JP2004003988A - 金属識別装置および金属識別方法 - Google Patents

金属識別装置および金属識別方法 Download PDF

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入江 正一
Takao Hisakado
久角 隆雄
Norie Araki
荒木 紀恵
Takashi Nagashima
長嶋 貴志
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Abstract

【課題】表面に塗装膜等の絶縁皮膜がある金属であっても、低コストで簡便に金属の種類を識別できる金属識別装置および金属識別方法を提供する。
【解決手段】被識別物(50)との間で放電を起こして被識別物(50)を励起発光させる放電電極(112)を含むアーク放電装置(11)と、アーク放電装置(11)で発光した光を集光する光ファイバー(12)と、光ファイバー(12)にて集光された光の発光スペクトルを測定する分光計(13)と、分光計(13)にて測定された発光スペクトルのデータと予め格納された複数の標準試料の発光スペクトルデータとを比較し、被識別物(50)の金属の種類を識別する識別処理部としてのパーソナルコンピュータ(14)と、被識別物の表面の少なくとも一部を破損させる破損処理部として設けられた、先端部に突起を有する対電極(113)とを含む。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、使用済み家電製品等の処理において、処理対象となる製品に使用されている金属を識別するための金属識別装置および金属識別方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境保護、公害防止、および資源の再利用のため、使用済み家電製品等の適切な処理が求められている。
【0003】
例えば、マグネシウムは、軽くて丈夫であり、さらに射出成型も可能であるため、近年、その使い勝手の良さから用途が拡大され、生産量および使用量が増加している。これに伴い、廃棄されるマグネシウムの量も増加の傾向にある。マグネシウムは反応性が高いので燃えやすく、粉塵の濃度が高くなると粉塵爆破を起こす危険性がある。従って、マグネシウムを一般の廃棄物に混入して破砕機で破砕すると、爆発する可能性があった。
【0004】
また、分別回収されれば資源として有効に再利用可能な鉄、銅、およびアルミニウム等の金属についても、分別せずに一括破砕してミックスメタルとし、屑鉄として処理することも多かった。このようなミックスメタルは、廃棄埋め立て処分となる場合もあり、地球環境の悪化や埋め立て用地の不足等の社会問題を招来していた。
【0005】
以上のような理由から、使用済み家電製品等を処理する場合、一括破砕する前に、製品に使用されている金属の種類を識別して分別回収することが重要となる。従来、金属の種類の識別は、磁力と渦電流とを利用して鉄とアルミニウムを分別する程度であり、例えばマグネシウムを他の非鉄金属から簡便な方法で分別することはできなかった。また、金属の種類を高精度に分析する方法として、X線を用いて結晶構造を分析するX線回折法等が知られているが、この方法は人体に有害なX線を使用するので、実際の処理現場での使用は適当ではない(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
従って、処理現場で金属を高精度に分別するためには、処理対象である製品を分解して製造品番や刻印等で金属の種類を確認する方法や、または、製品の一部を削り取り発光分光分析装置を用いて時間をかけて分析する方法等を用いなければならなかった。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−216651号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、製造品番等で使用されている金属を確認する方法の場合、かなりの手間がかかるので、実際の処理現場で全ての製品に対して適用することは困難であるという問題があった。また、発光分光分析装置を用いて分析する方法の場合、家電製品は金属表面に塗装膜、錆、および汚れ等による皮膜、特に絶縁皮膜が形成されていることが多いため、その絶縁皮膜の存在により金属を励起発光させることが困難であるという問題があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の金属識別装置は、被識別物との間で放電を起こして前記被識別物を励起発光させる第1の電極を含む発光部と、前記発光部で発光した光を集光する集光部と、前記集光部にて集光された光の発光スペクトルを測定する分光測定部と、前記分光測定部にて測定された前記発光スペクトルのデータと、予め格納された複数の標準試料の発光スペクトルデータとを比較して、前記被識別物を識別する識別処理部と、前記被識別物の表面の少なくとも一部を破損させる破損処理部と、を含むことを特徴としている。
【0010】
本発明の金属識別方法は、被識別物の表面の少なくとも一部を破損させた後、前記被識別物を励起発光させて前記被識別物の発光スペクトルを測定し、前記被識別物の発光スペクトルのデータと、予め格納された複数の標準試料の発光スペクトルデータとを比較して、前記被識別物の金属の種類を識別することを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の金属識別装置によれば、被識別物の表面の少なくとも一部を破損させることができるので、被識別物の表面に皮膜、特に絶縁皮膜が存在する場合であっても、放電を起こして被識別物を励起発光させることができる。これにより、例えば表面に塗装膜等の絶縁皮膜がある金属であっても、低コストで簡便に金属の種類を識別できる。
【0012】
本発明の金属識別装置においては、前記発光部は、被識別物との間で放電を起こして前記被識別物を励起発光させる第1の電極と、前記被識別物の励起発光時に前記被識別物に接触するように設けられ、且つ先端部に突起を有する第2の電極とを含んでいることが好ましく、また、前記破損処理部が、前記第2の電極の突起であることが好ましい。被識別物の表面に例えば絶縁皮膜が存在する場合であっても、第2の電極に設けられた突起により第2の電極はその絶縁皮膜を貫通して内部の金属部分に到達できる。従って、被識別物を所望の電位に設定することができ、第1の電極との電位差を容易に増加させることができる。これにより、例えば表面に塗装膜等の絶縁皮膜がある金属であっても、低コストで簡便に金属の種類を識別できる。
【0013】
本発明の金属識別装置において、前記第2の電極は、先端部に突起を有する分割電極を少なくとも二つ含んでおり、前記分割電極間の導通の有無を判定する導通判定部がさらに設けられていることが好ましい。これにより、第2の電極が被識別物の内部の金属部分に到達したか否かを判定できるので、より確実に放電を起こすことができるからである。
【0014】
本発明の金属識別装置において、前記第2の電極は、前記第1の電極と前記被識別物との間の距離を所定の距離に設定する部材として用いることもできる。
【0015】
本発明の金属識別装置において、前記破損処理部は、前記被識別物の表面であって前記第1の電極と対向する領域の少なくとも一部に、所定の深さの傷をつける傷加工部材を含むことが好ましい。また、傷加工処理部は、前記発光部と一体的に設けられていてもよい。被識別物の表面に例えば絶縁皮膜が存在する場合であっても、その絶縁皮膜に予め傷をつけておくことにより絶縁破壊電圧を下げることができるので、放電が起こりやすくなり、金属の識別がより容易となる。
【0016】
本発明の金属識別装置において、前記被識別物に所定の電位を与えるための針状電極をさらに含み、前記針状電極を破損処理部としてもよい。被識別物の表面に例えば絶縁皮膜が存在する場合であっても、針状電極はその絶縁皮膜を貫通して内部の金属部分に到達できるので、被識別物を所望の電位にすることができる。これにより、第1の電極と被識別物との電位差を容易に増加させることができる。これにより、例えば表面に塗装膜等の絶縁皮膜がある金属であっても、低コストで簡便に金属の種類を識別できる。
【0017】
本発明の金属識別装置において、前記発光部は、前記第1の電極と前記被識別物との間の距離を所定の距離に設定し、且つ前記第1の電極の周囲を囲むように設けられた、絶縁材料からなるカバーをさらに含むことが好ましい。第1の電極と被識別物以外の金属との放電を防いで、第1の電極と被識別物との間で確実に放電を起こすためである。
【0018】
