JP2004024083A - 動物飼育ケージ及び給餌箱 - Google Patents
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Abstract
【課題】モルモットの比較的長期に渡る飼育に際し、餌の交換、供給頻度を少なくした動物飼育ケージを提供する。
【解決手段】下端面がR状に塞がれ側壁下端部に開口14を有する略筒状の貯留部10と、前記開口14の両端及び下端から延設された受け部12と、当該受け部12の内側でスライド可能に装着され上面及び貯留部側側面が開口された略箱状のスライド部材20とから給餌箱1を得る。スライド部材20を開口14内に押し込み、ケージ開口部202から挿入される給餌部11の上面開口22における挿入開口長を小さくした場合に、挿入開口長がモルモット体幅の1/2〜2/3となるようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】下端面がR状に塞がれ側壁下端部に開口14を有する略筒状の貯留部10と、前記開口14の両端及び下端から延設された受け部12と、当該受け部12の内側でスライド可能に装着され上面及び貯留部側側面が開口された略箱状のスライド部材20とから給餌箱1を得る。スライド部材20を開口14内に押し込み、ケージ開口部202から挿入される給餌部11の上面開口22における挿入開口長を小さくした場合に、挿入開口長がモルモット体幅の1/2〜2/3となるようにする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、動物飼育ケージ、特にモルモットやウサギ等の比較的小型の実験動物用の飼育ケージ及び当該動物飼育ケージに用いられる給餌箱に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、マウスやラット、モルモット、ウサギなどの小型動物、イヌ、ネコ、サル、ミニブタ、ブタなどの中型動物などが屋内における実験動物として用いられている。これら実験動物の飼育には、それぞれ動物種に応じた飼育ケージが用いられる。例えば、マウスやラットなどの小さな小型動物には、図8に示すように、プラスチックや金属からなる箱状のケージ本体101と、縦断面略V字形状の給餌用凹陥部102を有し、前記ケージ本体101内にその上部開口を覆うように配置される金網蓋103とを有する飼育ケージ100が用いられる。また、モルモットやウサギなどの比較的大きな小型動物には、図9に示すように、側面及び天面が金網からなるケージ本体201と、ケージ前面の開口部202に取り外し可能に装着された給餌箱210を有する飼育ケージ200が用いられている。この飼育ケージ200の給餌箱210は、図10に示す如く、縦断面略L字形状をしており、開口部202からケージ内に挿入され上面全面が開口された給餌部212とケージ側面に沿って配置され餌を貯留しておく貯留部211とを有する。給餌箱210は、底面に備えた溝221を有する支持部220が開口部202の下縁に支持されると共に貯留部211の上端に備えられた略コ字形状の係止用枠部材213がケージ本体201のフック203に係止され、ケージ本体201に着脱可能に取り付けられている。
【0003】
前者の飼育ケージ100では、餌は給餌用凹陥部102に置かれ、ケージ内のマウスやラットは上を向き、金網蓋103の網目から餌をかじり取り摂取する。後者の飼育ケージ200では、餌は給餌箱210から供給され、モルモットやウサギは給餌部212の上面開口214に口部周辺を挿入して餌を摂取する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、マウスやラットの飼育期間は、通例2週間程度の短期間であり、給餌用凹陥部102に入る餌量で3〜4日間程度の給餌量がまかなえる。また、マウスとラットでは、2週間程度の飼育においては、図8に示すような飼育ケージを共用しても問題がない。
【0005】
一方、モルモットやウサギにおいてはその体格差が著しく、両者の体格に合わせてモルモット用の飼育ケージ、ウサギ用の飼育ケージと各々の体格に合わせた仕様の飼育ケージが用いられている。このため、常に2種類の飼育ケージを用意しなければならず、設備費用や管理スペースを必要としていた。
【0006】
そこで両者を共用することを考えると、モルモット用の飼育ケージではウサギ用には小さすぎる。一方、ウサギ用の飼育ケージでは給餌箱210全体が大きく、特に給餌部212の上面開口214はモルモットの体格に比べて大きすぎ、その習性のためか摂取時はもちろんのことそれ以外の場合にも、給餌部212上にモルモットが乗ることが多い。そして、モルモットはその状態で糞尿をし、餌を汚してしまうことが頻繁にあった。通例、モルモット及びウサギの給餌法は、モルモットの場合1回の給餌で2〜3日分を、ウサギの場合1回の給餌で1日分を与えるが、モルモットの場合、給餌部212上で糞尿をする度に2〜3日分の餌が無駄になり、餌を頻繁に交換しなければならなかった。
【0007】
また、モルモット用飼育ケージに使われている給餌箱210は確かにモルモットに適した大きさに給餌部212が設計されているが、その給餌箱210をそのままウサギ用飼育ケージに転用しようとした場合には、必ずしもウサギ用飼育ケージに適用できる保証はない。さらに、ウサギ用飼育ケージに工夫することなくそのまま転用できたとしても、モルモット用の給餌箱210とウサギ用の給餌箱210と2種類の給餌箱210を常に用意しなければならず、管理スペースを要する点では変わりがなかった。特に、給餌箱210をその形状から重ね合わせて保管することもできず、給餌箱210をも共用することができるのが最も望ましいものである。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みたものであって、モルモットやウサギ等の飼育に際し、餌の交換、供給頻度を少なくした給餌箱及び当該給餌箱を利用した飼育ケージを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の動物飼育ケージは、前面に開口部を備えたケージ本体と、ケージ前面に配置され餌を貯留する貯留部と当該貯留部の下端に備えられ前記開口部に挿入される給餌部を有する横断面略L字形状をした給餌箱を備えた動物飼育ケージにおいて、前記給餌箱は、給餌部の上面開口の挿入開口長が可変に構成されたことを特徴としている。
【0010】
