JP2004048516A - 水晶フィルタ - Google Patents
水晶フィルタ Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004048516A JP2004048516A JP2002204920A JP2002204920A JP2004048516A JP 2004048516 A JP2004048516 A JP 2004048516A JP 2002204920 A JP2002204920 A JP 2002204920A JP 2002204920 A JP2002204920 A JP 2002204920A JP 2004048516 A JP2004048516 A JP 2004048516A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electrode
- input
- output
- lead
- electrodes
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)
Abstract
【課題】適切な橋絡容量の形成による電気的特性の向上した水晶フィルタを提供するとともに、橋絡容量形成のための導出電極による信頼性低下を防止する。
【解決手段】水晶振動板2の裏面には入力電極21と出力電極22が所定の間隔を持って形成され、表面には当該入力電極21と出力電極22に対応する1つの共通電極23が形成されている。入力電極21と出力電極22の長辺の中間部分からは、互いに離れる方向にそれぞれ第1の引出電極21a,第2の引出電極22aが延びている。また入力電極21と出力電極22の短辺の端部からは導出電極21b,22bが形成され、当該導出電極は水晶振動板の短辺方向に延出した後長辺方向に屈曲し、相互に近接することにより橋絡容量Cを形成している。
【選択図】図1
【解決手段】水晶振動板2の裏面には入力電極21と出力電極22が所定の間隔を持って形成され、表面には当該入力電極21と出力電極22に対応する1つの共通電極23が形成されている。入力電極21と出力電極22の長辺の中間部分からは、互いに離れる方向にそれぞれ第1の引出電極21a,第2の引出電極22aが延びている。また入力電極21と出力電極22の短辺の端部からは導出電極21b,22bが形成され、当該導出電極は水晶振動板の短辺方向に延出した後長辺方向に屈曲し、相互に近接することにより橋絡容量Cを形成している。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子機器等に用いられる水晶フィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器例えば携帯情報端末等の移動体通信機は、単なる通信機能のみならず様々な付加機能が組み込まれ、かつ小型化が進んでいる。この中に用いられる水晶フィルタもさらなる小型化が求められており、水晶フィルタ自体の構成並びに製造面においても小型化に対応するとともに、信頼性の確保も求められている。
【0003】
水晶フィルタにおいては、水晶振動板に形成される電極設計により、各種スプリアスを抑制する工夫が多くなされているが、小型化が進むとこの電極設計が困難になるとともに、各電極間の周波数バランスや周波数帯域特性の調整を限られた狭い領域で行わざるを得なくなっていた。
【0004】
また水晶フィルタをIFフィルタとして通信機に用いた際のイメージ周波数近傍の保証減衰量特性も考慮する必要があり、これについては特開平9−284092号公報に開示されている。同公報には薄肉の振動部とその周囲の厚肉の環状囲繞部とを有する圧電基板からなり、振動部には分割電極と裏面全面電極を形成するとともに、分割電極から導出されたボンディング用電極を所定の間隔とし、入出力電極間に橋絡容量を創出した構成が開示されている。当該構成により減衰極をイメージ周波数のマイナス側に合致させることができ、高減衰量を得ることができる。
【0005】
上記構成では、分割電極から導出されたボンディング電極(引出電極)を近接させることにより、所定の橋絡容量を得るものであるが、このような構成であるとボンディング電極間の短絡すなわち端子間の短絡を招くことがある。また上記従来構成では全体として圧電基板が逆凹型の構成であり、上面に分割電極を形成した構成である。このように圧電基板に厚さの異なる領域があり、当該領域に電極を引き出す場合電極切れの問題を考慮する必要がある。すなわち、上記特開平9−284092号公報においては薄肉の振動部とその周囲の厚肉の環状囲繞部とを有する圧電基板からなり、振動部には分割電極と裏面全面電極を形成するとともに、これを圧電基板の外周に引き出す場合引出電極は角部を複数回通ることになり、角部による電極切れの生じる可能性がある。一般に引出電極等の振動に直接寄与しない電極は、振動を抑制しないよう必要な導通が確保できる程度に極力細く設計されるが、角部に引出電極が形成されることにより、当該電極が切れて短絡事故が増加するおそれがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、適切な橋絡容量の形成による電気的特性の向上した水晶フィルタを提供するとともに、橋絡容量形成のための導出電極による信頼性低下を防止することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は請求項1に示すように、一方の面に入力電極と出力電極を形成し、他方の面に当該入力電極と出力電極に対応した共通電極を形成するとともに、前記入力電極と出力電極と共通電極から各々電極を水晶振動板端部に引き出す引出電極を形成した水晶フィルタであって、前記入力電極と出力電極から各々細幅の導出電極を延出し、これら各導出電極を水晶振動板の同一平面上で近接させることにより、橋絡容量を形成したことを特徴としている。
【0008】
請求項1によれば、入力電極と出力電極を外部に引き出す引出電極とは別の電極である導出電極を形成し、これらを近接させることにより橋絡容量を形成する構成であるので、端子間の短絡事故を防止し、また所望の橋絡容量を得ることができる。
【0009】
また、請求項2に示すように、一方の面に入力電極と出力電極を形成し、他方の面に当該入力電極と出力電極に対応した共通電極を形成するとともに、前記入力電極と出力電極と共通電極から各々電極を水晶振動板端部に引き出す引出電極を形成した水晶フィルタであって、前記入力電極と出力電極の引出電極から各々細幅の導出電極を延出し、水晶振動板の同一平面上で近接させることにより橋絡容量を形成したことを特徴としている。
