JP2004064292A - 可変利得回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】強電界受信時(低利得時)における歪み特性の劣化を低減させて良好な歪特性を得ることができる可変利得回路を提供すること。
【解決手段】利得制御電圧端子VGC,VGCX間の電位差に応じて2つの負荷抵抗RLを流れる電流の電流比を切り換える従来の電流切換回路3に加えて、差動対トランジスタ101を構成する2つのトランジスタQ1,Q2の各々のエミッタに供給される電流を利得制御電圧端子VCC,VCCX間の電位差に応じて制御する電流切換回路13を設置し、前記利得制御電圧端子VGC,VGCX間の電位差が最小値に近づく最少利得接近時において、前記利得制御電圧端子VCC,VCCX間の電位差を最小値に近づけることにより、差動対トランジスタ101を流れる電流を零に近づけ、差動対トランジスタ101から生じる歪みを抑制する。
【選択図】 図1
【解決手段】利得制御電圧端子VGC,VGCX間の電位差に応じて2つの負荷抵抗RLを流れる電流の電流比を切り換える従来の電流切換回路3に加えて、差動対トランジスタ101を構成する2つのトランジスタQ1,Q2の各々のエミッタに供給される電流を利得制御電圧端子VCC,VCCX間の電位差に応じて制御する電流切換回路13を設置し、前記利得制御電圧端子VGC,VGCX間の電位差が最小値に近づく最少利得接近時において、前記利得制御電圧端子VCC,VCCX間の電位差を最小値に近づけることにより、差動対トランジスタ101を流れる電流を零に近づけ、差動対トランジスタ101から生じる歪みを抑制する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話等の移動体通信システムにおいて携帯端末等の出力電力を制御するための自動利得制御装置に適用される可変利得回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、スペクトラム拡散方式を用いたCDMA(Code Division Multiple Access:符号分割多元接続)方式の移動体通信システムでは、送信機側では加入者容量増大の目的から同一周波数帯に拡散符号の異なる複数の移動局を割り当てて送信を行っており、受信機側では受信信号に送信時と同一の拡散符号を重畳して信号を復元している。このような移動体通信システムでは、基地局へ到達する各移動局からの出力の電界強度が同一となるように各移動局の出力電力を送信系の無線部で制御する必要がある。また、移動局のベースバンド信号処理部に入力する信号振幅が、移動局が受ける電界強度の強弱によらず一定となるように、受信系の無線部で電力制御する必要がある。ちなみに、一般的なCDMA方式の携帯電話機では、送信系、受信系の各無線部において、それぞれ80dB程度の利得制御幅が要求される。
【0003】
図8は、従来の可変利得回路の回路構成を示す回路図である。同図に示すように、従来の可変利得回路は、エミッタ間をエミッタ抵抗RE3で結合したトランジスタQ24,Q25からなる第1の差動対トランジスタ14と、エミッタ間をエミッタ抵抗RE4で結合したトランジスタQ26,Q27からなる第2の差動対トランジスタ15とを備え、トランジスタQ24〜Q27のコレクタにはエミッタが共通でそれぞれ差動対トランジスタを構成するトランジスタQ28〜Q35の共通エミッタにそれぞれ接続されている。トランジスタQ28〜Q35で構成される4つの差動対トランジスタは、第1の差動対トランジスタ14および第2の差動対トランジスタ15に流れる電流が負荷抵抗RLに流れる電流比を制御電圧VGC,VGCXによって切り換えて利得を制御する電流切換回路としての機能を有する。
【0004】
また、第1の差動対トランジスタ14および第2の差動対トランジスタ15を構成するトランジスタQ24〜Q27のエミッタには、定電流回路CCS14とミラー関係にある定電流源回路CCS10〜CCS13が接続されている。ここで、トランジスタQ24,Q26のベースは共通で正相信号、トランジスタQ25,Q26のベースは共通で逆相信号の入力端子IN,INXであり、トランジスタQ28,Q31,Q33,Q34のベースは共通で制御電圧Vgcの入力端子VGC、トランジスタQ29,Q30,Q32,Q35のベースは共通で制御電圧Vgcxの入力端子VGCXである。
【0005】
トランジスタQ28,Q32のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源に接続されていると共に、正相信号の出力端子OUTとなっている。また、トランジスタQ31,Q35のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源と接続されていると共に、逆相信号の出力端子OUTXとなっている。また、トランジスタQ29,Q30,Q33,Q34のコレクタは電源と直接接続されている。
【0006】
ここで、第1の差動対トランジスタ14の利得Avhと第2の差動対トランジスタ15の利得AvlをAvh>Avlの関係にするために、それぞれの差動対トランジスタを構成するエミッタ抵抗をRE3<RE4に設定する。例えば、利得制御幅を30dB程度にするためにはRE3:RE4を約1:32に設定すれば良い。
【0007】
当該可変利得回路の利得Gは次式(1)で表すことができる。
G=20log(RL/(1+M)×(M×gm3+gm4)) …(1)
但し、
gm3=1/(Vt/I3+RE3/2) …(2)
gm4=1/(Vt/I4+RE4/2) …(3)
M=exp(Vd/Vt) …(4)
であり、Vdは制御電圧VgcとVgcxの電位差であり、I3は定電流回路CCS10,CCS11に流れる電流であり、I4は定電流回路CCS12,CCS13に流れる電流である。また、Vt=kT/qであり、qは電子電荷、kはボルツマン定数、Tは絶対温度である。
【0008】
したがって、可変利得回路の利得を変化させるためには、制御電圧の入力端子VGC,VGCXに印加される制御電圧Vgc,Vgcxの電位差Vdを変化させれば良く、最大出力振幅を得るためにはVd>>0に設定し、最小出力振幅を得るためにはVd<<0に設定する。
【0009】
以上説明したように、従来の可変利得回路では、入力端子VGC,VGCXに制御電圧を印加することにより制御電圧に応じて利得が変化する。
【0010】
図7は、従来および本発明に係る可変利得回路の制御電圧VgcとVgcxの電位差Vdに対する利得制御特性と、可変利得回路の歪み(3次相互変調歪)特性とを示す説明図である。同図に示すように、利得制御特性は制御電圧VgcとVgcxの電位差Vdに対して遷移しており、歪み特性は低利得時には比較的高く確保できるが高利得動作時には劣化する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記説明した従来の可変利得回路にあっては、図7に示した制御電圧VgcとVgcxの電位差Vdに対する利得制御特性が示すように、歪み(3次相互変調歪)特性は低利得時には比較的高く確保できているが、例えば、当該従来の可変利得回路をCDMA方式の携帯電話機の受信系に適用した場合、強電界受信時(すなわち低利得時)でもBER(Bit Error Rate)特性を充分確保する必要性があるため、歪特性はできる限り良好に保つことが望ましい。
【0012】
しかしながら、上記従来の可変利得回路では、低利得動作時、すなわち電流切換回路によって第2の差動対トランジスタ15に流れる電流が負荷抵抗RLに流れるときには第1の差動対トランジスタ14にも電流が流れており、例えば、図8に示す従来の可変利得回路の入力端子IN,INXがエミッタホロワ回路のエミッタに接続されているような場合、エミッタホロワ回路の出力インピーダンスは通常数百Ωであるため、第1の差動対トランジスタ14で発生した歪成分が寄生成分の影響により電圧振幅となって入力端子IN,INXに現われ、第2の差動対トランジスタ15に入力される。そのため当該歪成分は、第2の差動対トランジスタ15で本来発生する歪成分に加算され、出力端子OUT,OUTXから出力される。このため、従来の可変利得回路を低利得動作時で使用した場合、高利得側差動対トランジスタで生成された歪成分が出力端子OUT,OUTXに現われるため、歪み特性が劣化してしまうという問題点があった。
【0013】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、強電界受信時(低利得時)における歪み特性の劣化を低減させて良好な歪特性を得ることができる可変利得回路を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る可変利得回路は、各エミッタが抵抗で接続された第1の差動対トランジスタに流れる電流と、各エミッタが抵抗で接続された第2の差動対トランジスタに流れる電流との電流比を制御電圧に応じて切り換える電流比切換手段を備え、前記電流比によって利得を可変とする可変利得回路であって、当該可変利得回路の利得に応じて前記第1の差動対トランジスタを流れる電流を制御する第1の電流制御手段を備え、前記第1の電流制御手段は、前記電流比切換手段によって前記可変利得回路の利得が最小とされたとき、前記第1の差動対トランジスタを流れる電流を最大限0に抑える。したがって、第1の差動対トランジスタで生成され出力信号に現れる歪成分を抑制することができるため、強電界受信時(低利得時)における歪み特性の劣化を低減させて良好な歪特性を得ることができる。
【0015】
また、本発明に係る可変利得回路は、前記第1の差動対トランジスタを構成する2つのトランジスタのエミッタ側には、前記第1の電流制御手段の出力電流によって前記第1の差動対トランジスタを流れる電流を制御する第2の電流制御手段を備えている。
【0016】
また、本発明に係る可変利得回路は、前記第1の電流制御手段は差動対トランジスタによって構成され、前記第1の電流制御手段の出力電流は、前記差動対トランジスタを構成する2つのトランジスタのベースに入力される2つの制御信号の電位差によって決定される。したがって、当該2つの制御信号の電位差を大きくすることで第1の電流制御手段の出力電流が小さくなるため、第2の電流制御手段は第1の差動対トランジスタを流れる電流を最大限0に抑えることができる。
【0017】
また、本発明に係る可変利得回路は、前記第2の電流制御手段は、前記第1の電流制御手段の出力電流および前記第1の差動対トランジスタを流れる電流がコレクタ電流のカレントミラー回路であることが望ましい。
【0018】
