【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車用発電機であるオルタネータの回転軸の端部に固定する従動プーリや、自動車用エンジンのクランクシャフトの端部に固定する駆動プーリ、或はアイドリングストップ車の自動車用空気調和装置のコンプレッサの端部に固定する従動プーリとして使用する、エンジンの補機駆動用の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の走行用エンジンを駆動源として、自動車に必要な発電を行なうオルタネータの構造が、例えば特開平7−139550号公報に記載されている。図9は、この公報に記載されたオルタネータ1を示している。ハウジング2の内側に回転軸3を、1対の転がり軸受4、4により、回転自在に支持している。この回転軸3の中間部には、ロータ5と整流子6とを設けている。又、この回転軸3の一端部(図9の右端部)で上記ハウジング2外に突出した部分には、従動プーリ7を固定している。エンジンへの組み付け状態では、この従動プーリ7に無端ベルトを掛け渡し、エンジンのクランクシャフトにより、上記回転軸3を回転駆動自在とする。
【0003】
上記従動プーリ7として従来一般的には、単に上記回転軸3に固定しただけのものを使用していた。これに対して近年、無端ベルトの走行速度が一定若しくは上昇傾向にある場合には、無端ベルトから回転軸への動力の伝達を自在とし、無端ベルトの走行速度が低下傾向にある場合には、従動プーリと回転軸との相対回転を自在とする、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置が各種提案され、一部で使用されている。例えば、特開平10−213207号公報、同10−285873号公報、同11−22753号公報、同11−63026号公報等に、上述の様な機能を有する一方向クラッチ内蔵型プーリ装置が記載されている。又、一方向クラッチとして、ローラクラッチを使用する事も、上記各公報等に記載された様に、従来から知られている。
【0004】
図10は、これら各公報に記載される等により従来から知られているローラクラッチ内蔵型プーリ装置を示している。このローラクラッチ内蔵型プーリ装置は、オルタネータ1の回転軸3(図9参照)に外嵌固定自在なスリーブ8を有する。又、このスリーブ8の周囲に従動プーリ7aを、このスリーブ8と同心に配置している。そして、これらスリーブ8の外周面と従動プーリ7aの内周面との間に、特許請求の範囲に記載したサポート軸受である1対の玉軸受9、9と、一方向クラッチであるローラクラッチ10とを設けている。
【0005】
上記スリーブ8は、全体を略円筒状に形成しており、上記オルタネータ1の回転軸3の端部に外嵌固定して、この回転軸3と共に回転自在である。この為に図示の例では、上記スリーブ8の内周面中間部にねじ孔部11を形成し、このねじ孔部11と上記回転軸3の先端部外周面に設けた雄ねじ部とを螺合自在としている。又、上記スリーブ8の内周面先端部(図10の左端部)に、断面形状が六角形である係止孔部12を形成して、この係止孔部12に、六角レンチ等の工具の先端部を係止自在としている。更に、上記スリーブ8の内周面基端部(図10の右端部)は、上記回転軸3の先端部中間寄り部分とがたつきなく嵌合自在な円孔部13としている。尚、上記スリーブ8と回転軸3とを相対回転しない様に組み合わせる構造は、スプライン係合、非円形嵌合、キー係合等、他の構造を採用しても良い。又、上記スリーブ8の外周面中央部は、他の部分よりも直径寸法の大きな大径部14としている。
【0006】
一方、上記従動プーリ7aは鋼製若しくはアルミニウム合金製で、外周面先半部を、幅方向に亙る断面形状を波形として、ポリVベルトと呼ばれる無端ベルトの一部を掛け渡し自在としている。そして、上記スリーブ8の外周面と上記従動プーリ7aの内周面との間に存在する空間の軸方向中間部に前記ローラクラッチ10を、同じくこの空間の軸方向両端寄り部でこのローラクラッチ10を軸方向両側から挟む位置に上記玉軸受9、9を、それぞれ配置している。
【0007】
このうちの玉軸受9、9は、上記従動プーリ7aに加わるラジアル荷重及びアキシアル荷重を支承しつつ、この従動プーリ7aと上記スリーブ8との相対回転を自在とする。上記各玉軸受9、9は、それぞれの内周面に深溝型の外輪軌道15、15を有する外輪16、16と、それぞれの外周面に深溝型の内輪軌道17、17を有する内輪18、18と、上記外輪軌道15、15と内輪軌道17、17との間にそれぞれ複数個ずつ転動自在に設けた玉19、19とから成る。尚、これら各部材16、18、19は軸受鋼製としている。そして、上記外輪16、16を上記従動プーリ7aの両端寄り部内周面に、上記内輪18、18を上記スリーブ8の両端寄り部外周面に、それぞれ嵌合固定している。又、この状態で上記各内輪18、18の軸方向片面を、それぞれ上記大径部14の軸方向両端面(段差面)に当接させている。又、上記各外輪16、16の両端部内周面と上記各内輪18、18の両端部外周面との間に、それぞれシールリング20、20を設ける事により、上記各玉19、19を設置した空間の両端開口部を塞いでいる。
【0008】
又、前記ローラクラッチ10は、上記従動プーリ7aが上記スリーブ8に対して所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、これら従動プーリ7aとスリーブ8との間で回転力の伝達を自在とする。この様なローラクラッチ10は従来から周知の技術であり、本発明の要旨から外れるので、詳しい説明は省略する。
【0009】
上述の様に構成するローラクラッチ内蔵型プーリ装置の使用時、前記従動プーリ7aと前記スリーブ8とが所定方向に相対回転する傾向となった場合、上記従動プーリ7aと上記スリーブ8との相対回転が不能(ロック状態)となる。これに対して、これら従動プーリ7aとスリーブ8とが上記所定方向とは反対方向に相対回転する傾向になった場合には、上記従動プーリ7aと上記スリーブ8との相対回転が自在(オーバラン状態)となる。
【0010】
上述の様な構成を有するオルタネータ用ローラクラッチ内蔵型プーリ装置を使用する理由は、次の2通りである。先ず、第一の理由は、無端ベルトの寿命を延長する為である。例えば、上記駆動用エンジンがディーゼルエンジンや直噴式のガソリンエンジンであった場合、アイドリング時等の低回転時には、クランクシャフトの回転角速度の変動が大きくなる。この結果、上記駆動プーリに掛け渡した無端ベルトの走行速度も細かく変動する事になる。一方、この無端ベルトにより従動プーリを介して回転駆動されるオルタネータの回転軸3は、この回転軸3並びにこの回転軸3に固定したロータ等の慣性質量に基づき、それ程急激には変動しない。従って、上記従動プーリを回転軸に対し単に固定した場合には、クランクシャフトの回転角速度の変動に伴い、上記無端ベルトと従動プーリとが両方向に擦れ合う傾向となる。この結果、この従動プーリと擦れ合う無端ベルトに、繰り返し異なる方向の応力が作用して、この無端ベルトと従動プーリとの間に滑りが発生し易くなったり、或はこの無端ベルトの寿命が短くなったりする原因となる。
【0011】
そこで、この様な従動プーリとして、上記オルタネータ用ローラクラッチ内蔵型プーリ装置を使用する事により、上記無端ベルトの走行速度が一定若しくは上昇傾向にある場合には、上記従動プーリから回転軸3への回転力の伝達を自在とし、反対に上記無端ベルトの走行速度が低下傾向にある場合には、これら従動プーリと回転軸3との相対回転を自在とする。即ち、上記無端ベルトの走行速度が低下傾向にある場合には、上記従動プーリの回転角速度を上記回転軸の回転角速度よりも遅くして、上記無端ベルトと従動プーリとの当接部が強く擦れ合う事を防止する。この様にして、従動プーリと無端ベルトとの擦れ合い部に作用する応力の方向を一定にし、この無端ベルトと従動プーリとの間に滑りが発生したり、或はこの無端ベルトの寿命が低下する事を防止する。
【0012】
第二の理由は、オルタネータの発電効率を向上させる為である。オルタネータのロータを固定した回転軸3は、自動車の駆動用エンジンにより、無端ベルトと従動プーリとを介して回転駆動する。固定式の従動プーリを使用すると、上記駆動用エンジンの回転速度が急激に低下した場合に、上記ロータの回転速度も急激に低下して、上記オルタネータによる発電量も急激に減少する。これに対して、上記オルタネータに付属の従動プーリとして、上記オルタネータ用ローラクラッチ内蔵型プーリ装置を使用すれば、上記駆動用エンジンの回転速度が急激に低下した場合でも、上記ロータの回転速度が慣性力により徐々に低下して、その間も発電を続ける。この結果、固定式の従動プーリを使用した場合に比べ、上記回転軸及びロータの運動エネルギを有効に利用して、オルタネータの発電量の増大を図れる。
尚、上述の説明は、ローラクラッチ内蔵型プーリ装置を従動プーリ側に設置した場合に就いて行なったが、同様の構成を有するローラクラッチ内蔵型プーリ装置を、駆動側であるクランクシャフトの端部に設置しても、同様の作用・効果を得られる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
