JP2004053552A - 液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】流体流通装置内の液体流動状態を非破壊的に検査する方法を提供すること。
【解決手段】コンピュータ断層装置により液体流通装置内の液体流動状態を検査する方法であって、粒子状造影剤または分子量10万以上の高分子量化造影剤を用いることを特徴とする液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
【選択図】なし
【解決手段】コンピュータ断層装置により液体流通装置内の液体流動状態を検査する方法であって、粒子状造影剤または分子量10万以上の高分子量化造影剤を用いることを特徴とする液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体流通装置内の液体流動状態を非破壊的に検査する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまで液体流通装置、例えば液体処理装置の部分要素としての配管、液体処理装置としての逆浸透装置、濾過器、透析器、吸着筒、熱交換器などの機能を評価したり設計するに当たり、過去の経験、理論的扱いあるいは装置全体としての機能評価で対処することが多かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の液体流通装置の評価・設計方法では、被処理液の粘度、密度、固形物と液体の混合状態などにより、流動特性、物質交換特性、熱交換特性などの各種特性が非線形性を伴うことが多く、実際の装置の機能を充分には評価・解析できず、従って改善すべき部分を特定できないことが多かった。
【0004】
ところで近年、医療機関におけるコンピュータ断層診断装置の進歩は著しく、体内の異常部位や病変部位を断層像として得ることが可能になっている。本発明ではコンピュータ断層診断技術を液体流通装置の評価・設計に応用しようとするものであるが、対象とする液体流通装置の用途や特性に応じて、いくつかの技術を併用し特定の条件で観察する必要も生じる。逆に医療機関における画像診断技術としては、生体への侵襲が少ないことが必要条件であるが、一般に液体流通装置を対象とする場合には、このような条件は課されない。よって、例え既存の診断装置を用いる場合であっても、特殊な条件・対象で観察することになり、医療現場で用いられる条件とは異なる固有の条件が必要になる。
【0005】
既に、液体流通装置を対象に、コンピュータ断層装置による観察は、いくつか報告されている。例えば、竹沢らは、血液透析器の透析液側の流動状況をアジピオドン(分子量1,140)や硝酸鉛(分子量331)を造影剤としてX線コンピュータ断層装置で観察し(トランスアクション オブ ザ アメリカン ソサエティー フォア アーティフィシャル インターナショナル オーガンズ、Trans.Am.Soc.Artif.Intern.Organs,24:794,1988.、あるいは、血液透析スタッフのためのハイパフォーマンスメンブレン,pp.66−78,1990,東京医学社)、C.Roncoらは、中空糸型血液透析器内での中空糸内側から外側への濾過/外側から内側への濾過を放射化ラベルアルブミン(分子量約70,000)を指標としてシンチグラフィーで観察し(キドニー インターナショナル、Kidney International,41,1383,1992、同,54,979,1998、同,58,809,2000)、また、血液灌流吸着筒内での流れを造影剤conray 60(分子量809)を用いてヘリカルスキャンX線コンピュータ断層装置で観察している(ザ インターナショナル ジャーナル オブ アーティフィッシャル
オーガンズ、Intern.J.Artif.Organs,24,167,2001)。
【0006】
これらでは、濾過器や透析器などの半透膜を組み込んだ装置を対象とした場合には造影剤の分子量が小さく半透膜を通り抜けてしまう可能性、予め放射化ラベルした指標物質を作らねばならない等、観察目的に適合し、簡便な検査を行うには問題があった。本発明者らは、これらの問題を克服するために鋭意検討し、簡便に行いうる、また、特に半透膜を対象とする場合には検査目的に適合した方法を見いだした。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を達成するため、以下の構成を有する。
(1)コンピュータ断層装置により液体流通装置内の液体流動状態を検査する方法であって、粒子状造影剤または分子量10万以上の高分子量化造影剤を用いることを特徴とする液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
(2)前記粒子状造影剤または前記分子量10万以上の高分子量化造影剤が液体流通装置内を流動する液体に含まれることを特徴とする(1)に記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
