JP2004066223A5 - - Google Patents

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【書類名】 明細書
【発明の名称】 廃水処理装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水に難溶性の金属塩および金属水酸化物として固液分離する電解質廃水処理において、二つのイオン化傾向の異なる金属を電気導体で接続し、そして、前記二種の金属の内で電気化学的に卑なる方をアノードとし、又、電気化学的に貴なる方をカソードとし、前記アノードとカソードを電解質廃水中に浸漬して一次電池を形成した電気化学反応手段と、アノードまたはカソードと電気導体を接続するアノード端子およびカソード端子等の電気導体接続手段と、機械攪拌あるいは曝気攪拌または自然力攪拌等の攪拌手段を配設することを特徴とする電解質廃水処理装置。
【請求項2】 水に難溶性のリン酸金属塩および金属水酸化物として固液分離するリン酸イオンを含有する電解質廃水処理において二つのイオン化傾向の異なる金属を電気導体で接続し、そして、前記二種の金属の内で電気化学的に卑なる方をアノードとし、又、電気化学的に貴なる方をカソードとし、前記アノードとカソードを、前記電解質廃水中に浸漬して一次電池を形成した電気化学反応手段と、アノード端子およびカソード端子等の電気的接続手段と、曝気攪拌または自然力攪拌等の攪拌手段固液分離手段を配設することを特徴とする請求項1記載の電解質廃水処理装置。
【請求項3】 水に難溶性のリン酸金属塩および金属水酸化物として固液分離するリン酸イオンを含有する電解質廃水処理において、鉄製アノードと鉄よりも電気化学的に貴なる金属製カソードを電気導体で接続したものを浸漬して一次電池を形成した電気化学反応手段と、アノード端子およびカソード端子等の電気導体接続手段と、曝気攪拌手段を配設する共に水に難溶性で磁性体の鉄塩および水酸化第二鉄を生成している。そして、前記水に難溶性で磁性体の鉄塩および水酸化第二鉄を含有する処理水を前記反応槽に後置した非磁性体の沈降分離槽に、移流するか又は磁性体微粒子含有凝集剤を注入混和攪拌した後に移流する。該沈降分離槽に近接した槽外であって、水流方向に移動する搬送手段に装荷した磁気発生体に非磁性体の沈降分離槽壁を介して前記水に難溶性で強磁性体の鉄塩および水酸化第二鉄を前記磁気発生体に励磁吸引して捕捉搬送する。そして所定の場所に集泥された前記水に難溶性で磁性体の鉄塩及び水酸化第二鉄に対して励磁吸引力を解除または弱めて集泥する事を特徴とする請求項2記載の電解質廃水処理装置。
【請求項4】 硫化物又は水流化物のどちらか一方又は両方を含有する電解質廃水処理において、鉄製アノードと鉄よりも電気化学的に貴なる金属製カソードを電気導体で接続したものを浸漬して一次電池を形成した電気化学反応手段と、アノード端子およびカソード端子等の電気導体接続手段と曝気攪拌手段を配設すると共にpH調整手段で前記電解質廃水のpH値を7付近に調整することにより硫化第一鉄及び硫化第二鉄を生成して凝集剤とすることを特徴とする請求項1記載の電解質廃水処理装置。
【請求項5】 水に難溶性の金属塩および金属水酸化物として固液分離する電解質廃水処理において、二つのイオン化傾向の異なる金属を電気導体で接続し、そして、前記二種の金属の内で電気化学的に卑なる方をアノードとし、また、電気化学的に貴なる方をカソードとし、前記アノードとカソードを該カソードと同一かまたは電気化学的により貴な有用金属イオンを含有する電解質廃水に浸漬して一次電池を形成した電気化学反応手段と、アノード端子およびカソード端子等の電気導体接続手段と、機械攪拌あるいは曝気攪拌または自然力攪拌等の攪拌手段を配設することにより有用金属を前記カソードまたは前記電解質廃水中に析出させて有用金属を回収することを特徴とする請求項1記載の電解質廃水処理装置。
【請求項6】 水に難溶性の金属塩および金属水酸化物として固液分離する電解質廃水処理において、二つのイオン化傾向の異なる金属を電気導体で接続し、そして、前記二種の金属の内で電気化学的に卑なる方をアノードとし、また、電気化学的に貴なる方をカソードとし、前記アノードとカソードを電解質廃水中に浸漬して一次電池を形成した電気化学反応手段と、複数のアノードまたはカソード等を接続するアノード端子およびカソード端子等の電気導体接続手段と、機械攪拌あるいは曝気攪拌または自然力攪拌等の攪拌手段を配設すると共に複数の前記一次電池を並列接続手段で接続して並列接続一次電池モジュールとしたものを直列接続手段で接続して一次電池アレイとするかまたは複数の一次電池を直列接続手段で接続して直列接続一次電池モジュールとしたものを並列接続手段で接続して直流電力を出力するアノード及びカソード共通端子を配設した一次電池アレイとした発電手段を有することを特徴とする請求項1、2、3、4および5記載の廃水処理装置。
【請求項7】 水に難溶性の金属塩および金属水酸化物として固液分離する電解質廃水の処理において、二つのイオン化傾向の異なる金属を電気導体で接続し、そして、前記二種の金属の内で電気化学的に卑なる方をアノードとし、また、電気化学的に貴なる方をカソードとし、前記アノードとカソードをpH値が5以下である電解質廃水中に浸漬して一次電池を形成した電気化学反応手段と、複数のアノードまたはカソード等を接続するアノード端子およびカソード端子等の電気導体接続手段と、機械攪拌手段を配設して水素ガスを捕集して貯留する捕集貯留手段を有することを特徴とする請求項1記載の廃水処理装置。