近年、上述したローラクラッチ内蔵型プーリ装置を組み込むオルタネータ等の補機は、高性能、高出力化が進み、高荷重、高振動、高温環境下で使用される事が多くなっている。この為、上記ローラクラッチ10の耐久寿命の確保が難しくなっている。上記ローラクラッチ内蔵型プーリ装置は、前述した様に、使用時にオーバーランとロックとを繰り返す事により従動プーリ7aの回転角速度の微小変動に追従している。この様なローラクラッチ内蔵型プーリ装置に組み込むローラクラッチ10の耐久寿命は、殆どこのオーバーランとロックとの繰り返しの頻度により決まる。しかし、このローラクラッチ10の耐久寿命は、このローラクラッチ10の両側に配置された玉軸受9、9にも影響される。即ち、これら各玉軸受9、9により、無端ベルトから作用するラジアル荷重を支承すると共に、上記ローラクラッチ10が存在する、上記従動プーリ7aの内周面とスリーブ8の外周面との間の環状空間21の径方向の間隔を一定に確保している。従って、上記各玉軸受9、9に不具合が生じた場合には、上記環状空間21の径方向の間隔を一定に確保できず上記ローラクラッチ10が傾いたり、このローラクラッチ10に直接ラジアル荷重が負荷される。この場合、ローラクラッチ10の耐久性が低下する。
【0014】
一方、上記ローラクラッチ10のオーバーランとロックとの繰り返しに伴って、上記各玉軸受9、9に於いては、外輪16と内輪18との相対変位と停止とが繰り返し行なわれている。この相対変位と停止との繰り返しにより、外輪16と上記従動プーリ7aとの嵌合部、若しくは、内輪18と前記スリーブ8との嵌合部で、クリープが発生する場合がある。特に、上記従動プーリ7aをアルミニウム合金製とし、高温環境下でローラクラッチ内蔵型プーリ装置を使用した場合には、軸受鋼製の外輪16の熱膨張量よりも線膨張係数の大きいアルミニウム合金製である上記従動プーリ7aの熱膨張量が多くなる為、この従動プーリ7aと外輪16の嵌合状態が緩くなる。この様な状態で上述の様にオーバーランとロックとが繰り返されれば、上記嵌合部でクリープがより発生し易くなる。
【0015】
何れにしても、各玉軸受9、9と従動プーリ7a若しくはスリーブ8との嵌合部でクリープが発生すると、これら各玉軸受9、9が所定部分から抜け落ちたり、各玉軸受9、9を構成する外輪16の外周面又は内輪18の内周面にかじり、異常摩耗等の損傷が生じる。そして、この損傷により、この外輪16又は内輪18の軌道面(外輪軌道15又は内輪軌道17)の形状が崩れたり、外輪16の外径寸法又は内輪18の内径寸法が変化し、上記各玉軸受9、9により、無端ベルトから作用するラジアル荷重を支承したり、上記環状空間21の径方向の間隔を一定に確保する事ができなくなる。この結果、上記ローラクラッチ10の耐久性が低下する。従って、このローラクラッチ10の耐久性の低下を防ぐ為には、上記各玉軸受9、9と従動プーリ7a若しくはスリーブ8との嵌合部でのクリープの発生を防止して、これら各玉軸受9、9に不具合が生じる事を防止する必要がある。クリープの発生を防止する方法として、上記各嵌合部の嵌合強度を向上させる事が考えられるが、嵌合強度を向上させる事は、上記各玉軸受9、9を上記従動プーリ7aの内周面及び上記スリーブ8の外周面に嵌合する作業を面倒にするだけでなく、上記各玉軸受9、9の内部隙間を適正値に維持する事が難しくなる為、好ましくない。
【0016】
又、上述した従来構造では、一方向クラッチとしてローラクラッチを使用した場合に就いて説明したが、一方向クラッチとしてスプラグクラッチ等のカムクラッチを使用する構造でも、サポート軸受をプーリとスリーブとの間に嵌合する構造である限り、同様の問題が生じ得る。
本発明の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、この様な事情に鑑みて、サポート軸受の嵌合作業を面倒にする事なく、サポート軸受とプーリ若しくはスリーブとの嵌合部にクリープが発生する事を防止する構造を実現すべく発明したものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、従来構造と同様に、スリーブと、プーリと、一方向クラッチと、サポート軸受とを備える。
このうちのスリーブは、回転軸に外嵌固定自在である。
又、上記プーリは、上記スリーブの周囲に、このスリーブと同心に配置されている。
又、上記一方向クラッチは、上記スリーブの外周面の軸方向中間部とプーリの内周面の軸方向中間部との間に設けられ、このプーリが上記スリーブに対して所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、これらプーリとスリーブとの間での回転力の伝達を自在とする。
又、上記サポート軸受は、上記プーリの内周面とスリーブの外周面との間に設けられ、このプーリに加わるラジアル荷重を支承しつつ、これらスリーブとプーリとの相対回転を自在とする。
この様な役目を有する、上記サポート軸受は、上記プーリの内周面に締り嵌めで内嵌固定され内周面に外輪軌道を有する外輪と、上記スリーブの外周面に締り嵌めで外嵌固定され外周面に内輪軌道を有する内輪と、この内輪軌道と上記外輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体とから成る。
【0018】
特に、本発明の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置に於いては、上記外輪とプーリとの嵌合部と、上記内輪とスリーブとの嵌合部とのうち少なくとも一方の嵌合部に、この嵌合部でクリープが発生する事を防止するクリープ防止機構を設けている。
【0019】
尚、上記クリープ防止機構の具体例の第1例として請求項2に記載したものは、軌道輪の嵌合側周面、即ち、内輪の内周面若しくは外輪の外周面に形成された1乃至複数の係止凹溝に、上記軌道輪よりも線膨張係数が大きい材料製で、使用時の温度上昇により、径方向の厚さが上記係止凹溝の深さよりも大きくなる係止部材を係止したものである。
【0020】
又、具体例の第2例として、請求項3に記載したクリープ防止機構は、軌道輪の嵌合側周面にこの周面に対して溝底が偏心した状態で形成された1乃至複数の係止凹溝と、この係止凹溝に係止自在である欠円環状に形成され、円周方向1乃至複数箇所に径方向の弾性変形自在な突部を有する係止部材とから成る。
そして、上記突部が弾性的に圧縮される事により、上記係止部材の両端縁部が、上記係止凹溝の深さが浅くなる方向に付勢される。
【0021】
更に、請求項4に記載したクリープ防止機構は、嵌合部に接着剤を塗布したものである。
【0022】
【作用】
上述の様に構成する本発明の一方クラッチ内蔵型プーリ装置が、プーリがスリーブに対して所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみこれらプーリとスリーブとの間での回転力の伝達を自在とする作用に就いては、前述した従来構造と同様である。
特に、本発明の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置によれば、サポート軸受を構成する外輪若しくは内輪とプーリ若しくはスリーブとの嵌合部にクリープが発生する事を防止できる為、上記サポート軸受に不具合が生じる事を防ぐ事ができる。この結果、一方向クラッチの耐久性の低下を抑える事ができる。
特に、請求項2〜4に記載したクリープ防止機構を有する、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置によれば、サポート軸受の嵌合作業を面倒にする事なく、上記サポート軸受とプーリ若しくはスリーブとの嵌合部にクリープが発生する事を防止できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1〜3は、請求項1、2に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例は、一方向クラッチとしてローラクラッチ10を使用した、ローラクラッチ内蔵型プーリ装置に本発明を適用した場合に就いて示している。尚、本発明の特徴は、オーバーランとロックとの繰り返しにより、サポート軸受である玉軸受9a、9aを構成する外輪16a若しくは内輪18と、従動プーリ7b若しくはスリーブ8との嵌合部にクリープが発生する事を防止する点にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図10に示した従来構造の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略し、以下、本発明の特徴部分及び上記従来構造と異なる部分を中心に説明する。
【0024】
