JP2004005694A - 画像処理方法、デジタル画像プロセッサ、デジタルカメラ、デジタル写真仕上げシステム及びプログラム - Google Patents

画像処理方法、デジタル画像プロセッサ、デジタルカメラ、デジタル写真仕上げシステム及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】デジタル画像のピクセル中の1以上のチャネルにおいて、クリッピングによって失われた情報を推定できるようにする。
【解決手段】本発明は、多チャネル画像中の1以上のクリップされたピクセルの1以上のクリップされたチャネルについての値を、1以上のクリップされたピクセルのクリップしていないチャネル及び1以上のクリップされたチャネルに近い1以上のクリップしていないチャネルとから得られる情報に依存して推定するステップを有する、画像処理の方法及びシステムを提供する。本発明は、クリッピングを経験したいずれかまたは全てのチャネルの値を推定できるようにする方法を提供する。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像処理の方法及びシステムに関する。特に、本発明は、1つかそれ以上のピクセルがクリッピングを経験している画像の画像処理の方法及びシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
人間の視覚系が著しく広いダイナミックレンジを有していることは周知である。人間の視覚系は広い範囲の現実の場面の輝度に対応することができ、それを平均場面明度に適応することによって達成する。何らかの単一適応明度で、対応できる輝度の範囲は適応を行うことのできる明度の範囲と比較して小さいが、これは、例えば、「デジタル画像処理(“Digital Image Processing”)」、ゴンザレス(Gonzales)及びウィンツ(Wintz)、第2版、1987年、16〜17ページで論じられている通りである。
【0003】
それと対照的に、デジタル静止画像カメラのようなデジタル画像取り込み装置は、人間の視覚系(HVS)の総合ダイナミックレンジと比較してかなり制限されたダイナミックレンジを有する。しかし、これは、HVSが単一の明度に適応されている時にはHVSに匹敵する。単一の明度に適応されている時でさえ、HVSのダイナミックレンジはデジタル取り込み装置のダイナミックレンジより優れている。デジタル画像取り込み装置によって取り込みできる場面明度の範囲は、例えば電荷結合素子(CCD)のような取り込み装置の電子機器素子によって制限される。従って、装置の階調範囲での妥協が行われ、装置はダイナミックレンジの両極端で、明度の小さな変化を区別できないことが多い。その結果、取り込み媒体の利用可能なダイナミックレンジより高い(または低い)場面輝度が、媒体が示しうる最大値(または最小値)に制約される時、クリッピングが発生する。
【0004】
通常赤、緑及び青のチャネルを備える、アナログまたはデジタルマルチチャネル画像化システムでは、図1に示すように1つかそれ以上のチャネルでクリッピングが発生しうる。図1は、高輝度部クリッピングを示す三色画像中の直線に沿った信号振幅の変化のグラフである。この画像を取り込むために使用された装置は制限されたダイナミックレンジを有しており、3つのチャネルの何れかの最大信号レベルは場面輝度を正確に表すには不十分である。赤チャネルが位置xで最初に最大値Amaxに達し、次いで緑、最後に青がそれぞれ位置x及びxでそれに続く。赤チャネルが値Amaxに達する時、緑及び青チャネルは画像中のこの線に沿って変化し続ける。その時赤チャネルの値はAmaxで一定なので、色バランスは有害な影響を受ける。
【0005】
クリッピングが1つのチャネル(例えば、赤、緑または青)だけで発生し、他のチャネルがクリップしていない時、そのピクセルは単一クリップ(singly clipped)したと呼ばれる。クリッピングが2つのチャネルで発生する時(例えば、赤と緑、ただし青はクリップしていない)、そのピクセルは二重クリップ(doubly clipped)したと呼ばれる。クリッピングが3つのチャネル全てで発生する場合、そのピクセルは三重クリップ(triply clipped)したと呼ばれる。図1を参照して説明するように、高輝度クリッピングの結果、赤、緑及び青チャネルの相対振幅の変化による細部の損失と色のずれが起こることがある。例えば、白色人種の肌の色調はクリップした領域では赤みがかった黄色になることがある。取り込み装置のダイナミックレンジが不十分で低い場面輝度を区別できないシャドウクリッピングでは、取り込まれた画像のシャドウ領域中の細部が遮断されることがある。
【0006】
下記特許文献は、カラー・ビデオ信号の1つのチャネルでのクリッピングによって発生する色相変化の影響を低減する方法を開示する。この特許で開示される1つの実動化方法では、ビデオ信号の1つのチャネルがクリップした時、信号の他のチャネルは、その信号がクリップされた瞬間にそれらのチャネルが保持していた値に等しい一定のレベルに固定される。信号がクリップしなくなる時までそれらのチャネルは固定される。他の実動化では1つの色チャネルのクリップが検出されると、クリップしていない色チャネルに減衰関数が適用される。このアルゴリズムは、信号のクリップしていないチャネルを修正することによってクリップした信号の持続期間にわたって色相を維持するが、いかなる形でもクリップしたチャネルを推定しようとはしていない。
【0007】
ヒューレット・パッカード社のフォトスマート(PhotoSmart)ソフトウェア(登録商標)は、いくつかの企業の製品にバンドルされており、画像中のクリップしたピクセルを強調するツールを提供する。このソフトウェアのユーザは、クリップがなくなるまでクリップしたピクセルのコード・レベルを修正することができる。このソフトウェアはいかなる形でもクリップしたチャネルを推定しようとはしていない。
【0008】
【特許文献1】
米国特許第5,274,439号明細書
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
デジタル画像のピクセル中の1以上のチャネルにおいてクリッピングによって失われた情報を推定できるようにする方法及びシステムが必要である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様によれば、画像処理の方法であって、多チャネル画像中の1以上のクリップされたピクセルの1以上のクリップされたチャネルについての値を、1以上のクリップされたピクセルのクリップしていないチャネル及び1以上のクリップされたピクセルに近い1つかそれ以上のクリップしていないピクセルとから得られる情報に依存して推定するステップを有する方法が提供される。
【0011】
好ましくは、本方法は、異なる単一クリップされたチャネルを有するピクセルについて、デジタル画像中の1以上のクリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を推定するステップを順に繰り返すステップを有する。
【0012】
好ましくは、本方法はさらに、1以上の単一クリップされたピクセルを、それぞれハイライト部クリッピング及びシャドウ部クリッピングについて、次式の条件の1つを満足するピクセルとして識別するステップを有する。
【0013】
(Z≧(Zh,cl−N))&(X≦(Xh,cl−N))&(Y≦(Yh,cl−N))、または
(Z≦(Zs,cl+N))&(X≧(Xs,cl+N))&(Y≧(Ys,cl+N))
そこで、X、Y及びZは各ピクセル(Zは単一クリップされたチャネルについての値である)中のチャネルの値であり、
h,cl、Xh,cl、及びYh,clは、ハイライト部クリッピングが発生している、それぞれZ、X及びYの可能な値の範囲の限度であり、
s,cl、Xs,cl、及びYs,clは、シャドウ部クリッピングが発生している、それぞれZ、X及びYの可能な値の範囲の限度であり、
は、クリップしきい値、すなわち、それ以上(ハイライト部クリッピングの場合)またはそれ以下(シャドウ部クリッピングの場合)でチャネルがクリップする値を定義するために使用される値である。
【0014】
1以上の単一クリップされたピクセルに近い1以上のクリップしていないピクセルを、1以上の単一クリップされたピクセルからの距離に依存して識別すればよい。
【0015】
これは、識別された単一クリップされたピクセルの対象となる範囲を拡大し、この拡大された範囲から識別された単一クリップされたピクセルの対象となる範囲を減算し、かつクリップ近傍の領域から1以上の所定の要求を満足しないピクセルがあればそれを除外することによって達成すればよい。
【0016】
その1以上の予め定められた要求の一例は、画像内の境界のピクセルが設定数以内であれば除外する、というものである。1以上の要求のさらなる例は、単一クリップされたピクセルに近い1以上のピクセルの1以上のチャネルの値が予め定められた範囲の外にある場合である。
【0017】
識別されたクリップされたピクセルの対象となる範囲は、何らかの適切な拡大方法を使用して拡大すればよい。1つの例はバイナリ版の画像上の構造要素の動作によるものである。
【0018】
好ましくは、1以上の単一クリップされたピクセルをクリップ領域内でグループ化し、各領域について集合的に推定を行う。
【0019】
単一クリップされたピクセルの領域をグループ化する1つの可能な方法は、n成分連結アルゴリズムまたは何らかの他の適切な連結アルゴリズムの使用による。nの値の例は4または8である。
【0020】
好ましくは、領域がピクセルの所定のしきい値数より大きい場合、その中のクリップされたピクセルを推定し、そうでない場合その領域は無視してもよい。ピクセルのしきい値数は、画像の最終出力中で観察者の裸眼で領域が見えるように決定され、その領域が含むピクセルがこれより少ない場合、領域を推定しない。
【0021】
通常、ピクセルのしきい値数は、画像中のピクセルの数の0.02%までに定義する。例えば、画像サイズが1500×1000ピクセルの場合、しきい値は300ピクセルまででよい。
【0022】
本発明の方法の1つの例では、線形回帰の結果を使用して、推定により、1以上の単一クリップされたピクセルのクリップされたチャネルの値を決定する。他の方法を使用してもよい。例えば、高次関係回帰の結果を使用して、クリップされたチャネル(単数または複数)の値を推定してもよい。
【0023】
線形回帰の結果を使用してクリップされたチャネル値を推定する推定を行う場合、推定への入力は好ましくは単一クリップされたピクセルのクリップしていないチャネルの値と、回帰係数a、a及びaを含むが、回帰係数は、最小自乗法又は代替的には適応ハフ変換(Hough transform)を使用して計算すればよい。
【0024】
好ましくは、回帰が行われ単一クリップされたピクセルの値が推定された後、推定された単一クリップされたピクセルの色調スケールを調整する。画像の色調スケールを調整する方法の例は、英国特許出願第0120489.0号で説明されている。
【0025】
単一クリップされたピクセル領域にわたる色相及び/または彩度の変化がある場合、本方法は、単一クリップ近傍のピクセルを変換空間に変換するステップと、変換された単一クリップ近傍のピクセルを変換空間中の座標によって定義される範囲にグループ化するステップとを含む。次に、各範囲について回帰係数を計算しビニング配列(binning array)に格納する。次に、変換空間中の単一クリップされたピクセルの座標を決定し、変換空間中の座標に対応する回帰係数を使用して、クリップ領域中のピクセルの各領域についてクリップされたチャネルの値を推定する。
【0026】
1つの例では、変換空間はデルタ空間であり、そこではデルタが単一クリップされたピクセルの2つのクリップしていないチャネルの値の間の差として定義される。他の例では、変換空間は、単一クリップされたピクセルの2つのクリップしていないチャネルの値の間の比によって定義される。
【0027】
好ましい実施形態では、変換空間は次式によって定義される三次元色空間(T空間)である。
【0028】
neu=(r+g+b)/√3
gm=(2g−r−b)/√6
ill=(b−r)/√2
そこで、r、g及びbは、画像ピクセルの赤、緑及び青線形輝度の対数である。線形輝度は適当な逆RGB非線形関数を適用することによって得られる。
【0029】
好ましくは、ビニング配列はgm及びillに関してのみ定義される二次元回帰ビニング配列であり、回帰係数の対応する集合a、a及びaが、変換色空間中のgm及びill各々について決定される。
【0030】
好ましい例では、クリップ領域のピクセル中のクリップされたチャネルによるデータの損失によって導入されるgm及び/またはill座標の誤差を考慮する誤差信号が生成される。誤差信号は、各クリップ及びクリップ近傍のピクセル領域のgm、illヒストグラム間の相互相関によって生成すればよく、その際対応する相関空間中のピークの位置がgm及び/またはill各座標中の平均修正を提供する。
