JP2004003327A - 車両用スライドドアの自動開閉制御装置 - Google Patents

車両用スライドドアの自動開閉制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】車体の側面に取り付けたスライドドアをモータ等の駆動源によって自動的に開閉し得る車両用スライドドアの自動開閉制御装置に関し、スライドドアの自動駆動に課せられるあらゆる状況を考慮して、自在性と安全性との二律背反する制御を可能とする。
【解決手段】正逆転可能なモータを有するドア駆動部と、ドア駆動部のモータ負荷を、モータの駆動電流または駆動電圧、もしくはその両方の電気値で検出するモータ負荷検出手段と、平坦姿勢に車体があるときのドア開またはドア閉時のモータ負荷の電気値を記憶する記憶手段と、記憶手段において記憶された平坦姿勢のモータ負荷の電気値と、通常のドア開またはドア閉時に検出されたモータ負荷の電気値を比較し、このモータ負荷に係る両電気値の偏差から、ドア開閉時の車体の姿勢を判別する坂道判別手段とを備えた。
【選択図】 図8

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両の側面に取り付けたスライドドアを、モータ等の駆動源によって自動的に開閉し得るようにした車両用スライドドアの自動開閉制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から車体の側面に前後方向にスライド可能に支持されたスライドドアを、モータ等の駆動源によって開閉移動するようにした車両用スライドドアの自動開閉制御装置が知られている。この装置では、運転席やドアハンドルの近くに設けた操作手段を使用者が意識的に操作することによって駆動源を起動し、スライドドアを駆動源の駆動力によって自動的に開閉するようになっている。
【0003】
また、操作手段に代わるトリガー手段として、スライドドアが手動力によって所定の距離を移動したことを検知し、それを契機として駆動源を起動し、手動力に代わって駆動源の駆動力に切り替えてスライドドアを自動的に開閉するようにしたものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の車両用スライドドアの自動開閉制御装置においては、スライドドアの自重が重いため、スライドドアの駆動に係る負荷が開閉方向や開閉位置に影響されやすく、とくにスライドドアの移動方向に係る自動車の前後の傾きによっては、ドアの自重を吊り上げるほどの過大加重から、同程度の加重に制動を加える負の負荷を生じるため、安全対策を十分に考慮しての自動開閉制御を困難なものにしていた。
【0005】
つまり、スライドドアに係る負荷が大きく、かつ負荷変動幅が大きくなれば、ドア駆動手段の出力パワーは負荷変動に素早く対処できるように十分な余裕をもって大きくしなければならない。しかし、反対に小さな負荷変動に対しては感応力が減少するため、スライドドアに挟み込みが生じないように安全性を考慮して出力パワーを制御するのは困難であった。
【0006】
とくにスライドドアの動力駆動の開始時期を自動制御とした場合、スライドドアの開閉方向や開閉位置、スライドドアが開閉されるときの車体姿勢など、自動車のあらゆる状況を考慮して安全対策を施さなければならない。
【0007】
例えば、手動力から電動力に切り替える契機をスライドドアの移動距離で得る場合は、手動力でスライドドアが動かされたことを確実に判断するのが難しい。例えば、緩やかな坂道で停車して開いたスライドドアが緩慢に移動したとき、スライドドアは自動駆動に切り替わり、自動駆動を望まない場合でも駆動力が働いてしまう。このような車体の姿勢等によりドアの負荷変動幅が大きくなったり、ドアの負荷自体が大きくなると、確実な手動力から自動力への切り替えが困難になる。
【0008】
とくにスライドドアはドアの移動方向が直線的で、かつ車体の前後方向と同一方向に移動し得るようになっているため、坂道でのドアの開閉にはドアの自重が制御に大きく作用する。このため、自動車の駐車時姿勢、すなわち駐車した道路に傾斜がある場合の傾斜の度合いを、スライドドアの開閉に際して知ることは重要である。
【0009】
(目的)
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたもので、スライドドアの自動駆動に課せられるあらゆる状況を考慮して、自在性と安全性との二律背反する制御を可能とすることを目的とする。そして、本発明は、手動駆動から自動駆動への切替えを確実に行い、スライドドアが所在する位置に応じて制御条件や制御量を的確に変更してスライドドアを安全かつ迅速自在に制御し、スライドドアの挟み込みの有無を速やかに判別して安全対策を施すようにした車両用スライドドアの自動開閉制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の発明は、車体に設けたガイドトラックに沿って開閉可能に支持されたスライドドアを、モータ駆動により開閉移動させるようにした車両用スライドドアの自動開閉制御装置において、正逆転可能なモータを有するドア駆動部と、前記ドア駆動部のモータ負荷を、モータの駆動電流または駆動電圧、もしくはその両方の電気値で検出するモータ負荷検出手段と、平坦姿勢に車体があるときのドア開またはドア閉時のモータ負荷の電気値を記憶する記憶手段と、記憶手段において記憶された平坦姿勢のモータ負荷の電気値と、通常のドア開またはドア閉時に検出されたモータ負荷の電気値を比較し、このモータ負荷に係る両電気値の偏差から、ドア開閉時の車体の姿勢を判別する坂道判別手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記記憶手段が、ドア開時のモータ負荷電流とモータ駆動電圧を、モータ負荷の電気値として記憶していることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記記憶手段が、ドア全閉からドアを開く動作の連続した動作中で、かつガイドトラックの直線部を移動中で、しかも移動速度の一定した時期のモータ負荷の電気値を暫時更新記憶していることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記坂道判別手段は、前記モータ負荷に係る両電気値の偏差が開作動時に駆動電圧がとても低いときは急な上り坂と、開作動時に駆動電圧が低いときは上り坂と、開作動時に駆動電圧が低くもなく電流値も大きくないときは平坦と、開作動時に電流値が大きいときは下り坂と、開作動時に電流値がとても大きいときは急な下り坂と、それぞれ判別することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、モータ負荷に係る電気値が、デューティサイクルで負荷電力を制御しているモータの駆動電圧を、デューティサイクル100%相当の電圧に換算してなることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による車両用スライドドアの自動開閉制御装置が適用される自動車の一例を示す外観斜視図で、車体1の側面にスライドドア2が前後方向に開閉可能に装着された状態を示している。また、図2はスライドドア2(鎖線で示す)を取り外した状態を示す車体1の拡大斜視図であり、図3はスライドドア2のみを単独で示す斜視図である。
【0016】
これらの図において、スライドドア2は車体1のドア開口部3の上縁に設けたアッパートラック4と下縁に設けたロアートラック5にドア2の上下端に固設した摺動連結具6と連係して前後方向に摺動自在に懸架されている。
【0017】
また、スライドドア2は内側後端に取り付けたヒンジアーム22が車体1の後部ウェスト部付近に固定したガイドトラック7に摺動自在に係合して案内され、ドア開口部3を密閉した全閉位置から車体1のアウターパネルの外側面より若干外方に突出しながら車体1の外装パネル側面と平行に後方に移動し、ドア開口部3を全開させる全開位置まで移動するように装着されている。
【0018】
さらに、スライドドア2は、全閉位置に位置するときに開口端面に設けたドアロック8が車体1側に固定したストライカと係合することによって、確実な閉鎖状態をもって全閉位置に保持されるように構成されている。また、スライドドア2の外側面には、手動による開閉操作を行うためのドアハンドル37が取り付けられている。なお、ドアロック8はスライドドア2の後端面に設けるようにしてもよい。
【0019】
また、車体1のドア開口部3の後方には、車体1を外装するアウターパネルと室内側のインナーパネルとの間に、図4に示すようなスライドドア駆動装置10が装着されている。このスライドドア駆動装置10は、モータ駆動によってガイドトラック7内に配設されたケーブル部材12を移動させ、それによってケーブル部材12に連結されたスライドドア2を移動させるものである。
【0020】
なお、本実施の形態では車内に設置した開閉スイッチ(図示せず)によってスライドドア2の開閉指示を行うとともに、図1に示すように、車外からワイヤレスリモコン30によっても開閉指示を行うことができるように構成されている。これらの構成の詳細については後述する。
【0021】
図5は、スライドドア駆動装置10の要部を示す斜視図である。スライドドア駆動装置10はモータ駆動部11を有し、このモータ駆動部11は車体1の室内側にボルト等をもって固定されたベースプレート13に、正逆転可能なスライドドア開閉用の開閉モータ14、ケーブル部材12が巻回されるドライブプーリ15、電磁クラッチ16を内蔵する減速部17をそれぞれ固定した構成からなっている。
【0022】
ドライブプーリ15は回転伝達力が減速機構を有して開閉モータ14の回転数を減少し、かつ出力トルクを増大してケーブル部材12に伝達する。また、電磁クラッチ16は開閉モータ14の駆動時に別途適時に励磁されて開閉モータ14とドライブプーリ15とを機械的に連結する。
【0023】
ドライブプーリ15に巻回されたケーブル部材12は、ガイドトラック7の後方に設けられた一対の案内プーリ19,19を介して外向きにコ字型に開口するガイドトラック7の上方の開口部7aと、下方の開口部7bとに互いに平行に掛け回されるとともに、ガイドトラック7の前端部に設けた反転プーリ20に巻回されて無端索条を形成している。
【0024】
また、ケーブル部材12のガイドトラック7の開口部7aを走行する部分の適所には、開口部7a内を抵抗なく走行できる状態で移動部材21が固設されている。ケーブル部材12はこの移動部材21より前方側が閉扉用ケーブル12aとなり、後方側が開扉用ケーブル12bとなっている。
【0025】
移動部材21はヒンジアーム22を介してスライドドア2の内側後端部に連結され、開閉モータ14の回転による開扉用ケーブル12aまたは閉扉用ケーブル12bの引っ張り力によってガイドトラック7の開口部7a内を前方または後方に移動し、それによってスライドドア2を閉扉方向または開扉方向に移動させるようになっている。
【0026】
また、ドライブプーリ15の回転軸には、その回転角度を高分解能に計測するロータリーエンコーダ18が連係されている。ロータリーエンコーダ18はドライブプーリ15の回転角度に応じたパルス数の出力信号を発生し、ドライブプーリ15に巻回されているケーブル部材12の移動量、すなわちスライドドア2の移動量を計測できるようになっている。
【0027】
このため、スライドドア2の全閉位置を初期値としてロータリーエンコーダ18からのパルス数を全開位置まで計数すれば、その計数値Nは移動部材21の位置、すなわちスライドドア2の位置を表すことになる。
【0028】
図6は、スライドドア2の移動状況を示す概略的平面図である。前述したように、スライドドア2は上下端に固設した摺動連結具6がアッパートラック4およびロアートラック5と連係することによって前方部が保持されており、ヒンジアーム22がガイドトラック7と連係することにより後方部が保持されている。
【0029】
(スライドドア自動制御装置)
次に、図7に示すブロック図を参照してスライドドア自動制御装置23と、車体1およびスライドドア2内の各電気的要素との接続関係について説明する。スライドドア自動制御装置23はマイクロコンピュータによるプログラム制御によってスライドドア駆動装置10を制御するもので、例えば車体1内のモータ駆動部11の近傍に配置されている。
【0030】
スライドドア自動制御装置23と車体1内の各電気的要素との接続としては、直流電圧BVを受けるためのバッテリー24との接続、イグニッション信号IGを受けるためのイグニッションスイッチ25との接続、パーキング信号PKを受けるためのパーキングスイッチ26との接続、メインスイッチ信号MAを受けるためのメインスイッチ27との接続がある。
【0031】
さらに、ドア開信号DOを受けるためのドア開スイッチ28との接続、ドア閉信号DCを受けるためのドア閉スイッチ29との接続、ワイヤレスリモコン30からのリモコン開信号ROまたはリモコン閉信号RCを受けるためのキーレスシステム31との接続、スライドドア2が自動開閉されることを警告するために警報音を発生するブザー32との接続がある。
【0032】
なお、ドア開スイッチ28およびドア閉スイッチ29がそれぞれ2つの操作子から構成されているのは、これらのスイッチが例えば車内の運転席と後部座席との2箇所に設置されていることを示している。
【0033】
次に、スライドドア自動制御装置23とスライドドア駆動装置10との接続関係としては、開閉モータ14に電力を供給するための接続、電磁クラッチ16を制御するための接続、ロータリーエンコーダ18からのパルス信号を受けてパルス信号φ1、φ2を出力するパルス信号発生部38との接続などがある。
【0034】
また、スライドドア自動制御装置23とスライドドア2内の各電気的要素との接続としては、スライドドア2が全閉状態より若干開いた状態でドア開口部3に設けた車体側コネクタ33とスライドドア2の開口端に設けたドア側コネクタ34とが接続されることによって可能となる。
【0035】
この接続状態でのスライドドア自動制御装置23とスライドドア2内の各電気的要素との接続としては、スライドドア2をハーフラッチからフルラッチの状態にまで締め込むためにクロージャーモータCMに電力を供給するための接続、ドアロック8を駆動してストライカ9から外すためのアクチュエータ(ACTR)35に電力を供給するための接続、ハーフラッチを検出するハーフラッチスイッチ36からのハーフラッチ信号HRを受けるための接続、ドアロック8と連結しているドアハンドル37の操作を検出するドアハンドルスイッチ37aからのドアハンドル信号DHを受けるための接続などがある。
【0036】
次に、図8に示すブロック図を参照してスライドドア自動制御装置23の構成について説明する。スライドドア自動制御装置23は主制御部55を有し、一定の時間間隔で繰り返し制御を行っている。主制御部55内には各入出力周辺機器の状況に応じて適正な制御モードを選択する制御モード選択部54が含まれている。
