JP2004019517A - 内燃機関の筒内観察装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関の燃焼室内を測定する手段として、レーザー光を用いて光学的に測定する際に、このレーザー光が燃焼室内に照射されて激しい散乱光となり、この散乱光により燃焼室内を測定することが阻害されることを防止する。
【解決手段】シリンダヘッド3に螺合された点火プラグ5の燃焼室10を臨む壁に切削部12を穿設する。この切削部12の開口位置を燃焼室10内に導かれたレーザー光の照射位置とする。切削部12は、開口がレーザー光の照射面積より大きく、開口から深部に向って狭くなるように谷状に設けられている。レーザー光は切削部12を形成する谷状の内面に照射されて反射を繰返し、切削部12内で収束、減衰するため、レーザー光の照射位置での散乱光は減少する。
【選択図】図1
【解決手段】シリンダヘッド3に螺合された点火プラグ5の燃焼室10を臨む壁に切削部12を穿設する。この切削部12の開口位置を燃焼室10内に導かれたレーザー光の照射位置とする。切削部12は、開口がレーザー光の照射面積より大きく、開口から深部に向って狭くなるように谷状に設けられている。レーザー光は切削部12を形成する谷状の内面に照射されて反射を繰返し、切削部12内で収束、減衰するため、レーザー光の照射位置での散乱光は減少する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の燃焼室内を観察する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、燃焼室内で点火された燃料が燃焼した際のガスの組成を調べる方法として、ラマン・スペクトルを用いた分光分析方法がある。
【0003】
このラマン分光分析を行うには、予め燃焼室を構成する壁の一部に可視化窓を設け、この可視化窓より、燃焼室内部に高出力のレーザー光を照射する。そしてこのレーザー光が燃焼室内の物質に当って、各物質を構成する分子に応じた光であるラマン光を発した後に、レーザー光は、燃焼室内に突出したプラグの電極間隙間に形成された隙間に入射する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記プラグに設けられた電極間の隙間にレーザー光が入る形態では、この電極間隙間が狭く、入り口付近でレーザー光による散乱光が発生していた。
【0005】
レーザー光が各分子に当って発生するラマン光は微弱な光であり、他の光源が存在すると、その光源よりの光がノイズとなり、測定を行う物質固有の波長の正確な励起位置の特定が難しくなる。
【0006】
前記ラマン分光分析方法に限らず、内燃機関の燃焼室内の諸性状を測定する際にレーザー光を用いて、光学的に測定、分析する方法は、多様に存在する。例えば燃料中に蛍光物質を混入し、この蛍光物質の混入された燃料を燃焼室内に噴射した時にレーザー光を当てて発光させ、燃料の拡散程度を測定する方法等がある。
【0007】
前記例においても、レーザー光は燃焼室内を通過して、燃焼室内壁面に照射される。この時に散乱光が燃焼室内で発生すると、レーザー光にて発光した噴射燃料の視認性が低下する。
【0008】
本発明は、これらの問題に鑑み、内燃機関の燃焼室内に照射されて、燃焼室内の諸性状を測定する際に用いられるレーザー光が、燃焼室内で散乱光となって測定を阻害するのを防止することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は、内燃機関の筒内を構成する壁に設けられた可視化窓と、前記壁に設けられた可視化窓を通じて燃焼室内に光を供給する発光部と、前記発光部より照射される光が、前記可視化窓及び燃焼室内を通過して照射される筒内壁面に、その開口面積が光の照射面積より大きく開口されると共に、開口から入射した光が内部で複数回反射を繰返すように形成された切削部と、を含む内燃機関の筒内観察装置とした。
【0010】
前記筒内観察装置では、筒内を構成する壁に設けられた可視化窓は、石英ガラス等の高強度、かつ光透過性物質により形成され、筒内で燃料が燃焼している時の筒内視認、及び筒内への測定光の入射を可能にする。発光部は、レーザー光等の指向性の強い高強度の光を照射する。そしてこの光が測定光として前記可視化窓を通して筒内に入射される。
【0011】
また、切削部は、入射した光が内部で複数回反射を繰返すように形成されている。これは、入射した光が切削部内面で反射される際に、その切削部内面の反射率の低さから、反射される光の強度が減衰されることを利用したもので、測定光が切削部に入射して複数回反射することにより、測定光の強度が減衰される。
【0012】
発光部より照射されて筒内部を通過したレーザー光は、可視化窓が設けられてレーザー光が通過した一方の壁面に相対する他方の筒内壁面に到達、照射される。この時に照射面がその壁面の切削部開口内に収まるように、切削部を設ける。切削部の開口部内に照射面が収まっているために、切削部の開口位置でレーザー光の反射による散乱光は発生しなくなる。
【0013】
前記レーザー光は、単一波長、単一方向の指向性を示す光である。しかし、このレーザー光が、表面に凹凸を有する素材に照射されると、この凹凸により、散乱光が発生する。元々レーザー光は高出力であるため、その散乱光の照度は、燃焼室内の測定に用いられる計測機器が許容する範囲を安易に超えるものとなり、計測機器の破損を招く可能性がある。よって、前記したように切削部内でレーザー光を収束、減衰させる。
【0014】
前記切削部は、その切削部の最深部を頂点として鋭角に筒内壁面に向って開口するV字状の溝、若しくは、円錐状の凹部より形成することができる。
【0015】
切削部の最深部を頂点とした開口部の角度が鋭角とされた前記V字状の溝や円錐状の凹部からなる切削部に測定光を照射すると、この切削部に照射された測定光は、切削部の内面で頂点方向へ反射されていく。そして複数回反射を繰返すので測定光の強度は減衰する。理論上では、測定光が切削部内で反射を繰返すことにより、最終的には開口部より外部へ放射されることになるが、開口部の角度を鋭角として反射回数を増やし、切削部内で充分に減衰することにより、切削部外へ照射された時には、測定光に起因する激しい散乱光が形成されなくなる。
