【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレクトロルミネッセンス素子、液晶ディスプレー等に用いられる低光反射率電極用の蒸着膜と蒸着材およびその製造方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】
エレクトロルミネッセンス(以下、ELと言う)素子とは、固体蛍光性物質の電界発光または、ELと呼ばれる現象を利用した発光素子である。無機EL素子に比べ低電圧で発光し、光の三原色である赤、青、緑色光が出しやすく、また、発光輝度の高い有機EL素子が注目されている。図16に有機EL素子の概略構成を断面図で示す。ガラス等の透明もしくは半透明の基板81上に、インジウム錫酸化物(ITO)の様な透明の陽電極82、有機電界発光層83、陰電極84が積層されている。陽電極82と陰電極84間に直流85を印加すると、陽電極82から陽子、陰電極84から電子が有機電界発光層83に供給され発光する。発光効率を上げるため陰電極84は、主に仕事関数の低いAlLi、MgAg等の金属膜が用いられている。
【0003】
陰電極は金属で構成されているため、陰電極表面で光が鏡面反射するために十分なコントラストが得難いと言う問題点がある。この問題を対策するため偏光板を用いたり、透明基板81に着色したりと種々検討されているが、コストの上昇や輝度の低下を起こしてしまい完全な対策にはなっていない。そこで、有機電界発光層側の陰電極表面の光反射率を低くし、コントラストを向上させる事が提案されている。
【0004】
特開2001―332391号には、陰電極を2層で構成し、有機電界発光層側は光反射抑制層とし、他層は光反射性金属材料を用いる事が開示されている。特開平11−329752号には、有機電界発光層上にアルミニウムとタングステンを同時に真空蒸着し黒色膜を形成した後、アルミニウムを真空蒸着し2層の陰電極を形成する事が開示されている。陰電極の有機電界発光層側を陰電極表側とすると、陰電極の裏側の光反射率も下げることで、周囲からの光を反射させないためコントラスト向上には有効であることが、特開昭54−140788号で開示されている。製造方法等の開示はないが主導電体を黒色の膜でサンドイッチした3層構造である。
【0005】
陰電極全体に低光反射性金属材料を用いることもできるが、電気抵抗が上がるため膜厚を厚くする必要があるだけでなく、発熱の問題も発生する。液晶素子やPDP素子もコントラストを向上させるため、電極の視認側は低光反射率である事と、低電気抵抗であることが要求されている。
【0006】
一回の蒸着作業で蒸着初期部が高蒸気圧金属を主とし、蒸着終期部が低蒸気圧金属を主となる蒸着膜ができる複合蒸着材を、本発明者はアルミニウム蒸着材の中心軸部にアルミニウムより蒸発し難くアルミニウムより光反射率の低い金属を配した複合構造の蒸着材を発明し既に出願している(特開2000−87220、特開2000−336471、特開2000−073120等)。CRTの光反射膜に必要な、蒸着初期面は高光反射率、蒸着終期面は低光反射率と言う光学特性から為された発明の複合蒸着材である。本発明は、蒸着初期面が低光反射率で蒸着中期部、終期部が低電気抵抗と光学的要求と電気的要求を同時に満たす処から為されたものである。金属の蒸気圧だけでなく電気抵抗、光反射率、仕事関数、延性等の諸項を考慮、検討する必要がある。
【0007】
【発明の解決しようとする課題】
以上述べた様に、電極を2層もしくは3層とする事でコントラストを向上させることが可能であるが、組成の異なる膜を多層化するためには、複数回の製膜作業を行うか、膜を黒化させる別工程が必要であった。複数回の製膜を行い組成が完全に分離した膜では、熱膨張率の違いにより、膜が反ったり剥がれてしまうことがあり安定に製膜できないばかりではなく、コスト的にも厳しいものである。また、熱処理や化学的に黒化させ低光反射率化するには、特別の製造設備が必要なだけでなく工程が増えるためコスト面でも厳しくなる。また、本方法では有機電界発光層側は黒化することができない。
【0008】
本発明は上記問題を解決するものであり、一回の蒸着作業で蒸着初期面は低光反射率となる組成傾斜膜が得られる蒸着材、一回の蒸着作業で蒸着初期面と蒸着終期面が低光反射率となる組成傾斜膜が得られる蒸着材および組成傾斜膜、蒸着材の製造方法を提供し、また、低電気抵抗の電極を提供し、安価でコントラストの高い表示装置を提供する事を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明の複合蒸着材は、基体金属の軸領域に分散された金属粉末を備え、前記金属粉末が前記基体金属の蒸気圧よりも高い蒸気圧の金属としたことを特徴とする。
【0010】
同一の真空度において低温で蒸発する金属を高蒸気圧の金属といい、高温にしなければ蒸発しない金属を低蒸気圧の金属という。例えばアルミニウムとマンガンを比較した場合、同一の真空度であればマンガンの方が低温で蒸発するので高蒸気圧、アルミニウムはマンガンより高温にしないと蒸発しないので低蒸気圧と言える。つまり、同一真空度ではマンガン、アルミニウムの順で蒸発に必要な温度が高くなると言える。また、例えばアルミニウムと鉄を比較した場合、同一の真空度であればアルミニウムの方が低温で蒸発するので高蒸気圧、鉄はアルミニウムより高温にしないと蒸発しないので低蒸気圧と言える。つまり、同一真空度ではアルミニウム、鉄の順で蒸発に必要な温度が高くなると言える。本発明においては、基体金属の蒸気圧を基準にして、基体金属の蒸気圧より低い蒸気圧の金属を低蒸気圧金属もしくは低蒸気圧金属粉末、基体金属の蒸気圧より高い蒸気圧の金属を高蒸気圧金属もしくは高蒸気圧金属粉末と言う。
【0011】
請求項2に記載の本発明の複合蒸着材は、基体金属の比抵抗が、20℃で2.7x10−6(Ω−cm)以下であることが望ましい。
【0012】
本発明の複合蒸着材を用いた蒸着膜は、蒸着初期部は高蒸気圧金属、蒸着終期部は基体金属が主となる。蒸着初期部は電気を通すだけでなく、光反射率を低く抑え、電子を放出し易い等の機能を主とし、基体金属は主に電気を通すための導電材として機能するため電気抵抗が低い方が望ましい。基体金属の比抵抗が20℃で2.7x10−6(Ω−cm)以下であれば、発熱等の問題も起こり難いものである。
【0013】
請求項3に記載の本発明の複合蒸着材は、基体金属の蒸気圧よりも高い蒸気圧の金属粉末の仕事関数を、4.5以下とすることが望ましい。
【0014】
本発明の複合蒸着材を用いた蒸着膜は、蒸着初期部は高蒸気圧金属、蒸着終期部は基体金属が主となる。蒸着初期部は、低仕事関数の金属が主となるため、電子の放出が容易となる。有機EL素子の電子注入を担う陰電極は、電子放出の高効率が発光強度向上につながる。また、発光強度が同じであれば、低電力で駆動できる有機EL素子が得られるものである。
【0015】
請求項4に記載の本発明の複合蒸着材は、基体金属の蒸気圧よりも高蒸気圧金属粉末の可視光線領域での光反射率が、基体金属の可視光線領域での光反射率よりも低いことが望ましい。
【0016】
可視光線領域とは、390〜760nm程度の光波長領域を言う。光反射率は分光光度計を用い測定することができる。数nm間隔で光反射率を測定することで、可視光領域内の波長と光反射率の連続的な変化を測定することも出来る。光反射率の絶対値を測定することもできるが、本発明では、アルミニウムの光反射率を標準(100%)とし、相対的な光反射率を測定し、その値を用いている。金属粉末では、光の乱反射等の影響があるので、鏡面研磨されたバルク材もしくは蒸着膜を用いることが望ましい。
【0017】
本発明の複合蒸着材を用いた蒸着膜は、蒸着初期部は高蒸気圧金属、蒸着終期部は基体金属が主となる。蒸着初期部は低光反射率となるため、従来のアルミニウムや金、銀、銅等に比べ、光の反射を抑えることができコントラストが向上する。特に、蒸着初期部が黒に近い色となる場合は、十分なコントラストが得られる。光の3原色では無彩色の色は出せないので、蒸着初期部が黒に近い色で低光反射率の材料で形成されていることで、コントラストは向上する。
【0018】
請求項5に記載の本発明の複合蒸着材は、基体金属が、金、銀、銅、アルミニウムから選ばれる少なくとも一つの材料で構成され、高蒸気圧金属粉末が、マグネシウム、マンガン、鉛、カドニウム、亜鉛、インジウム、ビスマス、カルシウム、テルル、ストロンチウムから選ばれる少なくとも一つの材料で構成されることが望ましい。
【0019】
請求項6に記載の本発明の複合蒸着材は、高蒸気圧金属粉末の平均粒径が、0.1〜100μmの範囲で、粒径は少なくとも単位体積中の前記金属粉末の70%以上について、30μm以下であることが望ましい。
【0020】
本発明の複合蒸着材において、高蒸気圧金属粉末の粒径が、少なくとも単位体積中の粒子の70%以上について、30μm以下とするのがよい。さらに望ましくは、高蒸気圧金属粉末の粒径が、10μm以下であることとする。高蒸気圧金属粉末の平均粒径が0.1〜100μmの範囲にあることとしてもよい。さらに密集させた粉末の均一性を向上させるためには、平均粒径を0.1〜40μmの範囲とすることが望ましい。金属粉末の径を規定することにより、粉末の表面積を確保しバインダー(つなぎ)の役目をする金属(以後、バインダー金属と言う)粉末との、結合面積を増やすことにより高蒸気圧金属粉末の脱落を防止することができる。 また、高蒸気圧金属粉末とバインダー金属粉末を混合した混合粉末の見かけ比重(嵩密度)を大きくすることができ、複合蒸着材の軸領域の寸法の安定化につながる。バインダー金属の粉末の粒径も、高蒸気圧金属粉末と同様の平均粒径、粒度分布を持つことが望ましい。
【0021】
粉末中で粒径の大きすぎる粉末の割合が増えると、基体の長手方向における粉末の分布が不均一となったり、基体と粉末の間に大きな空隙・ボイドが生じたりするおそれがある。そこで粉末の分布の均一性を保持するために、粒径の小さいものの割合を確保したり、適切な平均粒径を規定する。粒径の均一性つまり粒度分布を向上させるほど、蒸着膜の均一性を良くすることもできる。
【0022】
ここで上記粒径は、本発明の複合蒸着材の側面、あるいは複合蒸着材を切断した断面で観察するものである。断面は、複合蒸着材の長手方向に垂直な断面あるいは長手方向に平行な断面に限らず、任意に切断した断面としてよい。断面で観察するときの粒径とは、粉末の最短径と最長径を測定し平均値を取る2軸平均径をいう。平均粒径については、任意の仮想線を横断する粉末の径の合計長さを粉末数で除したものをいう。また混合前の粉末の粒径、平均粒径も同様に粉末を写真に撮り2軸平均径から求めた粒径と、写真上の任意の仮想線を横断する粉末の径の合計長さを粉末数で除した平均粒径を用いた。粒度分布は前記方法で求めた粒径をヒストグラム化したものである。
【0023】
請求項7に記載の本発明の複合蒸着材は、基体金属重量と高蒸気圧金属粉末重量の重量比は、高蒸気圧金属粉末重量を高蒸気圧金属粉末重量と基体金属重量の和で除した値が、0.03〜0.4であることが望ましい。
【0024】
重量比は、高蒸気圧金属が主となる膜厚から決めることができる。重量比が0.03以下になると、蒸着初期部に基体金属が含まれることが多くなり、仕事関数が4.5以上、また光反射率も上がってしまう。重量比が0.4以上であると、高蒸気圧金属に対しバインダー金属が少ないため、冷間線引きを行っても基体金属とバインダー金属粉末、高蒸気圧金属粉末が一体化せず、基体金属から高蒸気圧金属粉末がこぼれ落ちると言う不具合が発生することがある。また、蒸着膜では基体金属の体積が少なくなるので電気抵抗も上昇してしまい、発熱等の問題が発生する。
【0025】
請求項8に記載の本発明の複合蒸着材の製造方法は、高蒸気圧金属粉末とバインダー金属粉末を混合した混合粉末を形成する工程と、前記混合粉末をパイプ状基体の中に充填する工程と、前記パイプ状基体に通気性の栓をする工程と、前記パイプ状基体を冷間線引き加工して径を縮小し蒸着母材を形成する工程と、前記蒸着母材を分割して複合蒸着材を得る工程とを備えることを特徴とする。
【0026】
