JP2003536207A - 大量高安定イオン束生成用大気圧イオンレンズ - Google Patents

大量高安定イオン束生成用大気圧イオンレンズ

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JP2003536207A
JP2003536207A JP2001587461A JP2001587461A JP2003536207A JP 2003536207 A JP2003536207 A JP 2003536207A JP 2001587461 A JP2001587461 A JP 2001587461A JP 2001587461 A JP2001587461 A JP 2001587461A JP 2003536207 A JP2003536207 A JP 2003536207A
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lens
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ion source
ions
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JP2001587461A
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ディー ワイ チェン,デイヴィッド
ジェイ ダグラス,ドナルド
ビー シュナイダー,ブラッドリー
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ユニヴァーシティー オブ ブリティッシュ コロンビア
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    • H01J49/10Ion sources; Ion guns
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    • HELECTRICITY
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Abstract

(57)【要約】 イオンレンズは、実質的に大気圧にある様々なタイプのイオン源でつくられるイオンを集束するために用いられる。イオンは、性能向上のためにより多量でより安定なイオン束を必要とする、下流の質量分析計またはその他の装置の入口に集束される。イオンレンズはスプレー器先端に近接して取り付けられる。イオンレンズは、生成されたイオンの全てにわたって数えられる、総イオンカウント率を増加させる。イオンレンズは、生成されるイオンの、イオンフラグメンテーションの度合及び電荷状態パターンをを変えるために用いることもできる。イオンレンズにより、より安定なイオン信号を得ることもできる。さらに、1つより多くのイオンレンズを用いることができる。発明は、多スプレー器イオン源に拡張することもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の分野 本発明は、イオンスプレー、電子スプレー、小液流量電子スプレー、小液流量
イオンスプレー、ナノスプレー及び大気圧化学イオン化(APCI)源のような、
ただしこれらには限定されない、様々なタイプのイオン源に関する。さらに詳し
くは、本発明は、様々なタイプの電子スプレーイオン源により生成される、イオ
ンの信号安定性の向上及びイオン束の大量化に関する。
【0002】発明の背景 電子スプレーイオン化(ESI)は比較的高い圧力における気相でイオンを生成
する方法である。ESIは初め、質量分析のためのイオン源としてドール(Dole)
等(M.ドール,L.L.マッハ(Mach),R.L.ハインズ(Heines),R.C.モブレイ
(Mobeley),L.P.ファーガソン(Ferguson),M.B.アリス(Alice),J. Chem. P
hys.,1968年,第49巻,p.2240〜2249)により提案された。フェ
ン(Fenn)及び共同研究者等の研究(M.ヤマシタ(Yamashita),J.D.フェン,J.
Phys. Chem.,1984年,第88巻,p.4451〜4459;M.ヤマシタ,
J.D.フェン,J. Phys. Chem.,1984年,第88巻,p.4671〜467
5;C.M.ホワイトハウス(Whitehouse),R.N.ドレイヤー(Dreyer),M.ヤマ
シタ,J.B.フェン,Anal. Chem.,1985年,第57巻,p.675〜679
)が、質量分析法に対するESIの潜在能力を明らかにするのに役立った。それ
以降、ESIは、多用性、使用の容易性及び大きな生体分子に対する有効性によ
り、最も普通に用いられるタイプのイオン化法の1つとなっている。
【0003】 ESIは、液体試料に高電位に保たれた毛管を通過させる工程を含む。液体試
料からの液滴が帯電し、電気泳動型の電荷分離がおこる。陽イオンモードESI
では、毛管の先端で生じる液滴のメニスカスに向かって陽イオンが下流に移動す
る。陰イオンは毛管に向かって引きつけられ、この結果成長途上の液滴に電荷の
富化がおこる。その後の、帯電した液滴の分裂または気化により、単独の溶媒和
気相イオンの形成がおこる(P.ケバーレ(Kebarle),L.タン(Tang),Analytical
Chemistry,1993年,第65巻,p.972A〜986A)。次いでこれらの
イオンは通常、四重極質量分析計、飛行時間型質量分析計、イオントラップ型質
量分析計、イオンサイクロトロン共鳴質量分析計等のような、下流にある分析装
置の開口に通される。
【0004】 イオンスプレーは、液滴分裂の増進を助長するために噴霧器ガス流が用いられ
る、ESIの一形態である。噴霧器ガスは、毛管先端に形成された液滴の分割を
補助する。このようにして形成されたイオンは、四重極質量分析計、飛行時間型
質量分析計、イオントラップ型質量分析計及びイオンサイクロトロン共鳴質量分
析計を含むが、これらには限定されない、様々な質量分析計の真空系内に導くこ
とができる。
【0005】 あいにくなことに、ESI及びイオンスプレーを質量分析計とともに使用して
得られるイオンサンプリング効率は低い。一般に、イオンが生成される大気圧領
域とイオンが入らなければならない第1ポンプ排気差圧真空段との間で多数のイ
オンが失われる。イオンは、一般には直径1cmまで広がる電子スプレー霧柱内
で形成される。イオンサンプリングオリフィス、すなわち質量分析計の入口オリ
フィスの直径は一般に約0.01から0.025cmであり、したがってごく少
率のイオンしかサンプリング開口を通過できない。大気圧領域を第1真空段から
隔てている開口の大きさが、質量分析計内へのガス及びイオン流の導通率を制限
している。開口の直径は質量分析計の真空系のポンプ排気速度により制限される
。真空ポンプに付随するかなりの費用により、所望の開口寸法と真空ポンプコス
トとの間で妥協を成立させなければならない。さらに、大気圧におけるイオン運
動は等電位線の形状及び分布に依存するから、入口開口に導かれるイオンは多く
はない。
【0006】 したがって、ナノ電子スプレーイオン化(M.ウィルム(Wilm),M.マン(Mann)
,Anal. Chem.,1996年,第68巻,p.1〜8)及びその他の小流量電子ス
プレーイオン化源(D.フィギーズ(Figeys),R.エーベルソルド(Aebersold),El
ectrophoresis,1997年,第18巻,p.360〜368)の開発へと導いた
、イオンサンプリング効率を高めるための努力がなされてきた。小流量イオン化
源は、一般的なESI源で用いられるよりかなり小さい内径をもつ、テーパ付ス
プレー器を利用する。小流量イオン源は一般に、内径が5〜30μmのテーパ付
スプレー器を有し、流量は0.05から1.0μl/分である。一般的なESI
及びイオンスプレー源では、流量が1〜1000μl/分であり、スプレー先端
径は50〜200μmである。与えられた検体濃度に対して、小流量イオン源に
よる信号は一般に、必要な流量がかなり小さくとも、通常の電子スプレー源の信
号と同じ大きさかまたはそれより大きい。これは、イオン源で生成された検体イ
オンのサンプリング効率がかなり高められたことによる。小流量イオン源に噴霧
器ガス流を取り入れることもできる。上記のタイプのイオン源は、以降、本文に
おいて小流量イオンスプレー源と称される。
【0007】 質量分析法用にESIのイオンサンプリング効率を高めるために用いられ得る
別の手法は、ESI源が取り付けられる質量分析計の改修に関わる。特に、真空
系内により多くのイオンを引き入れるために、質量分析計の入口開口径を大きく
することができる。イオン対ガス比が一定のままであれば、イオン信号の増大は
ガス流量の増大に比例すると考えられる。しかし、質量分析系内を同じ圧力に維
持するためにより大きな真空ポンプが必要になるであろう。あいにくなことには
、真空ポンプの排気速度を高めることは、質量分析計のコストをかなり高める結
果となる。
【0008】 従来技術の方法では、イオンの広がりを抑えるため、すなわちイオンビームを
集束させるための、減圧下にある、1つまたは複数の真空領域すなわち1つまた
は複数の遷移領域に電位を与えることが考えられていた。しかしこれは、イオン
の広がりが1つまたは複数の減圧領域内の等電位線及びガス速度のいずれにも支
配されるため、困難である。また、不適切な電位がレンズ素子に与えられると、
望ましくないイオンフラグメンテーションも生じ得る。逆に、大気圧領域におい
ては、イオン軌道を支配するのは等電位線であり、イオンが衝突間に移動する距
離は非常に短いので、イオンがイオンフラグメンテーションを生じるかまたはか
なりな速度を得るに十分なエネルギーを蓄積することはない。
【0009】 イオンビームを集束させ、イオン軌道を変えるために、イオンレンズが真空領
域で用いられてきた。その他の従来技術の方法は、下流の質量分析計に入る直前
のイオン軌道の改善に向けられている。フランツェン(Franzen)等(米国特許第5
,747,799号)は、ESI源の下流にある質量分析計のための、大気圧に
あるかまたは大気圧に近い、加熱された毛管入口の内壁の上に配置されたリング
電極を開示した。リングの目的は、質量分析計の入口毛管へのイオンの引込みを
補助することであった。リングは、電気力線が質量分析計の入口毛管内に直に向
けられるように、等電位線の形状を改善した。しかし、イオン信号に明らかな増
大が見られたか否かについては何等の証拠も与えられなかった。
【0010】 ギーチセク(Guicicek)等(米国特許第5,432,343号)は、多重真空段を
もつ遷移領域を備える質量分析計に接続された、大気圧にある、ESI源用イン
ターフェースを開示した。遷移領域には、イオンの中心線に沿う集束を補助する
ために適切に配置されなければならない、少なくとも1つの静電レンズが備えら
れた。静電レンズの目的は、第2及び第3ポンプ排気差圧真空段内のイオン通過
効率を高めることであった。ESI源外囲器内に、ギーチセクはESI源の外囲
器周縁近くに設置された端板レンズ素子及び円筒レンズを示した。ESI源外囲
器内のレンズの目的は、ESI源外囲器の、遷移領域に通じる毛管入口に脱離検
体イオンをより効率よく運び入れることができる中心線近くにおける、帯電液滴
の高濃度化を補助することであった。しかし、これらのレンズはスプレー器及び
遷移領域に通じる毛管の入口開口のいずれからもかなり離れた位置におかれ、し
たがってどれだけの集束効果をイオン源外囲器内のレンズがスプレー器先端近傍
に与えたかについては疑問である。装置の他の部品については電場の詳細が与え
られているが、この大気圧イオン化チャンバ内の電場の詳細は全く与えられてい
ない。さらに、この方法でイオン信号の増大が達成可能であることを示す結果は
何も示されていない。
【0011】 フェン(Feng)等(X.フェン,G.R.アグネス(Agnes),J. Am. Soc. Mass Spec
trom.,2000年,第11巻,p.393〜399)は、下流の質量分析計のサ
ンプリングオリフィス内にイオンを誘導するためのいくつかの大気圧電極構造を
評価した。液滴浮揚イオン源から見てダウンフィールド側にワイヤレンズが配置
された。イオン源の流量は5μl/分であった。フェン等は、ワイヤレンズが質
量分析計内で検出されるイオン電流の増大をもたらすことを見いだした。しかし
レンズには、より高価な電源が必要な、AC及びDC電圧のいずれもが用いられ
た。さらに、フェンの装置はカーテンガスとともに使用することができず、した
がって実用が限られる。さらにフェンのレンズは、単独の孤立液滴だけで作用し
、ESI源のような連続イオン源では作用しないことが明らかにされた。最後に
、フェンのレンズはイオン源から見て実質的にダウンフィールド側の脱溶媒和領
域に配置される。
【0012】 ホワイトハウス等(米国特許第6,060,705号)は、動作中に電子スプレ
ー及び大気圧イオン源を直接見ることができる窓を大気圧イオン化チャンバ壁上
に付け加えた。ホワイトハウスは、大気圧イオン化チャンバの側壁に沿って延び
る円筒電極及び電子スプレーニードル先端に与えられる噴霧器ガス流も開示した
。イオン源と下流の質量分析計との間の遷移領域には3つの静電レンズもあった
。イオン源外囲器内の円筒電極の電位は、電子スプレーニードル先端を離れた荷
電イオンが、電場により、下流の質量分析計のオリフィスすなわち毛管入口に向
けて導かれ、集束されるように設定された。ホワイトハウスは、イオン源外囲器
内の円筒電極に与えられた電位が高められたときに、また電位が円筒レンズに与
えられ、帯電液滴の分割を補助するために噴霧器ガスが用いられたときにも、イ
オン信号の増大があったことを認めた。ホワイトハウスは、電位及びニードル位
置を調節して電子スプレー性能を最適化できることも明らかにした。しかし、こ
の場合も、ESI源外囲器内の円筒電極はESIスプレー器から遠く離れていた
。さらに、円筒電極の配置は固定され、電極の位置及び向きを調節できなかった
【0013】 バートシュ(Bertsch)等(米国特許第5,838,003号)は、実質的に大気
圧または大気圧近くで動作し、非対称電極を組み込んだ、電子スプレーイオン化
チャンバを開示した。非対称電極は、完全円筒の2分の1、半円形平板、ワイヤ
または円形平ディスクのいずれかであった。スプレー器は質量分析計のイオン入
口の軸に対して90°の角度をなす方向に向けられた。バートシュは、電極をス
プレー器の先端をこえて延ばし得ることも開示した。しかしバートシュは、非対
称電極が電子スプレーを開始し、維持するために必要であることを明らかにした
。非対称電極は対抗電極と同じ電位に維持されるようである。すなわち他の先行
提案と同様に、基本電場を確立している2つの電極の電位と異なる電位に維持さ
れる別のレンズについての明白な教示はない。バートシュは、バートシュ等の装
置が1μl/分から2ml/分までの流量に適用可能であり、したがって小流量
ESI源には適用できないことも教示した。バートシュは、エアロゾルの形成を
補助するために噴霧器ガスを導入できることも述べた。
【0014】 別の研究では、タン等(K.タン,Y.リン(Linn),D.マトソン(Matson),K.
