JP2004015476A - 光空間通信装置のビーム角度偏向方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】メカ的な駆動手段に付随する摩耗や故障がなく、低コストで信頼性の高い光軸ずれ補正機能を持つ光空間装置を実現する。
【解決手段】相手側装置に光ビームを送出するための発光源の発光波長を変化させる手段と、入射光束の波長により出射光束の方向を変化させる光学的手段とを有し、前記発光源の発光波長を変化させることにより、メカ的手段を用いることなく、相手側装置に送出する光ビームの方向を変化させる。
【選択図】 図1
【解決手段】相手側装置に光ビームを送出するための発光源の発光波長を変化させる手段と、入射光束の波長により出射光束の方向を変化させる光学的手段とを有し、前記発光源の発光波長を変化させることにより、メカ的手段を用いることなく、相手側装置に送出する光ビームの方向を変化させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、離れた二地点間に対向設置されて、自由空間中を伝搬する光ビームにより光信号を送り通信を行う光空間通信装置で、特に装置の角度ずれによる光ビームの光軸補正機能を持つ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に自由空間中に光ビームを伝搬させて通信を行う光空間通信装置は、光のパワーを効率よく伝送するために、光ビームの拡がり角を極力小さくした狭い光ビームで伝送する必要がある。しかし光ビームを狭くすると、建物あるいは設置架台の風圧や振動による揺れ、温度変動による歪み、径時変化による角度変動などのため、光ビームが相手方装置から外れやすくなり、安定した通信が難しい。そのために図7のように、装置の角度が変わっても角度変化を補正して常に光ビームが相手側装置を向くような光軸ずれ補正機能を持つ装置が考案されている。
【0003】
図7は対向する1対の装置の片側を示す。図7において、10は光ビームの送信/受信のための光学系である。相手側装置への送信光信号は半導体レーザ等の発光素子21より放出される。半導体レーザの光は偏光しており、偏光方向は紙面に水平になるように設定されている。この方向の偏光は偏光ビームスプリッタ22で送受光レンズ23の方向に反射され、送受光レンズ23で、僅かに拡がりを持つほぼ平行の光ビーム24となって相手側装置の方向に送信される。
【0004】
他方相手側装置から送られて来た光は、自装置よりの送信光信号と同じ光軸上で逆の進路をたどり、送受光レンズ23から偏光ビームスプリッタ22に入るが、相手方装置からの受信光は偏光方向が送信光と直交するように(偏光方向は紙面に垂直)設定されているために、偏光ビームスプリッタ22をそのまま透過し、ビームスプリッタ25に入る。受信光の大部分はビームスプリッタ25で反射し、光信号検出用の受光素子26に入射して、通信用の信号が検出されるが、一部の光はビームスプリッタ25を透過して、光位置検出素子27に入射する。
【0005】
光位置検出素子27は、例えば図8に示すような4分割されたフォトダイオードである。図8は27aから27dまでの4つに分割されたフォトダイオードに光スポット42が当たっている様子を示す。4つのフォトダイオード27aから27dの出力を比較することにより、光スポット42の位置を知ることができる。光位置検出素子27よりの信号は、角度補正情報として制御回路28で演算処理され、光学系10の駆動回路29に駆動信号が出力される。そして駆動回路29により、垂直方向の駆動機構30および水平方向の駆動機構31を動かして、光スポット42の位置が光位置検出素子27の中心に来て、4つのフォトダイオード27aから27dの出力が全て等しくなるような方向に駆動・制御される。
【0006】
光位置検出素子27と発光素子21、光信号検出用の受光素子26は全て光学軸が一致するように位置調整がなされており、光位置検出素子27の中心に光スポット32が当たった状態では、光信号検出用の受光素子26の中心にも光が入射しており、かつ発光素子21よりの光の中心は相手側装置の方向に放射される。
【0007】
このようにして常に送信光が受信光の方向、即ち相手側装置の方向になるように光軸ずれ補正が行われる。
【0008】
