JP2004069026A - 無段変速機の変速比制御装置 - Google Patents

無段変速機の変速比制御装置 Download PDF

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Masashi Arai
荒井 正志
Takashi Kitagawa
北川 貴史
Yoshiteru Ito
伊藤 芳輝
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Abstract

【目的】本発明は、ライン圧を減圧してプライマリ圧を作る変速比制御弁に、ライン圧に応じてプライマリ圧を自動的に調整する機能を付加し、制御性を向上させることを目的としている。
【構成】このため、無段変速機の変速比制御装置において、変速比制御弁はハウジング内にスプール弁を摺動自在に収容し、スプール弁は一側の制御信号圧及びライン圧の分圧と、他側の付勢手段の付勢力及びプライマリ圧の分圧との釣り合いによって移動し、プライマリ圧導出ポートを他のポートと非連通にする中立位置、ライン圧導入ポートに連通する昇圧位置、ドレンポートに連通する減圧位置に選択的に切換え、制御信号圧の変化時に制御信号圧とプライマリ分圧の釣り合いによりプライマリ圧を調圧し、一側のライン分圧受圧部と他側のプライマリ分圧受圧部との面積比を従動側受圧部と駆動側受圧部の面積比と等しくし、ライン圧の変動時に面積比に応じてプライマリ圧を自動調整する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は無段変速機の変速比制御装置に係り、特にライン圧を減圧してプライマリ圧を作る無段変速機の変速比制御弁に、ライン圧に応じてプライマリ圧を自動的に調整する機能を付加し、プライマリ圧の制御性を向上させる無段変速機の変速比制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両においては、内燃機関の特性がそのままの状態では不向きなので、内燃機関と駆動輪間の伝動経路に変速機を設けている。
【0003】
この変速機としては、内燃機関のクランク軸側の入力軸にトルクコンバータ(T/C))とオイルポンプとを設け、また、クランク軸と同軸心上に配設されて変速機ケースに回転自在に支持されたプライマリ軸とこのプライマリ軸に固定したプライマリ側固定プーリ片とプライマリ軸に軸方向移動可能且つ回転不可能に装着したプライマリ側可動プーリ片とからなるプライマリプーリを設け、更に、プライマリ軸と平行に配設されて変速機ケースに回転自在に支持されたセカンダリ軸とこのセカンダリ軸に固定したセカンダリ側固定プーリ片とセカンダリ軸に軸方向移動可能且つ回転不可能に装着したセカンダリ側可動プーリ片とからなるセカンダリプーリを設け、このプライマリプーリとセカンダリプーリとに金属製のベルトを巻掛けた無段変速機(CVT)がある。
【0004】
無段変速機の変速比制御装置としては、特開平5−306755号公報に開示されるものがある。この公報に開示されるベルト式無段変速機の制御装置は、セカンダリ制御弁とプライマリ制御弁の少なくとも一方が、スプールの両端に対応する領域にパイロット圧室を設けたメインバルブと、片側のパイロット圧室と仕切壁を介して隣接したドレーン室に配され、仕切壁に穿った制御穴でシートされる円錐部を有するパイロット弁体と、メインスプリングに抗してアーマチュアをプルする比例ソレノイドとを備え、パイロット弁体が、円錐部の基端側から後方にカップ部を有し、カップ部内底で第1スプリング端を支持する一方、カップ部内底よりも軸線方向後方に設けた外周鍔と仕切壁との間に第2スプリングを介装し、セカンダリ制御弁または/およびプライマリ制御弁のパイロット弁の倒れや発振現象を防止し、セカンダリ圧やプライマリ圧の制御精度を向上させている。
【0005】
また、特開平9−291992号公報に開示されるものがある。この公報に開示されるベルト式無段変速機の変速制御装置は、入出力プーリに夫々形成されたピストン室と、出力プーリのピストン室へ所定のライン圧を供給するライン圧供給手段と、入力プーリのピストン室への作動油を、ライン圧ポートまたはドレーンポートの一方との連通量に応じて給排する変速制御弁と、変速制御弁を駆動するアクチュエータと、演算した操作量に基づいてアクチュエータを駆動する変速制御手段と、変速制御弁に形成されてアクチュエータの非動作状態または最大動作状態のときに入力プーリのピストン室への作動油の給排を禁止する変速禁止手段とを備え、変速制御手段は、操作量が所定の上限値及び下限値を超えないように規制する規制手段とを備え、フェイルセーフを確保しながら制御ゲインが負の領域に入るのを防止している。
【0006】
更に、特開平10−110796号公報に開示されるものがある。この公報に開示される制御弁、及び無段変速機の油圧制御装置は、スプリングによって上方に付勢されたスプールを、リニアな信号圧を第1の入力ポート、第2の入力ポートに入力して、下方に押し下げ、信号圧が所定の範囲内にあるとき、入力ポートに排出ポートが選択的に連通されて、信号圧の変動にもかかわらず、スプールを所定の位置に保持している。
【0007】
