JP2004042354A - インクジェット記録用シート - Google Patents
インクジェット記録用シート Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004042354A JP2004042354A JP2002201178A JP2002201178A JP2004042354A JP 2004042354 A JP2004042354 A JP 2004042354A JP 2002201178 A JP2002201178 A JP 2002201178A JP 2002201178 A JP2002201178 A JP 2002201178A JP 2004042354 A JP2004042354 A JP 2004042354A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- receiving layer
- acid
- meth
- coating
- water
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Ink Jet (AREA)
- Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
Abstract
【解決手段】支持体上に色材受容層を有して構成され、前記色材受容層が平均一次粒子径が30nm以下の気相法シリカと水溶性樹脂とアルミニウム化合物とテロマー型フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤の少なくとも一種とを含むことを特徴とするインクジェット記録用シートである。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性インク(色材として染料又は顔料を用いたもの)及び油性インク等の液状インクや、常温では固体であり、溶融液状化させて印画に供する固体状インク等を用いたインクジェット記録に供給される被記録材に関し、詳しくは、経時ニジミがなく良好なインク受容性能を有し、かつ高湿環境下でのプリンタ走行性、画像品質に優れたインクジェット記録用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報技術(IT)産業の急速な発展に伴い、種々の情報処理システムが開発され、その情報処理システムに適した記録方法及び記録装置も開発され、各々実用化されている。
これらの記録方法の中でも、インクジェット記録方法は、多種の被記録材料に記録可能なこと、ハード(装置)が比較的安価でコンパクトであること、静粛性に優れること等の利点から、オフィスは勿論、いわゆるホームユースにおいても広く用いられてきている。
【0003】
また、近年のインクジェットプリンタの高解像度化に伴い、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得ることも可能になってきており、このようなハード(装置)の進歩に伴って、インクジェット記録用の記録シートも各種開発されてきている。
このインクジェット記録用の記録シートに要求される特性としては、一般的に、(1)速乾性があること(インクの吸収速度が大きいこと)、(2)インクドットの径が適正で均一であること(ニジミのないこと)、(3)粒状性が良好であること、(4)ドットの真円性が高いこと、(5)色濃度が高いこと、(6)彩度が高いこと(くすみのないこと)、(7)印画部の耐水性や耐光性、耐オゾン性が良好なこと、(8)記録シートの白色度が高いこと、(9)記録シートの保存性が良好なこと(長期保存でも黄変着色を起こさないこと)、(10)変形しにくく寸法安定性が良好であること(カールが十分小さいこと)、(11)ハード走行性が良好であること等が挙げられる。
更に、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得る目的で用いられるフォト光沢紙の用途においては、上記諸特性に加えて、光沢性、表面平滑性、銀塩写真に類似した印画紙状の風合い等も要求される。
【0004】
上記した諸特性の向上を目的として、近年では色材受容層に多孔質構造を有するインクジェット記録用シートが開発され実用化されている。このようなインクジェット記録用シートは多孔質構造を有することで、インク受容性(速乾性)に優れ高い光沢を有する。
【0005】
例えば、特開平10−119423号や同10−217601号公報等では、微細な無機顔料粒子及び水溶性樹脂を含有し、高い空隙率を有する色材受容層が支持体上に設けられたインクジェット記録用シートが提案されている。
これらの記録用シート、特に、無機顔料微粒子としてシリカを用いた多孔質構造からなる色材受容層を設けたインクジェット記録用シートは、その構成によりインク吸収性に優れ、高解像度の画像を形成し得る高いインク受容性能を有し且つ高光沢を表すことができるとされている。しかしながら、高湿度環境下に保存された場合の印画画像のニジミ(経時ニジミ)の点では、未だ満足できるものではなかった。
【0006】
一方、高湿環境を含めた経時ニジミの問題を解決するために、以前から多くの技術が提案されている。例えば、特開昭57−36692号には塩基性媒染剤ラテックスを使用する旨が、特開昭53−49113号、同59−198186号および同59−198188号にはポリエチレンイミンを含浸させる方法が、特開昭58−24492号にはカチオン基を有する電解質ポリマーが、特開昭63−307979号にはカチオン性ポリマー媒染剤と親水性基を有する重合体を含有させる旨が、特開昭61−61887号、同61−72581号、同61−252189号および同62−174184号にはポリアリルアミンを媒染剤として使用することが、特開昭63−162275号にはカチオン性媒染剤とカチオン性界面活性剤を併用する旨が、特開平6−143798号にはカチオン変成ポリビニルコールが、特開平8−142496号には特定の2種類のカチオンポリマーを併用して耐水性を向上する旨が、それぞれ記載されている。
【0007】
更に、特開昭59−20696号、同59−33176号、同59−33177号、同59−96987号、同59−155088号、同60−11389号、同60−49990号、同60−83882号、同60−109894号、同61−277484号、同61−293886号、同62−19483号、同62−198493号、同63−49478号、同63−115780号、同63−203896号、同63−274583号、同63−280681号、同63−260477号、特開平1−9776号、同1−24784号、同1−40371号、同3−133686号、同6−234268号、同7−125411号などには、カチオン性媒染剤を添加してインク染料の定着性を改善する技術が多数開示されている。
【0008】
ところが、先行技術に開示されているものの殆どは、シリカの如き表面がアニオン性である無機微粒子と混合した際に凝集物が形成されやすく、良好な塗布液が調製できなかったり、あるいは塗布膜面の光沢性が著しく低下する等の問題があった。これらを改良する目的で、特開平11−348409号公報において特定のカチオンポリマーと気相法シリカとを組合せる技術が提案されているが、高湿度下における経時ニジミの防止効果としては未だ完全ではなかった。
【0009】
他方、インクジェット画像を形成しようとする環境が高湿度である場合、プリンタに複数枚重ねて供給された記録用シートが色材受容層面と色材受容層を有しない側の面とで互いにくっついて重送してしまう現象が頻出する問題があった。また、高湿度環境下で画像印画を行なった場合には、プリンタの搬送用ローラに汚れが付着し易く、それが印画時に色材受容層面に転写してローラ跡が残ってしまい(ローラ跡故障)、最終的に形成された画像の品質を低下させる問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、これまで高画質の画像を形成しうる技術が提案されてきているものの、高湿度環境下においても通常環境の場合と同様に、形成された画像が経時で滲んでしまうことがなく、プリンタ内でのシート走行性(搬送性)を維持し、かつローラ跡故障の発生を伴わないインクジェット記録用シートは提供されるに至っていないのが現状といえる。
【0011】
本発明は、上記に鑑みて成されたものであり、特に高湿度環境下において、形成画像の経時ニジミの発生がなく、かつプリンタ内での走行性に優れ、ローラ跡故障のない高画質の画像を形成し得るインクジェット記録用シートを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> 支持体上に、平均一次粒子径が30nm以下の気相法シリカと水溶性樹脂とを含む色材受容層を有するインクジェット記録用シートにおいて、前記色材受容層が、アルミニウム化合物と、テロマー型フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤の少なくとも一種とを更に含むことを特徴とするインクジェット記録用シートである。
【0013】
本発明に係る色材受容層は、気相法シリカ微粒子等と共に、特にテロマー型フッ素系界面活性剤及び/又はシリコーン系界面活性剤、並びに媒染剤としてアルミニウム化合物を含有して構成され、高湿度下でのインクの経時ニジミを効果的に抑止し、同時に前記界面活性剤の併用により高湿度下でのシート走行性、画像品質を高めることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット記録用シートにおいては、特に、アルミニウム化合物とテロマー型フッ素系界面活性剤及び/又はシリコーン系界面活性剤とを含む色材受容層が支持体上に設けられてなる。
以下、本発明のインクジェット記録用シートについて詳細に説明する。
【0015】
本発明のインクジェット記録用シートは、支持体上に色材受容層を少なくとも有して構成され、該色材受容層は、気相法シリカと水溶性樹脂とアルミニウム化合物とテロマー型フッ素系界面活性剤及び/又はシリコーン系界面活性剤とを少なくとも含んで構成される。好ましくは、更に架橋剤を含んで構成され、必要に応じて、アルミニウム化合物以外の媒染剤等の他の添加剤等を含んで構成することができる。
【0016】
−アルミニウム化合物−
本発明に係る色材受容層は、アルミニウム化合物を媒染剤として含有する。アルミニウム化合物は、水溶性および非水溶性の化合物のいずれも用いることができ、公知のものの中から適宜選択することができる。このアルミニウム化合物を含有することによって、水性インクで印画された画像の、高湿度下において経時で生ずる滲み(経時ニジミ)を効果的に防止することができる。
【0017】
水溶性のアルミニウム化合物としては、水溶性であれば特に制限はなく、例えば、無機塩として、塩化アルミニウム及びその水和物、硫酸アルミニウム及びその水和物、アンモニウムミョウバン、等が挙げられる。
【0018】
更に、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物も使用できる。塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記一般式1、2又は3で表され、例えば、[Al6(OH)15]3+、[Al8(OH)20]4+、[Al13(OH)34]5+、[Al21(OH)60]3+、等の塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含む水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
[Al2(OH)nCl6−n]m …一般式1
[Al(OH)3]nAlCl3 …一般式2
Aln(OH)mCl(3n−m) 〔0<m<3n〕 …一般式3
【0019】
具体的には市販品として、例えば、水処理剤として多木化学(株)製のポリ塩化アルミニウム(PAC)、浅田化学(株)製のポリ水酸化アルミニウム(Paho)、(株)理研グリーン製のピュラケムWTなどが挙げられ、さらに他のメーカからも同様の目的で種々提供されており、各種グレードのものを容易に入手することができる。本発明においては、これら市販品をそのまま使用してもよいし、pHが不適当に低いものである場合には適宜pH調節を行なったうえで用いることもできる。