テーマン(Taeman),R.D.スミス(Smith),Anal. Chem.,2001年,第73巻
,p.1658〜1663)が、質量分析計と同等な液流量範囲(総流量1〜8μ
l/分)において安定な多重電子スプレーを生成することに成功した、多重超小
形電子スプレーエミッタを開示した。与えられた総液流量において電子スプレー
の数を増やすほど、より大きな総電子スプレーイオン電流が観測された。タンは
、電子スプレーが石英ガラス毛管から生成される従来の単ESI源に比較して、
より大きな液流量で安定な電子スプレーが生成され得ることも開示した。噴霧化
ガスを多重超小形電子スプレーエミッタとともに用いることもできる。
【0015】 従来技術から見て、質量分析計のような下流の装置に入るイオン束を増大させ
るために、毛管先端でイオンを生成しながら、イオンを集束するために用いるこ
とができる、安価な装置が未だに必要とされている。イオン源のスプレー器霧柱
内でイオンを生成すると同時に、イオン軌道を改善する方法に焦点をおいた研究
は今日まで非常に少ないことに注目することが特に重要である。
【0016】発明の概要 本発明は、イオン及び帯電した液滴が最初に生成される箇所に注目することに
より、質量分析計のような下流の装置内へのイオン通過を向上させることに焦点
をおく。これは、実質的に大気圧にあるイオン源のスプレー器先端に近接して少
なくとも1つの“イオンレンズ”を配置することにより達成される。本明細書に
おいて、“イオンレズ”または“イオン集束素子”は、より多くのイオンをイオ
ン源から質量分析計のような下流の装置に到達させるために、大気圧領域におけ
る等電位線を変化させるために用い得る電極を意味する。さらに詳しくは、本発
明は、定められた形状/分布に等電位線を変化させるために、スプレー器先端ま
たはスプレー器出口に隣接して取り付けられる“イオンレンズ”に関する。より
多くの数のイオンを下流の質量分析計のオリフィス内に集束させるために、様々
な形状のイオンレンズをESI源に組み込むことができる。単イオンレンズを付
加し、このイオンレンズに高電圧を印加することにより、小流量ESI源及び大
流量で動作するイオンスプレー源を用いた場合に、質量分析計における全イオン
の総カウント率の増大が見られた。さらに、いずれのイオン源についてもイオン
信号安定性が向上した。さらに、1つ(または複数の)イオンレンズの形状寸法及
び1つ(または複数の)イオンレンズに与える電位の大きさを変えることにより、
生成されるイオンのフラグメンテーション及び電荷状態パターンを有利に最適化
できる。
【0017】 第1の態様において、本発明は検体試料からイオンを生成するためのイオン源
装置を提供し、この装置はイオン源、少なくとも1つの対抗電極及びイオン集束
素子を備える。イオン源は少なくとも1つの対抗電極に対向して取り付けられ、
イオン集束素子はイオン源に相対して取り付けられる。使用において、イオン化
した液滴のスプレーを生成するため及び少なくとも1つの対抗電極に向けてイオ
ンを移動させるために、イオン源と少なくとも1つの対抗電極との間に電位差が
与えられる。さらに、イオンを集束させ、所望のイオン伝搬方向に導くように、
イオン源に隣接する等電位線を変化させるために、電位がイオン集束素子に与え
られる。イオン集束素子は、イオン源から延びる軸に沿ってイオンが導かれるよ
うに、イオン源に隣接して配置される。イオン集束素子に与えられる電位は、イ
オン源に隣接する等電位線が所望のイオン伝搬軸に、軸上でも軸周囲のかなりの
領域でも、実質的に垂直であることを保証するように適合される。
【0018】 第2の態様において、本発明は検体試料からイオンを生成するための方法を提
供する。本方法は: 1) イオン源に検体試料を供給する工程; 2) イオン源から隔てられた少なくとも1つの対抗電極を提供する工程; 3) イオンまたはイオン化した液滴のスプレーを生成するためにイオン源と少
なくとも1つの対抗電極との間に電位差を与える工程;及び 4) イオン集束素子を提供する工程及び、イオンを集束し、所望のイオン伝搬
軸に導くように、イオン源に隣接する等電位線を変化させるためにイオン集束素
子に電位を与える工程; を含む。
【0019】 本方法は、イオン源から延びる軸に沿ってイオンが導かれるように、イオン源
に隣接してイオン集束素子を提供する工程をさらに含む。本方法は、イオン源に
隣接する等電位線が所望のイオン伝搬軸に、軸上でも軸周囲のかなりの領域でも
、実質的に垂直であることを保証するようにイオン集束素子に与える電位を調節
する工程をさらに含む。
【0020】 本発明においては、イオン源の意味にイオンスプレー器が含まれていることに
注意すべきである。さらに、質量分析計は一般にオリフィスをもつオリフィスプ
レートを有し、イオン源装置をオリフィスプレートにボルトで固定することがで
きるようになっている。したがって、イオン源装置のカーテンプレートとオリフ
ィスプレートとの間に、カーテンガスを入れることができる領域がつくられる。
【0021】 本発明のさらなる目的及び利点は、添付図面とともになされる、以下の説明か
ら明らかであろう。
【0022】発明の詳細な説明 本発明のより良い理解のため及び本発明がどのように実施され得るかをより明
解に示すために、本発明の好ましい実施形態を示す添付図面を、例として、ここ
で参照する。
【0023】 本説明においては、様々な図にある同様の要素を同じ参照数字で表す。さらに
、電圧は全てDC電圧である。さらに、本説明で示すシミュレーション結果は全
てマックシミオン(MacSIMION)バージョン2.0シミュレーションプログラムを
用いて得られた。
【0024】 初めに、従来技術のイオン源構成に対するシミュレーション結果を説明する。
図1を参照すれば、スプレー器12,カーテンプレート14,カーテンプレート
14の開口15,オリフィスプレート18のオリフィス16,外囲器20及びス
プレー器マウント22を備える、従来のイオンスプレーまたは大流量ESIイオ
ン源10が示される。カーテンプレート14,オリフィスプレート18及び外囲
器20はESIイオン源10への対抗電極としてはたらく。カーテンプレート1
4とオリフィスプレート18との間の領域は大気圧にあり、窒素のようなガスで
フラッシされる。残りの外囲器20内部領域も大気圧にある。オリフィスプレー
ト18は外囲器内の大気圧領域を、質量分析計の真空系の初段のような、外囲器
20から下流にあるいかなる要素からも隔てる。
【0025】 シミュレーションは、上記の構成について、印加電位をスプレー器12は50
00V,カーテンプレート14は1000V,オリフィスプレート18は190
V,また外囲器20は0Vの電位(外囲器を接地電位に維持することは普通のこ
とである)として、行った。ESIスプレー器マウント22の電位はスプレー器
12と同じとした。図1は、上記の電位設定で得られる等電位線が外囲器20内
のイオン進行方向を決定するために用いられ得ることを示す。イオンは電場の方
向に力を受ける。外囲器20内の電場の方向は等電位線上の任意の点において引
かれる接線に対して垂直である。常圧環境において、イオンが衝突間に進行する
距離は短く、イオンがかなりの速度を得ることは決してない。よって、イオン経
路は、ガスの流れがない状態においてはイオン経路が必ず等電位線に垂直である
と仮定することにより決定することができる。したがって、スプレー器12の先
端における等電位線の曲率を、24a,24b及び24cのような一連のイオン
軌道を決定するために用いることができる。図に示されるように、これらのイオ
ン軌道24a,24b及び24cは広い範囲にわたって発散し、イオンがスプレ
ー器12の先端を離れた後に受けるデフォーカス作用を示している。この配置に
よれば、スプレー器12の先端で形成されたイオンの空間的広がりは、イオンが
カーテンプレート14に向かって進行するにつれて大きくなる。これにより、生
成されたイオンの大部分がカーテンプレート14に打ち当てられる。したがって
、スプレー器12で生成されたイオンのごく少部分しか開口15を通過してオリ
フィス16に到達しない。
【0026】 図2を参照すれば、図1に示した通常のイオン源よりもカーテンプレート14
のかなり近くにスプレー器12の先端が配置された、通常の小流量ESI源30
が示される。スプレー器12はまた、入口開口15の前面中心に配置される。シ
ミュレーションは、上記の配置について、印加電位をスプレー器12は3000
V,カーテンプレート14は1000V,オリフィスプレート18は190V,
外囲器20は0Vとして行った。等電位線は、またもや、スプレー器12の先端
近くにおけるイオン軌道のデフォーカス作用を生じさせる。イオン軌道34a及
び34bは、オリフィス16を通してのイオン輸送効率を低下させる、拡大する
イオン霧柱36が生成されることを示す。これは、イオンがオリフィス16に向
けて進行するにつれて、スプレー器12の先端で形成されたイオンの空間的広が
りが大きくなるためである。このイオン軌道の拡大により、多数のイオンがカー
テンプレート14またはオリフィスプレート18に打ち当てられる。
【0027】 図3を参照すれば、図2に示したものとと同じコンポーネントを有する通常の
小流量ESI源40についての別の配置が示される。この配置では、スプレー器
12がカーテンプレート14の開口15から若干オフセットされる。シミュレー
ションは、図2に示したシミュレーションによる電位を用いて行った。シミュレ
ーション結果は、スプレー器12の先端近くに位置する等電位線はやはりイオン
をデフォーカスするように見えるものの、イオンの広がりが小さくなっているた
め、オリフィス16を通って送られるイオン信号の若干の増大を示唆している。
この配置において、イオンは、イオンがより効率よくオリフィス18に入ること
を可能とするに十分な角度で導かれる。
【0028】 次に本発明を論じる。本発明は、イオン源の毛管先端から放出される液滴また
はイオンを集束し、よって質量分析計等のような下流の装置に入るイオン束を改
善するためのイオン集束素子を、イオンスプレー器に近接して提供する。
【0029】 図4aを参照すれば、小流量ESI源とともに使用するための取付具50につ
いての実施形態が示される。取付具50は、電子スプレー毛管66(図4c)及び
イオンレンズ62の位置決めに用いられる、スプレー器マウント52を備える。
スプレー器マウント52はプレキシガラスでつくられる。あるいは、別の非導電
性材料をスプレー器マウント52に用いることができる。スプレー器マウント5
2は、取付孔54,溝56,導電性黄銅アーム58及びイオンレンズ62を確実
に固定するための止めネジ60を有する。イオンレンズ62はレンズ電極または
