JP2004059574A - インターロイキン21を用いた免疫治療用医薬組成物 - Google Patents

インターロイキン21を用いた免疫治療用医薬組成物 Download PDF

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岸田 綱郎
Hideki Asada
浅田 秀基
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今西 二郎
Osamu Matsuda
松田 修
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Abstract

【課題】強い副作用を惹起しない、サイトカインを用いた免疫治療用医薬組成物を提供すること。
【解決手段】IL−21遺伝子を単独または他のサイトカインと組み合わせてin vivo導入することにより、生体レベルでの強い抗腫瘍効果を得ることができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インターロイキン21(IL−21)を有効成分として含有する免疫治療用医薬組成物に関する。さらに詳細には、本発明は腫瘍若しくは転移性腫瘍の治療剤としてまたは腫瘍の転移抑制剤として用いる免疫治療用医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
悪性腫瘍に対する治療として、さまざまなサイトカインやサイトカイン遺伝子を用いて抗腫瘍免疫を高めることにより腫瘍細胞を攻撃するという、いわゆる免疫療法、免疫遺伝子療法が試みられている。たとえばIL−12は強力なTh1誘導作用、細胞傷害性T細胞(CTL)とナチュラル・キラー細胞(NK細胞)の活性化作用を有し、免疫療法に広く用いられている。しかしながら、これら免疫療法は、マウスの腫瘍に対してはある程度有効であっても、ヒト患者の腫瘍には有効でない場合がほとんどであった。さらに、悪性腫瘍の治療の最大の問題は転移を抑制し転移巣を治療することにあるが、これら免疫療法で転移に対して有効であったものは多くない。また、上述のIL−12をはじめ、サイトカインを用いた免疫療法には通常強い副作用があり、そのために腫瘍に対して有効な用量を投与することができない場合が多かった。
【0003】
IL−21タンパク質は活性化T細胞から分泌されるサイトカインである。Parrish−Novak J.らによりcDNAが単離され、2000年11月の論文(非特許文献1)で、または特許文献1でその遺伝子配列が発表された。この論文には、IL−15との協調作用、T細胞、B細胞、NK細胞の増殖・分化促進活性等が報告されており、その機能は重要であると考えられている。しかしながら、それ以後現在に至るまで、このサイトカインの生理機能に関する報告はほとんどない。とくに、in vivoにおけるIL−21の生理作用についてはほとんど明らかにされていない。さらに疾患モデル動物に対してIL−21タンパク質、またはその遺伝子を投与して治療効果を検討したという報告は全くなされていない。
【0004】
【非特許文献1】
Parrish−Novak, J. et al., ”Interleukin 21 and its receptor are involved in NK cell expansion and regulation of lymphocyte function.”, Nature, 2000 November 2, 408 (6808), 57−63
【特許文献1】
米国特許第6,307,024号明細書
【非特許文献2】
Wolff, J.A. et al., ”Direct gene transfer into mouse muscle in vivo.”, Science, 1990 March 23, 247 (4949 Pt 1), 1465−1468
【非特許文献3】
Liu, F. et al., ”Hydrodynamics−based transfection in animals by systemicadministration of plasmid DNA.”, Gene therapy, 1999 July, 6 (7), 1258−1266
【非特許文献4】
Cui, F.D. et al., ”Highly efficient gene transfer into murine liver achieved by intravenous administration of naked Epstein−Barr virus (EBV)−based plasmid vectors.”, Gene therapy, 2001 October, 8 (19), 1508−1513
【非特許文献5】
Zhang, G. et al., ”Efficient expression of naked DNA delivered intraarterially to limb muscles of nonhuman primates.”, Human gene therapy, 2001 March 1, 12 (4), 427−438
【非特許文献6】