本例のローラクラッチ内蔵型プーリ装置は、上記各玉軸受9a、9aの外輪16aと従動プーリ7bとの嵌合部に、この嵌合部でクリープが発生する事を防止するクリープ防止機構を設けている。本例の場合、このクリープ防止機構として、上記外輪16aの嵌合側周面である外周面22に形成された係止凹溝23、23に、係止部材24を係止した構造を採用している。尚、本例の従動プーリ7bは、前述した図10に示した従動プーリ7aと異なり、外周面中間部を、幅方向に亙る断面形状を波形としている。従って、使用時には、従動プーリ7bの外周面中間部に無端ベルトの一部を掛け渡す。
【0025】
上記係止部材24は、上記外輪16aを構成する軸受鋼よりも線膨張係数が大きい合成樹脂製としている。即ち、上記係止部材24の材料は、上記外輪16aの線膨張係数を考慮して、線膨張係数がこの外輪16aの材料よりも大きい材料を選定する。従って、外輪16aが線膨張係数の大きい材料製であれば、係止部材24の材料として更に線膨張係数の大きい材料を選定する。更に、上記係止部材24は従動プーリ7bを構成する鋼又はアルミニウム合金の線膨張係数よりも大きい線膨張係数を有する材料を選定する。即ち、温度上昇により係止部材24よりも従動プーリ7bの方が大きく膨張した場合、後述する様に、この係止部材24を、上記係止凹溝23の溝底25と上記従動プーリ7bの内周面との間で突っ張らせる。従って、上記係止部材24を、従動プーリ7bを構成する材料よりも大きな線膨張係数を有する材料で造る事により、温度上昇時のクリープの発生を十分に防止する。
【0026】
尚、上記係止部材24に使用する材料として、ポリアミド66、ポリアミド46、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ポリ四フッ化エチレン等の合成樹脂を使用する事ができる。又、材料の強度を確保する為、ガラス繊維等の補強材を上記合成樹脂に添加しても良い。この添加量としては、0〜40重量%が好ましい。又、この係止部材24の径方向の厚さは、温度上昇によりこの係止部材24が膨張した時に、径方向の厚さが上記係止凹溝23、23の深さよりも大きくなる様に規制している。即ち、上記係止部材24は、温度上昇していない(常温)状態では、上記係止凹溝23から突出しない厚さ(好ましくは係止部材24の外周面と前記外輪16aの外周面とが一致する厚さ)としているが、温度が上昇した(高温)状態では、径方向の厚さが膨張により係止凹溝23の溝深さよりも大きくなり、上記係止部材24の外径側端部がこの係止凹溝23から突出する様に、この係止凹溝23の溝深さとの関係で上記径方向の厚さを規制している。又、この係止部材24は、例えば上記係止凹溝23内にモールト成形により設置する他、それぞれ半円弧状に形成した一対の部材を組み合わせて、係止凹溝23の全周に亙って係止する事もできる。
【0027】
上記係止部材24を係止する上記係止凹溝23、23は、上記外周面22上に1乃至複数カ所(図示の例では2個所)形成されており、断面形状を、図2(A)に示す様に、溝底25が平らな形状としている。但し、この係止凹溝23は、図2(B)に示す様に、各溝底を円弧状にした形状や、同図(C)に示す様に、上記外輪16aの外周面22上に1個所形成した幅広の形状としても良い。尚、上記係止部材24の断面形状は、この様な図2(A)〜(C)に示した係止凹溝23に合わせた形状とする。
【0028】
又、図3に示す様に、上記外輪16a自体の強度を確保する為、上記各係止凹溝23、23の溝深さを、溝底25と、シールリング20、20の外周縁部を係止する為に上記外輪16aの内周面両端部に形成した係止溝26、26との距離h1 、並びに、溝底25と外輪軌道15との距離h2 との関係で規制する。具体的には、これら距離h1 、h2 が玉19の直径dの25%以上(h1 、h2 ≧0.25d)を満たす様に規制している。この規制により、上記各係止凹溝23、23と上記各係止溝26、26との間部分に亀裂等の損傷が生じない様にしている。
【0029】
上述の様に構成される本例のローラクラッチ内蔵型プーリ装置によれば、各玉軸受9a、9aと従動プーリ7bとの嵌合部でクリープが発生する事を防止して、上記各玉軸受9a、9aに不具合が生じる事を防止できる。この結果、ローラクラッチ10の耐久性の低下を抑える事ができる。即ち、上記外輪16aの外周面22上に形成した上記係止凹溝23、23に係止している、上記係止部材24が、使用時の温度上昇により、上記外輪16aがこの温度上昇により膨張するよりも膨張し、この係止部材24の厚さが上記係止凹溝23、23の深さよりも大きくなる。この為、温度上昇により嵌合部の嵌合状態が緩くなった場合でも、係止部材24がこれら係止凹溝23、23の溝底25と、係止凹溝23、23と対向する従動プーリ7bの内周面との間で突っ張り、この従動プーリ7bと上記外輪16aとの嵌合部でクリープが発生する事を防止できる。これにより、上記各玉軸受9a、9aに、かじりや異常摩耗等の不具合が生じる事を防止でき、上記ローラクラッチ10の耐久性の低下を防止できる。
【0030】
又、本例のクリープ防止機構を有するローラクラッチ内蔵型プーリ装置によれば、上記各玉軸受9、9の従動プーリ7bへの嵌合作業が面倒となる事はない。即ち、上記係止凹溝23、23に係止した上記係止部材24は、常温時には、上記外輪16aの外周面22から突出しない様に、径方向の寸法を規制している為、この係止部材24を係止した外輪16aを上記従動プーリ7bに嵌合する時に係止部材24が邪魔になる事はない
【0031】
次に、図4〜5は、請求項1、3に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例のクリープ防止機構も、上述した第1例と同様に、外輪16bの外周面22に形成した係止凹溝23aに係止部材24aを係止するものである。特に本例の場合、上記係止凹溝23aを上記外周面22に対し、溝底25aを偏心させた状態で形成している。即ち、図4、5の上側では深く、下側では浅くなる様に、上記係止凹溝23aを形成している。又、上記係止部材24aは、図5(A)に示す様に、欠円環状に形成され、外周面の円周方向複数個所(図示の例では5個所)に径方向に弾性変形自在な突部27、27を有する。これら突部27、27は、上記係止部材24aを上記係止凹溝23aに係止した状態で、上記外輪16bの外周面22から径方向外方に突出する。尚、上記係止部材24aは弾性を有すれば良く、金属製であっても合成樹脂製であっても構わない。但し、金属製とする場合には、上記各突部27、27の内径側部分に、径方向外方に凹んだ凹部を設けて、これら各突部27、27が径方向に変形し易くする。
【0032】
上記係止凹溝23aに上記係止部材24aを係止した外輪16bを、従動プーリ7b(図1参照)に内嵌すると、この外輪16bの外周面22から突出した上記突部27、27が、上記従動プーリ7bの内周面に弾性的に圧縮される。この結果、上記係止部材24aの両端縁部28、28が、上記係止凹溝23aの深さがこれら両端縁部28、28の厚さに対して浅くなる方向(図4、5の下方)に付勢される。即ち、両端縁部28、28がそれぞれ上記従動プーリ7bの内周面と上記係止凹溝23aの溝底25aとの間隔が近い部分に向けて楔状に進入する状態となる。
【0033】
本例の場合、上述の様に構成される為、上記外輪16bの外周面22と上記従動プーリ7bの内周面との嵌合部でクリープが発生する事を防止できる。即ち、上記係止部材24aの両端縁部28、28が、上記係止凹溝23aの深さが浅くなる方向に付勢された状態で楔状に進入している為、この楔作用により、上記外輪16bと上記従動プーリ7bとの嵌合部でクリープが発生する事を防止する。又、使用時の温度上昇により上記従動プーリ7bの内周面と上記外輪16bの外周面22との嵌合部の嵌合状態が緩くなってもクリープの発生を防止できる。即ち、上記両端縁部28、28が上記従動プーリ7bの内周面と上記係止凹溝23aの溝底25aとの間隔が近い部分に向けて付勢されている為、上記嵌合部の嵌合状態が緩くなっても、この間隔が近い部分に上記両端縁部28、28が食い込み、上記クリープの発生を防止する。
【0034】
更に、本例の場合、上記係止部材24aの外周面に形成された突部27、27を径方向の弾性変形自在としている為、上記外輪16bを上記従動プーリ7bの内周面に嵌合する作業が面倒となる事はない。即ち、上記外輪16bを上記従動プーリ7bの内周面に嵌合する際に、上記突部27、27がこの内周面に押され、径方向に弾性的に圧縮された状態となる。従って、これら突部27、27が嵌合作業時に邪魔とならず、この嵌合作業が面倒となる事がない。
【0035】
又、上述の様な係止部材として、図5(B)に示す様な、外周面に突部27aを1個所設けた係止部材24bを使用する事もできる。この係止部材24bは欠円環状で、円周方向の一部分を径方向外側に突出させる事により形成した上記突部27aを有する。この様に構成される上記係止部材24bも、上述した例と同様に、外輪16bの外周面22に対して溝底25aが偏心した、係止凹溝23aに係止する。上記外輪16bと従動プーリ7bとの嵌合部でクリープを防止する作用に就いては、上述した図5(A)に示した係止部材24aと同様である。
【0036】