当該動物飼育ケージの給餌箱においては、前記挿入開口長を小さくした場合において前記挿入開口長がモルモット体幅の1/2以上2/3以下に設定しうるようにするのが好ましい。
【0011】
このために、給餌部は、例えば、前記貯留部の下端部に設けられた開口に挿入可能に装着されるスライド部材を備え、当該スライド部材の挿入に応じて前記挿入開口長が変化するように構成される。
【0012】
さらに具体的に言うと、例えば、下端面が塞がれ側壁下端部に開口を有する略筒状体からなる貯留部と、前記貯留部開口の両端及び下端から延設された受け部と当該受け部の内側でスライド可能に装着され上面及び貯留部側側面が開口された略箱状のスライド部材とからなる給餌部を有する給餌箱が用いられる。
【0013】
また、下端面が塞がれ側壁下端部に開口を有する略筒状体からなる貯留部と、前記貯留部開口から前記貯留部の下端部にスライド可能に装着される上面が開口した箱状のスライド部材からなる給餌部を有する給餌箱が用いられる。
【0014】
本発明の給餌箱は、餌を貯留する貯留部と当該貯留部の下端に前記貯留部とほぼ垂直に備えられ摂餌用の開口が上面に開設された給餌部を有する横断面略L字形状をした給餌箱において、前記給餌部の上面開口の配設方向開口長が可変に構成されたことを特徴としている。
【0015】
このとき、下端面が塞がれ側壁下端部に開口を有する略筒状の貯留部と、前記開口部に挿入され前記貯留部の開口の両端及び下端から延設された受け部と、当該受け部の内側でスライド可能に装着され上面及び貯留部側側面が開口された略箱状のスライド部材とから給餌箱を構成することができる。
【0016】
また、下端面が塞がれ側壁下端部に開口を有する略筒状の貯留部と、前記開口部に挿入され前記貯留部の開口から前記貯留部の下端部にスライド可能に装着される上面が開口した箱状のスライド部材とから給餌箱を構成することができる。
【0017】
これらの給餌箱においては、前記配設方向開口長を小さくした場合において当該延設方向開口長をモルモット体幅の1/2以上2/3以下に設定しうるようにするのが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、各図を参照しながら本発明について詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態である給餌箱1の斜視図、図2は当該給餌箱1の分解斜視図、図3は当該給餌箱1をケージ本体201に装着した状態を示す斜視図であって、飼育ケージの内側から見た状態を示す。なお、ケージ本体201はその大部分が省略されて描かれている。
【0019】
当該給餌箱1は、側壁下端部に開口14を有し下端面がR状に塞がれた略筒状体からなる貯留部10と、前記開口14の両端及び下端から延設された受け部12と、当該受け部12の内側でスライド可能に装着されたスライド部材20とを有している。貯留部10と受け部12は一体として作製され、受け部12は貯留部10に対してほぼ垂直に配設され、全体として縦断面略L字形状をしている。貯留部10は給餌用の餌を貯留しておくものであって、飼育に十分な量の餌を入れておくことができる。また、貯留部10内に貯留された餌が飼育動物が摂取するにつれてその重みで自然と落ちるよう、貯留部10はほぼ鉛直方向となる縦長に設計される。
【0020】
受け部12は、貯留部10の開口14の両端から後方(ケージ側)に向かって延設された一対の側壁12bと前記開口14の下端から後方に向かって延設された底板12aとを有している。両側壁12bにはスライド部材20を誘導するための折曲部12cがその上端から受け部12の内側に曲折形成されている。この折曲部12cにスライド部材20の側面が挟まれるようにして、スライド部材20が取り付けられる。また、給餌箱1の裏面、すなわち底板12aの裏面には、ケージ本体201の開口部202の下縁に支持される溝31を有する支持部30が備えられている。また、受け部12の底面12a上面には、スライド部材20の位置決め部材である凹凸部材13が設けられている。
【0021】
スライド部材20は、上面及び貯留部側側面が開口された略箱状をしている。スライド部材20の左右両側面21は、その前方側は貯留部10の底に合わせてR状に形成されている。また、貯留部側側面が開口されているため、スライド部材20が図4に示す如く後方に引き出された場合にも、滞ることなく貯留部10からの餌が給餌部11の方に押しやられる。スライド部材20の左右両側面21には、貯留部10内において上方に伸びた突起21aが備えられ、開口14からスライド部材20が抜けるのを防いでいる。そして、スライド部材20の裏面には、受け部12の凹凸部材13と対をなす凹凸部材23が備えられている(図2参照)。
【0022】
一対の凹凸部材13,23はスライド部材20を受け部12内側の所定位置にて位置決めするものであって、図示する受け部12の凹凸部材13は4つの凸部13aを有している。また、スライド部材20の凹凸部材23は4つの凹部23aを有し、スライド部材20の位置によって1乃至4つの凹部23aと凸部13aとが噛み合う。例えば、スライド部材20を最も貯留部10側に押し込めば4つの凹部23aと4つの凸部13aが噛み合い、スライド部材20を最もケージ内側に引き出せば1つの凹部23aと1つの凸部13aが噛み合う。つまり、このスライド部材20は4段階で挿入量を変化できる。なお、一旦位置決めされた後にスライド部材20が容易に動かなければ凹凸部材13,23は必須のものではない。また、所定位置に位置決めしてスライド部材20が容易に動かないものであればその構造は問われるものではなく、すべり止め用の樹脂シートやその他の位置決め機構を用いることができる。
【0023】
この給餌箱1においては、受け部12とスライド部材20とによってケージ本体201内に挿入される給餌部11が構成されている。給餌部11は、ケージ内の動物が餌を摂取する場所であり、頭部を入れることができる上面開口22がスライド部材20と貯留部10の開口14とによって形成される。
【0024】
このとき、図1に示す如くスライド部材20を開口14の奥まで押し込めば、折曲部12cの端面にスライド部材20の後方側面の内面が当接し、給餌部11の上面開口22が最も小さくなる。一方、スライド部材20を後方側に引き出した場合には突起21aが貯留部10の後側壁内面に当接し、給餌部11の上面開口22が最も大きくなる。このように、スライド部材20の挿入量によって給餌部11の上面開口22の大きさ、つまり、上面開口22の配設方向(スライド方向)長さが変化する。
【0025】