リング電極とも称され得る。取付孔54は、スプレー器マウント52を質量分析
計等のような市販の装置に、市販のイオンスプレーまたは電子スプレーアームに
代えて装着できるように、スプレー器マウント52上に配置される。溝56は、
テーパ付毛管先端74をスプレー器マウント52が内部に装着されるイオン源外
囲器(図示せず)に対してバイアスするための、電子スプレー毛管66への電位の
印加点であるステンレス鋼接続64を支持するために、スプレー器マウント52
に機械加工される。イオン源外囲器は一般に0Vに保たれる。次いで、導電性黄
銅アーム58を介して電位が毛管66に与えられる。止めネジ60は、イオンレ
ンズ62を様々な位置につけるために用いられる。あるいは、別のタイプのブラ
ケット類または集成取付具を、イオンレンズ62を所定の位置に保つために用い
ることができる。
【0030】 あるいは、毛管66を、当業者に知られるいずれかの手段によりテーパ付先端
74に結合することができる。これには、ステンレス鋼チューブの所定の位置に
ある低死容積導電性ファスナー、液間接続(B.ツァン(Zhang),F.フォレット(F
oret),B.L.カーガー(Karger),Anal. Chem.,2000年,第72巻,p.1
015〜1022)、または微小透析接続(J.C.シバース(Severs),R.D.スミ
ス(Smith),Anal. Chem., 1997年,第69巻,p.2154〜2158)が
あり得るが、これらには限定されない。さらに、毛管66の末端を引き伸ばして
テーパ付先端にすることができる。この場合には、無外装型インターフェースを
用いて電子スプレー電位を与えることができる。これらには、スプレー器先端へ
の導電性被覆の適用(J.H.ウォール(Whal),D.C.ゲール(Gale),R.D.スミ
ス,J. Chromatogr. A,1994年,第659巻,p.217〜222;及びS.
A.ホフスタッドラー(Hofstadler),J.C.シバース,F.D.スォネック(Swanek
),A.G.イーウィング(Ewing),R.D.スミス,Rapid Commun. Mass Spectrom.
,1996年,第10巻,p.919〜923)、またはスプレー器への電極の挿
入(P.カオ(Cao),M.モイニ(Moini),J. Am. Soc. Mass Spectrom.,1997
年,第8巻,p.561〜564;及びA.D.スミス,M.モイニ,Anal. Chem.
,2001年,第73巻,p.240〜246)があり得るが、これらには限定さ
れない。小流量イオン源に電子スプレー電位を与えるには多くの様々な方法があ
り、上記の方法は例として与えられているだけであって、本発明の範囲または精
神を限定することは決して意味していないことが、当業者には明らかであろう。
さらに、毛管先端を上記の接合のいずれかと結合するために、接着剤、止めネジ
、ナット、外付けクランプ、または圧縮継手を含むが、これらには限定されない
、いずれかの締結手段を用いることができる。さらに、小流量電子スプレー源を
説明するために超小形電子スプレーという術語が用いられることがある(D.フィ
ギース(Figeys),Y.ニン(Ning),R.エーベルソルド,Anal. Chem.,1997
年,第69巻,p.3153〜3160)。
【0031】 図4bを参照すれば、イオンレンズ62は2つの部品からなる。イオンレンズ
62の第1の部品は、毛管66を囲む位置に配されるリング68である。イオン
レンズ62の第2の部品は、イオンレンズ62を所望の電位にバイアスするよう
に適合された付属素子70である。
【0032】 図4cを参照すれば、毛管66及びスプレー器マウント52を備える、小流量
ESI源が示される。毛管66とテーパ付毛管先端74とが溝66に配置された
ステンレス鋼接続64の内側で接続される。毛管66のテーパ付先端74の形状
は可能な限り均等であることが好ましい。小流量用途に対するテーパ付先端74
の内径は、ほぼ5〜30μmである。様々な実施形態において、毛管66は、シ
リンジポンプ、毛管電気泳動器、超小形流体装置または、小流量イオン源の要件
に適合する、その他いずれかのタイプの液体送配システムと接続することができ
る。イオンレンズ62に電位を与えるために、独立の外部電源(図示せず)がワイ
ヤ72を介してイオンレンズ62に接続される。電位は、毛管66内を運ばれる
液体試料、溶液流量、溶媒のタイプ、イオン質量、ESI源の極性、電子スプレ
ー電位、カーテンプレート電位、スプレー器のカーテンプレートへの近接度及び
スプレー器先端に対するイオンレンズの位置に応じて最適化することができる。
本実施形態において、毛管66のテーパ付先端74の端面はイオンレンズ62の
先に突き出している。電子スプレー電位を与えるため、ワイヤ24が電源(図示
せず)に接続される。
【0033】 図4dを参照すれば、イオンレンズ62及び毛管66のテーパ付先端74の端
面図が、有利な実施形態の1つにおいて、毛管のテーパ付先端74は好ましくは
イオンレンズの垂直方向の中心で、イオンレンズ62の左端近くに配されること
を示す。別の有利な実施形態においては、テーパ付先端74はイオンレンズ62
の垂直方向の中心で、イオンレンズ62の水平方向の中心に配されることが好ま
しい。あるいは、テーパ付先端74をイオンレンズ62内で水平方向にも垂直方
向にも非対称に配置することができる。さらに、イオンレンズで定められる平面
は毛管66の軸に実質的に垂直に位置決めされ、毛管66の先端74はこの平面
に接するか、またはこの平面と交差する。毛管66の軸に沿ってイオンレンズの
位置を調節することもできる。イオンレンズの位置は、質量分析計のような下流
の装置に入るイオン束を最大化するように最適化されることが好ましい。最適化
には、スプレー器の位置の調節及びイオン源の様々なコンポーネントに与えられ
る電位の設定が含まれる。
【0034】 図5a及び5bを参照すれば、これらの図はイオンレンズ62の別の2つの実
施形態62'及び62''を示す。全てmmを単位とする物理的寸法が、例示目的
のためだけに示される。したがって、他の寸法及び形状も用いることができる。
図5aにおいて、イオンレンズ62'は調節不能である。イオンレンズ62'は、
長さが19mmで高さが8mmであり、これより寸法が若干小さい開口76'を
有することが好ましい。開口76'は、長さが10mmで高さが5mmであるこ
とが好ましい。イオンレンズ62'はまた、厚さが1mmであり、ステンレス鋼
でつくられる。5mmから15mmの範囲のその他の開口寸法を用いても、有利
な結果が得られた。一般的にいって、イオンレンズ62の最小寸法はスプレー器
へのアーク放電発生で規定され、イオンレンズ62の最大寸法は空間的限界及び
有効性の低下で規定される。イオンレンズ62は他の導電材料でも構成できるが
、不活性であるためステンレス鋼が用いられる。
【0035】 図5bを参照すれば、イオンレンズ62''は、開口76''の大きさをスロット
付ウインドウピース78により水平方向で変えることができるという点で、調節
可能である。開口76''を大きくするには、スロット付ウインドウピース78を
右に移動させる。同様に、開口76''を小さくするには、スロット付ウインドウ
ピース78を左に移動させる。イオンレンズ62''の開口76''の大きさは、イ
オン信号を最適化できるように調節可能である。本実施形態において、イオンレ
ンズ62''の垂直方向寸法は調整不能であるが、別の実施形態においてイオンレ
ンズ62''に垂直方向調節を容易に組み込むことができる。
【0036】 図5cに、スロット付ウインドウピース78がより詳細に示される。好ましい
実施形態において、スロット付ウインドウピース78は、スロット付ウインドウ
ピース78の水平方向移動を可能にするために用いられる、溝80を有する。ス
ロット付ウインドウピース78はイオンレンズ62''の水平溝(図示せず)に滑り
入れられる。水平溝により、スロット付ウインドウピース78の水平方向移動が
可能になり、イオンレンズ開口76''の大きさを有効に変えることができる。あ
るいは、相異なる寸法をもつ一連のイオンレンズを用いることができる。別の実
施形態において、開口76''の長さは7mmから14mmまで調節可能であるが
、9mmの長さがおそらく好ましい。カバーピース81(図5d)がスロット付ウ
インドウピース78に重ねられ、開口82を貫通するネジがカバーピース81及
びスロット付ウインドウピース78をイオンレンズ62''上に固定する。
【0037】 イオンレンズ62は環状であり、中実の断面を有する。あるいは、イオンレン
ズ62の“リング”は中空とすることができる。イオンレンズ62はさらに、円
、長円、正方、長方、三角の形態またはその他のいずれかの正多角形または非正
多角形あるいは他の2次元形状を有する、連続または非連続の断面を有すること
ができる。イオンレンズ62がスプレー器を実質的に取り囲むように、イオンレ
ンズ62の“リング”部分に間隙があってもよいことに注意されたい。
【0038】 図6a及び6bを参照すれば、毛管66のテーパ付先端74の位置の好ましい
実施形態が示される。本実施形態を支持する実験結果は後に論じられる。本実施
形態において、イオンレンズ62は、毛管66のテーパ付先端74に対して水平
方向に非対称に配置される。毛管66のテーパ付先端74は、イオンレンズ62
の右端からほぼ2mm,イオンレンズ62の左端からほぼ7mmにある。垂直方
向には、毛管66のテーパ付先端74はイオンレンズ62内の中心にある。
【0039】 図6c及び6dを参照すれば、イオンレンズ62内の、毛管66のテーパ付先
端74の位置の第2の好ましい実施形態が示される。本実施形態を支持する実験
結果も後に論じられる。本実施形態において、イオンレンズ62は、毛管66の
テーパ付先端74に対して水平方向及び垂直方向に対称に配置される。イオンレ
ンズ62内のテーパ付先端74の配置はイオン束を増大させるように最適化でき
、スプレー器マウント52の位置は、スプレーマウント52をカーテンプレート
14の開口15に合せた状態、あるいはスプレーマウント52をカーテンプレー
ト14の開口15からオフセットさせた状態等で、カーテンプレート14の開口
15に対して、すなわちスプレー器マウント52からカーテンプレート14まで
の距離を、調節できる。この最適化過程には、イオン源の様々なコンポーネント
上の電位を変えることも含まれる。
【0040】 テーパ付先端74の端面に対する毛管66の軸に沿うイオンレンズ62の位置
が、生成されるイオン信号に影響することも見いだされた。イオンレンズ62は
