【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、コンクリート構造物内に埋設するインサート器具に係り、特にインサート器具を型枠に仮固定するインサート取付器具に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
インサート器具を型枠に仮固定するインサート取付器具に関して、型枠の除去等を容易にする技術として、次のものが提案されている。まず、保持具を変形させて脱型させるものとして、特開２００１−１７３１０９が提案されており、また保持具を破断して脱型するものとして、特開平１１−２００５０７、同１１−２００５０６、同１１−２００５０５、登録実用新案３００５４５１、同３０４５９４５、実公昭５９−３８６３、実公平４−３２２５５、同４−４０８０１がある。さらに、保持具を破断又は抜いて脱型するものとして、特開２０００−７９６０９、特開平１１−３４８０２４、同１１−２６２９１１、同１１−１４０９９１、同１１−７０５１５、同１１−７０５１４、同１０−３０６５１０、同１０−６７０１１、同１０−６７０１０、同９−３２２３４８、同８−１００５２５、同８−５７８３８、同７−２３２３１４、同７−２２４４６６、同７−１９５３３７、同７−１７１８２０等がある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の技術においては、取付具を直接型枠に螺着、嵌合手段により固定することから、型枠に雌ねじ部や複数の孔を設けることが必要となる。又、型枠を他のコンクリート構造物に使用する場合に、インサート器具の大きさが異なるものを設ける場合には、雌ねじ部や孔を再度設置変更することが必要となったり、新たに設ける必要が生じたりする課題が生じた。一方、取付具側においても、雄ねじ部や複数の突起を設けることが必要となり、脱型時に取付具を破断する場合には、再利用できない消耗品になった。又、脱型時に型枠に衝撃を与えて脱型することから、インサート器具に衝撃を与えることになり、コンクリート構造物に損傷を与える可能性があった。
【０００４】
この発明は上記のような課題を解決するために成されたものであり、脱型時に型枠やインサート器具に大きな衝撃を与えることはなく、コンクリート構造物に損傷を与えず、また各種大きさのインサート器具の設置に容易に対応することができるとともに、インサート器具を確実に固定することができ、安価で脱型作業の作業性が良いインサート取付器具を得ることを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
切断可能な可撓性の固定ベルトを介して保持具を型枠に固定し、これにインサート器具を嵌着し、固定ベルトを切断することにより、脱型を容易にするようにした。
【０００６】
この発明の請求項１に係るインサート取付器具は、コンクリート構造物内の所定の位置に埋設され、取付ボルトが螺合する雌ねじ部を有するインサート本体と、インサート本体と一体化され、取付ボルトが挿入される取付ボルト挿入筒体とを備えたインサート器具を、コンクリート打設時に用いられる型枠に取り付けるためのインサート取付器具において、取付ボルト挿入筒体内に装着される保持具と、型枠を貫通して保持具を型枠に固定する可撓性の固定ベルトと、型枠の反インサート器具側に位置し、固定ベルトと係合する固定具本体とを備えたものである。
【０００７】
請求項２に係るインサート取付器具は、保持具が、セラミックス、樹脂部材、金属部材の何れかからなるものである。
【０００８】
請求項３に係るインサート取付器具は、保持具が、接合手段を介して型枠に仮固定されるものである。接合手段としては、両面テープ、磁石を用いる。
【０００９】
請求項４に係るインサート取付器具は、固定ベルトが、樹脂繊維部材からなるものである。
【００１０】
請求項５に係るインサート取付器具は、固定具本体が、樹脂部材又は金属部材からなるものである。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面とともに説明する。図１はこの発明の実施形態によるインサート取付器具のインサート器具取付状態の断面図を示し、１はセラミックスからなり、コンクリート構造物内の所定位置に埋設されるインサート本体であり、コンクリート構造物の表面に被取付部材を取り付ける際に用いられる取付ボルトが螺合する雌ねじ部１ａが軸方向に設けられている。２はセラミックスからなり、コンクリート構造物内のインサート本体１の外表面側に埋設される円筒状のスリーブ（取付ボルト挿入筒体）であり、インサート本体１とは
継手３を介して接続され、被取付部材の取付の際には取付ボルトが挿通される。スリーブ２の型枠４側にはゴムパッキン５が接着され、インサート本体１、スリーブ２、継手３及びゴムパッキン５により、インサート器具６が構成される。
【００１２】