Kaplitt, M.G. et al., ”Expression of a functional foreign gene in adult mammalian brain following in vivo transfer via a herpes simplex virus type 1 defective viral vector.”, Molecular and cellular neurosciences, 1991, 2, 320−330
【非特許文献7】
Stratford−Perricaudet, L.D. et al., ”Widespread long−term gene transfer to mouse skeletal muscles and heart.”, The Journal of clinical investigation, 1992 August, 90 (2), 626−630
【非特許文献8】
Samulski, R.J. et al., ”A recombinant plasmid from which an infectious adeno−associated virus genome can be excised in vitro and its use to study viral replication.”, Journal of virology, 1987 October, 61 (10), 3096−3101
【非特許文献9】
Samulski, R.J. et al., ”Helper−free stocks of recombinant adeno−associated viruses: normal integration does not require viral gene expression.”,Journal of virology, 1989 September, 63 (9), 3822−3828
【特許文献2】
米国特許第5,399,346号明細書
【特許文献3】
米国特許第4,650,764号明細書
【特許文献4】
米国特許第4,980,289号明細書
【特許文献5】
米国特許第5,124,263号明細書
【特許文献6】
国際公開第95/07358号パンフレット
【非特許文献10】
Mann, R. et al., ”Construction of a retrovirus packaging mutant and its use to produce helper−free defective retrovirus.”, Cell, 1983 May, 33 (1), 153−159
【非特許文献11】
Markowitz, D. et al., ”A safe packaging line for gene transfer: separating viral genes on two different plasmids.”, Journal of Virology, 1988 April, 62 (4), 1120−1124
【非特許文献12】
Kuo, M.L. et al., ”Efficient gene transfer into primary murine lymphocytes obviating the need for drug selection.”, Blood, 1993 August 1, 82 (3), 845−852
【非特許文献13】
Felgner, P.L. et al., ”Lipofection: a highly efficient, lipid−mediated DNA−transfection procedure.”, Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 1987 November, 84 (21), 7413−7417
【非特許文献14】
Machy, P. et al., ”Gene transfer from targeted liposomes to specific lymphoid cells by electroporation.”, Proceedings of the National Academy ofSciences of the United States of America, 1988 November, 85 (21), 8027−8031
【非特許文献15】
Maruyama−Tabata, H., et al., ”Effective suicide gene therapy in vivo by EBV−based plasmid vector coupled with polyamidoamine dendrimer.”, Gene therapy, 2000 January, 7 (1), 53−60
【非特許文献16】
Kishida, T., et al., ”In vivo electroporation−mediated transfer of interleukin−12 and interleukin−18 genes induces significant antitumor effectsagainst melanoma in mice.”, Gene therapy, 2001 August, 8 (16), 1234−1240
【非特許文献17】
Wilson, J.M. et al., ”Hepatocyte−directed gene transfer in vivo leads totransient improvement of hypercholesterolemia in low density lipoprotein receptor−deficient rabbits.”, The Journal of biological chemistry, 1992 January 15, 267 (2), 963−967
