JP2004045044A - 6軸力覚センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】使用する歪ゲージの総数を減らすことで、チップの小型化、高感度化、消費電力の低減を可能とする6軸力覚センサを提供する。
【解決手段】外端部を台座2に固定されたセンサ基部3と、該センサ基部の略中央部に設けられ、外部から力が加えられる力作用部4と、前記センサ基部上に設けられ、前記センサ基部に生じる歪を検知する歪ゲージ5と、該歪ゲージの抵抗変化を測定するブリッジ回路とを具備し、前記力作用部に加えられた力を、前記センサ基部上面において互いに直交する第1軸及び第2軸と、前記センサ基部に直交する第3軸について、各軸方向への力、及び各軸回りのモーメントの6つの軸力に分けて検出する6軸力覚センサにおいて、センサ基部の上面を、シリコン半導体の面方位(111)の結晶面とした。
【選択図】 図1
【解決手段】外端部を台座2に固定されたセンサ基部3と、該センサ基部の略中央部に設けられ、外部から力が加えられる力作用部4と、前記センサ基部上に設けられ、前記センサ基部に生じる歪を検知する歪ゲージ5と、該歪ゲージの抵抗変化を測定するブリッジ回路とを具備し、前記力作用部に加えられた力を、前記センサ基部上面において互いに直交する第1軸及び第2軸と、前記センサ基部に直交する第3軸について、各軸方向への力、及び各軸回りのモーメントの6つの軸力に分けて検出する6軸力覚センサにおいて、センサ基部の上面を、シリコン半導体の面方位(111)の結晶面とした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、ロボットの力覚量検出や、流体場における微小物体の抗力検出に用いられる、互いに直交する3軸方向への力、及び各軸回りのモーメントを検出する6軸力覚センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ロボットの指先部分に加わる力覚量を検出したり、乱流中の微小物体に作用する力を検出したりする際には、微小な力やモーメントを検出できるセンサが必要とされる。このように微小な力やモーメントを検出するためには、半導体の持つ高いピエゾ抵抗効果を利用した力覚センサが一般に用いられており、特に、互いに直交する3軸について、各軸方向への力と各軸回りのモーメントを検出する、6軸力覚センサが広く用いられている。
【0003】
以下、図9により、十字型ビーム構造を有する従来の6軸力覚センサについて説明する。6軸力覚センサ13は、n型シリコン半導体であるセンサ基部3上面の24箇所に48個のp型の通常型歪ゲージ5aを設け、該センサ基部3を不図示の起歪体の上面に固着することにより形成されている。この時、力やモーメントの作用により各通常型歪ゲージ5aに生じる抵抗の変化をまとめたものが表2である。表2において、「+」は抵抗の増加を、「−」は抵抗の減少を、また「0」は抵抗の変化が無いことを示している。さらに、力及びモーメントの各成分を測定するために、図10に示すブリッジ回路14が形成されており、r1乃至r4は、表3に示すR1乃至R24の各組み合わせにより構成されている。
【0004】
【表2】
【0005】
【表3】
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記のような十字型ビーム構造を有する従来の6軸力覚センサ13は、6軸力を検出するために、前記センサ基部3上面の24箇所に総数48個の通常型通常型歪ゲージ5aを配置する必要があるため、前記センサ基部3の幅が広くなり、この前記6軸力覚センサ13を組み込んだチップを製作した場合、そのチップの大きさは2×2cm(縦×横)となり、チップの小型化には不適である、という問題点がある。また、電気回路が複雑となり、その結果、消費電力が多くなる、という問題点もある。
【0007】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、センサ基部の上面を、シリコン半導体の面方位(111)の結晶面とし、前記第3軸回りのモーメントを検出するために、せん断型歪ゲージを用いると共に、歪ゲージを前記センサ基板上に新規な配列方法により配置し、適切な測定回路を構築することにより、使用する歪ゲージの総数を減らし、その結果として、チップの小型化、高感度化、消費電力の低減を可能とする6軸力覚センサを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を解決するための具体的手段は、次のようなものである。すなわち、請求項1に記載する発明は、外端部を台座に固定されたセンサ基部と、該センサ基部の略中央部に設けられ、外部から力が加えられる力作用部と、前記センサ基部上に設けられ、前記センサ基部に生じる歪を検知する歪ゲージと、該歪ゲージの抵抗変化を測定するブリッジ回路とを具備し、前記力作用部に加えられた力を、前記センサ基部上面において互いに直交する第1軸及び第2軸と、前記センサ基部に直交する第3軸について、各軸方向への力、及び各軸回りのモーメントの6つの軸力に分けて検出する6軸力覚センサにおいて、前記センサ基部の上面を、シリコン半導体の面方位(111)の結晶面としたことを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載する発明は、請求項1に記載する構成において、前記センサ基部上に、前記第1軸方向に沿って、前記第1軸方向への力を検出する少なくとも1対の通常型歪ゲージを設けたことを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載する発明は、請求項2に記載する構成において、前記第1軸方向への力を検出する前記通常型歪ゲージは、前記第2軸回りのモーメント作用時に生じる前記センサ基部の変形における変曲点上に位置することを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載する発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載する構成において、前記センサ基部上に、前記第2軸方向に沿って、前記第2軸方向への力を検出する少なくとも1対の通常型歪ゲージを設けたことを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載する発明は、請求項4に記載する構成において、前記第2軸方向への力を検出する前記通常型歪ゲージは、前記第1軸回りのモーメント作用時に生じる前記センサ基部の変形における変曲点上に位置することを特徴としている。
【0013】
請求項6に記載する発明は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載する構成において、前記センサ基部上に、前記第1軸と前記第2軸のいずれか一方に沿って、前記第3軸方向への力を検出する少なくとも2対の通常型歪ゲージを設けたことを特徴としている。
【0014】
請求項7に記載する発明は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載する構成において、前記センサ基部上に、前記第2軸方向に沿って、前記第1軸回りのモーメントを検出する少なくとも2対の通常型歪ゲージを設けたことを特徴としている。
【0015】
請求項8に記載する発明は、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載する構成において、前記センサ基部上に、前記第1軸方向に沿って、前記第2軸回りのモーメントを検出する少なくとも2対の通常型歪ゲージを設けたことを特徴としている。
【0016】