７はセラミックス、樹脂部材（ポリプロピレンなど）、金属部材などからなる円柱状の保持具であり、図２に示すように軸方向の一対のスリット７ａ，７ｂが形成され、スリーブ２及びゴムリング５内に嵌合される。スリット７ａ，７ｂの間隔は型枠４側が狭く、インサート本体１側が広く形成され、またスリット７ａ，７ｂの軸方向端面においては内側にＲ面が形成されている。保持具７の一端は両面テープの接着により又は磁気結合により型枠４に仮固定される。８はポリプロピレンなどの樹脂繊維部材からなる可撓性の固定ベルトであり、その一端は型枠４の外部側（反インサート本体１側）から型枠４の取付孔４ａに挿通され、保持具７の一方のスリット７ｂを長さ方向に挿通した後、反転してスリット７ａを長さ方向に挿通し、再び型枠４の取付孔４ａを挿通して型枠４の外部側に引き出される。
【００１３】
９は樹脂部材又は金属部材からなる固定具本体であり、図３（ａ）に示すように、四角いリング状の本体部９ａと、本体部９ａから同一方向に突出した一対の足部９ｂと、本体部９ａと足部９ｂとを接続し、１８０度折り曲げられる折曲部９ｃとからなり、型枠４の取付孔４ａから引き出された固定ベルト８の両端部を、図３（ｂ）、（ｃ）に示すように、足部９ｂが１８０度折り曲げられて本体部９ａ上に重ねられたバックル状態の固定具本体９に対して、本体部９ａと足部９ｂとに交互に係合させながら引っ張り、固定ベルト８と固定具本体９とにより、保持具７を型枠４にしっかりと固定する。
【００１４】
図１に示したように、インサート器具６を支持した保持具７を型枠４の内側に固定した状態において、型枠４の内側にコンクリートを打設し、一定期間養生して、図４に示すようにコンクリート構造物１０を形成する。インサート器具６は、コンクリート構造物１０中に埋設される。ここで、型枠４の外側において固定ベルト８（又は固定具本体９）を切断して型枠４を除去した後、ゴムパッキン５を除去し、さらに固定ベルト８を引っ張って保持具７をスリーブ３から引き出す。
【００１５】
上記の実施形態においては、固定ベルト８を切断することにより、型枠４、ゴムリング５及び保持具７を除去することができるから、脱型時に型枠４やインサート器具６に大きな衝撃を与えることはなく、インサート構造物１０に損傷を与えることはない。又、各種の大きさのインサート器具６を設置する場合においても、型枠４の取付孔４ａの大きさや位置を変更する必要はなく、保持具７の大きさを変更するだけで容易に対応することができる。又、固定ベルト８と固定具本体９とによる緊縛力は大きなものがあり、コンクリート打設時の衝撃に対して、インサート器具６を型枠４に確実に固定でき、インサート器具６を正確な位置に位置させることができる。また切断する固定ベルト８以外のものは再利用することができ、安価な取付器具が得られる。さらに、上記のことから、脱型時の作業性に富むインサート取付器具が得られる。
【００１６】
図５（ａ），（ｂ）は保持具７の変形例を示す、側面図及び縦断正面図であり、固定ベルト８を装着するためのスリット７ｃは型枠１０側の端部から長さ方向に往復する一連のものとなっている。また、保持具７のインサート本体１側端部に軸方向に突出した雄ねじ部７ｄを設け、この雄ねじ部７ｄをインサート本体１の雌ねじ部１ａに螺着するようにしてもよく、この場合には保持具７とインサート器具６との一体化が進み、インサート器具６の支持強度が高くなる。
【００１７】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、保持具を型枠に固定する固定ベルトは型枠の外側に導出されて固定具本体と係合しており、固定ベルトの型枠の外側部分を切断することにより、型枠等を除去することができ、脱型時に型枠やインサート器具に大きな衝撃を与えることはなく、インサート構造物に損傷を与えることはない。又、インサート器具の大きさが変わっても、型枠等は変更する必要がなく、保持具のみ変更するだけでよいので、対応が容易である。また、固定ベルトと固定具本体とによる緊縛力は大きいので、インサート器具を型枠に対して正確な位置に固定することができる。さらに、切断する固定ベルト以外のものは再利用することができ、安価な取付器具が得られ、また脱型が容易で損傷が生じる心配もないので、脱型の作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明によるインサート取付器具を用いてインサート器具を型枠に取り付けた状態の断面図である。
【図２】この発明による保持具の左側面図、斜視図、右側面図である。
【図３】この発明による固定具本体の平面図、固定ベルトを固定具本体に係合した状態の断面図および平面図である。
【図４】この発明によるインサート取付器具の脱型時を示す断面図である。
【図５】この発明による保持具の変形例を示す側面図及び縦断正面図である。
【符号の説明】
１…インサート本体
１ａ…雌ねじ部
２…スリーブ
４…型枠
４ａ…取付孔
６…インサート器具
７…保持具
７ａ〜７ｃ…スリット
８…固定ベルト
９…固定具本体
１０…コンクリート構造物[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to an insert device embedded in a concrete structure, and more particularly to an insert mounting device for temporarily fixing the insert device to a formwork.
