JP2004004286A - 雑音除去システムおよびプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】MUSIC法による雑音除去処理の計算量を削減して、リアルタイムでの雑音除去処理を可能とする。
【解決手段】原信号に雑音信号が重畳された観測信号yは、フレーム切出し部1で所定長さのフレーム毎に切り出され、DFT部2でフレーム毎にDFT処理されてフレームの振幅スペクトルと位相スペクトルとが抽出される。雑音分散推定部6で、観測信号yから雑音信号の分散が推定される。信号部分空間の次元決定部3は、推定された雑音信号の分散に基づいて観測信号の信号部分空間の次元を決定する。雑音除去部4は、抽出されたフレームの振幅スペクトルから決定された次元の振幅スペクトルを抽出し、推定された雑音信号の分散から原信号の振幅スペクトルを推定すると共に、原信号の振幅スペクトルの推定値とフレームの位相スペクトルとから原信号のスペクトルを推定し、原信号を雑音除去して復元する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、音声信号等の原信号に雑音が重畳された観測信号から雑音成分を取り除く雑音除去システムおよびプログラムに関し、特にMUSIC(Multiple Signal Classification)法を用いた雑音除去システムおよびプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、音声信号に含まれる雑音の除去方法として、MUSIC法が知られている(M. Kaveh and A. J. Barabell,“The statistical performance of theMUSIC and the minimum−norm algorithms in resolving plane waves in noise”, IEEE Trans. ASSP−34, 331−341, 1986)。MUSIC法は部分空間法の一つで、音声信号等の原信号に雑音が重畳された観測信号の自己相関行列に固有値分解を適用し、観測信号を、原信号の情報を持つ“信号部分空間”と、雑音情報を持つ“雑音部分空間”とに分解し、得られた雑音部分空間を用いて原信号の情報を推定するものである。このMUSIC法により推定された信号情報を用いると、最尤法や一般化逆行列計算により観測信号に含まれる雑音成分を効果的に除去することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のMUSIC法による雑音除去方法では、▲1▼自己相関行列の固有値分解の計算が複雑で、計算量が非常に多い、▲2▼最尤法や一般化逆行列計算は行列の乗数や逆行列計算を含むので計算量が非常に多い、などの理由により多大な計算時間を必要とする。このため、リアルタイムでの処理が困難であるという問題がある。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、計算量を削減することができ、リアルタイムでの雑音除去処理が可能な雑音除去システムおよびプログラムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る雑音除去システムは、原信号に雑音信号が重畳された観測信号を入力し、この観測信号を所定長さのフレーム毎に切り出すフレーム切出し部と、前記切り出されたフレーム毎に離散的フーリエ変換を施し、前記フレームの振幅スペクトルと位相スペクトルとを抽出する離散的フーリエ変換部と、前記観測信号から前記雑音信号の分散を推定する雑音分散推定部と、前記推定された雑音信号の分散に基づいて前記観測信号の信号部分空間の次元を決定する信号部分空間の次元決定部と、前記抽出されたフレームの振幅スペクトルから前記決定された次元の振幅スペクトルを抽出し、この抽出された振幅スペクトルと前記推定された雑音信号の分散とから前記原信号の振幅スペクトルを推定し、更に前記原信号の振幅スペクトルの推定値と前記フレームの位相スペクトルとから前記原信号のスペクトルを推定し、前記推定された原信号のスペクトルを逆フーリエ変換して原信号を復元することにより前記原信号に重畳された雑音信号を除去する雑音除去部と、前記雑音信号が除去された各フレームを接続して復元信号を得るフレーム接続部とを備えたものであることを特徴とする。
【0006】