【請求項8】 水に難溶性の金属塩および金属水酸化物として固液分離する電解質廃水の処理において、二つのイオン化傾向の異なる金属を電気導体で接続し、そして、前記二種の金属の内で電気化学的に卑なる方をアノードとし、また、電気化学的に貴なる方をカソードとし、前記アノードとカソードをpH値が5以下である電解質廃水中に浸漬して一次電池を形成した電気化学反応手段と、複数のアノードまたはカソード等を接続するアノード端子およびカソード端子等の電気導体接続手段と、機械攪拌手段を配設すると共に複数の前記一次電池を並列接続手段で接続して並列接続一次電池モジュールとしたものを直列接続手段で接続して一次電池アレイとするかまたは複数の一次電池を直列接続手段で接続して直列接続一次電池モジュールとしたものを並列接続手段で接続して直流電力を出力するアノード及びカソード共通端子を配設した一次電池アレイとした発電手段と、カソードで発生する水素ガスを捕集して貯留する捕集貯留手段を有することを特徴とする請求項1記載の廃水処理装置。
【請求項9】 水に難溶性の金属塩および金属水酸化物として固液分離する電解質廃水処理において、一次電池アレイとした発電手段と、蓄電池又は商用電源から一次電池アレイへの逆電流を阻止すると共に蓄電池の過充電および過放電を阻止制御する充放電制御手段と、直流電力を蓄電する蓄電手段及び直流を交流に変換する直交変換手段等を少なくとも有することを特徴とする請求項1又、2、3、5または6記載の廃水処理装置。
【請求項10】 水に難溶性の金属塩および金属水酸化物として固液分離する電解質廃水処理において、アノードとカソードの両極を格子状籠構造とした請求項1、2、3、4、5、6、7および8記載の廃水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気化学反応手段により水に難溶性の金属塩および金属水酸化物として固液分離すると共に有用金属の回収、発電および水素ガスの生産を行う廃水処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の、電解質廃水処理方法の一種であるリン酸イオン含有廃水処理方法においては、電気分解法、吸着法、鉄接触材法、凝集処理法、晶析法等の多くの処理法が実用化されている。電源を設けた電気分解法と吸着法を組合せたものとして、生活排水に含有するリン酸イオンを除去する装置を浄化槽に配設している知見を開示している(例えば、特許文献1参照。)。又、鉄接触材法としては鉄の酸素濃淡電池腐食等の自然腐食によるリン除去技術を回転円盤方式生物処理の接触材に利用した知見がある(例えば、非特許文献1参照。)。さらに又、鉄接触材法としては鉄の酸素濃淡電池腐食等の自然腐食によるリン除去技術の原理を述べている(例えば、非特許文献2参照。)。又、リンおよび窒素化合物含有廃水生物処理において、嫌気槽、好気槽、沈降分離槽および凝集処理手段を組合せた方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。又、晶析法としてはPh調製等によりリン酸イオンをリン酸マグネシウムアンモニウム六水和物として回収する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。又、磁性体粒子を含有する凝集剤で、被処理水中の汚濁物を、励磁された磁性体に担持された浮遊固形物とし、被処理水の流れの中で、磁力により前記浮遊固形物を被処理水から吸引捕捉して分離する装置の知見が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。又、第一鉄塩、第二鉄塩のどちらか一方又は両者を含む水溶液と、硫化ナトリウム、水硫化ナトリウムのどちらか一方又は両者を含む水溶液との反応で生成した硫化鉄を酸性染料、塩基性染料、直接染料、含金染料、分散染料、反応染料、硫化染料等の着色物質含有廃水に、必要に応じてpH調整し又は高分子凝集剤等と共に良好な凝集剤の一つとし添加する方法が開示されている(例えば、特許文献5参照。)又、広く知られた技術ではあるが、電気メッキはカソードにおける還元反応として又、化学メッキは還元剤を用いて素地金属面を触媒としたメッキ方法である知見がある(例えば、非特許文献3参照。)。又、海水電池としての利用目的で、カソードとアノードとを導電板の両面に貼り合わせてなる単位を複数個配列し、隣接する単位の異極及び異極間の空間で一つのセルを形成して直列接続する方法が開示されている(例えば、特許文献6参照)。そして又、異種金属を密接して構成した複合電極単位を電解質液に浸漬して発生する異種金属間の電位差で水素ガスを発生させる方法が開示されている(例えば、特許文献7参照。)。そして、一次電池で電気化学的に電解質廃水を処理すると共に有用金属の回収、発電及び水素ガス生産を伴う電解質の廃水処理装置は開示されていなかった。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−277090号公報(第2頁、第1図〜第4図)
【非特許文献1】
西口 猛鉄、“接触材を用いたリン除去技術[1]”、用水と廃水、1989年11月、P3−P10
【非特許文献1】
西口 猛、“鉄接触材を用いたリン除去技術[4]”、用水と廃水、1990年三月、P39−P49
【特許文献2】
特開平5−185091
【特許文献3】
