JP2004020314A - 高感度歪計測装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】必要に応じて計測感度を高められる高感度歪計測装置を提供する。
【解決手段】光ファイバ2の任意の長さの区間(計測感度を高める区間)31の両端を第1固定点41,42として、固定治具4で光ファイバ2に張力を付与した状態で且つ前記区間31内における被計測構造物2の一部が変形しても前記両端の位置が変化しないように無変形構造物3(又は被計測構造物の無変形部分)に固定することにより、前記区間31を無変形区間とし、また、光ファイバ2の無変形区間31の間の点51を第2固定点として、固定治具5で被計測構造物1に固定する。また、1つの前記無変形区間の長さ或いは連続する複数の前記無変形区間の合計の長さが、歪計測の空間分解能に等しい長さとなるようにしてもよい。また、各歪区間の初期歪を不均等にして、無変形区間内のブリルアン散乱光のパワースペクトルのピークを2つに確実に分離させるようにしてもよい。
【選択図】 図1
【解決手段】光ファイバ2の任意の長さの区間(計測感度を高める区間)31の両端を第1固定点41,42として、固定治具4で光ファイバ2に張力を付与した状態で且つ前記区間31内における被計測構造物2の一部が変形しても前記両端の位置が変化しないように無変形構造物3(又は被計測構造物の無変形部分)に固定することにより、前記区間31を無変形区間とし、また、光ファイバ2の無変形区間31の間の点51を第2固定点として、固定治具5で被計測構造物1に固定する。また、1つの前記無変形区間の長さ或いは連続する複数の前記無変形区間の合計の長さが、歪計測の空間分解能に等しい長さとなるようにしてもよい。また、各歪区間の初期歪を不均等にして、無変形区間内のブリルアン散乱光のパワースペクトルのピークを2つに確実に分離させるようにしてもよい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光ファイバをセンサとして用いて構造物の歪を計測することにより、構造物の変形を調べる高感度歪計測装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
構造物の変形を計測する従来の技術としては、光ファイバに発生するブリルアン散乱光の歪依存性を用いて光ファイバの歪を計測する技術(文献[1] T.Horiguchi et.ai., “Development of a distributed sensing technique using Brillouin scattering ”,J,Lightwave Technol.,vol.13,no.7,pp.1296−132,July 1995)を用いて、構造物の変形を計測する方法がある。
【0003】
この方法では、光ファイバをあらかじめ計測対象の構造物に固定しておき、この光ファイバにパルス光を入射したときに発生するブリルアン散乱光のパワーを光ファイバの長さ方向に連続して計測することを、光ファイバへ入射するパルス光の周波数を少しずつ(10MHz程度)ずらしながら何度も行うことにより、光ファイバの任意の位置でのブリルアン散乱光のパワースペクトルを取得する。このとき、計測の空間分解能は、光ファイバへ入射するパルス光のパルス幅wで決まり、w/2である(文献[1] 参照)。また、入射パルス光の波長が1.55μmの場合には、光ファイバの歪1%に対するブリルアン散乱光のパワースペクトルのシフト量は0.5GHz程度である(文献[1] 参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術である文献[1] の計測方法の場合、歪が小さい領域においては、計測したい歪が、歪計測誤差範囲内となってしまうために計測できず、構造物の大きな変形の予兆を十分に捕らえきれない可能性があった。構造物の構造上重要な部分を他よりも感度を高めて歪を計測する必要がある場合、入射光の波長を変える等、計測系を大幅に変更する手段しか存在しなかった。
【0005】
また、歪ゲージのように金属の抵抗の歪依存性を利用したセンサもあるが、各センサに対し導線が必要であるため、多くの計測点を設けることができない。更に導線の抵抗による電圧の減衰のため、計測器からセンサまでの距離は100m程度に限られる。
【0006】
従って、本発明の目的は上記の事情に鑑み、必要に応じて計測感度を高めることが可能である高感度歪計測装置を提供することである。それにより歪ゲージ等の電気式歪計測方法では実現困難な長距離にわたる大型構造物の変形を光ファイバ1本で実施することができる。光ファイバ自体がセンサとなるため、各計測点への給電や配線は不要となる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する第1発明の高感度歪計測装置は、被計測構造物の歪を計測するためのセンサとしての光ファイバと、
前記光ファイバを前記被計測構造物に固定する手段であり、前記光ファイバの任意の長さの区間の両端を第1固定点として、前記光ファイバに張力を付与した状態で且つ前記区間内における前記被計測構造物の一部が変形しても前記両端の位置が変化しないように前記被計測構造物の無変形部分或いは別の無変形構造物に固定することにより、前記区間を無変形区間とし、前記光ファイバの前記無変形区間の間の点を第2固定点として前記被計測構造物に固定する光ファイバ固定手段と、
一定の空間分解能で前記光ファイバに発生した歪を計測する手段であり、前記第2固定点を挟んだ両側の前記第1固定点までの歪区間において発生した前記光ファイバの歪の差を算出し、この歪の差から前記被計測構造物の前記無変形区間内における歪を算出する歪計測手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、第2発明の高感度歪計測装置は、被計測構造物の歪を計測するためのセンサとしての光ファイバと、
前記光ファイバを前記被計測構造物に固定する手段であり、前記光ファイバの任意の長さの区間の両端を第1固定点として、前記光ファイバに張力を付与した状態で且つ前記区間内における前記被計測構造物の一部が変形しても前記両端の位置が変化しないように前記被計測構造物の無変形部分或いは別の無変形構造物に固定することにより、前記区間を無変形区間とし、前記光ファイバの前記無変形区間の間の点を第2固定点として前記被計測構造物に固定する光ファイバ固定手段と、
前記光ファイバに光を入射したときに発生するブリルアン散乱光のパワースペクトルのピーク周波数が前記光ファイバに発生している歪に依存してシフトすることを利用して、一定の空間分解能で前記光ファイバに発生した歪を計測する手段であり、前記第2固定点を挟んだ両側の前記第1固定点までの歪区間において発生した前記光ファイバの歪の差を算出し、この歪の差から前記被計測構造物の前記無変形区間内における歪を算出する歪計測手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、第3発明の高感度歪計測装置は、被計測構造物の歪を計測するためのセンサとしての光ファイバと、
前記光ファイバを前記被計測構造物に固定する手段であり、前記光ファイバの任意の区間の両端を第1固定点として、前記光ファイバに張力を付与した状態で且つ前記区間内における前記被計測構造物の一部が変形しても前記両端の位置が変化しないように前記被計測構造物の無変形部分或いは別の無変形構造物に固定することにより、前記区間を無変形区間とし、前記光ファイバの前記無変形区間の間の点を第2固定点として、前記被計測構造物に固定し、しかも、1つの前記無変形区間の長さ或いは連続する複数の前記無変形区間の合計の長さが、歪計測の空間分解能に等しい長さとなるようにする光ファイバ固定手段と、
前記光ファイバに光を入射したときに発生するブリルアン散乱光のパワースペクトルのピーク周波数が前記光ファイバに発生している歪に依存してシフトすることを利用して、一定の前記空間分解能で前記光ファイバに発生した歪を計測する手段であり、前記空間分解能に等しい長さの前記無変形区間内におけるブリルアン散乱光のパワースペクトルのピーク周波数の前記被計測構造物の変形による変化を検出することにより、前記第2固定点を挟んだ両側の前記第1固定点までの歪区間における光ファイバの歪を算出し、これらの歪区間の歪から前記第2固定点の変形を算出し、この第2固定点の変形から前記被計測構造物の歪を算出する歪計測手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、第4発明の高感度歪計測装置は、被計測構造物の歪を計測するためのセンサとしての光ファイバと、
前記光ファイバを前記被計測構造物に固定する手段であり、前記光ファイバの任意の区間の両端を第1固定点として、前記光ファイバに張力を付与した状態で且つ前記区間内における前記被計測構造物の一部が変形しても前記両端の位置が変化しないように前記被計測構造物の無変形部分或いは別の無変形構造物に固定することにより、前記区間を無変形区間とし、前記光ファイバの前記無変形区間の間の点を第2固定点として、前記被計測構造物に固定し、しかも、1つの前記無変形区間の長さ或いは連続する複数の前記無変形区間の合計の長さが、歪計測の空間分解能に等しい長さとなるようにし、且つ、前記第2固定点を挟んだ両側の前記第1固定点までの歪区間であって前記空間分解能の中に含まれる全ての歪区間の初期歪が互いに異なるように前記歪区間における前記光ファイバの初期張力を設定することにより、前記無変形区間内のブリルアン散乱光のパワースペクトルのピークを前記歪区間の個数に等しい個数に分離させて区別する光ファイバ固定手段と、
