JP2004053684A - 光ファイバ素線 - Google Patents
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Abstract
【課題】水中に長期間浸漬されても光ファイバ裸線と一次被覆層とが界面で部分的に剥離することがなく、長期にわたって、光ファイバの伝送損失が安定である光ファイバ素線を提供すること。
【解決手段】光ファイバ裸線の外周表面に、1次被覆層および2次被覆層が順に被覆された光ファイバ素線において、前記一次被覆材の、常温常湿下における密着力をf0、60℃の温水に2日間浸漬後の密着力をf1としたときに、0.7≦f1/f0なる関係を満たすこと、または、波長1550nmにおける分散が2〜10ps/nm/km、分散スロープが0.13ps/nm2/km以下、Aeffが50μm2以上、伝送損失が0.25dB/km以下、60℃の温水に30日浸漬後の伝送損失の増加が、波長1550nmにおいて0.01dB/km以下であることを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】光ファイバ裸線の外周表面に、1次被覆層および2次被覆層が順に被覆された光ファイバ素線において、前記一次被覆材の、常温常湿下における密着力をf0、60℃の温水に2日間浸漬後の密着力をf1としたときに、0.7≦f1/f0なる関係を満たすこと、または、波長1550nmにおける分散が2〜10ps/nm/km、分散スロープが0.13ps/nm2/km以下、Aeffが50μm2以上、伝送損失が0.25dB/km以下、60℃の温水に30日浸漬後の伝送損失の増加が、波長1550nmにおいて0.01dB/km以下であることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバケーブル内に収納される光ファイバ素線に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバケーブルとしては、従来より、複数本の光ファイバ素線を一旦チューブ内に収納し、そのチューブを複数本、中心材の周囲に集合し、シースを施したものが一般的に採用されている。この光ファイバケーブルでは、チューブ内およびシース内の空隙に、コンパウンドが充填されている。
【0003】
このような光ファイバケーブルにおいて、ケーブル内に破損等により水が侵入したりするなどの不測の事態が生じると、光ファイバ素線は、水中に長期間浸漬されることになる。このため、光ファイバ素線に対しては、水中に長時間浸漬されても、伝送損失の増加レベルを低く抑えることが要求される。
【0004】
近年、海底光通信等において、長距離で高ビットレートの光通信を行うために、波長1.55μm帯に零分散波長を有し、実効コア断面積が大きな分散シフト光ファイバが実用化されつつある。従って、従来、シングルモード光ファイバでは問題とならなかった伝送損失の増加レベルでも、中継距離に影響を与えるため、より信頼性の高い光ファイバ素線の開発が必要となってきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
光ファイバ素線を水中に浸漬した場合、被覆材の選定によっては、伝送損失が増加することが知られている。特開平9−5587号公報には、光ファイバ裸線と一次被覆層との界面が部分的に剥離すると、この剥離した部分に水分が溜り、部分的膨れが生じ、この部分的膨れに起因して光ファイバ素線がその長手方向に不均一なマイクロベンドを受けて、伝送損失が大きく増加してしまうことが、そしてこれを防止するため、光ファイバ裸線と上記一次被覆材との間の密着力を適度とすることが開示されている。
【0006】
しかしながら、被覆材を各種選定しながら水中浸漬実験を行ったところ、一次被覆層と裸ファイバの界面に、剥離やブリスタが無くとも、伝送損失が増加する現象が認められた。この現象を詳細に検討したところ、水中浸漬により一次被覆層内に”水泡”ができてしまい、これにより光ファイバにマイクロベンドが発生し、伝送損失を増加させてしまうことがわかった。
【0007】
