JP2004060116A - 抄紙機のワイヤーリテンション測定装置及び測定方法 - Google Patents

抄紙機のワイヤーリテンション測定装置及び測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】抄紙機のワイヤーパートでの全固形分、灰分、繊維分及び水分の各要素のリテンション、すなわちワイヤーリテンションを正確に検出することができるようにする。
【解決手段】パルプ懸濁液のインレット全固形分濃度CT1とインレット灰分濃度CA1、ワイヤーパート12で生成された白水全固形分濃度CT3、白水灰分濃度CA3をそれぞれ測定する第1の測定手段と、乾燥後のウエブの幅方向の平均絶乾坪量、平均灰分含有率を測定する第2の測定手段と、乾燥後のウエブの幅、速度、平均絶乾坪量、平均灰分含有率とを用いてウェブの単位時間当たりの全固形分質量と灰分質量とを算出する第1の演算手段と、インレット全固形分濃度、インレット灰分濃度、白水全固形分濃度、及び白水灰分濃度とウエブの単位時間当たりの全固形分質量及び灰分質量とに基づきワイヤーパートにおいて分離される全固形分、繊維分、灰分、水分の内の少なくとも一つの分離比率を算出する第2の演算手段と、分離比率を表す出力信号を送出する出力手段と、を備える。
【選択図】    図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抄紙機のワイヤーパートにおけるリテンションを高精度に測定するためのワイヤーリテンション測定装置、及びワイヤーリテンション測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年のコンピューターの発達は、情報処理能力の向上を実現し、従来、組み合わせることが困難であった情報同士の高速演算処理が容易に行なえるようになっている。その結果、様々な分野において、複雑なマスバランス問題が解かれ、種々の有用な知見を生み出している。
抄紙機のように多様な物質を伴う産業分野においても、各種の測定器で収集される情報を整理し、有用な形へと変換することは、効率的な生産のためのスタンダードを構築する上で不可欠であると思われる。
【0003】
現在の抄紙機では、ワイヤーパートの初期段階において、濃度約0.5〜2g/lのパルプ懸濁液をワイヤーと呼ばれるプラスチック製の網の上に噴出し、フォイルと呼ばれるブレードで発生する真空を利用し余分な水分を脱水することが行われている。この段階でワイヤー上に形成されたパルプマットは、基本的な紙の成分や紙層構造を支配することとなる。
一方、脱水された水分は、本来紙に含めるべき微細繊維や無機物あるいは薬品を含み、白く濁っていることから白水と呼ばれている。このワイヤーから落下した白水は、循環経路によってインレット(ヘッドボックス)へと還流され、再利用が図られている。但し、循環される白水濃度が低いほど生産効率は上がり、循環系配管の汚れも少なくて済む。
【0004】
現在、この白水として循環される割合、すなわち、ワイヤーパートでの全固形分、繊維分、灰分等の各成分の分離比率を測定する手段は確立されておらず、その分離比率を概略的に推測する指標としては、従来、ワンパスリテンションと称する演算値が代用されている。
【0005】
このワンパスリテンションは、インレットから噴出されるパルプ懸濁液及びトレイに落下した白水を採取し、乾燥による全物質の質量の測定、及び焼成による灰分質量の測定結果からそれぞれの濃度を求め、式(7)、式(8)、式(9)の演算によって算出した値である。
【0006】
すなわち、インレット全固形分濃度CT1、インレット灰分濃度CA1、白水全固形分濃度CT3、白水灰分濃度CA3を測定することにより、全固形分ワンパスリテンションOPR、灰分ワンパスリテンションOPRを求めることができる。これが、一般にリテンションと呼ばれるものである。
【0007】
【数7】
Figure 2004060116
【0008】
【数8】
Figure 2004060116
【0009】
全固形分のうち、灰分以外のものを全て繊維分とみなすと、繊維分ワンパスリテンションOPRは次式で求められる。
【0010】
【数9】
Figure 2004060116
【0011】
ここで算出されたワンパスリテンションは、ワイヤー上に残留する微細繊維の割合及び繊維への灰分の吸着の割合を近似的に表している。換言すれば、インレットから噴出されたパルプ懸濁液の全体量のうち、水分へ溶出しないでパルプマット中に残留しているものの割合を近似的に表している。このような指標は、例えばパルプ原料の種類が変更されることによって懸濁液内の微細繊維含有量が変化した場合、あるいは薬品の添加により繊維への灰分吸着が増加した場合などに、パルプマットへの影響の程度を判断する上で役に立つものとされている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにして算出したワンパスリテンションは、式(7)〜式(9)に表されるように、インレットから噴出された懸濁液の中に含まれる全ての水分がワイヤーの下に配設したトレイに落下した場合にのみ、図2の矢印に従って後段へと直進する全固形分の比率を表す値となり、実際には、パルプ懸濁液中の水分の一部は他の成分と共に矢印方向へと移動するため、実際の運転においては、トレイに全ての水分が落下することはない。従って、通常は後段へと直進する全固形分の実際の分離比率と、ワンパスリテンションとが一致することはなく、ワイヤーパートでの各成分の分離比率を表す指標として、ワンパスリテンションは十分に機能していないのが現状である。
【0013】
