JP2004002725A - 新規なエステル化合物、高分子化合物、レジスト材料及びパターン形成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細加工技術に適したレジスト材料、特に化学増幅レジスト材料のベースポリマーとして有用な高分子化合物、更にはその原料モノマーとなるスルホン酸エステル化合物、並びにこれらのレジスト材料を用いたパターン形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている。
微細化が急速に進歩した背景には投影レンズの高NA化、レジスト材料の性能向上、短波長化が挙げられる。レジスト材料の高解像度化及び高感度化に関しては、光照射によって発生する酸を触媒とした化学増幅ポジ型レジスト材料は優れた性能を有するものであり、遠紫外線リソグラフィーにおいて特に主流なレジスト材料になった(特許文献1:特公平2−27660号公報、特許文献2:特開昭63−27829号公報等に記載)。
【0003】
また、i線(365nm)からKrF(248nm)への短波長化は大きな変革をもたらし、KrFエキシマレーザー用レジスト材料は0.30ミクロンプロセスに始まり、0.25ミクロンルールを経て、現在0.18ミクロンルールの量産化への適用へと展開している。更には、0.10ミクロンルール以下の検討も始まっており、微細化の勢いはますます加速されている。
【0004】
ArF(193nm)では、デザインルールの微細化を0.13μm以下にすることが期待されているが、ノボラック樹脂やポリビニルフェノール系等の従来用いられていた樹脂が193nm付近に非常に強い吸収を持つため、レジスト用のベース樹脂として用いることができない。そこで透明性と必要なドライエッチング耐性の確保のため、アクリル樹脂やシクロオレフィン系の脂環族系の樹脂が検討されている(特許文献3:特開平9−73173号公報、特許文献4:特開平10−10739号公報、特許文献5:特開平9−230595号公報、特許文献6:国際公開第97/33198号パンフレット参照)。
【0005】
F2(157nm)に関しては0.10μm以下の微細化が期待されているが、透明性の確保がますます困難になり、ArF用ベースポリマーであるアクリル樹脂では全く光を透過せず、シクロオレフィン系においてもカルボニル結合を有するものは強い吸収を持つことがわかった。また、KrF用ベースポリマーのポリビニルフェノールについては、160nm付近に吸収のウィンドウがあり、若干透過率が向上するものの、実用的なレベルには程遠いことが判明した。
【0006】
このように157nm付近ではカルボニル基や炭素−炭素間二重結合が吸収を持つため、これらのユニットを低減化することも透過率向上の一つの有効な方法と考えられる。しかし、最近の研究によりベースポリマー中へフッ素原子を導入するとF2領域での透明性が飛躍的に向上することがわかってきた。
【0007】
例えば、α−トリフルオロメチルアクリル酸tert−ブチルと5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンとの共重合体、及びα−トリフルオロメチルアクリル酸tert−ブチルと4−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)メチルスチレンとの共重合体を用いたレジスト材料は、157nmにおけるポリマーの吸光度が3程度まで向上することが報告された(非特許文献1:SPIE2001 講演番号4345−31「Polymer design for 157nm chemically amplified resists」参照)。しかしながら、F2露光により膜厚2000Å以上で矩形なパターンを得るためには2以下の吸光度が必要と考えられるため、上記の樹脂ではまだ透明性が不十分である。
【0008】
【特許文献1】
特公平2−27660号公報
【特許文献2】
特開昭63−27829号公報
【特許文献3】
特開平9−73173号公報
【特許文献4】
特開平10−10739号公報
【特許文献5】
特開平9−230595号公報
【特許文献6】
国際公開第97/33198号パンフレット
【非特許文献1】
SPIE2001 講演番号4345−31「Polymer design for 157nm chemically amplified resists」
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、300nm以下、特にF2(157nm)、Kr2(146nm)、KrAr(134nm)、Ar2(126nm)等の真空紫外光における透過率に優れたレジスト材料、特に化学増幅レジスト材料のベースポリマーとして有用な新規高分子化合物並びにこれを含むレジスト材料を用いたパターン形成方法を提供することを目的にする。
【0010】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、含フッ素スルホン酸エステルもしくは含フッ素スルホンをベースポリマー中に導入することにより、高透明性を損なうことなく、高コントラストで密着性にも優れたレジスト材料、特に化学増幅レジスト材料が得られることを知見し、本発明に至ったものである。
【0011】
即ち、本発明は下記の新規なエステル化合物、高分子化合物、レジスト材料及びパターン形成方法を提供する。
請求項1:
下記一般式(1)で表されるスルホン酸エステル化合物。
【化13】
(式中、R1〜R3は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基である。R4は単結合又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基又はフッ素化されたアルキレン基である。R5は炭素数1〜30の直鎖状、分岐状もしくは環状のフッ素化されたアルキル基である。)
請求項2:
下記一般式(1a)で表されることを特徴とする請求項1記載のスルホン酸エステル化合物。
【化14】
(式中、R1〜R3は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基である。R4は単結合又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基又はフッ素化されたアルキレン基である。R6〜R8は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基である。R7とR8は環を形成してもよく、その場合は酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキレン基を表す。R9〜R12は水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基であり、R9〜R12のうち少なくとも一つは1個以上のフッ素原子を含む。R9〜R12の二つが結合して環を形成してもよく、その場合は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基又はフッ素化されたアルキレン基を表す。aは0又は1である。)
請求項3:
下記一般式(1b)で表されることを特徴とする請求項2記載のスルホン酸エステル化合物。
【化15】
(式中、R1〜R3は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基である。R4は単結合又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基又はフッ素化されたアルキレン基である。R6〜R8は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基である。R7とR8は環を形成してもよく、その場合は酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキレン基を表す。aは0又は1である。bは2〜4の整数である。)
請求項4:
下記一般式(2)で表される繰り返し単位を含むことを特徴とする重量平均分子量1,000〜500,000の高分子化合物。
【化16】
(式中、R1〜R3は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基である。R4は単結合又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基又はフッ素化されたアルキレン基である。R5は炭素数1〜30の直鎖状、分岐状もしくは環状のフッ素化されたアルキル基である。Xは単結合又はOである。)
請求項5:
下記一般式(2a)で表される繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項4記載の高分子化合物。
【化17】
(式中、R1〜R3は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基である。R4は単結合又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基又はフッ素化されたアルキレン基である。R6〜R8は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基である。R7とR8は環を形成してもよく、その場合は酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキレン基を表す。R9〜R12は水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基であり、R9〜R12のうち少なくとも一つは1個以上のフッ素原子を含む。R9〜R12の二つが結合して環を形成してもよく、その場合は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基又はフッ素化されたアルキレン基を表す。aは0又は1である。Xは単結合又はOである。)
請求項6:
下記一般式(2b)で表される繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項5に記載の高分子化合物。
【化18】
(式中、R1〜R3は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基である。R4は単結合又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基又はフッ素化されたアルキレン基である。R6〜R8は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基である。R7とR8は環を形成してもよく、その場合は酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキレン基を表す。aは0又は1である。bは2〜4の整数である。Xは単結合又はOである。)
請求項7:
下記一般式(4a)又は(4b)で表される繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の高分子化合物。
【化19】
(式中、R18はメチレン基、酸素原子、硫黄原子、又はSO2である。R19〜R22は、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基、又は−R23−SO2R24であり、R19〜R22のうち少なくとも一つは、−R23−SO2R24を含む。R23は単結合、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基又はフッ素化されたアルキレン基である。R24は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のフッ素化アルキル基である。cは0又は1、dは0〜2の整数である。)
請求項8:
重量平均分子量が2,000〜100,000であることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載の高分子化合物。
請求項9:
下記一般式(5)で表される繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項4乃至8のいずれか1項に記載の高分子化合物。
【化20】
(式中、R25はメチレン基、酸素原子、硫黄原子、又はSO2である。R26〜R29は、水素原子、フッ素原子、−R30−OR31、−R30−CO2R31、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基であり、R26〜R29のうち少なくとも一つは、−R30−OR31又は−R30−CO2R31を含む。R30は単結合、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基又はフッ素化されたアルキレン基である。R31は水素原子、酸不安定基、密着性基、又は水酸基等の親水性基を含んでもよい炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のフッ素化されたアルキル基である。eは0又は1である。)