前記光ファイバに光を入射したときに発生するブリルアン散乱光のパワースペクトルのピーク周波数が前記光ファイバに発生している歪に依存してシフトすることを利用して、一定の空間分解能で前記光ファイバに発生した歪を計測する手段であり、前記の2つに分離して区別する前記無変形区間内のブリルアン散乱光のパワースペクトルのピーク周波数の差を算出し、このピーク周波数の差から前記被計測構造物の前記無変形区間内における歪を算出する歪計測手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、第5発明の高感度歪計測装置は、第3発明の高感度歪計測装置において、前記光ファイバ固定手段では、前記第2固定点が前記空間分解能に等しい長さの無変形区間の中央位置となるようにすることを特徴とする。
【0012】
また、第6発明の高感度歪計測装置は、第4発明の高感度歪計測装置において、前記光ファイバ固定手段では、前記第2固定点が前記空間分解能に等しい長さの無変形区間の中央位置となるようにすることを特徴とする。
【0013】
第1発明の高感度歪計測装置では、光ファイバの任意の長さの区間の両端を第1固定点として、光ファイバに張力を付与した状態で且つ前記区間内における被計測構造物の一部が変形しても前記両端の位置が変化しないように被計測構造物の無変形部分或いは別の無変形構造物に固定することにより、前記区間を無変形区間とし、光ファイバの前記無変形区間の間の点を第2固定点として被計測構造物に固定するため、第2固定点が、第2固定点の両側に位置する第1固定点のうちの一方の第2固定点側に変形(例えば図1において第2固定点51が第1固定点41側に変形)した場合、第2固定点と一方の第1固定点との間の歪区間(例えば図1における第2固定点51と第1固定点41との間の歪区間21)では変形前に比べて光ファイバの歪が小さくなり、第2固定点と他方の第1固定点との間の歪区間(例えば図1における第2固定点51と第1固定点42との間の歪区間22)では変形前に比べて光ファイバの歪が大きくなる。従って、この2つの歪の差を検出することにより最大2倍の計測感度向上が可能となる。
【0014】
第1発明の高感度歪計測装置では、光ファイバの歪計測手段は任意であるが、第2発明から第6発明の高感度歪計測装置では、光ファイバの歪計測手段として、光ファイバの歪によるブリルアン散乱光のパワースペクトルのピーク周波数の変化を検出することにより光ファイバの歪を計測する手段を備えたことを特徴としている。
【0015】
第3発明の高感度歪計測装置では、第1発明と同様に光ファイバを被計測構造物と、被計測構造物の無変形構造物又は別の無変形構造物とへ固定する。但し、1つの無変形区間の長さ或いは連続する複数の無変形区間の合計の長さが、歪計測の空間分解能に等しい長さ(例えば文献[1] の方法では入射パルス光のパルス幅の半分の長さ)となるようにしている(例えば図2或いは図4に示すように光ファイバを固定する)。この空間分解能に一致する区間に相当するブリルアン散乱光のパワースペクトルは、同空間分解能以内に複数の歪が入り混じった状態となるため、例えば図3或いは図5の実線のようになり(ピークの数がもっと少ないこともある)、被計測構造物への第2固定点(例えば図2では第2固定点51、図4では第2固定点51,52の何れか)が動くと、スペクトルの周波数が変化する。このスペクトル周波数の変化は動いた第2固定点の両側の歪区間の歪情報を含むため、これらの歪の差を求めることにより計測感度を向上させることが可能となる。
【0016】
請求項4の高感度歪計測装置は、第2固定点の両側の歪区間(例えば図2では第2固定点51の両側の歪区間21,22、図4では第2固定点51の両側の歪区間21,22及び第2固定点52の両側の歪区間23,24)の初期歪を不均等とすることにより、これらの歪区間の光ファイバからのブリルアン散乱光のパワースペクトルが、それぞれ分離したピークとして確実に現れるようにすることによって、歪の解析を容易にするものである。例えば図3では歪区間21,22の歪を不均等にすることにより実線のように歪区間21,22に対応した2つのピークが確実に現れるようにし、図5では歪区間21,22,23の歪を不均等にすることにより実線のように歪区間21,22,23,24に対応した4つのピークが確実に現れるようにしている。
【0017】
請求項5の高感度歪計測装置は、請求項3の特殊な場合で、被計測構造物と光ファイバとを固定する第2固定点が空間分解能の中で1点のみであり、且つ、この第2固定点を空間分解能(空間分解能に等しい長さの無変形区間)の中央位置とすることにより、解析を請求項3と比較して容易にするものである。なお、請求項3,5については、例えばブリルアン散乱光のパワースペクトルのピーク周波数のみに着目するのではなく、複数のローレンツ型のカーブからなる曲線をあらかじめ仮定してブリルアン散乱光のパワースペクトルの計測値をそのカーブに当てはめることにより、例えば図3の点線や図5の点線のように各々の領域(図3では歪区間21,22、図5では歪区間21,22,23,24)から散乱されたローレンツ型スペクトルに分離することが可能である。
【0018】
請求項6の高感度歪計測装置は、請求項4の特殊な場合で、被計測構造物と光ファイバとを固定する第2固定点が空間分解能の中で1点のみであり、且つ、第2固定点を空間分解能(空間分解能と等しい長さの無変形区間)の中央位置とすることにより、解析を請求項4と比較して容易にするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。なお、本発明はこれらの図面により限定されるものではない。
【0020】
<実施の形態1>
図1は本発明の実施の形態1に係る高感度歪計測装置の構成図である。図1には光ファイバを被計測構造物と無変形構造物とに固定することによって計測感度を向上させる場合の構成例を模式的に示している。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態1の高感度歪計測装置では、被計測構造物1の歪を計測するためのセンサとしての光ファイバ2と、光ファイバ固定手段としての固定治具4,5と、歪計測手段としての歪計測器6とを備えている。そして、被計測構造物1の変形を高感度で計測したい点51を第2固定点として、固定治具5により光ファイバ2に固定し、この第2固定点51の両側に固定治具4で無変形構造物(変形しない構造物)3に光ファイバ2を固定した第1固定点41,42を設けている。
【0022】
即ち、光ファイバ2の任意の長さの区間(計測感度を高める区間)31の両端を第1固定点41,42として、固定治具4で光ファイバ2に張力を付与した状態で且つ前記区間31内における被計測構造物2の一部が変形しても前記両端の位置が変化しないように無変形構造物3(又は被計測構造物の無変形部分)に固定することにより、前記区間31を無変形区間としている。そして、光ファイバ2の無変形区間31の間の点51を第2固定点として、固定治具5で被計測構造物1に固定している。
【0023】
この場合、例えば被計測構造物1の第2固定点51が第1固定点41側に変形すると、第2固定点51と第1固定点41との間の歪区間21では、変形前に比べて光ファイバ2の歪が小さくなり、第2固定点51と第1固定点42との間の歪区間22では、変形前に比べて光ファイバ2の歪が大きくなる。従って、この2つの歪の差を算出することにより最大2倍の計測感度の向上が可能である。
【0024】
例えば被計測構造物1が変形する前の歪区間21,22の初期歪を等しくε0 とおいた場合、被計測構造物1の変形によって例えば第1固定点51が第1固定点41側に動いたとすると、それによって生じた歪をεとすれば、変形後の歪区間21,22の歪は、それぞれε0 −ε,ε0 +εになる。従って、この2つの歪の差2εを求めることにより、従来のように被計測構造物のみに光ファイバを固定した場合に計測できる歪量εと比較して、2倍の計測感度の向上が達成できる。
【0025】
歪計測器6は、従来と同様に光ファイバ2に発生するブリルアン散乱光の歪依存性を用いて光ファイバの歪を計測する技術(文献[1] 参照)を用いて、被計測構造物1の変形(歪)を計測するものである。即ち、歪計測器6は、光ファイバ2の端部に接続されており、この光ファイバ2にパルス光(レーザ光)を入射したときに発生するブリルアン散乱光のパワーを光ファイバ2の長さ方向に連続して計測することを、光ファイバ2へ入射するパルス光の周波数を少しずつ(例えば10MHz程度)ずらしながら何度も行うことにより、光ファイバ2の任意の位置でのブリルアン散乱光のパワースペクトルを取得するものである。歪計測器6の空間分解能は、光ファイバへ入射するパルス光のパルス幅wで決まり、w/2である。また、入射パルス光の波長が1.55μmの場合には、光ファイバの歪1%に対するブリルアン散乱光のパワースペクトルのシフト量は0.5GHz程度である。
