JP2004066399A - 研削方法及び研削装置 - Google Patents

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Naoyuki Kishida
岸田 尚之
Natsuki Tsuno
津野 夏規
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Abstract

【課題】光学ガラスへの研削加工時間が長時間に渡る場合であっても研削工具表面へのシリカ微粒子の付着力が低下することがなく、被加工物の表面の高い鏡面化を安定して行う。
【解決手段】研削工具26と光学ガラス21とを当接させて相対回転すると共に当接部分にコロイダルシリカ液15を供給しながら光学ガラス21を研削加工する。当接部分に供給されるコロイダルシリカ液15のph値を計測するph計6と、アルカリ性溶液を貯留し、コロイダルシリカ液15にアルカリ性溶液を供給するディスペンサー7と、ph計6で計測されたph値に応じてコロイダルシリカ液15のph値を維持するようにアルカリ性溶液の供給を制御するディスペンサー7の制御部8とを具備する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脆性材料である光学ガラスからなるレンズやプリズムなどの光学ガラスからなる光学素子を研削する方法及び研削する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
レンズやプリズム等の光学ガラスからなる被加工物を高能率且つ高精度で研削する方法及び研削工具としては、特開2001−315061号公報に開示されている。
【0003】
この発明は、研削工具の砥粒を保持する結合材をアルミニウム及び珪素を含有して構成し、この研削工具と被加工物とを当接させて相対回転すると共に、当接する部分にコロイダルシリカ液を供給しながら研削加工を行うものである。
【0004】
この方法は、研削工具とコロイダルシリカ液との間を電気的に接続することなく、従って、シリカ超微粒子をマイナス電位、研削工具をプラス電位に帯電させて研削工具表面にシリカ超微粒子を付着させることなく研削を行う方法である。すなわち、この方法は、結合剤の成分として研削工具に用いたアルミニウムと、研削加工中に供給するコロイダルシリカ液に含有されるシリカ超微粒子との間で生成している界面電位二重層に基づくゼータ電位差を利用して両者を吸着させながら研削を行うものである。具体的には、研削工具側のアルミニウム表面に対し浮遊側のシリカ超微粒子を両者固有のゼータ電位の差で吸着させるものであり、研削工具に保持されてその表面から突出するダイヤモンド砥粒により被加工物の表面の研削加工を行っている。この研削加工中においては、ダイヤモンド砥粒間のアルミニウム表面に付着したシリカ超微粒子が研磨作用を発揮して被加工物の表面の鏡面化を行う。
【0005】
このような発明は、コロイダルシリカ液に含有されているシリカ超微粒子が液中でゼータ電位を有していることに着眼し、このゼータ電位を利用して工具表面にシリカ超微粒子を付着させて研削を行う。この場合、アルミニウムは展延性が高く、ダイヤモンド砥粒を脆性材料である光学ガラスを研削加工できる程度に固定保持できるものではないため、研削工具の結合剤がアルミニウムだけでは研削工具としての形状維持、強度、耐摩耗性を確保できない。このため、結合材としてアルミニウムに加えて珪素を含有させることにより、研削工具としての強度・耐摩耗性を確保するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特開2001−315061号公報に記載されている研削方法は、研削液として用いるコロイダルシリカ液中のシリカ超微粒子(以下シリカ微粒子)が有する界面電気二重層を利用して該シリカ微粒子を研削工具の結合材であるアルミニウム表面にゼータ電位差に基づいて付着させながら光学ガラスを研削加工するために、例えば研削量が多いために長時間に亘る研削加工の場合や、個々の研削量が少なくても大量の光学ガラスを研削加工することによって長時間に亘る研削加工となる場合には、以下の問題点がある。
