JP2004052216A - 抄紙用紙質向上剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高速抄紙条件においても、パルプ原料を抄紙して得られたシートの嵩、白色度、不透明度を向上させ、且つ紙力を向上させることのできる抄紙用紙質向上剤を提供する。
【解決手段】 溶解パラメーターが20.5(MPa)1/2以下で非イオン性のモノマーの一種以上に由来する構成単位と、アニオン性又はカチオン性モノマーの一種以上に由来する構成単位とを有する共重合体(A)と界面活性剤(B)とを特定の重量比で含有し、且つ(i)標準嵩向上度が0.02g/cm3以上、(ii)標準不透明度向上度が1.0ポイント以上、(iii)標準白色度向上度が0.5ポイント以上の何れか一つ以上の紙質向上効果をもたらす抄紙用紙質向上剤。
【選択図】 なし

Description

 本発明は、パルプ原料を抄紙して得られたシートの嵩、白色度や不透明度のような光学的特性を向上させるとともに紙力も向上できる抄紙用紙質向上剤に関する。
 地球環境保護の面から、パルプの使用量削減が求められ、その結果、紙の軽量化と古紙パルプの増配合が求められている。しかしながら、単に紙中のパルプ量を削減して得られる紙は、紙が薄くなることによる不透明度低下が起こり品質の劣るものとなる。また、紙中のパルプ量を低減させる軽量化では、板紙のように厚さの三乗に比例する剛度を要求される紙では、剛度が低下し望ましくない。一方、古紙パルプの配合比率を高めると、古紙パルプ中の残インキ等による白色度の低下や、リサイクル過程でパルプ自体が細くなること等により紙厚が低下し不透明度低下が起こる。従って、紙中のパルプ量を削減すると共に古紙パルプの配合比率を高くすると、得られる紙の不透明度及び白色度が一段と低下する。また、白色度の低下をもたらす古紙パルプを脱墨や漂白により白色度を高めると得られた紙の不透明度は更に減少し好ましくない。
 軽量化による厚さの低下を防止することを目的として、従来より種々の嵩向上方法が試みられてきた。例えば、プレス圧を低くする製造方法は、平滑性が低下し印刷適性が劣るという問題がある。また、架橋パルプを用いる、合成繊維と混抄する、パルプ繊維間に無機物等の充填物を満たす、空隙をもたらす等の方法も挙げることができるが、パルプのリサイクルが不可能であったり、紙の平滑度が損なわれたりする。また、紙用嵩高剤としては、特許文献1が知られているが、紙力性能が不十分という問題がある。
 また、紙の白色度向上、不透明度向上、嵩向上効果が達成でき、従来の紙用嵩高剤よりも紙力向上性能に優れる抄紙用添加剤(特許文献2、3等)がある。
 当業界では、抄紙速度の速い高せん断条件において、より嵩高性能が得られる紙質向上剤が望まれている。高速抄紙とは、上記従来技術に記載されるTAPPI抄紙のようにパルプを大量の水で希釈し、自重によって濾過を行う静的条件で抄紙するのではなく、実機での抄造のようにワイヤが動いている面に連続的にパルプスラリーを吹き付け、高せん断力がかかる動的条件での抄紙方法であり、実験室的には配向性抄紙機等により行うことができる。
 一方、不透明度、白色度を向上させるために、炭酸カルシウム、カオリン、ホワイトカーボン等の無機填料を多量(例えば5〜20重量%)に添加する方法が当業界で実施されている。しかしながら、単に無機填料を多量に添加すると紙の重量増加が著しい。たとえパルプ量を削減して無機填料を添加しても、紙の軽量化を達成できない。特に古紙パルプに無機填料を添加する場合は多量必要となり、紙の軽量化は益々困難となる。
特許第2971447号 特開2002-115199号 特開2001-248100号
 本発明は、高速抄紙条件下で抄紙工程以前のいずれかで添加することで紙の白色度向上、不透明度向上、嵩向上効果の少なくとも1つが達成でき、且つ従来の紙用嵩高剤よりも紙力向上性能に優れる抄紙用紙質向上剤を提供することを目的とする。
 本発明は、溶解パラメーターが20.5(MPa)1/2以下で非イオン性のモノマーの一種以上に由来する構成単位と、アニオン性又はカチオン性モノマーの一種以上に由来する構成単位とを有する共重合体(A)と界面活性剤(B)とを(A)/(B)=99/1〜1/99(重量比)の範囲で含有し、且つ下記(i)、(ii)、(iii)の何れか一つ以上の紙質向上効果をもたらす抄紙用紙質向上剤である。
(i)標準嵩向上度が0.02g/cm3以上
(ii)標準不透明度向上度が1.0ポイント以上
(iii)標準白色度向上度が0.5ポイント以上
 本発明における標準嵩向上度、標準白色度向上度及び標準不透明度向上度の測定方法を詳述する。
<標準嵩向上度の測定方法>
(1)ブナ由来の広葉樹晒パルプ(以後、LBKPという)を5cm×5cmに裁断後、25±3℃で一定量をビーターにて離解そしてカナダ標準濾水度(JIS P 8121)で410±20mlに叩解してパルプ濃度が0.4重量%のLBKPスラリーを得る。
 このパルプスラリーを調湿後のシートの坪量が84±2g/m2になるように量り取ってから、共重合体(A)及び界面活性剤(B)を1/99〜99/1(重量比)の範囲で含有する抄紙用紙質向上剤をパルプ100重量部に対して2.0重量部添加し、実験用配向性抄紙機(熊谷理機工業株式会社製)にて80メッシュワイヤーで、下記条件で抄紙し湿潤シートを得る。
〔抄紙条件〕
抄紙速度:800m/分
噴射圧:0.1MPa
噴射ノズル:小
噴射ノズル角度:85°
噴射ノズル距離:40mm
脱水速度:500r/分
脱水時間:30秒
 得られた湿潤シートを3等分し、それぞれをアドバンテック東洋(株)製生産用ろ紙No.26(270mm×270mm)2枚とコーチプレートを重ねコーチングする。各2枚の新しいろ紙でそのシートの上下をはさみ圧力340±10kPaで5分間プレスする。プレス後、シートのみ鏡面ドライヤーを用い105±3℃で2分間乾燥する。乾燥されたシートを23℃、湿度50%の条件で5時間以上調湿する。調湿されたシートを150×150mmに裁断する。
(2)裁断されたシート重量を測定し、下記計算式(3)により坪量(g/m2)を求める。