【0020】
また、非水溶性のアルミニウム化合物としては、酸化アルミニウム、ステアリン酸アルミ、ラウリル酸アルミ、リシノール酸アルミ、オクチル酸アルミ、等が挙げられる。中でも、酸化アルミニウムはコストの点で特に好ましい。
上記した中でも水溶性のアルミニウム化合物の方が好ましい。
【0021】
アルミニウム化合物の色材受容層における含有量としては、0.1〜10g/m2が好ましく、0.2〜5g/m2がより好ましい。該含有量が、0.1g/m2未満であると、インクジェット記録用シートの耐水性、特に高湿度下などにおける画像の耐経時ニジミが不充分であることがあり、10g/m2を越えると、インク吸収能が悪化したり、色材受容層表面に亀裂が発生し易くなることがある。
【0022】
アルミニウム化合物を色材受容層に含有させる方法としては、特に制限はないが、好ましくは、色材受容層を塗布形成する前に色材受容層形成用の塗布液中に添加しておく方法や、一旦色材受容層を形成した後、アルミニウム化合物を含む溶液をこれに更に塗布する方法、が挙げられる。
【0023】
アルミニウム化合物を色材受容層形成用の塗布液中に含有させる方法としては、気相法シリカ微粒子の分散時に添加しておき、引き続きこれに水溶性樹脂などを混合して塗布液とする方法や、色材受容層形成用の塗布液を調製する最終段階で添加する方法、等が考えられるが、色材受容層形成用の塗布液の安定性を考慮したうえで、アルミニウム化合物の添加時期、添加順を決定するのが望ましい。
【0024】
本発明においては、アルミニウム化合物を含有すると共に、後述する媒染剤をさらに併用することもできる。媒染剤の詳細については後述の通りである。
【0025】
−界面活性剤−
本発明に係る色材受容層には、テロマー型フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤の少なくとも一種を含有する。特に、これら界面活性剤を含有することによって、高湿度環境下であっても、プリンタに複数枚重ねて供給された記録用シートが色材受容層面と色材受容層を有しない側の面とで互いにくっついて重送されるのを効果的に防止できると共に、印画時に色材受容層面にローラ跡が転写されて生ずるローラ跡故障の発生をも回避することができる。
【0026】
前記テロマー型フッ素系界面活性剤は、テトラフロロエチレンのテロメリゼーションで得られるフッ素系化合物から得られる界面活性剤であり、一般的には下記一般式1ないし一般式2で表されるフッ化アルキル基を有する界面活性剤である。下記式中において、nは4以上の整数を表し、mは1以上の整数を表す。
【0027】
【化1】
【0028】
前記一般式1ないし一般式2で表される基を有する界面活性剤としては、これらの基を有する低分子系化合物(直鎖型とも呼ばれる)、高分子系化合物(重合型とも呼ばれる)等がある。
前記低分子系化合物としては、例えば、下記一般式3ないし一般式4で表される化合物などが挙げられる。
【0029】
【化2】
【0030】
前記一般式3及び4中、Rfはフッ化アルキル鎖であり、具体的にはC10F21−、C8F17−、C6F13−、C5F11−、C4F9−などが挙げられる。
また、式中のX1としては、−OH、−O(CH2CH2O)l−H、−SCH2CH2COO−M、−SO3−M、−O−P(=O)(OM)2、−OCO−L−COOM、−SO2NR2−CH2CH2OH、−SO2NR2−CH2COOMなどが挙げられる。ここで、lは1以上の整数を、Mは水素原子又は金属イオンなどの対カチオンを、R2はアルキル基を、Lは−(CH2)2−、−(CH2)3−、オルトフェニレン、−CH=CH−などを表す。
【0031】
X2としては、−OH、−NH−R3などが挙げられる。
R3は水素原子、アルキル基、アンモニウム基などを含むアルキル基であり、例えば−(CH2)3−N+R4R5R6Y−、−(CH2)3−N+R4R5R7COO−等が挙げられる。ここで、R4、R5、及びR6は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基などを、R7はアルキレン基などを、Y−はハロゲンなどを表す。
【0032】
前記高分子系化合物としては、例えば、下記一般式5ないし一般式6で表されるモノマーから得られる重合体、及びこれらと共重合可能な単量体との共重合体などが挙げられる。
【0033】
【化3】
【0034】
前記一般式5ないし一般式6中、Rfは前記一般式3及び一般式4における場合と同義であり、ここでのR1は水素、メチル基等を表し、R2はアルキル基等を表す。
【0035】
また、これらと共重合可能な単量体(モノマー)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n‐ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t‐ブチル、(メタ)アクリル酸へキンル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキンル、及び(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸C−18アルキルエステルなど]、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メタ)アクリル酸ノルボルニルなど]、(メタ)アクリル酸アリールエステル[例えば(メタ)アクリル酸フェニルなど]、アラルキルエステル[例えば(メタ)アクリル酸ベンジルなど]、置換(メタ)アクリル酸アルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど]、
【0036】
ポリエーテル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類、[例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノエチルエーテルモノ(メタ)アクリレニト、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテルモノ(メタ)アクリレートなど]、(メタ)アクリアミド類[例えば、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなど]、
【0037】
芳香族ビニル類[例えば、スチレン、ビニルトルエン、α一メチルスチレンなど]、ビニルエステル類[例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなど]、アリルエステル類[例えば、酢酸アリルなど]、ハロゲン含有単量体[例えば、塩化ビニリデン、塩化ビニルなど]、シアン化ビニル[例えば、(メタ)アクリロニトリルなど]、オレフィン類[例えば、エチレン、プロピレンなど]が挙げられる。
【0038】
具体的には、大日本インキ化学工業(株)社製の、メガファックF470,メガファックF472、メガファックF473、メガファックF475、メガファックF476、メガファックF1405、メガファックF178K、メガファックF−140NK;デュポシ社製の、Zonyl FSP,同FSE,同TBS,同FS−62,同FSA,同FSO,同FSN,同FS−300,同FS−310,同FSN−100,同FSO−100、ダイキン工業製の、DS101,DS202,DS401などが挙げられる。
【0039】
前記シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリジメチルシロキサンなどのオルガノポリシロキサン部を有する化合物(シリコーン系化合物)の側鎖、及び/又は、末端に親水性の基や親水性ポリマー鎖を有する化合物が一般的である。前記親水性の基や親水性ポリマー鎖としては、例えば、ポリエーテル結合(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキンドやこれらの共重合体など)、ポリグリセリン(C3Η6O(CH2CH(OH)CH2O)n−Hなど)、ピロリドン、ベタイン(C3Η6N+Me2−CH2COO−など)、硫酸塩(C3H6O(C2H4O)n−SO3Naなど)、リン酸塩(C3Η6O(C2H4O)n−P(=O)OHONaなど)、4級塩(C3H6N+Me3Cl−など)が挙げられる。尚、上記の化学式中、nは1以上の整数を表す。
【0040】
また、末端に重合性ビニル基を有するポリジメチルシロキサンなどとその他の共重合可能なモノマー(該モノマーの少なくとも一部には(メタ)アクリル酸やその塩などの親水性モノマーを用いることが好ましい)との共重合で得られる、側鎖にポリジメチルシロキサンなどのシリコーン系化合物鎖を有するビニル系共重合体なども挙げられる。
【0041】
これらの中でも、本発明においてはオルガノポリシロキサン部を有する化合物に親水性ポリマー鎖を有する化合物が好ましく、前記親水性ポリマー鎖としては、ポリエーテル結合を含有するものが特に好ましい。
【0042】
具体的には、好適な界面活性剤として、信越シリコーン(株)社製の、KF640、KF642、KF351A、KF352A、KF353A、KF354A、KF355A、KF−615,KF−945,KF−618,KF−6004;東レダウコーニングシリコン社製の、SH3746オイル、SH3748オイル、SH3749オイル、SH3771オイル、SH8400などが挙げられる。
【0043】
色材受容層において、上記の界面活性剤の総塗布量(固形分)としては、0.001〜0.4g/m2が好ましく、0.005〜0.2g/m2がさらに好ましく、0.01〜0.1g/m2が特に好ましい。該塗布量が、0.001〜0.4g/m2の範囲内とすることによって、高湿度下での走行性(搬送性)を良化すると共に、色材受容層へのローラ跡の転写を防止することができる。
【0044】
−気相法シリカ−
本発明にかかる色材受容層は、無機微粒子として、平均一次粒子径が30nm以下の気相法シリカを含有する。気相法シリカを含有することによって、多孔質構造が得られ、これによりインクの吸収性能を向上させることができる。
【0045】
シリカ微粒子は、通常その製造法により湿式法粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別されるが、本発明にかかる気相法シリカは、乾式法(気相法)粒子である。気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流であり、「気相法シリカ」とは該気相法によって得られた無水シリカ微粒子を意味する。尚、上記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流であり、気相法シリカ及び擬ベーマイトと共に併用してもよい。
【0046】
気相法シリカは、含水シリカと表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、異なった性質を示すが、空隙率が高い三次元構造を形成するのに適している。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nm2で多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nm2であり少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い構造になるものと推定される。
【0047】
気相法シリカは、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性、保持の効率が高く、また、屈折率が低いので、適切な粒子径まで分散をおこなえば受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発色性が得られるという特徴がある。受容層が透明であることは、OHP等透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光沢紙等の記録用シートに適用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性光沢を得る観点で重要である。
【0048】