抄紙機では、ワイヤーパートにおける水分の分離比率が正確に測定できなければ、全固形分、繊維分、灰分のワイヤーにおける分離比率、すなわちワイヤーリテンションを知ることはできない。水分のワイヤーリテンションは、紙の地合いに影響するとして古くから操業状態の指標になるものと考えられていたが、実際には、水切れの善し悪しという慣習的な表現が用いられているのみで、正確にこのワイヤーリテンションを求める測定装置、及び測定方法は存在していなかった。
【0014】
本発明は、上記従来技術の問題点に着目してなされたもので、抄紙機のワイヤーパート上での灰分、繊維及び水分の各要素のリテンション、すなわちワイヤーリテンションを正確に検出することができる抄紙機のワイヤリテンション測定装置及びワイヤリテンション測定方法の提供を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を有する。
すなわち、本発明の第1の形態は、抄紙機のインレットから噴出されるパルプ懸濁液に対しワイヤーパートで脱水を行い、パルプマットと白水に分離する際の全固形分、繊維分、灰分、及び水分の内の少なくとも1つの分離比率を得る抄紙機のワイヤーリテンション測定装置であって、前記インレットから噴出されるパルプ懸濁液のインレット全固形分濃度(CT1)とインレット灰分濃度(CA1)、及び前記ワイヤーパートで脱水により生成された白水中の白水全固形分濃度(CT3)と白水灰分濃度(CA3)を、それぞれ測定する第1の測定手段と、乾燥後のウエブについて、該ウエブの幅方向の平均絶乾坪量(BD)と、平均灰分含有率(ASH)とを、それぞれ測定する第2の測定手段と、乾燥後のウエブについて、該ウエブの幅と、該ウエブの速度と、該ウエブの前記平均絶乾坪量(BD)と、該ウエブ前記平均灰分含有率(ASH)とを用いて、該ウエブの単位時間当たりの全固形分質量(T2)と、該ウエブの単位時間当たりの灰分質量(A2)とを算出する第1の演算手段と、前記第1の測定手段により得られた前記インレット全固形分濃度(CT1)、前記インレット灰分濃度(CA1)、前記白水全固形分濃度(CT3)、及び前記白水灰分濃度(CA3)と、前記第1の演算手段により得られた前記ウエブの単位時間当たりの全固形分質量(T2)及び前記ウエブの単位時間当たりの灰分質量(A2)とを用いて、抄紙機ワイヤーパートにおいて、脱水により分離される、全固形分、繊維分、灰分、水分の内の少なくとも一つの分離比率を算出する第2の演算手段と、前記第2の演算手段によって算出された分離比率を表す出力信号を送出する出力手段と、を具えたことを特徴とする抄紙機のワイヤーリテンション測定装置である。
【0016】
また、本発明の第2の形態は、前記第1の形態において、前記第2の演算手段により得られた、全固形分、繊維分、灰分、及び水分の内の少なくとも一つの分離比率を、前記出力手段の出力信号に応じて表示する表示手段を具えたことを特徴とする抄紙機のワイヤーリテンション測定装置である。
【0017】
また、本発明の第3の形態は、前記第1または第2の形態において、前記第2の演算手段は、下記の式(1)ないし式(4)による演算を行うことにより、ワイヤーパートにおいて、脱水により分離される全固形分、繊維分、灰分、水分、の内の少なくとも一つの分離比率を算出することを特徴とする抄紙機のワイヤーリテンション測定装置である。
【0018】
【数10】
Figure 2004060116
【0019】
【数11】
Figure 2004060116
【0020】
【数12】
Figure 2004060116
【0021】
【数13】
Figure 2004060116
【0022】
但し、WR: 全固形分ワイヤーリテンション、
WR: 灰分ワイヤーリテンション
WR: 繊維分ワイヤーリテンション
WR: 水分ワイヤーリテンション
F1:インレットから噴出されるパルプ懸濁液中の水分の単位時間当たりの質量
F2:パルプマット中の水分の単位時間当たりの質量
F3:白水中の水分の単位時間当たりの質量
A1:インレットから噴出されるパルプ懸濁液中の灰分の単位時間当たりの質量
A2:乾燥後のウエブ中の灰分の単位時間当たりの質量
A1:インレット灰分濃度(インレット中のパルプ懸濁液の灰分濃度)
A3:白水灰分濃度
T1:インレット全固形分濃度(インレット中のパルプ懸濁液の全固形分濃度)
T3:白水全固形分濃度
T1:インレットから噴出されるパルプ懸濁液中の全固形分の単位時間当たりの質量
T2:ウエブ中の全固形分の単位時間当たりの質量
とする。
【0023】
また、本発明の第4の形態は、前記第3の形態において、前記第1の演算手段は、下記の式(5)及び式(6)に表される演算を行うことにより、前記ウエブ中の単位時間当たりの全固形分質量T2と、単位時間当たりの灰分質量A2、とを算出することを特徴とする抄紙機のワイヤーリテンション測定装置である。
【0024】
【数14】
Figure 2004060116
【0025】
【数15】
Figure 2004060116
【0026】
但し、
T2:乾燥後のウエブ中の全固形分の単位時間当たりの質量
A2:乾燥後のウエブ中の灰分の単位時間当たりの質量
ws:乾燥後のウエブの幅
R:乾燥後のウエブの速度
BD:乾燥後のウエブの幅方向の平均絶乾坪量
ASH:乾燥後のウエブの幅方向平均灰分含有率
とする。
【0027】
また、本発明の第5の形態は、前記1ないし第4の形態において、前記第1の測定手段は、試料に光を照射して、光の透過度、屈折、偏光度、散乱度の内の少なくともいずれか一つを測定することにより、試料の濃度を得ることを特徴とする抄紙機のワイヤーリテンション測定装置、である。
【0028】
また、本発明の第6の形態は、前記第1ないし第5の形態において、前記第2の測定手段は、ウエブ幅方向の前記平均絶乾坪量(BD)の測定手段がβ線透過吸収式の坪量測定器であり、前記平均灰分含有率(ASH)の測定手段がX線透過吸収式の灰分測定器であることを特徴とする抄紙機のワイヤーリテンション測定装置である。
【0029】