坪量(g/m2)=シート重量/0.0225  (3)
 次に調湿されたシートの厚さは、紙用マイクロメータを用いて、圧力53.9±4.9kPaで、5ヶ所以上測定し、得られる平均値を厚さ(mm)とする。
(3)上記で得られた坪量と厚さから緊度d(g/cm3)を下式(4)により求める。
d=坪量/厚さ/1000  (4)
 また、抄紙用紙質向上剤となる化合物を添加しないで同様にシートを調製し、同様にして求めた緊度をd0とする。
(3)上記で求めた緊度d、d0から、下式(5)より嵩高向上度を求める。
標準嵩高向上度(g/cm3)=d0−d  (5)
<標準白色度向上度の測定方法>
(1)標準嵩向上度の測定方法の(1)と同じ。
(2)調湿されたシートはJIS P 8123ハンター白色度により白色度Bを測定する。また、抄紙用紙質向上剤を添加しないで同様にシートを調製し、同様にして得られた白色度をB0とする。
(3)上記で求めた白色度B、B0から、下式(6)より標準白色度向上度を求める。
標準白色度向上度(ポイント)=B−B0  (6)
<標準不透明度向上度の測定方法>
(1)標準嵩向上度の測定方法の(1)と同じ。
(2)調湿されたシートはJIS P 8138Aにより不透明度Pを測定する。また、抄紙用紙質向上剤を添加しないで同様にシートを調製し、同様にして求めた不透明度をP0とする。
(3)上記で求めた不透明度P、P0から、下式(7)より標準不透明度向上度を求める。
標準不透明度向上度(ポイント)=P−P0  (7)
 更に、本発明に係る抄紙用紙質向上剤は、本明細書に定義する標準比破裂強さ向上指数が−3000以上の効果をもたらすものが好ましい。通常、同坪量で紙の緊度が低下し嵩が向上した場合には、比破裂強さは低下する。標準比破裂強さ向上指数とは、前記標準嵩向上度の測定条件において嵩が向上した場合において、比破裂強さがどの程度維持されるかを表す指標である。その値が正の場合は比破裂強さは向上することを、負の場合は比破裂強さは低下することを表すが、本発明では、この標準比破裂強さ向上指数が−3000以上であれば、嵩の向上と比破裂強さの維持という点で望ましい。標準比破裂強さ向上指数の測定方法は以下の通りである。
<標準比破裂強さ向上指数の測定方法>
(1)標準嵩向上度の測定方法の(1)と同じ。
(2)調湿されたシートはJIS P 8112により比破裂強さsを測定する。また、抄紙用紙質向上剤を添加しないで同様にシートを調製し、同様にして求めた比破裂強さをS0とする。また、それぞれのシートについて前記の方法で標準嵩向上度を測定する。
(3)標準嵩向上度が0g/cm3以下の場合は、標準比破裂強さ向上指数は定義不能とする。また、標準嵩向上度が0g/cm3を超える場合は、下記式(8)により標準比破裂強さ向上指数を求める。
標準比破裂強さ向上指数=(s/S0×100−100)/標準嵩向上度  (8)
 このように、特定の共重合体と界面活性剤とを含有する紙質向上剤を、所定の方法により標準嵩向上度、標準白色向上度、標準不透明度向上度、更には標準比破裂強さ向上指数を測定することにより、本発明の紙質向上剤は容易に特定される。
 また、本発明は、抄紙工程以前の何れかにおいて上記本発明の抄紙用紙質向上剤を添加し、且つ抄紙速度200m/分以上で抄造するパルプシートの製造方法に関する。更に、本発明は、上記本発明の抄紙用紙質向上剤を含有するパルプシートに関する。
 本発明によれば、少量添加でも紙の軽量化と古紙パルプの増配合で要望される嵩向上、白色度向上や不透明度向上等の少なくとも1つを達成し、且つ紙力を向上できる抄紙用紙質向上剤が提供される。また、本発明の抄紙用紙質向上剤によれば、嵩、白色度、不透明度が向上し、更に紙力も向上したパルプシートを得ることができる。
 本発明の効果の発現機構は定かではないが、以下の様に推定される。本発明に係る共重合体(A)がパルプスラリー中に添加されると、電荷を持つ共重合体(A)のアニオンやカチオン部分がパルプ繊維に吸着し、溶解パラメーター20.5(MPa)1/2以下で非イオン性のモノマー由来の構造は疎水性を示すことから、その疎水性部分が表面に出てパルプ表面を疎水化する。その結果、パルプと水溶液の界面張力が増大し、抄紙時のパルプ間に隙間が多くなり、嵩高いパルプシートが得られたり、光学的に反射率が大きくなることにより、不透明度や白色度が向上する。しかし、抄紙速度が高く高せん断力がかかる状況では、共重合体(A)のパルプに対する吸着状態が不均一になりパルプ表面の疎水化が十分に行えず嵩の向上が小さくなる。共重合体(A)に界面活性剤(B)が作用することで高せん断条件においても共重合体(A)のパルプ表面における吸着形態が効率良く維持され、結果としてパルプ表面が効率良く疎水化されているものと考えられる。また、共重合体(A)がパルプ表面に均一に分散され、微細化した状態で吸着するので紙力も向上すると考えられる。
 一方で、パルプ間の隙間が増大しても、共重合体の溶解パラメーター26.6(MPa)1/2以上のモノマーに由来する構造は親水性であり、その親水性の高い部分がパルプと水素結合相互作用をするためにパルプ間の結合力は維持され、より紙力は増強される。架橋性のモノマーを導入した場合は、共重合体の分子量が増大し分子サイズも増大するためパルプ間の結合が容易になるため更に紙力の増強効果が増大すると考えられる。
 本発明に用いる共重合体(A)は、溶解パラメーターが20.5(MPa)1/2以下で非イオン性のモノマーの一種以上に由来する構成単位とアニオン性又はカチオン性モノマーの一種以上に由来する構成単位とを有するものであり、例えばビニル重合体、ポリエステル、多糖誘導体等が挙げられる。好ましくは、溶解パラメーターが20.5(MPa)1/2以下で非イオン性の不飽和モノマーの一種以上に由来する構成単位とアニオン性又はカチオン性モノマーの一種以上に由来する構成単位とを有するものであり、例えばビニル重合体等が挙げられる。
 本明細書にいう溶解パラメーターδとは、POLYMER HANDBOOK(J.Brandrup and E.H.Immergut、third edition)に記載された値を用いる。構造が直接記載されていない場合は、該文献のVII/519に記載される方法で計算された値を用いる。すなわち、