請求項9に記載する発明は、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載する構成において、前記センサ基部上に、前記第1軸と前記第2軸のいずれか一方に沿って、前記第3軸回りのモーメントを検出するせん断型歪ゲージを設けたことを特徴としている。
【0017】
請求項10に記載する発明は、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載する構成において、前記第1軸、及び前記第2軸を、力及びモーメントの各々について、歪ゲージが等しい感度を有する2つの直交する結晶方位のいずれか一方と他方に沿って定めたことを特徴としている。
【0018】
請求項11に記載する発明は、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載する構成において、前記センサ基部が、略十字型の横断面形状を有することを特徴としている。
【0019】
請求項12に記載する発明は、請求項11に記載する構成において、前記通常型歪ゲージ及び前記せん断型歪ゲージは、前記センサ基部の幅方向中央部に設けたことを特徴としている。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る6軸力覚センサ1を図面に基づいて説明する。尚、従来技術と同一構成部材については、同じ番号を用いて説明を省略する。図1及び図2に示すように、本発明の実施形態に係る6軸力覚センサ1は、十字型ビーム構造を有し、外端部を台座2に固定されたセンサ基部3と、該センサ基部3の略中央部に設けられ、外部から力が加えられる力作用部4と、前記センサ基部3上に設けられ、前記センサ基部3に生じる歪を検知する歪ゲージ5と、該歪ゲージ5の抵抗変化を測定するブリッジ回路6とを具備している。
【0021】
また、図2に示すように、前記力作用部4の中央を原点とし、結晶方位<110>方向にx軸を、<112>方向にy軸を、<111>方向にz軸を有する座標系を定めた。もちろん、これとは逆に<110>方向にy軸を、<112>方向にx軸を定めても構わないし、正負の向きを逆にしても構わない。また、各軸方向の力をFx、Fy、Fzとし、各軸回りのモーメントをMx、My、Mzとした。以下、更に詳細に説明する。
【0022】
前記センサ基部3としては、面方位が(111)の単結晶シリコンを用いている。シリコンの結晶面としては、(100)、(110)、(111)面の3種が代表的なものとして知られているが、(100)面と(110)面については、Fx、Fy、Fz、Mx、Myに対する感度は有するが、Mzに対する感度がなく検出することができない。この点において、前記(111)面は、その面上の全方向について等方的に感度があるという特徴があり、Mzに対しても、また他の5軸力に対しても感度を有するので、6軸力全てについて独立して検出することが可能である、という利点がある。
【0023】
前記十字型ビーム構造とは、前記センサ基部3がビーム状の形状を有し、互いに直交する2方向へ伸びる2本の前記センサ基部3が、各々の上面が同一平面を形成するように、その長手方向中央部において交差した構造を指している。この前記センサ基部3の形状はこれに限られたものではなく、円形や矩形等であっても構わない。しかし、このような形状にした場合、前記6軸力覚センサ1全体の、引圧・曲げ・ねじり剛性が高くなるので、引圧・曲げ・ねじり成分に対する前記6軸力覚センサ1の感度は悪くなる。また、2本の前記センサ基部3の形状をより細く、より薄くすることにより、前記センサ基部3の引圧・曲げ・ねじり剛性が低くなり、引圧・曲げ・ねじり成分に対する前記6軸力覚センサ1の感度を良くすることが可能である。
【0024】
本実施形態の場合、2本の前記センサ基部3は、結晶方位<110>、及び<112>の2つの方向に沿って形成されている。これは、この方向には多軸感度がなく、6軸力を検出するために必要な感度を歪ゲージが有することができる方位だからである。
【0025】
6軸力覚センサ1の実際の利用に際しては、図7に示すように、前記力作用部4上に、力伝達部材7を固着して用いる。外部から作用する力やモーメントは、該力伝達部材7を経由して前記力作用部4に伝えられる。これにより、力覚センサや流体抗力センサとしての利用が可能となる。
【0026】
図7における、2本の前記センサ基部3の寸法、及びチップ8全体の寸法の決定方法としては、まず、力やモーメントの作用すると予測される領域、必要とされる感度、シリコンのピエゾ抵抗効果、非座屈条件、及び配線のために必要な前記センサ基部3の幅等を考慮して、モデルを作成し、このモデルについて有限要素法による数値解析を行えばよい。本実施形態の場合、前記センサ基部3の寸法を、500×120×40μm3(縦×横×高さ)に、またチップ8全体の寸法を3000×3000×400μm3と定めた。
【0027】
前記歪ゲージ5は、16個の通常型歪ゲージ5aと、2個のせん断型歪ゲージ5bで構成され、該通常型歪ゲージ5aは、全てを同一の設計とし、また前記せん断型歪ゲージ5bについても同一の設計としている。ここで、前記通常型歪ゲージ5aとは、縦方向の垂直応力と横方向の垂直応力により前記歪ゲージ5に生じる抵抗変化を測定する2端子型のものであり、前記せん断型歪ゲージ5bとは、せん断応力により、前記歪ゲージ5の入力電圧端子に対して直交方向に存在する出力端子間に生じる電圧を測定する4端子型のものである。前記各歪ゲージ5は、n型シリコン半導体である前記センサ基部3の表面に、III族元素であるホウ素を不純物拡散することにより強制的にp型に転換し、p型シリコン半導体の部分を他の部分から電気的に絶縁することにより形成している。
【0028】
前記歪ゲージ5は、図2に示す配列で前記各センサ基部3上に配置した。これは、前記有限要素法解析によって得られた応力分布状態に基づき、測定対象とする各軸力に対する感度を最も良くするように、また、他の軸力の影響を排除できるように定めている。ここで、全ての前記歪ゲージ5は、前記各センサ基部3の幅方向中央部に位置し、x軸に沿う前記センサ基部3上に設けた歪ゲージ5はその主軸がx軸方向、すなわち結晶方位<110>に沿うように、また、y軸に沿う前記センサ基部3上に設けた歪ゲージ5は、その主軸がy軸方向、すなわち結晶方位<112>に沿うように一列に配置している。
【0029】
x軸方向の力Fxを検出する2個の歪ゲージ、RFx1、及びRFx2は前記通常型歪ゲージ5aを用いており、x軸に沿う前記センサ基部3上に、図2に示すように、センサ中心に対して略対称な位置に設けられている。また、その配置位置は、図3(a)、及び図3(b)に示すように、y軸回りのモーメントMyが作用した時の、x軸に沿う前記センサ基部3の変形における、引張領域と圧縮領域の境界である変曲点9上であり、これにより、前記RFx1、及びRFx2が前記Myの作用に対し影響を受けないよう設計されている。ここで、図3は、軸力Fx、My、Fzが作用した時の、x軸方向に沿う前記センサ基部3の変形の様子を、その側面から見て模式的に示したものであり、前記センサ基部3の両端部は前記台座2に固定されている。また、前記センサ基部3の中央部は実際にはある面積を有するが、便宜的に点としている。また、図3において、(+)は、前記歪ゲージ5に引張歪が発生して抵抗が増加することを、(−)は、前記歪ゲージ5に圧縮歪が発生して抵抗が減少することを、(0)は、抵抗の変化が無いことを、また(=)は、ある1つの前記ブリッジ回路6を構成する前記歪ゲージ5が、符号も大きさも等しい抵抗の変化を示すことを表している。ところで、前述した引張領域と圧縮領域とは、力の作用する向きにより逆になることもあるのは言うまでもなく、以下も同様の意で使用する。また、以上のことは、y軸方向の力Fyを検出するために、y軸に沿う前記センサ基部3上に設けた2個の歪ゲージ、RFy1、及びRFy2に関しても同様である。