(3)該コンピュータ断層装置がX線コンピュータ断層装置であることを特徴とする(1)または(2)に記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
(4)該コンピュータ断層装置が磁気共鳴断層装置であることを特徴とする(1)または(2)に記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
(5)前記粒子状造影剤が気泡であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
(6)前記粒子状造影剤が硫酸バリウム粒子であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
(7)前記粒子状造影剤の平均粒子径が300ナノメーター以上、1万ナノメーター以下であることを特徴とする(5)または(6)に記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
(8)前記粒子状造影剤の液体中の沈降、または上昇速度が該液体の被観察部位における平均線速度以下であることを特徴とする(5)〜(7)のいずれかに記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
(9)前記粒子状造影剤の該液体中の沈降、または上昇速度が、コンピュータ断層装置の観察条件である空間分解能/撮像時間の比以下であることを特徴とする(5)〜(8)のいずれかに記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
(10)前記粒子状造影剤の液体中の沈降または上昇速度が、該液体の被観察部位における平均線速度以下であり、かつコンピュータ断層装置の観察条件である空間分解能/撮像時間の比以下であることを特徴とする(5)〜(9)のいずれかに記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
(11)該液体流動装置が血液体外循環用装置であることを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
(12)該液体流通装置が血液透析器であることを特徴とする、(1)〜(10)に記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
コンピュータ断層装置により液体流通装置内の液体流動状態を検査するには、何らかの造影効果(観察像にコントラストを付ける効果)を示す成分が、液体に含まれていることが必要である。そのような造影効果を示す成分として、造影剤が粒子状になっていたり高分子の一部に取り込まれたものがある。
【0009】
本発明における液体流通装置とは、液体を導くための管状体や液体を処理するための装置、例えば逆浸透装置、濾過器、透析器、吸着筒、熱交換器などが代表的な例であるが、これらに限るものではない。流通液体としては液体状のものであれば良く、溶媒、溶液、懸濁液、スラリーなどのいずれもが対象となる。本発明における液体流動状態とは、液体流通装置内で該液が偏りを持って流れていたり、液体が濃縮・希釈されたりしている状態を指しており、液体流動状態は液体の密度、粘度、温度、流通速度など、および液体流通装置の液接触面の凹凸などの性状や液体流通部の構造設計などにより、異なってくる。検査・観察装置としては、液体が流れている状態を各部位で見る目的から、コンピュータ断層診断で用いられているX線コンピュータ断層装置や磁気共鳴断層装置が好ましく用いられる。本発明におけるX線コンピュータ断層装置とは、対象物にX線扇形ビームを回転させて当て、透過X線強度から対象物内部のX線吸収成分の存在状態を断層像として算出・描画する装置である。また、磁気共鳴断層装置とは、対象物を超伝導静磁場内に置き更に傾斜磁場を付加し、ラジオ波をパルスとして照射し、対象物内のプロトンの磁気共鳴緩和現象により生じる電磁波を検出することにより、対象物内の水の緩和時間の分布を算出・描画する装置である。この時に各種のパルスシーケンスモードを適用することにより、液体の流通速度を測ることもできる。本発明では流動状態をそのまま観察するので、いわばオンライン観察という観察方法であるが、得られた画像情報は電子媒体あるいはコンピュータ断層装置内に記録されるので、解析自体は後から行いうるのは言うまでもない。
【0010】
流通液体の特性と検査・観察装置の検出原理との組み合わせによっては流通液体そのもので本発明にかかる検査方法を用いうるが、流通液体そのものでは検出原理から流動状態を観察できない場合には、検出のための助剤、造影剤(増感剤ということもある)を流通液体に混入した液を用いることもできる。造影剤としては、X線コンピュータ断層装置を使用する場合には、ヨード系造影剤、硫酸バリウムや気泡などが、磁気共鳴断層装置を使用する場合には、ガドリニウム系錯体、酸化鉄系造影剤や気泡などが好ましく用いられ、特に粒子状造影剤または分子量10万以上の高分子量化造影剤が好ましく用いられる。
【0011】