前記気相法シリカの平均一次粒子径としては30nm以下が好ましく、20nm以下が更に好ましく、10nm以下が特に好ましく、3〜10nmが最も好ましい。上記気相法シリカは、シラノール基による水素結合によって粒子同士が付着しやすいため、平均一次粒子径が30nm以下の場合に空隙率の大きい構造を形成することができ、インク吸収特性を効果的に向上させることができると共に、色材受容層表面の光沢性を高めることができる。尚、気相法シリカは、一次粒子のまま用いるほか、二次粒子を形成した状態で使用してもよい。
【0049】
気相法シリカの分散は、凝集防止剤(分散剤)としてカオチン性のポリマーを用いることによって行なえ、気相法シリカ分散物として用いることができる。凝集防止剤としては、後述する媒染剤の例など、第1級〜第3級アミノ基及びその塩、第4級アンモニウム塩基を有するカチオンポリマーを添加するのが好ましい。また、分散剤としてシランカップリング剤を用いることも好ましい。
凝集防止剤の添加量としては、気相法シリカの質量に対して、1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。該添加量が、1質量%未満であると、分散性に劣ることがあり、10質量%を超えると、印画の際に色濃度が低下することがある。
【0050】
気相法シリカと共に他の無機微粒子を併用することもできる。他の無機微粒子としては、例えば、他のシリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、アルミナ、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化イットリウム等が挙げられる。これら微粒子は、一次粒子のまま用いても、又は二次粒子を形成した状態で使用してもよく、その平均一次粒子径は2μm以下が好ましく、200nm以下がより好ましい。
【0051】
前記気相法シリカ(および必要に応じて他の無機微粒子)の色材受容層における総含有量(固形分)としては60質量%以上が好ましく、より好ましくは65質量%以上である。該総含有量が60質量%以上であると、更に良好な多孔質構造を形成することが可能となり、充分なインク吸収性を備えたインクジェット記録用シートが得られるので好ましい。ここで、色材受容層における量(固形分)は、色材受容層を構成する組成物中の水以外の成分に基づき算出される量である。
【0052】
前記気相法シリカ及び他の無機微粒子をインクジェット記録用シートに用いる場合は、例えば、特開平10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号等公報に開示された態様でも、好ましく用いることができる。
【0053】
また、分散性を改善する目的で、気相法シリカの微粒子表面をシランカップリング剤で処理してもよい。該シランカップリング剤としては、カップリング処理を行なう部位の他に、有機官能基(例えば、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、クロロ基、アルキル基、フェニル基、エステル基等)を有するものが好ましい。
【0054】
分散処理によって気相法シリカ分散液を調製する場合、分散処理には、高速回転分散機、媒体攪拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、ロールミル分散機、高圧分散機など従来公知の各種分散機を使用することができる。形成されるダマ状微粒子の分散を効率的に行なうという点から、超音波分散機または高圧分散機が好ましい。
【0055】
この分散液を調製する際には、各種の添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、ノニオン性またはカチオン性の各種の界面活性剤(アニオン性界面活性剤は凝集物を形成するために好ましくない)、消泡剤、ノニオン性の親水性ポリマー(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、各種の糖類、ゼラチン、プルラン等)、ノニオン性またはカチオン性のラテックス分散液、水混和性有機溶媒(酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、nープロパノール、アセトンなど)、無機塩類、pH調整剤などが挙げられ、これらは必要に応じて適宜使用することができる。
【0056】
特に水混和性有機溶媒は、気相法シリカとカチオン性のポリマーを混合した際の微小なダマの形成が抑制される点で好ましい。水混和性有機溶媒は、分散液中に0.1〜20質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%使用される。
【0057】
気相法シリカの分散液を調製する際のpHは、気相法シリカの種類やカチオン性のポリマーの種類、各種の添加剤等により広範に変化し得るが、一般的にはpHが1〜8であり、特に2〜7が好ましい。また、上記の分散は2種以上を併用することも可能である。
【0058】
−水溶性樹脂−
水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール系樹脂〔ポリビニルアルコール(PVA)、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等〕、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ヒドラジド等〕等が挙げられる。
また、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も挙げることができる。
【0059】
以上の中でも、特にポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。該ポリビニルアルコールの例としては、特公平4−52786号、特公平5−67432号、特公平7−29479号、特許第2537827号、特公平7−57553号、特許第2502998号、特許第3053231号、特開昭63−176173号、特許第2604367号、特開平7−276787号、特開平9−207425号、特開平11−58941号、特開2000−135858号、特開2001−205924号、特開2001−287444号、特開昭62−278080号、特開平9−39373号、特許第2750433号、特開2000−158801号、特開2001−213045号、特開2001−328345号、特開平8−324105号、特開平11−348417号等に記載されたものなどが挙げられる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂以外の水溶性樹脂の例としては、特開平11−165461号公報の段落「0011」〜「0014」に記載の化合物なども挙げられる。
【0060】
これら水溶性樹脂は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記水溶性樹脂の含有量としては、色材受容層の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好ましく、12〜33質量%がより好ましい。
【0061】
インクジェット記録用シートの色材受容層を主として構成する前記水溶性樹脂および気相法シリカはそれぞれ単一素材であってもよいし、複数の素材の混合系を使用してもよい。また、透明性を保持する観点からは、気相法シリカ微粒子と組合される水溶性樹脂の種類が重要となる。特に、気相法シリカと組合せる水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましく、中でも鹸化度70〜100%のポリビニルアルコール系樹脂がより好ましく、鹸化度80〜99.5%のポリビニルアルコール系樹脂が特に好ましい。
【0062】
前記ポリビニルアルコール系樹脂は、その構造単位に水酸基を有するが、この水酸基と前記シリカ微粒子の表面シラノール基とが水素結合を形成するため、シリカ微粒子の二次粒子を網目鎖単位とした三次元網目構造を形成し易くなる。この三次元網目構造の形成によって、空隙率が高く十分な強度のある多孔質構造の色材受容層が形成されると考えられる。
インクジェット記録において、上述のようにして得られた多孔質の色材受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インク滲みの発生しない真円性の良好なドットを形成することができる。
【0063】
また、ポリビニルアルコール系樹脂は、前記その他の水溶性樹脂を併用してもよい。該他の水溶性樹脂と上記ポリビニルアルコール系樹脂とを併用する場合、全水溶性樹脂中、ポリビニルアルコール系樹脂の含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上が更に好ましい。
【0064】
<気相法シリカと水溶性樹脂との含有比>
気相法シリカ(x)と水溶性樹脂(y)との質量含有比〔PB比(x/y)〕は、色材受容層の膜構造及び膜強度にも大きな影響を与える。即ち、質量含有比〔PB比〕が大きくなると、空隙率、細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなるが、密度や強度は低下する傾向にある。
【0065】
本発明に係る色材受容層は、上記質量含有比〔PB比(x/y)〕としては、該PB比が大き過ぎることに起因する、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ該PB比が小さ過ぎることによって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5〜10が好ましい。
【0066】
インクジェットプリンターの搬送系を通過する場合、記録用シートに応力が加わることがあるので、色材受容層は十分な膜強度を有していることが必要である。またシート状に裁断加工する場合、色材受容層の割れや剥がれ等を防止する上でも、色材受容層には十分な膜強度を有していることが必要である。これらの場合を考慮すると、前記質量比(x/y)としては5以下がより好ましく、一方インクジェットプリンターで、高速インク吸収性を確保する観点からは、2以上であることがより好ましい。
【0067】
例えば、平均一次粒子径が20nm以下の気相法シリカ微粒子と水溶性樹脂とを、質量比(x/y)2〜5で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次粒子を網目鎖とする三次元網目構造が形成され、その平均細孔径が30nm以下、空隙率が50〜80%、細孔比容積が0.5ml/g以上、比表面積が100m2/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
【0068】
−架橋剤−
本発明のインクジェット記録用シートの色材受容層は、気相法シリカ微粒子および水溶性樹脂等を含む塗布層が、更に該水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含み、該架橋剤と水溶性樹脂との架橋反応によって硬化された多孔質層である態様が好ましい。
【0069】
上記の水溶性樹脂、特にポリビニルアルコール系樹脂の架橋には、ホウ素化合物が好ましい。該ホウ素化合物としては、例えば、硼砂、硼酸、硼酸塩(例えば、オルト硼酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO3)2、Co3(BO3)2、二硼酸塩(例えば、Mg2B2O5、Co2B2O5)、メタ硼酸塩(例えば、LiBO2、Ca(BO2)2、NaBO2、KBO2)、四硼酸塩(例えば、Na2B4O7・10H2O)、五硼酸塩(例えば、KB5O8・4H2O、Ca2B6O11・7H2O、CsB5O5)等を挙げることができる。中でも、速やかに架橋反応を起こすことができる点で、硼砂、硼酸、硼酸塩が好ましく、特に硼酸が好ましい。
【0070】
上記水溶性樹脂の架橋剤として、ホウ素化合物以外の下記化合物を使用することもできる。
例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;
【0071】
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等である。