【0030】
y軸回りのモーメントMyを検出する4個の歪ゲージ、RMy1乃至RMy4は、前記通常型歪ゲージ5aを用いており、x軸に沿う前記センサ基部3上に、図2に示す配列で設けられている。ここで、図3(b)に示すように、前記Myが作用した時の、x軸に沿う前記センサ基部3の変形において、RMy1は引張領域に位置し、RMy2は圧縮領域に位置しており、さらに、センサ中心に対して略対称な位置にRMx3とRMx4を設けている。この配置位置は、他の軸力に対する挙動に影響を与えない範囲内であれば、引張領域内と圧縮領域内において適宜変更可能である。また、以上のことは、x軸回りのモーメントMxを検出するために、y軸に沿う前記センサ基部3上に設けた4個の歪ゲージ、RMx1乃至RMx4に関しても同様である。
【0031】
z軸方向の力Fzを検出する4個の歪ゲージ、RFz1乃至RFz4は、前記通常型歪ゲージ5aを用いており、x軸に沿う前記センサ基部3上に、図2に示す配列で設けられている。ここで、図3(c)に示すように、前記Fzが作用した時の、x軸に沿う前記センサ基部3の変形において、RFz1は引張領域に位置し、RFz2は圧縮領域に位置しており、さらに、センサ中心に対して略対称な位置にRFz3とRFz4を設けている。この配置位置は、他の軸力に対する挙動に影響を与えない範囲内であれば、引張領域内と圧縮領域内において適宜変更可能である。
【0032】
z軸回りのモーメントMzを検出する2個の歪ゲージ、RMz1、及びRMz2は、前記せん断型歪ゲージ5bを用いており、y軸に沿う前記センサ基部3上に、図2に示す配列で設けられている。また、RMz1及びRMz2は、図6(c)に示すように、Mz回路10において、それぞれが合計演算回路11に接続されており、各出力電圧VoutMz1とVoutMz2を合計することにより出力電圧VoutMzを検出する。RMz1とRMz2の、MyとFzに対する感度は、大きさが等しく符号が反対になるため、本実施形態のように、2個の前記せん断型歪ゲージ5bの出力を合計することで、MyとFzに対する多軸感度を相殺しMzを検出する。
【0033】
本実施形態では、前記RFz1乃至RFz4をx軸に沿う前記センサ基部3上に設け、前記RMz1及びRMz2をy軸に沿う前記センサ基部3上に設けたが、これとは逆に、前記RFz1乃至RFz4をy軸に沿う前記センサ基部3上に設け、前記RMz1及びRMz2をx軸に沿う前記センサ基部3上に設ける形態であってもよい。また、前記RFz1乃至RFz4と、前記RMz1及びRMz2の双方を、例えばx軸に沿うセンサ基部3上に設けても構わないが、本実施形態のように、2本の前記センサ基部3の一方と他方に分けてバランス良く配置した方が、前記センサ基部3の長さを短く設計することができ、前記チップ8をより小型化できる、という利点がある。
【0034】
前記各歪ゲージ5に生じた抵抗変化を、それに比例した電圧変化として検出するために、前記各歪ゲージ5は、図4に示すように、共有のハーフブリッジ回路12と組み合せることにより、5つの並列なブリッジから成る、前記ブリッジ回路6を形成している。前記共有のハーフブリッジ回路12は、同一の特性を持つ2つの固定抵抗Rcにより構成され、前記チップ8上の応力が加わらない領域に配置されている。また、各ブリッジごとに取り出して回路構成を分かり易くしたものが図5及び図6である。
【0035】
ここで、表1は、作用する各軸力に対する、前記通常型歪ゲージ5aの抵抗変化、及び前記せん断型歪ゲージ5bの出力電圧の変化をまとめたものである。表1において、「+」及び「−」は増減を、「0」は変化の無いことを表し、「=」は符号も大きさも等しい変化が生じることを表している。
【0036】
【表1】
【0037】
例えば、x軸方向への力Fxが作用した場合、図3(a)に示すように、RFx1には引張歪(+)が発生し、RFx2には圧縮歪(−)が発生する。この時、図5(a)に示すFxブリッジ6aにおいて、RFx1の抵抗が増加し、RFx2の抵抗が減少すると、前記Fxブリッジ6aのバランスが崩れ、不平衡電圧として出力電圧を検出する。また、表1に示すように、前記Fxの作用に対しては、Fzブリッジ6c、Myブリッジ6e、及び前記Mz回路10を構成する前記各歪ゲージ5の抵抗も変化を示すが、該Fzブリッジ6cでは、RFz1とRFz4、及びRFz2とRFz3の組合わせが1辺の位置にくるブリッジ構成となっており、表1に示すように、RFz1とRFz2の抵抗が増加し、RFz3とRFz4の抵抗が減少した場合には、Fzブリッジ6cのバランスは崩れず、出力電圧は検出しない。同様な理由により、前記Myブリッジ6eも出力電圧を検出しない。また、前記Mz回路10を構成するRMz1の出力電圧は増加し、RMz2の出力電圧は減少するが、図6(c)に示す前記合計演算回路11によって両者の出力電圧が合計されて打ち消し合うため、前記Mz回路10全体としては、出力電圧を検出しない。
【0038】
y軸方向への力Fyが作用した場合、表1に示すように、RFy1の抵抗は増加し、RFy2の抵抗が減少する。この場合、図5(b)に示すFyブリッジ6bのバランスは崩れ、出力電圧を検出する。また、表1によると、Mxブリッジ6dを構成する前記各歪ゲージ5の抵抗も変化を示すが、図6(a)に示すブリッジ構成を有する前記Mxブリッジ6dでは、対角成分同士が打ち消し合ってバランスは崩れず、出力電圧は検出しない。
【0039】
z軸方向への力Fzが作用した場合、x軸に沿う前記センサ基部3には、図3(c)に示すような変形が生じる。この時、図5(c)に示す前記Fzブリッジ6cにおいて、RFz1とRFz4の抵抗が増加し、RFz2とRFz3の抵抗が減少することにより、バランスが崩れ、出力電圧を検出する。一方、表1に示すように、前記Fxブリッジ6a、前記Fyブリッジ6b、前記Mxブリッジ6d、及び前記Myブリッジ6eにおいても、前記各歪ゲージ5の抵抗が変化を示すが、各ブリッジのバランスは崩れず、出力電圧は検出しない。
【0040】
x軸回りのモーメントMxが作用した場合、表1に示すように、RMx1とRMx3の抵抗は増加し、RMx2とRMx4の抵抗は減少することにより、図6(a)に示す前記Mxブリッジ6dのバランスが崩れ、出力電圧を検出する。また、前記Mxの作用に対して、他のブリッジを構成する前記歪ゲージ5の抵抗は変化を示さない。
【0041】
y軸回りのモーメントMyが作用した場合、x軸に沿う前記センサ基部3には、図3(b)に示すような変形が生じる。この時、図6(b)に示す前記Myブリッジ6eにおいて、RMy1とRMy3の抵抗は増加し、RMy2とRMy4の抵抗は減少することにより、バランスが崩れ、出力電圧を検出する。一方、表1に示すように、前記Fzブリッジ6cを構成する前記各歪ゲージ5の抵抗も変化を示すが、図5(c)に示すFzブリッジのバランスは崩れず、出力電圧は検出しない。また、前記Mz回路10を構成する前記各歪ゲージ5の各出力電圧も変化を示すが、前記Fxの場合と同様の理由で出力電圧は検出しない。
【0042】
z軸回りのモーメントMzが作用した場合、表1に示すように、RMz1とRMz2の抵抗は、符号も大きさも等しい変化を示す。この時、図6(c)に示す前記Mz回路10では、各出力電圧を合計した結果が出力電圧として検出される。また、前記Mzの作用に対して、他のブリッジを構成する前記歪ゲージ5の抵抗は変化を示さない。これは、全ての前記歪ゲージ5は、せん断応力に対する感度が0であるためである。
【0043】
以上のように、ある軸力の作用に対しては、それに対応するブリッジのみが出力電圧を検出し、他のブリッジが影響を受けることはない。これにより、6軸力を同時に、且つ独立して検出することが可能となっている。
