JP2004060970A - 暖房システムにおける配管構造 - Google Patents

暖房システムにおける配管構造 Download PDF

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Takeo Sugiura
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Abstract

【課題】膨張タンク内の水が常に配管系の温水と置換されることによって膨張タンク内の水が高温となることを防止することができ、特に地中配管として使用した場合には、藻の発生を安価に防止することのできる暖房システムにおける配管構造を提供する。
【解決手段】温水ボイラー3と、温水ボイラーに接続された循環ポンプ4と、循環ポンプ4に接続された供給用の第1の主管5と、第1の主管5から分岐された放熱管7と、放熱管7と温水ボイラー3との間に接続された戻し用の第2の主管9と、第2の主管9よりも上方に配置され、温水の体積膨張分を吸収する開放型膨張タンク10と、を備えた暖房システムにおける配管構造1において、第2の主管9と膨張タンク10とを連結する接続配管12の一部を、当該第2の主管12よりも低くなるように第2の主管の接続部から一旦立ち下げて前記膨張タンクに接続したことを特徴としている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、暖房システムにおける配管構造に関し、詳しくは、地中暖房、床暖房、室内暖房などの暖房配管に用いて好適な暖房システムにおける配管構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、有機栽培の一環として、農薬に代えて土壌を太陽熱を利用して消毒したり、あるいは温水を利用して土壌を加温したりするために、ハウス内に放熱管が埋設される場合がある。
このような場合、例えば、夏場には、ハウス内を閉めきって、太陽熱と放熱管による加温との併用により、土壌全体を加温したり、消毒したりすることが行われている。また、冬場には、放熱管により地中暖房を行なうことにより、微生物の活性化、根の生育の促進、栽培期間の延長などを行って、農作物の収穫効率を増大させている。
【0003】
ところで、このような放熱管を土壌に埋設する場合には、配管内を流れる温水に体積膨張が発生するため、その膨張分を吸収するために一連の配管システムの上方に、開放型の膨張タンクが設置されている。そして、配管経路内で発生した圧力上昇分は、接続配管を介して上方の膨張タンクに逃がされるとともに、配管系で水分が不足すると、この膨張タンクから補給されている。このような膨張タンクは、配管経路の最上方位置に配置されるのが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような暖房システムにおける配管構造では、温水ボイラーで加熱され地中を循環されてきた温水は、膨張タンク内に満たされた水よりも高温である。しかも、放熱管などの配管は、上記した膨張タンクよりも低い位置に配置されているために、高い位置にある膨張タンク内に満たされた低温の水分と、低い位置にある戻し用の配管内に満たされた高温の温水との間で比重差による対流が発生し、その結果、膨張タンク内の水分が、常に循環配管系内の温水と置換されている。
【0005】
このように、膨張タンク内の水と、配管系内の温水との間で対流が発生すると、膨張タンクからの温水の蒸発が激しくなるとともに、膨張タンクからの熱損失も大きくなる。
さらに、膨張タンク内の水分は大気と接触しているため、高温化された膨張タンク内の水分に、空気中の酸素または炭酸ガスが巻き込まれてしまうと、酸素あるいは炭酸ガスが配管系内の温水に吸収されてしまう。
【0006】
このように、膨張タンク内の水面から酸素あるいは炭酸ガスなどが吸収されてしまうと、結局のところ、放熱管、循環ポンプおよびボイラーなどで構成される配管系内に、常に酸素あるいは炭酸ガスなどが供給されることになる。このように、酸素あるいは炭酸ガスが配管系に常に供給されれば、配管系の腐食の原因になることは勿論のこと、光の作用があるところでは、光合成が促進され、その結果、藻が発生し、藻によって配管が閉塞されてしまうことがあった。
【0007】
このような光合成に起因する配管の閉塞を防止するには、循環する流体として水ではなく、防錆剤を含ませたエチレングリコールなどの液体が有効であることが知られているが、高価であるという難点がある。
本発明は、このような実状に鑑み、膨張タンク内の水が常に配管系の温水と置換されることに起因して膨張タンク内の水が高温となることを防止することができ、例えば、土壌配管として使用された場合に、藻の発生を安価に防止することのできる暖房システムにおける配管構造を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る暖房システムにおける配管構造は、
温水ボイラーと、
前記温水ボイラーに接続された循環ポンプと、
前記循環ポンプに接続された供給用の第1の主管と、
前記第1の主管から分岐された放熱管と、
前記放熱管と前記温水ボイラーとの間に接続された戻し用の第2の主管と、
前記第2の主管よりも上方に配置され、温水の体積膨張分を吸収する開放型膨張タンクと、を備えた暖房システムにおける配管構造において、
前記ボイラー、前記第1の主管、前記第2の主管、前記放熱管からなる配管系のいずれかと、前記膨張タンクとを接続する接続配管を、該当するいずれかの配管系の接続部よりも一旦低くなるように立ち下げて前記膨張タンクに接続したことを特徴としている。
