に含まれる測定高さにおける平均流速に対する、層の断面における平均流速の比である校正係数を求め、前記変換部は、下記の式に基づいて流量を求めるものでもよい。
【0025】
【数12】
【0026】
さらに、前記流速測定部は、水深方向に移動して任意の測定高さにおける平均流速を測定可能であり、前記シミュレーション演算部は、流下断面の部分領域における平均流速に対する全流下断面の平均流速の比である校正係数を求め、前記変換部は、下記の式に基づいて流量を求めるものでもよい。
【0027】
【数13】
【0028】
【発明の実施の形態】
次に、図面に示す実施形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1に示すように、流量測定装置は、現場制御盤1と、有限要素法によるシミュレーションで求めた流速分布解析データに基づいて校正係数を算出するシミュレーション演算装置2とを備えている。
【0029】
現場制御盤1は、変換部3、記憶部4、及び制御部5を備えている。現場制御盤1には、開水路6に設置された一対の超音波センサ7A,7B及び水位計8が接続されている。
【0030】
開水路6の両岸付近に設置された超音波センサ7A,7Bは、圧電素子等からなる発信素子及び受信素子をそれぞれ備えており、一方が発信した超音波を他方が受信する。また、超音波センサ7A,7Bは、図1において矢印Aで示す開水路6の流れ方向に対して平面視で所定角度をなして対向している。従って、符号Bで概略的に示す超音波伝播経路は、流れ方向に対して所定角度をなしている。本実施形態では、流速によって流体中の超音波伝播速度が変化する現象を利用して流速を測定する。詳細には、現場制御盤1の制御部5により制御された一対の超音波センサ7A,7Bが交互に超音波を送受信し、変換部3は往路(例えば、超音波センサ7Aから超音波センサ7B)と復路(例えば、超音波センサ7Bから超音波センサ7A)の伝播時間の差に基づいて平均流速を算出する。
【0031】
図2に示すように、超音波センサ7A,7Bは昇降機構9A,9Bにより昇降可能である。昇降機構9A,9Bの駆動は、制御部5によって制御され、二つの超音波センサ7A,7Bは同一水深を維持した状態で昇降する。従って、昇降機構9A,9Bを昇降させることにより、任意の測定深さdにおける超音波伝播経路Bでの平均流速を測定することができる。超音波センサ7A,7Bは開水路6の岸から所定距離の位置に配置されている。
【0032】
記憶部4にはシミュレーション演算装置2が算出した校正係数が予め記憶されており、変換部3は、超音波センサ7A,7Bを使用して実測した平均流速と、水位計8により実測した水位hと、記憶部4に記憶された校正係数とに基づいて、開水路6の流量を算出する。
【0033】
シミュレーション演算装置2は、例えば、パーソナルコンピュータや大型コンピュータにより構成される。シミュレーション演算装置2は、例えば乱流のNavier−Storkes式、乱流伝播の式、エネルギー拡散の式等に基づく数値モデルを使用した有限要素法によるシミュレーションを実行し、このシミュレーションにより得られる流速分布解析データに基づいて、流量測定に使用する校正係数を算出する。本実施形態では、3種類のモードでの流量測定に使用する3種類の校正係数K1,K2,K3をシミュレーション演算装置2が算出する。まず、第1モードは、一つの測定高さdにおいて実測された平均流速に基づいて開流路6の全流路断面における流量を算出するものである。次に、第2モードは、開流路6の流下断面を水深方向に複数の層に分割し、各層毎に一つの測定高さdで平均流速を実測し、これに基づいて求めた各層毎の流量の総和として開流路6の全流下断面における流量を算出するものである。さらに、第3モードは、流路断面の部分領域における平均流速を求め、それに基づいて開流路6の全流下断面における流量を算出するものである。以下、各モードについて詳細に説明する。
【0034】
(第1モード)
有限要素法を使用するシミュレーションによって、図3に示す任意の水位hでの全流下断面における流速分布や、図4に示すその水位hでの水深方向の平均流速の分布が得られる。従って、個々の水位hについて、全流下断面における平均流速の計算値Vmcと、任意の測定高さdにおける平均流速の計算値v(d)cとが得られる。下記の式(2)に示すように、校正係数K1は任意の測定高さdにおける平均流速v(d)cに対する全流下断面での平均流速Vmcの比として定義される。校正係数K1は、測定高さd及び水位hの関数であり、開水路6の底のプロファイル、護岸状態、構造物や分岐の有無等の条件によっても変化する。図5は、測定高さdを一定とした場合の水位hと校正係数K1の関係の一例を示している。
【0035】
【数14】
【0036】
ある測定高さdにおいて超音波センサ7A,7Bによって実測された平均流速をv(d)Mとすると、その時の流量QPは、前記校正係数K1を使用して以下の式(3)のように表される。
【0037】
【数15】
【0038】
前記式(3)においてA(h)は流下断面積であり、水位hの関数であるので、水位計8で測定される水位hから求まる。従って、任意の水位h及び測定高さdについて校正係数K1を予め求めておけば、一つの測定高さdにおいて超音波センサ7A,7Bにより実測した平均流速v(d)Mから前記式(2)を使用して全流下断面の流量QPを求めることができる。
