JP2004025748A - 液体噴射ヘッド - Google Patents

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Abstract

【課題】液体または液体中のある成分が蒸気になって、圧力発生素子の振動変位を受ける振動板の部分から蒸発することを抑制する液体噴射ヘッドを提供する。
【解決手段】ノズル開口2とノズル開口2に連通する圧力発生室4および圧力発生室4に供給する液体の貯留室8と圧力発生室4および貯留室8の開口を塞ぐ振動板6とを有する流路ユニット1と、流路ユニット1が貼着されるヘッドケース9と、ヘッドケース9に形成された収容空間10内に収容されて圧力発生室4に圧力変動を与える圧力発生素子11とを備えた液体噴射ヘッドであって、ヘッドケース9と圧力発生素子11との間に気密保持材27を存在させ、振動板6と気密保持材27との間に空間部28を形成させている。これにより、液体または液体中のある成分が蒸気になって空間部28に充満し、その高まった蒸気圧により、蒸発の継続が抑制される。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力発生素子の振動によりノズル開口から液滴を吐出させる液体噴射ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
圧力発生素子を用いた液体噴射ヘッドは、種々な液体を対象にしたものが知られているが、そのなかでも代表的なものとして、インクジェット式記録装置に採用されている記録ヘッドをあげることができる。そこで、従来の技術を上記インクジェット式記録装置の記録ヘッドに例をとって、図4,図5にしたがって説明する。
【0003】
この記録ヘッドは、ノズル開口2を有する流路ユニット1と、この流路ユニット1が貼着されるヘッドケース9とから構成されている。
【0004】
上記流路ユニット1は、ノズル形成面3Aにノズル開口2が列設されたノズルプレート3と、各ノズル開口2に連通する圧力発生室4が列設された流路基板5と、各圧力発生室4の下部開口を塞ぐ振動板6とが積層されて構成されている。流路基板5には、各圧力発生室4とインク流路7を介して連通し、各圧力発生室4に導入されるインクを貯留するインク貯留室8が形成されている。なお、記録ヘッド全体は符号Hで示されている。
【0005】
上記記録ヘッドHの基部材をなすヘッドケース9は、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が射出成形されてなり、上下に貫通する収容空間10に圧力発生素子11が収容されるようになっている。圧力発生素子11は、後端側がヘッドケース9に取り付けられた固定基板12に固着されるとともに、先端面が振動板6下面の島部6Aに固着されている。
【0006】
上記各圧力発生室4,圧力発生素子11,ノズル開口2は、図5における紙面に垂直な方向に多数配列されている。すなわち、この例では2列のノズル列が形成され、各ノズル列を1単位として同種のインクを吐出するようになっている。
【0007】
上記圧力発生素子11の各々には、図4,図5に示したように入力用の導通線13が接続され、各導通線13はヘッド基板14の通孔14Aに挿通されてからヘッド基板14上のプリント配線15に接続されている。このプリント配線15が集約されてコネクター16を介してフレキシブルフラットケーブル17に接続されている。このフレキシブルフラットケーブル17は図示していない駆動回路に接続され、この駆動回路からの駆動信号が圧力発生素子11に入力されると、圧力発生素子11が長手方向に伸縮させられ、圧力発生室4内の圧力を変動させることにより、圧力発生室4内のインクをノズル開口2からインク滴として吐出させる。
【0008】
一方、上記ヘッドケース9のインク貯留室8に対応する部分には、ポリフェニレンサルファイドフィルム(以下「PPSフィルム」という)製の振動板6を介して吐出時のインク貯留室8内の圧力変動を逃がすダンパ用凹部18が形成されている。このダンパ用凹部18は、外部と連通しない独立空間として存在させると、ダンパ用凹部18内の空気がPPSフィルム製の振動板6を透過してインク内に溶出し、ダンパ用凹部18内の気圧が下がって振動板6の張力が高くなって十分なダンパ効果を得られなくなりやすい。そこで、上記ダンパ用凹部18の底面からヘッドケース9の反対側面に向かって貫通してダンパ用凹部18を大気に連通させる外部連通路19を穿設することにより、上述したようなダンパ用凹部18内の圧力低下を防止している。
【0009】