【0037】
制御モード選択部54は、各入出力周辺機器の最新の状況に応じて制御に必要な最適の専用制御部を選択する。専用制御部としては、主としてスライドドア2の開閉を制御するオートスライド制御部56、スライドドア2の移動速度を制御する速度制御部57、スライドドア2を駆動中にスライドドア2の移動を抑制する物が移動方向に挟み込まれたか否かを検出する挟み込み制御部58がある。また、オートスライド制御部56は、車体1の姿勢を検出するための坂道判定部59を含んでいる。
【0038】
また、スライドドア自動制御装置23は複数の入出力ポート39を有し、前述した各種のスイッチのオン/オフ信号や、リレーまたはクラッチ等の動作/非動作信号等を入出力するように構成されている。また、速度算出部42および位置検出部43はパルス信号発生部38から出力される2相のパルス信号φ1,φ2を受けて周期計数値Tおよび位置計数値Nを生成する。
【0039】
バッテリー24は自動車の走行中に発電機40によって充電され、その出力電圧は安定化電源回路41によって定電圧化されてスライドドア自動制御装置23に供給される。また、バッテリー24の出力電圧は電圧検出部47によって検出され、その電圧値はA/D変換部48でディジタル信号に変換されてスライドドア自動制御装置23に入力される。
【0040】
さらに、バッテリー24の出力電圧はシャント抵抗49に供給され、抵抗49に流れる電流値Iが電流検出部50で検出される。検出された電流値IはA/D変換部51でディジタル信号に変換され、スライドドア自動制御装置23に入力される。
【0041】
また、バッテリー24の出力電圧はシャント抵抗49を介して電力スイッチ素子46に供給される。この電力スイッチ素子46はスライドドア自動制御装置23によってオン/オフ制御され、直流信号をパルス信号に変換して開閉モータ14またはクロージャーモータCMに供給する。パルス信号のデューティ比は電力スイッチ素子46で自在に制御し得るようになっている。
【0042】
電力スイッチ素子46で得られたパルス信号は、極性反転回路45およびモータ切替回路44を介して開閉モータ14またはクロージャーモータCMに供給される。極性反転回路45は開閉モータ14またはクロージャーモータCMの駆動方向を変更するためのもので、電力スイッチ素子46と共にモータの電力供給回路を構成している。
【0043】
また、モータ切替回路44は主制御部55からの指示によってスライドドア2を開閉駆動する開閉モータ14とクロージャーモータCMとのいずれか一方を選択する。両モータともスライドドア2を駆動するモータであるが、同時に駆動されることがないため、選択的に駆動電力を供給するようにしている。
【0044】
この他に、主制御部55からの指示によって電磁クラッチ16を制御するクラッチ駆動回路52、同じく主制御部55からの指示によってアクチュエータ35を制御するアクチュエータ駆動回路53を備えている。
【0045】
(メインルーチン)
次に、この構成を有する本発明の動作について説明する。図9は、スライドドア自動制御装置23の動作を示すメインルーチンのフローチャートである。初めに初期設定を行い(ステップ101)、稼働初期に主なパラメータ等をイニシャライズする。スイッチ(SW)判定(ステップ102)は、入出力ポート39に接続されている前述した各種のスイッチ25〜29等の開閉状態を判定し、各スイッチの開閉状態を示すフラグ等を設定する。
【0046】
A/D入力(ステップ103)は、A/D変換部48,51から電圧値Vおよび電流値Iを取り込む。このA/D入力は下位レベルに電流値補正(ステップ111)、電圧アドレス変換(ステップ112)を備えている。
【0047】
次いで、前述した各スイッチの開閉状態等の周囲状況からオートスライドモード(ステップ113)かクロージャーモード(ステップ114)かを判定するモード判定(ステップ104)を行い、いずれかに選択制御する。オートスライドモードは開閉モータ14を駆動してスライドドア2を開閉制御するモードであり、クロージャーモードはクロージャーモータCMを駆動してスライドドア2をフルラッチの状態に締め込んだり解放したりするモードである。
【0048】
続くアクチュエータ(ACTR)リレー制御(ステップ105)、クラッチリレー制御(ステップ106)、オートスライドリレー制御(ステップ107)およびクロージャーリレー制御(ステップ108)は、各制御部の制御結果が反映されて、電磁クラッチ16やモータ14,CMに電力投入を行う直接的制御部分なので、特に詳細な説明は省略する。なお、スライドドア2を開閉駆動する開閉モータ14の起動・停止はオートスライドリレー制御(ステップ107)によって行う。
【0049】
次のスリープモード(ステップ109)は、長時間なんの変化もないときに電力消費を低減する制御である。次のプログラム調整(ステップ110)は、別途ループ外に設けた割り込みプログラムにおけるプログラム調節タイマー(ステップ115)により、メインループのインターバルを、例えば10mm秒に一定に制御するものである。
【0050】
このプログラム調整において、プログラム調節タイマーの割り込みを受けることにより、各ステップにおける制御点が周囲の状況によってネストのより深いレベルに入り込んだり、浅い階層で済んだり等して、メインループの入り口に戻るインターバルが変動するのを常に一定に調節している。プログラム調整が終了すると、SW判定(ステップ102)に戻り、それ以降の処理を繰り返すループ制御を行っている。
【0051】
(モード判定ルーチン)
図10は、モード判定(ステップ104)の中のオートスライドモード判定の概要を示すフローチャートである。このオートスライドモード判定では、ドア2の動き出しをその時点の様々な状況によって区分するスタートモード(ステップ117)、動き出したドア2をその時点の状況に応じて適正に制御する挟み込み判定(ステップ118)、坂道モード(ステップ119)、速度制御(ステップ120)等がある。坂道モードは、その下位レベルに平坦値データ入力(ステップ121)、坂道判定(ステップ122)等のルーチンがある。
【0052】
また、オートスライドモード判定(ステップ116)は、スイッチ文(ステップ123)の部分で周囲の状況に応じた識別子によりオート開作動(ステップ124)、オート閉作動(ステップ125)、マニュアル閉作動(ステップ126)、逆転開作動(ステップ127)、逆転閉作動(ステップ128)のいずれかに分岐されて制御を行い、これらの制御の下位レベルには、目標位置算出(ステップ129)、全開検出(ステップ130)の各ルーチンがある。さらに、スタートモード(ステップ117)等と同じレベルにストップモード(ステップ131)のルーチンがある。
【0053】
また、スタートモード(ステップ117)は、その下位レベルにスイッチ文(ステップ132)により多枝分岐される通常スタートモード(ステップ133)、ACTRスタートモード(ステップ134)、手動通常スタートモード(ステップ135)および手動全閉スタートモード(ステップ136)の各ルーチンがある。
【0054】
なお、スイッチ文(ステップ123,132)として示される多分岐フローは周囲の状況を示す識別子として各スイッチの開閉状態や、所要の制御の継続中または終了を表す通常は1ビットのフラグを利用している。
【0055】
このオートスライドモード判定のフローは、メインルーチンにしたがって制御点を移しているが、図10に別途に示すパルスカウントタイマー(ステップ115A)およびパルス割り込み(ステップ115B)の両ルーチンは、メインルーチンとは制御点を別にした割り込みプログラムを構成している。
【0056】
(周期計数値T・位置計数値N)
図11は、割り込みプログラムにおけるパルスカウントタイマー(ステップ115A)とパルス割り込み(ステップ115B)の各ルーチンにおいて所要される周期計数値Tおよび位置計数値Nの取得タイムチャートを示す図である。
【0057】
同図において、2相の速度信号Vφ1,Vφ2はロータリーエンコーダ18から出力される2相のパルス信号φ1,φ2に対応するもので、両信号の位相関係からロータリーエンコーダ18の回転方向、すなわちスライドドア2の移動方向を検出する。具体的には、パルス信号φ1の立ち上がり時にパルス信号φ2がLレベル(図示の状態)であれば、例えば開扉方向と判定し、逆にHレベルであれば閉扉方向と判定する。
【0058】
速度算出部42では、速度信号Vφ1の立ち上がり時に割り込みパルスg1を発生し、この割り込みパルスg1の発生周期の間に割り込みパルスg1より十分小さな周期(例えば、400μsec)を有するクロックパルスC1のパルス数を計数し、その計数値を周期計数値Tとする。従って、この周期計数値Tはロータリーエンコーダ18が出力するパルス信号φ1の周期をディジタル値に変換したものとなる。
【0059】
例えば、ロータリーエンコーダ18の出力パルスが1mm当たり1パルス(1周期)とすると、周期計数値Tが250のときはドア2の移動速度は「1mm/(400μs×250)=10mm/sec」となり、周期計数値Tが100のときはドア2の移動速度は「25mm/sec」となる。
【0060】
なお、図11に示す周期計数値TN−3〜TN+3は、ロータリーエンコーダ18が出力する出力信号φ1によって得られる位置計数パルス(実質的には割り込みパルスg1)を計数したドア2の位置情報を示す位置計数値Nを添え字として持つもので、周期計数値TNは、そのときに注目するN番目の位置に対応した周期計数値Tを示し、TN−1、TN−2またはTN+1、TN+2は、それぞれ位置計数値Nに対して1または2番前後の位置に係る周期計数値Tを示すものである。
【0061】
また、この実施の形態では速度信号Vφ1の連続する4周期分の周期計数値からスライドドア2の速度を認識するようにしているので、4周期分の周期計数値を格納するために4つの周期レジスタ1〜4を備えており、4つの周期レジスタにN番の位置を注目点とし、それが周期レジスタ1〜4の先頭出力値となるように4回分保留されるようになっている。
【0062】
こうして、パルスカウントタイマー(ステップ115A)とパルス割り込み(ステップ115B)のルーチンとは、メインルーチンとは別途にそれぞれのタイミングで周期計数値Tと位置計数値Nとを収得している。
【0063】
図12は、ロータリーエンコーダ18が出力する出力信号φ1を位置計数パルスとしてドア2の後述する制御領域E1〜E6における分解能Bに応じてサンプリングされるサンプリング点のタイムチャートを示している。すなわち、制御領域E3,E4では位置計数パルスφ1を2分の一分周した分解能2でサンプリングし、制御領域E2では位置計数パルスφ1を4分の一分周した分解能4でサンプリングし、制御領域E1,E5,E6では位置計数パルスφ1を8分の一分周した分解能8でサンプリングする。
【0064】
(スライドドアの制御領域)
ここで、スライドドア2の制御領域E1〜E6について説明する。図13は、ガイドトラック7の平面視を示している。スライドドア2の開閉位置を移動部材21の位置で表すと、ドア2の閉方向に係るドアの所在エリアはエリア1〜4の4エリアに分けてあり、ドア2の開方向に係るドアの所在エリアはエリア5〜7の3エリアに分けてある。
【0065】
ドア2の全閉位置の位置計数値Nを0、全開位置の位置計数値Nを850とすると、閉方向移動(Z=0)の場合は、N=850〜600がエリア1、N=600〜350がエリア2、N=350〜60がエリア3、N=60〜0がエリア4となっている。エリア4の内の全閉側半分はACTR領域となっている。開方向移動(Z=1)の場合は、N=0〜120がエリア5、N=120〜800がエリア6、N=800〜850がエリア7となっている。
【0066】
そして、エリア1とエリア6が通常制御領域E1、エリア2が減速制御領域E2、エリア3がリンク減速領域E3、エリア4が締め込み制御領域E4、エリア5がリンク減速領域E5、エリア7がチェック制御領域E6となっており、ドア2は各制御領域に適した移動速度等で制御される。
【0067】
(パルス割り込みルーチン)
図14は、パルス割り込みルーチン(ステップ115B)を示すフローチャートである。このルーチンは割り込みパルスg1の発生毎に位置計数値Nおよびドア移動方向Zによってスライドドア2が現在位置するエリア1〜7および制御領域E1〜E6(図13参照)を判別する処理である。なお、エリア1〜7および制御領域E1〜E6の詳細については後述する。
【0068】
まず、開閉モータ14が停止中か否か調べ(ステップ137)、作動中であれば現在の周期計数値Tを周期レジスタに格納し(ステップ138)、モータ停止中を解除する(ステップ139)。開閉モータ14が停止中であれば周期計数値Tに満杯値FF(16進数)をセットする(ステップ140)。
【0069】
次いで、ドア2の移動方向Zを調べ(ステップ141)、ドア2が開方向(Z=1)に移動していれば位置計数値Nを増計数し(ステップ142)、それにより位置計数値Nが120以上で800未満であれば(ステップ143,144)、前は制御領域E1か調べ(ステップ145)、制御領域E1であれば現在も制御領域E1であるので処理を終了し、前が制御領域E1でなければ制御領域E1、エリア6にセットし(ステップ146)、エリア変更指示データを変更有りにセットし(ステップ147)、処理を終了する。
【0070】
位置計数値Nが120未満であれば(ステップ143)、前は制御領域E5か調べ(ステップ148)、制御領域E5であれば現在も制御領域E5であるので処理を終了し、前が制御領域E5でなければ制御領域E5、エリア5にセットし(ステップ149)、エリア変更指示データを変更有りにセットし(ステップ147)、処理を終了する。
【0071】
位置計数値Nが800を超えていれば(ステップ144)、前は制御領域E6か調べ(ステップ150)、制御領域E6であれば現在も制御領域E6であるので処理を終了し、前が制御領域E6でなければ制御領域E6、エリア7にセットし(ステップ151)、エリア変更指示データを変更有りにセットし(ステップ147)、処理を終了する。
【0072】
ドア2が開方向(Z=0)に移動していれば(ステップ141)、位置計数値Nを減計数し(ステップ152)、それによって位置計数値Nが600を超えた値であれば(ステップ153〜155)、前は制御領域E1か調べ(ステップ156)、制御領域E1であれば現在も制御領域E1であるので処理を終了し、前が制御領域E1でなければ制御領域E1、エリア1にセットし(ステップ157)、エリア変更指示データを変更有りにセットして(ステップ147)、処理を終了する。
【0073】
位置計数値Nが60以下であれば(ステップ153)、前は制御領域E4か調べ(ステップ158A)、制御領域E4であれば現在も制御領域E4であるので処理を終了し、前が制御領域E4でなければ制御領域E4、エリア4にセットし(ステップ158B)、エリア変更指示データを変更有りにセットし(ステップ147)、処理を終了する。
【0074】
