JP2004025028A - 高温高圧水雰囲気下反応処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エネルギー消費量の低減を図ることにある。
【解決手段】反応容器2には、ノズル(原料供給手段、酸化剤供給手段、水供給手段)3を設け、圧力容器1と反応容器2との間には、反応容器2内において原料と酸化剤中の酸素等が水雰囲気下で反応することによって生成された高温高圧の生成ガスが導入される熱交換器4を設け、圧力容器1には、水の供給ライン6に連通する水導入口14を設けるとももに、熱交換器4に連通する生成ガスの排出ライン5を挿通するための挿通口17を設け、ノズル3には、圧力容器1と反応容器2との間の水を反応容器2内に供給する流路を設けたものである。
【選択図】 図1
【解決手段】反応容器2には、ノズル(原料供給手段、酸化剤供給手段、水供給手段)3を設け、圧力容器1と反応容器2との間には、反応容器2内において原料と酸化剤中の酸素等が水雰囲気下で反応することによって生成された高温高圧の生成ガスが導入される熱交換器4を設け、圧力容器1には、水の供給ライン6に連通する水導入口14を設けるとももに、熱交換器4に連通する生成ガスの排出ライン5を挿通するための挿通口17を設け、ノズル3には、圧力容器1と反応容器2との間の水を反応容器2内に供給する流路を設けたものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、石炭、石油、天然タール等の化石燃料、廃プラスチック、下水汚泥等の有機廃棄物、バイオマスなどの再生可能リサイクル資源等を、高温高圧水の雰囲気下で反応させることにより、同資源からのエネルギー回収または軽質な燃料への改質を行うための高温高圧水雰囲気下反応処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の高温高圧水雰囲気下反応処理装置としては、例えば特開平7−313987号公報、特開2000−239672号公報、特開2001−232381号公報に示すものが知られている。これらの高温高圧水雰囲気下反応処理装置は、相互に連通する外殻体と内殻体との2重殻体構造のもので構成されており、内殻体にはノズルによって、原料および酸化剤が供給されるようになっている。そして、内殻体内の高温高圧水の雰囲気下で上記原料と酸化剤を反応させることにより原料を分解して、CO2 などの無害ガスに転換するか、或いは軽質な炭化水素等を生成するようになっている。また、外殻体と内殻体との間に、反応に寄与する流体、例えば水、酸化剤、被処理液などを内殻体内と実質的に同じ圧力で加圧して送入することによって、内殻体を外側からバックアップするようになっている。この加圧流体は、外殻体と内殻体との連通口を通して内殻体内部の反応域に入り、内殻体は圧力を受けないようにして反応域を区画する隔壁として機能している。
【0003】
すなわち、内殻体内は原料と酸化剤との反応等によって高温高圧になることから、内殻体自体でその高圧に耐えるようにするためには、当該内殻体を相当に肉厚の厚いもので構成する必要がある。
【0004】
しかし、内殻体は、その内部が374℃以上、好ましくは550℃以上の高温になる上に腐食作用のあるハロゲン化合物(例えば、塩酸(HCl))等が発生するため、耐熱性、耐食性等を有する金属材料で形成する必要がある。ただし、このような金属材料は一般的に極めて高価であることから、単に肉厚を厚くして高圧に耐えうるようにしたのでは製造コストの問題を生じることになる。
【0005】
そこで、外殻体と内殻体を連通して、内殻体の外側を上記のように加圧流体でバックアップすることによって、当該内殻体の内外を同一の圧力にバランスさせ、これにより肉厚の薄いもので構成しても、内殻体を十分耐え得るものにして、コストの低減を図っている。なお、外殻体は、内殻体のように高温の反応ガス等が直接接触することがないことから、通常の鉄鋼材料を用いることができ、よって肉厚の厚いもので構成しても、コストの上昇を低く抑えることができる。
【0006】
また、上記従来例においては、内殻体の構造を工夫することによって、外殻体と内殻体の間を流れる加圧流体を反応の放熱で予熱することができ、装置の熱効率を高める。
【0007】
しかし、上記のような反応装置では、外殻体と内殻体とが相互に連通することによって、例えば緊急停止時に、内殻体で発生したハロゲン化合物等が内殻体と外殻体との間に流出して、当該外殻体が腐食されることが特開2001−232382号公報によって明らかになっている。この公報のものでは、外殻体と内殻体とが相互に連通しないように遮断することによって、外殻体の腐食を防げるようになっている。また、外殻体と内殻体との間に送入する加圧流体は内殻体に入ることがなく、装置外に排出される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、例えば上記特開2001−232382号公報の高温高圧水雰囲気下反応処理装置においては、バックアップ用の加圧流体をそのまま装置から排出すると、加圧するために消費する動力、およびその流体が内殻体から吸収した熱量が無駄になり、工業化の立場からみると、大きなマイナス要因となる。
また、上記特開平7−313987号公報、特開2000−239672号公報、特開2001−232381号公報のような反応処理装置においては、装置緊急停止による外殻体の腐食を防げないほか、装置が大型になってきた場合は、反応器内発熱量が大きくなり、材料の安全面およびエネルギーの有効利用の面から、これを強制的に除去する方法を導入すること、およびそれを有効エネルギーとして回収することが重要となる。しかし、こういった機能を全部内殻体に持たすのは、内殻体の設計が困難になり、構造が複雑化するにしたがって製造コストも高くなる。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、エネルギー消費量の低減を図ることのできる高温高圧水雰囲気下反応処理装置を提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の高温高圧水雰囲気下反応処理装置は、圧力容器の内側に反応容器を配置した二重容器構造のもので構成し、上記反応容器には、有機物を含有する原料を当該反応容器内に供給する原料供給手段と、酸化剤を当該反応容器内に供給する酸化剤供給手段と、水を当該反応容器内に供給する水供給手段とを設け、上記圧力容器と上記反応容器との間には、当該反応容器内において上記原料と上記酸化剤とが水雰囲気下で反応することによって生成された高温高圧の生成物が導入される熱交換手段を設け、上記圧力容器には、当該圧力容器と上記反応容器との間に水を供給する水の供給ラインに連通する水導入口を設けるとももに、上記熱交換手段に連通する上記生成物の排出ラインを挿通するための挿通口を設け、上記水供給手段には、上記水導入口を介して上記圧力容器と上記反応容器との間に導入され上記熱交換手段によって昇温された上記水を上記反応容器内に供給する流路を設けてなることを特徴としている。
【0011】
なお、原料供給手段、酸化剤供給手段および水供給手段は、一つにまとめたもので構成してもよく、またそれぞれ別々の位置に配置した別体のもので構成してもよく、さらに何れかのもの同士が共用の流路を有するもので構成してもよい。
【0012】
請求項2に記載の高温高圧水雰囲気下反応処理装置は、圧力容器の内側に反応容器を配置した二重容器構造のもので構成し、上記反応容器には、有機物を含有する原料を当該反応容器内に供給する原料供給手段と、酸化剤を当該反応容器内に供給する酸化剤供給手段と、水を当該反応容器内に供給する水供給手段とを設け、上記圧力容器と上記反応容器との間には、当該反応容器内において上記原料と上記酸化剤とが水雰囲気下で反応することによって生成された高温高圧の生成物が導入される伝熱管を有する熱交換手段を設け、上記圧力容器には、当該圧力容器と上記反応容器との間に水を供給する水の供給ラインに連通する水導入口を設けるとももに、上記伝熱管に連通する上記生成物の排出ラインを挿通するための挿通口を設け、上記熱交換手段には、上記伝熱管における上記生成物が導入される側の部分の周囲を囲む熱交換容器を設け、この熱交換容器には、当該熱交換容器内に水を供給する第2の水の供給ラインが連結されているとともに、当該熱交換容器内で上記伝熱管によって昇温した水を上記水供給手段に導入する導入流路が連結されていることを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載の高温高圧水雰囲気下反応処理装置は、請求項1または2に記載の発明において、上記水供給手段内への上記水の流れのみを許容する逆流防止手段を設けたことを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載の高温高圧水雰囲気下反応処理装置は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、上記二重容器構造は、上記圧力容器の外周部を構成する外筒部と、上記反応容器の外周部を構成する内筒部とを二重筒状に配置したもので構成し、上記外筒部と内筒部との間には、上記熱交換手段の外側に、上記外筒部および内筒部と多重筒を構成するように配置された筒状の仕切板を設け、上記仕切板には、軸方向の一端部に開口部を設けてなることを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載の高温高圧水雰囲気下反応処理装置は、請求項4に記載の発明において、上記仕切板を複数設け、上記各仕切板は、軸方向の一端部に開口部を有するものと、軸方向の他端部に開口部を有するものとが径方向に交互に配置されていることを特徴としている。
【0016】
請求項6に記載の高温高圧水雰囲気下反応処理装置は、請求項1〜5の何れかに記載の発明において、上記圧力容器と上記反応容器との間における上記水の圧力を調整する圧力調整手段を設けたことを特徴としている。
【0017】
請求項1に記載の発明においては、原料、酸化剤および水がそれぞれ原料供給手段、酸化剤供給手段および水供給手段から反応容器内に供給されることによって、原料と酸化剤とが反応容器内の水雰囲気下で発熱を伴うガス化反応等の化学反応を起こすことになる。この場合、反応容器内の水は、上記化学反応によって高温高圧になる。
【0018】
すなわち、水は、反応容器内で、300〜1200℃で、7〜35MPaの亜臨界または超臨界水の状態になる。この亜臨界または超臨界水下では、原料と酸化剤および水との比を適切に変化させることにより、原料が酸化剤と反応したり、水と反応したりすることにより、原料を分解して、CO2 等の無害ガスに転換するか、また、水素、メタン、二酸化炭素等を主成分とする高温高圧の生成物を得ること等ができる。