この現象は、上記特開平9−5587号公報に開示されているような、「光ファイバ裸線と一次被覆層の密着力(引き抜き力)を単に大きくすること」によっては解決することができなかった。これは、1次被覆層の密着力が、水浸により劣化する現象について、何ら考慮されていないためである。また、上記特許公報以外にも、1次被覆層の物理的な特性を規定した特許文献はあるが、そのほとんどすべてが、常温常圧における特性を規定したものであって、環境雰囲気による特性の劣化を考慮した技術を開示したものはなかった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、光ファイバ裸線と一次被覆材との間の密着力が適度であり、しかも水中に長期間浸漬されても光ファイバ裸線と一次被覆材とが界面で部分的に剥離することがなく、かつ、一次被覆層内に水泡が発生することもなく、長期にわたって、光ファイバの伝送損失が安定であるファイバ素線を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、光ファイバ裸線の外周表面に、1次被覆層および2次被覆層が順に被覆された光ファイバ素線において、前記一次被覆層を構成する材料の、常温常湿下における密着力をf0、60℃の温水に2日間浸漬後の密着力をf1としたときに、0.7≦f1/f0なる関係を満たすことを特徴とする光ファイバ素線を提供する。
【0010】
光ファイバ素線が水中に浸漬した時に、一次被覆層内部に水泡を生じる現象は、一次被覆層の親水性の程度に起因するものと考えられる。親水性が高い材料により一次被服層を構成する場合には、水中浸漬時に、一次被覆層内に水分が侵入しやすいため、被覆層内部の微小な欠陥に水泡が生じる。このように、水分が1次被覆層内部に浸透した場合には、光ファイバ裸線と一次被覆層との間の密着力が低下することになる。
【0011】
ここで、本発明者らは、1次被覆材の常温常湿における密着力をf0、浸水試験後の密着力をf1としたときに、0.7≦f1/f0なる関係が満たされる場合には、光ファイバ素線が水中に浸漬しても、一次被覆層内に水泡が認められず、伝送損失の増加もなく、長期信頼性に優れた光ファイバ素線を得ることができることを見出した。なお、f1/f0の好ましい範囲は、0.75≦f1/f0である。
【0012】
このように、本発明によると、浸水試験後の密着力f1と常温常湿における密着力f0の比を所定の範囲とすることにより、伝送損失の増加なしに、長期信頼性に優れた光ファイバ素線を得ることが可能である。
【0013】
なお、本発明では、線引き後のファイバの光ファイバ裸線と一次被覆層との間の密着力を測定することは不可能であるため、前記一次被覆層を構成する材料の密着力を問題としている。
【0014】
この場合、密着力の測定方法は以下の通りである。即ち、アルコール等できれいに表面をふき取った未使用のソーダガラス基板((有)鈴木光学社製:主成分SiO2、CaO、NaO2)上に1次被覆材料を塗布し、窒素雰囲気下で100mJ/cm2の照射量で紫外線を照射し、厚さ200μmの単層シートを作成する。次いで、温度23±2℃、湿度50±5%の室内にて1日、状態調節を行う。
【0015】
次に、ガラス基板上の1次被覆材を幅1cmのテープ状にカットし、引張試験機を用い、1次被覆材をガラス基板から50mm/分の速度で、ガラス基板表面に対し90゜の方向に引き剥がすのに要する力を測定し、初期ガラス密着力f0とする。
【0016】
また、同じ単層シートを1日、状態調節した後、60℃の温水に2日間浸漬し、次いで、単層シートを取り出し、シート表面の水分を拭き取り、23±2℃、湿度50±5%の室内に1時間放置した後、同じ手順でガラス密着力を測定し、温水から取出して1時間後に、上記方法でガラス密着力f1を測定する。
【0017】
なお、温水浸漬後のガラス密着力は、温水浸漬期間が長くなるほど低下するが、2日間浸漬以後はほぼ一定値となる。これは時間と共にガラス/1次被覆材界面への水の浸透が進み、2日間でほぼ飽和状態となるためと考えられる。そこで、温水浸漬ガラス密着力評価時の温水浸漬期間は、2日間とした。
【0018】
また、本発明は、波長1550nmにおける分散が2〜10ps/nm/km、分散スロープが0.13ps/nm2/km以下、実効断面積(Aeff)が50μm2以上、伝送損失が0.25dB/km以下、60℃の温水に30日浸漬後の伝送損失の増加が、波長1550nmにおいて0.01dB/km以下であることを特徴とする光ファイバ素線を提供する。
【0019】
なお、好ましくは、波長1550nmにおける分散が6〜10ps/nm/km、分散スロープが0.09ps/nm2/km以下、Aeffが60μm2以上、伝送損失が0.21dB/km以下であるのがよい。