本発明の金属識別装置において、前記第1の電極と前記被識別物との間にパルス放電を生じさせて、前記被識別物の表面であって前記第1の電極と対向する領域の少なくとも一部を除去するパルス放電回路を前記破損処理部とすることも可能である。この場合、前記被識別物の表面に付着している皮膜の厚みを測定する膜厚測定部をさらに含み、前記パルス放電回路は、前記膜厚測定部にて測定された前記皮膜の厚みに応じて印加電圧が設定されることが好ましい。被識別物の表面に例えば絶縁皮膜が存在する場合であっても、予めパルス放電によりその絶縁皮膜を燃やして除去することができるので、被識別物の金属成分のみを励起発光させることができ、識別精度も向上する。
【0019】
本発明の金属識別装置において、前記被識別物の表面に付着している皮膜の厚みを測定する膜厚測定部と、前記膜厚測定部にて測定された前記皮膜の膜厚に応じて、前記第1の電極と前記被識別物との間の距離を変化させる、第1の電極−被識別物間距離制御部と、をさらに含むことが好ましい。被識別物の表面に例えば絶縁皮膜が存在し、その絶縁皮膜が厚い場合でも、第1の電極と被識別物との距離を適当に選択することにより、絶縁皮膜に絶縁破壊を起こさせて放電を実現できる。これにより、被識別物を安定的に発光させることができる。
【0020】
本発明の金属識別装置において、前記被識別物の表面に付着している皮膜の厚みを測定する膜厚測定部と、前記膜厚測定部にて測定された前記皮膜の膜厚に応じて、前記第1の電極と前記被識別物との間に印加する電圧を変化させる、第1の電極−被識別物間電圧制御部と、をさらに含むことが好ましい。被識別物の表面に例えば絶縁皮膜が存在し、その絶縁皮膜が厚い場合でも、第1の電極と被識別物との距離を適当に選択することにより、絶縁皮膜に絶縁破壊を起こさせて放電を実現できる。これにより、被識別物を安定的に発光させることができる。
【0021】
また、前記第1の電極−被識別物間距離制御部または/および前記第1の電極−被識別物間電圧制御部にて設定された、前記第1の電極と前記被識別物との間の距離または/および前記第1の電極と前記被識別物との間に印加される電圧に応じて、前記集光部の位置を変化させる、集光部位置制御部をさらに含むことが好ましい。第1の電極の位置の変化や印加電圧の変化により発光位置が変化するので、発光位置の変化に合わせて集光部の位置も変化させることが好ましいからである。
【0022】
本発明の金属識別装置において、前記第1の電極に付着した物質を除去するクリーニング部をさらに含むことが好ましい。以前に識別した被識別物の溶融物が第1の電極に付着していると、正確に金属を識別できないからである。
【0023】
また、前記クリーニング部は、放電時に、前記第1の電極に付着した物質を除去するエアブローを含むことが好ましい。放電時に第1の電極のクリーニングもできるので、識別に要する時間も短縮できるからである。
【0024】
本発明の金属識別装置において、前記識別処理部は、標準試料の発光スペクトルデータを格納する標準試料データ格納部と、前記分光測定部にて測定された前記被識別物の発光スペクトルのデータを格納する測定データ格納部と、前記被識別物の発光スペクトルのデータと、前記標準試料の発光スペクトルデータとを比較して、前記被識別物の金属の種類を判断する比較判断部と、を含むことが好ましい。例えば、前記比較判断部は、前記被識別物の発光スペクトルのピークスペクトル波長と前記標準試料の発光スペクトルのピークスペクトル波長との一致数を前記標準試料の種類ごとに計数し、計数結果に基づいて前記被識別物の金属の種類を識別することが好ましい。より具体的には、例えば、前記比較判断部は、前記被識別物の発光スペクトルのピークスペクトル波長と前記標準試料の発光スペクトルのピークスペクトル波長との一致数を標準試料の種類ごとに計数し、一致数の最も多い第1の標準試料を判定し、前記被識別物の金属を前記第1の標準試料の金属であると判断することが
好ましい。第1の電極に以前に識別した被識別物の溶融物が付着している場合であっても、ピークスペクトル波長の一致数にて金属の種類を判断すれば、誤判定を抑制できるからである。
【0025】
また、合金を判断する場合には、前記比較判断部は、前記被識別物の発光スペクトルのピークスペクトル波長と前記標準試料の発光スペクトルのピークスペクトル波長との一致数を標準試料の種類ごとに計数し、他の標準試料よりも一致数の多い多一致標準試料を少なくとも二つ判定し、前記被識別物の金属を、前記多一致標準試料の金属を含む合金であると判断することも可能である。
【0026】
本発明の金属識別装置において、前記識別処理部は、基準金属を測定して得られた発光スペクトルのピークスペクトル波長と、前記標準試料データ格納部に格納されている前記基準金属の発光スペクトルデータのピークスペクトル波長との差分値を算出し、前記差分値に基づいて発光スペクトル補正データを作成する補正部をさらに含み、前記比較判断部は、前記標準試料データ格納部に格納された発光スペクトルデータに替えて、前記被識別物の発光スペクトルのデータと前記発光スペクトル補正データとを比較することにより、前記被識別物の金属の種類を判断することが好ましい。周囲温度の変動等によりピークスペクトル波長がずれる場合があるので、このピークスペクトル波長のずれを補正してより正確な識別を行うためである。
【0027】
本発明の金属識別装置において、前記測定データ格納部には、単位時間ごとに区切って複数回測定された前記被識別物の発光スペクトルのデータが格納されており、前記比較判断部は、前記複数のデータから時間の経過とともに減衰するピークスペクトル波長を判定し、前記減衰するピークスペクトル波長を除いて前記被識別物の金属の種類を識別することが好ましい。皮膜による誤識別を防ぐためである。
【0028】
本発明の金属識別装置において、前記測定データ格納部には、単位時間ごとに区切って複数回測定された前記被識別物の発光スペクトルのデータが格納されており、前記標準試料データ格納部には、前記被識別物の皮膜の種類別の標準試料の発光スペクトルデータが格納されており、前記比較判断部は、前記測定データ格納部に格納された前記複数のデータから時間の経過とともに減衰するピークスペクトル波長を判定し、前記減衰するピークスペクトル波長から前記被識別物の皮膜の種類を判断し、判断された前記被識別物の皮膜の種類に応じた標準試料の発光スペクトルデータを用いて、前記被識別物の金属の種類を識別することが好ましい。皮膜の種類ごとに固有の発光スペクトルデータを用いるので、誤識別を防止できるからである。
【0029】
また、本発明の金属識別方法によれば、被識別物の表面に例えば絶縁皮膜が存在する場合であっても、容易に被識別物の金属の種類を識別できる。
【0030】
本発明の金属識別方法において、前記被識別物の発光スペクトルを単位時間ごとに区切って複数回測定し、時間の経過とともに減衰する発光スペクトルのピークスペクトル波長を判定し、減衰するピークスペクトル波長を除いた前記被識別物の発光スペクトルのデータと、予め格納された複数の標準試料の発光スペクトルデータとを比較して、前記被識別物の金属の種類を識別することが好ましい。皮膜の成分による誤識別を防ぐことができるからである。
【0031】
本発明の金属識別装置において、前記被識別物の発光スペクトルを単位時間ごとに区切って複数回測定し、時間の経過とともに減衰する発光スペクトルのピークスペクトル波長から前記被識別物の皮膜の種類を判定し、前記被識別物の発光スペクトルのデータと、皮膜の種類別に予め格納された複数の標準試料の発光スペクトルデータとを比較して、前記被識別物の金属の種類を識別することが好ましい。皮膜の成分による誤識別を防ぐことができるからである。
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0033】
(実施の形態1)
図1に、本発明の実施の形態1における金属識別装置1を用いて被識別物50を識別する様子を示す。図2は、図1のI−I断面図である。本実施の形態の金属識別装置1は、アーク放電装置(発光部)11と、光ファイバー(集光部)12と、分光計(分光測定部)13と、パーソナルコンピュータ(識別処理部)14とを含んでいる。さらに、金属識別装置1は、被識別物50を認識するための画像認識装置(図示せず)およびアーク放電装置11に電圧を供給するための直流電源(図示せず)を含んでいる。
【0034】
アーク放電装置11は、アーク放電により被識別物50にエネルギーを与えて被識別物50を励起発光させる装置である。アーク放電装置11には、本体部111、被識別物50との間でアーク放電を起こすための放電電極(第1の電極)112、および被識別物50をアースするための対電極(第2の電極)113が設けられている。
【0035】