テーパ付先端74の端面の後方ほぼ0.1から5mmに配置されることが好まし
い。イオンレンズ62をテーパ付先端74の端面の後方ほぼ1から3mmに配置
できることが、より好ましい。イオンレンズ62は、図6bに示されるように、
テーパ付先端74の端面の後方ほぼ2mmに設置されることが、最も好ましい。
イオンレンズ62の有効性は、イオンレンズ62をテーパ付先端74の端面の後
方2mmからさらに前後に移動させると、変わり得る。さらに、生成されたイオ
ンの集束作用を強めるために、イオンレンズ62に高い電位を与えることがおそ
らく好ましい。しかし、スプレー効率が低下することから、イオンレンズ電位が
高まるとともに、スプレー器12の先端74における実効電場は弱まるように思
われる。結局、電場は安定な電子スプレーをつくるに十分な大きさにならない。
【0041】 次にイオンスプレーの実施形態、すなわち、図7に示されるイオンレンズ62
をもつ大流量電子スプレーイオン化源90を参照する。イオンスプレー源90は
、スプレー器マウント52,取付孔54,止めネジ60,毛管66,イオンレン
ズ62,可調節支持体92,可同調マウント94,テフロン(登録商標)アーム
96,スプレー器98,ステンレス鋼ティー100及び配管102を備えること
が好ましい。スプレー器マウント52は、市販型のスタッドマウント(図示せず)
にスプレー器マウント52を取り付けるように適合された取付孔54をもつ、い
ずれかの市販のイオンスプレー源に用いられるマウントと同様である。可調節支
持体92は、止めネジ60によりスプレー器マウント52に取り付けられる。可
調節支持体92は、スプレー器98に対して、さらに詳しくはスプレー器98の
先端99に対して、イオンレンズ62の位置を最適化するためにスプレー器マウ
ント52に取り付けられる。可同調マウント94及びテフロンアーム96はイオ
ンレンズを所定の位置に保持するために用いられる。可同調マウント94は36
0°回転可能であり、イオンレンズ62のスプレー器98に対する角度を精密に
調節することができる。テフロンアームの長さは、テーパ付先端99に対してイ
オンレンズ62を位置決めするために必要な距離に依存して、1から20cmの
範囲とすることができる。
【0042】 使用において、検体溶液が毛管66を通ってステンレス鋼ティー100に進む
。配管102を通してステンレス鋼ティー100に運ばれた噴霧器ガスが、毛管
66を取り囲むステンレス鋼チューブを通って同軸で流れる。噴霧器ガスは圧縮
空気からなるが、窒素、酸素、六フッ化硫黄またはその他のガスに置き換えるこ
とができる。特に、陰イオンモードで動作する場合は、酸素及び六フッ化硫黄の
ような噴霧器ガスが電子捕捉ガスとして有用であり得る。毛管内の検体溶液及び
同軸の噴霧器ガスは、スプレー器98を通ってスプレー器先端99に進む。噴霧
器ガスは、スプレー器先端99における帯電した液滴の分割を補助する。噴霧器
ガスは、かなり大きな検体溶液流量の使用も可能にし、検体試料内の溶媒の気化
にも役立ち得る。(形成され続けている)帯電液滴をイオンスプレーイオン化源9
0に対する対抗電極に付随する開口に導かれる細いイオンビームに集束するため
に、電位がイオンレンズ62に与えられる。好ましい実施形態において、イオン
レンズ62は、高さが6mmで、長さが6mmから12mmまで調節できる、開
口を有する。イオンレンズ62の別の好ましい実施形態には、寸法が12.4m
m×8.90mm,14.10mm×10.2mm,14.92mm×11.1
0mm,17.60mm×13.00mm及び19.3mm×15.00mmの
、長円形状がある。その他の寸法も用いることができる。イオンレンズ62はタ
ーボ−イオンスプレー源との使用にも有効であろうことに注意することが重要で
ある。ターボ−イオンスプレー源では、液滴の気化及びイオンの脱溶媒和化を補
助するために、加熱された補助ガス流が電子スプレー霧柱に導かれる。このター
ボ−イオンスプレーは、本明細書に参照として含まれる、米国特許第5,412
,208号に開示されている。
【0043】 レセルピン試料について、イオンレンズをもつイオン源を質量分析器に用いた
ときに達成されるイオン信号増大を示す、図8a〜8cを次に参照する。図8a
はイオンレンズをもたない市販のイオンスプレー源で得られた質量スペクトルを
示し、図8bはイオンレンズをもたない小流量ESI源で得られた質量スペクト
ルを示し、図8cはイオンレンズをもつ小流量ESI源で得られた質量スペクト
ルを示す。溶液流量は、市販のイオンスプレー源について1μl/分、小流量E
SI源について0.2μl/分とした。レセルピン試料は、1mMの酢酸アンモ
ニウムを含む水10%及びアセトニトリル90%の溶液に、濃度10−5Mで作
成した。レセルピン試料は、ほとんど揮発性の非水性マトリックス内に作成され
、したがってスプレー器電位に対して非常に大きな電位をイオンレンズ上に維持
することができ、よって強いイオン信号が得られた。図8cの実験に対する電圧
パラメータは、小流量スプレー器、カーテンプレート及びイオンレンズについて
それぞれ4000V,2000V及び5700Vとした。図8aでは、電圧パラ
メータをスプレー器及びカーテンプレートについてそれぞれ5000V及び10
00Vとした。図8bでは、電圧パラメータをスプレー器及びカーテンプレート
についてそれぞれ3000V及び1000Vとした。
【0044】 図8a及び図8bでそれぞれ得られたイオン信号104及び106は、若干高
いイオン信号106が小流量ESI源で得られたとはいえ、極めて類似していた
。しかし図8cは、イオンレンズが用いられると、イオン信号108についてか
なりの増大が得られることを示す。イオン信号108は、所定の位置にあるイオ
ンレンズにより、イオン信号104及び106よりほぼ2から2.5倍強い。質
量スペクトルには、脱溶媒和化イオンピーク112のかなりの増大も見られる。
【0045】 β−シクロデキストリンの10−3M溶液について、イオンレンズをもつイオ
ン源を質量分析器に用いたときに達成されるイオン信号増大を示す、図9を次に
参照する。図9aはイオンレンズをもたない小流量ESI源で得られた質量スペ
クトルを示し、図9bは第1の位置にイオンレンズをもつ小流量ESI源で得ら
れた質量スペクトルを示し、図9cは第2の位置にイオンレンズをもつ小流量E
SI源で得られた質量スペクトルを示す。図9bではスプレー器をカーテンプレ
ートからほぼ2mmとし、図9cではスプレー器をカーテンプレートからほぼ1
mmとした。質量スペクトルは全て、10回のスキャンを総和して得た。
【0046】 これらの図は、イオンレンズが用いられたときのβ−シクロデキストリン試料
からのイオン総数の増加を示す。図9a〜9cにおいては、質量対電荷(m/z)
比=1153にある、アンモニウム付加β−シクロデキストリンが主ピーク(す
なわち図9a〜9cのピーク114,116,118)である。第2の主ピーク(
すなわち図9a〜9cのピーク120,122,124)は、m/z比=113
6にあるプロトン化β−シクロデキストリンである。m/z比=326,488
,650,812及び974にあるピークはフラグメントピークである。イオン
レンズが用いられた図9b及び9cにおいて、2.5から3倍の親イオン信号の
、すなわちピーク114に対するピーク118及び116の、増大が見られる。
さらに、図9b及び9cにおいては、3.5倍から5.5倍の、フラグメントピ
ーク毎の増大もある。これらのフラグメントは、質量分析計の第1ポンプ排気差
圧真空段内でのガス分子との衝突による、β−シクロデキストリンからのグルコ
ース分子の順次喪失に対応する。図9b及び9cに示される結果は、印加電位を
、小流量スプレー器及びイオンレンズはともに3000V,オリフィスプレート
は190Vとし、カーテンプレートは1000Vより若干高くして得られた。図
9aでは、電位は、スプレー器、カーテンプレート及びオリフィスプレートにつ
いて、それぞれ3000V,1000V及び190Vとした。
【0047】 実質的に大気圧にある小流量ESI源にイオンレンズが付加された実験におい
て、毛管のテーパ付先端の端面の後方ほぼ0.1から5mm,より好ましくは1
.5〜3mmにイオンレンズが配置されたときにイオンビーム強度が最適化され
ることが見いだされた。図6bに示されるように、水平方向に非対称な配置に毛
管のテーパ付先端を囲んでイオンレンズを設置することが好ましい場合もあった
。テーパ付毛管からイオンレンズの長円形開口の右端までの水平距離は、ほぼ2
mmであった。毛管からイオンレンズの長円形開口の左端までの距離はほぼ7〜
8mmであった。垂直方向では、毛管がイオンレンズ開口の中心にあること;す
なわち、毛管とイオンレンズ開口の上端及び下端との間隔はほぼ2.5mmであ
ることが好ましかった。この実施形態については、小流量ESIスプレー器をカ
ーテンプレート開口の右端近くに配置した。テーパ付先端をイオンレンズ開口の
左端に近寄せて配置し、スプレー器をカーテンプレート開口の左端近くに配置す
ることにより、あるいはイオンレンズを90°回転させ、スプレー器をカーテン
プレート開口の上端または下端近くに配置することにより、同様の結果を得るこ
とができた。他に、図6dに示されるように、水平方向にも垂直方向にも対称な
配置で毛管のテーパ付先端を囲んでイオンレンズを設置することが好ましい場合
もあった。この実施形態においては、スプレー器をカーテンプレート開口前面で
中心に配置した。毛管先端の端面は開口前面で中心に、または中心からずらして
、配置した。最適な結果を得るためには、毛管のテーパ付先端の形状は、先端が
損傷している毛管を用いた場合にはイオンレンズの有益な効果が低下したので、
可能な限り均等であることが好ましかった。別の試験では、イオンレンズ内の(
いずれの方向にも)非対称なテーパ付先端の配置で、有望な結果が示されること
がわかった。
【0048】 実質的に大気圧にある小流量ESI源に適用したイオンレンズの試験結果は、
総イオンカウントのかなりの増加を示した。実際、イオンレンズを小流量ESI
源に適用すると、質量分析計に入るイオンの総数が小流量ESI源だけのときに
比較してほぼ3から4倍増加した。例えば、イオンレンズをもたない市販のイオ
ンスプレー源を用いたβ−シクロデキストリン試料の質量スペクトルにおける全
イオンに対する総カウント率はほぼ130万カウント/秒(cps)であったが、
イオンレンズをもつ小流量ESI源を用いた同じ試料に対する総イオンカウント
ではほぼ550万cpsの総イオンカウントが得られた。イオンレンズをもつ小
流量ESI源による実験ではスプレー器をカーテンプレートに近接して配置した