また鏡筒全体を駆動することにより光軸ずれ補正を行う代わりに、図9に示すような、駆動回路29により水平方向偏向ミラー32と垂直方向偏向ミラー33とを駆動することにより、鏡筒内で光を偏向させることにより光軸ずれ補正を行う方法もある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
1.光軸を垂直方向、水平方向の二軸に駆動するための機構が必要となり、かつこの機構には角度精度の要求が厳しいため精密な機構となり、装置が高価になる。
【0010】
2.この種の通信装置は通常常時連続運転で使用されるが、メカ的な可動部があり、かつ精密な機構であるために、摩耗による寿命があり、また故障を起こしやすい。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、本出願にかかわる第一の発明は、離れた地点間で対向設置されて光ビームにより通信を行う光空間通信装置において、相手側装置に光ビームを送出するための発光源を持ち、前記発光源の発光波長を変化させる手段と、入射光束の波長により出射光束の方向を変化させる光学的手段とを有し、前記発光源の発光波長を変化させることにより、メカ的手段を用いることなく、相手側装置に送出する光ビームの方向を変化させることを特徴とする。
【0012】
メカ的手段を用いないために、安価であり、かつ摩耗や故障のない光軸ずれ補正が可能となり、信頼性の高い光軸ずれ補正機能を有した光空間通信装置が実現できる。
【0013】
また本出願にかかわる第二の発明は、本出願にかかわる第一の発明の光空間通信装置において、
相手側装置からの光ビームを受信するための光信号検出手段を持ち、
前記光信号検出手段の受光角度範囲は、相手側装置に送出する光ビームの方向の可変角度範囲よりも広いことを特徴とする。
【0014】
また本出願にかかわる第三の発明は、本出願にかかわる第一の発明の光空間通信装置において、相手側装置からの光ビームの到来方向を検出するための光位置検出手段を持ち、
前記光位置検出手段の受光角度範囲は、相手側装置に送出する光ビームの方向の可変角度範囲よりも広いことを特徴とする。
【0015】
また本出願にかかわる第四の発明は、本出願にかかわる第一の発明から第三の発明の光空間通信装置において、発光源は半導体レーザであって、前記相手側装置に送出する光ビームの方向の可変方向は、断面が長円形に近似される発光パターンの短径の方向であることを特徴とする。
【0016】
また本出願にかかわる第五の発明は、本出願にかかわる第一の発明から第四の発明の光空間通信装置において、前記入射光束の波長により出射光束の方向を変化させる光学的手段は、波長分散性の素材で作られたプリズムであることを特徴とする。
【0017】
また本出願にかかわる第六の発明は、本出願にかかわる第一の発明から第四の発明の光空間通信装置において、前記入射光束の波長により出射光束の方向を変化させる光学的手段は、回折格子であることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
(第1の実施例)
図1に本願発明による光軸ずれ補正機能を持つ光空間伝送装置を示す。
【0019】
図1において発光素子21よりの光は図7の従来の実施例と同様に偏光ビームスプリッタ22で送受光レンズ23の方向に反射され、送受光レンズ23で、僅かに拡がりを持つほぼ平行の光ビーム24となって相手側装置の方向に送信される。但し発光素子21と偏光ビームスプリッタ22との光路間にプリズム11が挿入されている。
【0020】
このプリズムは波長分散性の材質で作られており、図2のように波長λ1の光と波長λ2の光とでは屈折して透過する光線の方向が変わる。
【0021】
また発光素子21は半導体レーザであり、半導体レーザは温度や順電流で発振波長が変化する。図3は半導体レーザの温度に対する発振波長の特性の一例であるが、これだとケース温度が0℃から60℃に変わると発振波長λは、階段状であるが、ほぼ直線的に約20nm変化する。また順電流でも発振波長が変化するが、温度一定の時の順電流による波長変化幅は数nm程度で余り大きくはない。
【0022】
例えばプリズム11が波長765nmでの屈折率が1.89511、波長785nmでの屈折率が1.89316というガラス材((株)OHARA製S−NPH2等)で作られていた場合、頂角が51.3°、入射角を39.4°とすると、上記の温度変化による波長変化幅20nmに対して、出射光を約0.9度偏向させることが出来る。