請求項10:
上記一般式(5)で表される繰り返し単位が下式(5a)又は(5b)で表される構造であることを特徴とする請求項9記載の高分子化合物。
【化21】
(式中、R31は上記と同様である。R32〜R35はそれぞれ水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基であり、R32及びR33の少なくともどちらか一方、R34及びR35の少なくともどちらか一方は1個以上のフッ素原子を含む。)
請求項11:
更に、下記一般式(6)で表される繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項4乃至8のいずれか1項に記載の高分子化合物。
【化22】
(式中、R36は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基である。R37は単結合、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基又はフッ素化されたアルキレン基である。R38は水素原子又は酸不安定基である。R39はフッ素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のフッ素化されたアルキル基である。fは1又は2、gは0〜4の整数であり、1≦f+g≦5である。)
請求項12:
上記一般式(6)で表される繰り返し単位が下式(6a)又は(6b)で表されることを特徴とする請求項11記載の高分子化合物。
【化23】
(式中、R38は上記と同様である。R40〜R45はそれぞれ水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基であり、R40及びR41の少なくともどちらか一方、R42及びR43の少なくともどちらか一方、R44及びR45の少なくともどちらか一方は1個以上のフッ素原子を含む。)
請求項13:
更に、下記一般式(7)で表される繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項4乃至12のいずれか1項に記載の高分子化合物。
【化24】
(式中、R46〜R48は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基である。R49は水素原子、酸不安定基、密着性基、又は水酸基等の親水性基を含んでもよい炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のフッ素化されたアルキル基である。)
請求項14:
上記一般式(7)におけるR48がトリフルオロメチル基であることを特徴とする請求項13記載の高分子化合物。
請求項15:
請求項4乃至14のいずれか1項に記載の高分子化合物を含むことを特徴とするレジスト材料。
請求項16:
(A)請求項4乃至14のいずれか1項に記載の高分子化合物、
(B)有機溶剤、
(C)酸発生剤
を含有することを特徴とする化学増幅ポジ型レジスト材料。
請求項17:
更に、塩基性化合物を含有する請求項16記載のレジスト材料。
請求項18:
更に、溶解阻止剤を含有する請求項16又は17記載のレジスト材料。
請求項19:
(1)請求項16乃至18のいずれか1項に記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、
(2)次いで、加熱処理後、フォトマスクを介して波長100〜180nm帯又は1〜30nm帯の高エネルギー線で露光する工程と、
(3)必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
請求項20:
前記高エネルギー線がF2レーザー、Ar2レーザー、又は軟X線であることを特徴とする請求項19記載のパターン形成方法。
【0012】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明者らの検討によれば、157nm付近の透過率を向上させる方法としては、カルボニル基や炭素−炭素間二重結合の数の低減化も一つの方法と考えられるが、ベースポリマー中へのフッ素原子の導入も透過率向上に大きく寄与することがわかってきた。実際、ポリビニルフェノールの芳香環にフッ素を導入したポリマーは透過率の向上が確認できた(特開2001−146505号公報)。しかしながら、このベースポリマーはF2レーザーのような高エネルギー光の照射によりネガ化が進行することが顕著になり、レジストとしての実用化は難しいことが判明した。
【0013】
これに対し、アクリル系樹脂やノルボルネン誘導体由来の脂肪族環状化合物を主鎖に含有する高分子化合物にフッ素を導入したポリマーは、透明度も高く、ネガ化も起こらないことが判明した。しかし、樹脂の透明性を高めるためにフッ素の導入率を上げると、樹脂の基板密着性や現像液の浸透性が悪くなる傾向にある。本発明では157nm付近の透過率が比較的高く、基板密着性や現像液浸透性に優れる含フッ素スルホン酸エステル類もしくは含フッ素スルホンをベースポリマー中に導入することにより、透明性を損なうことなく上記の欠陥を改善することができた。
【0014】
特に本発明では、下記一般式(2)、(2a)、(2b)、(2’)、(4a)又は(4b)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物を用いることにより、157nmにおける高透明性を確保しつつ基板密着性や現像液浸透性に優れるレジスト材料が得られることを見出した。
【0015】
【化25】
(式中、R1〜R3は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基である。R4は単結合又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基又はフッ素化されたアルキレン基である。R5は炭素数1〜30の直鎖状、分岐状もしくは環状のフッ素化されたアルキル基である。R6〜R8は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基である。R7とR8は環を形成してもよく、その場合は酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキレン基を表す。R9〜R12は水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基であり、R9〜R12のうち少なくとも一つは1個以上のフッ素原子を含む。R9〜R12の二つが結合して環を形成してもよく、その場合は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基又はフッ素化されたアルキレン基を表す。R18はメチレン基、酸素原子、硫黄原子、又はSO2である。R19〜R22は、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基、又は−R23−SO2R24であり、R19〜R22のうち少なくとも一つは、−R23−SO2R24を含む。R23は単結合、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基又はフッ素化されたアルキレン基である。R24は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のフッ素化アルキル基である。aは0又は1である。bは2〜4の整数である。cは0又は1、dは0〜2の整数である。Xは単結合又はOである。)
【0016】
なお、上記式(2)、(2a)、(2b)において、X=Oのものは、それぞれ下記一般式(1)、(1a)、(1b)のスルホン酸エステル化合物の重合によって得ることができる。
【0017】
【化26】
(式中、R1〜R12、a、bは上記の通りである。)
【0018】
この場合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、2−エチルへキシル基、n−オクチル基、2−アダマンチル基、(2−アダマンチル)メチル基等が例示でき、特に炭素数1〜12、とりわけ炭素数1〜10のものが好ましい。また、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、2−エチルへキシル基、n−オクチル基、2−アダマンチル基、(2−アダマンチル)メチル基等が例示でき、特に炭素数1〜12、とりわけ炭素数1〜10のものが好ましい。
【0019】
フッ素化されたアルキル基は、上記アルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたものであり、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基、1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピル基等が挙げられる他、下記式で表されるような基も用いられる。
【0020】
【化27】
(式中、R50は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基である。hは0〜5の整数である。)
【0021】
炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基としては、上記アルキル基中の1個の水素を脱離した形式のものが用いられ、フッ素化されたアルキレン基はそれらの一部又は全部がフッ素原子で置換されたものが用いられる。
【0022】
次に、R31、R38及びR49で表される酸不安定基について説明する。酸不安定基としては種々選定されるが、特に下記一般式(8)〜(10)で示される基等であることが好ましい。
【0023】
【化28】
【0024】
式(8)において、R51は炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、又は炭素数4〜20のオキソアルキル基を示し、三級アルキル基として具体的には、tert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基等が挙げられ、オキソアルキル基として具体的には、3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−5−オキソオキソラン−4−イル基等が挙げられる。iは0〜6の整数である。
【0025】
上記式(8)の酸不安定基としては、具体的にはtert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が例示できる。
【0026】
式(9)において、R52及びR53は水素原子又は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基等を例示できる。R54は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい1価の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができ、具体的には下記の置換アルキル基等が例示できる。
【0027】
【化29】
【0028】
R52とR53、R52とR54、R53とR54とは互いに結合して環を形成してもよく、環を形成する場合にはR52、R53及びR54はそれぞれ炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。
【0029】
上記式(9)で示される酸不安定基のうち直鎖状又は分岐状のものとしては、具体的には下記の基が例示できる。
【0030】
【化30】
【0031】
上記式(9)で示される酸不安定基のうち環状のものとしては、具体的にはテトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が例示できる。式(9)としては、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、エトキシプロピル基が好ましい。
【0032】
式(10)においてR55、R56及びR57は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよく、R55とR56、R55とR57、R56とR57とは互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。
【0033】
式(10)に示される三級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボルニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、2−(2−メチル)アダマンチル基、2−(2−エチル)アダマンチル基、tert−アミル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−イソプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−シクロヘキシル−イソプロピル基等を挙げることができる他、下記に示す基を具体的に挙げることができる。
【0034】
【化31】
【0035】