特開平10−113673
【特許文献4】
特開2003−38984
【特許文献5】
特開平9−174061
【非特許文献3】
伊藤 伍郎著「改訂 腐食科学と防食技術」コロナ社出版、1990年6月30日、p.390-391
【特許文献6】
特開2002−110141
【特許文献7】
特開2000−199090
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
電気分解法では、電気設備費と電力費が必要であると共に維持管理が煩雑である問題があった。
【0005】
又、鉄接触材法では、酸素濃淡電池又は通気差電池と呼ばれる自然腐食による為、電位差が極めて小さいので、大量の鉄材が必要であると共に長期間安定して使用出来ない問題があった。
【0006】
又、凝集法、晶析法、吸着法では、pH調整又はSS分除去の前処理を要すると共に建設費及び維持管理費が高価であると共に維持管理が煩雑である問題があった。
【0007】
又、一次電池は起電力が小さく、又電流も小さいので、金属イオンの溶出量が少なく問題があった。
【0008】
又、磁性体粒子を生成する手段としての、凝集剤注入処理法、外部電源電気分解法等は処理単価が高い問題点があった。
【0009】
又、磁性体微粒子を含有する廃水を固液分離処理する非磁性体の分離槽において、磁性体粒子汚泥を非磁性体の分離槽壁を介して励磁吸引すると共に水流で搬送する手段が開示されていたが、垂直方向の力は重力、ファンデルワールス力及び磁力等の垂直合力が作用するので水平方向の抗力が大きくなり、分離槽の底部を急傾斜としても、流水により磁性体微粒子汚泥を流水方向に搬送することは可能としても、水流に伴う乱流を惹起するので、効果的に固液分離処理を行う事に困難を伴っていた。
【0010】
又、硫化ナトリウム又は水流化ナトリウム含有廃水に第一鉄塩又は第二鉄塩含有廃水を混合して生成する硫化第一鉄又は硫化第二鉄を凝集剤として利用する方法では、利用範囲が限定される問題点があった。
【0011】
又、単一の一次電池では、電力として利用するには、電圧及び電流が小さいので、発電を伴う電解質廃水処理装置としては利用不可能であった。
【0012】
又、有用金属イオンを含む電解質廃水から安価に有用金属と水素ガスを生産する創意工夫がなされていなかった。
【0013】
そして、異種金属を密接して構成した複合電極単位を電解質液に浸漬して発生する異種金属間の電位差で水素ガスを発生させる方法では、電極と電解液との接触面積が小さく、直列接続して発生電位差を大きく出来ない問題点があった。
【0014】
又、アノードが、出来るだけ多くの処理水と接触するような工夫と、電流密度を小さくする工夫をした形状の物がない問題があった。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の電解質廃水処理装置においては、二つのイオン化傾向の異なる金属をアノード及びカソードとし、このアノードとカソードを電気導体で接続して、一次電池を構成する。該一次電池において、アノードでは金属がイオンとして溶出し、廃水中の陰イオンと結合して難溶性の金属塩となる反応と水分子が電子を失って酸素と水素イオンになる反応が起こり、一方、カソードでは、アノードから送られた電子を、例えば銅又は銅よりもイオン化傾向の小さな金属のイオンに与えて金属が析出する反応、又は、水分子と酸素分子が電子を得て水酸イオンとなり、又は、水分子が電子を得て水素ガスと水酸イオンと成る反応、さらに、該水酸イオンとアノードで溶出した金属イオンが反応して水酸化金属が生成する。従って、難溶性の金属塩を沈殿分離し、水素ガスを採取し、有用金属を回収するとよい。即ち、アノードは金属原子Mが電子を失って腐食し、一般に
【0016】
【化1】
Figure 2004066223
【0017】
と書き表せるが、鉄の場合は
【0018】
【化2】
Figure 2004066223
【0019】
【化3】
Figure 2004066223
の酸化反応が起こる。そして、水中に陰イオン、例えばオルトリン酸イオンを含有すると
【0020】
【化4】
Figure 2004066223
の反応が起こり難溶性で沈降性の良いオルトリン酸鉄塩を生成する。
又カソードでは逆に還元反応が起こり、一般に
【0021】
【化5】
Figure 2004066223
と書き表せるが、例えば銅イオンの還元反応である
【0022】
【化6】
Figure 2004066223
あるいは水素発生反応である
【0023】
【化7】
Figure 2004066223
【0024】
【化8】
Figure 2004066223
又は酸素還元反応である
【0025】
【化9】
Figure 2004066223
【0026】
【化10】
Figure 2004066223
などが起こる。しかし上記の各種の酸化及び還元反応の発現の程度は電解質の種類、アノード及びカソードに使用する物質の組合せ、pH値、水温等の違いにより異なる。従って上記の電気化学反応式に傍記した(pH<5)及び(pH>5)は水素イオン濃度による反応形態依存性を示したものである。
【0027】
pH値が5を超え8.2の中性付近ではアノードの酸化反応は溶存酸素を必要とするので、電解質廃水に直接酸素を供給するか空気を供給すると良い。Ph<5の酸性では酸素がなくても酸化反応は起こるが、酸素があるとさらに酸化反応は増進する。
【0028】
槽内電解質濃度均質化の為に電解質廃水を攪拌すると良い.