【0007】
研削工具と光学ガラスとを当接させて回転しながら、当接部位にコロイダルシリカ液を供給して光学ガラスの研削加工を行うと、研削工具としてアルミニウムと珪素を主成分とした結合材を用いているために、コロイダルシリカ液のアルカリ溶液中ではアルミニウムが溶け出しやすく、しかも研削加工で研削工具の摩滅を伴うため、多くのアルミニウムイオン(Al3+)がコロイダルシリカ液に溶出する。また被研削物が光学ガラスであるので、組成成分である金属イオンが光学ガラスの削りかす(スラッジ)から溶出する。
【0008】
このようにして、プラス電荷を有する多様な金属イオンがコロイダルシリカ液に混入することにより、コロイダルシリカ液中に存在する水酸基(OH)が金属イオンと結合することで徐々に奪われるため、研削加工の初期にアルカリ性を呈していたコロイダルシリカ液のph値が中性側に変動を生じる。そして、このようにコロイダルシリカ液のph値が中性側に変化してコロイダルシリカ液のアルカリ性が失われていくと、液中のシリカ微粒子が研削加工の初期に有していた界面電気二重層の滑り面電位であるゼータ電位が小さくなり、ゼータ電位によって研削工具のアルミニウム表面に付着していたシリカ微粒子の付着能力が低下する。このため、研削加工の初期には強い吸着力で付着したシリカ微粒子により研磨作用を発揮させて鏡面化を行うことが可能であったのに対し、付着能力の低下によってシリカ微粒子が脱落しやすくなり、研削加工の初期と長時間に亘る研削加工の後期とでは研削加工面品質が異なり、研削加工の後期では加工面品質が低下して被加工物表面の鏡面性を発揮できなくなる。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、研削工具の表面にコロイダルシリカ液のシリカ微粒子を付着させて研削加工を行う際に、研削加工時間が長時間に亘る場合であっても工具表面へのシリカ微粒子の付着力が低下することなく、安定して被加工物の表面の鏡面化を行うことが可能な研削方法及び研削装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、長時間の研削加工によって研削工具の結合材あるいは光学ガラスの組成成分から溶出した金属イオンと、コロイダルシリカ液中に存在する水酸基(OH)との結合によって、コロイダルシリカ液のアルカリ性が失われて中性側に変化し、ゼータ電位が小さくなっても(低下しても)、コロイダルシリカ液にアルカリ性溶液を注入して水酸基濃度を高めた後に再度研削加工用に供給した場合には、研削加工初期と同様にシリカ微粒子のゼータ電位が高くなり、これによりゼータ電位差に基づく工具表面へのシリカ微粒子の付着力が回復でき、研削加工の後期でも研削加工の初期と同様に光学ガラスの研削能力を維持でき、鏡面化できるとの知見に基づいてなされたものである。
【0011】
このため、請求項1の発明の研削方法は、研削工具と光学ガラスとを当接させて相対回転すると共に当接部分にコロイダルシリカ液を供給しながら光学ガラスを研削加工する研削方法において、前記コロイダルシリカ液にアルカリ性溶液を供給し、コロイダルシリカ液のph値を維持しながら加工を行うことを特徴とする。
【0012】
この研削方法によれば、コロイダルシリカ液にアルカリ性溶液が供給されることにより、コロイダルシリカ液のph値が研削加工の初期の値に近づく。このため、長時間加工後の研削加工の後期であっても、研削加工の初期と同様に研削工具表面へのシリカ微粒子の付着力の低下がなくなり、安定して被加工物の鏡面化ができる。
【0013】
請求項2の発明の研削方法は、研削工具と光学ガラスとを当接させて相対回転すると共に当接部分にコロイダルシリカ液を供給しながら光学ガラスを研削加工する研削方法において、前記当接部分に供給されるコロイダルシリカ液のph値に応じてコロイダルシリカ液にアルカリ性溶液を供給してコロイダルシリカ液のph値が7.8〜9.8の範囲になるよう調整し、調整したコロイダルシリカ液を前記当接部分に供給することを特徴とする。
【0014】