また、本発明の第7の形態は、抄紙機のインレットから噴出されるパルプ懸濁液に対しワイヤーパートで脱水を行いパルプマットと白水に分離する際の全固形分、繊維分、灰分、及び水分の内の少なくとも1つの分離比率を得る抄紙機のワイヤーリテンション測定装置であって、所定の測定手段により得られた、前記インレットから噴出されるパルプ懸濁液のインレット全固形分濃度(CT1)、インレット灰分濃度(CA1)、白水全固形分濃度(CT3)、白水灰分濃度(CA3)をそれぞれ入力する第1の入力手段と、乾燥後のウエブについて、測定手段により得られる該ウエブ幅方向の平均絶乾坪量(BD)と、平均灰分含有率(ASH)とを入力し、更に、該ウエブの幅(ws)と、該ウエブの速度(R)とを入力して、該ウエブの単位時間当たりの全固形分質量(T2)と、該ウエブの単位時間当たりの灰分質量(A2)とを算出する第1の演算手段と、前記第1の入力手段と第1の演算手段とにより得られた、前記インレット全固形分濃度(CT1)、前記インレット灰分濃度(CA1)、前記白水全固形分濃度(CT3)、前記白水灰分濃度(CA3)、前記ウエブの単位時間当たりの全固形分質量(T2)、前記ウエブの単位時間当たりの灰分質量(A2)の物理量を用いて、抄紙機ワイヤーパートにおいて、脱水により分離される、全固形分、繊維分、灰分、水分の内の少なくとも一つの分離比率、すなわちワイヤーリテンションを算出する第2の演算手段と、
前記第2の演算手段によって算出された分離比率、すなわちワイヤーリテンションを出力する出力手段と、を具えたことを特徴とする抄紙機のワイヤーリテンション測定装置である。
【0030】
また、本発明の第8の形態は、抄紙機のインレットから噴出されるパルプ懸濁液に対しワイヤーパートで脱水を行い、パルプマットと白水に分離する際の全固形分、繊維分、灰分、及び水分の内の少なくとも1つの分離比率を得る抄紙機のワイヤーリテンション測定方法であって、前記インレットから噴出されるパルプ懸濁液のインレット全固形分濃度(CT1)、インレット灰分濃度(CA1)、白水全固形分濃度(CT3)、白水灰分濃度(CA3)を、それぞれ測定するステップと、プレドライヤーパート後の薬品を塗工する前のウエブについて、該ウエブ幅方向の平均絶乾坪量(BD)と、該ウエブ幅方向の平均灰分含有率(ASH)とを、それぞれ測定するステップと、プレドライヤーパート後の塗被液を塗布する前のウエブについて、該ウエブの幅(ws)と、該ウエブの速度(R)と、該ウエブの前記平均絶乾坪量(BD)と、該ウエブの前記平均灰分含有率(ASH)とを用いて、該ウエブの単位時間当たりの全固形分質量(T2)と、該ウエブの単位時間当たりの灰分質量(A2)を演算するステップと、前記測定ステップと前記演算ステップにより得られた、前記インレット全固形分濃度(CT1)、前記インレット灰分濃度(CA1)、前記白水全固形分濃度(CT3)、前記白水灰分濃度(CA3)、前記ウエブの単位時間当たりの全固形分質量(T2)、前記ウエブの単位時間当たりの灰分質量(A2)の物理量を用いて、抄紙機ワイヤーパートにおいて、脱水により分離される、全固形分、繊維分、灰分、水分の内の少なくとも一つの分離比率、すなわちワイヤーリテンションを算出する演算ステップと、前記演算ステップによって算出された分離比率、すなわちワイヤーリテンションを出力する出力ステップと、を具えたことを特徴とする抄紙機のワイヤーリテンション測定方法である。なお、この[課題を解決するための手段]において、( )書きで記載した符号は、各物理量を解り易くするために記載したもので、式(1)〜(6)との関連を示すものではない。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面と共に説明する。
図1はこの実施形態における抄紙機のワイヤーリテンション測定装置の概略構成を示す図である。
図1において、11はパルプ懸濁液を整流して噴射するインレット(ヘッドボックスとも称する)である。12はインレット11から噴出されたパルプ懸濁液に対して脱水を行いパルプマットを形成するワイヤーパートである。このワイヤーパート12は、パルプ懸濁液を受け取りつつ巡回移動するワイヤー12aと呼ばれる通常プラスチック製の網と、このワイヤー12aの走行経路の下側近傍に配設されたフォイル(図示せず)と、ワイヤーパート12の下方に設けられたトレイ12b等を備え、前記フォイルは走行するワイヤー12aに対して負圧を発生させ、その負圧によってワイヤー12a上に噴出されたパルプ懸濁液から脱水を行うようになっている。これにより、ワイヤー12a上には紙の主成分(繊維、灰分等)を含んだパルプマットが形成される一方、ワイヤー12aから落下した白水wwはトレイ12bによって受け止められる。さらに、トレイ12bに落下した白水wwは、図外の循環経路を経てパルプ原料を希釈し、パルプ懸濁液となってインレット11へと供給され、循環される。
【0032】
13は前記ワイヤーパート12の後段に配置された図外のプレスパートにて搾水されたウエブを複数のドライヤーシリンダ13aの間を通過させることなどによって乾燥させる工程であり、ドライヤーパート13と呼ばれ、プレドライヤパート、アフタードライヤーパートなどから構成されている。ここではパルプマットの乾燥が行われ、通常、プレドライヤーパートとアフタードライヤーパートの間には、図外のサイズ剤等の塗被液の塗工工程などが配置され、最終的にリールパート17において製品ウエブとして巻き取られる。
【0033】
上記のように構成された抄紙機に対し、この実施形態においては、次のような測定手段が設けられている。