【0023】
図4は発光素子21の取付部を示す。半導体レーザである発光素子21は取付金具17に取り付けられている。端子S1,S2は通信用の信号入力端子である。また取付金具17はペルチェ効果を用いた電子冷却素子15に付けられている。端子P1,P2は電子冷却素子15への電流を流すためのもので、電流の方向を変えることにより、取付金具17と発光素子21を冷却または加熱することができる。さらに取付金具17には温度センサ16が付けられており、温度信号が端子T1,T2から出力される。温度センサ16により温度を検出して、電子冷却素子15への電流を制御することにより、発光素子21の温度を自由に変化させることが出来る。それにより半導体レーザである発光素子21の発振波長を制御することができる。
【0024】
他方相手側装置から送られて来た光は、これも図7の従来の実施例と同様偏光ビームスプリッタ22をそのまま透過し、ビームスプリッタ25に入る。受信光の大部分はビームスプリッタ25で反射し、光信号検出用の受光素子26に入射して、通信用の信号が検出されるが、一部の光はビームスプリッタ25を透過して、光位置検出素子27に入射する。
【0025】
光位置検出素子27よりの光スポット位置信号は、制御回路28で演算処理され、必要な送出ビームの偏向角とその偏向角を得るための発光素子21の発振波長を求めて、波長制御回路12に情報を送る。波長制御回路12は電子冷却素子15を駆動して、必要な発振波長が得られるように発光素子21の温度を制御する。このようにしてプリズム11から出た光は偏向され、光位置検出素子27で検出された相手側装置の方向に送信光ビームが向けられる。
【0026】
この実施例では、光ビームは1方向(図1では上下方向)にしか補正されないが、例えば特開平3−235439号公報にあるように、光ビームの光軸ずれは1方向へのずれが主であるために、1方向だけでも光軸ずれ補正の効果は大きく、さらに構成が従来例に比べて非常に簡単なためコストも大幅に低減される。
【0027】
さらに半導体レーザは通常長円形に近似されるファーフィールドの放射パターンとなっており、長径方向の光軸ずれに対しては余裕があるが、短径方向の光軸ずれに対してはあまり余裕がない。そこで図10に示すように短径の方向に光軸ずれ補正を行うようにすれば、広い範囲に対する光軸ずれをカバーすることができる。
【0028】
ここで光軸ずれ補正の角度範囲は、位置検出素子27の検出角度範囲内であり、つまり光軸ずれが位置検出素子27の受光角度範囲を越えると、補正はできなくなる。従ってプリズム11による光ビームの角度の可変範囲よりも位置検出素子27の受光角度範囲の方が広くなるように設定しておく。
【0029】
また光信号検出用の受光素子26の受光角度範囲も、プリズム11による光ビームの角度の可変範囲よりも広くなるように設定することにより、光軸ずれ補正を行うことにより受光素子26に光信号が入らなくなり、通信が途絶えるという事態にはならない。
【0030】
このように本実施例ではメカ的な駆動手段を用いることなく光軸ずれ補正を行なっているため、メカ的な駆動手段に付随する摩耗や故障がなく、信頼性の高い光軸ずれ補正機能を持つ光空間装置となっている。加えて構造も簡単になりコストも低くすることができる。
【0031】
(第2の実施例)
図5の第二の実施例では(発光素子21から偏光ビームスプリッタ22の周辺部のみを示す)、入射光束の波長により出射光束の方向を変化させる光学的手段として、プリズム11の代わりに回折格子13を用いている。回折格子は図6のように波長λ1の光と波長λ2の光とでは反射する光線の方向が変わる。例えば回折格子13の格子間隔11.2μmで入射角が45°とすると、図3の例のような半導体レーザの温度変化による波長変化幅20nmに対して、反射光を約0.5度偏向させることが出来る。
【0032】
それ例外の構成、動作等は第一の実施例と同じである。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、離れた地点間で対向設置されて光ビームにより通信を行う光空間通信装置において、相手側装置に光ビームを送出するための発光源を持ち、前記発光源の発光波長を変化させる手段と、入射光束の波長により出射光束の方向を変化させる光学的手段とを有し、前記発光源の発光波長を変化させることにより、メカ的手段を用いることなく、相手側装置に送出する光ビームの方向を変化させることを特徴とする。