【0016】
前記燃焼室内には、燃焼時の着火装置となる点火プラグが設けられる場合には、前記切削部は、筒内に曝された前記点火プラグの壁面に設けることが可能である。
【0017】
燃焼室内にレーザー光を照射する目的は、燃焼室内にて発生する燃焼や、燃焼に供される燃料の流れ等の挙動を把握することである。よって、燃焼室形状は、実際に使用される内燃機関の燃焼室内と同一形状であることが望ましい。これに対して、レーザー光を減衰させるために設けられた切削部は、実機に内燃機関を使用する際に、必ずしも必要になるとは限らない。よって、燃焼室を形成するための確定要因となる燃料室壁面の構成及び形状は、極力変化させないことが望ましい。即ち、燃焼室壁面に切削部を設けて、燃焼室内を流れる吸気流等を乱さないことが望ましい。
【0018】
燃焼室を形成するための確定要因となる燃焼室壁面の形状等に対して、燃焼室内に突出して、点火装置となる点火プラグは、燃焼室が形成された後に、取外し可能な状態で設置され、その形状も単一の形状を示さない。即ち、燃焼室を構成する上で、点火プラグの形状が及す影響は、その燃焼室内部での、気流等の挙動を特定する上で不確定要因となる。よって、点火プラグの形状が変化することによる気流等の挙動の変化は、燃焼室内の挙動の特性を把握する上で、必ずしも必須要因とはならない。従って、この点火プラグの燃焼室に臨む壁に切削部を設けたとしても、この切削部が燃焼室内に与える影響は、点火プラグが燃焼室内に与える影響の範囲内として扱うことができる。
【0019】
前記点火プラグは、燃焼室の壁に螺合して固定されると共に、前記切削部の一面が点火プラグと燃焼室の壁との螺合箇所に開放されるように形成され、前記点火プラグが固定された際に、燃焼室の壁の螺合箇所に設けられたネジ部が前記切削部の一面となることが可能である。
【0020】
点火プラグは、点火プラグを雄ネジ、燃焼室を構成する壁を雌ネジとして螺合される。ネジ部は形状的に、谷状の溝の集合体と見なすことができる。よって、点火プラグに設けられる切削部の一面をネジ部に開放する。これにより、点火プラグが燃焼室を構成する壁と螺合した際に、切削部を構成する面の一面が燃焼室を構成する壁の雌ネジ部により構成される。これにより、この雌ネジ部からなる切削部の一面に照射されたレーザー光を雌ネジ面に反射し、谷状に設けられた切削部でレーザー光が減衰されるのと同様に、減衰させることが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下本実施の形態1を示す。本実施の形態1は、内燃機関の燃焼室内で、燃料と空気の混合気が燃焼した際に、生成する成分を分析するために、レーザー光を用いてラマン分光計で成分分析を行うものである。
【0022】
本実施の形態1で用いられる内燃機関1は、図1に示すように、着火装置である点火プラグ5を用いて混合気に着火し、燃焼させる火花点火方式の内燃機関である。この内燃機関1は、内部が筒状に穿設されて、この筒が燃焼室の側壁となるシリンダブロック2と、シリンダブロック2の上方に接合されて、その下壁の一部が、燃焼室10の上壁となるシリンダヘッド3とを主な駆体として形成されている。
【0023】
前記シリンダブロック2に設けられた筒内部には、シリンダライナ4が嵌入され、燃焼室10側面を形成する。そしてこのシリンダライナ4内部には、ピストン6が挿入され、このピストン6上面、シリンダライナ4内側面、シリンダブロック2下面から燃焼室10を形成する。また、シリンダライナ4、シリンダブロック2の一部は、石英ガラス7が嵌め込んであり、この石英ガラス7部分より燃焼室内部が視認可能である。
【0024】
また、ピストン6の燃焼室面から、コンロッド8への連結箇所であるピンボス面にかけても石英ガラス11が嵌合してある。このピストン6の下方に、鏡9を設置して、この鏡9にレーザー光を照射してピンボス面に位置する石英ガラス7方向へ反射させ、ピストン6に設けた石英ガラス11より燃焼室10内部にレーザー光を照射することが可能となる。
【0025】
前記石英ガラス7及び11は、純珪石を融解して作った二酸化珪素から作られるガラスであり、その軟化点は1500℃以上で、急熱急冷等の温度変化に対して強く、耐食性も大である。よって、燃焼室10内で燃料が燃焼した際にも、破損することなく、燃焼室10内部が観察可能となる。
【0026】
シリンダヘッド3には、燃焼室10内に混合気を吸入する吸気バルブ16及び燃焼後の排気を排出する排気バルブ17と、燃焼室10内に吸入した混合気に点火する点火プラグ5が設けられている。この点火プラグ5は、図2及び図3に示すように、燃焼室内に臨む面を開口として、谷状の切削部12が設けられている。そしてこの切削部12は、点火プラグ5とシリンダヘッド3の螺合箇所であるネジ部19に開放し、点火プラグ5をシリンダヘッド3に螺合した後には、シリンダヘッド3のネジ部が切削部12内面の一部となる。また、前記切削部12近傍には、燃焼室10内の圧力を検出する圧力検出部13が設けられており、混合気が燃焼する際の燃焼室10内の圧力変化を測定する。
【0027】
この点火プラグ5燃焼室内面に設けられた切削部12は、ピストン6に設けられた石英ガラス7を通過して燃焼室10内に導かれるレーザー光が照射される箇所であり、この切削部12の開口箇所は、レーザー光が照射される照射面積より大きく穿設されている。
【0028】
以下本実施の形態1で行う測定である、ラマン分光計測について説明する。ラマン分光計測は、ラマン効果によって現れるラマンスペクトルによる分光分析である。ラマン効果とは、レーザー光等の単色光を試料分子に照射した際に発生する散乱光を観測すると、入射光であるレーザー光と同じ振動数の散乱光の中に、入射光の振動数と僅かに異なる振動数の弱い散乱光(ラマン光)が発生することである。
【0029】
ラマン光の振動数と単色光の振動数とのずれは、物質に特有の量となるため、このラマン光の振動数と単色光の振動数とのずれに応じて、測定する物質の種類を特定することが可能となる。また、このラマン光の強度は、測定した分子の存在量にそのまま比例するため、このラマン光の強度に応じて、測定した分子の存在量を算出することが可能となる。
【0030】
