JP2004010486A - Method of producing fluorinated aryl group-containing compound - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、各種反応に供される酸化触媒として、或いは、各種反応に供される金属触媒の配位子として有用な、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン等のフッ化アリール基含有化合物を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン等のフッ化アリール基含有化合物は、例えば、各種反応に供される酸化触媒として、或いは、各種反応に供される金属触媒の配位子として有用な化合物である。
【0003】
例えば、J. Am. Chem. Soc., (1960) 4846やJ. Fluorine Chem., (1997) 47には、溶媒としてジエチルエーテルを用い、ブロモペンタフルオロベンゼンとマグネシウムとを反応させて得られるペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマイド(グリニャール(Grignard)試薬)、および、三塩化リンを反応させてトリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンを合成する方法が記載されている。
【0004】
そして、J. Am. Chem. Soc., (1960) 4846に記載の方法においては、反応液を希塩酸で処理した後、油層と水層とを分液し、次いで、該油層と、ジエチルエーテルを用いた水層からの抽出液とを合わせた後、この溶液からジエチルエーテルを留去し、さらに、得られた結晶を昇華精製することによって白色のトリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンを得ている。
【0005】
また、J. Fluorine Chem., (1997) 47に記載の方法においては、氷を入れた塩酸に反応液を注いで処理した後、油層と水層とを分液し、次いで、該油層からジエチルエーテルを留去することによって濃茶色のトリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンを得ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記J. Am. Chem. Soc., (1960) 4846およびJ. Fluorine Chem., (1997) 47に記載の製造方法においては、低沸点の化合物であるジエチルエーテルを溶媒として用いているので、反応系の温度管理が難しく、また、引火性が高いために、その取り扱いに特に注意を要する。また、ブロモペンタフルオロベンゼンとマグネシウムとを反応させて得られるペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマイドのジエチルエーテル溶液は、副反応等によって生成した不純物である着色成分によって黒色に着色している。このため、上記のペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマイドと三塩化リンとを反応させて得られるトリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンは、酸処理後に結晶を析出させても、黒色若しくは濃茶色に着色している。従って、白色のトリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンを得るには、さらに精製操作を行う必要があるという問題点を有している。さらに、上記方法で得られたトリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンを含む反応液を、酸等を含む水溶液で処理すると、油層と水層とが油水分離し難いので、分液操作が困難であるという問題点も有している。
【0007】
また、J. Am. Chem. Soc., (1960) 4846に記載の製造方法においては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンの収率は、ジエチルエーテルを留去した段階で60.5%であり、昇華精製した段階で39.5%である。J. Fluorine Chem., (1997) 47に記載の製造方法においては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンの収率は、ジエチルエーテルを留去した段階で74.4%である。
【0008】
従って、上記従来の製造方法は、精製操作が煩雑であり、かつ収率が低いので、工業的に有利な製造方法であるとは言い難い。
【0009】
さらに、ブロモペンタフルオロベンゼンとマグネシウムとを反応させて得られるペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマイドの溶液が、副反応等によって生成した不純物である着色成分によって着色するという問題点を解決する方法も提案されている。例えば、特開2000−191666号公報(公開日2000年7月11日、対応米国特許第6,235,222号)には、フッ化アリールマグネシウムハライドの製造方法として、グリニャール交換反応によって着色成分等の不純物を含まないペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマイドを製造する方法が開示されている。
【0010】
しかしながら、上記公報には、得られたフッ化アリールマグネシウムハライドをさらにリン化合物と反応させて、リン原子を含むフッ化アリール基含有化合物を製造することについては何ら記載が無く、また、該フッ化アリール基含有化合物を製造する際に具体的に、上記フッ化アリールマグネシウムハライドを原料(或いは中間体)として使用することができることについても何ら記載が無い。
【0011】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、工業的に有利な製造方法、即ち、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン等のフッ化アリール基含有化合物を、高純度、高収率で、簡便にかつ工業的に製造する方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は、不純物を含まず、着色が無いフッ化アリール基含有化合物を、簡単にかつ安価に製造する方法について、上記従来の合成ルートとは異なる合成ルートを開発すべく、鋭意検討した。その結果、副反応が起こり難く、生成した不純物による着色が無い合成ルートを新たに見い出した。この合成ルートは、グリニャール交換反応を行うステップを含むルートである。
【0013】
即ち、本願発明者等は、フッ化アリール基含有化合物の製造方法について鋭意検討した結果、炭化水素マグネシウムハライドとハロゲン化フッ化アリールとのグリニャール交換反応を、エーテル系溶媒を含む溶媒中で行うことにより、着色成分等の不純物を含まないフッ化アリールマグネシウムハライドを、従来と比較して穏やかな反応で以て安全にかつ効率的に製造した後、上記の製造方法で得られるフッ化アリールマグネシウムハライドと、V族化合物とを反応させることにより、着色成分等の不純物を含まないフッ化アリール基含有化合物を、高純度、高収率で、簡便にかつ工業的に製造することができることを見い出して、本発明を完成させるに至った。
【0014】
即ち、本発明の一般式(5)
【0015】
【化4】
【0016】
(式中、R2,R3,R4,R5,R6はそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキシ基を示し、かつ、該R2〜R6のうちの少なくとも3つはフッ素原子であり、Xc はハロゲン原子またはアルコキシ基を示し、MはV族に属する原子を示し、LはVIb族に属する原子を示し、mは0または1であり、nは1〜3である)
で表されるフッ化アリール基含有化合物の製造方法は、上記の課題を解決するために、一般式(1)
R1MgXa ……(1)
(式中、R1は炭化水素基を示し、Xa は塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す)
で表される炭化水素マグネシウムハライドと、一般式(2)
【0017】
【化5】
【0018】
(式中、R2,R3,R4,R5,R6はそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキシ基を示し、かつ、該R2〜R6のうちの少なくとも3つはフッ素原子であり、Xb は臭素原子またはヨウ素原子を示す)で表されるハロゲン化フッ化アリールとを、エーテル系溶媒を含む溶媒中で反応させることによって得られる一般式(3)
【0019】
【化6】
【0020】
(式中、R2,R3,R4,R5,R6はそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキシ基を示し、かつ、該R2〜R6のうちの少なくとも3つはフッ素原子であり、Xa は塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す)
で表されるフッ化アリールマグネシウムハライドと、一般式(4)
Xc3MLm ……(4)
(式中、Xc はハロゲン原子またはアルコキシ基を示し、MはV族に属する原子を示し、LはVIb族に属する原子を示し、mは0または1である)
で表されるV族化合物とを反応させることを特徴としている。
【0021】
本発明のフッ化アリール基含有化合物の製造方法は、上記の課題を解決するために、さらに、上記フッ化アリールマグネシウムハライドとV族化合物とを反応させて得られる反応液を、酸で処理することを特徴としている。
【0022】
本発明のフッ化アリール基含有化合物の製造方法は、上記の課題を解決するために、さらに、上記一般式(4)中のMで示される原子がリンであることを特徴としている。
【0023】
本発明のフッ化アリール基含有化合物の製造方法は、上記の課題を解決するために、さらに、フッ化アリール基含有化合物がトリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンであることを特徴としている。
【0024】
上記の構成によれば、目的物であるフッ化アリール基含有化合物の製造過程における中間体であるフッ化アリールマグネシウムハライドは、副反応が起こり難いグリニャール交換反応を行うことにより合成されるので、着色していない。そのため、該フッ化アリールマグネシウムハライドは、精製を行うこと無く、V族化合物と反応させることができる。また、得られるフッ化アリール基含有化合物も不純物を含まず、着色が無い。従って、中間体であるフッ化アリールマグネシウムハライドを精製する必要が無いので、炭化水素マグネシウムハライドとハロゲン化フッ化アリールとのグリニャール交換反応を行った後、得られるフッ化アリールマグネシウムハライドと、V族化合物とを反応させるという一連の(連続した)工程を行うことができる。これにより、着色成分等の不純物を含まないフッ化アリール基含有化合物を、高純度、高収率で、簡便にかつ工業的に製造することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下の通りである。本発明にかかる前記一般式(5)で表されるフッ化アリール基含有化合物の製造方法は、前記一般式(1)で表される炭化水素マグネシウムハライドと、前記一般式(2)で表されるハロゲン化フッ化アリールとを、エーテル系溶媒を含む溶媒中で反応(グリニャール交換反応)させることによって得られる前記一般式(3)で表されるフッ化アリールマグネシウムハライドと、前記一般式(4)で表されるV族化合物とを反応させる方法である。また、本発明にかかるフッ化アリール基含有化合物の製造方法は、上記フッ化アリールマグネシウムハライドとV族化合物とを反応させて得られる反応液を、酸で処理する方法である。
【0026】
本発明において出発原料として用いられる炭化水素マグネシウムハライドは、一般式(1)
R1MgXa ……(1)
(式中、R1は炭化水素基を示し、Xa は塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す)
で表される化合物である。式中、R1で示される炭化水素基とは、具体的には、フェニル基等のアリール基、炭素数1〜12の直鎖状または枝分かれ鎖状のアルキル基、炭素数3〜12の環状のアルキル基、炭素数2〜12の直鎖状または枝分かれ鎖状のアルケニル基、および、炭素数3〜12の環状のアルケニル基を示す。上記のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、およびシクロヘキシル基が挙げられる。上記のアルケニル基としては、具体的には、アリル基が挙げられる。上記例示の炭化水素基のうち、フェニル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、アリル基がより好ましく、エチル基がさらに好ましい。尚、上記の炭化水素基は、本発明にかかる反応並びに精製(処理)に対して不活性な原子、例えばフッ素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等を含む官能基、即ち、不活性な官能基をさらに有していてもよい。該官能基としては、具体的には、メトキシ基、メチルチオ基、N,N−ジメチルアミノ基、o−アニス基、p−アニス基、トリメチルシリルオキシ基、ジメチル−t−ブチルシリルオキシ基、およびトリフルオロメチル基が挙げられる。
【0027】
グリニャール(Grignard)試薬である上記炭化水素マグネシウムハライドは、例えば、対応するハロゲン化炭化水素とマグネシウムとを一般的な手法を用いて反応させることにより、容易に得ることができる。炭化水素マグネシウムハライドとしては、例えば、エチルマグネシウムブロマイド等の炭化水素マグネシウムブロマイドが挙げられる。
【0028】
本発明において出発原料として用いられるハロゲン化フッ化アリールは、一般式(2)
【0029】
【化7】
【0030】
(式中、R2〜R6はそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子、炭化水素基またはアルコキシ基を示し、かつ、該R2〜R6のうちの少なくとも3つはフッ素原子であり、Xb は臭素原子またはヨウ素原子を示す)
で表される化合物である。式中、R2〜R6で示される置換基における炭化水素基とは、具体的には、フェニル基等のアリール基、炭素数1〜12の直鎖状または枝分かれ鎖状のアルキル基、炭素数3〜12の環状のアルキル基、炭素数2〜12の直鎖状または枝分かれ鎖状のアルケニル基、および、炭素数3〜12の環状のアルケニル基を示す。上記のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、およびシクロヘキシル基が挙げられる。上記のアルケニル基としては、具体的には、アリル基が挙げられる。尚、上記の炭化水素基は、本発明にかかる反応並びに精製(処理)に対して不活性な原子、例えばフッ素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等を含む官能基、即ち、不活性な官能基をさらに有していてもよい。該官能基としては、具体的には、メトキシ基、メチルチオ基、N,N−ジメチルアミノ基、o−アニス基、p−アニス基、トリメチルシリルオキシ基、ジメチル−t−ブチルシリルオキシ基、およびトリフルオロメチル基が挙げられる。