【0044】
一方、前記通常型歪ゲージ5aのピエゾ抵抗効果は、以下の式(1)によって表される。
【数1】
ここで、ΔR/Rは、縦方向の応力σlと、横方向の応力σtにより生じる抵抗変化率であり、πl及びπtは、それぞれの方向に応じたピエゾ抵抗係数である。本実施形態では、前記歪ゲージ5に予期せぬ応力成分が加わることのないよう、2本の前記センサ基部3の固定端部より十分に離して前記歪ゲージ5を配置している。従って、前記通常型歪ゲージ5a各々に加わる応力は、σlのみと考えられ、σtは0とすることができる。よって、式(1)は以下のように書き直すことができる。
【数2】
これにより、前記通常型歪ゲージ5aにおける、前記抵抗変化率の理論値を算出できる。
【0045】
また、前記せん断型歪ゲージ5bのピエゾ抵抗効果は、以下の式(3)によって表される。
【数3】
ここで、Voutはせん断応力τsに対する前記せん断型歪ゲージ5bの出力電圧、Vinは供給電圧であり、πsはせん断応力に対するピエゾ抵抗係数である。また、前記Mz回路10における前記合計演算回路11は、以下の式によって表される。
【数4】
これにより前記せん断型歪ゲージ5bの出力電圧の理論値を算出できる。ここで、VoutMz1、VoutMz2は、前記RMz1、及び前記RMz2の出力電圧であり、式(3)により算出できる。
【0046】
図8に示したグラフは、前記6軸力センサ1に対して、正確な大きさの力を作用させ、その時に検出される出力電圧と、式(2)及び式(4)に基づいて計算される、出力電圧の理論値との関係を示したものである。これによると、Fx、Fy、Fz、及びMzに関しては、測定値と理論値はかなり合致している。Mx及びMyについては、測定値は十分な線形性は有しているものの、理論値と較べて30%程度の誤差を生じた。しかし、これは許容範囲内の誤差と言え、適宜出力の増幅等を補正すればよい。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、センサ基部の上面を、シリコン半導体の面方位(111)の結晶面とすることにより、第3軸回りのモーメントに対する感度と、それ以外の5軸力に対する感度を同時に得ることができる。
【0048】
請求項2の発明によれば、上述の効果に加えて、前記第1軸方向への力の検出のために使用する前記通常型歪ゲージの数が従来に比べ少なくなることにより、センサチップの小型化、消費電力の削減を図ることができる。さらに、設計が容易で、製作は半導体ICプロセスに適合しているためバッチ処理が可能であり、安価なチップを作製することが可能となる。
【0049】
請求項3の発明によれば、上述の効果に加えて、第1軸方向への力を検出する通常型歪ゲージに対する第2軸回りのモーメントの影響を排除することが可能となる。
【0050】
請求項4の発明によれば、上述の効果に加えて、前記第2軸方向への力の検出のために使用する前記通常型歪ゲージの数が従来に比べ少なくなることにより、センサチップの小型化、消費電力の削減を図ることができる。さらに、設計が容易で、製作は半導体ICプロセスに適合しているためバッチ処理が可能であり、安価なチップを作製することが可能となる。
【0051】
請求項5の発明によれば、上述の効果に加えて、第2軸方向への力を検出する通常型歪ゲージに対する第1軸回りのモーメントの影響を排除することが可能となる。
【0052】
請求項6の発明によれば、上述の効果に加えて、前記第3軸方向への力の検出のために使用する前記通常型歪ゲージの数が従来に比べ少なくなることにより、センサチップの小型化、消費電力の削減を図ることができる。さらに、設計が容易で、製作は半導体ICプロセスに適合しているためバッチ処理が可能であり、安価なチップを作製することが可能となる。
【0053】
請求項7の発明によれば、上述の効果に加えて、前記第1軸回りのモーメントの検出のために使用する前記通常型歪ゲージの数が従来に比べ少なくなることにより、センサチップの小型化、消費電力の削減を図ることができる。さらに、設計が容易で、製作は半導体ICプロセスに適合しているためバッチ処理が可能であり、安価なチップを作製することが可能となる。
【0054】
請求項8の発明によれば、上述の効果に加えて、前記第2軸回りのモーメントの検出のために使用する前記通常型歪ゲージの数が従来に比べ少なくなることにより、センサチップの小型化、消費電力の削減を図ることができる。さらに、設計が容易で、製作は半導体ICプロセスに適合しているためバッチ処理が可能であり、安価なチップを作製することが可能となる。
【0055】
請求項9の発明によれば、上述の効果に加えて、前記第3軸回りのモーメントの検出のために前記せん断型歪ゲージを使用するため、歪ゲージの総数が従来に比べ少なくなることにより、センサチップの小型化、消費電力の削減を図ることができる。さらに、設計が容易で、製作は半導体ICプロセスに適合しているためバッチ処理が可能であり、安価なチップを作製することが可能となる。
【0056】
請求項10の発明によれば、上述の効果に加えて、第1軸、及び第2軸を、力とモーメントの各々について等しい感度を有する2つの結晶方位のいずれか一方と他方に沿って定めることにより、第1軸方向と第2軸方向への感度を揃えることが可能となる。
【0057】
請求項11の発明によれば、上述の効果に加えて、センサ基部を略十字型の横断面形状とすることにより、他の形状の場合と比較して、引圧、曲げモーメント、及びねじりモーメントに対する感度を良くすることが可能となる。
【0058】
請求項12の発明によれば、上述の効果に加えて、前記通常型歪ゲージ各々に対する前記第3軸回りのモーメントの影響を排除することにより、各軸力の独立した検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る6軸力覚センサの概略斜視図。
【図2】本発明の実施形態に係る6軸力覚センサの概略平面図。
【図3】本発明の実施形態に係るセンサ基部の変形を示す説明図。
【図4】本発明の実施形態に係るブリッジ回路全体を示す説明図。
【図5】本発明の実施形態に係るブリッジ回路を構成する各ブリッジを示す説明図。
【図6】本発明の実施形態に係るブリッジ回路を構成する各ブリッジ、及びMz回路を示す説明図。
【図7】本発明を組み込んだチップを示す概略斜視図。
【図8】本発明の実施形態に係る測定値と理論値の関係を示すグラフ。
【図9】従来例に係る6軸力覚センサの概略平面図。
【図10】従来例に係るブリッジ回路全体を示す説明図。
【符号の説明】
1、13 6軸力覚センサ
2 台座
3 センサ基部
4 力作用部
5 歪ゲージ
5a 通常型歪ゲージ
5b せん断型歪ゲージ
6 ブリッジ回路
9 変曲点
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、ロボットの力覚量検出や、流体場における微小物体の抗力検出に用いられる、互いに直交する3軸方向への力、及び各軸回りのモーメントを検出する6軸力覚センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ロボットの指先部分に加わる力覚量を検出したり、乱流中の微小物体に作用する力を検出したりする際には、微小な力やモーメントを検出できるセンサが必要とされる。このように微小な力やモーメントを検出するためには、半導体の持つ高いピエゾ抵抗効果を利用した力覚センサが一般に用いられており、特に、互いに直交する3軸について、各軸方向への力と各軸回りのモーメントを検出する、6軸力覚センサが広く用いられている。
【0003】