ラマン光を測定する際には、分光器21等をもちいて、特定の周波数を持つラマン光を選別し、その分光器21に取付けられたCCDカメラ22により、選別したラマン光の強度を測定する。
【0031】
本測定で使用されるレーザー光は、単位相からなる高強度の光である。前記分光器21及びCCDカメラ22は、強度の光が入射すると、内部に設けられた素子が破壊されて、測定不能となる場合がある。よって、分光器21に入射する光は、特定の周波数の光を遮断する回折格子等から形成されるスリットを通過して分光器21の受光部に入射する。
【0032】
前記レーザー光は、物質に照射されて反射されない限りは、単一波長、単一周期の光として直進する。しかし、物質に反射された場合には、反射面で多様な波長、周期の光となる。元々が強度の高い光であるため、この反射されたレーザー光は、多様の波長の光から構成される激しい散乱光となる。前記散乱光は多様の波長から構成されるため、単一波長の光のみを遮断するスリットで遮ることは不可能であり、必然的に分光器21の受光部に入射する。この入射した散乱光は、前述したように多様の波長の光の集合体であるため、分光器21で受光した光には、図4のグラフAに示すように、特定の波長を示すラマン光に近い波長や、同一の波長の光も含まれる。これにより、レーザー光が燃焼室10中の分子に照射されて、この分子より発生するラマン光を特定することが難しくなる。
【0033】
よって、前記散乱光を減少させる。散乱光が発生する原因は、燃焼室10内を通過して燃焼室内面に照射されるレーザー光が、その照射位置より放射状に散乱光が広がることにある。放射状に拡散する散乱光を抑制するために、点火プラグ5に設けられたレーザー光の照射位置を谷状の切削部12とする。図5に示すように、この切削部12を形成する谷の一面に照射されて反射されたレーザー光は、その大部分が同じく切削部12を形成する谷の他面に照射される。この一面より反射されて他面に照射されたレーザー光は、他面で反射されて一面に照射される。前記切削部12を形成する面の反射率は低いため、この切削部12に照射されたレーザー光は、複数回切削部12内で反射を繰返した後に減衰する。
【0034】
本実施の形態1では、点火プラグ5の燃焼室内面に切削部12が設けられている。この切削部12は、開口に対して、十分にその穿設された最深部が深くなるように穿設されている。また、本実施の形態1では、前記点火プラグ5の燃焼室内面が、シリンダヘッド3の燃焼室内面より突出している。前記切削部12は点火プラグ5の燃焼室内面端部に穿設されているため、その側面はネジ部に開放している。点火プラグ5をシリンダヘッド3に取付けた場合には、シリンダヘッド3の点火プラグ5との接合面が、前記切削部12内面の一面を構成する。しかし、点火プラグ5はシリンダヘッド3の燃焼室内面より突出する形態で取付けられているため、突出した部位では、切削部12の側部一面が無い形状となる。よって、図2に示すように、この突出する部位に遮光板18を設けて反射したレーザー光が切削部12より漏れないようにする。
【0035】
また、図6に示す例では、前記切削部12は、一面がシリンダヘッド3のネジ部方向へ開放するように設けられ、前記シリンダヘッド3のネジ部により、切削部12の一内面が構成される。図6に示すように、このネジ部は形状が山、谷からなる連続した凹凸面から形成されている。これらの各凹凸面は、所定の角度の傾斜面であるので、このネジ部に、切削部12内に入射して反射されたレーザー光の一部が照射されると、ネジ部に設けられたこれら凹凸面により、レーザー光の反射が繰返され、これを減衰することが可能となる。
【0036】
以上の構成を基にして、ラマン分光計による、内燃機関の燃焼室内に生成する成分分析を行う。このラマン分光計測に用いられるレーザー光は、公知のレーザー発振装置26により照射される。この照射されたレーザー光は、レンズ25を通して、より細い光束に収束された後に、ピストン6下方に設けられた鏡27で反射されて、ピストン6に設けられた可視化窓である石英ガラス11部を通して燃焼室10内に照射される。このとき燃焼室10内部では、吸気バルブ16より流入した、空気と燃料が混合された混合気が圧縮、着火、燃焼して、排気バルブ17より排気される行程が行われている。よって、燃焼室10内に流入したレーザー光は、燃焼前の混合気、若しくは燃焼後の混合気中に照射され、各気体の成分に応じたラマン光を発光させる。
【0037】
その後、このレーザー光は燃焼室10内部に突出した点火プラグ5に設けられた、切削部12に到達し、この切削部12の内面に照射される。この谷状に設けられた内面に照射されることにより、前記レーザー光は切削部23内で反射を繰返し減衰する。よって、レーザー光による散乱光は燃焼室10内にあまり生じなくなる。
【0038】
また、レーザー光が燃焼室10内の分子に照射されて発生したラマン光は、燃焼室側壁のシリンダライナ4及びシリンダブロック2に設けられた可視化窓である、石英ガラス7部より外部に照射される。この照射されたラマン光は、スリット24を通過してレーザー光の波長を有する光を遮断した後に、レンズ23を通過し、分光器21の受光部へ収束される。そして分光器21及びCCDカメラ22によって、ラマン光の波長、及び強度が測定され、図5のグラフBにしめすように、特定の分子が示す波長の強度が示される。ラマン光の強度は分子の存在量に依存するため、図5に示されたグラフBより、燃焼室内に存在する分子の比率及び量が算出され、ラマン分光計による成分分析が終了する。
【0039】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2として、燃焼室内の噴射された燃料や、気流を計測する際に用いられるシート状のレーザー光について説明する。燃焼室内に噴射される燃料の噴霧状態を測定する試験は、LIF試験と呼称され、燃料中に蛍光物質を混入し、この燃料を燃焼室内に噴射する。そしてこの噴射した燃料にレーザー光を照射して、各時間における噴射燃料の動向を測定する。
【0040】
燃焼室内の気流の状態を測定する試験は、PIV試験と呼称され、吸気バルブより流入する吸気に低比重な微小粉末を混入する。そしてこの微小粉末が混入された吸気を燃焼室内に流入させ、この状態でレーザー光を照射し、微小粉末の動向を測定することで燃焼室内の気流の状態を測定する。