バインダー金属粉末は、基体金属と同種の金属であるだけでなく、延性に優れた材料であることが望まれる。バインダー金属粉末は、基体金属と高蒸気圧金属粉末を一体として接合するバインダーの機能を持つ。バインダー機能を果たすには、バインダー金属粉末が冷間線引き時に塑性変形して、高蒸気圧金属粉末を接合する必要があるので、延性だけでなく比較的軟らかい金属であることが好ましい。基体金属と同種である必要はないが、蒸気圧が異なると蒸着条件を出すのが難しくなるため、同じとすることが蒸着作業を行う点で有利である。しかし、複合蒸着材の製造コストを下げるため基体金属が銀や金の場合、バインダー金属は安価で銀や金の蒸気圧と近いアルミニウムや銅粉末を使用することも可能である。
【0027】
バインダー金属粉末と高蒸気圧金属粉末を混合し混合粉末を得る方法として、粉末を密封容器に入れ不活性ガスを封入して、容器を回転、揺動させる混合機、あるいは不活性ガスを封入出来るV型ミキサーを用いる。不活性ガスを封入するのは粉末の酸化や爆発を防ぐためである。また、密封容器は金属製のものを用い、容器の一部をアースすることで静電気の帯電を防止し爆発の危険性を下げる事で、安全に粉末を混合することが出来る。また、前述した様に粒径や混合比等を規定することで、バインダー金属粉末と高蒸気圧金属粉末を均一に混合することができ、本発明の複合蒸着材を欠陥なく構成できる。
【0028】
パイプ状基体に混合粉末を充填するには、パイプ状基体を地面に対し60度から80度に傾けて保持し、混合粉末を自然落下で充填することが好ましい。80度から90度の角度にパイプ状基体を保持し、混合粉末を自然落下で充填するとパイプ状基体の空気が抜けず、混合粉末がブリッジを作り空気溜まりが発生して、完全に充填することができないことがある。この状態で振動を与えたり、棒で突っついても空気溜まりを除去することは難しいものである。また、60度以下の角度で混合粉末を充填したのち、パイプ状基体を略垂直に立てると、混合粉末がブリッジを作りやすく好ましいものではない。混合粉末充填時にパイプ状基体の傾斜角度を規定することで、パイプ状基体に混合粉末を自然落下で確実に充填することが可能となる。パイプ状基体に混合粉末を充填後、パイプ状基体に振動を与えたり、棒で突っついたりしてより充填密度を上げることもできる。しかしながら、過度の揺動や振動を加えることは、粒径や比重の差によって生じるバインダー金属粉末と高蒸気圧金属粉末の分離を起こす恐れがあるため注意を要する。
【0029】
パイプ状基体に混合粉末を充填する際には、冷間線引き加工の工程で混合粉末が漏洩しないようにパイプ状基体の両方の開口を閉じる必要がある。この開口部の閉鎖方法は、パイプ状基体の端を変形させて固定用の栓をする方法が良い。固定用の栓には、通気性あるいは弾力性を持たせることが重要である。冷間線引き時、基体金属が縮径され延ばされるとき混合粉末も同時に縮径され延ばされる必要がある。固定用栓が非通気性であると、混合粉末の流動が阻害されるだけでなく、混合粉末に含まれる空気がパイプ状基体内で圧縮されパイプ状基体後端から勢いよく飛出してしまうと言う問題がある。また、弾力性を有しないと線引きダイスで縮径できず線引き出来ない。固定栓には、φ20μm位の極細金属線を丸めて使用することが良い。金属線材料としては強度のあるステンレスが好ましい。φ100μm程度の太い金属線を用いる事も可能であるが、線引きして固定用栓部を除去し蒸着母材を得るとき、固定用栓部の切断時、φ20μm位のステンレス線はペンチでは切断し難くいため、ステンレス線があった場合は容易に判断できる。そのため、蒸着材から見たら不純物である固定用栓を確実に除去できるものである。
【0030】
パイプ状基体の冷間加工には、押し出し加工あるいは引き抜き加工(線引き加工ともいう)を用いる。これらの加工方法は、線引きあるいは押出し用ダイスにパイプ状基体を通すことによって径方向に圧縮し、その径を細くさせて且つ長手方向に伸ばす。この圧縮・伸長において、パイプ状基体や装置自体に対して熱処理の付加は行わないが、冷間工程で圧縮されたバインダー金属粉末が塑性をもって流動するか、粉末同士の摩擦による発熱で局所的に軟化するかして、金属粉末同士の間に入り込むと考えられる。こうして細く線引きされたパイプ状基体と高蒸気圧金属粉末の間にバインダー金属が充填され、パイプ状基体とバインダー金属粉末および高蒸気圧金属粉末は一体化し、実質的に基体金属の軸領域に高蒸気圧金属粉末が分散する構造の蒸着母材を得ることができる。
【0031】
線引きは、線引きダイスの孔径を変えて複数回行う必要がある。一回の線引きで縮径できる量は、リダクション率で10〜30%である。リダクション率は、縮径前の断面積と縮径後の断面積の差を百分率で表わしたものである。基体径が太い時点ではリダクション率を20〜30%とし、基体径が小さくなるに従いリダクション率を下げて、基体の切断を防ぐ必要がある。基体径がφ2mm以下になったときは、リダクション率を10〜15%まで下げることが切断を防ぐ点から望ましい。
【0032】
蒸着母材を、切断などによって所定の長さに切り分けてペレット状の複合蒸着材を得る。切断した状態で真空蒸着機に供給しても良いし、ペレットの端面にできたバリの除去を兼ねてパーツフィーダー等の自動供給がし易いように面取り加工を行っても良い。パーツフィーダー等の自動供給装置を使用する場合は、少なくとも蒸着材の側面(長手方向の面)の端部の角が面取りによって除去されていることが望ましい。蒸着母材の切り分けと面取りもしくは端面丸め加工を同時に行うことも可能である。多数の切断されたペレットを回転バレル研磨装置に入れて、端部の糸面取り加工を行うこともできる。また、端部の角を側面の側に押しつぶす転造加工を施して、端面丸め加工を行ってもよい。
【0033】
請求項9に記載の本発明の複合蒸着材の製造方法は、パイプ状基体を冷間線引き加工して径を縮小し蒸着母材を形成する工程において、通気性の栓を除去した後、複数の蒸着母材を熔接し長尺の蒸着母材を形成する工程を用いることが望ましい。
【0034】
長い蒸着母材を作るには、太くて長いパイプ状基体を使用する必要がある。太いパイプ状基体を使用した場合、所定の線径にするまでの線引き回数が増えるため多数の線引きダイスを準備する必要があるだけでなく、大型の線引き機を準備する必要がある。また、長いパイプ状基体を使うと混合粉末の充填が難しくなるため、品質と工数からパイプ状基体の径と長さは制約を受けることとなる。パイプ状基体と混合粉末が一体化した時点で通気性の栓部分を除去し、複数本接合したのち所定の径まで線引きすることで、線引き工数を削減できる。接合は抵抗熔接を用いる事が好ましい。蒸着母材の端面をほぼ直角に切断したのち、蒸着母材同士を突き合わせ電流を流して加熱すると同時に、蒸着母材の突き合わせ方向に力を加え接合すると同時に電流を遮断、冷却する。接合部は盛り上がるためやすり等で削り蒸着母材径に合わせる。ロウ材等を用いる接合方法に比べ抵抗熔接で接合を行うと、接合部にロウ材等異質の材料が付着しないため、接合部を除去することなく使用できるという利点がある。
【0035】
請求項10に記載の本発明の複合蒸着材の製造方法は、基体金属の蒸気圧よりも高い蒸気圧の金属粉末と基体と同材質の金属粉末を混合した混合粉末の安息角が、45度以下である混合粉末を使用することが望ましい。
【0036】
パイプ状基体に充填する混合粉末は、粉末の流動性を表す安息角で45度以下であることが好ましい。好ましくは安息角が35度以下である。安息角は10cmの高さから混合粉末を一点に自然落下させ、混合粉末が作る円錐形の底辺と斜面で構成する角度で規定した。一般に安息角が小さいほど粉末の流動性は良いものである。安息角45度以下の混合粉末を用いることで、パイプ状基体に混合粉末を充填する際に、混合粉末がブリッジを作ことなく均一に充填出来る。混合粉末がブリッジを作り不均一な状態となると、線引きし複合蒸着材を作製してもブリッジ個所は、基体金属に対し高蒸気圧金属粉末の含有比率が下がってしまい、複合蒸着材としては使用できないことになる。
【0037】
請求項11に記載の本発明の複合蒸着膜は、基体金属の蒸気圧よりも高い蒸気圧の金属を主とし基体金属を含む合金で蒸着初期部を形成し、基体金属を主とし基体金属の蒸気圧よりも高い蒸気圧の金属を含む合金で蒸着終期部を形成したことを特徴とする。
【0038】
蒸着初期部から蒸着終期部に向かい、高蒸気圧金属の含有率が連続的に減少する組成傾斜を持った複合蒸着膜である。組成傾斜度合いは、基体金属と高蒸気圧金属の重量比率を変えることで制御することができる。また、蒸着速度、真空度等の真空蒸着条件でも制御することが可能である。蒸着初期部とは、蒸着膜表面の蒸着初期面から膜厚の10%位までの厚みの領域を指している。蒸着終期部も同義である。
【0039】
請求項12に記載の本発明の複合蒸着膜は、基体金属の蒸気圧よりも高い蒸気圧の金属もしくは基体金属の蒸気圧よりも高い蒸気圧の金属を主とする基体金属との合金で蒸着初期部を形成し、基体金属もしくは基体金属を主とした基体金属の蒸気圧よりも高い蒸気圧の金属との合金で蒸着終期部を形成したことを特徴とする。
【0040】
請求項13に記載の本発明の複合蒸着材は、基体金属の軸領域に分散された2種類の金属粉末を備え、前記金属粉末の1種が基体金属の蒸気圧より高蒸気圧金属で、他種が基体金属の蒸気圧より低蒸気圧金属であることを特徴とする。
【0041】
請求項14に記載の本発明の複合蒸着材は、前記基体金属の比抵抗が、20℃で2.7x10−6(Ω−cm)以下であることが望ましい。
【0042】
請求項15に記載の本発明の複合蒸着材は、前記高蒸気圧金属の仕事関数が、4.5以下である事が望ましい。
【0043】
請求項16に記載の本発明の複合蒸着材は、前記高蒸気圧および低蒸気圧金属粉末の可視光線領域での光反射率が、前記基体金属の可視光線領域での光反射率よりも低いことが望ましい。
【0044】
本発明の複合蒸着材を用いた蒸着膜は、蒸着初期部は高蒸気圧金属、蒸着中期部は基体金属、蒸着終期部は低蒸気圧金属が主となる。蒸着初期部は低光反射率となるため、従来のアルミニウムや金、銀、銅等に比べ、光の反射を抑えることができコントラスト向上する。特に、蒸着初期部が黒に近い色となる場合は、十分なコントラストが得られる。蒸着終期も蒸着初期部と同様低光反射率となるため、周囲光が蒸着終期面で反射される量が減少し、コントラストを向上させることができる。ここで、蒸着中期は電気抵抗の低い金属を用いることで、膜に電流を流しても発熱を抑えることができる。
【0045】
請求項17に記載の本発明の複合蒸着材は、基体金属が、金、銀、銅、アルミニウムから選ばれる少なくとも一つの材料で構成され、前記金属粉末の高蒸気圧金属が、マグネシウム、マンガン、鉛、カドニウム、亜鉛、インジウム、ビスマス、カルシウム、テルル、ストロンチウムから選ばれる少なくとも一つの材料で、前記金属粉末の低蒸気圧金属が、クロム、コバルト、モリブデン、ニオブ、タンタル、タングステン、ベリリウム、ニッケル、錫、鉄、シリコン、チタン、バナジウム、白金、カーボンから選ばれる少なくとも一つの材料で構成されることが望ましい。
【0046】
低蒸気圧金属で通常は蒸着に適さない例えばカーボンの粉末であっても、基体金属の軸領域に分散させることで、基体金属がキャリヤーとなって当該粉末を蒸発させることができる。高蒸気圧金属はキャリヤーとなる基体金属が蒸発する前に蒸発が始まるため、通常の真空蒸着に向く材料であることが望まれる。
【0047】
請求項18に記載の本発明の複合蒸着材は、低蒸気圧金属および高蒸気圧金属の粉末の平均粒径が、0.1〜100μmの範囲で、金属粉末の粒径は少なくとも単位体積中の金属粉末の70%以上について、30μm以下であることが望ましい。
【0048】
請求項19に記載の本発明の複合蒸着材は、基体金属重量と高蒸気圧および低蒸気圧金属粉末の合計金属粉末重量の重量比は、合計金属粉末重量を基体金属重量と合計金属粉末重量の和で除した値が、0.03〜0.4であることが望ましい。
【0049】
請求項20に記載の本発明の複合蒸着材の製造方法は、高蒸気圧金属粉末と低蒸気圧金属粉末と基体金属と同材質の金属粉末を混合した混合粉末を形成する工程と、前記混合粉末をパイプ状基体の中に充填する工程と、前記パイプ状基体に通気性の栓をする工程と、前記パイプ状基体を冷間線引き加工して径を縮小し蒸着母材を形成する工程と、前記蒸着母材を分割して複合蒸着材を得る工程とを備えることを特徴とする。
【0050】