粒子状造影剤としては、硫酸バリウム粒子や酸化鉄粒子などがあり、気泡も粒子状造影剤の一種である。ここに粒子状造影剤は必ずしも球状である必要はないが、粒子化によりほぼ球状になることが多い。このような粒子状造影剤は、その直径の平均値(平均粒径)でもって特徴付けられる。分子量10万以上の高分子量化造影剤としては、合成高分子、蛋白などに造影効果を示す低分子量物質を共有結合、イオン結合、疎水結合などで結合したものが好ましく用いられる。粒子状造影剤または分子量10万以上の高分子量化造影剤は、濾過器や透析器などの半透膜を組み込んだ装置を対象とした場合でも半透膜を通り抜けてしまう可能性が低い。気泡を用いる場合には気泡が安定している必要があり、ガス封入マイクロカプセル(マイクロバルーン、マイクロスフィアなどともいう)などが好ましく用いられる。
【0012】
観察に当たっては、流通液体の特性、観察目的、観察部位などにより、適切な造影剤を選択する必要がある。先ず、造影剤が流通液体に溶解または懸濁できるものが好ましい。気泡、硫酸バリウム粒子、酸化鉄粒子などを造影剤として併用する場合には、その粒径を選択する必要がある。即ち、極力均一に気泡や粒子が分散していて、更に造影剤自身の該液体中での重力による移動が観察結果に大きな影響を及ぼさないことが望ましいので、観察中に沈降や浮上が無視できる範囲内にある条件を選ぶ必要がある。即ち該液体中の定常的な沈降速度あるいは浮上速度を限定する必要がある。定常的な沈降速度あるいは浮上速度は、ストークス域での式v=Dp2(ρp−ρ)g/18μ (微粒子工学大系第一巻基本技術、p.206、柳田博明監修、2001年)により算出される。ここに、vは粒子の液体中の移動速度、Dpは粒子の直径、ρpは粒子の密度、ρは液体の密度、gは重力加速度、μは液体の粘度である。vが正の場合には沈降速度を、負の場合には浮上速度を意味する。このように定義される該液体中の定常的な沈降速度あるいは浮上速度は、液体流動状態を造影剤により極力乱さずに観察する目的から、観察対象部位における流通液の平均線速度以下が好ましく、さらには1/10以下であることがより好ましい。平均線速度は、観察しようとする部位での液流量をその部位での流れに対して垂直な断面積で除することで算出される。また、該液体中の定常的な沈降速度あるいは浮上速度は、分解能をある程度犠牲にしても観察目的にかなう場合は、コンピュータ断層装置の観察条件である空間分解能/撮像時間の比以下が好ましく、分解能を維持する必要がある場合には、空間分解能/撮像時間の比の1/10以下であることが好ましい。
【0013】
この外に、造影剤が凝集したり、液体流通装置の液体接触面に吸着・粘着したり、造影剤添加により流通液の特性が大幅に変わる、なども目的に反するので、造影剤の選択においては、これらについても吟味する必要があることは言うまでもない。半透膜の透過性、造影剤の沈降・浮上速度や凝集性、粘着性などの観点より粒子径は300ナノメーター以上、1万ナノメーター以下のものが好ましく用いられ得る。
【0014】
観察対象となる血液体外循環用装置には、血漿分離器、血液灌流吸着筒、血漿灌流吸着筒、人工肺、血液透析器、血液濾過器、血液用熱交換器などの直接的に機能を発揮する装置、及び血液体外循環駆動制御装置などが含まれる。
【0015】
中空糸型透析器を対象とする場合には、造影剤が膜を透過したのでは観察目的が達成されない場合がある。中空糸型血液透析器では、透析器の上流で中空糸内から外への正濾過が生じ、下流では外から内への逆濾過が生じ、その差し引きが正味の濾過量であるとされている(血液透析スタッフのための新しいハイパフォーマンスダイライザー、pp.230−246、東京医学社、1998)。この場合に透析器内の血液濃縮/希釈状態を観察し、透析効率や圧力損失等につき最適設計とする必要があるが、造影剤が膜を透過したのでは目的は達成されない。よってこの場合には粒子状造影剤、高分子量化造影剤、あるいは気泡を選ぶ必要がある。また透析液側の流れを観察し、透析効率を極大化する設計を目的とする場合にも同様である。
【0016】
本発明における非破壊とは、液体流通装置が使用される状態のままで検査・観察するということであり、観察のために液体流通装置の構造を変えることはしない、ということである。
【0017】
流体流通装置が、観察手段になじまない場合、例えば流路が金属製でX線コンピュータ断層装置で観察しようとする場合などには観察手段に適合する材質で作成した流体流通装置モデルを用いて、観察を行えば良いことは言うまでもない。
【0018】
【実施例】
次に実施例に基づき本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、ここで用いた検査方法・条件は以下の通りである。
(1)血液透析器内牛血液の濾過/逆濾過現象の観察・解析
臨床用のX線コンピュータ断層装置(GE横河メディカル(株)、HiSpeed DX/i)を用い、5重量/容量% の硫酸バリウム粒子(粒径:平均800ナノメータ、範囲100〜2000ナノメータ)を添加した牛血液(ヘマトクリット値:30%、総蛋白濃度:6.5g/dL)を流し、定常状態にある血液透析器(東レ(株)製”トレスルホン”BS−1.6UL)を観察し、血液透析器内牛血液の濾過/逆濾過現象の観察・解析を行った。
【0019】
血液透析器灌流条件は以下のとおりである。