本発明に係る雑音除去プログラムは、原信号に雑音信号が重畳された観測信号を入力し、この観測信号を所定長さのフレーム毎に切り出すステップと、前記切り出されたフレーム毎に離散的フーリエ変換を施し、前記フレームの振幅スペクトルと位相スペクトルとを抽出するステップと、前記観測信号から前記雑音信号の分散を推定するステップと、前記推定された雑音信号の分散に基づいて前記観測信号の信号部分空間の次元を決定するステップと、前記抽出されたフレームの振幅スペクトルから前記決定された次元の振幅スペクトルを抽出し、この抽出された振幅スペクトルと前記推定された雑音信号の分散とから前記原信号の振幅スペクトルを推定し、更に前記原信号の振幅スペクトルの推定値と前記フレームの位相スペクトルとから前記原信号のスペクトルを推定し、前記推定された原信号のスペクトルを逆フーリエ変換して原信号を復元することにより前記原信号に重畳された雑音信号を除去するステップと、前記雑音信号が除去された各フレームを接続して復元信号を得るステップとをコンピュータに実行させるように構成されたものである。
【0007】
本発明によれば、MUSIC法によって推定された信号情報を利用した雑音除去方法として、自己相関行列の固有値と固有ベクトルを求めるための行列演算を行わず、観測信号の自己相関行列の特徴に注目して観測信号に対する離散的フーリエ変換を用いて自己相関行列の固有値および固有ベクトルを求めるようにしているので、リアルタイムでの信号除去処理が可能になる。しかも、MUSIC法をベースとした雑音除去がなされるので、雑音除去能力も極めて高い。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る音声信号の雑音除去システムの構成を示す図である。
この情報検索支援システムは、音声信号等の原信号xに雑音nが重畳された観測信号yを入力し、この観測信号yを所定長さのフレーム毎に切出すフレーム切出し部1と、切出されたフレームに対して離散的フーリエ変換(DFT)を施して観測信号yの振幅スペクトルと位相スペクトルとを求めるDFT部2と、このDFT部2で求められた振幅スペクトルと位相スペクトルのうち、信号部分空間を占めるスペクトルを確定するため、信号部分空間の次元Pを決定する信号部分空間の次元決定部3と、決定された信号部分空間のスペクトルを逆DFT処理して雑音が除去されたフレームを生成するMUSIC法による雑音除去部4と、逆DFT処理されたフレームを接続して原信号xの復元信号を出力するフレーム接続部5と、雑音の分散を推定する雑音分散推定部6とを備えて構成されている。また、雑音分散推定部6は、フレーム切出し部1で切出されたフレームからフレームの分散を計算する分散計算部11と、DFT部2の出力と分散計算部11の出力から、観測信号の無音区間を検出する無音区間検出部12と、検出された無音区間の分散で雑音の分散値を更新する雑音分散更新部13とを備えている。なお、このシステムは、上述した各部の処理をステップとして含む雑音除去プログラムを、コンピュータに実行させることにより実現されるシステムであっても良い。
【0009】
次に、このように構成された雑音除去システムの動作について説明する。
図2は、本システムの動作を示すフローチャートである。
まず、マイクロホン等を介して入力された原信号の音声信号を含む観測信号yは、フレーム切出部1において、Nサンプルの長さを持つハニング窓によって1フレームずつ切り出される(S1)。切り出しに当たっては、図3(a)に示すように、前のフレーム(切り出し区間)とN/2サンプルだけ重複させて次のフレームを切り出すようにする。そして、切り出されたそれぞれのフレームに対して、DFT部2で離散的フーリエ変換により振幅スペクトルと位相スペクトルを求める(S2)。また、観測信号のフレームから雑音信号の分散を推定し(S3)、この雑音の分散に基づいて、信号部分空間の次元決定部3により信号部分空間の次元Pを決定する(S4)。そして、求めた観測信号yの信号部分空間の振幅スペクトルと位相スペクトルとに基づいてMUSIC法による雑音除去を行う(S5)。最後に、雑音除去されたフレームを図3(b)に示すように、N/2フレームずつ重ねて接続することにより、原信号xの復元信号が得られる。
【0010】
次に、DFT処理(S2)で求められる観測信号yの振幅スペクトルおよび位相スペクトルと、MUSIC法における原信号を構成する正弦波成分の周波数の推定値との関係について詳細に説明する。
【0011】
[1]観測信号yの自己相関行列と固有値分解
いま、ステップS1で切り出されたフレームの原信号を、Nサンプルの離散時間信号ベクトルxとすると、このxは、次のように表すことができる。
【0012】
【数1】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
T:行列またはベクトルの転置
【0013】
原信号xがP個の正弦波成分から構成されているとすると、原信号xは、
【0014】
【数2】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0015】
と表される。ここで、S,aは、
【0016】
【数3】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0017】