すなわち、図中、14は前記ヘッドボックス11内に供給されるパルプ懸濁液の濃度を検出する濃度計、15は前記トレイ12b中に落下した白水wwの濃度を検出する濃度計であり、これら濃度計14,15によって第1の測定手段が構成されている。また、16は前記ドライヤーパート13の内、前方に位置するプレドライヤーパートを通過したウエブの各種成分を検出する第2の測定手段としてのBM計(Basis Weight and Moisture Measurement)であり、プレドライヤーパートから排出されたウエブに対して薬品等の塗被液の塗工を行うサイズプレスなどの塗被液塗工工程より上流側に配置されている。また、塗被液塗工工程の後には、アフタードライヤーパートなどの乾燥工程が更に設けられている。
【0034】
また、18は前記各濃度計14,15と前記BM計16から出力されたデータを始めとする種々のデータやプログラムの格納、供給を行うサーバ、19は前記サーバ18から供給されるデータに基づきワイヤーリテンションなどを求めるための後述の演算や種々の制御を行うコンピュータ(演算手段、出力手段)、20は前記コンピュータ19による算出結果などを表示する監視モニター(表示手段)である。
【0035】
次に、上記構成を有するワイヤーリテンション計測装置によって行われるワイヤーリテンションの測定方法を説明する。
【0036】
なお、この実施形態では、ワイヤーパート12から排出されたパルプマットの全固形分は、その後に行われる、プレスパートによる搾水、及びドライヤーパート13における乾燥などの工程を経ても損失が生じないと仮定した上で、ワイヤーパート12での各成分の分離比率(ワイヤーリテンション)の算出を行う。
【0037】
まず、ワイヤーリテンションの算出においては、上記の仮定の元に、インレットパルプ懸濁液全固形分濃度、インレットパルプ懸濁液灰分濃度、トレイ白水全固形分濃度、トレイ白水灰分濃度の4つの濃度を濃度計14及び15で計測する(第1の測定ステップ)。
次に、ドライヤーパート13の内、前方のプレドライヤーパートを通過し、サイズ剤などの塗被液を塗工する前のウエブについて、そのウエブの幅方向(ウエブの移動方向と直交する方向)における平均絶乾坪量と、平均灰分含有率とをBM計16を用いて測定し(第2の測定ステップ)、この平均絶乾坪量と平均灰分含有率とを用いてウエブの単位時間当たりの全固形分質量と単位時間当たりの灰分質量とを算出する(第1の演算ステップ)。
【0038】
さらに、第1の測定ステップにて得られた4つの濃度値と、前記第1の演算ステップにて得られた2つの質量の、合計6値を用いた演算を行い、ワイヤーにおける全固形分、繊維分、灰分、水分等の物質移動量を算出し(第2の演算ステップ)、これによってワイヤーリテンションを求める。
【0039】
また、この実施形態において、連続で濃度および生産量を測定する機器(濃度計、BM計等)を使用した場合、ワイヤーリテンションを連続で監視することが可能であるが、インレット全固形分濃度、インレット灰分濃度に関しては、変動する測定誤差を適切に設定する必要がある。本発明は、この測定誤差を、インレット吹き出し口の開口面積(全幅と厚み)と、吹き出し速度等から計算されるジェット流量を用いて演算し、必要なときに自動的に補正する機能を有するものとしても良い。なお、上記のような演算動作は、コンピュータ19の演算機能を用いて行う。
【0040】
以下、この実施形態によって実行される演算の具体例を説明する。
上記のように、濃度計14および15によって、インレット全固形分濃度CT1、インレット灰分濃度CA1、白水全固形分濃度CT3、白水灰分濃度CA3を測定することにより、全固形分ワンパスリテンションOPR、灰分ワンパスリテンションOPRを求めることができる。これが、これまで一般にワイヤーパートにおけるリテンションと呼ばれていたものである。
【0041】
【数16】
Figure 2004060116
【0042】
【数17】
Figure 2004060116
【0043】
全固形分のうち、灰分以外のものをすべて繊維とみなすと、繊維分ワンパスリテンションOPRは次の式(9)で求められる。
【0044】
【数18】
Figure 2004060116
【0045】
さらに、プレドライヤーパート後のサイズ剤などの塗被液を塗工する前のウエブの幅(ウエブの移動方向と直交する方向における幅)ws、ウエブの移動速度(ドライヤーシリンダー13aの周速度)Rと、BM計16により計測されたウエブの幅方向の平均絶乾坪量BDと平均灰分含有率ASHとから、単位時間当たりの全固形分質量T2と、単位時間当たりの灰分質量A2を求める。
【0046】
【数19】
Figure 2004060116
【0047】
【数20】
Figure 2004060116
【0048】
次に、先の濃度計14,15によって求めた4つの濃度に、式(5)、式(6)によって求めた2つの質量T2,A2を加えた6つの数値に基づき、以下のように数式を展開し、インレット11から噴出されたパルプ懸濁液における水分の質量F1、白水wwにおける水分の質量F3を求める。
【0049】
ここで、ワイヤーパート12における物質の流れを図2に示す。
【0050】
図示のように、インレット11内のパルプ懸濁液における、水分F1、全固形分T1、灰分A1、灰分濃度(水分を分母とする濃度)CA1、全固形分濃度(水分を分母とする濃度)CT1の関係は、
【0051】
【数21】
Figure 2004060116
【0052】
【数22】
Figure 2004060116
【0053】
であり、また、ワイヤーパートで分離される白水における、水分F3、全固形分T3、灰分A3、濃度CA3、CT3の関係は、
【0054】
【数23】
Figure 2004060116
【0055】
【数24】
Figure 2004060116
【0056】
となる。
【0057】
そして、上記式(10)〜式(13)、及び図2に示す関係から次の連立方程式が得られる。
【0058】
【数25】
Figure 2004060116
【0059】
ここで、F1、F3について解くと式(16),(17)のようになり、
【0060】
【数26】
Figure 2004060116