【0026】
そして、歪計測器6では、前述のように第2固定点51を挟んだ両側の第1固定点41,42までの歪区間21,22において発生した光ファイバ2の歪の差を算出し、この歪の差から被計測構造物1の無変形区間31内における歪を算出する。
【0027】
なお、歪計測手段としては、必ずしも上記のような光ファイバ2に光を入射したときに発生するブリルアン散乱光のパワースペクトルのピーク周波数が光ファイバ2に発生している歪に依存してシフトすることを利用して、一定の空間分解能で光ファイバ2に発生した歪を計測するものに限定せず、一定の空間分解能で光ファイバ2に発生した歪を計測する手段であって、第2固定点51を挟んだ両側の歪区間21,22で発生した光ファイバ2の歪の差を算出し、この歪の差から被計測構造物2の無変形区間31内における歪を算出するものであればよい。
【0028】
<実施の形態2>
図2は本発明の実施の形態2に係る高感度歪計測装置の構成図である。図2には計測の空間分解能内でその中央の点だけが被計測構造物との固定点となる場合の構成例を模式的に示している。
【0029】
図2に示すように、本実施の形態2の高感度歪計測装置では、上記実施の形態1と同様に被計測構造物1の歪を計測するためのセンサとしての光ファイバ2と、光ファイバ固定手段としての固定治具4,5と、歪計測手段としての歪計測器6とを備えている。
【0030】
具体的には、光ファイバ2の任意の区間(計測感度を高める区間)31の両端を第1固定点41,42として、固定治具4で光ファイバ2に張力を付与した状態で且つ前記区間31内における被計測構造物2の一部が変形しても前記両端の位置が変化しないように無変形構造物3(又は被計測構造物の無変形部分)に固定することにより、前記区間31を無変形区間とし、また、光ファイバ2の無変形区間31の間の点51を第2固定点として、固定治具5で被計測構造物1に固定している。
【0031】
そして、無変形区間31の長さを、歪計測の空間分解能に等しい長さとし、且つ、第2固定点51の位置を、無変形区間31(空間分解能)の中央位置としている。即ち、第2固定点51の両側の第1固定点41,42までの歪区間21,22が、等しい長さとなっている。しかも、固定治具4,5によって光ファイバ2を被計測構造物1と無変形構造物3(又は被計測構造物の無変形部分)とに固定する際、歪区間21,22における光ファイバ2の初期歪が不均等になるように歪区間21,22における光ファイバ2の初期張力を設定する。即ち、空間分解能の中に含まれる全ての歪区間21,22の初期歪が互いに異なるように光ファイバ2の初期張力を設定することにより、無変形区間31内のブリルアン散乱光のパワースペクトルのピークを前記歪区間21,22の個数に等しい個数(この場合には2つ)に分離させて区別する。図示例では歪区間21の初期張力を小さくして初期歪を小さくし、歪区間22の初期張力を大きくして初期歪を大きくしている。このことによって図3に実線で示すようにブリルアン散乱光のパワースペクトルに2つのピークが確実に現れるため、この2つのピークの頂点の情報を歪計測器6で解析することにより、計測感度が2倍となる。
【0032】
詳述すると、本実施の形態2は、図3のように計測の空間分解能内で異なる歪が発生している連続した2つの長さが等しい領域(歪区間21,22)から発生したブリルアン散乱光のパワースペクトルに現われる2つのピークの頂点の情報を解析することによりそれぞれの歪を求めるものである。歪区間21と歪区間22には変形前に異なる初期歪(初期張力)を与えておくことにより、歪区間21と歪区間22をあわせた領域のブリルアン散乱光のパワースペクトルに図3に実線で示すような2つのピークが現れる状態としておく。
【0033】
ブリルアン散乱光のパワースペクトルはローレンツ型であり、周波数軸に沿ってパワースペクトルが歪に比例して変化することが知られている(文献[1])ことを用いると、歪が単一な領域で観測されるブリルアン散乱光のパワースペクトルのピークパワーをh、半値半幅をw、歪区間21,22それぞれの周波数に換算した初期歪をe21,e22とした場合、歪区間21,22それぞれから発生するブリルアン散乱光のパワースペクトルは、入射光周波数を基準としたブリルアン散乱光の周波数をfと置くと、ローレンツ型関数として次の(1)式のように書ける。
【0034】
【数1】
【0035】
ここで、歪区間21の初期歪e21の方が、歪区間22の初期歪e22よりも小さい(e21<e22)と仮定し、且つ、それら平均値を歪の0点とする。このようにしても一般性を失わない。その結果、L21,L22は、a=(e21−e22)/2を用いて、次の(2)式のように書ける。
【0036】
【数2】
【0037】
歪区間21と歪区間22とを合わせた領域つまり空間分解能の長さから発生するブリルアン散乱光は、L=L21+L22となる。
2つのピーク周波数は、dL/df=0を解くことにより求まり、次の(3)式となるため、a>w/√3のときに2つのピークが現われる。従って、この条件を満たすように初期歪を選ぶ必要がある。
【0038】
【数3】
【0039】
この後、例えば図2において第2固定点51が第1固定点41側に動くことにより、歪区間21,22の初期歪に対して、変形により周波数換算した歪がpだけ発生したとすると、L21,L22は次の(4)式のように書ける。
【0040】
【数4】
【0041】
このとき2つのピーク周波数の差Δfは、次の(5)式のように書ける。
【0042】
【数5】
【0043】
Δf<2(a+p)となるため、計測感度は2倍より小さい。しかし、(a+p)≫wのときには、次の(6)式を用いると、Δf≒2(a+p)であることが分かる。
【0044】
【数6】
【0045】
従って、実用的には、ピーク周波数の差を計測すれば感度を2倍にすることが可能となる。(a+p)=2w,2w,4wとしたときの、2(a+p)とΔfの差は、約0.028w,0.0088w,0.0038w程度であり、適切な初期値を選ぶことで実用上問題ない程度まで誤差を低減させることが可能であることがわかる。
【0046】
ところで、この場合、ブリルアン散乱光のパワースペクトルのピーク周波数のみに着目するのではなく、複数のローレンツ型のカーブからなる曲線をあらかじめ仮定してブリルアン散乱光のパワースペクトルの計測値をそのカーブに当てはめることにより、図3の点線のように各々の領域(歪区間21,22)から散乱されたローレンツ型スペクトルに分離することも可能である。そして、これらから各歪区間21,22における光ファイバ2の歪を算出し、これらの歪から被計測構造物1への第2固定点51の変形を算出し、この第2固定点51の変形から被計測構造物1の歪を算出することができる。
【0047】
<実施の形態3>
図4は本発明の実施の形態3に係る高感度歪計測装置の構成図である。図4には計測の空間分解能を低めることなく計測感度を向上させるために光ファイバを空間分解能よりも小さな区間で被計測構造物と無変形構造物とに交互に固定することによって計測感度を向上させる場合の構成例を模式的に示したものである。
【0048】
図4に示すように、本実施の形態3の高感度歪計測装置では、被計測構造物1の歪を計測するためのセンサとしての光ファイバ2と、光ファイバ固定手段としての固定治具4,5と、歪計測手段としての歪計測器6とを備えている。そして、被計測構造物1の変形を高感度で計測したい点51,52を第2固定点として、固定治具5により光ファイバ2に固定し、更に、これらの第2固定点51,52の両側に固定治具4で無変形構造物3に光ファイバ2を固定した第1固定点41,42,43を設けている。
【0049】
即ち、光ファイバ2の任意の区間(計測感度を高める区間)31,32の両端を第1固定点41,42,43として、固定治具4で光ファイバ2に張力を付与した状態で且つ前記区間31,32内における被計測構造物2の一部が変形しても前記両端の位置が変化しないように無変形構造物3(又は被計測構造物の無変形部分)に固定することにより、前記区間31を無変形区間とし、また、光ファイバ2の無変形区間31,32の間の点51,52を第2固定点として固定治具5で被計測構造物1に固定している。
【0050】
そして、連続する2つの無変形区間31,32の合計の長さを、歪計測の空間分解能に等しい長さとしている。また、図示例では第2固定点51の位置を、無変形区間31の中央位置とし、第2固定点52の位置を、無変形区間32の中央位置としている。しかも、固定治具4,5によって光ファイバ2を被計測構造物1と無変形構造物3(又は被計測構造物の無変形部分)とに固定する際、第2固定点51を挟んだ両側の第1固定点41,42までの歪区間21,22における光ファイバ2の初期歪、及び、第2固定点52を挟んだ両側の第1固定点42,43までの歪区間21,22における光ファイバ2の初期歪が、不均等になるように歪区間21,22,23,24における光ファイバ2の初期張力を設定する。即ち、空間分解能の中に含まれる全ての歪区間21,22,23,24の初期歪が互いに異なるように光ファイバ2の初期張力を設定することにより、無変形区間31,32内のブリルアン散乱光のパワースペクトルのピークを前記歪区間21,22,23,24の個数に等しい個数(この場合には4つ)に分離させて区別する。