【0029】
処理方式に応じた位置に装備された一次電池ユニットの下流側に、隣接又は離隔して装備されたリン酸塩を吸着する吸着剤を収納したリン回収ユニットを装備すると良い。
【0030】
リン酸塩生成槽に収容したリン酸イオンを含む電解質廃水において、鉄製アノードと鉄よりも電気化学的に貴なる金属カソード、例えば銅製カソードとで一次電池を構成して反応生成した難溶性で磁性体のリン酸鉄塩を含む処理水を非磁性体の固液分離槽に導入して、前記難溶性で磁性体の燐酸鉄塩を前記非磁性体の固液分離槽の槽壁底外であって水流方向に移動する搬送手段に装荷した強力な磁気発生体に前記非磁性体の固液分離槽壁を介して磁性粒子を励磁して吸引補捉及び搬送すると良い。
【0031】
又、硫化物又は水流化物のどちらか一方又は両方を含有する電解質廃水から、鉄をアノードとすると共に鉄よりも電気化学的に貴なる金属をカソードとした一次電池を装備した廃水処理装置で硫化第一鉄及び硫化第二鉄を生成して凝集剤とすると良い。
【0032】
二つのイオン化傾向の異なる金属を電気導体で接続し、そして、前記二種の金属の内で電気化学的に卑なる方をアノードとし、また、電気化学的に貴なる方をカソードとし、前記アノードとカソードを該カソードと同一かまたは電気化学的により貴な有用金属イオンを含有する電解質廃水に浸漬して一次電池を形成した電気化学反応により有用金属を回収すると良い。
【0033】
又、アノード反応とカソード反応を活発にし、両極で溶出又は生成するイオンの量を多くする為に、複数の一次電池を直列に接続して起電力を大きくし、又、一次電池を並列に接続して、電流量を多くすると効果的である。
【0034】
又、pH<5の酸性域の電解質廃水中に一次電池を装備して水素ガスを生産すれば良い。水素ガス発生はpH値が低い程、効果的である。
【0035】
そして、電解質廃水処理の一工程として、電圧及び電流を大きくして電気容量を大きくしたことにより電力源として利用し易くする為に、所要の数の一次電池を直列及び並列接続した一次電池アレイを、少なくとも充放電コントローラ、蓄電池、インバータ等と共に接続構成すると良い。
【0036】
又、アノード及びカソードを格子状籠構造とすると効果的である。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態として実施例を図1〜図27に基づいて説明する。
図1において、リン酸イオン含有の電解質廃水を、活性汚泥処理曝気槽1で曝気処理している水中に、支持部材2でそれぞれ固着支持された平板状鉄製アノード3と平板状銅製カソード4の大部分を浸漬し、水面上にある平板状鉄製アノード上部3aと平板状銅製カソード上部4aを電気導体5で連結して成る一次電池6を構成している。そこで一次電池6の電気化学反応の概略を図2に示すように、前記平板状鉄製アノード3では、鉄が溶出酸化して第一鉄イオン、及び、さらに酸化されて第二鉄イオンとなり、そして又、水分子は酸素分子と水素イオンに分解して、電子が前記電気導体5を経由して前記平板状銅製カソード4に移動している。そして、前記第二鉄イオンは水中のオルトリン酸イオンと反応して水に難溶性のオルトリン酸鉄塩となり、静置すると容易に沈殿する。一方、平板状銅製カソード4では、水分子と酸素分子が電子を得て水酸イオンとなり、前記第一鉄イオン及び第二鉄イオンと反応して、水酸化第一鉄を経て水酸化第二鉄となり静置すると容易に沈殿する。
【0038】
上記実施例では、アノード及びカソードとして鉄製品及び銅製品を使用しているが、一次電池6のカソードとアノード間の電位差を大きくすると共にアノードの溶解量を大きくするためには、イオン化列においてアノードとカソードのイオン化傾向差の大きいことが有利である。例えば、鉄よりも亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウムの順にイオン化傾向が大きくなる。しかし、価格面及び毒性を含めた取り扱い安さも考慮する必要がある。又、電極材としては電気導体だけでなく、例えば電気不良導体である炭酸カルシウムを主成分とする貝殻又は石灰石等の粉末に5〜15%のアセチレンブラック、黒鉛あるいは、それらの混合物を加え十分に混合したものに、結着材を加えた合剤を銅のエキスパンドメタルに塗布したものをアノードとする事もできる。当該項で述べたことは以下の実施例では勿論の事全ての電極にも適用出来る。
【0039】
図3及び図4に示される実施例では、支持部材2でそれぞれ固着支持された平板状鉄製アノード3と平板状銅製カソード4の大部分を浸漬し、前記平板状鉄製アノード3と平板状銅製カソード4を電気導体5で接続して、一次電池6としている。そして、一次電池収納槽7に、前記平板状鉄製アノード3と平板状銅製カソード4の下方に散気装置8を配置して収納した一次電池ユニット9としている。
【0040】
図5及び図6に示される実施例では、一次電池収納槽7に一次電池6と散気装置8を収納して一次電池ユニット9とし、そして、該一次電池ユニット9と、吸着剤10を吸着剤収納槽11の中に下部多孔板12−1と上部多孔板12−2とで保持収納して成る吸着剤ユニット13としたものを、連結一体化してリン回収ユニット14としている。前記一次電池ユニット9で未処理となったリン酸イオンは次の吸着剤ユニット13の吸着剤10で吸着される。
【0041】
図7に示される実施例では、嫌気濾床接触曝気浄化槽15に配設した沈殿槽16の下層水部16aにおける処理水を、循環ポンプ17を配設した循環管18で第一嫌気濾床槽19の流入口20の近傍へ循環返送している。そして、前記循環管18の途中にリン回収ユニット14を装備している。リン回収ユニット14の取付け状態を示す縦断面図を図8に示すように、一次電池ユニット9と吸着剤ユニット13とを連結一体化した前記リン回収ユニット14を前記循環管19に配設している。