【0061】
【数27】
Figure 2004060116
【0062】
さらに、このF1、F3に基づき式(18)によってワイヤー上のパルプマットにおける水分の質量F2が求められる。
【0063】
【数28】
Figure 2004060116
【0064】
従って、
【0065】
【数29】
Figure 2004060116
【0066】
【数30】
Figure 2004060116
【0067】
【数31】
Figure 2004060116
【0068】
【数32】
Figure 2004060116
【0069】
となる。
【0070】
上記演算結果に基づき、全固形分ワイヤーリテンションWR、灰分ワイヤーリテンションWR、繊維分ワイヤーリテンションWR、水分ワイヤーリテンションWRは次の式(1)〜式(4)によって求めることが可能となる。
【0071】
【数33】
Figure 2004060116
【0072】
【数34】
Figure 2004060116
【0073】
【数35】
Figure 2004060116
【0074】
【数36】
Figure 2004060116
【0075】
なお、本発明における濃度は上記のように、水分を分母とする濃度に限定されず、パルプ懸濁液全体の質量を分母とする濃度を用いても良い。
【0076】
ところで、ワイヤーパートにおける分離比率であるワイヤーリテンションは、ワイヤーパートにおいて白水wwと共にトレイ12bへと落下せずに、パルプマットとしてワイヤー12a上に残留した物質の比率で表しても、白水wwと共にトレイ12b上に落下した物質の比率で表しても良い。式(1)〜式(4)は前者の表記法に従ったものとなっているが、本発明においては、これらの内のいずれを算出しても良いことは言うまでもない。なお、水分ワイヤーリテンションに関しては、白水wwと共にワイヤー12aから落下する物質の比率を、水切れ係数Kとも称し、下記の式(23)により定義する。
【0077】
【数37】
Figure 2004060116
【0078】
従って、水分ワイヤーリテンションWRと水切れ係数Kとは次の関係を満たすことが解る。
【0079】
【数38】
Figure 2004060116
【0080】
(ワンパスリテンションとの比較)
次に、以上のようにして求められるワイヤーリテンションと、従来よりワイヤーパートにおける指標として用いられてきたワンパスリテンションとの比較検討を行う。なお、ここでは、全固形分のワイヤーリテンションを例に、ワンパスリテンションOPRとワイヤーリテンションWRとを比較する。
いま、ヘッドボックス11内に貯留されているパルプ懸濁液内の全固形分の質量T1が、次の式(25)によって表されたとする。
【0081】
【数39】
Figure 2004060116
【0082】
この式(25)は、インレット濃度CT1が、測定された通りの濃度で均一に分散しているのではなく、ワイヤー12aから落下した白水wwと同じ濃度の中に成分の固まりが質量tだけ浮かんでいるというような不均一な状態を表している。
このときワンパスリテンションOPRは次の式(26)で書き表せる。
【0083】
【数40】
Figure 2004060116
【0084】
従って、ワンパスリテンションは、インレット11の中の、対象物質の凝集の割合を表しているといえる。
【0085】
実際のワイヤーパート12では、インレット11から噴出される水分F1のうちF1・WRがワイヤー12aによって運ばれ、この水分が保持する全固形分が紙となるので、ワイヤーリテンションWRは次の式(27)でも書き表わすことができる。
【0086】
【数41】
Figure 2004060116
【0087】
従って、ワイヤーリテンションは、インレット11の中での、対象物質の凝集分と、ワイヤー12aによって運ばれる白水に含まれた、紙となる浮遊成分とを合計したものの割合であるといえる。
【0088】
ワイヤーリテンションという名称と概念は古くから存在しているが重要視されていなかった。これは白水濃度が低くワンパスリテンションとワイヤーリテンションとで大きな差異がなかったためと思われる。すなわち、式(27)にも示されるように、ワイヤーリテンションWRは白水濃度が高いほど水分の分離比率に支配されることから、白水濃度が低い場合には、ワンパスリテンションとワイヤーリテンションの値に大きな差異は生じない。
【0089】
しかしながら、今日、抄造速度の高速化、填料の増添、DIPの増配などが進むことに加え、環境問題を考慮して白水の循環、再利用などが図られるようになったことなどに起因して、白水濃度は上昇する傾向にある。
式(27)は、ワイヤーリテンションは白水濃度が高いほど水分の分離比率に支配されること、ワンパスリテンションが安定していても、水分の分離比率によってワイヤーリテンションが不安定になることなどを示している。従って、抄造状態を正確に把握するためには、指標としてワイヤーリテンションを適用することが有効であり、ワイヤーリテンションの重要性は今後ますます高まることが予想される。
【0090】
(オンライン計測値による計算)
ワイヤーリテンションの計算に用いた前記6つの測定値を連続して監視できれば、前述の各物理量をオンラインで連続計算することができる。このうち、インレット全固形分濃度CT1、インレット灰分濃度CA1、白水全固形分濃度CT3、白水灰分濃度CA3の各濃度を連続的に監視するために濃度計14,15を用いている。この濃度計は、ヘッドボックス11内に貯留されているパルプ懸濁液に対し、レーザー光、キセノン光を照射し、光の透過度、屈折、偏光度、散乱度といった14種の理論的に独立な物性量(信号)を測定し、予め調査した濃度との線形一次の相関に基づき濃度を計算するものである。つまり、この濃度計は、内部に演算機能を有しており、測定したインレット濃度、白水濃度を用いてワンパスリテンションOPRを計算し、出力表示するようになっている。なお、この実施形態では、メッツオオートメーション株式会社のRMiリテンション計(商品名)を採用している。