【数4】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
X(f):xを構成する正弦波成分のうち周波数fにあたる成分の複素振幅値
【0018】
で与えられる。ここで、Sの列要素である複素指数ベクトルs(f)は、
【0019】
【数5】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0020】
で与えられる。一般に、原信号xを構成する正弦波成分の数Pとその周波数f(l=0,1,…,P−1)は未知である。
いま、原信号xに雑音が付加された信号、
【0021】
【数6】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0022】
が観測されたものとする。ここでnは平均0、分散σ で与えられる正規分布雑音信号であり、原信号xと雑音nとは互いに無相関である。このとき、観測信号yの自己相関関数行列Ryyは、
【0023】
【数7】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0024】
で定義される。ここで、E[yy]はyyの期待値、Hは行列またはベクトルの複素共役転置を表す。また、RxxとRnnは、それぞれxとnの自己相関行列であり、
【0025】
【数8】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0026】
【数9】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0027】
で与えられる。また、式(8)の行列Aは、
【0028】
【数10】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0029】
で与えられる。
【0030】
MUSIC法では、一般に、信号の自己相関行列を固有値分解することにより、信号部分空間と雑音部分空間とを求め、得られた雑音部分空間を用いて信号情報を推定する。しかし、一般に行列の固有値分解は計算が複雑で計算量が非常に多い。このため音声信号のようにサンプル数Nが比較的大きい場合には、実時間処理は不可能である。そこで、本発明では、自己相関行列の特徴に注目し、実時間処理が可能な新しい固有値分解の手法を提案する。
【0031】
いま、原信号xがP−N個の周波数成分X(φ)(k=0,1,…,N−1)で構成されており、その周波数φがDFT(離散フーリエ変換)のように
【0032】
【数11】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0033】
で与えられるものとする。このとき、式(3)で与えられるSの行要素は複素平面にある単位円の円周を等分する点に等間隔で配置されるので、Sの異なる行は互いに直交する。そのため、Sは、
【0034】
【数12】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0035】
【数13】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0036】
という性質を持つ。式(12)と式(13)とにより、Sの複素共役転置Sは、
【0037】
【数14】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0038】
と表され、式(14)を式(8)に代入すると、
【0039】
【数15】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0040】
が得られる。式(10)より、Aは対角行列なのでAにスカラー量NをかけたNAも対角行列である。よって、式(15)はRxxの固有値分解を表しており、Rxxの固有値をλ(k=0,1,…,N−1)、それに対応する固有ベクトルをν(k=0,1,…,N−1)とすると、固有値λおよび固有ベクトルνは、次の式(16)、(17)により容易に求めることができる。
【0041】
【数16】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0042】
【数17】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0043】
以上のことから、自己相関行列とその固有値と固有ベクトルに関する次のような性質が得られる。
(1)自己相関行列の固有値は、信号のDFTから直接求めることができる。(2)自己相関行列の固有ベクトルは、式(17)で与えられるので、自己相関行列からの計算によって求める必要がない。
(3)自己相関行列の固有値と固有ベクトルを計算するために、信号から自己相関行列を求める必要がない。
【0044】