【0031】
式中、R2〜R6で示される置換基におけるアルコキシ基は、一般式(A)
−ORa ……(A)
(式中、Ra は炭化水素基を表す)
で表され、式中、Ra で示される炭化水素基とは、上記例示の炭化水素基、即ち、具体的には、フェニル基等のアリール基、炭素数1〜12の直鎖状または枝分かれ鎖状のアルキル基、炭素数3〜12の環状のアルキル基、炭素数2〜12の直鎖状または枝分かれ鎖状のアルケニル基、および、炭素数3〜12の環状のアルケニル基を示す。また、上記の炭化水素基は、本発明にかかる反応並びに精製(処理)に対して不活性な官能基をさらに有していてもよい。上記一般式(A)で表されるアルコキシ基としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、シクロヘキシルオキシ基、アリルオキシ基、およびフェノキシ基が挙げられる。
【0032】
従って、ハロゲン化フッ化アリールとしては、具体的には、ブロモペンタフルオロベンゼン、ヨードペンタフルオロベンゼン、1−ブロモ−2,3,4,5−テトラフルオロベンゼン、1−ブロモ−2,3,4,6−テトラフルオロベンゼン、1−ブロモ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン、1−ヨード−2,3,4,5−テトラフルオロベンゼン、1−ヨード−2,3,4,6−テトラフルオロベンゼン、1−ヨード−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン、1−ブロモ−2,3,4−トリフルオロベンゼン、1−ブロモ−2,3,5−トリフルオロベンゼン、1−ブロモ−2,4,5−トリフルオロベンゼン、1−ブロモ−2,4,6−トリフルオロベンゼン、1−ブロモ−3,4,5−トリフルオロベンゼン、1−ヨード−2,3,4−トリフルオロベンゼン、1−ヨード−2,3,5−トリフルオロベンゼン、1−ヨード−2,4,5−トリフルオロベンゼン、1−ヨード−2,4,6−トリフルオロベンゼン、および1−ヨード−3,4,5−トリフルオロベンゼンが挙げられる。
【0033】
上記炭化水素マグネシウムハライドとハロゲン化フッ化アリールとを反応させる際に用いる溶媒に含まれるエーテル系溶媒としては、具体的には、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−t−ブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオクチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、および1,2−ジエトキシエタン等の鎖状(脂肪族炭化水素系)のエーテル系溶媒、並びに、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、および1,3−ジオキソラン等の環状(脂環式炭化水素系)のエーテル系溶媒が挙げられる。これらエーテル系溶媒は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。上記例示のエーテル系溶媒のうち、鎖状のエーテル系溶媒がより好ましく、溶媒の利便性、反応系の温度管理のし易さ、収率、目的物の分離等の点で、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−t−ブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、および1,2−ジエトキシエタンがさらに好ましく、ジブチルエーテルが特に好ましい。
【0034】
また、エーテル系溶媒と併用することができる他の溶媒としては、具体的には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、およびオクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、およびメチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、およびキシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;等が挙げられるが、本発明にかかる反応を阻害しない化合物であれば使用することができる。さらに、市販の炭化水素系溶媒である、例えば、エクソン社製のIsoparC、IsoparE、およびIsoparG(何れも登録商標)等の炭化水素系混合溶媒を使用することもできる。或いは、エーテル系溶媒を含む溶媒として、ハロゲン化炭化水素とマグネシウムとを反応させて前記の炭化水素マグネシウムハライドを形成する際に用いた溶媒を使用することもできる。
【0035】
エーテル系溶媒と上記他の溶媒とを併用する場合における、エーテル系溶媒の使用量は、本発明にかかる反応を阻害しない範囲内であればよいが、溶媒全体の10重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることがより好ましく、50重量%以上であることがさらに好ましい。
【0036】
一般に、ハロゲン化フッ化アリールとマグネシウムとを反応させてフッ化アリールマグネシウムハライドを調製する際には、ジイソプロピルエーテルやジブチルエーテル等の溶媒では反応が進行しない(反応性が低くなる)ため、通常、ジエチルエーテルやテトラヒドロフランが溶媒として使用される。ところが、本発明にかかる製造方法における、炭化水素マグネシウムハライドとハロゲン化フッ化アリールとのグリニャール交換反応は、ジイソプロピルエーテルやジブチルエーテル等の溶媒であっても反応が進行する。従って、低沸点の化合物であるジエチルエーテルや、開環重合性を有するテトラヒドロフランを必ずしも溶媒として用いなくてもよい。つまり、取り扱いに特に注意を要するジエチルエーテルやテトラヒドロフランを必ずしも溶媒として用いなくてもよい。また、グリニャール交換反応を行うことにより、着色が無いフッ化アリールマグネシウムハライドを調製することができるので、その結果として、着色が無いフッ化アリール基含有化合物を得ることができる。
【0037】
即ち、本発明にかかる方法によれば、炭化水素マグネシウムハライドとハロゲン化フッ化アリールとをエーテル系溶媒を含む溶媒中でグリニャール交換反応させることによってフッ化アリールマグネシウムハライドを得るので、ハロゲン化フッ化アリールとマグネシウムとをグリニャール反応させてフッ化アリールマグネシウムハライドを得る場合と比較して、着色が無いフッ化アリール基含有化合物を、高純度で得ることができる。
【0038】
上記炭化水素マグネシウムハライドとハロゲン化フッ化アリールとを混合する方法としては、例えば、ハロゲン化フッ化アリールまたはその溶液に、炭化水素マグネシウムハライドの溶液を滴下する方法;炭化水素マグネシウムハライドの溶液に、ハロゲン化フッ化アリールまたはその溶液を滴下する方法;溶媒に、ハロゲン化フッ化アリールまたはその溶液と、炭化水素マグネシウムハライドの溶液とを滴下する方法;等の種々の方法を採用することができる。
【0039】
上記反応の反応条件としては、炭化水素マグネシウムハライドとハロゲン化フッ化アリールとのモル比は、0.8:1〜2.0:1の範囲内であることがより好ましく、0.9:1〜1.5:1の範囲内であることがさらに好ましい。また、溶媒の使用量は、得られるフッ化アリールマグネシウムハライドの濃度が0.1重量%〜80重量%の範囲内となる量とすることがより好ましく、1.0重量%〜70重量%の範囲内となる量とすることがさらに好ましい。反応温度の下限値は、−30℃以上であることがより好ましく、−20℃以上であることがさらに好ましい。反応温度の上限値は、上記溶媒の還流温度以下であることがより好ましく、該還流温度が200℃を越える場合には、200℃以下であることがさらに好ましい。反応時間は、炭化水素マグネシウムハライドとハロゲン化フッ化アリールとの組み合わせや、反応温度等に応じて適宜設定すればよい。さらに、上記の反応は、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが望ましい。
【0040】
炭化水素マグネシウムハライドとハロゲン化フッ化アリールとをエーテル系溶媒を含む溶媒中で反応させることにより、一般式(3)
【0041】
【化8】
【0042】
(式中、R2〜R6、およびXa は前記と同一)
で表されるフッ化アリールマグネシウムハライドが、上記溶媒に溶解若しくは懸濁した反応液(溶液若しくは懸濁液)の状態で得られる。該反応液は透明である。尚、フッ化アリールマグネシウムハライドと共に副生されるハロゲン化炭化水素(R1Xb )は、反応系から除去しなくても以降の反応を実施することができるが、必要に応じて、反応系から除去してもよい。
【0043】
本発明において原料として用いられるV族化合物は、一般式(4)
Xc3MLm ……(4)
(式中、Xc はハロゲン原子またはアルコキシ基を示し、MはV族に属する原子を示し、LはVIb族に属する原子を示し、mは0または1である)
で表される化合物である。式中、Xc で示される置換基におけるアルコキシ基とは、具体的には、前記R2〜R6で示される置換基におけるアルコキシ基と同様の置換基が挙げられる。該Xc で示される置換基としては、塩素原子または臭素原子がより好ましい。式中、Mで示されるV族(短周期型;長周期型では15族)に属する原子としては、リン、砒素、アンチモン、ビスマスが挙げられ、リンが特に好ましい。式中、Lで示されるVIb族(短周期型;長周期型では16族)に属する原子としては、酸素、硫黄、セレン、テルルが挙げられ、酸素および硫黄が特に好ましい。式中のmは、Mで示されるV族に属する原子が取り得る原子価(価数)によって、或いは、目的とするフッ化アリール基含有化合物の構造によって、「0」または「1」が選択される。
【0044】
V族化合物としては、例えば、PCl3 、PBr3 、P (OCH3)3 、P (OC2 H5)3 、POCl3 、POBr3 、PO (OCH3)3 、PO (OC2 H5)3 が挙げられる。そして、V族化合物としては、前記一般式(4)中のMで示される原子がリンであること、即ち、リン化合物であることがより好ましく、三塩化リンが最も好ましい。
【0045】
上記方法で得られるフッ化アリールマグネシウムハライドとV族化合物とを溶媒中で反応させることにより、一般式(5)
【0046】
【化9】
【0047】
(式中、R2〜R6、Xc 、M、L、m、およびnは前記と同一)
で表されるフッ化アリール基含有化合物が得られる。
【0048】
フッ化アリールマグネシウムハライドとV族化合物とを混合する方法は、フッ化アリールマグネシウムハライドの溶液、つまり、前記反応で得られた反応液に、V族化合物を添加する方法;V族化合物に、前記反応で得られた反応液を添加する方法;等の種々の方法を採用することができる。尚、V族化合物は、溶媒で希釈された溶液または懸濁された懸濁液の状態であってもよい。
【0049】
上記反応の反応条件としては、フッ化アリールマグネシウムハライドとV族化合物とのモル比は、0.01:1〜100:1の範囲内であることがより好ましく、0.1:1〜10:1の範囲内であることがさらに好ましい。また、溶媒の使用量は、目的物であるフッ化アリール基含有化合物の濃度が0.1重量%〜80重量%の範囲内となる量とすることがより好ましく、1.0重量%〜70重量%の範囲内となる量とすることがさらに好ましい。反応温度の下限値は、−30℃以上であることがより好ましく、−20℃以上であることがさらに好ましい。反応温度の上限値は、上記溶媒の還流温度以下であることがより好ましく、該還流温度が200℃を越える場合には、200℃以下であることがさらに好ましい。反応時間は、フッ化アリールマグネシウムハライドとV族化合物との組み合わせや、反応温度等に応じて適宜設定すればよい。フッ化アリール基含有化合物は、上記溶媒に溶解若しくは懸濁した反応液(溶液若しくは懸濁液)の状態で得られる。尚、上記の反応は、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが望ましい。
【0050】
上記方法によって得られるフッ化アリール基含有化合物は、アリール基における水素原子のうちの少なくとも三つがフッ素原子に置換されてなるフッ化アリール基を、少なくとも一つ備えた化合物である。該フッ化アリール基としては、ペンタフルオロフェニル基がより好ましい。また、前記式中のMで示される原子はリンであることがより好ましく、前記式中のnは3であることがより好ましく、前記式中のmは0であることがより好ましい。従って、フッ化アリール基含有化合物としては、リン原子を含む(フッ化アリール)化合物、即ち、(フッ化アリール)リン化合物であることがより好ましく、さらにペンタフルオロフェニル基を含む化合物、即ち、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンが最も好ましい。
【0051】
上記方法においては、目的物であるフッ化アリール基含有化合物と共に、一般式(6)
MgXa Xc ……(6)
(式中、Xa 、およびXc は前記と同一)
で表される化合物であるハロゲン化マグネシウムが副生成物として得られる。即ち、フッ化アリールマグネシウムハライドとV族化合物とを反応させることにより、ハロゲン化マグネシウムがフッ化アリール基含有化合物の溶液に溶解した溶液、若しくは懸濁した懸濁液が得られる。上記ハロゲン化マグネシウムとしては、具体的には、フッ化塩化マグネシウム、フッ化臭化マグネシウム、フッ化ヨウ化マグネシウム、二塩化マグネシウム、塩化臭化マグネシウム、塩化ヨウ化マグネシウム、二臭化マグネシウム、臭化ヨウ化マグネシウム、および二ヨウ化マグネシウムが挙げられる。
【0052】
フッ化アリール基含有化合物の溶液から、上記ハロゲン化マグネシウムを除去する方法としては、ハロゲン化マグネシウムが該溶液に溶解している場合には、(ア)ハロゲン化マグネシウムを固体として析出・沈澱させた後、濾過する;(イ)酸で処理することによって精製する;方法が好適である。また、ハロゲン化マグネシウムが該溶液に懸濁している場合には、(ウ)濾過する;(エ)酸で処理することによって精製する;方法が好適である。これら方法は一種類のみを行ってもよく、また二種類以上を組み合わせて行ってもよい。上記例示の方法のうち、(イ)・(エ)酸で処理することによって精製する方法がより好ましい。
【0053】
上記(ア)ハロゲン化マグネシウムを固体として析出・沈澱させる具体的な方法としては、例えば、(i)ハロゲン化マグネシウムを溶解しない溶媒(以下、溶媒Aと記す)と、上記溶液とを混合する方法;(ii)上記溶液からエーテル系溶媒を留去して得られる濃縮液(残渣)と、溶媒Aとを混合する方法;(iii)上記溶液に含まれるエーテル系溶媒の沸点よりも高い沸点を有し、かつ、ハロゲン化マグネシウムを溶解しない溶媒(以下、溶媒Bと記す)と、該溶液とを混合した後、混合液からエーテル系溶媒を留去し、必要に応じて濃縮液を冷却する方法;(iv)溶媒Bを上記溶液に含まれるエーテル系溶媒の沸点よりも高い温度に加熱した後、該溶媒Bに該溶液を添加しながらエーテル系溶媒を留去し、必要に応じて濃縮液を冷却する方法;等が挙げられる。
【0054】