位置計数値Nが60を超え、350以下であれば(ステップ154)、前は制御領域E3か調べ(ステップ158C)、制御領域E3であれば現在も制御領域E3であるので処理を終了し、前が制御領域E3でなければ制御領域E3、エリア3セットし(ステップ158D)、エリア変更指示データを変更有りにセットし(ステップ147)、処理を終了する。
【0075】
位置計数値Nが350を超え、600以下であれば(ステップ155)、前は制御領域E2か調べ(ステップ158E)、制御領域E2であれば現在も制御領域E2であるので処理を終了し、前が制御領域E2でなければ制御領域E2、エリア2にセットし(ステップ158F)、エリア変更指示データを変更有りにセットし(ステップ147)、処理を終了する。
【0076】
(パルスカウントタイマー)
図15は、パルスカウントタイマー(ステップ115A)を示すフローチャートである。クロックパルスC1の数を所要のパルスカウンタにより計数して周期計数値Tを得(ステップ159)、周期計数値Tが満杯(T=FF)になったか調べ(ステップ160)、満杯でなければリターンし、満杯ならば周期計数値Tを零にクリアー(T=0)し(ステップ161)、所要カウンタの計数値を増計数してキャリーアップし(ステップ162)、その後リターンする。
【0077】
(エリア1〜7における制御)
図16は、前述したエリア1〜7(図13)においてスライドドア2を制御するために要求される各種データを記憶するためのメモリテーブルである。エリア1とエリア6の両エリアは通常制御領域E1と称し、この制御領域E1ではドア2の適性移動速度T1が250mm/s、基準デューティ値Dが250、サンプリング領域の分解能Bが8で、注目度は小となっている。
【0078】
デューティ値Dは、モータに印加する電圧波形(矩形波)のデューティサイクルを示す値で、本実施の形態では、「D=250」がデューティサイクル100%、すなわちHレベルの直流信号を意味し、「D=0」がデューティサイクル0%、すなわちLレベルの直流信号を意味している。そして、この間の250段階で矩形波のデューティサイクルを変化させることによってモータの出力トルクを調整するようにしている。
【0079】
エリア2は減速制御領域E2と称し、この制御領域E2ではドア2の適性移動速度T2が170mm/s、デューティ値Dが170、分解能Bが4、注目度は危険領域である。また、エリア3はリンク減速制御領域E3と称し、この制御領域E3ではドア2の適性移動速度T3が100mm/s、デューティ値Dが100、分解能Bが2、注目度は危険領域である。さらに、エリア4は締め込み制御領域E4と称し、この制御領域E4ではドア2の適性移動速度T4が120mm/s、デューティ値Dが120、分解能Bが2、注目度は危険領域である。さらに、エリア5はリンク減速制御領域E5と称し、この制御領域E5ではドア2の適性移動速度T5が200mm/s、デューティ値Dが200、分解能Bが8、注目度は小である。さらに、エリア7はチェック制御領域E6と称し、この制御領域E6ではドア2の適性移動速度T6が250mm/s、注目度は中である。
【0080】
分解能Bは比較的注目度の低い通常領域E1のエリア1,6、リンク減速制御領域E5のエリア5は間引き幅の広い分解能Bを8に設定してある。また、減速制御領域E2のエリア2は挟み込みの発生しやすい危険領域であるが、ドア2の開度が十分にあるエリアなので分解能Bは4に設定してある。さらに、リンク減速制御領域E3のエリア3と、締め込み制御領域E4は、ドア2が曲線を描いて移動し、かつ注目度の最も高い危険領域なので、分解能Bは最も細かい2に設定してある。これらの分解能Bに基づいて定めたサンプリング領域Qを図12に示している。nは閉方向、mは開方向である。
【0081】
(オートスライドモード判定)
図17は、オートスライドモード判定ルーチン(ステップ116)の詳細を示すフローチャートである。このルーチンはスライドドア2を開閉駆動するためのオートスライドモードか否か判定し、オートスライドモードでなければ始動判定を行う。ドア2の始動を判定したときはオートスライド作動中の処理を行う。オートスライド作動の終了を判定するとオートスライドの停止処理を行い、オートスライド作動を終了させる。
【0082】
まず、オートスライド停止中であればストップモード状態(ステップ163)ではなく、オートスライド作動中(ステップ165)でもないので、メインスイッチのオン/オフ状態を調べ(ステップ167)、メインスイッチがオフであればリターンする。
【0083】
メインスイッチがオンであれば手動および始動判定(ステップ168,169)を行う。手動判定(ステップ168)の詳細は後述する(図18)が、ドア2が所定の速度以上で移動したことを検出すると、手動開または手動閉状態にセットし、オートスライド作動モードに移行するための準備を行う。
【0084】
手動判定が終了すると、始動モード判定を実行する(ステップ169)。始動モード判定は、オートスライド作動モードを決定するための処理で、スイッチ判定(ステップ102)でリモコンスイッチ30のドア開を検出し、またはドア開スイッチ28のオンを検出し、あるいは手動判定(ステップ168)で手動開状態を確認したときは、オート開作動モード(ステップ181)にセットする。また、危険領域外においてリモコンスイッチ30のドア閉を検出し、またはドア閉スイッチ29のオンを検出し、あるいは手動閉状態を確認したときはオート閉作動モード(ステップ182)にセットする。また、危険領域内においてドア閉スイッチ29のオンを検出したときはマニュアル閉作動モード(ステップ183)にセットする。
【0085】
こうして始動モード判定(ステップ169)が終了すると、オートスライド作動モード状態か判定する(ステップ170)。オートスライド作動モードでなければリターンする。オートスライド作動モードであれば、オートスライドが始動したので、動作計数値Gをクリアし(ステップ171)、オートスライド動作中の状態にセットし(ステップ172)、スタート中の状態にセットし(ステップ173)、オートスライド開始にセットする(ステップ174)。こうしてオートスライド作動がセットされる。
【0086】
チェック制御(ステップ175)は、電磁クラッチ16を半クラッチ状態にしてドア2を停止保持する仮保持制御を行う部分で、オートスライド作動中の場合はストップモード終了後に行う。手動操作時はドア2が止まったことを確認してから行う。
【0087】
ステップ168〜174によってオートスライド開始にセットされると、次のオートスライドモード判定ルーチンのときはオートスライド作動中およびスタートモード(ステップ165,166)と判定し、スタートモードの処理を実行する(ステップ176)。
【0088】
このスタートモードは各スイッチのオン/オフ状態や周囲の状況に応じてドア2を動力駆動するためのオートスライド動作をスタートさせるモードを識別し、その識別したモードで制御を行う。この詳細については後述する。スタートモードが終了し、次のオートスライドモード判定ルーチンのときは通常モードに入り、挟み込み判定(ステップ177)、速度制御(ステップ178)、坂道判定(ステップ179)を実行する。なお、これらの詳細については後述する。
【0089】
また、始動モード判定(ステップ169)で行った各スイッチの開閉状態に応じて、スイッチ文180でオート開作動(ステップ181)、オート閉作動(ステップ182)、マニュアル閉作動(ステップ183)に分岐する。また、これらの作動中に挟み込みを検出したときは、逆転開作動(ステップ184)、逆転閉作動(ステップ185)に分岐する。
【0090】
なお、オートスライド作動中(ステップ186)は作動計数値Gを増計数し(ステップ187)、リターンする。オートスライド作動終了を判定すると(ステップ186)、作動計数値Gをクリアし(ステップ188)、ストップモードにセットして(ステップ189)、リターンする。
【0091】
ストップモードがセット(ステップ189)されると、次のオートスライドモード判定ルーチンのときにストップモード状態と判定され(ステップ163)、ストップモード(ステップ164)を実行する。このストップモードはオートスライドモード時におけるドア2の開閉制御時に、ドア2の動力駆動を停止させたときの安全制御を目的として、電磁クラッチ16のオフと開閉モータ14のオフとのそれぞれのタイミングを制御している。
【0092】
すなわち、ドア2が全開位置と全閉位置との中間位置で停止した時は、開閉モータ14を先に停止させ、その後に所要の待ち時間をおいて電磁クラッチ16をオフにする。ドア2が全閉位置のときは直ぐに開閉モータ14、電磁クラッチ16を同時にオフする。ストップモード作動中は作動計数値Gを増計数し(ステップ191)、リターンする。ストップモード終了時は、作動計数値Gをクリアし(ステップ192)、ストップモードを解除し(ステップ193)、オートスライド作動を終了させ(ステップ194)、リターンする。
【0093】
(手動判定ルーチン)
図18は、手動判定ルーチン(ステップ168)の詳細を示すフローチャートである。この手動判定ルーチンは、ドア2を制御するメインルーチンとは別に計測されているドア速度を検出することによって、ドア2が手動力で作動したことを検知し、動力駆動する契機を得るものである。
【0094】
まず、ドア2が全閉状態(ハーフスイッチがオン)か判断する(ステップ195A)。ドア2が全閉状態であれば、ドア全閉状態にセットされているか判断し(ステップ195D)、セットされていなければドア全閉状態にセットする(ステップ195E)。次いで、ドアハンドル37が操作されてハンドルスイッチ37aがオンしたか判断し(ステップ195F)、オンしていなければリターンする。ハンドルスイッチ37aがオンになると(ステップ195F)、ドア全閉状態をクリアし(ステップ195G)、全閉−ドア開手動状態にセットし(ステップ195H)、リターンする。
【0095】
ドア2が全閉状態でなければ(ステップ195A)、ドア全閉状態にセットされているか判断し(ステップ195B)、セットされていればドア全閉状態をクリアし(ステップ195G)、全閉−ドア開手動状態にセットする(ステップ195H)。これは、通常はドアハンドル37を引いてドア2を開けるので、それによってドア全閉状態がクリアされるが(ステップ195F,195G)、ハンドルスイッチ故障時またはハンドルスイッチを省略したシステムの場合は、ハーフスイッチがオフとなったことを検出してドア全閉状態をクリアし(ステップ195A,195B,195G)、全閉−ドア開手動状態セット(ステップ195H)する。
【0096】
ドア全閉状態にセットされていなければ(ステップ195B)、ドア2の移動速度を表す速度データ(a/T:aはロータリーエンコーダの分解能)が所定の手動認識速度より速く(ステップ195C)、しかも急閉速度以下のとき(ステップ196)は、開閉方向に基づき(ステップ197)、ドア開手動状態(ステップ198)またはドア閉手動状態(ステップ199)のいずれかのモードにセットする。ドア速度が手動認識速度以下のとき(ステップ195C)は、ドア2が停止しているとしてリターンし、ドア速度が急閉速度以上(ステップ196)のときは、メカ保護上そのまま手動力による閉作動を継続させるためにリターンする。
【0097】
ただし、電磁クラッチ16がオフ後は、ワイヤーの張力による運動を無視するために所要のタイムラグ期間中はドア開閉いずれかの状態への移行は受け付けないようになっている。
【0098】
なお、手動認識速度はドア2の動力駆動を行う契機を作り出す値で、比較的広範囲の任意の値を設定することができる。ドア2の移動速度、換言すれば周期計数値Tはロータリーエンコーダ18の1周期を最小の分解能として計測可能であることから、1mm程度のドア2の移動によっても、ドア2を動力駆動させる契機を作り出すことができる。これにより、オート開閉作動の反応が高感度になるとともに、安全性を得る処理に対応させるために、ドア2の動きの変化を高分解能で高感度に検知することができる。
【0099】
(オート開作動ルーチン)
図19は、オート開作動ルーチン(ステップ122,181)の詳細を示すフローチャートである。このオート開作動ルーチンは、リモコンスイッチ30をドア開に操作し、またはドア開スイッチ28をオンし、あるいはドア開手動状態を確認したときにスイッチ文180で選択され、ドア2を開方向に安全に動力駆動するために、オート開作動中のドア駆動停止または反転作動の制御を行うものである。
【0100】
まず、全開検出を行う(ステップ200)。この全開検出の詳細については後述するが、ドア2が全開状態か検出するもので、この全開検出が終了すると、挟み込み判定を実行し(ステップ201)、挟み込みがなければ全開検出でドア全開状態を検出したか判断する(ステップ205)。ドア2が全開状態でなく、異常状態でもなく(ステップ207)、スイッチ受付可能であり(ステップ208)、リモコン30の閉スイッチおよびドア閉スイッチ29が共にオフであり(ステップ210,211)、メインスイッチがオンであり(ステップ212)、リモコン30の開スイッチおよびドア開スイッチ28が共にオフであれば(ステップ213,214)、リターンし、オート開作動を継続する。
【0101】
挟み込みを検出すると(ステップ201)、反転方向に制御を移すための目標位置算出を実行し(ステップ202)、挟み込み有りを解除し(ステップ203)、閉危険領域(エリア2〜4)でなければ(ステップ204)、オート開作動を解除し、逆転閉作動を許可し、ドア開作動を解除し、ドア閉作動を許可し(ステップ215〜218)、リターンする。閉危険領域であれば、オート開作動を解除し(ステップ223)、リターンする。
【0102】
ドア2が全開位置に達すれば(ステップ205)、ドア全開検出を解除し(ステップ206)、オート開作動を解除し(ステップ223)、リターンする。また、モータロックなどの異常を検出した場合も(ステップ207)、オート開作動を解除し(ステップ223)、リターンする。オート開作動解除(ステップ223)によって電磁クラッチ16および開閉モータ14を制御し、ドア2を停止させる(ステップ106,107)。
【0103】
また、本実施の形態では、開閉スイッチは全てプッシュ・オン/プッシュ・オフ式となっているので、いずれかのスイッチが押されたままだとスイッチ受付可能状態でないと判断し(ステップ208)、各開閉スイッチのオン/オフ状態を確認する。
【0104】
すなわち、リモコン30の開スイッチまたはドア開スイッチ28の少なくとも一方がオンで(ステップ209,219)、リモコン30の閉スイッチまたはドア閉スイッチ29が共にオフであれば(ステップ220,222)、そのままリターンしオート開作動を継続する。しかし、リモコン30の開スイッチまたはドア開スイッチ28の一方がオンで(ステップ209,219)、リモコン30の閉スイッチまたはドア閉スイッチ29の一方がオンであれば(ステップ220,222)、開スイッチと開スイッチの双方がオンされていることになるので、オート開作動を解除し(ステップ223)、リターンする。また、リモコン30の開スイッチおよびドア開スイッチ28の双方がオフであれば(ステップ209,219)、スイッチ受付可能にセットし(ステップ221)、リターンする。