【0091】
図3に、一つの抄造品種群に対する各濃度のキャリブレーション式の内容を示す。図3において、濃度は質量百分率で表しており、縦軸はRMiリテンション計の出力値、横軸は実測濃度である。全固形分実測濃度は、インレットパルプ懸濁液または白水を一定質量採取し、乾燥により全固形分質量を求め、蒸発した水分質量で除したものである。灰分実測濃度は、先の乾燥したサンプルをさらに900℃以上の温度で焼成し、灰分質量を求め、蒸発した水分質量で除したものである。
【0092】
実験の結果、インレット全固形分濃度CT1、白水全固形分濃度CT3、白水灰分濃度CA3については全抄造品種を大きく二群に分け、それぞれに対応するキャリブレーション式を用いて精度良く濃度表示を行うことができるが、インレット灰分濃度CA1については、図3(c)に示すように、1つの品種群の中でも、3品種に場合分けする必要があることがわかった。
【0093】
しかし、この実施形態に用いる濃度計の機能の制限から、キャリブレーション式は2つまでしか持てないものとなっており、そのため種々の信頼できる測定値の物量バランスを利用することによって、3つ以上の場合分けにも対応できる補正方法を提案した。
【0094】
以下に、その補正方法を説明する。
【0095】
まず、白水全固形分濃度CT3、白水灰分濃度CA3は正しいと仮定する。
【0096】
ここで、式(14)及び式(15)を変形すると、
【0097】
【数42】
Figure 2004060116
【0098】
【数43】
Figure 2004060116
【0099】
となるが、Kは0〜1の範囲にあるはずであるから、インレット全固形分濃度CT1、インレット灰分濃度CA1
【0100】
【数44】
Figure 2004060116
【0101】
【数45】
Figure 2004060116
【0102】
の範囲に存在しなければならない。この範囲の中のどこに位置するかで、水切れ係数Kが求められる。
【0103】
パルプマットの全固形分の単位時間当りの質量T2及び灰分の単位時間当りの質量A2は、BM計16の測定値から求められるが、インレット水分の単位時間当りの質量F1が決まらなければインレット全固形分濃度CT1、インレット灰分濃度CA1の存在範囲は得られない。
【0104】
そこで、この実施形態では、プロセス値としてジェット流量F1’を用いる。ジェット流量F1’は、式(32)に示すように、インレット吹き出し口の全幅w、厚みb、ワイヤー速度v、ワイヤー速度とジェット速度の比j、密度ρ、ジェット縮流係数sを乗じることによって求めることができる。
【0105】
【数46】
Figure 2004060116
【0106】
これらの値の内、ジェット縮流係数s及び密度ρは常に変動するパルプ懸濁液の物性値であるため正確には得られない。しかし、ジェット縮流係数s及び密度ρの変動幅は、インレット全固形分濃度CT1、インレット灰分濃度CA1のバイアス誤差よりは小さいと考えることができるため、ジェット縮流係数s及び密度ρを固定値として用いてもそれによって大きな誤差が生じることはない。なお、ジェット縮流係s及び密度ρとしては水分の縮流係数s及び密度ρを代用することができる。
【0107】
また、前述の式(14)及び式(15)からなる連立方程式によって、F1は従属変数として求められることから、F1’に用いたジェット縮流係数s以外の数値で除することで、その瞬間のジェット縮流係数sを求めることもできる。
【0108】
また、この実施形態では、計算値を補正するか否かの判定指標として、式(23)に示す水切れ係数Kを利用する。
【0109】
【数47】
Figure 2004060116
【0110】
Kは理論上0〜1の範囲であるが、実際にはワイヤー下にまったく水分が落ちてこない状況や、すべての水分が落ちてくるという状況はありえないことから、Kの範囲(a<K<b(0<a、b<1))を設定することができる。極端な場合だけを除くという意味で、例えば、Kの範囲を0.1〜0.95とし、その範囲内であればバイアス誤差は±0とすることができる。すなわち、インレット濃度が物量バランスから許容される範囲を越えない限り、補正しない。
【0111】
Kが設定された最大値(Kmax=0.95)以上の場合、インレット全固形分濃度CT1の誤差△CT1、及びインレット灰分濃度CA1の誤差△CA1は、式(33)及び(34)にて求めることができる。
【0112】
【数48】
Figure 2004060116
【0113】
【数49】
Figure 2004060116
【0114】
また、Kが設定された最小値(Kmin=0.1)以下の場合、インレット全固形分濃度CT1の誤差△CT1、及びインレット灰分濃度CA1の誤差△CA1は、式(35)及び式(36)にて求めることができる。
【0115】
【数50】
Figure 2004060116
【0116】
【数51】
Figure 2004060116
【0117】
これらの誤差を測定値から減ずることで、物量バランスから許容される限界のインレット濃度を得ることができる。次のサンプリングで測定されたインレット全固形分濃度CT1、インレット灰分濃度CA1から、先に求めた誤差△CT1、△CA1を減じた濃度を使って式(37)に示す水切れ係数K’を求める。この水切れ係数K’は、先に求めた誤差を継承するか否かの判定指標として利用される。
【0118】
【数52】
Figure 2004060116
【0119】