更にまた、特開2001−280455号公報に開示されるものがある。この公報に開示される無段変速機の変速比制御装置は、無段変速機のプライマリ油路の駆動側プーリとレシオコントロールバルブ間またはレシオコントロールバルブのドレン側にはレシオソレノイド作動不良時に比較的に流路抵抗の大きな回路に切り換えるレシオシフトバルブを設け、また、レシオシフトバルブの作動油圧としてレシオコントロールバルブの作動油圧を使用し、レシオシフトバルブの切り替わるデューティ比をレシオコントロールバルブの切り替わるデューティ比よりもレシオソレノイドの非通電時のデューティ比側とする。更に、レシオシフトバルブの作動油圧としてロックアップ制御弁のロックアップ作動油圧を使用する構成とし、更にまた、レシオシフトバルブの作動油圧としてロックアップ制御弁のロックアップ作動油圧とレシオコントロールバルブの作動油圧とのいずれか一方を使用する構成とし、レシオソレノイドの作動不良時に生ずる急激な変速を回避している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の無段変速機において、変速比はプライマリプーリとセカンダリプーリとのベルトクランプ力のバランスで制御される。
【0009】
つまり、プライマリ圧(Ppri)にプライマリプーリの受圧面積(Apri)を乗じたプライマリのクランプ力(Fpri)と、セカンダリ圧(Psec)にセカンダリプーリの受圧面積(Asec)を乗じたセカンダリのクランプ力(Fsec)との釣り合いで変速比を制御している。
【0010】
そしてこのとき、ベルトクランプ力が釣り合っていれば、そのときの変速比を保持することとなる。
【0011】
しかし、ベルトクランプ力のバランスが崩れると、ベルトクランプ力の大きいプーリのベルト巻き掛け半径は大きくなり、反対側のベルト巻き掛け半径は小さくなる。
【0012】
上述した無段変速機においては、セカンダリプーリでベルトが滑らないために、十分なクランプ力を制御し、プライマリプーリのベルトクランプ力をセカンダリプーリのベルトクランプ力に対して相対的に変化させ、変速比を制御している。
【0013】
プライマリプーリのベルトクランプ力は、プーリに作用させる油圧と油圧が作用する受圧面積とで決まるものである。
【0014】
このとき、受圧面積は変化しないので、変速比はプライマリ圧を変化させて制御することになる。プライマリ圧は電磁弁によって制御される変速比制御弁で制御されている。
【0015】
従来、変速比制御弁には流量制御式と調圧式とがある。
【0016】
流量制御式の変速比制御弁を用いた変速機構を持つ無段変速機の油圧制御回路260の例を、図9に示す。この流量制御式の変速比制御弁284は、プライマリプーリ214への回路とライン圧回路264若しくはドレン回路328とを選択的に接続することで、プライマリ圧、ひいては変速比を制御する。
【0017】
つまり、流量制御式の変速比制御弁284では、ライン圧あるいは大気圧(ドレン)のいずれか一方をプライマリプーリに連通することになる(図11〜図13参照)。なお、実際の変速比制御は、プライマリ圧を調圧するのではなく、プライマリプーリへの作動油の供給/排出を制御することで行う。
【0018】
一方、調圧式の変速比制御弁に用いた変速機構を持つ無段変速機の油圧回路360の例を、図14に示す。この調圧式の変速比制御弁384は、プライマリ圧を直接制御している点が、流量制御式の変速制御とは異なる。
【0019】
流量制御式の変速制御の場合には、変速比制御をライン圧制御から完全に独立させている代わりに、以下のような不都合がある。
【0020】
先ず、第1の不都合について説明する。急減速から急加速に移る場合(プライマリプーリへの作動油を大気開放からライン圧の供給に切り換える場合)等に、電磁弁や変速比制御弁自体の応答性や油圧回路の流路抵抗等が原因で、プライマリプーリへの作動油の供給がエンジンのトルク発生に対して遅れをとり、この結果ベルトクランプ力が不足してベルトスリップが生ずる恐れがある。
【0021】
また、第2の不都合について説明する。無段変速機では多くの場合に、プライマリプーリとセカンダリプーリとの夫々の回転数の比から変速比を算出している。車速が低下した場合は、プライマリプーリとセカンダリプーリとの回転数も低下し、停車とともに両プーリの回転も止まる。そして、停車時及び極低車速時には、プーリの回転数の比から正確な変速比を判定することが難しくなる。このため、停車前に確実にフルロー(Full−Low)にダウンシフトする、いわゆる”フルロー戻し制御”を行う必要があるが、停車前のフルロー戻し制御は、必要以上の減速感としてドライバに違和感を与える可能性がある。
【0022】
第3の不都合について説明する。流量制御式の変速比制御弁284の作動状態において、図10及び図11に示す如き領域(a)は、信号圧の変化によりバルブ(「スプール弁」ともいう)226が移動し、プライマリプーリの油圧室とドレンポート228とが連通される状態である。また、図10及び図12に示す如き領域(b)は、バルブ226に作用する力の釣り合いによりプライマリプーリがライン圧回路216及びドレンポート228と連通しない位置にある状態である。更に、図10及び図13に示す如き領域(c)は、信号圧の変化によりバルブ226が移動し、プライマリプーリの油圧室とライン圧回路216とが連通される状態である。なお、各領域においては、信号圧により回路を切り換えているだけなので、ON−OFFしかない油圧出力特性を持つものである。
【0023】
このとき、図10及び図12に示す如き領域(b)、つまり中立位置は、非常に小さいため、プーリの回転が止まっている停車中は、プライマリプーリを大気開放するか、ライン圧を供給するかのいずれか一方にせざるを得ない。変速比がフルローであれば、大気開放すればよいが、”フルロー戻し制御”が間に合わず、変速比がフルローでない場合に不具合が生ずる。すなわち、停車時の変速比がフルローでないにもかかわらず、プライマリプーリを大気開放した場合には、ベルトがフルローの位置にないのにプライマリプーリのベルトクランプ力が0(ゼロ)になる。この場合、発進と同時にベルトスリップが生じてしまう。
【0024】
また、第4の不都合について説明する。第3の不都合で説明したベルトスリップを避けるためにライン圧を供給した場合に、変速比の判定ができない極低車速で走行している間は、変速比がアップシフトしてしまい、上り坂等では走行不能に陥る可能性がある。