上記溶媒Aや溶媒Bとしては、具体的には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、およびオクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、およびメチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、およびキシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジイソプロピルエーテル、およびジブチルエーテル等のエーテル系溶媒;等が挙げられる。これら溶媒Aや溶媒Bは、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。さらに、市販の炭化水素系溶媒である、例えば、エクソン社製のIsoparC、IsoparE、およびIsoparG(何れも登録商標)等の炭化水素系混合溶媒を溶媒Aや溶媒Bとして使用することもできる。フッ化アリール基含有化合物の溶液に対する溶媒Aや溶媒Bの使用量は、ハロゲン化マグネシウムの除去を効率的に行うことができるような量であればよい。尚、溶媒Aや溶媒Bを二種類以上、併用する場合における各々の溶媒の割合は、適宜設定することができる。
【0055】
上記(i)・(ii)の方法において、溶液(または濃縮液)と溶媒Aとを混合する方法としては、溶液(または濃縮液)に溶媒Aを添加してもよく、溶媒Aに溶液(または濃縮液)を添加してもよい。また、溶液(または濃縮液)と溶媒Aとを混合する際の温度は、具体的には、−100℃〜200℃の範囲内であることがより好ましく、−50℃〜150℃の範囲内であることがさらに好ましく、−20℃〜120℃の範囲内であることが特に好ましい。
【0056】
上記(iii)の方法において、溶液と溶媒Bとを混合する方法としては、溶液に溶媒Bを添加してもよく、溶媒Bに溶液を添加してもよい。また、溶液と溶媒Bとを混合する際の温度は、具体的には、−100℃〜200℃の範囲内であることがより好ましく、−50℃〜150℃の範囲内であることがさらに好ましい。
【0057】
上記(ii)〜(iv)の方法において、エーテル系溶媒を留去する方法としては、具体的には、常圧(大気圧)下で溶液または混合液を加熱する方法を採用してもよく、また、減圧下若しくは加圧下で該溶液または混合液を加熱する方法を採用してもよい。加熱温度は、常圧下でエーテル系溶媒を留去する場合には、該エーテル系溶媒の沸点以上であればよい。さらに、上記(iii)・(iv)の方法において、エーテル系溶媒を留去して得られる濃縮液を冷却する場合における冷却温度は、ハロゲン化マグネシウムが充分に析出するような温度に設定すればよい。
【0058】
上記(i)〜(iv)の方法等を実施することにより、ハロゲン化マグネシウムを固体として析出・沈澱させることができる。該ハロゲン化マグネシウムは、フッ化アリール基含有化合物と溶媒Aまたは溶媒Bとを含む溶液(濃縮液)を濾過することによって分離・除去することができる。これにより、フッ化アリール基含有化合物を簡単にかつ安価に製造することができる。即ち、着色が無く不純物を含まない高純度のフッ化アリール基含有化合物を、高収率で、簡便にかつ工業的に得ることができる。
【0059】
上記(イ)・(エ)酸で処理する具体的な方法としては、(v)フッ化アリール基含有化合物の溶液(または懸濁液)と、酸を含む水溶液とを混合・攪拌し、得られた混合液を静置した後、フッ化アリール基含有化合物を含む有機層と、ハロゲン化マグネシウムおよび酸を含む水層とを分離する方法;等が挙げられる。ハロゲン化マグネシウムは酸を含む水溶液に溶解するが、フッ化アリール基含有化合物は該水溶液には溶解しない。
【0060】
上記酸としては、無機酸、有機酸、および両者の混合物を使用することができる。該酸としては、具体的には、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、および炭酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、およびコハク酸等の有機酸;が挙げられる。これら酸は、一種類のみを用いてもよく、また、例えば無機酸と有機酸とを組み合わせる等、二種類以上を併用してもよい。そして、上記例示の酸のうち、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、およびコハク酸から選択される少なくとも一種類の酸がより好ましく、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、およびコハク酸から選択される少なくとも一種類の酸がさらに好ましく、塩酸、硫酸、リン酸が特に好ましい。酸の使用量は、ハロゲン化マグネシウムの除去を効率的に行うことができるように、フッ化アリール基含有化合物の溶液に含まれるハロゲン化マグネシウムに対して、0.01当量以上となる量が好ましく、0.1当量以上となる量がより好ましい。酸を含む水溶液の調製方法、並びに該水溶液における酸の濃度は、適宜設定することができる。
【0061】
上記(v)の方法において、溶液(または懸濁液)と、酸を含む水溶液とを混合する方法としては、溶液(または懸濁液)に水溶液を添加してもよく、水溶液に溶液(または懸濁液)を添加してもよい。また、溶液(または懸濁液)と水溶液とを混合・攪拌する際の温度は、溶液からフッ化アリール基含有化合物が析出する温度を超え、かつフッ化アリール基含有化合物が分解する温度以下であることが好ましい。より具体的には、−100℃〜200℃の範囲内であることがより好ましく、−50℃〜150℃の範囲内であることがさらに好ましく、−20℃〜100℃の範囲内であることが特に好ましい。また、溶液(または懸濁液)と水溶液とを攪拌する際の攪拌時間は、適宜設定することができる。
【0062】
フッ化アリール基含有化合物を含む有機層と、ハロゲン化マグネシウムおよび酸を含む水層とを分離する際には、分液(油水分離)操作等の簡単な操作を行えばよいが、有機層と水層とを分離する方法、並びに、水層を除去する方法、即ち、ハロゲン化マグネシウムおよび酸を除去する方法は、上記方法にのみ限定されるものではない。そして、有機層に酸が含まれている場合には、必要に応じて、該有機層を例えば水、或いは、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等の水溶液を用いて水洗する等の簡単な操作を行えばよい。さらに、有機層に水が含まれている場合には、必要に応じて、該有機層に例えば無水硫酸マグネシウム等の乾燥剤を添加して除去(乾燥)すればよい。また、水層にフッ化アリール基含有化合物が含まれている場合には、必要に応じて、適当な抽出溶媒を用いて該水層から抽出(回収)する等の簡単な操作を行えばよい。尚、上記(イ)・(エ)酸で処理する方法、例えば上記(v)の方法等は、溶液(または懸濁液)に含まれるハロゲン化マグネシウムが充分に除去されるように、必要に応じて、繰り返し行ってもよい。
【0063】
上記(v)の方法等を実施することにより、フッ化アリール基含有化合物からハロゲン化マグネシウムを分離・除去することができる。これにより、フッ化アリール基含有化合物を簡単にかつ安価に製造することができる。即ち、即ち、着色が無く不純物を含まない高純度のフッ化アリール基含有化合物を、高収率で、簡便にかつ工業的に得ることができる。
【0064】
上記の反応によって得られるフッ化アリール基含有化合物は、着色成分等の不純物を含んでいないので、例えば、各種反応に供される酸化触媒として、或いは、各種反応に供される金属触媒の配位子として有用な化合物である。
【0065】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0066】
実施例にて示した19F−NMR(核磁気共鳴)スペクトルデータは、トリフルオロ酢酸を標準物質として測定し、該標準物質のシグナルを0ppmとした。
【0067】
〔実施例1〕
還流冷却器、温度計、滴下ロート、窒素ガス導入管および攪拌機を備えた反応器にマグネシウム2.083gを入れ、内部を充分に窒素ガス置換した。次に、反応器にエーテル系溶媒としてのジブチルエーテル50mlを仕込むと共に、滴下ロートに臭化エチル8.568gを仕込んだ。窒素ガス雰囲気下、反応器の内容物を室温で攪拌しながら、滴下ロートから臭化エチルを滴下した。滴下終了後、室温でさらに30分間攪拌し、熟成させた。これにより、炭化水素マグネシウムハライドとしてのエチルマグネシウムブロマイドを得た。一方、滴下ロートに、ハロゲン化フッ化アリールとしてのブロモペンタフルオロベンゼン20.243gを仕込んだ。
【0068】
次いで、窒素ガス雰囲気下、反応器の内容物を室温で攪拌しながら、滴下ロートからブロモペンタフルオロベンゼンを滴下した。滴下終了後、室温でさらに30分間攪拌し、熟成させた。これにより、フッ化アリールマグネシウムハライドとしてのペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマイドをジブチルエーテル溶液として得た。この反応液は透明であった。一方、滴下ロートに、V族化合物としての三塩化リン3.683gを溶媒としてのトルエン50mlに溶解してなる溶液を仕込んだ。
【0069】
次に、窒素ガス雰囲気下、反応器の内容物を室温で攪拌しながら、滴下ロートからトルエン溶液を滴下した。滴下終了後、室温で一晩攪拌し、熟成させた。これにより、フッ化アリール基含有化合物としてのトリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンをジブチルエーテル/トルエン懸濁液として得た。この懸濁液には、着色は殆ど認められなかった。
【0070】
続いて、滴下ロートに、リン酸2.904gを水50.10gに溶解してなる水溶液を仕込み、反応器の内容物を攪拌しながら、滴下ロートから該水溶液を滴下すると共に、内温が40℃を超えないように温度調節した。滴下終了後、さらに30分間攪拌した。この内容物は透明であった。
【0071】
反応終了後、反応器の内容物を分液ロートに移して静置した。内容物は有機層と水層とに容易に分離した。水層を除去した後、有機層をHPLC(高速液体クロマトグラフィ)で分析したところ、該有機層にはトリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンが13.267g含まれていた。従って、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンの収率は、ブロモペンタフルオロベンゼンを基準として91.2%であった。
【0072】
〔実施例2〕
実施例1と同様の反応器にマグネシウム2.091gを入れ、内部を充分に窒素ガス置換した。次に、反応器にエーテル系溶媒としてのジエチルエーテル50mlを仕込むと共に、滴下ロートに臭化エチル8.543gを仕込んだ。窒素ガス雰囲気下、反応器の内容物を室温で攪拌しながら、滴下ロートから臭化エチルを滴下した。滴下終了後、室温でさらに30分間攪拌し、熟成させた。一方、滴下ロートに、ブロモペンタフルオロベンゼン20.252gを仕込んだ。
【0073】
次いで、窒素ガス雰囲気下、反応器の内容物を室温で攪拌しながら、滴下ロートからブロモペンタフルオロベンゼンを滴下した。滴下終了後、室温でさらに30分間攪拌し、熟成させた。この反応液は透明であった。一方、滴下ロートに、三塩化リン3.652gをトルエン50mlに溶解してなる溶液を仕込んだ。
【0074】
次に、窒素ガス雰囲気下、反応器の内容物を室温で攪拌しながら、滴下ロートからトルエン溶液を滴下した。滴下終了後、室温で一晩攪拌し、熟成させた。これにより、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンをジエチルエーテル/トルエン懸濁液として得た。この懸濁液には、着色は殆ど認められなかった。
【0075】
続いて、滴下ロートに、リン酸2.808gを水50.28gに溶解してなる水溶液を仕込み、反応器の内容物を攪拌しながら、滴下ロートから該水溶液を滴下すると共に、内温が40℃を超えないように温度調節した。滴下終了後、さらに30分間攪拌した。この内容物は透明であった。
【0076】
反応終了後、反応器の内容物を分液ロートに移して静置した。内容物は有機層と水層とに容易に分離した。水層を除去した後、有機層をHPLCで分析したところ、該有機層にはトリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンが12.731g含まれていた。従って、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンの収率は、ブロモペンタフルオロベンゼンを基準として87.5%であった。
【0077】
〔実施例3〕
実施例1と同様の反応器にマグネシウム2.077gを入れ、内部を充分に窒素ガス置換した。次に、反応器にジブチルエーテル55mlを仕込むと共に、滴下ロートに臭化エチル8.520gを仕込んだ。窒素ガス雰囲気下、反応器の内容物を室温で攪拌しながら、滴下ロートから臭化エチルを滴下した。滴下終了後、室温でさらに30分間攪拌し、熟成させた。一方、滴下ロートに、ブロモペンタフルオロベンゼン20.068gを仕込んだ。
【0078】
次いで、窒素ガス雰囲気下、反応器の内容物を室温で攪拌しながら、滴下ロートからブロモペンタフルオロベンゼンを滴下した。滴下終了後、室温でさらに30分間攪拌し、熟成させた。この反応液は透明であった。一方、滴下ロートに、三塩化リン3.619gをトルエン30mlに溶解してなる溶液を仕込んだ。
【0079】
次に、窒素ガス雰囲気下、反応器の内容物を室温で攪拌しながら、滴下ロートからトルエン溶液を滴下した。滴下終了後、室温で一晩攪拌し、熟成させた。これにより、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンをジブチルエーテル/トルエン懸濁液として得た。この懸濁液には、着色は殆ど認められなかった。
【0080】
続いて、滴下ロートに、塩酸2.712gが水50.277gに溶解されてなる水溶液を仕込み、反応器の内容物を攪拌しながら、滴下ロートから該水溶液を滴下すると共に、内温が40℃を超えないように温度調節した。滴下終了後、さらに30分間攪拌した。この内容物は透明であった。
【0081】
反応終了後、反応器の内容物を分液ロートに移して静置した。内容物は有機層と水層とに容易に分離した。水層を除去した後、有機層を飽和食塩水で洗浄した。その後、有機層をHPLCで分析したところ、該有機層にはトリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンが13.006g含まれていた。従って、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンの収率は、ブロモペンタフルオロベンゼンを基準として90.2%であった。
【0082】
〔実施例4〕
実施例1と同様の反応器にマグネシウム2.086gを入れ、内部を充分に窒素ガス置換した。次に、反応器にジブチルエーテル50mlを仕込むと共に、滴下ロートに臭化エチル8.601gを仕込んだ。窒素ガス雰囲気下、反応器の内容物を室温で攪拌しながら、滴下ロートから臭化エチルを滴下した。滴下終了後、室温でさらに30分間攪拌し、熟成させた。一方、滴下ロートに、ブロモペンタフルオロベンゼン19.920gを仕込んだ。
【0083】
次いで、窒素ガス雰囲気下、反応器の内容物を室温で攪拌しながら、滴下ロートからブロモペンタフルオロベンゼンを滴下した。滴下終了後、室温でさらに30分間攪拌し、熟成させた。この反応液は透明であった。一方、滴下ロートに、三塩化リン3.626gをトルエン50mlに溶解してなる溶液を仕込んだ。
【0084】