また、本発明に係る可変利得回路は、前記第2の電流制御手段は、前記第1の電流制御手段の出力電流および前記第1の差動トランジスタを構成する各トランジスタを流れる合成電流がコレクタ電流のカレントミラー回路である。したがって、第2の電流制御手段は1つだけで良いため、相対ばらつきに対する耐性を高めることができる
【0019】
また、本発明に係る可変利得回路は、前記カレントミラー回路を構成する2つのトランジスタの各エミッタがコンデンサで接続されている。したがって、低周波領域での利得を低減させることができる。
【0020】
また、本発明に係る可変利得回路は、前記第1の差動対トランジスタを構成する2つのトランジスタのコレクタ側には、前記第1の差動対トランジスタのコレクタ電流および前記第1の電流制御手段の出力電流をコレクタ電流とするカレントミラー回路を備えている。したがって、利得制御時の出力信号の直流電圧成分を一定にできる。
【0021】
また、本発明に係る通信端末は、請求項1、2、3、4、5、6または7記載の可変利得回路を備えている。
【0022】
さらに、本発明に係る基地局は、請求項1、2、3、4、5、6または7記載の可変利得回路を備えている。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る可変利得回路の実施の形態について、〔第1の実施形態〕、〔第2の実施形態〕、〔第3の実施形態〕、〔第4の実施形態〕、〔第5の実施形態〕、〔第6の実施形態〕の順に図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明に係る第1の実施形態の可変利得回路を示す回路図である。同図に示すように、第1の実施形態の可変利得回路は、特許請求の範囲の第1の差動対トランジスタに該当する差動対トランジスタ101と、第2の差動対トランジスタに該当する差動対トランジスタ201と、電流比切換手段に該当する電流切換回路3と、第1の電流制御手段に該当する電流切換回路13と、定電流回路CCS1〜CCS5,CCS9とを備えて構成されている。なお、定電流回路CCS1,CCS2,CCS9は特許請求の範囲の第1の電流制御手段に該当する。
【0025】
符号INは正相入力端子、INXは逆相入力端子、OUTXは逆相出力端子、OUTXは逆相出力端子、Q1〜Q21はnpn型トランジスタ、Q22,Q23はpnp型トランジスタ、RE1,RE2はエミッタ負帰還抵抗、RLは負荷抵抗、Vccは電源、VCCは電流制御電圧端子、VCCXは電流制御電圧端子、VGC,VGCXは制御電圧端子をそれぞれ示す。本実施形態の可変利得回路の利得制御幅として例えば30dB程度を得るためには、エミッタ負帰還抵抗RE1とエミッタ負帰還抵抗RE2との比を約1:32に設定する。なお、上記エミッタ負帰還抵抗RE1,RE2は特許請求の範囲の抵抗に該当する。
【0026】
以下、本実施形態の可変利得回路の詳細構成と動作について説明する。
差動対トランジスタ101は、エミッタ間をエミッタ負帰還抵抗RE1で結合したトランジスタQ1,Q2とからなる。差動対トランジスタ201は、エミッタ間をエミッタ負帰還抵抗RE2で結合したトランジスタQ3,Q4とからなる。また、電流切換回路3は、トランジスタQ5〜Q12により4つの差動対トランジスタを構成している。
【0027】
差動対トランジスタ101および差動対トランジスタ201を構成するトランジスタQ1〜Q4の各々のコレクタは、電流切換回路3を構成するトランジスタQ5〜Q12の共通エミッタにそれぞれ接続されている。また、差動対トランジスタ101および差動対トランジスタ201を構成するトランジスタQ1〜Q4の各々のエミッタには、定電流回路CCS1〜CCS4がそれぞれ接続されている。
【0028】
トランジスタQ1,Q3のベースは共通で正相信号の入力端子IN、トランジスタQ2,Q4のベースは共通で逆相信号の入力端子INXに接続されている。また、トランジスタQ5,Q8,Q10,Q11のベースは共通で制御電圧Vgcの入力端子VGCに、トランジスタQ6,Q7,Q9,Q12のベースは共通で制御電圧Vgcxの入力端子VGCXにそれぞれ接続されている。
【0029】
トランジスタQ8,Q12のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源Vccと接続されていると共に、正相信号の出力端子OUTに接続されている。また、トランジスタQ5,Q9のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源Vccと接続されていると共に、逆相信号の出力端子OUTXに接続されている。また、トランジスタQ6,Q7,Q10,Q11のコレクタは、電源Vccと直接接続されている。
【0030】
電流切換回路3は、差動対トランジスタ101および差動対トランジスタ201に流れる電流が2つの負荷抵抗RLに流れ込むに際し、その2つの負荷抵抗RLを流れる電流の電流比を切り換える電流切換回路としての機能を有する。この電流切換回路としての機能は、制御電圧端子VGC,VGCXに印加される制御電圧Vgc,Vgcxを切り換えて、電流切換回路3を構成する4つの差動対トランジスタの利得を制御することにより達成される。
【0031】
本実施形態の可変利得回路の利得Gは次式(5)で表すことができる。
G=20log(RL/(1+M)×(M×gm1+gm2)) …(5)
但し、
gm1=1/(Vt/I1+RE1/2) …(6)
gm2=1/(Vt/I2+RE2/2) …(7)
M=exp(Vd/Vt) …(8)
であり、Vdは制御電圧端子VGC,VGCXに印加される制御電圧VgcとVgcxの電位差(以下「第1の利得制御電圧」という。)であり、I1は定電流回路CCS3,CCS4に流れる電流であり、I2は定電流回路CCS1,CCS2に流れる電流である。また、Vt=kT/qであり、qは電子電荷、kはボルツマン定数、Tは絶対温度である。
【0032】
したがって、本実施形態の可変利得回路の利得Gを変化させるためには、制御電圧の入力端子VGC,VGCXに印加される制御電圧Vgc,Vgcxの電位差Vdを変化させれば良く、最大出力振幅を得るためには第1の利得制御電圧VdをVd>>0に設定し、最小出力振幅を得るためにはVd<<0に設定する。
【0033】
定電流回路CCS1および定電流回路CCS2は定電流回路CCS9とカレントミラー回路を形成する関係にあり、定電流回路CCS9の電流は、電流切換回路13に接続される電流制御電圧端子VCC,VCCX間の電位差(以下「第2の利得制御電位差」という。)によって変化する。
【0034】
ここで、最少利得時、すなわち第1の利得制御電圧VdがVd<<0のときに、電流制御入力端子VCC,VCCXに印加される電圧Vcc,Vccxの大きさの関係をVccx>>Vccとすることで、差動対トランジスタ101に流れる電流はほとんど0となり、差動対トランジスタ101で生成され出力端子OUT,OUTXに現われる歪成分を抑圧することができる。
【0035】
〔第2の実施形態〕
図2は、本発明に係る第2の実施形態の可変利得回路を示す回路図である。同図に示すように、第2の実施形態の可変利得回路は、図1に示した第1の実施形態の可変利得回路と比較して、差動対トランジスタ101が特許請求の範囲の第1の差動対トランジスタに該当する差動対トランジスタ102に置き代わり、差動対トランジスタ201が第2の差動対トランジスタに該当する差動対トランジスタ202に置き代わり、これに応じて図1に示した定電流回路CCS2,CCS4が不要となったため削除されている点が異なる。
【0036】
なお、本実施形態の可変利得回路の利得制御幅として例えば30dB程度を得るためには、エミッタ負帰還抵抗RE1とエミッタ負帰還抵抗RE2との比、およびエミッタ負帰還抵抗RE3とエミッタ負帰還抵抗RE4との比を約1:32に設定する。
【0037】
以下、本実施形態の可変利得回路の詳細構成と動作について説明する。
差動対トランジスタ102は、エミッタ間をエミッタ負帰還抵抗RE1とRE3で結合したトランジスタQ1,Q2で構成されている。また、差動対トランジスタ202は、エミッタ間をエミッタ負帰還抵抗RE2とRE4で結合したトランジスタQ3,Q4で構成されている。また、第1の差動対トランジスタ102および第2の差動対トランジスタ202を構成するエミッタ負帰還抵抗RE1,RE3の接続点には定電流回路CCS1が、また、エミッタ負帰還抵抗RE2,RE4の接続点には定電流回路CCS3が接続されている。
【0038】
トランジスタQ1,Q3のベースは共通で正相信号の入力端子IN、トランジスタQ2,Q4のベースは共通で逆相信号の入力端子INXに接続されている。また、トランジスタQ5,Q8,Q10,Q11のベースは共通で制御電圧Vgcの入力端子VGCに、トランジスタQ6,Q7,Q9,Q12のベースは共通で制御電圧Vgcxの入力端子VGCXにそれぞれ接続されている。
【0039】
トランジスタQ8,Q12のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源Vccと接続されていると共に、正相信号の出力端子OUTに接続されている。また、トランジスタQ5,Q9のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源Vccと接続されていると共に、逆相信号の出力端子OUTXに接続されている。また、トランジスタQ6,Q7,Q10,Q11のコレクタは、電源Vccと直接接続されている。
【0040】
電流切換回路3は、差動対トランジスタ102および差動対トランジスタ202に流れる電流が2つの負荷抵抗RLに流れ込むに際し、その2つの負荷抵抗RLを流れる電流の電流比を切り換える電流切換回路としての機能を有する。この電流切換回路としての機能は、制御電圧端子VGC,VGCXに印加される制御電圧Vgc,Vgcxを切り換えて、電流切換回路3を構成する4つの差動対トランジスタの利得を制御することにより達成される。
【0041】
本実施形態に係る可変利得回路の利得Gは次式(9)で表すことができる。
G=20log(RL/(1+M)×(M×gm1+gm2)) …(9)
但し、
gm1=1/(2Vt/I1+RE1) …(10)
gm2=1/(2Vt/I2+RE2) …(11)
M=exp(Vd/Vt) …(12)
であり、Vdは制御電圧端子VGC,VGCXに印加される制御電圧VgcとVgcxの電位差(第1の利得制御電圧)であり、I1は定電流回路CCS3に流れる電流であり、I2は定電流回路CCS1に流れる電流である。また、Vt=kT/qであり、qは電子電荷、kはボルツマン定数、Tは絶対温度である。
【0042】
したがって、本実施形態の可変利得回路の利得Gを変化させるためには、制御電圧の入力端子VGC,VGCXに印加される制御電圧Vgc,Vgcxの電位差Vdを変化させれば良く、最大出力振幅を得るためには第1の利得制御電圧VdをVd>>0に設定し、最小出力振幅を得るためにはVd<<0に設定する。