ここで、R58は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を例示できる。R59は炭素数2〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的にはエチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を例示できる。R60及びR61は水素原子、炭素数1〜6のヘテロ原子を含んでもよい1価炭化水素基、又は炭素数1〜6のヘテロ原子を介してもよい1価炭化水素基を示し、これらは直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。この場合ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子を挙げることができ、−OH、−OR62、−O−、−S−、−S(=O)−、−NH2、−NHR62、−N(R62)2、−NH−、−NR62−として含有又は介在することができる。R62は炭素数1〜5のアルキル基を示す。R60及びR61としては、具体的には、メチル基、ヒドロキシメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、プロピル基イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、メトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等を例示できる。
【0036】
次に、R31及びR49で表される密着性基について説明する。密着性基としては種々選定されるが、特に下記一般式で示される基等であることが好ましい。
【0037】
【化32】
(式中、R63はメチレン基、酸素原子、硫黄原子である。)
【0038】
本発明の高分子化合物においては、レジストの溶解コントラスト、基板密着性、ドライエッチング耐性などの性能を向上させる目的で、上記一般式(2)、(2a)、(2b)、(2’)、(4a)及び(4b)で表されるポリマーユニットに加えて、下記一般式(5)、(5a)、(5b)、(6)、(6a)、(6b)及び(7)で表される少なくとも1種類以上の繰り返し単位を含むことができる。
【0039】
【化33】
(式中、R25はメチレン基、酸素原子、硫黄原子、又はSO2である。R26〜R29は、水素原子、フッ素原子、−R30−OR31、−R30−CO2R31、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基であり、R26〜R29のうち少なくとも一つは、−R30−OR31又は−R30−CO2R31を含む。R30は単結合、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基又はフッ素化されたアルキレン基である。R31は水素原子、酸不安定基、密着性基、又は水酸基等の親水性基を含んでもよい炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のフッ素化されたアルキル基である。R32〜R35はそれぞれ水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基であり、R32及びR33の少なくともどちらか一方、R34及びR35の少なくともどちらか一方は1個以上のフッ素原子を含む。R36は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基である。R37は単結合、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基又はフッ素化されたアルキレン基である。R38は水素原子又は酸不安定基である。R39はフッ素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のフッ素化されたアルキル基である。R40〜R45はそれぞれ水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基であり、R40及びR41の少なくともどちらか一方、R42及びR43の少なくともどちらか一方、R44及びR45の少なくともどちらか一方は1個以上のフッ素原子を含む。R46〜R48は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基である。R49は水素原子、酸不安定基、密着性基、又は水酸基等の親水性基を含んでもよい炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のフッ素化されたアルキル基である。eは0又は1である。fは1又は2、gは0〜4の整数であり、1≦f+g≦5である。)
【0040】
一般式(2)、(2a)、(2b)、(2’)、(4a)及び(4b)で表される基の具体例としては下記のようなものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0041】
【化34】
(式中、h及びR24は上記と同様、jは1〜6の整数である。)
【0042】
一般式(5)、(5a)及び(5b)で表されるユニットの具体例としては下記のようなものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0043】
【化35】
(式中、R31は上記と同様である。)
【0044】
一般式(6)、(6a)及び(6b)で表されるユニットの具体例としては下記のようなものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0045】
【化36】
(式中、R38は上記と同様である。)
【0046】
本発明で用いられる高分子化合物は、樹脂の基板密着性や透明性を向上させる点から下記のような単位を導入することができる。
【0047】
【化37】
(式中、R64〜R68は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜4のフッ素化されたアルキル基であり、R65〜R68のうち少なくとも一つは1個以上のフッ素原子を含む。R69及びR70は水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。)
【0048】
本発明の高分子化合物において、一般式(2)、(2a)及び(2b)で表されるユニットをU2、一般式(2’)で表されるユニットをU3、一般式(4a)及び(4b)で表されるユニットをU4、一般式(5)、(5a)及び(5b)で表されるユニットをU5、一般式(6)、(6a)及び(6b)で表されるユニットをU6、一般式(7)で表されるユニットをU7、上記以外の密着性及び透明性ユニットの単位をU8とする場合、U2(もしくはU3又はU4)+U5+U6+U7+U8=1であり、
0<U2≦0.6、より好ましくは、0.1≦U2≦0.4
0<U3≦0.6、より好ましくは、0.1≦U3≦0.4
0<U4≦0.6、より好ましくは、0.1≦U4≦0.4
0≦U5≦0.6、より好ましくは、0≦U5≦0.4
0≦U6≦0.6、より好ましくは、0≦U6≦0.4
0≦U7≦0.7、より好ましくは、0≦U7≦0.5
0≦U8≦0.4、より好ましくは、0≦U8≦0.2
であることが好ましい。
【0049】
本発明の高分子化合物を合成する場合、上記式(2)、(2a)、(2b)、(2’)、(4a)、(4b)、(5)、(5a)、(5b)、(6)、(6a)、(6b)又は(7)に対応する式(1)、(1a)又は(1b)等のモノマー及び必要により密着性向上モノマー、透明性向上モノマー等を溶媒に溶解させ、触媒を添加して、場合によっては加熱又は冷却しながら重合反応を行う。重合反応は開始剤(又は触媒)の種類、開始の方法(光、熱、放射線、プラズマ等)、重合条件(温度、圧力、濃度、溶媒、添加物)等によっても支配される。本発明の高分子化合物の重合においては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNと略記)等のラジカル重合開始剤によって重合が開始されるラジカル共重合、アルキルリチウム等の触媒を用いたイオン重合(アニオン重合)等が一般的である。これらの重合はその常法に従って行うことができる。
【0050】
ラジカル重合開始剤としては特に限定されるものではないが、例としてAIBN、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等のアゾ系化合物、tert−ブチルパーオキシピバレート、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシラウレート等の過酸化物系化合物、また水溶性開始剤としては過硫酸カリウムのような過硫酸塩、更には過硫酸カリウムや過酸化水素等の過酸化物と亜硫酸ナトリウムのような還元剤の組み合わせからなるレドックス系開始剤が例示される。重合開始剤の使用量は、種類、重合反応条件等に応じて適宜変更可能であるが、通常は重合させるべき単量体全量に対して0.001〜5重量%、特に0.01〜2重量%が採用される。
【0051】
また、重合反応においては重合溶媒を用いてもよい。重合溶媒としては重合反応を阻害しないものが好ましく、代表的なものとしては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の脂肪族又は芳香族炭化水素類、イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤が使用できる。これらの溶剤は単独でもあるいは2種類以上を混合しても使用できる。またドデシルメルカプタンのような公知の分子量調整剤を併用してもよい。
【0052】
重合反応の反応温度は重合開始剤の種類あるいは溶媒の沸点により適宜変更され、通常は20〜200℃が好ましく、特に50〜140℃が好ましい。かかる重合反応に用いる反応容器は特に限定されない。
【0053】
このようにして得られる本発明にかかる重合体の溶液又は分散液から、媒質である有機溶媒又は水を除去する方法としては、公知の方法のいずれも利用できるが、例を挙げれば再沈澱濾過又は減圧下での加熱留出等の方法がある。
【0054】
上記高分子化合物の重量平均分子量は1,000〜500,000、特に2,000〜100,000とすることが望ましい。
【0055】
なお、本発明の高分子化合物は、レジスト材料、特に化学増幅型、とりわけ化学増幅ポジ型レジスト材料のベース樹脂として使用することができるが、膜の力学物性、熱的物性、アルカリ可溶性、その他の物性を変える目的で他の高分子化合物を混合することもできる。その際、混合する高分子化合物の範囲は特に限定されないが、レジスト用の公知の高分子化合物等と任意の範囲で混合することができる。
【0056】
本発明において下記一般式(1)、(1a)及び(1b)のスルホン酸エステル化合物の製造は、例えば下記工程にて行うことができるが、これに限定されるものではない。
【0057】
【化38】
(式中、R1〜R12、a、bは上記と同様である。)
【0058】
反応は公知の条件にて容易に進行するが、好ましくはジクロロメタン等の溶媒中、原料のアルコール及びピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、氷浴下でスルホン酸塩化物を滴下する。生成する塩を分離し、蒸留又はシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的の化合物を単離する。
【0059】
本発明のレジスト材料は、本発明の高分子化合物をベース樹脂とする以外は公知の成分を用いて調製し得るが、特に化学増幅ポジ型レジスト材料は、
(A)上記高分子化合物(ベース樹脂)、
(B)有機溶剤、
(C)酸発生剤
を含有する。この場合、これら成分に、更に
(D)塩基性化合物、
(E)溶解阻止剤
を配合してもよい。
【0060】
本発明で使用される(B)成分の有機溶剤としては、ベース樹脂、酸発生剤、その他の添加剤等が溶解可能な有機溶剤であればいずれでもよい。このような有機溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチルラクトン等のラクトン類が挙げられる。
【0061】