次に、図6は、請求項1、2に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合、前述した各実施例と異なり、各玉軸受9b、9bの内輪18aの内周面に係止凹溝29、29を形成している。そして、これら各係止凹溝29、29に係止部材30、30を係止している。この係止部材30、30は、前述した第1例と同様に、軸受鋼製の上記内輪18aよりも線膨張係数が大きい合成樹脂製とし、温度上昇により径方向の厚さが上記係止凹溝29、29の深さよりも大きくなる様にしている。この為、使用時の温度上昇により、上記係止部材30が上記内輪18aの内周面から突出する。従って、この内輪18aの内周面とスリーブ8との嵌合部でのクリープの発生を防止する事ができる。その他の構造及び作用は前述した第1例と同様である。
【0037】
尚、上述した第2例の構造を本例に適用する事もできる。即ち、内輪18aの内周面にこの周面に対して溝底を偏心させた係止凹溝を形成し、この係止凹溝に、内周面に径方向の弾性変形自在な突部を有する係止部材を係止する。これにより、この係止部材を係止した上記内輪18aを上記スリーブ8に外嵌した時に、上記突部がスリーブの外周面に押され、上記係止部材両端縁部が深さが浅い部分に向けて付勢される。そして、楔作用により上記内輪18aと上記スリーブ8との嵌合部でクリープの発生を防止する。
【0038】
次に、図7は、やはり請求項1、2に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合、玉軸受9c、9cを構成する外輪16aの外周面及び内輪18aの内周面にそれぞれ係止凹溝23、29を形成し、これら各係止凹溝23、29に係止部材24、30を、それぞれ係止している。従って、本例の場合、上記外輪16aと従動プーリ7bとの嵌合部及び上記内輪18aとスリーブ8との嵌合部の双方でクリープの発生を防止できる。その他の構造及び作用は上述した第1例及び第3例と同様である。
【0039】
尚、本例の場合も、上記各嵌合部のクリープ防止機構を前述した第2例の様な構造とする事ができる。即ち、上記外輪16aの外周面及び内輪18aの内周面にそれぞれの周面に対して溝底を偏心させた係止凹溝を形成し、これら各係止凹溝に外周面若しくは内周面に径方向の弾性変形自在な突部を有する欠円環状の係止部材をそれぞれ係止する構造とする事ができる。
【0040】
次に、図8は、やはり請求項1、2に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合、ローラクラッチ10aの構成を前述した各例と異なる構造としている。即ち、ローラクラッチ10aを構成するクラッチ用外輪を従動プーリ7cの内周面に、クラッチ用内輪をスリーブ8aの外周面にそれぞれ一体に形成している。この為、前述した各例のローラクラッチ内蔵型プーリ装置と比べて、部品点数が減り、その分コストの低減を図れる。その他の構造及び作用は前述した第1例と同様である。尚、図示の例では、クリープ防止機構を、前述した図1に示した第1例と同じ構造としているが、その他の実施の形態の構造も、勿論適用可能である。
【0041】
尚、図示は省略するが、請求項4に記載した様に、外輪と従動プーリとの嵌合部若しくは内輪とスリーブとの嵌合部に接着剤を塗布する事によっても、これら各嵌合部でのクリープの発生を防止できる。即ち、上述した各実施例の様に、係止凹溝や係止部材を使用せずに、外輪の外周面(又は内輪の内周面)若しくは従動プーリの内周面(又はスリーブの外周面)の少なくとも一方の面に接着剤を塗布して、外輪(又は内輪)を従動プーリの内周面(又はスリーブの外周面)に嵌合する。これにより、外輪(又は内輪)と従動プーリ(又はスリーブ)とが接着剤により固定される為、クリープの発生を防止できる。又、玉軸受を上記従動プーリ及びスリーブに嵌合する作業が面倒となる事もない。
【0042】
又、上述した各実施例では、一方向クラッチとしてローラクラッチを使用したた構造に就いて説明したが、本発明は一方向クラッチとしてスプラグクラッチ等のカムクラッチを使用した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置に組み込むサポート軸受にも適用可能である。
【0043】
【発明の効果】
本発明の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、以上に述べた通り構成され作用するので、過酷な環境下で使用される一方向クラッチの耐久寿命を十分に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の実施の形態の第1例を示す半部断面図。
【図2】係止凹溝の形状の3例を示す、部分拡大断面図。
【図3】係止凹溝の溝深さを規制する事を説明する為に、外輪及び転動体を取り出して示す部分断面図。
【図4】本発明の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の実施の形態の第2例に使用する外輪の正面図。
【図5】係止部材の2例を示す側面図。
【図6】本発明の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の実施の形態の第3例を示す半部断面図。
【図7】同第4例を示す半部断面図。
【図8】同第5例を示す半部断面図。
【図9】従来から知られているオルタネータの1例を示す断面図。
【図10】従来構造の1例を示す半部断面図。
【符号の説明】
1 オルタネータ
2 ハウジング
3 回転軸
4 転がり軸受
5 ロータ
6 整流子
7、7a、7b、7c 従動プーリ
8、8a スリーブ(回転軸部材)
9、9a、9b、9c 玉軸受
10、10a ローラクラッチ
11 ねじ孔部
12 係止孔部
13 円孔部
14 大径部
15 外輪軌道
16、16a、16b 外輪
17 内輪軌道
18、18a 内輪
19 玉
20 シールリング
21 環状空間
22 外周面
23、23a 係止凹溝
24、24a、24b 係止部材
25、25a 溝底
26 係止溝
27、27a 突部
28 端縁部
29 係止凹溝
30 係止部材[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a driven pulley that is fixed to an end of a rotating shaft of an alternator that is a generator for an automobile, a driving pulley that is fixed to an end of a crankshaft of an automobile engine, or an air conditioner for an idling stop vehicle. The present invention relates to an improvement of a pulley device with a built-in one-way clutch for driving an engine accessory used as a driven pulley fixed to an end of a compressor of the device.
[0002]
[Prior art]
Japanese Unexamined Patent Publication No. 7-139550 discloses a structure of an alternator that generates power necessary for an automobile by using an automobile traveling engine as a drive source. FIG. 9 shows the alternator 1 described in this publication. A rotating shaft 3 is rotatably supported by a pair of rolling bearings 4 and 4 inside the housing 2. A rotor 5 and a commutator 6 are provided at an intermediate portion of the rotating shaft 3. A driven pulley 7 is fixed to a portion of the rotating shaft 3 protruding from the housing 2 at one end portion (right end portion in FIG. 9). In the assembled state in the engine, an endless belt is stretched around the driven pulley 7 so that the rotary shaft 3 can be driven to rotate by the crankshaft of the engine.