【0041】
いずれの試験も、シート状のレーザー光を燃焼室内に照射し、このレーザー光にて発光した燃料、若しくは微小粉末を含む気流をCCDカメラ等で撮影し解析する。よって、レーザー光が、壁面に照射され、散乱光が発生すると、撮影が不可能となるばかりでなく、その散乱光により、CCDカメラの受光部が破損する場合もある。よって、散乱光を減少する必要がある。
【0042】
図7に、本実施の形態2における、燃焼室周辺の図を示す。本実施の形態2では、燃焼室40側壁を形成するシリンダブロック32が石英ガラスより形成され、燃焼室40側方より、シート状のレーザー光を燃焼室40内に照射可能となる。この石英ガラスが側壁として形成された燃焼室40内には、下方よりピストン36が挿入される。
【0043】
前記燃焼室40周りのシリンダブロック32を形成する石英ガラスは、シート状のレーザー光を燃焼室40内部に通過させると共に、燃焼室40内部を通過したレーザー光の照射箇所になる。この石英ガラスで形成される照射箇所は不純物等の付着が無い状態であるならば、その光透過性能の高さから、レーザー光による散乱光をあまり発することなく、透過する。しかし、測定を行う場合には、前記蛍光物質混入の燃料や、微粉末混入の気流が付着し、その透過性能を低下させる。この場合には、散乱光が発生し、燃焼室40内部を観察不能にする。よって、レーザー光の照射箇所となる燃焼室40内壁面に、谷状の切削部42を形成する。
【0044】
レーザー光は、一方向より照射されるため、その反対方向の燃焼室内面に、谷状の切削部42を形成する。この形成された切削部42にレーザー光が照射されて、レーザー光は減衰する。
【0045】
本実施の形態2では、レーザー光の進行方向が、ピストン36の運動方向に対して、直角方向より燃焼室内に照射される形状について説明した。この他にも、図8に示すように、ピストン36に石英ガラス41を嵌入し、ピストン36下方より、シート状のレーザー光を燃焼室内に導き、燃焼室内を測定する方法もある。この時には、シリンダヘッド33に谷状の切削部42を穿設し、この切削部42にシート状のレーザー光を照射し、収束、減衰させる。
【0046】
(実施の形態3)
次に実施の形態3として、燃焼室内に導かれるレーザー光をレンズ等で収束して燃焼室内に焦点を形成し、その焦点で発生する熱により、燃焼室内の燃料に着火するレーザー着火試験ついて説明する。
【0047】
従来の点火装置としては、図1に示すように、シリンダヘッド3中央付近に設けられた点火プラグ5がある。この点火プラグ5は、車載された蓄電池を用いて、燃焼室内に突出させた陰極、陽極間に荷電して放電する際に発生する火花で燃料に着火する方法である。
【0048】
これに対して、レーザー着火は、高出力のレーザー光をレンズで収束し、その焦点に生じる高温により、燃料に着火する技術である。このレーザー着火を試験的に行う際、その燃焼性状を調べるために、燃焼室を形成する壁に石英ガラスを用いて外部より観察可能とする。
【0049】
前記レーザー光は、レンズで集光されているために、焦点で高温となったのちに、分散する。しかし、燃焼室内は狭いため、レーザー光が分散する前に、燃焼室を形成する壁に照射され、この照射箇所で分散光を発する。この分散光である激しい光により、燃焼室内部は観察不可能となる。よって、分散光を抑制する必要がある。そこで、レーザー光が燃焼室内に照射される面に切削部を設ける。
【0050】
図9に示すように、吸気バルブ66、排気バルブ67を備えて燃焼室60を構成する壁であるシリンダヘッド53の内壁の一部をレーザー光の照射箇所とする。この照射箇所には、錘状の切削部62が穿設されている。前記レーザー光は、この錘状の切削部62の開口に照射され、切削部62内で反射、照射を繰返して収束、減衰する。減衰することにより、燃焼室60内部がレーザー光に起因する散乱光により照射されることが無くなり、燃焼室60内部を観察することが可能となる。
【0051】
以上、各実施の形態において、レーザー光の照射位置に設けられた谷状、若しくは錘状の切削部により、レーザー光が錯乱光を発することなく、レーザー光を収束、減衰することが可能となる。
【0052】
また、このときに設けられる切削部は、入射したレーザー光が、反射して外部に漏れないように、あらかじめ切削部を形成する谷状、若しくは錘状の角度が計算されているものである。ここで、切削部の角度があまり鋭角で無いならば、入射したレーザー光は、その反射の課程で、切削部外部に漏洩し、切削部外部、本実施の形態では、燃焼室内部に散乱光を放射することになり、切削部を設けたとしても、その効果を十分に果すことはできなくなる。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、内燃機関の燃焼室内に照射されて、燃焼室内の諸性状を測定する際に用いられるレーザー光が、燃焼室内に散乱して測定を阻害することを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施の形態1に係る、内燃機関及び測定機器を表す概略図。
【図2】同実施の形態1に係る点火プラグの側面図。
【図3】同実施の形態1に係る点火プラグの燃焼室内側面図。
【図4】同実施の形態1に係る、測定した光の波長と強度を示すグラフ。
【図5】同実施の形態1に係る、切削部に照射される光を示す概念図。
【図6】同実施の形態1に係る、切削部及びネジ部周りの概略図。
【図7】本発明実施の形態2に係る、燃焼室周りの概略図。
【図8】同実施の形態2に係る、レーザー光照射位置周りの概略図。
【図9】本発明実施の形態3に係る、レーザー光照射位置周りの概略図。
【符号の説明】
1 内燃機関
2 シリンダブロック
3 シリンダヘッド
4 シリンダライナ
5 点火プラグ
6 ピストン
7 石英ガラス
8 コンロッド
9 鏡
10 燃焼室
11 石英ガラス
12 切削部
13 圧力検出部
16 吸気バルブ
17 排気バルブ
18 遮光板
19 ネジ部
21 分光器
22 CCDカメラ
23 レンズ
23 切削部
24 スリット
25 レンズ
26 レーザー発振装置
27 鏡
32 シリンダブロック
33 シリンダヘッド
36 ピストン
40 燃焼室
41 石英ガラス
42 切削部
53 シリンダヘッド
60 燃焼室