【0034】
メカ的な駆動手段を用いることなく光軸ずれ補正を行なっているため、メカ的な駆動手段に付随する摩耗や故障がなく、信頼性の高い光軸ずれ補正機能を持つ光空間装置となっている。加えて構造も簡単になり低価格な光軸ずれ補正機能を持つ光空間通信装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例
【図2】波長により出射光束の方向を変化させる光学的手段
【図3】半導体レーザの温度発振波長特性例
【図4】温度制御を行うための半導体レーザの実装図
【図5】本発明の第二の実施例
【図6】波長により出射光束の方向を変化させる光学的手段
【図7】従来の実施例
【図8】スポット位置検出素子の例
【図9】従来の実施例
【図10】短径方向の光軸ずれ補正の説明図
【符号の説明】
11・・・プリズム
12・・・波長制御回路
13・・・回折格子
15・・・電子冷却素子
16・・・温度センサ
21・・・発光素子
22・・・偏光ビームスプリッタ
26・・・受光素子
27・・・スポット位置検出素子
28・・・制御回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、離れた二地点間に対向設置されて、自由空間中を伝搬する光ビームにより光信号を送り通信を行う光空間通信装置で、特に装置の角度ずれによる光ビームの光軸補正機能を持つ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に自由空間中に光ビームを伝搬させて通信を行う光空間通信装置は、光のパワーを効率よく伝送するために、光ビームの拡がり角を極力小さくした狭い光ビームで伝送する必要がある。しかし光ビームを狭くすると、建物あるいは設置架台の風圧や振動による揺れ、温度変動による歪み、径時変化による角度変動などのため、光ビームが相手方装置から外れやすくなり、安定した通信が難しい。そのために図7のように、装置の角度が変わっても角度変化を補正して常に光ビームが相手側装置を向くような光軸ずれ補正機能を持つ装置が考案されている。
【0003】
図7は対向する1対の装置の片側を示す。図7において、10は光ビームの送信/受信のための光学系である。相手側装置への送信光信号は半導体レーザ等の発光素子21より放出される。半導体レーザの光は偏光しており、偏光方向は紙面に水平になるように設定されている。この方向の偏光は偏光ビームスプリッタ22で送受光レンズ23の方向に反射され、送受光レンズ23で、僅かに拡がりを持つほぼ平行の光ビーム24となって相手側装置の方向に送信される。
【0004】
他方相手側装置から送られて来た光は、自装置よりの送信光信号と同じ光軸上で逆の進路をたどり、送受光レンズ23から偏光ビームスプリッタ22に入るが、相手方装置からの受信光は偏光方向が送信光と直交するように(偏光方向は紙面に垂直)設定されているために、偏光ビームスプリッタ22をそのまま透過し、ビームスプリッタ25に入る。受信光の大部分はビームスプリッタ25で反射し、光信号検出用の受光素子26に入射して、通信用の信号が検出されるが、一部の光はビームスプリッタ25を透過して、光位置検出素子27に入射する。
【0005】
光位置検出素子27は、例えば図8に示すような4分割されたフォトダイオードである。図8は27aから27dまでの4つに分割されたフォトダイオードに光スポット42が当たっている様子を示す。4つのフォトダイオード27aから27dの出力を比較することにより、光スポット42の位置を知ることができる。光位置検出素子27よりの信号は、角度補正情報として制御回路28で演算処理され、光学系10の駆動回路29に駆動信号が出力される。そして駆動回路29により、垂直方向の駆動機構30および水平方向の駆動機構31を動かして、光スポット42の位置が光位置検出素子27の中心に来て、4つのフォトダイオード27aから27dの出力が全て等しくなるような方向に駆動・制御される。
【0006】
光位置検出素子27と発光素子21、光信号検出用の受光素子26は全て光学軸が一致するように位置調整がなされており、光位置検出素子27の中心に光スポット32が当たった状態では、光信号検出用の受光素子26の中心にも光が入射しており、かつ発光素子21よりの光の中心は相手側装置の方向に放射される。