挿入方向におけるスライド部材20の大きさは任意に決められるが、モルモット用の給餌箱1として使用できるように、スライド部材20を最も押し込んだ場合に、給餌部11の上面開口22の配設方向長さがモルモット体幅の少なくとも1/2以上2/3以下となるように設計されている。具体的に説明すると、モルモットの体幅は一般的には6cm〜9cmにまで成長し、頭部口周辺サイズはおおよそ3cm×2.5cm〜4cm×3cmとなるので、モルモット体幅に比べて十分小さく、かつモルモットの頭部口周辺が上面開口22から入る程度の大きさ、すなわち、上面開口22の配設方向長さが3〜6cmとなるように設計される。より正確に言えば、ケージ本体201に取り付けた場合に、挿入開口長が最小限となる場合で、モルモット体幅の少なくとも1/2以上2/3以下、すなわち、挿入開口長が3〜6cmとなるように設計される。ここにおいて挿入開口長とはケージ内の動物が餌を摂取するために実質的に利用できる給餌部11の上面開口22の挿入方向長さをいい、開口部202よりもケージ内側において開口している部分の長さを意味する。なお、一般的な飼育ケージにおいては、ケージ本体201の開口部202位置と貯留部10の開口14位置はほぼ一致し、配設方向長さと挿入開口長との差はケージ本体201の前面の厚みのみであり、実際上は給餌部11の上面開口22の配設方向長さがモルモット体幅の1/2以上2/3以下であれば、挿入開口長もほぼこの範囲となる。
【0026】
一方、スライド部材20を、図4に示すように最も引き出した場合には、上面開口14の配設方向長さ(挿入開口長)は、従来のウサギ用の飼育ケージに用いられる給餌箱とほぼ同じ大きさになり、概ね8〜10cm程度である。なお、給餌部11の幅は、ウサギ用の給餌箱、モルモット用の給餌箱のいずれの幅でも問題はなく、適宜定めることができる。
【0027】
当該給餌箱1は、図3に示す如く従来例と同様に、給餌部11が開口部202から挿入されて、ケージ本体201に取り外し可能に取り付けられる。このとき、受け部12裏面にある支持部30の溝31が開口部202の下縁に支持され、貯留部10上端に備えられた係止用枠部材15がケージ本体201上部に備えられたフック部材203に係止される。ケージ本体201の構造は特に制限を受けるものではなく、従来例に示すケージ本体201がそのまま用いられ、給餌箱1を取り付けるための開口部202を有するケージ本体201であればよく、前面が金網であって他の周面及び天面が板状のものでも差し支えない。また、好ましくは貯留部10をケージ本体201の前面に沿って設置するためのフック部材203を備えたものがよい。給餌箱1のバランスが悪く、取り付け後に自重等で倒れないようにするためである。
【0028】
この給餌箱1は上記したように、スライド部材20を最も押し込んだ位置にてケージ本体201に取り付けた場合、給餌部11の上面開口22がケージ本体201内側にて挿入開口長が小さくなり、モルモットが給餌部11に乗ることができくなる。このため、給餌部11内にて糞尿ができず餌が汚れない。従って、餌を頻繁に交換せずに済み、給餌部11を大きくして多くの餌量を入れておくことができる。また、スライド部材20を引き出せば、挿入開口長が大きくなり、ウサギ用飼育ケージの給餌箱1として用いることができる。このように、ウサギ用の給餌箱として、またモルモット用の給餌箱としても用いることができる。また、挿入開口長を数段階で変化させることができるため、モルモットの成長に合わせて食べやすいようにも調整できる。
【0029】
図5は本発明の第2の実施形態である給餌箱1の斜視図である。当該給餌箱1は、下端面が塞がれ側壁下端部に開口14を有する略筒状の貯留部10と、前記開口14から前記貯留部10の下端部にスライド可能に装着される上面が開口した箱状のスライド部材20とを有する。当該スライド部材20は、あたかも引き出しの如く貯留部10の開口14内においてスライドするものである。この給餌箱1は、第1の実施形態とは異なり、スライド部材20だけで給餌部11が構成される。開口14の周囲には、わずかな幅で補助枠16が貯留部10と一体に設けられている。この補助枠16は、支持部30を設けると共にスライド部材20の挿入を助けるものである。
【0030】
このスライド部材20の貯留部10側の側面上端部には、供給補助板25が図示しないヒンジ機構を介して取り付けられている。供給補助板25は、貯留部10の前面側上方に傾斜して備えられ、これにより貯留部10に供給された餌がスライド部材20内に支障無く供給される。供給補助板25の上方側端部は図6(b)に示すごとく下方に曲り曲げられ、止め部26が形成されている。この止め部26は、貯留部10の前面内壁面に形成された上下2個所の受け部17に係止され、受け部17と共にスライド部材20の位置決め機構を構成している。
【0031】
当該給餌箱1においても、スライド部材20が前後にスライドして、給餌部11の上面開口22の挿入開口長が変化する。すなわち、スライド部材20を貯留部10側に押し込めば挿入開口長が小さくなり、スライド部材20をケージ内側に引き出せば挿入開口長が大きくなる。なお、当該実施形態における挿入開口長は、補助枠16からケージ本体内側に飛び出た挿入方向長さとなり、上面開口22の配設方向長さと同じである。
【0032】
また、開口14(補助枠16)から抜け落ちない限りにおいて挿入開口長を任意に調整できるが、この実施形態では2つの受け部17によって挿入開口長が規制されている。すなわち、スライド部材20を貯留部10側に押し込めば、供給補助板25の上方側端部は上昇し、止め部26は2個所の受け部17のうち上側の受け部17に係止される(図6(a)(b)の実線参照)。このとき、挿入開口長(上面開口22の配設方向長さ)がモルモット体幅の1/2以上2/3以下、具体的には3〜6cmとなるように受け部17の位置及び供給補助板25の長さが決められる。一方、止め部26を受け部17から取り外し、スライド部材20を引き出した場合には、供給補助板25の上方側端部は下降し、止め部26は下側の受け部17に係止される(図6(a)(b)の破線参照)。この場合には、挿入開口長が従来例の給餌箱1と同様になるように下側の受け部17の位置等が決められる。このように箱状のスライド部材20を用いて、給餌部11の上面開口22の挿入開口長を変えるようにしてもよい。
【0033】