請求項21に記載の本発明の複合蒸着材の他の製造方法は、パイプ状基体を冷間線引き加工して径を縮小し蒸着母材を形成する工程において、通気性の栓を除去した後、複数の蒸着母材を熔接し長尺の蒸着母材を形成する工程を用いることが望ましい。
【0051】
請求項22に記載の本発明の複合蒸着材の製造方法は、高蒸気圧金属粉末と低蒸気圧金属粉末および基体と同材質の金属粉末を混合した混合粉末の安息角が、45度以下である混合粉末を使用することが望ましい。
【0052】
請求項23に記載の本発明の複合蒸着膜は、基体金属の蒸気圧よりも高い蒸気圧の金属を主とすると基体金属を含む合金で蒸着初期部を形成し、基体金属を主とする基体金属の蒸気圧よりも高い蒸気圧の金属もしくは低い蒸気圧の金属を含む合金で蒸着中期部を形成し、基体金属の蒸気圧よりも低い蒸気圧の金属を主とする基体金属を含む合金で蒸着終期部を形成したことを特徴とする。
【0053】
蒸着初期部から蒸着中期部に向かうに従い、高蒸気圧金属の含有率が連続的に減少し蒸着中期部では基体金属を主とし、蒸着中期部から蒸着終期部に向かうに従い、低蒸気圧金属の含有量が連続的に増加する組成傾斜を持った複合蒸着膜である。組成傾斜度合いは、基体金属と高蒸気圧金属および低蒸気圧金属の重量比率を変えることで制御することができる。また、蒸着速度、真空度等の真空蒸着条件でも制御することが可能である。蒸着初期部とは、蒸着膜表面の蒸着初期面から膜厚の10%位までの厚みの領域を指している。蒸着終期部も同義である。蒸着中期部とは、蒸着初期部および蒸着終期部を除いた領域である。
【0054】
請求項24に記載の本発明の複合蒸着膜は、基体金属の蒸気圧よりも高い蒸気圧の金属もしくは基体金属の蒸気圧よりも高い蒸気圧の金属を主とすると基体金属との合金で蒸着初期部を形成し、基体金属もしくは基体金属を主とする基体金属の蒸気圧よりも高い蒸気圧の金属もしくは低い蒸気圧の金属との合金で蒸着中期部を形成し、基体金属の蒸気圧よりも低い蒸気圧の金属もしは基体金属の蒸気圧よりも低い蒸気圧の金属を主とする基体金属との合金で蒸着終期部を形成したことを特徴とする複合蒸着膜。
【0055】
請求項25に記載の本発明の表示装置は、蒸着初期部および蒸着中期部、蒸着終期部で組成の異なる複合蒸着膜を、電極材として使用したことを特徴とする。
【0056】
用途の例として、有機EL表示装置の陰極材として用いることができる。有機ELの陰極の発光素子部側は低仕事関数かつ低光反射率が望まれる。発光素子部への電子注入効率を上げるため低仕事関数の材料が好ましい。また、光反射率を下げることでコントラストの増加が図れる。陰極であるため電流が流れるため電極としては低電気抵抗である必要がある。そのため、蒸着初期が低仕事関数および低光反射率の金属で蒸着終期が低電気抵抗である複合蒸着膜の採用が好ましい。液晶表示装置特にTFT型のゲート電極やソース電極、ドレイン電極に使用することで、コントラストの高い表示装置が得られる。
【0057】
【発明の実施の形態】
図面を参照しながら本発明の実施形態について、以下に詳細を説明する。図1は、本発明の複合蒸着材の一実施態様の斜視図、図2は本発明の複合蒸着材の一実施態様の断面図であって、円柱状のアルミニウム基体1と、前記アルミニウム基体軸領域に分散された高蒸気圧金属であるマンガン粉末2を有する複合蒸着材を示した。点線はアルミニウム基体軸領域4に相当し、主として高蒸気圧金属であるマンガン粉末がアルミニウム粉末16中に分散されている領域である。この軸領域4の側面には、マンガン粉末2が露出された部分が存在する。アルミニウム基体1中の軸領域4以外の部分は、アルミニウムで構成されている。円柱の両方の端面には面取り3を施した。寸法としてはアルミニウム基体の外径をφ2.0mmとして、端面の面取りをC0.3mmとした。点線の軸領域4の径を約φ0.7〜0.9mmとして、長さを14mmとした。
【0058】
次に本実施例で用いた製造方法について図3と図4の工程フロー図で説明する。まず、バインダー金属のアルミニウム粉末5とマンガン粉末2を不活性ガスを充填した密封容器6にいれて、密封容器を回転・揺動させて、アルミニウム粉末16とマンガン粉末2を均一に混合した(ステップ1)。不活性ガスを充填した状態で混合するのは、アルミニウムおよびマンガン粉末の酸化を防ぎ、静電気等による爆発を防ぐためである。混合させた粉末中、アルミニウム粉末は平均粒径が75μmであり、マンガン粉末は平均粒径を10μmとした。アルミニウム管(パイプ)7には外径φ15.0mmであり、内径φ6.25mmであり、長さ1mの中空棒を用いた。アルミニウム管の中空部にアルミニウムとマンガンの混合粉末を充填する前に、アルミニウム管の特に内表面の油等の付着物や酸化皮膜を除去するために、酸洗い、水洗、乾燥をおこなった。
【0059】
マンガン粉末70wt%とアルミニウム粉末30wt%を、不活性ガス中で混合した混合粉末を10cmの高さから自然落下させた時の安息角は33〜40度であった。
【0060】
次に、アルミニウム管7の片方の端をハンマーで叩いて、内径を若干量小さくした。アルミニウム管7の一方の端に、綿状に丸めたステンレスワイヤーからなる栓8を詰めて固定した(ステップ2)。アルミニウム管7を地面に対し約75度の角度に保持し、アルミニウム管の他方の端の開口からアルミニウムとマンガンの混合粉末を注いだ後、アルミニウム管をプラスチックハンマーで軽く叩き混合粉末の充填度合いを上げた。(ステップ3)。開口をふさぐように同様のステンレスワイヤーの栓8を詰めて開口側のアルミニウム管端部をハンマーで叩き、アルミニウム管に混合粉末を充填させた(ステップ4)。ステンレスワイヤーの栓8はφ18μmのSUS糸を絡ませた構造であり、粉末を固定するに十分な弾力性と、通気性を合わせ持つ。この通気性は、次の冷間加工工程でアルミニウムとマンガンの混合粉末の粒子間に存在する空気を排除させるための通気孔として機能する。通気孔によって粉末内部の空気を除去することはアルミニウム管と金属粉末の強固な密着を得るためである。アルミニウム管を密封すると縮径時に内部の空気が圧縮され、アルミニウム管内の圧力が上がりアルミニウム管が破裂する。アルミニウム管内を真空にしてから密封すると、アルミニウム管の破裂は防ぐ事ができるが、線引き時にアルミニウム管内での混合粉末の移動がスムーズに行われないためか、軸領域の寸法にばらつきが生じ均一な組成の蒸着材が得られない。
【0061】
次にアルミニウムとマンガンの粉末を充填させたアルミニウム管を伸長させる冷間加工工程を説明する。アルミニウム管の一方の端を頭打ち機と呼称される装置で均一に叩き、線引き用ダイス孔径より小さい固定部9を形成した。固定部9の長さは約40mmとした。この固定部9を線引き用ダイス10の孔に通し、引っ張り加重装置11で挟持して引っ張り加重装置を動かし、固定部に引っ張り加重をかけることで、線引き用ダイスの孔からアルミニウム管を引き抜いた(ステップ5)。引き抜きの速度、すなわち伸線速度は約30m/分とした。引き抜かれたアルミニウム管の外径はダイスの孔の径に絞られて小さくなった。この引き抜き工程を線引きと呼称する。次に、線引き用ダイスを孔の径の小さいものに交換して、同様の引き抜き工程を行って、アルミニウム管の径をさらに小さくした。線引き用ダイス孔径より径の小さい固定部9の形成は適時行った。この工程を繰り返して、外径を徐々に細くさせてアルミニウム管を伸長させ、外径φ4.6mmまで縮径した時点でステンレスワイヤーの栓が詰まっている部分を、a−a’,b−b’で切断し、第一蒸着母材を得た(ステップ6)。複数本の第一蒸着母材を抵抗熔接を行い熔接部14を有する長尺の第一蒸着母材を得た(ステップ7)。固定部の作製、冷間線引きを繰り返し外径φ2mmまで縮径した(ステップ8)。固定部9を除去し蒸着母材13を得た(ステップ9)。この蒸着母材13を所定の長さに切断、面取り加工することでアルミニウム基体の軸領域に高蒸気圧金属のマンガン粉末を分散させた複合蒸着材15ができた(ステップ10)。
【0062】
冷間の線引き工程でアルミニウム管を外径φ15.0mmから外径φ2.0mmまで加工するのに、一回の線引きで断面積で約10〜25%の減少率としたため、20種の線引きダイスを使用した。断面積を15%まで減面するとアルミニウム管とアルミニウム粉末、マンガン粉末は一体となり、栓を除去してもアルミニウム管からアルミニウム粉末やマンガン粉末がこぼれ落ちることはなくなる。常温かつ大気圧中で冷間線引き加工行ったが、熱間線引き加工することで一回の線引きでの線引き率を上げ、線引きダイスの数を減らすことは可能であるが、アルミニウム管内の残存空気によるアルミニウムおよびマンガン粉末の酸化を防止する方策を取る必要がある。このことから、一回のリダクション率を落とし線引き回数を増やす方が、製造する上では容易であると言える。
【0063】
次に、蒸着母材13から所定の長さのペレットを得るために、線引き完了した蒸着母材13を切断機で長さ14mmに切り分けた。面取りは旋盤を用いて行ったが、プレスを用い加工する事も可能である。切断と面取り加工もしくは端部丸め加工を同時に行うことも可能である。端部丸め加工は転造機を用いアルミニウムの塑性変形加工を行なう事もできる。図1に示すような面取りを行った丸棒形状としたため、振動式パーツフィーダーで複合蒸着材15を整列、搬送を行っても何ら問題なく蒸着機に供給できた。面取りを行わない複合蒸着材に付いても実験を行ったが、複合蒸着材の端面がパーツフィーダーの壁面や複合蒸着材同士が引っかかり、整列、搬送が上手く行かない。また面取りをC1mmつまり端部を円錐形にすると、複合蒸着材の下に他の複合蒸着材が潜り込みこれも整列、搬送が上手く行かなかった。これらの事から面取りはC0.3〜0.6mmが最も整列、搬送が問題なく行える値と考えられる。ただし、これらの最適な面取りの寸法は、外径φ2、長さ14mmの複合蒸着材形状の時であり、外径、長さが変われば最適値は変わるが、概略外径値の15〜30%の面取りを行えば良い。実施例ではC面取りを行ったが、曲面を持ったr面取りでも良いものである。
【0064】
外径φ15.0mmと内径φ6.25mmの寸法であるアルミニウム管に、マンガン粉末70wt%,アルミニウム粉末30wt%で混合した粉末を詰め、外径φ2.0mmに線引きした場合、マンガンの分散した軸領域の径はφ約0.85mmとなり、全体に占めるマンガンは約10.7wt%となった。
【0065】
本発明の複合蒸着材を使用して蒸着膜を形成した。真空装置のベルジャー内に、複合蒸着材とガラス基板を配置し、前記複合蒸着材を加熱・蒸発させて、前記ガラス基板にアルミニウムとマンガンの蒸着膜を形成した。蒸着した膜の組成に付いて図5を用いて説明する。蒸着膜は、アルミニウムとマンガンの合金膜であって、ガラス基板側つまり蒸着初期がマンガンリッチで蒸着終期がアルミニウムリッチな組成が傾斜した蒸着膜となった。使用したガラス基板は、分析精度を上げるためアルミニウムとマンガンが含まれない組成のものを使用した。蒸着初期面は黒色で、蒸着終期面はアルミニウム色であった。図中a)とb)は蒸着条件を変えたものである。
【0066】
蒸着条件は真空度10−2Paとし、印加電圧と蒸着時間を変えた。蒸着材を載せるトレーはボロンナイトライト(BN)を使用し、200nmの蒸着膜厚となるように複合蒸着材の重量を調整した。ガラス基板に蒸着された膜の、膜厚方向の膜組成をオージェ分析機を用いて分析した。大気中に蒸着膜を置くと蒸着膜の表面が酸化されるため、膜を分析すると酸素が検出されるが、酸素は除いてアルミニウムとマンガンの原子%で表わしている。図の横軸は、膜厚を示し膜厚200nmの位置が蒸着初期面、膜厚0nmが蒸着終期面を表わしている。図中a)は印可電圧8V、蒸着時間70秒、b)は印可電圧9V、蒸着時間25秒の蒸着条件である。印可電圧を高くし蒸着速度を上げたb)の蒸着膜は、蒸着初期がマンガン100%、蒸着終期がアルミニウム100%となっている。蒸着条件で組成傾斜度合いを変化できるものである。
【0067】
図6に、蒸着膜の光反射率の測定結果を示す。光反射率は分光光度計を用い390nmから760nmの可視光領域で30nm間隔で測定した。光反射率は純アルミニウムの蒸着膜の光反射率を100%として比較測定を行った。蒸着初期面はガラスを通して測定することとなるため、本発明の蒸着膜と純アルミニウム蒸着膜に用いたガラスは同一の材質、厚みを持った物を使用している。図中a)は印可電圧8V、蒸着時間70秒、b)は印可電圧9V、蒸着時間25秒の蒸着条件で、白丸は蒸着初期面、黒丸は蒸着終期面の光反射率である。蒸着初期面の光反射率は、a)にはアルミニウムが約5原子%含まれているため、b)より光反射率が高くなっている。蒸着終期面の光反射率は、a)にはマンガンが約2原子%含まれているため、b)より光反射率が低下している。