【非特許文献18】
Wu, G.Y. et al., ”Receptor−mediated gene delivery and expression in vivo.”, The Journal of biological chemistry, 1988 October 15, 263 (29), 14621−14624
【非特許文献19】
Asada, H. et al., ”Significant antitumor effects obtained by autologous tumor cell vaccine engineered to secrete interleukin (IL)−12 and IL−18 by means of the EBV/lipoplex.”, Molecular therapy, 2002 May, 5 (5): 609−616
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、悪性腫瘍に対するサイトカインを用いた免疫療法はヒトの腫瘍には有効でない場合が多く、転移に対して有効な療法も多くなかった。また、サイトカインを用いた免疫療法には通常強い副作用を伴うという問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは上記問題を解決するため種々の検討を行った。その結果、本発明者らは、IL−21遺伝子を単独または他のサイトカインと組み合わせてin vivo導入することにより、生体レベルでの強い抗腫瘍効果を達成できることを見出した。本発明はこの知見に基づき完成したものである。
【0007】
したがって、本発明は、原発性または転移性腫瘍の治療、転移の予防、腫瘍の再発の予防に有効な免疫治療用医薬組成物を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、IL−21を有効成分として含有する免疫治療用医薬組成物を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本明細書において、「IL−21」とは、タンパク質だけでなく遺伝子も含むものとする。すなわち、「IL−21」はIL−21タンパク質およびIL−21遺伝子を意味する。他のサイトカインについても同様とする。
【0009】
IL−21タンパク質は、IL−15タンパク質と協調的に働いてNK細胞を活性化するだけでなく、T細胞、B細胞およびNK細胞の増殖にも関与しており、これら免疫細胞の分化にかかわる因子としてもその機能は重要であると考えられている。
【0010】
本発明の免疫治療用医薬組成物は、IL−21を有効成分として含有する。IL−21は単独で用いることもできるが、他のサイトカインやケモカインと組合わせて用いることもできる。他のサイトカインと組合わせて用いる場合、これらを同時に、連続して、または適当な間隔をおいて導入することができる。好ましいサイトカインとしては、IL−2、IL−12、IL−15およびIL−18が挙げられる。IL−21および他のサイトカインは遺伝子でもタンパク質でもよい。
【0011】
本発明の免疫治療用医薬組成物は、腫瘍に局所投与することにより抗腫瘍免疫応答を誘導し、その腫瘍、または遠隔の腫瘍を認識、攻撃、排除し、あるいは転移を抑制することができる。また腫瘍以外の正常臓器(たとえば肝)に投与することにより抗腫瘍効果を得ることもできる。
【0012】
またIL−21を発現する細胞、またはあらかじめIL−21遺伝子を導入することによりIL−21を発現するように加工した細胞を含む細胞製剤として、腫瘍局所または他の臓器(たとえば肝臓)に導入することもできる。その際、IL−21とともに少なくとも1種の他のサイトカインを発現するように加工した細胞を含む細胞製剤を用いることもできる。
【0013】
本発明の免疫治療用医薬組成物の抗腫瘍効果は、IL−21がNK細胞に直接作用して増殖させ、それと同時にNK細胞の活性化を促すことによる。活性化したNK細胞は腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する分子であるFasリガンド、TRAILの発現を増強し、その結果、NK細胞をエフェクターとした強い抗腫瘍効果を得ることができる。また、IL−21はT細胞にも作用して、特異的な抗腫瘍効果も誘導することができる。さらに、IL−21と種々のサイトカインを組合わせて用いることにより、相乗的な抗腫瘍効果を得ることもできる。
【0014】
また、本発明の免疫治療用医薬組成物は、他のサイトカインに比べて非常に副作用が少ないと考えられる。たとえばIL−12遺伝子をnaked DNA法にてマウスに注入すると、その用量を上げていくに従い、マウスは脾腫大と体重減少を呈し死に至る。しかしながら、本発明者らが試みた範囲では、IL−21では全くそのような重篤な副作用は起こらなかった。このことからIL−21は、副作用を伴うことなく強い抗腫瘍免疫応答を誘導できると考えられる。したがって、本発明の免疫治療用医薬組成物は、腫瘍の免疫療法に非常に有用である。
【0015】
本発明の免疫治療用医薬組成物はヒト、またはヒト以外の哺乳動物に用いることができる。