[0003]
Conventionally, as the driven pulley 7, a pulley that is simply fixed to the rotary shaft 3 has been used. On the other hand, in recent years, when the traveling speed of the endless belt is constant or increasing, it is possible to freely transmit power from the endless belt to the rotating shaft, and when the traveling speed of the endless belt is decreasing, Various one-way clutch built-in pulley devices that allow relative rotation between the driven pulley and the rotating shaft have been proposed and used in part. For example, JP-A-10-213207, JP-A-10-285873, JP-A-11-22753, and JP-A-11-63026 disclose a pulley device with a built-in one-way clutch having the above-described function. ing. The use of a roller clutch as a one-way clutch has been conventionally known as described in the above-mentioned publications.
[0004]
FIG. 10 shows a pulley device with a built-in roller clutch that has been conventionally known as described in these publications. This pulley device with a built-in roller clutch has a sleeve 8 that can be fitted and fixed to the rotary shaft 3 (see FIG. 9) of the alternator 1. A driven pulley 7 a around the sleeve 8 is arranged concentrically with the sleeve 8. Between the outer peripheral surface of the sleeve 8 and the inner peripheral surface of the driven pulley 7a, a pair of ball bearings 9 and 9, which are support bearings, and a roller clutch 10 which is a one-way clutch are described. And are provided.
[0005]
The sleeve 8 is formed in a substantially cylindrical shape as a whole, is fitted and fixed to the end of the rotating shaft 3 of the alternator 1, and is rotatable together with the rotating shaft 3. Therefore, in the illustrated example, a screw hole portion 11 is formed in the middle portion of the inner peripheral surface of the sleeve 8, and the screw hole portion 11 and a male screw portion provided on the outer peripheral surface of the tip end portion of the rotary shaft 3 are screwed together. It is free. Further, a locking hole portion 12 having a hexagonal cross section is formed at the inner peripheral surface front end portion (left end portion in FIG. 10) of the sleeve 8, and a tool such as a hexagon wrench is formed in the locking hole portion 12. The tip of the can be freely locked. Furthermore, the inner peripheral surface proximal end portion (the right end portion in FIG. 10) of the sleeve 8 is a circular hole portion 13 that can be fitted freely with the portion near the middle of the distal end portion of the rotating shaft 3. In addition, you may employ | adopt other structures, such as a spline engagement, a non-circular fitting, and a key engagement, as the structure combined so that the said sleeve 8 and the rotating shaft 3 may not rotate relatively. The central portion of the outer peripheral surface of the sleeve 8 is a large diameter portion 14 having a larger diameter than other portions.
[0006]
On the other hand, the driven pulley 7a is made of steel or aluminum alloy, and a part of an endless belt called a poly V belt can be freely passed around the outer half of the outer peripheral surface with a cross-sectional shape extending in the width direction as a waveform. Then, the roller clutch 10 is disposed at the axially intermediate portion of the space existing between the outer peripheral surface of the sleeve 8 and the inner peripheral surface of the driven pulley 7a, and the roller clutch 10 is also disposed at both axial end portions of the space. The ball bearings 9 and 9 are respectively arranged at positions sandwiching from both sides in the axial direction.
[0007]
Of these, the ball bearings 9 and 9 support the radial load and the axial load applied to the driven pulley 7a, and freely rotate the driven pulley 7a and the sleeve 8 relative to each other. Each of the ball bearings 9 and 9 includes outer rings 16 and 16 having deep groove type outer ring raceways 15 and 15 on inner peripheral surfaces thereof, and inner rings 18 and 18 having deep groove type inner ring raceways 17 and 17 on respective outer peripheral surfaces thereof. And a plurality of balls 19, 19 provided between the outer ring raceways 15, 15 and the inner ring raceways 17, 17 respectively. These members 16, 18, 19 are made of bearing steel. The outer rings 16 and 16 are fitted and fixed to the inner peripheral surface near the both ends of the driven pulley 7a, and the inner rings 18 and 18 are fixed to the outer peripheral surface near the both ends of the sleeve 8, respectively. Further, in this state, one axial surface of each of the inner rings 18 is brought into contact with both axial end surfaces (step surfaces) of the large diameter portion 14. The balls 19 and 19 are installed by providing seal rings 20 and 20 between the inner peripheral surfaces of both ends of the outer rings 16 and 16 and the outer peripheral surfaces of both ends of the inner rings 18 and 18, respectively. The openings at both ends of the space are blocked.
[0008]
The roller clutch 10 can freely transmit a rotational force between the driven pulley 7a and the sleeve 8 only when the driven pulley 7a tends to rotate relative to the sleeve 8 in a predetermined direction. To do. Such a roller clutch 10 is a conventionally well-known technique and deviates from the gist of the present invention.
[0009]
When using the pulley apparatus with a built-in roller clutch configured as described above, if the driven pulley 7a and the sleeve 8 tend to rotate relative to each other in a predetermined direction, the relative rotation between the driven pulley 7a and the sleeve 8 occurs. Becomes impossible (locked state). In contrast, when the driven pulley 7a and the sleeve 8 tend to rotate relative to each other in the direction opposite to the predetermined direction, the driven pulley 7a and the sleeve 8 can freely rotate relative to each other (overrun state). )
[0010]
There are two reasons for using the roller device with a built-in roller clutch for an alternator having the above-described configuration. First, the first reason is to extend the life of the endless belt. For example, when the driving engine is a diesel engine or a direct-injection gasoline engine, the fluctuation in the rotational angular velocity of the crankshaft becomes large at low speeds such as idling. As a result, the traveling speed of the endless belt stretched around the drive pulley also varies finely. On the other hand, the rotating shaft 3 of the alternator that is rotationally driven by the endless belt via a driven pulley does not vary so rapidly based on the rotating shaft 3 and the inertia mass of the rotor or the like fixed to the rotating shaft 3. Therefore, when the driven pulley is simply fixed to the rotating shaft, the endless belt and the driven pulley tend to rub against each other as the rotational angular velocity of the crankshaft varies. As a result, stresses in different directions are repeatedly applied to the endless belt that rubs against the driven pulley, so that slippage is likely to occur between the endless belt and the driven pulley, or the life of the endless belt is shortened. Cause it.
[0011]
Therefore, by using the alternator roller clutch built-in type pulley device as such a driven pulley, when the traveling speed of the endless belt is constant or rising, the driven pulley is connected to the rotary shaft 3. Rotational force can be transmitted freely. On the contrary, when the traveling speed of the endless belt tends to decrease, relative rotation between the driven pulley and the rotary shaft 3 is allowed. That is, when the traveling speed of the endless belt tends to decrease, the rotational angular speed of the driven pulley is made slower than the rotational angular speed of the rotating shaft, and the contact portion between the endless belt and the driven pulley rubs strongly. Prevent things. In this way, the direction of the stress acting on the rubbing portion between the driven pulley and the endless belt is made constant, slippage occurs between the endless belt and the driven pulley, or the life of the endless belt is reduced. To prevent it.
[0012]
The second reason is to improve the power generation efficiency of the alternator. The rotating shaft 3 to which the alternator rotor is fixed is rotationally driven by an automobile driving engine via an endless belt and a driven pulley. When a stationary driven pulley is used, when the rotational speed of the driving engine is drastically reduced, the rotational speed of the rotor is also drastically lowered, and the amount of power generated by the alternator is also drastically reduced. On the other hand, if the pulley device with a built-in roller clutch for an alternator is used as a driven pulley attached to the alternator, the rotational speed of the rotor is inertial even when the rotational speed of the driving engine is drastically reduced. It gradually decreases with power and continues to generate electricity. As a result, compared with the case where a fixed driven pulley is used, it is possible to increase the amount of power generated by the alternator by effectively using the kinetic energy of the rotating shaft and the rotor.
The above description has been made when the roller clutch built-in type pulley device is installed on the driven pulley side. However, the roller clutch built-in type pulley device having the same configuration is arranged at the end of the crankshaft on the drive side. Even if installed in the same way, the same action and effect can be obtained.
