JP2004027916A - 高圧燃料レールにおける分岐接続体の接続構造 - Google Patents

高圧燃料レールにおける分岐接続体の接続構造 Download PDF

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臼井 正佳
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Abstract

【課題】分岐接続体としての枝管や継手金具の下端内周縁部および貫孔の内周壁周縁部に発生する最大応力値を下げて内圧疲労強度を向上させることが可能な高圧燃料レールにおける分岐接続体の接続構造を提供する。
【解決手段】本管レールの軸方向の周壁部に間隔を保持して複数の貫孔を設け、該貫孔に分岐接続体を嵌挿した状態をもって相互に接合して接続構成してなる高圧燃料レールにおける分岐接続体の接続構造において、前記貫孔を本管レール流通路に開口する小径孔と分岐接続体を嵌挿する大径孔とで構成し、前記小径孔の径をd、大径孔の径をDとした場合、前記小径孔の軸方向長さhをd〜2d、大径孔の軸方向長さHを0.8D〜1.5Dとし、前記貫孔の少なくとも軸方向位置の内周壁面部に直径Wが1.5d〜3dの偏平部を設けた構成となしたことを特徴とする。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧燃料多岐管や高圧燃料ブロックのような燃料レールにおける分岐枝管もしくは分岐継手金具等による接続体の接続構造に係り、特にディーゼル内燃機関での100MPa以上にも及ぶ高圧燃料を供給する高圧燃料レールにおける分岐接続体の接続構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の分岐接続体の接続構造としては、例えば内部を流通路とする燃料レールとしての本管の周壁部に設けた該流通路に通ずる貫孔に分岐接続体としての枝管の接続端部を嵌挿した状態をもって相互に鑞着して接続構成したもの、あるいは分岐接続体としての枝管を直接または継手金具等を介して接続した構成となしたもの、前記貫孔の周面部に分岐接続体を連設する外方への開口する受圧座面を形成して分岐接続体の端部のなす押圧座面部を当接係合せしめて該分岐接続体を接続してなるもの等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような接続構造にあっては、100MPa以上にも及ぶ高圧流体の絶えず繰返される供給圧力の急激な変動と、特に機関からの加振及び雰囲気温度の上昇、下降による相手部材(相手座面)どうしの相対寸法変化に起因して、該分岐接続体としての枝管または分岐継手金具の本管レール開口端部に大きな応力が発生し、当該開口端部が起点となって亀裂が生じ易く、しばしば燃料の漏れ等を招く可能性があった。
【0004】
かかる対策として、一般的には次のような対策がとられている。分岐接続体のレール開口端部の内圧疲労強度を高めるために、高強度鋼を用いる方法、浸炭窒化等を含む熱処理により材料強度を高める方法、レールの形態を鍛造タイプまたは組立てタイプ(リテーナータイプ)とする方法等がある。
【0005】
しかるに、分岐接続体としての枝管や継手金具に高強度鋼を用いる方法は、高強度鋼が非常に溶接しにくい上、耐久性に問題がある。また、浸炭窒化等を含む熱処理により材料強度を高める方法では、炉中ろう付け品は熱処理によりろう材が劣化するために強度を高められないことから高圧用に耐えられないという難点がある。さらに、鍛造および組立てタイプは、重量が重い上、高価につくという欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来技術の有する前記問題に鑑みてなされたものであり、分岐接続体としての枝管や継手金具の下端内周縁部および貫孔の内周壁周縁部に発生する最大応力値を下げて内圧疲労強度を向上させることが可能な高圧燃料レールにおける分岐接続体の接続構造を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る高圧燃料レールにおける分岐接続体の接続構造は、軸芯内部に流通路を有する本管レールの軸方向の周壁部に間隔を保持して複数の貫孔を設け、該貫孔に分岐枝管もしくは分岐継手金具からなる分岐接続体を嵌挿した状態をもって相互に接合して接続構成してなる高圧燃料レールにおける分岐接続体の接続構造において、前記貫孔を本管レール流通路に開口する小径孔と分岐接続体を嵌挿する大径孔とで構成し、前記小径孔の径をd、大径孔の径をDとした場合、前記小径孔の軸方向長さhをd〜2d、大径孔の軸方向長さHを0.8D〜1.5Dとし、前記貫孔の少なくとも軸方向位置の内周壁面部に直径Wが1.5d〜3dの偏平部を設けた構成となしたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明において、分岐枝管もしくは分岐継手金具からなる分岐接続体の先端部を本管レール流通路の偏平部内周壁面に達しないように当該分岐接続体の嵌入孔(大径孔)を設けたのは、本管レールに開口する貫孔(小径孔)の径dが大きければ開口部周辺に発生する応力が高くなり疲労強度が低下するためである。
また、小径孔の軸方向長さhをd〜2dとしたのは、d未満では開口部周辺の肉厚が薄くなり疲労強度が低下し、他方、2dを超えると本管レールの肉厚を大きくすることが必要となり重量が増すのみならず、さほど大きな効果も得られないためである。
さらに、大径孔の軸方向長さHを0.8D〜1.5Dとしたのは、0.8D未満では分岐接続体の溶着外れを防止するための強度を保持するには不十分であり、他方、1.5Dを超えると必要以上のはがれ強度を持ち、また本管レールの肉厚が大となり重量が増すためである。