この研削方法によれば、計測されたph値に応じてコロイダルシリカ液にアルカリ性溶液が所定量供給されることにより、コロイダルシリカ液のph値が7.8〜9.8の範囲になるよう調整され、コロイダルシリカ液のph値が研削加工の初期の範囲となる。このため、長時間加工後の研削加工の後期であっても、研削加工の初期と同様に研削工具表面へのシリカ微粒子の付着力の低下がなくなり、安定して被加工物の鏡面化ができる。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1または2記載の研削方法であって、前記アルカリ性溶液が、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウムのいずれかであることを特徴とする。
【0016】
アルカリ性溶液が請求項3記載の化合物のいずれかであれば、コロイダルシリカ液に供給する供給量の制御が容易となり、ph値の調整が容易になる。
【0017】
請求項4の発明の研削装置は、研削工具と光学ガラスとを当接させて相対回転すると共に当接部分にコロイダルシリカ液を供給しながら光学ガラスを研削加工する研削装置において、前記当接部分に供給されるコロイダルシリカ液のph値を計測するph計と、アルカリ性溶液を貯留し、前記コロイダルシリカ液にアルカリ性溶液を供給するディスペンサーと、前記ph計で計測されたph値に応じてコロイダルシリカ液のph値を維持するようにアルカリ性溶液の供給を制御するディスペンサーの制御部とを具備することを特徴とする。
【0018】
この研削装置によれば、ph計で計測されたph値に基づいてディスペンサーからアルカリ性溶液が供給され、供給されたアルカリ性溶液によりコロイダルシリカ液のph値が維持される。このため、長時間加工後の研削加工の後期であっても研削加工の初期と同様に、研削工具表面へのシリカ微粒子の付着力の低下がなくなり、安定して被加工物の鏡面化ができる。
【0019】
請求項5の発明の研削装置は、研削工具と光学ガラスとを当接させて相対回転すると共に当接部分にコロイダルシリカ液を供給しながら光学ガラスを研削加工する研削装置において、前記コロイダルシリカ液を光学ガラスの研削加工前に貯留すると共に前記当接部分にコロイダルシリカ液を供給するタンクと、前記当接部分に供給されたコロイダルシリカ液のph値を計測するph計と、前記コロイダルシリカ液にアルカリ性溶液を供給するディスペンサーと、前記ph計で計測されたph値に応じて前記コロイダルシリカ液のph値を維持するようにアルカリ性溶液の供給を制御するディスペンサーの制御部と、を具備することを特徴とする。
【0020】
この研削装置によれば、ph計で計測されたph値に応じてディスペンサーを制御してアルカリ性溶液を供給し、供給したアルカリ性溶液によりコロイダルシリカ液のph値が維持される。そして、ph値が維持されたコロイダルシリカ液がタンクから供給されるため、長時間加工後の研削加工の後期であっても、研削加工の初期と同様に、研削工具表面へのシリカ微粒子の付着力の低下がなくなり、安定して表面の鏡面化ができる。
【0021】
請求項6の発明は、請求項4または5記載の研削装置であって、前記アルカリ性溶液が、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウムのいずれかであることを特徴とする。
【0022】
アルカリ性溶液が請求項6記載の化合物のいずれかであれば、コロイダルシリカ液に供給する供給量の制御が容易となり、ph値の調整が容易になる。
【0023】
以上の本発明において、コロイダルシリカ液のph値を計測するph計をコロイダルシリカ液が流れる配管に配設して常に(あるいは定期的に)監視することが可能である。そして、このph計が被加工物等から溶出し混入する金属イオン等の量によって所定値から変動したコロイダルシリカ液のph値を検出した場合には、あらかじめ制御部に入力されたアルゴリズムに基づいて、ディスペンサーからアルカリ性溶液を配管内に(あるいはタンク内に)供給するようにしても良い。この場合、コロイダルシリカ液のph値の所定値を、例えば、8.2〜9.5の範囲あるいは7.8〜9.8の範囲として設定し、この所定値を維持して当接部分に供給しても良い。