この生成物は、熱交換手段から排出ラインを通って圧力容器外に排出され、冷却等の処理の後に、回収されることになる。
【0019】
一方、水は、水の供給ラインから水導入口を介して圧力容器と反応容器との間に導入され、熱交換手段で熱を受けて昇温したものが水供給手段の流路を通って反応容器内に噴出されることになる。熱交換手段は、内部を通る高温の生成物から水に熱を移動させることにより、水の温度を上昇させるとともに、生成物の温度を降下させることになる。温度降下後の生成物は排出ラインを通って圧力容器の外に送られることになる。
【0020】
また、圧力容器と反応容器との間の水の圧力を反応容器内の圧力と同程度に保持することにより、反応容器の内外の圧力をほぼ同一の圧力にバランスさせることができる。しかも、圧力容器と反応容器との間に供給された水は、熱交換手段によって、亜臨界水または超臨界水の状態まで加熱され、圧縮性を有するバランス流体として機能することになる。
【0021】
したがって、反応容器の薄肉化によるコストの低減を図ることができる。
しかも、圧力容器と反応容器との間に供給された水は、反応容器内に供給されることになり、外部にそのまま排出されることがないので、エネルギー消費量の低減を図ることができる。
また、水の温度を熱交換手段を通る生成物の熱を利用して上昇させることができるとともに、当該生成物の温度を水を利用して降下させることができるので、水の昇温および生成物の降温に要するエネルギーの低減を図ることができる。
【0022】
さらに、反応容器の壁面を熱伝達面として機能させる必要がないので、例えばアルミナ等酸化物、窒化ケイ素等窒化物、炭化ケイ素等炭化物等の耐熱性等を有する断熱材を反応容器の内壁面に設けることができる。この場合、反応容器の内外の圧力をほぼ均等にバランスさせることができ、反応容器内の圧力が変動した場合でも当該反応容器の壁面はほとんど弾性変形することがないので、反応容器に比べて脆い材料で構成される上記断熱材を利用しても、当該断熱材に亀裂が入るのを防止することができる。したがって、断熱材の耐久性の向上を図ることができる。
【0023】
請求項2に記載の発明においては、第2の水の供給ラインから熱交換容器に供給された水が当該熱交換容器内の伝熱管によって加熱された後に水供給手段から反応容器内に噴出されることになる。
したがって、反応容器に供給する水を効率よく昇温させることができる。
また、圧力容器と反応容器との間に供給された水は、熱交換容器に覆われていない伝熱管によって、亜臨界水または超臨界水の状態まで加熱され、圧縮性を有するバランス流体として機能することになる。
その他は、請求項1記載の発明と同様の作用効果を奏する。
【0024】
請求項3に記載の発明においては、水供給手段内への水の流れのみを許容する逆流防止手段を設けているので、例えば緊急停止時に、反応容器内で発生した腐食性流体が水供給手段の流路を逆流することがなくなる。したがって、例えば圧力容器と反応容器との間に腐食性流体が流出し、当該圧力容器の内面が浸食されるのを防止することができる。
【0025】
請求項4に記載の発明においては、外筒部と内筒部との間における熱交換手段の外側に、外筒部および内筒部と多重筒を構成するように筒状の仕切板を設けているので、水導入口から流入した水を、まず外筒部と仕切板との間を通して軸方向の一端側に流した後に、熱交換手段で昇温することができる。したがって、圧力容器の内周面に沿う部分が一種の断熱層で構成された状態になるので、外筒部に設置する断熱材を薄くすることができるか、もしくは当該断熱材が必要なくなる。
【0026】
また、熱交換手段から発する放射熱を仕切板で遮ることができることからも、上記外筒部の温度上昇を抑えることができる。そして、仕切板が放射熱で暖められた場合には、その熱が水に伝達されやすくなるので、水の昇温効率がより増加することになる。
【0027】
請求項5に記載の発明においては、軸方向の一端部に開口部を有する仕切板と、軸方向の他端部に開口部を有する仕切板とを径方向に交互に配置しているので、例えば水導入口から流入した水を外筒部の内面に沿って軸方向の一端側に移動させた後に、次の仕切板と仕切板との間で軸方向の他端側に移動させることができる。すなわち、水の移動層を外筒部に沿って何層にも構成することができるので、この部分の断熱能力をより向上させることができる。
【0028】
請求項6に記載の発明においては、圧力容器と反応容器との間の水の圧力を調整する圧力調整手段を設けているので、この圧力調整手段の設定圧力の通りに水の圧力を制御することができる。また、反応容器内の圧力と、圧力容器と反応容器との間の水の圧力とを測定して、当該圧力容器と反応容器との間の水の圧力が反応容器内の圧力に近似するように圧力調整手段をフィードバック制御することにより、反応容器内外の圧力を常時ほぼ均等となるようにバランスさせることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0030】
(第1の実施の形態)
まず、この発明の第1の実施の形態を図1を参照して説明する。
この実施の形態で示す高温高圧水雰囲気下反応処理装置は、図1に示すように、圧力容器1と、この圧力容器1の内側に配置された反応容器2とによって二重容器構造のもので構成されている。
圧力容器1は、円筒状の外筒部11と、その軸方向の一端部を閉塞するように配置された底板部12と、その軸方向の他端部を閉塞するように配置された頂板部13とによって構成され、少なくとも片方の頂板部13は外筒部11に対して取り外し可能になっている。この圧力容器1は、肉厚の厚い構造用鋼等で構成されており、内部に発生する高圧力を十分安全な許容応力下で保持するようになっている。
【0031】
反応容器2は、円筒状の内筒部21と、その軸方向の一端部を閉塞するように配置された底部22と、その軸方向の他端部を閉塞するように配置された頂板部23とによって構成され、少なくとも片方の頂板部23は内筒部21に対して取り外しが可能になっている。この反応容器2は、内部の雰囲気温度が300〜1200℃程度の高温になるとともに、ハロゲン化合物等の腐食性の反応ガスが生成することから、耐熱性、耐腐食性等を併せ持つ金属材料で構成されている。また、この反応容器2は、内部が反応によって高圧になるが、後述するバランス流体として兼用された水によって、内外の圧力がほぼ等しく保たれることから、圧力容器1に比べて十分肉厚の薄いもので構成されている。
【0032】
そして、圧力容器1と反応容器2とは、その外筒部11と内筒部21とが同軸状の二重筒を構成するように配置されており、軸方向の一端および他端を下および上に向けた状態で設置されている。
【0033】
また、反応容器2には、その内部にノズル3の先端部が突出するように設けられている。このノズル3は、圧力容器1および反応容器2のそれぞれの頂板部13、23の中央部を垂直に貫通するように設けられている。このノズル3は、水を反応容器2内に噴出(供給)する水供給ノズル(水供給手段)を兼ねたものになっている。すなわち、水は逆流防止弁(逆流防止手段)34を介してノズル3の流路に流入し、反応容器2内に噴出するようになっている。なお、逆流防止弁34は、圧力容器1と反応容器2との間の水をノズル3に導入する導入管35に設けられている。
そして、ノズル3は、原料が液体状のものであれば、原料および水を噴霧状にして酸化剤とともに、反応容器2内に噴出するようになっている。すなわち、ノズル3は、原料を反応容器2内に供給する原料供給ノズル(原料供給手段)および酸化剤を反応容器2内に供給する酸化剤供給ノズル(酸化剤供給手段)を兼ねたものにもなっている。
【0034】
上記原料としては、化石燃料としての石炭、石油、天然タールや、有機廃棄物としての廃プラスチック、下水汚泥、バイオマス等である。また、酸化剤としての流体、例えば酸素や酸素富化空気、またはH2 O2 等をノズル3を介して反応容器2内に供給するようにしてもよい。
【0035】
そして、原料と酸化剤は、水雰囲気下において発熱を伴う化学反応を起こすことによって、反応容器2中の水が高温高圧の状態になる。
【0036】
すなわち、水は、反応容器2内が上記化学反応によって300〜1200℃、7〜35MPaの亜臨界または超臨界水の状態になる。そして、この亜臨界または超臨界水下に上記原料および酸化剤を連続的に供給し、反応を継続させることによって、その高温高圧の状態を維持するとともに、原料、酸化剤、水等の反応によって、原料が分解して、CO2 等の無害ガスに転換するか、水素、メタン、二酸化炭素等を主成分とする高温高圧の生成ガス(生成物)を得ること等ができる。
【0037】
この生成ガスは、反応容器2における内筒部21の下部に設けられた生成ガス流出口24を介して熱交換器(熱交換手段)4に流入することになる。
【0038】
また、底部22には、残渣抜き出し用水が供給管22aを介して供給されるようになっているとともに、残渣抜き出し用水が排出管22bを介して底部22から抜き出されるようになっている。そして、反応容器2内における残渣抜き出し用水の水面位置は、この水面位置をレベルセンサ22cによって検出し、この検出データに基づいて、排出管22bに設けられた流量制御弁(流量制御手段)22dを制御して、流量制御弁22dから排出する残渣抜き出し用水の量を制御することにより、一定の位置に保持されるようになっている。
【0039】
上記生成ガス流出口24は、上記残渣抜き出し用水の水面の上方位置に設けられている。また、内筒部21には、生成ガス以外の固形物等が生成ガス流出口24に入るのを防止するためのカバー25が設けられている。カバー25は、生成ガス流出口24の上方および側方を覆うことにより、下方から生成ガスのみを生成ガス流出口24に導くようになっている。
【0040】
熱交換器4は、伝熱管41を螺旋状に巻いて円筒状に形成したものであり、外筒部11と内筒部21との間にあって、これらの外筒部11および内筒部21と同軸状に設置されている。そして、熱交換器4は、内筒部21に近い位置に配置されており、伝熱管41の一端部が上記生成ガス流出口24に接続され、当該伝熱管41の他端部が生成ガス排出ライン5に接続されている。
なお、熱交換器4としては、上記螺旋状のもののほかに、多管式のものや多重円筒式のもの等で構成してもよい。すなわち、外筒部11と内筒部21との間のスペースに納まれば、熱交換器4の形状はいかなるものであってもよい。
また、熱交換器4を配置する位置は、外筒部11と内筒部21との間であればどこでもよい。すなわち、熱交換器4は、上述のように外筒部11および内筒部21と同軸状に配置されていなくてもよい。ただし、同軸状に配置することが好ましい。
【0041】
