JP2004059676A - ウレタンエマルジョンの製造法 - Google Patents

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山田 勉
Kazumi Mai
舞 和美
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Abstract

【課題】溶剤を含有していないウレタンプレポリマーを水に微分散したエマルジョンを連続的に製造する方法を提供することにある。
【解決手段】ウレタンプレポリマーを水に乳化させてウレタンエマルジョンを製造する方法に於いて、乳化機1のケーシング2内に設けられた複数のステータ歯4を有するステータ部3の内側に回転軸5に複数のロータ歯7を有するロータ部6を設け、該ロータ歯と該ステータ歯とは隙間Sを形成して対面するとともに吐出口方向に拡径の円錐面形状を有しており、且つ少なくとも2個の吸入口11を有する乳化機に実質的に溶剤を含有しないウレタンプレポリマーと水とを該吸入口11から別々に供給して、連続的に乳化することを特徴とするウレタンエマルジョンの製造法。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定な乳化機器を用いてウレタンエマルジョンを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、溶剤を含むウレタンプレポリマーをエマルジョンにするために、該プレポリマーと乳化剤含有の水とを予備混合し、更にホモジナイザーで混練微分散を行い約2μmの粒径のウレタンエマルジョンを得ている。
しかし、この方法では、微分散するための工程が多くなり、しかも溶剤除去工程も必要であるため、生産効率が悪いという欠点がある。
【0003】
また、ケーシング内に設けられた回転軸に複数のロータ歯を有するロータ部と該ロータ部の外側に設けられた複数のステータ歯を有するステータ部を有し、溶剤を含むウレタンプレポリマーと必要により乳化剤を含有する水とを予め混合した液を供給する1個の吸入口を有するコロイドミル(乳化機)を用いて、連続的に乳化する方法も提案されている。
しかし、この方法は、簡便で生産性が高いことから採用されているものの、溶剤除去工程を必要とし、しかも予めウレタンプレポリマーと水とを混合してから乳化機に供給するため、水中の大きいウレタンプレポリマーの塊に剪断力がかかり難く、より微細なウレタンエマルジョンを得ることができない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、溶剤を含有していないウレタンプレポリマーを水に微分散したエマルジョンを連続的に製造する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ウレタンプレポリマーを水に乳化させてウレタンエマルジョンを製造する方法に於いて、乳化機1のケーシング2内に設けられた複数のステータ歯4を有するステータ部3の内側に回転軸5に複数のロータ歯7を有するロータ部6を設け、該ロータ歯と該ステータ歯とは隙間Sを形成して対面するとともに吐出口方向に拡径の円錐面形状を有しており、且つ少なくとも2個の吸入口11を有する乳化機に実質的に溶剤を含有しないウレタンプレポリマーと水とを該吸入口11から別々に供給し、連続的に乳化することを特徴とするウレタンエマルジョンの製造法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図1から図3を参照しながら本発明を詳細に説明する。
図1は本発明で使用される乳化機を部分断面した概略図、図2は本発明で使用される乳化機のステータ部3及びロータ部6の図1のA−A断面模式図、図3は本発明のウレタンプレポリマーエマルジョンの製造工程図である。
【0007】
本発明で使用される乳化機は、図1及び図2に見られるように、乳化機1のケーシング2内の回転軸5に固定され、ロータ歯7を有するロータ部6と、該ロータ部の外側に配置され、ステータ歯4を有するステータ部3が設けられ、該ロータ歯と該ステータ歯とは重なり合うことなく、対面していて隙間Sを形成して配置されている。混合系がこの隙間Sを通過するとき、ロータ部の高速回転とこの隙間による衝撃、剪断、圧縮、摩擦等の力およびキャビテーションの作用を受けて、微粉砕、乳化処理されるものである。
【0008】
ロータ歯の外周面とステータ歯の内周面とは円錐形状であり、吐出口14の方向に向かって拡径になっている。ステータ部に設けられた調整ボルト9及び固定ボルト10によりステータ部3を回転軸5方向に移動させて隙間の大きさを調整し、混合係の液体の性状に応じ、また所定の乳化、分散粒子径を得るために剪断力の大きさを調節することができる。
【0009】
ロータ歯7の外周の円錐面角度をステータ歯6内周の円錐面角度に対し僅かに大きくすると、隙間Sが吸入口11部の隙間S1から吐出口14の隙間S2に近づくにつれて狭くなり、混合系に対し漸増する剪断力を与えることができるので、隙間が一定のものに比べて処理剤に対し、無理のない乳化作用を与えることができる。吸入口部の隙間が大きくなるので乳化するための処理剤の隙間への食い込みも良く、回転軸2およびステータ部への反力を軽減することができるので、乳化機の装置としての損耗、劣化及び軸動力の負荷を減じることができるので好ましい。