【0105】
スイッチ受付可能なときに(ステップ208)、すなわち開閉スイッチの全てがオフのときにリモコン30の閉スイッチまたはドア閉スイッチ29の少なくとも一方がオンすれば(ステップ210,211)、ドア閉作動の指示が出されたと判断して前述したステップ204以降の処理に移行する。
【0106】
メインスイッチがオフすると(ステップ212)、オート開作動を解除し(ステップ223)、開閉モータ14を停止してリターンする。また、リモコン30の開スイッチまたはドア開スイッチ28の少なくとも一方がオンすると(ステップ213,214)、プッシュ・オン/プッシュ・オフ式の開スイッチが再度オンされたことになるので、その位置でスライドドア2を停止させるためオート開作動を解除し(ステップ223)、リターンする。
【0107】
(オート閉作動ルーチン)
図20は、オート閉作動ルーチン(ステップ123,182)の詳細を示すフローチャートである。このオート閉作動ルーチンは、危険領域外においてリモコンスイッチ30をドア閉に操作し、またはドア閉スイッチ29をオンし、あるいはドア閉手動状態を確認したときにスイッチ文180で選択され、ドア2を閉方向に安全に動力駆動させるために、オート閉作動中のドア駆動停止または反転作動の制御を行うものである。
【0108】
まず、ドア2がハーフラッチ領域に達すれば(ステップ224)、オート閉作動を解除し(ステップ246)、リターンする。ドア2がハーフラッチ領域以外のときは挟み込み判定を実行する(ステップ225)。挟み込みがなく、異常もなく、スイッチ受付可能であり、リモコン30の開スイッチおよびドア開スイッチ28が共にオフであり、メインスイッチがオンであり、リモコン30の閉スイッチおよびドア閉スイッチ29が共にオフであれば(ステップ229〜235)、オート閉作動中であるのでリターンする。
【0109】
挟み込みを検出すると(ステップ225)、ドア2を反対方向に移動させるために目標位置算出を実行し(ステップ226)、挟み込み有りを解除し(ステップ227)、オート閉作動を解除し(ステップ228)、逆転開作動を許可し、ドア閉作動を解除し、ドア開作動を許可する(ステップ236〜238)。次いで、ドア2がACTR領域でなければリターンし、ACTR領域ならば(ステップ239)、ACTR作動許可して(ステップ240)、リターンする。
【0110】
モータロックなどで異常電流を検出した場合は(ステップ229)、オート開作動を解除し(ステップ246)、リターンする。オート閉作動解除(ステップ246)によって電磁クラッチ16および開閉モータ14を制御し、ドア2を停止させる(ステップ106,107)。
【0111】
また、いずれかの開閉スイッチが押されたままでスイッチ受付可能状態でないと判断した場合は(ステップ230)、各開閉スイッチのオン/オフ状態を確認する。すなわち、リモコン30の閉スイッチまたはドア閉スイッチ29の少なくとも一方がオンで(ステップ241,242)、リモコン30の開スイッチまたはドア開スイッチ28が共にオフであれば(ステップ243,244)、そのままリターンしてオート閉作動を継続する。
【0112】
しかし、リモコン30の開スイッチまたはドア開スイッチ28の少なくとも一方がオンであれば(ステップ243,244)、開スイッチと開スイッチの双方がオンされていることになるので、オート閉作動を解除し(ステップ246)、リターンする。また、リモコン30の閉スイッチおよびドア閉スイッチ29の双方がオフであれば(ステップ241,242)、スイッチ受付可能にセットし(ステップ245)、リターンする。
【0113】
スイッチ受付可能なときに(ステップ230)、リモコン30の開スイッチまたはドア開スイッチ28の少なくとも一方がオンすれば(ステップ231,232)、ドア開作動の指示が出されたと判断して前述したステップ228以降の処理に移行する。
【0114】
メインスイッチがオフすると(ステップ233)、オート閉作動を解除し(ステップ246)、リターンする。また、リモコン30の閉スイッチまたはドア閉スイッチ29の少なくとも一方がオンすると(ステップ234,235)、プッシュ・オン/プッシュ・オフ式の閉スイッチが再度オンされたことになるので、その位置でドア2を停止させるためにオート閉作動を解除し(ステップ246)、リターンする。
【0115】
(マニュアル閉作動ルーチン)
図21は、マニュアル閉作動ルーチン(ステップ126.183)の詳細を示すフローチャートである。このマニュアル閉作動ルーチンは、危険領域中でドア閉スイッチ29がオンしたことを確認すると、スイッチ文180で選択され、閉スイッチ29を操作者が押下中のみ閉作動になり、閉スイッチ29を離すとドア2を停止させるモードである。
【0116】
まず、挟み込み判定を実行する(ステップ247)。挟み込みがなければドア閉スイッチ29がオンされているか判断し(ステップ249)、オンされていればマニュアル閉作動を続行するためにリターンする。閉スイッチ29がオンされていなければマニュアル閉作動を解除し(ステップ255)、リターンする。マニュアル閉作動解除(ステップ255)によって電磁クラッチ16および開閉モータ14を制御し、ドア2を停止させる(ステップ106,107)。
【0117】
挟み込みを検出すると(ステップ247)、挟み込み有りを解除し(ステップ248)、反転方向に制御を移すためにドア閉作動を解除し、ドア開作動を許可し、マニュアル閉作動を解除し、逆転開作動を許可し、目標位置算出を実行して(ステップ250〜254)、リターンする。
【0118】
(逆転開作動ルーチン)
図22は、逆転開作動ルーチン(ステップ127,184)の詳細を示すフローチャートである。この逆転開作動ルーチンは、オート閉作動中(図20)、またはマニュアル閉作動中(図21)に、挟み込み有りの判定を得た場合に、算出した目標位置にドア2を反転移動させて停止させるモードで、ドア2の停止または反転作動を安全に制御するものである。
【0119】
まず、全開検出を行う(ステップ256)。全開検出はドア2の全開状態を判定するもので、この全開検出が終了すると、現在の位置計数値Nからドア2が算出した目標位置か判断する(ステップ257)。ドア2が目標位置でなく、メインスイッチがオンであり(ステップ259)、ドア2が全開位置でなく(ステップ260)、挟み込みもなく(ステップ262)、異常状態でもなく(ステップ264)、スイッチ受付可能状態であり(ステップ266)、リモコン閉スイッチおよびドア閉スイッチが共にオフであれば(ステップ267,269)、逆転開作動中であるのでリターンする。
【0120】
ドア2が目標位置に達したとき(ステップ257)、あるいはメインスイッチがオフのとき(ステップ259)は、逆転開作動を解除し(ステップ258)、リターンする。ドア2が全開位置であればドア全開検出を解除し(ステップ260,261)、挟み込みを検出すれば挟み込み有りを解除し(ステップ262,263)、モータロックなどの異常状態を検出すれば異常状態検出を解除し(ステップ264,265)、それぞれ逆転開作動を解除して(ステップ258)、リターンする。逆転開作動解除(ステップ258)によって電磁クラッチ16および開閉モータ14を制御し、メインルーチンでドア2を停止させる(ステップ106,107)。
【0121】
また、スイッチ受付可能状態(各開閉スイッチがいずれもオフ)のときにリモコン30の閉スイッチまたはドア閉スイッチ29がオンされた場合は(ステップ267,269)、逆転開作動を解除し(ステップ258)、開閉モータ14を停止してリターンする。
【0122】
スイッチ受付可能状態でないときは(ステップ266)、各開閉スイッチのオン/オフ状態を確認し、開閉スイッチが全てオフでなければ(ステップ268)、そのままリターンし、開閉スイッチが全てオフであれば、スイッチ受付可能状態にセットし(ステップ270)、リターンする。これは、例えばマニュアル閉作動中に挟み込みがあって逆転した場合は、ドア閉スイッチ29が押下中の場合があるためで、そのような場合でもこのモードを継続させるためである。
【0123】
(逆転閉作動ルーチン)
図23は、逆転閉作動ルーチン(ステップ128,185)の詳細を示すフローチャートである。この逆転閉作動ルーチンは、オート開作動中(図19)に挟み込み有りの判定を得て算出した目標位置に、ドア2を反転移動させて停止させるモードで、ドア2の停止または反転作動を安全に制御するものである。
【0124】
まず、現在の位置計数値Nからドア2が目標位置か、または危険領域(エリア2〜4)か判断する(ステップ271,273)。ドア2の現在位置がいずれでもなく、メインスイッチがオンであり(ステップ274)、挟み込みもなく(ステップ275)、異常もなく(ステップ277)、スイッチ受付可能状態であり(ステップ279)、リモコン開スイッチおよびドア開スイッチが共にオフであれば(ステップ280,283)、逆転閉作動中であるのでリターンする。
【0125】
ドア2が目標位置または危険領域(ステップ271,273)であり、あるいはメインスイッチがオフであれば(ステップ274)、逆転閉作動を解除し(ステップ272)、リターンする。逆転閉作動解除(ステップ272)によって電磁クラッチ16および開閉モータ14を制御し、メインルーチンでドア2を停止させる(ステップ106,107)。
【0126】
また、挟み込みを検出したときは挟み込み有りを解除し(ステップ275,276)、モータロックなどの異常を検出したときは異常状態検出を解除し(ステップ277,278)、それぞれ逆転閉作動を解除して(ステップ272)、リターンする。
【0127】
また、スイッチ受付可能状態(各開閉スイッチがいずれもオフ)のときにリモコン30の開スイッチまたはドア開スイッチ28がオンされた場合も(ステップ280,283)、逆転開作動を解除し(ステップ272)、リターンする。
【0128】
スイッチ受付可能状態でないときは(ステップ279)、開閉スイッチが全てオフでなければ(ステップ281)、そのままリターンし、開閉スイッチが全てオフであれば、スイッチ受付可能状態にセットし(ステップ282)、リターンする。これは、オート開作動中に挟み込みがあって逆転した場合、ドア開スイッチ28が押下中の場合があるためで、そのような場合でもこのモードを継続させるためである。
【0129】
(目標位置算出ルーチン)
図24は、目標位置算出ルーチン(ステップ202,226,254)の詳細を示すフローチャートである。この目標位置算出ルーチンは、オート開作動(図19)またはオート閉作動(図20)、マニュアル閉作動(図21)において、挟み込み検出時にドア2をそれまでの移動方向から反転させ、安全な位置まで逆転させる際の目標位置を算出するルーチンである。
【0130】
まず、ドア2の移動方向を判別する(ステップ284)。ドア2が開方向に作動中と判別されると、ドア2の現在位置がエリア3,4か判別する(ステップ285A)。ドア2の位置がエリア3,4であれば、ドア2の現在位置を目標位置とする(ステップ285C)。これは開作動中の挟み込み発生時の逆転閉作動においては、再度挟み込みが発生する危険があるので、逆転閉作動はエリア3,4では行わないようにしており、現在位置を目標位置とする。
【0131】
ドア2の位置がエリア3,4以外であれば、位置計数値Nで示される現在位置の値から予め指定された移動量を減算し、目標位置の値とする(ステップ285B)。しかし、目標位置の値がエリア3以下の危険領域であれば(ステップ289)、エリア2とエリア3との境界値(N=350)を目標位置とする(ステップ290)。
【0132】
ドア2が閉方向に作動中と判別されると、位置計数値Nで示される現在位置の値に予め指定された移動量を加算し目標位置の値とする(ステップ286)。この目標位置の値が全開位置の値(N=850)を越えた場合は(ステップ287)、全開位置の値を目標位置とする(ステップ288)。
【0133】
(全開検出ルーチン)
図25は、全開検出ルーチン(ステップ130,200,256)の詳細を示すフローチャートである。この全開検出ルーチンは、初期動作時にはドア2の全開位置の位置計数値Nを認識して記憶し、それ以降はオート開作動時(図19)、または逆転開作動時(図22)において、ドア2が全開状態に達したことを検出するルーチンである。
【0134】
まず、初期動作時にはドア2を全閉位置(N=0)から移動させ、位置計数値Nの値がエリア7内に達すると(ステップ291)、全開位置データが既に認識されているか判断する(ステップ292)。初期動作時には認識されていないのでドア2が全開位置で停止したか判断し(ステップ293)、全開位置で停止していなければリターンし、停止していればそのときの位置計数値Nを取り出す(ステップ295)。
【0135】
次いで、そのときの位置計数値Nから全開マージン(任意値)を差し引き、それを全開認識値として所要のメモリ部に記憶する(ステップ296,297)。全開マージンは、ドア2の開動作中に全開位置と認識してドア2を停止しても若干の移動が生じるので、その移動量を見込んで全開位置の手前になるように設定している。こうして全開認識値が設定されると、ドア全開状態を検出し(ステップ298)、リターンする。
【0136】
全開認識値設定以降は、位置計数値Nがエリア7に達すると(ステップ291)、全開位置データが既に認識されているので(ステップ292)、位置計数値Nが全開認識値に達するとドア全開状態を検出し(ステップ298)、リターンする。
【0137】
(スタートモード)
図26は、スタートモードルーチン(ステップ117,176)の詳細を示すフローチャートである。このスタートモードは各スイッチのオン/オフ状態や周囲の状況等に応じてドア2を起動するためのモードを選択し、スタートさせる処理である。
【0138】
まず、スタート識別子がセットされているか判断する(ステップ299)。当初はセットされていないので、手動モードか判断する(ステップ301A)。手動モードであれば全閉−ドア開手動状態か判断し(ステップ301B)、そうであれば手動全閉スタートモードにセットし(ステップ302A)、そうでなければ手動通常スタートモードにセットし(ステップ302B)、それぞれ手動モードを解除する(ステップ303)。
【0139】
手動モードでなければドア開作動か判断し(ステップ304)、ドア開作動であればACTR制御領域か判断し(ステップ305)、ACTR制御領域であればACTRスタートモードにセットする(ステップ306)。ドア開作動でなく、あるいはドア開作動であってもACTR制御領域でなければ通常スタートモードにセットする(ステップ307)。こうしてスタート別の識別子をセットするとオートスライドモード作動計数値Gをクリアし(ステップ308)、リターンする。各スタートモードの設定条件をまとめると次のようになる。
【0140】
通常スタートモード   :全閉以外時にスイッチ操作でスタート