なお、ディスペンサーとしては、ph計と同様に配管に設置することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を一実施の形態により説明する。研削工具としては、ダイヤモンド砥粒(平均粒径30μm、集中度100)と、結合材(アルミニウム粒子;平均粒径が15〜20μmで配合比が75wt%、珪素;平均粒径が20〜30μmで配合比が25wt%)とを混練し、所定形状への成形をした後、焼結して固形化し、光学ガラスの研削工具の最終形状の加工面に機械加工によって形状修正したものを使用した。また、研削工具と光学ガラスとを当接させて両者を相対回転して研削加工する際に供給するコロイダルシリカ液として、スノーテックス(日産化学工業(株)製、商品名)を希釈して9.5のph値(所定ph値)としたものを準備した。
【0025】
図1は、この実施の形態に使用する研削装置を示す。図2は上記した研削工具におけるアルミニウムと珪素からなる所定配合割合の結合材のゼータ電位及び上記したコロイダルシリカ液となる希釈したスノーテックス(日産化学工業(株)製)のph値を連続的に変化させたときの各ph値におけるシリカ微粒子のゼータ電位の特性線図を示す。
【0026】
図2に示すように、コロイダルシリカ液のph値を連続的に変化させても、ph値が4〜12の範囲で、シリカ微粒子は常にマイナスのゼータ電位を有している。そして、ph値がアルカリ性から中性、酸性へと移行するにつれてゼータ電位の絶対値は小さくなり、シリカ微粒子は徐々に電位を失っていくことが解る。特に、ph値が8.2より下がると、急激にその電位は失われていく。
【0027】
研削工具を構成する結合材のゼータ電位は、ph値によって正と負のゼータ電位を有し、特にph値が約9.9近傍においてゼータ電位がゼロになる(電位を失う)等電点が存在し、ph値が等電点を超えるアルカリ性領域では急激にマイナスのゼータ電位が大きくなり、逆にph値が等電点未満では急激にプラスのゼータ電位が大きくなって、その後徐々に増加する。
【0028】
すなわち、コロイダルシリカ液のシリカ微粒子と、研削工具の結合材との両ゼータ電位の差を利用してシリカ微粒子を工具の結合材に付着させ研磨作用を発揮させるには、両者のゼータ電位差が大きい方が付着力(吸着力)が大きくなって有効となる。すなわちゼータ電位差が大きいほど(すなわち、両者のゼータ電位値の積がマイナス(−)で絶対値が大きいほど)、シリカ微粒子が研削工具表面に吸着する力が大きくなり、レンズ面を研削工具によって研削加工する際に、シリカ微粒子が研削工具の結合材表面から脱落しにくくなる。これにより、高い研磨作用を発揮することができるようになる。この実施の形態では、図2に示す特性線図に基づいてph値を9.5に調整したコロイダルシリカ液を用いるものである。
【0029】
図1に示す研削装置は、光学ガラスからなるレンズのレンズ面となる球面創成を行う装置本体20としてのカーブジェネレータ機(CG機)の要部と、この要部に対してコロイダルシリカ液を循環して再使用できるように供給する装置付属部としての供給部10とを有している。
【0030】
研削装置における装置本体20について説明すると、球面創成される光学ガラスからなるレンズ21は、その下面をレンズ貼付皿22に接着剤により接着されている。レンズ貼付皿22は、装置本体20の下方側のレンズ貼付皿回転用の駆動モータ(不図示)に連結されている下側回転軸23上部の下側軸部24に対し、着脱自在に取り付けられており、下側回転軸23の回転によって下側回転軸23の中心線を中心にレンズ21が回転する。
【0031】
レンズ貼付皿22に固定されたレンズ21の上方、すなわち装置本体20の上方側には、研削工具回転用の駆動モータ25が配置されており、駆動モータ25の出力軸に研削工具26の工具軸27が取り付けられている。これにより、研削工具26は出力軸の回転によって出力軸の中心線を中心に回転する。