次に、窒素ガス雰囲気下、反応器の内容物を水冷下で攪拌しながら、滴下ロートからトルエン溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、水冷下で1時間攪拌し、次いで、50℃に昇温した後、同温度で6時間攪拌し、熟成させた。これにより、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンをジブチルエーテル/トルエン懸濁液として得た。この懸濁液には、着色は殆ど認められなかった。
【0085】
続いて、滴下ロートに、リン酸2.900gを水50.12gに溶解してなる水溶液を仕込み、反応器の内容物を攪拌しながら、滴下ロートから該水溶液を滴下すると共に、内温が40℃を超えないように温度調節した。滴下終了後、さらに30分間攪拌した。この内容物は透明であった。
【0086】
反応終了後、反応器の内容物を分液ロートに移して静置した。内容物は有機層と水層とに容易に分離した。水層を除去した後、有機層をHPLCで分析したところ、該有機層にはトリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンが12.949g含まれていた。従って、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンの収率は、ブロモペンタフルオロベンゼンを基準として90.5%であった。
【0087】
〔実施例5〕
実施例1と同様の反応器にマグネシウム2.092gを入れ、内部を充分に窒素ガス置換した。次に、反応器にジブチルエーテル50mlを仕込むと共に、滴下ロートに臭化エチル8.583gを仕込んだ。窒素ガス雰囲気下、反応器の内容物を室温で攪拌しながら、滴下ロートから臭化エチルを滴下した。滴下終了後、室温でさらに30分間攪拌し、熟成させた。一方、滴下ロートに、ブロモペンタフルオロベンゼン20.079gを仕込んだ。
【0088】
次いで、窒素ガス雰囲気下、反応器の内容物を室温で攪拌しながら、滴下ロートからブロモペンタフルオロベンゼンを滴下した。滴下終了後、室温でさらに30分間攪拌し、熟成させた。この反応液は透明であった。一方、滴下ロートに、三塩化リン3.694gをトルエン50mlに溶解してなる溶液を仕込んだ。
【0089】
次に、窒素ガス雰囲気下、反応器の内容物を水冷下で攪拌しながら、滴下ロートからトルエン溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、水冷下で1時間攪拌し、次いで、60℃に昇温した後、同温度で6時間攪拌し、熟成させた。これにより、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンをジブチルエーテル/トルエン懸濁液として得た。この懸濁液には、着色は殆ど認められなかった。
【0090】
続いて、滴下ロートに、リン酸2.889gを水50.06gに溶解してなる水溶液を仕込み、反応器の内容物を攪拌しながら、滴下ロートから該水溶液を滴下すると共に、内温が40℃を超えないように温度調節した。滴下終了後、さらに30分間攪拌した。この内容物は透明であった。
【0091】
反応終了後、反応器の内容物を分液ロートに移して静置した。内容物は有機層と水層とに容易に分離した。水層を除去した後、有機層をHPLCで分析したところ、該有機層にはトリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンが12.648g含まれていた。従って、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンの収率は、ブロモペンタフルオロベンゼンを基準として87.7%であった。
【0092】
〔比較例1〕
実施例1と同様の反応器にマグネシウム2.079gを入れ、内部を充分に窒素ガス置換した。次に、反応器にジエチルエーテル50mlを仕込むと共に、滴下ロートにブロモペンタフルオロベンゼン20.009gを仕込んだ。窒素ガス雰囲気下、反応器の内容物を室温で攪拌しながら、滴下ロートからブロモペンタフルオロベンゼンを滴下した。滴下終了後、室温でさらに3時間攪拌し、熟成させた。一方、滴下ロートに、三塩化リン3.550gをトルエン50mlに溶解してなる溶液を仕込んだ。
【0093】
次に、窒素ガス雰囲気下、反応器の内容物を室温で攪拌しながら、滴下ロートからトルエン溶液を滴下した。滴下終了後、室温で一晩攪拌し、熟成させた。これにより、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンをジエチルエーテル/トルエン溶液として得た。この反応液は黒色に着色していた。
【0094】
続いて、滴下ロートに、リン酸2.922gを水50.06gに溶解してなる水溶液を仕込み、反応器の内容物を攪拌しながら、滴下ロートから該水溶液を滴下した。滴下終了後、さらに30分間攪拌した。この内容物は黒色に着色していた。
【0095】
反応終了後、反応器の内容物を分液ロートに移して静置した。内容物は有機層と水層とに容易に分離しなかった。水層を除去した後、有機層に含まれる水を除去するために、該有機層を飽和食塩水で洗浄した。その後、有機層をHPLCで分析したところ、該有機層にはトリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンが8.352gしか含まれておらず、従って、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンの収率は、ブロモペンタフルオロベンゼンを基準として58.1%であった。
【0096】
〔比較例2〕
実施例1と同様の反応器にマグネシウム2.480gを入れ、内部を充分に窒素ガス置換した。次に、反応器にテトラヒドロフラン56mlを仕込むと共に、滴下ロートにブロモペンタフルオロベンゼン24.030gを仕込んだ。窒素ガス雰囲気下、反応器の内容物を室温で攪拌しながら、滴下ロートからブロモペンタフルオロベンゼンを2時間かけて滴下した。滴下終了後、室温でさらに3時間攪拌し、熟成させた。一方、滴下ロートに、三塩化リン4.360gをテトラヒドロフラン56mlに溶解してなる溶液を仕込んだ。
【0097】
次に、窒素ガス雰囲気下、反応器の内容物を室温で攪拌しながら、滴下ロートからテトラヒドロフラン溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で一晩攪拌し、熟成させた。これにより、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンをテトラヒドロフラン溶液として得た。
【0098】
続いて、滴下ロートに、リン酸3.42gを水50mlに溶解してなる水溶液を仕込み、反応器の内容物を攪拌しながら、滴下ロートから該水溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに30分間攪拌した。
【0099】
反応終了後、反応器の内容物を静置したが、内容物は有機層と水層とに分離しなかった。そこで、反応器に飽和食塩水50mlを入れ、反応器の内容物を30分間攪拌した後、該内容物を分液ロートに移して静置した。内容物は有機層と水層とに分離した。水層を除去した後、有機層を飽和食塩水50mlで洗浄し、次いで、有機層に含まれる水を無水硫酸マグネシウムを添加して除去(乾燥)した。その後、該有機層を減圧蒸留することによって溶媒を留去し、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンを含む茶色のオイル状物質14.5gを得た。
【0100】
19F−NMR装置で分析したところ、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンの純度は80.0%であった。従って、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンの収率は、ブロモペンタフルオロベンゼンを基準として67.2%であった。
【0101】
【発明の効果】
本発明のフッ化アリール基含有化合物の製造方法は、以上のように、炭化水素マグネシウムハライドとハロゲン化フッ化アリールとをエーテル系溶媒を含む溶媒中で反応させることによって得られるフッ化アリールマグネシウムハライドと、V族化合物とを反応させる構成である。
【0102】
それゆえ、上記の方法によれば、炭化水素マグネシウムハライドとハロゲン化フッ化アリールとをエーテル系溶媒を含む溶媒中でグリニャール交換反応させることによってフッ化アリールマグネシウムハライドを得るので、ハロゲン化フッ化アリールとマグネシウムとをグリニャール反応させてフッ化アリールマグネシウムハライドを得る場合と比較して、目的物であるフッ化アリール基含有化合物を、着色が無くかつ高純度、高収率で、簡便にかつ工業的に製造することができるという効果を奏する。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to, for example, a compound containing a fluoroaryl group such as tris (pentafluorophenyl) phosphine, which is useful as an oxidation catalyst for various reactions or as a ligand for a metal catalyst for various reactions. And a method for producing the same.
[0002]
[Prior art]
A compound containing a fluoroaryl group such as tris (pentafluorophenyl) phosphine is a compound useful as, for example, an oxidation catalyst used for various reactions or a ligand of a metal catalyst used for various reactions.
[0003]
For example, J. Am. Chem. Soc. , (1960) 4846 and J.M. Fluorine Chem. , (1997) 47, using diethyl ether as a solvent, reacting pentafluorophenylmagnesium bromide (Grignard reagent) obtained by reacting bromopentafluorobenzene with magnesium and phosphorus trichloride. A method for synthesizing tris (pentafluorophenyl) phosphine is described.
[0004]
And J. Am. Chem. Soc. In the method described in (1960) 4846, after treating the reaction solution with dilute hydrochloric acid, an oil layer and an aqueous layer are separated, and then the oil layer and an extract from the aqueous layer using diethyl ether are separated. After the combination, diethyl ether was distilled off from the solution, and the obtained crystals were purified by sublimation to obtain white tris (pentafluorophenyl) phosphine.
[0005]
Also, J.I. Fluorine Chem. , (1997) 47, the reaction is carried out by pouring the reaction solution into hydrochloric acid containing ice, separating the oil layer and the aqueous layer, and then distilling off diethyl ether from the oil layer. Dark brown tris (pentafluorophenyl) phosphine is obtained.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
However, the above J. et al. Am. Chem. Soc. , (1960) 4846 and J.M. Fluorine Chem. , (1997) 47, diethyl ether, which is a compound having a low boiling point, is used as a solvent. Therefore, it is difficult to control the temperature of the reaction system, and the flammability is high. Be careful. Further, a diethyl ether solution of pentafluorophenylmagnesium bromide obtained by reacting bromopentafluorobenzene with magnesium is colored black by a coloring component which is an impurity generated by a side reaction or the like. Therefore, tris (pentafluorophenyl) phosphine obtained by reacting the above pentafluorophenylmagnesium bromide with phosphorus trichloride is colored black or dark brown even when crystals are precipitated after the acid treatment. Therefore, in order to obtain white tris (pentafluorophenyl) phosphine, there is a problem that a further purification operation is required. Further, when the reaction solution containing tris (pentafluorophenyl) phosphine obtained by the above method is treated with an aqueous solution containing an acid or the like, it is difficult to separate an oil layer and an aqueous layer from oil and water, so that it is difficult to perform a liquid separation operation. It also has problems.