が、イオンレンズを用いない実験で強い信号を維持するためにはスプレー器をカ
ーテンプレートからかなり離して配置しなければならなかった。
【0049】 β−シクロデキストリン試料について、イオンレンズをもつ実質的に大気圧に
あるイオン源を質量分析計に用いた場合の特定の化合物に対する電荷状態の変化
を示す、図10a〜10bを次に参照する。図10aはイオンレンズをもたない
小流量ESI源で得られた質量スペクトルを示し、図10b及び10cはイオン
レンズをもつ小流量ESI源で得られた質量スペクトルを示す。β−シクロデキ
ストリン溶液は、pH7の約10mM酢酸アンモニアに10−5Mのβ−シクロ
デキストリンを含む。これらの図のそれぞれにある結果は、オリフィスプレート
に140Vの電位を与えて得た。
【0050】 図10aを参照すれば、印加電圧が、ESIスプレー器に3000V,カーテ
ンプレートに1000Vであった。本図では、m/z比=1153にある一価荷
電β−シクロデキストリン126が、質量スペクトルに見られる主イオン種であ
る。図10b及び10cでは、印加電位が、スプレー器について3000V,カ
ーテンプレートについて1580V,イオンレンズについて2850Vであった
。さらに、小流量スプレー器の先端をカーテンプレートに近接して配置した。図
10cについては、小流量スプレー器の先端を図10bに対比してカーテンプレ
ート開口の中心の若干近くにも移動させた。イオンレンズの付加により、m/z
=586にある二価荷電ピーク128及び132を質量スペクトルの他のピーク
に比較して高め得ることがわかる。イオン信号もかなり増大し、一価荷電ピーク
130及び134は図10aのピーク126からわずかしか変化していないが、
検出された全β−シクロデキストリンイオンは3.3倍に増加している。図10
aについては、より大量の二価のβ−シクロデキストリンイオンを生成すること
は不可能であった。二価荷電β−シクロデキストリンについてのイオン信号の上
記増大が一価荷電分子に対するイオン信号をわずかしか減少させずに得られてい
ることに注意することが重要である。
【0051】 特定のイオンの電荷状態を変化させ得るイオンレンズの能力は、シトクロムc
タンパク溶液を分析している質量分析計に適用されたイオン源について得られた
質量スペクトルを示す、図11a〜11cにも見られる。図11aはイオンレン
ズをもたないイオンスプレーイオン源で得られた質量スペクトルであり、図11
bは小流量電子スプレーイオン源で得られた質量スペクトルであり、図11cは
イオンレンズをもつ小流量電子スプレーイオン源で得られた質量スペクトルであ
る。溶液は、酢酸をほぼ1%含む水にシトクロムcを100μM/リットルの濃
度で含む。図11a〜11cの質量スペクトルにあるピークは、シトクロムcタ
ンパクの様々な電荷状態に対応する。m/z比=1547にあるピーク136は
+8の電荷状態に対応する;m/z比=1375にあるピーク138は+9の電
荷状態に対応し、m/z比=1238にあるピーク140は+10の電荷状態に
対応する。全ての場合において、最大イオン信号が得られるようにイオン源を調
節した。イオンレンズの付加により、特定の電荷状態をもつタンパクに対するイ
オン信号の選択的増強が可能になる。イオンレンズをもたないイオンスプレー源
(図11a)に対する印加電位は、スプレー器について4796V,カーテンプレ
ートについて1000Vであった。さらに、噴霧器ガスを30psi(約2.0
7×10Pa)の圧力で用いた。イオンレンズをもたない小流量ESI源(図1
1b)に対しては、印加電位は、スプレー器について3374V,カーテンプレ
ートについて1560Vであった。イオンレンズをもつ小流量イオン源(図11
c)に対しては、印加電圧は、スプレー器に4000V,カーテンプレートに2
000V,イオンレンズに4200Vであった。質量分析計のその他のパラメー
タは全て、図11a〜11cの質量スペクトルについて一定であった。
【0052】 電荷状態を変化させ得る能力は、イオンレンズに与えられる電位及びカーテン
プレートにある開口に対するスプレー器の位置を変えることにより生じさせるこ
とができる。実際、糖及びタンパクに対しては、イオンレンズに与える電位を高
くするほど、より高い電荷状態のイオンの生成または質量分析器内への集束に有
効であり得る。ブラジキニンを用いて行った実験は、イオンレンズの、より高い
電荷状態(+2及び+3)のペプチドに対するイオン信号をかなり増大させること
ができ、同時に一価荷電背景溶媒ピークに対する信号を減少させるかまたは維持
することができる能力を明らかに示す。このことにより、多重荷電ペプチドピー
クの雑音対信号比をかなり(すなわち3から4倍に)高めることができる。
【0053】 イオンレンズの使用により、様々の度合の、検体試料内の親イオンのフラグメ
ンテーションを生じさせることもできる。図12a〜12cを次に参照すれば、
イオンレンズをもつ小流量ESI源を質量分析計に適用して得られた質量スペク
トルが示される。試料は、図9a〜9cについて先に述べた、βシクロデキスト
リンとした。これらの図のそれぞれにおける結果は、印加電位を、オリフィスプ
レートで190V,カーテンプレートで1000V,スプレー器で3100V,
下流の質量分析器の第1真空段内のスキマーで110Vとして得た。イオンレン
ズへの印加電位は、図12a〜12cについて、それぞれ3750V,5100
V及び4500Vとした。イオンレンズへの印加電位を高めることにより、スプ
レー器をカーテンプレート開口に若干近づけて配置することが可能になる。それ
ぞれの図に対し、スプレー器は開口の前面に配置し、カーテンガス流量は一定と
した。図12cについては、スプレー器の先端をカーテンプレートとほぼ同一面
に配置した。図12a及び12bについては、小流量スプレー器先端の後方ほぼ
2mmにイオンレンズを配置した。図12cについては、イオンレンズとカーテ
ンブレーととの間にアークを発生させずに小流量スプレー器先端をカーテンプレ
ートとほぼ同一面に設置できるように、イオンレンズを小流量スプレー器先端の
後方でさらに遠くに(ほぼ4mm後方に)移動させた。m/z比=326,650
,488,812及び974にあるピークは、下流の3段四重極質量分析計の第
1ポンプ排気差圧真空領域における衝突誘起解離により生成されたフラグメント
イオンに対応する。イオンスプレーの生成点が質量分析計の入口開口に近づくほ
ど、フラグメントイオンピークの強度は減少する。このデータは、カーテンプレ
ートに対するスプレー器先端の位置の調節及び適切なレンズ電位の設定によりイ
オンフラグメンテーションの度合を変え得ることを明らかに示す。
【0054】 質量スペクトルの変化が、電子スプレー機構自体の変化によるか、あるいは、
図12b及び12cにおいてより高い度合の溶媒和を気相イオンに生じさせ得る
、帯電液滴がカーテンプレート開口のより近くで生じているという事実によるか
は、現時点では明らかではない。より高い度合のイオン溶媒和には、脱溶媒和を
達成するために、オリフィスプレートと下流の質量分析計内のスキマーとの間に
高められた内部入力エネルギーが必要である。したがって、オリフィスプレート
と質量分析計内のスキマーとの間の固定電位差に対して、イオンフラグメンテー
ションに利用できるエネルギーは小さくなるであろう。溶媒和の増進は、図8c
にあるような質量スペクトルだけでなく他の質量スペクトルにおいても溶媒和化
イオンに対して実験的に観察される、高められた信号と整合している。レセルピ
ンピーク(m/z比=609)より大きなm/z比にあるいくつかのピークの間隔
は、高められたイオン信号の内のいくらかはより高次の溶媒和によることを示唆
する、18m/z比単位であった。
【0055】 イオンレンズの使用によるイオン信号の増大は、スプレー器先端近傍の等電位
線の変化によるとすることができる。図13を次に参照すれば、イオンレンズ6
2をもつ小流量ESI源のシミュレーション結果が示される。このシミュレーシ
ョンに対し、印加電位は、イオンレンズ62について5100V,スプレー器1
2について3500V,カーテンプレート14について2000V,オリフィス
プレート18について190V,外囲器20について0Vとした。シミュレーシ
ョン結果は、イオンレンズ62がスプレー器12の先端近くに設置されたときに
、スプレー器12の先端近傍に発生する等電位線の形状が改善されていることを
示す。スプレー器12の先端における等電位線は、図2のスプレー器12の先端
近傍の等電位線と比較して、より平坦である。したがって、スプレー器12の先
端近傍で得られる電気力線は、カーテンプレート14の開口15を直に指向する
イオン軌道160を生じさせる。図13の構成により、イオン軌道の広がりが小
さくなり、概ね所望のイオン伝搬軸方向にイオン軌道を導く。この結果、図2に
見られるデフォーカス作用が小さくなる。したがって、質量分析器のような下流
の装置(図示せず)のオリフィス16に向けて、より多くのイオンが導かれる。
【0056】 図1に示されるイオン源と同様の、実質的に大気圧にあるイオン源のスプレー
器に近接して配置されたイオンレンズに関してなされたシミュレーションの結果
を示す、図14を次に参照する。本シミュレーションにおける印加電位は、スプ
レー器12について5000V,イオンレンズ62について5000V,カーテ
ンプレート14について1000V,オリフィスプレート18について190V
,外囲器20について0Vとした。本例においてスプレー器12及びイオンレン
ズ12に与えられる電位は等しいが、これは必須ではない。図14は、スプレー
器12の先端近傍の等電位線が比較的平坦であり、よって生成されたイオンの軌
道が伝搬軸162に沿ってより強く局限されることを示す。本シミュレーション
においては、スプレー器12の先端がカーテンプレート14の開口15に揃えら
れていないが、オリフィス16に送られるイオン信号は強められる。本実施形態
において、スプレー器12はカーテンプレートに対してほぼ45°の角度に向け
られるが、その他の方位も等しく有効であることが当業者には明らかであろう。
【0057】 イオン信号の安定性に関するイオンレンズの効果を決定するための実験も行っ
た。この実験は、イオンレンズの使用により、質量分析器でモニタされるイオン
信号の時間軸上の安定化が得られることを示した。イオン信号の安定性は、10
ミリ秒間隔でなされた繰返し測定に対して得られたイオン信号の相対標準偏差を
用いて測定した。この測定は、従来のイオンスプレー源では、相対標準偏差が、
イオンレンズを用いて得られる相対標準偏差よりほぼ2倍大きいことを示した。
カーテンプレートの開口に対するスプレー器の位置へのイオン信号の依存性が弱