(a)透析液非灌流条件 血液流量(Qb)=200 ml/min、透析液流量(Qd)=0
(b)透析液灌流条件 血液流量(Qb)=200 ml/min、透析液流量(Qd)=500 ml/min、濾
過流量(Qf)=0 ml/min
この時の硫酸バリウムの沈降速度はストークス域での式 v=Dp2(ρp−ρ)g/18μに、硫酸バリウム粒子密度4.5g/cm3(理化学辞典 第5版:1998年、p.1463)、血液密度1.05g/cm3、血液粘度0.0037Pa・s、硫酸バリウム粒子直径800ナノメータを代入し、3.2×10−4mm/secと算出される。一方、中空糸内の平均血液線速度は9mm/secである。また観察条件は、空間分解能0.35mm、撮像時間2secであり、空間分解能/撮像時間の比は0.175mm/secであった。
(2)造影剤のパルス注入による、血液透析器内血液流れの解析
5重量/容量% の硫酸バリウム粒子(同上)を添加した牛血液(同上)を流し、定常状態にある血液透析器(同上)の血液入口側血液回路に高濃度(約20重量/容量%)の硫酸バリウムを添加した牛血約3 mlを約1秒でパルス注入し、同じタイミングでスキャニングを開始しX線コンピュータ断層像(使用装置は同上)を約2.4秒のサイクルタイム(スキャン時間1秒、待ち時間約1.4秒)で連続撮影し、血液透析器内血液流れの解析を行った。
【0020】
以上の2つの条件における縦断面画像と横断面画像を得て、X線吸収値(ハンスフィールド値)を測定した。なお得られた画像はビューワソフトによりパソコン上で解析した。
【0021】
得られた画像は、(a)(図1)、(b)(図2)両方の条件において血液が透析器に入った直後に急激に濃縮され、その後出口側に近づくにつれ徐々に希釈されるという結果を示した。また、(a)と(b)で血液が最も濃縮される位置にほとんど差はないが、濃縮の度合いは(b)の方が大きいことが観察できた。
【0022】
次に(b)の透析液灌流条件で定常状態にある血液透析器を用いて、(b)の条件で観察を行った。パルス注入後の硫酸バリウム濃度の過渡的変化が経時的に観察した像において見られ、血液は血液透析器の外周部に比べ中心部で早く流れることが図3に見られるように観察できた。
【0023】
【発明の効果】
本発明の非破壊検査方法は、流体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法として、該装置の問題点の把握及び改善設計などに好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】透析液非灌流条件下での血液透析器内血液側X線吸収値の長さ方向の分布を示す図面である。血液はA面からV面方向に流れ、血液流量Qbを200mL/minとした場合。データ点は各部位の横断面(流れに垂直な断面)像の中空糸束の約80%を包含する視野内のボクセル単位X線吸収値の平均と標準偏差を示す。
【図2】透析液灌流条件下での血液透析器内血液側X線吸収値の長さ方向の分布を示す図面である。血液はA面からV面方向に流れ、血液流量Qbを200mL/minとし、透析液は反対方向に流れ、透析液流量500mL/minとし、濾過流量Qfは0mL/minとした場合。データ点は各部位の横断面(流れに垂直な断面)像の中空糸束の約80%を包含する視野内のボクセル単位X線吸収値の平均と標準偏差を示す。
【図3】約20%の硫酸バリウム添加牛血液を血液透析器にパルス的に注入し、縦断面(流れに平行な断面)をX線コンピューター断層装置で2秒間隔で6回(Aから順にFまで)撮影した連続写真。時間の経過につれて硫酸バリウムの濃い部分(写真中の白い部分)が流れて行き、特に血液透析器の中心部で先行していることが分かる。
【符号の説明】
A:硫酸バリウムを注入した直後の血液透析器
B:硫酸バリウムを注入した2秒後の血液透析器
C:硫酸バリウムを注入した4秒後の血液透析器
D:硫酸バリウムを注入した6秒後の血液透析器
E:硫酸バリウムを注入した8秒後の血液透析器
F:硫酸バリウムを注入した10秒後の血液透析器
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体流通装置内の液体流動状態を非破壊的に検査する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまで液体流通装置、例えば液体処理装置の部分要素としての配管、液体処理装置としての逆浸透装置、濾過器、透析器、吸着筒、熱交換器などの機能を評価したり設計するに当たり、過去の経験、理論的扱いあるいは装置全体としての機能評価で対処することが多かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の液体流通装置の評価・設計方法では、被処理液の粘度、密度、固形物と液体の混合状態などにより、流動特性、物質交換特性、熱交換特性などの各種特性が非線形性を伴うことが多く、実際の装置の機能を充分には評価・解析できず、従って改善すべき部分を特定できないことが多かった。
【0004】