【0031】
さらに好ましくは、クリップ領域は選択されるパラメータに依存して領域に細分され、細分された各領域中のピクセルについてそれぞれ誤差信号が決定される。選択されるパラメータは(T空間中に定義される)色相空間でもよい。
【0032】
好ましくは、クリップ領域はP個の領域に細分されるが、その際Pは2〜10(2と10を含む)であり、誤差信号が各細分領域について生成される。各細分領域についての誤差信号は、細分された各クリップ領域及びクリップ近傍の領域のgm、illヒストグラム間の相互相関によって決定され、その際対応する相関空間中のピークの位置が各細分クリップ領域中のピクセルについてのgm及び/またはill各座標の平均修正を提供する。
【0033】
1つの例では、Pはクリップ領域中のピクセルについての色相のパーセンタイル(percentile)値に依存して計算する。
【0034】
好ましくは、いずれかまたは全ての単一クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を計算した後、1以上の二重クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を、1以上の二重クリップされたピクセルのクリップしていないチャネル及び1以上の二重クリップされたピクセルに近い1以上のクリップしていないピクセルとから得られる情報に依存して、二重クリップされたピクセルの1以上のパラメータを調整することによって推定する。
【0035】
好ましくは、1以上のパラメータには、二重クリップされたピクセルの色相及び/または彩度が含まれる。1以上の二重クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を推定するステップは、二重クリップされたピクセル領域を識別するステップと、二重クリップ近傍のピクセル領域を識別するステップとを有する。領域が識別されると、本方法は二重クリップ近傍(near doubly clipped)の領域を、例えば上記で定義されたT空間のような直交色空間に変換するステップを有する。
【0036】
二重クリップ近傍のピクセルを変換した後、その二重クリップ近傍のピクセルから二次元gm、illヒストグラムが形成される。二次元gm、illヒストグラムに基づいて、クリップされた領域中のピクセルの色のT空間値の表示に対応するgm及びill、gmsel及びillselの値が選択される。最後に、所定の数式により、二重クリップされた領域中のクリップされたチャネルについての新しい値が推定される。
【0037】
T空間を変換空間として使用し、二重クリップされたピクセルが赤及び緑チャネルでクリップしている場合、各クリップされたチャネルについての値を推定するために使用される数式は次式である。
【0038】
【数1】
Figure 2004005694
【0039】
そこで、bは二重クリップされた領域中のピクセルの青線形輝度の対数であり、rest、gestは二重クリップされたピクセル領域中のピクセルについてのr及びgの推定値である。
【0040】
T空間を変換空間として使用し、二重クリップされたピクセルが赤及び青チャネルでクリップしている場合、各クリップされたチャネルについての値を推定するために使用される数式は次式である。
【0041】
【数2】
Figure 2004005694
【0042】
そこで、gは二重クリップされた領域中のピクセルの緑線形輝度の対数であり、rest、bestは二重クリップされたピクセル領域中のピクセルについてのr及びbの推定値である。
【0043】
T空間を変換空間として使用し、二重クリップされたピクセルが青及び緑チャネルでクリップしている場合、各クリップされたチャネルについての値を推定するために使用される数式は次式である。
【0044】
【数3】
Figure 2004005694
【0045】
そこで、rは二重クリップされた領域中のピクセルの赤線形輝度の対数であり、gest、bestは二重クリップされたピクセル領域中のピクセルについてのg及びbの推定値である。推定された対数値rest、gest及びbestから導出されるクリップされたチャネルの推定線形値Rest、Gest及びBestは予め定められた範囲に制約される。
【0046】
好ましくは、二次元gm、illヒストグラムに基づいて選択されるgm及びillの値はそれぞれモード値gmmode及びillmode、すなわちgm及びillの最も頻繁に発生する値である。
【0047】
好ましくは、二重クリップされたピクセル領域を識別するステップは、次式のそれぞれハイライト部クリッピング及びシャドウ部クリッピングについての以下の条件の1つを満足するピクセルを識別するステップを有する。
【0048】
(X≧(Xh,cl−N))&(Y≧(Yh,cl−N))&(Z≦(Zh,cl−N))または、
(X≦(Xs,cl+N))&(Y≦(Ys,cl+N))&(Z≧(Zs,cl+N))
そこで、X、Y及びZは各ピクセル中のチャネルの値であり、
h,cl、Yh,cl及びZh,clは、ハイライト部クリッピングが発生している、それぞれX、Y及びZの可能な値の範囲の限度であり、
s,cl、Ys,cl及びZs,clは、シャドウ部クリッピングが発生している、それぞれX、Y及びZの可能な値の範囲の限度であり、
はクリップしきい値を定義するために使用される値である。
【0049】
好ましくは、画像内のピクセルの二重クリップ近傍の領域を識別するステップは、1以上の二重クリップされたピクセルからの距離に依存して識別される、1以上の二重クリップされたピクセルに近い1以上のクリップしていないピクセルを選択するステップを含む。
【0050】
1以上の二重クリップされたピクセルに近い1以上のクリップしていないピクセルは、識別された二重クリップされたピクセルの対象となる範囲を所定の比率で拡大し、識別された二重クリップされたピクセルの対象となる範囲を減算することによって識別される。
【0051】
ピクセルの二重クリップ近傍の領域を識別するステップはさらに、識別された二重クリップされたピクセルの対象となる範囲を拡大するステップの後、二重クリップ近傍の領域から1以上の予め定められた要求を満足しないピクセルがあればそれを除外するステップを含んでもよい。
【0052】
好ましくは、二重クリップされたチャネルの可能な組み合わせ各々を有するピクセルについての値を順に推定する。
【0053】
好ましくは、本方法は、いくつかまたは全ての二重クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を推定した後、多チャネル画像中の1以上の三重クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を、1以上の三重クリップされたピクセルに近い1以上のクリップしていないピクセルから得られる情報に依存して推定するステップをさらに有する。
【0054】
三重クリップされたピクセルを識別するステップは、次式のそれぞれハイライト部クリッピング及びシャドウ部クリッピングについて、2つの以下の要求のうち1つを満足する全てのピクセルを選択することによって実行すればよい。
【0055】
(X≧(Xh,cl−N))&(Y≧(Yh,cl−N))&(Z≧(Zh,cl−N))または、
(X≦(Xs,cl+N))&(Y≦(Ys,cl+N))&(Z≦(Zs,cl+N))
そこで、X、Y及びZは各ピクセル中のチャネルの値であり、
h,cl、Yh,cl及びZh,clは、ハイライト部クリッピングが発生している、それぞれX、Y及びZの可能な値の範囲の限度であり、
s,cl、Ys,cl及びZs,clは、シャドウ部クリッピングが発生している、それぞれX、Y及びZの可能な値の範囲の限度であり、
はクリップしきい値を定義するために使用される値である。
【0056】
好ましくは、本方法はさらに、連結された三重クリップされたピクセルの数が、例えば画像中のピクセルの数の0.02%までといった予め定められた量より大きい三重クリップされたピクセル領域を形成するステップを含む。
【0057】
1以上の三重クリップされたピクセルに近い1以上のクリップしていないピクセルは、1以上の三重クリップされたピクセルからの距離に依存して識別すればよい。
【0058】
単一クリップ近傍(near singly clipped)及び二重クリップ近傍のピクセルを識別する際使用されるのと同様の方法を使用して、三重クリップ近傍(near triply clipped)のピクセルを識別すればよい。
【0059】
好ましくは、本発明による方法はさらに、三重クリップ近傍のピクセル領域中のピクセルのR、G、Bヒストグラム(R、G、Bはピクセル中の色チャネルの値である)を形成するステップと、そこから三重クリップ近傍のピクセルのR、G、Bの値を表す選択値Rsel、Gsel及びBselを決定するステップとを含む。最も好ましくは、選択値Rsel、Gsel及びBselは、ヒストグラム中のR、G及びBの最も一般的に発生する値(Rmode、Gmode及びBmode)であるように選択される。
【0060】
次に、本方法は、三重クリップされたピクセル領域中の全てのピクセルのRGB値をRsel、Gsel及びBselの値に設定するステップを含む。
【0061】
他の例では、サーフェスモデル(surface model)のパラメータを三重クリップ近傍のピクセルの領域から決定し、そのサーフェスモデルを三重クリップされたピクセルの領域に適用する。パラメータは、何らかの適切な方法、例えば最小自乗法を使用して決定すればよい。
【0062】
好ましくは、二重及び/または三重クリップされたピクセルのチャネルについて値を推定した後、推定されたピクセルの色調スケールを調整する。
【0063】
本発明の第2の態様によれば、デジタル画像プロセッサであって、デジタル画像中の1以上の単一クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を、1以上のクリップされたピクセルのクリップしていないチャネル及び1以上の単一クリップされたピクセルに近い1以上のクリップしていないピクセルから得られる情報に依存して推定するよう適用される処理手段を有するデジタル画像プロセッサが提供される。
【0064】
このプロセッサは好ましくはクリップ領域中の1つかそれ以上の単一クリップされたピクセルをグループ化し、クリップ領域中のピクセルのチャネルについての値を集合的に推定するよう適用される。このプロセッサは、単一クリップされたピクセル領域にわたる色相及び/または彩度の変化がある場合、単一クリップ近傍のピクセルを関連変換空間に変換し、次に単一クリップ近傍のピクセルを、変換空間中の座標によって定義される範囲にグループ化するよう適用される。この後、このプロセッサは各範囲について回帰係数を計算し、その回帰係数をビニング配列に格納する。次に、変換空間中の変換された単一クリップ近傍のピクセルのグループに対応する回帰係数を使用してクリップ領域中のピクセルの各領域についてのクリップされたチャネルの値が推定できるように、単一クリップされたピクセルについて変換空間中の座標を決定する。
【0065】
クリップされたチャネルを伴うピクセルでは、クリップしていないチャネル値と、クリップしていないチャネル値に依存して変化しうる回帰係数とを使用して、推定により、クリップされたチャネルについての値を計算する。
【0066】
このプロセッサは好ましくはさらに、いずれかまたは全ての単一クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を推定した後、1以上の二重クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を、1以上の二重クリップされたピクセルのクリップしていないチャネル及び1つ以上の二重クリップされたピクセルに近い1以上のクリップしていないピクセルとから得られる情報に依存して、二重クリップされたピクセルの1つかそれ以上のパラメータを調整することによって推定するよう適用される。
【0067】
さらに好ましくは、このプロセッサはさらに、いずれかまたは全ての二重クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を推定した後、デジタル画像中の1以上の三重クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を、1以上の三重クリップされたピクセルに近い1以上のクリップしていないピクセルから得られる情報に依存して推定するよう適用される。
【0068】
本発明のさらに別の態様によれば、対象のピクセル化されたデジタル画像を取込むための取込み手段と、ピクセル化されたデジタル画像中の1以上の単一クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を推定するよう適用される処理手段とを有するデジタル・カメラが提供される。この値は、1以上の単一クリップされたピクセルのクリップしていないチャネル及び1以上の単一クリップされたピクセルに近い1以上のクリップしていないピクセルから得られる情報に依存して推定する。