インレット濃度は急激に変化しないので、K’はKmaxあるいはKminに近い値になっているはずである。K’>Kmax、K’<Kminの場合は、K’がKmax、Kminに等しくなるように、再び誤差△CT1、△CA1が修正される。Kmin<K’<Kmaxの場合は、誤差△CT1、△CA1はそのままで、K’はプロセス状態の変化として捉えられる。すなわち、補正されたインレット濃度が物量バランスから許容される範囲を越えない限り、補正量を変化させない。また、物量バランスの範囲内での変化はワイヤーリテンションの微妙な変動を捉える貴重な情報源となる。従って、インレット濃度測定に求められるのは、絶対的な濃度指示よりも濃度変化を正確に捉えることである。
【0120】
今回実施したケースでは、インレット灰分濃度CA1の指示が3品種の場合で異なっており、各種によって生じる誤差はバイアス誤差であったため、それぞれの品種における濃度変化の傾きは図3(c)に示すように同一であった。このため、上記のような補正方法で充分に正確なプロセス変動を捉えることができる。さらに、測定窓の汚れ等により不規則に発生するバイアス誤差に対しても、この補正方法は有効であると思われる。但し、品種によって全く違う挙動を示す場合は、品種毎に正確な濃度変化を捉えられるよう濃度測定装置を改良する必要がある。
【0121】
(実施結果)
図4に、本実施形態におけるワイヤーリテンション測定装置によって、操業中の各成分の変化を、ワイヤーリテンションによって表した場合と、従来のワンパスリテンションにて表した場合とをそれぞれ示す。図からも明らかなように、灰分、繊維分、全固形分のワイヤーリテンションの変化は、水分のワイヤーリテンションの変化に良く対応しているが、ワンパスリテンションの変化は、水分のワイヤーリテンションに対応しておらず、また、灰分と全固形分との変化の対応関係もワイヤーリテンション程明確に対応していないことが解る。
【0122】
表1に、本発明の実施の形態の説明で用いた定数、物理量の一覧表を示す。
【0123】
【表1】
Figure 2004060116
【0124】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、抄紙機のワイヤーパート上での全固形分、灰分、繊維分及び水分などの各成分のリテンション、すなわちワイヤーリテンションを、連続的に、かつ抄速などの操業状態に応じて正確に検出することができる。
【0125】
このため、速度変化によるパルプマットの成分比率や、紙層の形成状態などを推定することができ、従来困難とされていた正確なリテンション制御を実現することが可能となり、幅広い品種に対して極めて安定な操業を実現することができる。
【0126】
また、様々な薬品の操業への影響を、ワンパスリテンション、ワイヤーリテンション、水切れ係数などを比較することにより、総合的に評価することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における抄紙機のワイヤーリテンション測定装置の概略構成を示す図である。
【図2】同上実施形態のワイヤーパートにおける物質の流れを示す図である。
【図3】同上実施形態の濃度計におけるキャリブレーション式を表す線図である。
【図4】同上実施形態におけるワイヤーリテンション測定装置によって、操業中の各成分の変化を、ワイヤーリテンションによって表した場合と、従来のワンパスリテンションにて表した場合とをそれぞれ示す線図である。
【符号の説明】
11 インレット
12 ワイヤーパート
12a ワイヤー
12b トレイ
13 ドライヤーパート
13a ドライヤーシリンダ
14 濃度計
15 濃度計
16 BM計
17 巻取りリール
18 サーバ
19 コンピュータ
20 モニター
ww 白水

Claims (8)

  1. 抄紙機のインレットから噴出されるパルプ懸濁液に対しワイヤーパートで脱水を行い、パルプマットと白水に分離する際の全固形分、繊維分、灰分、及び水分の内の少なくとも1つの分離比率を得る抄紙機のワイヤーリテンション測定装置であって、
    前記インレットから噴出されるパルプ懸濁液のインレット全固形分濃度とインレット灰分濃度、及び前記ワイヤーパートで脱水により生成された白水中の白水全固形分濃度と白水灰分濃度を、それぞれ測定する第1の測定手段と、
    乾燥後のウエブについて、該ウエブの幅方向の平均絶乾坪量と、平均灰分含有率とを、それぞれ測定する第2の測定手段と、
    乾燥後のウエブについて、該ウエブの幅と、該ウエブの速度と、該ウエブの前記平均絶乾坪量と、該ウエブ前記平均灰分含有率とを用いて、該ウエブの単位時間当たりの全固形分質量と、該ウエブの単位時間当たりの灰分質量とを算出する第1の演算手段と、
    前記第1の測定手段により得られた前記インレット全固形分濃度、前記インレット灰分濃度、前記白水全固形分濃度、及び前記白水灰分濃度と、前記第1の演算手段により得られた前記ウエブの単位時間当たりの全固形分質量及び前記ウエブの単位時間当たりの灰分質量とを用いて、抄紙機ワイヤーパートにおいて、脱水により分離される、全固形分、繊維分、灰分、水分の内の少なくとも一つの分離比率を算出する第2の演算手段と、
    前記第2の演算手段によって算出された分離比率を表す出力信号を送出する出力手段と、
    を具えたことを特徴とする抄紙機のワイヤーリテンション測定装置。
  2. 前記第2の演算手段により得られた、全固形分、繊維分、灰分、及び水分の内の少なくとも一つの分離比率を、前記出力手段の出力信号に応じて表示する表示手段を具えたことを特徴とする請求項1に記載の抄紙機のワイヤーリテンション測定装置。
  3. 前記第2の演算手段は、下記の式(1)ないし式(4)による演算を行うことにより、ワイヤーパートにおいて、脱水により分離される全固形分、繊維分、灰分、水分、の内の少なくとも一つの分離比率を算出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の抄紙機のワイヤーリテンション測定装置。