【0025】
調圧式の変速比制御の場合には、プライマリプーリでのベルトクランプ力をプライマリ圧として制御できる代わりに、以下の問題点がある。
(1)調圧式の変速比制御においても、プライマリプーリのベルトクランプ力とセカンダリプーリのベルトクランプ力とのバランスを崩すことで変速を行っているため、セカンダリ圧のみを変化させた場合でも変速比が変わってしまう。
(2)変速比を維持したままでライン圧のみを変化させたい場合等は、ライン圧の変化によるベルトクランプ力のバランス変化を打ち消すようにプライマリ圧を制御しなければならず、制御が煩雑になってしまう。
つまり、参考までに説明すると、
Fpri(クランプ力)=Ppri(油圧)XApri(受圧面積)
Fsec=PsecXAsec
変速比が一定である場合は、
Fpri≒Fsec
ダウンシフトする場合は、
Fpri<Fsec
アップシフトする場合は、
Fpri>Fsec
調圧式の変速比制御において、Psec変化時にも一定変速比を保つためには、
Ppri≒PsecX(Asec/Apri)
となるようにPpri(油圧)を制御する必要がある。一定速走行からのアクセルONによるキックダウン制御等、セカンダリ圧を変化させながら変速比を制御するような場合にはさらに複雑な制御となる。
【0026】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明は、上述不都合を除去するために、従動側プーリの従動側受圧部に供給されるライン圧と、このライン圧を減圧してプライマリ圧を作る変速比制御弁とを備え、前記プライマリ圧を駆動側プーリの駆動側受圧部に導き、前記ライン圧と前記プライマリ圧との相対変化によって変速制御を行う無段変速機の変速比制御装置において、前記変速比制御弁はハウジング内にスプール弁を摺動自在に収容し、このスプール弁は一側に付与される制御信号圧及び前記ライン圧の分圧と、これに対向して他側に付与される付勢手段の付勢力及び前記プライマリ圧の分圧との釣り合いによって移動し、前記ハウジングに形成したプライマリ圧導出ポートを他のポートと非連通にする中立位置と、ライン圧導入ポートに連通する昇圧位置と、ドレンポートに連通する減圧位置とに選択的に切り換え、前記制御信号圧の変化時にこの制御信号圧と前記プライマリ分圧の釣り合いにより前記プライマリ圧を所定の圧力に調圧するとともに、前記スプール弁の一側に形成したライン分圧受圧部と他側に形成した前記プライマリ分圧受圧部との面積比を前記従動側受圧部と前記駆動側受圧部の面積比と等しくし、前記ライン圧の変動時に前記面積比に応じて前記プライマリ圧を自動調整するようにしたことを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
上述の如く発明したことにより、ライン分圧の増加時には、スプール弁がプライマリ圧室とライン圧室とを連通させて、プライマリ圧を駆動側受圧部と従動側受圧部との面積比に応じて昇圧させるとともに、ライン分圧の減少時には、スプール弁がプライマリ圧室と排出室とを連通させて、プライマリ圧を駆動側受圧部と従動側受圧部との面積比に応じて減圧すべく自動調整するため、変速比の制御を容易とし、また、急減速から急加速に移行するように変速比制御弁(の制御信号圧)が制御された場合でも、プライマリ圧室の油圧が抜けてしまわず、制御信号圧とライン圧とに応じたプライマリ圧を保持するように調圧されるため、応答遅れを防止してスムーズな加速に移行させ、更に、停車時にも油圧が抜けきることがないため、停車前に急激にフルローに戻す制御が不要となり、ドライバに違和感を与えることがない。
【0028】
【実施例】
以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細に説明する。
【0029】
図1〜図6はこの発明の実施例を示すものである。図2において、2は図示しない車両に搭載された内燃機関、4はクランク軸、6は無段変速機、8は変速機ケースである。無段変速機6は、内燃機関2のクランク軸4に対して同軸に配設されたプライマリ軸10を変速機ケース8に軸支して設け、このプライマリ軸10に対して平行に配設されたセカンダリ軸12を変速機ケース8に軸支して設けている。
【0030】
前記無段変速機6は、プライマリ軸10に駆動側プーリであるプライマリプーリ(PRI)14を設け、セカンダリ軸12に従動側プーリであるセカンダリプーリ(SEC)16を設け、プライマリプーリ14及びセカンダリプーリ16にベルト18を巻掛けて設けている。
【0031】
また、前記プライマリプーリ14は、プライマリ軸10に固定したプライマリ側固定プーリ部片20と、プライマリ軸10に軸方向移動可能且つ回転不可能に装着したプライマリ側可動プーリ部片22とからなる。プライマリ側可動プーリ部片22の背面には、プライマリ側ハウジング24によりプライマリ圧室であるプライマリ圧側油圧室26を形成している。
【0032】
前記セカンダリプーリ16は、セカンダリ軸12に固定したセカンダリ側固定プーリ部片28と、セカンダリ軸12に軸方向移動可能且つ回転不可能に装着したセカンダリ側可動プーリ部片30とからなる。セカンダリ側可動プーリ部片30の背面には、セカンダリ側ハウジング32によりセカンダリ室であるセカンダリ側油圧室34を形成し、このセカンダリ側油圧室34内にセカンダリ側可動プーリ部片30をセカンダリ側固定プーリ部片28側に押圧する調整用スプリング36を設けている。
【0033】
前記プライマリプーリ14及びセカンダリプーリ16は、プライマリ側油圧室26及びセカンダリ側油圧室34に供給されるプライマリ圧及びライン圧の各圧油により各溝幅を相対的に増減させ、ベルト18の回転半径を相対的に増減させて変速比を連続的に変化させる。
【0034】