[0007]
Also, J.I. Am. Chem. Soc. , (1960) 4846, the yield of tris (pentafluorophenyl) phosphine is 60.5% at the stage of distilling off diethyl ether, and 39.5% at the stage of sublimation purification. is there. J. Fluorine Chem. , (1997) 47, the yield of tris (pentafluorophenyl) phosphine is 74.4% when diethyl ether is distilled off.
[0008]
Therefore, the conventional production method described above is not industrially advantageous because the purification operation is complicated and the yield is low.
[0009]
Furthermore, there has been proposed a method for solving the problem that a solution of pentafluorophenylmagnesium bromide obtained by reacting bromopentafluorobenzene with magnesium is colored by a coloring component which is an impurity generated by a side reaction or the like. . For example, Japanese Patent Application Laid-Open No. 2000-191666 (publication date: July 11, 2000, corresponding US Pat. No. 6,235,222) discloses a method for producing a fluorinated arylmagnesium halide by a Grignard exchange reaction, such as a coloring component. A method for producing pentafluorophenylmagnesium bromide that does not contain any impurities is disclosed.
[0010]
However, there is no description in the above publication that the obtained fluorinated arylmagnesium halide is further reacted with a phosphorus compound to produce a fluorinated aryl group-containing compound containing a phosphorus atom. There is no description that the above-mentioned fluorinated arylmagnesium halide can be used as a raw material (or an intermediate) when producing an aryl group-containing compound.
[0011]
The present invention has been made in view of the above-mentioned conventional problems, and an object of the present invention is to provide an industrially advantageous production method, that is, a method for preparing a compound containing a fluoroaryl group such as tris (pentafluorophenyl) phosphine by using a high-performance compound. It is an object of the present invention to provide a simple and industrial method for producing a compound of high purity and high yield.
[0012]
[Means for Solving the Problems]
The inventors of the present application have intensively studied a method for producing a compound containing a fluorine-containing aryl group containing no impurities and having no coloring simply and inexpensively in order to develop a synthesis route different from the above-mentioned conventional synthesis route. . As a result, a new synthesis route that hardly causes side reactions and has no coloring due to generated impurities has been found. This synthetic route is a route including a step of performing a Grignard exchange reaction.
[0013]
That is, the inventors of the present application have made intensive studies on a method for producing a compound having a fluoroaryl group, and found that the Grignard exchange reaction between a hydrocarbon magnesium halide and a halogenated aryl fluoride is performed in a solvent containing an ether-based solvent. , A fluorine-containing aryl magnesium halide obtained by the above-mentioned production method after safely and efficiently producing a fluoroaryl magnesium halide containing no impurities such as coloring components by a mild reaction as compared with the conventional method By reacting the compound with a group V compound, it is possible to easily and industrially produce a fluorinated aryl group-containing compound containing no impurities such as coloring components with high purity and high yield. Thus, the present invention has been completed.
[0014]
That is, the general formula (5) of the present invention
[0015]
Embedded image
[0016]
(Where R 2 , R 3 , R 4 , R 5 , R 6 Each independently represents a hydrogen atom, a fluorine atom, a hydrocarbon group or an alkoxy group; 2 ~ R 6 X is a halogen atom or an alkoxy group, M is an atom belonging to Group V, L is an atom belonging to Group VIb, m is 0 or 1, n is 1 to 3)
The method for producing a fluorinated aryl group-containing compound represented by the general formula (1)
R 1 MgXa (1)
(Where R 1 Represents a hydrocarbon group, and Xa represents a chlorine atom, a bromine atom or an iodine atom.
A hydrocarbon magnesium halide represented by the general formula (2)
[0017]
Embedded image
[0018]
(Where R 2 , R 3 , R 4 , R 5 , R 6 Each independently represents a hydrogen atom, a fluorine atom, a hydrocarbon group or an alkoxy group; 2 ~ R 6 At least three of which are fluorine atoms, and Xb represents a bromine atom or an iodine atom), and a halogenated aryl fluoride represented by the following general formula: (3)
[0019]
Embedded image
[0020]
(Where R 2 , R 3 , R 4 , R 5 , R 6 Each independently represents a hydrogen atom, a fluorine atom, a hydrocarbon group or an alkoxy group; 2 ~ R 6 At least three of which are fluorine atoms, and Xa represents a chlorine atom, a bromine atom or an iodine atom)
A fluoroarylmagnesium halide represented by the general formula (4)
Xc3MLm (4)
(Wherein, Xc represents a halogen atom or an alkoxy group, M represents an atom belonging to Group V, L represents an atom belonging to Group VIb, and m is 0 or 1)
Characterized by reacting with a Group V compound represented by
[0021]
In order to solve the above-mentioned problems, the method for producing a compound having a fluoroaryl group-containing compound of the present invention further comprises treating a reaction solution obtained by reacting the above-mentioned fluoroarylmagnesium halide with a group V compound with an acid. It is characterized by:
[0022]
In order to solve the above problems, the method for producing a compound having a fluoroaryl group according to the present invention is further characterized in that the atom represented by M in the general formula (4) is phosphorus.
[0023]
In order to solve the above-mentioned problems, the method for producing a compound having a fluoroaryl group according to the present invention is further characterized in that the compound having a fluoroaryl group is tris (pentafluorophenyl) phosphine.
[0024]
According to the above configuration, the fluoroaryl magnesium halide, which is an intermediate in the process of producing the target fluoroaryl group-containing compound, is synthesized by performing a Grignard exchange reaction in which side reactions are unlikely to occur. I haven't. Therefore, the fluorinated arylmagnesium halide can be reacted with the group V compound without performing purification. In addition, the obtained compound having a fluorinated aryl group does not contain any impurities and has no coloring. Therefore, there is no need to purify the intermediate fluoroarylmagnesium halide, and after performing a Grignard exchange reaction between the hydrocarbon magnesium halide and the arylfluorohalide, the obtained fluoroarylmagnesium halide and the group V A series of (continuous) steps of reacting with a compound can be performed. This makes it possible to easily and industrially produce a fluoroaryl group-containing compound containing no impurities such as coloring components with high purity and high yield.
[0025]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
The following will describe one embodiment of the present invention. The method for producing a compound having a fluoroaryl group represented by the general formula (5) according to the present invention includes a hydrocarbon magnesium halide represented by the general formula (1) and a hydrocarbon magnesium halide represented by the general formula (2). Fluorinated arylmagnesium halide represented by the above general formula (3) obtained by reacting with a halogenated aryl fluoride in a solvent containing an ether solvent (Grignard exchange reaction); This is a method of reacting with the group V compound represented by the formula (1). The method for producing a compound having a fluoroaryl group according to the present invention is a method of treating a reaction solution obtained by reacting the above-mentioned fluoroarylmagnesium halide with a group V compound with an acid.
[0026]
The hydrocarbon magnesium halide used as a starting material in the present invention has the general formula (1)
R 1 MgXa (1)
(Where R 1 Represents a hydrocarbon group, and Xa represents a chlorine atom, a bromine atom or an iodine atom.
It is a compound represented by these. Where R 1 Are specifically an aryl group such as a phenyl group, a linear or branched alkyl group having 1 to 12 carbon atoms, a cyclic alkyl group having 3 to 12 carbon atoms, A linear or branched alkenyl group having 2 to 12 carbon atoms and a cyclic alkenyl group having 3 to 12 carbon atoms are shown. Specific examples of the above alkyl group include a methyl group, an ethyl group, a propyl group, an isopropyl group, a butyl group, an isobutyl group, a sec-butyl group, a t-butyl group, a pentyl group, an isopentyl group, and a t-pentyl group. , Hexyl, octyl, cyclopropyl, cyclobutyl, cyclopentyl, and cyclohexyl groups. Specific examples of the above alkenyl group include an allyl group. Among the hydrocarbon groups exemplified above, a phenyl group, a methyl group, an ethyl group, a propyl group, an isopropyl group, a cyclohexyl group, and an allyl group are more preferred, and an ethyl group is still more preferred. The above-mentioned hydrocarbon group is a functional group containing an atom inert to the reaction and purification (treatment) according to the present invention, for example, a fluorine atom, a nitrogen atom, an oxygen atom, a sulfur atom, and the like. It may further have a functional group. Specific examples of the functional group include a methoxy group, a methylthio group, an N, N-dimethylamino group, an o-anis group, a p-anis group, a trimethylsilyloxy group, a dimethyl-t-butylsilyloxy group, and a trimethylsilyloxy group. Fluoromethyl group.
[0027]
The above-mentioned hydrocarbon magnesium halide, which is a Grignard reagent, can be easily obtained, for example, by reacting a corresponding halogenated hydrocarbon with magnesium using a general technique. Examples of the hydrocarbon magnesium halide include hydrocarbon magnesium bromide such as ethyl magnesium bromide.
[0028]
The aryl halide fluoride used as a starting material in the present invention has the general formula (2)
[0029]
Embedded image
[0030]
(Where R 2 ~ R 6 Each independently represents a hydrogen atom, a fluorine atom, a hydrocarbon group or an alkoxy group; 2 ~ R 6 At least three of which are fluorine atoms, and Xb represents a bromine atom or an iodine atom)
It is a compound represented by these. Where R 2 ~ R 6 The hydrocarbon group in the substituent represented by is specifically an aryl group such as a phenyl group, a linear or branched alkyl group having 1 to 12 carbon atoms, and a cyclic alkyl group having 3 to 12 carbon atoms. And a linear or branched alkenyl group having 2 to 12 carbon atoms and a cyclic alkenyl group having 3 to 12 carbon atoms. Specific examples of the above alkyl group include a methyl group, an ethyl group, a propyl group, an isopropyl group, a butyl group, an isobutyl group, a sec-butyl group, a t-butyl group, a pentyl group, an isopentyl group, and a t-pentyl group. , Hexyl, octyl, cyclopropyl, cyclobutyl, cyclopentyl, and cyclohexyl groups. Specific examples of the above alkenyl group include an allyl group. The above-mentioned hydrocarbon group is a functional group containing an atom inert to the reaction and purification (treatment) according to the present invention, for example, a fluorine atom, a nitrogen atom, an oxygen atom, a sulfur atom, and the like. It may further have a functional group. Specific examples of the functional group include a methoxy group, a methylthio group, an N, N-dimethylamino group, an o-anis group, a p-anis group, a trimethylsilyloxy group, a dimethyl-t-butylsilyloxy group, and a trimethylsilyloxy group. Fluoromethyl group.
[0031]
Where R 2 ~ R 6 The alkoxy group in the substituent represented by the general formula (A)
-ORa ... (A)
(Wherein, Ra represents a hydrocarbon group)
In the formula, the hydrocarbon group represented by Ra is a hydrocarbon group exemplified above, that is, specifically, an aryl group such as a phenyl group, a linear or branched chain having 1 to 12 carbon atoms. An alkyl group, a cyclic alkyl group having 3 to 12 carbon atoms, a linear or branched alkenyl group having 2 to 12 carbon atoms, and a cyclic alkenyl group having 3 to 12 carbon atoms. Further, the above-mentioned hydrocarbon group may further have a functional group which is inactive to the reaction and purification (treatment) according to the present invention. Specific examples of the alkoxy group represented by the general formula (A) include a methoxy group, an ethoxy group, a propoxy group, an isopropoxy group, a butoxy group, an isobutoxy group, a sec-butoxy group, a t-butoxy group, and a cyclohexyl. Oxy groups, allyloxy groups, and phenoxy groups are included.
[0032]
Accordingly, as the halogenated aryl fluoride, specifically, bromopentafluorobenzene, iodopentafluorobenzene, 1-bromo-2,3,4,5-tetrafluorobenzene, 1-bromo-2,3,4 , 6-Tetrafluorobenzene, 1-bromo-2,3,5,6-tetrafluorobenzene, 1-iodo-2,3,4,5-tetrafluorobenzene, 1-iodo-2,3,4,6 -Tetrafluorobenzene, 1-iodo-2,3,5,6-tetrafluorobenzene, 1-bromo-2,3,4-trifluorobenzene, 1-bromo-2,3,5-trifluorobenzene, 1 -Bromo-2,4,5-trifluorobenzene, 1-bromo-2,4,6-trifluorobenzene, 1-bromo-3,4,5-trifluorobenzene, 1-iodo 2,3,4-trifluorobenzene, 1-iodo-2,3,5-trifluorobenzene, 1-iodo-2,4,5-trifluorobenzene, 1-iodo-2,4,6-trifluoro Benzene, and 1-iodo-3,4,5-trifluorobenzene.