ところで近年、医療機関におけるコンピュータ断層診断装置の進歩は著しく、体内の異常部位や病変部位を断層像として得ることが可能になっている。本発明ではコンピュータ断層診断技術を液体流通装置の評価・設計に応用しようとするものであるが、対象とする液体流通装置の用途や特性に応じて、いくつかの技術を併用し特定の条件で観察する必要も生じる。逆に医療機関における画像診断技術としては、生体への侵襲が少ないことが必要条件であるが、一般に液体流通装置を対象とする場合には、このような条件は課されない。よって、例え既存の診断装置を用いる場合であっても、特殊な条件・対象で観察することになり、医療現場で用いられる条件とは異なる固有の条件が必要になる。
【0005】
既に、液体流通装置を対象に、コンピュータ断層装置による観察は、いくつか報告されている。例えば、竹沢らは、血液透析器の透析液側の流動状況をアジピオドン(分子量1,140)や硝酸鉛(分子量331)を造影剤としてX線コンピュータ断層装置で観察し(トランスアクション オブ ザ アメリカン ソサエティー フォア アーティフィシャル インターナショナル オーガンズ、Trans.Am.Soc.Artif.Intern.Organs,24:794,1988.、あるいは、血液透析スタッフのためのハイパフォーマンスメンブレン,pp.66−78,1990,東京医学社)、C.Roncoらは、中空糸型血液透析器内での中空糸内側から外側への濾過/外側から内側への濾過を放射化ラベルアルブミン(分子量約70,000)を指標としてシンチグラフィーで観察し(キドニー インターナショナル、Kidney International,41,1383,1992、同,54,979,1998、同,58,809,2000)、また、血液灌流吸着筒内での流れを造影剤conray 60(分子量809)を用いてヘリカルスキャンX線コンピュータ断層装置で観察している(ザ インターナショナル ジャーナル オブ アーティフィッシャル
オーガンズ、Intern.J.Artif.Organs,24,167,2001)。
【0006】
これらでは、濾過器や透析器などの半透膜を組み込んだ装置を対象とした場合には造影剤の分子量が小さく半透膜を通り抜けてしまう可能性、予め放射化ラベルした指標物質を作らねばならない等、観察目的に適合し、簡便な検査を行うには問題があった。本発明者らは、これらの問題を克服するために鋭意検討し、簡便に行いうる、また、特に半透膜を対象とする場合には検査目的に適合した方法を見いだした。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を達成するため、以下の構成を有する。
(1)コンピュータ断層装置により液体流通装置内の液体流動状態を検査する方法であって、粒子状造影剤または分子量10万以上の高分子量化造影剤を用いることを特徴とする液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
(2)前記粒子状造影剤または前記分子量10万以上の高分子量化造影剤が液体流通装置内を流動する液体に含まれることを特徴とする(1)に記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
(3)該コンピュータ断層装置がX線コンピュータ断層装置であることを特徴とする(1)または(2)に記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
(4)該コンピュータ断層装置が磁気共鳴断層装置であることを特徴とする(1)または(2)に記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
(5)前記粒子状造影剤が気泡であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
(6)前記粒子状造影剤が硫酸バリウム粒子であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
(7)前記粒子状造影剤の平均粒子径が300ナノメーター以上、1万ナノメーター以下であることを特徴とする(5)または(6)に記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
(8)前記粒子状造影剤の液体中の沈降、または上昇速度が該液体の被観察部位における平均線速度以下であることを特徴とする(5)〜(7)のいずれかに記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
(9)前記粒子状造影剤の該液体中の沈降、または上昇速度が、コンピュータ断層装置の観察条件である空間分解能/撮像時間の比以下であることを特徴とする(5)〜(8)のいずれかに記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
(10)前記粒子状造影剤の液体中の沈降または上昇速度が、該液体の被観察部位における平均線速度以下であり、かつコンピュータ断層装置の観察条件である空間分解能/撮像時間の比以下であることを特徴とする(5)〜(9)のいずれかに記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