ところで、上記ダンパ用凹部18の開口面積が大きいために、この開口面積部分を覆う振動板6の面積も大きなものとなり、とくに、インクジェット式記録装置の使用を休止している間に、インク中の水分が水蒸気になってこの広い面積部の振動板6を透過してダンパ用凹部18内に流入する。そして、この水蒸気はその圧力上昇に伴い外部連通路19を経て大気に放出される。このような現象により、インク中の水分量が低下してインク粘度が上昇し、上記装置の使用再開時に適正なインク滴の吐出に支障が発生する。
【0010】
そこで、インク中の水分の蒸発を可及的に減少させるために、外部連通路19に流路面積の小さい部分を形成したり、あるいは、流路に流路抵抗の大きな屈曲部分を形成したりして、ダンパ機能を果たしつつ水分蒸発を抑制している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の装置では、ダンパ用凹部18の部分における対応は上述のようになされているが、図5(B)に示されているように、圧力発生素子11の振動変位を受ける振動板6の部分、すなわち島部6Aの周囲に位置している振動板6の振動変位部分6Bを透過したインク中の水蒸気が、収容空間10から通孔14Aを経て大気に放出される。したがって、インク中の水分の蒸発を可及的に減少させるためには、上記振動変位部分6Bを透過した水蒸気の大気放出を、何らかの方策で抑制する必要がある。
【0012】
上記のように振動変位部分6Bを通過する液体の蒸気は、液体そのものの蒸気であったり、あるいは、液体中のある特定の成分の蒸気であったりして、両者いずれの場合であっても液体の損失や正常な液体組成の維持に支障を来すこととなる。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、液体または液体中のある成分が蒸気になって、圧力発生素子の振動変位を受ける振動板の部分から蒸発することを抑制する液体噴射ヘッドの提供をその目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の液体噴射ヘッドは、ノズル開口と上記ノズル開口に連通する圧力発生室および上記圧力発生室に供給する液体を貯留する貯留室と上記圧力発生室および貯留室の開口を塞ぐ振動板とを有する流路ユニットと、上記流路ユニットが粘着されるヘッドケースと、上記ヘッドケースに形成された収容空間内に収容されて上記圧力発生室に圧力変動を与える圧力発生素子とを備えた液体噴射ヘッドであって、上記ヘッドケースと上記圧力発生素子との間に気密保持材を存在させ、上記振動板と上記気密保持材との間に空間部を形成させていることを要旨とする。
【0015】
すなわち、本発明の液体噴射ヘッドは、上記ヘッドケースと上記圧力発生素子との間に気密保持材を存在させ、上記振動板と上記気密保持材との間に空間部を形成させている。
【0016】
このように、上記振動板と気密保持材との間の空間部は、気密保持材の存在により略密閉された空間となる。したがって、液体または液体中のある成分、例えば水分が水蒸気の状態で振動板を透過し、密閉された空間部で水蒸気が飽和状態になって蒸気圧が高くなると、それ以上、空間部に水蒸気が流入することが抑制される。このような抑制作用により、液体または液体中のある成分の減量が最小限にとどめられ、液体の組成の変化を実質的に実害のないレベルにすることが可能となる。さらに、上記空間部の形成により、気密保持材が振動板に付着することがないので、振動板の振動動作に支障を来すことがなく、正常な液滴の噴射ができる。
【0017】
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記ヘッドケースの収容空間内に複数の圧力発生素子が収容されている場合には、気密保持材の存在によって形成された上記空間部が、各圧力発生素子の周囲を包囲した状態となり、空間部の容積を大きくすることが可能となる。これにより、振動板の振動変位に対する空間部の内圧の変化が少なくなるので、振動板の振動動作に支障を来すことがなく、正常な液滴の噴射ができる。
【0018】
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記圧力発生素子は、振動板の振動方向に長尺な形状とされている場合には、上記圧力発生素子とヘッドケースとの間の空間長さを振動版の振動方向に長く確保できるので、これに伴って気密保持材を存在させる空間長さも長くなり、気密保持材を例えば注入によって存在させるようなときに、気密保持材を確実に注入して上記空間部を密閉空間とすることができ、その作業性も良くなって不良率を少なく抑えることができる。また、気密保持材を配置する空間長さが長くなることにより、上記振動板と気密保持材との間の空間部も確実に形成することができ、しかも、空間部の空間容積を大きく設定することができる。
【0019】