【0042】
図9に示される実施例では、図7リン回収ユニット14を設けた位置に替えて、第一嫌気濾床槽19と第二嫌気濾床槽21の仕切り板22の位置に装備している。リン回収ユニット14の取付け状態を示す縦断面図を図10に示すように、一次電池ユニット9と吸着剤ユニット13とを連結一体化した前記リン回収ユニット14を前記仕切り板22に取付けている。
【0043】
図11の実施例では、平板状鉄製アノード3と平板状銅製カソード4の大部分を接触曝気槽23の水中に浸漬した状態で、支持部材2及び支持部材24で固着支持し、そして、平板状鉄製アノード上部3aと平板状銅製カソード上部4aを電気導体5で接続して一次電池6を構成して前記接触曝気槽23に装備している。又、吸着剤ユニット13は、越流堰25から消毒槽26へ通じるトラフ27の途中に挿入して装備している。前記一次電池6の構成と取付け状態を示す平面図と該平面図のC−C線断面図を図12と図13に示すように、前記接触曝気槽23に一次電池ユニット9を装備している。又, 前記吸着剤ユニット13の構成と取付け状態を示す平面図と該平面図のD−D
線断面図を図14と図15に示すように、前記越流堰25から前記消毒槽26へ通じる前記トラフ27の途中に挿入して装備している。
【0044】
図16及び図17に示す実施例において、一次電池収納槽7に平板状鉄製アノード3と平板状銅製カソード4を支持部材2で固着支持し、前記平板状鉄製アノード3と平板状銅製カソード4を河川流水中に浸漬し、そして、平板状鉄製アノード上部3aと平板状銅製カソード上部4aを絶縁被覆電気導体28で接続して一次電池ユニット9を構成している。又、吸着剤収納槽11に下流側多孔板29−1と上流側多孔板29−2で吸着剤10を保持収納した前記吸着剤収納槽11と前記一次電池ユニット9とを連結一体化してリン回収ユニット14としている。そして、該リン回収ユニット14を河川流水中に設置している。
【0045】
図18に示す実施例において、散気装置8を装備した活性汚泥処理曝気槽1に収容したリン酸イオン含有の電解質廃水において、平板状鉄製アノード3と平板状銅製カソード4を電気導体5で接続したものを浸漬して一次電池6を構成している。すると前記平板状鉄製アノード3は酸化して第一鉄イオン及び第二鉄イオンを生成して水中のリン酸イオンと反応結合して水に難溶性で磁性体のリン酸鉄塩を生成すると共に難溶性で磁性体の水酸化第二鉄を生成する。そして前記水に難溶性で磁性体のリン酸鉄塩および水酸化第二鉄を含有した処理水を、非磁性の沈降分離槽30に移流する。非磁性体の該沈降分離槽30は底床部30aを流水方向に下がり勾配としており、前記底床部30aの外壁側に前記底床30aに平行した方向に共通の中心線を有する前方スプロケット対31A及び後方スプロケット対31Bを両端に配設すると共に前記前方スプロケット対31A及び後方スプロケット対31Bにより走行するリンクベルト32に装荷した複数の永久磁石33によって非磁性体から成る前記底床部30aを介して前記リン酸鉄塩および水酸化第二鉄等からなる汚泥を吸引捕捉すると共にポンプウェル34に搬送する。該ポンプウェル34に集泥された前記汚泥は排泥ポンプ35を配設した排泥管36で排泥すると共に浄澄処理水は越流堰37から排出されている。尚、前記永久磁石33の代替として電磁石又は各種金属酸化物を焼成してセラミックスとした酸化物超電導体(バルク材)を装荷する事も出来る
【0046】
図19に示す実施例において、散気装置8を装備した活性汚泥処理曝気槽1に収容したリン酸イオン含有の電解質廃水において、平板状鉄製アノード3と平板状銅製カソード4を電気導体5で接続したものを浸漬して一次電池6を構成しているそして一方、凝集剤貯槽38の磁性体微粒子含有凝集剤を前記活性汚泥処理曝気槽1に注入している。すると前記平板状鉄製アノード3は酸化して第一鉄イオン及び第二鉄イオンを生成して水中のリン酸イオンと反応結合して水に難溶性で磁性体のリン酸鉄塩を生成すると共に難溶性で磁性体の水酸化第二鉄を生成する。そしてさらに前記磁性体微粒子含有凝集剤によって前記リン酸鉄塩および水酸化第二鉄はより一層凝集して沈降性の良い凝集フロックを生成した処理水が得られる。そこで、該処理水を、非磁性の沈降分離槽30に移流する。非磁性体の該沈降分離槽30は底床部30aを流水方向に下がり勾配としており、前記底床部30aの外壁側に前記底床30aに平行した方向に共通の中心線を有する前方スプロケット対31A及び後方スプロケット対31Bを両端に配設すると共に前記前方スプロケット対31A及び後方スプロケット対31Bにより走行するリンクベルト32に装荷した複数の永久磁石33によって非磁性体から成る前記底床部30aを介して前記リン酸鉄塩、水酸化第二鉄および磁性体微粒子含有凝集剤等からなる汚泥を吸引捕捉すると共にポンプウェル34に搬送する。該ポンプウェル34に集泥された前記汚泥は排泥ポンプ35を配設した排泥管36で排泥すると共に浄澄処理水は越流堰37から排出されている。尚、前記永久磁石33の代替として電磁石又は各種金属酸化物を焼成してセラミックスとした酸化物超電導体(バルク材)を装荷する事も出来る。
【0047】