上記の架橋剤は、一種単独でも、2種以上を組合わせて用いてもよい。
【0072】
架橋剤は、色材受容層形成用の塗布液(色材受容層塗布液)を塗布する際に色材受容層塗布液中および/または色材受容層の隣接層を形成するための塗布液中に添加してもよく、あるいは予め架橋剤を含む塗布液を塗布した支持体上に、前記色材受容層塗布液を塗布する、架橋剤非含有の色材受容層塗布液を塗布・乾燥後に架橋剤溶液をオーバーコートする、等して色材受容層に架橋剤を供給することができる。好ましくは、製造効率の点から、色材受容層塗布液またはこの隣接層形成用の塗布液中に架橋剤を添加し、色材受容層の形成と同時に架橋剤を供給するのが好ましい。
【0073】
例えば、以下のようにして好適に架橋剤を付与することができる。ここでは、ホウ素化合物を例に説明する。すなわち、色材受容層が色材受容層形成用の塗布液Aを塗布した塗布層を架橋硬化させた層である場合、架橋硬化は、(1)前記塗布液Aを塗布して塗布層を形成すると同時、(2)前記塗布液Aを塗布して形成される塗布層の乾燥塗中であって該塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pH8以上の塩基性溶液(塗布液B)を前記塗布層に付与することにより行われる。架橋剤たるホウ素化合物は、塗布液A又は塗布液Bのいずれかに含有すればよく、塗布液A及び塗布液Bの両方に含有させておいてもよい。
【0074】
架橋剤の使用量は、層中の水溶性樹脂の質量に対して、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
【0075】
−その他の成分−
〈媒染剤〉
本発明においては、形成画像の耐経時ニジミ及び耐水性の更なる向上を図る目的で媒染剤を併用することができる。
媒染剤としては、カチオン性ポリマー(カチオン性媒染剤)等の有機媒染剤、及び水溶性金属化合物等の無機媒染剤が好ましく、該媒染剤を色材受容層内の少なくとも上層に存在させることにより、アニオン性染料を色材として有する液状インクとの間で相互作用が働き該色材を安定化して、耐水性や耐経時ニジミを改善することができる。
【0076】
前記カチオン性媒染剤としては、カチオン性の官能基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好適に用いられるが、カチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することができる。
前記ポリマー媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(媒染剤モノマー)の単独重合体や、該媒染剤モノマーと他の単量体(非媒染剤モノマー)との共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。また、これらのポリマー媒染剤は、水溶性ポリマー又は水分散性ラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
【0077】
前記媒染剤モノマーとしては、例えば、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド;
【0078】
トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、N,N,N−トリエチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリエチル−N−2−(3−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムアセテート;
【0079】
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのメチルクロライド、エチルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、メチルアイオダイド若しくはエチルアイオダイドによる4級化物、又はそれらのアニオンを置換したスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸塩若しくはアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
【0080】
具体的な化合物としては、例えば、モノメチルジアリルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド;
【0081】
N,N−ジメチル−N−エチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムブロマイド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムブロマイド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムスルホネート、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムアセテート等を挙げることができる。
その他、共重合可能なモノマーとして、N―ビニルイミダゾール、N―ビニル−2−メチルイミダゾール等も挙げられる。
【0082】
また、アリルアミンやジアリルアミン、その誘導体、塩なども利用できる。このような化合物の例としてはアリルアミン、アリルアミン塩酸塩、アリルアミン酢酸塩、アリルアミン硫酸塩、ジアリルアミン、ジアリルアミン塩酸塩、ジアリルアミン酢酸塩、ジアリルアミン硫酸塩、ジアリルメチルアミンおよびこの塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルエチルアミンおよびこの塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルジメチルアンモニウム塩(該塩の対アニオンとしてはクロライド、酢酸イオン硫酸イオンなど)等が挙げられる。尚、これらのアリルアミン及びジアリルアミン誘導体はアミンの形態では重合性が劣るので塩の形で重合し、必要に応じて脱塩することが一般的な製法である。
また、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどの重合単位を用い、重合後に加水分解によってビニルアミン単位とすること、及びこれを塩にしたものも利用できる。
【0083】
前記非媒染剤モノマーとは、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、又は第4級アンモニウム塩基等の塩基性あるいはカチオン性部分を含まず、インクジェット用インク中の染料と相互作用を示さない、あるいは相互作用が実質的に小さい単量体をいう。
前記非媒染剤モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等のアラルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、等が挙げられる。
【0084】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル部位の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、具体的には例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートが好ましい。前記非媒染剤モノマーも、一種単独で又は二種以上を組合せて使用できる。
【0085】
更に、前記ポリマー媒染剤として、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリメタクリロイルオキシエチル−β−ヒドロキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン及びその誘導体、ポリアミド−ポリアミン樹脂、カチオン化でんぷん、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、ジメチル−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム塩重合物、ポリアミジン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物に代表されるジシアン系カオチン樹脂、ジシアンアミド−ジエチレントリアミン重縮合物に代表されるポリアミン系カオチン樹脂、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、ジメチルジアリンアンモニウムクロリド−SO2共重合物、ジアリルアミン塩−SO2共重合物等も好ましいものとして挙げることができる。
【0086】
前記ポリマー媒染剤として、具体的には、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号、特開平1−161236号、同10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号の各公報に記載のもの等が挙げられる。中でも、ポリアリルアミン及びその誘導体が特に好ましい。
【0087】
前記無機媒染剤としては、多価の水溶性金属塩や疎水性金属塩化合物が挙げられる。例えば、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、インジウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジミウム、ネオジミウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、ジスロプロシウム、エルビウム、イッテルビウム、ハフニウム、タングステン、ビスマスから選択される金属の塩又は錯体が挙げられる。
【0088】
具体例としては、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガン二水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミナ、アルミナミョウバン、塩基性ポリ水酸化アルミナ、亜硫酸アルミナ、チオ硫酸アルミナ、ポリ塩化アルミナ、硝酸アルミナ九水和物、塩化アルミナ六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、フェノールスルホン酸亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、四塩化チタン、テトライソプロピルチタネート、チタンアセチルアセトネート、乳酸チタン、ジルコニウムアセチルアセトネート、酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、ステアリン酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、オキシ塩化ジルコニウム、
【0089】
ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストリン酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドリン酸n氷和物、硝酸カリウム、酢酸マンガン、硝酸ゲルマニウム、硝酸ストロンチウム、酢酸イットリウム、塩化イットリウム、硝酸イットリウム、硝酸インジウム、硝酸ランタン、塩化ランタン酢酸ランタン、安息香酸ランタン、塩化セリウム、硫酸セリウム、オクチル酸セリウム、硝酸プラセオジミウム、硝酸ネオジミウム、硝酸サマリウム、硝酸ユーロピウム、硝酸ガドリニウム、硝酸ジスプロシウム、硝酸エルビウム、硝酸イッテルビウム、塩化ハフニウム、硝酸ビスマス等が挙げられる。
【0090】
前記無機媒染剤の中でも、アルミナ含有化合物、チタン含有化合物、ジルコニウム含有化合物、元素周期律表第IIIB族シリーズの金属化合物(塩又は錯体)が好ましい。
媒染剤の色材受容層における含有量としては、0.01〜5g/m2が好ましく、0.1〜3g/m2がより好ましい。
【0091】
〈各種添加剤〉