【0010】
コロイドミルに代表されるこのような横型タイプの乳化機のテーパ角度は、通常3〜10°位であり、隙間Sは10から60μm程で一定に調整して用いる。これに対しロータ歯7の外周の円錐面角度がステータ歯6より僅かに大きなタイプのコロイドミルでは、処理液の性状及び目的の分散度、粒径、処理量に応じて予め角度が設定された構造のものを用いる。一般的に吸入口部側の隙間S1は吐出口部側の隙間S2の3〜6倍と大きくなっている。
【0011】
ロータ歯7は好ましくはクロスカット状の歯が円周面に連続して形成され、その列が複数となっている。また、ロータ歯と対面するステータ歯4もステータ部3の内面に連続して形成されている。尚、ロータ歯7は、回転軸5の回転により高速で回転され、一方ステータ歯4は回転せずにステータ部3を介して乳化機1のケーシング2に固定されている。
【0012】
ステータ歯4及びロータ歯7の円錐面上での歯の配列についても、分散液からなる混合系に乳化作用を与えることができる範囲内であれば、直線、斜め、ジグザグ、波状等、様々な形をとってもよいし、これらを組み合わせてもよい。また歯の断面形状も図2に示すような矩形に限らず台形、鋸歯形、三角形等の形状をとってもよい。
【0013】
図3に示すように、実質的に溶剤を含有しないウレタンプレポリマー15と水16の2液をそれぞれポンプ17a、17bによりケーシングカバー8に設けられた吸入口11aおよび11bに分けて連続的にロータ空間部12に供給される。次に図2に示す高速で回転しているロータ部6によって、切り欠きされたロータ開口部13からステータ歯4とロータ歯7との隙間に流れ込み、同時に大きな剪断力によって微分散され、連続して押し出されて吐出口14からエマルジョンが排出され製品タンク18に貯留される。
【0014】
上記吸入口11は、回転軸5と反対側に形成され、供給する液が上記ロータ空間部12に流入するような位置が好ましい。また、吸入口11の数は少なくとも2個必要であるが、場合によっては乳化剤や他の添加剤をウレタンプレポリマーと水とは別の吸入口から流入することができることから3個以上あってもよい。
【0015】
本発明で使用されるウレタンプレポリマーは、例えば、従来公知のポリイソシアネート化合物と、親水性原子団又は中和により親水性となりうる原子団を有さないがイソシアネート基と反応し得る活性水素含有化合物と、必要に応じて、親水性原子団又は中和により親水性となりうる原子団を有しかつイソシアネート基と反応し得る活性水素含有化合物から製造される。
本発明に係るウレタンプレポリマーは、従来公知の方法で製造される。例えば、前記ポリイソシアネート化合物と活性水素含有化合物(親水性原子団又は中和により親水性となりうる原子団を含有する活性水素含有化合物を用いている場合はそれをも含む)を、イソシアネート基と活性水素基の当量比をそれぞれ、1.1:1〜3:1好ましくは1.2:1〜2:1の比率で、20〜120℃好ましくは30〜100℃にて反応させる。
【0016】
本発明で用いられるポリイソシアネートとしては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フエニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフエニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
【0017】
本発明で使用されるイソシアネート基と反応し得るその他の活性水素含有化合物は、便宜上数平均分子量300〜10,000好ましくは500〜5,000の高分子量化合物と、数平均分子量300以下の低分子量化合物に分けられる。上記高分子量化合物としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリブタジエン系等のポリオレフィンポリオール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量300〜6,000)、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン及びそれらのアルキレンオキシド付加体等のグリコール成分とコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物あるいはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのヒジロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の酸成分とから脱水縮合反応によって得られるポリエステルの他にε−カプロラクトン等の環状エステル化合物の開環重合反応によって得られるポリエステル及びこれらの共重合ポリエステルが挙げられる。
【0018】
ポリエーテルとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、しょ糖、アコニット糖、トリメリット酸、ヘミメリット酸、燐酸、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリイソプロパノールアミン、ピロガロール、ジヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフタール酸、1,2,3−プロパントリチオール、等の活性水素原子を少なくとも2個有する化合物の1種または2種以上を開始剤としてエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン、シクロヘキシレン、等のモノマーの1種または2種以上を常法により付加重合したものが挙げられる。
【0019】
ポリカーボネートポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール等のグリコールとジフェニルカーボネート、ホスゲンとの反応によって得られる化合物が挙げられる。
【0020】
上記低分子量化合物としては、数平均分子量300以下の分子内に少なくとも2個以上の活性水素を含有する化合物で例えば、ポリエステルポリオールの原料として用いたグリコール成分;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ化合物;エチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,2−プロパンジアミン、ヒドラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のアミン化合物が挙げられる。
【0021】
本発明で使用されるウレタンプレポリマーに親水性基を導入するために用いられる原料としては、例えば、分子内に少なくとも1個以上の活性水素原子を有し、かつカルボン酸の塩、スルホン酸の塩、リン酸の塩、4級アンモニウム塩、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、3級アミノ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの官能基を含有する基本的にイオン性を有する化合物、あるいは分子内に少なくとも1個以上の活性水素原子を有し、かつエチレンオキシドの繰り返し単位からなる基、エチレンオキシドの繰り返し単位とその他のアルキレンオキシドの繰り返し単位からなる基を含有するノニオン性の化合物が挙げられる。これらの親水性基の内で、特にカルボン酸基及びカルボン酸の塩からなるアニオン性基及び/またはエチレンオキサイドの繰り返し単位を含有するノニオン性基が好ましい。
かかる親水基含有化合物としては、例えば2−オキシエタンスルホン酸、フェノールスルホン酸、スルホ安息香酸、スルホコハク酸、5−スルホイソフタル酸、スルファニル酸、1,3−フェニレンジアミン−4,6−ジスルホン酸、2,4−ジアミノトルエン−5−スルホン酸等のスルホン酸含有化合物及びこれらの誘導体叉はこれらを共重合して得られるポリエステルポリオール;2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸、ジオキシマレイン酸、2,6−ジオキシ安息香酸、3,4−ジアミノ安息香酸等のカルボン酸含有化合物及びこれらの誘導体又はこれらを共重合して得られるポリエステルポリオール;メチルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、アルキルジイソプロパノールアミン等の3級アミノ基含有化合物及びこれらの誘導体叉はこれらを共重合して得られるポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオール;前記3級アミノ基含有化合物及びこれらの誘導体叉はこれらを共重合して得られるポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールと、塩化メチル、臭化メチル、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、塩化ベンジル、臭化ベンジル、エチレンクロルヒドリン、エチレンブロムヒドリン、エピクロルヒドリン、ブロムブタン等の4級化剤の反応物;エチレンオキシドの繰り返し単位を少なくとも30重量%以上含有し、ポリマー中に少なくとも1個以上の活性水素を含有する数平均分子量300〜20,000のポリオキシエチレングリコール又はポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体グリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシブチレン共重合体グリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシアルキレン共重合体グリコール又はそのモノアルキルエーテル等のノニオン基含有化合物又はこれらを共重合して得られるポリエステルポリエーテルポリオールが挙げられ、これら単独で、もしくは組み合わせて使用される。