また、圧力容器1には、その外筒部11の下端部に水導入口14が設けられているとともに、生成ガス排出ライン5を挿通する挿通口17が設けられている。水導入口14は、圧力バランス用の水であって、かつ反応容器2に供給するための水の供給ライン6に接続されている。この水の供給ライン6には、圧力容器1と反応容器2との間に供給する水の流量を制御する流量制御弁(流量制御手段)61が設けられている。
【0042】
さらに、外筒部11と内筒部21との間には、熱交換器4の外側に、これらの熱交換器4、外筒部11、内筒部21と多重筒を構成するように配置された円筒状の仕切板15、16が半径方向に所定の間隔をおいて2つ設けられている。外側に位置する仕切板15は、下端部(一端部)が圧力容器1の底板部12に溶接等で密接に固定され、上端部(他端部)に開口部15aが設けられた構成になっている。この開口部15aは、仕切板15の上端と頂板部13との間の隙間によって形成されたものである。
【0043】
また、内側の仕切板16は、上端部(他端部)が圧力容器1の頂板部13に溶接等で密接に固定され、下端部(一端部)に開口部16aが設けられた構成になっている。この開口部16aは、仕切板16の下端と底板部12との隙間によって形成されたものである。すなわち、仕切板15、16は、上端部に開口部15aを有するものと、下端部に開口部16aを有するものとが交互に配置されている。
【0044】
なお、仕切板としては、上記仕切板15、16のように2つを設けるように構成したが、全く設けなくてもよい。ただし、1以上の仕切板を設けることが好ましい。そして、1以上の仕切板を設ける場合には、最も内側(熱交換器4寄り)に位置する仕切板の開口部は、下端部に位置するようにすることが好ましい。すなわち、仕切板を1以上の奇数枚設ける場合には、水導入口14の位置を外筒部11の上端部に配置し、最も内側の仕切板の開口部を下端部に配置するようにすべきであり、2以上の偶数枚設ける場合には、図1に示すように、水導入口14を外筒部11の下端部に配置して、最も内側の仕切板の開口部が下端部に位置するようにすべきである。
【0045】
このように、最も内側の仕切板16の開口部16aが下端部に配置されることにより、水が熱交換器4の下側に供給され、当該熱交換器4の加熱による上昇流を利用して、水を効率よく、上部の逆流防止弁34に供給することが可能になる。
【0046】
上記逆流防止弁34は、圧力容器1と反応容器2との間からノズル3内に流入する方向のみの水の移動を許容し、当該方向とは逆の方向に水が流れるのを防止するようになっている。また、圧力容器1と反応容器2とは、逆流防止弁34およびノズル3のラインにおける上述した一方の方向のみで連通しており、他の部分では完全に遮断された状態になっている。
【0047】
上記のように構成された高温高圧水雰囲気下反応処理装置においては、原料、酸化剤および水がそれぞれノズル3から反応容器2内に供給されることによって、水雰囲気下において原料と酸化剤とが発熱を伴う化学反応を起こすことになる。この場合、反応容器2内は、化学反応によって高温高圧になる。
【0048】
すなわち、水は、300〜1200℃で、7〜35MPaの高温高圧の状態において、亜臨界または超臨界水の状態になる。この亜臨界または超臨界水下で有機物を含む原料を酸化剤中の酸素によって酸化されて発熱することにより、上記原料、水、酸化剤等から水素、メタン、二酸化炭素等を主成分とする高温高圧の生成ガスが生成されること等になる。
この生成ガスは、下方に移動した後に、生成ガス流出口24を介して熱交換器4に供給され、さらに、生成ガス排出ライン5を介して圧力容器1外に排出され、所定の温度に冷却された後に、水素、メタン、二酸化炭素等として分離回収されることになる。
【0049】
一方、水は、水の供給ライン6から流量制御弁61を介して所定の圧力に設定されたものが水導入口14を介して圧力容器1と反応容器2との間に供給されることになる。圧力容器1内に流入した水は、仕切板15、16等の間を通った後、熱交換器4に沿って上昇することになる。そして、水は、熱交換器4内を通る高温の生成ガスから熱を受けて昇温してから、逆流防止弁34、ノズル3を介して反応容器2内に供給されることになる。
一方、生成ガスは、圧力容器1と反応容器2との間の水によって熱を奪われて温度の低下したものが生成ガス排出ライン5を介して圧力容器1の外側に排出されることになる。
【0050】
また、圧力容器1と反応容器2との間の水の圧力は、逆流防止弁34、導入管35およびノズル3等の圧力損失と反応容器2内の圧力との和となる。ただし、逆流防止弁34、導入管35およびノズル3等の圧力損失は、反応容器2内の圧力に比べ、わずかのものであることから、圧力容器1と反応容器2との間の水の圧力は反応容器2内の圧力よりやや高いが、ほぼ等しくなる。このため、反応容器2内の圧力が上述のように7〜35MPaの高圧になっても、この圧力によって発生する反応容器2の応力をほぼ零にすることができる。すなわち、圧力容器1と反応容器2との間に供給された水は、熱交換器4によって、亜臨界水または超臨界水の状態まで加熱され、圧縮性を有するバランス流体として機能することになる。
【0051】
したがって、反応容器2の薄肉化によるコストの低減を図ることができる。
しかも、圧力容器1と反応容器2との間に供給された水は、反応容器2内に供給されることになり、外部にそのまま排出されることがないので、エネルギー消費量の低減を図ることができる。
【0052】
また、反応容器2内の圧力変動に応じて、その変動後の圧力と同等な圧力に、反応容器2の外側の圧力を変化させることができるので、反応容器2に過大な応力が作用するのを確実に防止することができる。すなわち、反応容器2の耐久性の向上を図ることができる。
さらに、反応容器2内に噴出する水は、生成ガスの熱を利用して昇温することができるとともに、生成ガスは水によって冷却することができるので、水を昇温するためのエネルギーや、生成ガスを冷却するために要するエネルギーの低減を図ることができる。
【0053】
そして、熱交換器4を設けることによって、反応容器2における内筒部21や頂板部23等の壁面を熱伝達面として機能させる必要がなくなるので、例えばアルミナ等酸化物、窒化ケイ素等窒化物、炭化ケイ素等炭化物などの耐熱性を有する断熱材を反応容器の内壁面に沿って設置することができる。したがって、反応容器2の耐久性の向上を図ることができるとともに、保温性の向上による熱効率の向上を図ることができる。また、反応容器2内の温度が燃焼を伴う最上位置から下方に向かうにしたがって降下することになるが、この降下する割合を上記断熱材の保温効果によって緩和することができる。したがって、ガス化反応の促進を図ることができるので、生成ガスの収率の向上を図ることができる。
【0054】
また、反応容器2の内外の圧力がほぼ均等、むしろ反応容器2の外部の圧力がやや高い状態となるように制御することができるので、反応容器2のひずみの変動をほぼ零に抑え込むことができる。したがって、反応容器2に比べて脆い材料である上記断熱材に、引張応力によって亀裂が入るのを防止することができる。したがって、断熱材の耐久性の向上も図ることができる。
さらに、反応容器2の壁面を熱伝達面として機能させる必要がないことから、その熱伝達面を要していた従来のものに比較して、反応容器2の軸方向の長さを短くすることができる。したがって、製造コストの低減を図ることができるとともに、装置全体の小型化を図ることができる。
【0055】
また、反応容器2の内壁面に断熱材を設けない場合であっても、当該反応容器2の周囲が高温の生成ガスが通る熱交換器4によって囲まれた状態になっているので、反応容器2内の温度が下方に向かうにしたがって降下する割合を緩和することができる。すなわち、反応容器2内の温度を下方の位置まで高温に保持することができるので、ガス化反応の促進を図ることができ、よって生成ガスの収率の向上を図ることができる。
【0056】
そしてさらに、断熱材は、反応容器2の内壁面に設けずに、仕切板15、16の壁面に設けるように構成してもよい。この場合の断熱材は、上述した反応容器2の内壁面に設けるものより耐熱性の低いものでよい。そして、この断熱材は、最も内側の仕切板16の内壁面に設けることが好ましい。この場合は、熱交換器4の周囲を断熱材で囲むことができるので、反応容器2の保温効果をさらに向上させることができる。したがって、生成ガスの収率の向上を図ることができる。
【0057】
また、ノズル3内への水の流れのみを許容する逆流防止弁34を設けているので、例えば緊急停止した場合でも、反応容器2内の腐食性流体がノズル3を介して圧力容器1内に逆流するのを防止できる。したがって、反応容器2内の腐食性流体によって圧力容器1の内面が腐食されるのを確実に防止することができる。
【0058】
一方、外筒部11と内筒部21との間における熱交換器4の外側に、仕切板15、16を設けているので、水導入口14から流入した水がまず外筒部11と仕切板15との間を通って下から上に移動し、さらに仕切板15、16の間を上から下に移動することになる。したがって、圧力容器1の内周面に沿う部分が一種の断熱層で構成された状態になるので、外筒部11の外周囲に設置する断熱材を薄くすることができるか、もしくは当該断熱材が必要なくなる。特に、仕切板15、16の数を増すことにより、断熱効果の向上を図ることができる。
【0059】
また、熱交換器4から発する放射熱を仕切板15、16で遮ることができるので、この点からも、外筒部11の温度上昇を抑えることができる。そして、仕切板が放射熱で暖められた場合には、その熱が当該仕切板を介して水に伝達されることになるので、水の温度をより効率的に上昇させることができる。
【0060】
さらに、上記超臨界水下において反応した原料のうち、固形分等の残渣として残ったものは、底部22に蓄えられた残渣抜き出し用水の水中に落下し、この残渣抜き出し用水とともに、排出管22bおよび流量制御弁22dを介して反応容器2および圧力容器1の外に排出されることによって回収される。なお、ここで回収された残渣を再び原料として反応容器2内に投入してもよく、また残渣を分離した後の水を残渣抜き出し用水として、上記底部22に供給するように構成してもよい。
【0061】
なお、ノズル3として、原料供給ノズルと、水供給ノズルと、酸化剤供給ノズルと兼ね備えた構成のものを示したが、これらの原料供給ノズル、水供給ノズルおよび酸化剤供給ノズルは、それぞれ別体のもので構成してもよい。
【0062】
次に、この発明の第2の実施の形態を図2を参照して説明する。ただし、図1に示す第1の実施の形態の構成要素と共通する要素には同一の符号を付し、その説明を簡略化する。
この第2の実施の形態示す熱交換器4は、第1の熱交換器410と第2の熱交換器420とを備えたもので構成されている。
【0063】