【0010】
このように引出電極から導出電極を形成することにより、入出力電極と共通電極からなる主電極で形成される振動領域から離れた位置を開始点として導出電極を形成することができる。このような構成により、導出電極形成による振動特性低下を防止することができるとともに、主電極の電極形状設計が容易に行うことができる。
【0011】
また請求項3に示すように、一方の面に入力電極と出力電極を形成し、他方の面に当該入力電極と出力電極に対応した共通電極を形成するとともに、前記入力電極と出力電極と共通電極から各々電極を水晶振動板端部に引き出す引出電極を形成した水晶フィルタであって、前記入力電極と出力電極の少なくとも1つの引出電極から少なくとも1つの細幅の導出電極を延出し、他方の入力電極または出力電極に近接させることにより橋絡容量を形成した構成としてもよい。導出電極は入出力電極各々から導出し、各々対極の入力電極または出力電極に近接させてもよいし、入力電極または出力電極の一方のみの導出電極を対極の入力電極または出力電極に近接させてもよい。
【0012】
請求項3によれば、主電極すなわち入力電極または出力電極と導出電極間において、比較的大きな面積で対向することになり、橋絡容量を大きく得ることができる。
【0013】
なお、請求項4に示すように、水晶振動板に形成される入出力電極、共通電極引出電極、導出電極等の各電極を水晶振動板の同一厚み領域に形成するとよい。水晶振動板は厚さが均一な平板構成のものであってもよいし、請求項5に示すように、水晶振動板は中央部分に薄肉部を形成するとともに、当該薄肉部の周囲に厚肉部を形成した構成であり、薄肉部に入力電極、出力電極、共通電極および導出電極と橋絡容量が形成されている構成であってもよい。この場合、引出電極は薄肉部と厚肉部により形成される角部を通るが、比較的幅広に形成することにより、電極切れを防止することができる。
【0014】
請求項4または5によれば、橋絡容量を構成する導出電極が同一厚み平板状部分に形成されるので、角部形成による電極切断事故が防止できる。また電極切断のおそれが少ないので導出電極は極力薄くしたり細くすることができ、よって、フィルタの励振を阻害しにくくなる。
【0015】
請求項6に示すように、前記導出電極が、対向する入力電極と出力電極間を中心とする点対称構成、または前記中心を通り縦または横に延びる線(例えば矩形水晶振動板の短辺または長辺方向に延びる線)を中心線とする線対称形状に構成してもよい。
【0016】
対称形状に電極を配置することにより、水晶振動板に形成される重みのバランスがとれ、重みのアンバランスに基づくスプリアス振動、例えば特願2001−386546号で開示したような、水晶振動案の主面に沿うねじれ方向の振動、すなわちツイスト振動等の発生を抑制できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明による第1の実施の形態を表面実装型の水晶フィルタを例にとり、図1乃至図4とともに説明する。図1は本実施の形態を示す水晶振動板の一方面の平面図であり、図2は図1の他方面の平面図であり、図3はパッケージに収納した平面図であり、図4は金属フタにて気密封止した状態における図3のA−A断面図である。なお、図4においては水晶振動板上の電極の表示は省略している。表面実装型水晶フィルタは、全体として直方体形状で、上部が開口した凹部を有するセラミックパッケージ1と、当該パッケージの中に収納される圧電振動素子である矩形水晶振動板2と、パッケージの開口部に接合される金属フタ3とからなる。
【0018】
水晶振動板2は厚さが均一な平板状のATカット水晶板からなり、表裏にモノリシック水晶フィルタを構成する電極が形成されている。すなわち、裏面には入力電極21と出力電極22が所定の間隔を持って形成され、表面には当該入力電極21と出力電極22に対応する1つの共通電極23が形成されている。
【0019】
入力電極21と出力電極22の長辺の中間部分からは、互いに離れる方向にそれぞれ第1の引出電極21a,第2の引出電極22aが延びており、当該引出電極21a,22aは水晶振動板の対向する角部分に延出されている。また入力電極21と出力電極22の短辺の端部からは導出電極21b,22bが形成され、当該導出電極は水晶振動板の短辺方向に延出した後長辺方向に屈曲し、相互に近接することにより橋絡容量Cを形成している。橋絡容量Cは導出電極の近接部分間tの距離や近接対向する電極面積を変化させることによりその値を調整することができる。
また共通電極23は引出電極23aにより水晶振動板端部に引き出されている。
【0020】
図5は橋絡容量を異ならせた場合の減衰量特性変化を示す模式図であるが、各引出電極の近接距離tを近づけ橋絡容量を増加させると図5中AまたはBで示すように減衰帯域幅が狭くなる方向に特性が変化する。逆に各引出電極の近接距離tを離し、橋絡容量を減少させると、図5中CまたはDで示すように減衰帯域幅が広くなる方向に特性が変化する。このような調整により、減衰極を創出するとともに、当該減衰極を所定の位置にスイープさせることができ、いわゆるイメージ周波数における減衰量を極小化することができる。なお、減衰帯域幅の広狭は要求される仕様により決定される。
【0021】
水晶振動板をパッケージに搭載した状態は図3と図4に示している。断面でみてセラミックパッケージ1は凹形であり、凹形周囲の堤部(側壁)10と当該堤部上面に形成される周状の金属シール部11とを有している。金属シール部11は、タングステン等からなるメタライズ層と、メタライズ層上に形成される金属膜層とからなる。金属膜層は例えばメタライズ層に接してニッケルメッキ層と、当該ニッケルメッキ層の上部に形成される極薄の金メッキ層とからなる。またコバール等の溶接用の金属リングを取り付けてもよい。
【0022】
当該セラミックパッケージ内部の4角には電極パッド12a,12b,12c,12dが形成され、それぞれパッケージ裏面あるいは後述のキャスタレーション形成部分に外部接続電極(一部図示せず)として導出されている。
【0023】
またセラミックパッケージの角部にはキャスタレーション13a,13b,13c,13dが形成されるとともに、側壁にもキャスタレーション13e,13fが形成されている。各キャスタレーションには内部に導体が形成され前述の外部接続電極の一部を構成している。当該導体は例えばタングステンによるメタライズ層の上部にニッケルメッキ、金メッキ等を施した構成である。
【0024】