また、フッ素化された有機溶剤も用いることができる。具体的に例示すると、2−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、4−フルオロアニソール、2,3−ジフルオロアニソール、2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、5,8−ジフルオロ−1,4−ベンゾジオキサン、2,3−ジフルオロベンジルアルコール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、2’,4’−ジフルオロプロピオフェノン、2,4−ジフルオロトルエン、トリフルオロアセトアルデヒドエチルへミアセタール、トリフルオロアセトアミド、トリフルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロブチレート、エチルヘプタフルオロエタノール、エチルヘプタフルオロブチルアセテート、エチルヘキサフルオログルタリルメチル、エチル−3−ヒドロキシ−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、エチルペンタフルオロプロピニルアセテート、エチルパーフルオロオクタノエート、エチル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、エチル−4,4,4−トリフルオロブチレート、エチル−4,4,4−トリフルオロクロトネート、エチルトリフルオロピルベート、sec−エチルトリフルオロアセテート、フルオロシクロヘキサン、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノール、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−7,7−ジメチル−4,6−オクタンジオン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタフルオロペンタン−2,4−ジオン、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2−ペンタノール、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2−ペンタノン、イソプロピル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、メチルパーフルオロデナノエート、メチルパーフルオロ(2−メチル−3−オキサヘキサノエート)、メチルパーフルオロノナノエート、メチルパーフルオロオクタノエート、メチル−2,3,3,3−テトラフルオロプロピオネート、メチルトリフルオロアセトアセテート、1,1,1,2,2,6,6,6−オクタフルオロ−2,4−ヘキサンジオン、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール、1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1−デカノール、パーフルオロ(2,5−ジメチル−3,6−ジオキサンアニオニック)酸メチルエステル、2H−パーフルオロ−5−メチル−3,6−ジオキサノナン、1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロノナン−1,2−ジオール、1H,1H,9H−パーフルオロ−1−ノナノール、1H,1H−パーフルオロオクタノール、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクタノール、2H−パーフルオロ−5,8,11,14−テトラメチル−3,6,9,12,15−ペンタオキサオクタデカン、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロトリヘキシルアミン、パーフルオロ−2,5,8−トリメチル−3,6,9,12,15−ペンタオキサオクタデカン、パーフルオロ−2,5,8−トリメチル−3,6,9−トリオキサドデカン酸メチルエステル、パーフルオロトリペンチルアミン、パーフルオロトリイソプロピルアミン、1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロウンデカン−1,2−ジオール、トリフルオロブタノール、1,1,1−トリフルオロ−5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール、3,3,3−トリフルオロ−1−プロパノール、1,1,1−トリフルオロ−2−プロピルアセテート、パーフルオロブチルテトラヒドロフラン、パーフルオロデカリン、パーフルオロ(1,2−ジメチルシクロヘキサン)、パーフルオロ(1,3−ジメチルシクロヘキサン)、プロピレングリコールトリフルオロメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルトリフルオロメチルアセテート、トリフルオロメチル酢酸ブチル、3−トリフルオロメトキシプロピオン酸メチル、パーフルオロシクロヘキサン、プロピレングリコールトリフルオロメチルエーテル、トリフルオロ酢酸ブチル、1,1,1−トリフルオロ−5,5−ジメチル−2,4−ヘキサンジオン等が例示できる。
【0062】
これらの溶剤は1種を単独で又は2種以上を混合して使用することもできるが、これらに限定されるものではない。本発明では、これらの有機溶剤の中でもレジスト成分中の酸発生剤の溶解性が最も優れているジエチレングリコールジメチルエーテルや1−エトキシ−2−プロパノールの他、安全溶剤であるプロピレングリコールモノメチルアセテート及びその混合溶剤が好ましく使用される。
【0063】
上記溶剤の使用量は、ベース樹脂100部(重量部、以下同じ)に対し300〜10,000部、特に500〜5,000部が好ましい。
【0064】
(C)成分の酸発生剤としては、
i.下記一般式(P1a−1)、(P1a−2)又は(P1b)のオニウム塩、
ii.下記一般式(P2)のジアゾメタン誘導体、
iii.下記一般式(P3)のグリオキシム誘導体、
iv.下記一般式(P4)のビススルホン誘導体、
v.下記一般式(P5)のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル、
vi.β−ケトスルホン酸誘導体、
vii.ジスルホン誘導体、
viii.ニトロベンジルスルホネート誘導体、
ix.スルホン酸エステル誘導体
等が挙げられる。
【0065】
【化39】
(式中、R101a、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基等によって置換されていてもよい。また、R101bとR101cとは環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。K−は非求核性対向イオンを表す。)
【0066】
上記R101a、R101b、R101cは互いに同一であっても異なっていてもよく、具体的にはアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロぺニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。オキソアルキル基としては、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基等が挙げられ、2−オキソプロピル基、2−シクロペンチル−2−オキソエチル基、2−シクロヘキシル−2−オキソエチル基、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−オキソエチル基等を挙げることができる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等や、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基等のアルキルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基、ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基等のジアルキルナフチル基、ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基等が挙げられる。アリールオキソアルキル基としては、2−フェニル−2−オキソエチル基、2−(1−ナフチル)−2−オキソエチル基、2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル基等の2−アリール−2−オキソエチル基等が挙げられる。K−の非求核性対向イオンとしては塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネートが挙げられる。
【0067】
【化40】
(式中、R102a、R102bはそれぞれ炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R103は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。R104a、R104bはそれぞれ炭素数3〜7の2−オキソアルキル基を示す。K−は非求核性対向イオンを表す。)
【0068】
上記R102a、R102bとして具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。R103としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、1,4−シクロへキシレン基、1,2−シクロへキシレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロオクチレン基、1,4−シクロヘキサンジメチレン基等が挙げられる。R104a、R104bとしては、2−オキソプロピル基、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基、2−オキソシクロヘプチル基等が挙げられる。K−は式(P1a−1)及び(P1a−2)で説明したものと同様のものを挙げることができる。
【0069】
【化41】
(式中、R105、R106は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン化アリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を示す。)
【0070】
R105、R106のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、アミル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としてはトリフルオロメチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、1,1,1−トリクロロエチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。アリール基としてはフェニル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基が挙げられる。ハロゲン化アリール基としてはフルオロフェニル基、クロロフェニル基、1,2,3,4,5−ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0071】
【化42】
(式中、R107、R108、R109は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン化アリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を示す。R108、R109は互いに結合して環状構造を形成してもよく、環状構造を形成する場合、R108、R109はそれぞれ炭素数1〜6の直鎖状、分岐状のアルキレン基を示す。)
【0072】
R107、R108、R109のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、アラルキル基としては、R105、R106で説明したものと同様の基が挙げられる。なお、R108、R109のアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
【0073】
【化43】
(式中、R101a、R101bは上記と同様である。)
【0074】
【化44】
(式中、R110は炭素数6〜10のアリーレン基、炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数2〜6のアルケニレン基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部は更に炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルコキシ基、ニトロ基、アセチル基、又はフェニル基で置換されていてもよい。R111は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は置換のアルキル基、アルケニル基又はアルコキシアルキル基、フェニル基、又はナフチル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部は更に炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基;炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基又はアセチル基で置換されていてもよいフェニル基;炭素数3〜5のヘテロ芳香族基;又は塩素原子、フッ素原子で置換されていてもよい。)
【0075】