以下、図9により、十字型ビーム構造を有する従来の6軸力覚センサについて説明する。6軸力覚センサ13は、n型シリコン半導体であるセンサ基部3上面の24箇所に48個のp型の通常型歪ゲージ5aを設け、該センサ基部3を不図示の起歪体の上面に固着することにより形成されている。この時、力やモーメントの作用により各通常型歪ゲージ5aに生じる抵抗の変化をまとめたものが表2である。表2において、「+」は抵抗の増加を、「−」は抵抗の減少を、また「0」は抵抗の変化が無いことを示している。さらに、力及びモーメントの各成分を測定するために、図10に示すブリッジ回路14が形成されており、r1乃至r4は、表3に示すR1乃至R24の各組み合わせにより構成されている。
【0004】
【表2】
【0005】
【表3】
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記のような十字型ビーム構造を有する従来の6軸力覚センサ13は、6軸力を検出するために、前記センサ基部3上面の24箇所に総数48個の通常型通常型歪ゲージ5aを配置する必要があるため、前記センサ基部3の幅が広くなり、この前記6軸力覚センサ13を組み込んだチップを製作した場合、そのチップの大きさは2×2cm(縦×横)となり、チップの小型化には不適である、という問題点がある。また、電気回路が複雑となり、その結果、消費電力が多くなる、という問題点もある。
【0007】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、センサ基部の上面を、シリコン半導体の面方位(111)の結晶面とし、前記第3軸回りのモーメントを検出するために、せん断型歪ゲージを用いると共に、歪ゲージを前記センサ基板上に新規な配列方法により配置し、適切な測定回路を構築することにより、使用する歪ゲージの総数を減らし、その結果として、チップの小型化、高感度化、消費電力の低減を可能とする6軸力覚センサを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を解決するための具体的手段は、次のようなものである。すなわち、請求項1に記載する発明は、外端部を台座に固定されたセンサ基部と、該センサ基部の略中央部に設けられ、外部から力が加えられる力作用部と、前記センサ基部上に設けられ、前記センサ基部に生じる歪を検知する歪ゲージと、該歪ゲージの抵抗変化を測定するブリッジ回路とを具備し、前記力作用部に加えられた力を、前記センサ基部上面において互いに直交する第1軸及び第2軸と、前記センサ基部に直交する第3軸について、各軸方向への力、及び各軸回りのモーメントの6つの軸力に分けて検出する6軸力覚センサにおいて、前記センサ基部の上面を、シリコン半導体の面方位(111)の結晶面としたことを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載する発明は、請求項1に記載する構成において、前記センサ基部上に、前記第1軸方向に沿って、前記第1軸方向への力を検出する少なくとも1対の通常型歪ゲージを設けたことを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載する発明は、請求項2に記載する構成において、前記第1軸方向への力を検出する前記通常型歪ゲージは、前記第2軸回りのモーメント作用時に生じる前記センサ基部の変形における変曲点上に位置することを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載する発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載する構成において、前記センサ基部上に、前記第2軸方向に沿って、前記第2軸方向への力を検出する少なくとも1対の通常型歪ゲージを設けたことを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載する発明は、請求項4に記載する構成において、前記第2軸方向への力を検出する前記通常型歪ゲージは、前記第1軸回りのモーメント作用時に生じる前記センサ基部の変形における変曲点上に位置することを特徴としている。
【0013】
請求項6に記載する発明は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載する構成において、前記センサ基部上に、前記第1軸と前記第2軸のいずれか一方に沿って、前記第3軸方向への力を検出する少なくとも2対の通常型歪ゲージを設けたことを特徴としている。
【0014】
請求項7に記載する発明は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載する構成において、前記センサ基部上に、前記第2軸方向に沿って、前記第1軸回りのモーメントを検出する少なくとも2対の通常型歪ゲージを設けたことを特徴としている。
【0015】
請求項8に記載する発明は、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載する構成において、前記センサ基部上に、前記第1軸方向に沿って、前記第2軸回りのモーメントを検出する少なくとも2対の通常型歪ゲージを設けたことを特徴としている。
【0016】
請求項9に記載する発明は、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載する構成において、前記センサ基部上に、前記第1軸と前記第2軸のいずれか一方に沿って、前記第3軸回りのモーメントを検出するせん断型歪ゲージを設けたことを特徴としている。
【0017】
請求項10に記載する発明は、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載する構成において、前記第1軸、及び前記第2軸を、力及びモーメントの各々について、歪ゲージが等しい感度を有する2つの直交する結晶方位のいずれか一方と他方に沿って定めたことを特徴としている。
【0018】
請求項11に記載する発明は、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載する構成において、前記センサ基部が、略十字型の横断面形状を有することを特徴としている。
【0019】
請求項12に記載する発明は、請求項11に記載する構成において、前記通常型歪ゲージ及び前記せん断型歪ゲージは、前記センサ基部の幅方向中央部に設けたことを特徴としている。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る6軸力覚センサ1を図面に基づいて説明する。尚、従来技術と同一構成部材については、同じ番号を用いて説明を省略する。図1及び図2に示すように、本発明の実施形態に係る6軸力覚センサ1は、十字型ビーム構造を有し、外端部を台座2に固定されたセンサ基部3と、該センサ基部3の略中央部に設けられ、外部から力が加えられる力作用部4と、前記センサ基部3上に設けられ、前記センサ基部3に生じる歪を検知する歪ゲージ5と、該歪ゲージ5の抵抗変化を測定するブリッジ回路6とを具備している。
【0021】
また、図2に示すように、前記力作用部4の中央を原点とし、結晶方位<110>方向にx軸を、<112>方向にy軸を、<111>方向にz軸を有する座標系を定めた。もちろん、これとは逆に<110>方向にy軸を、<112>方向にx軸を定めても構わないし、正負の向きを逆にしても構わない。また、各軸方向の力をFx、Fy、Fzとし、各軸回りのモーメントをMx、My、Mzとした。以下、更に詳細に説明する。
【0022】