図3,図4に示すように、電極が形成された前記水晶振動板を、裏面が前記電極パッド12a,12b,12c,12dに接触するようにセラミックパッケージに搭載し、導電接合材Sで電気的機械的に接続する。これにより共通電極23と引出電極23aがパッケージ開口側に位置する。従って、当該共通電極23に対して各電極間の周波数バランスを行う際は、裏面の入力電極21と出力電極22にそれぞれ対応する領域に、マスキング手段等を用いたパーシャル真空蒸着等により選択的に質量付加を行う。
【0025】
また周波数通過帯域特性の調整を行う際は、入力電極21と出力電極22間に対応する領域にパーシャル真空蒸着等による付加質量形成を行う。さらに中心周波数の調整においては、共通電極全面にパーシャル真空蒸着を行う。共通電極は単数構成でも複数構成でもよいが、複数構成の場合でも同極であるために両者間に短絡の問題が生じない。従って、調整作業に精度バラツキが生じてもこれを許容することができる。
【0026】
上述の必要な調整を完了した後、アニール等の安定化処理を行い、金属フタ3により気密封止する。金属フタ3は平板状のコバールを母材とし、その表面にニッケルメッキが施されている。前記金属シール部11上に前記金属フタ3を搭載し、この状態でシーム溶接やレーザー等のビーム溶接、あるいはろう接により金属フタと金属シール部を溶融させ、気密封止する。
【0027】
本発明による第2の実施の形態を、図6とともに説明する。図6は本実施の形態を示す水晶振動板の一方面の平面図である。本実施の形態では第1の実施の形態に比べて、導出電極の構成が異なっている。水晶振動板2は厚さが均一な平板状のATカット水晶板からなり、裏面には入力電極21と出力電極22が所定の間隔を持って形成され、表面には当該入力電極21と出力電極22に対応する1つの共通電極23が形成されている。入力電極21と出力電極22の長辺の中間部分からは、互いに離れる方向にそれぞれ第1の引出電極21a,第2の引出電極22aが延びており、当該引出電極21a,22aは水晶振動板の対向する角部分に延出されている。またこれら引出電極21a,22aの途中から導出電極21c,22cが形成されている。当該各導出電極は水晶振動板の短辺方向に伸長し、端面において屈曲するとともに長辺方向に伸長し相互に近接して、橋絡容量Cを形成している。
【0028】
本実施の形態では導出電極21c,22cは引出電極が入出力電極と水晶振動板の短辺のほぼ中間部分から導出されているが、短辺まで延びた引出電極部分を導出電極形成の開始点としてもよい。本実施の形態によれば、入出力電極と共通電極からなる主電極で形成される振動領域から離れた位置を開始点として導出電極を形成することができる。このような構成により、導出電極形成による振動特性低下を防止することができるとともに、主電極の電極形状設計が容易に行うことができ、導出電極形成による信頼性低下を防止することができる。
【0029】
本発明による第3の実施の形態を、図7、図8とともに説明する。図7は第3の実施の形態を示す水晶振動板の一方面の平面図であり、図8は導出電極の構成を異ならせた実施の形態を示す水晶振動板の一方面の平面図である。水晶振動板2は厚さが均一な平板状のATカット水晶板からなり、裏面には入力電極21と出力電極22が所定の間隔を持って形成され、表面には当該入力電極21と出力電極22に対応する1つの共通電極23が形成されている。
【0030】
引出電極から導出電極が入出力電極に延びて近接し、橋絡容量Cを形成している。より具体的には、引出電極21aと引出電極22aの水晶振動板の短辺まで伸長した部分から導出電極21dと導出電極22dを形成し、入力電極と出力電極の配列方向に沿ってそれぞれ他極の入力電極または出力電極まで延出する。これにより導出電極21dの先端部分と出力電極22間で橋絡容量C1を形成するとともに、導出電極22dの先端部分と出力電極21間で橋絡容量C2を形成することになり、本水晶フィルタに形成された橋絡容量CはC1とC2を合計した値となる。なお、当該橋絡容量C1,C2はいずれか一方のみの構成としてもよい。
【0031】
また図8に示すように導出電極の先端部分等に入出力電極側に突出する対向部を形成してもよい。より具体的には、引出電極21aと引出電極22aの水晶振動板の短辺まで伸長した部分からそれぞれ導出電極21eと導出電極22eを形成し、入力電極と出力電極の配列方向に沿ってそれぞれ他方の入力電極または出力電極まで延出する。各導出電極の先端部分にはそれぞれ対向部21f、22fを形成しており、入力電極21,出力電極22との近接部分をつくり、橋絡容量を創出している。また導出電極21eの入力電極との対向部分に対向部21gが、導出電極22eの入力電極との対向部分に対向部22gがそれぞれ形成され、対向部21fと出力電極22で橋絡容量C1を形成し、対向部22fと出力電極21で橋絡容量C2を形成しする。これら対向部21g、22gはそれぞれ対向部22f、21fとバランスを取るために形成しているが、形成しない構成とすることも可能である。
【0032】
本実施の形態によれば、比較的広い面積で対極の電極と橋絡容量を形成することができる。また図8に示す構成であれば、水晶振動板上において導出電極を入出力電極と離れた領域に形成し、対向部にて各入出力電極に近接させる構成であるので、導出電極による振動領域への弊害を極力抑制することができる。また、対向部21g,22gを設けることにより、電極形成の重みにおいてバランスを取ることができ、前述のツイスト振動等の不要振動を抑制することができる。
【0033】
なお、第3の実施の形態においては、全体として入出力電極間の中心に対し概ね点対称に各電極が配置されているので、電極形成における全体のバランスが取れ、この点からも前述のツイスト振動等の不要振動を抑制することができる。
【0034】
本発明による第4の実施の形態を、図9、図10とともに説明する。図9は本実施の形態を示す水晶振動板の一方面の平面図であり、図10が水晶振動板の断面図である。本実施の形態では第1の実施の形態に比べて、水晶振動板の構成並びに導出電極の構成が異なっている。
【0035】