更に、サンプル数Nを2の乗数に設定することにより、DFT部2としてFFT(高速フーリエ変換)を用いた固有値計算が可能となる。信号の自己相関行列から固有値と固有ベクトルとが得られると、MUSIC法によって信号を構成する正弦波成分の周波数を推定することができる。
【0045】
[2]MUSIC法による雑音除去
MUSIC法は、固有値分解に基づく部分空間法の一つで、雑音に埋もれた中から目的とする原信号を構成する正弦波成分の周波数を推定するものである。いま、雑音を含まない原信号x、雑音を含んだ観測信号yがそれぞれ式(2)と式(6)とで与えられるものとする。ここで、xを構成する正弦波成分の数はP<Nとする。このとき、xの自己相関行列Rxxは、ランクがPの非負定値エルミート行列となるので、Rxxの固有値λは全て実数で、
【0046】
【数18】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0047】
で与えられる。一方、式(7)と式(9)とにより、yの自己相関行列Ryyの固有値μは、
【0048】
【数19】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0049】
で与えられるので、μは、
【0050】
【数20】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0051】
となる。また、μに対応する固有ベクトルをν(k=0,1,…,N−1)とすると、それらは互いに直交する二組の部分空間に分けることができる。{ν,ν,…νp−1}は、Sと等価な信号部分空間を張り、一方{ν,νp+1,…νpN−1}は、Sと直交するザツサ部分空間を張る。yのMUSICスペクトラムは、雑音部分空間を張る固有ベクトルを用いて、
【0052】
【数21】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0053】
で定義される。ここで、fは任意の周波数である。式(21)は、f=fのときに極を持つので、その点において鋭いピークが現れる。よって、xを構成する正弦波成分の周波数fは、MUSICスペクトラム上のP個のピーク点を検出することによって推定することができる。さらに、MUSICスペクトラムから推定された周波数(以下、式中においてはfの上に推定値であることを示す“^”を付加して表記する)を用いると、最尤法や一般化逆行列計算によってyからxを復元することができる。しかし、この方法は、行列の乗算や逆行列計算を含むので計算量が多く、実時間処理には不向きである。そこで本発明では、これらの方法によらない以下に述べる方法でxを復元する。
【0054】
上述したように、xはP(<N)個の周波数成分から構成される。一方、nは正規分布雑音なので、その成分は全周波数帯域にわたって分布している。つまり、yの周波数成分のうちf以外の周波数における成分は雑音のみが含まれる。式(16)と式(19)とにより、xとyの周波数成分の間には、
【0055】
【数22】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0056】
が成り立つ。ここで、X(f)とY(f)は、それぞれxとyのfにおける周波数成分である。よって、X(f)の推定値は、
【0057】
【数23】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0058】
で与えられる。式(23)は自己相関行列の固有値から導かれた式であるから、この式により求められるX(f)の推定値は、位相に関する情報を一切持たない。そこで、人間の聴覚が位相の変化に対して敏感でないという性質を利用し、yの周波数成分から求められた位相スペクトルを、X(f)の推定値の位相情報として用いる。yの周波数成分Y(f)(但しfは推定値)の位相情報を、
【0059】
【数24】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0060】
とする。ここでRe{・}とIm{・}とはそれぞれ複素数の実数部と虚数部とを表す。このとき、X(f)の推定値は、
【0061】
【数25】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0062】
によって復元される。よって、xの復元信号は、XMUSICのIDFT(逆離散フーリエ変換)によって、
【0063】
【数26】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0064】
で求めることができる。
【0065】