図2に示すように、放電電極112は、リード線116aを介して直流電源(図示せず)に接続されている。放電電極112には、銀、銅、タングステン等の金属を用いることができるが、ピークスペクトル波長の少ない銀を用いることが好ましい。例えば周囲温度等に応じて発光スペクトルの補正を行う場合や、放電電極112の汚れを確認する場合等に、基準となる単一元素の標準サンプル(基準金属)の発光スペクトルを測定することがある。この場合に用いられる基準金属としては、ピークスペクトル波長の少ない銀が好ましい。放電電極112をこの基準金属と同じ金属とすることで、基準金属以外の発光スペクトルを考慮しなくてすむので、より適当な補正等を行うことができる。このような理由により、放電電極112に銀を用いることが好ましい。
【0036】
対電極113は、放電電極112の周囲を囲むように形成されており、放電時に被識別物50と放電電極112とのギャップをほぼ一定にするためのカバーとしても機能する。また、対電極113は二つに分割されており(分割電極113a,113b)、図2に示すように、各分割電極113a,113bの先端部に、それぞれ突起(破損処理部)115a,115bが設けられている。
【0037】
アーク放電装置11には、分割電極113a,113b間の導通の有無を判定する導通判定装置(導通判定部)114が、さらに設けられている。導通判定装置114は、リード線116bを介して分割電極113a,113bそれぞれに接続されている。
【0038】
図3は、対電極113を被識別物50に接触させて、放電電極112と被識別物50との間で放電を行う様子を示している。被識別物50には、金属部50bの表面に塗装膜、錆、および汚れ等からなる皮膜50aが存在する。本実施の形態では、この皮膜50aが絶縁性を有する皮膜(絶縁皮膜)である場合について説明する。対電極113は、先端部に突起115a,115bを有しているので、突起115a,115bにて絶縁皮膜50aを破ることができる。従って、対電極113の先端部は、絶縁皮膜50aを貫通して金属部50bに到達できる。このように、本実施の形態における対電極113によれば、表面が絶縁皮膜50aに覆われた被識別物50であっても、内部の金属部50bをアースできるので、被識別物50の金属部50bと放電電極112との間の電位差が大きくなる。このため、放電電極112と被識別物50との間で放電が起こりやすくなる。この放電により、放電電極112と金属部50bとの間に存在する絶縁皮膜50aが燃えて除去され、露出した金属部50bが励起発光する。なお、対電極113に設けられる突起115a,115bの形状は、図2,3に示すように下に向かってまっすぐ形成されるものでもよいが、図4に示すように、突起115a,115bの先端が内周側に傾き、かつ周方向に沿うような形状に形成されていてもよい。突起115a,115bをこのような形状にすれば、アーク放電装置11を回転させることにより、突起115a,115bを絶縁皮膜50aに食い込ませて確実に金属部50bに接触させることができるからである。
【0039】
また、突起115a,115bは、金属部50bに接触させる確率を高めるために、その数が多い方が好ましく、また、形状は先端に向かって尖っていることが好ましい。
【0040】
光ファイバー12は、アーク放電装置11にて発光した光を集めることができるように、アーク放電装置11の発光位置近傍に配置される。本実施の形態においては、光ファイバー12はアーク放電装置11の対電極113に固定されている。
【0041】
分光計13は、光ファイバー12にて集光された光を用いて、発光スペクトルを測定する。
【0042】
パーソナルコンピュータ14は、分光計13により得られた発光スペクトルのデータと、予め格納されている各種標準試料の発光スペクトルデータとを比較照合して、被識別物50の金属の種類を識別する。
【0043】
次に、金属識別装置1の金属識別処理動作について、図5および図6を参照しながら説明する。図5は、金属識別装置1のブロック図であり、図6は、金属識別装置1の動作を示すフローチャートである。
【0044】
画像認識装置16が被識別物50を確認した場合、パーソナルコンピュータ14の演算処理回路141は、その情報を受けてアーク放電装置11を被識別物50上に設置し、さらに、導通判定装置114により分離電極113a,113b間の導通の有無が判定される(ステップS1およびステップS2)。
【0045】
分割電極113a,113b間の導通が確認されると、直流電源15のスイッチがオンとなり(ステップS3)、アーク放電装置11の放電電極112と被識別物50との間に電圧が印加されアーク放電が起こる(ステップS4)。
【0046】
アーク放電にて得られた光は、光ファイバー12を経由して分光計13に送られる。分光計13で、被識別物50の発光スペクトルが測定される。測定された発光スペクトルからスペクトルデータが得られ(ステップS5)、このスペクトルデータがパーソナルコンピュータ14の測定データ格納メモリ(測定データ格納部)144内に格納される。以下、被識別物50の発光により得られた発光スペクトルのデータを、測定スペクトルデータという。
【0047】
測定スペクトルデータと、スペクトルデータベース(標準試料データ格納部)143の標準試料のスペクトルデータとが演算処理回路(比較判断部)141にて比較され、被識別物50の金属の種類が識別される(ステップS6)。また、測定スペクトルデータが取得された後、直流電源15のスイッチはオフとなる(ステップS7)。標準試料のスペクトルデータは、パーソナルコンピュータ14内のスペクトルデータベース143に予め格納されている。識別結果がパーソナルコンピュータ14のディスプレイ142に表示され(ステップS8)、金属識別処理動作が終了する。
【0048】
次に、測定スペクトルデータと標準試料のスペクトルデータとを比較して被識別物50の金属の種類を識別する方法について、具体的に説明する。
【0049】
本実施の形態においては、スペクトルデータベース143に標準試料のスペクトルデータが格納されている。具体的には、標準試料のスペクトルデータとして、家電製品等に含まれる分別回収が必要な各金属元素の発光スペクトルのピークスペクトル波長が示されている。以下に、スペクトルデータベース143に格納されているデータ例を示す。なお、本例では、波長範囲250nm〜400nmにおけるピークスペクトル波長を示している。
【0050】
[スペクトルデータベース]
金属の種類   ピークスペクトルの波長(nm)
銀       328.068,337.7690
アルミニウム  265.249,266.039,308.216,309.271,309.284,394.403, 396.153
マグネシウム  279.553,280.270,309.299,309.690,382.935,383.231
銅       261.837,276.637,282.437,296.117,324.754,327.396
亜鉛      368.347,334.593,334.557,334.502,330.294,328.233
鉛       373.995,367.150,357.273,326.235,324.019,322.054
錫       321.868,314.181,303.278,291.354,285.062
リン      382.744,337.110,336.443,334.770,317.514
【0051】
金属の種類を判別する際は、測定スペクトルデータから得られる被識別物50のピークスペクトル波長と、スペクトルデータベース143内の各金属元素のピークスペクトル波長とを比較照合し、金属元素ごとにピークスペクトル波長の一致数を計数する。例えば、被識別物のピークスペクトル波長が261.837、276.637、282.437、および308.216nmであった場合、この被識別物50のピークスペクトル波長は、銅のピークスペクトル波長と3個一致し、アルミニウムのピークスペクトル波長と1個一致する。このように、被識別物50のピークスペクトル波長と各金属元素のピークスペクトル波長と一致する個数を計数し、被識別物を、ピークスペクトル波長の一致する個数がより多い金属に属していると判断する。
【0052】
以上のように、ピークスペクトル波長の一致数を用いて金属の種類を識別する方法は、次のような理由から好ましい。例えば、放電電極112の表面に以前識別測定した被識別物の溶融物が付着している場合、アーク放電によってこの溶融物が発光スペクトルを発生させることがある。この溶融物は放電電極112の表面に付着しているため、微量であっても発光効率が高く、そのためピーク強度が大きくなる。従って、ピーク強度だけで金属の種類を判断すると、金属の種類の判定を間違える可能性がある。このような誤判定を防止するためには、最大ピーク強度で判断するよりも、ピークスペクトル波長の一致数で判断する方が好ましく、より信頼性の高い結果が得られる。
【0053】
また、ピークスペクトル波長の一致数により金属の種類を識別する方法を用いて、合金を識別することも可能である。具体的には、まず、ピークスペクトル波長の一致数が最も多い第1の金属を判断し、次に、この第1の金属を除く他の金属のピークスペクトル波長との一致数を計数して、その一致数が最も多い第2の金属を判断する。この結果により、被識別物50の金属を、第1の金属および第2の金属の合金と判断できる。