ここで、R110のアリーレン基としては、1,2−フェニレン基、1,8−ナフチレン基等が、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、フェニルエチレン基、ノルボルナン−2,3−ジイル基等が、アルケニレン基としては、1,2−ビニレン基、1−フェニル−1,2−ビニレン基、5−ノルボルネン−2,3−ジイル基等が挙げられる。R111のアルキル基としては、R101a〜R101cと同様のものが、アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプレニル基、1−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、ジメチルアリル基、1−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、6−ヘプテニル基、7−オクテニル基等が、アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、ペンチロキシメチル基、ヘキシロキシメチル基、ヘプチロキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、ペンチロキシエチル基、ヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、ブトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシブチル基、プロポキシブチル基、メトキシペンチル基、エトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、メトキシヘプチル基等が挙げられる。
【0076】
なお、更に置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等が、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基又はアセチル基で置換されていてもよいフェニル基としては、フェニル基、トリル基、p−tert−ブトキシフェニル基、p−アセチルフェニル基、p−ニトロフェニル基等が、炭素数3〜5のヘテロ芳香族基としては、ピリジル基、フリル基等が挙げられる。
【0077】
具体的には、例えばトリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨ−ドニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨ−ドニウム、p−トルエンスルホン酸ジフェニルヨ−ドニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨ−ドニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、エチレンビス[メチル(2−オキソシクロペンチル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナ−ト]、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等のオニウム塩、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシレンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソアミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−tert−アミルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(シクロヘキサンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(カンファ−スルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体、ビスナフチルスルホニルメタン、ビストリフルオロメチルスルホニルメタン、ビスメチルスルホニルメタン、ビスエチルスルホニルメタン、ビスプロピルスルホニルメタン、ビスイソプロピルスルホニルメタン、ビス−p−トルエンスルホニルメタン、ビスベンゼンスルホニルメタン等のビススルホン誘導体、2−シクロヘキシルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2−イソプロピルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン等のβ−ケトスルホン誘導体、p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,4−ジニトロベンジル等のニトロベンジルスルホネート誘導体、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン等のスルホン酸エステル誘導体、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−オクタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−メトキシベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−クロロエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド−2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドp−トルエンスルホン酸エステル等のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体等が挙げられるが、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等のオニウム塩、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体、ビスナフチルスルホニルメタン等のビススルホン誘導体、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル等のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体が好ましく用いられる。
【0078】
なお、上記酸発生剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。オニウム塩は矩形性向上効果に優れ、ジアゾメタン誘導体及びグリオキシム誘導体は定在波低減効果に優れるため、両者を組み合わせることによりプロファイルの微調整を行うことが可能である。
【0079】
酸発生剤の添加量は、ベース樹脂100部に対して好ましくは0.1〜50部、より好ましくは0.5〜40部である。0.1部より少ないと露光時の酸発生量が少なく、感度及び解像力が劣る場合があり、50部を超えるとレジストの透過率が低下し、解像力が劣る場合がある。
【0080】
(D)成分の塩基性化合物としては、酸発生剤より発生する酸がレジスト膜中に拡散する際の拡散速度を抑制することができる化合物が適している。塩基性化合物の配合により、レジスト膜中での酸の拡散速度が抑制されて解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制したり、基板や環境依存性を少なくし、露光余裕度やパターンプロファイル等を向上することができる。
【0081】
このような塩基性化合物としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体等が挙げられる。
【0082】
具体的には、第一級の脂肪族アミン類として、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示され、第二級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N−ジメチルメチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示され、第三級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0083】
また、混成アミン類としては、例えばジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。芳香族アミン類及び複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えばアニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロ−ル誘導体(例えばピロ−ル、2H−ピロ−ル、1−メチルピロ−ル、2,4−ジメチルピロ−ル、2,5−ジメチルピロ−ル、N−メチルピロ−ル等)、オキサゾール誘導体(例えばオキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えばチアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えばイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えばピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えばピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えばピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、1−メチル−2−ピリジン、4−ピロリジノピリジン、1−メチル−4−フェニルピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えばキノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0084】
更に、カルボキシ基を有する含窒素化合物としては、例えばアミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えばニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン)等が例示され、スルホニル基を有する含窒素化合物として3−ピリジンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム等が例示され、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物としては、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。アミド誘導体としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド等が例示される。イミド誘導体としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。
【0085】
更に、下記一般式(B)−1で示される塩基性化合物から選ばれる1種又は2種以上を添加することもできる。
【化45】
(式中、nは1、2又は3である。側鎖Xは同一でも異なっていてもよく、下記一般式(X)−1〜(X)−3で表すことができる。側鎖Yは同一又は異種の、水素原子もしくは直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20のアルキル基を示し、エーテル基もしくはヒドロキシル基を含んでもよい。また、X同士が結合して環を形成してもよい。)
【0086】
【化46】
【0087】
ここで、R300、R302、R305は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R301、R304は水素原子もしくは炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環を1あるいは複数含んでいてもよい。R303は単結合もしくは炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R306は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環を1あるいは複数含んでいてもよい。
【0088】
上記一般式(B)−1で表される化合物としては、具体的には下記に例示される。
トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザビシクロオクタデカン、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6、トリス(2−フォルミルオキシエチル)アミン、トリス(2−ホルミルオキシエチル)アミン、トリス(2−アセトキシエチル)アミン、トリス(2−プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2−ブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−イソブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−バレリルオキシエチル)アミン、トリス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(アセトキシアセトキシ)エチルアミン、トリス(2−メトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス(2−tert−ブトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス[2−(2−オキソプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミン、トリス[2−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス[2−(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス(2−メトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2−エトキシカルボニルエチル)アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(4−ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−メトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−メトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミン、N−メチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−エチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−メチルビス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N−エチルビス[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、N−エチルビス[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、トリス(メトキシカルボニルメチル)アミン、トリス(エトキシカルボニルメチル)アミン、N−ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、N−ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、β−(ジエチルアミノ)−δ−バレロラクトンを例示できるが、これらに制限されない。
【0089】
更に、下記一般式(B)−2に示される環状構造を持つ塩基性化合物の1種あるいは2種以上を添加することもできる。
【化47】
(式中、Xは前述の通り、R307は炭素数2〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、カルボニル基、エーテル基、エステル基又はスルフィドを1個あるいは複数個含んでいてもよい。)
【0090】
上記式(B)−2として具体的には、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピロリジン、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]モルホリン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピロリジン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピペリジン、4−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]モルホリン、酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、酢酸2−ピペリジノエチル、酢酸2−モルホリノエチル、ギ酸2−(1−ピロリジニル)エチル、プロピオン酸2−ピペリジノエチル、アセトキシ酢酸2−モルホリノエチル、メトキシ酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、4−[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、1−[2−(t−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(2−メトキシエトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−ピペリジノプロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸メチル、3−(チオモルホリノ)プロピオン酸メチル、2−メチル−3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸エチル、3−ピペリジノプロピオン酸メトキシカルボニルメチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−ヒドロキシエチル、3−モルホリノプロピオン酸2−アセトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル、3−モルホリノプロピオン酸テトラヒドロフルフリル、3−ピペリジノプロピオン酸グリシジル、3−モルホリノプロピオン酸2−メトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、3−モルホリノプロピオン酸ブチル、3−ピペリジノプロピオン酸シクロヘキシル、α−(1−ピロリジニル)メチル−γ−ブチロラクトン、β−ピペリジノ−γ−ブチロラクトン、β−モルホリノ−δ−バレロラクトン、1−ピロリジニル酢酸メチル、ピペリジノ酢酸メチル、モルホリノ酢酸メチル、チオモルホリノ酢酸メチル、1−ピロリジニル酢酸エチル、モルホリノ酢酸2−メトキシエチルで挙げることができる。
【0091】
更に、下記一般式(B)−3〜(B)−6で表されるシアノ基を含む塩基性化合物を添加することができる。
【化48】
(式中、X、R307、nは前述の通り、R308、R309は同一又は異種の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。)
【0092】
シアノ基を含む塩基は、具体的には3−(ジエチルアミノ)プロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−エチル−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−テトラヒドロフルフリル−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、ジエチルアミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−シアノメチル−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−(シアノメチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(シアノメチル)アミノアセトニトリル、1−ピロリジンプロピオノニトリル、1−ピペリジンプロピオノニトリル、4−モルホリンプロピオノニトリル、1−ピロリジンアセトニトリル、1−ピペリジンアセトニトリル、4−モルホリンアセトニトリル、3−ジエチルアミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、3−ジエチルアミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピロリジンプロピオン酸シアノメチル、1−ピペリジンプロピオン酸シアノメチル、4−モルホリンプロピオン酸シアノメチル、1−ピロリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピペリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、4−モルホリンプロピオン酸(2−シアノエチル)が例示される。
【0093】
なお、本発明の塩基性化合物の配合量は全ベース樹脂100部に対して0.001〜2部、特に0.01〜1部が好適である。配合量が0.001部より少ないと配合効果がなく、2部を超えると感度が低下しすぎる場合がある。
【0094】
(E)成分の溶解阻止剤としては、重量平均分子量が100〜1,000で、かつ分子内にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物の該フェノール性水酸基の水素原子を酸不安定基により全体として平均10〜100モル%の割合で置換した化合物が好ましい。
【0095】
このような好適に用いられる溶解阻止剤の例としては、ビス(4−(2’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)メタン、ビス(4−(2’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)メタン、ビス(4−(1’−エトキシエトキシ)フェニル)メタン、ビス(4−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)メタン、2,2−ビス(4’−(2’’−テトラヒドロピラニルオキシ))プロパン、2,2−ビス(4’−(2’’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−tert−ブトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−(1’’−エトキシエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−(1’’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)プロパン、4,4−ビス(4’−(2’’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)吉草酸tertブチル、4、4−ビス(4’−(2’’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)吉草酸tertブチル、4,4−ビス(4’−tert−ブトキシフェニル)吉草酸tertブチル、4,4−ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)吉草酸tertブチル、4,4−ビス(4’−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)吉草酸tertブチル、4,4−ビス(4’−(1’’−エトキシエトキシ)フェニル)吉草酸tertブチル、4,4−ビス(4’−(1’’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)吉草酸tertブチル、トリス(4−(2’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)メタン、トリス(4−(2’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニルメタン、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシメチルフェニル)メタン、トリス(4−(1’−エトキシエトキシ)フェニル)メタン、トリス(4−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)メタン、1,1,2−トリス(4’−(2’’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−(2’’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−(1’−エトキシエトキシ)フェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)エタン等が挙げられる。
【0096】
なお、上記化合物の重量平均分子量は100〜1,000、好ましくは150〜800である。溶解阻止剤の配合量は、ベース樹脂100部に対して0〜50部、好ましくは5〜50部、より好ましくは10〜30部であり、単独又は2種以上を混合して使用できる。配合量が少ないと解像性の向上がない場合があり、多すぎるとパターンの膜減りが生じ、解像度が低下する傾向がある。
【0097】
本発明のレジスト材料には、上記成分以外に任意成分として塗布性を向上させるために慣用されている界面活性剤を添加することができる。なお、任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
【0098】