そして、前記無段変速機6は、プライマリ軸10の内燃機関2に近接する入力側に、クランク軸4及びプライマリ軸10に対して同軸に配設された入力軸38を設けている。入力軸38には、入力側及びクランク軸4の出力側間にトルクコンバータ(T/C)40を設け、出力側及びプライマリ軸10の入力側間に前後進切換機構42を設け、トルクコンバータ40及び前後進切換機構42間にオイルポンプ44を設けている。
【0035】
前記無段変速機6は、セカンダリ軸12の出力側に、このセカンダリ軸12と同軸に配設された出力軸46を軸支して設けている。また、無段変速機6は、出力軸46に対して平行に配設されたカウンタ軸48を軸支して設けている。出力軸46及びカウンタ軸48間には、リダクションギヤ列50を設けている。
【0036】
また、前記無段変速機6は、カウンタ軸48に対して平行に配設されたデファレンシャル52を軸支して設けている。カウンタ軸48及びデファレンシャル52のデフケース54間には、ファイナルギヤ列56を設けている。デファレンシャル52には、夫々ドライブシャフト58、58の一端側を連結し、ドライブシャフト58、58の他端側に図示しない駆動輪を取り付けている。
【0037】
前記無段変速機6のプライマリプーリ14及びセカンダリプーリ16とトルクコンバータ40とは、オイルポンプ44の発生する吐出圧から制御用の圧油を取り出すように、変速機ケース8に取り付けられたバルブボディ(図示せず)に形成された油圧制御回路60によって作動される。
【0038】
この油圧制御回路60において、図3に示す如く、オイルポンプ44には、オイルパン(図示せず)内の図示しないオイルストレーナからのオイル吸引通路62が連絡している。また、このオイルポンプ44には、セカンダリプーリ16のセカンダリ側油圧室34へのライン圧通路64が連絡している。オイルポンプ44は、オイルパン内のオイルストレーナから吸引するオイルをライン圧通路64に圧送し、ライン圧を発生させるものである。
【0039】
前記ライン圧通路64には、第1油路66を介してライン圧制御弁68が連絡している。このライン圧制御弁68には、第2油路70を介してライン圧制御電磁弁(ソレノイド)72が連絡している。このライン圧制御電磁弁72は、制御手段(図示せず)からの電気信号(デューティ比)で作動制御されるものである。また、ライン圧通路64には、第3油路74を介して圧力調整弁(リリーフ弁)76が連絡している。この圧力調整弁76は、第4油路78を介してオイル吸引通路62に連絡しているとともに、第5油路80及びこの第5油路80から分岐した第5一側油路80−1、第5他側油路80−2を介してライン圧制御弁68に連絡している。
【0040】
また、前記ライン圧通路64には、第6油路82及びこの第6油路82から分岐した第6一側油路82−1、第6他側油路82−2を介して圧力制御弁である変速比制御弁84が連絡している。この変速比制御弁84には、第7油路86を介して電気信号(デューティ比)で作動される変速比制御電磁弁(ソレノイド)88が連絡している。この変速比制御電磁弁(ソレノイド)88は、制御手段(図示せず)からの電気信号(デューティ比)で作動制御されるものである。また、変速比制御弁84には、分岐した一側プライマリ圧通路90−1、他側プライマリ圧通路90−2及び合流したプライマリ圧通路90を介してプライマリプーリ14のプライマリ側油圧室26が連絡している。
【0041】
更に、前記ライン圧通路64には、第8油路92を介してパイロット弁94が連絡している。
【0042】
更にまた、このパイロット弁94は、第9油路96を介してライン圧制御電磁弁72と変速比制御電磁弁88とに夫々連絡している。
【0043】
つまり、前記第9油路96のパイロット弁94側を分岐させて第10一側油路98−1、第10他側油路98−2を形成するとともに、第9油路96の電磁弁側を分岐させて第11一側油路100−1、第11他側油路100−2を形成し、第11一側油路100−1がライン圧制御電磁弁72に連絡し、第11他側油路100−2が変速比制御電磁弁88に連絡している。
【0044】
前記第9油路96には、第12油路102を介してライン圧制御弁72が連絡している。
【0045】
前記変速比制御弁84は、図1に示すように構成される。つまり、図1に示す如く、変速比制御弁84のハウジングである弁本体104は、一端側が開口106で開放するとともに、他端側が壁部108で閉塞され、また、軸心方向において、一端側で内径D1の第1スプール摺動孔110と、他端側でこの第1スプール摺動孔110に連通して該第1スプール摺動孔110の内径D1よりも少し小さな内径D2の第2スプール摺動孔112とを形成している。
【0046】
また、前記弁本体104には、中央部位で第1スプール摺動孔110の内周面に、円周方向に第6油路82の第6一側油路82−1、第6他側油路82−2が接続する溝状の一側ライン圧導入ポート114と他側ライン圧導入ポート116とが形成されているとともに、
他側ライン圧導入ポート116を挟んでプライマリ圧油路90の一側プライマリ圧通路90−1と他側プライマリ圧通路90−2とが接続する溝状の一側プライマリ圧導出ポート118と他側プライマリ圧導入ポート120とが形成されている。
【0047】
更に、前記弁本体104の一端側には、第1スプール摺動孔110の内周面に、第7油路86に接続する溝状の信号油圧導入ポート122が形成されているとともに、開口106を閉塞する閉塞栓(「プラグ」ともいう)124が取り付けられている。この閉塞栓124は、内部に一側ライン圧導入ポート114を介してライン圧の一部を引き込むとともに、スプール弁126の後述する一側支持部142を支持している。
【0048】