ACTRスタートモード:全閉時にスイッチ操作でスタート
手動通常スタートモード:全閉以外時に手動操作でスタート
手動全閉スタートモード:全閉時に手動操作でスタート
こうしてスタート別の識別子がセットされ、次のルーチンでスタートモードが選択されると、スタート別の識別子がセットされているので(ステップ299)、識別子に応じ(ステップ300)、通常スタートモード(ステップ309)、ACTRスタートモード(ステップ310)、手動通常スタートモード(ステップ312A)、手動全閉スタートモード(ステップ312B)を実行する。
【0141】
通常スタートモードは、ドア全閉領域外でのスタート時の制御をする。最初に電磁クラッチ16オンにし(ステップ106)、開閉モータ14とドライブプーリ15とをつなぐ。電磁クラッチ16のオンタイムラグ後に、オートスライド作動可能にセットし、開閉モータ14をオンする(ステップ107)。その後、開閉モータ14がオンしたときに、作動別スタート識別子をリセットし、作動別スタート制御の終了を他のルーチンに知らせる。
【0142】
ACTRスタートモードは、ACTR35を介してドアロックのラッチ8とストライカ9との係合を解除した後、ドア2を自動駆動するスタートモード時の制御をする。ハーフラッチスイッチ36がオフしているのを一定時間確認後、電磁クラッチ16をオンにする(ステップ106)。電磁クラッチ16のオンタイムラグ経過後、オートスライド作動中にする。その後、開閉モータ14のオンのときに(ステップ107)、作動別スタート識別子をリセットし、作動別スタート制御の終了を他のルーチンに知らせる。
【0143】
手動通常スタートモードおよび手動全閉スタートモードについては後述する。識別子がリセットされ、次のルーチンで再びスタートモードが選択されると、スタートモードを解除し(ステップ313,314)、作動計数値Gをクリアし(ステップ315)、リターンする。
【0144】
(手動通常スタートモード)
図27は、手動通常スタートモード(ステップ312A)を示すフローチャートである。この手動通常スタートモードは、ドア2が全閉状態でないときに手動操作を検知して、ドア2を開方向または閉方向にオートモードで駆動するものである。
【0145】
まず、オートスライド用の開閉モータ14が作動状態か判断する(ステップ316)。最初は作動状態ではないので、後述するPWM制御によって定められるモータ駆動電圧にセットする(ステップ318)。次いで、ドア2の作動方向を判別し(ステップ326)、開作動であればドア開作動可にセットしてモータ14を開方向に駆動するように準備する(ステップ327)。閉作動であればドア閉作動可にセットしてモータ14を閉方向に駆動するように準備する(ステップ328)。また、開方向の場合は(ステップ327)、ACTR領域か判別し(ステップ329)、ACTR領域でなければリターンし、ACTR領域であればACTR作動可にセットする(ステップ330)。
【0146】
開閉モータ14が作動状態であれば(ステップ316)、作動計数Gによって手動タイムラグが過ぎているか判断する(ステップ317)。過ぎていなければリターンし、過ぎていれば手動によるドア2の移動速度がドア急閉速度より速いか判断する(ステップ319)。ドア2の移動速度がドア急閉速度よりも遅ければ、次に手動認識速度より遅いか判断する(ステップ320)。遅くなければクラッチ作動可にセットし(ステップ322)、クラッチ作動後のドア作動時間を計測するために作動計数Gをクリアし(ステップ323)、手動通常スタートモードを解除して(ステップ324)、リターンする。
【0147】
手動によるドア2の移動速度がドア急閉速度より速い場合(ステップ319)は、そのまま手動によるドア急閉作動を優先させるために、ドア急閉作動可にセット(ステップ321)し、異常状態にセットしてモータを停止するようにし(ステップ325)、手動通常スタートモードを解除して(ステップ324)、リターンする。
【0148】
また、ドア2の移動速度が手動認識速度より遅い場合も(ステップ320)、オートモードに移行しないために、異常状態にセットし(ステップ325)、手動通常スタートモードを解除して(ステップ324)、リターンする。異常状態にセットすると、オート開作動やオート閉作動の各ルーチンにおいて異常状態が検出されて作動が解除され、ストップモードとなってモータが停止する。
【0149】
(手動全閉スタートモード)
図28は、手動全閉スタートモード(ステップ312B)を示すフローチャートである。この手動全閉スタートモードは、ドア2が全閉状態のときに手動操作を検知して、ドア2を開方向にオートモードで駆動するものである。
【0150】
まず、ドア2が開方向に移動しているかをパルス信号φ1,φ2の位相関係によって検出する(ステップ330A)。開方向に移動していれば、後述するPWM制御によって定められるモータ駆動電圧にセットし(ステップ330B)、次いでドア開作動可にセットして開方向にモータ14を開方向に駆動するように準備し(ステップ330C)、さらにACTR作動可にセットする(ステップ330D)。
【0151】
次いで、ハーフスイッチのオフを念のために確認し(ステップ330E)、オフであればクラッチ作動可にセットして電磁クラッチ16を駆動するように準備し(ステップ330F)、クラッチ作動後のドア作動時間を計測するために作動計数Gをクリアし(ステップ330G)、手動全閉スタートモードを解除して(ステップ330H)、リターンする。
【0152】
ドア2が開方向に移動していなければ(ステップ330A)、このモードは不要であるので、異常状態にセットしてモータを停止するようにし(ステップ330I)、手動全閉スタートモードを解除して(ステップ330H)、リターンする。ハーフスイッチがオフの場合もドアロックが再嵌合したおそれがあるので、異常状態にセットし(ステップ330I)、手動全閉スタートモードを解除し(ステップ330H)、リターンする。
【0153】
なお、ACTRの作動を最初とするシステムも考えられるが、この場合はドアハンドルスイッチ37aがオンとなると、まずACTRが作動するので、ACTRが解錠するので、小さい力でロックを解錠できる。
【0154】
(速度制御ルーチン)
図29は、速度制御ルーチン(ステップ120,178)の概要図である。この速度制御ルーチンは、スライドドア2の速度が前述した各制御領域E1〜E6毎に定められている適正移動速度になるように現在の移動速度に対する制御目標値を定め、それによってスライドドア2の速度を制御するものである。本実施の形態では、スライドドア2の速度制御は開閉モータ14に印加する矩形波電圧のデューティサイクルを変化させることによって、つまりパルス幅変調(PWM)によって開閉モータ14の出力トルクを調整するようにしているので、以下ではPWM制御として説明する。
【0155】
このPWM制御(ステップ331)には、目標値の決定(ステップ332)、適合計算(ステップ333)、フィードバック調整(ステップ334)があり、適合計算(ステップ333)の下位レベルに差計算(ステップ335)があり、フィードバック調整(ステップ334)の下位レベルに調整量の算出(ステップ336)がある。
【0156】
図30は、目標値の決定(ステップ332)、適合計算(ステップ333)、差計算(ステップ335)、調整量の算出(ステップ336)の各部分の機能をブロック図で示したものである。同図において、ドア位置検出部60はロータリーエンコーダ18からのパルス信号φ1,φ2から位置計数値Nおよび移動方向Zを求める。
【0157】
制御領域弁別部61aは位置計数値Nおよび移動方向Zからドア2がそのとき存在するエリア1〜7を求め、このエリア1〜7によって図16に示すメモリテーブルを参照し、対応する制御領域E1〜E6を判別する。そして、各制御領域E1〜E6にそれぞれ所要されるスライドドア2の適正移動速度に対応した周期計数値T1〜T6を求める。
【0158】
制御速度選択部61bでは、判別した制御領域Ei(i=1〜6)の適正移動速度に対応した適性速度周期計数値To(T1〜T6)を求め、かつその制御領域における最高移動速度に対応する最高速度周期計数値Tminと、最低移動速度に対応する最低速度周期計数値Tmaxとを求める。制御領域弁別部61aおよび制御速度選択部61bによって目標値の決定(ステップ332)の機能を達成している。
【0159】
制御速度選択部61bで求めた制御領域Eiの適正速度周期計数値Toは調整量算出部62に送られ、フィードバックの調整量Rを求めるために使用される。その詳細は後述する。調整量算出部62で求めたフィードバックの調整量Rは、上限値を設定する最大調整量制限部63に送られる。調整量算出部62および最大調整量制限部63によって調整量の算出(ステップ336)の機能を達成している。
【0160】
ドア移動速度検出部64はパルスカウントタイマー(ステップ115A)に相当し、割り込みパルスg1の発生間隔毎のクロックパルスC1を計数し、その時点の計数値を移動速度周期計数値Txとして求めている。この逆数がスライドドア2の現在の移動速度となる。
【0161】
移動速度周期計数値Txは速すぎ検出部65および遅すぎ検出部66に入力される。また、速すぎ検出部65には最高速度周期計数値Tminが入力され、遅すぎ検出部66には最低速度周期計数値Tmaxが入力されている。速すぎ検出部65および遅すぎ検出部66によって適合計算(ステップ333)の機能を達成している。
【0162】
速すぎ検出部65は現在の移動速度を表す周期計数値Txから最高速度周期計数値Tminを差計算部65aで減算し、速すぎ量THを求める。それを2段のシフトレジスタ等による一時保留部65b,65cに送り込む。そして、前段の一時保留部65cには抽出時期が1つ前の速すぎ量TH2を保留し、後段の一時保留部65bには現時点または前段の抽出時期に連続した1つ後の速すぎ量TH1を保留する。この2つの速すぎ量TH1,TH2は修正量演算部65dで加算され、速すぎ適合差JNHとして出力される。
【0163】
同様に、遅すぎ検出部66は現在の移動速度を表す周期計数値Txから最低速度周期計数値Tmaxを差計算部66aで減算し、遅すぎ量TLを求める。それを2段のシフトレジスタ等による一時保留部66b,66cに送り込む。そして、前段の一時保留部66cには抽出時期が1つ前の遅すぎ量TL2を保留し、後段の一時保留部66bには現時点または前段の抽出時期に連続した1つ後の遅すぎ量TL1を保留する。この2つの遅すぎ量TL1,TL2は修正量演算部66dで加算され、遅すぎ適合差JNLとして出力される。差計算部65a,66bによって差計算(ステップ335)の機能を達成している。
【0164】
速すぎ検出部65の速度判別部65eは、現在の周期計数値Txが周期計数値Tminよりも大きいと判別した場合、すなわち現在の移動速度が最高速度よりも遅いと判別した場合は、一時保留部65b,65cの保留内容を零にリセットする。同様にして遅すぎ検出部66の速度判別部66eは、現在の周期計数値Txが周期計数値Tmaxよりも小さいと判別した場合、すなわち現在の移動速度が最低速度よりも速いと判別した場合は、一時保留部65b,65cの保留内容を零にリセットする。
【0165】
こうして、スライドドア2の現在の移動速度が速すぎず、または遅すぎないときは、一時保留部の保留内容を零にリセットする。これにより、修正量演算部65d,66dに速すぎ量TH1,TH2または遅すぎ量TL1,TL2が2つ揃って引き渡されるには、速すぎまたは遅すぎが2度引き続いて生じなければならないことになり、これによって誤検出を防止するようにしている。
【0166】
速すぎ適合差JNHおよび遅すぎ適合差JNLは、フィードバック調整部67および調整量算出部62に送られる。調整量算出部62では、両適合差JNH,JNLをまとめて適合差JNとして扱い、制御速度選択部61bで得られた適性速度周期計数値Toを識別子として調整量Rの算出式を選択し、調整量Rを求めている。例えば、周期計数値ToがTaならば調整量Rは3倍の適合差JN、すなわち、R=3JN、同様に周期計数値ToがTbならば、R=2JN、周期計数値ToがTcならば、R=JN、周期計数値ToがTa,Tb,Tcのいずれでもなければ、R=3JNとする。
【0167】
Ta,Tb,Tc,は任意の大きさの値でよいが、実質的は図16に示す注目度の高い領域や危険領域に設定されている適正移動速度に応じるのが好ましい。また、調整量Rを算出する倍率係数は、ドア2の移動軌跡の曲線部や直線部等に応じてフィードバック制御に適する所要の値を設定する。また、調整量Rは最大調整量制限部63で上限値(D1)が制限されるとともに、後述するデューティの値Dに変換され、そのデューティ値Dはフィードバック調整部67に入力される。
【0168】
電源電圧検出部68はバッテリー24の電圧Vxを計測している。電圧Vxのときに所要電圧相当VoのデューティサイクルDoを求めるのがデューティ演算部69である。所要電圧Vo相当のデューティサイクル(以下、デューティ、という)Doとは、テューティ100%の電圧波形、すなわち直流電圧Voを印加したときの出力トルクと、その直流電圧Voより高い任意の電圧Vxを印加して同じ出力トルクを得るためのデューティDoのことで、次式で表される。
【0169】
Do[%]=(Vo/Vx)・Dmax[%]
ただし、モータに流れる電流値は一定としている。なお、デューティ100%はHレベルの直流電圧波形に相当しDmaxと表し、デューティ0%はLレベルの直流電圧波形に相当しDminと表す。
【0170】
すなわち、デューティ演算部69はバッテリー24の電圧変動を電源電圧検出部68が測定電圧Vxとして検出し、その電圧Vxと所要電圧Voとから前記計算式に基づいて所要電圧Vo相当のデューティDoを求める。さらに、デューティ演算部69は所要電圧Voより上方または下方に1V[ボルト]変化したときのデューティの変化量を求め、これを1V相当デューティD1としている。そして、所要電圧Vo相当のデューティDoと1V相当デューティD1とは、フィードバック調整部67に入力している。
【0171】
なお、デューティ演算部69は電流の変化分を含まない1次の計算式で求めているが、電流の変化分やモータの負荷特性を含めて電源電圧変動に対するデューティDの修正値D’を予めメモリーマップにしておいて、電源電圧Vxでアドレスして求めることもできる。
【0172】
図31に示すグラフは、モータに流れる電流を一定としたときの電圧変動とデューティDの関係を示すもので、横軸に電圧Vx、縦軸にデューティDを取っている。車両用のバッテリー24は最大電圧Vmaxを16V、最小電圧Vminを9Vとしており、その間の電圧変化に対応してデューティを決めている。
【0173】
(PWM制御ルーチン)
図32は、PWM制御ルーチン(ステップ331)の詳細を示すフローチャートである。このPWM制御ルーチンは、スライドドア2が開閉モータ14によって駆動されているときに、エリア毎に定められた目標速度に一致するようにモータ14の駆動電圧のデューティDをPWM制御によって調整する制御で、機構部の遅れ等を考慮してフィードバック調整を行うまでの時間Fをエリア別に調整するようにしている。