【0051】
図示例では歪区間21,22,23,24の順に初期歪が大きくなるように初期張力を設定しており、この場合、図5に実線で示すように各無変形区間31,32に対応してそれぞれのブリルアン散乱光のパワースペクトルに2つのピークが現れる。即ち、各歪区間21,22,23,24に対応して4つのピークが現れる。このため、歪計測器6では、各々のブリルアン散乱光のパワースペクトルのピーク周波数から歪を算出することが可能であり、計測感度が2倍となる。この場合も、上記実施の形態2の場合に比べて空間分解能内の歪区間が増えるだけで事情は上記実施の形態2の場合と全く同じである。
【0052】ところで、この場合にも、上記実施の形態2の場合と同様、ブリルアン散乱光のパワースペクトルのピーク周波数のみに着目するのではなく、複数のローレンツ型のカーブからなる曲線をあらかじめ仮定してブリルアン散乱光のパワースペクトルの計測値をそのカーブに当てはめることにより、図5の点線のように各々の領域(歪区間21,22,23,24)から散乱されたローレンツ型スペクトルに分離することも可能である。そして、これらから各歪区間21,22,23,24における光ファイバ2の歪を算出し、これらの歪から被計測構造物1への第2固定点51,52の変形を算出し、この第2固定点51,52の変形から被計測構造物1の歪を算出することができる。
【0053】
<実施例>
ここで、図6に基づき、本発明の実施例について説明する。図6は本発明の高感度歪計測装置の実施例を示す斜視図である。図6に示すように、例えばコンクリートでできたトンネル61の壁面62において、トンネル61の上部の地山から受ける応力により、2本のクラック(ひび割れ)63が発生したとする。この2本のクラック63に挟まれた領域はその後大きな変形につながる可能性があり、危険個所である。
【0054】
そこで、この危険箇所の計測感度を高めるため、本実施例では2本のクラック63で挟まれたトンネル壁面部分62aの1点51を第2固定点として、固定治具5で光ファイバ2に固定し、且つ、光ファイバ2におけるクラック63の外側の点41,42を第1固定点として、無変形のトンネル下部構造64に固定することにより、高感度歪計測装置を実現している。トンネル下部構造64と光ファイバ2との固定する第1固定点41,42は、トンネル壁面62が移動しても変形しない部分である。なお、光ファイバ2の端には図示しない歪計測器が接続されており、また、トンネル壁面62の他の場所(固定点54,55など)も光ファイバ2に固定されている。
【0055】
本実施例の高感度歪計測装置によれば、危険箇所であるトンネル壁面部分62aに対してはトンネル壁面62の他の場所に比べて最大2倍の計測感度でトンネル壁面の歪を計測することが可能である。図7には図6の高感度歪計測装置による計測結果の例を実線で示す。また、図7には比較のために点線で従来の方法による計測結果も示した。図7に示すように高感度歪計測方法の実施区間(第1固定点41と第2固定点42の間の無変形区間)では、本実施例の高感度歪計測装置により従来の方法に比べて2倍の歪が計測されている。
【0056】
ところで、例えばトンネルでは、短いトンネンル部材を多数接続してコンクリートを吹き付けることにより建設されるため、その継ぎ目が一番弱い部分、つまり危険箇所となる。このような継ぎ目を含めた多くの危険箇所は、トンネル設計時にあらかじめ分かっている。また、トンネルが建設されてから何十年も経っている場合には、その継ぎ目ばかりでなく、あちこちにクラックが生じており、このクラックに挟まれた部分は容易に変形し易く、危険箇所となる。何れにせよ、危険箇所についてはトンネルなどの構造物ごとに何らかの基準が定められており、この基準からあらかじめ知ることができる。
【0057】
光ファイバによる歪計測のメリットは、そのようなあらかじめ分かっている危険箇所以外の部分も含めて連続的に漏れなく歪をモニタリングすることである。しかし、光ファイバによる歪計測の感度は従来の他のセンサに比べて悪いため、なかなか実用化に至らないという現状があり、特定の部分だけでも計測感度を向上させたいという要望があった。これに対して本実施の形態の高感度歪計測装置を用いれば、上記のような光ファイバによる歪計測のメリットを有し、且つ、任意の部分の計測感度を向上させることができる。また、トンネルなどの構造物の全領域にわたって図1、図2又は図4に示すような構成を適用すれば、同構造物の全領域にわたって計測感度を高めることもできる。
【0058】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、例えばトンネルなどの大型構造物の変形を光ファイバを歪センサとしてモニタリングする場合、まんべんなく連続的に計測するだけでなく、あらかじめ分かっている危険箇所については、感度を高めて重点的に計測することができるため、危険な変形の予兆を早期に発見することに効果を発揮する。また、構造物の全領域を本発明による装置で計測すれば、構造物の全領域にわたって計測感度を高めることもでき、小さな歪を誤差から分離して計測することに効果を発揮する。また、光ファイバがセンサであり、かつ、センサ信号の伝送路となることから、歪ゲージを使った計測で問題となるような配線や給電の問題を回避して、長距離に渡って1つの計測器で計測を可能にすることにも効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る高感度歪計測装置の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る高感度歪計測装置の構成図である。
【図3】図2に対応するブリルアン散乱光のパワースペクトル(実線)と、異なる2つの歪区間ごとのブリルアン散乱光のパワースペクトル(点線)とを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態3に係る高感度歪計測装置の構成図である。
【図5】空間分解能内に4つの異なる歪区間が存在する場合のブリルアン散乱光のパワースペクトル(実線)と、歪区間ごとのブリルアン散乱光のパワースペクトル(点線)とを示す図である。
【図6】本発明の高感度歪計測装置の実施例を示す斜視図である。
【図7】図6に対応して、本発明の高感度歪計測装置を利用した場合の歪計測結果(実線)と、従来の方法による計測結果(点線)とを示す図である。
【符号の説明】
1 被計測構造物
2 光ファイバ
3 無変形構造物
4,5 固定治具
6 歪計測器
21,22,23,24 歪区間
31,32 無変形区間
41,42,43 第1固定点
51,52 第2固定点
54,55 固定点
61 トンネル
62 トンネル壁面
62a トンネル壁面部分
63 クラック
64 無変形のトンネル下部構造
【発明の属する技術分野】
本発明は光ファイバをセンサとして用いて構造物の歪を計測することにより、構造物の変形を調べる高感度歪計測装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
構造物の変形を計測する従来の技術としては、光ファイバに発生するブリルアン散乱光の歪依存性を用いて光ファイバの歪を計測する技術(文献[1] T.Horiguchi et.ai., “Development of a distributed sensing technique using Brillouin scattering ”,J,Lightwave Technol.,vol.13,no.7,pp.1296−132,July 1995)を用いて、構造物の変形を計測する方法がある。
【0003】
この方法では、光ファイバをあらかじめ計測対象の構造物に固定しておき、この光ファイバにパルス光を入射したときに発生するブリルアン散乱光のパワーを光ファイバの長さ方向に連続して計測することを、光ファイバへ入射するパルス光の周波数を少しずつ(10MHz程度)ずらしながら何度も行うことにより、光ファイバの任意の位置でのブリルアン散乱光のパワースペクトルを取得する。このとき、計測の空間分解能は、光ファイバへ入射するパルス光のパルス幅wで決まり、w/2である(文献[1] 参照)。また、入射パルス光の波長が1.55μmの場合には、光ファイバの歪1%に対するブリルアン散乱光のパワースペクトルのシフト量は0.5GHz程度である(文献[1] 参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術である文献[1] の計測方法の場合、歪が小さい領域においては、計測したい歪が、歪計測誤差範囲内となってしまうために計測できず、構造物の大きな変形の予兆を十分に捕らえきれない可能性があった。構造物の構造上重要な部分を他よりも感度を高めて歪を計測する必要がある場合、入射光の波長を変える等、計測系を大幅に変更する手段しか存在しなかった。
【0005】
また、歪ゲージのように金属の抵抗の歪依存性を利用したセンサもあるが、各センサに対し導線が必要であるため、多くの計測点を設けることができない。更に導線の抵抗による電圧の減衰のため、計測器からセンサまでの距離は100m程度に限られる。