【0069】
この処理手段はさらに、いずれかまたは全ての単一クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を推定した後、周囲のクリップしていないピクセルのものと混合する二重クリップされたピクセルのパラメータを調整することによって、ピクセル化された画像から二重クリップされたピクセルのチャネルについての値を推定するよう適用される。
【0070】
この処理手段はさらに、いずれかまたは全ての二重クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を推定した後、三重クリップされたピクセルを周囲の三重クリップ近傍のピクセルと混合することによっていずれかまたは全ての三重クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を推定するよう適用される。
【0071】
この処理手段は、プログラムされたマイクロプロセッサまたはASICといった何らかの適切な処理手段でよい。
【0072】
本発明のさらに別の態様によれば、デジタル写真仕上げシステムであって、処理すべきピクセル化されたデジタル画像を受取る入力手段と、
ピクセル化されたデジタル画像中の1以上の単一クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を、1以上の単一クリップされたピクセルのクリップしていないチャネル及び1以上の単一クリップされたピクセルに近い1以上のクリップしていないチャネルから得られる情報に依存して推定するよう適用される処理手段とを有するデジタル写真仕上げシステムが提供される。
【0073】
好ましくは、この処理手段はさらに、いずれのまたは全ての単一クリップされたピクセルを推定した後、周囲のクリップしていないピクセルのものと混合する二重クリップされたピクセルのパラメータを調整することによって、ピクセル化された画像から1以上の二重クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を推定するよう適用される。
【0074】
好ましくは、この処理手段はさらに、いずれかまたは全ての二重クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を推定した後、三重クリップされたピクセルを周囲の三重クリップ近傍のピクセルと混合することによっていずれかまたは全ての三重クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を推定するよう適用される。
【0075】
好ましくは、この処理手段は、少なくともその1つが、コンピュータ上で実行される時、コンピュータが受取った画像に対して本発明の方法のステップを実行するようにする、1以上の画像処理アルゴリズムを有する画像処理アルゴリズム・データベースと通信するコンピュータを備える。
【0076】
好ましくは、このデジタル写真仕上げシステムは、処理された画像の出力形式を生じるよう適用される、処理された画像を写真材料上に書込むCD書込み装置またはデジタル写真プリンタといった出力手段を有する。
【0077】
本発明のさらに別の態様によれば、コンピュータプログラムであって、プログラムがコンピュータ上で実行される時、本発明に係る方法の全てのステップを行うプログラムコード手段を有するコンピュータプログラムが提供される。本発明はまた、プログラムプロダクトがコンピュータ上で実行される時、本発明に係る方法を行う、コンピュータ読取可能な媒体上に格納されるプログラムコード手段を有するコンピュータプログラムプロダクトを有する。
【0078】
本発明のさらに別の態様によれば、画像処理の方法であって、少なくとも1つのチャネル値がクリップする時、多チャネル画像中のピクセルを識別するステップを含む方法が提供される。クリップしていないピクセルからのチャネル値に基づく関係を生成し、それを適用して識別されたピクセルのクリップされたチャネル値のクリップ除去(declip)を行う。
【0079】
【発明の実施の形態】
ここで、本発明の例を添付の図面を参照して説明する。
【0080】
本発明は、1つかそれ以上のチャネルでクリッピングを経験した値を有し、その際クリッピングは画像のハイライト部及び/またはシャドウ部領域で発生しうるマルチチャネル画像を処理する方法を提供する。本発明は静止画像またはビデオ及び/または一時的画像に適用してもよく、その際、ビデオまたは一時的画像の場合、本発明はフレーム毎に適用される。例えば、デジタル画像の場合、ピクセルが別個の赤、緑及び青(RGB)チャネルを備え、これらのチャネルの1つかそれ以上でクリッピングが発生した場合、本発明はクリッピングによって失われた情報を推定(または復元)する方法を提供する。
【0081】
図2は、本発明の画像処理方法中のステップの概要を示す流れ図である。説明されるステップは、ハイライト部及びシャドウ部クリップされたピクセルの推定に適用される。第1に、ステップ1では、各チャネルについて画像のシャドウ部及びハイライト部領域中でピクセルがクリップする値を求める。第2に、ステップ2では、単一チャネルでクリップしたピクセルを識別し、連結された単一クリップされたピクセルのクラスタを領域に形成する。画像中にハイライト部及びシャドウ部両方のクリップされたピクセルが存在する場合、ハイライト部及びシャドウ部クリップされたピクセルは同じ領域の一部を形成することはできず、独立したハイライト部及びシャドウ部単一クリップ領域が形成される。ステップ4では、識別された単一クリップされたピクセルの各領域について、クリップ近傍のピクセルの領域を求める。クリップ近傍のピクセルの領域を、クリップされたピクセル領域に近い(すなわち、近接した)ピクセルの集合として定義する。さらに、クリップされたピクセル・コード値の予め定められた範囲内のコード値を有するピクセルを、クリップ近傍であり、ひいてはクリップ近傍の領域に含まれるものと定義してもよい。
【0082】
次に、ステップ6では、クリップ近傍のピクセルと、単一クリップされたピクセルのクリップしていないチャネルとに含まれる情報を使用して、クリップされたチャネルの値を推定する。最初、例えば全ての単一赤クリップされたピクセルについてこれを行う。単一赤クリップについての値を推定したら、別の、例えば緑の単一クリップされたチャネルを有するピクセルについての値を推定する。全ての単一クリップされたチャネルのピクセルの領域についてこれを繰り返す。言い換えれば、本発明は、クリップされたピクセルのクリップしていないチャネルから得られる情報と、クリップされたピクセル近傍のクリップしていないピクセルからの情報とに基づいて、デジタル画像中の単一クリップされたピクセルについての値を推定する方法を提供する。これを達成するために適した個々のアルゴリズムの例を以下詳細に説明する。
【0083】
単一クリップされたピクセルの全ての領域について値を推定すると、ステップ8では、2つのチャネルでクリップ値を有したピクセルを識別し、二重クリップされたピクセルの領域を形成する。ハイライト部及びシャドウ部両方の二重クリップされたピクセルが画像中に存在する場合、ハイライト部及びシャドウ部ピクセルは同じ領域の一部を形成することはできず、独立したハイライト部及びシャドウ部単一クリップ領域が形成される。ステップ4と同様、ステップ10では、二重クリップされたピクセルの各領域について二重クリップ近傍のピクセルを求める。次に、ステップ12では、ステップ10で求められた二重クリップ近傍ピクセルと、二重クリップされたピクセル領域のクリップしていないチャネルとに含まれる情報を使用して、クリップされたチャネルについての値を推定する。二重クリップされたピクセルの各組み合わせ、例えば、赤及び緑チャネルでクリップしているが青チャネルでクリップしていないピクセルと、緑及び青チャネルでクリップしているが赤チャネルでクリップしていないピクセルと、青及び赤チャネルでクリップしているが緑チャネルでクリップしていないピクセルとについてこれを繰り返す。
【0084】
二重クリップされたピクセルの全ての領域について値を推定したら、ステップ14では、3つ全てのチャネルでクリップした値を有したピクセルを識別し、連結された三重クリップされたピクセル領域を形成する。単一及び二重クリップされたピクセルの場合と同様、ハイライト部及びシャドウ部三重クリップされたピクセルは同じ領域の一部を形成することはできず、独立したハイライト部及びシャドウ部三重クリップ領域が形成される。ステップ16では、三重クリップされたピクセルの各領域について、三重クリップ近傍ピクセルの集合を求める。次に、ステップ18では、三重クリップ近傍ピクセルに含まれる情報を使用して、三重クリップ領域を修正して周囲付近のピクセルと混合する。最後に、ステップ20では、画像の色調スケールを再整形してモニタまたはプリンタといった出力装置に送る。
【0085】
単一クリップ近傍のピクセル領域と、単一クリップされたピクセルのクリップしていないチャネルとに含まれる情報を使用して単一クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を推定できる。例えば、緑チャネルでピクセルがクリップしている場合、単一クリップ近傍の領域中のピクセルから得られる情報をクリップされたピクセルの赤及び青チャネルからの情報と結合し、それを使用して緑チャネルについての値を推定する。
【0086】
sRGBのような非線形RGB空間中のデジタル画像のデータを分析することによって、単一クリップされたピクセルの領域を識別する。これは、RGB視野空間(viewing space)の1つの可能な例である。sRGBを使用すると、観察者は通常の(基準)観察条件で、調正済みモニタ上に表示された画像を最適に知覚できる。線形画像空間中でクリップされたピクセルの分析及び推定を行う。適当な逆非線形関数をRGB信号に適用することによって、線形RGB信号を得る。sRGB画像の場合、sRGB逆非線形関数をsRGB画像に適用することによって、線形sRGB値を得ることができる。sRGBデータを線形空間に変換すると、データは0〜1.0の範囲となる。ハイライト部クリップされたピクセルは、1.0(クリップ値が1.0に等しい場合)と1.8の上限との間のハイライト部クリップ値を越える値であると推定される。シャドウ部クリップされたピクセルは、0(クリップ値が0に等しい場合)と、−0.8の下限との間のシャドウ部クリップ値より小さい値であると推定される。(ハイライト部に対する)上限及び(シャドウ部に対する)下限は任意に設定されるが、それによって、推定されるピクセルはそれぞれ不合理に高い、または低い値に設定されることはなくなる。
【0087】
ハイライト部でクリップしている単一、二重及び三重クリップされたピクセルを推定する場合について、本発明の詳細な説明を以下に示す。ハイライト部クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を推定する方法からの類推によって、シャドウ部クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を推定する場合がこれに続いて、以下に説明される。RGB画像の任意の色チャネルについて、一定の色相及び彩度と変動する輝度とを有する単一クリップ近傍のピクセルの集合を想定すると、クリップされたチャネルとクリップしていないチャネルとの間の線形関係を決定できる。線形関係を決定すると、それを外挿することで失われたデータの推定が可能になる。
【0088】
「高度工学数学(Advanced Engineering Mathematics)、第8版」、E.クライツィグ(E.Kreyszig)著、ジョン・ワイリー&サンズ(John Wiley & Sons)刊、1999年、1145〜1147ページで説明された、多変量最小自乗回帰の方法を使用してその関係を決定すればよい。この参考文献は、直線、すなわち単一変数に適用される最小自乗の方法の例を示すが、多変数にも容易に拡張することができる。
【0089】
単一クリップされたピクセルについて、クリップされたチャネル値をZとし、クリップしていないチャネル値をX及びYとすると、線形多変量回帰の例は、
Z=a+aX+aY        ・・・   (1)
となり、ここで標準最小自乗技術を使用してクリップ近傍のデータから係数a、a及びaを導出できる。係数がわかれば、数式1を外挿してクリップされたチャネル値Zの推定を得ることができる。言い換えれば、失われたデータを推定できるようにする方法として外挿を使用する。さらに高次の関係を使用してもよい。
【0090】
クリップ近傍のピクセルの色相及び彩度に等しい色相及び彩度を有する単一クリップされたピクセルのクリップされたチャネル値、Z、の推定は、クリップ近傍のピクセルから導出される係数a、a及びaを使用してクリップしていないチャネル値を(X及びY)を数式(1)に代入することによって行えばよい。チャネルZXYは、赤チャネル値を推定する時RGB(赤、緑、青)を指し、緑チャネル値を推定する時GRBを指し、青チャネル値を推定する時BRGを指す。ZXYへのRGBの他の割り当ては、例えば、ZXY=RGBを使用してもよい。