【0054】
また、周囲温度が変動すると空気に対する光の屈折率が変化し、得られるピークスペクトル波長が変化する。そこで、スペクトルデータベース143に格納されたデータを補正する補正部を設けて、補正されたデータを、別途設けた補正用データメモリ等に格納しておく。被識別物50の識別の際には、補正用データメモリ等に格納された補正後のデータを用いる。この場合、被識別物50の測定前に、基準となる単一元素の標準サンプル(基準金属)をアーク放電し、標準サンプルのピークスペクトル波長とスペクトルデータベース143に格納された該当する単一元素のピークスペクトル波長との差分値を求めておく。この差分値を補正量として、スペクトルデータベース143に格納されている各元素のピークスペクトル波長を補正し、発光スペクトル補正データとする。なお、用いられる標準サンプルは、放電電極112と同じ金属であることが好ましい。これは、アーク放電により得られる発光スペクトルとして、放電電極112に用いられている金属のピークスペクトル波長しか現れないので、データの補正が容易となるからである。
【0055】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2における金属識別装置2を用いて被識別物50を識別する様子を示す斜視図である。また、図8は、図7と同様に、識別時の様子を示す側面図である。
【0056】
本実施の形態の金属識別装置2は、アーク放電装置11と、光ファイバー12と、分光計13と、パーソナルコンピュータ14と、ドリル(破損処理部(傷加工部材))17と、を含んでいる。さらに、金属識別装置2は、被識別物50を認識するための画像認識装置(図示せず)およびアーク放電装置11に電圧を供給するための直流電源(図示せず)を含んでいる。
【0057】
ドリル17は、支持台18上に載置されてコンベア19上を搬送されてきた被識別物50に対して傷をつけるために設けられており、アーク放電装置11よりも搬送方向上流側に配置される。ドリル17は、被識別物50において、アーク放電時に放電電極112に対向する領域の少なくとも一部に、金属が露出する程度の深さの傷をつける。なお、傷加工部材として、ドリル17のかわりに、図9に示すカッター20や図10に示す針21等を利用することも可能である。
【0058】
アーク放電装置11は、被識別物50の傷が加工された部分と放電電極112とを対向させて、放電を生じさせる。なお、本実施の形態におけるアーク放電装置11は、実施の形態1で説明したアーク放電装置とほぼ同様の構成であるが、対電極113が二つに分割されておらずその先端に突起が形成されていない点と、導通判定装置が設けられていない点とが異なる。
【0059】
図3に示したように、被識別物50には、金属部50bの表面に塗装膜、錆、および汚れ等からなる絶縁皮膜50aが存在する。そこで、金属部50bの発光を起こしやすくするために、放電電極112と被識別物50との間に、絶縁皮膜50aの絶縁破壊電圧よりも大きい電圧をかけることが好ましい。
【0060】
しかし、被識別物50をアースするための対電極113は絶縁皮膜50aを介して金属部50bに接続されるので、金属部50bと放電電極112との電位差を大きくすることも困難である。
【0061】
そこで、本実施の形態の金属識別装置2においては、アーク放電装置11によりアーク放電させる前に、被識別物50の絶縁皮膜50aの表面に傷をつけて、絶縁皮膜50aの絶縁破壊電圧を低下させている。これにより、絶縁皮膜50aで被覆された被識別物50であっても、被識別物50と放電電極112との間に大きな電圧を印加することなく、放電を生じさせることができる。この放電により、放電電極112と金属部50bとの間に存在する絶縁皮膜50aが燃えて除去され、露出した金属部50bが励起発光する。
【0062】
次に、金属識別装置2の金属識別処理動作について、図11および図12を参照しながら説明する。図11は、金属識別装置2の構成を示すブロック図であり、図12は、金属識別装置2の処理動作を示すフローチャートである。
【0063】
画像認識装置16が被識別物50を確認した場合、パーソナルコンピュータ14の演算処理回路141はその情報を受けて、ドリル駆動装置22によりドリル17を駆動して被識別物50の表面に傷を加工する(ステップS11およびステップS12)。
【0064】
次に、直流電源15のスイッチがオンとなり(ステップS13)、アーク放電装置11の放電電極112と被識別物50との間に電圧が印加されてアーク放電が起こる(ステップS14)。
【0065】
その後の処理動作(ステップS15〜ステップS18)は、実施の形態1で説明した金属識別装置1の処理動作(ステップS5〜ステップS8)と同じであるため、ここではその説明を省略する。また、演算処理回路141における具体的な識別方法についても、金属識別装置1の場合と同じであるため、ここではその説明を省略する。
【0066】
(実施の形態3)
図13に、本発明の実施の形態3における金属識別装置3を用いて被識別物50を識別する様子を示す。図14は、図13のII−II断面図である。本実施の形態の金属識別装置3は、アーク放電装置11と、光ファイバー12と、分光計13と、パーソナルコンピュータ14とを含んでいる。さらに、金属識別装置3は、被識別物50を認識するための画像認識装置(図示せず)およびアーク放電装置11に電圧を供給するための直流電源(図示せず)も含んでいる。
【0067】
本実施の形態の金属識別装置3は、実施の形態2で説明した金属識別装置2と同様に、被識別物50の表面に傷をつけるための傷加工部材117が設けられているが、この傷加工部材117がアーク放電装置11と一体的に設けられている点で異なる。本実施の形態におけるアーク放電装置11には、本体部111、放電電極112、および対電極113が設けられている。対電極113は、放電電極112の周囲を囲むように形成されており、放電時に被識別物50と放電電極112とのギャップをほぼ一定にするためのカバーとしても機能する。なお、本実施の形態における対電極113は、実施の形態2の金属識別装置2と同様に、二つに分割されておらず、その先端に突起も設けられていない。
【0068】
図14に示すように、傷加工部材117は、傷をつけるための刃117aと、刃117aを収容する収容部117bとにより形成されている。刃117aは、被識別物50の表面に傷をつける時以外は収容部117b内に収容されている。
【0069】
図15は、対電極113を被識別物50に接触させて、被識別物50の放電を行う様子を示している。被識別物50の表面において、放電時に放電電極112と対向する領域の一部に、傷加工部材117により傷50cが形成される。このように放電前に傷50cをつけて内側の金属部50bの一部を露出させておくことで、絶縁皮膜50aの絶縁破壊電圧が低下する。従って、絶縁皮膜50aで被覆されている被識別物50であっても、被識別物50と放電電極112との間で放電を起こして被識別物50の金属を発光させることができる。なお、金属識別装置3の金属識別処理動作は、金属識別装置2の場合とほぼ同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0070】
(実施の形態4)
図16に、本発明の実施の形態4における金属識別装置4を用いて、被識別物50を識別する様子を示す。本実施の形態の金属識別装置4は、アーク放電装置11と、光ファイバー12と、分光計13と、パーソナルコンピュータ14と、電極部23とを含んでいる。さらに、金属識別装置4は、被識別物を認識するための画像認識装置(図示せず)およびアーク放電装置11に電圧を供給するための直流電源(図示せず)を含んでいる。
【0071】
アーク放電装置11には、本体部111、放電電極112、およびカバー118が設けられている。カバー118は、絶縁材からなり、放電電極112の周囲を囲むように形成されている。さらに、カバー118は、放電時に被識別物50と放電電極112とのギャップをほぼ一定にする機能、および光ファイバー12を固定する機能も有する。
【0072】
電極部23は、放電時に被識別物50をアースするために設けられた対電極であり、アース線24に接続されたプローブ(針状電極)23aと、プローブ23aを制御するプローブ制御装置23bとにより形成されている。プローブ制御装置23bとしては、例えば、エアシリンダーまたはモータを使用する。
【0073】