【0020】
本発明の光ファイバ素線において、光ファイバ裸線の外周表面に被覆される1次被覆材および2次被覆材としては、いずれも紫外線硬化型ポリウレタンアクリレート樹脂を用いることが出来る。この場合、通常、1次被覆材よりも2次被覆材の方が高いヤング率を有しており、例えば、1次被覆材のヤング率は0.5〜5Pa、2次被覆材のヤング率は300〜3000Paであるのが好ましい。
【0021】
以上のように構成される本発明の光ファイバ素線は、水中浸漬にさらされた状態でも、伝送損失の増加は少なく、良好な伝送特性を維持することができるので、海底光通信等の長距離で高ビットレートの光通信を行う光伝送線路として好適に用いることが出来る。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0023】
なお、以下に説明する、本実施形態に係る光ファイバ素線は、いずれも、波長1550nmにおける分散が2〜10ps/nm/km、分散スロープが0.13ps/nm2/km以下、Aeffが50μm2以上、伝送損失が0.25dB/km以下、60℃の温水に30日浸漬後の伝送損失の増加が、波長1550nmにおいて0.01dB/km以下であるという特性を有する。
【0024】
本実施形態に係る光ファイバ素線は、光ファイバ裸線の外周表面に、2層の紫外線硬化型樹脂が被覆されてなる、外径250umの光ファイバ素線である。一次被覆層の材料としては、オリゴマー中のポリオール成分がポリプロピレングリコール(PPG)であるポリウレタンアクリレートを、2次被覆層の材料としては、ヤング率が750MPaのポリウレタンアクリレートを用いた。
【0025】
1次被覆材料の常温常湿における密着力f0は28N/m、浸水試験後の密着力f1は21N/mであり、f1/f0=0.75であった。この光ファイバ素線を60℃の温水に30日浸漬したところ、伝送損失の増加は、波長1550nmにおいて、0.008dB/kmと極めて少ない結果が得られた。また、水中浸漬後、一次被覆材料の層に水泡は認められなかった。
【0026】
比較例として、従来の光ファイバ素線についての試験結果を示す。
従来の光ファイバ素線は、光ファイバ裸線の外周表面に、2層の紫外線硬化型樹脂が被覆されてなる外径250umの光ファイバ素線であり、一次被覆層の材料としては、オリゴマー中のポリオール成分がポリエチレングリコール(PEG)とポリブチレングリコール(PBG)であるポリウレタンアクリレートを、2次被覆層の材料としては、ヤング率が750MPaのポリウレタンアクリレートを用いた。
【0027】
1次被覆層の被覆材の常温常湿における密着力f0は24N/m、浸水試験後の密着力f1は4N/mであり、f1/f0=0.17であった。
この光ファイバ素線を60℃の温水に30日浸漬したところ、伝送損失の増加は、波長1550nmにおいて、0.03dB/kmと多かった。また、光ファイバ裸線と一次被覆材との界面が部分的に剥離することはなかったが、一次被覆層内には水泡が認められた。
【0028】
以上説明した、本実施形態に係る光ファイバ素線と比較例に係る従来の光ファイバ素線との比較から、一次被覆材の常温常湿下における密着力f0と、60℃の温水に2日間浸漬後の密着力f1が、0.7≦f1/f0なる関係を満たすときに、波長1550nmにおける伝送損失の増加が少なく、上記関係を満たさないときに、波長1550nmにおける伝送損失の増加が多いことがわかる。
【0029】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、一次被覆材の、常温常湿下における密着力f0と、60℃の温水に2日間浸漬後の密着力f1が、0.7≦f1/f0なる関係を満たすときに、水中に浸漬されても、一次被覆層内に水泡が認められず、伝送損失の増加もなく、長期信頼性に優れた光ファイバ素線を得ることができる。
【0030】