[0013]
[Problems to be solved by the invention]
In recent years, an auxiliary machine such as an alternator incorporating the above-described pulley device with a built-in roller clutch has been improved in performance and output, and is often used under a high load, high vibration, and high temperature environment. For this reason, it is difficult to ensure the durable life of the roller clutch 10. As described above, the roller clutch built-in pulley device follows the minute fluctuations in the rotational angular velocity of the driven pulley 7a by repeating overrun and locking during use. The endurance life of the roller clutch 10 incorporated in such a roller clutch built-in pulley apparatus is almost determined by the frequency of repeated overrun and lock. However, the durable life of the roller clutch 10 is also affected by the ball bearings 9, 9 arranged on both sides of the roller clutch 10. That is, a radial load acting from an endless belt is supported by each of these ball bearings 9, 9, and an annular shape between the inner peripheral surface of the driven pulley 7 a and the outer peripheral surface of the sleeve 8 where the roller clutch 10 exists. The space in the radial direction of the space 21 is secured constant. Therefore, when a problem occurs in each of the ball bearings 9, 9, the radial spacing of the annular space 21 cannot be ensured to be constant, and the roller clutch 10 tilts or a radial load is directly applied to the roller clutch 10. Be loaded. In this case, the durability of the roller clutch 10 decreases.
[0014]
On the other hand, with the repeated overrun and lock of the roller clutch 10, the ball bearings 9 and 9 are repeatedly displaced and stopped relative to the outer ring 16 and the inner ring 18. By repeating this relative displacement and stop, creep may occur at the fitting portion between the outer ring 16 and the driven pulley 7a or the fitting portion between the inner ring 18 and the sleeve 8. In particular, when the driven pulley 7a is made of an aluminum alloy and a pulley device incorporating a roller clutch is used under a high temperature environment, the driven pulley 7a is made of an aluminum alloy having a linear expansion coefficient larger than the thermal expansion amount of the outer ring 16 made of bearing steel. Since a certain amount of thermal expansion of the driven pulley 7a increases, the fitted state between the driven pulley 7a and the outer ring 16 becomes loose. If overrun and lock are repeated as described above in such a state, creep is more likely to occur at the fitting portion.
[0015]
In any case, when creep occurs at the fitting portion between each ball bearing 9, 9 and driven pulley 7a or sleeve 8, each ball bearing 9, 9 falls off a predetermined portion, or each ball bearing 9, 9 is The outer ring 16 or the inner ring 18 of the outer ring 16 constituting the inner ring 18 is gnawed to cause damage such as abnormal wear. Due to this damage, the shape of the raceway surface (outer ring raceway 15 or inner ring raceway 17) of the outer ring 16 or the inner ring 18 collapses, or the outer diameter dimension of the outer ring 16 or the inner diameter dimension of the inner ring 18 changes. 9 and 9, it is impossible to support a radial load acting from the endless belt and to ensure a constant radial interval of the annular space 21. As a result, the durability of the roller clutch 10 is reduced. Therefore, in order to prevent the durability of the roller clutch 10 from deteriorating, the occurrence of creep at the fitting portion between the ball bearings 9 and 9 and the driven pulley 7a or the sleeve 8 is prevented. It is necessary to prevent the occurrence of problems in 9, 9. As a method of preventing the occurrence of creep, it is conceivable to improve the fitting strength of each of the fitting portions. However, improving the fitting strength may cause the ball bearings 9 and 9 to be connected to the driven pulley 7a. Not only is the work of fitting the peripheral surface and the outer peripheral surface of the sleeve 8 complicated, but it is difficult to maintain the internal clearances of the ball bearings 9 and 9 at an appropriate value, which is not preferable.
[0016]
In the conventional structure described above, the roller clutch is used as the one-way clutch. However, even in the structure in which the cam clutch such as the sprag clutch is used as the one-way clutch, the support bearing is provided between the pulley and the sleeve. As long as the structure fits in the case, a similar problem may occur.
In view of such circumstances, the pulley device with a built-in one-way clutch of the present invention can cause creep in the fitting portion between the support bearing and the pulley or sleeve without making the fitting work of the support bearing troublesome. It was invented to realize a structure for preventing the above.
[0017]
[Means for Solving the Problems]
The one-way clutch built-in pulley apparatus of the present invention includes a sleeve, a pulley, a one-way clutch, and a support bearing, as in the conventional structure.
Of these, the sleeve can be externally fitted and fixed to the rotating shaft.
The pulley is arranged around the sleeve and concentric with the sleeve.
The one-way clutch is provided between an axial intermediate portion of the outer peripheral surface of the sleeve and an axial intermediate portion of the inner peripheral surface of the pulley, and the pulley rotates relative to the sleeve in a predetermined direction. Only when it becomes a tendency, the transmission of the rotational force between these pulleys and the sleeve is made free.
The support bearing is provided between the inner peripheral surface of the pulley and the outer peripheral surface of the sleeve, and allows the relative rotation between the sleeve and the pulley while supporting a radial load applied to the pulley.
The support bearing having such a role is fitted and fixed to the inner peripheral surface of the pulley by an interference fit and the outer ring having an outer ring raceway on the inner peripheral surface and the outer periphery of the sleeve by an interference fit. An inner ring having an inner ring raceway on an outer peripheral surface and a plurality of rolling elements provided between the inner ring raceway and the outer ring raceway so as to be freely rollable.
[0018]
In particular, in the pulley device with a built-in one-way clutch of the present invention, the fitting is provided in at least one fitting portion of the fitting portion between the outer ring and the pulley and the fitting portion between the inner ring and the sleeve. A creep prevention mechanism is provided to prevent creep from occurring at the joint.
[0019]
In addition, what is described in claim 2 as a first example of the specific example of the creep preventing mechanism is a 1 to 2 formed on the fitting side peripheral surface of the bearing ring, that is, the inner peripheral surface of the inner ring or the outer peripheral surface of the outer ring. A locking member made of a material having a linear expansion coefficient larger than that of the raceway and having a radial thickness larger than the depth of the locking groove due to a temperature rise during use in the plurality of locking grooves. It is locked.
[0020]
Further, as a second example of the specific example, the creep prevention mechanism according to claim 3 is formed on the fitting side peripheral surface of the bearing ring in a state where the groove bottom is eccentric with respect to the peripheral surface. The locking groove includes a locking groove and a locking member that is formed in a ring shape that can be locked in the locking groove and that has a radially elastically deformable protrusion in one or more circumferential directions.
And the said protrusion is elastically compressed, and the both-ends edge part of the said locking member is urged | biased in the direction where the depth of the said locking groove is shallow.
[0021]
Furthermore, the creep prevention mechanism described in claim 4 is obtained by applying an adhesive to the fitting portion.
[0022]
[Action]
The one-clutch built-in pulley device of the present invention configured as described above can freely transmit the rotational force between the pulley and the sleeve only when the pulley tends to rotate relative to the sleeve in a predetermined direction. The operation is the same as the conventional structure described above.
In particular, according to the pulley device with a built-in one-way clutch of the present invention, since it is possible to prevent the occurrence of creep at the fitting portion between the outer ring or inner ring and the pulley or sleeve constituting the support bearing, there is a problem with the support bearing. You can prevent it from happening. As a result, a decrease in durability of the one-way clutch can be suppressed.
In particular, according to the pulley apparatus with a built-in one-way clutch having the creep prevention mechanism according to claim 2, the fitting between the support bearing and the pulley or the sleeve can be performed without troublesome work of fitting the support bearing. It is possible to prevent creep from occurring at the joint.
[0023]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
1-3 show a first example of an embodiment of the present invention corresponding to claims 1 and 2. This example shows the case where the present invention is applied to a roller clutch built-in type pulley apparatus using a roller clutch 10 as a one-way clutch. The feature of the present invention is that creep is caused at the fitting portion between the outer ring 16a or the inner ring 18 and the driven pulley 7b or the sleeve 8 constituting the ball bearings 9a and 9a as the support bearings by repeated overrun and lock. This is to prevent the occurrence. Since the structure and operation of the other parts are the same as in the case of the conventional structure shown in FIG. 10 described above, the same parts are denoted by the same reference numerals, and redundant description is omitted. The description will focus on the parts different from the conventional structure.