プローブ23aによれば、被識別物50をアースする際、被識別物50の表面の絶縁皮膜を破ることができる。従って、プローブ23aの先端は、絶縁皮膜を貫通して内部の金属部に到達できる。このように、プローブ23aによれば、表面が絶縁皮膜にて覆われている被識別物50であっても内部の金属部をアースできるので、被識別物50の金属部と放電電極112との間の電位差が大きくなり、放電電極112と被識別物50との間で放電が起こりやすくなる。この放電により、放電電極112と被識別物50の金属部との間に存在する絶縁皮膜が燃えて除去され、露出した金属部が励起発光する。
【0074】
また、アーク放電装置11の放電電極113が絶縁材からなるカバー118にて囲われており、カバー118の外側にプローブ23aが配置されるので、放電電極113とプローブ23aとの間での放電を抑制できる。
【0075】
次に、金属識別装置4の金属識別動作について、図17および図18を参照しながら説明する。図17は、金属識別装置4の構成を示すブロック図であり、図18は、金属識別装置4の処理動作を示すフローチャートである。
【0076】
画像認識装置16が被識別物50を確認した場合、パーソナルコンピュータ14の演算処理回路141はその情報を受けて、プローブ制御装置23bによりプローブ23aを被識別物50の位置まで下降させる(ステップS21およびステップS22)。
【0077】
プローブ23aが被識別物50に接触したことが確認された後、直流電源15のスイッチがオンとなり(ステップS23)、アーク放電装置11の放電電極112と被識別物50との間に電圧が印加されてアーク放電が起こる(ステップS24)。
【0078】
その後の処理動作(ステップS25〜ステップS28)は、実施の形態1で説明した金属識別装置1の処理動作(ステップS5〜ステップS8)と同じであるため、ここではその説明を省略する。また、演算処理回路141における具体的な識別方法についても、金属識別装置1の場合と同じであるため、ここではその説明を省略する。
(実施の形態5)
図19に、本発明の実施の形態5における金属識別装置5のブロック図を示す。本実施の形態の金属識別装置5は、実施の形態4で説明した金属識別装置4とほぼ同様の構成であるが、被識別物の絶縁皮膜の厚みを測定する膜厚測定装置25が設けられている点と、アーク放電装置11の内部構成が異なる点とが異なる。金属識別装置5においては、アーク放電を行う前にパルス放電により被識別物の絶縁皮膜の一部を除去し、被識別物の金属成分のみをアーク放電にて発光させるために、アーク放電装置11がパルス放電回路119、アーク放電回路120、および回路切換え装置121を含んでいる。すなわち、プローブ23aと共に、パルス放電回路119も、被識別物50の表面の少なくとも一部を破損させる破損処理部として機能する。また、パーソナルコンピュータ14には、膜厚測定装置25の測定結果に応じてパルス放電時の印加電圧を設定するために、電源電圧データベース145が含まれている。
【0079】
以上のような金属識別装置5によれば、アーク放電にて被識別物を発光させる前に予め絶縁皮膜が除去されるので、被識別物の金属成分のみを励起発光させることができる。これにより、表面に絶縁皮膜が存在する被識別物であっても識別可能となるという効果に加えて、識別精度が向上するという効果も得られる。
【0080】
以下に、図19のブロック図と共に、図20に示すフローチャートも参照しながら、金属識別装置5の金属識別動作について説明する。
【0081】
画像認識装置16が被識別物の存在を確認した場合、パーソナルコンピュータ14の演算処理回路141はその情報を受けて、プローブ制御装置23bによりプローブ23aを被識別物の位置まで下降させる(ステップS31およびステップS32)。
【0082】
次に、膜厚測定装置25に含まれる膜厚測定用プローブ(図示せず)をモータ等により下降させて、被識別物の絶縁皮膜の膜厚を測定する(ステップS33)。
【0083】
膜厚測定装置25の測定結果から、電源電圧データベース145に基づいてパルス放電時の印加電圧を決定する(ステップS34)。その後、直流電源15のスイッチがオンとなり(ステップS35)、アーク放電装置11の放電電極112と被識別物との間に電圧が印加されてパルス放電が起こる(ステップS36)。このパルス放電により、被識別物の絶縁皮膜の一部が除去される。
【0084】
その後、回路切換え装置121により、パルス放電回路119からアーク放電回路120に切換えられる。その後の処理動作(ステップS37〜ステップS41)は、実施の形態1で説明した金属識別装置1の処理動作(ステップS4〜ステップS8)と同じであるため、ここではその説明を省略する。ただし、本実施の形態の金属識別装置5においては、最後に回路切換え装置121にてパルス回路に切換えておく(ステップS42)。また、演算処理回路141における具体的な識別方法についても、金属識別装置1の場合と同じであるため、ここではその説明を省略する。
【0085】
(実施の形態6)
図21に、本発明の実施の形態6における金属識別装置6のブロック図を示す。本実施の形態の金属識別装置6は、実施の形態4で説明した金属識別装置4とほぼ同様の構成であるが、被識別物の絶縁皮膜の厚みを測定する膜厚測定装置25が設けられている点と、アーク放電装置11の内部構成が異なる点とが異なる。
【0086】
金属識別装置6においては、膜厚測定装置25の測定結果に基づいて、放電電極113の位置およびアーク放電時に放電電極113に印加される電圧が制御される。アーク放電装置11には、放電電極113の位置を制御するための電極制御装置(第1の電極−試料間距離制御部)123が含まれている。
【0087】
一般に、被識別物の絶縁皮膜が厚くなるに従い絶縁破壊電圧が高くなるので、アーク放電による被識別物の励起発光が起こりにくくなる。図22に示すように、絶縁皮膜の膜厚が大きくなるに従い、絶縁破壊電圧が大きくなる。また、図22より、絶縁皮膜の厚みが同じならば、放電電極113と被識別物とのギャップが小さいほど絶縁破壊電圧が小さくなることも確認できる。そこで、本実施の形態の金属識別装置6は、絶縁皮膜が厚い場合に放電電極113と被識別物とのギャップが小さくなるように、放電電極113の位置を制御する。さらに、アーク放電時の印加電圧も制御可能とすることで、より安定的な識別を行うことが可能となる。
【0088】
次に、図23を用いて、アーク放電装置11における放電電極113の位置を制御する機構について説明する。アーク放電装置11には、本体部111上にモータ取り付け金具123が設けられ、モータ124が取り付けられている。モータ124が駆動するとねじ部を有するモータ回転軸Mが回転し、それに伴いジョイント125が上下に移動する。ジョイント125は少なくとも二つの部分から構成されている。モータ回転軸Mと接続されるジョイント125Aは、耐久性を考慮して金属にて形成されている。一方、放電電極112と接続する部分であるジョイント125Bは、絶縁物にて形成されている。また、図中126は、放電電極112に接続されるリード線116aをアーク放電装置11から外部に出すための空間である。
【0089】
以下に、図21のブロック図と共に、図24に示すフローチャートも参照しながら、金属識別装置6の識別動作について説明する。
【0090】
画像認識装置16が被識別物の存在を確認した場合、パーソナルコンピュータ14の演算処理回路141はその情報を受けて、プローブ制御装置23bによりプローブ23aを被識別物の位置まで下降させる(ステップS41およびステップS42)。
【0091】
次に、膜厚測定装置25に含まれる膜厚測定用プローブ(図示せず)をモータ等により下降させて、被識別物の絶縁皮膜の膜厚を測定する(ステップS43)。
【0092】
次に、絶縁皮膜の膜厚が75μm未満であるか否か判断し(ステップS43)、絶縁皮膜の膜厚が75μm未満である場合は、印加電圧10kVの時に放電電極112と被識別物とのギャップが1mm以上で放電可能であるか否か判定する(ステップS44)。ギャップが1mm以上で放電可能であると判断した場合は、印加電圧10kVで放電可能な距離まで放電電極113を下降させる(ステップS45)。ギャップが1mm以上で放電不可能であると判断した場合、ギャップ1mmの位置まで放電電極113を下降させ(ステップS46)、さらに放電可能な電圧に印加電圧を変更する(ステップS47)。なお、ここで判断基準として用いた数値(膜厚75μm、ギャップ1mm、印加電圧10kV)は一例であって、他の数値を判断基準として用いることも可能である。また、印加電圧は演算処理回路141にて制御されている。
【0093】
その後、直流電源15のスイッチがオンとなり(ステップS48)、アーク放電装置11の放電電極112と被識別物との間に設定された電圧が印加されて、アーク放電が起こる(ステップS49)。測定スペクトルデータを得てから以降の処理動作(ステップS50〜ステップS53)は、実施の形態1で説明した金属識別装置1の処理動作(ステップS5〜ステップS8)と同じであるため、ここではその説明を省略する。ただし、本実施の形態の金属識別装置6においては、処理終了前に放電電極112の位置と印加電圧の値とを初期状態に戻しておく(ステップS54およびステップS55)。また、演算処理回路141における具体的な識別方法についても、金属識別装置1の場合と同じであるため、ここではその説明を省略する。