図7は本発明の第3の実施形態である給餌箱1の斜視図である。この給餌箱1も箱状のスライド部材20を用いたものであるが、供給補助板25はその上方側端部が貯留部10の前面内壁面に図示しないヒンジ機構を介して取り付けられ、下方側端部がスライド部材20内に延伸するように貯留部10内に傾斜して備えられている点で第2の実施形態と異なる。この給餌箱1においても、スライド部材20が前後にスライドして給餌部11の上面開口22の挿入開口長が変化する。すなわち、スライド部材20を開口14内に押し込めば、挿入開口長をモルモット体幅の1/2以上2/3以下にできる。また、スライド部材20を引き出し、挿入開口長を従来の給餌箱1と同様な大きさにできる。この給餌箱1では、スライド部材20の位置決め機構には、図示はしないが例えば第1の実施形態で用いた一対の凹凸部材13,23を用いることができる。また、スライド部材20の貯留部10側端面の上端部と供給補助板25の裏面との間で、図6(b)に示すような受け部と止め部とからなる位置決め機構を備えることもできる。
【0034】
このように上記の各給餌箱1は、ケージ本体201内側に挿入された給餌部11の上面開口22の挿入開口長(上面開口22の配設方向長さ)をモルモット体幅の1/2以上2/3以下に設定することができる。この長さにしてケージ本体201に取り付ければ、モルモットが給餌部11の上面に乗ることができず、糞尿による汚染を防ぐことができる。この結果、貯留部10に多くの餌を供給しても無駄にならず、一度に多くの餌を供給しておくことができる。また、給餌部11を従来の給餌箱210と同じような挿入開口長にすることもできるので、ウサギなどモルモットよりもさらに大きな小型動物やそれ以上の大きさであるミニブタなどの中型動物の給餌箱1としても利用できる。
【0035】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の技術的思想を満たす限りにおいて種々の変形が考えられるのは言うまでもなく、挿入開口長の可変範囲を変化させることにより、種々の実験動物に好適な飼育ケージを提供できる。また、挿入開口長は、ウサギ用及びモルモット用と大小2段階に設定するのが維持管理の上では便利であり、使用中も固定して使用できる。しかし、本発明においては必ずしも2段階の固定にする必要もなく、上面開口22の挿入開口長を任意若しくは上記で例示した如く数段階に変化させるようにしてもよい。モルモットの成長に応じて餌を摂取しやすくするため、給餌部11の上面開口22を大きくできるからである。この場合、任意に変化させるためには、位置決め機構を設けなければよい。さらに、挿入開口長を小さい場合でモルモット体幅の1/2以上2/3以下に設定できるものであればよく、これよりも小さくなるように構成して、ラットやマウス用の給餌箱とすることも可能であり、何等それよりも小さくなるものを排除するものではない。つまり、小さくした場合にというのは、挿入開口長(給餌部11の上面開口22)がそれよりも大きくなることを意味する。
【0036】
また、本発明の給餌箱は、挿入開口長が可変に構成されるものであればよく、モルモット用以外の用途にする場合には、必ずしも挿入開口長をモルモット体幅の1/2以上2/3以下にできる必要はない。例えば、ミニブタとウサギの双方兼用の給餌箱にする場合には、両者に適した上面開口22が得られるようにすればよく、さらに挿入開口長の可変範囲をもっと大きくして、ウサギからイヌやブタ用にまで使用可能な給餌箱としてもよい。さらに、上記実施形態では、ケージ開口部に確実に装着すべく給餌部11の下面には支持部30が備えられているが、当該支持部30も必須のものではなく、給餌部11の下面を平らにしていてもよい。この場合にはケージの床面に載置して用いることができる。
【0037】
【発明の効果】
本発明の給餌箱は、給餌部の上面開口の挿入開口長(配設方向開口長)が可変に構成されているので、一つの給餌箱を、例えばモルモット用の給餌箱として用いたり、ウサギ用の給餌箱として用いることができる。このように、本発明の給餌箱を用いることによって、飼育ケージの汎用性が高められる。この結果、モルモット用、ラット用の共用飼育ケージとして1種類の本体ケージと給餌箱が有ればよく、従来の各種動物に応じた飼育ケージを用いる場合に比べ、動物飼育に使用しない本体ケージや給餌箱の管理スペースを少なくできる。また、本体ケージと給餌箱とを一組として保管できるため、保管が容易になり、給餌箱のみが乱雑に保管されることも防げる。
【0038】
また、給餌箱は給餌部の上面開口の挿入開口長が小さい場合でモルモット体幅の1/2以上2/3以下に設定されうるので、この状態で使用した場合、ケージ内に入れられたモルモットは給餌部に乗ることができず、上面開口内において糞尿が出来なくなる。このため、餌が汚されず、餌を貯留しておく貯留部に多量の餌を供給しておくことができ、モルモットの長期飼育に際して餌の交換頻度を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である給餌箱の斜視図である。
【図2】図1に示す給餌箱の分解斜視図である。
【図3】図1に示す給餌箱をケージ本体に装着した状態を示す斜視図である。
【図4】図1に示す給餌箱のスライド部材を引き出した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施形態である給餌箱の斜視図である。
【図6】図5に示す給餌箱の動きを示す説明図であって、(a)はその側面説明図、(b)はスライド部材の位置決め機構を示す拡大説明図である。
【図7】本発明の第3の実施形態である給餌箱の斜視図である。
【図8】従来例であるマウス、ラット用の飼育ケージの分解斜視図である。
【図9】別な従来例であるモルモットやウサギ用の飼育ケージの斜視図である。
【図10】図9に示す飼育ケージに用いられる給餌箱の斜視図である。
【符号の説明】
1 給餌箱
10 貯留部
11 給餌部
20 スライド部材
22 給餌部の上面開口
30 支持部
【発明が属する技術分野】