図20に示す実施例において、電解質である硫化ナトリウムを含有する硫化染料染色廃水が、一次電池6と散気装置8を装備した凝集剤生成槽39に連続流入している。前記一次電池6は、平板状鉄製アノード3と平板状銅製カソード4を電気導体5で接続している。pH制御装置40で制御して希硫酸貯槽41の希硫酸を注入して中性付近にPH調整することにより硫化染料染色廃水中の硫化ナトリウムが平板状鉄製アノード3から酸化溶出した第一鉄イオンと反応して良好な凝集剤である硫化鉄42を生成している。前記凝集剤生成槽39の処理水が第一沈殿槽43に移流して沈殿分離したスラリー状の前記硫化鉄42を、高分子凝集剤貯槽44の高分子凝集剤と共に凝集剤として、酸性染料、塩基性染料及び分散染料等の染色廃水を混合した総合染色廃水が連続流入している混合槽45に注入している。該混合槽45の処理水は第二沈殿槽46に移流し、沈殿物を沈殿分離した処理水を越流堰37から放流している。前記硫化鉄42を凝集剤として前記混合槽45に注入する方法としては、前記第一沈澱槽43で沈澱分離したスラリー状の硫化鉄42を一旦引き抜き、さらに,濾過乾燥した物を凝集剤として使用することも出来る。
【0048】
図21に示す実施例において、pH値が8.2以下であるある銅イオン含有電解質廃水を資源回収槽47に貯留し、前記銅イオン含有電解質廃水中に平板状鉄製アノード3と平板状銅製カソード4の大部分を浸漬した状態で、支持部材2で固着支持し、そして、平板状鉄製アノード上部3aと平板状銅製カソード上部4aを電気導体5で接続している。そして又、前記銅イオン含有廃水に空気を供給するとともに攪拌する為に散気装置8を装備している。そこで一次電池6の電気化学反応の概略を図22に示すように、前記平板状鉄製アノード3では、鉄が溶出して第一鉄イオン及び第二鉄イオンとなり、水分子は酸素分子と水素イオンに分解して、電子が前記電気導体5を経由して平板状銅製ード4に移動している。一方、平板状銅製カソード4では、銅イオンが平板状銅製カソード4又は水中に析出すると共に水分子は酸素と電子を得て水酸化イオンとなり前記第一鉄イオン及び第二鉄イオンと反応して水酸化第一鉄及び水酸化第二鉄を生成する。
【0049】
図23に示す実施例において、一次電池収納槽7を仕切り板48で直列接続数と同じ数の二槽に区画し、各槽には四組の、平板状鉄製アノード3と平板状銅製カソード4を配設すると共にアノード端子49とカソード端子50及び電気導体5で並列接続した並列接続一次電池モジュール51としている。そして、各該並列接続一次電池モジュール51を電気導体5で直列接続すると共に最外端のアノード共通端子52とカソード共通端子53を電気導体5で接続して成る一次電池アレイ54を構成している。
【0050】
図24に示される実施例では、平板状鉄製アノード3と平板状銅製カソード4の二最大面積平面部を重ねて貼り合わせたものを電気導体55で接続した複合電極体56の周囲三辺を図25に示したように枠57の溝57aに嵌合してシールしたものを複数組配列すると共に両外端に平板状銅製カソード4と平板状鉄製アノード3を配列する。又、前記枠57は、無開孔側板58を二箇所、流通孔59aを有する開孔側板59を二箇所及び無開口底板60を一箇所有している。このように構成する事によって、前記平板状鉄製アノード3、隣接する前記複合電極体56を構成する平板状銅製カソード4及び前記平板状鉄製アノード3と前記複合電極体56を構成する平板状銅製カソード4の間の電解質水溶液で一つの一次電池6を形成する。そして又、前記複合電極体56を構成する平板状鉄製アノード3、隣接する前記複合電極体56を構成する平板状銅製カソード4及び前記複合電極体56を構成する平板状鉄製アノード3と前記複合電極体56を構成する平板状銅製カソード4の間の電解質水溶液で一つの一次電池6を形成する。そしてこの様に複数の一次電池6を形成して最後の一次電池6においては、前記複合電極体56を構成する平板状鉄製アノード3、前記平板状銅製カソード4及び前記複合電極体56を構成する平板状鉄製アノード3と前記平板状銅製カソード4の間の電解質水溶液で一次電池6を形成する。この様にして、複数個の一次電池6を直列に配設すると共に両外端の前記平板状鉄製アノード3と平板状銅製カソード4のアノード端子49A及びカソード端子50Aを電気銅体5で接続した構造の直列接続一次電池モジュール61Aとしている。起電力を変更するには前記複合電極体56の数量を増減する。同様に、直列接続一次電池モジュール61Bにおいても複数個の一次電池6を直列に配設すると共に両外端の前記平板状鉄製アノード3と平板状銅製カソード4のアノード端子49B及びカソード端子50Bを電気銅体5で接続した構造としている。そして、二台の前記直列接続一次電池モジュール61A及び61Bのそれぞれの両外端に配設している前記平板状鉄製アノード3及び平板状銅製カソード4の同極毎に電気導体5で並列接続して一次電池アレイ54としている。図26は前記一次電池アレイ54の概略結線図である。
【0051】
図27及び図28に示す実施例においては、図23、図24及び図25に示す複合電極体56の代替として不良導電体である炭酸カルシウムを主成分とする平板状貝殻粉末製アノード62に平板状銅製カソード4を密着すると共に電気導体55で接続して成る複合電極体56としている。前記平板状貝殻粉末製アノード62の概略製造工程を示す図27において、炭酸カルシウムを主成分とする貝殻粉末63に5〜15%のアセチレンブラック64を加え十分に混合したものに、さらに結着剤65を加えた合剤66を銅製エキスパンドメタル67に塗布している。前記アセチレンブラック64の代替としては、黒鉛或いは、アセチレンブラックと黒鉛の混合物とする事も出来る。
【0052】
図29に示す実施例において、電解質廃水を貯留している資源回収槽47に一次電池アレイ54を配設して、該一次電池アレイ54で発電した直流電力は、該一次電池アレイ54のアノード共通端子52及びカソード共通端子53から電線68A(68B)で充放電コントローラ69を経由して蓄電池70に充電されると共に、直流を交流に変換する機能と出力調整機能と交直電源連係用保護機能を備えたパワーコンディショナ71及び交流分電盤72を経由して交流負荷73と交流商用電源74に供給されている。何らかの原因で、前記一次電池アレイ54による発電が行われていない時や不足している時には、前記交流商用電源74から前記交流分電盤72を経由して前記交流負荷73に電力が供給される電力受電設備75としている。