次に、MUSICスペクトラムの持つ意味について考える。式(16)と式(20)より、信号部分空間に相当する固有値は、yの周波数成分のうちパワーの大きいP個の成分と対応する。同様にして、雑音部分空間に相当する固有値は、yの周波数成分のうちパワーの小さいN−P個の成分と対応している。さらに、固有ベクトルνは、式(17)よりyを構成する正弦波成分に相当する複素指数ベクトルs(φ)で与えられる。一方、任意の周波数fにおける複素指数ベクトルs(f)は、その周波数が式(11)で与えられるときにのみ、その要素がすべて複素平面の単位円を等分する点に等間隔で配置される。よって、式(21)で表されるMUSICスペクトラムの分母は、以下のように与えられる。
【0066】
【数27】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0067】
【数28】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0068】
【数29】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0069】
これらのことから、式(21)で表されるMUSICスペクトラムは、観測信号yの周波数成分のうちパワーの大きいP個の周波数成分における周波数のみに極を持つ。このことは、観測信号yのMUSICスペクトラムに現れるP個のピーク点から周波数を推定することが、観測信号yの周波数成分のうちパワーの大きいP個の成分における周波数を検出することに他ならないことを意味する。よって、MUSICスペクトラムを計算しなくても、観測信号yの振幅スペクトルから直接、MUSIC法によって推定されるものと同じ周波数を推定することができる。
【0070】
図4は、MUSIC法による雑音除去の処理(S5)の詳細を示すフローチャートであり、その左には、各処理で得られる信号又は信号のスペクトルを示している。まず、観測信号y(離散時間信号)から、DFT部2で振幅スペクトルおよび位相スペクトルが求められたら、振幅スペクトルのうち、パワーの大きいP個の成分が抽出される(S11)。次に、原信号の振幅スペクトルが求められ(S12)、この振幅スペクトルに観測信号yの位相スペクトルが付加されて位相情報が復元される(S13)。そして、これを逆DFTすることにより,フレームの復元信号が得られる(S14)。
【0071】
なお、以上では、xを構成する正弦波成分の数、つまり信号部分空間の次元Pが既知であるものとして説明した。しかし、一般にはPは未知である。そこでRyyの固有値μの分布とnの分散σ を用いてPを推定する方法について説明する。
【0072】
yyの固有値μは、式(20)のように分布する。実際には、サンプル数Nが有限長であるために、{μ,μP+1,…,μN−1}は一定値σ にならず、σ を平均値として、ある程度の範囲に散らばって分布するが、それでも{μ,μ,…,μP−1}と比較すると、それは十分σ とみなすことができる範囲で分布している。そこで、本発明では、σ をしきい値として用い、σ よりも大きいRyyの固有値の数をPとしている。信号部分空間の次元決定部3は、雑音分散推定部6で求められた分散σ の推定値よりも大きいピークを持つ成分の数を信号部分空間の次元Pとして決定する。
【0073】
しかし、観測信号には、xとnの両方が含まれているため、σ を推定することは現実的には困難である。そこで、人間の発する音声は文章間に無音区間を含み、また、雑音の分散は、時間変化に対して緩やかに変化すると仮定すると、音声区間に含まれる雑音の分散は、直前の無音区間から推定することができる。観測信号yから音声区間と無音区間を検出するため、次の式(30)を定義する。
【0074】
【数30】
Figure 2004004286
Figure 2004004286
【0075】
ここで、σ の上に“^”を付した値は、σ の推定値である。Ryyの固有値μは、式(20)で与えられるので、DVADは無音区間では0、音声区間ではそれよりも大きな値を示す。DVAD≦0の場合、σ の推定値をその区間の信号の分散によって更新することにより、時間変化に対して緩やかに特性が変化する雑音に対しても雑音除去や部分空間の次元の決定が効果的に行われる。本システムでは、分散計算部11が観測信号yの分散を計算し、無音区間検出部12が、上記式(30)に基づいて無音区間を検出する。そして、雑音分散更新部13は、無音区間での分散を雑音信号の分散であるとして、分散の更新に使用する。なお、本実施形態では、マイクロホンから入力される観測信号yは必ず無音区間から始まると仮定して、観測信号の最初のフレームの分散をσ の推定値の初期値として用いるようにしている。
【0076】
なお、以上では、原信号が音声信号である例について説明したが、原信号が心電図における心拍信号である場合や脳波信号である場合にも、それらに重畳された雑音を除去するのに極めて有用である。