また、本発明に係る光ファイバ素線は、波長1550nmにおける分散が2〜10ps/nm/km、分散スロープが0.13ps/nm2/km以下、Aeffが50μm2以上、伝送損失が0.25dB/km以下、60℃の温水に30日浸漬後の伝送損失の増加が、波長1550nmにおいて0.01dB/km以下であることにより、水中に浸漬された状態でも、良好な伝送特性を維持することができるので、海底光通信等の長距離で高ビットレートの光通信を行う光伝送線路として好適に用いることが出来る。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバケーブル内に収納される光ファイバ素線に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバケーブルとしては、従来より、複数本の光ファイバ素線を一旦チューブ内に収納し、そのチューブを複数本、中心材の周囲に集合し、シースを施したものが一般的に採用されている。この光ファイバケーブルでは、チューブ内およびシース内の空隙に、コンパウンドが充填されている。
【0003】
このような光ファイバケーブルにおいて、ケーブル内に破損等により水が侵入したりするなどの不測の事態が生じると、光ファイバ素線は、水中に長期間浸漬されることになる。このため、光ファイバ素線に対しては、水中に長時間浸漬されても、伝送損失の増加レベルを低く抑えることが要求される。
【0004】
近年、海底光通信等において、長距離で高ビットレートの光通信を行うために、波長1.55μm帯に零分散波長を有し、実効コア断面積が大きな分散シフト光ファイバが実用化されつつある。従って、従来、シングルモード光ファイバでは問題とならなかった伝送損失の増加レベルでも、中継距離に影響を与えるため、より信頼性の高い光ファイバ素線の開発が必要となってきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
光ファイバ素線を水中に浸漬した場合、被覆材の選定によっては、伝送損失が増加することが知られている。特開平9−5587号公報には、光ファイバ裸線と一次被覆層との界面が部分的に剥離すると、この剥離した部分に水分が溜り、部分的膨れが生じ、この部分的膨れに起因して光ファイバ素線がその長手方向に不均一なマイクロベンドを受けて、伝送損失が大きく増加してしまうことが、そしてこれを防止するため、光ファイバ裸線と上記一次被覆材との間の密着力を適度とすることが開示されている。
【0006】
しかしながら、被覆材を各種選定しながら水中浸漬実験を行ったところ、一次被覆層と裸ファイバの界面に、剥離やブリスタが無くとも、伝送損失が増加する現象が認められた。この現象を詳細に検討したところ、水中浸漬により一次被覆層内に”水泡”ができてしまい、これにより光ファイバにマイクロベンドが発生し、伝送損失を増加させてしまうことがわかった。
【0007】
この現象は、上記特開平9−5587号公報に開示されているような、「光ファイバ裸線と一次被覆層の密着力(引き抜き力)を単に大きくすること」によっては解決することができなかった。これは、1次被覆層の密着力が、水浸により劣化する現象について、何ら考慮されていないためである。また、上記特許公報以外にも、1次被覆層の物理的な特性を規定した特許文献はあるが、そのほとんどすべてが、常温常圧における特性を規定したものであって、環境雰囲気による特性の劣化を考慮した技術を開示したものはなかった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、光ファイバ裸線と一次被覆材との間の密着力が適度であり、しかも水中に長期間浸漬されても光ファイバ裸線と一次被覆材とが界面で部分的に剥離することがなく、かつ、一次被覆層内に水泡が発生することもなく、長期にわたって、光ファイバの伝送損失が安定であるファイバ素線を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、光ファイバ裸線の外周表面に、1次被覆層および2次被覆層が順に被覆された光ファイバ素線において、前記一次被覆層を構成する材料の、常温常湿下における密着力をf0、60℃の温水に2日間浸漬後の密着力をf1としたときに、0.7≦f1/f0なる関係を満たすことを特徴とする光ファイバ素線を提供する。
【0010】
光ファイバ素線が水中に浸漬した時に、一次被覆層内部に水泡を生じる現象は、一次被覆層の親水性の程度に起因するものと考えられる。親水性が高い材料により一次被服層を構成する場合には、水中浸漬時に、一次被覆層内に水分が侵入しやすいため、被覆層内部の微小な欠陥に水泡が生じる。このように、水分が1次被覆層内部に浸透した場合には、光ファイバ裸線と一次被覆層との間の密着力が低下することになる。