界面活性剤の例としては、特に限定されるものではないが、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレインエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノール等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノバルミテート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノバルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのノニオン系界面活性剤、エフトップEF301、EF303、EF352(トーケムプトダクツ)、メガファックF171、F172、F173(大日本インキ化学工業)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム)、アサヒガードAG710、サーフロンS−381、S−382、SC101、SC102,SC103、SC104、SC105、SC106、サーフィノールE1004、KH−10、KH−20、KH−30、KH−40(旭硝子)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP−341、X−70−092、X−70−093(信越化学工業)、アクリル酸系又はメタクリル酸系ポリフローNo.75,No.95(共栄社油脂化学工業)が挙げられ、中でもFC430、サーフロンS−381、サーフィノールE1004、KH−20、KH−30が好適である。これらは単独あるいは2種以上の組み合わせで用いることができる。
【0099】
本発明のレジスト材料を使用してパターンを形成するには、公知のリソグラフィー技術を採用して行うことができる。例えばシリコンウエハー等の基板上にスピンコーティング等の手法で膜厚が0.1〜1.0μmとなるように塗布し、これをホットプレート上で60〜200℃、10秒〜10分間、好ましくは80〜150℃、30秒〜5分間プリベークする。次いで、目的のパターンを形成するためのマスクを上記のレジスト膜上にかざし、遠紫外線、エキシマレーザー、X線等の高エネルギー線もしくは電子線を露光量1〜200mJ/cm2程度、好ましくは10〜100mJ/cm2程度となるように照射した後、ホットプレート上で60〜150℃、10秒〜5分間、好ましくは80〜130℃、30秒〜3分間ポストエクスポージャベーク(PEB)する。更に、0.1〜5%、好ましくは2〜3%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、10秒〜3分間、好ましくは30秒〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより基板上に目的のパターンが形成される。
【0100】
本発明材料は、特に高エネルギー線の中でも254〜120nmの遠紫外線又はエキシマレーザー、特に193nmのArF、157nmのF2、146nmのKr2、134nmのKrAr、126nmのAr2等のレーザー、X線及び電子線による微細パターンニングに最適である。とりわけ、波長100〜180nm帯又は1〜30nm帯の高エネルギー線(F2レーザー、Ar2レーザー、軟X線レーザー)で露光することがよい。なお、上記範囲の上限及び下限から外れる場合は、目的のパターンを得ることができない場合がある。
【0101】
【発明の効果】
本発明のレジスト材料は、高エネルギー線に感応し、200nm以下、特に170nm以下の波長における感度が優れている上に、スルホン酸エステル又はスルホンを含む化合物の共重合体をベース樹脂に用いることによりレジストの透明性、密着性、現像液浸透性が向上し、それと同時に優れたプラズマエッチング耐性を有することがわかった。従って本発明のレジスト材料は、これらの特性により、特にF2レーザーの露光波長での吸収が小さいレジスト材料となり得るもので、微細でしかも基板に対して垂直なパターンを容易に形成でき、このため超LSI製造用の微細パターン形成材料として好適である。
【0102】
【実施例】
以下、合成例及び実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0103】
[モノマー合成例1] 下記モノマー1の合成
1Lの四つ口フラスコ中で31.0gの下記原料アルコールと17.4gのピリジンを重合安定剤と共に100gのジクロロメタンに溶解した。フラスコを氷浴に浸し、10℃以下に内温を保ちながら、2−クロロエタンスルホニルクロライドをフラスコ中に滴下した。通常の反応後処理を行い、得られた油状物質をシリカゲルクロマトグラフィーで精製したところ、24.8gのモノマー1が得られた。収率は61%であった。
【0104】
【化49】
【0105】
〈モノマー1〉
1H−NMR(CDCl3、270MHz):δ1.24〜3.17(m、6H)、4.72(d、0.4H)、5.00(d、0.6H)、6.19(d、1H)、6.40〜6.60(m、2H)
FT−IR(NaCl):3116、3070、2979、2942、1614、1484、1475、1450、1371、1353、1334、1319、1295、1280、1265、1213、1174、1139、1110、1064、1035、1004、981、964、952、917、875、846、813、736、671cm−1
【0106】
[ポリマー合成例1] モノマー1と下記モノマー2との共重合(30:70)及び得られたポリマーの水酸基の保護化反応
300mLのフラスコ中にモノマー1を7.53g、下記モノマー2を12.47g仕込み、トルエン8.6gに溶解させ、十分に系中の酸素を除去した後、開始剤AIBNを0.21g仕込み、60℃まで昇温して24時間重合反応を行った。
【0107】
得られたポリマーを精製するために、反応混合物をヘキサンに注ぎ、得られた重合体を沈澱させた。更に得られたポリマーをテトラヒドロフラン(以下、THFと略記)に溶かし、ヘキサン3L中に注いでポリマーを沈澱させる操作を2回繰り返した後、重合体を分離し、乾燥させた。このようにして得られた14.8gの白色重合体は光散乱法により重量平均分子量が5,500であり、GPC溶出曲線より分散度(=Mw/Mn)が1.5の重合体であることが確認できた。得られたポリマーは1H−NMRの測定結果より、モノマー1とモノマー2の含有比が29:71のモル比で含むものであることがわかった。
【0108】
次に、得られたポリマー10.0g及びピリジン0.61gを300mLフラスコ中に仕込み、THF40gに溶解させた。1.70gのジ−tert−ブチル−ジカーボネートを5gのTHFに溶解させ、上記300mLフラスコ中に室温で滴下後、室温で1時間撹拌した。
【0109】
得られたポリマーを精製するために、反応混合物をメタノールに注ぎ、得られた重合体を沈澱させた。更に得られたポリマーをTHFに溶かし、メタノール3L中に注いでポリマーを沈澱させる操作を2回繰り返した後、重合体を分離し、乾燥させた。このようにして得られた8.3gの白色重合体は光散乱法により重量平均分子量が5,700であり、GPC溶出曲線より分散度(=Mw/Mn)が1.5の重合体であることが確認できた。得られたポリマーは1H−NMRの測定結果より、水酸基の29%がtert−ブトキシカルボニル基(以下、Boc基と略記)で置換されていることがわかった。
【0110】
【化50】
【0111】
[ポリマー合成例2] モノマー1、モノマー2及びα−トリフルオロメチルアクリル酸tert−ブチルの共重合(20:40:40)
300mLのフラスコ中にモノマー1を5.82g、モノマー2を8.27g、α−トリフルオロメチルアクリル酸tert−ブチルを5.91g仕込み、トルエン8.6gに溶解させ、十分に系中の酸素を除去した後、開始剤AIBNを0.25g仕込み、60℃まで昇温して24時間重合反応を行った。
【0112】
得られたポリマーを精製するために、反応混合物をヘキサンに注ぎ、得られた重合体を沈澱させた。更に得られたポリマーをTHFに溶かし、ヘキサン3L中に注いでポリマーを沈澱させる操作を2回繰り返した後、重合体を分離し、乾燥させた。このようにして得られた15.1gの白色重合体は光散乱法により重量平均分子量が5,900であり、GPC溶出曲線より分散度(=Mw/Mn)が1.5の重合体であることが確認できた。得られたポリマーは1H−NMRの測定結果より、モノマー1、モノマー2、α−トリフルオロメチルアクリル酸tert−ブチルの含有比が19:41:40のモル比で含むものであることがわかった。
【0113】
[ポリマー合成例3] モノマー1、モノマー2及びα−トリフルオロメチルアクリル酸(2−メチルアダマンチル)との共重合(20:40:40)
300mLのフラスコ中にモノマー1を5.11g、モノマー2を7.26g、α−トリフルオロメチルアクリル酸(2−メチルアダマンチル)を7.63g仕込み、トルエン8.6gに溶解させ、十分に系中の酸素を除去した後、開始剤AIBNを0.22g仕込み、60℃まで昇温して24時間重合反応を行った。
【0114】
得られたポリマーを精製するために、反応混合物をヘキサンに注ぎ、得られた重合体を沈澱させた。更に得られたポリマーをTHFに溶かし、ヘキサン3L中に注いでポリマーを沈澱させる操作を2回繰り返した後、重合体を分離し、乾燥させた。このようにして得られた15.3gの白色重合体は光散乱法により重量平均分子量が5,700であり、GPC溶出曲線より分散度(=Mw/Mn)が1.5の重合体であることが確認できた。得られたポリマーは1H−NMRの測定結果より、モノマー1、モノマー2、α−トリフルオロメチルアクリル酸(2−メチルアダマンチル)の含有比が18:41:41のモル比で含むものであることがわかった。
【0115】
[ポリマー合成例4] モノマー1と下記モノマー3の共重合(30:70)及び得られたポリマーの水酸基の保護化反応
300mLのフラスコ中にモノマー1を7.60g、モノマー3を12.40g仕込み、トルエン8.6gに溶解させ、十分に系中の酸素を除去した後、開始剤AIBNを0.22g仕込み、60℃まで昇温して24時間重合反応を行った。
【0116】
得られたポリマーを精製するために、反応混合物をヘキサンに注ぎ、得られた重合体を沈澱させた。更に得られたポリマーをTHFに溶かし、ヘキサン3L中に注いでポリマーを沈澱させる操作を2回繰り返した後、重合体を分離し、乾燥させた。このようにして得られた15.3gの白色重合体は光散乱法により重量平均分子量が5,500であり、GPC溶出曲線より分散度(=Mw/Mn)が1.5の重合体であることが確認できた。得られたポリマーは1H−NMRの測定結果より、モノマー1とモノマー3の含有比が29:71のモル比で含むものであることがわかった。
【0117】
次に、得られたポリマー10.0g及びピリジン0.62gを300mLフラスコ中に仕込み、THF40gに溶解させた。1.72gのジ−tert−ブチル−ジカーボネートを5gのTHFに溶解させ、上記300mLフラスコ中に室温で滴下後、室温で1時間撹拌した。
【0118】
得られたポリマーを精製するために、反応混合物をメタノールに注ぎ、得られた重合体を沈澱させた。更に得られたポリマーをTHFに溶かし、メタノール3L中に注いでポリマーを沈澱させる操作を2回繰り返した後、重合体を分離し、乾燥させた。このようにして得られた8.3gの白色重合体は光散乱法により重量平均分子量が5,700であり、GPC溶出曲線より分散度(=Mw/Mn)が1.5の重合体であることが確認できた。得られたポリマーは1H−NMRの測定結果より、水酸基の29%がtert−ブトキシカルボニル基(以下、Boc基と略記)で置換されていることがわかった。
【0119】
【化51】
【0120】
[ポリマー合成例5] モノマー1、モノマー3及びα−トリフルオロメチルアクリル酸tert−ブチルの共重合(10:50:40)
300mLのフラスコ中にモノマー1を3.06g、モノマー3を10.72g、α−トリフルオロメチルアクリル酸tert−ブチルを6.22g仕込み、トルエン8.6gに溶解させ、十分に系中の酸素を除去した後、開始剤AIBNを0.26g仕込み、60℃まで昇温して24時間重合反応を行った。
【0121】
得られたポリマーを精製するために、反応混合物をヘキサンに注ぎ、得られた重合体を沈澱させた。更に得られたポリマーをTHFに溶かし、ヘキサン3L中に注いでポリマーを沈澱させる操作を2回繰り返した後、重合体を分離し、乾燥させた。このようにして得られた14.3gの白色重合体は光散乱法により重量平均分子量が5,200であり、GPC溶出曲線より分散度(=Mw/Mn)が1.5の重合体であることが確認できた。得られたポリマーは1H−NMRの測定結果より、モノマー1、モノマー3、α−トリフルオロメチルアクリル酸tert−ブチルの含有比が9:51:40のモル比で含むものであることがわかった。
【0122】
[ポリマー合成例6] モノマー1、モノマー3及びα−トリフルオロメチルアクリル酸(2−メチルアダマンチル)の共重合(10:50:40)