(11)該液体流動装置が血液体外循環用装置であることを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
(12)該液体流通装置が血液透析器であることを特徴とする、(1)〜(10)に記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
コンピュータ断層装置により液体流通装置内の液体流動状態を検査するには、何らかの造影効果(観察像にコントラストを付ける効果)を示す成分が、液体に含まれていることが必要である。そのような造影効果を示す成分として、造影剤が粒子状になっていたり高分子の一部に取り込まれたものがある。
【0009】
本発明における液体流通装置とは、液体を導くための管状体や液体を処理するための装置、例えば逆浸透装置、濾過器、透析器、吸着筒、熱交換器などが代表的な例であるが、これらに限るものではない。流通液体としては液体状のものであれば良く、溶媒、溶液、懸濁液、スラリーなどのいずれもが対象となる。本発明における液体流動状態とは、液体流通装置内で該液が偏りを持って流れていたり、液体が濃縮・希釈されたりしている状態を指しており、液体流動状態は液体の密度、粘度、温度、流通速度など、および液体流通装置の液接触面の凹凸などの性状や液体流通部の構造設計などにより、異なってくる。検査・観察装置としては、液体が流れている状態を各部位で見る目的から、コンピュータ断層診断で用いられているX線コンピュータ断層装置や磁気共鳴断層装置が好ましく用いられる。本発明におけるX線コンピュータ断層装置とは、対象物にX線扇形ビームを回転させて当て、透過X線強度から対象物内部のX線吸収成分の存在状態を断層像として算出・描画する装置である。また、磁気共鳴断層装置とは、対象物を超伝導静磁場内に置き更に傾斜磁場を付加し、ラジオ波をパルスとして照射し、対象物内のプロトンの磁気共鳴緩和現象により生じる電磁波を検出することにより、対象物内の水の緩和時間の分布を算出・描画する装置である。この時に各種のパルスシーケンスモードを適用することにより、液体の流通速度を測ることもできる。本発明では流動状態をそのまま観察するので、いわばオンライン観察という観察方法であるが、得られた画像情報は電子媒体あるいはコンピュータ断層装置内に記録されるので、解析自体は後から行いうるのは言うまでもない。
【0010】
流通液体の特性と検査・観察装置の検出原理との組み合わせによっては流通液体そのもので本発明にかかる検査方法を用いうるが、流通液体そのものでは検出原理から流動状態を観察できない場合には、検出のための助剤、造影剤(増感剤ということもある)を流通液体に混入した液を用いることもできる。造影剤としては、X線コンピュータ断層装置を使用する場合には、ヨード系造影剤、硫酸バリウムや気泡などが、磁気共鳴断層装置を使用する場合には、ガドリニウム系錯体、酸化鉄系造影剤や気泡などが好ましく用いられ、特に粒子状造影剤または分子量10万以上の高分子量化造影剤が好ましく用いられる。
【0011】
粒子状造影剤としては、硫酸バリウム粒子や酸化鉄粒子などがあり、気泡も粒子状造影剤の一種である。ここに粒子状造影剤は必ずしも球状である必要はないが、粒子化によりほぼ球状になることが多い。このような粒子状造影剤は、その直径の平均値(平均粒径)でもって特徴付けられる。分子量10万以上の高分子量化造影剤としては、合成高分子、蛋白などに造影効果を示す低分子量物質を共有結合、イオン結合、疎水結合などで結合したものが好ましく用いられる。粒子状造影剤または分子量10万以上の高分子量化造影剤は、濾過器や透析器などの半透膜を組み込んだ装置を対象とした場合でも半透膜を通り抜けてしまう可能性が低い。気泡を用いる場合には気泡が安定している必要があり、ガス封入マイクロカプセル(マイクロバルーン、マイクロスフィアなどともいう)などが好ましく用いられる。
【0012】
観察に当たっては、流通液体の特性、観察目的、観察部位などにより、適切な造影剤を選択する必要がある。先ず、造影剤が流通液体に溶解または懸濁できるものが好ましい。気泡、硫酸バリウム粒子、酸化鉄粒子などを造影剤として併用する場合には、その粒径を選択する必要がある。即ち、極力均一に気泡や粒子が分散していて、更に造影剤自身の該液体中での重力による移動が観察結果に大きな影響を及ぼさないことが望ましいので、観察中に沈降や浮上が無視できる範囲内にある条件を選ぶ必要がある。即ち該液体中の定常的な沈降速度あるいは浮上速度を限定する必要がある。定常的な沈降速度あるいは浮上速度は、ストークス域での式v=Dp2(ρp−ρ)g/18μ (微粒子工学大系第一巻基本技術、p.206、柳田博明監修、2001年)により算出される。ここに、vは粒子の液体中の移動速度、Dpは粒子の直径、ρpは粒子の密度、ρは液体の密度、gは重力加速度、μは液体の粘度である。vが正の場合には沈降速度を、負の場合には浮上速度を意味する。このように定義される該液体中の定常的な沈降速度あるいは浮上速度は、液体流動状態を造影剤により極力乱さずに観察する目的から、観察対象部位における流通液の平均線速度以下が好ましく、さらには1/10以下であることがより好ましい。平均線速度は、観察しようとする部位での液流量をその部位での流れに対して垂直な断面積で除することで算出される。また、該液体中の定常的な沈降速度あるいは浮上速度は、分解能をある程度犠牲にしても観察目的にかなう場合は、コンピュータ断層装置の観察条件である空間分解能/撮像時間の比以下が好ましく、分解能を維持する必要がある場合には、空間分解能/撮像時間の比の1/10以下であることが好ましい。