【0011】
ここで、本発明者らは、1次被覆材の常温常湿における密着力をf0、浸水試験後の密着力をf1としたときに、0.7≦f1/f0なる関係が満たされる場合には、光ファイバ素線が水中に浸漬しても、一次被覆層内に水泡が認められず、伝送損失の増加もなく、長期信頼性に優れた光ファイバ素線を得ることができることを見出した。なお、f1/f0の好ましい範囲は、0.75≦f1/f0である。
【0012】
このように、本発明によると、浸水試験後の密着力f1と常温常湿における密着力f0の比を所定の範囲とすることにより、伝送損失の増加なしに、長期信頼性に優れた光ファイバ素線を得ることが可能である。
【0013】
なお、本発明では、線引き後のファイバの光ファイバ裸線と一次被覆層との間の密着力を測定することは不可能であるため、前記一次被覆層を構成する材料の密着力を問題としている。
【0014】
この場合、密着力の測定方法は以下の通りである。即ち、アルコール等できれいに表面をふき取った未使用のソーダガラス基板((有)鈴木光学社製:主成分SiO2、CaO、NaO2)上に1次被覆材料を塗布し、窒素雰囲気下で100mJ/cm2の照射量で紫外線を照射し、厚さ200μmの単層シートを作成する。次いで、温度23±2℃、湿度50±5%の室内にて1日、状態調節を行う。
【0015】
次に、ガラス基板上の1次被覆材を幅1cmのテープ状にカットし、引張試験機を用い、1次被覆材をガラス基板から50mm/分の速度で、ガラス基板表面に対し90゜の方向に引き剥がすのに要する力を測定し、初期ガラス密着力f0とする。
【0016】
また、同じ単層シートを1日、状態調節した後、60℃の温水に2日間浸漬し、次いで、単層シートを取り出し、シート表面の水分を拭き取り、23±2℃、湿度50±5%の室内に1時間放置した後、同じ手順でガラス密着力を測定し、温水から取出して1時間後に、上記方法でガラス密着力f1を測定する。
【0017】
なお、温水浸漬後のガラス密着力は、温水浸漬期間が長くなるほど低下するが、2日間浸漬以後はほぼ一定値となる。これは時間と共にガラス/1次被覆材界面への水の浸透が進み、2日間でほぼ飽和状態となるためと考えられる。そこで、温水浸漬ガラス密着力評価時の温水浸漬期間は、2日間とした。
【0018】
また、本発明は、波長1550nmにおける分散が2〜10ps/nm/km、分散スロープが0.13ps/nm2/km以下、実効断面積(Aeff)が50μm2以上、伝送損失が0.25dB/km以下、60℃の温水に30日浸漬後の伝送損失の増加が、波長1550nmにおいて0.01dB/km以下であることを特徴とする光ファイバ素線を提供する。
【0019】
なお、好ましくは、波長1550nmにおける分散が6〜10ps/nm/km、分散スロープが0.09ps/nm2/km以下、Aeffが60μm2以上、伝送損失が0.21dB/km以下であるのがよい。
【0020】
本発明の光ファイバ素線において、光ファイバ裸線の外周表面に被覆される1次被覆材および2次被覆材としては、いずれも紫外線硬化型ポリウレタンアクリレート樹脂を用いることが出来る。この場合、通常、1次被覆材よりも2次被覆材の方が高いヤング率を有しており、例えば、1次被覆材のヤング率は0.5〜5Pa、2次被覆材のヤング率は300〜3000Paであるのが好ましい。
【0021】
以上のように構成される本発明の光ファイバ素線は、水中浸漬にさらされた状態でも、伝送損失の増加は少なく、良好な伝送特性を維持することができるので、海底光通信等の長距離で高ビットレートの光通信を行う光伝送線路として好適に用いることが出来る。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0023】
なお、以下に説明する、本実施形態に係る光ファイバ素線は、いずれも、波長1550nmにおける分散が2〜10ps/nm/km、分散スロープが0.13ps/nm2/km以下、Aeffが50μm2以上、伝送損失が0.25dB/km以下、60℃の温水に30日浸漬後の伝送損失の増加が、波長1550nmにおいて0.01dB/km以下であるという特性を有する。
【0024】
本実施形態に係る光ファイバ素線は、光ファイバ裸線の外周表面に、2層の紫外線硬化型樹脂が被覆されてなる、外径250umの光ファイバ素線である。一次被覆層の材料としては、オリゴマー中のポリオール成分がポリプロピレングリコール(PPG)であるポリウレタンアクリレートを、2次被覆層の材料としては、ヤング率が750MPaのポリウレタンアクリレートを用いた。