【0022】
本発明で使用される、分子内に結合した親水性基の含有量は、親水性基がカルボキシル基、スルホン酸基等のイオン性基の場合は、最終的に得られるポリウレタン樹脂固形分100重量部当り少なくとも0.005〜0.2当量、好ましくは0.01〜0.1当量必要である。又ノニオン性の化合物を使用する場合は、最終的に得られるポリウレタン樹脂固形分100重量部当り少なくとも20重量部以下、なかでも10重量部以下にすることが好ましい。
【0023】
又、本発明で必要に応じて使用される外部乳化剤としては、例えばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート等のノニオン系乳化剤;オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩、アルカンスルフォネートナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸ナトリウム塩等のアニオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニル硫酸塩等のノニオンアニオン系乳化剤、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールエーテル型(プルロニック型)乳化剤などが挙げられ、使用量としては、ウレタンプレポリマーに対して0.1〜15重量%が好ましく、より好ましくは1〜10重量%である。
【0024】
本発明で使用される中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の不揮発性塩基;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン類、アンモニア等の揮発性塩基が挙げられ、中和の時期としては、カルボキシル基含有不飽和単量体の重合前、中、後あるいは、ウレタン化反応中、後のいずれでも構わない。
【0025】
又、本発明の製造方法において、必要に応じて、水に加えてその他の水性分散体や水分散液、例えば酢ビ系、エチレン酢ビ系、アクリル系、アクリルスチレン系等のエマルジョン;スチレン・ブタジエン系、アクリロニトリル・ブタジエン系、アクリル・ブタジエン系等のラテックス;ポリエチレン系、ポリオレフィン系等のアイオノマー;ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ系樹脂等の各種水性分散体、水分散液、また安定剤その他の添加剤を併用してもよい。
【0026】
尚、本発明の該ウレタンプレポリマーは、溶剤を含有しないものであり、常温で液状のものか、融点が40〜70℃程度で80℃における粘度が50〜10000mPa・sであるものが好適である。ウレタンプレポリマーの製造は、無溶剤で、上記ポリイソシアネートと上記ポリオール等とを反応することによって得る方法が好ましいが、溶剤中でポリイソシアネートとポリオールとを反応した後、脱溶剤して得る方法でも可能である。また、ウレタンプレポリマーを前記乳化機に供給する場合には、ウレタンプレポリマーの流動性を高めるためにウレタンプレポリマーは40〜90℃程度に加温される。
【0027】
又、ウレタンプレポリマーの流動性を調整する方法として、必要に応じてウレタンプレポリマーのイソシアネート基との反応性の低い、又は反応基を持たない例えば可塑剤等の低粘度化合物を添加する方法が可能である。
【0028】
ウレタンプレポリマーと水との混合割合としては、乳化機へ供給されるウレタンプレポリマーの粘度によるが、通常ウレタンプレポリマーの含量が30〜70重量%となる量が好適であり、より好ましくは40〜60重量%である。
【0029】
本発明では、ウレタンプレポリマーエマルジョンを製造する場合、上記乳化機に於いてロータ部3の周速を好ましくは20〜50m/秒、より好ましくは25〜40m/秒とし、ウレタンプレポリマーと水の流入速度は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜2m/時間程度が生産性の面で適当である。
【0030】
而して、ウレタンプレポリマーエマルジョンは、粒径0.1〜2.5μmのものが連続的に生産され、更に鎖伸長剤により架橋されてポリウレタン樹脂エマルジョンを得ることができる。かかる鎖伸長剤としては、水も鎖伸長剤として作用するが、必要に応じて、例えばエチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、アミノプロピルエタノールアミン、アミノヘキシルエタノールアミン、アミノエチルプロパノールアミン、アミノプロピルプロパノールアミン、アミノヘキシルプロパノールアミン等のジアミン類;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン類;ヒドラジン類;酸ヒドラジド類、が挙げられ、これらを単独あるいは組み合わせて使用することができる。
【0031】
本発明の方法によれば、ウレタンプレポリマーエマルジョン中に溶剤を含有していないため、溶剤除去する工程を省略することができ、しかも粒径の小さなエマルジョンを得ることができるため、保存安定性に優れたポリウレタン樹脂をもたらすことができる。