更にまた、前記弁本体104の中央部位には、第1スプール摺動孔110の内周面において、他側ライン圧導入ポート116と信号油圧導入ポート122との間に溝状の第1ドレンポート128が形成されているとともに、弁本体104の他端側には、第2スプール摺動孔112の内周面において、溝状の第2ドレンポート130が形成されている。
【0049】
前記弁本体104の第1、第2スプール摺動孔110、112には、前記スプール弁126が摺動可能に設けられる。このスプール弁126は、メインスプール弁126−1とサブスプール弁126−2とから構成される。また、スプール弁126は、中央部位で第1スプール摺動孔110の内径D1よりも小さな第1小径部132と、この第1小径部132の一端側に連設して、軸方向移動のときに、第1ドレンポート128を開閉する範囲で移動して第1スプール摺動孔110の内周面に接する導出側ランド部134と、第1小径部132の他端側に連設して、軸方向移動のときに、他側ライン圧導入ポート116を開閉する範囲で移動して第1スプール摺動孔110の内周面に接する導入側ランド部136と、この導入側ランド部136の他端側に連設されて第2スプール摺動孔112の内径D2よりも少し小さく形成された第2小径部138と、この第2小径部138の他端側に連設して第2スプール摺動孔112の内周面に接するシフトアップランド部140と、導出側ランド部134の一端面に突出した一側支持部142と、シフトアップランド部140の他端面に突出した他側支持部144とから構成されている。
【0050】
また、前記弁本体104内においては、一端側で、導出側ランド部134と閉塞栓124との間に第1油圧室146が形成され、導出側ランド部134と前記導入側ランド部136の間には前記一側プライマリ圧導出ポート118を有する第2油圧室147が形成され、他端側で、シフトアップランド部140と壁部108との間に大気開放室148が形成されるとともに、この大気開放室148内でスプール弁126の他端側の他端側支持部144に嵌装されてシフトアップランド部140と壁部108との間に付勢手段である他側スプリング150が介設されている。
【0051】
前記変速比制御電磁弁88は、制御手段から入力される電気信号(デューティ比)の減少に連れて変速比制御弁84への信号油圧を増加、つまり、デューティ比が0%で最大の信号油圧を出力する。
【0052】
なお、符号152は、前記第6一側油路82−1及び他側プライマリ圧通路90−2途中に夫々設けられるオリフィスである。
【0053】
このとき、前記変速比制御弁84はハウジングである弁本体104内にスプール弁126を摺動自在に収容し、このスプール弁126は一側に付与される制御信号圧及び前記ライン圧の分圧と、これに対向して他側に付与される付勢手段である他側スプリング150の付勢力及び前記プライマリ圧の分圧との釣り合いによって移動し、前記ハウジングである弁本体104に形成したプライマリ圧導出ポートである一側プライマリ圧導出ポート118を他のポートと非連通にする中立位置と、ライン圧導入ポートである他側ライン圧導入ポート116に連通する昇圧位置と、ドレンポートである第1ドレンポート128に連通する減圧位置とに選択的に切り換え、前記制御信号圧の変化時にこの制御信号圧と前記プライマリ分圧の釣り合いにより前記プライマリ圧を所定の圧力に調圧するとともに、前記スプール弁126の一側に形成したライン分圧受圧部156と他側に形成した前記プライマリ分圧受圧部154との面積比を前記従動側受圧部160と前記駆動側受圧部158の面積比と等しくし、前記ライン圧の変動時に前記面積比に応じて前記プライマリ圧を自動調整するように構成する。
【0054】
詳述すれば、前記変速比制御弁84において、図1に示す如く、他側ライン圧導入ポート116の一側プライマリ圧導出ポート118側の壁部分と第1ドレンポート128の一側プライマリ圧導出ポート118側の壁部分との間隔aに対して、前記スプール弁126の第1小径部132を挟む導出側ランド部134の壁部分と導入側ランド部136の壁部分との間隔bを同一、あるいは若干小となるように形成する。
【0055】
また、図1における前記プライマリ分圧を受ける前記導入側ランド部136に設けたプライマリ分圧受圧部154のプライマリ受圧面積Apbと前記ライン分圧を受ける前記サブスプール弁126−2に設けたライン分圧受圧部156のライン受圧面積Asfとの面積比(「受圧面積比」ともいう)Apb/Asfを、図2における前記無段変速機6の駆動側受圧部158の駆動側受圧面積Apriと前記従動側受圧部160の従動側受圧面積Asecとの面積比(「受圧面積比」ともいう)Apri/Asecと等しくするものである。
【0056】
例えば、前記駆動側受圧部158の駆動側受圧面積Apriが100、前記従動側受圧部160の従動側受圧面積Asecが50であったとすると、面積比は、
Apri/Asec=100/50=2
であり、前記プライマリ分圧受圧部154のプライマリ受圧面積Apbと前記ライン分圧受圧部156のライン受圧面積Asfとの面積比Apb/Asfが、前記駆動側受圧部158の駆動側受圧面積Apriと前記従動側受圧部160の従動側受圧面積Asecとの面積比と等しい「2」となるように受圧面積を設定する。
【0057】
前記変速比制御弁84の付勢手段である他側スプリング150は、信号圧に対向する方向に前記スプール弁126を付勢する。
【0058】
更に、前記変速比制御弁84は、図1に示す如く、プライマリプーリ(PRI)14の作動油を排出する第1ドレンポート128がちょうど閉じる位置にスプール弁126があるときを基準として、変速比制御電磁弁88の制御信号圧と他側スプリング150との関係を設定する。
【0059】
すなわち、前記変速比制御電磁弁88のデューティ比を中立値に制御したときの信号圧が、スプール弁126に作用した力と図1に開示した位置での他側スプリング150の付勢力とが釣り合うように設定するものである。