前記センサ基部3としては、面方位が(111)の単結晶シリコンを用いている。シリコンの結晶面としては、(100)、(110)、(111)面の3種が代表的なものとして知られているが、(100)面と(110)面については、Fx、Fy、Fz、Mx、Myに対する感度は有するが、Mzに対する感度がなく検出することができない。この点において、前記(111)面は、その面上の全方向について等方的に感度があるという特徴があり、Mzに対しても、また他の5軸力に対しても感度を有するので、6軸力全てについて独立して検出することが可能である、という利点がある。
【0023】
前記十字型ビーム構造とは、前記センサ基部3がビーム状の形状を有し、互いに直交する2方向へ伸びる2本の前記センサ基部3が、各々の上面が同一平面を形成するように、その長手方向中央部において交差した構造を指している。この前記センサ基部3の形状はこれに限られたものではなく、円形や矩形等であっても構わない。しかし、このような形状にした場合、前記6軸力覚センサ1全体の、引圧・曲げ・ねじり剛性が高くなるので、引圧・曲げ・ねじり成分に対する前記6軸力覚センサ1の感度は悪くなる。また、2本の前記センサ基部3の形状をより細く、より薄くすることにより、前記センサ基部3の引圧・曲げ・ねじり剛性が低くなり、引圧・曲げ・ねじり成分に対する前記6軸力覚センサ1の感度を良くすることが可能である。
【0024】
本実施形態の場合、2本の前記センサ基部3は、結晶方位<110>、及び<112>の2つの方向に沿って形成されている。これは、この方向には多軸感度がなく、6軸力を検出するために必要な感度を歪ゲージが有することができる方位だからである。
【0025】
6軸力覚センサ1の実際の利用に際しては、図7に示すように、前記力作用部4上に、力伝達部材7を固着して用いる。外部から作用する力やモーメントは、該力伝達部材7を経由して前記力作用部4に伝えられる。これにより、力覚センサや流体抗力センサとしての利用が可能となる。
【0026】
図7における、2本の前記センサ基部3の寸法、及びチップ8全体の寸法の決定方法としては、まず、力やモーメントの作用すると予測される領域、必要とされる感度、シリコンのピエゾ抵抗効果、非座屈条件、及び配線のために必要な前記センサ基部3の幅等を考慮して、モデルを作成し、このモデルについて有限要素法による数値解析を行えばよい。本実施形態の場合、前記センサ基部3の寸法を、500×120×40μm3(縦×横×高さ)に、またチップ8全体の寸法を3000×3000×400μm3と定めた。
【0027】
前記歪ゲージ5は、16個の通常型歪ゲージ5aと、2個のせん断型歪ゲージ5bで構成され、該通常型歪ゲージ5aは、全てを同一の設計とし、また前記せん断型歪ゲージ5bについても同一の設計としている。ここで、前記通常型歪ゲージ5aとは、縦方向の垂直応力と横方向の垂直応力により前記歪ゲージ5に生じる抵抗変化を測定する2端子型のものであり、前記せん断型歪ゲージ5bとは、せん断応力により、前記歪ゲージ5の入力電圧端子に対して直交方向に存在する出力端子間に生じる電圧を測定する4端子型のものである。前記各歪ゲージ5は、n型シリコン半導体である前記センサ基部3の表面に、III族元素であるホウ素を不純物拡散することにより強制的にp型に転換し、p型シリコン半導体の部分を他の部分から電気的に絶縁することにより形成している。
【0028】
前記歪ゲージ5は、図2に示す配列で前記各センサ基部3上に配置した。これは、前記有限要素法解析によって得られた応力分布状態に基づき、測定対象とする各軸力に対する感度を最も良くするように、また、他の軸力の影響を排除できるように定めている。ここで、全ての前記歪ゲージ5は、前記各センサ基部3の幅方向中央部に位置し、x軸に沿う前記センサ基部3上に設けた歪ゲージ5はその主軸がx軸方向、すなわち結晶方位<110>に沿うように、また、y軸に沿う前記センサ基部3上に設けた歪ゲージ5は、その主軸がy軸方向、すなわち結晶方位<112>に沿うように一列に配置している。
【0029】
x軸方向の力Fxを検出する2個の歪ゲージ、RFx1、及びRFx2は前記通常型歪ゲージ5aを用いており、x軸に沿う前記センサ基部3上に、図2に示すように、センサ中心に対して略対称な位置に設けられている。また、その配置位置は、図3(a)、及び図3(b)に示すように、y軸回りのモーメントMyが作用した時の、x軸に沿う前記センサ基部3の変形における、引張領域と圧縮領域の境界である変曲点9上であり、これにより、前記RFx1、及びRFx2が前記Myの作用に対し影響を受けないよう設計されている。ここで、図3は、軸力Fx、My、Fzが作用した時の、x軸方向に沿う前記センサ基部3の変形の様子を、その側面から見て模式的に示したものであり、前記センサ基部3の両端部は前記台座2に固定されている。また、前記センサ基部3の中央部は実際にはある面積を有するが、便宜的に点としている。また、図3において、(+)は、前記歪ゲージ5に引張歪が発生して抵抗が増加することを、(−)は、前記歪ゲージ5に圧縮歪が発生して抵抗が減少することを、(0)は、抵抗の変化が無いことを、また(=)は、ある1つの前記ブリッジ回路6を構成する前記歪ゲージ5が、符号も大きさも等しい抵抗の変化を示すことを表している。ところで、前述した引張領域と圧縮領域とは、力の作用する向きにより逆になることもあるのは言うまでもなく、以下も同様の意で使用する。また、以上のことは、y軸方向の力Fyを検出するために、y軸に沿う前記センサ基部3上に設けた2個の歪ゲージ、RFy1、及びRFy2に関しても同様である。
【0030】
y軸回りのモーメントMyを検出する4個の歪ゲージ、RMy1乃至RMy4は、前記通常型歪ゲージ5aを用いており、x軸に沿う前記センサ基部3上に、図2に示す配列で設けられている。ここで、図3(b)に示すように、前記Myが作用した時の、x軸に沿う前記センサ基部3の変形において、RMy1は引張領域に位置し、RMy2は圧縮領域に位置しており、さらに、センサ中心に対して略対称な位置にRMx3とRMx4を設けている。この配置位置は、他の軸力に対する挙動に影響を与えない範囲内であれば、引張領域内と圧縮領域内において適宜変更可能である。また、以上のことは、x軸回りのモーメントMxを検出するために、y軸に沿う前記センサ基部3上に設けた4個の歪ゲージ、RMx1乃至RMx4に関しても同様である。
【0031】
z軸方向の力Fzを検出する4個の歪ゲージ、RFz1乃至RFz4は、前記通常型歪ゲージ5aを用いており、x軸に沿う前記センサ基部3上に、図2に示す配列で設けられている。ここで、図3(c)に示すように、前記Fzが作用した時の、x軸に沿う前記センサ基部3の変形において、RFz1は引張領域に位置し、RFz2は圧縮領域に位置しており、さらに、センサ中心に対して略対称な位置にRFz3とRFz4を設けている。この配置位置は、他の軸力に対する挙動に影響を与えない範囲内であれば、引張領域内と圧縮領域内において適宜変更可能である。
【0032】
z軸回りのモーメントMzを検出する2個の歪ゲージ、RMz1、及びRMz2は、前記せん断型歪ゲージ5bを用いており、y軸に沿う前記センサ基部3上に、図2に示す配列で設けられている。また、RMz1及びRMz2は、図6(c)に示すように、Mz回路10において、それぞれが合計演算回路11に接続されており、各出力電圧VoutMz1とVoutMz2を合計することにより出力電圧VoutMzを検出する。RMz1とRMz2の、MyとFzに対する感度は、大きさが等しく符号が反対になるため、本実施形態のように、2個の前記せん断型歪ゲージ5bの出力を合計することで、MyとFzに対する多軸感度を相殺しMzを検出する。
【0033】