【0013】
この外に、造影剤が凝集したり、液体流通装置の液体接触面に吸着・粘着したり、造影剤添加により流通液の特性が大幅に変わる、なども目的に反するので、造影剤の選択においては、これらについても吟味する必要があることは言うまでもない。半透膜の透過性、造影剤の沈降・浮上速度や凝集性、粘着性などの観点より粒子径は300ナノメーター以上、1万ナノメーター以下のものが好ましく用いられ得る。
【0014】
観察対象となる血液体外循環用装置には、血漿分離器、血液灌流吸着筒、血漿灌流吸着筒、人工肺、血液透析器、血液濾過器、血液用熱交換器などの直接的に機能を発揮する装置、及び血液体外循環駆動制御装置などが含まれる。
【0015】
中空糸型透析器を対象とする場合には、造影剤が膜を透過したのでは観察目的が達成されない場合がある。中空糸型血液透析器では、透析器の上流で中空糸内から外への正濾過が生じ、下流では外から内への逆濾過が生じ、その差し引きが正味の濾過量であるとされている(血液透析スタッフのための新しいハイパフォーマンスダイライザー、pp.230−246、東京医学社、1998)。この場合に透析器内の血液濃縮/希釈状態を観察し、透析効率や圧力損失等につき最適設計とする必要があるが、造影剤が膜を透過したのでは目的は達成されない。よってこの場合には粒子状造影剤、高分子量化造影剤、あるいは気泡を選ぶ必要がある。また透析液側の流れを観察し、透析効率を極大化する設計を目的とする場合にも同様である。
【0016】
本発明における非破壊とは、液体流通装置が使用される状態のままで検査・観察するということであり、観察のために液体流通装置の構造を変えることはしない、ということである。
【0017】
流体流通装置が、観察手段になじまない場合、例えば流路が金属製でX線コンピュータ断層装置で観察しようとする場合などには観察手段に適合する材質で作成した流体流通装置モデルを用いて、観察を行えば良いことは言うまでもない。
【0018】
【実施例】
次に実施例に基づき本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、ここで用いた検査方法・条件は以下の通りである。
(1)血液透析器内牛血液の濾過/逆濾過現象の観察・解析
臨床用のX線コンピュータ断層装置(GE横河メディカル(株)、HiSpeed DX/i)を用い、5重量/容量% の硫酸バリウム粒子(粒径:平均800ナノメータ、範囲100〜2000ナノメータ)を添加した牛血液(ヘマトクリット値:30%、総蛋白濃度:6.5g/dL)を流し、定常状態にある血液透析器(東レ(株)製”トレスルホン”BS−1.6UL)を観察し、血液透析器内牛血液の濾過/逆濾過現象の観察・解析を行った。
【0019】
血液透析器灌流条件は以下のとおりである。
(a)透析液非灌流条件 血液流量(Qb)=200 ml/min、透析液流量(Qd)=0
(b)透析液灌流条件 血液流量(Qb)=200 ml/min、透析液流量(Qd)=500 ml/min、濾
過流量(Qf)=0 ml/min
この時の硫酸バリウムの沈降速度はストークス域での式 v=Dp2(ρp−ρ)g/18μに、硫酸バリウム粒子密度4.5g/cm3(理化学辞典 第5版:1998年、p.1463)、血液密度1.05g/cm3、血液粘度0.0037Pa・s、硫酸バリウム粒子直径800ナノメータを代入し、3.2×10−4mm/secと算出される。一方、中空糸内の平均血液線速度は9mm/secである。また観察条件は、空間分解能0.35mm、撮像時間2secであり、空間分解能/撮像時間の比は0.175mm/secであった。
(2)造影剤のパルス注入による、血液透析器内血液流れの解析
5重量/容量% の硫酸バリウム粒子(同上)を添加した牛血液(同上)を流し、定常状態にある血液透析器(同上)の血液入口側血液回路に高濃度(約20重量/容量%)の硫酸バリウムを添加した牛血約3 mlを約1秒でパルス注入し、同じタイミングでスキャニングを開始しX線コンピュータ断層像(使用装置は同上)を約2.4秒のサイクルタイム(スキャン時間1秒、待ち時間約1.4秒)で連続撮影し、血液透析器内血液流れの解析を行った。
【0020】
以上の2つの条件における縦断面画像と横断面画像を得て、X線吸収値(ハンスフィールド値)を測定した。なお得られた画像はビューワソフトによりパソコン上で解析した。
【0021】
得られた画像は、(a)(図1)、(b)(図2)両方の条件において血液が透析器に入った直後に急激に濃縮され、その後出口側に近づくにつれ徐々に希釈されるという結果を示した。また、(a)と(b)で血液が最も濃縮される位置にほとんど差はないが、濃縮の度合いは(b)の方が大きいことが観察できた。