【0060】
前記変速比制御弁84のハウジングである弁本体104には、図1に示す如く、前記ライン分圧受圧部156と前記プライマリ分圧受圧部154とを挿入するスプール孔である前記第1スプール摺動孔110が形成されているとともに、この第1スプール摺動孔110には、前記ライン分圧受圧部156を収容するスペーサである前記閉塞栓(「プラグ」ともいう)124を挿入する。
【0061】
また、前記スペーサである前記閉塞栓(「プラグ」ともいう)124には、一側ライン圧導入ポート114に連絡するライン分圧通路162が形成される。
【0062】
次に作用を説明する。
【0063】
先ず、変速比制御時について説明する。前記変速比制御弁84のスプール弁126が、図1に示す如く、プライマリ圧、ライン圧、そして信号圧が釣り合う位置にある時に、前記変速比制御弁84のデューティ比を変化させることで信号圧を変化させると、信号圧と他側スプリング150の付勢力とのバランスが崩れて、スプール弁126が移動する(図4、図5参照)。
【0064】
このスプール弁126が移動すると、図4に示す如く、一側プライマリ圧導出ポート118が他側ライン圧導入ポート116に連通し、他側ライン圧導入ポート116から一側プライマリ圧導出ポート118に作動油が供給、あるいは図5に示す如く、一側プライマリ圧導出ポート118が第1ドレンポート128に連通し、一側プライマリ圧導出ポート118の作動油が第1ドレンポート128へと排出されることとなり、プライマリ圧が変化する。
【0065】
このとき、プライマリ圧は信号圧の変化によって崩れたバランスを補正するように変化する。結果、再びスプール弁126が移動し、スプール弁126が中立位置に戻って安定する。
【0066】
つまり、図1に示す状態において、信号圧を昇圧させると、図4に示す如く、スプール弁126が左方向に移動し、他側ライン圧導入ポート116から一側プライマリ圧導出ポート118に作動油が供給されるため、プライマリ圧が昇圧する。
【0067】
また、プライマリ圧を他側プライマリ圧導入ポート120から導入したプライマリ分圧の昇圧によりスプール弁126が右方向に付勢され、スプール弁126が右方向に移動して他側ライン圧導入ポート116を閉じると、プライマリ圧がそれ以上昇圧しなくなる。すなわち、信号圧に応じたプライマリ圧が得られる。
【0068】
反対に、図1に示す状態において、信号圧を減圧させると、図5に示す如く、スプール弁126が右方向に移動し、一側プライマリ圧導出ポート118の作動油が第1ドレンポート128から排出されるため、プライマリ圧が減圧される。
【0069】
また、プライマリ圧を他側プライマリ圧導入ポート120から導入したプライマリ分圧の減圧によりスプール弁126が左方向に移動して第1ドレンポート128を閉鎖すると、プライマリ圧がそれ以上減圧しなくなる。
【0070】
上述したように、ライン圧に対するプライマリ圧が変化することで、セカンダリプーリ16のクランプ力とプライマリプーリ14のクランプ力とのバランスが崩れ、ベルト18の巻き掛け半径が変化して変速が行われる。
【0071】
次に、ライン圧制御時について説明する。前記変速比制御弁84のスプール弁126が、図1に示す如く、プライマリ圧、ライン圧、そして信号圧が釣り合う位置にある時に、ライン圧が増圧されると、フィードフォワードである一側ライン圧導入ポート114によりライン分圧がライン分圧受圧部156に作用し、図4に示す如く、スプール弁126が左方向に移動し、他側ライン圧導入ポート116と一側プライマリ圧導出ポート118とが連通するため、プライマリ圧も増圧される。
【0072】
プライマリ圧は他側プライマリ圧導入ポート120から導入されるプライマリ分圧によりライン分圧受圧部156とプライマリ分圧受圧部154の受圧面積比によって変化するため、プライマリプーリ14のベルトクランプ力とセカンダリプーリ16のベルトクランプ力とのバランスは崩れることがなく、変速比は変化しない。
【0073】
反対に、ライン圧が減圧されると、図5に示す如く、スプール弁126が右方向に移動し、一側プライマリ圧導出ポート118と第1ドレンポート128とが連通するため、プライマリ圧も減圧される。この場合にも、プライマリ圧は受圧面積比によって変化するため、プライマリプーリ14のベルトクランプ力とセカンダリプーリ16のベルトクランプ力とのバランスは崩れることがなく、変速比は変化しない。
【0074】
なお、この発明の実施例における調圧式の前記変速比制御弁84は、図9に開示される流量制御式の変速比制御弁を使用した従来の油圧回路に何ら影響を与えずに使用できる。つまり、従来の油圧回路の流量式の変速比制御弁を、この発明の実施例における調圧式の前記変速比制御弁84に置き換える場合に従来の油圧回路の見直しは必要としない。
【0075】
図6に調圧式の前記変速比制御弁84の出力特性を開示する。この変速比制御弁84の信号圧が中立で保たれていれば、プライマリ圧はライン圧の変化に伴って変化する(記号■参照)。一方、信号圧を中立値から変化させると、プライマリ圧が変化することを示している。信号圧が小さくなると、プライマリ圧が小さくなり、プライマリプーリ14のベルトクランプ力が低下するため、ダウンシフトする。反対に、信号圧が大きくなると、プライマリ圧も大きくなり、プライマリプーリ14のベルトクランプ力が大きくなるため、アップシフトする。
【0076】