くなり、このためイオン源外囲器内でのスプレー器の位置の最適化がかなり容易
になることも見いだされた。これらの結果を次に論じる。
【0058】 上記実験では、図7に示されるイオンスプレー源に類似のイオンスプレー源を
構成した。スプレー器98の先端99の外径はほぼ450μmとした。外形がほ
ぼ150μmで内径がほぼ50μmの石英ガラス毛管をスプレー器に収めた。1
から4μl/分の間の溶液流量を用いた。本実験に用いた試料は、pHが7の酢
酸アンモニウムを10mM含む水内のβ−シクロデキストリンの1mM溶液であ
る。スプレー器はカーテンプレートからほぼ7.5mmに配置した。スプレー器
及びカーテンプレートに与えた電位は、それぞれ6000V及び1800Vであ
った。本実験では、2055から5000Vの電位をイオンレンズに与えること
が好ましく、電位が5000Vより高い電位をイオンレンズに与えたときにはイ
オン信号の維持が不可能であることが示された。このイオンスプレー源を、イオ
ンスプレー源でつくられたイオン信号を分析するために通常の3段四重極質量分
析計に適用した。
【0059】 酢酸アンモニウム内のβ−シクロデキストリン試料に対する実験結果は、質量
スペクトル内の主ピークが、m/z比=1153にある、アンモニア付加シクロ
デキストリンであることを示した。実験結果は、イオンレンズが、繰返し測定の
相対標準偏差(RSD)により決定されるようなイオン信号の短期安定性を向上さ
せることも示した。実際、イオンレンズをもつイオンスプレーレー源に対するR
SDは、イオンレンズをもたない通常のイオンスプレー源に比較してほぼ1/2
になった。イオンレンズにより、質量スペクトル内のピーク間の比のより精密な
計算も可能になった。さらに、イオン信号の強度がほぼ1.5倍になった。
【0060】 特に、表1は、ほぼ15分の測定時間にわたる、イオンレンズをもたないイオ
ンスプレー源とイオンレンズをもつイオンスプレー源との間の信号安定性の比較
を示す。800から1200のm/z比範囲を滞留時間10ミリ秒でスキャンし
た。測定したイオン信号の標準偏差を得るため、20回の繰返し測定を平均した
。20回の測定のそれぞれは10スキャンの結果である。これらの測定のそれぞ
れに対して、可能な限り安定なイオン信号を得るためにスプレー器及びイオン経
路のパラメータを最適化した。この場合、同等の信号強度が生じるように、イオ
ンレンズをもつイオンスプレー源をイオンレンズをもたないイオンスプレー源に
同調させる。イオンレンズをもたないイオンスプレー源に対しては3%より若干
小さな平均RSDが得られた。イオンレンズの付加により、RSDはほぼ1/2
.0になった。しかし、イオンスプレー源によるいくらかの不安定性がまだ存在
する。表1の最終行は、イオンスプレー源が完全に安定であったとすれば(すな
わちRSDが純粋にイオンカウント統計により決定されたとすれば)、得られる
であろうRSDを示す。
【0061】
【表1】 質量スペクトル内の2つのピーク間の比を得ることができる能力がイオンレン
ズにより向上したことを示す、表2を次に参照する。本実験において、2つのピ
ークは、m/z比=1136にあるプロトン化シクロデキストリン及びm/z比
=1153にあるアンモニウム付加シクロデキストリンに対応する。m/z比=
1136にあるピークは、オリフィスと下流の3段四重極質量分析計のスキマー
との間の領域内での衝突により生成された。上記ピークの平均比を決定するため
に6回の繰返し測定を行った。表2は、イオンレンズをもたないイオンスプレー
源に対する代表的なRSD値が3%より若干大きかったことを示す。しかし、イ
オンスプレー源の先端近くのイオンレンズの付加により、RSDはほぼ1.4%
まで小さくなった。すなわち、イオンレンズをもつイオンスプレー源は、同位体
比の決定におけるような、質量スペクトル内のピークの比の正確な読みが必要と
される用途において、精度を向上させるために用いることができる。ここでも、
イオンスプレー源によるいくらかの不安定性がまだ存在する。表2の最終行は、
イオンスプレー源が完全に安定であったとすれば(すなわちRSDが純粋にイオ
ンカウント統計により決定されたとすれば)、得られるであろうRSDを示す。
【0062】
【表2】 表3を次に参照すれば、アンモニウム付加シクロデキストリンのピーク強度の
読みを(10ミリ秒の滞留時間を用いて)1分間にわたり1498回とることを含
む試行実験を行うことによりRSDを計算した。試料流量は4μl/分とした。
提示されるデータは4回の実験の平均である。表3は、イオンレンズをもつイオ
ンスプレー源については、イオンレンズをもたないイオンスプレー源に比較して
イオン信号が1.5倍より若干強くなり、RSDがほぼ4.1%からほぼ2.6
%まで小さくなることを示す。ここでも、イオンスプレー源によるいくらかの不
安定性がまだ存在する。表3の最終行は、イオンスプレー源が完全に安定であっ
たとすれば(すなわちRSDが純粋にイオンカウント統計により決定されたとす
れば)、得られるであろうRSDを示す。
【0063】
【表3】 イオンレンズをもつイオンスプレーについて達成できるイオン安定性は図15
〜17にも示される。データは、m/z比=1153にあるシクロデキストリン
イオン及びm/z比=1136にあるプロトン化シクロデキストリンに対するイ
オン信号をモニタしながら、複数イオンモードで収集した。図15〜17におい
ては、縦軸はイオン/秒として計算したイオン信号の(10を底とする)対数であ
り、横軸は測定番号である。それぞれが10ミリ秒の測定が3000回あり、し
たがって横軸は0から30秒に及ぶ。図15は、イオンレンズをもたないイオン
スプレー源を用いて、m/z比=1152にあるシクロデキストリンに対するイ
オン信号をモニタしながら複数イオンモードで得られた、信号対時間のグラフを
示す。信号には、正確な測定値を得ることを困難にする、大きな“不規則変化”
がある。図16は、m/z比=1152及び1135にあるイオン信号をモニタ
しながら複数イオンモードで得られた、イオンレンズをもつイオンスプレー源か
らの信号を示す。これらの信号はより安定である。図17は、イオンレンズの電
位及びイオンレンズの位置をさらに最適化した後に、m/z比=1152にある
イオン信号をモニタしながら得られた、イオンレンズをもつイオンスプレー源か
らの信号を示す。この信号もより安定である。
【0064】 イオン信号対、実質的に大気圧にあるイオンスプレー源のスプレー器のカーテ
ンプレートの開口の右端に対する、位置のグラフを示す図18を次に参照する。
イオンレンズをもたないイオンスプレー源(データ点:◆)及びイオンレンズをも
つイオンスプレー源(データ点:■)について、データが示される。図18は、ス
プレー器の位置が変化したときにイオンレンズをもつイオン源についてはイオン
レンズをもたないイオン源と比較してイオン信号がそれほど大きく減衰しないか
ら、イオンレンズによりイオンスプレー源の処置がより容易になることを示す。
図18において、0mmと定められるx軸に沿う点は、スプレー器をカーテンプ
レートの開口の右端に合せて配置した場合の点である。開口からの距離はイオン
源外囲器の上部に取り付けた定規で測定した。
【0065】 図18は、イオンレンズをもつイオンスプレー源のスプレー器の移動範囲がカ
ーテンプレートの開口の右端から0mmから2mmの間では、イオン信号はほぼ
一定(最大イオン信号すなわち0mmにおけるイオン信号の90%)のままである
ことを示す。イオンレンズにより得られた改善は、6mmより大きい距離でさら
に明白になる。7mmにおいて、イオンレンズをもたないイオンスプレー源に対
するイオン信号は最大イオン信号のほぼ25%まで低下した。しかし、イオンレ
ンズをもつイオンスプレー源について得られたイオン信号はまだ最大イオン信号
の50%より大きい。8mmの距離において、イオンレンズをもたないイオンス
プレー源に対するイオン信号は最大イオン信号のほぼ1%まで低下したが、イオ
ンレンズをもつイオンスプレー源に対するイオン信号はまだ最大イオン信号の4
6%より大きい。実際、所定の位置にあるイオンレンズにより、14mmの距離
にあってさえイオン信号が維持される。すなわち図18は、イオンレンズをもつ
イオンスプレー源が用いられる場合に、イオン源に対するスプレー器の水平方向
位置へのイオン信号の依存性が弱くなることを示す。
【0066】 イオンレンズをもたないイオンスプレー源のスプレー器(○で表されるデータ
点)及びイオンレンズをもつイオンスプレー源のスプレー器(+で表わされるデー
タ点)の垂直方向位置へのイオン信号の依存性を示す、図19を次に参照する。
このデータは、イオンスプレー源のスプレー器をカーテンプレートの開口の右端
からわずかにずらして配置して収集した。図19によれば、いずれのスプレー源
に対する最大信号も、ほぼ0mmの(すなわち、スプレー源がカーテンプレート
の開口の中心と同じ垂直方向高さにある)垂直方向位置にあった。実験データは
、カーテンプレートの開口の中心より高い位置及び低い位置の全てにおいて、よ
り強い信号がイオンレンズをもつイオンスプレー源に対して得られたことを示す
。イオンレンズをもたないイオンスプレー源のスプレー器の位置を高い方に5m
m移動させると、イオン信号は最大イオン信号のほぼ1%になったが、同じ位置
において、イオンレンズをもつイオンスプレー源についてのイオン信号は最大イ
オン信号の70%であった。イオンレンズをもたないイオンスプレー源に対して
スプレー器の位置をさらに高くすると、イオン信号は完全に消滅した。しかし、
イオンレンズが所定の位置にあると、カーテンプレートの開口の中心より上方1
5mmの垂直方向位置にあってさえ、強いイオン信号(最大イオン信号の35%)
が維持された。スプレー器を低い方に5mmまで下げていったときにも同様の結
果が得られた。図18及び19は、イオンレンズを用いれば、イオンレンズ電位
がそれぞれのイオンレンズ位置で最適化されていない場合でさえ、イオン信号が
スプレー器の位置にそれほど影響されないことを示す。
【0067】 表1〜3及び図15〜19は、イオンスプレー源へのイオンレンズの付加によ
り、より強く、より安定なイオン信号が得られることを示した。さらに、イオン
レンズの付加により、得られるイオン源に極めて有害な影響を与えることなくス
プレー器の位置を数mm変えることができるから、処置がかなり容易な装置が得
られる。2つの重要な因子は、スプレー器先端に沿うイオンレンズの位置及びイ
オンレンズに与えられる電位であった。有利な結果は、イオンスプレー源のスプ
レー器の先端の後方の好ましくは1〜3mmにイオンレンズを配置したときに得