【0068】
アルミニウムとマンガンの室温での電気抵抗率は、約2.7x10−6(Ω・cm)と約43.1x10−6(Ω・cm)である。本複合蒸着材を用いて蒸着した膜の電気抵抗は約3.2x10−6(Ω・cm)であり、マンガンに比べて約1/13にする事ができた。アルミニウムに比べ約20%抵抗が上がっているが、光反射率の低下の効果から許容できる値であった。蒸着初期と終期で組成の異なる薄膜の電気抵抗(抵抗率)を測定することは難しいので、同一組成(マンガン107wt%含むアルミニウム合金)の一辺10mm立方体形状のバルク材を作製し測定を行った。
【0069】
本発明の他の実施形態に付いて図7を用いて説明する。円柱状の銀基体と、前記銀基体17の軸領域に高蒸気圧金属のマグネシュウム粉末18とバインダー金属のアルミニウム粉末16を有する複合蒸着材を示した。バインダー金属には銀と蒸気圧の近いアルミニウムを使用した。バインダー金属にアルミニウムを用いたのは、価格のためである。重量比でアルミニウム:マグネシュウム=8:2になるように、アルミニウム粉末とマグネシュウム粉末を不活性ガスを充填した密封容器にいれて、密封容器を回転・揺動させて、アルミニウム粉末とマグネシュウム粉末を均一に混合した。混合させた粉末中、アルミニウム粉末は平均粒径が75μmであり、マグネシュウム粉末は平均粒径を70μmとした。マグネシュウムは酸化力の強い金属であるので、微粉末を取扱うのに特に注意を要する。そのため、マグネシュウム粉末の粒径は極力大きくして、表面積を下げた方が好ましい。銀パイプは外径φ15.0mmであり、内径φ11.0mmであり、長さ350mmの中空棒を用いた。銀は加工硬化を起こし易いため、混合粉末充填前に銀パイプを窒素中で350℃、1時間焼きなましを行った。
【0070】
銀パイプに通気性の栓を設け混合封末を充填したのち、冷間線引きを行った。φ15mmからφ2mmまで線引きする間に、加工硬化した銀を焼きなましする作業を3回行った。焼きなまし条件は窒素中で350℃、1時間行った。焼きなまし作業を行わないと、線引き中に切断してしまうためである。マグネシュウムとアルミニウム粉末の分散した軸領域の径はφ約1.45mmとなり、全体に占めるマグネシュウムは約1.9wt%、アルミニウムは約11.7wt%となった。
【0071】
蒸着した膜の組成に付いて図8を用いて説明する。蒸着膜は、銀とアルミニウム、マグネシュウムの合金膜であって、ガラス基板側つまり蒸着初期がマグネシュウムリッチなマグネシュウムと銀で、蒸着中期が銀とアルミニウム、蒸着終期がアルミニウムリッチなアルミニウムと銀の組成傾斜蒸着膜となった。蒸着初期面は灰色で、蒸着終期面はアルミニウム色であった。蒸着条件は真空度10−2Pa、印可電圧9V、蒸着時間25秒とした。また、図9に、光反射率を示す。
【0072】
本発明の他の実施形態に付いて図10を用いて説明する。円柱状のアルミニウム基体と、前記アルミニウム基体1軸領域にマンガン粉末2と鉄粉末19を有する複合蒸着材を示した。バインダー金属にはアルミニウム粉末16を使用した。重量比でアルミニウム:マンガン:鉄=5:2:3になるように、アルミニウム粉末16とマンガン粉末2、鉄粉末19を不活性ガスを充填した密封容器にいれて、密封容器を回転・揺動させて、アルミニウム粉末とマンガン粉末、鉄粉末を均一に混合した。混合させた粉末中、アルミニウム粉末は平均粒径が75μmであり、マンガン粉末は平均粒径を10μm、鉄粉末は平均粒径を40μmとした。アルミニウムパイプは外径φ15.0mmであり、内径φ9.5mmであり、長さ350mmの中空棒を用いた。マンガン粉末と鉄粉末、アルミニウム粉末の分散した軸領域の径はφ約1.27mmとなり、全体に占めるマンガンは約12.6wt%、鉄は約20.1wt%となった。
【0073】
蒸着した膜の組成に付いて図11を用いて説明する。蒸着膜は、マンガンとアルミニウム、鉄の合金膜であって、蒸着初期がマンガンで、蒸着初期に近い蒸着中期はマンガンとアルミニウム、蒸着終期に近い蒸着中期はアルミニウムと鉄、蒸着終期が鉄の組成傾斜蒸着膜となった。蒸着初期面は黒色で、蒸着終期面はねずみ色であった。蒸着条件は真空度10−2Pa、印可電圧9V、蒸着時間25秒とした。また、図12に、光反射率を示す。光反射率は純アルミニウム蒸着膜の光反射率を100%としている。
【0074】
本発明の他の実施形態に付いて図13を用いて説明する。円柱状のアルミニウム基体と、前記アルミニウム基体1軸領域にマンガン粉末2とコバルト粉末20を有する複合蒸着材を示した。バインダー金属にはアルミニウム粉末16を使用した。重量比でアルミニウム:マンガン:コバルト=5:2:3になるように、アルミニウム粉末とマンガン粉末、コバルト粉末を不活性ガスを充填した密封容器にいれて、密封容器を回転・揺動させて、アルミニウム粉末とマンガン粉末、コバルト粉末を均一に混合した。混合させた粉末中、アルミニウム粉末は平均粒径が75μmであり、マンガン粉末は平均粒径を10μm、コバルト粉末は平均粒径を35μmとした。アルミニウムパイプは外径φ15.0mmであり、内径φ9.5mmであり、長さ350mmの中空棒を用いた。マンガン粉末とコバルト粉末、アルミニウム粉末の分散した軸領域の径はφ約1.27mmとなり、全体に占めるマンガンは約12.2wt%、コバルトは約21.8wt%となった。
【0075】
蒸着した膜の組成に付いて図14を用いて説明する。蒸着膜は、マンガンとアルミニウム、コバルトの合金膜であって、蒸着初期がマンガンで、蒸着初期に近い蒸着中期はマンガンとアルミニウム、蒸着終期に近い蒸着中期はアルミニウムとコバルト、蒸着終期がコバルトの組成傾斜蒸着膜となった。蒸着初期面は黒色で、蒸着終期面はねずみ色であった。また、図15に、光反射率を示す。光反射率は純アルミニウム蒸着膜の光反射率を100%としている。
【0076】
本発明の複合蒸着材を用い作製した組成傾斜蒸着膜を、有機EL素子の陰電極に用いることで従来の光反射率の高いアルミニウム陰電極に比べ、ぎらぎらとした反射がなくなりコントラスト比が高くなり表示が見やすくなった。
【0077】
【発明の効果】
基体金属の軸領域に基体金属の蒸気圧より高い蒸気圧金属粉末を配した複合構造の複合蒸着材を用い、一回の蒸着作業で蒸着初期面は低光反射率となる組成傾斜膜が得られる。また、基体金属の軸領域に基体金属の蒸気圧より高い蒸気圧金属粉末と低い蒸気圧金属粉末を配した複合構造の複合蒸着材を用いる事で、一回の蒸着作業で蒸着初期面と蒸着終期面が低光反射率となる組成傾斜膜が得られ、これらの複合蒸着材および組成傾斜膜を表示装置の電極に用いる事で、コントラストの高い表示装置が得られた。一回の蒸着作業で組成傾斜膜が得られるため、複数回蒸着や熱処理、化学処理等によって低光反射率化する工程に比べ安価にできた。組成が徐々に変化する組成傾斜膜であるため、熱膨張差による剥れ等が無く安定に膜を作る事ができた。また、特別な装置を使用することなく現有の真空蒸着装置を使用できるので、コストの低減が図れた。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の複合蒸着材の一実施態様の斜視図である。
【図2】
本発明の複合蒸着材の一実施態様の断面図である。
【図3】
本発明の複合蒸着材の製造工程フロー図である。
【図4】
本発明の複合蒸着材の製造工程フロー図である。
【図5】
本発明の複合蒸着材を用いた蒸着膜の組成分布である。
【図6】
本発明の複合蒸着材を用いた蒸着膜の光反射率である。
【図7】本発明の他の複合蒸着材の実施態様の断面図である。
【図8】本発明の他の複合蒸着材を用いた蒸着膜の組成分布である。
【図9】本発明の他の複合蒸着材を用いた蒸着膜の光反射率である。
【図10】本発明の他の複合蒸着材の実施態様の断面図である。
【図11】本発明の他の複合蒸着材を用いた蒸着膜の組成分布である。
【図12】本発明の他の複合蒸着材を用いた蒸着膜の光反射率である。
【図13】本発明の他の複合蒸着材の実施態様の断面図である。
【図14】本発明の他の複合蒸着材を用いた蒸着膜の組成分布である。
【図15】本発明の他の複合蒸着材を用いた蒸着膜の光反射率である。
【図16】有機EL素子の概略構成の断面図である。
【符号の説明】
1 アルミニウム基体、2 高蒸気圧金属粉末、2 マンガン粉末、
3 面取り、4 軸領域、6 密封容器、7 アルミニウム管、8 栓、
9 固定部、10 線引き用ダイス、11 引っ張り加重装置、
12 第一蒸着母材、13 蒸着母材、14 熔接部、15 複合蒸着材、
16 アルミニウム粉末、17 銀基体、18 マグネシュウム粉末、
19 鉄粉末、20 コバルト粉末、81 基板、82 陽電極、
83 有機電界発光層、84 陰電極、85直流。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a vapor deposition film and a vapor deposition material for a low light reflectance electrode used for an electroluminescence element, a liquid crystal display, and the like, and a method of manufacturing the same.
[0002]
[Prior art]
An electroluminescence (hereinafter, referred to as EL) element is a light-emitting element utilizing electroluminescence of a solid fluorescent substance or a phenomenon called EL. Organic EL elements that emit light at a lower voltage than the inorganic EL elements, easily emit red, blue, and green light, which are the three primary colors of light, and have high emission luminance are attracting attention. FIG. 16 is a sectional view showing a schematic configuration of the organic EL element. On a transparent or translucent substrate 81 such as glass, a transparent positive electrode 82 such as indium tin oxide (ITO), an organic electroluminescent layer 83, and a negative electrode 84 are laminated. When a direct current 85 is applied between the positive electrode 82 and the negative electrode 84, protons are supplied from the positive electrode 82 and electrons are supplied from the negative electrode 84 to the organic electroluminescent layer 83 to emit light. In order to increase the luminous efficiency, the negative electrode 84 is mainly made of a metal film such as AlLi or MgAg having a low work function.