水晶振動板4は周囲に厚肉部4bが形成されたATカット水晶板からなり、周囲以外の中央部分を含む領域は薄肉部4aとなっている。薄肉部4aの一方面には入力電極41と出力電極42が所定の間隔を持って形成され、他方面には当該入力電極41と出力電極42に対応する1つの共通電極43が形成されている。入力電極41と出力電極42の長辺の各端部からは、水晶振動板の長辺方向であって互いに離れる方向にそれぞれ引出電極41a,引出電極42aが延びており、当該引出電極41a,42aは水晶振動板の対向する角部分に延出されている。またこれら入力電極41と出力電極42からは上下方向すなわち短辺両方向に導出電極41b、41bおよび42b、42bが導出されて、他方面(反対面)に形成された共通電極形成領域を外れた薄肉部において、相互に近接し各々導出電極41bと42bにより橋絡容量C1,C2を形成している。なお、水晶振動板の薄肉領域においては表裏全体として対称構成を採用しており、例えば引出電極41a,42a,43aについてもほぼ同形状になるよう配置され、不要振動(スプリアス振動)を極力抑制することができる。
【0036】
特に水晶フィルタが超小型化を要求されるなかで、本例のように薄肉部の周囲に厚肉部を形成した構成においても、CI値を良好に保つために、入出力電極形成領域に対して薄肉部を広く形成する必要が出てきている。このような場合、薄肉部において電極の形成されない領域を利用して、導出電極を形成し橋絡容量を形成することにより限られたスペースを有効活用することができる利点もある。
【0037】
なお、本実施の形態においては各引出電極が薄肉部と厚肉部により形成される角部を通るが、比較的幅広に形成する等、電極切れ防止を考慮する必要がある。また厚肉部と薄肉部を有する構成は図10に示す構成のみならず、断面が逆凹形構成を採用することも可能である。さらに上記説明において2ポールタイプのモノリシック水晶フィルタを例示したが、3ポールあるいは4ポールの水晶フィルタに対しても同様に適用することができる。
【0038】
【発明の効果】
請求項1によれば、入力電極と出力電極を外部に引き出す引出電極とは別の電極である導出電極を形成し、これらを近接させることにより橋絡容量を形成する構成であるので、端子間の短絡事故を防止し、また所望の橋絡容量を得ることができる。よって、適切な橋絡容量の形成による電気的特性の向上した水晶フィルタを得ることができるとともに、橋絡容量形成のための導出電極による他の電気的性能を低下させることなく、信頼性高い水晶フィルタを得ることができる。
【0039】
また請求項2によれば、上記効果に付加して、導出電極形成による振動特性低下を防止することができるとともに、主電極の電極形状設計が容易に行うことができる。
【0040】
請求項3によれば、上記効果に付加して主電極すなわち入力電極または出力電極と導出電極間において、比較的大きな面積で対向することになり、橋絡容量を大きく得ることができ、電気的特性の調整能を向上させることができる。
【0041】
請求項4または5によれば、上記効果に付加して橋絡容量を構成する導出電極が同一厚み平板状部分に形成されるので、角部形成による電極切断事故が防止できる。また電極切断のおそれが少ないので導出電極は極力薄くすることができ、よって、フィルタの励振を阻害しにくくなる。
【0042】
請求項6によれば、対称形状に電極を配置することにより、水晶振動板に形成される重みのバランスがとれ、重みのアンバランスに基づくスプリアス振動の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態による水晶振動板の裏面図
【図2】第1の実施の形態による水晶振動板の表面図
【図3】第1の実施の形態による表面実装型水晶フィルタの平面図
【図4】図3のA−A線に沿う内部断面図。
【図5】減衰量特性を示す図。
【図6】第2の実施の形態における水晶振動板の平面図
【図7】第3の実施の形態における水晶振動板の平面図
【図8】第3の実施の形態における他の例を示す図
【図9】第4の実施の形態における水晶振動板の平面図
【図10】第4の実施の形態における水晶振動板の断面図
【符号の説明】
1 セラミックパッケージ
10 堤部
11 金属シール部
12a,12b,12c,12d 電極パッド
13a,13b,136c,13d、13e,13f キャスタレーション
2 水晶振動板(圧電振動板)
21,41 入力電極
22,42 出力電極
21a,22a,23a,41a,42a,43a 引出電極
21b,22b,41b,42b 導出電極
3 金属フタ
【発明の属する技術分野】
本発明は電子機器等に用いられる水晶フィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器例えば携帯情報端末等の移動体通信機は、単なる通信機能のみならず様々な付加機能が組み込まれ、かつ小型化が進んでいる。この中に用いられる水晶フィルタもさらなる小型化が求められており、水晶フィルタ自体の構成並びに製造面においても小型化に対応するとともに、信頼性の確保も求められている。
【0003】
水晶フィルタにおいては、水晶振動板に形成される電極設計により、各種スプリアスを抑制する工夫が多くなされているが、小型化が進むとこの電極設計が困難になるとともに、各電極間の周波数バランスや周波数帯域特性の調整を限られた狭い領域で行わざるを得なくなっていた。
【0004】
また水晶フィルタをIFフィルタとして通信機に用いた際のイメージ周波数近傍の保証減衰量特性も考慮する必要があり、これについては特開平9−284092号公報に開示されている。同公報には薄肉の振動部とその周囲の厚肉の環状囲繞部とを有する圧電基板からなり、振動部には分割電極と裏面全面電極を形成するとともに、分割電極から導出されたボンディング用電極を所定の間隔とし、入出力電極間に橋絡容量を創出した構成が開示されている。当該構成により減衰極をイメージ周波数のマイナス側に合致させることができ、高減衰量を得ることができる。
【0005】
上記構成では、分割電極から導出されたボンディング電極(引出電極)を近接させることにより、所定の橋絡容量を得るものであるが、このような構成であるとボンディング電極間の短絡すなわち端子間の短絡を招くことがある。また上記従来構成では全体として圧電基板が逆凹型の構成であり、上面に分割電極を形成した構成である。このように圧電基板に厚さの異なる領域があり、当該領域に電極を引き出す場合電極切れの問題を考慮する必要がある。すなわち、上記特開平9−284092号公報においては薄肉の振動部とその周囲の厚肉の環状囲繞部とを有する圧電基板からなり、振動部には分割電極と裏面全面電極を形成するとともに、これを圧電基板の外周に引き出す場合引出電極は角部を複数回通ることになり、角部による電極切れの生じる可能性がある。一般に引出電極等の振動に直接寄与しない電極は、振動を抑制しないよう必要な導通が確保できる程度に極力細く設計されるが、角部に引出電極が形成されることにより、当該電極が切れて短絡事故が増加するおそれがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、適切な橋絡容量の形成による電気的特性の向上した水晶フィルタを提供するとともに、橋絡容量形成のための導出電極による信頼性低下を防止することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は請求項1に示すように、一方の面に入力電極と出力電極を形成し、他方の面に当該入力電極と出力電極に対応した共通電極を形成するとともに、前記入力電極と出力電極と共通電極から各々電極を水晶振動板端部に引き出す引出電極を形成した水晶フィルタであって、前記入力電極と出力電極から各々細幅の導出電極を延出し、これら各導出電極を水晶振動板の同一平面上で近接させることにより、橋絡容量を形成したことを特徴としている。