[0033]
As the ether solvent contained in the solvent used when reacting the above-mentioned hydrocarbon magnesium halide with the halogenated aryl fluoride, specifically, dimethyl ether, diethyl ether, dipropyl ether, diisopropyl ether, dibutyl ether, diisobutyl ether , Di-t-butyl ether, dipentyl ether, dihexyl ether, dioctyl ether, t-butyl methyl ether, dimethoxymethane, diethoxymethane, 1,2-dimethoxyethane, and 1,2-diethoxyethane. Group-based hydrocarbon-based ether solvents, and cyclic (alicyclic hydrocarbon-based) ether-based solvents such as tetrahydrofuran, tetrahydropyran, 1,4-dioxane, and 1,3-dioxolane. One of these ether solvents may be used alone, or two or more thereof may be used in combination. Among the ether solvents exemplified above, a chain ether solvent is more preferable, and the convenience of the solvent, the ease of controlling the temperature of the reaction system, the yield, the separation of the target product, and the like, dipropyl ether, Diisopropyl ether, dibutyl ether, diisobutyl ether, di-t-butyl ether, t-butyl methyl ether, 1,2-dimethoxyethane, and 1,2-diethoxyethane are more preferred, and dibutyl ether is particularly preferred.
[0034]
Other solvents that can be used in combination with the ether-based solvent include, specifically, aliphatic hydrocarbon-based solvents such as pentane, hexane, heptane, and octane; cyclopentane, cyclohexane, cycloheptane, and methylcyclohexane Etc .; aromatic hydrocarbon solvents such as benzene, toluene, and xylene; and the like, as long as they do not inhibit the reaction according to the present invention. Furthermore, a commercially available hydrocarbon-based solvent, for example, a hydrocarbon-based mixed solvent such as IsoparC, IsoparE, and IsoparG (all are registered trademarks) manufactured by Exxon Corporation can also be used. Alternatively, as a solvent containing an ether-based solvent, a solvent used when a halogenated hydrocarbon is reacted with magnesium to form the above-mentioned hydrocarbon magnesium halide can also be used.
[0035]
When the ether solvent and the other solvent are used in combination, the amount of the ether solvent used may be within a range that does not inhibit the reaction according to the present invention, but may be 10% by weight or more of the entire solvent. Preferably, it is 30% by weight or more, more preferably 50% by weight or more.
[0036]
In general, when a halogenated aryl fluoride is reacted with magnesium to prepare a fluoroarylmagnesium halide, the reaction does not proceed (reactivity decreases) in a solvent such as diisopropyl ether or dibutyl ether. Diethyl ether and tetrahydrofuran are used as solvents. However, the Grignard exchange reaction between the hydrocarbon magnesium halide and the halogenated aryl fluoride in the production method according to the present invention proceeds even in a solvent such as diisopropyl ether or dibutyl ether. Therefore, diethyl ether which is a compound having a low boiling point and tetrahydrofuran having ring-opening polymerizability may not necessarily be used as a solvent. That is, it is not always necessary to use diethyl ether or tetrahydrofuran, which requires special care in handling, as the solvent. In addition, by performing a Grignard exchange reaction, a fluoroarylmagnesium halide without coloring can be prepared. As a result, a fluoroaryl group-containing compound without coloring can be obtained.
[0037]
That is, according to the method of the present invention, a halogenated fluorinated arylmagnesium halide is obtained by performing a Grignard exchange reaction between a hydrocarbon magnesium halide and a halogenated aryl fluoride in a solvent containing an ether solvent. Compared with the case where a fluorinated arylmagnesium halide is obtained by subjecting an aryl and magnesium to a Grignard reaction, a compound having no fluorinated aryl group without coloring can be obtained with high purity.
[0038]
Examples of the method of mixing the hydrocarbon magnesium halide and the aryl fluoride halide include, for example, a method of dropping a solution of a hydrocarbon magnesium halide to the aryl halide halide or a solution thereof; Various methods such as a method of dropping an aryl halide fluoride or a solution thereof; a method of dropping an aryl halide fluoride or a solution thereof and a solution of a hydrocarbon magnesium halide to a solvent can be employed.
[0039]
As the reaction conditions of the above reaction, the molar ratio between the hydrocarbon magnesium halide and the halogenated aryl fluoride is more preferably in the range of 0.8: 1 to 2.0: 1, and 0.9: 1. More preferably, it is within the range of 1.5: 1. Further, the amount of the solvent to be used is more preferably such that the concentration of the obtained fluoroarylmagnesium halide is in the range of 0.1% by weight to 80% by weight, and more preferably 1.0% by weight to 70% by weight. More preferably, the amount falls within the range. The lower limit of the reaction temperature is more preferably -30 ° C or higher, and further preferably -20 ° C or higher. The upper limit of the reaction temperature is more preferably equal to or lower than the reflux temperature of the above-mentioned solvent, and when the reflux temperature exceeds 200 ° C, further preferably equal to or lower than 200 ° C. The reaction time may be appropriately set according to the combination of the hydrocarbon magnesium halide and the aryl halide fluoride, the reaction temperature, and the like. Further, the above reaction is desirably performed in an atmosphere of an inert gas such as nitrogen gas.
[0040]
By reacting a hydrocarbon magnesium halide with a halogenated aryl fluoride in a solvent containing an ether solvent, the general formula (3)
[0041]
Embedded image
[0042]
(Where R 2 ~ R 6 , And Xa are the same as described above.)
Is obtained in the state of a reaction solution (solution or suspension) dissolved or suspended in the above solvent. The reaction is clear. The halogenated hydrocarbon (R 1 Xb) can be used in the subsequent reaction without removing it from the reaction system, but may be removed from the reaction system as needed.
[0043]
The group V compound used as a raw material in the present invention has the general formula (4)
Xc3MLm (4)
(Wherein, Xc represents a halogen atom or an alkoxy group, M represents an atom belonging to Group V, L represents an atom belonging to Group VIb, and m is 0 or 1)
It is a compound represented by these. In the formula, the alkoxy group in the substituent represented by Xc specifically refers to the aforementioned R 2 ~ R 6 And the same substituents as the alkoxy groups in the substituents represented by. As the substituent represented by Xc, a chlorine atom or a bromine atom is more preferable. In the formula, examples of atoms belonging to group V represented by M (short-period type; group 15 in long-period type) include phosphorus, arsenic, antimony, and bismuth, and phosphorus is particularly preferable. In the formula, examples of atoms belonging to group VIb represented by L (short-period type; group 16 in long-period type) include oxygen, sulfur, selenium, and tellurium, and oxygen and sulfur are particularly preferable. In the formula, m is selected from “0” and “1” depending on the valency (valence) that an atom belonging to the group V represented by M can have or the structure of the target compound having a fluoroaryl group. Is done.
[0044]
Examples of group V compounds include PCl3, PBr3, P (OCH3) 3, P (OC2H5) 3, POCl3, POBr3, PO (OCH3) 3, and PO (OC2H5) 3. As the group V compound, the atom represented by M in the general formula (4) is preferably phosphorus, that is, a phosphorus compound, and more preferably phosphorus trichloride.
[0045]
By reacting the fluorinated arylmagnesium halide obtained by the above method with a group V compound in a solvent, the compound represented by the general formula (5)
[0046]
Embedded image
[0047]
(Where R 2 ~ R 6 , Xc, M, L, m, and n are the same as described above)
Is obtained.
[0048]
The method of mixing the fluorinated arylmagnesium halide and the group V compound is a method of adding the group V compound to a solution of the fluorinated arylmagnesium halide, that is, the reaction solution obtained by the reaction; Various methods such as a method of adding a reaction solution obtained by the reaction; The group V compound may be in a state of a solution diluted with a solvent or a suspended suspension.
[0049]
As the reaction conditions of the above reaction, the molar ratio between the fluoroarylmagnesium halide and the group V compound is more preferably in the range of 0.01: 1 to 100: 1, and 0.1: 1 to 10: More preferably, it is within the range of 1. The amount of the solvent used is more preferably such that the concentration of the fluoroaryl group-containing compound as the target substance falls within the range of 0.1% by weight to 80% by weight, and more preferably 1.0% by weight to 70% by weight. More preferably, the amount is within the range of weight%. The lower limit of the reaction temperature is more preferably -30 ° C or higher, and further preferably -20 ° C or higher. The upper limit of the reaction temperature is more preferably equal to or lower than the reflux temperature of the above-mentioned solvent, and when the reflux temperature exceeds 200 ° C, further preferably equal to or lower than 200 ° C. The reaction time may be appropriately set according to the combination of the fluoroarylmagnesium halide and the group V compound, the reaction temperature, and the like. The fluorinated aryl group-containing compound is obtained in the form of a reaction solution (solution or suspension) dissolved or suspended in the above solvent. The above reaction is desirably performed in an atmosphere of an inert gas such as nitrogen gas.
[0050]
The fluorinated aryl group-containing compound obtained by the above method is a compound having at least one fluorinated aryl group in which at least three of the hydrogen atoms in the aryl group are substituted with fluorine atoms. As the fluorinated aryl group, a pentafluorophenyl group is more preferred. Further, the atom represented by M in the above formula is more preferably phosphorus, n in the above formula is more preferably 3, and m in the above formula is more preferably 0. Therefore, the compound containing a fluorinated aryl group is more preferably a (fluorinated aryl) compound containing a phosphorus atom, that is, a (fluorinated aryl) phosphorus compound, and furthermore a compound containing a pentafluorophenyl group, that is, tris (Pentafluorophenyl) phosphine is most preferred.
[0051]
In the above method, the compound represented by the general formula (6) is used together with the target compound having a fluorinated aryl group.
MgXa Xc (6)
(Wherein Xa and Xc are the same as described above)
Is obtained as a by-product. That is, by reacting the fluoroarylmagnesium halide with the group V compound, a solution in which the magnesium halide is dissolved in the solution of the fluoroaryl group-containing compound or a suspension in which the magnesium halide is dissolved is obtained. As the magnesium halide, specifically, magnesium fluoride chloride, magnesium fluoride bromide, magnesium fluoride iodide, magnesium dichloride, magnesium chloride bromide, magnesium chloride iodide, magnesium dibromide, bromide Magnesium iodide, and magnesium diiodide.
[0052]
As a method of removing the magnesium halide from the solution of the compound having a fluoroaryl group, when the magnesium halide is dissolved in the solution, (a) the magnesium halide is precipitated and precipitated as a solid. Thereafter, filtration; (a) purification by treatment with acid; When the magnesium halide is suspended in the solution, the method is preferably (c) filtering; (d) purifying by treating with an acid; These methods may be performed by only one type, or may be performed by combining two or more types. Among the above exemplified methods, a method of purifying by treating with (a)-(d) acid is more preferable.
[0053]
As a specific method of (a) depositing and precipitating magnesium halide as a solid, for example, a method of mixing (i) a solvent that does not dissolve magnesium halide (hereinafter referred to as solvent A) with the above solution is used. (Ii) a method of mixing a concentrated solution (residue) obtained by distilling an ether-based solvent from the above solution with a solvent A; (iii) a boiling point higher than the boiling point of the ether-based solvent contained in the above-mentioned solution; After mixing the solvent with a solvent having the same and not dissolving the magnesium halide (hereinafter referred to as solvent B), the ether solvent is distilled off from the mixture, and the concentrated solution is cooled if necessary. Method: (iv) After heating the solvent B to a temperature higher than the boiling point of the ether solvent contained in the solution, the ether solvent is distilled off while adding the solution to the solvent B, and concentrated if necessary. Liquid How to retirement; and the like.
[0054]
Specific examples of the solvent A and the solvent B include aliphatic hydrocarbon solvents such as pentane, hexane, heptane, and octane; and alicyclic hydrocarbon solvents such as cyclopentane, cyclohexane, cycloheptane, and methylcyclohexane. Solvents; aromatic hydrocarbon solvents such as benzene, toluene, and xylene; ether solvents such as diisopropyl ether and dibutyl ether; One of these solvents A and B may be used alone, or two or more thereof may be used in combination. Furthermore, a hydrocarbon-based mixed solvent such as a commercially available hydrocarbon-based solvent, for example, IsoparC, IsoparE, and IsoparG (all are registered trademarks) manufactured by Exxon Corporation can be used as the solvent A and the solvent B. The amount of the solvent A or the solvent B to be used with respect to the solution of the fluorinated aryl group-containing compound may be such that the magnesium halide can be removed efficiently. When two or more solvents A and B are used in combination, the ratio of each solvent can be set as appropriate.