本発明のインクジェット記録用シートは、必要に応じて、各種の公知の添加剤、例えば、酸、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、モノマー、重合開始剤、重合禁止剤、滲み防止剤、防腐剤、粘度安定剤、消泡剤、界面活性剤、帯電防止剤、マット剤、カール防止剤、耐水化剤等を更に含有することができる。
【0092】
本発明に係る色材受容層は酸を含有していてもよい。酸を添加して色材受容層の表面pHを3〜8、好ましくは5〜7.5に調整することによって、白地部の耐黄変性が向上させることができる。表面pHの測定は、日本紙パルプ技術協会(J.TAPPI)の定めた表面PHの測定の内A法(塗布法)により行うことができ、例えば、前記A法に相当する(株)共立理化学研究所製の紙面用PH測定セット「形式MPC」を使用して行うことができる。
【0093】
具体的な酸の例としては、ギ酸、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、グルタル酸、グルコン酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、サリチル酸、サリチル酸金属塩(Zn,Al,Ca,Mg等の塩)、メタンスルホン酸、イタコン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、スチレンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、バルビツール酸、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、4−ヒドロキシ安息香酸、アミノ安息香酸、ナフタレンジスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、トルエンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸、スルファニル酸、スルファミン酸、α−レゾルシン酸、β−レゾルシン酸、γ−レゾルシン酸、没食子酸、フロログリシン、スルホサリチル酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、ビスフェノール酸、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸、ボロン酸等が挙げられる。これらの酸の添加量は、色材受容層の表面PHが3〜8になるように決めればよい。
【0094】
上記の酸は、金属塩(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、セシウム、亜鉛、銅、鉄、アルミニウム、ジルコニウム、ランタン、イットリウム、マグネシウム、ストロンチウム、セリウムなどの塩)、又はアミン塩(例えばアンモニア、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、ポリアリルアミンなど)の形態で使用してもよい。
【0095】
本発明においては、色材受容層が紫外線吸剤、酸化防止剤、滲み防止剤などの保存性向上剤を含有することが好ましい。
これら併用できる紫外線吸剤、酸化防止剤、滲み防止剤としては、アルキル化フェノール性化合物(ヒンダードフェノール性化合物を含む)、アルキルチオメチルフェノール性化合物、ヒドロキノン化合物、アルキル化ヒドロキノン化合物、トコフェロール化合物、チオジフェニルエーテル化合物、2個以上のチオエーテル結合を有する化合物、ビスフェノール性化合物、O−,N−及びS−ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化合物、トリアジン化合物、ホスホネート化合物、アシルアミノフェノール性化合物、エステル化合物、アミド化合物、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール化合物、2−ヒドロキシベンゾフェノン化合物、アクリレート、水溶性又は疎水性の金属塩、有機金属化合物、金属錯体、ヒンダードアミン化合物(TEMPO化合物を含む)、2−(2−ヒドロキシフェニル)1,3,5,−トリアジン化合物、金属不活性化剤、ホスフィット化合物、ホスホナイト化合物、ヒドロキシアミン化合物、ニトロン化合物、過酸化物スカベンジャー、ポリアミド安定剤、ポリエーテル化合物、塩基性補助安定剤、核剤、ベンゾフラノン化合物、インドリノン化合物、ホスフィン化合物、ポリアミン化合物、チオ尿素化合物、尿素化合物、ヒドラジト化合物、アミジン化合物、糖化合物、ヒドロキシ安息香酸化合物、ジヒドロキシ安息香酸化合物、トリヒドロキシ安息香酸化合物等が挙げられる。
【0096】
これらの中でも、アルキル化フェノール性化合物、2個以上のチオエーテル結合を有する化合物、ビスフェノール性化合物、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、水溶性又は疎水性の金属塩、有機金属化合物、金属錯体、ヒンダードアミン化合物、ポリアミン化合物、チオ尿素化合物、ヒドラジド化合物、ヒドロキシ安息香酸化合物、ジヒドロキシ安息香酸化合物、トリヒドロキシ安息香酸化合物の内少なくても一種を組合せて用いるのが好ましい。
【0097】
具体的な化合物例は、特願2002−13005号、特開平10−182621号、特開2001−260519号、特公平4−34953号、特公平4−34513号、特開平11−170686号、特公平4−34512号、EP1138509号、特開昭60−67190号、特開平7−276808号、特開2001−94829号、特開昭47−10537号、同58−111942号、同58−212844号、同59−19945号、同59−46646号、同59−109055号、同63−53544号、特公昭36−10466号、同42−26187号、同48−30492号、同48−31255号、同48−41572号、同48−54965号、同50−10726号、米国特許第2,719,086号、同3,707,375号、同3,754,919号、同4,220,711号、
【0098】
特公昭45−4699号、同54−5324号、ヨーロッパ公開特許第223739号、同309401号、同309402号、同310551号、同第310552号、同第459416号、ドイツ公開特許第3435443号、特開昭54−48535号、同60−107384号、同60−107383号、同60−125470号、同60−125471号、同60−125472号、同60−287485号、同60−287486号、同60−287487号、同60−287488号、同61−160287号、同61−185483号、同61−211079号、同62−146678号、同62−146680号、同62−146679号、同62−282885号、同62−262047号、同63−051174号、同63−89877号、同63−88380号、同66−88381号、同63−113536号、
【0099】
同63−163351号、同63−203372号、同63−224989号、同63−251282号、同63−267594号、同63−182484号、特開平1−239282号、特開平2−262654号、同2−71262号、同3−121449号、同4−291685号、同4−291684号、同5−61166号、同5−119449号、同5−188687号、同5−188686号、同5−110490号、同5−1108437号、同5−170361号、特公昭48−43295号、同48−33212号、米国特許第4814262号、同第4980275号、等の各公報に記載のものが挙げられる。
【0100】
その他の成分は、1種単独でも2種以上を併用してもよい。その他の成分は、水溶性化、分散化、ポリマー分散、エマルション化、油滴化して添加してもよく、マイクロカプセル中に内包することもできる。その他の成分を添加する場合の添加量としては、0.01〜10g/m2が好ましい。
【0101】
本発明において、色材受容層用塗布液は、既述のテロマー型フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤のほか、他の界面活性剤を含有していてもよい。ここでの界面活性剤としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、フッ素系、シリコン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
【0102】
前記ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリーコールジエチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等)、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類(例えば、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等)、グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、グリセロールモノオレート等)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類(モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリン等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレート等)、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アセチレングリコール類(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、及び該ジオールのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等)等が挙げられ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類が好ましい。該ノニオン系界面活性剤は、第1の塗布液及び第2の塗布液において使用することができる。また、前記ノニオン系界面活性剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0103】
前記両性界面活性剤としては、アミノ酸型、カルボキシアンモニウムベタイン型、スルホンアンモニウムベタイン型、アンモニウム硫酸エステルベタイン型、イミダゾリウムベタイン型等が挙げられ、例えば、米国特許第3,843,368号明細書、特開昭59−49535号公報、同63−236546号公報、特開平5−303205号公報、同8−262742号公報、同10−282619号公報等に記載されているものを好適に使用できる。該両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤が好ましく、該アミノ酸型両性界面活性剤としては、特開平5−303205号公報に記載されているように、例えば、アミノ酸(グリシン、グルタミン酸、ヒスチジン酸等)から誘導体化されたものであり、長鎖のアシル基を導入したN−アミノアシル酸及びその塩が挙げられる。前記両性界面活性剤は1種で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0104】
前記アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩(例えばステアリン酸ソーダ、オレイン酸カリ)、アルキル硫酸エステル塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン)、スルホン酸塩(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、アルキルスルホコハク酸塩(例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等が挙げられる。
前記カチオン系界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩などが挙げられる。
【0105】