【0043】
定電流回路CCS1は定電流回路CCS9とカレントミラー回路を形成する関係にあり、定電流回路CCS9の電流は、第2の電流切換回路13に接続される電流制御電圧端子VCC,VCCX間の電位差(第2の利得制御電位差)によって変化する。
【0044】
ここで、最少利得時、すなわち第1の利得制御電圧VdがVd<<0のときに、電流制御入力端子VCC,VCCXに印加される電圧Vcc,Vccxの大きさの関係をVccx>>Vccとすることで、差動対トランジスタ102に流れる電流はほとんど0となり、差動対トランジスタ102で生成され出力端子OUT,OUTXに現われる歪成分を抑圧することができる。
【0045】
また、本実施形態では、差動対トランジスタ102および差動対トランジスタ202の電流源をそれぞれ1つの定電流回路CCS1,CCS3で構成しているため、相対ばらつきに対する耐性を高めることができる。
【0046】
〔第3の実施形態〕
図3は、本発明に係る第3の実施形態の可変利得回路を示す回路図である。同図に示すように、第3の実施形態の可変利得回路は、図1に示した第1の実施形態の可変利得回路と比較して、差動対トランジスタ101が特許請求の範囲の第1の差動対トランジスタに該当する差動対トランジスタ103に置き代わり、差動対トランジスタ201が第2の差動対トランジスタに該当する差動対トランジスタ203に置き代わった点が異なる。なお、本実施形態の可変利得回路の利得制御幅として例えば30dB程度を得るためには、エミッタ負帰還抵抗RE1とエミッタ負帰還抵抗RE2との比を約1:32に設定する。
【0047】
以下、本実施形態の可変利得回路の詳細構成と動作について説明する。
差動対トランジスタ103は、エミッタ間をエミッタ負帰還抵抗RE1とエミッタ負帰還コンデンサC1の並列接続で結合したトランジスタQ1,Q2で構成されている。また、差動対トランジスタ203は、エミッタ間をエミッタ負帰還抵抗RE2とエミッタ負帰還コンデンサC2の並列接続で結合したトランジスタQ3,Q4で構成されている。また、差動対トランジスタ103および差動対トランジスタ203を構成するトランジスタQ1〜Q4の各々のエミッタには、定電流回路CCS1〜CCS4がそれぞれ接続されている。なお、上記エミッタ負帰還コンデンサC1,C2は特許請求の範囲のコンデンサに該当する。
【0048】
トランジスタQ1,Q3のベースは共通で正相信号の入力端子IN、トランジスタQ2,Q4のベースは共通で逆相信号の入力端子INXに接続されている。また、トランジスタQ5,Q8,Q10,Q11のベースは共通で制御電圧Vgcの入力端子VGCに、トランジスタQ6,Q7,Q9,Q12のベースは共通で制御電圧Vgcxの入力端子VGCXにそれぞれ接続されている。
【0049】
トランジスタQ8,Q12のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源Vccと接続されていると共に、正相信号の出力端子OUTに接続されている。また、トランジスタQ5,Q9のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源Vccと接続されていると共に、逆相信号の出力端子OUTXに接続されている。また、トランジスタQ6,Q7,Q10,Q11のコレクタは、電源Vccと直接接続されている。
【0050】
電流切換回路3は、差動対トランジスタ103および差動対トランジスタ203に流れる電流が2つの負荷抵抗RLに流れ込むに際し、その2つの負荷抵抗RLを流れる電流の電流比を切り換える電流切換回路としての機能を有する。この電流切換回路としての機能は、制御電圧端子VGC,VGCXに印加される制御電圧Vgc,Vgcxを切り換えて、電流切換回路3を構成する4つの差動対トランジスタの利得を制御することにより達成される。
【0051】
本実施形態の可変利得回路の利得Gは次式(13)で表すことができる。
G=20log(RL/(1+M)×(M×gm1+gm2)) …(13)
但し、
gm1=1/(2Vt/I1+RE1) …(14)
gm2=1/(2Vt/I2+RE2) …(15)
M=exp(Vd/Vt) …(16)
RE1=jωC1/(RE1×jωC1+1) …(17)
RE2=jωC2/(RE2×jωC2+1) …(18)
であり、Vdは制御電圧端子VGC,VGCXに印加される制御電圧VgcとVgcxの電位差(第1の利得制御電圧)であり、I1は定電流回路CCS3,CCS4に流れる電流であり、I2は定電流回路CCS1,CCS2に流れる電流である。また、Vt=kT/qであり、ω=2πf、qは電子電荷、kはボルツマン定数、Tは絶対温度である。
【0052】
したがって、本実施形態の可変利得回路の利得Gを変化させるためには、制御電圧の入力端子VGC,VGCXに印加される制御電圧Vgc,Vgcxの電位差Vdを変化させれば良く、最大出力振幅を得るためには第1の利得制御電圧VdをVd>>0に設定し、最小出力振幅を得るためにはVd<<0に設定する。
【0053】
定電流回路CCS1および定電流回路CCS2は定電流回路CCS9とカレントミラー回路を形成する関係にあり、定電流回路CCS9の電流は、第2の電流切換回路13に接続される電流制御電圧端子VCC,VCCX間の電位差(第2の利得制御電位差)によって変化する。
【0054】
ここで、最少利得時、すなわち第1の利得制御電圧VdがVd<<0のときに、電流制御入力端子VCC,VCCXに印加される電圧Vcc,Vccxの大きさの関係をVccx>>Vccとすることで、差動対トランジスタ103に流れる電流はほとんど0となり、差動対トランジスタ103で生成され出力端子OUT,OUTXに現われる歪成分を抑圧することができる。
【0055】
また、本実施形態の可変利得回路は、差動対トランジスタ103および差動対トランジスタ203を構成するエミッタ負帰還コンデンサC1,C2の作用によって、低周波領域での利得を低減させることができる。
【0056】
〔第4の実施形態〕
図4は、本発明に係る第4の実施形態の可変利得回路を示す回路図である。同図に示すように、第4の実施形態の可変利得回路は、図1に示した第1の実施形態の可変利得回路と比較して、差動対トランジスタ101を構成するトランジスタQ1のコレクタに定電流回路CCS6が追加接続され、また、トランジスタQ2のコレクタに定電流回路CCS7が追加接続され、さらに、定電流回路CCS6および定電流回路CCS7は、追加接続された定電流回路CCS8から電流が供給される点が異なる。定電流回路CCS8には、電流切換回路13を介して電流I2が流れる。
【0057】
なお、本実施形態の可変利得回路の利得制御幅として例えば30dB程度を得るためには、エミッタ負帰還抵抗RE1とエミッタ負帰還抵抗RE2との比を約1:32に設定する。
【0058】
以下、本実施形態の可変利得回路の詳細構成と動作について説明する。
前述の構成により、定電流回路CCS1,CCS2の電流と、差動対トランジスタ101のコレクタに接続される定電流回路CCS6,CCS7の電流は、電流切換回路13に接続される電流制御電圧端子VCC,VCCX間の電位差によって切り換えられる。
【0059】
トランジスタQ1,Q3のベースは共通で正相信号の入力端子IN、トランジスタQ2,Q4のベースは共通で逆相信号の入力端子INXに接続されている。また、トランジスタQ5,Q8,Q10,Q11のベースは共通で制御電圧Vgcの入力端子VGCに、トランジスタQ6,Q7,Q9,Q12のベースは共通で制御電圧Vgcxの入力端子VGCXにそれぞれ接続されている。
【0060】
トランジスタQ8,Q12のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源Vccと接続されていると共に、正相信号の出力端子OUTに接続されている。また、トランジスタQ5,Q9のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源Vccと接続されていると共に、逆相信号の出力端子OUTXに接続されている。また、トランジスタQ6,Q7,Q10,Q11のコレクタは、電源Vccと直接接続されている。
【0061】
電流切換回路3は、差動対トランジスタ101および差動対トランジスタ201に流れる電流が2つの負荷抵抗RLに流れ込むに際し、その2つの負荷抵抗RLを流れる電流の電流比を切り換える電流切換回路としての機能を有する。この電流切換回路としての機能は、制御電圧端子VGC,VGCXに印加される制御電圧Vgc,Vgcxを切り換えて、電流切換回路3を構成する4つの差動対トランジスタの利得を制御することにより達成される。
【0062】
本実施形態の可変利得回路の利得Gは、第1の実施形態で説明した式(5)と同様に表すことできる。したがって、本実施形態の可変利得回路の利得Gを変化させるためには、制御電圧の入力端子VGC,VGCXに印加される制御電圧Vgc,Vgcxの電位差Vdを変化させれば良く、最大出力振幅を得るためには第1の利得制御電圧VdをVd>>0に設定し、最小出力振幅を得るためにはVd<<0に設定する。
【0063】
定電流回路CCS1,CCS2は定電流回路CCS9とカレントミラー回路を形成する関係にあり、定電流回路CCS9の電流は、第2の電流切換回路13に接続される電流制御電圧端子VCC,VCCX間の電位差(第2の利得制御電位差)によって変化する。また、定電流回路CCS6,CCS7は定電流回路CCS8とカレントミラー回路を形成する関係にある。
【0064】
差動対トランジスタ101を構成するトランジスタQ1,Q2のエミッタに接続される定電流回路CCS1およびCCS2の電流と、コレクタに接続される定電流回路CCS6およびCCS7の電流は、電流切換回路13に接続される電流制御電圧端子VCC,VCCX間の電位差によって切り換えられる。
【0065】
ここで、最少利得時、すなわち第1の利得制御電圧VdがVd<<0のときに、電流制御入力端子VCC,VCCXに印加される電圧Vcc,Vccxの大きさの関係をVccx>>Vccとすることで、差動対トランジスタ101に流れる電流はほとんど0となり、差動対トランジスタ101で生成され出力端子OUT,OUTXに現われる歪成分を抑圧することができる。さらに、本実施形態では、利得制御時の出力端子OUT,OUTXの直流電圧成分を一定にできる。
【0066】
〔第5の実施形態〕