【0091】
クリップ近傍のピクセルから導出された回帰係数と、クリップされたピクセルの他の2つのチャネルからの情報とに基づいて、クリップされたチャネルの各1つについて対応する信号レベルを計算するのに使用される回帰式は、
赤単一クリップされたピクセルについて:Rest=a+aG+a
緑単一クリップされたピクセルについて:Gest=a+aR+a
青単一クリップされたピクセルについて:Best=a+aR+a
であり、ここでRest、Gest、Bestは単一クリップされたピクセルの推定された赤、緑及び青チャネル値であり、R、G、Bは対応する単一クリップされたピクセルのクリップしていないチャネルの値である。
【0092】
最小自乗を使用すると、係数a、a及びaを決定するために使用される正規方程式が次式であることが求められたが、
【0093】
【数4】
Figure 2004005694
【0094】
そこで、x、y及びzはN個の単一クリップ近傍のピクセルの集合中の線形RGBデータ要素である。これらの数式は行列形式に書き換えてもよく、それによって係数a、a及びaが決定できる。
【0095】
本発明による画像処理の1つの方法では、Z、X及びYチャネル中のピクセルがクリップするレベルを決定する。ハイライト部クリッピングの場合、画像中のそれぞれZ、X及びYの最大値Zh,cl、Xh,cl、及びYh,clを選択することによってこれを行う。各チャネルについて、さらに低いクリップしきい値を定義する。このさらに低いクリップしきい値は、さらに低いクリップしきい値及び対応するチャネルについてのクリップ値(すなわち、Zh,cl、Xh,cl、及びYh,cl)との間の差Nが、0と画像または画像を取り込むために使用される取り込み装置に依存して適切に選択される数との間のある数のコード値であるように選択される。Nの値はsRGB画像の場合、通常3コード値に設定される。
【0096】
ハイライト部クリッピングが発生しており、ZがR、GまたはBの何れかであるチャネルZを推定するため、次式の制約を満足するsRGB画像中の全てのピクセルを識別する。
(Z≧(Zh,l−N))&(X<(Xh,cl−N))&(Y<(Yh,cl−N))
(2)
クリップされたピクセルの割合が、例えば画像中のピクセルの合計数の0.02%といった予め定められた値より低い場合、特定のチャネルの推定は必要ない。個々のクリップされたピクセルを識別した後、クリップ領域を連結したクリップされたピクセルから形成する。これは、例えば、4成分連結(4−component connectivity)アルゴリズムまたは何らかの他の適切なアルゴリズム、例えば8成分連結(8−component connectivity)アルゴリズムを使用して行えばよい。
【0097】
必要に応じて、例えば画像中のピクセルの合計数の0.02%といったしきい値数より少ないピクセルを含む全てのクリップ領域をこの段階で無視する。
【0098】
以下説明されるように、クリップされたチャネルZを有する各領域について、その領域についての単一クリップ近傍のピクセルの集合を適切な方法を使用して識別する。次に、クリップ近傍のピクセルから回帰係数a、a及びaを決定し、係数a、a及びaの決定された値に基づいてクリップ領域中の各ピクセルのZチャネルを推定する。
【0099】
図3は、本発明の画像処理方法で使用される単一クリップされたピクセルを推定するステップの概要を示す流れ図である。第1に、ステップ22では、チャネル(赤、緑または青)を選択する。次に、ステップ24では、クリップ領域が存在する場合、クリップ領域に対応するクリップ近傍の領域を識別する。その後、ステップ26では、ステップ24で識別したクリップ近傍のピクセルに基づいて回帰係数a、a及びaを計算する。そして、回帰係数a、a及びaに基づいてクリップされたチャネルについての値を推定し、ステップ30で、推定されたコード値をクリップ・チャネル値の代用にする。この処理を、クリップ領域を含む全てのチャネルについて繰り返す。
【0100】
図4は、単一クリップ領域を有する画像の概略を示す。元の場面32は色相及び彩度が一定であるが、対象を照明したやり方と、場面輝度を取り込むために使用された取り込み装置の制限とのため、単一クリップ領域34が表われている。クリップ近傍の領域36とは、クリップ領域34を取り囲む場合、単一クリップされたピクセルの領域34に対応するクリップ近傍のピクセルの集合を含む領域である。
【0101】
図5は、チャネルZが推定され、チャネルX及びYがクリップしていないという想定で、単一クリップされたピクセルの領域についてクリップ近傍のピクセルの集合を決定する1つの可能な方法の第1の段階を示す流れ図である。チャネルZ、X及びYがクリップする値がそれぞれZh,cl、Xh,cl、及びYh,clに対応する。
【0102】
図5を参照すると、ステップ38では、単一クリップされたピクセル領域のバイナリ画像版を生成し処理に入力する。ステップ40では、「デジタル画像処理、第2版、プラットWK(Pratt WK)著、ジョン・ワイリー&サンズ刊、1991年、472ページで説明されているような6×6構造要素、または何らかの他の適切な拡大処理またはアルゴリズムを使用して、ステップ38で入力された領域を拡張する。ステップ42では、元のバイナリ画像を拡張した領域から減算する。
【0103】
減算の結果二重または三重クリップされたピクセルとして分類された全てのピクセルを領域から除外する。二重または三重クリップしたピクセルは異常値であり、好ましくは回帰から除外する。画像境界(外縁)からのLピクセルの距離より小さいかまたはそれに等しいピクセルがあれば、領域から除外する。これを行うのは、画像を生成した出力装置またはアプリケーションが、単一クリップ近傍のピクセルと誤って分類されうる境界ピクセルを追加したかもしれないからである。通常、Lは10ピクセルに設定されるが、出力装置またはアプリケーションに応じて変化してもよい。それによって第1のクリップ近傍の領域Aが定義されるが、回帰係数a、a及びaを決定する際使用するためクリップ近傍の領域を明瞭に識別するためさらなる処理が必要である。
【0104】
ここで、回帰係数a、a及びaを決定する際使用する単一クリップ近傍のピクセル領域を決定する第2の段階を説明する。図5のステップ38で入力される単一クリップされたピクセル領域のバイナリ・マップが侵食される。「デジタル画像処理、第2版、プラットWK著、ジョン・ワイリー&サンズ刊、1991年、の472ページで典型的な例が説明される3×3構造要素を使用する形態学的バイナリ侵食(morphological binary erosion)といった何らかの適切な侵食を使用すればよい。元のバイナリ画像と侵食したバイナリ画像との差によって形成される領域を求める。二重または三重クリップされたピクセルの領域に隣接する元のバイナリ画像と侵食したバイナリ画像との差の中の全てのピクセル(a)を領域から除外する。さらに、画像境界からのLピクセルの距離より小さいかまたはそれに等しいピクセル(b)があれば、領域から除外する。
【0105】
2つの条件(a)及び(b)の何れかによって除外されなかった、元のバイナリ画像と3×3侵食バイナリ画像との間の差の中の残りのピクセルがsRGBピクセルの集合(c)を形成する。ピクセルの集合(c)のクリップしていないチャネル値X及びYのヒストグラムを形成する。Xチャネル・ヒストグラムのモード値、XmodeとYチャネル・ヒストグラムのモード値、Ymodeを求める。
【0106】
ハイライト部クリッピングについて、次式の基準に一致する、クリップ近傍の領域Aのピクセルの部分集合を求める:
(Zh,cl−N)≦Z<(Zh,cl−N)&(Ymode−0.75N)≦Y≦(Ymode+0.25N)&(Xmode−0.75N)≦X≦(Xmode+0.25N
(3)
そこで、Zh,clは画像中のZチャネルがクリップする値であり、Nは適切に選択されたしきい値コード値、例えばsRGB画像の場合45である。ピクセルのこの部分集合は、回帰係数a、a及びaを定義するために使用される単一クリップ近傍のピクセルの集合として定義される。
【0107】
通常、場面の色はクリップ領域にわたって変化しうる。例えば、人物場面では、低価格のデジタル・カメラで取り込まれた画像では、顔がクリップすることが多い。顔のピクセルは、クリップ及びクリップ近傍のピクセル領域にわたって色相が変化する可能性が最も高い。従って、色相及び/または彩度が変化するクリップ領域を推定するには、回帰係数の多数の集合が必要である。
【0108】
図6は、クリップ及びクリップ近傍の領域に沿った色相及び/または彩度の変化が存在する、多変量最小自乗に基づいて色度単一クリップ領域を推定する1つの可能な方法で使用される回帰ビニング配列44を示す。デルタ画像d、を、単一クリップされたピクセル中のクリップしていないチャネルの差として定義する。例えば、ZがクリップしているがX及びYがクリップしていない場合、次式となる。
【0109】
d=X−Y                 (4)
K個のビンを含む図6に示すような回帰ビニング配列44を構成する(通常Kは9または10に等しい)。配列中の各ビンを使用して、a、a、aといった回帰係数の集合を格納する。単一クリップ近傍のピクセルについてのデルタ値を、数式(4)に基づいて計算する。最小及び最大デルタ値、dmin、及びdmax、を求める。
【0110】
デルタ回帰ビニング配列中のビンの幅、dは、次式のように計算する。
【0111】
=(dmax−dmin)/K         (5)
クリップ近傍のピクセルを、それらのデルタ(X−Y)値に基づいてK個のグループに細分する。次に、各グループについて回帰係数を計算し、回帰ビニング配列中に保管する。以下の疑似コードでは、回帰ビニング配列をDとするが、その際Dは配列中のi番目の要素を指し、i=1,2,3...Kである。
【0112】
【0113】
i=1〜Kについて、
−クリップ近傍のピクセルのデルタ値dncが、d=(i−1)d+dminである時(d≦dnc<di+1)という条件を満足するように、クリップ近傍のピクセルQの集合を選択する。
【0114】
−ピクセルQの部分集合から回帰係数、a、a、aを計算する。
【0115】
−ビンDに係数a、a、aを格納する。
【0116】
終了
【0117】
回帰ビニング配列中に空白のビンがあれば、ビニング配列中の隣接要素から回帰係数a、a、aの集合を形成することによって埋められる。例えば、空白のビンをその最も近い埋まったビンに等しく設定してもよく、また線形または高次補間関数を使用して空白のビンを補間してもよい。
【0118】
回帰ビニング配列を完全に埋めた後、クリップされたピクセルを推定する。クリップされたチャネル値を推定するため、クリップされたピクセルのクリップしていないチャネルのデルタ値(X−Y)、dを計算する。次に、次式の条件を満足する時の値iを求める。
【0119】
≧d>di+1(6)
回帰ビニング配列中の対応するセルDを参照することによって係数a、a、aの対応する集合を選択する。係数a、a、aの集合を選択したら、対応するピクセルの値X及びYを、選択した回帰係数と共に式(1)に代入することによって、それらのピクセルについての推定チャネルZの値を計算する。最後に、推定チャネルZを予め定められた限度内に制約する。クリップされたチャネルの推定は次式のように記述され、
Z=A(d)+A(d).X+A(d).Y       (7)
そこで、A(d)、A(d)及びA(d)はそれぞれ、回帰ビニング配列要素D中に格納される係数a、a及びaを指す。指標i、は、dに対して式(6)で記述された条件を満足する値である。
【0120】
単一クリップされたピクセルの2つの既知のチャネルX及びYの代替関係を使用して、この方法を実動化する適切な変換空間を定義してもよい。例えば、変数fを、f=X/Yとなるような2つのクリップしていないチャネルの比として定義してもよい。この場合、fの各指標値fについて、回帰係数a、a、aの対応する集合を決定する。配列のサイズは比較的小さいので、本発明の方法のステップを実行するために使用されるプロセッサ(以下説明する)のメモリ要求もそれに応じて小さいが、これは望ましいことである。
【0121】
回帰ビニング配列を使用してある値dについての回帰係数を選択する上記で説明した方法は、最近傍補間(nearest neighbour interpolation)の方法に相当する。より高次の方法を使用してある値dについての近傍セルから回帰係数の集合を補間することも可能である。
【0122】
クリップした対象の色相及び彩度が変化する場合、よりロバストな推定を提供できる代替方法は、クリップ近傍及びクリップしたピクセル領域を直交色空間に変換することである。本発明の方法で使用するのに適した直交色空間の1つの可能な例は「T空間」である。T空間は、ニュートラル(neu)、緑−マゼンタ(gm)及び光源(illuminant)(ill)のチャネルを備える。neu成分は輝度を計算し、gm及びill成分は色を計算する。gm及びill成分は輝度と無関係に変化する。変換は次式のようになされる。