62 切削部
66 吸気バルブ
67 排気バルブ
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の燃焼室内を観察する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、燃焼室内で点火された燃料が燃焼した際のガスの組成を調べる方法として、ラマン・スペクトルを用いた分光分析方法がある。
【0003】
このラマン分光分析を行うには、予め燃焼室を構成する壁の一部に可視化窓を設け、この可視化窓より、燃焼室内部に高出力のレーザー光を照射する。そしてこのレーザー光が燃焼室内の物質に当って、各物質を構成する分子に応じた光であるラマン光を発した後に、レーザー光は、燃焼室内に突出したプラグの電極間隙間に形成された隙間に入射する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記プラグに設けられた電極間の隙間にレーザー光が入る形態では、この電極間隙間が狭く、入り口付近でレーザー光による散乱光が発生していた。
【0005】
レーザー光が各分子に当って発生するラマン光は微弱な光であり、他の光源が存在すると、その光源よりの光がノイズとなり、測定を行う物質固有の波長の正確な励起位置の特定が難しくなる。
【0006】
前記ラマン分光分析方法に限らず、内燃機関の燃焼室内の諸性状を測定する際にレーザー光を用いて、光学的に測定、分析する方法は、多様に存在する。例えば燃料中に蛍光物質を混入し、この蛍光物質の混入された燃料を燃焼室内に噴射した時にレーザー光を当てて発光させ、燃料の拡散程度を測定する方法等がある。
【0007】
前記例においても、レーザー光は燃焼室内を通過して、燃焼室内壁面に照射される。この時に散乱光が燃焼室内で発生すると、レーザー光にて発光した噴射燃料の視認性が低下する。
【0008】
本発明は、これらの問題に鑑み、内燃機関の燃焼室内に照射されて、燃焼室内の諸性状を測定する際に用いられるレーザー光が、燃焼室内で散乱光となって測定を阻害するのを防止することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は、内燃機関の筒内を構成する壁に設けられた可視化窓と、前記壁に設けられた可視化窓を通じて燃焼室内に光を供給する発光部と、前記発光部より照射される光が、前記可視化窓及び燃焼室内を通過して照射される筒内壁面に、その開口面積が光の照射面積より大きく開口されると共に、開口から入射した光が内部で複数回反射を繰返すように形成された切削部と、を含む内燃機関の筒内観察装置とした。
【0010】
前記筒内観察装置では、筒内を構成する壁に設けられた可視化窓は、石英ガラス等の高強度、かつ光透過性物質により形成され、筒内で燃料が燃焼している時の筒内視認、及び筒内への測定光の入射を可能にする。発光部は、レーザー光等の指向性の強い高強度の光を照射する。そしてこの光が測定光として前記可視化窓を通して筒内に入射される。
【0011】
また、切削部は、入射した光が内部で複数回反射を繰返すように形成されている。これは、入射した光が切削部内面で反射される際に、その切削部内面の反射率の低さから、反射される光の強度が減衰されることを利用したもので、測定光が切削部に入射して複数回反射することにより、測定光の強度が減衰される。
【0012】
発光部より照射されて筒内部を通過したレーザー光は、可視化窓が設けられてレーザー光が通過した一方の壁面に相対する他方の筒内壁面に到達、照射される。この時に照射面がその壁面の切削部開口内に収まるように、切削部を設ける。切削部の開口部内に照射面が収まっているために、切削部の開口位置でレーザー光の反射による散乱光は発生しなくなる。
【0013】
前記レーザー光は、単一波長、単一方向の指向性を示す光である。しかし、このレーザー光が、表面に凹凸を有する素材に照射されると、この凹凸により、散乱光が発生する。元々レーザー光は高出力であるため、その散乱光の照度は、燃焼室内の測定に用いられる計測機器が許容する範囲を安易に超えるものとなり、計測機器の破損を招く可能性がある。よって、前記したように切削部内でレーザー光を収束、減衰させる。
【0014】
前記切削部は、その切削部の最深部を頂点として鋭角に筒内壁面に向って開口するV字状の溝、若しくは、円錐状の凹部より形成することができる。
【0015】
切削部の最深部を頂点とした開口部の角度が鋭角とされた前記V字状の溝や円錐状の凹部からなる切削部に測定光を照射すると、この切削部に照射された測定光は、切削部の内面で頂点方向へ反射されていく。そして複数回反射を繰返すので測定光の強度は減衰する。理論上では、測定光が切削部内で反射を繰返すことにより、最終的には開口部より外部へ放射されることになるが、開口部の角度を鋭角として反射回数を増やし、切削部内で充分に減衰することにより、切削部外へ照射された時には、測定光に起因する激しい散乱光が形成されなくなる。
【0016】
前記燃焼室内には、燃焼時の着火装置となる点火プラグが設けられる場合には、前記切削部は、筒内に曝された前記点火プラグの壁面に設けることが可能である。
【0017】
燃焼室内にレーザー光を照射する目的は、燃焼室内にて発生する燃焼や、燃焼に供される燃料の流れ等の挙動を把握することである。よって、燃焼室形状は、実際に使用される内燃機関の燃焼室内と同一形状であることが望ましい。これに対して、レーザー光を減衰させるために設けられた切削部は、実機に内燃機関を使用する際に、必ずしも必要になるとは限らない。よって、燃焼室を形成するための確定要因となる燃料室壁面の構成及び形状は、極力変化させないことが望ましい。即ち、燃焼室壁面に切削部を設けて、燃焼室内を流れる吸気流等を乱さないことが望ましい。
【0018】
燃焼室を形成するための確定要因となる燃焼室壁面の形状等に対して、燃焼室内に突出して、点火装置となる点火プラグは、燃焼室が形成された後に、取外し可能な状態で設置され、その形状も単一の形状を示さない。即ち、燃焼室を構成する上で、点火プラグの形状が及す影響は、その燃焼室内部での、気流等の挙動を特定する上で不確定要因となる。よって、点火プラグの形状が変化することによる気流等の挙動の変化は、燃焼室内の挙動の特性を把握する上で、必ずしも必須要因とはならない。従って、この点火プラグの燃焼室に臨む壁に切削部を設けたとしても、この切削部が燃焼室内に与える影響は、点火プラグが燃焼室内に与える影響の範囲内として扱うことができる。