本発明は、動物飼育ケージ、特にモルモットやウサギ等の比較的小型の実験動物用の飼育ケージ及び当該動物飼育ケージに用いられる給餌箱に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、マウスやラット、モルモット、ウサギなどの小型動物、イヌ、ネコ、サル、ミニブタ、ブタなどの中型動物などが屋内における実験動物として用いられている。これら実験動物の飼育には、それぞれ動物種に応じた飼育ケージが用いられる。例えば、マウスやラットなどの小さな小型動物には、図8に示すように、プラスチックや金属からなる箱状のケージ本体101と、縦断面略V字形状の給餌用凹陥部102を有し、前記ケージ本体101内にその上部開口を覆うように配置される金網蓋103とを有する飼育ケージ100が用いられる。また、モルモットやウサギなどの比較的大きな小型動物には、図9に示すように、側面及び天面が金網からなるケージ本体201と、ケージ前面の開口部202に取り外し可能に装着された給餌箱210を有する飼育ケージ200が用いられている。この飼育ケージ200の給餌箱210は、図10に示す如く、縦断面略L字形状をしており、開口部202からケージ内に挿入され上面全面が開口された給餌部212とケージ側面に沿って配置され餌を貯留しておく貯留部211とを有する。給餌箱210は、底面に備えた溝221を有する支持部220が開口部202の下縁に支持されると共に貯留部211の上端に備えられた略コ字形状の係止用枠部材213がケージ本体201のフック203に係止され、ケージ本体201に着脱可能に取り付けられている。
【0003】
前者の飼育ケージ100では、餌は給餌用凹陥部102に置かれ、ケージ内のマウスやラットは上を向き、金網蓋103の網目から餌をかじり取り摂取する。後者の飼育ケージ200では、餌は給餌箱210から供給され、モルモットやウサギは給餌部212の上面開口214に口部周辺を挿入して餌を摂取する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、マウスやラットの飼育期間は、通例2週間程度の短期間であり、給餌用凹陥部102に入る餌量で3〜4日間程度の給餌量がまかなえる。また、マウスとラットでは、2週間程度の飼育においては、図8に示すような飼育ケージを共用しても問題がない。
【0005】
一方、モルモットやウサギにおいてはその体格差が著しく、両者の体格に合わせてモルモット用の飼育ケージ、ウサギ用の飼育ケージと各々の体格に合わせた仕様の飼育ケージが用いられている。このため、常に2種類の飼育ケージを用意しなければならず、設備費用や管理スペースを必要としていた。
【0006】
そこで両者を共用することを考えると、モルモット用の飼育ケージではウサギ用には小さすぎる。一方、ウサギ用の飼育ケージでは給餌箱210全体が大きく、特に給餌部212の上面開口214はモルモットの体格に比べて大きすぎ、その習性のためか摂取時はもちろんのことそれ以外の場合にも、給餌部212上にモルモットが乗ることが多い。そして、モルモットはその状態で糞尿をし、餌を汚してしまうことが頻繁にあった。通例、モルモット及びウサギの給餌法は、モルモットの場合1回の給餌で2〜3日分を、ウサギの場合1回の給餌で1日分を与えるが、モルモットの場合、給餌部212上で糞尿をする度に2〜3日分の餌が無駄になり、餌を頻繁に交換しなければならなかった。
【0007】
また、モルモット用飼育ケージに使われている給餌箱210は確かにモルモットに適した大きさに給餌部212が設計されているが、その給餌箱210をそのままウサギ用飼育ケージに転用しようとした場合には、必ずしもウサギ用飼育ケージに適用できる保証はない。さらに、ウサギ用飼育ケージに工夫することなくそのまま転用できたとしても、モルモット用の給餌箱210とウサギ用の給餌箱210と2種類の給餌箱210を常に用意しなければならず、管理スペースを要する点では変わりがなかった。特に、給餌箱210をその形状から重ね合わせて保管することもできず、給餌箱210をも共用することができるのが最も望ましいものである。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みたものであって、モルモットやウサギ等の飼育に際し、餌の交換、供給頻度を少なくした給餌箱及び当該給餌箱を利用した飼育ケージを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の動物飼育ケージは、前面に開口部を備えたケージ本体と、ケージ前面に配置され餌を貯留する貯留部と当該貯留部の下端に備えられ前記開口部に挿入される給餌部を有する横断面略L字形状をした給餌箱を備えた動物飼育ケージにおいて、前記給餌箱は、給餌部の上面開口の挿入開口長が可変に構成されたことを特徴としている。
【0010】
当該動物飼育ケージの給餌箱においては、前記挿入開口長を小さくした場合において前記挿入開口長がモルモット体幅の1/2以上2/3以下に設定しうるようにするのが好ましい。
【0011】
このために、給餌部は、例えば、前記貯留部の下端部に設けられた開口に挿入可能に装着されるスライド部材を備え、当該スライド部材の挿入に応じて前記挿入開口長が変化するように構成される。
【0012】
さらに具体的に言うと、例えば、下端面が塞がれ側壁下端部に開口を有する略筒状体からなる貯留部と、前記貯留部開口の両端及び下端から延設された受け部と当該受け部の内側でスライド可能に装着され上面及び貯留部側側面が開口された略箱状のスライド部材とからなる給餌部を有する給餌箱が用いられる。
【0013】
また、下端面が塞がれ側壁下端部に開口を有する略筒状体からなる貯留部と、前記貯留部開口から前記貯留部の下端部にスライド可能に装着される上面が開口した箱状のスライド部材からなる給餌部を有する給餌箱が用いられる。
【0014】
本発明の給餌箱は、餌を貯留する貯留部と当該貯留部の下端に前記貯留部とほぼ垂直に備えられ摂餌用の開口が上面に開設された給餌部を有する横断面略L字形状をした給餌箱において、前記給餌部の上面開口の配設方向開口長が可変に構成されたことを特徴としている。
【0015】
このとき、下端面が塞がれ側壁下端部に開口を有する略筒状の貯留部と、前記開口部に挿入され前記貯留部の開口の両端及び下端から延設された受け部と、当該受け部の内側でスライド可能に装着され上面及び貯留部側側面が開口された略箱状のスライド部材とから給餌箱を構成することができる。
【0016】
また、下端面が塞がれ側壁下端部に開口を有する略筒状の貯留部と、前記開口部に挿入され前記貯留部の開口から前記貯留部の下端部にスライド可能に装着される上面が開口した箱状のスライド部材とから給餌箱を構成することができる。
【0017】
これらの給餌箱においては、前記配設方向開口長を小さくした場合において当該延設方向開口長をモルモット体幅の1/2以上2/3以下に設定しうるようにするのが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、各図を参照しながら本発明について詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態である給餌箱1の斜視図、図2は当該給餌箱1の分解斜視図、図3は当該給餌箱1をケージ本体201に装着した状態を示す斜視図であって、飼育ケージの内側から見た状態を示す。なお、ケージ本体201はその大部分が省略されて描かれている。