【0006】
従って、本発明の目的は上記の事情に鑑み、必要に応じて計測感度を高めることが可能である高感度歪計測装置を提供することである。それにより歪ゲージ等の電気式歪計測方法では実現困難な長距離にわたる大型構造物の変形を光ファイバ1本で実施することができる。光ファイバ自体がセンサとなるため、各計測点への給電や配線は不要となる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する第1発明の高感度歪計測装置は、被計測構造物の歪を計測するためのセンサとしての光ファイバと、
前記光ファイバを前記被計測構造物に固定する手段であり、前記光ファイバの任意の長さの区間の両端を第1固定点として、前記光ファイバに張力を付与した状態で且つ前記区間内における前記被計測構造物の一部が変形しても前記両端の位置が変化しないように前記被計測構造物の無変形部分或いは別の無変形構造物に固定することにより、前記区間を無変形区間とし、前記光ファイバの前記無変形区間の間の点を第2固定点として前記被計測構造物に固定する光ファイバ固定手段と、
一定の空間分解能で前記光ファイバに発生した歪を計測する手段であり、前記第2固定点を挟んだ両側の前記第1固定点までの歪区間において発生した前記光ファイバの歪の差を算出し、この歪の差から前記被計測構造物の前記無変形区間内における歪を算出する歪計測手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、第2発明の高感度歪計測装置は、被計測構造物の歪を計測するためのセンサとしての光ファイバと、
前記光ファイバを前記被計測構造物に固定する手段であり、前記光ファイバの任意の長さの区間の両端を第1固定点として、前記光ファイバに張力を付与した状態で且つ前記区間内における前記被計測構造物の一部が変形しても前記両端の位置が変化しないように前記被計測構造物の無変形部分或いは別の無変形構造物に固定することにより、前記区間を無変形区間とし、前記光ファイバの前記無変形区間の間の点を第2固定点として前記被計測構造物に固定する光ファイバ固定手段と、
前記光ファイバに光を入射したときに発生するブリルアン散乱光のパワースペクトルのピーク周波数が前記光ファイバに発生している歪に依存してシフトすることを利用して、一定の空間分解能で前記光ファイバに発生した歪を計測する手段であり、前記第2固定点を挟んだ両側の前記第1固定点までの歪区間において発生した前記光ファイバの歪の差を算出し、この歪の差から前記被計測構造物の前記無変形区間内における歪を算出する歪計測手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、第3発明の高感度歪計測装置は、被計測構造物の歪を計測するためのセンサとしての光ファイバと、
前記光ファイバを前記被計測構造物に固定する手段であり、前記光ファイバの任意の区間の両端を第1固定点として、前記光ファイバに張力を付与した状態で且つ前記区間内における前記被計測構造物の一部が変形しても前記両端の位置が変化しないように前記被計測構造物の無変形部分或いは別の無変形構造物に固定することにより、前記区間を無変形区間とし、前記光ファイバの前記無変形区間の間の点を第2固定点として、前記被計測構造物に固定し、しかも、1つの前記無変形区間の長さ或いは連続する複数の前記無変形区間の合計の長さが、歪計測の空間分解能に等しい長さとなるようにする光ファイバ固定手段と、
前記光ファイバに光を入射したときに発生するブリルアン散乱光のパワースペクトルのピーク周波数が前記光ファイバに発生している歪に依存してシフトすることを利用して、一定の前記空間分解能で前記光ファイバに発生した歪を計測する手段であり、前記空間分解能に等しい長さの前記無変形区間内におけるブリルアン散乱光のパワースペクトルのピーク周波数の前記被計測構造物の変形による変化を検出することにより、前記第2固定点を挟んだ両側の前記第1固定点までの歪区間における光ファイバの歪を算出し、これらの歪区間の歪から前記第2固定点の変形を算出し、この第2固定点の変形から前記被計測構造物の歪を算出する歪計測手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、第4発明の高感度歪計測装置は、被計測構造物の歪を計測するためのセンサとしての光ファイバと、
前記光ファイバを前記被計測構造物に固定する手段であり、前記光ファイバの任意の区間の両端を第1固定点として、前記光ファイバに張力を付与した状態で且つ前記区間内における前記被計測構造物の一部が変形しても前記両端の位置が変化しないように前記被計測構造物の無変形部分或いは別の無変形構造物に固定することにより、前記区間を無変形区間とし、前記光ファイバの前記無変形区間の間の点を第2固定点として、前記被計測構造物に固定し、しかも、1つの前記無変形区間の長さ或いは連続する複数の前記無変形区間の合計の長さが、歪計測の空間分解能に等しい長さとなるようにし、且つ、前記第2固定点を挟んだ両側の前記第1固定点までの歪区間であって前記空間分解能の中に含まれる全ての歪区間の初期歪が互いに異なるように前記歪区間における前記光ファイバの初期張力を設定することにより、前記無変形区間内のブリルアン散乱光のパワースペクトルのピークを前記歪区間の個数に等しい個数に分離させて区別する光ファイバ固定手段と、
前記光ファイバに光を入射したときに発生するブリルアン散乱光のパワースペクトルのピーク周波数が前記光ファイバに発生している歪に依存してシフトすることを利用して、一定の空間分解能で前記光ファイバに発生した歪を計測する手段であり、前記の2つに分離して区別する前記無変形区間内のブリルアン散乱光のパワースペクトルのピーク周波数の差を算出し、このピーク周波数の差から前記被計測構造物の前記無変形区間内における歪を算出する歪計測手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、第5発明の高感度歪計測装置は、第3発明の高感度歪計測装置において、前記光ファイバ固定手段では、前記第2固定点が前記空間分解能に等しい長さの無変形区間の中央位置となるようにすることを特徴とする。
【0012】
また、第6発明の高感度歪計測装置は、第4発明の高感度歪計測装置において、前記光ファイバ固定手段では、前記第2固定点が前記空間分解能に等しい長さの無変形区間の中央位置となるようにすることを特徴とする。
【0013】
第1発明の高感度歪計測装置では、光ファイバの任意の長さの区間の両端を第1固定点として、光ファイバに張力を付与した状態で且つ前記区間内における被計測構造物の一部が変形しても前記両端の位置が変化しないように被計測構造物の無変形部分或いは別の無変形構造物に固定することにより、前記区間を無変形区間とし、光ファイバの前記無変形区間の間の点を第2固定点として被計測構造物に固定するため、第2固定点が、第2固定点の両側に位置する第1固定点のうちの一方の第2固定点側に変形(例えば図1において第2固定点51が第1固定点41側に変形)した場合、第2固定点と一方の第1固定点との間の歪区間(例えば図1における第2固定点51と第1固定点41との間の歪区間21)では変形前に比べて光ファイバの歪が小さくなり、第2固定点と他方の第1固定点との間の歪区間(例えば図1における第2固定点51と第1固定点42との間の歪区間22)では変形前に比べて光ファイバの歪が大きくなる。従って、この2つの歪の差を検出することにより最大2倍の計測感度向上が可能となる。
【0014】
第1発明の高感度歪計測装置では、光ファイバの歪計測手段は任意であるが、第2発明から第6発明の高感度歪計測装置では、光ファイバの歪計測手段として、光ファイバの歪によるブリルアン散乱光のパワースペクトルのピーク周波数の変化を検出することにより光ファイバの歪を計測する手段を備えたことを特徴としている。
【0015】
第3発明の高感度歪計測装置では、第1発明と同様に光ファイバを被計測構造物と、被計測構造物の無変形構造物又は別の無変形構造物とへ固定する。但し、1つの無変形区間の長さ或いは連続する複数の無変形区間の合計の長さが、歪計測の空間分解能に等しい長さ(例えば文献[1] の方法では入射パルス光のパルス幅の半分の長さ)となるようにしている(例えば図2或いは図4に示すように光ファイバを固定する)。この空間分解能に一致する区間に相当するブリルアン散乱光のパワースペクトルは、同空間分解能以内に複数の歪が入り混じった状態となるため、例えば図3或いは図5の実線のようになり(ピークの数がもっと少ないこともある)、被計測構造物への第2固定点(例えば図2では第2固定点51、図4では第2固定点51,52の何れか)が動くと、スペクトルの周波数が変化する。このスペクトル周波数の変化は動いた第2固定点の両側の歪区間の歪情報を含むため、これらの歪の差を求めることにより計測感度を向上させることが可能となる。
【0016】