【0039】
この第1モードでは、任意の水位hについて一つの測定高さdで実測した平均流量v(d)Mがあれば全流下断面の流量QPを求めることができる。従って、超音波センサ7A,7Bを昇降させることなく流量測定を行うことができる。また、図2に示すような昇降式の超音波センサ7A,7Bではなく、測定高さが一定の超音波センサであっても第1モードにより流量測定を行うことができる。
【0040】
(第2モード)
第2モードでは、図6及び図7に示すように流下断面を水深方向にn個の層Δd1,Δd2,Δd3,…,Δdnに分割する。各層Δd1〜Δdnの幅は等しいものとする。各層Δd1〜Δdn毎の流量Q(Δdi)Pを求め、下記の式(4)に示すように、これらの総和として全流下断面の流量QPを求める。
【0041】
【数16】
【0042】
各層Δd1〜dn毎に第1モードと同様にして流量Q(Δdi)Pを求める。詳細には、有限要素法によるシミュレーションによって任意の水位hでの流速分布解析データが得られると、個々の水位hについて、各層Δdiにおける平均流速の計算値V(Δdi)cと、各層Δdiに含まれる測定高さdiでの平均流速の計算値v(di)cとが得られる。下記の式(5)に示すように、校正係数K2は各層diに含まれる測定高さにおける平均流速v(di)cに対する各層diにおける平均流速V(Δdi)cの比として定義される。
【0043】
【数17】
【0044】
このように定義される校正係数K2は、測定高さd及び水位hの関数であり、開水路の底のプロファイル、護岸状態、構造物や分岐の有無等の条件によっても変化する。
【0045】
各層Δdiに含まれる測定高さdiにおいて超音波センサ7A,7Bによって実測された平均流速をv(di)Mとすると、その時の層diの流量Q(Δdi)Pは以下の式(6)のように表される。
【0046】
【数18】
【0047】
前記式(6)においてA(Δdi)は各層Δdiの断面積である。任意の水位h、測定高さd、及び層d1〜diについて校正係数K2を求めておけば、各層Δdiに含まれる測定高さdiにおいて超音波センサ7A,7Bにより実測した平均流速v(di)Mから、前記式(6)を使用して各層diの流量Q(di)Pを求めることができる。そして、前記式(6)に基づいて算出した各層Δdiの流量Q(Δdi)Pの総和を前記式(4)に基づいて算出すれば、全流下断面の流量QPを求めることができる。
【0048】
第1モードでは一つの実測した平均流速v(d)Mに基づいて全流下断面の流量QPを求めるのに対し、第2モードでは複数の層Δdiに対応する複数の平均流速v(di)Mに基づいて全流下断面の流量QPを求める。従って、第2モードでは第1モードよりも高精度での流量測定が可能となる。
【0049】
(第3モード)
第3モードでは、図8及び図9に示すように、流下断面中に矩形の部分領域Dを設定する。この部分領域Dは、例えば、水位hから一定量を引いた高さを上方の境界DHとし、開水路6の底部から一定量を加えた高さを下方の境界DLとする。部分領域Dの水平方向の境界は、超音波センサ7A,7Bの配置位置により定まり、超音波センサ7A,7B間の水平方向の距離L(図2参照)が部分領域Dの水平方向の幅となる。
【0050】
有限要素法を使用したシミュレーションによって任意の水位hでの全流下断面における流量分布が得られると、個々の水位hについて、全流下断面における平均流速の計算値VmCと、部分領域Dでの平均流速の計算値Vm(D)cとが得られる。下記の式(7)に示すように、校正係数K3は部分領域Dでの平均流速Vm(D)cに対する全流下断面における平均流速VmCの比として定義される。校正係数K3は、水位h及び部分領域Dの関数であり、開水路の底のプロファイル、護岸状態、構造物や分岐の有無等の条件によっても変化する。
【0051】
【数19】
【0052】
部分領域Dは超音波センサ7A,7Bの可動範囲に設定されているので、部分領域Dの平均流速は超音波センサ7A,7Bにより測定することができる。この実測された部分領域Dにおける平均流速をVm(D)Mとすると、その時の流量QPは、前記校正係数K3を使用して以下の式(8)のように表される。
【0053】
【数20】
【0054】
従って、任意の水位h及び部分領域Dについて校正係数K3を予め求めておけば、一つの部分領域Dにおいて超音波センサ7A,7Bを使用して実測した平均流速Vm(D)Cから前記式(8)を使用して全流下断面の流量QPを求めることができる。
【0055】
部分領域Dにおける平均流速Vm(D)Cの測定方法としては、例えば、超音波センサ7A,7Bによって部分領域Dに含まれるn個の測定高さdで平均流速を測定し、その平均を求めれば良い。この場合、部分領域Dにおける平均流速Vm(D)Cは以下の式(9)により表される。
【0056】
【数21】
【0057】
第3測定モードでは、水位hに対して部分領域Dが一義的に決めるようにしておけば、水位hに対して校正係数K3が一義的に決まるので、校正係数K3の算出に必要な計算量(後述する図10のステップS10−9参照)や、記憶しておく必要のある校正係数K3のデータ量を大幅に低減することができる。