【0008】
請求項1によれば、入力電極と出力電極を外部に引き出す引出電極とは別の電極である導出電極を形成し、これらを近接させることにより橋絡容量を形成する構成であるので、端子間の短絡事故を防止し、また所望の橋絡容量を得ることができる。
【0009】
また、請求項2に示すように、一方の面に入力電極と出力電極を形成し、他方の面に当該入力電極と出力電極に対応した共通電極を形成するとともに、前記入力電極と出力電極と共通電極から各々電極を水晶振動板端部に引き出す引出電極を形成した水晶フィルタであって、前記入力電極と出力電極の引出電極から各々細幅の導出電極を延出し、水晶振動板の同一平面上で近接させることにより橋絡容量を形成したことを特徴としている。
【0010】
このように引出電極から導出電極を形成することにより、入出力電極と共通電極からなる主電極で形成される振動領域から離れた位置を開始点として導出電極を形成することができる。このような構成により、導出電極形成による振動特性低下を防止することができるとともに、主電極の電極形状設計が容易に行うことができる。
【0011】
また請求項3に示すように、一方の面に入力電極と出力電極を形成し、他方の面に当該入力電極と出力電極に対応した共通電極を形成するとともに、前記入力電極と出力電極と共通電極から各々電極を水晶振動板端部に引き出す引出電極を形成した水晶フィルタであって、前記入力電極と出力電極の少なくとも1つの引出電極から少なくとも1つの細幅の導出電極を延出し、他方の入力電極または出力電極に近接させることにより橋絡容量を形成した構成としてもよい。導出電極は入出力電極各々から導出し、各々対極の入力電極または出力電極に近接させてもよいし、入力電極または出力電極の一方のみの導出電極を対極の入力電極または出力電極に近接させてもよい。
【0012】
請求項3によれば、主電極すなわち入力電極または出力電極と導出電極間において、比較的大きな面積で対向することになり、橋絡容量を大きく得ることができる。
【0013】
なお、請求項4に示すように、水晶振動板に形成される入出力電極、共通電極引出電極、導出電極等の各電極を水晶振動板の同一厚み領域に形成するとよい。水晶振動板は厚さが均一な平板構成のものであってもよいし、請求項5に示すように、水晶振動板は中央部分に薄肉部を形成するとともに、当該薄肉部の周囲に厚肉部を形成した構成であり、薄肉部に入力電極、出力電極、共通電極および導出電極と橋絡容量が形成されている構成であってもよい。この場合、引出電極は薄肉部と厚肉部により形成される角部を通るが、比較的幅広に形成することにより、電極切れを防止することができる。
【0014】
請求項4または5によれば、橋絡容量を構成する導出電極が同一厚み平板状部分に形成されるので、角部形成による電極切断事故が防止できる。また電極切断のおそれが少ないので導出電極は極力薄くしたり細くすることができ、よって、フィルタの励振を阻害しにくくなる。
【0015】
請求項6に示すように、前記導出電極が、対向する入力電極と出力電極間を中心とする点対称構成、または前記中心を通り縦または横に延びる線(例えば矩形水晶振動板の短辺または長辺方向に延びる線)を中心線とする線対称形状に構成してもよい。
【0016】
対称形状に電極を配置することにより、水晶振動板に形成される重みのバランスがとれ、重みのアンバランスに基づくスプリアス振動、例えば特願2001−386546号で開示したような、水晶振動案の主面に沿うねじれ方向の振動、すなわちツイスト振動等の発生を抑制できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明による第1の実施の形態を表面実装型の水晶フィルタを例にとり、図1乃至図4とともに説明する。図1は本実施の形態を示す水晶振動板の一方面の平面図であり、図2は図1の他方面の平面図であり、図3はパッケージに収納した平面図であり、図4は金属フタにて気密封止した状態における図3のA−A断面図である。なお、図4においては水晶振動板上の電極の表示は省略している。表面実装型水晶フィルタは、全体として直方体形状で、上部が開口した凹部を有するセラミックパッケージ1と、当該パッケージの中に収納される圧電振動素子である矩形水晶振動板2と、パッケージの開口部に接合される金属フタ3とからなる。
【0018】
水晶振動板2は厚さが均一な平板状のATカット水晶板からなり、表裏にモノリシック水晶フィルタを構成する電極が形成されている。すなわち、裏面には入力電極21と出力電極22が所定の間隔を持って形成され、表面には当該入力電極21と出力電極22に対応する1つの共通電極23が形成されている。
【0019】
入力電極21と出力電極22の長辺の中間部分からは、互いに離れる方向にそれぞれ第1の引出電極21a,第2の引出電極22aが延びており、当該引出電極21a,22aは水晶振動板の対向する角部分に延出されている。また入力電極21と出力電極22の短辺の端部からは導出電極21b,22bが形成され、当該導出電極は水晶振動板の短辺方向に延出した後長辺方向に屈曲し、相互に近接することにより橋絡容量Cを形成している。橋絡容量Cは導出電極の近接部分間tの距離や近接対向する電極面積を変化させることによりその値を調整することができる。
また共通電極23は引出電極23aにより水晶振動板端部に引き出されている。
【0020】
図5は橋絡容量を異ならせた場合の減衰量特性変化を示す模式図であるが、各引出電極の近接距離tを近づけ橋絡容量を増加させると図5中AまたはBで示すように減衰帯域幅が狭くなる方向に特性が変化する。逆に各引出電極の近接距離tを離し、橋絡容量を減少させると、図5中CまたはDで示すように減衰帯域幅が広くなる方向に特性が変化する。このような調整により、減衰極を創出するとともに、当該減衰極を所定の位置にスイープさせることができ、いわゆるイメージ周波数における減衰量を極小化することができる。なお、減衰帯域幅の広狭は要求される仕様により決定される。