【0019】
前記点火プラグは、燃焼室の壁に螺合して固定されると共に、前記切削部の一面が点火プラグと燃焼室の壁との螺合箇所に開放されるように形成され、前記点火プラグが固定された際に、燃焼室の壁の螺合箇所に設けられたネジ部が前記切削部の一面となることが可能である。
【0020】
点火プラグは、点火プラグを雄ネジ、燃焼室を構成する壁を雌ネジとして螺合される。ネジ部は形状的に、谷状の溝の集合体と見なすことができる。よって、点火プラグに設けられる切削部の一面をネジ部に開放する。これにより、点火プラグが燃焼室を構成する壁と螺合した際に、切削部を構成する面の一面が燃焼室を構成する壁の雌ネジ部により構成される。これにより、この雌ネジ部からなる切削部の一面に照射されたレーザー光を雌ネジ面に反射し、谷状に設けられた切削部でレーザー光が減衰されるのと同様に、減衰させることが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下本実施の形態1を示す。本実施の形態1は、内燃機関の燃焼室内で、燃料と空気の混合気が燃焼した際に、生成する成分を分析するために、レーザー光を用いてラマン分光計で成分分析を行うものである。
【0022】
本実施の形態1で用いられる内燃機関1は、図1に示すように、着火装置である点火プラグ5を用いて混合気に着火し、燃焼させる火花点火方式の内燃機関である。この内燃機関1は、内部が筒状に穿設されて、この筒が燃焼室の側壁となるシリンダブロック2と、シリンダブロック2の上方に接合されて、その下壁の一部が、燃焼室10の上壁となるシリンダヘッド3とを主な駆体として形成されている。
【0023】
前記シリンダブロック2に設けられた筒内部には、シリンダライナ4が嵌入され、燃焼室10側面を形成する。そしてこのシリンダライナ4内部には、ピストン6が挿入され、このピストン6上面、シリンダライナ4内側面、シリンダブロック2下面から燃焼室10を形成する。また、シリンダライナ4、シリンダブロック2の一部は、石英ガラス7が嵌め込んであり、この石英ガラス7部分より燃焼室内部が視認可能である。
【0024】
また、ピストン6の燃焼室面から、コンロッド8への連結箇所であるピンボス面にかけても石英ガラス11が嵌合してある。このピストン6の下方に、鏡9を設置して、この鏡9にレーザー光を照射してピンボス面に位置する石英ガラス7方向へ反射させ、ピストン6に設けた石英ガラス11より燃焼室10内部にレーザー光を照射することが可能となる。
【0025】
前記石英ガラス7及び11は、純珪石を融解して作った二酸化珪素から作られるガラスであり、その軟化点は1500℃以上で、急熱急冷等の温度変化に対して強く、耐食性も大である。よって、燃焼室10内で燃料が燃焼した際にも、破損することなく、燃焼室10内部が観察可能となる。
【0026】
シリンダヘッド3には、燃焼室10内に混合気を吸入する吸気バルブ16及び燃焼後の排気を排出する排気バルブ17と、燃焼室10内に吸入した混合気に点火する点火プラグ5が設けられている。この点火プラグ5は、図2及び図3に示すように、燃焼室内に臨む面を開口として、谷状の切削部12が設けられている。そしてこの切削部12は、点火プラグ5とシリンダヘッド3の螺合箇所であるネジ部19に開放し、点火プラグ5をシリンダヘッド3に螺合した後には、シリンダヘッド3のネジ部が切削部12内面の一部となる。また、前記切削部12近傍には、燃焼室10内の圧力を検出する圧力検出部13が設けられており、混合気が燃焼する際の燃焼室10内の圧力変化を測定する。
【0027】
この点火プラグ5燃焼室内面に設けられた切削部12は、ピストン6に設けられた石英ガラス7を通過して燃焼室10内に導かれるレーザー光が照射される箇所であり、この切削部12の開口箇所は、レーザー光が照射される照射面積より大きく穿設されている。
【0028】
以下本実施の形態1で行う測定である、ラマン分光計測について説明する。ラマン分光計測は、ラマン効果によって現れるラマンスペクトルによる分光分析である。ラマン効果とは、レーザー光等の単色光を試料分子に照射した際に発生する散乱光を観測すると、入射光であるレーザー光と同じ振動数の散乱光の中に、入射光の振動数と僅かに異なる振動数の弱い散乱光(ラマン光)が発生することである。
【0029】
ラマン光の振動数と単色光の振動数とのずれは、物質に特有の量となるため、このラマン光の振動数と単色光の振動数とのずれに応じて、測定する物質の種類を特定することが可能となる。また、このラマン光の強度は、測定した分子の存在量にそのまま比例するため、このラマン光の強度に応じて、測定した分子の存在量を算出することが可能となる。
【0030】
ラマン光を測定する際には、分光器21等をもちいて、特定の周波数を持つラマン光を選別し、その分光器21に取付けられたCCDカメラ22により、選別したラマン光の強度を測定する。
【0031】
本測定で使用されるレーザー光は、単位相からなる高強度の光である。前記分光器21及びCCDカメラ22は、強度の光が入射すると、内部に設けられた素子が破壊されて、測定不能となる場合がある。よって、分光器21に入射する光は、特定の周波数の光を遮断する回折格子等から形成されるスリットを通過して分光器21の受光部に入射する。
【0032】
前記レーザー光は、物質に照射されて反射されない限りは、単一波長、単一周期の光として直進する。しかし、物質に反射された場合には、反射面で多様な波長、周期の光となる。元々が強度の高い光であるため、この反射されたレーザー光は、多様の波長の光から構成される激しい散乱光となる。前記散乱光は多様の波長から構成されるため、単一波長の光のみを遮断するスリットで遮ることは不可能であり、必然的に分光器21の受光部に入射する。この入射した散乱光は、前述したように多様の波長の光の集合体であるため、分光器21で受光した光には、図4のグラフAに示すように、特定の波長を示すラマン光に近い波長や、同一の波長の光も含まれる。これにより、レーザー光が燃焼室10中の分子に照射されて、この分子より発生するラマン光を特定することが難しくなる。