[0024]
The pulley device with a built-in roller clutch of this example is provided with a creep prevention mechanism for preventing the occurrence of creep at the fitting portion at the fitting portion between the outer ring 16a and the driven pulley 7b of each of the ball bearings 9a, 9a. ing. In the case of this example, a structure in which the locking member 24 is locked in the locking grooves 23 and 23 formed on the outer peripheral surface 22 which is the fitting side peripheral surface of the outer ring 16a is adopted as the creep preventing mechanism. ing. Unlike the driven pulley 7a shown in FIG. 10 described above, the driven pulley 7b of this example has a corrugated cross-sectional shape extending in the width direction at the outer peripheral surface intermediate portion. Therefore, at the time of use, a part of the endless belt is stretched around the intermediate portion of the outer peripheral surface of the driven pulley 7b.
[0025]
The locking member 24 is made of a synthetic resin having a larger linear expansion coefficient than the bearing steel that constitutes the outer ring 16a. That is, the material of the locking member 24 is selected in consideration of the linear expansion coefficient of the outer ring 16a, and a material having a larger linear expansion coefficient than that of the outer ring 16a. Therefore, if the outer ring 16 a is made of a material having a large linear expansion coefficient, a material having a larger linear expansion coefficient is selected as the material of the locking member 24. Further, a material having a linear expansion coefficient larger than that of steel or aluminum alloy constituting the driven pulley 7b is selected as the locking member 24. That is, when the driven pulley 7b expands more than the locking member 24 due to a temperature rise, the locking member 24 is connected to the groove bottom 25 of the locking groove 23 and the driven pulley 7b as described later. Stretch between the inner surface. Therefore, by forming the locking member 24 from a material having a larger linear expansion coefficient than the material constituting the driven pulley 7b, the occurrence of creep at the time of temperature rise is sufficiently prevented.
[0026]
As the material used for the locking member 24, a synthetic resin such as polyamide 66, polyamide 46, PPS (polyphenylene sulfide), polytetrafluoroethylene, or the like can be used. Further, in order to ensure the strength of the material, a reinforcing material such as glass fiber may be added to the synthetic resin. The addition amount is preferably 0 to 40% by weight. The radial thickness of the locking member 24 is such that the radial thickness becomes larger than the depth of the locking grooves 23 and 23 when the locking member 24 expands due to a temperature rise. It is regulated. That is, the locking member 24 has a thickness that does not protrude from the locking groove 23 (preferably the outer peripheral surface of the locking member 24 and the outer peripheral surface of the outer ring 16a) when the temperature is not increased (normal temperature). However, when the temperature is increased (high temperature), the radial thickness becomes larger than the groove depth of the locking groove 23 due to expansion, and the outer diameter side end of the locking member 24 is increased. The thickness in the radial direction is restricted in relation to the groove depth of the locking groove 23 so that the portion protrudes from the locking groove 23. Further, the locking member 24 is installed in the locking groove 23 by molding, for example, and a pair of members each formed in a semicircular arc shape is combined to extend over the entire circumference of the locking groove 23. Can be locked.
[0027]
The locking grooves 23 and 23 for locking the locking member 24 are formed on the outer peripheral surface 22 at one or a plurality of locations (two locations in the illustrated example), and the sectional shape is shown in FIG. ), The groove bottom 25 has a flat shape. However, as shown in FIG. 2 (B), the locking groove 23 is formed on the outer peripheral surface 22 of the outer ring 16a as shown in FIG. It is good also as a wide shape formed in one place. In addition, the cross-sectional shape of the locking member 24 is a shape that matches the locking groove 23 shown in FIGS. 2 (A) to 2 (C).
[0028]
Further, as shown in FIG. 3, in order to ensure the strength of the outer ring 16a itself, the groove depth of the locking grooves 23, 23, the groove bottom 25, and the outer peripheral edge of the seal rings 20, 20 are set. Distance h between the locking grooves 26 and 26 formed at both ends of the inner peripheral surface of the outer ring 16a for locking 1 , And the distance h between the groove bottom 25 and the outer ring raceway 15 2 Regulate in relation to Specifically, these distances h 1 , H 2 25% or more of the diameter d of the ball 19 (h 1 , H 2 ≧ 0.25 d) is satisfied. By this regulation, damage such as cracks is prevented from occurring between the respective locking grooves 23, 23 and the locking grooves 26, 26.
[0029]
According to the roller clutch built-in pulley apparatus of the present example configured as described above, it is possible to prevent the occurrence of creep at the fitting portion between each ball bearing 9a, 9a and the driven pulley 7b. 9a and 9a can be prevented from malfunctioning. As a result, a decrease in durability of the roller clutch 10 can be suppressed. That is, the locking member 24 locked in the locking grooves 23, 23 formed on the outer peripheral surface 22 of the outer ring 16a has a temperature rise during use, and the outer ring 16a has a temperature increase. It expands rather than expands, and the thickness of the locking member 24 becomes greater than the depth of the locking grooves 23, 23. For this reason, even when the fitting state of the fitting portion becomes loose due to the temperature rise, the locking member 24 is opposed to the groove bottom 25 of the locking groove 23 and 23 and the locking groove 23 and 23. It is possible to prevent the occurrence of creep at the fitting portion between the driven pulley 7b and the outer ring 16a by stretching between the inner peripheral surface of the pulley 7b. Thereby, it is possible to prevent the ball bearings 9a, 9a from being troubled such as galling or abnormal wear, and to prevent the durability of the roller clutch 10 from being lowered.
[0030]
Further, according to the pulley apparatus with a built-in roller clutch having the creep prevention mechanism of this example, the fitting operation of the ball bearings 9 and 9 to the driven pulley 7b is not troublesome. That is, the locking member 24 locked in the locking grooves 23, 23 regulates the radial dimension so that it does not protrude from the outer peripheral surface 22 of the outer ring 16a at normal temperature. The locking member 24 does not get in the way when the outer ring 16a locking the locking member 24 is fitted to the driven pulley 7b.
[0031]
Next, FIGS. 4 to 5 show a second example of the embodiment of the invention corresponding to claims 1 and 3. The creep prevention mechanism of this example also locks the locking member 24a in the locking groove 23a formed on the outer peripheral surface 22 of the outer ring 16b, as in the first example described above. Particularly in the case of this example, the locking groove 23a is formed with the groove bottom 25a eccentric with respect to the outer peripheral surface 22. That is, the locking groove 23a is formed so as to be deep on the upper side of FIGS. Further, as shown in FIG. 5 (A), the locking member 24a is formed in an annular shape, and is elastically deformable in the radial direction at a plurality of circumferential positions (five positions in the illustrated example) on the outer circumferential surface. Projections 27 are provided. The protrusions 27 and 27 protrude radially outward from the outer peripheral surface 22 of the outer ring 16b in a state where the locking member 24a is locked in the locking groove 23a. The locking member 24a may be elastic and may be made of metal or synthetic resin. However, when it is made of metal, a concave portion that is recessed radially outward is provided on the inner diameter side portion of each of the projections 27 and 27 so that the projections 27 and 27 are easily deformed in the radial direction. .
[0032]
When the outer ring 16b in which the locking member 24a is locked in the locking groove 23a is fitted in the driven pulley 7b (see FIG. 1), the protrusions 27 and 27 protruding from the outer peripheral surface 22 of the outer ring 16b are formed. , And is elastically compressed on the inner peripheral surface of the driven pulley 7b. As a result, both end edges 28, 28 of the locking member 24a are arranged in such a direction that the depth of the locking groove 23a becomes shallower than the thickness of the both end edges 28, 28 (lower side in FIGS. ). That is, both edge portions 28 and 28 enter a wedge shape toward a portion where the distance between the inner peripheral surface of the driven pulley 7b and the groove bottom 25a of the locking groove 23a is close.