 δ=((H−R×298.15)/V)1/2  〔単位:(cal/m31/2又は×2.046(MPa)1/2
H:蒸発エンタルピー  〔単位:(cal/mol)又は(×4.186J/mol)〕
R:気体定数  〔単位:(1.98719cal/K・mol)又は(1.98719×4.186J/K・mol)〕
V:mol体積(cm3/mol)
で計算される値である。なお、本明細書においては、Hは、
 H=−2950+23.7Tb+0.020Tb 2  〔単位:(cal/mol)又は(×4.186J/mol)〕
 Tb:標準沸点〔単位:K〕
で経験的にあらわされることを利用して、標準沸点Tbより求めた。モノマーの標準沸点TbはAldrich(2000−2001:JAPAN)試薬カタログ記載の値を使用し、沸点が減圧下で記載されている場合は同書の付表の圧力−温度計算表より常圧での沸点を求めた。また同書に記載ないモノマーおよび沸点の記載がないモノマーについてはGroup Contrbution法を用い下式により25℃での溶解パラメーターδを求めた。
 δ=ΣFi/V
F:モル吸引定数  〔単位:(cal/m31/2cm3/mol又は×2.046(MPa)1/2cm3/mol〕
 なお、本明細書においてFはHoyの値を用い求めた。以下に、モノマーの溶解パラメーターδの計算例を示す。
〔計算例1〕
モノマー:アクリルアミド(分子量:71.08、Tb:235℃、比重:1.12)
H=−2950+23.7×508.15+0.020×(508.15)2=14257.9
V=71.08/1.12=63.4
δ=((H−1.98719×298.15)/V)1/2=14.7(cal/m31/2=30.1(MPa)1/2
〔計算例2〕
モノマー:ターシャリーオクチルアクリルアミド(分子量:183.3、比重:0.86)
Figure 2004052216
δ=(148.3×5+131.5+85.99+32.03×2+126.54+262.96+180.03+135.1)/(183.3/0.86)=8.1(cal/m31/2=16.6(MPa)1/2
 本明細書にいう非イオン性のモノマーとは、pHの変化によりアニオン性又はカチオン性を帯びることがないモノマーである。また、本明細書にいうアニオン性又はカチオン性モノマーとは、常にアニオン性又はカチオン性を帯びたモノマーのみならず、pHの変化によりイオン性を帯びることがあるモノマーである。
 本発明の共重合体(A)を構成する溶解パラメーターが20.5〔以下、単位(MPa)1/2を略す〕以下で非イオン性のモノマーは飽和または不飽和であってよい。特に不飽和モノマーが好ましく、例えば(メタ)アクリル酸の炭素数1〜40、好ましくは炭素数2〜24アルキルエステル、ビニルアルコールの炭素数1〜40、好ましくは炭素数2〜24アルキル酸エステル、炭素数2〜40、好ましくは炭素数3〜24のアルキル変性(メタ)アクリルアミド、炭素数2〜40、好ましくは炭素数3〜24のアルコキシ変性(メタ)アクリルアミド、マレイン酸の炭素数1〜40モノ又はジアルキルエステル、フマル酸の炭素数1〜40モノ又はジアルキルエステル、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、エチレン、プロピレン、ブタジエン、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールアルケニルエーテル、アルコキシポリアルキレングリコールアルケニルエーテル等が挙げられる。
 本発明の共重合体(A)を構成するアニオン性モノマーとしては、不飽和モノマーが好ましく、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸等のジカルボン酸またはこれらのハーフエステル;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などの有機スルホン酸等のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が使用される。
 本発明の共重合体(A)を構成するカチオン性モノマーとしては、不飽和モノマーが好ましく、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン;またはこれらの塩酸、硫酸、酢酸、燐酸等の無機酸、有機酸の塩類、もしくはメチルハライド(クロライド、ブロマイド等)、エチルハライド(クロライド、ブロマイド等)、ベンジルハライド(クロライド、ブロマイド等)、ジアルキル(メチル、エチル等)硫酸、ジアルキル(メチル、エチル等)炭酸、エピクロロヒドリン等の四級化剤との反応によって得られる四級アンモニウム塩を含有するビニルモノマーが使用される。なお、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミンは共重合した後、塩酸、硫酸、酢酸、燐酸等の無機酸、有機酸の塩類で処理することによっても用いる事ができる。
 本発明の共重合体(A)は、更に、溶解パラメーターが26.6以上で非イオン性の不飽和モノマーの少なくとも一種に由来する構成単位を有することができる。溶解パラメーターが26.6以上で非イオン性の不飽和モノマーとしては、特にアクリルアミドが挙げられる。
 また、紙力向上の観点から、共重合体(A)を構成するモノマーに架橋性モノマーを一部使用することができる。架橋性モノマーは、前述の溶解パラメーターが20.5以下で非イオン性の不飽和モノマー、アニオン性モノマー、カチオン性モノマー、溶解パラメーターが26.6以上で非イオン性の不飽和モノマーであってもよく、またこれらに属しないモノマーでもよい。架橋度はモル比に大きく依存することから、その割合は、全構成モノマーに対して0.001〜5モル%が好ましく、0.01〜1モル%がより好ましく、0.05〜0.5モル%が特に好ましい。架橋性モノマーとして、例えば、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリル(メタ)アクリルアミド等の2官能型架橋性モノマー、あるいは、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン、トリアリルイソシアヌレート、トリアクリル酸ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンアクリレート、トリアクリルホルマール、ジアクリロイルイミド等の多官能型架橋性モノマー等が使用される。