【0123】
neu=(r+g+b)/√3            (8)
gm=(2g−r−b)/√6
ill=(b−r)/√2
ここで、r、g及びbは、赤、緑及び青の線形輝度の対数である。
【0124】
直交色空間のさらに別の例にはCIELABまたはCIELUVが含まれる。しかし、こうした空間は、計算上T空間より実動化するのが複雑になりうる。
【0125】
図7は、クリップ及びクリップ近傍の領域に沿った色相及び/または彩度の変化が存在する、多変量最小自乗に基づいて色度単一クリップ領域を推定する代替方法で使用される二次元回帰ビニング配列を示す。
【0126】
二次元回帰ビニング配列H、46を形成する。配列中の各セルは回帰係数a、a、aの集合を格納できる。列及び行の数はそれぞれK及びMに等しい。通常、それらは9または10程度である。列の軸はgmに対応し、行の軸はillに対応する。
【0127】
単一クリップ近傍のピクセルの領域についてT空間変換を計算する。変換式(8)と共に既知のR、G及びB値を使用して、gmの最大及び最小値gmmax、gmmin及びillの最大及び最小illmax及びillminを求める。
【0128】
ビン間隔、gm、illを次式のように計算する。
【0129】
gm=(gmmax−gmmin)/K             (9)
ill=(illmax−illmin)/M
この例では、最小許容gm及びillビン間隔を0.05に設定したが、他の適切な値に設定してもよい。
【0130】
クリップ近傍のピクセルを、そのT空間色成分、gm及びillに基づいて、K×M個のグループに細分する。各グループについて回帰係数a、a、aを計算し、回帰ビニング配列中の対応するセルHijに保管する。Hijは、配列Hの(i,j)番目の要素であり、i=1,2,3...K、j=1,2,3...Mである。以下の疑似コードは、回帰ビニング配列、Hijをどのように埋めるかを記述する。
【0131】
【0132】
i=1〜Kについて
j=1〜Mについて
−任意のクリップ近傍のピクセルについて、gm及びill値が次式の条件を満足するように、クリップ近傍のピクセルの部分集合Qijを選択する。
【0133】
(gm≦gm<gmi+1)&(ill≦ill<illj+1)、そこで
【0134】
【数5】
Figure 2004005694
【0135】
−ピクセルQijの部分集合から回帰係数を計算する。
【0136】
−ビンHijに係数を格納する。
【0137】
終了
終了
【0138】
言い換えれば、各クリップ近傍のピクセルをそのgm及びill値によって類別する。次に、ピクセルの各グループについて回帰係数a、a、aを計算し、二次元回帰ビニング配列46中の対応する位置に格納する。
【0139】
最近傍補間または線形(または高次)補間関数の何れかを使用して、近傍セルから空白のビンについての係数を計算する。
【0140】
回帰ビニング配列Hを埋めたならば、クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を推定することが可能である。図8は、本発明で使用される推定処理の概略を示す。クリップ領域48は、二次元回帰ビニング配列46に基づいて推定される。まず、クリップされたピクセルについてT空間色成分、gm及びillを計算する。次に、クリップされたピクセルについて次式の条件を満足するように値i及びjを選択する。
【0141】
(gm≦gm<gmi+1)&(ill≦ill<illj+1)   (10)クリップされたピクセルが回帰ビニング配列の対象となる範囲の外にある場合、埋まったセルのうち、クリップされたピクセルのgm、ill値とgm、ill座標のセルとの間の距離が最小になるものを選択する。
【0142】
クリップされたピクセルのT空間色成分に最も近似した対応を示すセルHijを識別したら、その対応するセルに含まれる係数a、a、aを選択し、そのピクセルに割り当てる。すると、セルHijから得た係数a、a、aについての値と共に、多変量線形回帰式(1)を使用して、推定されるピクセルについての値を簡単に計算できる。言い換えれば、セルHijからの選択された回帰係数と共にそのピクセルからの値X及びYを数式(1)に代入することによって、対応するピクセルについてのチャネルZの値を計算する。この推定は次式のように記述できるが、
【0143】
【数6】
Figure 2004005694
【0144】
ここで、A(gm,ill)、A(gm,ill)及びA(gm,ill)はそれぞれ、回帰ビニング配列要素Hij中に格納される係数a、a及びaを指す。セル座標i及びjは、gm及びillに対して式(10)で記述された条件を満足する値である。
【0145】
クリップしていないチャネルの差を使用する場合、線形(または高次)補間方法を使用して回帰係数a、a、aを決定できる。最後に、チャネルZについて推定された値を予め定められた限度内に制約する。配列のサイズは比較的小さいので、本発明の方法のステップを実行するために使用されるプロセッサ(以下説明する)のメモリ要求もそれに応じて小さいが、これは望ましいことである。
【0146】
図9は、赤チャネルがクリップした8ビット/チャネルRGB画像の領域に沿った位置を基準とする信号振幅の変化のグラフの例を示す。赤信号レベル、緑信号レベル及び青信号レベルにそれぞれ対応する3つの曲線49、49及び49が存在する。赤信号49は、そのレベルが、場面画像を取り込むのに使用した画像化装置のダイナミックレンジによって定義される最大値(255)を越えているためクリップしている。緑49及び青49信号は、それらの最大振幅が、画像の領域に沿って常に最大可能振幅255の十分に下にあるためクリップしていない。
【0147】
図10は、図9の単一クリップ赤チャネルを本発明の方法によって推定した位置を規準とする信号振幅の変化のグラフの例を示す。図10における赤チャネルのグラフは、図9の平坦なクリップ領域に対応する領域で湾曲している。この場合、画像は推定されたピクセルを最大利用可能範囲内に制約するよう形成された。推定された赤チャネルの制約なしの値は、他の画像処理アルゴリズムで使用するメタデータとして格納してもよい。図10におけるチャネルは、赤チャネルの形状がわずかに調整されたクリップ領域の両側のすぐの所で(ほぼピクセル150〜162及び260〜272)、色調スケール変更される。同じ比率の振幅減衰を各チャネルに適用する。
【0148】
上記で言及したように、画像信号の1つかそれ以上のチャネルがクリップしている場合、信号の真の色が変わることがある。sRGB画像の場合、1つのチャネルでのクリッピングによって、Z’がクリッピング前の元のチャネル値でありZがクリッピング後のチャネル値である時Z’−Zに等しい誤差が導入される。そのため、クリップされたピクセルについてのgm及びillの推定にも誤差が導入され、ひいてはこれが、二次元回帰ビニング配列から回帰係数を参照する時の精度に影響を与える。
【0149】
各クリップされたピクセルのクリッピングによって導入される色誤差、すなわち、クリップされたチャネルのレベルの誤差についての推定がなされるので、色誤差推定に等しい修正係数を計算されたチャネル値に加算して、その元のクリップしていない値を得ることができる。例えば、gm、illの計算に導入された誤差がgm、illに等しいと推定され、対応する修正係数gm(=gm)及びill(=ill)をgm及びillの計算された値に追加した場合、クリップされたピクセルの元の色は次式のように得られ、
gm’est=gm+gm
ill’est=ill+ill
ここでgm’est及びill’estはクリップされたピクセルの推定された元のクリップしていない色である。
【0150】
クリップされたピクセルに導入される色誤差の推定を得るため、クリップ近傍のピクセルの色分布がクリップ領域にわたるピクセルの色分布と同等であると想定する。これは、クリップ近傍のピクセルの選択が正確で、クリップ領域が存在する対象または形状からのピクセル・データを代表するサンプルである場合に当てはまる。
【0151】
図11は、デジタル画像中のクリップ近傍のピクセルの領域についてのgm、illヒストグラムの例を示す。図12は、デジタル画像中のクリップされたピクセルの領域についての対応するgm、illヒストグラムを示す。図13は、図11及び図12のヒストグラムの相互相関を示す。
【0152】
クリップ及びクリップ近傍のピクセルの二次元gm、illヒストグラムがそれぞれS及びSncによって与えられると想定する。S及びSncの相互相関を行う場合、相関空間中のピークの位置によって、クリップ領域にわたるgm及びillの計算の際誤差を補償するために必要なgm及びillの平均修正が与えられる。
【0153】
図14は、一旦配列を埋めると配列Hij中に格納される回帰係数中の誤差を修正するために使用される誤差修正方法におけるステップを示す流れ図である。ステップ52では、クリップ領域中のピクセルについてgm及びillを決定し、上記で説明された相互相関法により、gm及びillについての対応する値の推定を行う。ステップ54では、修正要素gm及びillを、クリップ領域中のピクセルについて決定されたgm及びillの値に加算し、修正値gm’est及びill’estを提供する。ステップ56では、gm’est及びill’estの値を使用して対応するセルHijから回帰係数a、a、aの値を得る。次に、gm及びillに対する修正値(gm’est、ill’est)に対応する回帰係数a、a、aの値を使用してクリップされたピクセルについての値を推定する。
【0154】
上記のように、回帰係数の正しい集合を識別したら、セルHijからの選択された回帰係数と共にそのピクセルからの値X及びYを数式(1)に代入することによって、対応するピクセルについてのチャネルZの値を計算する。これは数式(11)によって説明されているが、そこではgm及びillはそれぞれgm’est及びill’estによって代用されている。最後に、ステップ60では、クリップされたピクセルについての値を予め定められた限度内に制約する。
【0155】
単一のgm及びillの色修正要素gm及びillを計算する際の問題は、クリップ領域にわたって発生するクリッピングの量が大きく変化することである。これが意味するのは、クリップ領域にわたって計算された修正要素が正確なのは、その領域のピクセルの小さな部分のみについてでしかないということである。何らかのパラメータ、例えばそれらのニュートラル(neu)値の関数として、クリップされたピクセルをサブ領域にグループ化すれば、修正要素のさらに正確な推定が得られる。
【0156】
図14は、複数のサブ領域に分割されたデジタル画像のクリップ領域の概略を示す。この例では、クリップされたピクセルを、ほぼ等しい数のピクセルを含むP個のサブ領域に分割する。通常、Pは10に等しいかまたはそれ未満でよい。これは、n=10,20,30,....90である時クリップ領域にわたって得られたピクセルニュートラル値のn番目のパーセンタイルに対応するニュートラル値に等しいサブ領域境界を設定することによって達成する。gm、illヒストグラムを各サブ領域中に含まれるピクセルから形成し、図10〜図12を参照して上記で説明されたクリップ近傍のピクセルのgm、illヒストグラムと相互相関する。
【0157】
どちらの場合も、相関ピークは、サブ領域中のgm、ill誤差を修正するために必要なgm、ill変位に対応する。まず、クリップ領域中の最小(neumin)及び最大(neumax)ニュートラル値を求める。次に、クリップ領域全体にわたって得られるニュートラル成分値の10番目、20番目、30番目...90番目のパーセンタイルを決定する。隣接するパーセンタイル値が等しい(すなわち、ある特定のサブ領域がピクセルを含まない)場合、隣接するサブ領域を併合する。
【0158】
次に、クリップ近傍のデータのgm、illヒストグラムを計算する。その後、P個のサブ領域各々について、gm、illヒストグラムを計算し、これをクリップ近傍のピクセルのgm、illヒストグラムと相互相関する。i=1〜Pである各サブ領域iについてヒストグラムのピークを求め、i=1〜Pについての(gm,illを提供する。その結果はニュートラルパーセンタイル値の関数としてのgm、illエンティティーの表である。クリップされたピクセルの計算されたニュートラル値があれば、各クリップされたピクセルについてのgm、ill修正をこの表から補間すればよい。
【0159】