【0077】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、MUSIC法によって推定された信号情報を利用した雑音除去方法として、自己相関行列の固有値と固有ベクトルを求めるための行列演算を行わず、観測信号に対する離散的フーリエ変換を用いて自己相関行列の固有値および固有ベクトルを求めるようにしているので、精度の良い雑音除去をリアルタイムで行うことが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る雑音除去システムの構成を示すブロック図である。
【図2】同システムの動作を示すフローチャートである。
【図3】同システムにおけるフレーム切出しとフレーム接続を説明するための図である。
【図4】同システムにおける雑音除去処理の詳細を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…フレーム切出し部
2…DFT(離散フーリエ変換)部
3…信号部分空間の次元決定部
4…MUSIC法による雑音除去部
5…フレーム接続部
6…雑音分散推定部
11…分散計算部
12…無音区間検出部
13…雑音分散更新部

Claims (5)

  1. 原信号に雑音信号が重畳された観測信号を入力し、この観測信号を所定長さのフレーム毎に切り出すフレーム切出し部と、
    前記切り出されたフレーム毎に離散的フーリエ変換を施し、前記フレームの振幅スペクトルと位相スペクトルとを抽出する離散的フーリエ変換部と、
    前記観測信号から前記雑音信号の分散を推定する雑音分散推定部と、
    前記推定された雑音信号の分散に基づいて前記観測信号の信号部分空間の次元を決定する信号部分空間の次元決定部と、
    前記抽出されたフレームの振幅スペクトルから前記決定された次元の振幅スペクトルを抽出し、この抽出された振幅スペクトルと前記推定された雑音信号の分散とから前記原信号の振幅スペクトルを推定し、更に前記原信号の振幅スペクトルの推定値と前記フレームの位相スペクトルとから前記原信号のスペクトルを推定し、前記推定された原信号のスペクトルを逆フーリエ変換して原信号を復元することにより前記原信号に重畳された雑音信号を除去する雑音除去部と、
    前記雑音信号が除去された各フレームを接続して復元信号を得るフレーム接続部と
    を備えたものであることを特徴とする雑音除去システム。
  2. 前記雑音分散推定部は、
    前記観測信号の分散を計算する分散計算部と、
    前記観測信号の振幅スペクトルと前記推定された雑音信号の分散とから前記観測信号に前記原信号を含まない無信号区間を検出する無信号区間検出部と、
    前記検出された無信号区間で前記観測信号の分散を求めて前記推定された雑音信号の分散を更新する雑音分散更新部と
    を備えたものであることを特徴とする請求項1記載の雑音除去システム。
  3. 原信号に雑音信号が重畳された観測信号を入力し、この観測信号を所定長さのフレーム毎に切り出すステップと、
    前記切り出されたフレーム毎に離散的フーリエ変換を施し、前記フレームの振幅スペクトルと位相スペクトルとを抽出するステップと、
    前記観測信号から前記雑音信号の分散を推定するステップと、
    前記推定された雑音信号の分散に基づいて前記観測信号の信号部分空間の次元を決定するステップと、
    前記抽出されたフレームの振幅スペクトルから前記決定された次元の振幅スペクトルを抽出し、この抽出された振幅スペクトルと前記推定された雑音信号の分散とから前記原信号の振幅スペクトルを推定し、更に前記原信号の振幅スペクトルの推定値と前記フレームの位相スペクトルとから前記原信号のスペクトルを推定し、前記推定された原信号のスペクトルを逆フーリエ変換して原信号を復元することにより前記原信号に重畳された雑音信号を除去するステップと、
    前記雑音信号が除去された各フレームを接続して復元信号を得るステップと
    をコンピュータに実行させるように構成された雑音除去プログラム。
  4. 前記雑音信号の分散を推定するステップは、
    前記観測信号の分散を計算するステップと、
    前記観測信号の振幅スペクトルと前記推定された雑音信号の分散とから前記観測信号に前記原信号を含まない無信号区間を検出するステップと、
    前記検出された無信号区間で前記観測信号の分散を求めて前記推定された雑音信号の分散を更新するステップと
    を備えたものであることを特徴とする請求項3記載の雑音除去プログラム。
  5. 前記観測信号の信号部分空間の次元を決定するステップは、前記観測信号から求められた振幅スペクトルのうち前記雑音信号の分散の推定値よりも大きいピークを持つ振幅スペクトルの数を、前記信号部分空間の次元と決定するステップであることを特徴とする請求項3又は4記載の雑音除去プログラム。
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