図5は、本発明に係る第5の実施形態の可変利得回路を示す回路図である。同図に示すように、第5の実施形態の可変利得回路は、図2に示した第2の実施形態の可変利得回路と比較して、差動対トランジスタ102を構成するトランジスタQ1のコレクタに定電流回路CCS6が追加接続され、また、トランジスタQ2のコレクタに定電流回路CCS7が追加接続され、さらに、定電流回路CCS6および定電流回路CCS7は、追加接続された定電流回路CCS8から電流が供給される点が異なる。定電流回路CCS8には、電流切換回路13を介して電流I2が流れる。
【0067】
なお、本実施形態の可変利得回路の利得制御幅として例えば30dB程度を得るためには、エミッタ負帰還抵抗RE1とエミッタ負帰還抵抗RE2との比、およびエミッタ負帰還抵抗RE3とエミッタ負帰還抵抗RE4との比を約1:32に設定する。
【0068】
以下、本実施形態の可変利得回路の詳細構成と動作について説明する。
前述の構成により、定電流回路CCS1の電流と、差動対トランジスタ102のコレクタに接続される定電流回路CCS6,CCS7の電流は、電流切換回路13に接続される電流制御電圧端子VCC,VCCX間の電位差によって切り換えられる。
【0069】
トランジスタQ1,Q3のベースは共通で正相信号の入力端子IN、トランジスタQ2,Q4のベースは共通で逆相信号の入力端子INXに接続されている。また、トランジスタQ5,Q8,Q10,Q11のベースは共通で制御電圧Vgcの入力端子VGCに、トランジスタQ6,Q7,Q9,Q12のベースは共通で制御電圧Vgcxの入力端子VGCXにそれぞれ接続されている。
【0070】
トランジスタQ8,Q12のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源Vccと接続されていると共に、正相信号の出力端子OUTに接続されている。また、トランジスタQ5,Q9のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源Vccと接続されていると共に、逆相信号の出力端子OUTXに接続されている。また、トランジスタQ6,Q7,Q10,Q11のコレクタは、電源Vccと直接接続されている。
【0071】
電流切換回路3は、差動対トランジスタ102および差動対トランジスタ202に流れる電流が2つの負荷抵抗RLに流れ込むに際し、その2つの負荷抵抗RLを流れる電流の電流比を切り換える電流切換回路としての機能を有する。この電流切換回路としての機能は、制御電圧端子VGC,VGCXに印加される制御電圧Vgc,Vgcxを切り換えて、電流切換回路3を構成する4つの差動対トランジスタの利得を制御することにより達成される。
【0072】
本実施形態の可変利得回路の利得Gは、第2の実施形態で説明した式(9)と同様に表すことができる。したがって、本実施形態の可変利得回路の利得Gを変化させるためには、制御電圧の入力端子VGC,VGCXに印加される制御電圧Vgc,Vgcxの電位差Vdを変化させれば良く、最大出力振幅を得るためには第1の利得制御電圧VdをVd>>0に設定し、最小出力振幅を得るためにはVd<<0に設定する。
【0073】
定電流回路CCS1,CCS2は定電流回路CCS9とカレントミラー回路を形成する関係にあり、定電流回路CCS9の電流は、電流切換回路13に接続される電流制御電圧端子VCC,VCCX間の電位差(第2の利得制御電位差)によって変化する。
【0074】
ここで、最少利得時、すなわち第1の利得制御電圧VdがVd<<0のときに、電流制御入力端子VCC,VCCXに印加される電圧Vcc,Vccxの大きさの関係をVccx>>Vccとすることで、差動対トランジスタ102に流れる電流はほとんど0となり、差動対トランジスタ102で生成され出力端子OUT,OUTXに現われる歪成分を抑圧することができる。
【0075】
また、本実施形態では、差動対トランジスタ102および差動対トランジスタ202の電流源をそれぞれ1つの定電流回路CCS1,CCS3で構成しているため、相対ばらつきに対する耐性を高めることができる。さらに、本実施形態では、利得制御時での出力端子OUT,OUTXの直流電圧成分を一定にできる。
【0076】
〔第6の実施形態〕
図6は、本発明に係る第6の実施形態の可変利得回路を示す回路図である。同図に示すように、第6の実施形態の可変利得回路は、図3に示した第3の実施形態の可変利得回路と比較して、差動対トランジスタ103を構成するトランジスタQ1のコレクタに定電流回路CCS6が追加接続され、また、トランジスタQ2のコレクタに定電流回路CCS7が追加接続され、さらに、定電流回路CCS6および定電流回路CCS7は、追加接続された定電流回路CCS8から電流が供給される点が異なる。定電流回路CCS8には、電流切換回路13を介して電流I2が流れる。
【0077】
なお、本実施形態の可変利得回路の利得制御幅として例えば30dB程度を得るためには、エミッタ負帰還抵抗RE1とエミッタ負帰還抵抗RE2との比を約1:32に設定する。
【0078】
以下、本実施形態の可変利得回路の詳細構成と動作について説明する。
前述の構成により、定電流回路CCS1の電流と、差動対トランジスタ103のコレクタに接続される定電流回路CCS6,CCS7の電流は、電流切換回路13に接続される電流制御電圧端子VCC,VCCX間の電位差によって切り換えられる。
【0079】
トランジスタQ1,Q3のベースは共通で正相信号の入力端子IN、トランジスタQ2,Q4のベースは共通で逆相信号の入力端子INXに接続されている。また、トランジスタQ5,Q8,Q10,Q11のベースは共通で制御電圧Vgcの入力端子VGCに、トランジスタQ6,Q7,Q9,Q12のベースは共通で制御電圧Vgcxの入力端子VGCXにそれぞれ接続されている。
【0080】
トランジスタQ8,Q12のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源Vccと接続されていると共に、正相信号の出力端子OUTに接続されている。また、トランジスタQ5,Q9のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源Vccと接続されていると共に、逆相信号の出力端子OUTXに接続されている。また、トランジスタQ6,Q7,Q10,Q11のコレクタは、電源Vccと直接接続されている。
【0081】
電流切換回路3は、差動対トランジスタ103および差動対トランジスタ203に流れる電流が2つの負荷抵抗RLに流れ込むに際し、その2つの負荷抵抗RLを流れる電流の電流比を切り換える電流切換回路としての機能を有する。この電流切換回路としての機能は、制御電圧端子VGC,VGCXに印加される制御電圧Vgc,Vgcxを切り換えて、電流切換回路3を構成する4つの差動対トランジスタの利得を制御することにより達成される。
【0082】
本実施形態の可変利得回路の利得Gは、第3の実施形態で説明した式(13)と同様に表すことができる。したがって、本実施形態の可変利得回路の利得Gを変化させるためには、制御電圧の入力端子VGC,VGCXに印加される制御電圧Vgc,Vgcxの電位差Vdを変化させれば良く、最大出力振幅を得るためには第1の利得制御電圧VdをVd>>0に設定し、最小出力振幅を得るためにはVd<<0に設定する。
【0083】
定電流回路CCS1,CCS2は定電流回路CCS9とカレントミラー回路を形成する関係にあり、定電流回路CCS9の電流は、電流切換回路13に接続される電流制御電圧端子VCC,VCCX間の電位(第2の利得制御電位差)によって変化する。
【0084】
ここで、最少利得時、すなわち第1の利得制御電圧VdがVd<<0のときに、電流制御入力端子VCC,VCCXに印加される電圧Vcc,Vccxの大きさの関係をVccx>>Vccとすることで、差動対トランジスタ103に流れる電流はほとんど0となり、差動対トランジスタ103で生成され出力端子OUT,OUTXに現われる歪成分を抑圧することができる。
【0085】
また、本実施形態では、差動対トランジスタ103および差動対トランジスタ203を構成するエミッタ負帰還コンデンサC1,C2の作用によって、低周波領域での利得を低減させることができる。さらに、本実施形態では、利得制御時での出力端子OUT,OUTXの直流電圧成分を一定にできる。
【0086】
前述の図7に示した本実施形態の可変利得回路の利得制御特性は、制御電圧VgcとVgcxの電位差Vd(第1の利得制御電圧)に対して遷移しており、また、歪み特性は低利得時には従来の歪特性と比較して充分に高く確保されている。
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る可変利得回路によれば、強電界受信時(低利得時)における歪み特性の劣化を低減させて良好な歪特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の可変利得回路を示す回路図
【図2】本発明に係る第2の実施形態の可変利得回路を示す回路図
【図3】本発明に係る第3の実施形態の可変利得回路を示す回路図
【図4】本発明に係る第4の実施形態の可変利得回路を示す回路図
【図5】本発明に係る第5の実施形態の可変利得回路を示す回路図
【図6】本発明に係る第6の実施形態の可変利得回路を示す回路図
【図7】従来および本発明に係る可変利得回路の制御電圧VgcとVgcxの電位差Vdに対する利得制御特性、および可変利得回路の歪み(3次相互変調歪)特性を示す説明図
【図8】従来の可変利得回路の回路構成を示す回路図
【符号の説明】
13 電流切換回路
101,102,103 差動対トランジスタ
201,202,203 差動対トランジスタ
CCS1〜CCS14 定電流回路
C1,C2 エミッタ負帰還コンデンサ
IN 正相入力端子
INX 逆相入力端子
OUT 正相出力端子
OUTX 逆相出力端子
Q1〜Q21 npn型トランジスタ
Q22,Q23 pnp型トランジスタ
RE1〜RE4 エミッタ負帰還抵抗
RL 負荷抵抗
Vcc 電源
VCC 電流制御電圧端子
VCCX 電流制御電圧端子
VGC 制御電圧端子
VGCX 制御電圧端子
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話等の移動体通信システムにおいて携帯端末等の出力電力を制御するための自動利得制御装置に適用される可変利得回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、スペクトラム拡散方式を用いたCDMA(Code Division Multiple Access:符号分割多元接続)方式の移動体通信システムでは、送信機側では加入者容量増大の目的から同一周波数帯に拡散符号の異なる複数の移動局を割り当てて送信を行っており、受信機側では受信信号に送信時と同一の拡散符号を重畳して信号を復元している。このような移動体通信システムでは、基地局へ到達する各移動局からの出力の電界強度が同一となるように各移動局の出力電力を送信系の無線部で制御する必要がある。また、移動局のベースバンド信号処理部に入力する信号振幅が、移動局が受ける電界強度の強弱によらず一定となるように、受信系の無線部で電力制御する必要がある。ちなみに、一般的なCDMA方式の携帯電話機では、送信系、受信系の各無線部において、それぞれ80dB程度の利得制御幅が要求される。