従来の変速比制御弁では、スプール弁が中立位置にあってプライマリ圧を保持している状態でライン圧が増減すると、変速比を変動させないように、変速比制御弁を制御してプライマリ圧をライン圧に合わせて増減させる必要があった。この発明の実施例においては、スプール弁の一側に形成したライン分圧受圧部156と他側に形成したプライマリ分圧受圧部154との面積比を前記従動側受圧部160と前記駆動側受圧部158の面積比と等しくし、前記ライン圧の変動時に前記面積比に応じて前記プライマリ圧を自動調整するようにしたことにより、ライン分圧の増加時には、スプール弁がプライマリ圧室であるプライマリ圧側油圧室26とライン圧室、つまりセカンダリ室であるセカンダリ側油圧室34とを連通させて、プライマリ圧を駆動側受圧部158と従動側受圧部160との面積比に応じて昇圧させるとともに、ライン分圧の減少時には、スプール弁がプライマリ圧室であるプライマリ圧側油圧室26と排出室である第1ドレンポート128とを連通させて、プライマリ圧を駆動側受圧部158と従動側受圧部160との面積比に応じて減圧すべく自動調整するため、変速比の制御を容易にし得る。
【0077】
また、急減速から急加速に移行するように変速比制御弁(「制御信号圧」とも換言できる)が制御された場合に、従来の変速比制御弁ではプライマリ圧室であるプライマリ圧側油圧室26が排出室である第1ドレンポート128に連通された後に、ライン圧室、つまりセカンダリ室であるセカンダリ側油圧室34に連通されるため、プライマリ圧室であるプライマリ圧側油圧室26の圧油が抜けてしまい、応答遅れによりスムーズな加速へ移行できない不具合があったが、この発明の実施例においては、急減速から急加速に移行するように変速比制御弁(の制御信号圧)が制御された場合でも、プライマリ圧室であるプライマリ圧側油圧室26の油圧が抜けてしまわず、制御信号圧とライン圧とに応じたプライマリ圧を保持するように調圧されるため、応答遅れを防止してスムーズな加速に移行し得る。
【0078】
更に、従来の変速比制御弁では、ダウンシフト時に変速比制御弁の油圧が抜けしまうため、停車前に変速比を急激にフルローに戻すとともに、プライマリプーリ14のベルトクランプ力を保持できるように油圧を制御するフルロー戻し制御が必要であり、ドライバに違和感を与えていたが、この発明の実施例においては、停車時にも、図6のA部に示すように、油圧が抜けきることがないため、停車前に急激にフルローに戻す制御が不要となり、ドライバに違和感を与えることがない。
【0079】
更にまた、前記変速比制御弁においては、従来の流量制御式の変速比制御弁の油圧回路にライン分圧用通路やプライマリ分圧用通路を追加するだけの小改造で調圧機能を付加できるため、実用上有利である。
【0080】
また、通常、前記プライマリ分圧受圧部154とこのプライマリ分圧受圧部154よりも小径に形成されるライン圧受圧部156とを挿入するスプール孔である前記第1スプール摺動孔110を形成し、第1スプール摺動孔110内にライン分圧受圧部156を収容するスペーサである前記閉塞栓(「プラグ」ともいう)124を挿入したため、スプール孔である前記第1スプール摺動孔110を容易に形成し得る。
【0081】
更に、前記スペーサである閉塞栓(「プラグ」ともいう)124に、一側ライン圧導入ポート114に連絡するライン分圧通路162を形成したことにより、ライン分圧通路162をスペーサである閉塞栓(「プラグ」ともいう)124のあらゆる方向に形成でき、自由度を向上し得る。
【0082】
なお、この発明は上述実施例に限定されるものではなく、種々の応用改変が可能である。
【0083】
例えば、信号圧の中立値を信号圧の出力可能範囲のほぼ中央部位とする構成とすることも可能である。
【0084】
さすれば、アップシフト、あるいはダウンシフトの制御可能範囲を大きく取ることができ、制御性を向上し得る。
【0085】
また、信号圧の中立値を信号圧の出力可能範囲の中央部位からいずれか一方にずらす構成とすることも可能である。
【0086】
さすれば、制御範囲が広くなった方の領域をフェールセーフのために使用することができ、フェールセーフ制御との両立が図れる。
【0087】
更に、この発明の実施例においては、スプール弁126の導出側ランド部134と導入側ランド部136とからなるランド部の対向する面部を夫々平面状に形成したが、面部形状を変更する特別構成とすることも可能である。
【0088】
すなわち、図7に示す如く、ランド部172において、対向する面部174を傾斜面状に形成する方策や、図8に示す如く、ランド部182において、対向する面部184の外周近傍部位に放射状に溝部186を形成する方策とするものである。
【0089】
さすれば、スプール弁の自動調整動作時に、ライン圧側あるいはドレン側に徐々に連絡することとなり、スプール弁の動作が円滑となるとともに、スプール弁の停止時の衝撃を緩和でき、実用上有利である。
【0090】
【発明の効果】
以上詳細に説明した如くこの本発明によれば、従動側プーリの従動側受圧部に供給されるライン圧と、このライン圧を減圧してプライマリ圧を作る変速比制御弁とを備え、プライマリ圧を駆動側プーリの駆動側受圧部に導き、ライン圧とプライマリ圧との相対変化によって変速制御を行う無段変速機の変速比制御装置において、変速比制御弁はハウジング内にスプール弁を摺動自在に収容し、このスプール弁は一側に付与される制御信号圧及びライン圧の分圧と、これに対向して他側に付与される付勢手段の付勢力及びプライマリ圧の分圧との釣り合いによって移動し、ハウジングに形成したプライマリ圧導出ポートを他のポートと非連通にする中立位置と、ライン圧導入ポートに連通する昇圧位置と、ドレンポートに連通する減圧位置とに選択的に切り換え、制御信号圧の変化時にこの制御信号圧とプライマリ分圧の釣り合いによりプライマリ圧を所定の圧力に調圧するとともに、スプール弁の一側に形成したライン分圧受圧部と他側に形成したプライマリ分圧受圧部との面積比を従動側受圧部と駆動側受圧部の面積比と等しくし、ライン圧の変動時に面積比に応じてプライマリ圧を自動調整するようにしたので、ライン分圧の増加時には、スプール弁がプライマリ圧室とライン圧室とを連通させて、プライマリ圧を駆動側受圧部と従動側受圧部との面積比に応じて昇圧させるとともに、ライン分圧の減少時には、スプール弁がプライマリ圧室と排出室とを連通させて、プライマリ圧を駆動側受圧部と従動側受圧部との面積比に応じて減圧すべく自動調整するため、変速比の制御を容易にし得る。