られた。ある範囲の大きさの様々なイオンレンズがイオンスプレー源に有用であ
ることも見いだされた。最適化に対して高められた信号安定性及び弱められたス
プレー器位置依存性は、スプレー器の位置が観測されるイオン信号に劇的な影響
を与え得る、同位体分析、LC質量分析及びCE質量分析のような用途に対して
は特に、重要な恩恵である。
【0068】 広汎な条件にわたって安定なイオン信号がイオンレンズにより得られることを
示す、図20を次に参照する。図20は、リニアスキャン対、0から16分の、
時間に関するイオン信号のグラフである。図20の測定されたイオン信号は、ア
プライドバイオシステムズ/MDSサイエックス(Applied Biosystems/MDS Scie
x)社でつくられたQ−スター(Q-Star)質量分析計にイオンを供給する、イオンレ
ンズが装着されたプロタナ(Protana)小流量イオン源を用いて得られた。印加電
位は、スプレー器について3000V,イオンレンズについて1000V,カー
テンプレートについて526Vとした。スプレー器の内径はテーパ付端面におい
てほぼ15μmであった。カゼインタンパク蒸解物の試料は、酢酸1%を含む水
90%及びアセトニトリル10%溶液に作成した。ほぼ2.8分170に、スプ
レー器に与えた電位を取り去った。この結果、イオン信号は0cpsまで落ちた
。次いで、ほぼ3.4分172に、スプレー器に元の値の電位を再び与え、イオ
ン信号強度も元のレベルに復帰した。ほぼ4.25分174に、イオンレンズに
与えた電位を取り去り、ほぼ4.6分176にイオンレンズに元の値の電位を再
び与えた。この場合も、イオンレンズに与えた電位を取り去ったときにイオン信
号強度は0cpsまで落ちたが、イオンレンズに再び電位を与えるとイオン信号
強度は元のレベルに復帰した。次いで、5.13分178に溶液流量を0に設定
し、続いて5.9分180に流量設定を元の値に戻した。この結果、イオン信号
は、溶液流量が0のときに0cpsまで落ちたが、溶液流量を元の値に設定する
とすぐに元のレベルに復帰し、その後上向きのスパイクが発生した。このスパイ
クは、溶媒の蒸発による、スプレー器のテーパ付先端における濃度効果によるも
のであった。7.51分184に、スプレー器をカーテンプレートから離れる方
向に移動させ、8.13分186までそのままにしておいた。イオン信号強度は
低下したが、まだ観測された。8.45分188から12.8分190までの時
間、カーテンプレートの開口に対してスプレー器を左右に移動させた。この場合
も、イオン信号はまだ検出可能であった。残りの試験データについては、イオン
信号を消滅させようとして、質量分析計の入口開口に対するスプレー器の位置を
変えた。電位を切るまでイオン信号は存続した。図20に示される結果は、ある
パラメータの値が変化したとしても、そのパラメータが元の値に戻ればイオン信
号強度も元と同じレベルに復帰することを明らかに示す。図20は、水の濃度が
高い(水90%)試料に対してこの装置が有効であることも明らかに示す。図20
に提示されたデータがy軸上の等分目盛でプロットされていることに注意するこ
とが重要である。このため、y軸が対数目盛をもつ図16及び17に提示された
データよりも、イオン信号の安定性が低いように見えている。
【0069】 電荷状態へのイオンレンズの効果を時間軸上で示す、図21a〜21dを次に
参照する。図21a〜21bは、プロタナイオン源を用いた、レンズ電位を変化
させたときのイオン強度対時間のグラフである。図21aの上段のグラフは、イ
オンレンズ上の電位を500Vから3000Vまで高めていったときの、β−カ
ゼインタンパクの蒸解物に対する総イオンカウントを示す。上段のグラフは、背
景雑音に寄与する不必要な一価イオンの減少により総イオンカウントが減少した
ことを示す。中段及び下段のグラフは、イオンレンズに与えられる電位が高めら
れると、三価及び二価ペプチドイオンについてのイオン信号が強まることを示す
。したがって、二価及び三価ペプチドイオン信号強度が高まると同時に、雑音に
寄与する不必要な一価イオンが減少がおこる。これにより、イオン信号の信号対
雑音比が高まることになる。図21bは、イオンレンズに与える電位を高めてい
ったときの、総イオンカウントの拡大図を示す。図21c及び21dは、0.4
3分(図21bの点191)及び2.1分(図21bの点192)にとられたイオン
信号の質量スペクトルを示す。図21cの質量スペクトルは、約686の質量対
電荷比(領域193)における三価ペプチドイオン及び約1031の質量対電荷比
(領域194)における二価ペプチドイオンの検出が困難であることを示す。しか
し、イオンレンズにより高い電位が与えられたときにとられた図21dの質量ス
ペクトルは、ここでは三価ペプチドイオン信号193'及び二価ペプチドイオン
信号194'がともに観察されることを示す。したがって、より高い電位をイオ
ンレンズに与えたときには、得られる質量スペクトルの雑音がかなり小さくなり
、イオン強度がより高くなって、多価ペプチドイオンに対する信号対雑音比が高
くなった。
【0070】 イオンレンズをもつ小流量イオン源及びイオンレンズをもたない小流量イオン
源を用いた実験結果を示す、図22a及び22bを次に参照する。スプレー器の
内径は15μmであった。図22aは質量スペクトル内で一価雑音イオン198
が多価ペプチドイオン200よりも大きく存在していることを示す。図22aに
示される結果は、可能な限り最良のイオン信号が得られるようにカーテンプレー
ト及びスプレー器に与える電位を調節したときに得られた。しかし、それでも得
られた質量スペクトルにはかなりの雑音がある。対照的に、図22bの質量スペ
クトルは、イオンレンズの付加により、はるかに有利な結果が得られことを示す
。一価雑音イオン198'の寄与が低減され、多価ペプチドイオン200'のイオ
ン信号強度が16から44cpsに高められた。これはほぼ2.5から3倍の信
号増強を表す。このことは、多価イオンが検出されるべき用途に重要である。
【0071】 図23a及び23bを次に参照すれば、グルフィブリノペプチド試料が、流量
が3μl/分の標準的なイオンスプレー源を有する質量分析計(図23a)及び流
量が400nl/分でイオンレンズをもつ小流量イオンスプレー器を有する質量
分析計(図23b)で分析された。これらの図は、二価グルフィブリノペプチドイ
オン202についてのイオン強度がイオンレンズの使用によりほぼ110cps
から300cps(図23bのピーク204)に高められたことを示す。感度は図
23a及び23bの左側の垂直目盛で示される。これは約2.7倍の増強である
。さらに、図23bのイオン信号波形206はイオン信号波形208よりかなり
平坦であるから、イオンレンズの使用により、RSDがより小さいイオン信号が
得られた。測定したRSDは、イオンレンズを用いると1/2になった。
【0072】 イオンレンズをもたない小流量イオン源及びイオンレンズをもつ小流量イオン
源に与えられたβ−カゼインの蒸解物の500フェムトモル試料について得られ
たイオン信号を示す、図24a〜24dを次に参照する。流量は200〜400
nl/分程度とした。図24a及び24bは、イオンレンズにより質量スペクト
ルにおいてイオン信号強度の増大(212'対212)が得られたことを示す。図
24c及び24dは時間ドメインにおける同様の結果を示す。イオンレンズの付
加により、背景雑音が減少し(214'対214)、ペプチドイオン信号が強くな
った(216'対216)。この場合、信号対雑音比が4倍より高くなった。
【0073】 図25a及び25bを次に参照すれば、イオンレンズをもたない小流量イオン
源及びイオンレンズをもつ小流量イオン源に与えられた別のβ−カゼイン蒸解物
試料についての質量スペクトルがそれぞれ示される。イオンレンズの付加により
、図25bにおいて三価ペプチドイオンピーク218'をより容易に検出するこ
とができたが、イオンレンズがない図21aにおいては、三価ペプチドイオンピ
ーク218は、ピーク強度が低く、背景雑音強度が高いために検出が困難であっ
た。ペプチドイオンピーク強度は、イオンレンズの付加により3.5倍高められ
た。
【0074】 図26a及び26bを次に参照すれば、グラフは、図25a及び25bに示さ
れる三価ペプチドイオンピーク218及び218'の近傍における背景雑音強度
をそれぞれ示す。図26aはイオンレンズのない小流量イオン源についての背景
雑音であり、図26bはイオンレンズがあるときの背景雑音である。図26a及
び26bは、イオンレンズがあってもなくても同じであることを明らかに示す。
したがって、図25a及び25bに示される信号増強は背景雑音の増大をもたら
さず、よって信号対雑音比はほぼ3.5倍に高められる。
【0075】 図27a及び27bを次に参照すれば、イオンレンズをもたない小流量イオン
源及びイオンレンズをもつ小流量イオン源に与えられたβ−カゼイン蒸解物試料
についての質量スペクトルがそれぞれ示される。図27aに示される(すなわち
イオンレンズがない)質量スペクトルにおいては、二価ペプチドイオン信号22
2は検出が困難である。図27bに示される(すなわちイオンレンズがある)質量
スペクトルにおいては、二価ペプチドイオン信号222'は検出がより容易であ
る。また、二価ペプチドイオン信号222'についてのイオン信号強度は、イオ
ンレンズを用いたときにかなり高くなる。
【0076】 図28a及び28bを次に参照すれば、ウシ血清アルブミン蒸解物の100フ
ェムトモル試料がイオンレンズをもつナノ-HPLC−MSに与えられた。スプ
レー器に対する液流量は100〜300nl/分とし、スプレー器の内径は15
μmであった。試験結果は、イオンレンズを用いたときに、信号対雑音比が十分
に高められることを示した。スキャン毎に検出された2つの最も強いペプチドイ
オン信号についてタンデム型質量分析法(MS/MS)を実施した。最も強いペプ
チドイオン信号からのペプチドフラグメントについての総イオンカウントが、図
28aの上から3段目のグラフに示される。2番目に強いペプチドイオン信号の
ペプチドフラグメントについての総イオンカウントが、図28aの最下段のグラ
フに示される。最大数のペプチドイオンが14分頃に観測された。図28bの上
段のグラフは、実験の14.53分に得られた質量スペクトルを示す。図28b
の下段のグラフは、m/z比=480.6にある主ペプチドイオン信号について
のフラグメントイオンスペクトルを示す。図28a及び28bに示される結果は
イオン源にイオンレンズを用いなければ得ることができないから、このデータは
重要である。
【0077】 イオンレンズをもつナノ-HPLC−MSに与えられた50フェムトモルのウ