【0003】
図8は、従来の可変利得回路の回路構成を示す回路図である。同図に示すように、従来の可変利得回路は、エミッタ間をエミッタ抵抗RE3で結合したトランジスタQ24,Q25からなる第1の差動対トランジスタ14と、エミッタ間をエミッタ抵抗RE4で結合したトランジスタQ26,Q27からなる第2の差動対トランジスタ15とを備え、トランジスタQ24〜Q27のコレクタにはエミッタが共通でそれぞれ差動対トランジスタを構成するトランジスタQ28〜Q35の共通エミッタにそれぞれ接続されている。トランジスタQ28〜Q35で構成される4つの差動対トランジスタは、第1の差動対トランジスタ14および第2の差動対トランジスタ15に流れる電流が負荷抵抗RLに流れる電流比を制御電圧VGC,VGCXによって切り換えて利得を制御する電流切換回路としての機能を有する。
【0004】
また、第1の差動対トランジスタ14および第2の差動対トランジスタ15を構成するトランジスタQ24〜Q27のエミッタには、定電流回路CCS14とミラー関係にある定電流源回路CCS10〜CCS13が接続されている。ここで、トランジスタQ24,Q26のベースは共通で正相信号、トランジスタQ25,Q26のベースは共通で逆相信号の入力端子IN,INXであり、トランジスタQ28,Q31,Q33,Q34のベースは共通で制御電圧Vgcの入力端子VGC、トランジスタQ29,Q30,Q32,Q35のベースは共通で制御電圧Vgcxの入力端子VGCXである。
【0005】
トランジスタQ28,Q32のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源に接続されていると共に、正相信号の出力端子OUTとなっている。また、トランジスタQ31,Q35のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源と接続されていると共に、逆相信号の出力端子OUTXとなっている。また、トランジスタQ29,Q30,Q33,Q34のコレクタは電源と直接接続されている。
【0006】
ここで、第1の差動対トランジスタ14の利得Avhと第2の差動対トランジスタ15の利得AvlをAvh>Avlの関係にするために、それぞれの差動対トランジスタを構成するエミッタ抵抗をRE3<RE4に設定する。例えば、利得制御幅を30dB程度にするためにはRE3:RE4を約1:32に設定すれば良い。
【0007】
当該可変利得回路の利得Gは次式(1)で表すことができる。
G=20log(RL/(1+M)×(M×gm3+gm4)) …(1)
但し、
gm3=1/(Vt/I3+RE3/2) …(2)
gm4=1/(Vt/I4+RE4/2) …(3)
M=exp(Vd/Vt) …(4)
であり、Vdは制御電圧VgcとVgcxの電位差であり、I3は定電流回路CCS10,CCS11に流れる電流であり、I4は定電流回路CCS12,CCS13に流れる電流である。また、Vt=kT/qであり、qは電子電荷、kはボルツマン定数、Tは絶対温度である。
【0008】
したがって、可変利得回路の利得を変化させるためには、制御電圧の入力端子VGC,VGCXに印加される制御電圧Vgc,Vgcxの電位差Vdを変化させれば良く、最大出力振幅を得るためにはVd>>0に設定し、最小出力振幅を得るためにはVd<<0に設定する。
【0009】
以上説明したように、従来の可変利得回路では、入力端子VGC,VGCXに制御電圧を印加することにより制御電圧に応じて利得が変化する。
【0010】
図7は、従来および本発明に係る可変利得回路の制御電圧VgcとVgcxの電位差Vdに対する利得制御特性と、可変利得回路の歪み(3次相互変調歪)特性とを示す説明図である。同図に示すように、利得制御特性は制御電圧VgcとVgcxの電位差Vdに対して遷移しており、歪み特性は低利得時には比較的高く確保できるが高利得動作時には劣化する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記説明した従来の可変利得回路にあっては、図7に示した制御電圧VgcとVgcxの電位差Vdに対する利得制御特性が示すように、歪み(3次相互変調歪)特性は低利得時には比較的高く確保できているが、例えば、当該従来の可変利得回路をCDMA方式の携帯電話機の受信系に適用した場合、強電界受信時(すなわち低利得時)でもBER(Bit Error Rate)特性を充分確保する必要性があるため、歪特性はできる限り良好に保つことが望ましい。
【0012】
しかしながら、上記従来の可変利得回路では、低利得動作時、すなわち電流切換回路によって第2の差動対トランジスタ15に流れる電流が負荷抵抗RLに流れるときには第1の差動対トランジスタ14にも電流が流れており、例えば、図8に示す従来の可変利得回路の入力端子IN,INXがエミッタホロワ回路のエミッタに接続されているような場合、エミッタホロワ回路の出力インピーダンスは通常数百Ωであるため、第1の差動対トランジスタ14で発生した歪成分が寄生成分の影響により電圧振幅となって入力端子IN,INXに現われ、第2の差動対トランジスタ15に入力される。そのため当該歪成分は、第2の差動対トランジスタ15で本来発生する歪成分に加算され、出力端子OUT,OUTXから出力される。このため、従来の可変利得回路を低利得動作時で使用した場合、高利得側差動対トランジスタで生成された歪成分が出力端子OUT,OUTXに現われるため、歪み特性が劣化してしまうという問題点があった。
【0013】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、強電界受信時(低利得時)における歪み特性の劣化を低減させて良好な歪特性を得ることができる可変利得回路を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る可変利得回路は、各エミッタが抵抗で接続された第1の差動対トランジスタに流れる電流と、各エミッタが抵抗で接続された第2の差動対トランジスタに流れる電流との電流比を制御電圧に応じて切り換える電流比切換手段を備え、前記電流比によって利得を可変とする可変利得回路であって、当該可変利得回路の利得に応じて前記第1の差動対トランジスタを流れる電流を制御する第1の電流制御手段を備え、前記第1の電流制御手段は、前記電流比切換手段によって前記可変利得回路の利得が最小とされたとき、前記第1の差動対トランジスタを流れる電流を最大限0に抑える。したがって、第1の差動対トランジスタで生成され出力信号に現れる歪成分を抑制することができるため、強電界受信時(低利得時)における歪み特性の劣化を低減させて良好な歪特性を得ることができる。
【0015】
また、本発明に係る可変利得回路は、前記第1の差動対トランジスタを構成する2つのトランジスタのエミッタ側には、前記第1の電流制御手段の出力電流によって前記第1の差動対トランジスタを流れる電流を制御する第2の電流制御手段を備えている。
【0016】
また、本発明に係る可変利得回路は、前記第1の電流制御手段は差動対トランジスタによって構成され、前記第1の電流制御手段の出力電流は、前記差動対トランジスタを構成する2つのトランジスタのベースに入力される2つの制御信号の電位差によって決定される。したがって、当該2つの制御信号の電位差を大きくすることで第1の電流制御手段の出力電流が小さくなるため、第2の電流制御手段は第1の差動対トランジスタを流れる電流を最大限0に抑えることができる。
【0017】
また、本発明に係る可変利得回路は、前記第2の電流制御手段は、前記第1の電流制御手段の出力電流および前記第1の差動対トランジスタを流れる電流がコレクタ電流のカレントミラー回路であることが望ましい。
【0018】
また、本発明に係る可変利得回路は、前記第2の電流制御手段は、前記第1の電流制御手段の出力電流および前記第1の差動トランジスタを構成する各トランジスタを流れる合成電流がコレクタ電流のカレントミラー回路である。したがって、第2の電流制御手段は1つだけで良いため、相対ばらつきに対する耐性を高めることができる
【0019】
また、本発明に係る可変利得回路は、前記カレントミラー回路を構成する2つのトランジスタの各エミッタがコンデンサで接続されている。したがって、低周波領域での利得を低減させることができる。
【0020】
また、本発明に係る可変利得回路は、前記第1の差動対トランジスタを構成する2つのトランジスタのコレクタ側には、前記第1の差動対トランジスタのコレクタ電流および前記第1の電流制御手段の出力電流をコレクタ電流とするカレントミラー回路を備えている。したがって、利得制御時の出力信号の直流電圧成分を一定にできる。
【0021】
また、本発明に係る通信端末は、請求項1、2、3、4、5、6または7記載の可変利得回路を備えている。
【0022】
さらに、本発明に係る基地局は、請求項1、2、3、4、5、6または7記載の可変利得回路を備えている。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る可変利得回路の実施の形態について、〔第1の実施形態〕、〔第2の実施形態〕、〔第3の実施形態〕、〔第4の実施形態〕、〔第5の実施形態〕、〔第6の実施形態〕の順に図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明に係る第1の実施形態の可変利得回路を示す回路図である。同図に示すように、第1の実施形態の可変利得回路は、特許請求の範囲の第1の差動対トランジスタに該当する差動対トランジスタ101と、第2の差動対トランジスタに該当する差動対トランジスタ201と、電流比切換手段に該当する電流切換回路3と、第1の電流制御手段に該当する電流切換回路13と、定電流回路CCS1〜CCS5,CCS9とを備えて構成されている。なお、定電流回路CCS1,CCS2,CCS9は特許請求の範囲の第1の電流制御手段に該当する。
【0025】
符号INは正相入力端子、INXは逆相入力端子、OUTXは逆相出力端子、OUTXは逆相出力端子、Q1〜Q21はnpn型トランジスタ、Q22,Q23はpnp型トランジスタ、RE1,RE2はエミッタ負帰還抵抗、RLは負荷抵抗、Vccは電源、VCCは電流制御電圧端子、VCCXは電流制御電圧端子、VGC,VGCXは制御電圧端子をそれぞれ示す。本実施形態の可変利得回路の利得制御幅として例えば30dB程度を得るためには、エミッタ負帰還抵抗RE1とエミッタ負帰還抵抗RE2との比を約1:32に設定する。なお、上記エミッタ負帰還抵抗RE1,RE2は特許請求の範囲の抵抗に該当する。