【0058】
次に、図10のフローチャートを参照して本実施形態の流量測定装置の動作を説明する。ステップS10−1からステップS10−2はシミュレーション演算装置2の処理である。
【0059】
まず、ステップS10−1において、測定対象である河川等の開水路に固有の条件が設定される。この条件には、例えば、開水路6の底のプロファイル、護岸状態、構造物や分岐の有無等がある。次に、ステップS10−2において水位条件が設定される。具体的には、シミュレーションで使用する水位hの値が設定される。ステップS10−3では、有限要素法によるシミュレーションが実行され、前記ステップS10−2において設定した水位条件における流速分布が解析される(図3、図6、及び図8参照)。ステップS10−4において、この解析結果が出力及び記憶される。ステップS10−5において、すべての水位条件について解析が終了していればステップS10−6の処理に移行するが、終了していなければステップS10−2〜10−4の処理が繰り返される。
【0060】
すべての水位条件について流速分布の解析が終了すると、ステップS10−6において解析結果の評価がなされる。例えば、浮き子を使用した測定、機械式流量計、ADCP等の他の測定方法により対象の開流路6の流量が実測されている場合には、その測定結果とシミュレーションにより得られた流速分布とを比較することにより、分析結果の良否が評価される。ステップS10−7において評価結果が良好でない場合には、ステップS10−8において測定対象となる開水路6の条件が再設定され、ステップS10−2からステップS10−6の処理が繰り返される。
【0061】
ステップS10−7において評価結果が良好であれば、ステップS10−9に移行する。ステップS10−9では、前記ステップS10−3で実行したシミュレーションの結果得られた流速分布解析データから、それぞれ式(2)、(5)、及び(7)に基づいて、校正係数K1,K2,K3を算出する。ステップS10−10において、これらの校正係数K1,K2,K3がシミュレーション演算装置2から現場制御盤1に出力され、記憶部4に記憶される。校正係数K1,K2,K3はシミュレーション演算装置2からいったん記憶媒体に記憶させた後に現場制御盤2の記憶部4に記憶させてもよく、有線又は無線の通信回線を介してシミュレーション演算装置2から記憶部4に出力させてもよい。
【0062】
ステップS10−11において、超音波センサ7A,7Bにより流速測定と水位計8による水位測定がなされる。ステップS10−12では、超音波センサ7A,7B及び水位計8の測定結果と、記憶部4に記憶された校正係数K1,K2,K3とに基づいて、現場制御盤1の変換部3が流量を算出する。
【0063】
第1モードでの測定であれば、超音波センサ7A,7Bにより測定された一つの測定高さdにおける平均流速v(d)Mと、水位計8により測定された水位hから求められる流下断面積A(h)と、記憶部4に記憶された対応する校正係数K1とから、前記式(3)に基づいて流量が算出される。
【0064】
第2モードでの測定であれば、超音波センサ7A,7Bにより測定された各層Δdiに含まれる測定高さdiにおける平均流速v(di)Mと、各層Δdiの流下断面積A(Δdi)と、記憶部4に記憶された対応する校正係数K2とから、前記式(4)及び(6)に基づいて流量が算出される。
【0065】
第3モードでの測定であれば、超音波センサ7A,7Bにより測定された部分領域Dにおける平均流速Vm(D)Mと、水位計8により測定された水位hから求められる流下断面積A(h)と、記憶部4に記憶された対応する校正係数K3とから、前記式(8)に基づいて流量が算出される。
【0066】
本発明は、前記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、流速の測定は、前記実施形態のようなシングルパスシステムに限定されず、クロスパスシステム、レスポンダシステム、あるいはマルチパスシステムにより行ってもよい。また、伝播時間法に代えて、周波数シフト法(ドップラー方式)や、シングルアラウンド法を採用してもよい。さらに、ADCP、機械式流速計、浮き子を利用した流速計測等で測定された特定水位又は表面水位における流速を使用して本発明を実行することができる。例えば、表面水位における流速の実測値で第1モードによる流量測定を行う場合には、前記式(3)において測定高さdを水位hに設定すればよい。
【0067】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る方法及び装置では、有限要素法によるシミュレーションで求めた流速分布解析データに基づいて校正係数を求め、この校正係数と、測定された流速と、流下断面積とから流量を求めるので、低水位から高水位まで高精度での流量測定を行うことができる。また、校正係数をシミュレーションで求めた流速分布解析データに基づいて求めるので、浮き子を利用した測定や機械式流量計による実測よって校正係数を求めることが困難な洪水域においても高精度の流量測定が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る流量測定装置を示す概略図である。