【0174】
まず、PWM目標値が有るか判定し(ステップ337)、目標値が求まってないときは目標値の決定を行い(ステップ339)、リターンする。目標値の決定は制御領域弁別部61aおよび制御速度選択部61bで行う。
【0175】
目標値が求まっている場合は、フィードバック計数Fが最大か調べ(ステップ338)、最大でなければ増計数し(ステップ340)、最大であればステップ340をジャンプする。フィードバック計数Fはタイマーとして機能し、後述するようにこの計数Fが一定値に達したときにフィードバック調整を行うようにしている。最大値MAXは、例えば10以上の値である。
【0176】
次いで、速すぎ検出部65および遅すぎ検出部66によって適合度を計算し(ステップ341)、低速差データ、すなわち遅すぎ量TLがあるか検出する(ステップ342)。遅すぎ量TLがあれば低速度数Lを増計数する(ステップ343)。遅すぎ量TLがなければ低速度数Lをクリアする(ステップ344)。
【0177】
次いで、エリア3であれば(ステップ345)、フィードバック計数Fの値が5以上か調べ(ステップ346)、フィードバック計数Fの値が5以上でなければリターンする。エリア4のときもリターンする(ステップ345,347)。エリア3でなくエリア4でもないとき、すなわちエリア1,2,5,6,7のときはフィードバック計数Fの値が10以上か調べ(ステップ348)、フィードバック計数Fの値が10以上でなければリターンする。
【0178】
エリア3でフィードバック計数Fの値が5以上のとき(ステップ346)、あるいはエリア1,2,5〜7でフィードバック計数Fの値が10以上のとき(ステップ348)は、後述するフィードバック調整を行い(ステップ349)、その結果、デューティを調整したのであればフィードバック計数Fをクリアし(ステップ351)、リターンする。デューティを調整しなかったのであればそのままリターンする。
【0179】
この結果、エリア3のような曲線部ではスライドドア2の速度が低下するおそれがあるので、他のエリアよりも調整間隔を狭めてフィードバック調整をするようにしている。具体的には、メインルーチンのループ周期を10msecとすれば、エリア3では50msec間隔、エリア1,2,5〜7では100msec間隔で行うようにしている。
【0180】
(フィードバック調整ルーチン)
図33は、フィードバック調整ルーチン(ステップ334,349)の詳細を示すフローチャートである。このフィードバック調整ルーチンは、2回以上連続して遅すぎ量TL、速すぎ量THが発生したときに、スライドドア2の速度が目標速度になるようにデューティ(DUTY)調整を行うものである。
【0181】
まず、遅すぎ検出部66の一時保留部66b,66cに遅すぎ量TL1,TL2があるか調べ(ステップ352)、無ければ速すぎ検出部65の一時保留部65b,65cに速すぎ量TH1,TH2があるか調べる(ステップ353)。両方なければフィードバック調整は不要なので調整量Rをクリアし(ステップ356)、リターンする。
【0182】
一時保留部65b,65cに速すぎ量TH1,TH2があれば、この2つの速すぎ量TH1,TH2を加算して速すぎ適合差JNHを求め(ステップ355)、調整量算出部62および最大調整量制限部63で調整量Rを算出する(ステップ357)。次いで、前のルーチンで調整量があったか調べ(ステップ358)、それが増速であれば(ステップ359)、今回の調整量Rは半分の値に設定する(ステップ360)。これは、前回は遅すぎて調整量を加算し、今回は速すぎて調整量を減算するので、調整量が大きいと再度遅すぎになる可能性が高いためである。
【0183】
前のルーチンで調整量がない場合、前回は増速でなかった場合、調整量Rを半分の値に設定した場合(ステップ358〜360)は、それぞれ現在のデューティDから調整量R(これもデューティ)を減算して新たなデューティDNEWを求め(ステップ361)、この新たなデューティDNEWを出力し(ステップ362)、リターンする。これによって開閉モータ14はこの新たなデューティDNEWを有する矩形波電圧によって減速駆動される。
【0184】
一時保留部66b,66cに遅すぎ量TL1,TL2がある場合(ステップ352)は、ドア2の現在位置が開方向(エリア5〜7)か閉方向(エリア1〜4)かを調べる(ステップ353)。これは、閉方向は挟み込みの可能性があるため単純にはフィードバック調整によって増速駆動できないためである。
【0185】
すなわち、閉方向であれば、低速カウンタが所定のタイムラグをカウントしたか判断し(ステップ364A)、所定のタイムラグが過ぎていなければリターンする。所定のタイミラグが過ぎていれば、負荷の学習がない初期状態か判断する(ステップ364B)。初期状態でなく、学習値が増加傾向の場合は(ステップ364C)、後述する挟み込み判定でエラーが有れば(ステップ364E)、挟み込みの可能性があるのでリターンする。
【0186】
また、学習値は増加傾向ではないが(ステップ364C)、電流値が上昇傾向であって(ステップ364D)、かつ継続している場合は(ステップ365)、挟み込みの可能性があるのでリターンする。
【0187】
それ以外の場合、すなわち、エラーが無い場合(ステップ364E)、電流値が上昇傾向で無い場合(ステップ364D)、電流値の上昇が継続していない場合は(ステップ365)、挟み込みの可能性はないとして増速駆動のフィードバック調整を行う。もちろん、ドア2が開方向の場合(ステップ353)や初期状態の場合(ステップ)も増速駆動のフィードバック調整を行う。
【0188】
増速駆動のフィードバック調整は、まず、2つの遅すぎ量TL1,TL2を加算して遅すぎ適合差JNLを求めてメモリに格納し(ステップ366,367)、調整量算出部62および最大調整量制限部63で調整量Rを算出する(ステップ368)。次いで、前のルーチンで調整量があったか調べ(ステップ369)、それが減速であれば(ステップ370)、今回の調整量Rを半分の値に設定する(ステップ371)。これは、前回は速すぎて調整量を減算し、今回は遅すぎて調整量を加算するので、調整量が大きいと再度速すぎになる可能性が高いためである。
【0189】
前のルーチンで調整量がない場合、前回は減速でなかった場合、調整量Rを半分の値に設定した場合(ステップ369〜371)は、それぞれ現在のデューティDから調整量R(これもデューティ)を加算して新たなデューティDNEWを求め(ステップ372)、この新たなデューティDNEWを出力し(ステップ362)、リターンする。これによって開閉モータ14はこの新たなデューティDNEWを有する矩形波電圧によって増速駆動される。
【0190】
(挟み込み判定ルーチン)
図34は、挟み込み判定ルーチン(ステップ118,177)の概要を示す図である。この挟み込み判定ルーチンは、スライドドア2の開閉駆動中に異物の挟み込みを検出するものである。この検出結果に基づいて開閉駆動中のドア2を逆転作動させる契機とし、安全性を確保するようにしている。
【0191】
この挟み込み判定ルーチンには、後に詳述する学習判定(ステップ374)、継続&変化量(ステップ375)、総合判定(ステップ376)等のルーチンがある。また、学習判定(ステップ374)の下位レベルには、学習アドレス演算(ステップ377)、エラー判定(ステップ378)、学習重み付け(ステップ379)、平均値算出(ステップ380)、比較値生成(ステップ381)、学習処理(ステップ382)、学習遅延処理(ステップ383)等の各ルーチンがある。さらに比較値生成(ステップ381)の下位レベルには、比較値計算(ステップ384)のルーチンがある。
【0192】
図35は、挟み込み判定ルーチン(ステップ373)を示すフローチャートである。各ルーチンの詳細については後述するが、まず、サンプリング領域毎のモータ負荷の変化率の学習が済んでいるか判定する(ステップ385)。済んでいなければ、その学習処理および学習遅延処理を実行し(ステップ386A,386B)、リターンする。
【0193】
学習処理が済んでいれば、ストップモードか判定し(ステップ387)、ストップモードであればドア2を停止させているのでリターンする。ストップモードでなければ学習判定(ステップ388)を行う。次いで、モータ電流値の変化量と上昇継続時間を検出する継続&変化量処理(ステップ389)を行う。続く総合判定(ステップ390)では、学習判定(ステップ388)で得た判定、および継続&変化量処理(ステップ389)で得たモータ電流値の変化量や上昇継続時間等から挟み込みの有無の判定を下す。
【0194】
(挟み込み判定の機能ブロック図)
図36は、挟み込み判定ルーチンの機能を示すブロック図である。同図において、サンプリング領域演算部70、サンプリング領域の負荷データ演算部72および記憶用学習データ演算部75は、スライドドア2の開閉による標準の負荷抵抗成分(その変化率を含む)を、モータ14に流れる電流値INに基づき抽出し、ドア2の開閉状況とその位置とに固有のサンプリング領域Qn(またはQm、以下同)に対応させて負荷サンプルデータメモリ71に記憶する。
【0195】
1つのサンプリング領域Qnについて記憶される負荷抵抗成分は、そのサンプリング領域Qnの中の分解能Bの数だけ含まれる電流値INの平均電流値IAnによる前後のサンプリング領域間の電流増加率ΔIAnとしている。
【0196】
そして、通常のドア2の開閉に際し、同一サンプリング領域Qnごとに記憶された標準の負荷抵抗成分と現在の負荷抵抗成分とを、挟み込み判定部85で比較し、挟み込みの有無を検出している。そして、サンプリング領域Qnに応じてメモリ71に記憶される負荷抵抗成分は、ドア2の開閉操作があるたびに新たな負荷抵抗成分に基づいて修正され、学習更新される。
【0197】
挟み込み判定部85は、そのほかに電流計測部73で計測した電流値INと、前回電流値メモリ部86に記憶されている前回電流値I’Nおよび今回電流値INから変化量算出部87で求めた電流増加値ΔIと、電流増加回数計数部88が出力する増加回数値Kと、坂道検出部89からの傾斜判定データθとに基づいて挟み込み判定を行う。判定動作の詳細については後述する。
【0198】
(サンプリング領域演算部70)
サンプリング領域演算部70は、ドア位置検出部60から供給される位置計数値Nおよび移動方向Zから、エリア1〜7(図16)に定められた分解能Bに応じてパルス信号φ1を間引いて計数した計数値n(またはm)に基づいてサンプリング領域Qn(またはQm)のアドレスを定める。
【0199】
計数値nは分解能Bに応じて閉方向に間引きして計数した値であり、計数値mは開方向に間引きして計数した値である。それぞれドア2の位置を示すアドレス番号を表す。アドレス番号nはドア2が閉じられる方向に付設した番号なので、ドア2が閉じるときには減計数する。従って、移動中のドア2の1つ前のアドレス番号はn+1となる。これに対し、アドレス番号mはドア2が開く方向に付設した番号なので、移動中のドア2の1つ前のアドレス番号はm−1となる。
【0200】
アドレス番号n,mと、分解能Bと、位置計数値Nとの関係は、
N/B=n+b
N/B=m+b   (n,mは商の整数部、bは商の余り)
と表される。
【0201】
アドレス番号n,mは負荷サンプルデータメモリ71のアドレスとなり、余りbは負荷データ演算部72において分解能Bの数と同じ数のレジスタを備えた電流値記憶レジスタ74のデータをシフトするために作用する。
【0202】
(負荷サンプルデータメモリ71)
負荷サンプルデータメモリ71は、サンプリング領域演算部70からのアドレス番号n,mで指定されるサンプル領域Qn,Qmの記憶データをなす平均電流値IAn,IAmを予測比較値演算部76へ出力するとともに、記憶用学習データ演算部75へも出力している。
【0203】
(負荷データ演算部72)
負荷データ演算部72は、分解能Bと同じ段数を有する電流値記憶レジスタ74に記憶されたモータ14の電流値INを、各サンプリング領域Qn,Qm毎に平均値をとり、平均電流値IAnとして記憶用学習データ演算部75に出力する。電流値記憶レジスタ74には電流計測部73によって一定のインターバル毎(ステップ103)に計測された電流値INが記憶されている。
【0204】
図37は、学習効果を考慮しない状態でのサンプリング領域Qn,Qn−1における前回記憶した平均電流値I’An,I’A(n−1)と、今回求められた現在の平均電流値IAn,IA(n−1)とを表している。なお、ここではドア2の開閉状況はエリア2の減速制御領域E2(分解能Bが4)とし、かつ注目するサンプリング領域Qnと1つ後のサンプリング領域Qn−1とにおけるパルス信号φ1毎の位置計数値Nに対応した電流値INを示している。
【0205】
すなわち、サンプリング領域Qnの位置計数値N〜N−3に相当する今回の動作の電流値IN〜IN−3が電流値記憶レジスタ74に保留され、それらを加算平均したものが平均電流値IAnである。
【0206】
(記憶用学習データ演算部75)
記憶用学習データ演算部75は、図38に示すように、電流増加率演算部81、直前データ保留レジスタ82、学習データ遅延レジスタ83、学習値重み付け更新演算部84からなる。
【0207】
直前データ保留レジスタ82は、ドア2の閉移動方向(この例ではエリア2を想定しているため)に順次現れるサンプリング領域Qn(nは漸減する)における現在注目するサンプリング領域Qnの直前のサンプリング領域Qn+1の平均電流値IA(n+1)を電流増加率演算部81に出力する。
【0208】
電流増加率演算部81は、負荷データ演算部72から送られてくる現在注目するサンプリング領域Qnの平均電流値IAnと、直前データ保留レジスタ82で遅延された直前のサンプリング領域Qn+1の平均電流値IA(n+1)とを比較し、電流変化率ΔIAn(=IAn/IA(n+1))を求め、学習データ遅延レジスタ83に送っている。
【0209】
学習データ遅延レジスタ83は、学習結果の更新時期を若干遅らせるためのもので、段数は任意であるが、この例では7段とし、学習値重み付け更新演算部84に7個前のサンプリング領域Qn+7の電流増加率ΔIA(n+7)を出力する。
【0210】
学習値重み付け更新演算部84は、現在のサンプリング領域Qn+7に係る電流増加率ΔIA(n+7)と、それと同じアドレス番号n+7でアドレス指定される負荷サンプルデータメモリ71からの読み出しデータQn+7とが、アドレスを一致されて入力される。
【0211】
すなわち、学習値重み付け更新演算部84は同一サンプリング領域について、予めデータメモリ71に記憶されている前回ドア駆動時の電流増加率Qn+7に、今回得た最新の電流増加率ΔIA(n+7)を考慮して、次式に基づいて記憶データを学習更新させている。
【0212】
Q’n+7=(3/4)×Q’n+7+(1/4)×ΔIA(n+7)
一般式で書くと、
Q’n=(3/4)×Q’n+(1/4)×ΔIAn
となる。新旧データの割合は適宜変更できる。