【0007】
このようにして常に送信光が受信光の方向、即ち相手側装置の方向になるように光軸ずれ補正が行われる。
【0008】
また鏡筒全体を駆動することにより光軸ずれ補正を行う代わりに、図9に示すような、駆動回路29により水平方向偏向ミラー32と垂直方向偏向ミラー33とを駆動することにより、鏡筒内で光を偏向させることにより光軸ずれ補正を行う方法もある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
1.光軸を垂直方向、水平方向の二軸に駆動するための機構が必要となり、かつこの機構には角度精度の要求が厳しいため精密な機構となり、装置が高価になる。
【0010】
2.この種の通信装置は通常常時連続運転で使用されるが、メカ的な可動部があり、かつ精密な機構であるために、摩耗による寿命があり、また故障を起こしやすい。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、本出願にかかわる第一の発明は、離れた地点間で対向設置されて光ビームにより通信を行う光空間通信装置において、相手側装置に光ビームを送出するための発光源を持ち、前記発光源の発光波長を変化させる手段と、入射光束の波長により出射光束の方向を変化させる光学的手段とを有し、前記発光源の発光波長を変化させることにより、メカ的手段を用いることなく、相手側装置に送出する光ビームの方向を変化させることを特徴とする。
【0012】
メカ的手段を用いないために、安価であり、かつ摩耗や故障のない光軸ずれ補正が可能となり、信頼性の高い光軸ずれ補正機能を有した光空間通信装置が実現できる。
【0013】
また本出願にかかわる第二の発明は、本出願にかかわる第一の発明の光空間通信装置において、
相手側装置からの光ビームを受信するための光信号検出手段を持ち、
前記光信号検出手段の受光角度範囲は、相手側装置に送出する光ビームの方向の可変角度範囲よりも広いことを特徴とする。
【0014】
また本出願にかかわる第三の発明は、本出願にかかわる第一の発明の光空間通信装置において、相手側装置からの光ビームの到来方向を検出するための光位置検出手段を持ち、
前記光位置検出手段の受光角度範囲は、相手側装置に送出する光ビームの方向の可変角度範囲よりも広いことを特徴とする。
【0015】
また本出願にかかわる第四の発明は、本出願にかかわる第一の発明から第三の発明の光空間通信装置において、発光源は半導体レーザであって、前記相手側装置に送出する光ビームの方向の可変方向は、断面が長円形に近似される発光パターンの短径の方向であることを特徴とする。
【0016】
また本出願にかかわる第五の発明は、本出願にかかわる第一の発明から第四の発明の光空間通信装置において、前記入射光束の波長により出射光束の方向を変化させる光学的手段は、波長分散性の素材で作られたプリズムであることを特徴とする。
【0017】
また本出願にかかわる第六の発明は、本出願にかかわる第一の発明から第四の発明の光空間通信装置において、前記入射光束の波長により出射光束の方向を変化させる光学的手段は、回折格子であることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
(第1の実施例)
図1に本願発明による光軸ずれ補正機能を持つ光空間伝送装置を示す。
【0019】
図1において発光素子21よりの光は図7の従来の実施例と同様に偏光ビームスプリッタ22で送受光レンズ23の方向に反射され、送受光レンズ23で、僅かに拡がりを持つほぼ平行の光ビーム24となって相手側装置の方向に送信される。但し発光素子21と偏光ビームスプリッタ22との光路間にプリズム11が挿入されている。
【0020】
このプリズムは波長分散性の材質で作られており、図2のように波長λ1の光と波長λ2の光とでは屈折して透過する光線の方向が変わる。
【0021】
また発光素子21は半導体レーザであり、半導体レーザは温度や順電流で発振波長が変化する。図3は半導体レーザの温度に対する発振波長の特性の一例であるが、これだとケース温度が0℃から60℃に変わると発振波長λは、階段状であるが、ほぼ直線的に約20nm変化する。また順電流でも発振波長が変化するが、温度一定の時の順電流による波長変化幅は数nm程度で余り大きくはない。