 本発明に係る共重合体(A)のモノマー構成比は、嵩高度・不透明度・白色度向上と紙力向上の両者の観点から、溶解パラメーターが20.5以下で非イオン性のモノマーは5〜84重量%が好ましく、10〜70重量%がより好ましく、15〜60重量%が特に好ましく、20〜50重量%が更に好ましい。アニオン性モノマー及び/またはカチオン性モノマーは合計で1〜80重量%が好ましく、3〜50重量%がより好ましく、5〜30重量%が特に好ましく、溶解パラメーターが26.6以上で非イオン性の不飽和モノマーは15〜94重量%が好ましく、20〜80重量%がより好ましく、40〜70重量%が特に好ましい。なお、この構成比は、モノマー仕込み時のものであってもよい。
 共重合体(A)の構成モノマーの割合が、溶解パラメーターが20.5以下で非イオン性のモノマー5〜84重量%、アニオン性モノマーとカチオン性モノマーの合計で1〜80重量%、溶解パラメーターが26.6以上で非イオン性の不飽和モノマー15〜94重量%の組み合わせが好ましい。
 また、本発明に係る共重合体は、抄紙工程以前でのパルプ繊維への均一吸着性や水への溶解性又は均一分散性の点から、共重合体(A)の重量平均分子量が0.1万〜1000万のものが好ましく、0.5万〜500万がより好ましく、1万〜200万が特に好ましい。ここで、共重合体(A)の重量平均分子量は、下記の条件でGPCにて測定したものである。換算分子量には試薬のポリアクリルアミドまたはポリエチレングリコール(GPC用の標準試料)のいずれかを用いることができ、いずれかで前述の範囲を満たせばよい。好ましくはポリエチレングリコールを用いる。嵩の観点からポリアクリルアミド換算で1万〜30万、ポリエチレングリコール換算で0.5万〜15万が好ましい。紙力の観点からポリアクリルアミド換算で4万〜101万、ポリエチレングリコール換算で2万〜50万が好ましい。
[測定条件]
カラム:α−M×2(東ソー)
溶離液:50mM LiBr、1%酢酸/エタノール=70/30(体積比)
流速:1mL/min
カラム温度:40℃
検出器:RI
試料濃度:4mg/mL
注入量:100μL
 本発明における共重合体(A)の重合方法は、特に限定されず、例えば重合開始剤を用いての溶液重合や塊状重合などの公知の重合方法を採用できる。重合方法は、回分式でも連続式でも行なうことができ、その際必要に応じて使用される溶媒としては、公知のものを使用でき特に限定されない。そのような溶剤としては、例えば水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘプタンなどの芳香族あるいは脂肪族炭化水素類;酢酸エチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;などが挙げられるが、単量体混合物及び得られる共重合体(A)の溶解性からは、水および炭素数1〜4の低級アルコールよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
 重合開始剤としては、公知のものを使用でき特に限定されない。このような重合開始剤としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素;アゾビス−2メチルプロピオンアミジン塩酸塩、アゾイソブチロニトリルなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシドなどのパーオキシド;などを挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。この際、促進剤として亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、モール塩、ピロ重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート、アスコルビン酸などの還元剤;エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、グリシンなどのアミン化合物;などの1種又は2種以上を併用することもできる。
 連鎖移動剤も必要に応じて使用できる。連鎖移動剤としては、公知のものを使用でき特に限定されないが、例えばメルカプトエタノール、メルカプトグリセリン、メルカプトコハク酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシルエステル、オクタン酸2−メルカプトエチルエステル、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、デカントリチオール、ドデシルメルカプタン、ヘキサデカンチオール、デカンチオール、四塩化炭素、四臭化炭素、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、2−アミノプロパン−1−オールなどを挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
 重合温度は、用いられる重合方法、溶媒、重合開始剤、連鎖移動剤により適宜定められるが、通常0〜150℃の範囲内で行なわれる。
 重合後に得られた反応物から減圧乾燥等により溶媒を抽出し、粉砕等の操作によって重合体の分離操作を行っても良い。