[0003]
Since the cathode is made of metal, there is a problem that it is difficult to obtain a sufficient contrast because light is specularly reflected on the surface of the cathode. In order to solve this problem, various studies have been made to use a polarizing plate or color the transparent substrate 81, but this has not been a complete countermeasure due to an increase in cost and a decrease in luminance. Therefore, it has been proposed to lower the light reflectance on the surface of the negative electrode on the organic electroluminescent layer side to improve the contrast.
[0004]
Japanese Patent Application Laid-Open No. 2001-332391 discloses that a cathode is composed of two layers, an organic electroluminescent layer side is a light reflection suppressing layer, and other layers are made of a light reflective metal material. Japanese Patent Application Laid-Open No. H11-329752 discloses that aluminum and tungsten are simultaneously vacuum-deposited on an organic electroluminescent layer to form a black film, and then aluminum is vacuum-deposited to form two layers of negative electrodes. Assuming that the organic electroluminescent layer side of the negative electrode is the front side of the negative electrode, the light reflectance on the back side of the negative electrode is also reduced, so that light from the surroundings is not reflected. -140788. Although there is no disclosure of a manufacturing method or the like, it has a three-layer structure in which the main conductor is sandwiched between black films.
[0005]
Although a low light-reflective metal material can be used for the entire negative electrode, the electric resistance increases, so that not only the film thickness needs to be increased, but also a problem of heat generation occurs. In order to improve the contrast of a liquid crystal element or a PDP element, the viewing side of the electrode is required to have a low light reflectance and a low electric resistance.
[0006]
In a single vapor deposition operation, the initial vapor deposition part is mainly a high vapor pressure metal, and the final vapor deposition part is a composite vapor deposition material that can mainly form a low vapor pressure metal. Inventors have already filed and invented a composite structure vapor deposition material in which a metal that is less likely to evaporate than aluminum and has a lower light reflectance than aluminum has been applied (JP 2000-87220, JP 2000-336471, JP 2000-073120, etc.). . The composite vapor deposition material of the present invention, which is required for the light reflection film of the CRT, is formed from the optical characteristics of high light reflectance at the initial vapor deposition surface and low light reflectance at the final vapor deposition surface. According to the present invention, the initial stage of deposition has a low light reflectivity, and the middle stage and the last stage of deposition have a low electrical resistance and optical and electrical requirements at the same time. It is necessary to consider not only the metal vapor pressure but also various items such as electric resistance, light reflectance, work function, and ductility.
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
As described above, it is possible to improve the contrast by using two or three layers of electrodes. However, in order to multilayer films having different compositions, it is necessary to perform a plurality of film forming operations or A separate step for blackening the film was required. In a film in which the composition is completely separated by performing the film formation a plurality of times, the film may be warped or peeled off due to a difference in the coefficient of thermal expansion, so that not only cannot the film be formed stably, but also the cost is severe. . In addition, in order to reduce the light reflectance by heat treatment or chemical blackening, not only special manufacturing equipment is required but also the number of steps is increased, so that the cost becomes severe. In addition, the method cannot blacken the organic electroluminescent layer side.
[0008]
The present invention solves the above-mentioned problems, and a vapor deposition material in which a composition gradient film having a low light reflectance is obtained in a single vapor deposition operation, and a vapor deposition initial surface and a vapor final surface in a single vapor deposition operation. Provides a vapor deposition material, a composition gradient film, and a method of manufacturing the vapor deposition material, which can obtain a composition gradient film having low light reflectance, and provides a low electric resistance electrode, and provides an inexpensive and high-contrast display device. For the purpose.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
The composite vapor deposition material of the present invention according to claim 1 includes metal powder dispersed in an axial region of the base metal, wherein the metal powder is a metal having a higher vapor pressure than the vapor pressure of the base metal. And
[0010]
Metals that evaporate at low temperatures at the same degree of vacuum are called high vapor pressure metals, and metals that do not evaporate unless heated to high temperatures are called low vapor pressure metals. For example, when comparing aluminum and manganese, it can be said that manganese evaporates at a lower temperature and has a higher vapor pressure if the degree of vacuum is the same, and aluminum has a lower vapor pressure because aluminum does not evaporate unless the temperature is higher than manganese. That is, at the same degree of vacuum, it can be said that the temperature required for evaporation increases in the order of manganese and aluminum. Also, for example, when aluminum and iron are compared, it can be said that aluminum has a higher vapor pressure at the same degree of vacuum because aluminum evaporates at a lower temperature, and iron has a lower vapor pressure because it does not evaporate unless the temperature is higher than aluminum. That is, at the same degree of vacuum, it can be said that the temperature required for evaporation increases in the order of aluminum and iron. In the present invention, based on the vapor pressure of the base metal, a metal having a lower vapor pressure than the vapor pressure of the base metal is converted into a low vapor pressure metal or a low vapor pressure metal powder, and a metal having a higher vapor pressure than the vapor pressure of the base metal. It is called high vapor pressure metal or high vapor pressure metal powder.
[0011]
In the composite vapor deposition material according to the present invention, the specific resistance of the base metal is 2.7 × 10 2 at 20 ° C. -6 (Ω-cm) or less.
[0012]
The vapor deposition film using the composite vapor deposition material of the present invention mainly has a high vapor pressure metal at the initial stage of vapor deposition and a base metal at the final stage of vapor deposition. The initial part of the deposition not only conducts electricity, but also has functions such as suppressing light reflectance and emitting electrons easily.The base metal mainly functions as a conductive material for conducting electricity, and thus has low electric resistance. Is more desirable. The specific resistance of the base metal is 2.7 × 10 at 20 ° C. -6 (Ω-cm) or less, a problem such as heat generation hardly occurs.
[0013]
In the composite vapor deposition material according to the third aspect of the present invention, it is desirable that the work function of the metal powder having a vapor pressure higher than the vapor pressure of the base metal be 4.5 or less.
[0014]
The vapor deposition film using the composite vapor deposition material of the present invention mainly has a high vapor pressure metal at the initial stage of vapor deposition and a base metal at the final stage of vapor deposition. In the initial stage of the deposition, a metal having a low work function is mainly used, so that electrons can be easily emitted. In the negative electrode, which plays a role of injecting electrons into the organic EL element, the high efficiency of electron emission leads to an improvement in light emission intensity. Further, if the light emission intensity is the same, an organic EL element that can be driven with low power can be obtained.
[0015]
In the composite vapor deposition material of the present invention according to claim 4, the light reflectance in the visible light region of the metal powder having a higher vapor pressure than the vapor pressure of the base metal is higher than the light reflectance of the base metal in the visible light region. Low is desirable.
[0016]
The visible light region refers to a light wavelength region of about 390 to 760 nm. Light reflectance can be measured using a spectrophotometer. By measuring the light reflectance at intervals of several nm, it is also possible to measure a continuous change in wavelength and light reflectance in the visible light region. Although the absolute value of the light reflectivity can be measured, in the present invention, the relative light reflectivity is measured using the light reflectivity of aluminum as a standard (100%), and the value is used. Since metal powder has an effect of irregular reflection of light, it is preferable to use a mirror-polished bulk material or a vapor-deposited film.
[0017]
The vapor deposition film using the composite vapor deposition material of the present invention mainly has a high vapor pressure metal at the initial stage of vapor deposition and a base metal at the final stage of vapor deposition. Since the initial portion of the vapor deposition has a low light reflectance, the reflection of light can be suppressed and the contrast is improved as compared with conventional aluminum, gold, silver, copper, and the like. In particular, when the initial portion of the deposition has a color close to black, a sufficient contrast can be obtained. Since achromatic colors cannot be produced with the three primary colors of light, the contrast is improved by forming the vapor deposition initial portion with a color close to black and having a low light reflectance.
[0018]
The composite vapor deposition material of the present invention according to claim 5, wherein the base metal is composed of at least one material selected from gold, silver, copper, and aluminum, and the high vapor pressure metal powder is magnesium, manganese, lead, cadmium. , Zinc, indium, bismuth, calcium, tellurium, and strontium.
[0019]
The composite vapor deposition material of the present invention according to claim 6, wherein the high vapor pressure metal powder has an average particle diameter in the range of 0.1 to 100 µm, and the particle diameter is at least 70% or more of the metal powder in a unit volume. , 30 μm or less.
[0020]
In the composite vapor deposition material of the present invention, the high vapor pressure metal powder preferably has a particle diameter of 30 μm or less for at least 70% of the particles in a unit volume. More preferably, the high vapor pressure metal powder has a particle size of 10 μm or less. The high vapor pressure metal powder may have an average particle size in the range of 0.1 to 100 μm. In order to further improve the uniformity of the densely packed powder, the average particle diameter is desirably in the range of 0.1 to 40 μm. By defining the diameter of the metal powder, the surface area of the powder is secured and the high vapor pressure metal powder falls off by increasing the bonding area with the metal (hereinafter referred to as binder metal) powder that serves as a binder. Can be prevented. Further, the apparent specific gravity (bulk density) of the mixed powder obtained by mixing the high vapor pressure metal powder and the binder metal powder can be increased, which leads to stabilization of the dimension of the axial region of the composite vapor deposition material. It is desirable that the particle size of the binder metal powder also has the same average particle size and particle size distribution as the high vapor pressure metal powder.
[0021]
When the proportion of the powder having an excessively large particle size in the powder increases, the distribution of the powder in the longitudinal direction of the substrate may become uneven, or large voids / voids may be generated between the substrate and the powder. Therefore, in order to maintain the uniformity of the distribution of the powder, the ratio of powder having a small particle size is secured or an appropriate average particle size is defined. As the particle size uniformity, that is, the particle size distribution is improved, the uniformity of the deposited film can be improved.
[0022]
Here, the above particle diameter is observed on the side surface of the composite vapor deposition material of the present invention or on a cross section obtained by cutting the composite vapor deposition material. The cross section is not limited to a cross section perpendicular to the longitudinal direction or a cross section parallel to the longitudinal direction of the composite vapor deposition material, but may be an arbitrary cut cross section. The particle diameter when observed in a cross section means a biaxial average diameter which measures the shortest diameter and the longest diameter of the powder and takes an average value. The average particle diameter refers to a value obtained by dividing the total length of the diameters of the powders crossing an arbitrary virtual line by the number of powders. In addition, the particle size and average particle size of the powder before mixing are similarly determined by taking a photograph of the powder and calculating the total length of the particle size obtained from the biaxial average diameter and the diameter of the powder crossing any virtual line on the photograph. The average particle size divided by the number was used. The particle size distribution is a histogram of the particle size obtained by the above method.
[0023]
In the composite vapor deposition material according to the present invention, the weight ratio of the base metal weight and the high vapor pressure metal powder is obtained by dividing the high vapor pressure metal powder weight by the sum of the high vapor pressure metal powder weight and the base metal weight. It is desirable that the calculated value be 0.03 to 0.4.
[0024]
The weight ratio can be determined from the film thickness in which the high vapor pressure metal is mainly used. When the weight ratio is 0.03 or less, the base metal is often included in the initial portion of the deposition, so that the work function is 4.5 or more and the light reflectance is increased. When the weight ratio is 0.4 or more, the amount of the binder metal is less than that of the high vapor pressure metal. Therefore, even if cold drawing is performed, the base metal, the binder metal powder, and the high vapor pressure metal powder are not integrated, and the base metal A problem that high vapor pressure metal powder spills out of the glass may occur. Further, in the case of a vapor-deposited film, since the volume of the base metal is reduced, the electric resistance also increases, and problems such as heat generation occur.
[0025]
The method for producing a composite vapor deposition material of the present invention according to claim 8, wherein a step of forming a mixed powder obtained by mixing a high vapor pressure metal powder and a binder metal powder, and a step of filling the mixed powder into a pipe-shaped substrate are provided. Forming a vapor-permeable plug on the pipe-shaped base, cold-drawing the pipe-shaped base to reduce the diameter to form a deposition base material, and dividing the deposition base material into composite vapor depositions. And a step of obtaining a material.