【0019】
当該給餌箱1は、側壁下端部に開口14を有し下端面がR状に塞がれた略筒状体からなる貯留部10と、前記開口14の両端及び下端から延設された受け部12と、当該受け部12の内側でスライド可能に装着されたスライド部材20とを有している。貯留部10と受け部12は一体として作製され、受け部12は貯留部10に対してほぼ垂直に配設され、全体として縦断面略L字形状をしている。貯留部10は給餌用の餌を貯留しておくものであって、飼育に十分な量の餌を入れておくことができる。また、貯留部10内に貯留された餌が飼育動物が摂取するにつれてその重みで自然と落ちるよう、貯留部10はほぼ鉛直方向となる縦長に設計される。
【0020】
受け部12は、貯留部10の開口14の両端から後方(ケージ側)に向かって延設された一対の側壁12bと前記開口14の下端から後方に向かって延設された底板12aとを有している。両側壁12bにはスライド部材20を誘導するための折曲部12cがその上端から受け部12の内側に曲折形成されている。この折曲部12cにスライド部材20の側面が挟まれるようにして、スライド部材20が取り付けられる。また、給餌箱1の裏面、すなわち底板12aの裏面には、ケージ本体201の開口部202の下縁に支持される溝31を有する支持部30が備えられている。また、受け部12の底面12a上面には、スライド部材20の位置決め部材である凹凸部材13が設けられている。
【0021】
スライド部材20は、上面及び貯留部側側面が開口された略箱状をしている。スライド部材20の左右両側面21は、その前方側は貯留部10の底に合わせてR状に形成されている。また、貯留部側側面が開口されているため、スライド部材20が図4に示す如く後方に引き出された場合にも、滞ることなく貯留部10からの餌が給餌部11の方に押しやられる。スライド部材20の左右両側面21には、貯留部10内において上方に伸びた突起21aが備えられ、開口14からスライド部材20が抜けるのを防いでいる。そして、スライド部材20の裏面には、受け部12の凹凸部材13と対をなす凹凸部材23が備えられている(図2参照)。
【0022】
一対の凹凸部材13,23はスライド部材20を受け部12内側の所定位置にて位置決めするものであって、図示する受け部12の凹凸部材13は4つの凸部13aを有している。また、スライド部材20の凹凸部材23は4つの凹部23aを有し、スライド部材20の位置によって1乃至4つの凹部23aと凸部13aとが噛み合う。例えば、スライド部材20を最も貯留部10側に押し込めば4つの凹部23aと4つの凸部13aが噛み合い、スライド部材20を最もケージ内側に引き出せば1つの凹部23aと1つの凸部13aが噛み合う。つまり、このスライド部材20は4段階で挿入量を変化できる。なお、一旦位置決めされた後にスライド部材20が容易に動かなければ凹凸部材13,23は必須のものではない。また、所定位置に位置決めしてスライド部材20が容易に動かないものであればその構造は問われるものではなく、すべり止め用の樹脂シートやその他の位置決め機構を用いることができる。
【0023】
この給餌箱1においては、受け部12とスライド部材20とによってケージ本体201内に挿入される給餌部11が構成されている。給餌部11は、ケージ内の動物が餌を摂取する場所であり、頭部を入れることができる上面開口22がスライド部材20と貯留部10の開口14とによって形成される。
【0024】
このとき、図1に示す如くスライド部材20を開口14の奥まで押し込めば、折曲部12cの端面にスライド部材20の後方側面の内面が当接し、給餌部11の上面開口22が最も小さくなる。一方、スライド部材20を後方側に引き出した場合には突起21aが貯留部10の後側壁内面に当接し、給餌部11の上面開口22が最も大きくなる。このように、スライド部材20の挿入量によって給餌部11の上面開口22の大きさ、つまり、上面開口22の配設方向(スライド方向)長さが変化する。
【0025】
挿入方向におけるスライド部材20の大きさは任意に決められるが、モルモット用の給餌箱1として使用できるように、スライド部材20を最も押し込んだ場合に、給餌部11の上面開口22の配設方向長さがモルモット体幅の少なくとも1/2以上2/3以下となるように設計されている。具体的に説明すると、モルモットの体幅は一般的には6cm〜9cmにまで成長し、頭部口周辺サイズはおおよそ3cm×2.5cm〜4cm×3cmとなるので、モルモット体幅に比べて十分小さく、かつモルモットの頭部口周辺が上面開口22から入る程度の大きさ、すなわち、上面開口22の配設方向長さが3〜6cmとなるように設計される。より正確に言えば、ケージ本体201に取り付けた場合に、挿入開口長が最小限となる場合で、モルモット体幅の少なくとも1/2以上2/3以下、すなわち、挿入開口長が3〜6cmとなるように設計される。ここにおいて挿入開口長とはケージ内の動物が餌を摂取するために実質的に利用できる給餌部11の上面開口22の挿入方向長さをいい、開口部202よりもケージ内側において開口している部分の長さを意味する。なお、一般的な飼育ケージにおいては、ケージ本体201の開口部202位置と貯留部10の開口14位置はほぼ一致し、配設方向長さと挿入開口長との差はケージ本体201の前面の厚みのみであり、実際上は給餌部11の上面開口22の配設方向長さがモルモット体幅の1/2以上2/3以下であれば、挿入開口長もほぼこの範囲となる。
【0026】
一方、スライド部材20を、図4に示すように最も引き出した場合には、上面開口14の配設方向長さ(挿入開口長)は、従来のウサギ用の飼育ケージに用いられる給餌箱とほぼ同じ大きさになり、概ね8〜10cm程度である。なお、給餌部11の幅は、ウサギ用の給餌箱、モルモット用の給餌箱のいずれの幅でも問題はなく、適宜定めることができる。
【0027】
当該給餌箱1は、図3に示す如く従来例と同様に、給餌部11が開口部202から挿入されて、ケージ本体201に取り外し可能に取り付けられる。このとき、受け部12裏面にある支持部30の溝31が開口部202の下縁に支持され、貯留部10上端に備えられた係止用枠部材15がケージ本体201上部に備えられたフック部材203に係止される。ケージ本体201の構造は特に制限を受けるものではなく、従来例に示すケージ本体201がそのまま用いられ、給餌箱1を取り付けるための開口部202を有するケージ本体201であればよく、前面が金網であって他の周面及び天面が板状のものでも差し支えない。また、好ましくは貯留部10をケージ本体201の前面に沿って設置するためのフック部材203を備えたものがよい。給餌箱1のバランスが悪く、取り付け後に自重等で倒れないようにするためである。