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記ヘッドケースの収容空間の内面と圧力発生素子との間隙は、上記振動板側が狭くしてある場合には、上記気密保持材を狭くなった間隙の箇所に位置させることができ、気密保持材を狭い間隙により安定して存在させることができる。また、上記間隙は振動板側が狭くなっているので、気密保持材は振動板に到達しにくい状態となり、上記空間部を確保するのに好適である。
【0020】
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記振動板側が狭くなった間隙の狭くなりつつあるところに気密保持材を存在させている場合には、上記間隙が振動板に近づくにつれて狭くなっている箇所、すなわち、急激に狭くなる空間部分に気密保持材を存在させることにより、気密保持材の配置位置が常に均一に設定でき、液体噴射ヘッドの部品精度が向上する。そして、注入等の方法で気密保持材を圧力発生素子とヘッドケースとの間に存在させるときには、注入された気密保持材が振動板の方へ移動しているときに、上記間隙の狭くなりつつある箇所で押し詰まったような状態で停止することから、気密保持材を注入等する作業が簡素化でき、不良率も低くおさえられる。
【0021】
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記気密保持材が、低弾性物質で構成されている場合には、上記気密保持材は軽度の弾力で圧力発生素子やヘッドケースに密着しているので、圧力発生素子の変形応力を逃がして圧力発生素子自体の振動特性の変動を防止しながら、気密保持機能が良好に果たされる。また、気密保持材は軽度の弾力を圧力発生素子やヘッドケースに及ぼしているので、気密保持材の位置がずれたりせず、耐久性の高い気密保持機能がえられる。
【0022】
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記低弾性物質が、ゲル化した物質である場合には、ゲル化した物質による適度の弾性,粘度や流動性のない柔軟な状態がえられるので、圧力発生素子の繰り返し振動による応力を受けても上記低弾性物質の流出や破壊が生じにくく気密保持材としての機能を維持させることができる。
【0023】
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記気密保持材が、絶縁性を保有している場合には、圧力発生素子が電極を有する圧電素子から形成されたものであるときに、圧力発生素子に気密保持材が付着してもその絶縁性が確保できるので、圧力発生素子を正常に動作させることができる。また、圧力発生素子自体に特別の絶縁処理を施す必要もないので、無用なコストアップを回避できる。
【0024】
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、液体噴射ヘッドがインクジェット式記録装置用とされている場合には、インクジェット式記録装置が長時間にわたって休止されていても、インク中の水分量を維持して増粘を防ぎ、上記装置の休止後の使用において、正常なインク滴の吐出がえられる。
【0025】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0026】
本発明の液体噴射ヘッドは、上述のように種々な液体を対象にして機能させることができ、図示の実施の形態においてはその代表的な事例として、本液体噴射ヘッドをインクジェット式記録装置に適用した例を示している。
【0027】
図1〜図3は、本発明の液体噴射ヘッドの一実施の形態を示す図であり、図4,図5において説明した記録ヘッドHを構成する部材と同じ機能を果たす部材には、同一の符号を図1〜図3に付してある。
【0028】
この記録ヘッドHは、ノズル開口2を有する流路ユニット1と、この流路ユニット1が貼着されるヘッドケース9とから構成されている。
【0029】
上記流路ユニット1は、ノズル形成面3Aにノズル開口2が列設されたノズルプレート3と、各ノズル開口2に連通する圧力発生室4が列設された流路基板5と、各圧力発生室4の下部開口を塞ぐ振動板6とが積層されて構成されている。流路基板5には、各圧力発生室4とインク流路7を介して連通し、各圧力発生室4に導入されるインクを貯留するインク貯留室8が形成されている。
【0030】
上記記録ヘッドHの基部材をなすヘッドケース9は、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が射出成形されてなり、上下に貫通する収容空間10に圧力発生素子11が収容されるようになっている。圧力発生素子11は、後端側がヘッドケース9に取り付けられた固定基板12に固着されるとともに、先端面が振動板6下面の島部6Aに固着されている。