【0053】
図30及び図31に示す実施例において、電解質廃水が流入及び流出している資源回収槽47に一次電池アレイ54を装備すると共に攪拌機76で電解質廃水を攪拌している。そして前記資源回収槽47内水をpH値4付近にpH調整すべくpH制御装置40で制御して希硫酸貯槽41の希硫酸を注入している。そして又、前記一次電池アレイ54で発電した直流電力はアノード共通端子52及びカソード共通端53に結線された電線68A及び68Bで電力受電設備75に送電すると共に生成した水素ガスは図示されないガス捕集口77を配設したガス配管78を通ってガスホルダ79に貯留される。
【0054】
図32に示す実施例において、上記の平板状鉄製アノード3と平板状銅製カソード4に替えて両電極を格子状籠構造鉄製アノード80と格子状籠構造銅製カソード81として、前記格子状籠構造銅製カソード81への流入水は、該格子状籠構造銅製カソード81の上方から該格子状籠構造銅製カソード81の中へ入り、該格子状籠構造銅製カソード81からの流出水は格子間隙孔81aを通って前記格子状籠構造鉄製アノード80に入り、格子間隙孔80aを通って流出拡散している。
【0055】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0056】
例えば、鉄と銅を電気導体で接続して、該鉄および銅の一部をオルトリン酸イオン含有の電解質廃水中に浸漬すると、イオン化傾向の大きな鉄がアノードとなりイオン化傾向の小さな銅がカソードとなるので、アノードの鉄は電子をカソードに送って第一鉄イオンとなり廃水中に溶出し、さらに、第一鉄イオンは酸化されて第二鉄イオンになり、廃水中のオルトリン酸イオンと反応して、水に難溶性のオルトリン酸鉄塩となる。一方、カソードでは、アノードから送られた電子により水の存在で酸素還元反応が起こり水酸イオンを生成する。 そして、この水酸イオンは第一鉄イオンと反応して水酸化第一鉄を経て水に難溶性で凝集性の水酸化第二鉄を生成するので種々の固液分離手段でオルトリン酸鉄塩を処理水から分離除去出来る。
【0057】
好気性廃水処理装置の曝気槽に一次電池を設置すれば、長期間、安定して、リンを除去することが出来る。
【0058】
アノードとカソードを電気導体で接続し、散気装置を装備して酸素供給すると電気化学反応を促進することが出来る。
【0059】
さらに、電流が流れて電極反応が進行すると、これによってアノードでは金属イオンの濃度が極に近い程高くなるため、金属イオンの溶液中への移行が減退し、このため電極面の電子密度が減少して、電位の値は高くなる。同様にカソードにおいては電子を受け取る溶液中のイオンが不足し、電子が余ってくるので、電位は低くなる。これが濃度分極と呼ばれる。濃度分極は逆起電力であるから、起電力は小さくなり電気化学反応の抵抗力となる。従って、アノードとカソードの下部位置に散気装置を装備して曝気攪拌することにより、金属イオンの溶液中への移行の減退を緩和することが出来る。
【0060】
又、アノードに赤錆軟泥状の皮膜が付着するにもかかわらず、攪拌することで長期間、安定した電流を維持出来る。
【0061】
そして、一次電池と散気装置を装備した一次電池ユニットの下流側に隣接又は離隔して、リン金属塩を吸着する吸着剤を収納した吸着剤収納槽を装備することにより、汚泥と分別してリンを回収する事ができる。
【0062】
そして、リン酸イオン含有の電解質廃水において、鉄製アノードとした一次電池で水に難溶性で磁性体のリン酸鉄塩及び水酸化第二鉄を強力な永久磁石、電磁石及び酸化物超伝導体等で励磁して吸引捕捉すると共にポンプウェルに槽底部の流速と同様の速度で搬送すれば、層流を維持して連続した固液分離が達成出来る。そして又、有用資源であるリンを回収する事が出来ると共にBOD性有機物及び窒素体有機物を磁性凝集剤で凝集して吸引捕集することが出来る。
【0063】
硫化物又は水硫化物を含有する硫化染料染色廃水、石炭及び石油ガス化等脱硫廃水を利用した一次電池による電気化学反応により、染料の種類に制約を受けることなく着色廃水処理に用いる安価で良好な凝集剤を生成出来る。
【0064】
電解質廃水の放流先となっている河川、湖沼、海などに一次電池又は燐回収ユニットを設置すれば、安価にリン及び有用金属の回収が出来る。
【0065】
そして、一次電池を単に一組だけ配置しただけでは、起電力は小さい。そこで、幾組かの一次電池をお互いに直列接続すれば、組数が多いほど全体の起電力は大きくなる。 そこで、二組以上の一次電池を直列接続した複合一次電池と成し、起電力を大きくすると良い。
【0066】
そして又、単一電極の面積を大きくするか、又は、幾組かの一次電池をお互いに並列接続して同一極性電極の面積を大きくすれば、面積に比例して電流は大きくなる。
【0067】
そして、起電力が大きくなり、又、電流が大きくなると、アノード金属の溶出量が多くなり、従って、リン鉄塩などの難溶性の金属塩が多く析出沈殿し、銅などの有用金属がカソードに早く析出し、発電容量も大きくなると共に水素ガスの生成速度も多くなる。
【0068】
一次電池を並列接続及び直列接続して一次電池アレイを構成し、さらに交流変成及び商用電源連係等を有する受電設備として安価に電力を利用出来る。
【0069】
水素発生反応は、pH値が低い程、又電極電位(水素電極基準)が低い程起こり易い。従って水素発生を目的とするときは、電解質廃水を低pH値にすると共にカソード電位を出来るだけ低くするカソード及びアノードの材質を選択する事は有効である。
【0070】