第1の熱交換器410は、生成ガス流出口24に接続され、内筒部21の周囲に配置された伝熱管41と、この伝熱管41を内筒部21と共同して閉塞した状態に保持する熱交換容器411とを備えたもので構成されている。熱交換容器411は、ステンレス鋼等の薄肉の耐食性を有する金属で構成したものであり、伝熱管41の周囲を内筒部21の外周壁と共同して囲むことにより、その内部を圧力容器1と反応容器2との間の空間に対して全く隔絶した状態にするようになっている。
【0064】
ただし、熱交換容器411は、伝熱管41の周囲の空間を圧力容器1と反応容器2との間の空間と全く隔絶した状態にするものであればどのような態様のものであってもよい。したがって、例えば伝熱管41の周囲を二重管状に配置したものであってもよい。すなわち、伝熱管41の周囲を所定の間隔をおいて囲む外管によって熱交換容器411を構成してもよい。
【0065】
第2の熱交換器420は、第2の熱交換器420の上方に位置し、内筒部21の周囲に配置された伝熱管42を備えたもので構成されている。この伝熱管42は、上記伝熱管41と同様のもので構成されている。この伝熱管42の流入口は、連結配管43によって伝熱管41の流出口に連結されている。また、伝熱管42の流出口は、生成ガス排出ライン5に接続されている。なお、伝熱管41と伝熱管42とは、一本のもので構成してもよい。
【0066】
また、熱交換容器411の下部(伝熱管41の流入口側の端部)には、第2の水の供給ライン7が接続されており、熱交換容器411の上部(伝熱管41の流出口側の端部)には、導入管(導入流路)35が接続されている。第2の水の供給ライン7には、圧力容器1の外側の位置に流量制御弁(流量制御手段)71が設けられている。また、頂板部13における仕切板16の内側には、水の排出ライン8が接続され、当該水の排出ライン8には、圧力制御弁(圧力制御手段)81が設けられている。
【0067】
上記のように構成された高温高圧水雰囲気下反応処理装置においては、第2の水の供給ライン7から供給された水が生成ガス流出口2に近い高温の伝熱管41から熱を受けて昇温しながら上方に移動し、導入管35、逆流防止弁34、ノズル3を介して反応容器2内に供給されることになる。したがって、反応容器2に供給する水を効率よく昇温させることができる。
【0068】
一方、伝熱管41で熱を奪われた生成ガスは、連結配管43を介して伝熱管42に流入し、ここで圧力容器1と反応容器2との間の水と熱交換されて、所定の温度まで降下した後、生成ガス排出ライン5を介して圧力容器1の外に排出される。
【0069】
また、圧力容器1と反応容器2との間の水は、伝熱管42で昇温されて、亜臨界水または超臨界水の状態になり、反応容器2内の圧力をバックアップする圧力バランス流体として機能する。そして、この水の配水管である水の排出ライン8に圧力制御弁81が設けられているので、反応容器2内の圧力と、圧力容器1と反応容器2との間の水の圧力とを測定して、当該水の圧力が反応容器2内の圧力に近づくように、圧力制御弁81をフィードバック制御することにより、反応容器2の内外の圧力を、常時ほぼ均等となるようにバランスさせることができる。
【0070】
さらに、圧力容器1と反応容器2との間に供給する水の流量は、圧力容器1内の温度と、伝熱管42の流出口の部分における生成ガスの温度とを測定して、それぞれの温度が所定の温度に近づくように流量制御弁(流量制御手段)61をフィードバック制御することにより、圧力制御弁81で圧力を制御するのに最適な量にコントロールすることができる。
【0071】
また、熱交換容器411内の水の圧力は、反応容器2内の圧力と、導入管35、逆流防止弁34およびノズル3等の圧力損失との和になる。ただし、導入管35、逆流防止弁34、ノズル3等の圧力損失が反応容器2内の圧力に比べて、わずかなものであることから、熱交換容器411内の圧力は反応容器2内の圧力とほぼ等しくなる。したがって、熱交換容器411内の圧力は、圧力容器1と反応容器2との間の圧力ともほぼ等しくなる。
【0072】
以上、第1の実施の形態に比べて、圧力容器1内の温度、および圧力容器1と反応容器2との間の圧力を厳密に管理することができるとともに、生成ガスの排出温度もその目標とする温度により正確に制御することができる。
その他、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0073】
なお、上記第2の実施の形態の場合には、逆流防止弁34を設けなくても、反応容器2内で発生した腐食性流体(塩酸など)が熱交換容器411内にしか入ることができないので、圧力容器1が腐食することがない。したがって、逆流防止弁34は、削除することが可能である。
【0074】
また、万一腐食性流体が圧力容器1と反応容器2との間に漏れた場合には、仕切板15、16が設けられているので、水の供給ライン6から水を供給し続けることにより、圧力容器1の腐食を防ぐごとができる。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、圧力容器と反応容器との間の水の圧力を反応容器内の圧力と同程度に保持することにより、反応容器の内外の圧力をほぼ同一の圧力にバランスさせることができる。しかも、圧力容器と反応容器との間に供給された水は、熱交換手段によって、亜臨界水または超臨界水の状態まで加熱され、圧縮性を有するバランス流体として機能することになる。
【0076】
したがって、反応容器の薄肉化によるコストの低減を図ることができる。
しかも、圧力容器と反応容器との間に供給された水は、反応容器内に供給されることになり、外部にそのまま排出されることがないので、エネルギー消費量の低減を図ることができる。
また、水の温度を熱交換手段を通る生成物の熱を利用して上昇させることができるとともに、当該生成物の温度を水を利用して降下させることができるので、水の昇温および生成物の降温に要するエネルギーの低減を図ることができる。
【0077】
さらに、反応容器の壁面を熱伝達面として機能させる必要がないので、例えばアルミナ等酸化物、窒化ケイ素等窒化物、炭化ケイ素等炭化物等の耐熱性等を有する断熱材を反応容器の内壁面に設けることができる。この場合、反応容器の内外の圧力をほぼ均等にバランスさせることができ、反応容器内の圧力が変動した場合でも当該反応容器の壁面はほとんど弾性変形することがないので、反応容器に比べて脆い材料で構成される上記断熱材を利用しても、当該断熱材に亀裂が入るのを防止することができる。したがって、断熱材の耐久性の向上を図ることができる。
【0078】
請求項2に記載の発明によれば、第2の水の供給ラインから熱交換容器に供給された水が当該熱交換容器内の伝熱管によって加熱された後に水供給手段から反応容器内に噴出されることになるので、反応容器に供給する水を効率よく昇温させることができる。
また、圧力容器と反応容器との間に供給された水は、熱交換容器に覆われていない伝熱管によって、亜臨界水または超臨界水の状態まで加熱することができ、圧縮性を有するバランス流体として機能させることができる。
その他は、請求項1記載の発明と同様の作用効果を奏する。
【0079】
請求項3に記載の発明によれば、水供給手段内への水の流れのみを許容する逆流防止手段を設けているので、例えば緊急停止時に、反応容器内で発生した腐食性流体が水供給手段の流路を逆流することがなくなる。したがって、例えば圧力容器と反応容器との間に腐食性流体が流出し、当該圧力容器の内面が浸食されるのを防止することができる。
【0080】
請求項4に記載の発明によれば、外筒部と内筒部との間における熱交換手段の外側に、外筒部および内筒部と多重筒を構成するように筒状の仕切板を設けているので、水導入口から流入した水を、まず外筒部と仕切板との間を通して軸方向の一端側に流した後に、熱交換手段で昇温することができる。したがって、圧力容器の内周面に沿う部分が一種の断熱層で構成された状態になるので、外筒部に設置する断熱材を薄くすることができるか、もしくは当該断熱材が必要なくなる。
【0081】
また、熱交換手段から発する放射熱を仕切板で遮ることができることからも、上記外筒部の温度上昇を抑えることができる。そして、仕切板が放射熱で暖められた場合には、その熱が水に伝達されやすくなるので、水の昇温効率がより増加することになる。
【0082】
請求項5に記載の発明によれば、軸方向の一端部に開口部を有する仕切板と、軸方向の他端部に開口部を有する仕切板とを径方向に交互に配置しているので、例えば水導入口から流入した水を外筒部の内面に沿って軸方向の一端側に移動させた後に、次の仕切板と仕切板との間で軸方向の他端側に移動させることができる。すなわち、水の移動層を外筒部に沿って何層にも構成することができるので、この部分の断熱能力をより向上させることができる。
【0083】
請求項6に記載の発明によれば、圧力容器と反応容器との間の水の圧力を調整する圧力調整手段を設けているので、この圧力調整手段の設定圧力の通りに水の圧力を制御することができる。また、反応容器内の圧力と、圧力容器と反応容器との間の水の圧力とを測定して、当該圧力容器と反応容器との間の水の圧力が反応容器内の圧力に近似するように圧力調整手段をフィードバック制御することにより、反応容器内外の圧力を常時ほぼ均等となるようにバランスさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態として示した高温高圧水雰囲気下反応処理装置の説明図である。
【図2】この発明の第2の実施の形態として示した高温高圧水雰囲気下反応処理装置の説明図である。
【符号の説明】
1 圧力容器
11 外筒部
14 水導入口
15 16 仕切板
15a、16a 開口部
17 挿通口
2 反応容器
21 内筒部
3 ノズル(原料供給手段、酸化剤供給手段、水供給手段)
34 逆流防止弁(逆流防止手段)
35 導入管(導入流路)
4 熱交換器(熱交換手段)
41、42 伝熱管
5 生成ガス排出ライン(排出ライン)
6 水の供給ライン
7 第2の水の供給ライン
81 圧力制御弁(圧力制御手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、石炭、石油、天然タール等の化石燃料、廃プラスチック、下水汚泥等の有機廃棄物、バイオマスなどの再生可能リサイクル資源等を、高温高圧水の雰囲気下で反応させることにより、同資源からのエネルギー回収または軽質な燃料への改質を行うための高温高圧水雰囲気下反応処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の高温高圧水雰囲気下反応処理装置としては、例えば特開平7−313987号公報、特開2000−239672号公報、特開2001−232381号公報に示すものが知られている。これらの高温高圧水雰囲気下反応処理装置は、相互に連通する外殻体と内殻体との2重殻体構造のもので構成されており、内殻体にはノズルによって、原料および酸化剤が供給されるようになっている。そして、内殻体内の高温高圧水の雰囲気下で上記原料と酸化剤を反応させることにより原料を分解して、CO2 などの無害ガスに転換するか、或いは軽質な炭化水素等を生成するようになっている。また、外殻体と内殻体との間に、反応に寄与する流体、例えば水、酸化剤、被処理液などを内殻体内と実質的に同じ圧力で加圧して送入することによって、内殻体を外側からバックアップするようになっている。この加圧流体は、外殻体と内殻体との連通口を通して内殻体内部の反応域に入り、内殻体は圧力を受けないようにして反応域を区画する隔壁として機能している。