【0031】
上記各圧力発生室4,圧力発生素子11,ノズル開口2は、図1(A)における紙面に垂直な方向に多数配列されている。すなわち、この例では2列のノズル列が形成され、各ノズル列を1単位として同種のインクを吐出するようになっている。
【0032】
上記圧力発生素子11としては、電極材料と圧電材料とが長手方向すなわち振動板6の振動方向と直交する方向に交互に積層された縦振動モードの圧電振動子が用いられている。そして、上記圧力発生素子11の各々には、図1(A)に示したように入力用の導通線13が接続され、各導通線13はヘッド基板14の通孔14Aに挿通されてからヘッド基板14上のプリント配線15に接続されている。このプリント配線15が集約されてコネクター16を介してフレキシブルフラットケーブル17に接続されている。
【0033】
このフレキシブルフラットケーブル17は図示していない駆動回路に接続され、この駆動回路からの駆動信号が圧力発生素子11に入力されると、圧力発生素子11が長手方向に伸縮して振動板6を振動させ、圧力発生室4内の圧力を変動させることにより、圧力発生室4内のインクをノズル開口2からインク滴として吐出させる。
【0034】
一方、上記ヘッドケース9のインク貯留室8に対応する部分には、ポリフェニレンサルファイドフィルム(以下「PPSフィルム」という)製の振動板6を介して吐出時のインク貯留室8内の圧力変動を逃がすダンパ用凹部18が形成されている。このダンパ用凹部18は、外部と連通しない独立空間として存在させると、ダンパ用凹部18内の空気がPPSフィルム製の振動板6を透過してインク内に溶出し、ダンパ用凹部18内の気圧が下がって振動板6の張力が高くなって十分なダンパ効果を得られなくなりやすい。そこで、上記ダンパ用凹部18の底面からヘッドケース9の反対側面に向かって貫通してダンパ用凹部18を大気に連通させる外部連通路19を穿設することにより、上述したようなダンパ用凹部18内の圧力低下を防止している。
【0035】
ところで、上記ダンパ用凹部18の開口面積が大きいために、この開口面積部分を覆う振動板6の面積も大きなものとなり、とくに、インクジェット式記録装置の使用を休止している間に、インク中の水分が水蒸気になってこの広い面積部の振動板6を透過してダンパ用凹部18内に流入する。そして、この水蒸気は外部連通路19を経て大気に放出される。このような現象により、インク中の水分量が低下してインク粘度が上昇し、上記装置の使用再開時に適正なインク滴の吐出に支障が発生する。
【0036】
そこで、インク中の水分の蒸発を可及的に減少させるために、外部連通路19に流路面積の小さい部分を形成したり、あるいは、流路形状に流路抵抗の大きな屈曲部分を形成したりして、ダンパ機能を果たしつつ水分蒸発を抑制している。
【0037】
上記圧力発生素子11は、振動板6の振動方向すなわち伸縮方向に長尺な形状とされている。そして、圧力発生素子11の片側に対面するヘッドケース9の内面20と圧力発生素子11により間隙21が形成されており、この間隙21は振動板6側を狭くしてある。上記間隙21が狭くなりつつある箇所22は、内面20に形成した傾斜面23が存在する箇所である。
【0038】
他方、上記内面20とは反対側においては、ヘッドケース9の内面24と圧力発生素子11により間隙25が形成されている。図3は、間隙21,25の配置状態を示す平面図であり、収容空間10に複数の圧力発生素子11が収容されているので、上記間隙21,25に加えて隣合っている圧力発生素子11の間に間隙26が形成されている。上述のように、圧力発生素子11が振動板6の振動方向に長尺になっているので、上記圧力発生素子11とヘッドケース9との間の空間長さを振動板6の振動方向に長く確保できるので、これに伴って気密保持材27を存在させる空間長さも長くなり、気密保持材27を例えば注入によって存在させるようなときに、気密保持材27を確実に注入して上記空間部28を密閉空間とすることができ、その作業性も良くなって不良率を少なく抑えることができる。また、気密保持材27を配置する空間長さが長くなることにより、上記振動板6と気密保持材27との間の空間部28も確実に形成することができ、しかも、空間部28の空間容積を大きく設定することができる。また、長い上記間隙21,25および26等が形成されて、後述の気密保持材27を存在させやすくしている。
【0039】