300mLのフラスコ中にモノマー1を2.67g、モノマー3を9.35g、α−トリフルオロメチルアクリル酸(2−メチルアダマンチル)を7.98g仕込み、トルエン8.6gに溶解させ、十分に系中の酸素を除去した後、開始剤AIBNを0.23g仕込み、60℃まで昇温して24時間重合反応を行った。得られたポリマーを精製するために、反応混合物をヘキサンに注ぎ、得られた重合体を沈澱させた。更に得られたポリマーをTHFに溶かし、ヘキサン3L中に注いでポリマーを沈澱させる操作を2回繰り返した後、重合体を分離し、乾燥させた。このようにして得られた14.5gの白色重合体は光散乱法により重量平均分子量が5,700であり、GPC溶出曲線より分散度(=Mw/Mn)が1.5の重合体であることが確認できた。得られたポリマーは1H−NMRの測定結果より、モノマー1、モノマー3、α−トリフルオロメチルアクリル酸(2−メチルアダマンチル)の含有比が10:51:39のモル比で含むものであることがわかった。
【0123】
[ポリマー合成例7] 下記モノマー4、モノマー2及びα−トリフルオロメチルアクリル酸tert−ブチルの共重合(30:30:40)
300mLのフラスコ中に下記モノマー4を6.23g、モノマー2を7.05g、α−トリフルオロメチルアクリル酸tert−ブチルを6.73g仕込み、トルエン8.6gに溶解させ、十分に系中の酸素を除去した後、開始剤AIBNを0.28g仕込み、60℃まで昇温して24時間重合反応を行った。
【0124】
得られたポリマーを精製するために、反応混合物をヘキサンに注ぎ、得られた重合体を沈澱させた。更に得られたポリマーをTHFに溶かし、ヘキサン3L中に注いでポリマーを沈澱させる操作を2回繰り返した後、重合体を分離し、乾燥させた。このようにして得られた14.4gの白色重合体は光散乱法により重量平均分子量が6,200であり、GPC溶出曲線より分散度(=Mw/Mn)が1.5の重合体であることが確認できた。得られたポリマーは1H−NMRの測定結果より、モノマー4、モノマー2、α−トリフルオロメチルアクリル酸tert−ブチルの含有比が28:31:41のモル比で含むものであることがわかった。
【0125】
【化52】
【0126】
[ポリマー合成例8] 下記モノマー5、モノマー2及びα−トリフルオロメチルアクリル酸tert−ブチルの共重合(30:30:40)
300mLのフラスコ中に下記モノマー5を8.17g、モノマー2を6.05g、α−トリフルオロメチルアクリル酸tert−ブチルを5.77g仕込み、トルエン8.6gに溶解させ、十分に系中の酸素を除去した後、開始剤AIBNを0.24g仕込み、60℃まで昇温して24時間重合反応を行った。
【0127】
得られたポリマーを精製するために、反応混合物をヘキサンに注ぎ、得られた重合体を沈澱させた。更に得られたポリマーをTHFに溶かし、ヘキサン3L中に注いでポリマーを沈澱させる操作を2回繰り返した後、重合体を分離し、乾燥させた。このようにして得られた14.9gの白色重合体は光散乱法により重量平均分子量が6,700であり、GPC溶出曲線より分散度(=Mw/Mn)が1.5の重合体であることが確認できた。得られたポリマーは1H−NMRの測定結果より、モノマー5、モノマー2、α−トリフルオロメチルアクリル酸tert−ブチルの含有比が29:30:41のモル比で含むものであることがわかった。
【0128】
【化53】
【0129】
[ポリマー合成例9] モノマー3、モノマー4及びα−トリフルオロメチルアクリル酸tert−ブチルの共重合(50:10:40)
300mLのフラスコ中にモノマー3を11.36g、モノマー4を2.04g、α−トリフルオロメチルアクリル酸tert−ブチルを6.6g仕込み、トルエン30gに溶解させ、十分に系中の酸素を除去した後、開始剤AIBNを0.28g仕込み、60℃まで昇温して24時間重合反応を行った。
【0130】
得られたポリマーを精製するために、反応混合物をヘキサンに注ぎ、得られた重合体を沈澱させた。更に得られたポリマーをTHFに溶かし、ヘキサン3L中に注いでポリマーを沈澱させる操作を2回繰り返した後、重合体を分離し、乾燥させた。このようにして得られた15.9gの白色重合体は光散乱法により重量平均分子量が7,700であり、GPC溶出曲線より分散度(=Mw/Mn)が1.5の重合体であることが確認できた。得られたポリマーは1H−NMRの測定結果より、モノマー3、モノマー4、α−トリフルオロメチルアクリル酸tert−ブチルの含有比が51:11:38のモル比で含むものであることがわかった。
【0131】
[ポリマー合成例10] モノマー3、モノマー5及びα−トリフルオロメチルアクリル酸tert−ブチルの共重合(50:10:40)
300mLのフラスコ中にモノマー3を10.78g、モノマー5を2.96g、α−トリフルオロメチルアクリル酸tert−ブチルを6.3g仕込み、トルエン30gに溶解させ、十分に系中の酸素を除去した後、開始剤AIBNを0.26g仕込み、60℃まで昇温して24時間重合反応を行った。
【0132】
得られたポリマーを精製するために、反応混合物をヘキサンに注ぎ、得られた重合体を沈澱させた。更に得られたポリマーをTHFに溶かし、ヘキサン3L中に注いでポリマーを沈澱させる操作を2回繰り返した後、重合体を分離し、乾燥させた。このようにして得られた15.2gの白色重合体は光散乱法により重量平均分子量が7,200であり、GPC溶出曲線より分散度(=Mw/Mn)が1.5の重合体であることが確認できた。得られたポリマーは1H−NMRの測定結果より、モノマー3、モノマー5、α−トリフルオロメチルアクリル酸tert−ブチルの含有比が51:10:39のモル比で含むものであることがわかった。
【0133】
[ポリマー合成例11] 下記モノマー6、下記モノマー7及びα−トリフルオロメチルアクリル酸tert−ブチルの共重合(30:30:40)
300mLのフラスコ中に下記モノマー6を7.27g、下記モノマー7を6.56g、α−トリフルオロメチルアクリル酸tert−ブチルを6.17g仕込み、1,4−ジオキサン8.6gに溶解させ、十分に系中の酸素を除去した後、開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.39g仕込み、60℃まで昇温して24時間重合反応を行った。
【0134】
得られたポリマーを精製するために、反応混合物をヘキサンに注ぎ、得られた重合体を沈澱させた。更に得られたポリマーをTHFに溶かし、ヘキサン3L中に注いでポリマーを沈澱させる操作を2回繰り返した後、重合体を分離し、乾燥させた。このようにして得られた14.4gの白色重合体は光散乱法により重量平均分子量が6,600であり、GPC溶出曲線より分散度(=Mw/Mn)が1.5の重合体であることが確認できた。得られたポリマーは1H−NMRの測定結果より、モノマー6、モノマー7、α−トリフルオロメチルアクリル酸tert−ブチルの含有比が29:30:41のモル比で含むものであることがわかった。
【0135】
【化54】
【0136】
[ポリマー合成例12] 下記モノマー8、モノマー7及びα−トリフルオロメチルアクリル酸tert−ブチルの共重合(30:30:40)
300mLのフラスコ中に下記モノマー8を8.94g、モノマー7を7.70g、α−トリフルオロメチルアクリル酸tert−ブチルを5.36g仕込み、1,4−ジオキサン8.6gに溶解させ、十分に系中の酸素を除去した後、開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.34g仕込み、60℃まで昇温して24時間重合反応を行った。
【0137】
得られたポリマーを精製するために、反応混合物をヘキサンに注ぎ、得られた重合体を沈澱させた。更に得られたポリマーをTHFに溶かし、ヘキサン3L中に注いでポリマーを沈澱させる操作を2回繰り返した後、重合体を分離し、乾燥させた。このようにして得られた16.1gの白色重合体は光散乱法により重量平均分子量が6,900であり、GPC溶出曲線より分散度(=Mw/Mn)が1.5の重合体であることが確認できた。得られたポリマーは1H−NMRの測定結果より、モノマー8、モノマー7、α−トリフルオロメチルアクリル酸tert−ブチルの含有比が29:30:41のモル比で含むものであることがわかった。
【0138】
【化55】
[評価例]
ポリマー透過率測定
得られたポリマー1gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと略記)20gに十分に溶解させ、0.2μmのフィルターで濾過してポリマー溶液を調製した。
【0139】
比較例用ポリマーとして、分子量10,000、分散度(=Mw/Mn)1.1の単分散ポリヒドロキシスチレンの水酸基の30%をテトラヒドロピラニル基で置換したポリマーを用意し、これを比較例ポリマー1とした。同様に、分子量15,000、分散度1.7のポリメチルメタクリレートを比較例ポリマー2、メタ/パラ比40/60で分子量9,000、分散度2.5のノボラックポリマーを比較例ポリマー3とし、上記と同様の方法でポリマー溶液を調製した。
【0140】
ポリマー溶液をMgF2基板にスピンコーティングして塗布後、ホットプレートを用いて100℃で90秒間ベークし、厚さ100nmのポリマー膜をMgF2基板上に作製した。この基板を真空紫外光度計(日本分光製、VUV−200S)に設置し、248nm、193nm、157nmにおける透過率を測定した。測定結果を表1に示す。表1より本発明の高分子化合物を用いたレジスト材料は、F2(157nm)の波長においても十分な透明性を確保できることがわかった。
【0141】
【表1】
【0142】
レジスト調製及び露光
ポリマー、酸発生剤、塩基、溶解阻止剤を表2に示す量で1,000重量部のPGMEA中で混合し、常法によりレジスト液を調製した。
次に、DUV−30(Brewer Science社製)を85nmの膜厚で成膜したシリコンウエハー上に、得られたレジスト液をスピンコーティング後、ホットプレートを用いて120℃で90秒間ベークし、レジストの厚みを100nmの厚さにした。
このウエハーにF2レーザーVUVES−4500(リソテックジャパン社製)で露光量を変化させながら露光し、露光後直ちに120℃で90秒間ベークし(PEB)、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で60秒間現像を行って、露光量と残膜率の関係を求めた。膜厚が0になった露光量をEthとして、レジストの感度、そのときの傾きのtanθをγとして求めた。
また、MgF2基板にCrパターンを形成したマスクを使い、レジスト膜とCrパターン面とを密着させてF2レーザーを照射し、密着露光を行った。露光後、上記と同様にPEB、現像を行い、パターン形成を行った。パターンの断面をSEM観察し、形成できた最小のパターンを解像度とした。
VUVES露光の結果、露光量の増大に従って膜厚が減少し、高いγ値を有する高コントラストなポジ型レジストの特性を示し、密着露光での解像力も高いことがわかった。
【0143】
【表2】
【0144】
【化56】
Claims (20)
- 下記一般式(1a)で表されることを特徴とする請求項1記載のスルホン酸エステル化合物。
- 下記一般式(1b)で表されることを特徴とする請求項2記載のスルホン酸エステル化合物。
- 下記一般式(2a)で表される繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項4記載の高分子化合物。
- 下記一般式(2b)で表される繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項5に記載の高分子化合物。
- 下記一般式(4a)又は(4b)で表される繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の高分子化合物。
- 重量平均分子量が2,000〜100,000であることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載の高分子化合物。
- 下記一般式(5)で表される繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項4乃至8のいずれか1項に記載の高分子化合物。
- 上記一般式(7)におけるR48がトリフルオロメチル基であることを特徴とする請求項13記載の高分子化合物。
- 請求項4乃至14のいずれか1項に記載の高分子化合物を含むことを特徴とするレジスト材料。
- (A)請求項4乃至14のいずれか1項に記載の高分子化合物、
(B)有機溶剤、
(C)酸発生剤
を含有することを特徴とする化学増幅ポジ型レジスト材料。 - 更に、塩基性化合物を含有する請求項16記載のレジスト材料。
- 更に、溶解阻止剤を含有する請求項16又は17記載のレジスト材料。
- (1)請求項16乃至18のいずれか1項に記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、
(2)次いで、加熱処理後、フォトマスクを介して波長100〜180nm帯又は1〜30nm帯の高エネルギー線で露光する工程と、
(3)必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。 - 前記高エネルギー線がF2レーザー、Ar2レーザー、又は軟X線であることを特徴とする請求項19記載のパターン形成方法。
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