【0003】
すなわち、内殻体内は原料と酸化剤との反応等によって高温高圧になることから、内殻体自体でその高圧に耐えるようにするためには、当該内殻体を相当に肉厚の厚いもので構成する必要がある。
【0004】
しかし、内殻体は、その内部が374℃以上、好ましくは550℃以上の高温になる上に腐食作用のあるハロゲン化合物(例えば、塩酸(HCl))等が発生するため、耐熱性、耐食性等を有する金属材料で形成する必要がある。ただし、このような金属材料は一般的に極めて高価であることから、単に肉厚を厚くして高圧に耐えうるようにしたのでは製造コストの問題を生じることになる。
【0005】
そこで、外殻体と内殻体を連通して、内殻体の外側を上記のように加圧流体でバックアップすることによって、当該内殻体の内外を同一の圧力にバランスさせ、これにより肉厚の薄いもので構成しても、内殻体を十分耐え得るものにして、コストの低減を図っている。なお、外殻体は、内殻体のように高温の反応ガス等が直接接触することがないことから、通常の鉄鋼材料を用いることができ、よって肉厚の厚いもので構成しても、コストの上昇を低く抑えることができる。
【0006】
また、上記従来例においては、内殻体の構造を工夫することによって、外殻体と内殻体の間を流れる加圧流体を反応の放熱で予熱することができ、装置の熱効率を高める。
【0007】
しかし、上記のような反応装置では、外殻体と内殻体とが相互に連通することによって、例えば緊急停止時に、内殻体で発生したハロゲン化合物等が内殻体と外殻体との間に流出して、当該外殻体が腐食されることが特開2001−232382号公報によって明らかになっている。この公報のものでは、外殻体と内殻体とが相互に連通しないように遮断することによって、外殻体の腐食を防げるようになっている。また、外殻体と内殻体との間に送入する加圧流体は内殻体に入ることがなく、装置外に排出される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、例えば上記特開2001−232382号公報の高温高圧水雰囲気下反応処理装置においては、バックアップ用の加圧流体をそのまま装置から排出すると、加圧するために消費する動力、およびその流体が内殻体から吸収した熱量が無駄になり、工業化の立場からみると、大きなマイナス要因となる。
また、上記特開平7−313987号公報、特開2000−239672号公報、特開2001−232381号公報のような反応処理装置においては、装置緊急停止による外殻体の腐食を防げないほか、装置が大型になってきた場合は、反応器内発熱量が大きくなり、材料の安全面およびエネルギーの有効利用の面から、これを強制的に除去する方法を導入すること、およびそれを有効エネルギーとして回収することが重要となる。しかし、こういった機能を全部内殻体に持たすのは、内殻体の設計が困難になり、構造が複雑化するにしたがって製造コストも高くなる。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、エネルギー消費量の低減を図ることのできる高温高圧水雰囲気下反応処理装置を提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の高温高圧水雰囲気下反応処理装置は、圧力容器の内側に反応容器を配置した二重容器構造のもので構成し、上記反応容器には、有機物を含有する原料を当該反応容器内に供給する原料供給手段と、酸化剤を当該反応容器内に供給する酸化剤供給手段と、水を当該反応容器内に供給する水供給手段とを設け、上記圧力容器と上記反応容器との間には、当該反応容器内において上記原料と上記酸化剤とが水雰囲気下で反応することによって生成された高温高圧の生成物が導入される熱交換手段を設け、上記圧力容器には、当該圧力容器と上記反応容器との間に水を供給する水の供給ラインに連通する水導入口を設けるとももに、上記熱交換手段に連通する上記生成物の排出ラインを挿通するための挿通口を設け、上記水供給手段には、上記水導入口を介して上記圧力容器と上記反応容器との間に導入され上記熱交換手段によって昇温された上記水を上記反応容器内に供給する流路を設けてなることを特徴としている。
【0011】
なお、原料供給手段、酸化剤供給手段および水供給手段は、一つにまとめたもので構成してもよく、またそれぞれ別々の位置に配置した別体のもので構成してもよく、さらに何れかのもの同士が共用の流路を有するもので構成してもよい。
【0012】
請求項2に記載の高温高圧水雰囲気下反応処理装置は、圧力容器の内側に反応容器を配置した二重容器構造のもので構成し、上記反応容器には、有機物を含有する原料を当該反応容器内に供給する原料供給手段と、酸化剤を当該反応容器内に供給する酸化剤供給手段と、水を当該反応容器内に供給する水供給手段とを設け、上記圧力容器と上記反応容器との間には、当該反応容器内において上記原料と上記酸化剤とが水雰囲気下で反応することによって生成された高温高圧の生成物が導入される伝熱管を有する熱交換手段を設け、上記圧力容器には、当該圧力容器と上記反応容器との間に水を供給する水の供給ラインに連通する水導入口を設けるとももに、上記伝熱管に連通する上記生成物の排出ラインを挿通するための挿通口を設け、上記熱交換手段には、上記伝熱管における上記生成物が導入される側の部分の周囲を囲む熱交換容器を設け、この熱交換容器には、当該熱交換容器内に水を供給する第2の水の供給ラインが連結されているとともに、当該熱交換容器内で上記伝熱管によって昇温した水を上記水供給手段に導入する導入流路が連結されていることを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載の高温高圧水雰囲気下反応処理装置は、請求項1または2に記載の発明において、上記水供給手段内への上記水の流れのみを許容する逆流防止手段を設けたことを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載の高温高圧水雰囲気下反応処理装置は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、上記二重容器構造は、上記圧力容器の外周部を構成する外筒部と、上記反応容器の外周部を構成する内筒部とを二重筒状に配置したもので構成し、上記外筒部と内筒部との間には、上記熱交換手段の外側に、上記外筒部および内筒部と多重筒を構成するように配置された筒状の仕切板を設け、上記仕切板には、軸方向の一端部に開口部を設けてなることを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載の高温高圧水雰囲気下反応処理装置は、請求項4に記載の発明において、上記仕切板を複数設け、上記各仕切板は、軸方向の一端部に開口部を有するものと、軸方向の他端部に開口部を有するものとが径方向に交互に配置されていることを特徴としている。
【0016】
請求項6に記載の高温高圧水雰囲気下反応処理装置は、請求項1〜5の何れかに記載の発明において、上記圧力容器と上記反応容器との間における上記水の圧力を調整する圧力調整手段を設けたことを特徴としている。
【0017】
請求項1に記載の発明においては、原料、酸化剤および水がそれぞれ原料供給手段、酸化剤供給手段および水供給手段から反応容器内に供給されることによって、原料と酸化剤とが反応容器内の水雰囲気下で発熱を伴うガス化反応等の化学反応を起こすことになる。この場合、反応容器内の水は、上記化学反応によって高温高圧になる。
【0018】
すなわち、水は、反応容器内で、300〜1200℃で、7〜35MPaの亜臨界または超臨界水の状態になる。この亜臨界または超臨界水下では、原料と酸化剤および水との比を適切に変化させることにより、原料が酸化剤と反応したり、水と反応したりすることにより、原料を分解して、CO2 等の無害ガスに転換するか、また、水素、メタン、二酸化炭素等を主成分とする高温高圧の生成物を得ること等ができる。
この生成物は、熱交換手段から排出ラインを通って圧力容器外に排出され、冷却等の処理の後に、回収されることになる。
【0019】
一方、水は、水の供給ラインから水導入口を介して圧力容器と反応容器との間に導入され、熱交換手段で熱を受けて昇温したものが水供給手段の流路を通って反応容器内に噴出されることになる。熱交換手段は、内部を通る高温の生成物から水に熱を移動させることにより、水の温度を上昇させるとともに、生成物の温度を降下させることになる。温度降下後の生成物は排出ラインを通って圧力容器の外に送られることになる。
【0020】
また、圧力容器と反応容器との間の水の圧力を反応容器内の圧力と同程度に保持することにより、反応容器の内外の圧力をほぼ同一の圧力にバランスさせることができる。しかも、圧力容器と反応容器との間に供給された水は、熱交換手段によって、亜臨界水または超臨界水の状態まで加熱され、圧縮性を有するバランス流体として機能することになる。
【0021】
したがって、反応容器の薄肉化によるコストの低減を図ることができる。
しかも、圧力容器と反応容器との間に供給された水は、反応容器内に供給されることになり、外部にそのまま排出されることがないので、エネルギー消費量の低減を図ることができる。
また、水の温度を熱交換手段を通る生成物の熱を利用して上昇させることができるとともに、当該生成物の温度を水を利用して降下させることができるので、水の昇温および生成物の降温に要するエネルギーの低減を図ることができる。
【0022】
さらに、反応容器の壁面を熱伝達面として機能させる必要がないので、例えばアルミナ等酸化物、窒化ケイ素等窒化物、炭化ケイ素等炭化物等の耐熱性等を有する断熱材を反応容器の内壁面に設けることができる。この場合、反応容器の内外の圧力をほぼ均等にバランスさせることができ、反応容器内の圧力が変動した場合でも当該反応容器の壁面はほとんど弾性変形することがないので、反応容器に比べて脆い材料で構成される上記断熱材を利用しても、当該断熱材に亀裂が入るのを防止することができる。したがって、断熱材の耐久性の向上を図ることができる。
【0023】
請求項2に記載の発明においては、第2の水の供給ラインから熱交換容器に供給された水が当該熱交換容器内の伝熱管によって加熱された後に水供給手段から反応容器内に噴出されることになる。
したがって、反応容器に供給する水を効率よく昇温させることができる。