この場合、研削工具26はCG機用のため、カップ形状(あるいはリング形状)となっている、また、研削工具26の回転中心線と、レンズ貼付皿22の回転中心線とは、所定の角度(スイベル角)で交差すると共に、レンズ貼付皿22に固定されたレンズ21の回転中心線上のレンズ頂部と研削工具26の加工面(レンズ面の加工をする面)とが当接するように不図示の位置調整手段により位置設定がなされている。
【0032】
下側回転軸23の上部側の周囲には、液漏れしないように液密にして下側軸部24が貫通し且つ相対回転自在な状態にして有底凹状の容器28が取り付けられている。容器28は装置本体20に支持された状態で固定されている。容器28は研削工具26によってレンズ21を研削加工する際に、ノズル11から供給されるコロイダルシリカ液15を収容すると共に、収容したコロイダルシリカ液15を循環して再利用するように供給部10に戻り配管4を介して戻すように作用する。
【0033】
装置付属部としての供給部10は、以上の装置本体20の隣接位置に配置されている。レンズ21と研削工具26とが当接して研削加工が行われる際に、ノズル11から加工液であるph値9.5のコロイダルシリカ液15が供給される。このコロイダルシリカ液15は、予め大型のタンク1に充填されており、タンク1に隣接して配置したポンプ2の駆動によって供給配管3を経由して図中の矢印B方向に流れ、ノズル11を介して研削加工が行われる部位に供給される。このようにして供給されたコロイダルシリカ液15は、レンズ21の研削加工に使われた後に収容され、戻り配管4を介して図中の矢印A方向に流れてタンク1に回収されて循環使用される。なお、戻り配管4を介してタンク1にコロイダルシリカ液15が戻る配管の途中に、コロイダルシリカ液15内に混入した異物などを物理的に吸着・捕獲するフィルター5が配置され、このフィルター5の後段側の配管にコロイダルシリカ液15のph値を計測するph計6が接続され、ph計6の後段側の配管にディスペンサー7が接続されている。
【0034】
ディスペンサー7は、その内部にアルカリ性溶液として水酸化カルシウム(ph値10、純度95%)が充填されており、ph計6の計測結果に応じてコロイダルシリカ液15のph値が設定ph値(ph値9.3)よりも低下した場合に、充填されているアルカリ性溶液をコロイダルシリカ液15に適量注入する。
【0035】
ディスペンサー7及びph計6は制御ボックス8に接続されている。制御ボックス8は、ph計6で計測された計測データを取り込み、取り込んだ計測データと予め設定したコロイダルシリカ液15のph値(設定ph値)とを比較してその差(補正値)を演算すると共に、演算結果としての差を解消して所定ph値にするために配管に供給するアルカリ性溶液の供給量を設定し、設定された供給量を供給するようディスペンサー7を制御する制御信号を送る各演算回路、比較回路等を備えた制御部として機能する。
【0036】
この実施の形態では、タンク1に充填されているコロイダルシリカ液(ph値9.5)は、ポンプ2によって供給配管3内に流れて、レンズ21と研削工具26との当接部位(加工部分)にノズル11を介して供給される。加工部位に供給されたコロイダルシリカ液15は、研削工具26の結合材としてのアルミウム表面に接触することにより、液中のシリカ微粒子がアルミニウム表面にゼータ電位に基づいて付着し、この状態で研削工具26のダイヤモンド砥粒と付着したシリカ微粒子によりレンズ21のレンズ面の研削加工が行われる。
【0037】
このようにして加工に供されたコロイダルシリカ液15は、レンズ21のレンズ面を流れて容器28内に溜まり、容器28から戻り配管4を経由してフィルター5内に流入する。フィルター5では、コロイダルシリカ液15のアルカリ性を損なう多種の金属イオンを含有する光学ガラスの削りかす(スラッジ)や、装置本体20から落ちるゴミなどの異物が捕獲される。フィルター5によって削りかすや異物を除去されたコロイダルシリカ液15は、戻り配管4を流れ、該配管4に配置されたph計6を通る際にph計6によってph値が計測される。
【0038】