以下の理由により単一クリップ領域を推定する過程で一部の領域がうまく推定できないことがある:(i)あるチャネルについてのクリップされたピクセルの合計数がピクセルの予め定められた数、例えばピクセルの合計数の0.02%未満であった、(ii)クリップされたピクセルが、ピクセルの所定数、例えばピクセルの合計数の0.02%未満のピクセルを含む連結クリップ領域の一部を形成した、(iii)単一クリップ近傍のピクセルの数が予め定められたしきい値、例えば10未満である。この場合、回帰係数の精度が低いと考えられるので単一クリップ領域は推定されない。うまく推定できなかった赤チャネル、青チャネル及び緑チャネルのクリップされたピクセルのリストを保管する。推定しなかったピクセルは、以下説明するピクセル充填方法を使用して充填(周囲の領域と混合)することができる。
【0160】
単一クリップ領域中のピクセル値を推定する上記で説明した処理を赤、緑及び青ピクセルの各単一クリップ領域について繰り返す。これを完了したら、二重クリップされたピクセルを推定する。
【0161】
図16は、本発明に係る方法により二重クリップされたピクセルを推定するステップの概略流れ図を示す。各画像チャネルについて全ての単一クリップされたピクセルを推定した後、二重クリップされたピクセルを推定する。画像中に単一クリップされたピクセルが存在しない場合、二重クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値の推定を開始する。二重クリップされたピクセルの場合、2つのチャネルがクリップしており第3のチャネルはクリップしていない。そこで、図16のステップ62では、二重クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を推定する方法に、クリップしていない、または推定した値を入力する。ステップ64では、クリップしていない青チャネルを使用して、クリップした赤及び緑チャネルについての値を推定する。ステップ66では、クリップしていない緑チャネルを使用して、クリップした赤及び青チャネルについての値を推定する。ステップ68では、クリップしていない赤チャネルを使用して、クリップした緑及び青チャネルについての値を推定する。最後に、その出力をさらに処理し、以下説明するように三重クリップされたピクセルがあればそれに対処する。
【0162】
この例では、クリップされたピクセルの色相及び彩度を修正して周囲の二重クリップ近傍ピクセルの色相及び彩度と混合するように、二重クリップピクセルを推定する。推定した単一クリップ画像データ(すなわち、復元された単一クリップされたピクセル)を、二重クリップ推定アルゴリズムにより線形空間中で処理する。
【0163】
二重クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を推定するため、二重クリップ近傍のピクセルを含む領域が必要である。図4を参照して上記で説明したように単一クリップ近傍の領域Aを得たのと同様の方法で領域を生成する。二重クリップ領域に対応するバイナリ画像を生成する。その領域を拡張する。元の拡張していない領域を拡張した領域から減算する。三重クリップしているものと分類された、減算の結果得られた領域中の全てのピクセルを、処理から除外する。さらに、減算の結果得られた領域中に、画像境界からのLピクセルの距離より小さいかまたはそれに等しいピクセルがあれば、領域から除外する。Lは10に等しいかまたは他の適切な選択数でよい。
【0164】
二重(ハイライト部)クリップ緑及び赤ピクセル、すなわち緑及び赤チャネルがどちらもハイライト部クリッピングしているピクセルを、次式の条件を満足するものとして画像から選択する。
(R≧(Rh,cl−N))&(G≧(Gh,cl−N))&(B<(Bh,cl−N))     (12)
そこで、R、G及びBは非線形sRGBチャネルの値であり、Rh,cl、Gh,cl及びBh,clは、赤、緑及び青チャネルがクリップする値である。上記のように、NはsRGB画像の場合3に等しく設定する。
【0165】
単一クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値の推定と同様、二重クリップされたピクセルの合計数が、画像中のピクセルの合計数の0.02%より小さいかまたはそれに等しい場合、それらはこの段階で無視してもよい。連結クリップされたピクセルから二重クリップされたピクセルの領域を形成し、画像中のピクセルの合計数の0.02%より少ないピクセルを含むクリップ領域は上記で説明したように無視してもよい。
【0166】
二重クリップ近傍の領域を上記で説明したように生成し、二重クリップ近傍の領域中のピクセルを式(8)を使用してT空間に変換する。二次元gm、illヒストグラムを二重クリップ近傍のピクセルから形成し、1つの例では、gm及びillのモード値、gmmode及びillmodeを選択する。これは二重クリップ近傍の領域中で最も頻繁に発生する色に対応する。一般に、クリップ近傍の領域の色のT空間値の正しい表示に最も近似した対応を示すものとしてgm及びillの値gmsel及びillselを選択する。
【0167】
次に、次式の変換を使用して二重クリップされたピクセルの赤及び緑チャネルについて推定値を計算する。
【0168】
【数7】
Figure 2004005694
【0169】
ここで、bは線形のクリップしていない青チャネルの対数であり、rest及びgestは推定される赤及び緑チャネルである。rest及びgestは、線形空間画像データの対数である。
【0170】
最後に、(rest及びgestから導出される)線形値Rest及びGestを、赤及び緑チャネルがクリップする値が1.0である場合、(推定ハイライト部二重クリップされたピクセルについて)1.0≦Rest、Gest≦1.8といった予め定められた範囲に制約する。推定値rest及びgestを決定するのに使用する変換式(13)は、T空間変換式(8)のgm、ill及びbについて、r及びgの同時解に対応する。
【0171】
二重クリップ赤/緑ピクセルを推定したら、クリップしていない緑チャネルを使用して二重クリップ赤及び青ピクセルを推定すればよい。この場合、必要な入力は、推定二重赤チャネル(すなわち、推定された二重クリップ赤/緑ピクセルからの赤チャネル)と、推定単一緑及び青チャネルとを含む。出力は、赤及び青で以前二重クリップしていた推定赤及び青チャネルを含む。
【0172】
ハイライト部二重クリップ赤/青ピクセルを推定するため、次式の条件を満足する全てのピクセルを元の画像から選択する。
(R≧(Rh,cl−N))&(G<(Gh,cl−N))&(B≧(Bh,cl−N))     (14)
は通常、sRGB画像の場合3に等しい。ここでも、予め定められたサイズ、例えば画像中のピクセルの合計数の0.02%までより小さい領域は無視してもよい。
【0173】
各クリップ領域について、二重クリップ近傍の領域を生成し、これをT空間に変換する。二次元gm、illヒストグラムを二重クリップ近傍のピクセルから形成し、上記のように、モード値、gmmode及びillmodeをそのヒストグラムから選択する。これは、二重クリップ近傍の領域中で最も頻繁に発生する色に対応する。
【0174】
赤及び青チャネルについて新たに推定される値を次式の変換から計算する。
【0175】
【数8】
Figure 2004005694
【0176】
ここで、gは線形緑チャネルの対数であり、rest及びbestは推定される赤及び青チャネルである。rest及びbestは線形空間画像データの対数である。
【0177】
最後に、(rest及びbestから導出される)線形値Rest及びBestを、ピクセルがクリップする値が1.0である場合、(推定ハイライト部二重クリップされたピクセルについて)1.0≦Rest、Best≦1.8といった所定の範囲に制約する。
【0178】
次に、二重クリップ緑/青ピクセルを推定する。二重クリップ緑/青ピクセルを推定するため、推定二重緑及び推定二重青チャネルを使用する。さらに、画像から推定される単一クリップ赤チャネルが必要である。以下説明するように、これらの入力によって、以前緑及び青で二重クリップしていたピクセル中の緑及び青チャネルの推定が可能になる。
【0179】
二重ハイライト部クリップ緑/青ピクセルを推定するため、次式の条件を満足する全てのピクセルを元の画像から選択する。
(R<(Rh,cl−N))&(G≧(Gh,cl−N))&(B≧(Bh,cl−N))   (16)
は通常、sRGB画像の場合3に等しい。ここでも、予め定められたサイズ、例えば画像中のピクセルの合計数の0.02%までより小さい領域は無視してもよい。
【0180】
各クリップ領域について、二重クリップ近傍の領域を生成し、これをT空間に変換する。二次元gm、illヒストグラムを二重クリップ近傍のピクセルから形成し、モード値、gmmode及びillmodeをそのヒストグラムから選択する。これは、二重クリップ近傍の領域中で最も頻繁に発生する色に対応する。
【0181】
緑及び青チャネルについて新たに推定される値を次式の変換から計算する。
【0182】
【数9】
Figure 2004005694
【0183】
ここで、rはクリップしていない線形赤チャネルの対数であり、gest及びbestは推定される緑及び青チャネルである。gest及びbestは線形空間画像データの対数である。
【0184】
最後に、(gest及びbestから導出される)線形値Gest及びBestを、緑及び青チャネルがクリップする値が1.0である場合、1.0≦Gest、Best≦1.8といった予め定められた範囲に制約する。使用される変換式(17)は、与えられたgm、ill及びrについて、g及びbについてのT空間変換式(8)の同時解に対応する。
【0185】
図17は、本発明に係る方法により画像内の二重クリップされたピクセルを推定するステップの概略流れ図を示す。ステップ70での本方法への入力は、何れかの単一クリップされたピクセルがすでに推定されたデジタル画像である。赤/緑、赤/青及び緑/青という3種類の二重クリップされたピクセルが存在しうるので、この例では、各種類のクリップされたチャネルの値を順に推定しなければならない。初めに、ステップ72では、二重クリップされたピクセルのリストを形成し、連結領域を識別する。1つの種類の二重クリップされたピクセルから開始して、ステップ74ではクリップ近傍のピクセルを選択しT空間に変換する。
【0186】
次に、ステップ76では、gm及びillモード値を、クリップ近傍のピクセルの二次元gm、illヒストグラムから選択する。ステップ78では、線形(または高次)回帰と共にgmmode及びillmodeの値を使用して、二重クリップされたピクセルの値を計算し、予め定められた限度内に制約する。3種類の二重クリップされたピクセルが全て推定されるまで、それら各々についてこの処理を繰り返す。
【0187】
単一クリップ領域を推定する過程で、以下の理由により、一部の領域がうまく推定できないことがある:(i)あるチャネルについてのクリップされたピクセルの合計数がピクセルの予め定められた数、例えばピクセルの合計数の0.02%未満であった、(ii)クリップされたピクセルが、ピクセルの予め定められた数、例えばピクセルの合計数の0.02%未満のピクセルを含む連結クリップ領域の一部を形成した、(iii)単一クリップ近傍のピクセルの数が予め定められたしきい値、例えば10未満である。うまく推定できなかった赤チャネル、青チャネル及び緑チャネルのクリップされたピクセルのリストを保管する。推定しなかったピクセルは、以下説明するピクセル充填方法を使用して充填(周囲の領域と混合)することができる。
【0188】
全ての二重クリップされたピクセルを推定したら、次に三重クリップされたピクセルを推定する。
【0189】
3つのチャネルが全てクリップしている場合、クリップする前の元の値に関する有用な情報はクリップされたピクセルから決定できない。三重クリップされたピクセルを推定するために使用される1つの可能な方法は、三重クリップされたピクセルを周囲のクリップ近傍のピクセルと混合することである。三重クリップされたピクセルの各チャネルに割り当てられた値はそれぞれのチャネルのクリップ値、例えば1.0を越えることがあるが、最大値、例えば1.8に制限される。
【0190】
三重ハイライト部クリップされたピクセルを推定するため、初めに次式の条件を満足する元のsRGB画像中の全てのピクセルを選択し、連結ピクセルの領域を識別する。
(R≧(Rh,cl−N))&(G≧(Gh,cl−N))&(B≧(Bh,cl−N))     (18)
は通常、sRGB画像の場合3に等しい。
【0191】
ここでも、予め定められたサイズ、例えば画像中のピクセルの合計数の0.02%までより小さい領域は無視してもよい。三重クリップ領域の各領域について、三重クリップ近傍のピクセルの領域を生成する。二重クリップされたピクセルについてクリップ近傍の領域を生成する際使用されたのと同様の、三重クリップ近傍の領域を生成する方法を使用すればよい。さらに、以下の規則を適用して、三重クリップ近傍の領域に含まれるピクセルの集合を制約する:(i)クリップ近傍の領域に含まれるピクセルは、二重または単一クリップされたピクセルの推定されていない集合の要素であってはならない、(ii)クリップ近傍の領域に含まれるピクセルは、それぞれ上記で説明された単一または二重クリップ推定方法によってうまく推定された単一または二重クリップされたピクセルでなければならない。