【0094】
(実施の形態7)
図25に、本発明の実施の形態7の金属識別装置7のブロック図を示す。本実施の形態の金属識別装置7は、実施の形態5で説明した金属識別装置6とほぼ同様の構成であるが、光ファイバー12がアーク放電装置11に対して位置変更可能に固定され、放電電極112の位置に応じて光ファイバー12の位置を変化させる光ファイバー制御装置(集光部位置制御部)26がさらに設けられている点で異なる。
【0095】
金属識別装置7においては、被識別物の絶縁皮膜の厚みに応じて、放電電極112の位置およびアーク放電時の印加電圧が変更される。このように放電電極の位置や印加電圧が変更されると、アーク放電時の発光位置も変化する。そこで、金属識別装置7は、発光位置の変化に応じて光ファイバー12の位置を変化させる。例えば、放電電極112の位置と印加電圧との組み合わせそれぞれに対して最も光強度の高い発光位置を記録したデータベース等を利用することにより、光ファイバー12の位置を変化させる。これにより、光ファイバー12にて集光される光量が増加するので、分光計13に入力される光強度が大きくなり、より精度の高い識別を行うことができる。
【0096】
次に、図26を用いて、アーク放電装置11に対して光ファイバー12の位置(本実施の形態においては傾斜角)を変化させる機構について説明する。なお、放電電極112の位置を制御する機構は、金属識別装置6の場合と同様である。アーク放電装置11の本体部111の側面に、モータ取り付け金具127が固定されている。モータ取り付け金具127にモータ128が取り付けられている。モータ128および光ファイバー12はジョイント129を介して互いに結合しており、モータ128によりジョイント129が回転し、これに伴い光ファイバー12が回転して角度調整される。
【0097】
以下に、図25のブロック図と共に、図27に示すフローチャートも参照しながら、金属識別装置7の識別動作について説明する。
【0098】
処理開始から光ファイバー12の位置変更をするまでの処理動作(ステップS61〜ステップS66)は、実施の形態6で説明した金属識別装置6の処理動作(ステップS41〜ステップS46)と同じである。次に、光ファイバー制御装置26(モータ128およびジョイント129)により、放電電極112の位置および印加電圧に応じて、光ファイバー12の位置変更(角度調整)が行われる(ステップS68)。これ以降の処理動作(ステップS69〜ステップS74)は、実施の形態1で説明した金属識別装置1の処理動作(ステップS3〜ステップS8)と同じであるため、ここではその説明を省略する。ただし、本実施の形態の金属識別装置7においては、処理終了前に放電電極112の位置と、光ファイバー12の位置と、印加電圧の値とを、初期状態に戻しておく(ステップS75〜ステップS77)。また、演算処理回路141における具体的な識別方法についても、金属識別装置1の場合と同じであるため、ここではその説明を省略する。
【0099】
(実施の形態8)
図28に、本発明の実施の形態8における金属識別装置を用いて被識別物50を識別する様子を示す。図29は、放電電極112をクリーニングする様子を示す。本実施の形態の金属識別装置8は、アーク放電装置11と、光ファイバー12と、分光計13と、パーソナルコンピュータ14と、電極部23と、放電電極112をクリーニングするための回転ブラシ(クリーニング部)27と、回転ブラシ27を回転させる回転ブラシ制御装置(クリーニング部)28とを含んでいる。金属識別装置8は、さらに、被識別物を認識するための画像認識装置(図示せず)、アーク放電装置11に電圧を供給するための直流電源(図示せず)、およびアーク放電装置11を所定の位置に移動させるロボットアーム等のアーク放電装置用制御装置(図示せず)を含んでいる。32は基準金属である。
【0100】
金属識別装置8は、被識別物の識別処理を行う際に必要と判断されれば、図29に示すように放電電極112の先端部を回転ブラシで研磨し、電極に付着している成分を除去する。これにより、放電電極112に付着した成分のために生じる誤識別を防ぐことができる。
【0101】
次に、金属識別装置8の識別動作について、図30および図31を参照しながら説明する。図30は、金属識別装置8の構成を示すブロック図であり、図31は、金属識別装置8の処理動作を示すフローチャートである。
【0102】
画像認識装置16が被識別物50の存在を確認した場合、パーソナルコンピュータ14の演算処理回路141はその情報を受けて、基準金属32の位置までアーク放電装置11を移動させる(ステップS81およびステップS82)。
【0103】
次に、画像認識装置16により基準金属32を確認した後、プローブ23aを下降させ、プローブ23aを基準金属32に接触させる(ステップS83およびステップS84)。
【0104】
次に、直流電源15のスイッチがオンとなり(ステップS85)、アーク放電装置11の放電電極112と基準金属32との間に電圧が印加されてアーク放電が起こる(ステップS86)。
【0105】
アーク放電にて得られた光は、光ファイバー12を経由して分光計13に送られ、基準金属32の発光スペクトルが測定される。測定された発光スペクトルにて測定スペクトルデータが得られる(ステップS87)。この測定スペクトルデータが、パーソナルコンピュータ14の測定データ格納メモリ145内に格納される。
【0106】
測定スペクトルデータが基準金属32のスペクトルのみを含んでいるか否かを判断する(ステップS88)。基準金属32のスペクトル以外のスペクトルを含むと判断された場合、アーク放電装置11を回転ブラシ27の位置まで移動させて(ステップS89)、回転ブラシ27により放電電極112を研磨して付着物を除去する(ステップS90)。
【0107】
基準金属32のスペクトル以外のスペクトルが含まれないと判断した場合、アーク放電装置11を被識別物50の位置まで移動させる(ステップS91)。プローブ23aを下降させ、被識別物50に接触させる(ステップS92)。これ以降の処理動作(ステップS93〜ステップS97)は、実施の形態1で説明した金属識別装置1の処理動作(ステップS4〜ステップS7)と同じであるため、その説明を省略する。ただし、本実施の形態の金属識別装置8においては、最後にアーク放電装置11を原点に移動させておく(ステップS98)。また、演算処理回路141における具体的な識別方法についても、金属識別装置1の場合と同じであるため、ここではその説明を省略する。
【0108】
(実施の形態9)
図32は、本発明の実施の形態9の金属識別装置9のブロック図である。本実施の形態の金属識別装置9には、放電電極11をクリーニングするためのクリーニング部として、エアブロー30およびエアブロー制御装置31が含まれている。このエアブロー30およびエアブロー制御装置31をアーク放電装置11に固定して、放電中に被識別物50の一部が付着しないように放電電極112にエアを吹きかけることにより、放電と並行して放電電極112のクリーニングを行うことができる。従って、放電の前後にクリーニングを行う必要がなくなり、識別がより簡便となる。
【0109】
図33は、金属識別装置9の処理動作を示すフローチャートである。 画像認識装置16が被識別物50の存在を確認した場合、パーソナルコンピュータ14の演算処理回路141はその情報を受けて、プローブ23aを下降させる(ステップS101およびステップS102)。
【0110】
次に、直流電源15のスイッチがオンとなり(ステップS103)、さらにエアブロー30のスイッチがオンとなった後に(ステップS104)、アーク放電装置11の放電電極112と被識別物50との間に電圧が印加されてアーク放電が起こる(ステップS105)。アーク放電後にエアブロー30のスイッチがオフとなる(ステップS106)。
【0111】
その後の処理動作(ステップS107〜ステップS110)は、実施の形態1で説明した金属識別装置1の処理動作(ステップS5〜ステップS8)と同じであるため、ここではその説明を省略する。また、演算処理回路141における具体的な識別方法についても、金属識別装置1の場合と同じであるため、ここではその説明を省略する。
【0112】
(実施の形態10)
本発明の実施の形態10の金属識別装置は、実施の形態1で説明した金属識別装置1と同様の構成であるが、金属識別方法が異なる。以下に、金属識別装置の金属識別方法について、図5のブロック図と共に図34に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0113】