【0028】
この給餌箱1は上記したように、スライド部材20を最も押し込んだ位置にてケージ本体201に取り付けた場合、給餌部11の上面開口22がケージ本体201内側にて挿入開口長が小さくなり、モルモットが給餌部11に乗ることができくなる。このため、給餌部11内にて糞尿ができず餌が汚れない。従って、餌を頻繁に交換せずに済み、給餌部11を大きくして多くの餌量を入れておくことができる。また、スライド部材20を引き出せば、挿入開口長が大きくなり、ウサギ用飼育ケージの給餌箱1として用いることができる。このように、ウサギ用の給餌箱として、またモルモット用の給餌箱としても用いることができる。また、挿入開口長を数段階で変化させることができるため、モルモットの成長に合わせて食べやすいようにも調整できる。
【0029】
図5は本発明の第2の実施形態である給餌箱1の斜視図である。当該給餌箱1は、下端面が塞がれ側壁下端部に開口14を有する略筒状の貯留部10と、前記開口14から前記貯留部10の下端部にスライド可能に装着される上面が開口した箱状のスライド部材20とを有する。当該スライド部材20は、あたかも引き出しの如く貯留部10の開口14内においてスライドするものである。この給餌箱1は、第1の実施形態とは異なり、スライド部材20だけで給餌部11が構成される。開口14の周囲には、わずかな幅で補助枠16が貯留部10と一体に設けられている。この補助枠16は、支持部30を設けると共にスライド部材20の挿入を助けるものである。
【0030】
このスライド部材20の貯留部10側の側面上端部には、供給補助板25が図示しないヒンジ機構を介して取り付けられている。供給補助板25は、貯留部10の前面側上方に傾斜して備えられ、これにより貯留部10に供給された餌がスライド部材20内に支障無く供給される。供給補助板25の上方側端部は図6(b)に示すごとく下方に曲り曲げられ、止め部26が形成されている。この止め部26は、貯留部10の前面内壁面に形成された上下2個所の受け部17に係止され、受け部17と共にスライド部材20の位置決め機構を構成している。
【0031】
当該給餌箱1においても、スライド部材20が前後にスライドして、給餌部11の上面開口22の挿入開口長が変化する。すなわち、スライド部材20を貯留部10側に押し込めば挿入開口長が小さくなり、スライド部材20をケージ内側に引き出せば挿入開口長が大きくなる。なお、当該実施形態における挿入開口長は、補助枠16からケージ本体内側に飛び出た挿入方向長さとなり、上面開口22の配設方向長さと同じである。
【0032】
また、開口14(補助枠16)から抜け落ちない限りにおいて挿入開口長を任意に調整できるが、この実施形態では2つの受け部17によって挿入開口長が規制されている。すなわち、スライド部材20を貯留部10側に押し込めば、供給補助板25の上方側端部は上昇し、止め部26は2個所の受け部17のうち上側の受け部17に係止される(図6(a)(b)の実線参照)。このとき、挿入開口長(上面開口22の配設方向長さ)がモルモット体幅の1/2以上2/3以下、具体的には3〜6cmとなるように受け部17の位置及び供給補助板25の長さが決められる。一方、止め部26を受け部17から取り外し、スライド部材20を引き出した場合には、供給補助板25の上方側端部は下降し、止め部26は下側の受け部17に係止される(図6(a)(b)の破線参照)。この場合には、挿入開口長が従来例の給餌箱1と同様になるように下側の受け部17の位置等が決められる。このように箱状のスライド部材20を用いて、給餌部11の上面開口22の挿入開口長を変えるようにしてもよい。
【0033】
図7は本発明の第3の実施形態である給餌箱1の斜視図である。この給餌箱1も箱状のスライド部材20を用いたものであるが、供給補助板25はその上方側端部が貯留部10の前面内壁面に図示しないヒンジ機構を介して取り付けられ、下方側端部がスライド部材20内に延伸するように貯留部10内に傾斜して備えられている点で第2の実施形態と異なる。この給餌箱1においても、スライド部材20が前後にスライドして給餌部11の上面開口22の挿入開口長が変化する。すなわち、スライド部材20を開口14内に押し込めば、挿入開口長をモルモット体幅の1/2以上2/3以下にできる。また、スライド部材20を引き出し、挿入開口長を従来の給餌箱1と同様な大きさにできる。この給餌箱1では、スライド部材20の位置決め機構には、図示はしないが例えば第1の実施形態で用いた一対の凹凸部材13,23を用いることができる。また、スライド部材20の貯留部10側端面の上端部と供給補助板25の裏面との間で、図6(b)に示すような受け部と止め部とからなる位置決め機構を備えることもできる。
【0034】
このように上記の各給餌箱1は、ケージ本体201内側に挿入された給餌部11の上面開口22の挿入開口長(上面開口22の配設方向長さ)をモルモット体幅の1/2以上2/3以下に設定することができる。この長さにしてケージ本体201に取り付ければ、モルモットが給餌部11の上面に乗ることができず、糞尿による汚染を防ぐことができる。この結果、貯留部10に多くの餌を供給しても無駄にならず、一度に多くの餌を供給しておくことができる。また、給餌部11を従来の給餌箱210と同じような挿入開口長にすることもできるので、ウサギなどモルモットよりもさらに大きな小型動物やそれ以上の大きさであるミニブタなどの中型動物の給餌箱1としても利用できる。
【0035】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の技術的思想を満たす限りにおいて種々の変形が考えられるのは言うまでもなく、挿入開口長の可変範囲を変化させることにより、種々の実験動物に好適な飼育ケージを提供できる。また、挿入開口長は、ウサギ用及びモルモット用と大小2段階に設定するのが維持管理の上では便利であり、使用中も固定して使用できる。しかし、本発明においては必ずしも2段階の固定にする必要もなく、上面開口22の挿入開口長を任意若しくは上記で例示した如く数段階に変化させるようにしてもよい。モルモットの成長に応じて餌を摂取しやすくするため、給餌部11の上面開口22を大きくできるからである。この場合、任意に変化させるためには、位置決め機構を設けなければよい。さらに、挿入開口長を小さい場合でモルモット体幅の1/2以上2/3以下に設定できるものであればよく、これよりも小さくなるように構成して、ラットやマウス用の給餌箱とすることも可能であり、何等それよりも小さくなるものを排除するものではない。つまり、小さくした場合にというのは、挿入開口長(給餌部11の上面開口22)がそれよりも大きくなることを意味する。