計測されたph値の計測データは制御ボックス8に送信され、送信されたph値の計測データが予め制御ボックス8の入力端子を介して入力した設定ph値(ph値9.3)と比較される。そして、設定ph値に対し計測データのph値(計測ph値)が小さい(低い)場合、すなわちコロイダルシリカ液のph値が最適範囲でない場合は、ph値を所定ph値(ph値9.5)に修復させるように、必要な供給量が制御ボックス8内で設定される。この設定された制御信号に基づいて、ph計6の後段に設けられたディスペンサー7から戻り配管4内で流動するコロイダルシリカ液に対しアルカリ性溶液が注入される。ディスペンサー7からアルカリ性溶液が注入されることにより、コロイダルシリカ液は所定ph値(ph値9.5)、すなわちシリカ微粒子の負のゼータ電位が高く発揮されるph値となってタンク1に戻され、再度ポンプ2によって加工部分へと供給される。
【0039】
なお、以上の説明では、タンク1に充填され、研削加工の初期に用いられるコロイダルシリカ液の所定ph値をph値9.5とし、また制御ボックス8に入力した設定ph値をph値9.3として説明したが、各ph値の設定はこれに限定されるものではない。
【0040】
この実施の形態では、図2から明らかなように、ph値が8.0〜9.7の範囲では、シリカ微粒子の負のゼータ電位と、研削工具26の結合材の正のゼータ電位との特性線図が略平行に推移して両者の電位差の積が、−2000〜−1800(mV)の最小値を得ることから、研削加工の際に供給されるコロイダルシリカ液15のph値が8.0〜9.7の範囲にあれば、シリカ微粒子が工具表面の結合材に吸着する力(吸着力)が大きくなり、特に高い研磨作用による鏡面化を発揮することができる。
【0041】
なお、実験によって確認したところ、両者の電位差の積が−400(mV)以下であれば、レンズ21の研削加工において良好に鏡面化でき、このときのコロイダルシリカ液のph値は、7.8〜9.8の範囲となっていた。これから両者の電位差の積を−400(mV)以下として研削加工すればよいことになる。
【0042】
このように、光学ガラスであるレンズ21の研削加工後に、容器28から戻り配管4を介して流れるコロイダルシリカ液のph値が、タンク1に収容されているコロイダルシリカ液の所定ph値(例えばph値7.8〜9.8、特にph値8.2〜9.5の範囲、あるいはph値9.5あるいはph値9.8のような一点)よりも低い場合に、この低いph値のコロイダルシリカ液を所定ph値に復帰させるように、アルカリ性溶液を適量注入すれば良い。このため、制御ボックス8に予め入力した設定ph値としては、タンク1に収容するコロイダルシリカ液の所定ph値に応じて、当該所定ph値と同じかあるいは所定のph値よりも低い値で設定することができる。
【0043】
なお、この実施の形態における供給部10では、容器28とフィルター5との間に第2のポンプを配設し、容器28に収容される一度使用されたコロイダルシリカ液を強制的に戻り配管4に送るようにすることができる。
【0044】
また、容器28とph計6との間の戻り配管4に設けたフィルター5に代えて、コロイダルシリカ液を貯留しながら、削りかす(スラッジ)や異物を沈殿分離する貯留槽を設け、この貯留槽からコロイダルシリカ液を戻り配管4を介してph計6に送るようにしても良い。
【0045】
さらに、タンク1からコロイダルシリカ液がポンプを介して送られる際に、供給配管3の途中(すなわちポンプ2とノズル11との間)に戻り配管4側に設けたフィルターと同様のフィルターをさらに増設してもよい。
【0046】
なお、図2において研削工具26の結合材のゼータ電位に係る特性線図は、この実施の形態の組成比の場合のものであるが、研削工具26の結合材の成分の配合比がアルミニウム65〜85重量%、珪素35〜15重量%の範囲では図2の特性線図よりもわずかに低下するレベルとなる場合がある。この場合においても、両者の電位差の積が−400(mV)よりも大きくなるようなレベルではなく、研削加工に対して問題とはならないものである。
【0047】
また、研削工具26側をプラス電極に接続し、コロイダルシリカ液内にマイナス電極を浸漬してシリカ微粒子を電気的にマイナス極に帯電させ、シリカ微粒子をプラス極の研削工具26に付着させて研削加工を行うことができる。この場合においても、コロイダルシリカ液のph値が7.8〜9.8の範囲内で維持されていることにより、この範囲よりも外れたコロイダルシリカ液を用いる場合に比較して吸着力が大きい傾向にあることが、光学レンズの鏡面化の程度(鏡面加工した面に斜め入射した光を目視にて観察した場合)で確認された。