[0002]
[Prior art]
Regarding an insert mounting device for temporarily fixing an insert device to a mold, the following has been proposed as a technique for facilitating removal of the mold and the like. First, Japanese Patent Application Laid-Open No. 2001-173109 has been proposed as a method for deforming and removing a holding tool, and Japanese Patent Application Laid-Open Nos. 11-200507, 11-200506 and 11-200506 as examples for breaking and removing a holding tool. 11-200505, registered utility model 3005451 and registered utility model 3405945, Japanese Utility Model Publication No. 59-3863, Japanese Utility Model Publication No. 4-32255, and Japanese Utility Model Application No. 4-40801. Furthermore, as a device to be released from the mold by breaking or pulling out the holder, JP-A-2000-79609, JP-A-11-348024, JP-A-11-262911, JP-A-11-140991, JP-A-11-70515, JP-A-11-70514, and JP-A-11-70514. 306510, 10-67011, 10-67010, 9-322348, 8-100525, 8-57838, 7-232314, 7-224466, 7-195337, and 7-171820.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
In the above-mentioned conventional technology, since the mounting tool is directly screwed to the mold and fixed by the fitting means, it is necessary to provide a female screw portion and a plurality of holes in the mold. Also, when using a formwork for another concrete structure, if the size of the insert device is different, it is necessary to change the female screw part or hole again, or it is necessary to provide a new one. And other problems have arisen. On the other hand, it is necessary to provide a male screw portion and a plurality of projections also on the fixture side, and when the fixture is broken at the time of removal from the mold, it becomes a consumable that cannot be reused. In addition, since the mold is subjected to demolding during demolding, the insert device is impacted, and there is a possibility of damaging the concrete structure.
[0004]
The present invention has been made in order to solve the above-mentioned problems, and does not give a large impact to a formwork or an insert device at the time of demolding, does not damage concrete structures, and has various sizes. It is an object of the present invention to provide an insert mounting device which can easily cope with the installation of the insert device, can surely fix the insert device, is inexpensive, and has good workability of the demolding operation.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
The holder was fixed to the mold via a flexible fixing belt which can be cut, an insert tool was fitted to the fixing tool, and the fixing belt was cut to facilitate removal from the mold.
[0006]
An insert mounting tool according to claim 1 of the present invention is embedded at a predetermined position in a concrete structure, has an insert body having a female screw portion to which the mounting bolt is screwed, and is integrated with the insert body, and the mounting bolt is inserted. An insert mounting device for mounting an insert device provided with a mounting bolt insertion cylindrical body to a formwork used during concrete casting, wherein a retainer attached to the mounting bolt insertion cylindrical body and a mold penetrating the formwork. And a flexible fixing belt for fixing the holding tool to the formwork, and a fixing tool main body located on the side of the formwork opposite to the insert device and engaged with the fixing belt.
[0007]
In the insert mounting tool according to claim 2, the holder is made of any one of ceramics, a resin member, and a metal member.
[0008]
In the insert mounting tool according to a third aspect, the holder is temporarily fixed to the mold via the joining means. As the joining means, a double-sided tape and a magnet are used.
[0009]
In the insert mounting tool according to claim 4, the fixing belt is made of a resin fiber member.
[0010]
In the insert mounting tool according to claim 5, the fixing tool main body is made of a resin member or a metal member.
[0011]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings. FIG. 1 is a cross-sectional view of an insert mounting device according to an embodiment of the present invention, in which the insert device is mounted. Reference numeral 1 denotes an insert body which is made of ceramics and is buried at a predetermined position in a concrete structure. A female screw portion 1a is provided in the axial direction to which a mounting bolt used for mounting the member to be mounted is screwed. Numeral 2 denotes a cylindrical sleeve (mounting bolt insertion cylinder) embedded in the outer surface of the insert main body 1 in the concrete structure, which is connected to the insert main body 1 through a joint 3 and formed of a ceramic. At the time of mounting the mounting member, the mounting bolt is inserted. A rubber packing 5 is adhered to the mold 4 side of the sleeve 2, and an insert device 6 is configured by the insert body 1, the sleeve 2, the joint 3, and the rubber packing 5.