[0055]
In the above methods (i) and (ii), as a method of mixing the solution (or the concentrated solution) with the solvent A, the solvent (A) may be added to the solution (or the concentrated solution). Or a concentrated solution) may be added. Specifically, the temperature at which the solution (or concentrated solution) is mixed with the solvent A is more preferably in the range of −100 ° C. to 200 ° C., and more preferably in the range of −50 ° C. to 150 ° C. Is more preferable, and it is particularly preferable that it is in the range of −20 ° C. to 120 ° C.
[0056]
In the method (iii), as a method of mixing the solution and the solvent B, the solvent B may be added to the solution, or the solution may be added to the solvent B. Moreover, the temperature at the time of mixing the solution and the solvent B is, specifically, more preferably in the range of −100 ° C. to 200 ° C., and further preferably in the range of −50 ° C. to 150 ° C. preferable.
[0057]
In the above methods (ii) to (iv), as a method of distilling off the ether solvent, specifically, a method of heating a solution or a mixed solution under normal pressure (atmospheric pressure) may be adopted. Alternatively, a method of heating the solution or the mixed solution under reduced pressure or increased pressure may be adopted. The heating temperature may be higher than the boiling point of the ether solvent when the ether solvent is distilled off under normal pressure. Further, in the above methods (iii) and (iv), the cooling temperature in the case of cooling the concentrated solution obtained by distilling the ether-based solvent is set to a temperature at which the magnesium halide is sufficiently precipitated. Good.
[0058]
By performing the methods (i) to (iv) and the like, the magnesium halide can be precipitated and precipitated as a solid. The magnesium halide can be separated and removed by filtering a solution (concentrated solution) containing the compound having a fluoroaryl group and the solvent A or the solvent B. This makes it possible to easily and inexpensively produce a fluoroaryl group-containing compound. That is, a high-purity fluorinated aryl group-containing compound that is free of color and contains no impurities can be easily and industrially obtained in high yield.
[0059]
As a specific method of treating with the above (a) and (d) acids, (v) a solution (or suspension) of a compound having a fluoroaryl group and an aqueous solution containing an acid are mixed and stirred to obtain A method of separating the organic layer containing the fluorinated aryl group-containing compound and the aqueous layer containing the magnesium halide and the acid after allowing the mixed solution to stand. The magnesium halide dissolves in an aqueous solution containing an acid, but the compound containing a fluoroaryl group does not dissolve in the aqueous solution.
[0060]
As the acid, an inorganic acid, an organic acid, and a mixture of both can be used. Specific examples of the acid include inorganic acids such as hydrochloric acid, sulfuric acid, nitric acid, phosphoric acid, and carbonic acid; and organic acids such as formic acid, acetic acid, propionic acid, oxalic acid, malonic acid, and succinic acid. . One of these acids may be used alone, or two or more of them may be used in combination, for example, a combination of an inorganic acid and an organic acid. And among the acids exemplified above, hydrochloric acid, sulfuric acid, nitric acid, phosphoric acid, carbonic acid, formic acid, acetic acid, propionic acid, oxalic acid, malonic acid, and at least one acid selected from succinic acid is more preferable, At least one acid selected from the group consisting of sulfuric acid, sulfuric acid, nitric acid, phosphoric acid, formic acid, acetic acid, oxalic acid, malonic acid and succinic acid is more preferred, and hydrochloric acid, sulfuric acid and phosphoric acid are particularly preferred. The amount of the acid used is preferably 0.01 equivalent or more with respect to the magnesium halide contained in the solution of the fluoroaryl group-containing compound so that the magnesium halide can be efficiently removed. , 0.1 equivalent or more is more preferable. The method for preparing the aqueous solution containing an acid and the concentration of the acid in the aqueous solution can be set as appropriate.
[0061]
In the above method (v), as a method of mixing the solution (or suspension) and the aqueous solution containing an acid, an aqueous solution may be added to the solution (or suspension), or the solution (or suspension) may be added to the aqueous solution. Suspension). The temperature at which the solution (or suspension) and the aqueous solution are mixed and stirred is higher than the temperature at which the fluoroaryl group-containing compound is precipitated from the solution and lower than the temperature at which the fluoroaryl group-containing compound is decomposed. Preferably, there is. More specifically, it is more preferably in the range of −100 ° C. to 200 ° C., further preferably in the range of −50 ° C. to 150 ° C., and in the range of −20 ° C. to 100 ° C. Is particularly preferred. The stirring time when stirring the solution (or suspension) and the aqueous solution can be set as appropriate.
[0062]
When separating the organic layer containing the fluorinated aryl group-containing compound from the aqueous layer containing the magnesium halide and the acid, a simple operation such as a liquid separation (oil-water separation) operation may be performed. The method of separating the aqueous layer and the method of removing the aqueous layer, that is, the method of removing the magnesium halide and the acid are not limited to the above methods. When an acid is contained in the organic layer, the organic layer is washed with water, if necessary, using an aqueous solution such as water or an aqueous solution of sodium carbonate, an aqueous solution of sodium hydrogen carbonate, or an aqueous solution of sodium hydroxide. What is necessary is just to perform a simple operation such as. Further, when water is contained in the organic layer, it may be removed (dried) by adding a desiccant such as anhydrous magnesium sulfate to the organic layer as needed. When the aqueous layer contains a compound containing a fluoroaryl group, if necessary, a simple operation such as extraction (recovery) from the aqueous layer using an appropriate extraction solvent may be performed. . Incidentally, the method of treating with the above-mentioned (a) and (d) acids, for example, the above-mentioned method (v) is necessary so that the magnesium halide contained in the solution (or suspension) is sufficiently removed. Depending on the situation, it may be repeated.
[0063]
By performing the method (v) or the like, magnesium halide can be separated and removed from the compound having a fluoroaryl group. This makes it possible to easily and inexpensively produce a fluoroaryl group-containing compound. That is, it is possible to easily and industrially obtain a high-purity fluorinated aryl group-containing compound having no coloring and containing no impurities in a high yield.
[0064]
Since the compound containing a fluoroaryl group obtained by the above reaction does not contain impurities such as coloring components, for example, as an oxidation catalyst used for various reactions, or a coordination of a metal catalyst used for various reactions It is a compound useful as a child.
[0065]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in more detail with reference to Examples and Comparative Examples, but the present invention is not limited thereto.
[0066]
Shown in Examples 19 F-NMR (nuclear magnetic resonance) spectrum data was measured using trifluoroacetic acid as a standard substance, and the signal of the standard substance was set to 0 ppm.
[0067]
[Example 1]
2.083 g of magnesium was charged into a reactor equipped with a reflux condenser, a thermometer, a dropping funnel, a nitrogen gas inlet tube and a stirrer, and the inside was sufficiently purged with nitrogen gas. Next, 50 ml of dibutyl ether as an ether solvent was charged into the reactor, and 8.568 g of ethyl bromide was charged into the dropping funnel. Ethyl bromide was added dropwise from the dropping funnel while stirring the contents of the reactor at room temperature under a nitrogen gas atmosphere. After completion of the dropwise addition, the mixture was further stirred at room temperature for 30 minutes to be aged. Thus, ethyl magnesium bromide as a hydrocarbon magnesium halide was obtained. On the other hand, 20.243 g of bromopentafluorobenzene as a halogenated aryl fluoride was charged into the dropping funnel.
[0068]
Next, bromopentafluorobenzene was added dropwise from the dropping funnel while stirring the contents of the reactor at room temperature under a nitrogen gas atmosphere. After completion of the dropwise addition, the mixture was further stirred at room temperature for 30 minutes to be aged. As a result, pentafluorophenyl magnesium bromide as a fluoroaryl magnesium halide was obtained as a dibutyl ether solution. The reaction was clear. On the other hand, a solution prepared by dissolving 3.683 g of phosphorus trichloride as a group V compound in 50 ml of toluene as a solvent was charged into the dropping funnel.
[0069]
Next, a toluene solution was dropped from the dropping funnel while stirring the contents of the reactor at room temperature under a nitrogen gas atmosphere. After completion of the dropwise addition, the mixture was stirred at room temperature overnight and aged. Thereby, tris (pentafluorophenyl) phosphine as a compound having a fluoroaryl group was obtained as a dibutyl ether / toluene suspension. Almost no coloring was observed in this suspension.
[0070]
Subsequently, an aqueous solution prepared by dissolving 2.904 g of phosphoric acid in 50.10 g of water was charged into the dropping funnel, and the aqueous solution was dropped from the dropping funnel while stirring the contents of the reactor. The temperature was adjusted so as not to exceed ℃. After the addition, the mixture was further stirred for 30 minutes. The contents were transparent.
[0071]
After the completion of the reaction, the contents of the reactor were transferred to a separating funnel and allowed to stand. The contents easily separated into an organic layer and an aqueous layer. After removing the aqueous layer, the organic layer was analyzed by HPLC (high performance liquid chromatography). As a result, the organic layer contained 13.267 g of tris (pentafluorophenyl) phosphine. Therefore, the yield of tris (pentafluorophenyl) phosphine was 91.2% based on bromopentafluorobenzene.
[0072]
[Example 2]
2.091 g of magnesium was placed in the same reactor as in Example 1, and the inside was sufficiently purged with nitrogen gas. Next, 50 ml of diethyl ether as an ether solvent was charged into the reactor, and 8.543 g of ethyl bromide was charged into the dropping funnel. Ethyl bromide was added dropwise from the dropping funnel while stirring the contents of the reactor at room temperature under a nitrogen gas atmosphere. After completion of the dropwise addition, the mixture was further stirred at room temperature for 30 minutes to be aged. On the other hand, 20.252 g of bromopentafluorobenzene was charged into the dropping funnel.
[0073]
Next, bromopentafluorobenzene was added dropwise from the dropping funnel while stirring the contents of the reactor at room temperature under a nitrogen gas atmosphere. After completion of the dropwise addition, the mixture was further stirred at room temperature for 30 minutes to be aged. The reaction was clear. On the other hand, a solution prepared by dissolving 3.652 g of phosphorus trichloride in 50 ml of toluene was charged into the dropping funnel.
[0074]
Next, a toluene solution was dropped from the dropping funnel while stirring the contents of the reactor at room temperature under a nitrogen gas atmosphere. After completion of the dropwise addition, the mixture was stirred at room temperature overnight and aged. As a result, tris (pentafluorophenyl) phosphine was obtained as a diethyl ether / toluene suspension. Almost no coloring was observed in this suspension.
[0075]
Subsequently, an aqueous solution obtained by dissolving 2.808 g of phosphoric acid in 50.28 g of water is charged into the dropping funnel, and while stirring the contents of the reactor, the aqueous solution is dropped from the dropping funnel and the internal temperature is reduced to 40 ° C. The temperature was adjusted so as not to exceed ℃. After the addition, the mixture was further stirred for 30 minutes. The contents were transparent.
[0076]
After the completion of the reaction, the contents of the reactor were transferred to a separating funnel and allowed to stand. The contents easily separated into an organic layer and an aqueous layer. After the aqueous layer was removed, the organic layer was analyzed by HPLC. As a result, the organic layer contained 12.731 g of tris (pentafluorophenyl) phosphine. Therefore, the yield of tris (pentafluorophenyl) phosphine was 87.5% based on bromopentafluorobenzene.
[0077]
[Example 3]
2.077 g of magnesium was charged into the same reactor as in Example 1, and the inside was sufficiently purged with nitrogen gas. Next, 55 ml of dibutyl ether was charged into the reactor, and 8.520 g of ethyl bromide was charged into the dropping funnel. Ethyl bromide was added dropwise from the dropping funnel while stirring the contents of the reactor at room temperature under a nitrogen gas atmosphere. After completion of the dropwise addition, the mixture was further stirred at room temperature for 30 minutes to be aged. On the other hand, 20.068 g of bromopentafluorobenzene was charged into the dropping funnel.
[0078]
Next, bromopentafluorobenzene was added dropwise from the dropping funnel while stirring the contents of the reactor at room temperature under a nitrogen gas atmosphere. After completion of the dropwise addition, the mixture was further stirred at room temperature for 30 minutes to be aged. The reaction was clear. On the other hand, a solution obtained by dissolving 3.619 g of phosphorus trichloride in 30 ml of toluene was charged into the dropping funnel.