【0036】
また、本発明の給餌箱は、挿入開口長が可変に構成されるものであればよく、モルモット用以外の用途にする場合には、必ずしも挿入開口長をモルモット体幅の1/2以上2/3以下にできる必要はない。例えば、ミニブタとウサギの双方兼用の給餌箱にする場合には、両者に適した上面開口22が得られるようにすればよく、さらに挿入開口長の可変範囲をもっと大きくして、ウサギからイヌやブタ用にまで使用可能な給餌箱としてもよい。さらに、上記実施形態では、ケージ開口部に確実に装着すべく給餌部11の下面には支持部30が備えられているが、当該支持部30も必須のものではなく、給餌部11の下面を平らにしていてもよい。この場合にはケージの床面に載置して用いることができる。
【0037】
【発明の効果】
本発明の給餌箱は、給餌部の上面開口の挿入開口長(配設方向開口長)が可変に構成されているので、一つの給餌箱を、例えばモルモット用の給餌箱として用いたり、ウサギ用の給餌箱として用いることができる。このように、本発明の給餌箱を用いることによって、飼育ケージの汎用性が高められる。この結果、モルモット用、ラット用の共用飼育ケージとして1種類の本体ケージと給餌箱が有ればよく、従来の各種動物に応じた飼育ケージを用いる場合に比べ、動物飼育に使用しない本体ケージや給餌箱の管理スペースを少なくできる。また、本体ケージと給餌箱とを一組として保管できるため、保管が容易になり、給餌箱のみが乱雑に保管されることも防げる。
【0038】
また、給餌箱は給餌部の上面開口の挿入開口長が小さい場合でモルモット体幅の1/2以上2/3以下に設定されうるので、この状態で使用した場合、ケージ内に入れられたモルモットは給餌部に乗ることができず、上面開口内において糞尿が出来なくなる。このため、餌が汚されず、餌を貯留しておく貯留部に多量の餌を供給しておくことができ、モルモットの長期飼育に際して餌の交換頻度を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である給餌箱の斜視図である。
【図2】図1に示す給餌箱の分解斜視図である。
【図3】図1に示す給餌箱をケージ本体に装着した状態を示す斜視図である。
【図4】図1に示す給餌箱のスライド部材を引き出した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施形態である給餌箱の斜視図である。
【図6】図5に示す給餌箱の動きを示す説明図であって、(a)はその側面説明図、(b)はスライド部材の位置決め機構を示す拡大説明図である。
【図7】本発明の第3の実施形態である給餌箱の斜視図である。
【図8】従来例であるマウス、ラット用の飼育ケージの分解斜視図である。
【図9】別な従来例であるモルモットやウサギ用の飼育ケージの斜視図である。
【図10】図9に示す飼育ケージに用いられる給餌箱の斜視図である。
【符号の説明】
1 給餌箱
10 貯留部
11 給餌部
20 スライド部材
22 給餌部の上面開口
30 支持部
Claims (9)
- 前面に開口部を備えたケージ本体と、ケージ前面に配置され餌を貯留する貯留部と当該貯留部の下端に備えられ前記開口部に挿入される給餌部を有する横断面略L字形状をした給餌箱を備えた動物飼育ケージにおいて、
前記給餌箱は、給餌部の上面開口の挿入開口長が可変に構成されたことを特徴とする動物飼育ケージ。 - 前記給餌箱は、前記挿入開口長を小さくした場合において前記挿入開口長がモルモット体幅の1/2以上2/3以下に設定されうることを特徴とする請求項1記載の動物飼育ケージ。
- 前記給餌部は、前記貯留部の下端部に設けられた開口に挿入可能に装着されるスライド部材を備え、当該スライド部材の挿入に応じて前記挿入開口長が変化することを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の動物飼育ケージ。
- 前記貯留部は下端面が塞がれ側壁下端部に開口を有する略筒状体からなり、前記給餌部は前記貯留部開口の両端及び下端から延設された受け部と当該受け部の内側でスライド可能に装着され上面及び貯留部側側面が開口された略箱状のスライド部材とからなることを特徴とする請求項3に記載の動物飼育ケージ。
- 前記貯留部は下端面が塞がれ側壁下端部に開口を有する略筒状体からなり、前記給餌部は前記貯留部開口から前記貯留部の下端部にスライド可能に装着される上面が開口した箱状のスライド部材からなることを特徴とする請求項3に記載の動物飼育ケージ。
- 餌を貯留する貯留部と当該貯留部の下端に前記貯留部とほぼ垂直に備えられ摂餌用の開口が上面に開設された給餌部を有する横断面略L字形状をした給餌箱において、
前記給餌部の上面開口の配設方向開口長が可変に構成されたことを特徴とする給餌箱。 - 前記給餌箱は、下端面が塞がれ側壁下端部に開口を有する略筒状の貯留部と、前記開口部に挿入され前記貯留部の開口の両端及び下端から延設された受け部と、当該受け部の内側でスライド可能に装着され上面及び貯留部側側面が開口された略箱状のスライド部材とからなることを特徴とする請求項6に記載の給餌箱。
- 前記給餌箱は、下端面が塞がれ側壁下端部に開口を有する略筒状の貯留部と、前記開口部に挿入され前記貯留部の開口から前記貯留部の下端部にスライド可能に装着される上面が開口した箱状のスライド部材とからなることを特徴とする請求項7に記載の給餌箱。
- 前記配設方向開口長を小さくした場合において当該延設方向開口長がモルモット体幅の1/2以上2/3以下に設定されうることを特徴とする請求項6、7又は8の何れかに記載の給餌箱。
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2002
- 2002-06-24 JP JP2002183738A patent/JP2004024083A/ja active Pending
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