前記フッ素系界面活性剤としては、電解フッ素化、テロメリゼーション、オリゴメリゼーションなどの方法を用いてパーフルオロアルキル基を持つ中間体を経て誘導される化合物が挙げられる。例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルトリアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0106】
前記シリコーン系界面活性剤としては、有機基で変性したシリコーンオイルが好ましく、シロキサン構造の側鎖を有機基で変性した構造、両末端を変性した構造、片末端を変性した構造をとり得る。有機基変性として、アミノ変性、ポリエーテル変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、アルキル変性、アラルキル変性、フェノール変性、フッ素変性等が挙げられる。
【0107】
前記他の界面活性剤の色材受容層用塗布液における含有量としては、0.001〜2.0%が好ましく、0.01〜1.0%がより好ましい。また、色材受容層用塗布液として2液以上を用いて塗布を行なう場合には、それぞれの塗布液に界面活性剤を添加するのが好ましい。
【0108】
本発明に係る色材受容層は、ひび割れ防止、カール防止用に高沸点有機溶剤を含有するのが好ましい。前記高沸点有機溶剤は常圧で沸点が150℃以上の有機化合物で、水溶性又は疎水性の化合物である。これらは、室温で液体でも固体でもよく、低分子でも高分子でもよい。
具体的には、芳香族カルボン酸エステル類(例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジフェニル、安息香酸フェニルなど)、脂肪族カルボン酸エステル類(例えばアジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸メチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、アセチルクエン酸トリエチルなど)、リン酸エステル類(例えばリン酸トリオクチル、リン酸トリクレジルなど)、エポキシ類(例えばエポキシ化大豆油、エポキシ化脂肪酸メチルなど)、アルコール類(例えば、ステアリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコールなど)、植物油(例えば大豆油、ヒマワリ油など)高級脂肪族カルボン酸(例えばリノール酸、オレイン酸など)等が挙げられる。
【0109】
−支持体−
支持体としては、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料からなる不透明支持体のいずれをも使用できる。色材受容層の透明性を生かす上では、透明支持体又は高光沢性の不透明支持体を用いることが好ましい。
【0110】
前記透明支持体に使用可能な材料としては、透明性で、OHPやバックライトディスプレイで使用される時の輻射熱に耐え得る性質を有する材料が好ましい。該材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類;ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等を挙げることができる。中でも、ポリエステル類が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
前記透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い易い点で、50〜200μmが好ましい。
【0111】
高光沢性の不透明支持体としては、色材受容層の設けられる側の表面が40%以上の光沢度を有するものが好ましい。前記光沢度は、JIS P−8142(紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載の方法に従って求められる値である。具体的には、下記支持体が挙げられる。
【0112】
例えば、アート紙、コート紙、キャストコート紙、銀塩写真用支持体等に使用されるバライタ紙等の高光沢性の紙支持体;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類、ニトロセルロース,セルロースアセテート,セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル類、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等のプラスチックフィルムに白色顔料等を含有させて不透明にした(表面カレンダー処理が施されていてもよい。)高光沢性のフィルム;或いは、前記各種紙支持体、前記透明支持体若しくは白色顔料等を含有する高光沢性のフィルムの表面に、白色顔料を含有若しくは含有しないポリオレフィンの被覆層が設けられた支持体等が挙げられる。
白色顔料含有発泡ポリエステルフィルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げることができる。更に銀塩写真用印画紙に用いられるレジンコート紙も好適である。
【0113】
前記不透明支持体の厚みについても特に制限はないが、取り扱い性の点で、50〜300μmが好ましい。
【0114】
また、前記支持体の表面には、濡れ特性及び接着性を改善するために、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等を施したものを使用してもよい。
【0115】
次に、前記レジンコート紙に用いられる原紙について詳述する。
前記原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。前記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。
但し、LBSP及び/又はLDPの比率としては、10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
【0116】
前記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸パルプ)が好ましく用いられ、漂白処理を行なって白色度を向上させたパルプも有用である。
【0117】
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
【0118】
抄紙に使用するパルプの濾水度としては、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長が、JIS P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
【0119】
原紙の坪量としては、30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さとしては、40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS P−8118)が一般的である。
更に、原紙剛度としては、JIS P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
【0120】
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
原紙のpHは、JIS P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
【0121】
原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
【0122】
特に、色材受容層を形成する側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行なわれているように、ルチル又はアナターゼ型の酸化チタン、蛍光増白剤、群青をポリエチレン中に添加し、不透明度、白色度及び色相を改良したものが好ましい。ここで、酸化チタン含有量としては、ポリエチレンに対して、概ね3〜20質量%が好ましく、4〜13質量%がより好ましい。ポリエチレン層の厚みは特に限定はないが、表裏面層とも10〜50μmが好適である。さらにポリエチレン層上に色材受容層との密着性を付与するために下塗り層を設けることもできる。該下塗り層としては、水性ポリエステル、ゼラチン、PVAが好ましい。また、該下塗り層の厚みとしては、0.01〜5μmが好ましい。
【0123】
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行なって通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも使用できる。
【0124】
支持体にはバックコート層を設けることもでき、このバックコート層に添加可能な成分としては、白色顔料や水性バインダー、その他の成分が挙げられる。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
【0125】
バックコート層に用いられる水性バインダーとしては、例えば、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、澱粉、カチオン化澱粉、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。
バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
【0126】
(インクジェット記録用シートの作製)
本発明において、インクジェット記録用シートを構成する色材受容層および必要に応じて適宜設けられる下塗り層など各種層を、支持体上に形成する方法は、公知の方法から適宜選択することができる。好ましい方法としては、支持体上に各層を構成する塗布液を塗布、乾燥する方法がある。この場合、2層以上を同時塗布によって形成することもでき、特に全ての親水性層を1回の塗布で行なう同時塗布が好ましい。
【0127】
形成される色材受容層の空隙容量としては、概ね20〜40ml/m2が好適であり、その空隙率としては概ね50〜80%が好適である。色材受容層が2層以上で構成される場合は、該2層の構成は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0128】
本発明のインクジェット記録用シートの色材受容層は、以下に示す方法によって形成することも好適である。
即ち、支持体表面に、気相法シリカと水溶性樹脂とテロマー型フッ素系界面活性剤及び/又はシリコーン系界面活性剤と(場合によりアルミニウム化合物を含んでもよい)を少なくとも含有する塗布液A(色材受容層用塗布液)を塗布して塗布層を形成し、さらに前記塗布液A及び/又は下記塩基性溶液に架橋剤を添加し、かつ(i)前記塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、又は(ii)前記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pHが8以上の塩基性溶液を前記塗布層に付与し、前記塗布層を架橋硬化させる方法(Wet−on−Wet法)によって好適に形成することができる。ここで、前記水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤は、前記塗布液あるいは塩基性溶液の少なくとも一方又は両方に含有せしめることができる。このようにして架橋硬化させた色材受容層を設けることは、インク吸収性や膜のひび割れ防止などの観点から好ましい。
【0129】
アルミニウム化合物(及び必要に応じ他の媒染剤)は、色材受容層表面からの媒染剤存在部分の厚みが受容層厚みに対し10〜60%であるように存在させることが好ましい。例えば、▲1▼気相法シリカ、水溶性樹脂等を含む塗布層を形成し、アルミニウム化合物含有溶液をその上に塗布する方法、▲2▼気相法シリカ、水溶性樹脂等を含む塗布液とアルミニウム化合物含有溶液を重層塗布する方法など任意の方法で形成できる。また、アルミニウム化合物含有溶液中に気相法シリカ、水溶性樹脂、架橋剤(及び必要に応じ他の媒染剤)等が含有されていてもよい。
【0130】