【0033】
よって、前記散乱光を減少させる。散乱光が発生する原因は、燃焼室10内を通過して燃焼室内面に照射されるレーザー光が、その照射位置より放射状に散乱光が広がることにある。放射状に拡散する散乱光を抑制するために、点火プラグ5に設けられたレーザー光の照射位置を谷状の切削部12とする。図5に示すように、この切削部12を形成する谷の一面に照射されて反射されたレーザー光は、その大部分が同じく切削部12を形成する谷の他面に照射される。この一面より反射されて他面に照射されたレーザー光は、他面で反射されて一面に照射される。前記切削部12を形成する面の反射率は低いため、この切削部12に照射されたレーザー光は、複数回切削部12内で反射を繰返した後に減衰する。
【0034】
本実施の形態1では、点火プラグ5の燃焼室内面に切削部12が設けられている。この切削部12は、開口に対して、十分にその穿設された最深部が深くなるように穿設されている。また、本実施の形態1では、前記点火プラグ5の燃焼室内面が、シリンダヘッド3の燃焼室内面より突出している。前記切削部12は点火プラグ5の燃焼室内面端部に穿設されているため、その側面はネジ部に開放している。点火プラグ5をシリンダヘッド3に取付けた場合には、シリンダヘッド3の点火プラグ5との接合面が、前記切削部12内面の一面を構成する。しかし、点火プラグ5はシリンダヘッド3の燃焼室内面より突出する形態で取付けられているため、突出した部位では、切削部12の側部一面が無い形状となる。よって、図2に示すように、この突出する部位に遮光板18を設けて反射したレーザー光が切削部12より漏れないようにする。
【0035】
また、図6に示す例では、前記切削部12は、一面がシリンダヘッド3のネジ部方向へ開放するように設けられ、前記シリンダヘッド3のネジ部により、切削部12の一内面が構成される。図6に示すように、このネジ部は形状が山、谷からなる連続した凹凸面から形成されている。これらの各凹凸面は、所定の角度の傾斜面であるので、このネジ部に、切削部12内に入射して反射されたレーザー光の一部が照射されると、ネジ部に設けられたこれら凹凸面により、レーザー光の反射が繰返され、これを減衰することが可能となる。
【0036】
以上の構成を基にして、ラマン分光計による、内燃機関の燃焼室内に生成する成分分析を行う。このラマン分光計測に用いられるレーザー光は、公知のレーザー発振装置26により照射される。この照射されたレーザー光は、レンズ25を通して、より細い光束に収束された後に、ピストン6下方に設けられた鏡27で反射されて、ピストン6に設けられた可視化窓である石英ガラス11部を通して燃焼室10内に照射される。このとき燃焼室10内部では、吸気バルブ16より流入した、空気と燃料が混合された混合気が圧縮、着火、燃焼して、排気バルブ17より排気される行程が行われている。よって、燃焼室10内に流入したレーザー光は、燃焼前の混合気、若しくは燃焼後の混合気中に照射され、各気体の成分に応じたラマン光を発光させる。
【0037】
その後、このレーザー光は燃焼室10内部に突出した点火プラグ5に設けられた、切削部12に到達し、この切削部12の内面に照射される。この谷状に設けられた内面に照射されることにより、前記レーザー光は切削部23内で反射を繰返し減衰する。よって、レーザー光による散乱光は燃焼室10内にあまり生じなくなる。
【0038】
また、レーザー光が燃焼室10内の分子に照射されて発生したラマン光は、燃焼室側壁のシリンダライナ4及びシリンダブロック2に設けられた可視化窓である、石英ガラス7部より外部に照射される。この照射されたラマン光は、スリット24を通過してレーザー光の波長を有する光を遮断した後に、レンズ23を通過し、分光器21の受光部へ収束される。そして分光器21及びCCDカメラ22によって、ラマン光の波長、及び強度が測定され、図5のグラフBにしめすように、特定の分子が示す波長の強度が示される。ラマン光の強度は分子の存在量に依存するため、図5に示されたグラフBより、燃焼室内に存在する分子の比率及び量が算出され、ラマン分光計による成分分析が終了する。
【0039】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2として、燃焼室内の噴射された燃料や、気流を計測する際に用いられるシート状のレーザー光について説明する。燃焼室内に噴射される燃料の噴霧状態を測定する試験は、LIF試験と呼称され、燃料中に蛍光物質を混入し、この燃料を燃焼室内に噴射する。そしてこの噴射した燃料にレーザー光を照射して、各時間における噴射燃料の動向を測定する。
【0040】
燃焼室内の気流の状態を測定する試験は、PIV試験と呼称され、吸気バルブより流入する吸気に低比重な微小粉末を混入する。そしてこの微小粉末が混入された吸気を燃焼室内に流入させ、この状態でレーザー光を照射し、微小粉末の動向を測定することで燃焼室内の気流の状態を測定する。
【0041】
いずれの試験も、シート状のレーザー光を燃焼室内に照射し、このレーザー光にて発光した燃料、若しくは微小粉末を含む気流をCCDカメラ等で撮影し解析する。よって、レーザー光が、壁面に照射され、散乱光が発生すると、撮影が不可能となるばかりでなく、その散乱光により、CCDカメラの受光部が破損する場合もある。よって、散乱光を減少する必要がある。
【0042】
図7に、本実施の形態2における、燃焼室周辺の図を示す。本実施の形態2では、燃焼室40側壁を形成するシリンダブロック32が石英ガラスより形成され、燃焼室40側方より、シート状のレーザー光を燃焼室40内に照射可能となる。この石英ガラスが側壁として形成された燃焼室40内には、下方よりピストン36が挿入される。
【0043】
前記燃焼室40周りのシリンダブロック32を形成する石英ガラスは、シート状のレーザー光を燃焼室40内部に通過させると共に、燃焼室40内部を通過したレーザー光の照射箇所になる。この石英ガラスで形成される照射箇所は不純物等の付着が無い状態であるならば、その光透過性能の高さから、レーザー光による散乱光をあまり発することなく、透過する。しかし、測定を行う場合には、前記蛍光物質混入の燃料や、微粉末混入の気流が付着し、その透過性能を低下させる。この場合には、散乱光が発生し、燃焼室40内部を観察不能にする。よって、レーザー光の照射箇所となる燃焼室40内壁面に、谷状の切削部42を形成する。