【0022】
次に(b)の透析液灌流条件で定常状態にある血液透析器を用いて、(b)の条件で観察を行った。パルス注入後の硫酸バリウム濃度の過渡的変化が経時的に観察した像において見られ、血液は血液透析器の外周部に比べ中心部で早く流れることが図3に見られるように観察できた。
【0023】
【発明の効果】
本発明の非破壊検査方法は、流体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法として、該装置の問題点の把握及び改善設計などに好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】透析液非灌流条件下での血液透析器内血液側X線吸収値の長さ方向の分布を示す図面である。血液はA面からV面方向に流れ、血液流量Qbを200mL/minとした場合。データ点は各部位の横断面(流れに垂直な断面)像の中空糸束の約80%を包含する視野内のボクセル単位X線吸収値の平均と標準偏差を示す。
【図2】透析液灌流条件下での血液透析器内血液側X線吸収値の長さ方向の分布を示す図面である。血液はA面からV面方向に流れ、血液流量Qbを200mL/minとし、透析液は反対方向に流れ、透析液流量500mL/minとし、濾過流量Qfは0mL/minとした場合。データ点は各部位の横断面(流れに垂直な断面)像の中空糸束の約80%を包含する視野内のボクセル単位X線吸収値の平均と標準偏差を示す。
【図3】約20%の硫酸バリウム添加牛血液を血液透析器にパルス的に注入し、縦断面(流れに平行な断面)をX線コンピューター断層装置で2秒間隔で6回(Aから順にFまで)撮影した連続写真。時間の経過につれて硫酸バリウムの濃い部分(写真中の白い部分)が流れて行き、特に血液透析器の中心部で先行していることが分かる。
【符号の説明】
A:硫酸バリウムを注入した直後の血液透析器
B:硫酸バリウムを注入した2秒後の血液透析器
C:硫酸バリウムを注入した4秒後の血液透析器
D:硫酸バリウムを注入した6秒後の血液透析器
E:硫酸バリウムを注入した8秒後の血液透析器
F:硫酸バリウムを注入した10秒後の血液透析器
Claims (12)
- コンピュータ断層装置により液体流通装置内の液体流動状態を検査する方法であって、粒子状造影剤または分子量10万以上の高分子量化造影剤を用いることを特徴とする液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
- 前記粒子状造影剤または前記分子量10万以上の高分子量化造影剤が液体流通装置内を流動する液体に含まれることを特徴とする請求項1に記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
- 該コンピュータ断層装置がX線コンピュータ断層装置であることを特徴とする請求項1または2に記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
- 該コンピュータ断層装置が磁気共鳴断層装置であることを特徴とする請求項1または2に記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
- 前記粒子状造影剤が気泡であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
- 前記粒子状造影剤が硫酸バリウム粒子であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
- 前記粒子状造影剤の平均粒径が300ナノメーター以上、1万ナノメータ以下であることを特徴とする請求項5または6に記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
- 前記粒子状造影剤の液体中の沈降、または上昇速度が該液体の被観察部位における平均線速度以下であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
- 前記粒子状造影剤の該液体中の沈降、または上昇速度が、コンピュータ断層装置の観察条件である空間分解能/撮像時間の比以下であることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
- 前記粒子状造影剤の液体中の沈降または上昇速度が、該液体の被観察部位における平均線速度以下であり、かつコンピュータ断層装置の観察条件である空間分解能/撮像時間の比以下であることを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
- 該液体流動装置が血液体外循環用装置であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
- 該液体流通装置が血液透析器であることを特徴とする、請求項1〜10に記載の液体流通装置内の液体流動状態の非破壊検査方法。
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