このようにして廃水からリン、窒素化合物、着色物質等の除去、銅その他の有用金属を回収、発電及び水素ガス生産等が出来る。従って、水環境汚濁物質を除去し有用資源を回収出来ると共に、電気分解法において必要な電気設備費と電力費が不要となり、消耗資材はアノード材だけで費用も安価で、維持管理の煩雑さも無く、二酸化炭素排出削減にも貢献する。アノードとしては鉄の他にアルミニウム、亜鉛、マグネシウム及びマグネシウムを主体とした合金、カルシウム化合物等が利用でき、又、カソードとしては銅の他に塩化鉛、塩化銀、銀、金,及び白金等も利用出来る。
【0071】
又、エネルギー障壁が高い場合には、必要なエネルギーの供給に時間がかかって、反応速度は遅くなり、電子の授受に遅れが生じて電位変化が起こる。これを活性化分極と呼び、電流密度と共に大きくなる。そして又、反応により電極と液との界面に極めて比抵抗の高い物質が生成すると、それらの物質中に電位勾配が出来、それが電位変化として表れる。これを抵抗分極と呼び、電流密度と共に大きくなる。従って、アノード及びカソードを並列接続とするか又は格子状籠構造とする事により、電極面の電流密度を小さくすると、金属イオンの溶液中への移行の減退を緩和する効果があると共に、出来るだけ多くの被処理水が電極面と接触する事が出来る。
【0072】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を示す廃水処理装置の縦断面図である。
【図2】 図1に示す一次電池による電気化学反応の概略の説明図である。
【図3】 本発明の一実施例を示す廃水処理装置の平面図である。
【図4】 図3に示すA−A線断面図である。
【図5】 本発明の一実施例を示す廃水処理装置の平面図である。
【図6】 図5に示すB−B線断面図である。
【図7】 本発明の一実施例を示す廃水処理装置の縦断面図である。
【図8】 図7に示す燐回収ユニットの縦断面図である。
【図9】 本発明の一実施例を示す廃水処理装置の縦断面図である。
【図10】 図9に示すリン回収ユニットの縦断面図である。
【図11】 本発明の一実施例を示す廃水処理装置の縦断面図である。
【図12】 図12に示す一次電池ユニットの平面図である。
【図13】 図13に示すC−C線断面図である。
【図14】 図12に示す吸着剤ユニットの平面図である。
【図15】 図14に示すD−D線縦断面図である。
【図16】 本発明の一実施例を示す廃水処理装置の平面図である。
【図17】 図17に示すE−E線断面図である。
【図18】 本発明の一実施例を示す廃水処理装置の概略系統図である。
【図19】 本発明の一実施例を示す廃水処理装置の概略の系統図である。
【図20】 本発明の一実施例を示す廃水処理装置の概略の系統図である。
【図21】 本発明の一実施例を示す廃水処理装置の縦断面図である。
【図22】 図21に示す一次電池による電気化学反応の概略の説明図である。
【図23】 本発明の一実施例を示す廃水処理装置の斜視図である。
【図24】 本発明の一実施例を示す廃水処理装置の斜視図である。
【図25】 図24に示すF−F線断面図である。
【図26】 図234に示す一次電池アレイの概略の結線図である。
【図27】 本発明の一実施例を示す廃水処理装置の概略の結線図である。
【図28】 図26に示す平板状貝殻粉末製アノード62の概略の製造工程図である。
【図29】 本発明の一実施例を示す廃水処理装置の概略の結線図である。
【図30】 本発明の一実施例を示す廃水処理装置の概略の系統図である。
【図31】 図30に示すG−G線断面図である。
【図32】 本発明の一実施例を示す廃水処理装置の斜視図である。
【符号の説明】
1 活性汚泥処理曝気槽
2、24 支持部材
3 平板状鉄製アノード
4 平板状銅製カソード
3a 平板状鉄製アノード上部
4a 平板状銅製カソード上部
5、55 電気導体
6 一次電池
7 一次電池収納槽
8 散気装置
9 一次電池ユニット
10 吸着剤
11 吸着剤収納槽
12−1 下部多孔板
12−2 上部多孔板
13、 吸着剤ユニット
14 リン回収ユニット
15 嫌気濾床接触曝気合併浄化槽
16 沈澱槽
16a 下層水部
17 循環ポンプ
18 循環管
19 第一嫌気濾床槽
20 流入口
21 第二嫌気濾床槽
22、48 仕切り板
23 接触曝気槽
25、37 越流堰
26 消毒槽
27 トラフ
28 絶縁被覆電気導体
29−1 下流側多孔板
29−2 上流側多孔板
30 沈降分離槽
30a 底床部
31A 前方スプロケット対
31B 後方スプロケット対
32 リンクベルト
33 永久磁石
34 ポンプウェル
35 排泥ポンプ
36 排泥管
38 凝集剤貯槽
39 凝集剤生成槽
40 Ph制御装置
41 希硫酸貯槽
42 硫化鉄
43 第一沈澱槽
44 高分子凝集剤貯槽
45 混合槽
46 第二沈澱槽
47 資源回収槽
49 アノード端子
50 カソード端子
51 並列接続一次電池モジュール
52 アノード共通端子
53 カソード共通端子
54 一次電池アレイ
56 複合電極体
57 枠
57a 溝
58 無開孔側板
59 開孔側板
59a 流通孔
60 無開孔底板
61A、61B 直列接続一次電池モジュール
62 平板状貝殻粉末製アノード
63 貝殻粉末
64 アセチレンブラック
65 結着剤
66 合剤
67 銅製エキスパンドメタル
68A、68B 電線
69 充放電コントローラ
70 蓄電池
71 パワーコンディショナ
72 交流分電盤
73 交流負荷
74 交流商用電源
75 電力受電設備
76 攪拌機
77 ガス捕集口
78 ガス配管
79 ガスホルダ
80 格子状籠構造鉄製アノード
81 格子状籠構造銅製カソード
80a、81a 格子間隙孔
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