【0022】
例えばプリズム11が波長765nmでの屈折率が1.89511、波長785nmでの屈折率が1.89316というガラス材((株)OHARA製S−NPH2等)で作られていた場合、頂角が51.3°、入射角を39.4°とすると、上記の温度変化による波長変化幅20nmに対して、出射光を約0.9度偏向させることが出来る。
【0023】
図4は発光素子21の取付部を示す。半導体レーザである発光素子21は取付金具17に取り付けられている。端子S1,S2は通信用の信号入力端子である。また取付金具17はペルチェ効果を用いた電子冷却素子15に付けられている。端子P1,P2は電子冷却素子15への電流を流すためのもので、電流の方向を変えることにより、取付金具17と発光素子21を冷却または加熱することができる。さらに取付金具17には温度センサ16が付けられており、温度信号が端子T1,T2から出力される。温度センサ16により温度を検出して、電子冷却素子15への電流を制御することにより、発光素子21の温度を自由に変化させることが出来る。それにより半導体レーザである発光素子21の発振波長を制御することができる。
【0024】
他方相手側装置から送られて来た光は、これも図7の従来の実施例と同様偏光ビームスプリッタ22をそのまま透過し、ビームスプリッタ25に入る。受信光の大部分はビームスプリッタ25で反射し、光信号検出用の受光素子26に入射して、通信用の信号が検出されるが、一部の光はビームスプリッタ25を透過して、光位置検出素子27に入射する。
【0025】
光位置検出素子27よりの光スポット位置信号は、制御回路28で演算処理され、必要な送出ビームの偏向角とその偏向角を得るための発光素子21の発振波長を求めて、波長制御回路12に情報を送る。波長制御回路12は電子冷却素子15を駆動して、必要な発振波長が得られるように発光素子21の温度を制御する。このようにしてプリズム11から出た光は偏向され、光位置検出素子27で検出された相手側装置の方向に送信光ビームが向けられる。
【0026】
この実施例では、光ビームは1方向(図1では上下方向)にしか補正されないが、例えば特開平3−235439号公報にあるように、光ビームの光軸ずれは1方向へのずれが主であるために、1方向だけでも光軸ずれ補正の効果は大きく、さらに構成が従来例に比べて非常に簡単なためコストも大幅に低減される。
【0027】
さらに半導体レーザは通常長円形に近似されるファーフィールドの放射パターンとなっており、長径方向の光軸ずれに対しては余裕があるが、短径方向の光軸ずれに対してはあまり余裕がない。そこで図10に示すように短径の方向に光軸ずれ補正を行うようにすれば、広い範囲に対する光軸ずれをカバーすることができる。
【0028】
ここで光軸ずれ補正の角度範囲は、位置検出素子27の検出角度範囲内であり、つまり光軸ずれが位置検出素子27の受光角度範囲を越えると、補正はできなくなる。従ってプリズム11による光ビームの角度の可変範囲よりも位置検出素子27の受光角度範囲の方が広くなるように設定しておく。
【0029】
また光信号検出用の受光素子26の受光角度範囲も、プリズム11による光ビームの角度の可変範囲よりも広くなるように設定することにより、光軸ずれ補正を行うことにより受光素子26に光信号が入らなくなり、通信が途絶えるという事態にはならない。
【0030】
このように本実施例ではメカ的な駆動手段を用いることなく光軸ずれ補正を行なっているため、メカ的な駆動手段に付随する摩耗や故障がなく、信頼性の高い光軸ずれ補正機能を持つ光空間装置となっている。加えて構造も簡単になりコストも低くすることができる。
【0031】
(第2の実施例)
図5の第二の実施例では(発光素子21から偏光ビームスプリッタ22の周辺部のみを示す)、入射光束の波長により出射光束の方向を変化させる光学的手段として、プリズム11の代わりに回折格子13を用いている。回折格子は図6のように波長λ1の光と波長λ2の光とでは反射する光線の方向が変わる。例えば回折格子13の格子間隔11.2μmで入射角が45°とすると、図3の例のような半導体レーザの温度変化による波長変化幅20nmに対して、反射光を約0.5度偏向させることが出来る。
【0032】