【0021】
水晶振動板をパッケージに搭載した状態は図3と図4に示している。断面でみてセラミックパッケージ1は凹形であり、凹形周囲の堤部(側壁)10と当該堤部上面に形成される周状の金属シール部11とを有している。金属シール部11は、タングステン等からなるメタライズ層と、メタライズ層上に形成される金属膜層とからなる。金属膜層は例えばメタライズ層に接してニッケルメッキ層と、当該ニッケルメッキ層の上部に形成される極薄の金メッキ層とからなる。またコバール等の溶接用の金属リングを取り付けてもよい。
【0022】
当該セラミックパッケージ内部の4角には電極パッド12a,12b,12c,12dが形成され、それぞれパッケージ裏面あるいは後述のキャスタレーション形成部分に外部接続電極(一部図示せず)として導出されている。
【0023】
またセラミックパッケージの角部にはキャスタレーション13a,13b,13c,13dが形成されるとともに、側壁にもキャスタレーション13e,13fが形成されている。各キャスタレーションには内部に導体が形成され前述の外部接続電極の一部を構成している。当該導体は例えばタングステンによるメタライズ層の上部にニッケルメッキ、金メッキ等を施した構成である。
【0024】
図3,図4に示すように、電極が形成された前記水晶振動板を、裏面が前記電極パッド12a,12b,12c,12dに接触するようにセラミックパッケージに搭載し、導電接合材Sで電気的機械的に接続する。これにより共通電極23と引出電極23aがパッケージ開口側に位置する。従って、当該共通電極23に対して各電極間の周波数バランスを行う際は、裏面の入力電極21と出力電極22にそれぞれ対応する領域に、マスキング手段等を用いたパーシャル真空蒸着等により選択的に質量付加を行う。
【0025】
また周波数通過帯域特性の調整を行う際は、入力電極21と出力電極22間に対応する領域にパーシャル真空蒸着等による付加質量形成を行う。さらに中心周波数の調整においては、共通電極全面にパーシャル真空蒸着を行う。共通電極は単数構成でも複数構成でもよいが、複数構成の場合でも同極であるために両者間に短絡の問題が生じない。従って、調整作業に精度バラツキが生じてもこれを許容することができる。
【0026】
上述の必要な調整を完了した後、アニール等の安定化処理を行い、金属フタ3により気密封止する。金属フタ3は平板状のコバールを母材とし、その表面にニッケルメッキが施されている。前記金属シール部11上に前記金属フタ3を搭載し、この状態でシーム溶接やレーザー等のビーム溶接、あるいはろう接により金属フタと金属シール部を溶融させ、気密封止する。
【0027】
本発明による第2の実施の形態を、図6とともに説明する。図6は本実施の形態を示す水晶振動板の一方面の平面図である。本実施の形態では第1の実施の形態に比べて、導出電極の構成が異なっている。水晶振動板2は厚さが均一な平板状のATカット水晶板からなり、裏面には入力電極21と出力電極22が所定の間隔を持って形成され、表面には当該入力電極21と出力電極22に対応する1つの共通電極23が形成されている。入力電極21と出力電極22の長辺の中間部分からは、互いに離れる方向にそれぞれ第1の引出電極21a,第2の引出電極22aが延びており、当該引出電極21a,22aは水晶振動板の対向する角部分に延出されている。またこれら引出電極21a,22aの途中から導出電極21c,22cが形成されている。当該各導出電極は水晶振動板の短辺方向に伸長し、端面において屈曲するとともに長辺方向に伸長し相互に近接して、橋絡容量Cを形成している。
【0028】
本実施の形態では導出電極21c,22cは引出電極が入出力電極と水晶振動板の短辺のほぼ中間部分から導出されているが、短辺まで延びた引出電極部分を導出電極形成の開始点としてもよい。本実施の形態によれば、入出力電極と共通電極からなる主電極で形成される振動領域から離れた位置を開始点として導出電極を形成することができる。このような構成により、導出電極形成による振動特性低下を防止することができるとともに、主電極の電極形状設計が容易に行うことができ、導出電極形成による信頼性低下を防止することができる。
【0029】
本発明による第3の実施の形態を、図7、図8とともに説明する。図7は第3の実施の形態を示す水晶振動板の一方面の平面図であり、図8は導出電極の構成を異ならせた実施の形態を示す水晶振動板の一方面の平面図である。水晶振動板2は厚さが均一な平板状のATカット水晶板からなり、裏面には入力電極21と出力電極22が所定の間隔を持って形成され、表面には当該入力電極21と出力電極22に対応する1つの共通電極23が形成されている。
【0030】
引出電極から導出電極が入出力電極に延びて近接し、橋絡容量Cを形成している。より具体的には、引出電極21aと引出電極22aの水晶振動板の短辺まで伸長した部分から導出電極21dと導出電極22dを形成し、入力電極と出力電極の配列方向に沿ってそれぞれ他極の入力電極または出力電極まで延出する。これにより導出電極21dの先端部分と出力電極22間で橋絡容量C1を形成するとともに、導出電極22dの先端部分と出力電極21間で橋絡容量C2を形成することになり、本水晶フィルタに形成された橋絡容量CはC1とC2を合計した値となる。なお、当該橋絡容量C1,C2はいずれか一方のみの構成としてもよい。
【0031】
また図8に示すように導出電極の先端部分等に入出力電極側に突出する対向部を形成してもよい。より具体的には、引出電極21aと引出電極22aの水晶振動板の短辺まで伸長した部分からそれぞれ導出電極21eと導出電極22eを形成し、入力電極と出力電極の配列方向に沿ってそれぞれ他方の入力電極または出力電極まで延出する。各導出電極の先端部分にはそれぞれ対向部21f、22fを形成しており、入力電極21,出力電極22との近接部分をつくり、橋絡容量を創出している。また導出電極21eの入力電極との対向部分に対向部21gが、導出電極22eの入力電極との対向部分に対向部22gがそれぞれ形成され、対向部21fと出力電極22で橋絡容量C1を形成し、対向部22fと出力電極21で橋絡容量C2を形成しする。これら対向部21g、22gはそれぞれ対向部22f、21fとバランスを取るために形成しているが、形成しない構成とすることも可能である。
【0032】