【0044】
レーザー光は、一方向より照射されるため、その反対方向の燃焼室内面に、谷状の切削部42を形成する。この形成された切削部42にレーザー光が照射されて、レーザー光は減衰する。
【0045】
本実施の形態2では、レーザー光の進行方向が、ピストン36の運動方向に対して、直角方向より燃焼室内に照射される形状について説明した。この他にも、図8に示すように、ピストン36に石英ガラス41を嵌入し、ピストン36下方より、シート状のレーザー光を燃焼室内に導き、燃焼室内を測定する方法もある。この時には、シリンダヘッド33に谷状の切削部42を穿設し、この切削部42にシート状のレーザー光を照射し、収束、減衰させる。
【0046】
(実施の形態3)
次に実施の形態3として、燃焼室内に導かれるレーザー光をレンズ等で収束して燃焼室内に焦点を形成し、その焦点で発生する熱により、燃焼室内の燃料に着火するレーザー着火試験ついて説明する。
【0047】
従来の点火装置としては、図1に示すように、シリンダヘッド3中央付近に設けられた点火プラグ5がある。この点火プラグ5は、車載された蓄電池を用いて、燃焼室内に突出させた陰極、陽極間に荷電して放電する際に発生する火花で燃料に着火する方法である。
【0048】
これに対して、レーザー着火は、高出力のレーザー光をレンズで収束し、その焦点に生じる高温により、燃料に着火する技術である。このレーザー着火を試験的に行う際、その燃焼性状を調べるために、燃焼室を形成する壁に石英ガラスを用いて外部より観察可能とする。
【0049】
前記レーザー光は、レンズで集光されているために、焦点で高温となったのちに、分散する。しかし、燃焼室内は狭いため、レーザー光が分散する前に、燃焼室を形成する壁に照射され、この照射箇所で分散光を発する。この分散光である激しい光により、燃焼室内部は観察不可能となる。よって、分散光を抑制する必要がある。そこで、レーザー光が燃焼室内に照射される面に切削部を設ける。
【0050】
図9に示すように、吸気バルブ66、排気バルブ67を備えて燃焼室60を構成する壁であるシリンダヘッド53の内壁の一部をレーザー光の照射箇所とする。この照射箇所には、錘状の切削部62が穿設されている。前記レーザー光は、この錘状の切削部62の開口に照射され、切削部62内で反射、照射を繰返して収束、減衰する。減衰することにより、燃焼室60内部がレーザー光に起因する散乱光により照射されることが無くなり、燃焼室60内部を観察することが可能となる。
【0051】
以上、各実施の形態において、レーザー光の照射位置に設けられた谷状、若しくは錘状の切削部により、レーザー光が錯乱光を発することなく、レーザー光を収束、減衰することが可能となる。
【0052】
また、このときに設けられる切削部は、入射したレーザー光が、反射して外部に漏れないように、あらかじめ切削部を形成する谷状、若しくは錘状の角度が計算されているものである。ここで、切削部の角度があまり鋭角で無いならば、入射したレーザー光は、その反射の課程で、切削部外部に漏洩し、切削部外部、本実施の形態では、燃焼室内部に散乱光を放射することになり、切削部を設けたとしても、その効果を十分に果すことはできなくなる。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、内燃機関の燃焼室内に照射されて、燃焼室内の諸性状を測定する際に用いられるレーザー光が、燃焼室内に散乱して測定を阻害することを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施の形態1に係る、内燃機関及び測定機器を表す概略図。
【図2】同実施の形態1に係る点火プラグの側面図。
【図3】同実施の形態1に係る点火プラグの燃焼室内側面図。
【図4】同実施の形態1に係る、測定した光の波長と強度を示すグラフ。
【図5】同実施の形態1に係る、切削部に照射される光を示す概念図。
【図6】同実施の形態1に係る、切削部及びネジ部周りの概略図。
【図7】本発明実施の形態2に係る、燃焼室周りの概略図。
【図8】同実施の形態2に係る、レーザー光照射位置周りの概略図。
【図9】本発明実施の形態3に係る、レーザー光照射位置周りの概略図。
【符号の説明】
1 内燃機関
2 シリンダブロック
3 シリンダヘッド
4 シリンダライナ
5 点火プラグ
6 ピストン
7 石英ガラス
8 コンロッド
9 鏡
10 燃焼室
11 石英ガラス
12 切削部
13 圧力検出部
16 吸気バルブ
17 排気バルブ
18 遮光板
19 ネジ部
21 分光器
22 CCDカメラ
23 レンズ
23 切削部
24 スリット
25 レンズ
26 レーザー発振装置
27 鏡
32 シリンダブロック
33 シリンダヘッド
36 ピストン
40 燃焼室
41 石英ガラス
42 切削部
53 シリンダヘッド
60 燃焼室
62 切削部
66 吸気バルブ
67 排気バルブ
Claims (4)
- 内燃機関の筒内を構成する壁に設けられた可視化窓と、
前記壁に設けられた可視化窓を通じて燃焼室内に光を供給する発光部と、
前記発光部より照射される光が、前記可視化窓及び燃焼室内を通過して照射される筒内壁面に、その開口面積が光の照射面積より大きく開口されると共に、開口から入射した光が内部で複数回反射を繰返すように形成された切削部と、を含む内燃機関の筒内観察装置。 - 前記切削部は、その切削部の最深部を頂点として鋭角に筒内壁面に向って開口するV字状の溝、若しくは、円錐状の凹部より形成される請求項1に記載の内燃機関の筒内観察装置。
- 前記燃焼室内には、燃焼時の着火装置となる点火プラグが設けられ、
前記切削部は、筒内に曝された前記点火プラグの壁面に設けられている請求項1叉は2に記載の内燃機関の筒内観察装置。 - 前記点火プラグは、燃焼室の壁に螺合して固定されると共に、前記切削部の一面が点火プラグと燃焼室の壁との螺合箇所に開放されるように形成され、
前記点火プラグが固定された際に、燃焼室の壁の螺合箇所に設けられたネジ部が前記切削部の一面となる請求項3に記載の内燃機関の筒内観察装置。
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