画像認識装置16による被識別物50の確認(ステップS111)から直流電源のスイッチをオンとするまで(ステップS113)までは、金属識別装置1と同じである。
【0114】
次に、アーク放電装置11の放電電極112と被識別物50との間に電圧が印加されてアーク放電が起こる(ステップS114)。アーク放電にて得られた光は、光ファイバー12を経由して分光計13に送られ、単位時間ごとに区切って、被識別物50の発光スペクトルの測定が複数回測定される。従って、経過時間の異なる複数の測定スペクトルデータが得られる。測定された発光スペクトルにて、測定スペクトルデータが得られる(ステップS115)。この測定スペクトルデータは、パーソナルコンピュータ14の測定データ格納メモリ145内に格納される。
【0115】
次に、測定スペクトルデータ数が2以上であるか否かが判定される(ステップS116)。測定スペクトルデータ数が2未満である場合は、再度アーク放電が行われ、発光スペクトルが測定される。
【0116】
測定スペクトルデータ数が2以上である場合、演算処理回路141により、時間の経過に伴い減衰するスペクトル成分があるか否かが判断され(ステップS117)、減衰成分が無いと判断された場合は、測定スペクトルデータ全てとスペクトルデータベース143中の標準試料のスペクトルデータとを比較して、金属を識別する(ステップS118)。一方、減衰成分が有ると判断された場合は、減衰成分以外の測定スペクトルデータと、スペクトルデータベース143中の標準試料のスペクトルデータとを比較して、金属を識別する(ステップS119)。
【0117】
金属を識別した結果をディスプレイに表示し(ステップS120)、直流電源のスイッチをオフにした(ステップS121)後、処理は終了する。
【0118】
以上のように、金属識別装置による金属識別方法は、アーク放電により得られる発光スペクトルを単位時間ごとに区切って複数回測定し、得られた複数個の測定スペクトルデータを用いて減衰成分の有無を判断し、減衰成分を絶縁皮膜に含まれる成分のスペクトルであるとみなして、識別行う。絶縁皮膜は放電時間の経過と共に蒸発して減衰すると考えられるため、時間の経過ごとに測定を行って発光スペクトルの減衰成分を全スペクトルから除くことにより、被識別物50の金属のみの発光スペクトルが得られるからである。
【0119】
(実施の形態11)
図35は、本発明の実施の形態11の金属識別装置のブロック図である。本発明の実施の形態11の金属識別装置10は、実施の形態1で説明した金属識別装置1とほぼ同様の構成であるが、識別方法が異なる。以下に、金属識別装置の金属識別方法について、図35のブロック図と共に図36に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0120】
本実施の形態の金属識別装置10の金属識別方法においては、まず、被識別物の表面の塗装の判別を行う。実施の形態10で説明した金属識別方法と同様に、単位時間経過ごとに測定した複数の発光スペクトルを用いて減衰成分を得て、この減衰成分から塗装の種類を判別する。従って、減衰成分を得るまでの金属識別装置10の処理動作(ステップS131〜ステップS137)は、実施の形態10で説明した処理動作(ステップS111〜ステップS117)と同じである。
【0121】
また、金属識別装置10には、各塗装に応じたスペクトルデータベースが設けられている。図35においては、塗装なしデータベース、塗装Aデータベース、塗装Bデータベース、および塗装Cデータベースが例として示されている。従って、金属識別装置10は、判別された塗装の種類に応じてスペクトルデータベースを選択して、測定スペクトルデータと比較して金属の種類を識別する(ステップS138、ステップS139)。その後、識別結果をディスプレイに表示し(ステップS141)、直流電源15のスイッチをオフとなる(ステップS142)。
【0122】
なお、以上の実施の形態1〜11において説明した金属識別装置および金属識別方法は本発明の一例であって、これらを様々に組み合わせることも可能である。
【0123】
【発明の効果】
本発明の金属識別装置および金属識別方法によれば、低コストで簡便に金属の種類を識別でき、表面に塗装膜等の絶縁皮膜がある金属であっても、被識別物を分解することなく短時間で精度良く金属の種類を識別することができる。また、識別に要する時間も短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における金属識別装置を用いて被識別物を識別する様子を示す斜視図である。
【図2】図1に示すアーク放電装置のI−I断面図である。
【図3】図2に示すアーク放電装置が被識別物に接触した状態を示す断面図である。
【図4】アーク放電装置の対電極の形状の例を説明する断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1の金属識別装置のブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態1の金属識別装置の金属識別処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態2における金属識別装置を用いて被識別物を識別する様子を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態2における金属識別装置を用いて被識別物を識別する様子を示す側面図である。
【図9】傷加工部材として用いるカッターを示す側面図である。
【図10】傷加工部材として用いる針を示す側面図である。
【図11】本発明の実施の形態2の金属識別装置のブロック図である。
【図12】本発明の実施の形態2の金属識別装置の金属識別処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態3における金属識別装置を用いて被識別物を識別する様子を示す斜視図である。
【図14】図13に示すアーク放電装置のII−II断面図である。
【図15】図14に示すアーク放電装置が被識別物に接触した状態を示す断面図である。
【図16】本発明の実施の形態4における金属識別装置を用いて被識別物を識別する様子を示す斜視図である。
【図17】本発明の実施の形態4の金属識別装置のブロック図である。
【図18】本発明の実施の形態4の金属識別装置の金属識別処理を示すフローチャートである。
【図19】本発明の実施の形態5の金属識別装置のブロック図である。
【図20】本発明の実施の形態5の金属識別装置の金属識別処理を示すフローチャートである。
【図21】本発明の実施の形態6の金属識別装置のブロック図である。
【図22】絶縁皮膜厚さと絶縁破壊電圧との関係を示すグラフである。
【図23】放電電極の位置を制御する機構について説明する断面図である。
【図24】本発明の実施の形態6の金属識別装置の金属識別処理を示すフローチャートである。
【図25】本発明の実施の形態7の金属識別装置のブロック図である。
【図26】光ファイバーの位置を制御する機構について説明する断面図である。
【図27】本発明の実施の形態7の金属識別装置の金属識別処理を示すフローチャートである。
【図28】本発明の実施の形態8における金属識別装置を用いて被識別物を識別する様子を示す斜視図である。
【図29】放電電極をクリーニングする様子を示す断面図である。
【図30】本発明の実施の形態8の金属識別装置のブロック図である。
【図31】本発明の実施の形態8の金属識別装置の金属識別処理を示すフローチャートである。
【図32】本発明の実施の形態9における金属識別装置を用いて被識別物を識別する様子を示すブロック図である。
【図33】本発明の実施の形態9の金属識別装置の金属識別処理を示すフローチャートである。
【図34】本発明の実施の形態10の金属識別装置の金属識別処理を示すフローチャートである。
【図35】本発明の実施の形態11の金属識別装置のブロック図である。
【図36】本発明の実施の形態11の金属識別装置の金属識別処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1,2,3,4,5,6,7,8,9,10  金属識別装置
11  アーク放電装置
12  光ファイバー
13  分光計
14  パーソナルコンピュータ
15  直流電源
16  画像認識装置
17  ドリル
18  支持台
19  コンベア
20  カッター
21  針
22  ドリル駆動装置
23  電極部
23a  プローブ
23b  プローブ制御装置
25  膜厚測定装置
26  光ファイバー制御装置
27  回転ブラシ
28  回転ブラシ制御装置
30  エアブロー
31  エアブロー制御装置
32  基準金属
50  被識別物
50a  絶縁皮膜
50b  金属部
50c  傷
111  本体部
112  放電電極
113  対電極
113a,113b  分割電極