 本発明において、界面活性剤(B)は、共重合体(A)及び後述の水溶性高分子(C)以外の界面活性剤であり、該界面活性剤(B)は、共重合体(A)の溶解パラメーターが20.5以下の構成単位と疎水性相互作用を形成するものであればどのようなものを使用してもよいが、炭素数2以上、好ましくは3〜40、更に好ましくは4〜24のアルキル基を有する構造が好ましく、分子量又はポリオキシアルキレングリコールのように分布を有するものであれば数平均分子量が50〜1万、100〜5000の範囲が好ましい。
 界面活性剤(B)としては、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性界面活性剤が挙げられ、共重合体(A)の構成単位であるイオン性基と相互作用しない構造が好ましく、非イオン性がより好ましい。
 界面活性剤(B)は水相(25℃)での臨界ミセル濃度または溶解度が5000mg/g以下のものが好ましく、1000mg/g以下が更に好ましい。
 界面活性剤(B)はHLBとして−5〜15の範囲が好ましく、2.1〜12の範囲が更に好ましい。本発明におけるHLBは下式で定義される。
  HLB=Σ(hydrophilic group number)+ Σ(lipophilic group number)+ 7
 本発明における lipophilic group および hydrophilic group number は Tenside Surfactant Deterg VOL.29 No.2, pages 109-113(1992) 記載の Table2および3の HLBM group number を用いる。lipophilic group は Table2の HLBM group numberを、hydrophilic group は Table3 の HLBM group number を用いる。ただし、-OPO(O-)2、(-O)2POO-、(-O)3PO のリン酸エステルの場合 hydrophilic group number として+12.3を用いる。
 界面活性剤(B)としては、例えばアニオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、脂肪酸およびその塩等が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、アルキルアミン酸塩等が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、多価アルコールの脂肪酸エステル、および、当該多価アルコールの脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物、脂肪酸アミドおよび当該脂肪酸アミドのアルキレンオキシド付加物、アルキルアミンのアルキレンオキシド付加物、アルコール、及び、または当該アルコールのアルキレンオキシド付加物、炭素数2〜4のオキシアルキレン基を構成単位とするポリアルキレングリコールであり、好ましくは炭素数3〜4のオキシアルキレン基を構成単位に有するポリアルキレングリコール等が挙げられる。両性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。炭素数2〜40、好ましくは炭素数4〜24のアルコールのアルキレンオキシド付加物で、当該アルコール1モル当たり平均で0モル超150モル未満の炭素数2〜4のアルキレンオキサイド基を有するアルキレンオキサイド付加物が好ましく、より好ましくは当該アルコール1モル当たり平均で0モル超50モル未満の炭素数2〜4のアルキレンオキサイド基を有するアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。また界面活性剤(B)は水溶性のものが紙力向上の観点から好ましい。本発明において界面活性剤(B)が水溶性であるとは、25℃での界面活性剤(B)1重量%水溶液が透明であることを意味する。
 本発明において界面活性剤(B)が水溶性であるとは、25℃での界面活性剤(B)1重量%水溶液が透明であることを意味し、透明とは該水溶液の可視光660nmにおける光路10mmのセルで測定した透過率(%)で水を100%とした時に90%以上であることを意味する。なお、室温で水に溶解しない又は水溶性でない界面活性剤(B)は1重量%になるように水を加え、80℃で30分撹拌混合し、その後撹拌を維持しながら室温(25℃)まで放冷してから水溶液の確認を行う。
 本発明の抄紙用紙質向上剤において、共重合体(A)と界面活性剤(B)の重量比は、(A)/(B)=99/1〜1/99であり、好ましくは95/5〜5/95更に好ましくは85/15〜15/85である。共重合体(A)と界面活性剤(B)の混合物が水溶性であることが好ましい。
 本発明の抄紙用紙質向上剤は、更に、重量平均分子量が1000〜1000万、好ましくは1万〜1000万又は25℃での1%水溶液の粘度が1〜4000mPa・s、好ましくは2〜2000mPa・s、更に好ましくは3〜1000mPa・sの少なくとも何れかを満たす水溶性高分子(C)を含有することができる。この範囲の重量平均分子量又は粘度であると紙力向上効果に優れる。なお、水溶性高分子(C)の重量平均分子量及び1%水溶液の粘度は以下の方法で測定されたものである。
<重量平均分子量の測定方法>
 水溶性高分子(C)の重量平均分子量は、下記の条件でGPCにて測定した。換算分子量にはプルランを用いた。
[測定条件]
カラム:α−M×2(東ソー)
溶離液:0.15M Na2SO4/1%酢酸
流速:1mL/min
カラム温度:40℃
検出器:RI
試料濃度:2mg/mL
注入量:100μL
<粘度の測定方法>
 水溶性高分子(C)の1重量%水溶液を調製し、B型粘度計(東京計器製)にて25℃の条件下で測定した。回転数は60r/minとし、粘度に応じて、80mPa・s以下はNo.1ローター、80mPa・s超400mPa・s以下はNo.2ローター、400mPa・s超1600mPa・s以下はNo.3ローター、1600mPa・s超8000mPa・s以下はNo.4ローターのローターを使用した。