本実施の形態によれば、比較的広い面積で対極の電極と橋絡容量を形成することができる。また図8に示す構成であれば、水晶振動板上において導出電極を入出力電極と離れた領域に形成し、対向部にて各入出力電極に近接させる構成であるので、導出電極による振動領域への弊害を極力抑制することができる。また、対向部21g,22gを設けることにより、電極形成の重みにおいてバランスを取ることができ、前述のツイスト振動等の不要振動を抑制することができる。
【0033】
なお、第3の実施の形態においては、全体として入出力電極間の中心に対し概ね点対称に各電極が配置されているので、電極形成における全体のバランスが取れ、この点からも前述のツイスト振動等の不要振動を抑制することができる。
【0034】
本発明による第4の実施の形態を、図9、図10とともに説明する。図9は本実施の形態を示す水晶振動板の一方面の平面図であり、図10が水晶振動板の断面図である。本実施の形態では第1の実施の形態に比べて、水晶振動板の構成並びに導出電極の構成が異なっている。
【0035】
水晶振動板4は周囲に厚肉部4bが形成されたATカット水晶板からなり、周囲以外の中央部分を含む領域は薄肉部4aとなっている。薄肉部4aの一方面には入力電極41と出力電極42が所定の間隔を持って形成され、他方面には当該入力電極41と出力電極42に対応する1つの共通電極43が形成されている。入力電極41と出力電極42の長辺の各端部からは、水晶振動板の長辺方向であって互いに離れる方向にそれぞれ引出電極41a,引出電極42aが延びており、当該引出電極41a,42aは水晶振動板の対向する角部分に延出されている。またこれら入力電極41と出力電極42からは上下方向すなわち短辺両方向に導出電極41b、41bおよび42b、42bが導出されて、他方面(反対面)に形成された共通電極形成領域を外れた薄肉部において、相互に近接し各々導出電極41bと42bにより橋絡容量C1,C2を形成している。なお、水晶振動板の薄肉領域においては表裏全体として対称構成を採用しており、例えば引出電極41a,42a,43aについてもほぼ同形状になるよう配置され、不要振動(スプリアス振動)を極力抑制することができる。
【0036】
特に水晶フィルタが超小型化を要求されるなかで、本例のように薄肉部の周囲に厚肉部を形成した構成においても、CI値を良好に保つために、入出力電極形成領域に対して薄肉部を広く形成する必要が出てきている。このような場合、薄肉部において電極の形成されない領域を利用して、導出電極を形成し橋絡容量を形成することにより限られたスペースを有効活用することができる利点もある。
【0037】
なお、本実施の形態においては各引出電極が薄肉部と厚肉部により形成される角部を通るが、比較的幅広に形成する等、電極切れ防止を考慮する必要がある。また厚肉部と薄肉部を有する構成は図10に示す構成のみならず、断面が逆凹形構成を採用することも可能である。さらに上記説明において2ポールタイプのモノリシック水晶フィルタを例示したが、3ポールあるいは4ポールの水晶フィルタに対しても同様に適用することができる。
【0038】
【発明の効果】
請求項1によれば、入力電極と出力電極を外部に引き出す引出電極とは別の電極である導出電極を形成し、これらを近接させることにより橋絡容量を形成する構成であるので、端子間の短絡事故を防止し、また所望の橋絡容量を得ることができる。よって、適切な橋絡容量の形成による電気的特性の向上した水晶フィルタを得ることができるとともに、橋絡容量形成のための導出電極による他の電気的性能を低下させることなく、信頼性高い水晶フィルタを得ることができる。
【0039】
また請求項2によれば、上記効果に付加して、導出電極形成による振動特性低下を防止することができるとともに、主電極の電極形状設計が容易に行うことができる。
【0040】
請求項3によれば、上記効果に付加して主電極すなわち入力電極または出力電極と導出電極間において、比較的大きな面積で対向することになり、橋絡容量を大きく得ることができ、電気的特性の調整能を向上させることができる。
【0041】
請求項4または5によれば、上記効果に付加して橋絡容量を構成する導出電極が同一厚み平板状部分に形成されるので、角部形成による電極切断事故が防止できる。また電極切断のおそれが少ないので導出電極は極力薄くすることができ、よって、フィルタの励振を阻害しにくくなる。
【0042】
請求項6によれば、対称形状に電極を配置することにより、水晶振動板に形成される重みのバランスがとれ、重みのアンバランスに基づくスプリアス振動の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態による水晶振動板の裏面図
【図2】第1の実施の形態による水晶振動板の表面図
【図3】第1の実施の形態による表面実装型水晶フィルタの平面図
【図4】図3のA−A線に沿う内部断面図。
【図5】減衰量特性を示す図。
【図6】第2の実施の形態における水晶振動板の平面図
【図7】第3の実施の形態における水晶振動板の平面図
【図8】第3の実施の形態における他の例を示す図
【図9】第4の実施の形態における水晶振動板の平面図
【図10】第4の実施の形態における水晶振動板の断面図
【符号の説明】
1 セラミックパッケージ
10 堤部
11 金属シール部
12a,12b,12c,12d 電極パッド
13a,13b,136c,13d、13e,13f キャスタレーション
2 水晶振動板(圧電振動板)
21,41 入力電極
22,42 出力電極
21a,22a,23a,41a,42a,43a 引出電極
21b,22b,41b,42b 導出電極
3 金属フタ
Claims (6)
- 一方の面に入力電極と出力電極を形成し、他方の面に当該入力電極と出力電極に対応した共通電極を形成するとともに、前記入力電極と出力電極と共通電極から各々電極を水晶振動板端部に引き出す引出電極を形成した水晶フィルタであって、
前記入力電極と出力電極から各々細幅の導出電極を延出し、これら各導出電極を水晶振動板の同一平面上で近接させることにより、橋絡容量を形成したことを特徴とする水晶フィルタ。 - 一方の面に入力電極と出力電極を形成し、他方の面に当該入力電極と出力電極に対応した共通電極を形成するとともに、前記入力電極と出力電極と共通電極から各々電極を水晶振動板端部に引き出す引出電極を形成した水晶フィルタであって、
前記入力電極と出力電極の各引出電極から各々細幅の導出電極を延出し、水晶振動板の同一平面上で近接させることにより橋絡容量を形成したことを特徴とする水晶フィルタ。 - 一方の面に入力電極と出力電極を形成し、他方の面に当該入力電極と出力電極に対応した共通電極を形成するとともに、前記入力電極と出力電極と共通電極から各々電極を水晶振動板端部に引き出す引出電極を形成した水晶フィルタであって、