さらにまた、偏平部の直径Wを1.5d〜3dとしたのは、1.5d未満では開口部の応力集中を防止するためには不十分であり、他方、3dを超えると偏平部と本管レールの内周曲率とが異なる接点での曲率の差によりこの接点での応力集中が大きくなり、耐久性が低下するためである。
【0009】
偏平部の形成方法としては、例えば外圧方式にて押圧力を付与して内周壁面に偏平部を形成する方法、鍛造時に内周壁面に偏平部を形成する方法、押出し成形時に偏平部を形成する方法等を採用することができる。なお、外圧方式にて押圧力を付与して内周壁面に偏平部を形成する方法では、偏平部は内方に突出する円弧状面を含む面となる場合がある。したがって、偏平部は完全な平坦面出はなく円弧状面、楕円状面等、種々の曲面形状を含む。
【0010】
分岐枝管もしくは分岐継手金具からなる分岐接続体は、その先端部を貫孔の大径孔に嵌挿した状態をもって相互に接合するが、その接合手段としては銅系、Ni系等の高強度ろう材による炉中ろう着を用いるのが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明すれば、図1は本発明の高圧燃料レールにおける分岐接続体の接続構造に係る分岐枝管による接続部を示す一部拡大横断面図、図2は同じく分岐継手金具による接続部を示す一部拡大横断面図であって、1は本管レール、1−1は流通路、1−2は偏平部、1−3は小径孔、1−4は大径孔、2は分岐枝管、2−1は流路、3は分岐継手金具、3−1は流路、3−2は受圧座面である。
【0012】
本管レール1は、内部を流通路1−1となして管径30m/m程度以下の高圧配管用炭素鋼管あるいはステンレス鋼管等の厚肉鋼管材からなるものである。そしてこの本管レール1の軸方向にわたる周壁部の内周壁面に軸方向に間隔を保持して偏平部1−2を設け、この偏平部に接しかつ該偏平部の中心と一致させて小径孔1−3および大径孔1−4からなる貫孔を有している。ここで、前記小径孔の径をd、大径孔の径をDとした場合、偏平部1−2の径Wは1.5d〜3dとし、前記小径孔dの軸方向長さhはd〜2d、大径孔Dの軸方向長さHは0.8D〜1.5Dとする。
【0013】
一方、分岐接続体としての分岐枝管2、分岐継手金具3は、共に管径20m/m程度以下の前記本管レール1と同種鋼管材もしくは鋼材からなるものである。
【0014】
図1に示す接続構造は、内部を流通路1−1となした管状の内周壁面を有する本管レール1の軸方向にわたる周壁部の内周壁面に、例えば外圧方式にて押圧力を付与して偏平部1−2を設け、この偏平部1−2に接して小径孔1−3および大径孔1−4からなる貫孔を穿設し、この大径孔1−4に分岐枝管2の接続端部を嵌挿した状態をもって相互に接合(ろう着等)して構成したものである。
【0015】
図2に示す接続構造は、前記図1の本管レール1と同様、内部を流通路1−1となした管状の内周壁面を有する本管レール1の軸方向にわたる周壁部の内周壁面に、例えば外圧方式にて押圧力を付与して偏平部1−2を設け、この偏平部1−2に接して小径孔1−3および大径孔1−4からなる貫孔を穿設し、この大径孔1−4に分岐継手金具3の接続端部を嵌挿した状態をもって相互に接合(ろう着等)して構成したものである。分岐継手金具3は、軸芯部にドリル加工等の孔あけ加工により流路3−1を設け、続いて外側端部に外方にラッパ状に開口する受圧座面3−2と螺子壁3−3の加工を施してなるものである。
【0016】
なお、本願発明における分岐枝管2や分岐継手金具3からなる分岐接続体の接合手段としては、前記したように銅ろう着、ニッケルろう着等の炉中ろう着が好ましいが、分岐枝管2や分岐継手金具3からなる分岐接続体の表面と大径孔1−4の内面を高精度に仕上げ前処理により活性化させた後、好ましくはさらにニッケルや銅等のめっき被膜を施し、さらに好ましくは大径孔1−4にも予めめっき被膜を施した後分岐接続体を挿入し、拡散温度に十分な時間保持して拡散接合する方法も可能である。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による高圧燃料レールにおける分岐接続体の接続構造は、本管レールの内周壁面に偏平部を設け、この偏平部に接して穿設する貫孔に分岐接続体の先端部を本管レール内周壁面に達しないように嵌挿して接続する方式を採用したことにより、分岐接続体としての枝管や継手金具の下端内周縁部および貫孔の内周壁周縁部に発生する最大応力値を大幅に低下させることができ、高い内圧疲労特性を有する高圧燃料レール用の分岐接続体の接続構造を得ることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高圧燃料レールにおける分岐接続体の接続構造に係る分岐枝管による接続部を示す一部拡大横断面図である。
【図2】同じく分岐継手金具による接続部を示す一部拡大横断面図である。
【符号の説明】
1 本管レール
1−1 流通路
1−2 偏平部
1−3 小径孔
1−4 大径孔
2 分岐枝管
2−1 流路
3 分岐継手金具
3−1 流路
3−2 受圧座面

Claims (1)

  1. 軸芯内部に流通路を有する本管レールの軸方向の周壁部に間隔を保持して複数の貫孔を設け、該貫孔に分岐枝管もしくは分岐継手金具からなる分岐接続体を嵌挿した状態をもって相互に接合して接続構成してなる高圧燃料レールにおける分岐接続体の接続構造において、前記貫孔を本管レール流通路に開口する小径孔と分岐接続体を嵌挿する大径孔とで構成し、前記小径孔の径をd、大径孔の径をDとした場合、前記小径孔の軸方向長さhをd〜2d、大径孔の軸方向長さHを0.8D〜1.5Dとし、前記貫孔の少なくとも軸方向位置の内周壁面部に直径Wが1.5d〜3dの偏平部を設けた構成となしたことを特徴とする高圧燃料レールにおける分岐接続体の接続構造。
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