また、圧力容器と反応容器との間に供給された水は、熱交換容器に覆われていない伝熱管によって、亜臨界水または超臨界水の状態まで加熱され、圧縮性を有するバランス流体として機能することになる。
その他は、請求項1記載の発明と同様の作用効果を奏する。
【0024】
請求項3に記載の発明においては、水供給手段内への水の流れのみを許容する逆流防止手段を設けているので、例えば緊急停止時に、反応容器内で発生した腐食性流体が水供給手段の流路を逆流することがなくなる。したがって、例えば圧力容器と反応容器との間に腐食性流体が流出し、当該圧力容器の内面が浸食されるのを防止することができる。
【0025】
請求項4に記載の発明においては、外筒部と内筒部との間における熱交換手段の外側に、外筒部および内筒部と多重筒を構成するように筒状の仕切板を設けているので、水導入口から流入した水を、まず外筒部と仕切板との間を通して軸方向の一端側に流した後に、熱交換手段で昇温することができる。したがって、圧力容器の内周面に沿う部分が一種の断熱層で構成された状態になるので、外筒部に設置する断熱材を薄くすることができるか、もしくは当該断熱材が必要なくなる。
【0026】
また、熱交換手段から発する放射熱を仕切板で遮ることができることからも、上記外筒部の温度上昇を抑えることができる。そして、仕切板が放射熱で暖められた場合には、その熱が水に伝達されやすくなるので、水の昇温効率がより増加することになる。
【0027】
請求項5に記載の発明においては、軸方向の一端部に開口部を有する仕切板と、軸方向の他端部に開口部を有する仕切板とを径方向に交互に配置しているので、例えば水導入口から流入した水を外筒部の内面に沿って軸方向の一端側に移動させた後に、次の仕切板と仕切板との間で軸方向の他端側に移動させることができる。すなわち、水の移動層を外筒部に沿って何層にも構成することができるので、この部分の断熱能力をより向上させることができる。
【0028】
請求項6に記載の発明においては、圧力容器と反応容器との間の水の圧力を調整する圧力調整手段を設けているので、この圧力調整手段の設定圧力の通りに水の圧力を制御することができる。また、反応容器内の圧力と、圧力容器と反応容器との間の水の圧力とを測定して、当該圧力容器と反応容器との間の水の圧力が反応容器内の圧力に近似するように圧力調整手段をフィードバック制御することにより、反応容器内外の圧力を常時ほぼ均等となるようにバランスさせることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0030】
(第1の実施の形態)
まず、この発明の第1の実施の形態を図1を参照して説明する。
この実施の形態で示す高温高圧水雰囲気下反応処理装置は、図1に示すように、圧力容器1と、この圧力容器1の内側に配置された反応容器2とによって二重容器構造のもので構成されている。
圧力容器1は、円筒状の外筒部11と、その軸方向の一端部を閉塞するように配置された底板部12と、その軸方向の他端部を閉塞するように配置された頂板部13とによって構成され、少なくとも片方の頂板部13は外筒部11に対して取り外し可能になっている。この圧力容器1は、肉厚の厚い構造用鋼等で構成されており、内部に発生する高圧力を十分安全な許容応力下で保持するようになっている。
【0031】
反応容器2は、円筒状の内筒部21と、その軸方向の一端部を閉塞するように配置された底部22と、その軸方向の他端部を閉塞するように配置された頂板部23とによって構成され、少なくとも片方の頂板部23は内筒部21に対して取り外しが可能になっている。この反応容器2は、内部の雰囲気温度が300〜1200℃程度の高温になるとともに、ハロゲン化合物等の腐食性の反応ガスが生成することから、耐熱性、耐腐食性等を併せ持つ金属材料で構成されている。また、この反応容器2は、内部が反応によって高圧になるが、後述するバランス流体として兼用された水によって、内外の圧力がほぼ等しく保たれることから、圧力容器1に比べて十分肉厚の薄いもので構成されている。
【0032】
そして、圧力容器1と反応容器2とは、その外筒部11と内筒部21とが同軸状の二重筒を構成するように配置されており、軸方向の一端および他端を下および上に向けた状態で設置されている。
【0033】
また、反応容器2には、その内部にノズル3の先端部が突出するように設けられている。このノズル3は、圧力容器1および反応容器2のそれぞれの頂板部13、23の中央部を垂直に貫通するように設けられている。このノズル3は、水を反応容器2内に噴出(供給)する水供給ノズル(水供給手段)を兼ねたものになっている。すなわち、水は逆流防止弁(逆流防止手段)34を介してノズル3の流路に流入し、反応容器2内に噴出するようになっている。なお、逆流防止弁34は、圧力容器1と反応容器2との間の水をノズル3に導入する導入管35に設けられている。
そして、ノズル3は、原料が液体状のものであれば、原料および水を噴霧状にして酸化剤とともに、反応容器2内に噴出するようになっている。すなわち、ノズル3は、原料を反応容器2内に供給する原料供給ノズル(原料供給手段)および酸化剤を反応容器2内に供給する酸化剤供給ノズル(酸化剤供給手段)を兼ねたものにもなっている。
【0034】
上記原料としては、化石燃料としての石炭、石油、天然タールや、有機廃棄物としての廃プラスチック、下水汚泥、バイオマス等である。また、酸化剤としての流体、例えば酸素や酸素富化空気、またはH2 O2 等をノズル3を介して反応容器2内に供給するようにしてもよい。
【0035】
そして、原料と酸化剤は、水雰囲気下において発熱を伴う化学反応を起こすことによって、反応容器2中の水が高温高圧の状態になる。
【0036】
すなわち、水は、反応容器2内が上記化学反応によって300〜1200℃、7〜35MPaの亜臨界または超臨界水の状態になる。そして、この亜臨界または超臨界水下に上記原料および酸化剤を連続的に供給し、反応を継続させることによって、その高温高圧の状態を維持するとともに、原料、酸化剤、水等の反応によって、原料が分解して、CO2 等の無害ガスに転換するか、水素、メタン、二酸化炭素等を主成分とする高温高圧の生成ガス(生成物)を得ること等ができる。
【0037】
この生成ガスは、反応容器2における内筒部21の下部に設けられた生成ガス流出口24を介して熱交換器(熱交換手段)4に流入することになる。
【0038】
また、底部22には、残渣抜き出し用水が供給管22aを介して供給されるようになっているとともに、残渣抜き出し用水が排出管22bを介して底部22から抜き出されるようになっている。そして、反応容器2内における残渣抜き出し用水の水面位置は、この水面位置をレベルセンサ22cによって検出し、この検出データに基づいて、排出管22bに設けられた流量制御弁(流量制御手段)22dを制御して、流量制御弁22dから排出する残渣抜き出し用水の量を制御することにより、一定の位置に保持されるようになっている。
【0039】
上記生成ガス流出口24は、上記残渣抜き出し用水の水面の上方位置に設けられている。また、内筒部21には、生成ガス以外の固形物等が生成ガス流出口24に入るのを防止するためのカバー25が設けられている。カバー25は、生成ガス流出口24の上方および側方を覆うことにより、下方から生成ガスのみを生成ガス流出口24に導くようになっている。
【0040】
熱交換器4は、伝熱管41を螺旋状に巻いて円筒状に形成したものであり、外筒部11と内筒部21との間にあって、これらの外筒部11および内筒部21と同軸状に設置されている。そして、熱交換器4は、内筒部21に近い位置に配置されており、伝熱管41の一端部が上記生成ガス流出口24に接続され、当該伝熱管41の他端部が生成ガス排出ライン5に接続されている。
なお、熱交換器4としては、上記螺旋状のもののほかに、多管式のものや多重円筒式のもの等で構成してもよい。すなわち、外筒部11と内筒部21との間のスペースに納まれば、熱交換器4の形状はいかなるものであってもよい。
また、熱交換器4を配置する位置は、外筒部11と内筒部21との間であればどこでもよい。すなわち、熱交換器4は、上述のように外筒部11および内筒部21と同軸状に配置されていなくてもよい。ただし、同軸状に配置することが好ましい。
【0041】
また、圧力容器1には、その外筒部11の下端部に水導入口14が設けられているとともに、生成ガス排出ライン5を挿通する挿通口17が設けられている。水導入口14は、圧力バランス用の水であって、かつ反応容器2に供給するための水の供給ライン6に接続されている。この水の供給ライン6には、圧力容器1と反応容器2との間に供給する水の流量を制御する流量制御弁(流量制御手段)61が設けられている。
【0042】
さらに、外筒部11と内筒部21との間には、熱交換器4の外側に、これらの熱交換器4、外筒部11、内筒部21と多重筒を構成するように配置された円筒状の仕切板15、16が半径方向に所定の間隔をおいて2つ設けられている。外側に位置する仕切板15は、下端部(一端部)が圧力容器1の底板部12に溶接等で密接に固定され、上端部(他端部)に開口部15aが設けられた構成になっている。この開口部15aは、仕切板15の上端と頂板部13との間の隙間によって形成されたものである。
【0043】
また、内側の仕切板16は、上端部(他端部)が圧力容器1の頂板部13に溶接等で密接に固定され、下端部(一端部)に開口部16aが設けられた構成になっている。この開口部16aは、仕切板16の下端と底板部12との隙間によって形成されたものである。すなわち、仕切板15、16は、上端部に開口部15aを有するものと、下端部に開口部16aを有するものとが交互に配置されている。
【0044】
なお、仕切板としては、上記仕切板15、16のように2つを設けるように構成したが、全く設けなくてもよい。ただし、1以上の仕切板を設けることが好ましい。そして、1以上の仕切板を設ける場合には、最も内側(熱交換器4寄り)に位置する仕切板の開口部は、下端部に位置するようにすることが好ましい。すなわち、仕切板を1以上の奇数枚設ける場合には、水導入口14の位置を外筒部11の上端部に配置し、最も内側の仕切板の開口部を下端部に配置するようにすべきであり、2以上の偶数枚設ける場合には、図1に示すように、水導入口14を外筒部11の下端部に配置して、最も内側の仕切板の開口部が下端部に位置するようにすべきである。
【0045】
このように、最も内側の仕切板16の開口部16aが下端部に配置されることにより、水が熱交換器4の下側に供給され、当該熱交換器4の加熱による上昇流を利用して、水を効率よく、上部の逆流防止弁34に供給することが可能になる。
【0046】
上記逆流防止弁34は、圧力容器1と反応容器2との間からノズル3内に流入する方向のみの水の移動を許容し、当該方向とは逆の方向に水が流れるのを防止するようになっている。また、圧力容器1と反応容器2とは、逆流防止弁34およびノズル3のラインにおける上述した一方の方向のみで連通しており、他の部分では完全に遮断された状態になっている。