[0026]
It is desired that the binder metal powder is not only the same kind of metal as the base metal, but also a material having excellent ductility. The binder metal powder has a function of a binder that integrally joins the base metal and the high vapor pressure metal powder. In order to perform the binder function, the binder metal powder must be plastically deformed at the time of cold drawing to join the high vapor pressure metal powder. Therefore, it is preferable that the metal be not only ductile but also a relatively soft metal. It is not necessary to be of the same kind as the base metal, but if the vapor pressure is different, it will be difficult to determine the vapor deposition conditions. However, when the base metal is silver or gold in order to reduce the manufacturing cost of the composite deposition material, it is possible to use aluminum or copper powder which is inexpensive and has a vapor pressure close to that of silver or gold.
[0027]
As a method of mixing a binder metal powder and a high vapor pressure metal powder to obtain a mixed powder, the powder can be placed in a sealed container, sealed with an inert gas, and a mixer that rotates and rocks the container, or an inert gas can be sealed. A V-type mixer is used. The inert gas is sealed to prevent oxidation and explosion of the powder. In addition, the sealed container is made of a metal, and a part of the container is grounded to prevent electrostatic charging and reduce the risk of explosion, so that the powder can be mixed safely. In addition, by defining the particle size, the mixing ratio, and the like as described above, the binder metal powder and the high vapor pressure metal powder can be uniformly mixed, and the composite vapor deposition material of the present invention can be configured without defects.
[0028]
In order to fill the pipe-shaped substrate with the mixed powder, it is preferable to hold the pipe-shaped substrate at an angle of 60 ° to 80 ° with respect to the ground and fill the mixed powder by natural fall. When the pipe-shaped substrate is held at an angle of 80 degrees to 90 degrees and the mixed powder is filled by gravity, the air in the pipe-shaped substrate does not escape, and the mixed powder forms a bridge and creates an air pocket, completely filling. May not be possible. In this state, it is difficult to remove the air pockets even if vibration is applied or a rod is used. Further, if the pipe-like substrate is set up substantially vertically after filling the mixed powder at an angle of 60 degrees or less, the mixed powder is not preferable because it easily forms a bridge. By defining the inclination angle of the pipe-shaped substrate at the time of filling the mixed powder, it is possible to reliably fill the pipe-shaped substrate with the mixed powder by natural fall. After filling the mixed powder into the pipe-shaped substrate, the packing density can be further increased by applying vibration to the pipe-shaped substrate or sticking with a rod. However, it should be noted that excessive swinging or vibration may cause separation of the binder metal powder and the high vapor pressure metal powder due to the difference in particle size and specific gravity.
[0029]
When filling the mixed powder into the pipe-shaped substrate, it is necessary to close both openings of the pipe-shaped substrate so that the mixed powder does not leak in the step of cold drawing. As a method of closing the opening, a method of deforming the end of the pipe-shaped base to provide a fixing plug is preferable. It is important that the fixing plug has ventilation or elasticity. During cold drawing, when the base metal is reduced in diameter and expanded, the mixed powder also needs to be reduced in diameter and expanded at the same time. If the fixing plug is impermeable, not only will the flow of the mixed powder be hindered, but also if the air contained in the mixed powder is compressed in the pipe-shaped substrate and vigorously blows out from the rear end of the pipe-shaped substrate. There is a problem to say. In addition, if the wire has no elasticity, the diameter cannot be reduced by the wire drawing die, and the wire cannot be drawn. It is preferable that an ultrafine metal wire having a diameter of about 20 μm be rounded and used for the fixing plug. As the metal wire material, stainless steel having high strength is preferable. It is possible to use a thick metal wire of about φ100μm, but when removing the fixing plug part to obtain a vapor deposition base material by drawing, when cutting the fixing plug part, cut stainless steel wire of about φ20μm with pliers. Because it is difficult, it is easy to determine if there is a stainless wire. Therefore, the fixing plug, which is an impurity when viewed from the vapor deposition material, can be reliably removed.
[0030]
Extrusion or drawing (also referred to as drawing) is used for the cold working of the pipe-shaped substrate. In these processing methods, a pipe-shaped substrate is passed through a die for drawing or extrusion to compress in the radial direction, to reduce the diameter, and to extend in the longitudinal direction. In this compression / extension, heat treatment is not added to the pipe-shaped base or the device itself, but the binder metal powder compressed in the cold step flows plastically or locally due to heat generated by friction between the powders. It is considered that they soften or enter between metal powders. The binder metal is filled between the thinly drawn pipe-like substrate and the high vapor pressure metal powder, and the pipe-like substrate, the binder metal powder and the high vapor pressure metal powder are integrated, and the high-pressure region is substantially formed in the axial region of the base metal. A vapor deposition base material having a structure in which the vapor pressure metal powder is dispersed can be obtained.
[0031]
The drawing needs to be performed a plurality of times by changing the hole diameter of the drawing die. The amount which can be reduced in diameter by one drawing is 10 to 30% in reduction ratio. The reduction rate is the percentage difference between the cross-sectional area before diameter reduction and the cross-sectional area after diameter reduction. When the diameter of the substrate is large, it is necessary to reduce the reduction rate to 20 to 30%, and to reduce the reduction rate as the diameter of the substrate decreases, thereby preventing the substrate from being cut. When the diameter of the substrate becomes 2 mm or less, it is desirable to reduce the reduction rate to 10 to 15% from the viewpoint of preventing cutting.
[0032]
The vapor deposition base material is cut into a predetermined length by cutting or the like to obtain a pellet-shaped composite vapor deposition material. It may be supplied to the vacuum evaporation machine in a cut state, or chamfering may be performed so as to facilitate the automatic supply of a parts feeder or the like while also removing burrs formed on the end face of the pellet. When an automatic feeding device such as a parts feeder is used, it is desirable that at least the corners of the ends of the side surfaces (longitudinal surfaces) of the vapor deposition material be removed by chamfering. It is also possible to simultaneously perform cutting and chamfering or rounding of the end face of the deposition base material. A large number of cut pellets can be put into a rotary barrel polishing machine to perform end chamfering. Alternatively, the end may be rounded by performing a rolling process of crushing the corner of the end portion toward the side surface.
[0033]
The method for producing a composite vapor deposition material according to the present invention according to claim 9, wherein the pipe-shaped substrate is subjected to cold drawing to reduce the diameter and form the vapor deposition base material, after removing the gas-permeable plug, It is preferable to use a process of welding the above-mentioned vapor deposition base materials to form a long vapor deposition base material.
[0034]
To make a long deposition base material, it is necessary to use a thick and long pipe-like substrate. When a thick pipe-shaped substrate is used, the number of times of drawing until a predetermined wire diameter is increased, so that it is necessary to prepare not only a large number of drawing dies but also a large-sized drawing machine. Further, if a long pipe-shaped substrate is used, it becomes difficult to fill the mixed powder, so that the diameter and the length of the pipe-shaped substrate are restricted by quality and man-hours. When the pipe-shaped substrate and the mixed powder are integrated, the air-permeable plug portion is removed, and a plurality of pieces are joined and then drawn to a predetermined diameter, whereby the number of drawing steps can be reduced. It is preferable to use resistance welding for joining. After cutting the end face of the vapor deposition base material at a substantially right angle, the vapor deposition base materials are butt-joined and heated by applying a current, and at the same time, a force is applied in the butting direction of the vapor deposition base materials to join them, and at the same time, the current is cut off and cooled. Since the joints rise, they are shaved with a file or the like and adjusted to the diameter of the base metal. Compared to the joining method using a brazing material or the like, when joining is performed by resistance welding, there is an advantage that a foreign material such as a brazing material does not adhere to the joining portion, so that the joining portion can be used without removing it.
[0035]
In the method for producing a composite vapor deposition material according to the present invention, a mixed powder obtained by mixing a metal powder having a vapor pressure higher than the vapor pressure of the base metal and a metal powder of the same material as the base has an angle of repose of 45 degrees. It is desirable to use a mixed powder that is:
[0036]
It is preferable that the mixed powder to be filled in the pipe-shaped substrate has an angle of repose of 45 degrees or less indicating the fluidity of the powder. Preferably, the angle of repose is 35 degrees or less. The angle of repose was defined as an angle composed of a cone-shaped base and a slope formed by allowing the mixed powder to fall naturally at one point from a height of 10 cm. Generally, the smaller the angle of repose, the better the fluidity of the powder. By using the mixed powder having a repose angle of 45 degrees or less, the mixed powder can be uniformly filled without forming a bridge when the mixed powder is filled in the pipe-shaped base. When the mixed powder forms a bridge and becomes non-uniform, even if it is drawn to produce a composite vapor deposition material, the content of the high vapor pressure metal powder relative to the base metal at the bridge point decreases, and it is used as a composite vapor deposition material. You can't.
[0037]
The composite vapor-deposited film according to the present invention as defined in claim 11, wherein the initial part of the vapor deposition is formed of an alloy mainly containing a metal having a vapor pressure higher than the vapor pressure of the base metal and containing the base metal, and the base metal is mainly used as the base metal. The vapor deposition end portion is formed of an alloy containing a metal having a higher vapor pressure than the vapor pressure.
[0038]
From the initial stage of vapor deposition to the final stage of vapor deposition, it is a composite vapor-deposited film having a composition gradient in which the content of high vapor pressure metal continuously decreases. The degree of composition gradient can be controlled by changing the weight ratio between the base metal and the high vapor pressure metal. Further, it is also possible to control under vacuum deposition conditions such as a deposition rate and a degree of vacuum. The initial deposition portion refers to a region having a thickness of about 10% of the film thickness from the initial deposition surface of the deposition film. The final part of vapor deposition is synonymous.
[0039]
The composite vapor-deposited film of the present invention according to claim 12 is vapor-deposited with a metal having a vapor pressure higher than the vapor pressure of the base metal or an alloy with a base metal mainly composed of a metal having a vapor pressure higher than the vapor pressure of the base metal. An initial portion is formed, and the vapor deposition end portion is formed of an alloy with a metal having a higher vapor pressure than the base metal or the base metal mainly composed of the base metal.
[0040]
The composite vapor deposition material of the present invention according to claim 13, comprising two kinds of metal powders dispersed in an axial region of the base metal, wherein one of the metal powders is a metal having a higher vapor pressure than the vapor pressure of the base metal, Another type is a metal whose vapor pressure is lower than the vapor pressure of the base metal.
[0041]
The composite vapor deposition material of the present invention according to claim 14, wherein the specific resistance of the base metal is 2.7 × 10 2 at 20 ° C. -6 (Ω-cm) or less.
[0042]
According to a fifteenth aspect of the present invention, it is preferable that the work function of the high vapor pressure metal is 4.5 or less.
[0043]
In the composite vapor deposition material of the present invention according to claim 16, the light reflectance in the visible light region of the high vapor pressure and the low vapor pressure metal powder is lower than the light reflectance of the base metal in the visible light region. It is desirable.
[0044]
In the vapor deposition film using the composite vapor deposition material of the present invention, a high vapor pressure metal is mainly used in the initial part of vapor deposition, a base metal is used in the middle part of vapor deposition, and a low vapor pressure metal is used mainly in the last part of vapor deposition. Since the initial portion of the vapor deposition has a low light reflectance, the reflection of light can be suppressed and the contrast is improved as compared with conventional aluminum, gold, silver, copper, and the like. In particular, when the initial portion of the deposition has a color close to black, a sufficient contrast can be obtained. At the end of vapor deposition, as in the initial stage of vapor deposition, low light reflectance is obtained, so that the amount of ambient light reflected on the surface at the end of vapor deposition is reduced, and the contrast can be improved. Here, by using a metal having a low electric resistance in the middle stage of vapor deposition, heat generation can be suppressed even when a current flows through the film.
[0045]
The composite vapor deposition material of the present invention according to claim 17, wherein the base metal is composed of at least one material selected from gold, silver, copper, and aluminum, and the high vapor pressure metal of the metal powder is magnesium, manganese, Lead, cadmium, zinc, indium, bismuth, calcium, tellurium, at least one material selected from strontium, the low vapor pressure metal of the metal powder, chromium, cobalt, molybdenum, niobium, tantalum, tungsten, beryllium, nickel, It is desirable to be made of at least one material selected from tin, iron, silicon, titanium, vanadium, platinum and carbon.
[0046]
Even if a low-vapor-pressure metal, such as a carbon powder that is not normally suitable for vapor deposition, is dispersed in the axial region of the base metal, the base metal can serve as a carrier to evaporate the powder. Since the high vapor pressure metal starts to evaporate before the base metal serving as the carrier evaporates, it is desirable that the material be suitable for ordinary vacuum deposition.