前記のようにすると、アルミニウム化合物(及び必要に応じ他の媒染剤)が色材受容層の所定の部分に多く存在するので、インクジェットの色材が充分に媒染され、色濃度、経時ニジミ、印画部光沢、印字後の文字や画像の耐水性、耐オゾン性が向上するので好ましい。アルミニウム化合物を含む媒染剤の一部は最初に支持体に設ける層に含有させてもよく、その場合は、後から付与する媒染剤は同じものでも異なっていてもよい。
【0131】
本発明において、気相法シリカと水溶性樹脂(例えばPVA)とテロマー型フッ素系界面活性剤及び/又はシリコーン系界面活性剤と(場合によりアルミニウム化合物と)を少なくとも含む色材受容層用塗布液(塗布液A)は、例えば、以下のようにして調製できる。即ち、
気相法シリカとこの分散剤であるカチオン性のポリマーとを水中に添加して(例えば、水中のシリカ微粒子は10〜20質量%)、高速回転湿式コロイドミル(例えば、エム・テクニック(株)製の「クレアミックス」)を用いて、例えば10000rpm(好ましくは5000〜20000rpm)の高速回転の条件で例えば20分間(好ましくは10〜30分間)かけて分散させて水分散物とした後、ポリビニルアルコール(PVA)水溶液(例えば、前記気相法シリカの1/3程度の質量のPVAとなるように)とテロマー型フッ素系界面活性剤及び/又はシリコーン系界面活性剤を含む水溶液(界面活性剤液)と(場合によりアルミニウム化合物を含む媒染剤溶液と)を加え、前記と同じ回転条件で分散を行なうことにより調製することができる。塗布液に安定性を付与するためにアンモニア水等でpH=9.2程度に調節すること、又は分散剤を用いることが好ましい。得られた塗布液は均一なゾル状態であり、これを下記塗布方法で支持体上に塗布し乾燥させることにより、三次元網目構造を有する多孔質性の色材受容層を形成することができる。媒染剤溶液を加えない場合には、上述のようにアルミニウム化合物含有の媒染剤溶液を別途色材受容層に付与するようにすればよい。
【0132】
水分散物を得るために用いる分散機としては、高速回転分散機、媒体撹拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、高圧分散機等従来公知の各種の分散機を使用することができるが、形成されるダマ状微粒子の分散を効率的に行なうという点から、媒体撹拌型分散機、コロイドミル分散機又は高圧分散機が好ましい。
【0133】
また、各工程における溶媒として水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。この塗布に用いることができる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
【0134】
上記のように分散剤にはカオチンポリマーが用いられるが、この場合、塗布液Aは、気相法シリカを分散剤で分散した水分散物に少なくともポリビニルアルコールを含む水溶液や界面活性剤液を添加し、これを再分散して得ることもでき、この塗布液Aを支持体表面に塗布して塗布層を形成し、前記(i)又は(ii)のいずれかのときに、pHが8以上の塩基性溶液を前記塗布層に付与し、前記塗布層を架橋硬化させるようにしてもよい。この方法によると、光沢度及び印画濃度を向上させることができる。水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を、塗布液A及び塩基性溶液の少なくとも一方に含有するのが好ましい。
【0135】
また、気相法シリカを分散剤で分散してなる水分散物を調製する場合、気相法シリカを含む水分散物を予め調製し、この水分散物を分散剤水溶液に添加するようにしてもよいし、分散剤水溶液を前記水分散物に添加するようにしてもよいし、気相法シリカと分散剤とを溶媒と共に同時に混合してもよい。また、他の無機微粒子を分散剤水溶液に添加するようにしてもよい。
気相法シリカと分散剤とを混合する場合、混合後の混合液を分散機を用いて細粒化することで平均粒子径50〜300nmの水分散物を得ることができる。ここでの分散機としては上記同様のものを使用できる。
【0136】
色材受容層用塗布液の塗布は、例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等を用いた公知の塗布方法によって行うことができる。
【0137】
色材受容層用塗布液(塗布液A)の塗布と同時又は塗布した後に、該塗布層に塩基性溶液(塗布液B)を付与する場合、該塗布液Bは、塗布後の塗布層が減率乾燥を示すようになる前に付与してもよい。即ち、色材受容層用塗布液(塗布液A)の塗布後、この塗布層が恒率乾燥を示す間に塗布液Bを導入する。この塗布液Bには、媒染剤を含有せしめてもよい。
【0138】
ここで、前記「塗布層が減率乾燥を示すようになる前」とは、通常、色材受容層用塗布液の塗布直後から数分間の過程を指し、この間においては、塗布された塗布層中の溶剤(分散媒体)の含有量が時間に比例して減少する「恒率乾燥」の現象を示す。この「恒率乾燥」を示す時間については、例えば、化学工学便覧(頁707〜712、丸善(株)発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
【0139】
上記のように、塗布層は減率乾燥速度を示すようになるまで乾燥されるが、このときの乾燥は一般に50〜180℃で0.5〜10分間(好ましくは、0.5〜5分間)行われる。この乾燥時間としては、当然塗布量により異なるが、通常は上記範囲が適当である。
【0140】
前記塗布層が減率乾燥を示すようになる前に付与する方法としては、▲1▼塗布液Bを塗布層上に更に塗布する方法、▲2▼スプレー等の方法により噴霧する方法、▲3▼塗布液B中に、該塗布層が形成された支持体を浸漬する方法、等が挙げられる。
【0141】
前記方法▲1▼において、塗布液Bを塗布する塗布方法としては、例えば、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等を用いた公知の塗布方法を利用することができる。特に、エクストリュージョンダイコーター、カーテンフローコーター、バーコーター等のように、既に形成されている第一塗布層にコーターが直接接触しない方法を利用することが好ましい。
【0142】
塗布液Bの付与後は、一般に40〜180℃で0.5〜30分間加熱され、乾燥及び硬化がおこなわれる。中でも、40〜150℃で1〜20分間加熱することが好ましい。
【0143】
また、前記塩基性溶液(塗布液B)を、色材受容層塗布液(塗布液A)を塗布すると同時に付与する場合、塗布液A及び塗布液Bを、塗布液Aが支持体と接触するようにして支持体上に同時塗布(重層塗布)し、その後乾燥硬化させることにより色材受容層を形成することができる。
【0144】
前記同時塗布(重層塗布)は、例えば、エクストルージョンダイコーター、カーテンフローコーターを用いた塗布方法により行なうことができる。同時塗布の後、形成された塗布層は乾燥されるが、この場合の乾燥は、一般に塗布層を40〜150℃で0.5〜10分間加熱することにより行なわれ、好ましくは、40〜100℃で0.5〜5分間加熱することにより行なわれる。
【0145】
前記同時塗布(重層塗布)を、例えば、エクストルージョンダイコーターにより行なった場合、同時に吐出される二種の塗布液は、エクストルージョンダイコーターの吐出口附近で、即ち、支持体上に移る前に重層形成され、その状態で支持体上に重層塗布される。塗布前に重層された二層の塗布液は、支持体に移る際、既に二液の界面で架橋反応を生じ易いことから、エクストルージョンダイコーターの吐出口付近では、吐出される二液が混合して増粘し易くなり、塗布操作に支障を来す場合がある。従って、上記のように同時塗布する際は、塗布液A及び塗布液Bの塗布と共に、バリアー層液(中間層液)を上記二液間に介在させて同時三重層塗布することが好ましい。
【0146】
前記バリアー層液は、特に制限なく選択できる。例えば、水溶性樹脂を微量含む水溶液や、水等を挙げることができる。前記水溶性樹脂は、増粘剤等の目的で、塗布性を考慮して使用されるもので、例えば、セルロース系樹脂(たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス、メチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルメチルセルロ−ス等)、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等のポリマーが挙げられる。尚、バリアー層液には、前記媒染剤を含有させることもできる。
【0147】
支持体上に色材受容層を形成した後、該色材受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレンダ等を用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカレンダー処理を施すことにより、表面平滑性、光沢度、透明性及び塗膜強度を向上させることが可能である。しかしながら、該カレンダー処理は、空隙率を低下させる要因となることがあるため(即ち、インク吸収性が低下することがあるため)、空隙率の低下が少ない条件を設定して行なう必要がある。
【0148】
カレンダー処理を行なう場合のロール温度としては、30〜150℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。また、カレンダー処理時のロール間の線圧としては、50〜400kg/cmが好ましく、100〜200kg/cmがより好ましい。
【0149】
前記色材受容層の層厚としては、インクジェット記録の場合では、液滴を全て吸収するだけの吸収容量をもつ必要があるため、層中の空隙率との関連で決定する必要がある。例えば、インク量が8nL/mm2で、空隙率が60%の場合であれば、層厚が約15μm以上の膜が必要となる。この点を考慮すると、インクジェット記録の場合には、色材受容層の層厚としては、10〜50μmが好ましい。
【0150】
また、色材受容層の細孔径は、メジアン径で0.005〜0.030μmが好ましく、0.01〜0.025μmがより好ましい。前記空隙率及び細孔メジアン径は、水銀ポロシメーター((株)島津製作所製の商品名「ボアサイザー9320−PC2」)を用いて測定することができる。
【0151】
また、色材受容層は、透明性に優れていることが好ましいが、その目安としては、色材受容層を透明フィルム支持体上に形成したときのヘイズ値が、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。前記ヘイズ値は、ヘイズメーター(HGM−2DP:スガ試験機(株))を用いて測定することができる。
【0152】
本発明のインクジェット記録用シートの構成層(例えば、色材受容層あるいはバック層など)には、ポリマー微粒子分散物を添加してもよい。このポリマー微粒子分散物は、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止等のような膜物性改良の目的で使用される。ポリマー微粒子分散物については、特開昭62−245258号、同62−1316648号、同62−110066号の各公報に記載がある。尚、ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマー微粒子分散物を、前記媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマー微粒子分散物をバック層に添加しても、カールを防止することができる。
【0153】
本発明のインクジェット記録用シートを用いて画像形成する場合、水性インクを用いた記録方法が好適である。ここでいう水性インクは、下記着色剤及び溶媒(液媒体)並びに他の添加剤からなる液体である。着色剤としては、インクジェットで公知の直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料あるいは食品用色素等の水溶性染料あるいは水分散性顔料が挙げられる。
【0154】
水性インクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリエタノールアミン等の多価アルコール類;エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられる。
【0155】