 水溶性高分子(C)は、共重合体(A)、界面活性剤(B)に該当しないものであり、ポリビニルアルコール系ポリマー、ポリアクリルアミド系ポリマー、ポリエチレンイミン、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂、カルボキシメチルセルロース、澱粉及び変性澱粉、植物ガム等が挙げられるが、特にポリアクリルアミド系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、澱粉及び変性澱粉、並びに植物ガムからなる群から選ばれる一種以上の化合物が好ましい。
 澱粉としては、例えばトウモロコシ澱粉、バレイショ澱粉、小麦澱粉及びタピオカ澱粉等の天然澱粉が挙げられる。また、変性澱粉は、「紙と加工の薬品事典」(テックタイムス発行、1991年)の36〜37頁に記載されている、澱粉に物理的及び/又は化学的処理を施した加工澱粉のことであり、特に、例えば次亜塩素酸ソーダや過よう素酸塩等の酸化剤で処理した酸化澱粉や、例えば3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、グリシジルトリメチルアンモニウムクロライド又はジエチルアミノエチルクロライド塩酸塩等のカチオン性基を分子中に導入したカチオン化澱粉が好ましい。なお、「紙と加工の薬品事典」の283頁にあるように、上記カチオン化澱粉に更にリン酸基を導入した変性澱粉を両性澱粉と呼ぶことがあるが、本発明ではこれもカチオン化澱粉に含むものとする。特にカチオン化澱粉を用いると、添加量が増大しても嵩向上効果を損なうことなく紙力向上を達成することができ、より好ましい。更にカチオン化澱粉のカチオンの置換度は0.005〜0.1が好ましく、0.01〜0.08が更に好ましい。なお、カチオン化澱粉のカチオンの置換度は、カチオン化澱粉を構成するグルコース残基1個が有する全水酸基のうち、カチオン基が導入された水酸基の数の平均値のことであり、全水酸基に導入された場合は3になる。
 本発明において水溶性高分子(C)を含有する場合、本発明の抄紙用紙質向上剤における共重合体(A)、界面活性剤(B)、水溶性高分子(C)の重量比は、好ましくは[共重合体(A)+界面活性剤(B)]/水溶性高分子(C)が99/1〜10/90、更に98/2〜20/80である。
 本発明の抄紙用紙質向上剤は共重合体(A)および界面活性剤(B)又は共重合体(A)、界面活性剤(B)および水溶性高分子(C)をそれぞれ混合した状態で抄紙工程に添加してもよいし、それぞれ別々に抄紙工程に添加してもよい。特に、共重合体(A)と界面活性剤(B)を混合した状態で添加するのが好ましい。
 本発明の抄紙用紙質向上剤は、抄紙工程の何れかにおいて添加されるものであり、そのまま添加してもよいし、必要に応じて水等で希釈して添加してもよい。
 本発明の抄紙用紙質向上剤は、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ、LBKP等の化学パルプ等のヴァージンパルプ、古紙パルプ等のパルプ原料に広く適用できる。古紙パルプを配合する場合は、その配合量は原料パルプ中10重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましい。
 本発明の抄紙用紙質向上剤は、抄紙工程以前の何れかにおいて添加される(内添)。その添加場所としては、パルプ原料の稀薄液が金網上を進む間に濾水されて紙層を形成する抄紙工程以前で、パルパーやリファイナー等の離解機や叩解機、マシンチェストやヘッドボックスや白水タンク等のタンク、あるいはこれらの設備と接続された配管中に添加してもよいが、リファイナー、マシンチェスト、ヘッドボックスで添加する等、均一にパルプ原料にブレンドできる場所が望ましい。本発明の抄紙用紙質向上剤は、パルプ原料に添加後、そのまま抄紙されパルプシート中に大部分残存することが好ましい。
 本発明の抄紙用紙質向上剤を添加し製造されるパルプシートの抄紙速度は、嵩、白色度、不透明度向上の顕著な効果発現の点で200m/分以上が好ましく、300m/分以上がより好ましく、500m/分以上が特に好ましい。
 なお、抄紙時にはサイズ剤、填料、歩留り向上剤、濾水性向上剤、紙力向上剤等を添加してもよい。特に、本発明の抄紙用紙質向上剤がその機能を発現するためには、パルプに定着することが重要であり、そのために定着を促進する剤を添加することが好ましい。定着を促進する剤としては、硫酸アルミニウム、アクリルアミド基を有する化合物、ポリエチレンイミン等が挙げられる。定着を促進する剤の添加量はパルプ原料100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましい。特にアニオン性の構成単位を有する共重合体(A)を使用する場合は、定着を促進する剤を併用した方が、効果が期待できる。
 本発明の抄紙用紙質向上剤は、パルプ原料100重量部に対して0.01〜10重量部の添加が好ましいが、特に0.1〜5重量部の少量添加でも嵩高効果、白色度又は不透明度等の光学的特性のうち少なくとも1つが向上する。
 本発明の抄紙用紙質向上剤となる化合物は、抄紙用嵩向上剤、抄紙用白色度向上剤、抄紙用不透明度向上剤として用いることができる。
 本発明の抄紙用紙質向上剤を用いて得られたパルプシートは、無添加シートに比べて、嵩高さの指標である緊度が0.02g/cm3以上、好ましくは0.03g/cm3以上低いことが好ましく、白色度は0.5ポイント以上、好ましくは0.6ポイント以上高いことが好ましく、不透明度は1.0ポイント以上、好ましくは1.2ポイント以上高いことが好ましい。更に、上記効果の二つ以上を満たすことが好ましく、特に三つを満たすことが好ましい。
 本発明に係る紙質向上剤は、嵩、白色度、不透明度の何れか一つ以上を向上させながら、破裂強度を向上させることができる。なお破裂強度は他の紙力性能である引っ張り強度、引き裂き強度、層間強度等と相関があり、破裂強度の評価はこれらの指標となる。本発明では、操業上、製品加工上、製品使用上要求される紙力の点から、先に述べた標準比破裂強さ向上指数は−3000以上が好ましく、−1500以上がより好ましく、−500以上が更に好ましく、0以上が特に好ましい。