【0026】
以下、本実施形態の可変利得回路の詳細構成と動作について説明する。
差動対トランジスタ101は、エミッタ間をエミッタ負帰還抵抗RE1で結合したトランジスタQ1,Q2とからなる。差動対トランジスタ201は、エミッタ間をエミッタ負帰還抵抗RE2で結合したトランジスタQ3,Q4とからなる。また、電流切換回路3は、トランジスタQ5〜Q12により4つの差動対トランジスタを構成している。
【0027】
差動対トランジスタ101および差動対トランジスタ201を構成するトランジスタQ1〜Q4の各々のコレクタは、電流切換回路3を構成するトランジスタQ5〜Q12の共通エミッタにそれぞれ接続されている。また、差動対トランジスタ101および差動対トランジスタ201を構成するトランジスタQ1〜Q4の各々のエミッタには、定電流回路CCS1〜CCS4がそれぞれ接続されている。
【0028】
トランジスタQ1,Q3のベースは共通で正相信号の入力端子IN、トランジスタQ2,Q4のベースは共通で逆相信号の入力端子INXに接続されている。また、トランジスタQ5,Q8,Q10,Q11のベースは共通で制御電圧Vgcの入力端子VGCに、トランジスタQ6,Q7,Q9,Q12のベースは共通で制御電圧Vgcxの入力端子VGCXにそれぞれ接続されている。
【0029】
トランジスタQ8,Q12のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源Vccと接続されていると共に、正相信号の出力端子OUTに接続されている。また、トランジスタQ5,Q9のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源Vccと接続されていると共に、逆相信号の出力端子OUTXに接続されている。また、トランジスタQ6,Q7,Q10,Q11のコレクタは、電源Vccと直接接続されている。
【0030】
電流切換回路3は、差動対トランジスタ101および差動対トランジスタ201に流れる電流が2つの負荷抵抗RLに流れ込むに際し、その2つの負荷抵抗RLを流れる電流の電流比を切り換える電流切換回路としての機能を有する。この電流切換回路としての機能は、制御電圧端子VGC,VGCXに印加される制御電圧Vgc,Vgcxを切り換えて、電流切換回路3を構成する4つの差動対トランジスタの利得を制御することにより達成される。
【0031】
本実施形態の可変利得回路の利得Gは次式(5)で表すことができる。
G=20log(RL/(1+M)×(M×gm1+gm2)) …(5)
但し、
gm1=1/(Vt/I1+RE1/2) …(6)
gm2=1/(Vt/I2+RE2/2) …(7)
M=exp(Vd/Vt) …(8)
であり、Vdは制御電圧端子VGC,VGCXに印加される制御電圧VgcとVgcxの電位差(以下「第1の利得制御電圧」という。)であり、I1は定電流回路CCS3,CCS4に流れる電流であり、I2は定電流回路CCS1,CCS2に流れる電流である。また、Vt=kT/qであり、qは電子電荷、kはボルツマン定数、Tは絶対温度である。
【0032】
したがって、本実施形態の可変利得回路の利得Gを変化させるためには、制御電圧の入力端子VGC,VGCXに印加される制御電圧Vgc,Vgcxの電位差Vdを変化させれば良く、最大出力振幅を得るためには第1の利得制御電圧VdをVd>>0に設定し、最小出力振幅を得るためにはVd<<0に設定する。
【0033】
定電流回路CCS1および定電流回路CCS2は定電流回路CCS9とカレントミラー回路を形成する関係にあり、定電流回路CCS9の電流は、電流切換回路13に接続される電流制御電圧端子VCC,VCCX間の電位差(以下「第2の利得制御電位差」という。)によって変化する。
【0034】
ここで、最少利得時、すなわち第1の利得制御電圧VdがVd<<0のときに、電流制御入力端子VCC,VCCXに印加される電圧Vcc,Vccxの大きさの関係をVccx>>Vccとすることで、差動対トランジスタ101に流れる電流はほとんど0となり、差動対トランジスタ101で生成され出力端子OUT,OUTXに現われる歪成分を抑圧することができる。
【0035】
〔第2の実施形態〕
図2は、本発明に係る第2の実施形態の可変利得回路を示す回路図である。同図に示すように、第2の実施形態の可変利得回路は、図1に示した第1の実施形態の可変利得回路と比較して、差動対トランジスタ101が特許請求の範囲の第1の差動対トランジスタに該当する差動対トランジスタ102に置き代わり、差動対トランジスタ201が第2の差動対トランジスタに該当する差動対トランジスタ202に置き代わり、これに応じて図1に示した定電流回路CCS2,CCS4が不要となったため削除されている点が異なる。
【0036】
なお、本実施形態の可変利得回路の利得制御幅として例えば30dB程度を得るためには、エミッタ負帰還抵抗RE1とエミッタ負帰還抵抗RE2との比、およびエミッタ負帰還抵抗RE3とエミッタ負帰還抵抗RE4との比を約1:32に設定する。
【0037】
以下、本実施形態の可変利得回路の詳細構成と動作について説明する。
差動対トランジスタ102は、エミッタ間をエミッタ負帰還抵抗RE1とRE3で結合したトランジスタQ1,Q2で構成されている。また、差動対トランジスタ202は、エミッタ間をエミッタ負帰還抵抗RE2とRE4で結合したトランジスタQ3,Q4で構成されている。また、第1の差動対トランジスタ102および第2の差動対トランジスタ202を構成するエミッタ負帰還抵抗RE1,RE3の接続点には定電流回路CCS1が、また、エミッタ負帰還抵抗RE2,RE4の接続点には定電流回路CCS3が接続されている。
【0038】
トランジスタQ1,Q3のベースは共通で正相信号の入力端子IN、トランジスタQ2,Q4のベースは共通で逆相信号の入力端子INXに接続されている。また、トランジスタQ5,Q8,Q10,Q11のベースは共通で制御電圧Vgcの入力端子VGCに、トランジスタQ6,Q7,Q9,Q12のベースは共通で制御電圧Vgcxの入力端子VGCXにそれぞれ接続されている。
【0039】
トランジスタQ8,Q12のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源Vccと接続されていると共に、正相信号の出力端子OUTに接続されている。また、トランジスタQ5,Q9のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源Vccと接続されていると共に、逆相信号の出力端子OUTXに接続されている。また、トランジスタQ6,Q7,Q10,Q11のコレクタは、電源Vccと直接接続されている。
【0040】
電流切換回路3は、差動対トランジスタ102および差動対トランジスタ202に流れる電流が2つの負荷抵抗RLに流れ込むに際し、その2つの負荷抵抗RLを流れる電流の電流比を切り換える電流切換回路としての機能を有する。この電流切換回路としての機能は、制御電圧端子VGC,VGCXに印加される制御電圧Vgc,Vgcxを切り換えて、電流切換回路3を構成する4つの差動対トランジスタの利得を制御することにより達成される。
【0041】
本実施形態に係る可変利得回路の利得Gは次式(9)で表すことができる。
G=20log(RL/(1+M)×(M×gm1+gm2)) …(9)
但し、
gm1=1/(2Vt/I1+RE1) …(10)
gm2=1/(2Vt/I2+RE2) …(11)
M=exp(Vd/Vt) …(12)
であり、Vdは制御電圧端子VGC,VGCXに印加される制御電圧VgcとVgcxの電位差(第1の利得制御電圧)であり、I1は定電流回路CCS3に流れる電流であり、I2は定電流回路CCS1に流れる電流である。また、Vt=kT/qであり、qは電子電荷、kはボルツマン定数、Tは絶対温度である。
【0042】
したがって、本実施形態の可変利得回路の利得Gを変化させるためには、制御電圧の入力端子VGC,VGCXに印加される制御電圧Vgc,Vgcxの電位差Vdを変化させれば良く、最大出力振幅を得るためには第1の利得制御電圧VdをVd>>0に設定し、最小出力振幅を得るためにはVd<<0に設定する。
【0043】
定電流回路CCS1は定電流回路CCS9とカレントミラー回路を形成する関係にあり、定電流回路CCS9の電流は、第2の電流切換回路13に接続される電流制御電圧端子VCC,VCCX間の電位差(第2の利得制御電位差)によって変化する。
【0044】
ここで、最少利得時、すなわち第1の利得制御電圧VdがVd<<0のときに、電流制御入力端子VCC,VCCXに印加される電圧Vcc,Vccxの大きさの関係をVccx>>Vccとすることで、差動対トランジスタ102に流れる電流はほとんど0となり、差動対トランジスタ102で生成され出力端子OUT,OUTXに現われる歪成分を抑圧することができる。
【0045】
また、本実施形態では、差動対トランジスタ102および差動対トランジスタ202の電流源をそれぞれ1つの定電流回路CCS1,CCS3で構成しているため、相対ばらつきに対する耐性を高めることができる。
【0046】
〔第3の実施形態〕
図3は、本発明に係る第3の実施形態の可変利得回路を示す回路図である。同図に示すように、第3の実施形態の可変利得回路は、図1に示した第1の実施形態の可変利得回路と比較して、差動対トランジスタ101が特許請求の範囲の第1の差動対トランジスタに該当する差動対トランジスタ103に置き代わり、差動対トランジスタ201が第2の差動対トランジスタに該当する差動対トランジスタ203に置き代わった点が異なる。なお、本実施形態の可変利得回路の利得制御幅として例えば30dB程度を得るためには、エミッタ負帰還抵抗RE1とエミッタ負帰還抵抗RE2との比を約1:32に設定する。
【0047】
以下、本実施形態の可変利得回路の詳細構成と動作について説明する。
差動対トランジスタ103は、エミッタ間をエミッタ負帰還抵抗RE1とエミッタ負帰還コンデンサC1の並列接続で結合したトランジスタQ1,Q2で構成されている。また、差動対トランジスタ203は、エミッタ間をエミッタ負帰還抵抗RE2とエミッタ負帰還コンデンサC2の並列接続で結合したトランジスタQ3,Q4で構成されている。また、差動対トランジスタ103および差動対トランジスタ203を構成するトランジスタQ1〜Q4の各々のエミッタには、定電流回路CCS1〜CCS4がそれぞれ接続されている。なお、上記エミッタ負帰還コンデンサC1,C2は特許請求の範囲のコンデンサに該当する。
【0048】