【0213】
こうして新たに求められた記憶データ(電流増加率)Q’nは、負荷サンプルデータメモリ71に書き込みデータDLとして送られ、アドレス番号nをアドレスとして記憶され、記憶データの学習更新が行われる。
【0214】
なお、ここでは、負荷サンプルデータメモリ71からの読み出しデータ、すなわち記憶されたデータを表記するのに、本来ストアされている平均電流値I’Anをもって表すのではなく、アドレス指定されたサンプリング領域Qnの方で表記し、演算等はそのサンプリング領域Qnのアドレス番号nで指定されたロケーションに記憶された平均電流値I’Anのデータを使用するものとする。また、記憶用学習データ演算部75の出力データも、サンプリング領域Qnの形式で表記してある。
【0215】
(予測比較値演算部76)
予測比較値演算部76は、図39に示すように、予測値レジスタ77、閾値計算部78、比較値計算部79、予測比較値遅延レジスタ80からなり、負荷サンプルデータメモリ71から出力される現在のサンプリング領域Qnのアドレス番号nに対応した学習値Q’nよりも、ドア2の移動方向で4つ先方のサンプリング領域Qn−4の挟み込み判別に所要される予測比較値Cn,Cmを挟み込み判定部85に出力する。
【0216】
予測値レジスタ77は、ドア2の現在のサンプリング領域Qn内で最初の電流値INを計測した時点から、メインルーチンのループインターバルで現在までの各測定電流値を加算平均したサンプリング領域内の平均電流値IAnの最新のものが保留されている。
【0217】
閾値計算部78および比較値計算部79には、最新の電流値INを得ているサンプリング領域Qnのアドレス番号nよりも、4つ後のアドレス番号n−4のサンプリング領域Qn−4の記憶データ(電流増加率Q’n−4)を、負荷サンプルデータメモリ71から読み出して与えられている。
【0218】
閾値計算部78は、最新の制御領域内平均電流値IAnと、4つ後のアドレス番号n−4のサンプリング領域Q’n−4の記憶データとから、次式によって弁別の許容幅を決める閾値Fn−4を計算する。
【0219】
Fn−4=IAn×Q’n−1×Q’n−2×Q’n−3×Q’n−4×α
一般式で表すと、
Fn=IA(n+4)×Q’n+3×Q’n+2×Q’n+1×Q’n×α
となる。ただし、αは補正計数である。
【0220】
比較値計算部79では、これから出現するサンプリング領域Qn−4の平均電流値IA(n−4)と比較する予測比較値Cn−4が次式によって計算される。
【0221】
Cn−4=IAn×Q’n−1×Q’n−2×Q’n−3×Q’n−4+Fn−4
一般式で表すと、
Cn=IA(n+4)×Q’n+3×Q’n+2×Q’n+1×Q’n+Fn
となる。
【0222】
比較値計算部79によって求められた予測比較値Cn−4は、4段の予測比較値遅延レジスタ80を通過することにより、現在所要されるサンプリン領域Qnのアドレス番号nに対応するものと合致する。
【0223】
予測比較値演算部76において、最初の比較値生成時は、その比較値を予測比較値遅延レジスタ80の前段に入れ、それを4回繰り返し、4つ先の比較値まで求める。すなわち、
1つ先の予測値:Cn−1=An  ×Q’n−1
2つ先の予測値:Cn−2=Cn−1×Q’n−2
3つ先の予測値:Cn−3=Cn−2×Q’n−3
4つ先の予測値:Cn−4=Cn−3×Q’n−4
である。
【0224】
(初期動作)
図36に示す挟み込み判定の各ブロックにおいて、初期状態では、負荷サンプルデータメモリ71の記憶内容は、車体1を前後左右に傾きのない平坦な場所で平常姿勢としておき、この平常姿勢においてドア2を開閉させ、各エリア毎のサンプル領域Qn,Qmの平均電流値IAn,IAmを求める。
【0225】
この初期状態において、記憶用学習データ演算部75で現在および直前の平均電流値の比から電流変化率ΔIAn,ΔIAmを求める。この電流変化率ΔIAn,ΔIAmは学習データ遅延シフトレジスタ83から学習値重み付け更新演算部84を素通りして負荷サンプルデータメモリ71の書き込みデータDLとして出力されるとともに、そのデータが記録されるアドレス番号はサンプリング領域演算部70で得られるその平均電流値IAn,IAmを求めたサンプル領域データQn,Qmのアドレス番号n,mで指定される。
【0226】
ここで、図34に示す挟み込み判定の各ルーチンと、図36に示す挟み込み判定の各ブロックとの関係について説明する。平均値算出ルーチン(ステップ380)は負荷データ演算部72および電流値記憶レジスタ74に対応している。比較値生成ルーチン(ステップ381)および比較値計算ルーチン(ステップ384)は、予測比較値算出部76に対応している。学習処理ルーチン(ステップ382)および学習遅延処理ルーチン(ステップ383)は、記憶用学習データ演算部75に対応している。継続&変化量ルーチン(ステップ375)は、前回電流値メモリ部86、変化量算出部87および電流増加回数計数部88に対応している。
【0227】
(学習判定ルーチン)
図40は、学習判定ルーチン(ステップ374)の詳細を示すフローチャートである。この学習判定ルーチンは、毎回電流値を加算し、エラー判定および学習重み付け(挟み込み認識)を行う。また、ドア2が移動してサンプリング領域が移り変わったときに、その領域の平均電流値の算出、比較値の算出、学習処理、学習遅延処理を行う。
【0228】
サンプリング領域が移り変わったことは、動き出しのサンプリング領域演算時の余り(位置計数値Nを分解能Bで割った余り)にドア2が動いた量のパルス数を加算し、分解能Bの数値8,4,2を越えたことをみて判断する。パルス数は毎回加算した時点でクリアする。また、サンプリング領域が移り変わった時点で分解能Bの数値を引き、再びカウントしていく。ただし、動き始めは、そのサンプリング領域の途中なので平均電流値が出せないため、サンプリング領域が切り替わった時点で電流値の加算を始める。そして、次にサンプリング領域が移り変わった時点で、平均電流値および比較値が出せるため、以後は毎回エラー判定が可能となる。
【0229】
まず、サンプリング領域番号が演算済みか判断する(ステップ392)。ドア2の動き出しでは演算済みでないので、演算する(ステップ394)。次いで、学習可能か判断する(ステップ393)。初回は学習可能状態でないので、次にドア2の位置はエリア1,5,6か判断する。
【0230】
エリア1,5,6であれば、分解能計数(サンプリング領域演算での余り)に周期レジスタ番号(動いたパルス数)を加算し、新たな分解能計数を求める(ステップ400)。次いで、動いたパルス数をカウントするために周期レジシタ番号をクリア(ステップ412)し、さらに分解能計数が8以下の場合(ステップ413)はリターンする。
【0231】
そして、次回以降も同様にして周期レジスタ番号を加算していき、8以上になると(サンプリング領域が移り変わると)、分解能計数から8を引き(ステップ414)、学習可能か判断する(ステップ415)。今の場合は学習可能でないので、学習可能にセットし(ステップ417)、電流値メモリおよび電流値レジスタ番号をクリアし(ステップ421C,422)、リターンする。
【0232】
次回は学習可能なので(ステップ393)、現在の電流値を記憶値に加算し(ステップ395)、電流レジスタ番号をインクリメントして電流値の加算回数をカウントし(ステップ396)、エラー判定可能か判断する(ステップ397A)。今の場合はエラー判定可能ではないので、ステップ399にジャンプする。そして、ステップ400〜415の処理を実行し、今度は学習可能であるので(ステップ415)、平均値算出(ステップ416)、比較値算出(ステップ418)、学習処理(ステップ419)、学習遅延処理(ステップ420)をそれぞれ実行し、エラー判定可能にセットして(ステップ421A,421B)、リターンする。
【0233】
次回からはエラー判定が可能なので(ステップ397A)、後述するエラー判定(ステップ397B)および学習重み付け(ステップ398)を実行する。また、サンプリング領域を越える毎に平均値算出(ステップ416)〜学習遅延処理(ステップ420)を行う。
【0234】
ドア2の位置がエリア1からエリア2に切り替わると(ステップ399,401)、分解能計数が4を越えているか判断する(ステップ402)。これは、エリアが切り替わった初回はその前のエリア1の最後のサンプリング領域の平均値等を算出するためである。分解能計数が4を越えていればステップ400以降の処理に移行する。
【0235】
分解能計数が4を越えていなければ、分解能計数に周期レジスタ番号を加算し、新たな分解能計数を求め(ステップ408)、動いたパルス数をカウントするために周期レジシタ番号をクリアし(ステップ409)、さらに分解能計数が4未満の場合は(ステップ410)リターンし、4以上になると分解能計数から4を引き(ステップ411)、ステップ415以降の処理に移行する。
【0236】
ドア2の位置がエリア2からエリア3に切り替わると(ステップ399,401)、分解能計数が2を越えているか判断する(ステップ403)。これは、エリアが切り替わった初回はその前のエリア2の最後のサンプリング領域の平均値等を算出するためである。分解能計数が2を越えていればステップ402以降の処理に移行する。
【0237】
分解能計数が2を越えていれば、分解能計数に周期レジスタ番号を加算し、新たな分解能計数を求め(ステップ404)、動いたパルス数をカウントするために周期レジシタ番号をクリアし(ステップ405)、さらに分解能計数が2未満の場合は(ステップ406)リターンし、2以上になると分解能計数から2を引き(ステップ407)、ステップ415以降の処理に移行する。
【0238】
(エラー判定ルーチン)
図41は、エラー判定ルーチン(ステップ378,397)の詳細を示すフローチャートである。このエラー判定ルーチンは、現在の電流値INと予測比較値Cnとを比較し、電流値INが大なる回数をエラー回数として計数するものである。
【0239】
まず、現在の電流値INと予測比較値Cnとを比較する(ステップ424)。電流値INが大きければエラー回数を加算し(ステップ425)、同じか小さければエラー回数をクリアする(ステップ426)。これは、電流値INが連続して大なるときのみ挟み込み有りとしているためである。
【0240】
(学習重み付けルーチン)
図42は、学習重み付けルーチン(ステップ379,398)の詳細を示すフローチャートである。この学習重み付けルーチンは、エリア1〜7に応じてエラー回数の重み付けを変え、挟み込み検出を有効に行うものである。
【0241】
まず、エラー回数がゼロか判断し(ステップ429)、ゼロであればリターンする。ゼロでなければ各エリアに応じてエラー回数の重み付けを行う。
【0242】
すなわち、エリア1,5〜7では(ステップ430)、エラー回数が3以上か判断し(ステップ431)、エリア2では(ステップ432)、エラー回数が2以上か判断し(ステップ433)、エリア3,4では(ステップ434)、エラー回数が1以上か判断する(ステップ435)。このように、閉方向の開始エリア1や開方向のエリア5〜7にくらべ、閉方向の危険領域のエリア2〜4ほど厳しい設定値としている。
【0243】
これらの判断の結果、現在の制御領域の電流値が増加傾向でない場合(ステップ427)や、増加傾向であってもエラー回数がエリア毎に設定された設定値より大きいときは、異常と判定して挟み込み検出を許可する(ステップ435)。現在の制御領域の電流値が増加傾向であっても、エラー回数が設定値よりも小さい場合はリターンする。
【0244】
(継続&変化量ルーチン)
図43は、継続&変化量ルーチン(ステップ375,389)の詳細を示すフローチャートである。この継続&変化量ルーチンは、電流値INの変化量と上昇継続時間を測定して挟み込み検出を有効に行うものである。
【0245】
まず、電流値が増加傾向か判断し(ステップ436)、増加傾向であれば継続時間を計数するカウンタを加算し(ステップ437)、変化前電流値のデータが無い場合は(ステップ439)、前電流値を変化前電流値として格納し(ステップ440)、現在の電流値INから変化前電流値を引いて電流値の変換量を求め(ステップ441)、リターンする。電流値が増加傾向でない場合は(ステップ436)、継続時間を計数するカウンタをクリアし(ステップ438)、変化前電流値もクリアし(ステップ442)、リターンする。
【0246】
(総合判定ルーチン)
図44は、総合判定ルーチン(ステップ376,390)の詳細を示すフローチャートである。この総合判定ルーチンは、学習での判定、電流値の変化量および増加継続時間等の全てを加味したうえで挟み込み判定を行うものである。
【0247】
まず、現在の電流値が異常認識値以上か判断し(ステップ443)、異常認識値以上であれば異常状態にセットし(ステップ444)、リターンする。現在の電流値が異常認識値未満であれば(ステップ443)、学習判定で挟み込み検出が許可されているか判断し(ステップ445)、許可されていなければリターンする。
【0248】
挟み込み検出が許可されていれば(ステップ445)、電流値の増加する継続時間が設定最大値以上のとき(ステップ446A)、電流値の変化量が設定最大値以上のとき(ステップ446B)、継続時間が設定最小値以上であって変化量も設定値(ただし、最大値より小)以上のとき(ステップ447,448)は、それぞれ挟み込みがあったと判断して挟み込み処理済みにセットし(ステップ449)、リターンする。異常状態セット(ステップ444)、または挟み込み処理済みにセット(ステップ449)する。これにより、例えばオート閉作動中であれば、オート閉作動ルーチンによって目標値まで逆転開作動する。
【0249】
(坂道判定ルーチン)
図45は、坂道判定ルーチン(ステップ122)の詳細を示すフローチャートである。この坂道判定ルーチンは、坂道判定をするための条件を整えるためのもので、まず、ドア2の位置がエリア1,6か判断する(ステップ)。これは通常制御領域であるエリア1,6で坂道判定を行うためである。従って、ドア2の位置が他のエリアであればリターンする。
【0250】
ドア2の位置がエリア1,6であれば、ドア2の作動が安定する時間が過ぎたか判断し(ステップ451)、過ぎていれば坂道判定済みか判断する(ステップ452)。作動時間が安定時間に達していないとき、または坂道判定済みであればリターンする。
【0251】
坂道判定済みでなければ、安定度カウントが所定の設定値以上か判断する(ステップ453)。ここで安定度とは、連続する複数(例えば4つ)の周期計数値Tの最大値と最小値との差が一定値以内である状態をいう。その状態が所定の設定値回数以上になっていなければ、リターンする。
【0252】
安定度カウントが所定の設定値以上であれば、平坦地でドア2が安定したと判断し、判定基準値入力済みか判断する(ステップ455)。初期時は入力済みでないので後述する平坦値データ入力を行い(ステップ457)、入力済みであれば後述する坂道検査を行う(ステップ456)。
【0253】
(平坦値データ入力)