また、急減速から急加速に移行するように変速比制御弁(の制御信号圧)が制御された場合でも、プライマリ圧室の油圧が抜けてしまわず、制御信号圧とライン圧とに応じたプライマリ圧を保持するように調圧されるため、応答遅れを防止してスムーズな加速に移行し得る。更に、停車時にも油圧が抜けきることがないため、停車前に急激にフルローに戻す制御が不要となり、ドライバに違和感を与えることがない。更にまた、前記変速比制御弁においては、従来の流量制御式の変速比制御弁の油圧回路にライン分圧用通路やプライマリ分圧用通路を追加するだけの小改造で調圧機能を付加できるため、実用上有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示す無段変速機の変速比制御装置における中立位置の変速比制御弁の概略構成図である。
【図2】無段変速機の概略断面図である。
【図3】無段変速機の変速比制御装置の油圧回路を示す構成図である。
【図4】プライマリ圧低下、ライン圧昇圧、もしくは信号圧昇圧時の変速比制御弁の動作状態を示す図である。
【図5】プライマリ圧昇圧、ライン圧低下、もしくは信号圧低下時の変速比制御弁の動作状態を示す図である。
【図6】調圧式の変速比制御弁の出力特性を示す図である。
【図7】この発明の他の第1の実施例を示すスプール弁の要部拡大図である。
【図8】この発明の他の第2の実施例を示すスプール弁の要部拡大図である。
【図9】この発明の第1の従来技術を示す流量制御式の変速比制御弁を用いた無段変速機用の油圧回路の構成図である。
【図10】流量制御式の変速比制御弁の作動状態を説明する図である。
【図11】図10の領域(a)における変速比制御弁の動作状態を示す図である。
【図12】図10の領域(b)における変速比制御弁を示す図である。
【図13】図10の領域(c)における変速比制御弁の動作状態を示す図である。
【図14】この発明の第2の従来技術を示す調圧式の変速比制御弁を用いた無段変速機用の油圧回路の構成図である。
【符号の説明】
2 内燃機関
6 無段変速機
8 変速機ケース
10 プライマリ軸
12 セカンダリ軸
14 プライマリプーリ(PRI)
16 セカンダリプーリ(SEC)
18 ベルト
26 プライマリ圧側油圧室
34 セカンダリ側油圧室
38 入力軸
40 トルクコンバータ(T/C)
42 前後進切換機構
44 オイルポンプ
46 出力軸
48 カウンタ軸
60 油圧制御回路
62 オイル吸引通路
64 ライン圧通路
66 第1油路
68 ライン圧制御弁
70 第2油路
72 ライン圧制御電磁弁(ソレノイド)
74 第3油路
76 圧力調整弁(リリーフ弁)
78 第4油路
80 第5油路
82 第6油路
84 変速比制御弁
86 第7油路
88 変速比制御電磁弁(ソレノイド)
90−1 一側プライマリ圧通路
90−2 他側プライマリ圧通路
90 プライマリ圧通路
92 第8油路
94 パイロット弁
96 第9油路
98−1 第10一側油路
98−2 第10他側油路
100−1 第11一側油路
100−2 第11他側油路
102 第12油路
104 弁本体
110 第1スプール摺動孔
112 第2スプール摺動孔
114 一側ライン圧導入ポート
116 他側ライン圧導入ポート
118 一側プライマリ圧導出ポート
120 他側プライマリ圧導出ポート
122 信号油圧導入ポート
124 閉塞栓(「プラグ」ともいう)
126 スプール弁
126−1 メインスプール弁
126−2 サブスプール弁
128 第1ドレンポート
130 第2ドレンポート
154 プライマリ分圧受圧部
156 ライン分圧受圧部
158 駆動側受圧部
160 従動側受圧部
162 ライン分圧通路

Claims (3)

  1. 従動側プーリの従動側受圧部に供給されるライン圧と、このライン圧を減圧してプライマリ圧を作る変速比制御弁とを備え、前記プライマリ圧を駆動側プーリの駆動側受圧部に導き、前記ライン圧と前記プライマリ圧との相対変化によって変速制御を行う無段変速機の変速比制御装置において、前記変速比制御弁はハウジング内にスプール弁を摺動自在に収容し、このスプール弁は一側に付与される制御信号圧及び前記ライン圧の分圧と、これに対向して他側に付与される付勢手段の付勢力及び前記プライマリ圧の分圧との釣り合いによって移動し、前記ハウジングに形成したプライマリ圧導出ポートを他のポートと非連通にする中立位置と、ライン圧導入ポートに連通する昇圧位置と、ドレンポートに連通する減圧位置とに選択的に切り換え、前記制御信号圧の変化時にこの制御信号圧と前記プライマリ分圧の釣り合いにより前記プライマリ圧を所定の圧力に調圧するとともに、前記スプール弁の一側に形成したライン分圧受圧部と他側に形成した前記プライマリ分圧受圧部との面積比を前記従動側受圧部と前記駆動側受圧部の面積比と等しくし、前記ライン圧の変動時に前記面積比に応じて前記プライマリ圧を自動調整するようにしたことを特徴とする無段変速機の変速比制御装置。
  2. 前記ハウジングには、前記ライン分圧受圧部と前記プライマリ分圧受圧部を挿入するスプール孔を形成するとともに、このスプール孔には、前記ライン分圧受圧部を収容するスペーサを挿入したことを特徴とする請求項1に記載の無段変速機の変速比制御装置。
  3. 前記スペーサには、ライン分圧通路を形成したことを特徴とする請求項2に記載の無段変速機の変速比制御装置。
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