本実施形態では、前記RFz1乃至RFz4をx軸に沿う前記センサ基部3上に設け、前記RMz1及びRMz2をy軸に沿う前記センサ基部3上に設けたが、これとは逆に、前記RFz1乃至RFz4をy軸に沿う前記センサ基部3上に設け、前記RMz1及びRMz2をx軸に沿う前記センサ基部3上に設ける形態であってもよい。また、前記RFz1乃至RFz4と、前記RMz1及びRMz2の双方を、例えばx軸に沿うセンサ基部3上に設けても構わないが、本実施形態のように、2本の前記センサ基部3の一方と他方に分けてバランス良く配置した方が、前記センサ基部3の長さを短く設計することができ、前記チップ8をより小型化できる、という利点がある。
【0034】
前記各歪ゲージ5に生じた抵抗変化を、それに比例した電圧変化として検出するために、前記各歪ゲージ5は、図4に示すように、共有のハーフブリッジ回路12と組み合せることにより、5つの並列なブリッジから成る、前記ブリッジ回路6を形成している。前記共有のハーフブリッジ回路12は、同一の特性を持つ2つの固定抵抗Rcにより構成され、前記チップ8上の応力が加わらない領域に配置されている。また、各ブリッジごとに取り出して回路構成を分かり易くしたものが図5及び図6である。
【0035】
ここで、表1は、作用する各軸力に対する、前記通常型歪ゲージ5aの抵抗変化、及び前記せん断型歪ゲージ5bの出力電圧の変化をまとめたものである。表1において、「+」及び「−」は増減を、「0」は変化の無いことを表し、「=」は符号も大きさも等しい変化が生じることを表している。
【0036】
【表1】
【0037】
例えば、x軸方向への力Fxが作用した場合、図3(a)に示すように、RFx1には引張歪(+)が発生し、RFx2には圧縮歪(−)が発生する。この時、図5(a)に示すFxブリッジ6aにおいて、RFx1の抵抗が増加し、RFx2の抵抗が減少すると、前記Fxブリッジ6aのバランスが崩れ、不平衡電圧として出力電圧を検出する。また、表1に示すように、前記Fxの作用に対しては、Fzブリッジ6c、Myブリッジ6e、及び前記Mz回路10を構成する前記各歪ゲージ5の抵抗も変化を示すが、該Fzブリッジ6cでは、RFz1とRFz4、及びRFz2とRFz3の組合わせが1辺の位置にくるブリッジ構成となっており、表1に示すように、RFz1とRFz2の抵抗が増加し、RFz3とRFz4の抵抗が減少した場合には、Fzブリッジ6cのバランスは崩れず、出力電圧は検出しない。同様な理由により、前記Myブリッジ6eも出力電圧を検出しない。また、前記Mz回路10を構成するRMz1の出力電圧は増加し、RMz2の出力電圧は減少するが、図6(c)に示す前記合計演算回路11によって両者の出力電圧が合計されて打ち消し合うため、前記Mz回路10全体としては、出力電圧を検出しない。
【0038】
y軸方向への力Fyが作用した場合、表1に示すように、RFy1の抵抗は増加し、RFy2の抵抗が減少する。この場合、図5(b)に示すFyブリッジ6bのバランスは崩れ、出力電圧を検出する。また、表1によると、Mxブリッジ6dを構成する前記各歪ゲージ5の抵抗も変化を示すが、図6(a)に示すブリッジ構成を有する前記Mxブリッジ6dでは、対角成分同士が打ち消し合ってバランスは崩れず、出力電圧は検出しない。
【0039】
z軸方向への力Fzが作用した場合、x軸に沿う前記センサ基部3には、図3(c)に示すような変形が生じる。この時、図5(c)に示す前記Fzブリッジ6cにおいて、RFz1とRFz4の抵抗が増加し、RFz2とRFz3の抵抗が減少することにより、バランスが崩れ、出力電圧を検出する。一方、表1に示すように、前記Fxブリッジ6a、前記Fyブリッジ6b、前記Mxブリッジ6d、及び前記Myブリッジ6eにおいても、前記各歪ゲージ5の抵抗が変化を示すが、各ブリッジのバランスは崩れず、出力電圧は検出しない。
【0040】
x軸回りのモーメントMxが作用した場合、表1に示すように、RMx1とRMx3の抵抗は増加し、RMx2とRMx4の抵抗は減少することにより、図6(a)に示す前記Mxブリッジ6dのバランスが崩れ、出力電圧を検出する。また、前記Mxの作用に対して、他のブリッジを構成する前記歪ゲージ5の抵抗は変化を示さない。
【0041】
y軸回りのモーメントMyが作用した場合、x軸に沿う前記センサ基部3には、図3(b)に示すような変形が生じる。この時、図6(b)に示す前記Myブリッジ6eにおいて、RMy1とRMy3の抵抗は増加し、RMy2とRMy4の抵抗は減少することにより、バランスが崩れ、出力電圧を検出する。一方、表1に示すように、前記Fzブリッジ6cを構成する前記各歪ゲージ5の抵抗も変化を示すが、図5(c)に示すFzブリッジのバランスは崩れず、出力電圧は検出しない。また、前記Mz回路10を構成する前記各歪ゲージ5の各出力電圧も変化を示すが、前記Fxの場合と同様の理由で出力電圧は検出しない。
【0042】
z軸回りのモーメントMzが作用した場合、表1に示すように、RMz1とRMz2の抵抗は、符号も大きさも等しい変化を示す。この時、図6(c)に示す前記Mz回路10では、各出力電圧を合計した結果が出力電圧として検出される。また、前記Mzの作用に対して、他のブリッジを構成する前記歪ゲージ5の抵抗は変化を示さない。これは、全ての前記歪ゲージ5は、せん断応力に対する感度が0であるためである。
【0043】
以上のように、ある軸力の作用に対しては、それに対応するブリッジのみが出力電圧を検出し、他のブリッジが影響を受けることはない。これにより、6軸力を同時に、且つ独立して検出することが可能となっている。
【0044】
一方、前記通常型歪ゲージ5aのピエゾ抵抗効果は、以下の式(1)によって表される。
【数1】
ここで、ΔR/Rは、縦方向の応力σlと、横方向の応力σtにより生じる抵抗変化率であり、πl及びπtは、それぞれの方向に応じたピエゾ抵抗係数である。本実施形態では、前記歪ゲージ5に予期せぬ応力成分が加わることのないよう、2本の前記センサ基部3の固定端部より十分に離して前記歪ゲージ5を配置している。従って、前記通常型歪ゲージ5a各々に加わる応力は、σlのみと考えられ、σtは0とすることができる。よって、式(1)は以下のように書き直すことができる。
【数2】
これにより、前記通常型歪ゲージ5aにおける、前記抵抗変化率の理論値を算出できる。
【0045】
また、前記せん断型歪ゲージ5bのピエゾ抵抗効果は、以下の式(3)によって表される。
【数3】
ここで、Voutはせん断応力τsに対する前記せん断型歪ゲージ5bの出力電圧、Vinは供給電圧であり、πsはせん断応力に対するピエゾ抵抗係数である。また、前記Mz回路10における前記合計演算回路11は、以下の式によって表される。
【数4】
これにより前記せん断型歪ゲージ5bの出力電圧の理論値を算出できる。ここで、VoutMz1、VoutMz2は、前記RMz1、及び前記RMz2の出力電圧であり、式(3)により算出できる。
【0046】
図8に示したグラフは、前記6軸力センサ1に対して、正確な大きさの力を作用させ、その時に検出される出力電圧と、式(2)及び式(4)に基づいて計算される、出力電圧の理論値との関係を示したものである。これによると、Fx、Fy、Fz、及びMzに関しては、測定値と理論値はかなり合致している。Mx及びMyについては、測定値は十分な線形性は有しているものの、理論値と較べて30%程度の誤差を生じた。しかし、これは許容範囲内の誤差と言え、適宜出力の増幅等を補正すればよい。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、センサ基部の上面を、シリコン半導体の面方位(111)の結晶面とすることにより、第3軸回りのモーメントに対する感度と、それ以外の5軸力に対する感度を同時に得ることができる。
【0048】
請求項2の発明によれば、上述の効果に加えて、前記第1軸方向への力の検出のために使用する前記通常型歪ゲージの数が従来に比べ少なくなることにより、センサチップの小型化、消費電力の削減を図ることができる。さらに、設計が容易で、製作は半導体ICプロセスに適合しているためバッチ処理が可能であり、安価なチップを作製することが可能となる。