[0079]
Next, a toluene solution was dropped from the dropping funnel while stirring the contents of the reactor at room temperature under a nitrogen gas atmosphere. After completion of the dropwise addition, the mixture was stirred at room temperature overnight and aged. Thus, tris (pentafluorophenyl) phosphine was obtained as a dibutyl ether / toluene suspension. Almost no coloring was observed in this suspension.
[0080]
Subsequently, an aqueous solution in which 2.712 g of hydrochloric acid was dissolved in 50.277 g of water was charged into the dropping funnel, and the aqueous solution was added dropwise from the dropping funnel while stirring the contents of the reactor. The temperature was adjusted so as not to exceed. After the addition, the mixture was further stirred for 30 minutes. The contents were transparent.
[0081]
After the completion of the reaction, the contents of the reactor were transferred to a separating funnel and allowed to stand. The contents easily separated into an organic layer and an aqueous layer. After removing the aqueous layer, the organic layer was washed with saturated saline. Thereafter, the organic layer was analyzed by HPLC. As a result, the organic layer contained 13.006 g of tris (pentafluorophenyl) phosphine. Therefore, the yield of tris (pentafluorophenyl) phosphine was 90.2% based on bromopentafluorobenzene.
[0082]
[Example 4]
2.086 g of magnesium was charged into the same reactor as in Example 1, and the inside was sufficiently purged with nitrogen gas. Next, 50 ml of dibutyl ether was charged into the reactor, and 8.601 g of ethyl bromide was charged into the dropping funnel. Ethyl bromide was added dropwise from the dropping funnel while stirring the contents of the reactor at room temperature under a nitrogen gas atmosphere. After completion of the dropwise addition, the mixture was further stirred at room temperature for 30 minutes to be aged. On the other hand, 19.920 g of bromopentafluorobenzene was charged into the dropping funnel.
[0083]
Next, bromopentafluorobenzene was added dropwise from the dropping funnel while stirring the contents of the reactor at room temperature under a nitrogen gas atmosphere. After completion of the dropwise addition, the mixture was further stirred at room temperature for 30 minutes to be aged. The reaction was clear. Meanwhile, a solution prepared by dissolving 3.626 g of phosphorus trichloride in 50 ml of toluene was charged into the dropping funnel.
[0084]
Next, a toluene solution was dropped from the dropping funnel over 1 hour while stirring the content of the reactor under water cooling under a nitrogen gas atmosphere. After completion of the dropwise addition, the mixture was stirred for 1 hour under water cooling, and then heated to 50 ° C., and then stirred at the same temperature for 6 hours to mature. Thus, tris (pentafluorophenyl) phosphine was obtained as a dibutyl ether / toluene suspension. Almost no coloring was observed in this suspension.
[0085]
Subsequently, an aqueous solution obtained by dissolving 2.900 g of phosphoric acid in 50.12 g of water is charged into the dropping funnel, and while stirring the contents of the reactor, the aqueous solution is dropped from the dropping funnel and the internal temperature is reduced to 40 ° C. The temperature was adjusted so as not to exceed ℃. After the addition, the mixture was further stirred for 30 minutes. The contents were transparent.
[0086]
After the completion of the reaction, the contents of the reactor were transferred to a separating funnel and allowed to stand. The contents easily separated into an organic layer and an aqueous layer. After removing the aqueous layer, the organic layer was analyzed by HPLC. As a result, the organic layer contained 12.949 g of tris (pentafluorophenyl) phosphine. Therefore, the yield of tris (pentafluorophenyl) phosphine was 90.5% based on bromopentafluorobenzene.
[0087]
[Example 5]
2.092 g of magnesium was charged into the same reactor as in Example 1, and the inside was sufficiently purged with nitrogen gas. Next, 50 ml of dibutyl ether was charged into the reactor, and 8.583 g of ethyl bromide was charged into the dropping funnel. Ethyl bromide was added dropwise from the dropping funnel while stirring the contents of the reactor at room temperature under a nitrogen gas atmosphere. After completion of the dropwise addition, the mixture was further stirred at room temperature for 30 minutes to be aged. On the other hand, 20.079 g of bromopentafluorobenzene was charged into the dropping funnel.
[0088]
Next, bromopentafluorobenzene was added dropwise from the dropping funnel while stirring the contents of the reactor at room temperature under a nitrogen gas atmosphere. After completion of the dropwise addition, the mixture was further stirred at room temperature for 30 minutes to be aged. The reaction was clear. On the other hand, a solution obtained by dissolving 3.694 g of phosphorus trichloride in 50 ml of toluene was charged into the dropping funnel.
[0089]
Next, a toluene solution was dropped from the dropping funnel over 1 hour while stirring the content of the reactor under water cooling under a nitrogen gas atmosphere. After completion of the dropwise addition, the mixture was stirred for 1 hour under water cooling, and then heated to 60 ° C., and then stirred at the same temperature for 6 hours to mature. Thus, tris (pentafluorophenyl) phosphine was obtained as a dibutyl ether / toluene suspension. Almost no coloring was observed in this suspension.
[0090]
Subsequently, an aqueous solution prepared by dissolving 2.889 g of phosphoric acid in 50.06 g of water was charged into the dropping funnel, and the aqueous solution was dropped from the dropping funnel while stirring the contents of the reactor. The temperature was adjusted so as not to exceed ℃. After the addition, the mixture was further stirred for 30 minutes. The contents were transparent.
[0091]
After the completion of the reaction, the contents of the reactor were transferred to a separating funnel and allowed to stand. The contents easily separated into an organic layer and an aqueous layer. After removing the aqueous layer, the organic layer was analyzed by HPLC. As a result, the organic layer contained 12.648 g of tris (pentafluorophenyl) phosphine. Therefore, the yield of tris (pentafluorophenyl) phosphine was 87.7% based on bromopentafluorobenzene.
[0092]
[Comparative Example 1]
2.079 g of magnesium was placed in the same reactor as in Example 1, and the inside of the reactor was sufficiently purged with nitrogen gas. Next, 50 ml of diethyl ether was charged into the reactor, and 20.09 g of bromopentafluorobenzene was charged into the dropping funnel. Under a nitrogen gas atmosphere, bromopentafluorobenzene was added dropwise from the dropping funnel while stirring the contents of the reactor at room temperature. After completion of the dropwise addition, the mixture was further stirred at room temperature for 3 hours and aged. On the other hand, a solution prepared by dissolving 3.550 g of phosphorus trichloride in 50 ml of toluene was charged into the dropping funnel.
[0093]
Next, a toluene solution was dropped from the dropping funnel while stirring the contents of the reactor at room temperature under a nitrogen gas atmosphere. After completion of the dropwise addition, the mixture was stirred at room temperature overnight and aged. As a result, tris (pentafluorophenyl) phosphine was obtained as a diethyl ether / toluene solution. This reaction solution was colored black.
[0094]
Subsequently, an aqueous solution obtained by dissolving 2.922 g of phosphoric acid in 50.06 g of water was charged into the dropping funnel, and the aqueous solution was dropped from the dropping funnel while stirring the contents of the reactor. After the addition, the mixture was further stirred for 30 minutes. The contents were colored black.
[0095]
After the completion of the reaction, the contents of the reactor were transferred to a separating funnel and allowed to stand. The contents did not readily separate into organic and aqueous layers. After removing the aqueous layer, the organic layer was washed with saturated saline in order to remove water contained in the organic layer. After that, when the organic layer was analyzed by HPLC, the organic layer contained only 8.352 g of tris (pentafluorophenyl) phosphine. Therefore, the yield of tris (pentafluorophenyl) phosphine was bromopentane. It was 58.1% based on fluorobenzene.
[0096]
[Comparative Example 2]
2.480 g of magnesium was placed in the same reactor as in Example 1, and the inside of the reactor was sufficiently purged with nitrogen gas. Next, 56 ml of tetrahydrofuran was charged into the reactor, and 24.030 g of bromopentafluorobenzene was charged into the dropping funnel. Under a nitrogen gas atmosphere, bromopentafluorobenzene was added dropwise from the dropping funnel over 2 hours while stirring the contents of the reactor at room temperature. After completion of the dropwise addition, the mixture was further stirred at room temperature for 3 hours and aged. Meanwhile, a solution obtained by dissolving 4.360 g of phosphorus trichloride in 56 ml of tetrahydrofuran was charged into the dropping funnel.
[0097]
Next, a tetrahydrofuran solution was dropped from the dropping funnel over 1 hour while stirring the content of the reactor at room temperature under a nitrogen gas atmosphere. After the completion of the dropwise addition, the mixture was stirred at room temperature overnight and aged. As a result, tris (pentafluorophenyl) phosphine was obtained as a tetrahydrofuran solution.
[0098]
Subsequently, an aqueous solution prepared by dissolving 3.42 g of phosphoric acid in 50 ml of water was charged into the dropping funnel, and the aqueous solution was dropped from the dropping funnel over 1 hour while stirring the contents of the reactor. After the addition, the mixture was further stirred for 30 minutes.
[0099]
After the reaction was completed, the contents of the reactor were allowed to stand, but the contents did not separate into an organic layer and an aqueous layer. Then, 50 ml of saturated saline was put into the reactor, and the content of the reactor was stirred for 30 minutes, and then the content was transferred to a separating funnel and allowed to stand. The contents separated into an organic layer and an aqueous layer. After removing the aqueous layer, the organic layer was washed with 50 ml of saturated saline, and then water contained in the organic layer was removed (dried) by adding anhydrous magnesium sulfate. Thereafter, the solvent was distilled off by distilling the organic layer under reduced pressure to obtain 14.5 g of a brown oily substance containing tris (pentafluorophenyl) phosphine.
[0100]
19 When analyzed by an F-NMR apparatus, the purity of tris (pentafluorophenyl) phosphine was 80.0%. Therefore, the yield of tris (pentafluorophenyl) phosphine was 67.2% based on bromopentafluorobenzene.
[0101]
【The invention's effect】
As described above, the method for producing a compound having a fluoroaryl group-containing compound of the present invention is a method for producing a fluoroarylmagnesium halide obtained by reacting a hydrocarbon magnesium halide with a halogenated aryl fluoride in a solvent containing an ether solvent. And a group V compound.
[0102]
Therefore, according to the above-described method, a fluoroarylmagnesium halide is obtained by subjecting a hydrocarbon magnesium halide to a halogenated aryl fluoride in a Grignard exchange reaction in a solvent containing an ether-based solvent. Is compared with a case where a fluorinated arylmagnesium halide is obtained by performing a Grignard reaction between magnesium and magnesium, to obtain a fluorinated aryl group-containing compound as a target substance without coloring, with high purity, high yield, easily and industrially. This has the effect of being able to be manufactured at a high speed.
Claims (4)
R1MgXa ……(1)
(式中、R1は炭化水素基を示し、Xa は塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す)
で表される炭化水素マグネシウムハライドと、
一般式(2)
で表されるフッ化アリールマグネシウムハライドと、
一般式(4)
Xc3MLm ……(4)
(式中、Xc はハロゲン原子またはアルコキシ基を示し、MはV族に属する原子を示し、LはVIb族に属する原子を示し、mは0または1である)
で表されるV族化合物とを反応させることを特徴とする一般式(5)
で表されるフッ化アリール基含有化合物の製造方法。General formula (1)
R 1 MgXa (1)
(In the formula, R 1 represents a hydrocarbon group, and Xa represents a chlorine atom, a bromine atom or an iodine atom.)
A hydrocarbon magnesium halide represented by:
General formula (2)
A fluoroaryl magnesium halide represented by
General formula (4)
Xc3MLm (4)
(Wherein, Xc represents a halogen atom or an alkoxy group, M represents an atom belonging to Group V, L represents an atom belonging to Group VIb, and m is 0 or 1)
Reacting with a group V compound represented by the following general formula (5):
A method for producing a fluorinated aryl group-containing compound represented by the formula:
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010215569A (en) * | 2009-03-17 | 2010-09-30 | Nippon Shokubai Co Ltd | Method for producing grignard reagent |
US8374728B2 (en) | 2010-12-22 | 2013-02-12 | Lg Electronics Inc. | Power management apparatus for controlling consumption power and method of operating the same |
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-
2002
- 2002-06-03 JP JP2002161675A patent/JP2004010486A/en active Pending
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CN108610232B (en) * | 2018-06-21 | 2021-03-23 | 中国科学院上海有机化学研究所 | Application of trivalent iodine compound as catalyst in Balz-Schiemann reaction |
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