【図2】図1のII−II線での概略断面図である。
【図3】流体解析の第1モードを説明するための河川断面流速分布の一例を示す図である。
【図4】流体解析の第1モードを説明するための流量プロファィルの一例を示す図である。
【図5】水位と校正係数の関係の一例を示すグラフである。
【図6】流体解析の第2モードを説明するための河川断面流速分布の一例を示す図である。
【図7】流体解析の第2モードを説明するための流量プロファィルの一例を示す図である。
【図8】流体解析の第2モードを説明するための河川断面流速分布の一例を示す図である。
【図9】流体解析の第2モードを説明するための流量プロファィルの一例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る流量測定装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 現場制御盤
2 シミュレーション演算装置
3 変換部
4 記憶部
5 制御部
6 開水路
7A,7B 超音波センサ
8 水位計
9A,9B 昇降機構
Claims (9)
- 測定された流速と、流下断面積と、前記測定された流速を流下断面での平均流速に換算する校正係数に基づいて開流路の流量を求める流量測定方法において、
前記校正係数を有限要素法によるシミュレーションで求めた流速分布解析データに基づいて求めることを特徴とする、流量測定方法。 - 前記部分領域の上限は水位から第1の一定値を引いた高さであり、かつ前記部分領域の下限は開水路の底から第2の一定値を加えた高さであることを特徴とする、請求項4に記載の流量測定方法。
- 測定された流速と、流下断面積と、前記測定された流速を流下断面での平均流速に換算する校正係数に基づいて開水路の流量を測定する流量測定装置であって、
開流路の平均流速を測定する流速測定部と、
開水路の水位を測定する水位測定部と、
前記校正係数を有限要素法によるシミュレーションで求めた流速分布解析データに基づいて求めるシミュレーション演算部と、
前記流速測定部により測定された平均流速と、前記水位測定部により測定された水位と、シミュレーション演算部が求めた校正係数とに基づいて、全流下断面の流量を算出する変換部と
を備えることを特徴とする、流量測定装置。
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JP2002231827A Pending JP2004069615A (ja) | 2002-08-08 | 2002-08-08 | 流量測定方法及び流量測定装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004069615A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008046023A (ja) * | 2006-08-17 | 2008-02-28 | Tokyo Univ Of Science | 流量算出装置、流量算出システム、流量算出プログラム及び流量算出方法 |
JP2011112393A (ja) * | 2009-11-24 | 2011-06-09 | Jfe Advantech Co Ltd | 河川流量測定方法及び河川流量測定装置 |
JP2017020787A (ja) * | 2015-07-07 | 2017-01-26 | 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 | 流入量評価式導出方法及び流入量評価式導出装置、流入量導出方法及び流入量導出装置、機器のフラジリティ評価方法及び機器のフラジリティ評価装置、津波の確率論的リスク評価方法及び津波の確率論的リスク評価装置 |
-
2002
- 2002-08-08 JP JP2002231827A patent/JP2004069615A/ja active Pending
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JP2008046023A (ja) * | 2006-08-17 | 2008-02-28 | Tokyo Univ Of Science | 流量算出装置、流量算出システム、流量算出プログラム及び流量算出方法 |
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JP2017020787A (ja) * | 2015-07-07 | 2017-01-26 | 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 | 流入量評価式導出方法及び流入量評価式導出装置、流入量導出方法及び流入量導出装置、機器のフラジリティ評価方法及び機器のフラジリティ評価装置、津波の確率論的リスク評価方法及び津波の確率論的リスク評価装置 |
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