【0048】
また、コロイダルシリカ液のph値を上記した領域に維持するために、アルカリ性溶液を供給するが、アルカリ性溶液としては水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウムなどを適宜選択することができ、いずれもph値調整に対しての機能は有している。この場合において、環境への影響や作業者への安全性の観点からは、水酸化カルシウムが最も好ましい。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、加工液であるコロイダルシリカ液のph値を安定して維持することができるため、光学ガラスへの研削加工時間が長時間に亘る場合であっても研削工具表面へのシリカ微粒子の付着力が低下することがない。これにより、被加工物の表面の高い鏡面化を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に使用する研削装置の部分断面図である。
【図2】ph値の変化によるゼータ電位の変化を示す特性線図である。
【符号の説明】
1 タンク
6 ph計
7 ディスペンサー
8 制御ボックス
11 ノズル
15 コロイダルシリカ液
21 レンズ
26 研削工具

Claims (6)

  1. 研削工具と光学ガラスとを当接させて相対回転すると共に当接部分にコロイダルシリカ液を供給しながら光学ガラスを研削加工する研削方法において、
    前記コロイダルシリカ液にアルカリ性溶液を供給し、コロイダルシリカ液のph値を維持しながら加工を行うことを特徴とする研削方法。
  2. 研削工具と光学ガラスとを当接させて相対回転すると共に当接部分にコロイダルシリカ液を供給しながら光学ガラスを研削加工する研削方法において、
    前記当接部分に供給されるコロイダルシリカ液のph値に応じてコロイダルシリカ液にアルカリ性溶液を供給してコロイダルシリカ液のph値が7.8〜9.8の範囲になるよう調整し、調整したコロイダルシリカ液を前記当接部分に供給することを特徴とする研削方法。
  3. 前記アルカリ性溶液が、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウムのいずれかであることを特徴とする請求項1または2記載の研削方法。
  4. 研削工具と光学ガラスとを当接させて相対回転すると共に当接部分にコロイダルシリカ液を供給しながら光学ガラスを研削加工する研削装置において、
    前記当接部分に供給されるコロイダルシリカ液のph値を計測するph計と、アルカリ性溶液を貯留し、前記コロイダルシリカ液にアルカリ性溶液を供給するディスペンサーと、前記ph計で計測されたph値に応じてコロイダルシリカ液のph値を維持するようにアルカリ性溶液の供給を制御するディスペンサーの制御部とを具備することを特徴とする研削装置。
  5. 研削工具と光学ガラスとを当接させて相対回転すると共に当接部分にコロイダルシリカ液を供給しながら光学ガラスを研削加工する研削装置において、
    前記コロイダルシリカ液を光学ガラスの研削加工前に貯留すると共に前記当接部分にコロイダルシリカ液を供給するタンクと、前記当接部分に供給されたコロイダルシリカ液のph値を計測するph計と、前記コロイダルシリカ液にアルカリ性溶液を供給するディスペンサーと、前記ph計で計測されたph値に応じて前記コロイダルシリカ液のph値を維持するようにアルカリ性溶液の供給を制御するディスペンサーの制御部と、を具備することを特徴とする研削装置。
  6. 前記アルカリ性溶液が、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウムのいずれかであることを特徴とする請求項4または5記載の研削装置。
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