トランジスタQ1,Q3のベースは共通で正相信号の入力端子IN、トランジスタQ2,Q4のベースは共通で逆相信号の入力端子INXに接続されている。また、トランジスタQ5,Q8,Q10,Q11のベースは共通で制御電圧Vgcの入力端子VGCに、トランジスタQ6,Q7,Q9,Q12のベースは共通で制御電圧Vgcxの入力端子VGCXにそれぞれ接続されている。
【0049】
トランジスタQ8,Q12のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源Vccと接続されていると共に、正相信号の出力端子OUTに接続されている。また、トランジスタQ5,Q9のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源Vccと接続されていると共に、逆相信号の出力端子OUTXに接続されている。また、トランジスタQ6,Q7,Q10,Q11のコレクタは、電源Vccと直接接続されている。
【0050】
電流切換回路3は、差動対トランジスタ103および差動対トランジスタ203に流れる電流が2つの負荷抵抗RLに流れ込むに際し、その2つの負荷抵抗RLを流れる電流の電流比を切り換える電流切換回路としての機能を有する。この電流切換回路としての機能は、制御電圧端子VGC,VGCXに印加される制御電圧Vgc,Vgcxを切り換えて、電流切換回路3を構成する4つの差動対トランジスタの利得を制御することにより達成される。
【0051】
本実施形態の可変利得回路の利得Gは次式(13)で表すことができる。
G=20log(RL/(1+M)×(M×gm1+gm2)) …(13)
但し、
gm1=1/(2Vt/I1+RE1) …(14)
gm2=1/(2Vt/I2+RE2) …(15)
M=exp(Vd/Vt) …(16)
RE1=jωC1/(RE1×jωC1+1) …(17)
RE2=jωC2/(RE2×jωC2+1) …(18)
であり、Vdは制御電圧端子VGC,VGCXに印加される制御電圧VgcとVgcxの電位差(第1の利得制御電圧)であり、I1は定電流回路CCS3,CCS4に流れる電流であり、I2は定電流回路CCS1,CCS2に流れる電流である。また、Vt=kT/qであり、ω=2πf、qは電子電荷、kはボルツマン定数、Tは絶対温度である。
【0052】
したがって、本実施形態の可変利得回路の利得Gを変化させるためには、制御電圧の入力端子VGC,VGCXに印加される制御電圧Vgc,Vgcxの電位差Vdを変化させれば良く、最大出力振幅を得るためには第1の利得制御電圧VdをVd>>0に設定し、最小出力振幅を得るためにはVd<<0に設定する。
【0053】
定電流回路CCS1および定電流回路CCS2は定電流回路CCS9とカレントミラー回路を形成する関係にあり、定電流回路CCS9の電流は、第2の電流切換回路13に接続される電流制御電圧端子VCC,VCCX間の電位差(第2の利得制御電位差)によって変化する。
【0054】
ここで、最少利得時、すなわち第1の利得制御電圧VdがVd<<0のときに、電流制御入力端子VCC,VCCXに印加される電圧Vcc,Vccxの大きさの関係をVccx>>Vccとすることで、差動対トランジスタ103に流れる電流はほとんど0となり、差動対トランジスタ103で生成され出力端子OUT,OUTXに現われる歪成分を抑圧することができる。
【0055】
また、本実施形態の可変利得回路は、差動対トランジスタ103および差動対トランジスタ203を構成するエミッタ負帰還コンデンサC1,C2の作用によって、低周波領域での利得を低減させることができる。
【0056】
〔第4の実施形態〕
図4は、本発明に係る第4の実施形態の可変利得回路を示す回路図である。同図に示すように、第4の実施形態の可変利得回路は、図1に示した第1の実施形態の可変利得回路と比較して、差動対トランジスタ101を構成するトランジスタQ1のコレクタに定電流回路CCS6が追加接続され、また、トランジスタQ2のコレクタに定電流回路CCS7が追加接続され、さらに、定電流回路CCS6および定電流回路CCS7は、追加接続された定電流回路CCS8から電流が供給される点が異なる。定電流回路CCS8には、電流切換回路13を介して電流I2が流れる。
【0057】
なお、本実施形態の可変利得回路の利得制御幅として例えば30dB程度を得るためには、エミッタ負帰還抵抗RE1とエミッタ負帰還抵抗RE2との比を約1:32に設定する。
【0058】
以下、本実施形態の可変利得回路の詳細構成と動作について説明する。
前述の構成により、定電流回路CCS1,CCS2の電流と、差動対トランジスタ101のコレクタに接続される定電流回路CCS6,CCS7の電流は、電流切換回路13に接続される電流制御電圧端子VCC,VCCX間の電位差によって切り換えられる。
【0059】
トランジスタQ1,Q3のベースは共通で正相信号の入力端子IN、トランジスタQ2,Q4のベースは共通で逆相信号の入力端子INXに接続されている。また、トランジスタQ5,Q8,Q10,Q11のベースは共通で制御電圧Vgcの入力端子VGCに、トランジスタQ6,Q7,Q9,Q12のベースは共通で制御電圧Vgcxの入力端子VGCXにそれぞれ接続されている。
【0060】
トランジスタQ8,Q12のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源Vccと接続されていると共に、正相信号の出力端子OUTに接続されている。また、トランジスタQ5,Q9のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源Vccと接続されていると共に、逆相信号の出力端子OUTXに接続されている。また、トランジスタQ6,Q7,Q10,Q11のコレクタは、電源Vccと直接接続されている。
【0061】
電流切換回路3は、差動対トランジスタ101および差動対トランジスタ201に流れる電流が2つの負荷抵抗RLに流れ込むに際し、その2つの負荷抵抗RLを流れる電流の電流比を切り換える電流切換回路としての機能を有する。この電流切換回路としての機能は、制御電圧端子VGC,VGCXに印加される制御電圧Vgc,Vgcxを切り換えて、電流切換回路3を構成する4つの差動対トランジスタの利得を制御することにより達成される。
【0062】
本実施形態の可変利得回路の利得Gは、第1の実施形態で説明した式(5)と同様に表すことできる。したがって、本実施形態の可変利得回路の利得Gを変化させるためには、制御電圧の入力端子VGC,VGCXに印加される制御電圧Vgc,Vgcxの電位差Vdを変化させれば良く、最大出力振幅を得るためには第1の利得制御電圧VdをVd>>0に設定し、最小出力振幅を得るためにはVd<<0に設定する。
【0063】
定電流回路CCS1,CCS2は定電流回路CCS9とカレントミラー回路を形成する関係にあり、定電流回路CCS9の電流は、第2の電流切換回路13に接続される電流制御電圧端子VCC,VCCX間の電位差(第2の利得制御電位差)によって変化する。また、定電流回路CCS6,CCS7は定電流回路CCS8とカレントミラー回路を形成する関係にある。
【0064】
差動対トランジスタ101を構成するトランジスタQ1,Q2のエミッタに接続される定電流回路CCS1およびCCS2の電流と、コレクタに接続される定電流回路CCS6およびCCS7の電流は、電流切換回路13に接続される電流制御電圧端子VCC,VCCX間の電位差によって切り換えられる。
【0065】
ここで、最少利得時、すなわち第1の利得制御電圧VdがVd<<0のときに、電流制御入力端子VCC,VCCXに印加される電圧Vcc,Vccxの大きさの関係をVccx>>Vccとすることで、差動対トランジスタ101に流れる電流はほとんど0となり、差動対トランジスタ101で生成され出力端子OUT,OUTXに現われる歪成分を抑圧することができる。さらに、本実施形態では、利得制御時の出力端子OUT,OUTXの直流電圧成分を一定にできる。
【0066】
〔第5の実施形態〕
図5は、本発明に係る第5の実施形態の可変利得回路を示す回路図である。同図に示すように、第5の実施形態の可変利得回路は、図2に示した第2の実施形態の可変利得回路と比較して、差動対トランジスタ102を構成するトランジスタQ1のコレクタに定電流回路CCS6が追加接続され、また、トランジスタQ2のコレクタに定電流回路CCS7が追加接続され、さらに、定電流回路CCS6および定電流回路CCS7は、追加接続された定電流回路CCS8から電流が供給される点が異なる。定電流回路CCS8には、電流切換回路13を介して電流I2が流れる。
【0067】
なお、本実施形態の可変利得回路の利得制御幅として例えば30dB程度を得るためには、エミッタ負帰還抵抗RE1とエミッタ負帰還抵抗RE2との比、およびエミッタ負帰還抵抗RE3とエミッタ負帰還抵抗RE4との比を約1:32に設定する。
【0068】
以下、本実施形態の可変利得回路の詳細構成と動作について説明する。
前述の構成により、定電流回路CCS1の電流と、差動対トランジスタ102のコレクタに接続される定電流回路CCS6,CCS7の電流は、電流切換回路13に接続される電流制御電圧端子VCC,VCCX間の電位差によって切り換えられる。
【0069】
トランジスタQ1,Q3のベースは共通で正相信号の入力端子IN、トランジスタQ2,Q4のベースは共通で逆相信号の入力端子INXに接続されている。また、トランジスタQ5,Q8,Q10,Q11のベースは共通で制御電圧Vgcの入力端子VGCに、トランジスタQ6,Q7,Q9,Q12のベースは共通で制御電圧Vgcxの入力端子VGCXにそれぞれ接続されている。
【0070】
トランジスタQ8,Q12のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源Vccと接続されていると共に、正相信号の出力端子OUTに接続されている。また、トランジスタQ5,Q9のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源Vccと接続されていると共に、逆相信号の出力端子OUTXに接続されている。また、トランジスタQ6,Q7,Q10,Q11のコレクタは、電源Vccと直接接続されている。
【0071】
電流切換回路3は、差動対トランジスタ102および差動対トランジスタ202に流れる電流が2つの負荷抵抗RLに流れ込むに際し、その2つの負荷抵抗RLを流れる電流の電流比を切り換える電流切換回路としての機能を有する。この電流切換回路としての機能は、制御電圧端子VGC,VGCXに印加される制御電圧Vgc,Vgcxを切り換えて、電流切換回路3を構成する4つの差動対トランジスタの利得を制御することにより達成される。
【0072】