【0047】
上記のように構成された高温高圧水雰囲気下反応処理装置においては、原料、酸化剤および水がそれぞれノズル3から反応容器2内に供給されることによって、水雰囲気下において原料と酸化剤とが発熱を伴う化学反応を起こすことになる。この場合、反応容器2内は、化学反応によって高温高圧になる。
【0048】
すなわち、水は、300〜1200℃で、7〜35MPaの高温高圧の状態において、亜臨界または超臨界水の状態になる。この亜臨界または超臨界水下で有機物を含む原料を酸化剤中の酸素によって酸化されて発熱することにより、上記原料、水、酸化剤等から水素、メタン、二酸化炭素等を主成分とする高温高圧の生成ガスが生成されること等になる。
この生成ガスは、下方に移動した後に、生成ガス流出口24を介して熱交換器4に供給され、さらに、生成ガス排出ライン5を介して圧力容器1外に排出され、所定の温度に冷却された後に、水素、メタン、二酸化炭素等として分離回収されることになる。
【0049】
一方、水は、水の供給ライン6から流量制御弁61を介して所定の圧力に設定されたものが水導入口14を介して圧力容器1と反応容器2との間に供給されることになる。圧力容器1内に流入した水は、仕切板15、16等の間を通った後、熱交換器4に沿って上昇することになる。そして、水は、熱交換器4内を通る高温の生成ガスから熱を受けて昇温してから、逆流防止弁34、ノズル3を介して反応容器2内に供給されることになる。
一方、生成ガスは、圧力容器1と反応容器2との間の水によって熱を奪われて温度の低下したものが生成ガス排出ライン5を介して圧力容器1の外側に排出されることになる。
【0050】
また、圧力容器1と反応容器2との間の水の圧力は、逆流防止弁34、導入管35およびノズル3等の圧力損失と反応容器2内の圧力との和となる。ただし、逆流防止弁34、導入管35およびノズル3等の圧力損失は、反応容器2内の圧力に比べ、わずかのものであることから、圧力容器1と反応容器2との間の水の圧力は反応容器2内の圧力よりやや高いが、ほぼ等しくなる。このため、反応容器2内の圧力が上述のように7〜35MPaの高圧になっても、この圧力によって発生する反応容器2の応力をほぼ零にすることができる。すなわち、圧力容器1と反応容器2との間に供給された水は、熱交換器4によって、亜臨界水または超臨界水の状態まで加熱され、圧縮性を有するバランス流体として機能することになる。
【0051】
したがって、反応容器2の薄肉化によるコストの低減を図ることができる。
しかも、圧力容器1と反応容器2との間に供給された水は、反応容器2内に供給されることになり、外部にそのまま排出されることがないので、エネルギー消費量の低減を図ることができる。
【0052】
また、反応容器2内の圧力変動に応じて、その変動後の圧力と同等な圧力に、反応容器2の外側の圧力を変化させることができるので、反応容器2に過大な応力が作用するのを確実に防止することができる。すなわち、反応容器2の耐久性の向上を図ることができる。
さらに、反応容器2内に噴出する水は、生成ガスの熱を利用して昇温することができるとともに、生成ガスは水によって冷却することができるので、水を昇温するためのエネルギーや、生成ガスを冷却するために要するエネルギーの低減を図ることができる。
【0053】
そして、熱交換器4を設けることによって、反応容器2における内筒部21や頂板部23等の壁面を熱伝達面として機能させる必要がなくなるので、例えばアルミナ等酸化物、窒化ケイ素等窒化物、炭化ケイ素等炭化物などの耐熱性を有する断熱材を反応容器の内壁面に沿って設置することができる。したがって、反応容器2の耐久性の向上を図ることができるとともに、保温性の向上による熱効率の向上を図ることができる。また、反応容器2内の温度が燃焼を伴う最上位置から下方に向かうにしたがって降下することになるが、この降下する割合を上記断熱材の保温効果によって緩和することができる。したがって、ガス化反応の促進を図ることができるので、生成ガスの収率の向上を図ることができる。
【0054】
また、反応容器2の内外の圧力がほぼ均等、むしろ反応容器2の外部の圧力がやや高い状態となるように制御することができるので、反応容器2のひずみの変動をほぼ零に抑え込むことができる。したがって、反応容器2に比べて脆い材料である上記断熱材に、引張応力によって亀裂が入るのを防止することができる。したがって、断熱材の耐久性の向上も図ることができる。
さらに、反応容器2の壁面を熱伝達面として機能させる必要がないことから、その熱伝達面を要していた従来のものに比較して、反応容器2の軸方向の長さを短くすることができる。したがって、製造コストの低減を図ることができるとともに、装置全体の小型化を図ることができる。
【0055】
また、反応容器2の内壁面に断熱材を設けない場合であっても、当該反応容器2の周囲が高温の生成ガスが通る熱交換器4によって囲まれた状態になっているので、反応容器2内の温度が下方に向かうにしたがって降下する割合を緩和することができる。すなわち、反応容器2内の温度を下方の位置まで高温に保持することができるので、ガス化反応の促進を図ることができ、よって生成ガスの収率の向上を図ることができる。
【0056】
そしてさらに、断熱材は、反応容器2の内壁面に設けずに、仕切板15、16の壁面に設けるように構成してもよい。この場合の断熱材は、上述した反応容器2の内壁面に設けるものより耐熱性の低いものでよい。そして、この断熱材は、最も内側の仕切板16の内壁面に設けることが好ましい。この場合は、熱交換器4の周囲を断熱材で囲むことができるので、反応容器2の保温効果をさらに向上させることができる。したがって、生成ガスの収率の向上を図ることができる。
【0057】
また、ノズル3内への水の流れのみを許容する逆流防止弁34を設けているので、例えば緊急停止した場合でも、反応容器2内の腐食性流体がノズル3を介して圧力容器1内に逆流するのを防止できる。したがって、反応容器2内の腐食性流体によって圧力容器1の内面が腐食されるのを確実に防止することができる。
【0058】
一方、外筒部11と内筒部21との間における熱交換器4の外側に、仕切板15、16を設けているので、水導入口14から流入した水がまず外筒部11と仕切板15との間を通って下から上に移動し、さらに仕切板15、16の間を上から下に移動することになる。したがって、圧力容器1の内周面に沿う部分が一種の断熱層で構成された状態になるので、外筒部11の外周囲に設置する断熱材を薄くすることができるか、もしくは当該断熱材が必要なくなる。特に、仕切板15、16の数を増すことにより、断熱効果の向上を図ることができる。
【0059】
また、熱交換器4から発する放射熱を仕切板15、16で遮ることができるので、この点からも、外筒部11の温度上昇を抑えることができる。そして、仕切板が放射熱で暖められた場合には、その熱が当該仕切板を介して水に伝達されることになるので、水の温度をより効率的に上昇させることができる。
【0060】
さらに、上記超臨界水下において反応した原料のうち、固形分等の残渣として残ったものは、底部22に蓄えられた残渣抜き出し用水の水中に落下し、この残渣抜き出し用水とともに、排出管22bおよび流量制御弁22dを介して反応容器2および圧力容器1の外に排出されることによって回収される。なお、ここで回収された残渣を再び原料として反応容器2内に投入してもよく、また残渣を分離した後の水を残渣抜き出し用水として、上記底部22に供給するように構成してもよい。
【0061】
なお、ノズル3として、原料供給ノズルと、水供給ノズルと、酸化剤供給ノズルと兼ね備えた構成のものを示したが、これらの原料供給ノズル、水供給ノズルおよび酸化剤供給ノズルは、それぞれ別体のもので構成してもよい。
【0062】
次に、この発明の第2の実施の形態を図2を参照して説明する。ただし、図1に示す第1の実施の形態の構成要素と共通する要素には同一の符号を付し、その説明を簡略化する。
この第2の実施の形態示す熱交換器4は、第1の熱交換器410と第2の熱交換器420とを備えたもので構成されている。
【0063】
第1の熱交換器410は、生成ガス流出口24に接続され、内筒部21の周囲に配置された伝熱管41と、この伝熱管41を内筒部21と共同して閉塞した状態に保持する熱交換容器411とを備えたもので構成されている。熱交換容器411は、ステンレス鋼等の薄肉の耐食性を有する金属で構成したものであり、伝熱管41の周囲を内筒部21の外周壁と共同して囲むことにより、その内部を圧力容器1と反応容器2との間の空間に対して全く隔絶した状態にするようになっている。
【0064】
ただし、熱交換容器411は、伝熱管41の周囲の空間を圧力容器1と反応容器2との間の空間と全く隔絶した状態にするものであればどのような態様のものであってもよい。したがって、例えば伝熱管41の周囲を二重管状に配置したものであってもよい。すなわち、伝熱管41の周囲を所定の間隔をおいて囲む外管によって熱交換容器411を構成してもよい。
【0065】
第2の熱交換器420は、第2の熱交換器420の上方に位置し、内筒部21の周囲に配置された伝熱管42を備えたもので構成されている。この伝熱管42は、上記伝熱管41と同様のもので構成されている。この伝熱管42の流入口は、連結配管43によって伝熱管41の流出口に連結されている。また、伝熱管42の流出口は、生成ガス排出ライン5に接続されている。なお、伝熱管41と伝熱管42とは、一本のもので構成してもよい。
【0066】
また、熱交換容器411の下部(伝熱管41の流入口側の端部)には、第2の水の供給ライン7が接続されており、熱交換容器411の上部(伝熱管41の流出口側の端部)には、導入管(導入流路)35が接続されている。第2の水の供給ライン7には、圧力容器1の外側の位置に流量制御弁(流量制御手段)71が設けられている。また、頂板部13における仕切板16の内側には、水の排出ライン8が接続され、当該水の排出ライン8には、圧力制御弁(圧力制御手段)81が設けられている。
【0067】
上記のように構成された高温高圧水雰囲気下反応処理装置においては、第2の水の供給ライン7から供給された水が生成ガス流出口2に近い高温の伝熱管41から熱を受けて昇温しながら上方に移動し、導入管35、逆流防止弁34、ノズル3を介して反応容器2内に供給されることになる。したがって、反応容器2に供給する水を効率よく昇温させることができる。
【0068】
一方、伝熱管41で熱を奪われた生成ガスは、連結配管43を介して伝熱管42に流入し、ここで圧力容器1と反応容器2との間の水と熱交換されて、所定の温度まで降下した後、生成ガス排出ライン5を介して圧力容器1の外に排出される。
【0069】