 また、本発明の抄紙用紙質向上剤を用いて得られたパルプシートは、「紙パルプ技術便覧」(紙パルプ技術協会発行、1992年)の455〜460頁に記載された品目分類の中の新聞巻取紙、印刷・情報用紙、包装用紙等の紙、又は板紙に好適に用いられる。
 本発明によれば、少量添加でも紙の軽量化と古紙パルプの増配合で要望される嵩向上、白色度向上や不透明度向上等の少なくとも1つを達成し、且つ紙力を向上できる抄紙用紙質向上剤が提供される。また、本発明の抄紙用紙質向上剤によれば、嵩、白色度、不透明度が向上し、更に紙力も向上したパルプシートを得ることができる。
 以下、特記しない限り「部」は重量部であり、「%」は重量%である。
<共重合体(A)の製造例>
(I)共重合体No.A−1製造例
 温度計、撹拌機、滴下ロート、窒素導入管、及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器にエタノール592.3重量部、水14.5重量部、ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロライド四級化物(QDM)58.0重量部およびメトキシポリアルキレングリコールメタクリレート(酸化エチレン/酸化プロピレン=5/10モル、ランダム付加物)(MEPAGMA)240重量部を仕込み窒素置換を行った。続いて窒素雰囲気下で67℃まで昇温した後、2%−2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(V-65)エタノール溶液84.8重量部を90分かけて滴下した。次に同温で1時間熟成した後、4%−2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)エタノール溶液10.4重量部を30分かけて滴下し、滴下後同温で2時間熟成させたのち、冷却し重量平均分子量(ポリアクリルアミド換算)140000の共重合体No.A−1溶液を得た。
 共重合体No.A−2は共重合体No.A−1製造例の重合方法に準じて製造した。
(II)共重合体No.A−3の製造例
 温度計、撹拌機、滴下ロート、窒素導入管、及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器にエタノール203.9重量部および水167.6重量部を仕込み窒素置換を行った。続いて窒素雰囲気下で67℃まで昇温した後、75%−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロライド四級化物(DMAPAA-Q)水溶液を72.9重量部、ターシャリーオクチルアクリルアミド(t-OAAm)72.8重量部、アクリルアミド(AAm)144.1重量部、エタノール161.1重量部および水107.4重量部を混合した液と2%−2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(V-50)水溶液73.2重量部の2液を同時に滴下し、2液とも90分かけて滴下を終了させた。次に同温で3時間熟成した後、冷却し重量平均分子量(ポリアクリルアミド換算)30000の共重合体No.A−3溶液を得た。
(III)共重合体No.A−4の製造例
 温度計、撹拌機、滴下ロート、窒素導入管、及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器にエタノール375重量部、310.4重量部、75%DMAPAA-Q水溶液を67.8重量部、t-OAAm67.7重量部、AAm131.2重量部を仕込み窒素置換を行った。続いて窒素雰囲気下で62℃まで昇温した後、同温にて0.7%V−50水溶液48重量部を90分かけて滴下した。次に同温で6時間熟成した後、冷却し重量平均分子量(ポリアクリルアミド換算)180000の共重合体No.A−4溶液を得た。
 共重合体No.A−5〜A−10は共重合体No.A−4製造例の重合方法に準じて製造した。
 表1に共重合体(A)とそのモノマー組成、重量平均分子量を示した。表2には界面活性剤(B)を示した。表3に水溶性高分子(C)とその重量平均分子量又は1%水溶液の粘度を示した。また、これらを表4の添加量(対パルプ100重量部あたりの重量部)で用いた紙質向上剤の標準嵩向上度、標準白色向上度、標準不透明度向上度、および標準比破裂強さ向上指数を、表4に示した。
<抄紙用紙質向上剤>
 表1の共重合体(A)、表2の界面活性剤(B)、表3の水溶性高分子の有効分1重量%の水溶液をそれぞれ調製し、それらを所定比率となるように用いた。なお、界面活性剤(B)が水溶性でない場合および共重合体(A)と界面活性剤(B)混合物の1重量%水溶液が水溶性でない場合は、共重合体(A)の1重量%水溶液に界面活性剤(B)を添加し、界面活性剤(B)の固形分濃度が1重量%となるように水を加え、80℃で30分撹拌混合し、その後撹拌を維持しながら室温まで放冷して分散液として用いた。
Figure 2004052216
・MEPAGMA:メトキシポリアルキレングリコールメタクリレート(溶解パラメーター:17.6、酸化エチレン/酸化プロピレン=5/10モル、ランダム付加物)
・2EHA:2-エチルヘキシルアクリレート(溶解パラメーター:16.0)
・t-OAAm:ターシャリーオクチルアクリルアミド(溶解パラメーター:16.6)
・BMA:n-ブチルメタクリレート(溶解パラメーター:16.8)
・QDM:ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロライド四級化物
・MOEDES:ジメチルアミノエチルメタクリレートのジエチル硫酸四級化物
・DMAPAA-Q:ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロライド四級化物
・DMAAm:ジメチルアクリルアミド(溶解パラメーター:21.7)
・AAm:アクリルアミド(溶解パラメーター:30.1)
・MBAAm:メチレンビスアクリルアミド
・TAC:イソシアヌル酸トリアリル
Figure 2004052216
Figure 2004052216
Figure 2004052216
実施例1
〔パルプ原料〕