114  導通判定装置
115a,115b  突起
116a  リード線
116b  リード線
117  傷加工部材
117a  刃
117b  収容部
118  カバー
119  パルス放電回路
120  アーク放電回路
121  回路切換え装置
123  電極制御装置
124  モータ
125  ジョイント
126  支持体
127  モータ取り付け金具
128  モータ
129  ジョイント
141  演算処理回路
142  ディスプレイ
143  スペクトルデータベース
145  電源電圧データベース

Claims (27)

  1. 被識別物との間で放電を起こして前記被識別物を励起発光させる第1の電極を含む発光部と、
    前記発光部で発光した光を集光する集光部と、
    前記集光部にて集光された光の発光スペクトルを測定する分光測定部と、
    前記分光測定部にて測定された前記発光スペクトルのデータと、予め格納された複数の標準試料の発光スペクトルデータとを比較して、前記被識別物を識別する識別処理部と、
    前記被識別物の表面の少なくとも一部を破損させる破損処理部と、
    を含むことを特徴とする金属識別装置。
  2. 前記発光部は、前記被識別物の励起発光時に前記被識別物に接触するように設けられ、且つ先端部に突起を有する第2の電極をさらに含む請求項1に記載の金属識別装置。
  3. 前記破損処理部が、前記第2の電極の突起である請求項2に記載の金属識別装置。
  4. 前記第2の電極は、先端部に突起を有する分割電極を少なくとも二つ含んでおり、
    前記分割電極間の導通の有無を判定する導通判定部がさらに設けられた請求項2に記載の金属識別装置。
  5. 前記第2の電極は、前記第1の電極と前記被識別物との間の距離を所定の距離に設定する請求項2に記載の金属識別装置。
  6. 前記破損処理部は、前記被識別物の表面であって前記第1の電極と対向する領域の少なくとも一部に、所定の深さの傷をつける傷加工部材を含む請求項1に記載の金属識別装置。
  7. 前記傷加工部材が、前記発光部と一体的に設けられている請求項6に記載の金属識別装置。
  8. 前記被識別物に所定の電位を与えるための針状電極をさらに含む請求項1に記載の金属識別装置。
  9. 前記発光部は、前記第1の電極と前記被識別物との間の距離を所定の距離に設定し、且つ前記第1の電極の周囲を囲むように設けられた、絶縁材料からなるカバーをさらに含む請求項1に記載の金属識別装置。
  10. 前記破損処理部は、前記第1の電極と前記被識別物との間にパルス放電を生じさせて、前記被識別物の表面であって前記第1の電極と対向する領域の少なくとも一部を除去するパルス放電回路である請求項1に記載の金属識別装置。
  11. 前記被識別物の表面に付着している皮膜の厚みを測定する膜厚測定部をさらに含み、
    前記パルス放電回路は、前記膜厚測定部にて測定された前記皮膜の厚みに応じて印加電圧が設定される請求項10に記載の金属識別装置。
  12. 前記被識別物の表面に付着している皮膜の厚みを測定する膜厚測定部と、
    前記膜厚測定部にて測定された前記皮膜の膜厚に応じて、前記第1の電極と前記被識別物との間の距離を変化させる、第1の電極−被識別物間距離制御部と、をさらに含む請求項1に記載の金属識別装置。
  13. 前記第1の電極−被識別物間距離制御部にて設定された前記第1の電極と前記被識別物との間の距離に応じて、前記集光部の位置を変化させる、集光部位置制御部をさらに含む請求項12に記載の金属識別装置。
  14. 前記被識別物の表面に付着している皮膜の厚みを測定する膜厚測定部と、
    前記膜厚測定部にて測定された前記皮膜の膜厚に応じて、前記第1の電極と前記被識別物との間に印加する電圧を変化させる、第1の電極−被識別物間電圧制御部と、
    をさらに含む請求項1に記載の金属識別装置。
  15. 前記第1の電極−被識別物間電圧制御部にて設定された前記第1の電極と前記被識別物との間に印加される電圧に応じて、前記集光部の位置を変化させる、集光部位置制御部をさらに含む請求項14に記載の金属識別装置。
  16. 前記第1の電極に付着した物質を除去するクリーニング部をさらに含む請求項1に記載の金属識別装置。
  17. 前記クリーニング部は、放電時に、前記第1の電極に付着した物質を除去するエアブローを含む請求項16に記載の金属識別装置。
  18. 前記識別処理部は、
    標準試料の発光スペクトルデータを格納する標準試料データ格納部と、
    前記分光測定部にて測定された前記被識別物の発光スペクトルのデータを格納する測定データ格納部と、
    前記被識別物の発光スペクトルのデータと、前記標準試料の発光スペクトルデータとを比較して、前記被識別物の金属の種類を判断する比較判断部と、
    を含む請求項1に記載の金属識別装置。
  19. 前記比較判断部は、前記被識別物の発光スペクトルのピークスペクトル波長と前記標準試料の発光スペクトルのピークスペクトル波長との一致数を前記標準試料の種類ごとに計数し、計数結果に基づいて前記被識別物の金属の種類を識別する請求項18に記載の金属識別装置。
  20. 前記比較判断部は、前記被識別物の発光スペクトルのピークスペクトル波長と前記標準試料の発光スペクトルのピークスペクトル波長との一致数を標準試料の種類ごとに計数し、一致数の最も多い第1の標準試料を判定し、前記被識別物の金属を前記第1の標準試料の金属であると判断する請求項19に記載の金属識別装置。
  21. 前記比較判断部は、前記被識別物の発光スペクトルのピークスペクトル波長と前記標準試料の発光スペクトルのピークスペクトル波長との一致数を標準試料の種類ごとに計数し、他の標準試料よりも一致数の多い多一致標準試料を少なくとも二つ判定し、前記被識別物の金属を、前記多一致標準試料の金属を含む合金であると判断する請求項19に記載の金属識別装置。
  22. 前記識別処理部は、基準金属を測定して得られた発光スペクトルのピークスペクトル波長と、前記標準試料データ格納部に格納されている前記基準金属の発光スペクトルデータのピークスペクトル波長との差分値を算出し、前記差分値に基づいて発光スペクトル補正データを作成する補正部をさらに含み、
    前記比較判断部は、前記標準試料データ格納部に格納された発光スペクトルデータに替えて、前記被識別物の発光スペクトルのデータと前記発光スペクトル補正データとを比較することにより、前記被識別物の金属の種類を判断する請求項18に記載の金属識別装置。
  23. 前記測定データ格納部には、単位時間ごとに区切って複数回測定された前記被識別物の発光スペクトルのデータが格納されており、
    前記比較判断部は、前記複数のデータから時間の経過とともに減衰するピークスペクトル波長を判定し、前記減衰するピークスペクトル波長を除いて前記被識別物の金属の種類を識別する請求項19に記載の金属識別装置。
  24. 前記測定データ格納部には、単位時間ごとに区切って複数回測定された前記被識別物の発光スペクトルのデータが格納されており、
    前記標準試料データ格納部には、前記被識別物の絶縁皮膜の種類別の標準試料の発光スペクトルデータが格納されており、
    前記比較判断部は、前記測定データ格納部に格納された前記複数のデータから時間の経過とともに減衰するピークスペクトル波長を判定し、前記減衰するピークスペクトル波長から前記被識別物の絶縁皮膜の種類を判断し、判断された前記被識別物の絶縁皮膜の種類に応じた標準試料の発光スペクトルデータを用いて、前記被識別物の金属の種類を識別する請求項19に記載の金属識別装置。
  25. 被識別物の表面の少なくとも一部を破損させた後、前記被識別物を励起発光させて前記被識別物の発光スペクトルを測定し、前記被識別物の発光スペクトルのデータと、予め格納された複数の標準試料の発光スペクトルデータとを比較して、前記被識別物の金属の種類を識別する金属識別方法。
  26. 前記被識別物の発光スペクトルを単位時間ごとに区切って複数回測定し、時間の経過とともに減衰する発光スペクトルのピークスペクトル波長を判定し、減衰するピークスペクトル波長を除いた前記被識別物の発光スペクトルのデータと、予め格納された複数の標準試料の発光スペクトルデータとを比較して、前記被識別物の金属の種類を識別する請求項25に記載の金属識別方法。
  27. 前記被識別物の発光スペクトルを単位時間ごとに区切って複数回測定し、時間の経過とともに減衰する発光スペクトルのピークスペクトル波長から前記被識別物の絶縁皮膜の種類を判定し、前記被識別物の発光スペクトルのデータと、絶縁皮膜の種類別に予め格納された複数の標準試料の発光スペクトルデータとを比較して、前記被識別物の金属の種類を識別する請求項25に記載の金属識別方法。
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