[0012]
Reference numeral 7 denotes a cylindrical holder made of ceramics, a resin member (e.g., polypropylene), a metal member, or the like, and has a pair of axial slits 7a and 7b formed therein as shown in FIG. Is fitted to. The gap between the slits 7a and 7b is formed narrow on the mold frame 4 side and wide on the insert body 1 side, and an R surface is formed inside the axial end surfaces of the slits 7a and 7b. One end of the holder 7 is temporarily fixed to the mold 4 by bonding a double-sided tape or by magnetic coupling. Reference numeral 8 denotes a flexible fixing belt made of a resin fiber member such as polypropylene. One end of the fixing belt is inserted from the outside of the mold 4 (the side opposite to the insert body 1) into the mounting hole 4a of the mold 4, and the holder 7 After being inserted through one of the slits 7b in the length direction, the slit 7a is turned over, inserted through the slit 7a in the length direction, inserted again through the mounting hole 4a of the mold 4, and pulled out to the outside of the mold 4.
[0013]
Reference numeral 9 denotes a fixture main body made of a resin member or a metal member. As shown in FIG. 3A, a square ring-shaped main body 9a, a pair of feet 9b protruding in the same direction from the main body 9a, The main body 9a and the foot 9b are connected to each other, and the bent portion 9c is bent by 180 degrees. The both ends of the fixed belt 8 pulled out from the mounting holes 4a of the formwork 4 are shown in FIGS. As shown in c), the foot 9b is bent 180 degrees, and is alternately engaged with the body 9a and the foot 9b with the fastener body 9 in the buckle state, which is superimposed on the body 9a. The holder 7 is firmly fixed to the formwork 4 by pulling and using the fixing belt 8 and the fixing body 9.
[0014]
As shown in FIG. 1, in a state where the holder 7 supporting the insert device 6 is fixed inside the form 4, concrete is poured into the inside of the form 4 and cured for a certain period. A concrete structure 10 is formed as shown. The insert device 6 is buried in the concrete structure 10. Here, after the fixing belt 8 (or the fixing device main body 9) is cut outside the forming frame 4 to remove the forming frame 4, the rubber packing 5 is removed, and the fixing belt 8 is further pulled to put the holding member 7 into a sleeve. Withdraw from 3.
[0015]
In the above-described embodiment, the mold 4, the rubber ring 5, and the holder 7 can be removed by cutting the fixing belt 8, so that a large impact is applied to the mold 4 and the insert device 6 when the mold is removed. The insert structure 10 is not damaged. In addition, even when the insert instruments 6 of various sizes are installed, it is not necessary to change the size and the position of the mounting hole 4a of the formwork 4, and it is easy to cope only by changing the size of the holder 7. be able to. Further, there is a large binding force between the fixing belt 8 and the fixing device main body 9, and the insert device 6 can be securely fixed to the formwork 4 in response to an impact at the time of concrete casting, and the insert device 6 can be accurately positioned. Can be located. In addition, anything other than the fixed belt 8 to be cut can be reused, and an inexpensive mounting device can be obtained. Further, from the above, an insert mounting tool with high workability at the time of demolding can be obtained.
[0016]
5A and 5B are a side view and a vertical sectional front view showing a modified example of the holder 7, in which a slit 7c for mounting the fixing belt 8 extends in the length direction from the end on the form 10 side. It is a series of things going back and forth. Further, a male screw portion 7d protruding in the axial direction may be provided at an end of the holder 7 on the insert body 1 side, and the male screw portion 7d may be screwed to the female screw portion 1a of the insert body 1. In this case, The integration of the holder 7 and the insert device 6 proceeds, and the support strength of the insert device 6 increases.
[0017]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, the fixing belt for fixing the holder to the mold is led out of the mold and is engaged with the fixture main body, and cuts the outer portion of the mold of the fixing belt. Thereby, the mold and the like can be removed, and the mold and the insert instrument do not have a large impact when the mold is removed, and the insert structure is not damaged. In addition, even if the size of the insert device changes, it is not necessary to change the form and the like, and only the holder needs to be changed. Further, since the fastening force between the fixing belt and the fixing device main body is large, the insert device can be fixed at an accurate position with respect to the mold. In addition, the fixing belt other than the fixing belt to be cut can be reused, an inexpensive mounting device can be obtained, and the mold can be easily removed and there is no fear of causing damage.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a sectional view showing a state in which an insert device is mounted on a mold using the insert mounting device according to the present invention.
FIG. 2 is a left side view, a perspective view, and a right side view of the holder according to the present invention.
FIG. 3 is a plan view of a fixture body according to the present invention, a cross-sectional view and a plan view of a state where a fixing belt is engaged with the fixture body.
FIG. 4 is a cross-sectional view of the insert mounting device according to the present invention when it is removed from the mold.
FIG. 5 is a side view and a longitudinal sectional front view showing a modified example of the holder according to the present invention.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 ... Insert main body 1a ... Female screw part 2 ... Sleeve 4 ... Mold frame 4a ... Mounting hole 6 ... Insert device 7 ... Holders 7a-7c ... Slit 8 ... Fixed belt 9 ... Fixture main body 10 ... Concrete structure