【0049】
請求項3の発明によれば、上述の効果に加えて、第1軸方向への力を検出する通常型歪ゲージに対する第2軸回りのモーメントの影響を排除することが可能となる。
【0050】
請求項4の発明によれば、上述の効果に加えて、前記第2軸方向への力の検出のために使用する前記通常型歪ゲージの数が従来に比べ少なくなることにより、センサチップの小型化、消費電力の削減を図ることができる。さらに、設計が容易で、製作は半導体ICプロセスに適合しているためバッチ処理が可能であり、安価なチップを作製することが可能となる。
【0051】
請求項5の発明によれば、上述の効果に加えて、第2軸方向への力を検出する通常型歪ゲージに対する第1軸回りのモーメントの影響を排除することが可能となる。
【0052】
請求項6の発明によれば、上述の効果に加えて、前記第3軸方向への力の検出のために使用する前記通常型歪ゲージの数が従来に比べ少なくなることにより、センサチップの小型化、消費電力の削減を図ることができる。さらに、設計が容易で、製作は半導体ICプロセスに適合しているためバッチ処理が可能であり、安価なチップを作製することが可能となる。
【0053】
請求項7の発明によれば、上述の効果に加えて、前記第1軸回りのモーメントの検出のために使用する前記通常型歪ゲージの数が従来に比べ少なくなることにより、センサチップの小型化、消費電力の削減を図ることができる。さらに、設計が容易で、製作は半導体ICプロセスに適合しているためバッチ処理が可能であり、安価なチップを作製することが可能となる。
【0054】
請求項8の発明によれば、上述の効果に加えて、前記第2軸回りのモーメントの検出のために使用する前記通常型歪ゲージの数が従来に比べ少なくなることにより、センサチップの小型化、消費電力の削減を図ることができる。さらに、設計が容易で、製作は半導体ICプロセスに適合しているためバッチ処理が可能であり、安価なチップを作製することが可能となる。
【0055】
請求項9の発明によれば、上述の効果に加えて、前記第3軸回りのモーメントの検出のために前記せん断型歪ゲージを使用するため、歪ゲージの総数が従来に比べ少なくなることにより、センサチップの小型化、消費電力の削減を図ることができる。さらに、設計が容易で、製作は半導体ICプロセスに適合しているためバッチ処理が可能であり、安価なチップを作製することが可能となる。
【0056】
請求項10の発明によれば、上述の効果に加えて、第1軸、及び第2軸を、力とモーメントの各々について等しい感度を有する2つの結晶方位のいずれか一方と他方に沿って定めることにより、第1軸方向と第2軸方向への感度を揃えることが可能となる。
【0057】
請求項11の発明によれば、上述の効果に加えて、センサ基部を略十字型の横断面形状とすることにより、他の形状の場合と比較して、引圧、曲げモーメント、及びねじりモーメントに対する感度を良くすることが可能となる。
【0058】
請求項12の発明によれば、上述の効果に加えて、前記通常型歪ゲージ各々に対する前記第3軸回りのモーメントの影響を排除することにより、各軸力の独立した検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る6軸力覚センサの概略斜視図。
【図2】本発明の実施形態に係る6軸力覚センサの概略平面図。
【図3】本発明の実施形態に係るセンサ基部の変形を示す説明図。
【図4】本発明の実施形態に係るブリッジ回路全体を示す説明図。
【図5】本発明の実施形態に係るブリッジ回路を構成する各ブリッジを示す説明図。
【図6】本発明の実施形態に係るブリッジ回路を構成する各ブリッジ、及びMz回路を示す説明図。
【図7】本発明を組み込んだチップを示す概略斜視図。
【図8】本発明の実施形態に係る測定値と理論値の関係を示すグラフ。
【図9】従来例に係る6軸力覚センサの概略平面図。
【図10】従来例に係るブリッジ回路全体を示す説明図。
【符号の説明】
1、13 6軸力覚センサ
2 台座
3 センサ基部
4 力作用部
5 歪ゲージ
5a 通常型歪ゲージ
5b せん断型歪ゲージ
6 ブリッジ回路
9 変曲点
Claims (12)
- 外端部を台座に固定されたセンサ基部と、該センサ基部の略中央部に設けられ、外部から力が加えられる力作用部と、前記センサ基部上に設けられ、前記センサ基部に生じる歪を検知する歪ゲージと、該歪ゲージの抵抗変化を測定するブリッジ回路とを具備し、前記力作用部に加えられた力を、前記センサ基部上面において互いに直交する第1軸及び第2軸と、前記センサ基部に直交する第3軸について、各軸方向への力、及び各軸回りのモーメントの6つの軸力に分けて検出する6軸力覚センサにおいて、
前記センサ基部の上面を、シリコン半導体の面方位(111)の結晶面としたことを特徴とする6軸力覚センサ。 - 前記センサ基部上に、前記第1軸方向に沿って、前記第1軸方向への力を検出する少なくとも1対の通常型歪ゲージを設けたことを特徴とする請求項1に記載の6軸力覚センサ。
- 前記第1軸方向への力を検出する前記通常型歪ゲージは、前記第2軸回りのモーメント作用時に生じる前記センサ基部の変形における変曲点上に位置することを特徴とする請求項2に記載の6軸力覚センサ。
- 前記センサ基部上に、前記第2軸方向に沿って、前記第2軸方向への力を検出する少なくとも1対の通常型歪ゲージを設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の6軸力覚センサ。
- 前記第2軸方向への力を検出する前記通常型歪ゲージは、前記第1軸回りのモーメント作用時に生じる前記センサ基部の変形における変曲点上に位置することを特徴とする請求項4に記載の6軸力覚センサ。
- 前記センサ基部上に、前記第1軸と前記第2軸のいずれか一方に沿って、前記第3軸方向への力を検出する少なくとも2対の通常型歪ゲージを設けたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の6軸力覚センサ。
- 前記センサ基部上に、前記第2軸方向に沿って、前記第1軸回りのモーメントを検出する少なくとも2対の通常型歪ゲージを設けたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の6軸力覚センサ。
- 前記センサ基部上に、前記第1軸方向に沿って、前記第2軸回りのモーメントを検出する少なくとも2対の通常型歪ゲージを設けたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の6軸力覚センサ。
- 前記センサ基部上に、前記第1軸と前記第2軸のいずれか一方に沿って、前記第3軸回りのモーメントを検出するせん断型歪ゲージを設けたことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の6軸力覚センサ。
- 前記第1軸、及び前記第2軸を、力及びモーメントの各々について、歪ゲージが等しい感度を有する2つの直交する結晶方位のいずれか一方と他方に沿って定めたことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の6軸力覚センサ。
- 前記センサ基部が、略十字型の横断面形状を有することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の6軸力覚センサ。
- 前記通常型歪ゲージ及び前記せん断型歪ゲージは、前記センサ基部の幅方向中央部に設けたことを特徴とする請求項11に記載の6軸力覚センサ。
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