これら水溶性の有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール、トリエタノールアミンやグリセリン等の多価アルコール類、トリエチレングリコールモノブチルエーテルの多価アルコールの低級アルキルエーテル等は好ましいものである。
【0156】
水性インクにおける他の添加剤としては、例えば、pH調節剤、金属封鎖剤、防バイ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤、及び防錆剤などが挙げられる。水性インクは、色材受容層面に対する濡れ性を良好にする点で、20℃において、25〜60dyn/cmの表面張力を有することが好ましく、30〜50dyn/cmの表面張力を有することがより好ましい。
【0157】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り「質量部」及び「質量%」を表す。
【0158】
(実施例1)
−支持体の作製−
LBKP50部とLBSP50部とをパルプ配合してなる120g/m2の基紙の表面に、低密度ポリエチレン70部と高密度ポリエチレン20部と酸化チタン10部からなる樹脂組成物を25g/m2塗布し(この面を「オモテ面」とする。)、該面と逆側の裏面に、高密度ポリエチレン50部と低密度ポリエチレン50部とからなる樹脂組成物を25g/m2塗布してなる樹脂被覆紙を用意し、支持体とした。
【0159】
−色材受容層塗布液の調製−
水:エチルアルコール=20:1の水系溶媒に気相法シリカ(アエロジル380、日本アエロジル(株)製;平均一次粒子径7nm、BET法による比表面積380m2/g)100部(全体の10質量%)を加えて高圧ホモジナイザイーで分散した後、これに更に、塩基性ポリ水酸化アルミニウム(ピュラケムWT、(株)理研グリーン製)4部、ホウ酸(特級)3部、ポリビニルアルコール(PVA−235、(株)クラレ製;鹸化度88%、平均重合度3500)20部、およびメガファックF−1405(大日本インキ化学工業(株)製;テロマー型フッ素系界面活性剤)0.3部を混合して攪拌し、色材受容層塗布液(固形分濃度10質量%)を得た。その後、この塗布液を2時間放置し、以下のようにして支持体上に塗布した。
【0160】
上記の支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、上記より得た色材受容層塗布液をエクストルージョンコート法によって固形分の塗布量が15g/m2となるように塗布した。塗布は40℃に調温した色材受容層用塗布液を用いて行い、塗布直後に0℃に保たれた冷却ゾーンで20秒間冷却した後、20〜30℃の風で60秒間、45℃の風で60秒間、50℃の風で60秒間順次乾燥させて、本発明のインクジェット記録用シートを得た。
【0161】
(実施例2)
実施例1において、メガファックF−1405(テロマー型フッ素系界面活性剤)を、SH−3746オイル(東レダウコーニングシリコーン(株)製;シリコーン系界面活性剤)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、本発明のインクジェット記録用シートを得た。
【0162】
(比較例1)
実施例1において、メガファックF−1405(テロマー型フッ素系界面活性剤)を、エマルゲン109P(100%、花王(株)製;ノニオン系界面活性剤)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録用シートを得た。
【0163】
(比較例2)
実施例1において、塩基性ポリ水酸化アルミニウムをエポミンSP−003((株)日本触媒製)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録用シートを得た。
【0164】
(評価)
上記より得られた各インクジェット記録用シートを用いて、以下の評価を行なった。評価した結果は下記表1に示す。
(1) 走行性(搬送性)
各インクジェット記録用シートの各々複数枚を35℃、80%RHの環境条件下で一昼夜調湿し、その各20枚を同一環境条件のもとでインクジェットプリンタ(PM−950、セイコーエプソン社製)にセットし、連続印画を行なった。これと同じ操作を20回繰り返し行なったときに重送された頻度を調べ、走行性の良否を評価する指標とした。
【0165】
(2) ローラ跡故障
上記の「(1)走行性の評価」と同様にして連続印画を行ない、プリンタの搬送ローラから転写した色材受容層における汚れ(ローラ跡)の程度を目視により下記基準にしたがって評価した。
○:ローラ跡は全く生じなかった。
△:ローラ跡が若干生じた。
×:ローラ跡による汚れがひどかった。
【0166】
(3) 経時ニジミ
インクジェットプリンタ(PM−900C、セイコーエプソン社製)を用いて、各インクジェット記録用シート上にマゼンタインクとブラックインクとを隣り合わせにした格子状の線状パターン(線幅0.28mm)を印画した。印画直後に透明PP製ファイルに挿入して35℃、80%RH環境下で3日間保存し、線状パターンの黒線の幅を測定した。別途、印画直後の黒線の幅を求めておき、下記式で経時ニジミ(%)を算出し、評価の指標とした。
経時ニジミ(%)= (3日間保存後の線状パターンの黒線の幅)/(印画直後の黒線の幅)×100
【0167】
(4) 密着性
インクジェット記録用シートを幅25mm、長さ100mmに裁断して試験片を作成した。この試験片を色材受容層が外側に位置するようにして折り曲げ、その折り曲げ部分を指で擦り、色材受容層の剥離の程度を下記基準にしたがって評価した。
〔基準〕
○ :色材受容層の剥離は全く認められなかった。
○×:僅かな剥離が認められたが、実用上問題ないレベルであった。
△ :剥離が認められた。
× :著しい剥離が認められた。
【0168】
【表1】
【0169】
上記表1に示すように、媒染剤としてのアルミニウム化合物とテロマー型フッ素系界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤とを共に含有した実施例のインクジェット記録用シートでは、高湿度下でも、印画時に複数枚が重送されることはなく、ローラ跡故障の発生もなく、しかも形成画像が滲んで画質を損なうこともなかった。尚、支持体に対する色材受容層の密着の程度としては、テロマー型フッ素系界面活性剤を用いた場合の方がシリコーン系界面活性剤を用いた場合よりも優れていた。
一方、テロマー型フッ素系界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤のいずれをも用いなかった比較例1では、高湿度下でのシート走行性が悪く、重送を回避できなかっただけでなく、ローラ跡付着によって画像に支障を来してしまった。また、アルミニウム化合物を媒染剤としなかった比較例2では、特に経時ニジミの点で劣っていた。
【0170】
【発明の効果】
本発明によれば、特に高湿度環境下において、形成画像の経時ニジミの発生がなく、かつプリンタ内での走行性に優れ、ローラ跡故障のない高画質の画像を形成し得るインクジェット記録用シートを提供することができる。
Claims (1)
- 支持体上に、平均一次粒子径が30nm以下の気相法シリカと水溶性樹脂とを含む色材受容層を有するインクジェット記録用シートにおいて、前記色材受容層が、アルミニウム化合物と、テロマー型フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤の少なくとも一種とを更に含むことを特徴とするインクジェット記録用シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002201178A JP2004042354A (ja) | 2002-07-10 | 2002-07-10 | インクジェット記録用シート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002201178A JP2004042354A (ja) | 2002-07-10 | 2002-07-10 | インクジェット記録用シート |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004042354A true JP2004042354A (ja) | 2004-02-12 |
Family
ID=31707790
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002201178A Pending JP2004042354A (ja) | 2002-07-10 | 2002-07-10 | インクジェット記録用シート |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004042354A (ja) |
-
2002
- 2002-07-10 JP JP2002201178A patent/JP2004042354A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2005022282A (ja) | シリカ予分散液、シリカ微粒化分散液、インク受容層塗布液及びインクジェット記録媒体 | |
JP2005178065A (ja) | インクジェット記録用媒体及びその製造方法 | |
JP3908718B2 (ja) | インクジェット記録媒体のインク受容層用塗布液、インクジェット記録媒体及びインクジェット記録媒体の製造方法 | |
JP4090298B2 (ja) | 微粒化分散液、インクジェット記録用シート色材受容層塗布液および微粒化分散液の製造方法 | |
JP2007245713A (ja) | 無機微粒子分散液及びその製造方法並びにインクジェット記録媒体及びその製造方法 | |
JP3943428B2 (ja) | インクジェット記録用シート | |
JP3948520B2 (ja) | インクジェット記録用シート | |
JP4005416B2 (ja) | インクジェット記録用シート及びその製造方法 | |
JP2004058318A (ja) | インクジェット記録用シート | |
JP3912793B2 (ja) | インクジェット記録用シート | |
JP4041773B2 (ja) | インクジェット記録媒体 | |
JP2004230769A (ja) | インクジェット記録用シート | |
JP2004001289A (ja) | インクジェット記録用シート | |
JP2004042354A (ja) | インクジェット記録用シート | |
JP2005066831A (ja) | インクジェット記録媒体 | |
JP2004122520A (ja) | インクジェット記録用シート | |
JP2004202964A (ja) | インクジェット記録用シート | |
JP2004167910A (ja) | インクジェット記録用シート | |
JP2004188852A (ja) | インクジェット記録用シート | |
JP2004025485A (ja) | インクジェット記録用シート | |
JP2004249524A (ja) | インクジェット記録用シート | |
JP2004042353A (ja) | インクジェット記録用シート | |
JP2004058561A (ja) | インクジェット記録用シート | |
JP2004174747A (ja) | インクジェット記録用シート | |
JP2004345199A (ja) | シリカ予分散液、シリカ微粒化分散液、インク受容層塗布液及びインクジェット記録媒体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050214 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20061213 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070104 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070123 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070605 |