本実施形態の可変利得回路の利得Gは、第2の実施形態で説明した式(9)と同様に表すことができる。したがって、本実施形態の可変利得回路の利得Gを変化させるためには、制御電圧の入力端子VGC,VGCXに印加される制御電圧Vgc,Vgcxの電位差Vdを変化させれば良く、最大出力振幅を得るためには第1の利得制御電圧VdをVd>>0に設定し、最小出力振幅を得るためにはVd<<0に設定する。
【0073】
定電流回路CCS1,CCS2は定電流回路CCS9とカレントミラー回路を形成する関係にあり、定電流回路CCS9の電流は、電流切換回路13に接続される電流制御電圧端子VCC,VCCX間の電位差(第2の利得制御電位差)によって変化する。
【0074】
ここで、最少利得時、すなわち第1の利得制御電圧VdがVd<<0のときに、電流制御入力端子VCC,VCCXに印加される電圧Vcc,Vccxの大きさの関係をVccx>>Vccとすることで、差動対トランジスタ102に流れる電流はほとんど0となり、差動対トランジスタ102で生成され出力端子OUT,OUTXに現われる歪成分を抑圧することができる。
【0075】
また、本実施形態では、差動対トランジスタ102および差動対トランジスタ202の電流源をそれぞれ1つの定電流回路CCS1,CCS3で構成しているため、相対ばらつきに対する耐性を高めることができる。さらに、本実施形態では、利得制御時での出力端子OUT,OUTXの直流電圧成分を一定にできる。
【0076】
〔第6の実施形態〕
図6は、本発明に係る第6の実施形態の可変利得回路を示す回路図である。同図に示すように、第6の実施形態の可変利得回路は、図3に示した第3の実施形態の可変利得回路と比較して、差動対トランジスタ103を構成するトランジスタQ1のコレクタに定電流回路CCS6が追加接続され、また、トランジスタQ2のコレクタに定電流回路CCS7が追加接続され、さらに、定電流回路CCS6および定電流回路CCS7は、追加接続された定電流回路CCS8から電流が供給される点が異なる。定電流回路CCS8には、電流切換回路13を介して電流I2が流れる。
【0077】
なお、本実施形態の可変利得回路の利得制御幅として例えば30dB程度を得るためには、エミッタ負帰還抵抗RE1とエミッタ負帰還抵抗RE2との比を約1:32に設定する。
【0078】
以下、本実施形態の可変利得回路の詳細構成と動作について説明する。
前述の構成により、定電流回路CCS1の電流と、差動対トランジスタ103のコレクタに接続される定電流回路CCS6,CCS7の電流は、電流切換回路13に接続される電流制御電圧端子VCC,VCCX間の電位差によって切り換えられる。
【0079】
トランジスタQ1,Q3のベースは共通で正相信号の入力端子IN、トランジスタQ2,Q4のベースは共通で逆相信号の入力端子INXに接続されている。また、トランジスタQ5,Q8,Q10,Q11のベースは共通で制御電圧Vgcの入力端子VGCに、トランジスタQ6,Q7,Q9,Q12のベースは共通で制御電圧Vgcxの入力端子VGCXにそれぞれ接続されている。
【0080】
トランジスタQ8,Q12のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源Vccと接続されていると共に、正相信号の出力端子OUTに接続されている。また、トランジスタQ5,Q9のコレクタは共通で負荷抵抗RLを介して電源Vccと接続されていると共に、逆相信号の出力端子OUTXに接続されている。また、トランジスタQ6,Q7,Q10,Q11のコレクタは、電源Vccと直接接続されている。
【0081】
電流切換回路3は、差動対トランジスタ103および差動対トランジスタ203に流れる電流が2つの負荷抵抗RLに流れ込むに際し、その2つの負荷抵抗RLを流れる電流の電流比を切り換える電流切換回路としての機能を有する。この電流切換回路としての機能は、制御電圧端子VGC,VGCXに印加される制御電圧Vgc,Vgcxを切り換えて、電流切換回路3を構成する4つの差動対トランジスタの利得を制御することにより達成される。
【0082】
本実施形態の可変利得回路の利得Gは、第3の実施形態で説明した式(13)と同様に表すことができる。したがって、本実施形態の可変利得回路の利得Gを変化させるためには、制御電圧の入力端子VGC,VGCXに印加される制御電圧Vgc,Vgcxの電位差Vdを変化させれば良く、最大出力振幅を得るためには第1の利得制御電圧VdをVd>>0に設定し、最小出力振幅を得るためにはVd<<0に設定する。
【0083】
定電流回路CCS1,CCS2は定電流回路CCS9とカレントミラー回路を形成する関係にあり、定電流回路CCS9の電流は、電流切換回路13に接続される電流制御電圧端子VCC,VCCX間の電位(第2の利得制御電位差)によって変化する。
【0084】
ここで、最少利得時、すなわち第1の利得制御電圧VdがVd<<0のときに、電流制御入力端子VCC,VCCXに印加される電圧Vcc,Vccxの大きさの関係をVccx>>Vccとすることで、差動対トランジスタ103に流れる電流はほとんど0となり、差動対トランジスタ103で生成され出力端子OUT,OUTXに現われる歪成分を抑圧することができる。
【0085】
また、本実施形態では、差動対トランジスタ103および差動対トランジスタ203を構成するエミッタ負帰還コンデンサC1,C2の作用によって、低周波領域での利得を低減させることができる。さらに、本実施形態では、利得制御時での出力端子OUT,OUTXの直流電圧成分を一定にできる。
【0086】
前述の図7に示した本実施形態の可変利得回路の利得制御特性は、制御電圧VgcとVgcxの電位差Vd(第1の利得制御電圧)に対して遷移しており、また、歪み特性は低利得時には従来の歪特性と比較して充分に高く確保されている。
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る可変利得回路によれば、強電界受信時(低利得時)における歪み特性の劣化を低減させて良好な歪特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の可変利得回路を示す回路図
【図2】本発明に係る第2の実施形態の可変利得回路を示す回路図
【図3】本発明に係る第3の実施形態の可変利得回路を示す回路図
【図4】本発明に係る第4の実施形態の可変利得回路を示す回路図
【図5】本発明に係る第5の実施形態の可変利得回路を示す回路図
【図6】本発明に係る第6の実施形態の可変利得回路を示す回路図
【図7】従来および本発明に係る可変利得回路の制御電圧VgcとVgcxの電位差Vdに対する利得制御特性、および可変利得回路の歪み(3次相互変調歪)特性を示す説明図
【図8】従来の可変利得回路の回路構成を示す回路図
【符号の説明】
13 電流切換回路
101,102,103 差動対トランジスタ
201,202,203 差動対トランジスタ
CCS1〜CCS14 定電流回路
C1,C2 エミッタ負帰還コンデンサ
IN 正相入力端子
INX 逆相入力端子
OUT 正相出力端子
OUTX 逆相出力端子
Q1〜Q21 npn型トランジスタ
Q22,Q23 pnp型トランジスタ
RE1〜RE4 エミッタ負帰還抵抗
RL 負荷抵抗
Vcc 電源
VCC 電流制御電圧端子
VCCX 電流制御電圧端子
VGC 制御電圧端子
VGCX 制御電圧端子
Claims (9)
- 各エミッタが抵抗で接続された第1の差動対トランジスタに流れる電流と、各エミッタが抵抗で接続された第2の差動対トランジスタに流れる電流との電流比を制御電圧に応じて切り換える電流比切換手段を備え、前記電流比によって利得を可変とする可変利得回路であって、
当該可変利得回路の利得に応じて前記第1の差動対トランジスタを流れる電流を制御する第1の電流制御手段を備え、
前記第1の電流制御手段は、前記電流比切換手段によって前記可変利得回路の利得が最小とされたとき、前記第1の差動対トランジスタを流れる電流を最大限0に抑えることを特徴とする可変利得回路。 - 前記第1の差動対トランジスタを構成する2つのトランジスタのエミッタ側には、前記第1の電流制御手段の出力電流によって前記第1の差動対トランジスタを流れる電流を制御する第2の電流制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の可変利得回路。
- 前記第1の電流制御手段は差動対トランジスタによって構成され、前記第1の電流制御手段の出力電流は、前記差動対トランジスタを構成する2つのトランジスタのベースに入力される2つの制御信号の電位差によって決定されることを特徴とする請求項2記載の可変利得回路。
- 前記第2の電流制御手段は、前記第1の電流制御手段の出力電流および前記第1の差動対トランジスタを流れる電流がコレクタ電流のカレントミラー回路であることを特徴とする請求項2または3記載の可変利得回路。
- 前記第2の電流制御手段は、前記第1の電流制御手段の出力電流および前記第1の差動トランジスタを構成する各トランジスタを流れる合成電流がコレクタ電流のカレントミラー回路であることを特徴とする請求項2または3記載の可変利得回路。
- 前記カレントミラー回路を構成する2つのトランジスタの各エミッタがコンデンサで接続されていることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の可変利得回路。
- 前記第1の差動対トランジスタを構成する2つのトランジスタのコレクタ側には、前記第1の差動対トランジスタのコレクタ電流および前記第1の電流制御手段の出力電流をコレクタ電流とするカレントミラー回路を備えたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の可変利得回路。
- 請求項1、2、3、4、5、6または7記載の可変利得回路を備えたことを特徴とする通信端末。
- 請求項1、2、3、4、5、6または7記載の可変利得回路を備えたことを特徴とする基地局。
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-
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- 2002-07-26 JP JP2002218189A patent/JP2004064292A/ja active Pending
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CN103503311A (zh) * | 2011-02-09 | 2014-01-08 | 夏普株式会社 | 可变增益放大器及接收装置 |
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