また、圧力容器1と反応容器2との間の水は、伝熱管42で昇温されて、亜臨界水または超臨界水の状態になり、反応容器2内の圧力をバックアップする圧力バランス流体として機能する。そして、この水の配水管である水の排出ライン8に圧力制御弁81が設けられているので、反応容器2内の圧力と、圧力容器1と反応容器2との間の水の圧力とを測定して、当該水の圧力が反応容器2内の圧力に近づくように、圧力制御弁81をフィードバック制御することにより、反応容器2の内外の圧力を、常時ほぼ均等となるようにバランスさせることができる。
【0070】
さらに、圧力容器1と反応容器2との間に供給する水の流量は、圧力容器1内の温度と、伝熱管42の流出口の部分における生成ガスの温度とを測定して、それぞれの温度が所定の温度に近づくように流量制御弁(流量制御手段)61をフィードバック制御することにより、圧力制御弁81で圧力を制御するのに最適な量にコントロールすることができる。
【0071】
また、熱交換容器411内の水の圧力は、反応容器2内の圧力と、導入管35、逆流防止弁34およびノズル3等の圧力損失との和になる。ただし、導入管35、逆流防止弁34、ノズル3等の圧力損失が反応容器2内の圧力に比べて、わずかなものであることから、熱交換容器411内の圧力は反応容器2内の圧力とほぼ等しくなる。したがって、熱交換容器411内の圧力は、圧力容器1と反応容器2との間の圧力ともほぼ等しくなる。
【0072】
以上、第1の実施の形態に比べて、圧力容器1内の温度、および圧力容器1と反応容器2との間の圧力を厳密に管理することができるとともに、生成ガスの排出温度もその目標とする温度により正確に制御することができる。
その他、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0073】
なお、上記第2の実施の形態の場合には、逆流防止弁34を設けなくても、反応容器2内で発生した腐食性流体(塩酸など)が熱交換容器411内にしか入ることができないので、圧力容器1が腐食することがない。したがって、逆流防止弁34は、削除することが可能である。
【0074】
また、万一腐食性流体が圧力容器1と反応容器2との間に漏れた場合には、仕切板15、16が設けられているので、水の供給ライン6から水を供給し続けることにより、圧力容器1の腐食を防ぐごとができる。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、圧力容器と反応容器との間の水の圧力を反応容器内の圧力と同程度に保持することにより、反応容器の内外の圧力をほぼ同一の圧力にバランスさせることができる。しかも、圧力容器と反応容器との間に供給された水は、熱交換手段によって、亜臨界水または超臨界水の状態まで加熱され、圧縮性を有するバランス流体として機能することになる。
【0076】
したがって、反応容器の薄肉化によるコストの低減を図ることができる。
しかも、圧力容器と反応容器との間に供給された水は、反応容器内に供給されることになり、外部にそのまま排出されることがないので、エネルギー消費量の低減を図ることができる。
また、水の温度を熱交換手段を通る生成物の熱を利用して上昇させることができるとともに、当該生成物の温度を水を利用して降下させることができるので、水の昇温および生成物の降温に要するエネルギーの低減を図ることができる。
【0077】
さらに、反応容器の壁面を熱伝達面として機能させる必要がないので、例えばアルミナ等酸化物、窒化ケイ素等窒化物、炭化ケイ素等炭化物等の耐熱性等を有する断熱材を反応容器の内壁面に設けることができる。この場合、反応容器の内外の圧力をほぼ均等にバランスさせることができ、反応容器内の圧力が変動した場合でも当該反応容器の壁面はほとんど弾性変形することがないので、反応容器に比べて脆い材料で構成される上記断熱材を利用しても、当該断熱材に亀裂が入るのを防止することができる。したがって、断熱材の耐久性の向上を図ることができる。
【0078】
請求項2に記載の発明によれば、第2の水の供給ラインから熱交換容器に供給された水が当該熱交換容器内の伝熱管によって加熱された後に水供給手段から反応容器内に噴出されることになるので、反応容器に供給する水を効率よく昇温させることができる。
また、圧力容器と反応容器との間に供給された水は、熱交換容器に覆われていない伝熱管によって、亜臨界水または超臨界水の状態まで加熱することができ、圧縮性を有するバランス流体として機能させることができる。
その他は、請求項1記載の発明と同様の作用効果を奏する。
【0079】
請求項3に記載の発明によれば、水供給手段内への水の流れのみを許容する逆流防止手段を設けているので、例えば緊急停止時に、反応容器内で発生した腐食性流体が水供給手段の流路を逆流することがなくなる。したがって、例えば圧力容器と反応容器との間に腐食性流体が流出し、当該圧力容器の内面が浸食されるのを防止することができる。
【0080】
請求項4に記載の発明によれば、外筒部と内筒部との間における熱交換手段の外側に、外筒部および内筒部と多重筒を構成するように筒状の仕切板を設けているので、水導入口から流入した水を、まず外筒部と仕切板との間を通して軸方向の一端側に流した後に、熱交換手段で昇温することができる。したがって、圧力容器の内周面に沿う部分が一種の断熱層で構成された状態になるので、外筒部に設置する断熱材を薄くすることができるか、もしくは当該断熱材が必要なくなる。
【0081】
また、熱交換手段から発する放射熱を仕切板で遮ることができることからも、上記外筒部の温度上昇を抑えることができる。そして、仕切板が放射熱で暖められた場合には、その熱が水に伝達されやすくなるので、水の昇温効率がより増加することになる。
【0082】
請求項5に記載の発明によれば、軸方向の一端部に開口部を有する仕切板と、軸方向の他端部に開口部を有する仕切板とを径方向に交互に配置しているので、例えば水導入口から流入した水を外筒部の内面に沿って軸方向の一端側に移動させた後に、次の仕切板と仕切板との間で軸方向の他端側に移動させることができる。すなわち、水の移動層を外筒部に沿って何層にも構成することができるので、この部分の断熱能力をより向上させることができる。
【0083】
請求項6に記載の発明によれば、圧力容器と反応容器との間の水の圧力を調整する圧力調整手段を設けているので、この圧力調整手段の設定圧力の通りに水の圧力を制御することができる。また、反応容器内の圧力と、圧力容器と反応容器との間の水の圧力とを測定して、当該圧力容器と反応容器との間の水の圧力が反応容器内の圧力に近似するように圧力調整手段をフィードバック制御することにより、反応容器内外の圧力を常時ほぼ均等となるようにバランスさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態として示した高温高圧水雰囲気下反応処理装置の説明図である。
【図2】この発明の第2の実施の形態として示した高温高圧水雰囲気下反応処理装置の説明図である。
【符号の説明】
1 圧力容器
11 外筒部
14 水導入口
15 16 仕切板
15a、16a 開口部
17 挿通口
2 反応容器
21 内筒部
3 ノズル(原料供給手段、酸化剤供給手段、水供給手段)
34 逆流防止弁(逆流防止手段)
35 導入管(導入流路)
4 熱交換器(熱交換手段)
41、42 伝熱管
5 生成ガス排出ライン(排出ライン)
6 水の供給ライン
7 第2の水の供給ライン
81 圧力制御弁(圧力制御手段)
Claims (6)
- 圧力容器の内側に反応容器を配置した二重容器構造のもので構成し、
上記反応容器には、有機物を含有する原料を当該反応容器内に供給する原料供給手段と、酸化剤を当該反応容器内に供給する酸化剤供給手段と、水を当該反応容器内に供給する水供給手段とを設け、
上記圧力容器と上記反応容器との間には、当該反応容器内において上記原料と上記酸化剤とが水雰囲気下で反応することによって生成された高温高圧の生成物が導入される熱交換手段を設け、
上記圧力容器には、当該圧力容器と上記反応容器との間に水を供給する水の供給ラインに連通する水導入口を設けるとももに、上記熱交換手段に連通する上記生成物の排出ラインを挿通するための挿通口を設け、
上記水供給手段には、上記水導入口を介して上記圧力容器と上記反応容器との間に導入され上記熱交換手段によって昇温された上記水を上記反応容器内に供給する流路を設けてなることを特徴とする高温高圧水雰囲気下反応処理装置。 - 圧力容器の内側に反応容器を配置した二重容器構造のもので構成し、
上記反応容器には、有機物を含有する原料を当該反応容器内に供給する原料供給手段と、酸化剤を当該反応容器内に供給する酸化剤供給手段と、水を当該反応容器内に供給する水供給手段とを設け、
上記圧力容器と上記反応容器との間には、当該反応容器内において上記原料と上記酸化剤とが水雰囲気下で反応することによって生成された高温高圧の生成物が導入される伝熱管を有する熱交換手段を設け、
上記圧力容器には、当該圧力容器と上記反応容器との間に水を供給する水の供給ラインに連通する水導入口を設けるとももに、上記伝熱管に連通する上記生成物の排出ラインを挿通するための挿通口を設け、
上記熱交換手段には、上記伝熱管における上記生成物が導入される側の部分の周囲を囲む熱交換容器を設け、
この熱交換容器には、当該熱交換容器内に水を供給する第2の水の供給ラインが連結されているとともに、当該熱交換容器内で上記伝熱管によって昇温した水を上記水供給手段に導入する導入流路が連結されていることを特徴とする高温高圧水雰囲気下反応処理装置。 - 上記水供給手段内への上記水の流れのみを許容する逆流防止手段を設けたことを特徴とする請求項1まはた2に記載の高温高圧水雰囲気下反応処理装置。
- 上記二重容器構造は、上記圧力容器の外周部を構成する外筒部と、上記反応容器の外周部を構成する内筒部とを二重筒状に配置したもので構成し、
上記外筒部と内筒部との間には、上記熱交換手段の外側に、上記外筒部および内筒部と多重筒を構成するように配置された筒状の仕切板を設け、
上記仕切板には、軸方向の一端部に開口部を設けてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高温高圧水雰囲気下反応処理装置。 - 上記仕切板を複数設け、
上記各仕切板は、軸方向の一端部に開口部を有するものと、軸方向の他端部に開口部を有するものとが径方向に交互に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の高温高圧水雰囲気下反応処理装置。 - 上記圧力容器と上記反応容器との間における上記水の圧力を調整する圧力調整手段を設けたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の高温高圧水雰囲気下反応処理装置。
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