図1,図2においては、気密保持材27が固定基板12の上側空間にも回り込んでいるように図示してあるが、実際にはこの箇所への流入は流路間隙が狭いので、圧力発生素子11に対応した全ての上記上側空間にまで到達しない場合がある。したがって、図示のように固定基板12,圧力発生素子11,導通線13等を包み込むようにして収容空間10全体を埋めるような状態で気密保持材27を存在させるのが好適である。このような気密保持材27の充填により、完全な気密保持が行えるとともに、所定の容積を有する空間部28が確保できる。
【0040】
上記ヘッドケース9と圧力発生素子11との間すなわち上記間隙21,25および26には、気密保持材27が存在させてある。この気密保持材27は、例えば、シリコーンゴムや接着剤または発泡体等のような低弾性物質が好適に用いられ、より好ましくはゲル化されたシリコーンゲル等が適当である。このような気密保持材27としては、適当な低い弾性,粘性,小さな熱膨張係数および絶縁性等を備えた物質が適している。また、圧力発生素子11の発熱によっても粘度の低下が小さく流動しない物質が適当である。上記気密保持材27を配置することにより、振動板6と気密保持材27との間に密閉状態の空間部28が形成される。
【0041】
上記のような気密保持材27は軽度の弾力で圧力発生素子11やヘッドケース9に密着しているので、圧力発生素子11の変形応力を逃がして圧力発生素子11自体の振動特性の変動を防止しながら、気密保持機能が良好に果たされる。また、気密保持材27は軽度の弾力を圧力発生素子11やヘッドケース9に及ぼしているので、気密保持材27の位置がずれたりせず、耐久性の高い気密保持機能がえられる。また、ゲル化した物質による適度の弾性,粘度や流動性のない柔軟な状態がえられるので、圧力発生素子11の繰り返し振動による応力を受けても上記低弾性物質の流出や破壊が生じにくく気密保持材27としての機能を維持させることができる。
【0042】
上記気密保持材27を間隙21,25および26に介在させる方法としては、注入方式があげられる。間隙21の間隔が広くなった下方(図1(B)参照)から気密保持材27を注入すると、気密保持材27は間隙が狭くなりつつある箇所22においてその流動が制約されるので、間隙21の狭い振動板6側へは移動せず、間隙26の方へ迂回し、そこで保持されるか、または間隙25まで到達して保持される。このような気密保持材27の挙動により、圧力発生素子11は、図2に示したように、気密保持材27で包囲された状態になる。この包囲された状態において、気密保持材27のわずかな弾力が圧力発生素子11や内面20,24に作用するので、圧力発生素子11の動作特性を狂わせることなく、良好な気密保持がえられる。
【0043】
また、上記のように気密保持材27が圧力発生素子11を包囲した状態になっているのと同様に、図3に示したように、空間部28も圧力発生素子11を包囲した形態の空間形状となるので、空間部28の容積を適度に大きく設定できて、振動変位部分6Bが膜振動をしても、空間部28の圧力はほとんど変化しない状態とすることができる。したがって、空間部28の内圧上昇は軽度なものとなり、気密保持材27と圧力発生素子11や内面20,24との密着箇所が剥離するようなことがない。同時に、振動変位部分6Bも空間部28の内圧変化でその振動動作が支障を受けることがない。
【0044】
上記の注入過程において、気密保持材27が間隙が狭くなりつつある箇所22に到達すると、気密保持材27の粘性により、上記箇所22における流動性が低下し間隙26の方へ迂回する。このような流動現象により、気密保持材27が上記箇所22に常にとどまることとなる。したがって、上記箇所22の配置位置を、例えば、図1(B)に示した箇所にすることによって、気密保持材27が振動板6(振動変位部分6B)に到達することのない空間部28を確保することができる。また、注入作業の際には、気密保持材27が狭くなりつつある箇所22で止められることから、作業性が良く、不良率も低く抑えられる。
【0045】
また、上記間隔21は振動板6側が狭くなっているので、上記気密保持材27を狭くなった間隙の箇所22に位置させることができ、気密保持材27を狭い間隙により安定して存在させることができる。しかも、気密保持材27は振動板6(振動変位部分6B)に到達しにくい状態となり、上記空間部28を確保するのに好適である。
【0046】
上述のようにして間隙21,25および26に介在された気密保持材27は、上記振動変位部分6Bを透過したインクからの水蒸気が大気に放出されるのを遮断する。そして、密閉された空間部28において水蒸気が飽和状態になって蒸気圧が高くなると、それ以上に水蒸気が振動変位部分6Bを透過することがなくなり、インク中の水分の蒸発が抑制される。
【0047】
上記気密保持材27が、絶縁性を保有していることにより、電極を有する圧電素子から形成された圧力発生素子11に気密保持材27が付着してもその絶縁性が確保できるので、圧力発生素子11を正常に動作させることができる。また、圧力発生素子11自体に特別の絶縁処理を施す必要もないので、無用なコストアップを回避できる。