請求項4の高感度歪計測装置は、第2固定点の両側の歪区間(例えば図2では第2固定点51の両側の歪区間21,22、図4では第2固定点51の両側の歪区間21,22及び第2固定点52の両側の歪区間23,24)の初期歪を不均等とすることにより、これらの歪区間の光ファイバからのブリルアン散乱光のパワースペクトルが、それぞれ分離したピークとして確実に現れるようにすることによって、歪の解析を容易にするものである。例えば図3では歪区間21,22の歪を不均等にすることにより実線のように歪区間21,22に対応した2つのピークが確実に現れるようにし、図5では歪区間21,22,23の歪を不均等にすることにより実線のように歪区間21,22,23,24に対応した4つのピークが確実に現れるようにしている。
【0017】
請求項5の高感度歪計測装置は、請求項3の特殊な場合で、被計測構造物と光ファイバとを固定する第2固定点が空間分解能の中で1点のみであり、且つ、この第2固定点を空間分解能(空間分解能に等しい長さの無変形区間)の中央位置とすることにより、解析を請求項3と比較して容易にするものである。なお、請求項3,5については、例えばブリルアン散乱光のパワースペクトルのピーク周波数のみに着目するのではなく、複数のローレンツ型のカーブからなる曲線をあらかじめ仮定してブリルアン散乱光のパワースペクトルの計測値をそのカーブに当てはめることにより、例えば図3の点線や図5の点線のように各々の領域(図3では歪区間21,22、図5では歪区間21,22,23,24)から散乱されたローレンツ型スペクトルに分離することが可能である。
【0018】
請求項6の高感度歪計測装置は、請求項4の特殊な場合で、被計測構造物と光ファイバとを固定する第2固定点が空間分解能の中で1点のみであり、且つ、第2固定点を空間分解能(空間分解能と等しい長さの無変形区間)の中央位置とすることにより、解析を請求項4と比較して容易にするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。なお、本発明はこれらの図面により限定されるものではない。
【0020】
<実施の形態1>
図1は本発明の実施の形態1に係る高感度歪計測装置の構成図である。図1には光ファイバを被計測構造物と無変形構造物とに固定することによって計測感度を向上させる場合の構成例を模式的に示している。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態1の高感度歪計測装置では、被計測構造物1の歪を計測するためのセンサとしての光ファイバ2と、光ファイバ固定手段としての固定治具4,5と、歪計測手段としての歪計測器6とを備えている。そして、被計測構造物1の変形を高感度で計測したい点51を第2固定点として、固定治具5により光ファイバ2に固定し、この第2固定点51の両側に固定治具4で無変形構造物(変形しない構造物)3に光ファイバ2を固定した第1固定点41,42を設けている。
【0022】
即ち、光ファイバ2の任意の長さの区間(計測感度を高める区間)31の両端を第1固定点41,42として、固定治具4で光ファイバ2に張力を付与した状態で且つ前記区間31内における被計測構造物2の一部が変形しても前記両端の位置が変化しないように無変形構造物3(又は被計測構造物の無変形部分)に固定することにより、前記区間31を無変形区間としている。そして、光ファイバ2の無変形区間31の間の点51を第2固定点として、固定治具5で被計測構造物1に固定している。
【0023】
この場合、例えば被計測構造物1の第2固定点51が第1固定点41側に変形すると、第2固定点51と第1固定点41との間の歪区間21では、変形前に比べて光ファイバ2の歪が小さくなり、第2固定点51と第1固定点42との間の歪区間22では、変形前に比べて光ファイバ2の歪が大きくなる。従って、この2つの歪の差を算出することにより最大2倍の計測感度の向上が可能である。
【0024】
例えば被計測構造物1が変形する前の歪区間21,22の初期歪を等しくε0 とおいた場合、被計測構造物1の変形によって例えば第1固定点51が第1固定点41側に動いたとすると、それによって生じた歪をεとすれば、変形後の歪区間21,22の歪は、それぞれε0 −ε,ε0 +εになる。従って、この2つの歪の差2εを求めることにより、従来のように被計測構造物のみに光ファイバを固定した場合に計測できる歪量εと比較して、2倍の計測感度の向上が達成できる。
【0025】
歪計測器6は、従来と同様に光ファイバ2に発生するブリルアン散乱光の歪依存性を用いて光ファイバの歪を計測する技術(文献[1] 参照)を用いて、被計測構造物1の変形(歪)を計測するものである。即ち、歪計測器6は、光ファイバ2の端部に接続されており、この光ファイバ2にパルス光(レーザ光)を入射したときに発生するブリルアン散乱光のパワーを光ファイバ2の長さ方向に連続して計測することを、光ファイバ2へ入射するパルス光の周波数を少しずつ(例えば10MHz程度)ずらしながら何度も行うことにより、光ファイバ2の任意の位置でのブリルアン散乱光のパワースペクトルを取得するものである。歪計測器6の空間分解能は、光ファイバへ入射するパルス光のパルス幅wで決まり、w/2である。また、入射パルス光の波長が1.55μmの場合には、光ファイバの歪1%に対するブリルアン散乱光のパワースペクトルのシフト量は0.5GHz程度である。
【0026】
そして、歪計測器6では、前述のように第2固定点51を挟んだ両側の第1固定点41,42までの歪区間21,22において発生した光ファイバ2の歪の差を算出し、この歪の差から被計測構造物1の無変形区間31内における歪を算出する。
【0027】
なお、歪計測手段としては、必ずしも上記のような光ファイバ2に光を入射したときに発生するブリルアン散乱光のパワースペクトルのピーク周波数が光ファイバ2に発生している歪に依存してシフトすることを利用して、一定の空間分解能で光ファイバ2に発生した歪を計測するものに限定せず、一定の空間分解能で光ファイバ2に発生した歪を計測する手段であって、第2固定点51を挟んだ両側の歪区間21,22で発生した光ファイバ2の歪の差を算出し、この歪の差から被計測構造物2の無変形区間31内における歪を算出するものであればよい。
【0028】
<実施の形態2>
図2は本発明の実施の形態2に係る高感度歪計測装置の構成図である。図2には計測の空間分解能内でその中央の点だけが被計測構造物との固定点となる場合の構成例を模式的に示している。
【0029】
図2に示すように、本実施の形態2の高感度歪計測装置では、上記実施の形態1と同様に被計測構造物1の歪を計測するためのセンサとしての光ファイバ2と、光ファイバ固定手段としての固定治具4,5と、歪計測手段としての歪計測器6とを備えている。
【0030】
具体的には、光ファイバ2の任意の区間(計測感度を高める区間)31の両端を第1固定点41,42として、固定治具4で光ファイバ2に張力を付与した状態で且つ前記区間31内における被計測構造物2の一部が変形しても前記両端の位置が変化しないように無変形構造物3(又は被計測構造物の無変形部分)に固定することにより、前記区間31を無変形区間とし、また、光ファイバ2の無変形区間31の間の点51を第2固定点として、固定治具5で被計測構造物1に固定している。
【0031】
そして、無変形区間31の長さを、歪計測の空間分解能に等しい長さとし、且つ、第2固定点51の位置を、無変形区間31(空間分解能)の中央位置としている。即ち、第2固定点51の両側の第1固定点41,42までの歪区間21,22が、等しい長さとなっている。しかも、固定治具4,5によって光ファイバ2を被計測構造物1と無変形構造物3(又は被計測構造物の無変形部分)とに固定する際、歪区間21,22における光ファイバ2の初期歪が不均等になるように歪区間21,22における光ファイバ2の初期張力を設定する。即ち、空間分解能の中に含まれる全ての歪区間21,22の初期歪が互いに異なるように光ファイバ2の初期張力を設定することにより、無変形区間31内のブリルアン散乱光のパワースペクトルのピークを前記歪区間21,22の個数に等しい個数(この場合には2つ)に分離させて区別する。図示例では歪区間21の初期張力を小さくして初期歪を小さくし、歪区間22の初期張力を大きくして初期歪を大きくしている。このことによって図3に実線で示すようにブリルアン散乱光のパワースペクトルに2つのピークが確実に現れるため、この2つのピークの頂点の情報を歪計測器6で解析することにより、計測感度が2倍となる。
【0032】
詳述すると、本実施の形態2は、図3のように計測の空間分解能内で異なる歪が発生している連続した2つの長さが等しい領域(歪区間21,22)から発生したブリルアン散乱光のパワースペクトルに現われる2つのピークの頂点の情報を解析することによりそれぞれの歪を求めるものである。歪区間21と歪区間22には変形前に異なる初期歪(初期張力)を与えておくことにより、歪区間21と歪区間22をあわせた領域のブリルアン散乱光のパワースペクトルに図3に実線で示すような2つのピークが現れる状態としておく。
【0033】
ブリルアン散乱光のパワースペクトルはローレンツ型であり、周波数軸に沿ってパワースペクトルが歪に比例して変化することが知られている(文献[1])ことを用いると、歪が単一な領域で観測されるブリルアン散乱光のパワースペクトルのピークパワーをh、半値半幅をw、歪区間21,22それぞれの周波数に換算した初期歪をe21,e22とした場合、歪区間21,22それぞれから発生するブリルアン散乱光のパワースペクトルは、入射光周波数を基準としたブリルアン散乱光の周波数をfと置くと、ローレンツ型関数として次の(1)式のように書ける。