【0192】
三重クリップ近傍の領域に含まれる(線形RGB空間中の)ピクセルの集合のRGBヒストグラムを形成し、R、G及びB各々について、三重クリップ近傍のピクセルのRGB値を表す値を選択する。通常、この値はヒストグラムのモード値、Rmode、Gmode、Bmodeである。次に、三重クリップ領域中の全てのピクセルは、選択した値、例えばRmode、Gmode、Bmodeに設定される。
【0193】
他の実動化では、三重クリップ近傍の領域に含まれる(線形空間中の)ピクセルの集合の赤チャネルについて、M個のビンを含むヒストグラムを形成する。ヒストグラムのモードに対応する、ピクセル・チャネル値、Rを求める。通常、sRGB画像の場合M=256である。次に、それぞれM/2、M/4、M/8及びM/16個のビンを含むさらなる4つのヒストグラムを、三重クリップ近傍の領域に含まれるピクセルの同じ集合の赤チャネルから形成する。それぞれ4つのヒストグラムのモードに対応するピクセル・チャネル値、RM2、RM4、RM8及びRM16を求める。RM2、RM4、RM8及びRM16の最大値、Rmaxを選択する。上記の手順を緑及び青チャネルについて繰り返し、最大ピクセル・チャネル値、Rmax、Gmax及びBmaxを決定する。次に、三重クリップ領域中の全てのピクセルは、値Rmax、Gmax及びBmaxに設定される。
【0194】
ある種の三重クリップ領域中のピクセルについてチャネル値を推定する際遭遇することのある問題は、三重クリップ近傍の領域のR、G、B値のモードがうまく定義できないということである。例えば、クリップ近傍のピクセルの値が三重クリップ領域の範囲で幅広く変化し、その結果得られるヒストグラムが、モードに近い大きさの多数のピークを含むことがある。最小自乗を使用して三重クリップ近傍の領域(または領域の一部)からサーフェスを導出し、三重クリップ領域に適用すれば、三重クリップされたピクセルと周囲の隣接ピクセルとのさらに正確な混合を達成できる。線形表面が適切であるが、高次表面を使用してもよい。
【0195】
三重クリップ領域を推定する過程で、以下の理由により一部の領域がうまく推定できないことがある。:(i)あるチャネルについてのクリップされたピクセルの合計数がピクセルの予め定められた数、例えばピクセルの合計数の0.02%未満であった、(ii)クリップされたピクセルが、ピクセルの予め定められた数、例えばピクセルの合計数の0.02%未満のピクセルを含む連結クリップ領域の一部を形成した。うまく推定できなかった三重クリップされたピクセルのリストを保管する。
【0196】
多くの場合、小さな単一、二重及び三重クリップ領域中のピクセルは、例えば、領域中のあるチャネルについてのクリップされたピクセルの数がピクセルの予め定められた数、例えば画像中のピクセルの合計数の0.02%未満であったといった、上記で説明した理由でうまく推定できないことがある。推定できなかったピクセル・チャネルの値は周囲の領域と矛盾しないように、選択されているので、推定できないクリップされたピクセルの領域が観察者により見えなくなるように、推定できないピクセルを修正できる。こうした領域中のピクセルを修正する1つの適切な方法は、コック(Cok)、グレイ(Gray)及びマトラセック(Matraszek)によって発明され、イーストマン・コダック社(Eastman Kodak Company)に譲渡された、「デジタル画像中のピクセル値を修正する方法及び装置」という名称の米国特許第6,104,839号で詳細に説明されている。この特許は、デジタル化画像中の欠陥ピクセルの長くて狭い領域を修正する方法及び装置を説明する。欠陥ピクセルを復元して、画像中の欠陥のないピクセルと視覚的に矛盾しないようにする。
【0197】
本発明では、米国特許第6,104,839号で説明されたものと同様のピクセル修正アルゴリズムを使用して単一クリップ、二重クリップ及び三重クリップ領域中の推定できないピクセルを充填する。チャネルX、Y及びZが任意の順序でR、GまたはBに対応する3つのチャネルを検討する。図20及び21は、本発明で使用されるピクセル修正アルゴリズム中のステップを示す流れ図である。図20及び21を参照すると、推定できないクリップされたピクセルを修正(充填)する手順はステップ86で開始される。推定できない単一、二重及び三重クリップハイライト部ピクセルのリストを構成する。次に、ステップ90では、リスト中の第1のクリップされたピクセルPSEL、を選択する。選択したピクセルから投影する線の集合を定義する。各線の間の放射角度(radial angular)差は等しく、通常22.5度〜45度に設定する。nが各線分(n=1...N)であるN個の線を定義する。ステップ92では、線分n=1に関連する線分角によって指定される方向に、PSELから直線を投影する。(i)クリップしていないピクセルに到達するか、または(ii)線が画像境界と交差するか、または(iii)線の中のピクセルの数がLを越えるかの何れかまで線を投影する。通常、Lは200に設定する。条件(ii)または(iii)が満足された場合(すなわち、クリップしていないピクセルには到達していない)、ステップ98に進む。クリップしていないピクセルに到達した場合、同じ方向にLextピクセルだけ線分を延長し、j=1,...,Lextでありnが線分であるとして、延長した線分と交差する画像ピクセル値、zn,j、zn,j、yn,jを得る。通常、Lextは5に設定する。
【0198】
延長した線分がクリップされたピクセルと交差した場合、線分中のその先のピクセルは無視する。ステップ94では、延長した線分の値、zn,j、zn,j、yn,jにおける各チャネルの最大値を求める。最大値はZn,max、Xn,max及びYn,maxで示す。ステップ96では、線分n、についての第1のクリップしていないピクセルとPSELとの間のユークリッド距離d、を決定する。ステップ98で未処理の線分が残っていれば(すなわち、n<N)、ステップ100に進み線ステップ・カウンタを増分する。次の線分を上記で説明したように処理する(ステップ92〜ステップ98)。全ての線分を処理したら、最大線分長さdmax、をdから計算する。ステップ104では、各線分n、について換算係数要素S、を計算する。推定できない単一クリップハイライト部ピクセルを修正している場合、Zがクリップしたチャネルに対応すると想定して、Zn,max<Zh,clの場合S=0.5に設定し、そうでなければS=1.0に設定する。推定できない二重クリップハイライト部ピクセルを修正している場合、Z及びXがクリップしたチャネルに対応すると想定して、Zn,max<Zh,cl及びXn,max<Xh,clの場合S=0.5に設定する。そうでなければS=1.0に設定する。推定できない三重クリップハイライト部ピクセルを修正している場合、Zn,max<Zh,cl、Xn,max<Xh,cl及びYn,max<Yh,clの場合S=0.5に設定する。そうでなければS=1.0に設定する。ステップ106では、次式のように各線分の重みを計算する。
【0199】
【数10】
Figure 2004005694
【0200】
ここで、Wは、線分nについての重み。
【0201】
は、線分nについての換算係数。
【0202】
maxは、PSELと、ピクセルPSELで評価される全ての線分にわたって得られる第1のクリップしていないピクセルとの間の最大ユークリッド距離。
【0203】
は、PSELと、線分nについての第1のクリップしていないピクセルとの間のユークリッド距離。
【0204】
ステップ108では、各重みを、ピクセルPSELについての全ての線分にわたって得られる重みの合計によって除算することで重みを正規化する。正規化した重みをW’と呼ぶ。ステップ110では、クリップされたチャネル・ピクセル値を以下のように推定する。推定できない単一クリップされたピクセルを修正している場合、修正した画像中でクリップされたチャネル値をZ’に設定するが、ここで
【0205】
【数11】
Figure 2004005694
【0206】
X及びYについての値は変化しない。推定できない二重クリップされたピクセルを修正している場合、修正した画像中でクリップされたチャネル値を次式のようにZ’及びX’に設定する。
【0207】
【数12】
Figure 2004005694
【0208】
Yについての値は修正される画像中で変化しない。推定できない三重クリップされたピクセルを修正している場合、修正した画像中でクリップされたチャネル値を次式のようにZ’、X’及びY’に設定する。
【0209】
【数13】
Figure 2004005694
【0210】
上記で計算した修正クリップされたチャネル値がそれぞれのチャネルについてのクリップ値より小さければ(ハイライト部クリップされたピクセルの場合)、クリップされたピクセル値はそのまま修正しない。ステップ112でクリップされたチャネルについての推定値を修正した画像中に格納し、ステップ116でPSELを次のクリップされたピクセルに設定する。全ての推定できないクリップされたピクセルを処理するまで、推定できないクリップされたピクセルについて修正値を決定する手順を繰り返す(ステップ92〜ステップ114)。次に、ステップ118で修正した画像を出力し、推定できないクリップされたピクセルを修正する処理を完了する(ステップ120)。
【0211】
画像のシャドウ部領域中の単一、二重または三重クリップしたピクセルは、ハイライト部クリップされたピクセルと無関係に推定する。ハイライト部及びシャドウ部クリップされたピクセルを推定する順序は重要でないが、単一クリップハイライト部及びシャドウ部クリップされたピクセルは、二重クリップハイライト及びシャドウ部ピクセルの前に推定しなければならない。三重クリップハイライト部及びシャドウ部ピクセルは最後に推定する。シャドウ部クリップされたピクセルを推定する方法は、ハイライト部クリップされたピクセルを推定する方法からの類推によって続けられる。クリップされたピクセルを分類するのに使用される条件式とクリップ近傍のピクセルを選択する場合との2つの場合の間の差が存在する。これらは以下に説明される。
【0212】
単一クリップシャドウ部ピクセルの場合、ZがR、GまたはBの何れかであり、次式の制約を満足する場合、ピクセルをZチャネルでクリップしているものとして分類する。
(Z≦(Zs,cl+N))&(X>(Xs,cl+N))&(Y>(Ys,cl+N))     (19)
ここで、Zs,cl、Xs,cl、及びYs,clは、それぞれシャドウ部クリッピングが発生しているZ、X及びYの可能な値の範囲の限度である。Rs,cl、Gs,cl、及びBs,clは、シャドウ部クリッピングが発生している赤、緑及び青チャネルの可能な値の範囲の限度である。
【0213】
単一クリップシャドウ部ピクセルを分類する場合、式(2)は式(19)で代用できる。単一クリップシャドウ部ピクセルについてのクリップ近傍のピクセル領域を、次式の基準を満たすクリップ近傍の領域Aのピクセルの部分集合として記述する。
(Zs,cl+N)≧Z>(Zs,cl+N)&(Ymode+0.75N)≧Y≧(Ymode−0.25N)&(Xmode+0.75N)≧X≧(Xmode−0.25N
(20)
単一クリップ近傍のシャドウ部ピクセルであるピクセル領域を推定する場合、式(3)は式(20)で代用できる。二重クリップシャドウ部ピクセルの場合、二重緑及び赤クリップされたピクセルを、次式の条件を満足するものとして画像から選択する。
(R≦(Rs,cl+N))&(G≦(Gs,cl+N))&(B>(Bs,cl+N))     (21)
二重クリップ緑及び赤シャドウ部ピクセルを推定する場合、式(12)は式(21)で代用できる。二重クリップ赤及び青ピクセルを、次式の条件を満足する全てのピクセルとして定義する。
(R≦(Rs,cl+N))&(G>(Gs,cl+N))&(B≦(Bs,cl+N))     (22)
二重クリップ赤及び青シャドウ部ピクセルを推定する場合、式(14)は式(22)で代用できる。二重クリップ緑及び青ピクセルを、次式の条件を満足する全てのピクセルとして定義する。
(R>(Rs,cl+N))&(G≦(Gs,cl+N))&(B≦(Bs,cl+N))     (23)
二重クリップ緑及び青シャドウ部ピクセルを推定する場合、式(16)は式(23)で代用できる。
【0214】
次式を満足する場合、ピクセルを三重クリップシャドウ部ピクセルとして分類する。
(R≦(Rs,cl+N))&(G≦(Gs,cl+N))&(B≦(Bs,cl+N))     (24)
三重クリップされたピクセルを推定する場合、式(18)は式(24)で代用できる。
【0215】