[0033]
In this example, since it is configured as described above, it is possible to prevent the occurrence of creep at the fitting portion between the outer peripheral surface 22 of the outer ring 16b and the inner peripheral surface of the driven pulley 7b. That is, since both edge portions 28, 28 of the locking member 24a enter a wedge shape in a state where the locking groove 23a is urged in a direction in which the depth of the locking groove 23a is shallow, Creep is prevented from occurring at the fitting portion between the outer ring 16b and the driven pulley 7b. Moreover, even if the fitting state of the fitting portion between the inner peripheral surface of the driven pulley 7b and the outer peripheral surface 22 of the outer ring 16b becomes loose due to a temperature rise during use, the occurrence of creep can be prevented. That is, since the both edge portions 28 and 28 are urged toward the portion where the distance between the inner peripheral surface of the driven pulley 7b and the groove bottom 25a of the locking groove 23a is close, Even when the fitting state is loosened, the both end edges 28 and 28 bite into a portion where the distance is close, and the occurrence of the creep is prevented.
[0034]
Furthermore, in the case of this example, since the protrusions 27, 27 formed on the outer peripheral surface of the locking member 24a are elastically deformable in the radial direction, the outer ring 16b is fitted to the inner peripheral surface of the driven pulley 7b. The work to do is not troublesome. That is, when the outer ring 16b is fitted to the inner peripheral surface of the driven pulley 7b, the protrusions 27 and 27 are pushed by the inner peripheral surface and are elastically compressed in the radial direction. Therefore, these protrusions 27 and 27 do not interfere with the fitting work, and the fitting work does not become troublesome.
[0035]
Further, as the above-described locking member, a locking member 24b having one protrusion 27a on the outer peripheral surface as shown in FIG. 5B can be used. The locking member 24b has a ring shape and has the protrusion 27a formed by protruding a part in the circumferential direction outward in the radial direction. Similarly to the above-described example, the locking member 24b configured in this manner is also locked in the locking groove 23a in which the groove bottom 25a is eccentric with respect to the outer peripheral surface 22 of the outer ring 16b. The action of preventing creep at the fitting portion between the outer ring 16b and the driven pulley 7b is the same as that of the locking member 24a shown in FIG.
[0036]
Next, FIG. 6 shows a third example of an embodiment of the present invention corresponding to claims 1 and 2. In the case of this example, unlike the above-described embodiments, locking concave grooves 29, 29 are formed on the inner peripheral surface of the inner ring 18a of each ball bearing 9b, 9b. The locking members 30 and 30 are locked in the locking grooves 29 and 29. The locking members 30, 30 are made of synthetic resin having a linear expansion coefficient larger than that of the inner ring 18a made of bearing steel, as in the first example described above. It is made larger than the depth of the grooves 29 and 29. For this reason, the locking member 30 protrudes from the inner peripheral surface of the inner ring 18a due to a temperature rise during use. Accordingly, it is possible to prevent the occurrence of creep at the fitting portion between the inner peripheral surface of the inner ring 18a and the sleeve 8. Other structures and operations are the same as those in the first example described above.
[0037]
The structure of the second example described above can also be applied to this example. That is, a locking groove is formed on the inner circumferential surface of the inner ring 18a with the groove bottom being eccentric with respect to the circumferential surface, and a radially elastically deformable protrusion is formed on the inner circumferential surface of the locking groove. The locking member having is locked. As a result, when the inner ring 18a that locks the locking member is externally fitted to the sleeve 8, the protruding portion is pushed by the outer peripheral surface of the sleeve, and both end edges of the locking member are formed at a shallow depth. It is energized towards. The wedge action prevents creep from occurring at the fitting portion between the inner ring 18a and the sleeve 8.
[0038]
Next, FIG. 7 shows a fourth example of the embodiment of the present invention, which also corresponds to claims 1 and 2. In the case of this example, the locking grooves 23 and 29 are formed on the outer peripheral surface of the outer ring 16a and the inner peripheral surface of the inner ring 18a constituting the ball bearings 9c and 9c, respectively, and the locking grooves 23 and 29 are locked. The members 24 and 30 are respectively locked. Therefore, in this example, the occurrence of creep can be prevented at both the fitting portion between the outer ring 16a and the driven pulley 7b and the fitting portion between the inner ring 18a and the sleeve 8. Other structures and operations are the same as those in the first and third examples described above.
[0039]
In the case of this example as well, the creep prevention mechanism of each fitting portion can be structured as in the second example described above. That is, the outer circumferential surface of the outer ring 16a and the inner circumferential surface of the inner ring 18a are formed with locking grooves whose groove bottoms are eccentric with respect to the respective circumferential surfaces, and the outer circumferential surface or the inner circumferential surface is formed in each of the locking grooves. Further, it is possible to make a structure in which each of the ring-shaped locking members each having a radially elastically deformable protrusion is locked.
[0040]
Next, FIG. 8 shows a fifth example of the embodiment of the present invention, which also corresponds to claims 1 and 2. In the case of this example, the configuration of the roller clutch 10a is different from that of each of the examples described above. That is, the clutch outer ring constituting the roller clutch 10a is integrally formed on the inner peripheral surface of the driven pulley 7c, and the clutch inner ring is integrally formed on the outer peripheral surface of the sleeve 8a. For this reason, the number of parts can be reduced and the cost can be reduced as compared with the roller clutch built-in pulley apparatus of each example described above. Other structures and operations are the same as those in the first example described above. In the example shown in the figure, the creep prevention mechanism has the same structure as that of the first example shown in FIG. 1 described above, but the structures of the other embodiments are of course applicable.
[0041]
Although not shown in the drawings, as described in claim 4, each of these fitting portions can also be applied by applying an adhesive to the fitting portion between the outer ring and the driven pulley or the fitting portion between the inner ring and the sleeve. It is possible to prevent creep from occurring. That is, as in each of the above-described embodiments, the outer peripheral surface of the outer ring (or the inner peripheral surface of the inner ring) or the inner peripheral surface of the driven pulley (or the outer peripheral surface of the sleeve) is used without using a locking groove or a locking member. The outer ring (or inner ring) is fitted to the inner peripheral surface of the driven pulley (or the outer peripheral surface of the sleeve). Thereby, since the outer ring (or inner ring) and the driven pulley (or sleeve) are fixed by the adhesive, the occurrence of creep can be prevented. Further, the work of fitting the ball bearing with the driven pulley and the sleeve is not troublesome.
[0042]
In each of the above-described embodiments, the structure using a roller clutch as the one-way clutch has been described. However, the present invention is a pulley device with a built-in one-way clutch that uses a cam clutch such as a sprag clutch as the one-way clutch. It can also be applied to support bearings incorporated in
[0043]
【The invention's effect】
Since the pulley apparatus with a built-in one-way clutch of the present invention is configured and operates as described above, it is possible to sufficiently ensure the durability life of the one-way clutch used in a harsh environment.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a half sectional view showing a first example of an embodiment of a pulley apparatus with a built-in one-way clutch of the present invention.
FIG. 2 is a partially enlarged cross-sectional view showing three examples of the shape of a locking groove.
FIG. 3 is a partial cross-sectional view showing an outer ring and a rolling element in order to explain the restriction of the groove depth of the locking groove.
FIG. 4 is a front view of an outer ring used in a second example of an embodiment of a pulley apparatus with a built-in one-way clutch of the present invention.
FIG. 5 is a side view showing two examples of locking members.
FIG. 6 is a half sectional view showing a third example of an embodiment of a pulley apparatus with a built-in one-way clutch of the present invention.
FIG. 7 is a half sectional view showing the fourth example.
FIG. 8 is a half sectional view showing the fifth example.
FIG. 9 is a sectional view showing an example of a conventionally known alternator.
FIG. 10 is a half sectional view showing an example of a conventional structure.
[Explanation of symbols]
1 Alternator
2 Housing
3 Rotating shaft
4 Rolling bearing
5 Rotor
6 Commutator
7, 7a, 7b, 7c driven pulley
8, 8a Sleeve (Rotating shaft member)
9, 9a, 9b, 9c Ball bearing
10, 10a Roller clutch
11 Screw hole
12 Locking hole
13 Round hole
14 Large diameter part
15 Outer ring raceway
16, 16a, 16b Outer ring
17 Inner ring raceway
18, 18a Inner ring
19 balls
20 Seal ring
21 annular space
22 Outer surface
23, 23a Locking groove
24, 24a, 24b Locking member
25, 25a Groove bottom
26 Locking groove
27, 27a Projection
28 Edge
29 Locking groove
30 Locking member