本発明の免疫治療用医薬組成物は、IL−21を腫瘍細胞内または正常組織細胞内にin vivo導入し、生体内の免疫細胞を活性化することによって、局所腫瘍または転移性腫瘍の治療、および転移抑制に用いることができる。
【0016】
IL−21遺伝子を含む本発明の免疫治療用医薬組成物は、naked DNA法にて導入することができるが、これらに限定されるものではない。たとえばWolffらは、骨格筋にプラスミドDNAを注入すると、筋細胞に遺伝子導入できることを見出した(非特許文献2参照)。Liuらは、プラスミド・ベクターを流体力学的にマウスに注入すると、肝臓に高率に遺伝子を発現させることを報告した(ハイドロダイナミクス法)(非特許文献3参照)。発明者らは,エプスタイン・バール・ウイルス(EBV)由来のプラスミド・ベクターをこのハイドロダイナミクス法にて導入すると、さらに発現が上昇し且つ延長することを報告した(非特許文献4参照)(下記実施例もハイドロダイナミクス法にて行っている)。
Zhangらは、骨格筋もハイドロダイナミクス法にて導入可能であることを、サルを用いた実験で示した(非特許文献5参照)。
【0017】
IL−21遺伝子を含む免疫治療用医薬組成物はまた、DNAウイルス由来のベクター、例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)、パピローマウイルス、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルス(AAV)などのウイルス由来のベクターを用いることもできる。しかし、これらに限定されるものではない。ウイルスの複製に必須の遺伝子を欠失させたreplication incompetentなウイルスを用いることが好ましい。replication incompetentなウイルスは、細胞に導入後は感染性を有するウイルス粒子を産生しないため、適切な投与法を選べば目的外の細胞に感染することなく局所的に投与することが可能である。他方、replication competentなウイルスベクターを用いることもできる。DNAウイルスベクターの例としては、欠陥単純ヘルペスウイルス1(HSV1)ベクター(非特許文献6参照);アデノウイルスベクター(例えば非特許文献7に記載されたもの);及びアデノ随伴ウイルスベクター(非特許文献8及び非特許文献9参照)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
IL−21遺伝子を含む本発明の免疫治療用医薬組成物はまた、レトロウイルスベクター、センダイウイルスベクターなどのRNAウイルスを用いて生体内に導入することもできる。例えば、特許文献2〜6、非特許文献10〜12に記載されたベクターを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
また、IL−21遺伝子を含む本発明の免疫治療用医薬組成物をカチオニックリポソーム、カチオニックリピッドやカチオニックポリマー等の合成ベクターを用いて調製することもできる(非特許文献13〜15参照)。合成ベクターはウイルス性ベクターに比し、工業的に生産でき、また作製・保存・輸送・使用が容易でコストも低くできるため、医薬品として用いる上で大きなメリットがある。
さらに、ウイルス性ベクターに比し、免疫原性が低くまた副作用が少ないものが多い。脂質等にペプチド(例えばホルモン又は神経伝達物質)、抗体(例えば抗トランスフェリンレセプター抗体)などのタンパク質、又は非ペプチド性分子を化学的に結合させ、標的細胞をターゲティングすることもできる。
【0020】
IL−21遺伝子を含む本発明の免疫治療用医薬組成物はまた、電気穿孔法、遺伝子銃等の物理的な原理を応用した非ウイルス的手法にて、腫瘍、または他臓器にin vivo導入することができる(たとえば非特許文献16参照)。これらの方法により、生体内の限局した部位(たとえば腫瘍の一部)に遺伝子導入することができる。
【0021】
IL−21タンパク質を含む本発明の免疫治療用医薬組成物を生体に投与する場合は、経口的にあるいは直腸内、皮下、髄腔内、筋肉内、静脈内、動脈内、経皮等、非経口的に投与することができるが、好ましくは経口的にあるいは静脈内に投与するのがよい。
【0022】
IL−21タンパク質を含む本発明の免疫治療用医薬組成物を生体に投与する場合、適当な剤型に製剤化して用いるのが好ましく、例えば錠剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤、チュワブル剤、液剤、乳剤、懸濁剤、坐剤、シロップ剤、ローション剤、軟膏剤、パップ剤等の製剤で用いることができる。これらの剤型に製剤化するには薬学上許容しうる適当な担体、賦形剤、添加剤等を用いて行うことができる。
【0023】
静脈内投与する際に好ましい剤型は液剤であり、液剤を調製するには、例えば精製水、生理食塩水、エタノール・プロピレングリコール・グリセリン・ポリエチレングリコール等のアルコール類、トリアセチン等の溶媒を用いて行うことができる。このような製剤にはさらに防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定剤のような補助剤を加えても良い。また懸濁剤として投与することも可能である。
【0024】
また錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、トローチ剤、チュワブル剤等の固形製剤を調製するには、例えば重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、デンプン、ショ糖、マンニトール、カルボキシメチルセルロース等の担体、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、グリセリン等の添加剤を加えて常法により行うことができる。またセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアルコールフタレート、スチレン−無水マレイン酸共重合体、メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体等の腸溶性物質の有機溶媒あるいは水中溶液を吹き付けて、腸溶性被膜を施して、腸溶性製剤として製剤化することもできる。薬学上許容しうる担体には、その他通常、必要により用いられる補助剤、芳香剤、安定剤あるいは防腐剤を含む。
【0025】
投与頻度は、月1回投与から連日投与が可能であり、好ましくは1回/2週から5回/週程度もしくは連日投与である。特に、持続的投与が好ましい。
投与量は、病態、重症度などにより異なるが、0.1〜1000μg/kg/dayであり、好ましくは0.5〜20μg/kg/dayである。
【0026】
細胞にex vivoでIL−21遺伝子を含むベクターを導入し、形質転換細胞を生体内に戻すことも可能である。この細胞としては、患者から得た腫瘍細胞やその他臓器等由来の細胞(線維芽細胞、リンパ球など)、アロまたは異種細胞、あるいは培養細胞株(3T3細胞など)等を用いることができる。ベクターは、所望の宿主細胞に、公知の方法にしたがって導入することができる。例えば、アデノウイルスベクター、AAVベクター、レトロウイルスベクター等のウイルスベクターを用いる方法や、リポフェクション、ポリフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、遺伝子銃等の非ウイルス的導入方法により、導入が可能である(非特許文献17〜19参照)。IL−21遺伝子と共に薬剤耐性遺伝子を導入し、遺伝子導入後の細胞に薬剤選択を行うことにより、IL−21高発現細胞を選別することができる。非選別、または選別後の形質転換細胞は、放射線照射等により増殖能を失わせてから患者に移植することができる。または有孔膜、有孔カプセル等の中に形質転換細胞を封入してから移植することができる。移植する部位としては、腫瘍内、他臓器内(たとえば皮下)、または体腔内(たとえば腹腔内)に移植することができる。
【0027】
本発明の免疫治療用医薬組成物を用いることにより、原発性または転移性腫瘍の治療、転移の予防、腫瘍の再発の予防を可能にする。
【0028】
【実施例】
以下の実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0029】
【実施例1】
NK細胞活性
以下のようにして、51Crリリースアッセイ法によりNK細胞活性を測定した。エプスタイン・バーウイルス(EBV)由来のプラスミドベクターに、マウスIL−15遺伝子(mIL−15)、マウスIL−21遺伝子(mIL−21)、またはmIL−15およびmIL−21(mIL−15+mIL−21)を組み込んだ発現ユニットを有するプラスミドベクター各25μgを、1.6mlの生理食塩水にそれぞれ溶解し、8週齢のBalb/cマウス(メス、N=3)の尾静脈より高圧下で5秒以内に注入した。コントロールとしてサイトカイン遺伝子を含まないEBV由来のプラスミドベクターを用いた。注入後48時間または72時間に脾臓よりリンパ球を回収し、これをエフェクター細胞Eとした。51CrでラベルしたYAC−1(マウスリンパ腫の細胞株)を標的細胞(T)としてE/T比を100:1、50:1、25:1及び12.5:1に調製し、マイクロプレート上で4時間反応させた。反応後、破壊されたTより放出された51Crの放射活性をγ−カウンターで測定した。51Crの特異的放出は次式により求めた。
%(51Cr特異的放出)=[(NK細胞による放出−非特異的放出)/(最大放出−非特異的放出)]×100
統計的有意差はStudent’s t testを用いて評価した。図1(a)から明らかなように、コントロール群と比較して、mIL−21群およびmIL−15群において、遺伝子導入後48時間でNK細胞活性の有意な亢進が認められた(それぞれ、p<0.05及びp<0.001)。mIL−15+mIL−21群においてはさらに強力なNK細胞活性の亢進が認められた(p<0.001)。
【0030】
【実施例2】
FACS解析
実施例1と同様の系を用いて、注入48時間後の肝臓のリンパ球を比重遠心法で分離採取し、フローサイトメトリーにて以下の解析を行った。
(1)NK細胞
NK細胞の表面マーカーを解析したところ、図2に示すように、mIL−21群、mIL−15群では、NK細胞の顕著な増殖が認められた。
(2)Fasリガンド陽性細胞
Fasリガンド陽性細胞を解析した結果を図3に示す。mIL−21群では、Fasリガンド陽性細胞数が増加していたが、mIL−15群では、そのような変化は認められなかった。
(3)TRAIL陽性細胞
mIL−21+mIL−15群では、TRAIL陽性細胞の有意な増加が認められたが、いずれの遺伝子においても単独導入では、そのような現象は認められなかった(図4)。