【0048】
上述の実施の形態は、インクジェット式記録装置に使用される記録ヘッドであるが、本発明による液体噴射ヘッドは、インクジェット式記録装置用のインクだけを対象にするのではなく、グルー,マニキュア,導電性液体(液体金属)等を噴射することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、本発明の液体噴射ヘッドによれば、上記振動板と気密保持材との間の空間部は、気密保持材の存在により略密閉された空間となる。したがって、液体または液体中のある成分、例えば水分が水蒸気の状態で振動板を透過し、密閉された空間部で水蒸気が飽和状態になって蒸気圧が高くなると、それ以上、空間部に水蒸気が流入することが抑制される。このような抑制作用により、液体または液体中のある成分の減量が最小限にとどめられ、液体の組成の変化を実質的に実害のないレベルにすることが可能となる。さらに、上記空間部の形成により、気密保持材が振動板に付着することがないので、振動板の振動動作に支障を来すことがなく、正常な液滴の噴射ができる。
【0050】
また、液体噴射ヘッドがインクジェット式記録装置用とされている場合には、インクジェット式記録装置が長時間にわたって休止されていても、インク中の水分量を維持して増粘を防ぎ、上記装置の休止後の使用において、正常なインク滴の吐出がえられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の液体噴射ヘッドを示す図であり、(A)は断面図,(B)は拡大断面図である。
【図2】図1(A)の〔2〕−〔2〕断面図である。
【図3】図2と同じ要領で示した間隙の状態を示す断面図である。
【図4】従来例を示す分解斜視図である。
【図5】従来例を示す図であり、(A)は断面図,(B)は拡大断面図である。
【符号の説明】
1    流路ユニット
2    ノズル開口
3    ノズルプレート
3A   ノズル形成面
4    圧力発生室
5    流路基板
6    振動板
6A   島部
6B   振動変位部分
7    インク流路
8    貯留室,インク貯留室
9    ヘッドケース
10   収容空間
11   圧力発生素子
12   固定基板
13   導通線
14   ヘッド基板
14A  通孔
15   プリント配線
16   コネクター
17   フレキシブルフラットケーブル
18   ダンパ用凹部
19   外部連通路
20   内面
21   間隙
22   間隙が狭くなりつつある箇所
23   傾斜面
24   内面
25   間隙
26   間隙
27   気密保持材
28   空間部

Claims (9)

  1. ノズル開口と上記ノズル開口に連通する圧力発生室および上記圧力発生室に供給する液体を貯留する貯留室と上記圧力発生室および貯留室の開口を塞ぐ振動板とを有する流路ユニットと、上記流路ユニットが貼着されるヘッドケースと、上記ヘッドケースに形成された収容空間内に収容されて上記圧力発生室に圧力変動を与える圧力発生素子とを備えた液体噴射ヘッドであって、上記ヘッドケースと上記圧力発生素子との間に気密保持材を存在させ、上記振動板と上記気密保持材との間に空間部を形成させていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 上記ヘッドケースの収容空間内に複数の圧力発生素子が収容されている請求項1記載の液体噴射ヘッド。
  3. 上記圧力発生素子は、振動板の振動方向に長尺な形状とされている請求項1または2記載の液体噴射ヘッド。
  4. 上記ヘッドケースの収容空間の内面と圧力発生素子との間隙は、上記振動板側が狭くしてある請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  5. 上記振動板側が狭くなった間隙の狭くなりつつあるところに気密保持材を存在させている請求項4記載の液体噴射ヘッド。
  6. 上記気密保持材は、低弾性物質で構成されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  7. 上記低弾性物質は、ゲル化した物質である請求項6記載の液体噴射ヘッド。
  8. 上記気密保持材は、絶縁性を保有している請求項1〜7のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドがインクジェット式記録装置用とされている液体噴射ヘッド。
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