【0034】
【数1】
【0035】
ここで、歪区間21の初期歪e21の方が、歪区間22の初期歪e22よりも小さい(e21<e22)と仮定し、且つ、それら平均値を歪の0点とする。このようにしても一般性を失わない。その結果、L21,L22は、a=(e21−e22)/2を用いて、次の(2)式のように書ける。
【0036】
【数2】
【0037】
歪区間21と歪区間22とを合わせた領域つまり空間分解能の長さから発生するブリルアン散乱光は、L=L21+L22となる。
2つのピーク周波数は、dL/df=0を解くことにより求まり、次の(3)式となるため、a>w/√3のときに2つのピークが現われる。従って、この条件を満たすように初期歪を選ぶ必要がある。
【0038】
【数3】
【0039】
この後、例えば図2において第2固定点51が第1固定点41側に動くことにより、歪区間21,22の初期歪に対して、変形により周波数換算した歪がpだけ発生したとすると、L21,L22は次の(4)式のように書ける。
【0040】
【数4】
【0041】
このとき2つのピーク周波数の差Δfは、次の(5)式のように書ける。
【0042】
【数5】
【0043】
Δf<2(a+p)となるため、計測感度は2倍より小さい。しかし、(a+p)≫wのときには、次の(6)式を用いると、Δf≒2(a+p)であることが分かる。
【0044】
【数6】
【0045】
従って、実用的には、ピーク周波数の差を計測すれば感度を2倍にすることが可能となる。(a+p)=2w,2w,4wとしたときの、2(a+p)とΔfの差は、約0.028w,0.0088w,0.0038w程度であり、適切な初期値を選ぶことで実用上問題ない程度まで誤差を低減させることが可能であることがわかる。
【0046】
ところで、この場合、ブリルアン散乱光のパワースペクトルのピーク周波数のみに着目するのではなく、複数のローレンツ型のカーブからなる曲線をあらかじめ仮定してブリルアン散乱光のパワースペクトルの計測値をそのカーブに当てはめることにより、図3の点線のように各々の領域(歪区間21,22)から散乱されたローレンツ型スペクトルに分離することも可能である。そして、これらから各歪区間21,22における光ファイバ2の歪を算出し、これらの歪から被計測構造物1への第2固定点51の変形を算出し、この第2固定点51の変形から被計測構造物1の歪を算出することができる。
【0047】
<実施の形態3>
図4は本発明の実施の形態3に係る高感度歪計測装置の構成図である。図4には計測の空間分解能を低めることなく計測感度を向上させるために光ファイバを空間分解能よりも小さな区間で被計測構造物と無変形構造物とに交互に固定することによって計測感度を向上させる場合の構成例を模式的に示したものである。
【0048】
図4に示すように、本実施の形態3の高感度歪計測装置では、被計測構造物1の歪を計測するためのセンサとしての光ファイバ2と、光ファイバ固定手段としての固定治具4,5と、歪計測手段としての歪計測器6とを備えている。そして、被計測構造物1の変形を高感度で計測したい点51,52を第2固定点として、固定治具5により光ファイバ2に固定し、更に、これらの第2固定点51,52の両側に固定治具4で無変形構造物3に光ファイバ2を固定した第1固定点41,42,43を設けている。
【0049】
即ち、光ファイバ2の任意の区間(計測感度を高める区間)31,32の両端を第1固定点41,42,43として、固定治具4で光ファイバ2に張力を付与した状態で且つ前記区間31,32内における被計測構造物2の一部が変形しても前記両端の位置が変化しないように無変形構造物3(又は被計測構造物の無変形部分)に固定することにより、前記区間31を無変形区間とし、また、光ファイバ2の無変形区間31,32の間の点51,52を第2固定点として固定治具5で被計測構造物1に固定している。
【0050】
そして、連続する2つの無変形区間31,32の合計の長さを、歪計測の空間分解能に等しい長さとしている。また、図示例では第2固定点51の位置を、無変形区間31の中央位置とし、第2固定点52の位置を、無変形区間32の中央位置としている。しかも、固定治具4,5によって光ファイバ2を被計測構造物1と無変形構造物3(又は被計測構造物の無変形部分)とに固定する際、第2固定点51を挟んだ両側の第1固定点41,42までの歪区間21,22における光ファイバ2の初期歪、及び、第2固定点52を挟んだ両側の第1固定点42,43までの歪区間21,22における光ファイバ2の初期歪が、不均等になるように歪区間21,22,23,24における光ファイバ2の初期張力を設定する。即ち、空間分解能の中に含まれる全ての歪区間21,22,23,24の初期歪が互いに異なるように光ファイバ2の初期張力を設定することにより、無変形区間31,32内のブリルアン散乱光のパワースペクトルのピークを前記歪区間21,22,23,24の個数に等しい個数(この場合には4つ)に分離させて区別する。
【0051】
図示例では歪区間21,22,23,24の順に初期歪が大きくなるように初期張力を設定しており、この場合、図5に実線で示すように各無変形区間31,32に対応してそれぞれのブリルアン散乱光のパワースペクトルに2つのピークが現れる。即ち、各歪区間21,22,23,24に対応して4つのピークが現れる。このため、歪計測器6では、各々のブリルアン散乱光のパワースペクトルのピーク周波数から歪を算出することが可能であり、計測感度が2倍となる。この場合も、上記実施の形態2の場合に比べて空間分解能内の歪区間が増えるだけで事情は上記実施の形態2の場合と全く同じである。
【0052】ところで、この場合にも、上記実施の形態2の場合と同様、ブリルアン散乱光のパワースペクトルのピーク周波数のみに着目するのではなく、複数のローレンツ型のカーブからなる曲線をあらかじめ仮定してブリルアン散乱光のパワースペクトルの計測値をそのカーブに当てはめることにより、図5の点線のように各々の領域(歪区間21,22,23,24)から散乱されたローレンツ型スペクトルに分離することも可能である。そして、これらから各歪区間21,22,23,24における光ファイバ2の歪を算出し、これらの歪から被計測構造物1への第2固定点51,52の変形を算出し、この第2固定点51,52の変形から被計測構造物1の歪を算出することができる。
【0053】
<実施例>
ここで、図6に基づき、本発明の実施例について説明する。図6は本発明の高感度歪計測装置の実施例を示す斜視図である。図6に示すように、例えばコンクリートでできたトンネル61の壁面62において、トンネル61の上部の地山から受ける応力により、2本のクラック(ひび割れ)63が発生したとする。この2本のクラック63に挟まれた領域はその後大きな変形につながる可能性があり、危険個所である。
【0054】
そこで、この危険箇所の計測感度を高めるため、本実施例では2本のクラック63で挟まれたトンネル壁面部分62aの1点51を第2固定点として、固定治具5で光ファイバ2に固定し、且つ、光ファイバ2におけるクラック63の外側の点41,42を第1固定点として、無変形のトンネル下部構造64に固定することにより、高感度歪計測装置を実現している。トンネル下部構造64と光ファイバ2との固定する第1固定点41,42は、トンネル壁面62が移動しても変形しない部分である。なお、光ファイバ2の端には図示しない歪計測器が接続されており、また、トンネル壁面62の他の場所(固定点54,55など)も光ファイバ2に固定されている。
【0055】
本実施例の高感度歪計測装置によれば、危険箇所であるトンネル壁面部分62aに対してはトンネル壁面62の他の場所に比べて最大2倍の計測感度でトンネル壁面の歪を計測することが可能である。図7には図6の高感度歪計測装置による計測結果の例を実線で示す。また、図7には比較のために点線で従来の方法による計測結果も示した。図7に示すように高感度歪計測方法の実施区間(第1固定点41と第2固定点42の間の無変形区間)では、本実施例の高感度歪計測装置により従来の方法に比べて2倍の歪が計測されている。
【0056】
ところで、例えばトンネルでは、短いトンネンル部材を多数接続してコンクリートを吹き付けることにより建設されるため、その継ぎ目が一番弱い部分、つまり危険箇所となる。このような継ぎ目を含めた多くの危険箇所は、トンネル設計時にあらかじめ分かっている。また、トンネルが建設されてから何十年も経っている場合には、その継ぎ目ばかりでなく、あちこちにクラックが生じており、このクラックに挟まれた部分は容易に変形し易く、危険箇所となる。何れにせよ、危険箇所についてはトンネルなどの構造物ごとに何らかの基準が定められており、この基準からあらかじめ知ることができる。
【0057】
光ファイバによる歪計測のメリットは、そのようなあらかじめ分かっている危険箇所以外の部分も含めて連続的に漏れなく歪をモニタリングすることである。しかし、光ファイバによる歪計測の感度は従来の他のセンサに比べて悪いため、なかなか実用化に至らないという現状があり、特定の部分だけでも計測感度を向上させたいという要望があった。これに対して本実施の形態の高感度歪計測装置を用いれば、上記のような光ファイバによる歪計測のメリットを有し、且つ、任意の部分の計測感度を向上させることができる。また、トンネルなどの構造物の全領域にわたって図1、図2又は図4に示すような構成を適用すれば、同構造物の全領域にわたって計測感度を高めることもできる。