最後に、クリップしたピクセルに関する推定されたハイライト部及び/またはシャドウ部情報を線形画像空間中で再整形し、0〜1.0の範囲内に置く。線形RGB空間中の推定画像をニュートラル色調スケール関数によって整形し、全てのピクセル・データが0〜1.0の範囲内にあるようにする。適切な整形アルゴリズムまたは処理を使用すればよい。1つの例は、その内容を本出願の記載に引用する、英国特許出願第0120489.0号で開示されているような視野適応モデルによって使用される適応肩整形区分的関数(adaptive shoulder shaper piecewise function)である。適応肩整形モデルを使用してハイライト部細部の整形を達成する一方、適応つま先整形モデル(adaptive toe shaper model)を使用してシャドウ部細部を再整形する。sRGB色調スケールを線形データに適用し、モニタ上で見るのに適するように修正する。適当な色空間変換と非線形関数が使用されるならば、処理される画像を任意の望ましい色空間に変換してもよい。
【0216】
大部分の場合、色調スケールを整形する前の推定されたピクセルの値は、画像を表示する表示装置の範囲外にあり、それがクリッピングが発生する第1の理由である。推定ピクセル・データ(ハイライト部クリッピングの場合1.0を越え、シャドウ部クリッピングの場合0未満である)と元のピクセル・データとの間の差をメタデータとして画像と共に保管し、他の画像処理アルゴリズムによって使用する。例えば、画像のニュートラル色調スケールまたは色バランスを変更するアルゴリズムの性能は、画像中にクリップされたピクセルが存在する場合損なわれることがある。こうしたアルゴリズムは、このメタデータをインテリジェントに使用して、生成する画像の総合品質を向上させてもよい。
【0217】
本発明は、デジタル画像中のクリップされたピクセルから失われたデータの推定におけるクリップ近傍のピクセルの使用に関する。上記の説明は、単一クリップ、二重クリップ及び三重クリップされたピクセルの推定において使用されるアルゴリズムの例に関する。他の可能なアルゴリズムを使用してもよい。例えば、クリップされたチャネルについての値を推定するために使用される、上記で説明した回帰で使用される係数a、a及びaは、線認識のためのハフ変換の適用を使用して得てもよい。また、高次回帰を使用してもよい。
【0218】
図18は、本発明に係る画像処理システムの例を示す構成図である。このシステムは、処理すべきデジタル画像の入力を受信し、上記で説明した本発明の方法により受信画像を処理するよう適用される。このシステムは、処理すべきデジタル画像に関連する情報を得る入力装置80を備えている。入力装置80は、上記で説明した本発明の方法のステップを実行するプロセッサ82に結合される。図示される例では、プロセッサ82は、処理されたデジタル画像のハードコピー出力を印刷するプリンタのような出力装置84に結合される。出力装置は、紙またはスライドといった写真材料上に処理された(改善された)画像を印刷するデジタル・プリンタ、またはCD書き込み装置またはシステムからの出力を生成できる何らかの他の形態の装置でよい。
【0219】
1つの例では、このシステムは、図22に概略を図示されたデジタル画像処理能力を有するデジタルカメラ86において実施してもよい。カメラは静止画像の取り込み用に特に設計されたデジタル静止画像カメラを備えてもよく、また動画シーケンスを取り込み及びデジタル化できるデジタル・ビデオ・カメラを備えてもよい。カメラは撮影される場面または対象のデジタル画像を取り込み、本発明に係る方法により取り込んだ場面を処理する。ビデオカメラの場合、取り込み装置は取り込んだ場面をフレーム毎に処理する。カメラ86には取り込んだ場面を格納するメモリ(図示せず)が含まれ、メモリは、本発明に係る方法のステップを実行するマイクロプロセッサのようなプロセッサと通信するよう配置されている。他の実施形態では、メモリは、カメラと一体式でも交換式(フラッシュメモリカードのような)でもよく、デジタル画像を含むデータ・ストリームをデジタル写真仕上げシステムに提供する。
【0220】
本発明のさらに別の例では、このシステムはデジタル写真仕上げシステムによって実施してもよい。この場合、入力装置80は、処理されるフィルムのネガを走査するデジタルネガスキャナ、フラットベッドスキャナを備えてもよく、また代替的には、デジタル信号源からの入力を直接受信するデジタル読み取り器を備えてもよい。デジタル信号源の例には、例えば、ディスクまたはCD−ROMといったデジタル画像を格納する媒体を受け入れるスマートカードまたはドライブが含まれる。信号源はインターネットからアップロードされた画像のような遠隔的なものでもよく、またユーザのデジタルカメラのメモリカードでもよい。何れの場合でも、デジタル画像を含む信号を、入力装置80によって、デジタル写真仕上げシステムに関連するプロセッサ82に提供する。プロセッサは、本発明に係る方法によって受信したデジタル画像を処理するようプログラムすればよい。デジタル画像のクリッピングは、ネガを入力装置80によって走査する際に発生することもあり、またユーザのデジタル・カメラで取り込んだデジタル画像がすでにクリップしていることもある。また、画像化のための連鎖、すなわち生走査データからモニタ上に表示または印刷する再現画像までの連鎖におけるその後の処理ステップでクリッピングが発生することもある。
【0221】
1つの例では、プロセッサは、画像処理アルゴリズムが格納されたデータベースに接続され、デジタル画像と共に使用する1つかそれ以上の格納された画像処理アルゴリズムを選択するユーザ入力を受信するのに適応する。ここでも、画像は処理されると、画像仕上げシステムにより電子的またはハード形式で出力される。
【0222】
また、本発明は、必要に応じてコンピュータ可読媒体上に格納された、本発明に係る方法の全てのステップを行うプログラムコード手段を備えるコンピュータプログラムを有している。何らかの適切なコンピュータプログラミング言語を使用してコンピュータプログラムをコード化すればよい。その例にはC、C++、マトラブ(Matlab)及びフォートランが含まれる。必要に応じて、コンピュータプログラムは特定用途向け集積回路上でのハードワイヤード(hard−wired)として提供してもよい。
【0223】
【発明の効果】
本発明は、画像、例えばデジタル画像中のピクセルのクリッピングによるデータ損失の推定を提供できる画像処理の方法を提供する。本発明では、クリップされたピクセル中のクリップしていないチャネルと画像中のクリップしていない近くのピクセルとから得られるデータだけに基づいてデータを推定できる。
【0224】
従来の画像処理方法と対照的に、本発明は、取り込み場面のダイナミックレンジの何れかの端部でクリッピングの結果失われたデータを推定できる方法を提供する。言い換えれば、本発明は、元の場面の真の表示が取り込まれたものより高いかまたは低い値を有するため失われたデータを推定できる方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハイライト部クリッピングを示す画像中の直線に沿った信号振幅の変化のグラフを示す図である。
【図2】本発明に係る画像処理方法中のステップを示す流れ図である。
【図3】本発明に係る画像処理方法の第1の段階のステップを示す流れ図である。
【図4】単一クリップ領域を有する画像の概略を示す図である。
【図5】本発明に係る画像処理方法の第1の段階のステップを示す流れ図である。
【図6】本発明の方法の1つの例で使用される一次元回帰ビニング配列を示す。
【図7】本発明の方法の1つの例で使用される二次元回帰ビニング配列を示す。
【図8】本発明で使用される推定処理の概略を示す図である。
【図9】赤チャネルがクリップした画像の領域に沿った位置に関する信号振幅の変化のグラフの例を示す図である。
【図10】本発明に係る方法により図9の単一クリップ赤チャネルが推定された位置に関する信号振幅の変化のグラフを示す図である。
【図11】デジタル画像中のクリップ近傍のピクセルの領域についてのgm、illヒストグラムの例を示す図である。
【図12】デジタル画像中のクリップされたピクセルの領域についての対応するgm、illヒストグラムを示す図である。
【図13】図11及び図12のヒストグラムの相互相関を示す図である。
【図14】本発明の方法で使用される推定方法のステップを示す流れ図である。
【図15】デジタル画像のクリップ領域の概略を示す図である。
【図16】本発明に係る方法による二重クリップされたピクセルを推定するステップの流れ図である
【図17】本発明に係る方法による画像内の二重クリップされたピクセルを推定するステップの概要の流れ図である。
【図18】本発明に係る画像処理システムの例を示す構成図である。
【図19】図20及び図21の相互の配列を示す図である。
【図20】本発明で使用されるピクセル修正アルゴリズムのステップを示す流れ図である。
【図21】本発明で使用されるピクセル修正アルゴリズムのステップを示す流れ図である。
【図22】本発明に係るデジタル・カメラの例を示す図である。
【符号の説明】
34…単一クリップ領域
36…クリップ近傍の領域
86…デジタルカメラ

Claims (9)

  1. 画像処理の方法であって、
    多チャネル画像中の1以上のクリップされたピクセルの1以上のクリップされたチャネルについての値を、前記1以上のクリップされたピクセルのクリップされていないチャネル及び前記1以上のクリップされたピクセルに近い1以上のクリップしていないピクセルから得られる情報に依存して推定するステップを有する方法。
  2. 前記クリップされたピクセルは、前記クリップされたピクセルのチャネルの1つだけがクリップしている単一クリップである、請求項1に記載の方法。
  3. いずれかまたは全ての単一クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を推定した後、前記1以上の二重クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を、1以上の二重クリップされたピクセルのクリップしていないチャネル及び前記1以上の二重クリップされたピクセルに近い1以上のクリップされていないチャネルとから得られる情報に依存して、前記二重クリップされたピクセルの1以上のパラメータを調整することによって推定するステップを更に有する、請求項2に記載の方法。
  4. いずれかまたは全ての二重クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を推定した後、多チャネル画像中の1以上の三重クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を、前記1以上の三重クリップされたピクセルに近い1以上のクリップしていないピクセルから得られる情報に依存して推定するステップ更に有する、請求項3に記載の方法。
  5. デジタル画像プロセッサであって、
    デジタル画像中の1以上の単一クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を、前記1以上の単一クリップされたピクセルのクリップしていないチャネル及び前記1以上の単一クリップされたピクセルに近い1以上のクリップしていないチャネルから得られる情報に依存して推定するよう適用される処理手段を有するデジタル画像プロセッサ。
  6. デジタルカメラであって、
    対象のピクセル化されたデジタル画像を取込むための取込み手段と、
    前記ピクセル化されたデジタル画像中の1以上の単一クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を、前記1以上の単一クリップされたピクセルのクリップしていないチャネル及び前記1以上のクリップされたピクセルに近い1以上のクリップしていないピクセルとから得られる情報に依存して推定するよう適用される処理手段とを有するデジタルカメラ。
  7. デジタル写真仕上げシステムであって、
    処理すべきピクセル化されたデジタル画像を受取るための入力手段と、
    前記ピクセル化されたデジタル画像中の1以上の単一クリップされたピクセルのクリップされたチャネルについての値を、前記1以上の単一クリップされたピクセルのクリップしていないチャネル及び前記1以上の単一クリップされたピクセルに近い1以上のクリップしていないピクセルとから得られる情報に依存して推定するよう適用される処理手段とを有するデジタル写真仕上げシステム。
  8. コンピュータプログラムであって、
    前記プログラムがコンピュータ上で実行される時、請求項1〜請求項4の全てのステップを行うプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム。
  9. 画像処理の方法であって、
    少なくとも1つのチャネル値がクリップしている多チャネル画像中のピクセルを識別し、
    クリップしていないピクセルからのチャネル値に基づいてクリップ除去関係を生成し、
    前記識別されたピクセルでクリップされたチャネル値をクリップ除去するために前記クリップ除去関係を適用するステップを有する方法。
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