【0032】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に説明するが、本発明は本実施例にのみ限定されるものではない。尚、例中の「部」は重量基準である。
【0033】
使用した乳化機、及びその機械的条件及び運転条件は実施例、比較例とも同
じで以下の通りである。
Figure 2004059676
【0034】
粒子径の測定は、(株)島津製作所製のレーザ回折式粒度分布測定装置「SALD−2100」にて行った。粒子径データは、体積基準のメディアン径(積算粒子量が50%になる粒子径)である。尚ウレタンエマルジョンの分散の所定平均粒子径は2μmである。
【0035】
(実施例1)
70℃に加熱した無溶剤のウレタンプレポリマー(分子中にイソシアネート基を2個有するIPDI−ポリオキシプロピレングリコールのプレポリマー:粘度(70℃)1000mPa・s、イソシアネート基含有量7.5重量%)を、また乳化剤としてプルロニック型ノニオン乳化剤を10重量%含有する水を図3に示す別々の乳化機の吸入口11a、11bから前者は0.11m/時間、後者は0.08m/時間の速度で乳化機に流入した。
乳化機のロータ部3の周速を29m/sで乳化処理して、粒子径2.1μmのウレタンエマルジョンを連続的に0.19m/時間で得た。その後、直ちにイソシアネート基の90%に相当するアミノ基量のヒドラジンの水希釈液を添加して鎖伸長させ、最終的に固形分濃度50重量%のウレタンエマルジョンを得た。
【0036】
(比較例1)
予め、実施例1で用いたウレタンプレポリマーと乳化剤を含む水を予め攪拌機で混合させたものを、吸入口11を1個有する乳化機に代えて流入した。乳化機のロータ部3の周速を29m/sで乳化処理して、ウレタンエマルジョンを0.19m/時間で連続的に得たが、粒子径3.0μmと平均粒子径も大きく、粒径分布のシャープネスも悪く、微分散したものではなかった。
【0037】
実施例1及び比較例1のウレタンエマルジョンを20重量%の濃度に希釈し、試験管に封入して静置し、1日後の沈降状態を目視で調べた。実施例のものは、多少沈降するものの、比較例のものに比べて沈降程度が小さく安定性が高かった。
【0038】
【発明の効果】
本発明は、溶剤除去する工程を省略することができ、しかも微分散したウレタンエマルジョンを連続的にかつ高い生産性でもって製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用される乳化機の概略図である。
【図2】本発明で使用される乳化機のロータ部3及びステータ部5のA−A断面図である。
【図3】本発明のウレタンプレポリマーエマルジョンの製造工程図である。
【符号の説明】
1 乳化機
2 ケーシング
3 ステータ部
4 ステータ歯
5 回転軸
6 ロータ部
7 ロータ歯
8 ケーシングカバー
9 調整ボルト
10 固定ボルト
11 吸入口
12 ロータ空間部
13 ロータ開口部
14 吐出口
15 ウレタンプレポリマー反応容器
16 水タンク
17 ポンプ
18  製品タンク

Claims (8)

  1. ウレタンプレポリマーを水に乳化させてウレタンエマルジョンを製造する方法に於いて、乳化機1のケーシング2内に設けられた複数のステータ歯4を有するステータ部3の内側に回転軸5に複数のロータ歯7を有するロータ部6を設け、該ロータ歯と該ステータ歯とは隙間Sを形成して対面するとともに吐出口方向に拡径の円錐面形状を有しており、且つ少なくとも2個の吸入口11を有する乳化機に実質的に溶剤を含有しないウレタンプレポリマーと水とを該吸入口11から別々に供給して、連続的に乳化することを特徴とするウレタンエマルジョンの製造法。
  2. 該ロータ歯と該ステータ歯の円錐面は互いに異なる円錐角度を有していて、且つ該ロータ歯と該ステータ歯との隙間Sは吐出口方向に狭まるように形成された乳化機である請求項1に記載のウレタンエマルジョンの製造法。
  3. ウレタンプレポリマーと水とが、乳化機のロータ歯7とステータ歯4との隙間Sを通過する過程で乳化される請求項1または2記載のウレタンエマルジョンの製造法。
  4. 乳化機が、回転軸5の反対側に吸入口11が、回転軸5の同じ側に吐出口14がそれぞれ設けられている請求項1〜3のいずれかに記載のウレタンエマルジョンの製造法。
  5. ウレタンプレポリマーが液状であり、且つ水が乳化剤を含有している請求項1〜4のいずれかに記載のウレタンエマルジョンの製造法。
  6. 80℃におけるウレタンプレポリマーの粘度が50〜10000mPasである請求項1〜5のいずれかに記載のウレタンエマルジョンの製造法。
  7. ロータ部3の周速が20〜50m/秒である請求項1〜6のいずれかに記載のウレタンエマルジョンの製造法。
  8. 請求項1〜7から得られたウレタンエマルジョンに鎖伸長剤を添加し、反応させることを特徴とするポリウレタン樹脂エマルジョンの製造法。
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