【0009】
係る構成による本発明によれば、配管系と膨張タンクとの間に温度差が生じているとしても、両者間の対流の発生を防止することができる。
これにより、高温の温水が循環タンク内に導出されることが防止されるので、開放型循環タンクからの水分の蒸発、あるいは放熱が防止される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施例について説明する。
図1は本発明の一実施例により構成される配管システムの一例を示したものである。
この暖房システム1は、例えば、ビニールハウスにおける土壌の暖房用に使用されるものである。すなわち、暖房システム1は、灯油タンク2から送られた燃料により、冷水を温水に加熱する温水ボイラー3の下流に、循環ポンプ4が配置され、この循環ポンプ4から圧送された温水が、土壌に供給するための第1の主管5に供給されるとともに、その下流に配置されたヘッダー6により、3本の放熱管7a、7b、7cに分岐される。そして、地中に埋設された3本の放熱管7a,7b,7cは、再び地上に立ち上げられ、ヘッダー8により一本に集約された後、戻し用の第2の主管9を介してボイラー3に戻されている。
【0011】
一方、このような暖房システム1では、戻し用の第2の主管9の上方に、通気パイプ11を介して常に大気に開口された開放型の膨張タンク10が設置され、この膨張タンク10を設置することにより、下方の配管系内での体積膨張分を吸収するようにしている。そして、このような膨張タンク10と第2の主管9との間は、接続配管12により接続されている。
【0012】
この接続配管12は、第2の主管9と膨張タンク10との間を直線的な短管で接続するのではなく、第2の主管9から一旦下方に立ち下げられ、この立ち下げられた配管12aから再び立ち上げられてから、膨張タンク10の下面に接続されている。したがって、この接続配管12は、全体として略J字状となる配管経路を構成している。なお、膨張タンク10は、適宜な重量を有しているため、この荷重を支えるために膨張タンク10の下面と第2の主管との管にサポートパイプを取り付けし、このサポートパイプにより支持することもできる。
【0013】
上記のような接続配管12により膨張タンク10と第2の主管9とが連結された暖房システム1では、仮に、戻し用の第2の主管9内を流れる温水の温度が膨張タンク10内の水よりも高いとしても、両者を連結する接続配管12は、下方に一旦立ち下げられているため、立ち下げ部分では、高温の第2の主管内の温水が上にあり、低温の接続配管内の水が下にあるため、比重差によって両者間に対流が生じることがない。したがって、膨張タンク10内に溜まっている補給用の水が対流により高温になることはない。一方、体積膨張分は、これまで通り、膨張タンク10に戻されるので、循環ポンプ4、第1の主管5、第2の主管9、放熱管7、あるいはこれらの接続継手が液圧により破壊されることがない。したがって、長期に渡り安定した配管システムを提供することができる。また、膨張タンク内の水が配管系内の水と置換されないので、大気中の酸素あるいは炭酸ガスなどを巻き込むことも少なくなり、したがって、配管内での光合成による藻の発生を防止することができる。
【0014】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例には何ら限定されない。
例えば、上記実施例では、膨張タンクを第2の主管の上に設けたが、膨張タンクは配管系のどの位置に設けても良く、例えば、第1の主管、または温水ボイラー内のタンクの上に設けてこれらの配管系と接続することも可能である。
【0015】
また、上記実施例では、ビニールハウス内での土壌の暖房ついて説明したが、この発明は、室内暖房、床暖房などの暖房配管に好ましく適用することができる。
また、第1の主管5から分岐される放熱管7の数などは、勿論限定されるものではない。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る暖房システムにおける配管構造によれば、膨張タンク内の水が温水と置換されることがないので、膨張タンク内が高温となることを防止することができる。したがって、特に地中配管として使用した場合には、炭酸ガスの巻き込みに起因した光合成の促進を、可及的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例による暖房システムにおける配管構造を示した概略図である。
【符号の説明】
3     温水ボイラー
4     循環ポンプ
5     供給用の第1の主管
6     ヘッダー
7     放熱管
9    戻し用の第2の主管
10    膨張タンク
12    接続配管
12a   立下り部

Claims (1)

  1. 温水ボイラーと、
    前記温水ボイラーに接続された循環ポンプと、
    前記循環ポンプに接続された供給用の第1の主管と、
    前記第1の主管から分岐された放熱管と、
    前記放熱管と前記温水ボイラーとの間に接続された戻し用の第2の主管と、
    前記第2の主管よりも上方に配置され、温水の体積膨張分を吸収する開放型膨張タンクと、を備えた暖房システムにおける配管構造において、
    前記ボイラー、前記第1の主管、前記第2の主管、前記放熱管からなる配管系のいずれかと、前記膨張タンクとを接続する接続配管を、該当するいずれかの配管系の接続部よりも一旦低くなるように立ち下げて前記膨張タンクに接続したことを特徴とする暖房システムにおける配管構造。
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