[0047]
The composite vapor deposition material of the present invention according to claim 18, wherein the average particle diameter of the low vapor pressure metal and the high vapor pressure metal powder is in the range of 0.1 to 100 μm, and the particle diameter of the metal powder is at least in unit volume. For 70% or more of the metal powder described above, it is preferable that the thickness be 30 μm or less.
[0048]
The weight ratio of the base metal weight to the total metal powder weight of the high vapor pressure and the low vapor pressure metal powder is obtained by dividing the total metal powder weight by the base metal weight and the total metal powder weight. Is preferably 0.03 to 0.4.
[0049]
The method for producing a composite vapor deposition material according to claim 20, wherein a step of forming a mixed powder obtained by mixing a high vapor pressure metal powder, a low vapor pressure metal powder, and a metal powder of the same material as the base metal is performed, A step of filling powder into a pipe-shaped substrate, a step of plugging the pipe-shaped substrate with air permeability, and a step of cold-drawing the pipe-shaped substrate to reduce the diameter and form a deposition base material. And a step of dividing the deposition base material to obtain a composite deposition material.
[0050]
Another method for producing a composite vapor deposition material of the present invention according to claim 21 is that, in the step of forming a vapor deposition base material by reducing the diameter by cold drawing a pipe-like substrate, removing a gas-permeable plug. It is desirable to use a process of welding a plurality of evaporation base materials to form a long evaporation base material.
[0051]
The method for producing a composite vapor deposition material of the present invention according to claim 22, wherein the repose angle of the mixed powder obtained by mixing the high vapor pressure metal powder, the low vapor pressure metal powder, and the metal powder of the same material as the substrate is 45 degrees or less. It is desirable to use some mixed powder.
[0052]
The composite vapor-deposited film according to the present invention according to claim 23, wherein an initial portion of the vapor deposition is formed of an alloy containing the base metal when the base metal is mainly a metal having a higher vapor pressure than the base metal, and the base metal based on the base metal is formed. The middle stage of the deposition is formed of a metal having a higher vapor pressure or a metal having a lower vapor pressure than the vapor pressure of the metal, and an alloy including a base metal mainly composed of a metal having a lower vapor pressure than the base metal. It is characterized by forming a final stage of vapor deposition.
[0053]
The content of the high vapor pressure metal continuously decreases from the initial stage of the vapor deposition to the middle stage of the vapor deposition, and the content of the high vapor pressure metal continuously decreases. This is a composite vapor-deposited film having a composition gradient whose content continuously increases. The degree of composition gradient can be controlled by changing the weight ratio of the base metal to the high vapor pressure metal and the low vapor pressure metal. Further, it is also possible to control under vacuum deposition conditions such as a deposition rate and a degree of vacuum. The initial deposition portion refers to a region having a thickness of about 10% of the film thickness from the initial deposition surface of the deposition film. The final part of vapor deposition is synonymous. The middle stage of vapor deposition is a region excluding the initial stage of vapor deposition and the final stage of vapor deposition.
[0054]
The composite vapor-deposited film according to the present invention as defined in claim 24, is mainly formed of a metal having a vapor pressure higher than the vapor pressure of the base metal or a metal having a vapor pressure higher than the vapor pressure of the base metal. Forming an initial portion, forming a middle stage of vapor deposition with an alloy of a metal having a higher vapor pressure or a metal having a lower vapor pressure than the vapor pressure of the substrate metal or the substrate metal mainly composed of the substrate metal, A composite vapor-deposited film characterized in that the vapor deposition end portion is formed of an alloy with a base metal mainly composed of a metal having a low vapor pressure or a metal having a vapor pressure lower than the vapor pressure of the base metal.
[0055]
According to a twenty-fifth aspect of the present invention, there is provided the display device, wherein a composite vapor-deposited film having a different composition in an initial part, a middle part, and a final part is used as an electrode material.
[0056]
As an example of application, it can be used as a cathode material of an organic EL display device. It is desired that the cathode of the organic EL has a low work function and a low light reflectance on the light emitting element side. A material having a low work function is preferable in order to increase the efficiency of electron injection into the light emitting element portion. Further, the contrast can be increased by lowering the light reflectance. Since the electrode is a cathode, a current flows, so that the electrode needs to have low electric resistance. Therefore, it is preferable to use a composite vapor-deposited film having a low work function and a low light reflectance at the beginning of vapor deposition and a low electric resistance at the end of vapor deposition. By using a liquid crystal display device, particularly a TFT gate electrode, a source electrode, and a drain electrode, a display device with high contrast can be obtained.
[0057]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Embodiments of the present invention will be described below in detail with reference to the drawings. FIG. 1 is a perspective view of one embodiment of the composite vapor deposition material of the present invention, and FIG. 2 is a cross-sectional view of one embodiment of the composite vapor deposition material of the present invention, which shows a cylindrical aluminum substrate 1 and the aluminum substrate shaft. A composite vapor deposition material having manganese powder 2, which is a high vapor pressure metal dispersed in a region, is shown. The dotted line corresponds to the aluminum base shaft region 4 and is a region where manganese powder, which is a high vapor pressure metal, is dispersed in the aluminum powder 16. On the side surface of the shaft region 4, there is a portion where the manganese powder 2 is exposed. The portion other than the axial region 4 in the aluminum base 1 is made of aluminum. Both ends of the cylinder were chamfered 3. As dimensions, the outer diameter of the aluminum substrate was φ2.0 mm, and the chamfer of the end face was C0.3 mm. The diameter of the axis region 4 indicated by the dotted line was about 0.7 to 0.9 mm, and the length was 14 mm.
[0058]
Next, the manufacturing method used in this embodiment will be described with reference to the process flowcharts of FIGS. First, the aluminum powder 5 and the manganese powder 2 of the binder metal are placed in a sealed container 6 filled with an inert gas, and the sealed container is rotated and rocked to uniformly mix the aluminum powder 16 and the manganese powder 2 (step). 1). The mixing with the inert gas filled is for preventing oxidation of the aluminum and manganese powder and preventing explosion due to static electricity or the like. Among the mixed powders, the aluminum powder had an average particle diameter of 75 μm, and the manganese powder had an average particle diameter of 10 μm. For the aluminum pipe (pipe) 7, a hollow rod having an outer diameter of 15.0 mm, an inner diameter of 6.25 mm, and a length of 1 m was used. Prior to filling the hollow portion of the aluminum tube with the mixed powder of aluminum and manganese, the aluminum tube was pickled, washed with water, and dried in order to remove deposits such as oil and oxide films, particularly on the inner surface of the aluminum tube.
[0059]
The angle of repose when the mixed powder obtained by mixing 70 wt% of manganese powder and 30 wt% of aluminum powder in an inert gas was allowed to fall naturally from a height of 10 cm was 33 to 40 degrees.
[0060]
Next, one end of the aluminum tube 7 was hit with a hammer to slightly reduce the inner diameter. At one end of the aluminum tube 7, a plug 8 made of a cotton-like rounded stainless wire was packed and fixed (step 2). After holding the aluminum tube 7 at an angle of about 75 degrees with respect to the ground and pouring the mixed powder of aluminum and manganese through the opening at the other end of the aluminum tube, lightly tap the aluminum tube with a plastic hammer to check the filling degree of the mixed powder. Raised. (Step 3). A similar stainless steel wire plug 8 was packed so as to cover the opening, and the end of the aluminum tube on the opening side was hit with a hammer to fill the aluminum tube with the mixed powder (step 4). The stainless steel wire plug 8 has a structure in which a SUS thread of φ18 μm is entangled, and has both elasticity sufficient to fix the powder and air permeability. This air permeability functions as an air hole for removing air existing between particles of the mixed powder of aluminum and manganese in the next cold working step. The removal of the air inside the powder through the ventilation holes is for obtaining a strong adhesion between the aluminum tube and the metal powder. When the aluminum tube is sealed, the internal air is compressed when the diameter is reduced, so that the pressure inside the aluminum tube increases and the aluminum tube bursts. If the inside of the aluminum tube is evacuated and then sealed, the rupture of the aluminum tube can be prevented.However, the movement of the mixed powder in the aluminum tube during drawing may not be smooth, and the dimensions of the shaft area may vary and uniformity may occur. A vapor deposition material having a composition cannot be obtained.
[0061]
Next, a cold working step for extending an aluminum tube filled with aluminum and manganese powder will be described. One end of the aluminum tube was uniformly beaten with a device called a hitting machine to form a fixing portion 9 smaller than the diameter of a drawing die hole. The length of the fixing portion 9 was about 40 mm. The aluminum tube was pulled out from the hole of the wire drawing die by passing the fixing portion 9 through the hole of the wire drawing die 10, holding the wire with the pulling weight device 11, moving the wire pulling device, and applying a pull load to the fixed portion (see FIG. Step 5). The drawing speed, that is, the drawing speed was about 30 m / min. The outer diameter of the drawn aluminum tube was reduced by the diameter of the hole of the die. This drawing step is referred to as drawing. Next, the diameter of the aluminum tube was further reduced by replacing the wire drawing die with a hole having a smaller diameter and performing the same drawing process. The fixing portion 9 having a diameter smaller than the diameter of the drawing die hole was appropriately formed. By repeating this process, the outer diameter is gradually reduced to extend the aluminum tube, and when the outer diameter is reduced to 4.6 mm, the portions where the stainless steel wire plugs are clogged are removed by aa 'and bb. 'To obtain a first deposition base material (step 6). A plurality of first deposition base materials were subjected to resistance welding to obtain a long first deposition base material having a welded portion 14 (step 7). The production of the fixing portion and the cold drawing were repeated to reduce the outer diameter to 2 mm (step 8). The fixing part 9 was removed to obtain a vapor deposition base material 13 (step 9). By cutting and chamfering the vapor deposition base material 13 to a predetermined length, a composite vapor deposition material 15 in which manganese powder of a high vapor pressure metal was dispersed in the axial region of the aluminum base was obtained (step 10).
[0062]
In order to process an aluminum tube from an outer diameter of φ15.0 mm to an outer diameter of φ2.0 mm in a cold drawing step, a reduction rate of about 10 to 25% in cross-sectional area is obtained by one drawing. It was used. When the cross-sectional area is reduced to 15%, the aluminum tube, the aluminum powder, and the manganese powder are integrated, and the aluminum powder and the manganese powder do not spill from the aluminum tube even if the plug is removed. Cold wire drawing was performed at normal temperature and atmospheric pressure.However, it is possible to increase the wire drawing rate in one wire drawing and reduce the number of wire dies by hot wire drawing, but it is possible to reduce the residual air in the aluminum tube. It is necessary to take measures to prevent aluminum and manganese powder from being oxidized. From this, it can be said that it is easier to reduce the reduction rate of one time and increase the number of drawing times in manufacturing.
[0063]
Next, in order to obtain pellets of a predetermined length from the vapor deposition base material 13, the drawn vapor deposition base material 13 was cut into 14 mm in length by a cutting machine. Although chamfering was performed using a lathe, processing using a press is also possible. It is also possible to perform cutting and chamfering or rounding at the same time. The end rounding can be performed by plastic deformation of aluminum using a rolling machine. Since the round bar shape was chamfered as shown in FIG. 1, even if the composite vapor deposition material 15 was aligned and transported by the vibrating parts feeder, it could be supplied to the vapor deposition machine without any problem. Although an experiment was conducted with a composite vapor deposition material without chamfering, the end surface of the composite vapor deposition material was caught by the wall surface of the parts feeder and the composite vapor deposition material, and alignment and transport did not work well. Further, when the chamfer was C1 mm, that is, the end portion was formed in a conical shape, another composite vapor deposition material sunk under the composite vapor deposition material, which also failed to align and convey. From these facts, it is considered that C 0.3 to 0.6 mm is the most suitable value for chamfering so that alignment and conveyance can be performed without any problem. However, these optimal chamfer dimensions are for a composite vapor deposition material having an outer diameter of φ2 and a length of 14 mm. The optimum value changes when the outer diameter and length change, but the approximate outer diameter value is 15 to 30. You only need to chamfer%. In the embodiment, C chamfering is performed, but r chamfering having a curved surface may be used.
[0064]
An aluminum pipe having an outer diameter of 15.0 mm and an inner diameter of 6.25 mm is filled with powder mixed with 70 wt% of manganese powder and 30 wt% of aluminum powder, and drawn to an outer diameter of 2.0 mm. Was about 0.85 mm in diameter, and manganese in the whole was about 10.7 wt%.