【0058】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、例えばトンネルなどの大型構造物の変形を光ファイバを歪センサとしてモニタリングする場合、まんべんなく連続的に計測するだけでなく、あらかじめ分かっている危険箇所については、感度を高めて重点的に計測することができるため、危険な変形の予兆を早期に発見することに効果を発揮する。また、構造物の全領域を本発明による装置で計測すれば、構造物の全領域にわたって計測感度を高めることもでき、小さな歪を誤差から分離して計測することに効果を発揮する。また、光ファイバがセンサであり、かつ、センサ信号の伝送路となることから、歪ゲージを使った計測で問題となるような配線や給電の問題を回避して、長距離に渡って1つの計測器で計測を可能にすることにも効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る高感度歪計測装置の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る高感度歪計測装置の構成図である。
【図3】図2に対応するブリルアン散乱光のパワースペクトル(実線)と、異なる2つの歪区間ごとのブリルアン散乱光のパワースペクトル(点線)とを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態3に係る高感度歪計測装置の構成図である。
【図5】空間分解能内に4つの異なる歪区間が存在する場合のブリルアン散乱光のパワースペクトル(実線)と、歪区間ごとのブリルアン散乱光のパワースペクトル(点線)とを示す図である。
【図6】本発明の高感度歪計測装置の実施例を示す斜視図である。
【図7】図6に対応して、本発明の高感度歪計測装置を利用した場合の歪計測結果(実線)と、従来の方法による計測結果(点線)とを示す図である。
【符号の説明】
1 被計測構造物
2 光ファイバ
3 無変形構造物
4,5 固定治具
6 歪計測器
21,22,23,24 歪区間
31,32 無変形区間
41,42,43 第1固定点
51,52 第2固定点
54,55 固定点
61 トンネル
62 トンネル壁面
62a トンネル壁面部分
63 クラック
64 無変形のトンネル下部構造
Claims (6)
- 被計測構造物の歪を計測するためのセンサとしての光ファイバと、
前記光ファイバを前記被計測構造物に固定する手段であり、前記光ファイバの任意の長さの区間の両端を第1固定点として、前記光ファイバに張力を付与した状態で且つ前記区間内における前記被計測構造物の一部が変形しても前記両端の位置が変化しないように前記被計測構造物の無変形部分或いは別の無変形構造物に固定することにより、前記区間を無変形区間とし、前記光ファイバの前記無変形区間の間の点を第2固定点として前記被計測構造物に固定する光ファイバ固定手段と、
一定の空間分解能で前記光ファイバに発生した歪を計測する手段であり、前記第2固定点を挟んだ両側の前記第1固定点までの歪区間において発生した前記光ファイバの歪の差を算出し、この歪の差から前記被計測構造物の前記無変形区間内における歪を算出する歪計測手段とを備えたことを特徴とする高感度歪計測装置。 - 被計測構造物の歪を計測するためのセンサとしての光ファイバと、
前記光ファイバを前記被計測構造物に固定する手段であり、前記光ファイバの任意の長さの区間の両端を第1固定点として、前記光ファイバに張力を付与した状態で且つ前記区間内における前記被計測構造物の一部が変形しても前記両端の位置が変化しないように前記被計測構造物の無変形部分或いは別の無変形構造物に固定することにより、前記区間を無変形区間とし、前記光ファイバの前記無変形区間の間の点を第2固定点として前記被計測構造物に固定する光ファイバ固定手段と、
前記光ファイバに光を入射したときに発生するブリルアン散乱光のパワースペクトルのピーク周波数が前記光ファイバに発生している歪に依存してシフトすることを利用して、一定の空間分解能で前記光ファイバに発生した歪を計測する手段であり、前記第2固定点を挟んだ両側の前記第1固定点までの歪区間において発生した前記光ファイバの歪の差を算出し、この歪の差から前記被計測構造物の前記無変形区間内における歪を算出する歪計測手段とを備えたことを特徴とする高感度歪計測装置。 - 被計測構造物の歪を計測するためのセンサとしての光ファイバと、
前記光ファイバを前記被計測構造物に固定する手段であり、前記光ファイバの任意の区間の両端を第1固定点として、前記光ファイバに張力を付与した状態で且つ前記区間内における前記被計測構造物の一部が変形しても前記両端の位置が変化しないように前記被計測構造物の無変形部分或いは別の無変形構造物に固定することにより、前記区間を無変形区間とし、前記光ファイバの前記無変形区間の間の点を第2固定点として、前記被計測構造物に固定し、しかも、1つの前記無変形区間の長さ或いは連続する複数の前記無変形区間の合計の長さが、歪計測の空間分解能に等しい長さとなるようにする光ファイバ固定手段と、
前記光ファイバに光を入射したときに発生するブリルアン散乱光のパワースペクトルのピーク周波数が前記光ファイバに発生している歪に依存してシフトすることを利用して、一定の前記空間分解能で前記光ファイバに発生した歪を計測する手段であり、前記空間分解能に等しい長さの前記無変形区間内におけるブリルアン散乱光のパワースペクトルのピーク周波数の前記被計測構造物の変形による変化を検出することにより、前記第2固定点を挟んだ両側の前記第1固定点までの歪区間における光ファイバの歪を算出し、これらの歪区間の歪から前記第2固定点の変形を算出し、この第2固定点の変形から前記被計測構造物の歪を算出する歪計測手段とを備えたことを特徴とする高感度歪計測装置。 - 被計測構造物の歪を計測するためのセンサとしての光ファイバと、
前記光ファイバを前記被計測構造物に固定する手段であり、前記光ファイバの任意の区間の両端を第1固定点として、前記光ファイバに張力を付与した状態で且つ前記区間内における前記被計測構造物の一部が変形しても前記両端の位置が変化しないように前記被計測構造物の無変形部分或いは別の無変形構造物に固定することにより、前記区間を無変形区間とし、前記光ファイバの前記無変形区間の間の点を第2固定点として、前記被計測構造物に固定し、しかも、1つの前記無変形区間の長さ或いは連続する複数の前記無変形区間の合計の長さが、歪計測の空間分解能に等しい長さとなるようにし、且つ、前記第2固定点を挟んだ両側の前記第1固定点までの歪区間であって前記空間分解能の中に含まれる全ての歪区間の初期歪が互いに異なるように前記歪区間における前記光ファイバの初期張力を設定することにより、前記無変形区間内のブリルアン散乱光のパワースペクトルのピークを前記歪区間の個数に等しい個数に分離させて区別する光ファイバ固定手段と、
前記光ファイバに光を入射したときに発生するブリルアン散乱光のパワースペクトルのピーク周波数が前記光ファイバに発生している歪に依存してシフトすることを利用して、一定の空間分解能で前記光ファイバに発生した歪を計測する手段であり、前記の2つに分離して区別する前記無変形区間内のブリルアン散乱光のパワースペクトルのピーク周波数の差を算出し、このピーク周波数の差から前記被計測構造物の前記無変形区間内における歪を算出する歪計測手段とを備えたことを特徴とする高感度歪計測装置。 - 請求項3に記載する高感度歪計測装置において、
前記光ファイバ固定手段では、前記第2固定点が前記空間分解能に等しい長さの無変形区間の中央位置となるようにすることを特徴とする高感度歪計測装置。 - 請求項4に記載する高感度歪計測装置において、
前記光ファイバ固定手段では、前記第2固定点が前記空間分解能に等しい長さの無変形区間の中央位置となるようにすることを特徴とする高感度歪計測装置。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2007100060A1 (ja) * | 2006-03-03 | 2007-09-07 | The Furukawa Electric Co., Ltd. | 光ファイバモジュールおよび光デバイス |
JP2017120210A (ja) * | 2015-12-28 | 2017-07-06 | 鹿島建設株式会社 | 歪分布データ処理装置及び歪分布データ処理方法 |
-
2002
- 2002-06-14 JP JP2002174003A patent/JP2004020314A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007100060A1 (ja) * | 2006-03-03 | 2007-09-07 | The Furukawa Electric Co., Ltd. | 光ファイバモジュールおよび光デバイス |
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