【0025】
1次被覆材料の常温常湿における密着力f0は28N/m、浸水試験後の密着力f1は21N/mであり、f1/f0=0.75であった。この光ファイバ素線を60℃の温水に30日浸漬したところ、伝送損失の増加は、波長1550nmにおいて、0.008dB/kmと極めて少ない結果が得られた。また、水中浸漬後、一次被覆材料の層に水泡は認められなかった。
【0026】
比較例として、従来の光ファイバ素線についての試験結果を示す。
従来の光ファイバ素線は、光ファイバ裸線の外周表面に、2層の紫外線硬化型樹脂が被覆されてなる外径250umの光ファイバ素線であり、一次被覆層の材料としては、オリゴマー中のポリオール成分がポリエチレングリコール(PEG)とポリブチレングリコール(PBG)であるポリウレタンアクリレートを、2次被覆層の材料としては、ヤング率が750MPaのポリウレタンアクリレートを用いた。
【0027】
1次被覆層の被覆材の常温常湿における密着力f0は24N/m、浸水試験後の密着力f1は4N/mであり、f1/f0=0.17であった。
この光ファイバ素線を60℃の温水に30日浸漬したところ、伝送損失の増加は、波長1550nmにおいて、0.03dB/kmと多かった。また、光ファイバ裸線と一次被覆材との界面が部分的に剥離することはなかったが、一次被覆層内には水泡が認められた。
【0028】
以上説明した、本実施形態に係る光ファイバ素線と比較例に係る従来の光ファイバ素線との比較から、一次被覆材の常温常湿下における密着力f0と、60℃の温水に2日間浸漬後の密着力f1が、0.7≦f1/f0なる関係を満たすときに、波長1550nmにおける伝送損失の増加が少なく、上記関係を満たさないときに、波長1550nmにおける伝送損失の増加が多いことがわかる。
【0029】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、一次被覆材の、常温常湿下における密着力f0と、60℃の温水に2日間浸漬後の密着力f1が、0.7≦f1/f0なる関係を満たすときに、水中に浸漬されても、一次被覆層内に水泡が認められず、伝送損失の増加もなく、長期信頼性に優れた光ファイバ素線を得ることができる。
【0030】
また、本発明に係る光ファイバ素線は、波長1550nmにおける分散が2〜10ps/nm/km、分散スロープが0.13ps/nm2/km以下、Aeffが50μm2以上、伝送損失が0.25dB/km以下、60℃の温水に30日浸漬後の伝送損失の増加が、波長1550nmにおいて0.01dB/km以下であることにより、水中に浸漬された状態でも、良好な伝送特性を維持することができるので、海底光通信等の長距離で高ビットレートの光通信を行う光伝送線路として好適に用いることが出来る。
Claims (2)
- 光ファイバ裸線の外周表面に、1次被覆層および2次被覆層が順に被覆された光ファイバ素線において、前記一次被覆層を構成する材料の、常温常湿下における密着力をf0、60℃の温水に2日間浸漬後の密着力をf1としたときに、0.7≦f1/f0なる関係を満たすことを特徴とする光ファイバ素線。
- 波長1550nmにおける分散が2〜10ps/nm/km、分散スロープが0.13ps/nm2/km以下、Aeffが50μm2以上、伝送損失が0.25dB/km以下、60℃の温水に30日浸漬後の伝送損失の増加が、波長1550nmにおいて0.01dB/km以下であることを特徴とする光ファイバ素線。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002207458A JP2004053684A (ja) | 2002-07-16 | 2002-07-16 | 光ファイバ素線 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002207458A JP2004053684A (ja) | 2002-07-16 | 2002-07-16 | 光ファイバ素線 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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