図46は、平坦値データ入力ルーチン(ステップ121,457)の詳細を示すフローチャートである。この平坦値データ入力ルーチンは、坂道判定に使用する基準値(平坦基準値)を入力するもので、ドア2のエリア1,6における周期計数値Tが基準周期内にあるか、すなわちドア2の移動速度が設定速度T1(図16)に対して所定の範囲内にあるか判断する(ステップ458)。所定の範囲内になければリターンする。
【0254】
ドア2が目標速度に制御されていれば(ステップ458)、現電流値を平坦電流値として格納し(ステップ459)、かつそのときの駆動電圧を平坦駆動電圧として格納する(ステップ460)。駆動電圧は、
駆動電圧=電源電圧×(DUTY/250)
となる。ここで、(DUTY/250)は前述したようにデューティサイクルを意味する。
【0255】
(坂道検査ルーチン)
図47は、坂道検査ルーチン(ステップ456)の詳細を示すフローチャートである。この坂道検査ルーチンは、先に設定した平坦基準値(平坦電流値および平坦駆動電圧)から車体1が停止している状況が平坦地か坂道かを判断するものである。
【0256】
まず、現在の電流値が平坦電流値よりも大きければ(ステップ461)、平坦電流値に判定マージンとしての坂道電流値を加算し、加算後の値を坂道判定値とする(ステップ462)。そして、現在の電流値が坂道判定値以上の大きさであれば(ステップ464)、平坦電流値に判定マージンとしての急坂値(坂道値よりも大きい)を加算し、加算後の値を急坂判定値とする(ステップ465)。
【0257】
そして、現在の電流値が急坂判定値以上の大きさで(ステップ467)、ドア2の移動方向が開方向であれば(ステップ468)、急下り坂と判定し(ステップ470)、閉方向であれば急上り坂と判定する(ステップ471)。また、現在の電流値が急坂判定値未満の大きさで(ステップ467)、ドア2の移動方向が開方向であれば(ステップ469)、下り坂と判定し(ステップ472)、閉方向であれば上り坂と判定する(ステップ473)。
【0258】
これは、車体1の停止位置が下り坂でドア2の移動方向が開方向、または車体1の停止位置が上り坂でドア2の移動方向が閉方向であれば、ドア2の自重に抗して移動させる必要があるため、モータ負荷が増大し、坂道の傾斜に比例して電流値が増えるため、現在の電流値を平坦電流値と比較することによって坂道判定を行っている。現在の電流値が坂道判定値未満の大きさであれば(ステップ464)、平坦地と判定する(ステップ466)。
【0259】
現在の電流値が平坦電流値以下であれば(ステップ461)、現在の駆動電圧を求め(ステップ463)、先に求めた平坦駆動電圧から判定マージンとしての坂道電圧値を減算し、減算後の値を坂道判定電圧とする(ステップ474)。そして、現在の駆動電圧が坂道判定電圧以下の大きさであれば(ステップ475)、平坦電圧値から判定マージンとしての急坂電圧値(坂道値よりも大きい)を減算し、減算後の値を急坂判定電圧とする(ステップ476)。
【0260】
そして、現在の駆動電圧が急坂判定電圧以下の大きさで(ステップ477)、ドア2の移動方向が開方向であれば(ステップ478)、急上り坂と判定し(ステップ480)、閉方向であれば急下り坂と判定する(ステップ481)。また、現在の駆動電圧が急坂判定電圧より大きく(ステップ477)、ドア2の移動方向が開方向であれば(ステップ479)、上り坂と判定し(ステップ482)、閉方向であれば下り坂と判定する(ステップ483)。
【0261】
これは、車体1の停止位置が上り坂でドア2の移動方向が開方向、または車体1の停止位置が下り坂でドア2の移動方向が閉方向であれば、ドア2が自重で目的の方向に移動するので、そのままだと急開または急閉となり危険であるので、DUTY制御によって駆動電圧を下げ、速度制御を行っているため、現在の駆動電圧を平坦駆動電圧と比較することによって坂道判定を行うことができる。現在の駆動電圧が坂道判定電圧以上の大きさであれば(ステップ475)、平坦地と判定する(ステップ466)。
【0262】
駆動電圧の算出(ステップ463)は次のように行う。PWM制御によりDUTYが100%で無い場合、そのときの駆動電圧は、
DUTY値÷250(100%)=駆動割り合い
バッテリー電圧×駆動割合=駆動電圧
となる。DUTY=100%の場合は、
バッテリー電圧=駆動電圧
となる。本実施の形態では、100%のDUTY値を250としている。
【0263】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、坂道の傾斜度合い、すなわち車体の傾斜度合いを特別な傾斜測定センサを使用しないで容易に検出することができる。
【0264】
また、請求項2記載の発明によれば、常にドアを開くときの最初のモータ負荷部分で傾斜度が測れるので、そのドアを閉じるまで、開く途中のドアから開かれたドアに至るまで、傾斜度に応じた適性な安全対策を施すことができる。
【0265】
また、請求項3記載の発明によれば、常にドアを開く毎に、所要の平坦の条件を満たすものであれば、モータ負荷の電気値を更新記憶するので、機構部分やその他の経時変化を生じるパラメータに対する修正効果が得られ、長期間の安全性が保たれる。
【0266】
また、請求項4記載の発明によれば、上り坂と下り坂をモータ負荷の電気値たる電圧値と電流値に分けて検出するので、傾斜の方向を確実に判定することができる。
【0267】
また、請求項5記載の発明によれば、PWM制御が行われているモータに対しても、PWM制御の状態に関わりなく、常にモータ負荷に応じた電気値が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される自動車の一例を示す外観斜視図である。
【図2】スライドドアを取り外した状態を示す車体の拡大斜視図である。
【図3】スライドドアを示す斜視図である。
【図4】車内側から見たスライドドアの取り付け部分を示す斜視図である。
【図5】スライドドア駆動装置の要部を示す斜視図である。
【図6】スライドドアの移動状況を示す概略的平面図である。
【図7】スライドドア自動制御装置と周辺の電気的要素との接続関係を示すブロック図である。
【図8】スライドドア自動制御装置の要部を示すブロック図である。
【図9】本発明によるスライドドア自動制御装置の動作を説明するフローチャートである。
【図10】図9のモード判定ルーチンの概要図である。
【図11】パルス割り込みルーチンによって実行されるドアの移動速度の計数に係るタイムチャートである。
【図12】位置計数パルスが各エリアにおいて分解能に応じてサンプリングされるサンプリング点のタイムチャートである。
【図13】ドアの開閉位置と位置計数値との関係およびドアの開度に応じたエリアを示すロアートラックの平面図である。
【図14】パルス割り込みルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図15】パルスカウントタイマールーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図16】エリア毎に要求される制御データ等を示すメモリテーブルである。
【図17】オートスライドモード判定ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図18】手動判定ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図19】オート開作動ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図20】オート閉作動ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図21】マニュアル閉作動ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図22】逆転開作動ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図23】逆転閉作動ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図24】目標位置算出ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図25】ドア全開制御ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図26】スタートモードルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図27】手動通常スタートモードルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図28】手動全閉スタートモードルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図29】速度制御ルーチンの概要図である。
【図30】速度制御に係る機能を示すブロック図である。
【図31】モータに流れる電流を一定としたときの電圧変動とデューティサイクルの関係を示すグラフである。
【図32】PWM制御ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図33】フィードバック調整ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図34】挟み込み判定ルーチンの概要図である。
【図35】挟み込み判定ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図36】挟み込み判定に係る機能を示すブロック図である。
【図37】注目するサンプリング領域の電流値を示すグラフである。
【図38】記憶用学習データ演算部のブロック図である。
【図39】予測比較値演算部のブロック図である。
【図40】学習判定ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図41】エラー判定ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図42】学習重み付けルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図43】継続・変化量ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図44】総合判定ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図45】坂道判定ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図46】平坦値データ入力ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図47】坂道検査ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 車体
2 スライドドア
3 ドア開口部
4 アッパートラック
5 ロアートラック
6 摺動連結具
7 ガイドトラック
8 ドアロック
9 ストライカ
10 ドア駆動装置
11 モータ駆動部
12 ドア駆動ケーブル部材
12a 閉扉用ケーブル
12b 開扉用ケーブル
13 ベースプレート
14 開閉モータ
15 ドライブプーリ
16 電磁クラッチ
17 減速部
18 ロータリーエンコーダ
19 案内プーリ
20 反転プーリ
21 移動部材
22 ヒンジアーム
23 スライドドア自動制御装置
24 バッテリー
25 イグニッションスイッチ
26 パーキングスイッチ
27 メインスイッチ
28 ドア開スイッチ
29 ドア閉スイッチ
30 ワイヤレスリモコン
31 キーレスシステム
32 ブザー
33 車体側コネクタ
34 ドア側コネクタ
35 アクチュエータ
36 ハーフラッチスイッチ
37 ドアハンドル
38 パルス信号発生部
39 出力ポート
40 発電機
41 安定化電源
42 速度検出部
43 位置検出部
44 モータ切り替えスイッチ
45 極性反転スイッチ回路
46 電力スイッチ素子
47 電圧検出部
48 A/D変換部
49 シャント抵抗
50 電流検出部
51 A/D変換部
52 クラッチ駆動回路
53 アクチュエータ駆動回路
54 制御モード選択部
55 主制御部
56 オートスライド制御部
57 速度制御部
58 挟み込み制御部
59 坂道判定部
60 ドア位置検出部
61a 制御領域弁別部
61b 制御速度選択部
62 調整量算出部
63 最大調整量制限部
64 ドア移動速度検出部
65 速すぎ検出部
66 遅すぎ検出部
67 フィードバック調整部
68 電源電圧検出部
69 デューティ演算部

Claims (5)

  1. 車体に設けたガイドトラックに沿って開閉可能に支持されたスライドドアを、モータ駆動により開閉移動させるようにした車両用スライドドアの自動開閉制御装置において、
    正逆転可能なモータを有するドア駆動部と、
    前記ドア駆動部のモータ負荷を、モータの駆動電流または駆動電圧、もしくはその両方の電気値で検出するモータ負荷検出手段と、
    平坦姿勢に車体があるときのドア開またはドア閉時のモータ負荷の電気値を記憶する記憶手段と、
    記憶手段において記憶された平坦姿勢のモータ負荷の電気値と、通常のドア開またはドア閉時に検出されたモータ負荷の電気値を比較し、このモータ負荷に係る両電気値の偏差から、ドア開閉時の車体の姿勢を判別する坂道判別手段と、
    を備えることを特徴とする車両用スライドドアの自動開閉制御装置。
  2. 前記記憶手段が、ドア開時のモータ負荷電流とモータ駆動電圧を、モータ負荷の電気値として記憶していることを特徴とする請求項1に記載の車両用スライドドアの自動開閉制御装置。
  3. 前記記憶手段が、ドア全閉からドアを開く動作の連続した動作中で、かつガイドトラックの直線部を移動中で、しかも移動速度の一定した時期のモータ負荷の電気値を暫時更新記憶していることを特徴とする請求項1に記載の車両用スライドドアの自動開閉制御装置。
  4. 前記坂道判別手段は、前記モータ負荷に係る両電気値の偏差が開作動時に駆動電圧がとても低いときは急な上り坂と、開作動時に駆動電圧が低いときは上り坂と、開作動時に駆動電圧が低くもなく電流値も大きくないときは平坦と、開作動時に電流値が大きいときは下り坂と、開作動時に電流値がとても大きいときは急な下り坂と、それぞれ判別することを特徴とする請求項1に記載の車両用スライドドアの自動開閉制御装置。
  5. モータ負荷に係る電気値が、デューティサイクルで負荷電力を制御しているモータの駆動電圧を、デューティサイクル100%相当の電圧に換算してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用スライドドアの自動開閉制御装置。
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