それ例外の構成、動作等は第一の実施例と同じである。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、離れた地点間で対向設置されて光ビームにより通信を行う光空間通信装置において、相手側装置に光ビームを送出するための発光源を持ち、前記発光源の発光波長を変化させる手段と、入射光束の波長により出射光束の方向を変化させる光学的手段とを有し、前記発光源の発光波長を変化させることにより、メカ的手段を用いることなく、相手側装置に送出する光ビームの方向を変化させることを特徴とする。
【0034】
メカ的な駆動手段を用いることなく光軸ずれ補正を行なっているため、メカ的な駆動手段に付随する摩耗や故障がなく、信頼性の高い光軸ずれ補正機能を持つ光空間装置となっている。加えて構造も簡単になり低価格な光軸ずれ補正機能を持つ光空間通信装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例
【図2】波長により出射光束の方向を変化させる光学的手段
【図3】半導体レーザの温度発振波長特性例
【図4】温度制御を行うための半導体レーザの実装図
【図5】本発明の第二の実施例
【図6】波長により出射光束の方向を変化させる光学的手段
【図7】従来の実施例
【図8】スポット位置検出素子の例
【図9】従来の実施例
【図10】短径方向の光軸ずれ補正の説明図
【符号の説明】
11・・・プリズム
12・・・波長制御回路
13・・・回折格子
15・・・電子冷却素子
16・・・温度センサ
21・・・発光素子
22・・・偏光ビームスプリッタ
26・・・受光素子
27・・・スポット位置検出素子
28・・・制御回路
Claims (6)
- 離れた地点間で対向設置されて光ビームにより通信を行う光空間通信装置であって、
相手側装置に光ビームを送出するための発光源を持ち、
前記発光源の発光波長を変化させる手段と、
入射光束の波長により出射光束の方向を変化させる光学的手段とを有し、
前記発光源の発光波長を変化させることにより相手側装置に送出する光ビームの方向を変化させることを特徴とする光空間通信装置。 - 相手側装置からの光ビームを受信するための光信号検出手段を持ち、
前記光信号検出手段の受光角度範囲は、相手側装置に送出する光ビームの方向の可変角度範囲よりも広いことを特徴とする請求項1記載の光空間通信装置。 - 相手側装置からの光ビームの到来方向を検出するための光位置検出手段を持ち、
前記光位置検出手段の受光角度範囲は、相手側装置に送出する光ビームの方向の可変角度範囲よりも広いことを特徴とする請求項1記載の光空間通信装置。 - 発光源は半導体レーザであって、前記相手側装置に送出する光ビームの方向の可変方向は、断面が長円形に近似される発光パターンの短径の方向であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の光空間通信装置。
- 前記入射光束の波長により出射光束の方向を変化させる光学的手段は、波長分散性の素材で作られたプリズムであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光空間通信装置。
- 前記入射光束の波長により出射光束の方向を変化させる光学的手段は、回折格子であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光空間通信装置。
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-
2002
- 2002-06-07 JP JP2002166778A patent/JP2004015476A/ja active Pending
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JP4599847B2 (ja) * | 2004-02-12 | 2010-12-15 | 日本ビクター株式会社 | 光無線伝送装置 |
US10495734B2 (en) | 2015-01-06 | 2019-12-03 | Ntt Advanced Technology Corporation | Position locating instrument |
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