 パルプ原料としては下記に示される古紙パルプ及びヴァージンパルプを用いた。
<古紙パルプ>
 古紙パルプは市中回収された原料古紙(新聞紙/チラシ=70/30%)100部に対し、60℃の温水及び水酸化ナトリウム1部、珪酸ソーダ3部、30%過酸化水素水3部、脱墨剤として、DI−767(花王製)0.3部を加え、離解後フロテーション処理、水洗、濃度調整を行い得た0.4%の脱墨パルプスラリーを用いた。このもののカナダ標準濾水度(JIS P 8121)は200mLであった。
<ヴァージンパルプ>
 化学パルプLBKP(広葉樹晒パルプ)を、25℃で叩解機にて離解、叩解して0.4%のLBKPスラリーとしたものを用いた。このもののカナダ標準濾水度(JISP 8121)は410mLであった。
〔抄紙方法−1〕
 古紙パルプスラリーを抄紙後のシートのパルプ坪量が55g/m2になるように計り取ってから硫酸アルミニウムでpHを6.5に調整した。次いで表5に示す種々の抄紙用紙質向上剤をパルプに添加し、以降、標準嵩向上度の測定方法の(1)と同じ条件で抄紙しシートを得た。表5の添加量は、対パルプの重量%である。得られたシートの緊度、白色度、不透明度及び比破裂強さを以下の方法で測定した。結果を表5に示す。
〔抄紙方法−2〕
 LBKPを抄紙後のシートのパルプ坪量が84g/m2になるように計り取る。次いで表6に示す種々の抄紙用紙質向上剤をパルプに添加し、以降、標準嵩向上度の測定方法の(1)と同じ条件で抄紙しシートを得た。表6の添加量は、対パルプの重量%である。以下、抄紙方法−1と同様の評価を行った。結果を表6に示す。
<評価項目・方法>
・緊度
 調湿されたシートの坪量(g/m2)と厚み(mm)を測定し、下記計算式により緊度(g/cm3)を求めた。
緊度=(坪量)/(厚み)×0.001
 緊度は小さいほど嵩が高く、また緊度の0.02の差は有意差として十分に認識されるものである。
・白色度
 JIS P 8123ハンター白色度による。白色度の0.5ポイントの差は有意差として十分に認識されるものである。
・不透明度
 JIS P 8138A法による。不透明度の0.5ポイントの差は有意差として十分に認識されるものである。
・破裂強度紙力
 測定項目としてJIS P 8112法により破裂強度を測定し値を坪量で除し比破裂強さを求めた。
Figure 2004052216
Figure 2004052216
 表5、6より、本発明の抄紙用紙質向上剤によれば、古紙パルプ、ヴァージンパルプ(LBKP)の何れにおいても、嵩、白色度、不透明度が向上し、更に紙力が向上したパルプシートが得られることがわかる。
 表5の比較品1−1の共重合体(A)単独添加や比較品1−2の界面活性剤(B)単独添加では、何れも嵩、白色度、不透明度ともに大きく向上しない。また、比較品1−3、1−4の水溶性高分子(C)単独添加では、紙力はブランクに比較して向上するが、嵩、白色度、不透明度がブランクよりも低下する。また、比較品1−5の界面活性剤(B)と水溶性高分子(C)の併用では、比較品1−3、1−4と同様に、紙力はブランクに比較して向上するが、嵩、白色度、不透明度がブランクよりも低下する。
 表6の比較品2−1の共重合体(A)単独添加や比較品2−2の界面活性剤(B)の単独添加では、添加量を増やしても、何れも嵩、白色度、不透明度ともに大きく向上しない。また、比較品2−3の水溶性高分子(C)単独添加では、紙力はブランクに比較して向上するが、嵩、白色度、不透明度がブランクよりも低下する。また、比較品2−4の界面活性剤(B)と水溶性高分子(C)の併用では、紙力はブランクに比較して向上するが、嵩、白色度、不透明度ともに向上しない。

Claims (10)

  1. 溶解パラメーターが20.5(MPa)1/2以下で非イオン性のモノマーの一種以上に由来する構成単位と、アニオン性又はカチオン性モノマーの一種以上に由来する構成単位とを有する共重合体(A)と界面活性剤(B)とを(A)/(B)=99/1〜1/99(重量比)の範囲で含有し、且つ下記(i)、(ii)、(iii)の何れか一つ以上の紙質向上効果をもたらす抄紙用紙質向上剤。
    (i)標準嵩向上度が0.02g/cm3以上
    (ii)標準不透明度向上度が1.0ポイント以上
    (iii)標準白色度向上度が0.5ポイント以上
  2. 共重合体(A)が、溶解パラメーターが26.6(MPa)1/2以上で非イオン性の不飽和モノマーの少なくとも一種に由来する構成単位を更に有する請求項1記載の抄紙用紙質向上剤。
  3. 共重合体(A)の構成モノマーの割合が、溶解パラメーターが20.5(MPa)1/2以下で非イオン性の不飽和モノマー5〜84重量%、アニオン性モノマーとカチオン性モノマーの合計で1〜80重量%、溶解パラメーターが26.6(MPa)1/2以上で非イオン性の不飽和モノマー15〜94重量%である請求項1又は2記載の抄紙用紙質向上剤。
  4. 共重合体(A)の構成モノマーに架橋性の構成モノマーを有する請求項1〜3の何れか1項記載の抄紙用紙質向上剤。
  5. 界面活性剤(B)のHLBが−5〜15の範囲内である請求項1〜4の何れか1項記載の抄紙用紙質向上剤。
  6. 界面活性剤(B)が、アルコール及び該アルコール1モル当たり平均で0モル超150モル未満の炭素数2〜4のアルキレンオキサイド基を有するアルキレンオキサイド付加物から選ばれる請求項1〜5何れか記載の抄紙用紙質向上剤。
  7. さらに、重量平均分子量が1000〜1000万又は25℃での1%水溶液の粘度が1〜4000mPa・sの少なくとも何れかを満たす水溶性高分子(C)を含有する請求項1〜6何れか記載の抄紙用紙質向上剤。
  8. 標準比破裂強さ向上指数が−3000以上の効果をもたらす請求項1〜7何れか1項記載の抄紙用紙質向上剤。
  9. 抄紙工程以前の何れかにおいて請求項1〜8何れか記載の抄紙用紙質向上剤を添加し、且つ抄紙速度200m/分以上で抄造するパルプシートの製造方法。
  10. 請求項1〜8何れか記載の抄紙用紙質向上剤を含有するパルプシート。
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