[0065]
A vapor deposition film was formed using the composite vapor deposition material of the present invention. A composite vapor deposition material and a glass substrate were placed in a bell jar of a vacuum device, and the composite vapor deposition material was heated and evaporated to form a vapor deposition film of aluminum and manganese on the glass substrate. The composition of the deposited film will be described with reference to FIG. The vapor-deposited film was an alloy film of aluminum and manganese, and was a vapor-deposited film in which the composition was manganese-rich at the glass substrate side, that is, manganese-rich at the beginning of vapor deposition and aluminum-rich at the end of vapor deposition. The glass substrate used had a composition not containing aluminum and manganese in order to increase the analysis accuracy. The initial deposition surface was black, and the final deposition surface was aluminum. In the figure, a) and b) are obtained by changing deposition conditions.
[0066]
Vacuum deposition condition: vacuum degree 10 -2 Pa, and the applied voltage and the deposition time were changed. The tray on which the deposition material was placed was made of boron nitride (BN), and the weight of the composite deposition material was adjusted so as to have a deposition thickness of 200 nm. The film composition in the thickness direction of the film deposited on the glass substrate was analyzed using an Auger analyzer. When a deposited film is placed in the atmosphere, the surface of the deposited film is oxidized, so that when the film is analyzed, oxygen is detected. However, excluding oxygen, it is expressed in terms of atomic percent of aluminum and manganese. The abscissa in the figure indicates the film thickness, and the position of 200 nm represents the initial vapor deposition surface, and the film thickness of 0 nm represents the final vapor deposition surface. In the figure, a) shows the deposition conditions of an applied voltage of 8 V and a deposition time of 70 seconds, and b) shows the deposition conditions of an applied voltage of 9 V and a deposition time of 25 seconds. In the deposited film b) in which the applied voltage was increased and the deposition rate was increased, the initial stage of the deposition was 100% manganese, and the final stage of the deposition was 100% aluminum. The composition gradient can be changed depending on the deposition conditions.
[0067]
FIG. 6 shows the measurement results of the light reflectance of the deposited film. The light reflectance was measured at intervals of 30 nm in a visible light range of 390 nm to 760 nm using a spectrophotometer. The light reflectance was measured by comparing the light reflectance of a pure aluminum deposited film with 100%. Since the initial vapor deposition surface is measured through glass, the glass used for the vapor deposition film of the present invention and the pure aluminum vapor deposition film have the same material and thickness. In the drawing, a) is the deposition condition at an applied voltage of 8 V and a deposition time of 70 seconds, and b) is the deposition condition at an applied voltage of 9 V and the deposition time is 25 seconds. The light reflectance of the initial surface of vapor deposition is higher than that of b) because a) contains about 5 atomic% of aluminum. The light reflectance of the final vapor deposition surface is lower than that of b) since a) contains about 2 atomic% of manganese.
[0068]
The electrical resistivity of aluminum and manganese at room temperature is about 2.7 × 10 -6 (Ωcm) and about 43.1 × 10 -6 (Ω · cm). The electrical resistance of the film deposited using this composite deposition material is about 3.2 × 10 -6 (Ω · cm), which could be reduced to about 1/13 of that of manganese. Although the resistance was increased by about 20% as compared with aluminum, it was an acceptable value due to the effect of lowering the light reflectance. Since it is difficult to measure the electrical resistance (resistivity) of a thin film having a different composition between the initial stage and the final stage of vapor deposition, a 10 mm cubic bulk material of one side having the same composition (aluminum alloy containing manganese 107 wt%) was prepared and measured.
[0069]
Another embodiment of the present invention will be described with reference to FIG. A composite vapor deposition material having a columnar silver substrate and a magnesium powder 18 of a high vapor pressure metal and an aluminum powder 16 of a binder metal in the axial region of the silver substrate 17 is shown. Aluminum having a vapor pressure close to that of silver was used as the binder metal. The use of aluminum as the binder metal is due to the price. Place aluminum powder and magnesium powder in a sealed container filled with an inert gas so that the weight ratio becomes aluminum: magnesium = 8: 2. Was mixed. Among the mixed powders, the aluminum powder had an average particle diameter of 75 μm, and the magnesium powder had an average particle diameter of 70 μm. Magnesium is a metal with a strong oxidizing power, so special care must be taken when handling fine powder. Therefore, it is preferable to increase the particle size of the magnesium powder as much as possible to reduce the surface area. The silver pipe had an outer diameter of 15.0 mm, an inner diameter of 11.0 mm, and a hollow rod having a length of 350 mm was used. Since silver is liable to undergo work hardening, the silver pipe was annealed in nitrogen at 350 ° C. for 1 hour before filling the mixed powder.
[0070]
After a silver pipe was provided with a gas-permeable stopper and filled with the mixed sealed powder, cold drawing was performed. While drawing from φ15 mm to φ2 mm, the work of annealing work-hardened silver was performed three times. The annealing condition was 350 ° C. for 1 hour in nitrogen. This is because if the annealing operation is not performed, the wire is cut during the drawing. The diameter of the axis region in which magnesium and aluminum powder were dispersed was φ about 1.45 mm, and magnesium and aluminum accounted for about 1.9 wt% and about 11.7 wt%, respectively, of the whole.
[0071]
The composition of the deposited film will be described with reference to FIG. The deposited film is an alloy film of silver, aluminum, and magnesium.The glass substrate side, that is, magnesium and silver rich in magnesium at the initial stage of deposition, silver and aluminum during the middle stage of deposition, and aluminum and silver rich in aluminum at the end of deposition. It became a deposited film. The initial deposition surface was gray and the final deposition surface was aluminum. Vacuum deposition condition: vacuum degree 10 -2 Pa, the applied voltage was 9 V, and the deposition time was 25 seconds. FIG. 9 shows the light reflectance.
[0072]
Another embodiment of the present invention will be described with reference to FIG. A composite vapor deposition material having a cylindrical aluminum substrate and a manganese powder 2 and an iron powder 19 in the aluminum substrate uniaxial region is shown. Aluminum powder 16 was used as the binder metal. The aluminum powder 16, the manganese powder 2, and the iron powder 19 are placed in a sealed container filled with an inert gas so that the weight ratio of aluminum: manganese: iron = 5: 2: 3, and the sealed container is rotated and rocked. Then, the aluminum powder, the manganese powder, and the iron powder were uniformly mixed. Among the mixed powders, aluminum powder had an average particle diameter of 75 μm, manganese powder had an average particle diameter of 10 μm, and iron powder had an average particle diameter of 40 μm. The aluminum pipe used was a hollow rod having an outer diameter of 15.0 mm, an inner diameter of 9.5 mm, and a length of 350 mm. The diameter of the axis region in which the manganese powder, the iron powder and the aluminum powder were dispersed was φ about 1.27 mm, and manganese occupying about 12.6 wt% and iron being about 20.1 wt%.
[0073]
The composition of the deposited film will be described with reference to FIG. The deposited film is an alloy film of manganese, aluminum, and iron, with manganese in the early stage of deposition, manganese and aluminum in the middle stage of deposition near the beginning of deposition, aluminum and iron in the middle stage of deposition near the end of deposition, and iron in the last stage of deposition. It became an inclined evaporation film. The initial deposition surface was black and the final deposition surface was gray. Vacuum deposition condition: vacuum degree 10 -2 Pa, the applied voltage was 9 V, and the deposition time was 25 seconds. FIG. 12 shows the light reflectance. The light reflectance is 100% of the light reflectance of the pure aluminum vapor-deposited film.
[0074]
Another embodiment of the present invention will be described with reference to FIG. A composite vapor deposition material having a columnar aluminum substrate and a manganese powder 2 and a cobalt powder 20 in the uniaxial region of the aluminum substrate is shown. Aluminum powder 16 was used as the binder metal. The aluminum powder, the manganese powder, and the cobalt powder are placed in a sealed container filled with an inert gas so that the weight ratio of aluminum: manganese: cobalt is 5: 2: 3, and the sealed container is rotated and rocked. Aluminum powder, manganese powder, and cobalt powder were uniformly mixed. Among the mixed powders, aluminum powder had an average particle diameter of 75 μm, manganese powder had an average particle diameter of 10 μm, and cobalt powder had an average particle diameter of 35 μm. The aluminum pipe used was a hollow rod having an outer diameter of 15.0 mm, an inner diameter of 9.5 mm, and a length of 350 mm. The diameter of the axis region in which the manganese powder, the cobalt powder, and the aluminum powder were dispersed was φ about 1.27 mm, and manganese accounted for about 12.2% by weight and cobalt for about 21.8% by weight.
[0075]
The composition of the deposited film will be described with reference to FIG. The deposited film is an alloy film of manganese, aluminum, and cobalt, with manganese in the initial stage of deposition, manganese and aluminum in the middle stage of deposition near the beginning of deposition, aluminum and cobalt in the middle stage of deposition near the end of deposition, and cobalt in the end of deposition. It became an inclined evaporation film. The initial deposition surface was black and the final deposition surface was gray. FIG. 15 shows the light reflectance. The light reflectance is 100% of the light reflectance of the pure aluminum vapor-deposited film.
[0076]
By using the compositionally-graded vapor-deposited film produced using the composite vapor-deposited material of the present invention as a negative electrode of an organic EL device, there is no glaring reflection and a high contrast ratio as compared with a conventional aluminum negative electrode having a high light reflectance. The display is easier to see.
[0077]
【The invention's effect】
Using a composite vapor deposition material with a composite structure in which the vapor pressure metal powder higher than the vapor pressure of the substrate metal is arranged in the axial region of the substrate metal, a composition gradient film with low light reflectance on the initial deposition surface can be obtained by one vapor deposition operation. Can be In addition, by using a composite vapor deposition material having a composite structure in which a vapor pressure metal powder higher than the vapor pressure of the substrate metal and a vapor pressure metal powder lower than the vapor pressure of the substrate metal are arranged in the axial region of the substrate metal, the initial deposition surface and the vapor deposition can be performed in one vapor deposition operation. A composition gradient film having a low light reflectivity on the final surface was obtained, and a display device with high contrast was obtained by using these composite vapor deposition material and composition gradient film for electrodes of the display device. Since a composition gradient film can be obtained by a single vapor deposition operation, the film can be manufactured at a lower cost than a process of reducing the light reflectance by vapor deposition, heat treatment, chemical treatment, or the like a plurality of times. Since the composition is a composition gradient film whose composition changes gradually, it was possible to form a film stably without peeling due to a difference in thermal expansion. Further, since the existing vacuum deposition apparatus can be used without using a special apparatus, cost reduction can be achieved.
[Brief description of the drawings]
FIG.
It is a perspective view of one embodiment of the composite evaporation material of the present invention.
FIG. 2
It is sectional drawing of one Embodiment of the composite vapor deposition material of this invention.
FIG. 3
It is a manufacturing process flow chart of the composite evaporation material of the present invention.
FIG. 4
It is a manufacturing process flow chart of the composite evaporation material of the present invention.
FIG. 5
5 is a composition distribution of a vapor deposition film using the composite vapor deposition material of the present invention.
FIG. 6
It is a light reflectance of the vapor deposition film using the composite vapor deposition material of the present invention.
FIG. 7 is a cross-sectional view of another composite vapor deposition embodiment of the present invention.
FIG. 8 is a composition distribution of a vapor deposition film using another composite vapor deposition material of the present invention.
FIG. 9 is a graph showing light reflectance of a deposited film using another composite deposited material of the present invention.
FIG. 10 is a cross-sectional view of another composite vapor deposition embodiment of the present invention.
FIG. 11 is a composition distribution of a vapor deposition film using another composite vapor deposition material of the present invention.
FIG. 12 is a graph showing the light reflectance of a vapor deposition film using another composite vapor deposition material of the present invention.
FIG. 13 is a cross-sectional view of another composite vapor deposition embodiment of the present invention.
FIG. 14 is a composition distribution of a vapor deposition film using another composite vapor deposition material of the present invention.
FIG. 15 is a graph showing the light reflectance of a deposition film using another composite deposition material of the present invention.
FIG. 16 is a sectional view of a schematic configuration of an organic EL element.
[Explanation of symbols]
1 aluminum base, 2 high vapor pressure metal powder, 2 manganese powder,
3 chamfered, 4 axis area, 6 sealed container, 7 aluminum tube, 8 stopper,
9 fixing part, 10 wire drawing dies, 11 pulling weight device,
12 first deposition base material, 13 deposition base material, 14 welded part, 15 composite deposition material,
16 aluminum powder, 17 silver substrate, 18 magnesium powder,
19 iron powder, 20 cobalt powder, 81 substrate, 82 positive electrode,
83 organic electroluminescent layer, 84 negative electrode, 85 direct current.