【0031】
【実施例3】
転移抑制
実施例1と同様の系を用いて(N=5)、各発現ベクターの注入12時間後にRL♂1(マウスリンパ腫の細胞株)を尾静脈より1×10個移植した。移植2週間後に、マウスの肝臓を摘出し、肝臓表面の転移巣を数えてIL−21による転移抑制効果を検討した。結果を図5に示す。統計的有意差はStudent’s t testを用いて評価した。mIL−21群およびmIL−15群において転移巣の数はそれぞれ減少し、mIL−15群ではその差は有意であった(p<0.05)。また、mIL−21+mIL−15群では、肝臓表面の転移巣は全く認められなかった(p<0.05)。
【0032】
【実施例4】
生存率
(1)リンパ腫移植前導入
実施例3と同様にして各発現ベクターの注入後にRL♂1を移植し、マウスの生存率について検討した。図6から明らかなように、mIL−21群およびmIL−15群においても延命効果が認められたが、mIL−21+mIL−15群では、さらに強力な延命効果が認められた。Logrank test(N=5)により、コントロール群との差を比較したところ、mIL−21群およびmIL−15群では有意差がp<0.05であった。一方、mIL−21+mIL−15群では、p<0.01であった。
(2)リンパ腫移植後導入
Balb/cマウスの尾静脈よりRL♂1を1×10個移植した5日後に、実施例1と同様にして各発現ベクターを尾静脈より注入した。その後のマウスの生存率を観察したところ、コントロール群は20日以内に全例死亡したのに対し、mIL−21+mIL−15群では著明な延命効果を示した(図7)。Logrank test(N=5)により、コントロール群との差を比較したところ、mIL−15群およびmIL−21+mIL−15群の有意差はp<0.05であった。
【0033】
【実施例5】
炎症性サイトカインの発現
実施例1と同様の系を用いて、各発現ベクターの注入48時間後に、末梢血清中のサイトカイン濃度をELISA法を用いて測定した。実施例1から明らかなように、脾臓におけるNK細胞活性は上昇しているにもかかわらず、mIL−21群、mIL−15群、mIL−21+mIL−15群のそれぞれにおいて、炎症性サイトカインであるmINFγ、GM−CSFおよびmIL−4の発現の亢進は認められなかった(図8)。
【0034】
【発明の効果】
IL−21は、副作用を伴うことなく強い抗腫瘍免疫応答を誘導することが可能である。したがって、本発明の免疫治療用医薬組成物は、腫瘍の免疫療法に非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】マウスにIL−21遺伝子および/またはIL−15遺伝子を導入したときのNK細胞活性の亢進を示すグラフである。
【図2】マウスにIL−21遺伝子またはIL−15遺伝子を導入したときのNK細胞数の増加について、FACS解析を行った結果を示す図である。
【図3】マウスにIL−21遺伝子および/またはIL−15遺伝子を導入したときのFasリガンド陽性細胞数の増加について、FACS解析を行った結果を示す図である。
【図4】マウスにIL−21遺伝子および/またはIL−15遺伝子を導入したときのTRAIL陽性細胞数の増加について、FACS解析を行った結果を示す図である。
【図5】マウスにIL−21遺伝子および/またはIL−15遺伝子を導入したときの腫瘍転移抑制効果を示すグラフである。
【図6】マウスにIL−21遺伝子および/またはIL−15遺伝子を導入後、リンパ腫細胞を移植したときの生存率を示すグラフである。
【図7】マウスにリンパ腫細胞を移植後、IL−21遺伝子および/またはIL−15遺伝子を導入したときの生存率を示すグラフである。
【図8】マウスにIL−21遺伝子および/またはIL−15遺伝子を導入したときの炎症性サイトカインの発現への影響を示すグラフである。

Claims (8)

  1. IL−21を有効成分として含有する免疫治療用医薬組成物。
  2. 腫瘍若しくは転移性腫瘍の治療剤としてまたは腫瘍の転移抑制剤として用いる請求項1に記載の免疫治療用医薬組成物。
  3. さらにIL−21以外の少なくとも1種のサイトカインを含む請求項1または2に記載の免疫治療用医薬組成物。
  4. 該少なくとも1種のサイトカインがケモカインである請求項3に記載の免疫治療用医薬組成物。
  5. 該少なくとも1種のサイトカインが、IL−2、IL−12、IL−15およびIL−18から選ばれる少なくとも1種のサイトカインである請求項3に記載の免疫治療用医薬組成物。
  6. IL−21および該少なくとも1種のサイトカインが、それぞれIL−21遺伝子およびサイトカイン遺伝子である請求項1〜5のいずれか1項に記載の免疫治療用医薬組成物。
  7. IL−21および該少なくとも1種のサイトカインが、それぞれIL−21タンパク質およびサイトカインタンパク質である請求項1〜5のいずれか1項に記載の免疫治療用医薬組成物。
  8. IL−21および該少なくとも1種のサイトカインを、IL−21遺伝子単独でまたは少なくとも1種のサイトカイン遺伝子とともに発現する細胞を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の免疫治療用医薬組成物。
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