    Figure 2004060116
    Figure 2004060116
    Figure 2004060116
    Figure 2004060116
    但し、WR: 全固形分ワイヤーリテンション、
    WR: 灰分ワイヤーリテンション
    WR: 繊維分ワイヤーリテンション
    WR: 水分ワイヤーリテンション
    F1:インレットから噴出されるパルプ懸濁液中の水分の単位時間当たりの質量
    F2:パルプマット中の水分の単位時間当たりの質量
    F3:白水中の水分の単位時間当たりの質量
    A1:インレットから噴出されるパルプ懸濁液中の灰分の単位
    時間当たりの質量
    A2:乾燥後のウエブ中の灰分の単位時間当たりの質量
    A1:インレット灰分濃度
    A3:白水灰分濃度
    T1:インレット全固形分濃度
    T3:白水全固形分濃度
    T1:インレットから噴出されるパルプ懸濁液中の全固形分の単位時間当たりの質量
    T2:乾燥後のウエブ中の全固形分の単位時間当たりの質量
    とする。
  4. 前記第1の演算手段は、下記の式(5)及び式(6)に表される演算を行うことにより、前記ウエブ中の単位時間当たりの全固形分質量T2と、単位時間当たりの灰分質量A2、とを算出することを特徴とする請求項3に記載の抄紙機のワイヤーリテンション測定装置。
    Figure 2004060116
    Figure 2004060116
    但し、
    T2:乾燥後のウエブ中の全固形分の単位時間当たりの質量
    A2:乾燥後のウエブ中の灰分の単位時間当たりの質量
    ws:乾燥後のウエブの幅
    R:乾燥後のウエブの速度
    BD:乾燥後のウエブの幅方向の平均絶乾坪量
    ASH:乾燥後のウエブの幅方向平均灰分含有率
    とする。
  5. 前記第1の測定手段は、試料に光を照射して、光の透過度、屈折、偏光度、散乱度の内の少なくともいずれか一つを測定することにより、試料の濃度を得ることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の抄紙機のワイヤーリテンション測定装置。
  6. 前記第2の測定手段は、ウエブ幅方向の前記平均絶乾坪量BDの測定手段がβ線透過吸収式の坪量測定器であり、前記平均灰分含有率ASHの測定手段がX線透過吸収式の灰分測定器であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の抄紙機ワイヤーリテンション測定装置。
  7. 抄紙機のインレットから噴出されるパルプ懸濁液に対しワイヤーパートで脱水を行い、パルプマットと白水に分離する際の全固形分、繊維分、灰分、及び水分の内の少なくとも1つの分離比率を得る抄紙機のワイヤーリテンション測定装置であって、
    所定の測定手段により得られた、前記インレットから噴出されるパルプ懸濁液のインレット全固形分濃度、インレット灰分濃度、白水全固形分濃度、白水灰分濃度をそれぞれ入力する第1の入力手段と、
    乾燥後のウエブについて、測定手段により得られる該ウエブ幅方向の平均絶乾坪量と、平均灰分含有率とを入力し、更に、該ウエブの幅と、該ウエブの速度とを入力して、該ウエブの単位時間当たりの全固形分質量と、該ウエブの単位時間当たりの灰分質量とを算出する第1の演算手段と、
    前記第1の入力手段と第1の演算手段とにより得られた、前記インレット全固形分濃度、前記インレット灰分濃度、前記白水全固形分濃度、前記白水灰分濃度、前記ウエブの単位時間当たりの全固形分質量、前記ウエブの単位時間当たりの灰分質量の物理量を用いて、抄紙機ワイヤーパートにおいて、脱水により分離される、全固形分、繊維分、灰分、水分の内の少なくとも一つの分離比率、すなわちワイヤーリテンションを算出する第2の演算手段と、
    前記第2の演算手段によって算出された分離比率、すなわちワイヤーリテンションを出力する出力手段と、
    を具えたことを特徴とする抄紙機のワイヤーリテンション測定装置。
  8. 抄紙機のインレットから噴出されるパルプ懸濁液に対しワイヤーパートで脱水を行い、パルプマットと白水に分離する際の全固形分、繊維分、灰分、及び水分の内の少なくとも1つの分離比率を得る抄紙機のワイヤーリテンション測定方法であって、
    前記インレットから噴出されるパルプ懸濁液のインレット全固形分濃度、インレット灰分濃度、白水全固形分濃度、白水灰分濃度を、それぞれ測定するステップと、
    プレドライヤーパート後の薬品を塗工する前のウエブについて、該ウエブ幅方向の平均絶乾坪量と、該ウエブ幅方向の平均灰分含有率とを、それぞれ測定するステップと、
    プレドライヤーパート後の塗被液を塗布する前のウエブについて、該ウエブの幅と、該ウエブの速度と、該ウエブの前記平均絶乾坪量と、該ウエブの前記平均灰分含有率とを用いて、該ウエブの単位時間当たりの全固形分質量と、該ウエブの単位時間当たりの灰分質量を演算するステップと、
    前記測定ステップと前記演算ステップにより得られた、前記インレット全固形分濃度、前記インレット灰分濃度、前記白水全固形分濃度、前記白水灰分濃度、前記ウエブの単位時間当たりの全固形分質量、前記ウエブの単位時間当たりの灰分質量 の物理量を用いて、抄紙機ワイヤーパートにおいて、脱水により分離される、全固形分、繊維分、灰分、水分の内の少なくとも一つの分離比率、すなわちワイヤーリテンションを算出する演算ステップと、
    前記演算ステップによって算出された分離比率、すなわちワイヤーリテンションを出力する出力ステップと、
    を具えたことを特徴とする抄紙機のワイヤーリテンション測定方法。
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