前記入力電極と出力電極の少なくとも1つの引出電極から少なくとも1つの細幅の導出電極を延出し、他方の入力電極または出力電極に近接させることにより橋絡容量を形成したことを特徴とする水晶フィルタ。 - 前記各電極が水晶振動板が同一の厚さ領域に形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の水晶フィルタ。
- 水晶振動板は中央部分に薄肉部を形成するとともに、当該薄肉部の周囲に厚肉部を形成した構成であり、薄肉部に入力電極と出力電極と共通電極および導出電極と橋絡容量が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の水晶フィルタ。
- 前記導出電極が、対向する入力電極と出力電極間を中心とする点対称構成、または前記中心を通り縦または横に延びる線を中心線とする線対称形状であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の水晶フィルタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002204920A JP2004048516A (ja) | 2002-07-12 | 2002-07-12 | 水晶フィルタ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002204920A JP2004048516A (ja) | 2002-07-12 | 2002-07-12 | 水晶フィルタ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004048516A true JP2004048516A (ja) | 2004-02-12 |
Family
ID=31710353
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002204920A Pending JP2004048516A (ja) | 2002-07-12 | 2002-07-12 | 水晶フィルタ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004048516A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7414497B2 (en) | 2005-06-20 | 2008-08-19 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | Piezoelectric thin-film filter |
JP4802184B2 (ja) * | 2005-01-28 | 2011-10-26 | 京セラ株式会社 | 圧電発振素子及びそれを用いた圧電発振部品 |
-
2002
- 2002-07-12 JP JP2002204920A patent/JP2004048516A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4802184B2 (ja) * | 2005-01-28 | 2011-10-26 | 京セラ株式会社 | 圧電発振素子及びそれを用いた圧電発振部品 |
US7414497B2 (en) | 2005-06-20 | 2008-08-19 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | Piezoelectric thin-film filter |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4636018B2 (ja) | 圧電振動素子用パッケージ及び圧電振動子 | |
JP6617810B2 (ja) | 圧電振動デバイス | |
TWI479707B (zh) | 表面安裝石英振盪子及其製造方法 | |
JP6252209B2 (ja) | 圧電振動片および当該圧電振動片を用いた圧電デバイス | |
JPWO2016199645A1 (ja) | 圧電振動デバイス | |
JP4548012B2 (ja) | 圧電振動デバイス | |
WO2011010521A1 (ja) | 表面実装用水晶振動子 | |
JP2008066921A (ja) | 圧電振動子 | |
CN108352820B (zh) | 压电振动器件 | |
WO2018042994A1 (ja) | 水晶振動板、及び水晶振動デバイス | |
JP2005303825A (ja) | 水晶フィルタ | |
JP2004048516A (ja) | 水晶フィルタ | |
JP2010021613A (ja) | 圧電振動デバイス | |
WO2021059731A1 (ja) | 圧電振動板、圧電振動デバイス、及び、圧電振動デバイスの製造方法 | |
WO2015115388A1 (ja) | 圧電デバイス用パッケージ及び圧電デバイス | |
JP3436251B2 (ja) | 表面実装型水晶フィルタの製造方法 | |
JP2008066912A (ja) | 圧電振動デバイス | |
JP2020065223A (ja) | 音叉型圧電振動片および当該音叉型圧電振動片を用いた音叉型圧電振動子 | |
JP2015177335A (ja) | 圧電デバイス用パッケージ及び圧電デバイス | |
TWI817286B (zh) | 壓電振動裝置 | |
JP3729090B2 (ja) | 圧電フィルタ | |
JP2016181880A (ja) | 圧電振動デバイス | |
WO2022255113A1 (ja) | 圧電振動板および圧電振動デバイス | |
JP2010213134A (ja) | 圧電振動デバイス | |
JP2010129564A (ja) | 電子部品パッケージ、及び圧電振動子 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040414 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060412 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20060515 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070115 |