シ血清アルブミン蒸解物について測定されたイオン信号を示す、図29を次に参
照する。カラムの状態調整を行うため、ナノ-HPLC−MSを使用する前に、
装置を通してポンプで水を流さなければならないから、イオンレンズは非常に重
要である。イオンレンズが用いられない場合には、水がその大きな表面張力によ
りスプレー化過程を途絶させるから、ESIインターフェースは動作しないであ
ろう。疎水性ペプチドと親水性ペプチドを分離するために水と有機溶媒との勾配
を用いた。試験は早めに終了させたが、ペプチド230が試験開始後11.5分
から17分の間に検出された。次いで、蒸解されたタンパクを同定するために、
測定されたイオン信号をデータベースと照合した。タンパクは、ランダムイオン
信号(すなわち雑音信号)について生じるであろう確実性よりほぼ300桁高い確
実性をもって、正しく同定された。この試験結果は、ペプチドイオン信号に対す
る検出限界が、実験に用いた50フェムトモルの蒸解物よりかなり低いことを示
す。さらに、本試験は、イオンレンズがナノ-HPLC−MS測定の信頼性を大
きく高めることを示す。
【0078】 本発明の別の実施形態において、スプレー器に近接して1つより多くのイオン
レンズをイオン源に設置することができる。図30を参照すれば、スプレー器を
囲む2つの同軸イオンレンズをもつイオン源に対する等電位線を示すシミュレー
ションについての結果が示される。イオン源は、スプレー器12,カーテンプレ
ート14,カーテンプレート14の開口15,オリフィス16,オリフィスプレ
ート18,イオン源外囲器20,内イオンレンズ240及び外イオンレンズ24
2を備える。本シミュレーションでは、印加電位は、スプレー器12について3
800V,カーテンプレート14について1800V,オリフィスプレート18
について190V,内イオンレンズ240について4200V,外イオンレンズ
242について6000Vとした。結果は、等電位線がスプレー器12の先端の
直前で平坦であり、カーテンプレート14の開口15に向けてイオンを集束させ
ることを示す。
【0079】 内レンズ240と外レンズ242に与えられる電位が反転されていること以外
は図30に示される構成と同じイオン源構成に対する等電位線を示すシミュレー
ションの結果を示す、図31を次に参照する。内レンズ240に与えられる電位
は6000Vであり、外レンズ242に与えられる電位は4200Vである。得
られた等電位線はこの場合もスプレー器12の先端の直前で平坦であり、カーテ
ンプレート14の開口15に向けてイオンを集束させるはずである。
【0080】 イオンレンズ240'と242'とがスプレー器12の軸に沿って若干ずらされ
て配置されていること以外は図30に示される構成と同じイオン源構成に対する
等電位線を示すシミュレーションの結果を示す、図32を次に参照する。420
0Vの電位がスプレー器12に与えられ、5500Vの電位がイオンレンズ24
2'に与えられ、3500Vの電位がイオンレンズ240'に与えられる。カーテ
ンプレート14は1800Vの電位にバイアスされ、オリフィスプレート18は
190Vの電位にバイアスされ、外囲器20は接地電位にある。シミュレーショ
ン結果は、等電位線がスプレー器12の直前で平坦であり、スプレー器12の軸
に対して垂直であることを示す。したがって、本構成はオリフィスプレート18
のオリフィス16に向けてイオンを集束させるはずである。
【0081】 イオンレンズ240''と242''とがスプレー器12の軸に沿ってかなりずら
されて配置されていること以外は図30に示される構成と同じイオン源構成に対
する等電位線を示す別のシミュレーションの結果を示す図33を次に参照する。
スプレー器12に4200Vの電位が与えられ、イオンレンズ240''に550
0Vの電位が与えられ、イオンレンズ242''に3500Vの電位が与えられる
。カーテンプレート14は1800Vの電位にバイアスされ、オリフィスプレー
ト18は190Vの電位にバイアスされ、外囲器20は接地電位にある。この場
合も、シミュレーション結果は、等電位線がスプレー器12の直前で平坦であり
、スプレー器12の軸に対して垂直であることを示す。したがって、本構成はオ
リフィスプレート18のオリフィス16に向けてイオンを集束させるはずである
【0082】 イオンレンズ240'''と242'''とがスプレー器12の軸線に沿って並べて
配置されていること以外は図30に示される構成と同じイオン源構成に対する等
電位線を示す別のシミュレーションの結果を示す図34を次に参照する。図34
に示唆されているように、イオンレンズ240'''と242'''の寸法が同じであ
る必要はないことに注意されたい。4200Vの電位がスプレー器12に与えら
れ、5500Vの電位がイオンレンズ240'''に与えられ、3500Vの電位
がイオンレンズ242'''に与えられる。カーテンプレート14は1800Vの
電位にバイアスされ、オリフィスプレート18は190Vの電位にバイアスされ
、外囲器20は接地電位にある。この場合も、シミュレーション結果は、等電位
線がスプレー器12の直前で平坦であり、スプレー器12の軸に対して垂直であ
ることを示す。本構成はオリフィスプレート18のオリフィス16に向けてイオ
ンを集束させるはずである。
【0083】 図30から34に示される結果は、生成されたイオンを開口に向けて集束させ
るために、2つのイオンレンズを1つのイオン源とともに用い得ることを示す。
あるいは、2つより多くのイオンレンズを用いることもできる。基本的構想は、
等電位線がスプレー器の直前でより有利になることができて、さらに強められた
イオン信号が得られるように、追加の1つ(または複数の)イオンレンズへの電位
印加によりさらに最適化を図るための機会を、1つより多くのイオンレンズが提
供することにある。追加のイオンレンズは、図30及び31に示されるように同
軸に配置するか、あるいは図32及び33に示されるようにずらして配置するか
、あるいは図34に示されるようにスプレー器の軸に沿って軸方向に並べて配置
することができる。
【0084】 本発明の別の実施形態において、イオンレンズの使用を、複数のスプレー器を
有するイオン源に拡張することができる。図35を参照すれば、スプレー器取付
ブラケット252,取付孔254,導電性タブ256,イオンレンズ258,第
1の毛管260及び第2の毛管262,第1のスプレー器264及び第2のスプ
レー器266,2つの毛管バット接続268及び269,シリンジポンプ270
及び電子スプレー電源272を備える、二連小流量電子スプレーイオン源250
が示される。2つのスプレー器264及び266は、(外径が150μmで内径
が50μmの)石英ガラス毛管を引き伸ばして、内径を(他の直径も用い得るが)
ほぼ15μmにした。2つのスプレー器264及び266のテーパ付先端の端面
の後方ほぼ2mmに、イオンレンズ258を設置した。イオンレンズ258はス
テンレス鋼で作成し、図5aに示される形状と同様の長円形とした。イオンレン
ズ258の開口(図示せず)は、長さを10.3mm,高さを4.6mm,厚さを
1.2mmとしたが、他の寸法も用いることができる。2つのスプレー器264
及び266はイオンレンズ258の中心線上においた。あるいは別の、単イオン
レンズ及び単スプレー器の場合について先に示した構成のような、構成を用いる
ことができる。すなわち複数のスプレー器を、イオンレンズ258の2つの中心
線の内の1つに対してあるいはいずれに対しても非対称に配置することができる
。さらに、複数のスプレー器は相異なる長さを有することができる。使用におい
て、2つのスプレー器264及び266を、スプレー器264及び266のテー
パ付先端の周りに配置されたイオンレンズ258と同時に、小液流量で動作させ
る。溶液流量は0.2μl/分から1μl/分の範囲とした。あるいは、別の溶
液流量を用いることができる。2つより多くのスプレー器を用い得ることにも注
意されたい。
【0085】 イオンレンズ258をもつ二連小流量イオン源250をイオンレンズをもたな
い単連小流量イオン源及びイオンレンズをもたない二連小流量イオン源に対して
比較しながら、実験を行った。単連及び二連小流量電子スプレー源に与えた電位
は、スプレー器について3895V,カーテンプレートについて1000Vとし
た。イオンレンズ258をもつ二連小流量ESIイオン源250に対しては、ス
プレー器264及び266について4198V,カーテンプレート(図示せず)に
ついて1840V,イオンレンズ258について2500Vの電位を与えた。
【0086】 表4の結果は、10−5Mブラジキニン試料の10スキャンについて測定した
イオン信号を示す。表4は、スプレー器数を倍にしたことでイオン信号が1.6
倍に強められたことを示す。イオンレンズの付加により、信号強度はさらに1.
34倍に高められた。したがって、追加のスプレー器及びイオンレンズの併用に
より、イオン信号強度において2.2倍の向上が得られた。理論的には、イオン
レンズを用いずに追加のスプレー器でイオン信号強度をこれだけ高めるには、5
つのスプレー器が必要となろう。
【0087】
【表4】 イオンレンズをもつ複数のスプレー器の別の利点は、カーテンプレートの開口
に対するスプレー器の位置へのイオン信号強度の依存性が弱められることである
。開口の前面に配置されるスプレー器の数が多くなるとともに、スプレー器は最
適位置から離れて配置されるようになり、付加スプレー器のそれぞれの有効性は
低くなる。すなわち、イオン信号強度の向上は使用スプレー器数の増加とともに
低下するであろう。しかし、スプレー器の周りに配置されるイオンレンズの使用
が、この問題の軽減に役立つはずである。
【0088】 図36を次に参照すれば、イオンレンズをもたない二連小流量イオン源280
について行ったシミュレーションの結果が示される。二連スプレー器イオン源2
80は、第1のスプレー器282,第2のスプレー器284,カーテンプレート
286,開口288,オリフィスプレート290,オリフィス292及び外囲器
294を備える。シミュレーションにおける印加電位は、スプレー器282及び
284について4000V,カーテンプレート286について1000V,オリ
フィスプレート290について190Vとした。外囲器294は接地電位に保っ
た。得られた等電位線はスプレー器282及び284の先端近傍で曲がっており
、この結果、イオン軌道296はかなり大きく広がっている。この等電位線のデ
フォーカス性により、検出されるべきイオンの多くがオリフィス292から外れ
てしまう。
【0089】 図37を次に参照すれば、イオンレンズ298をもつ二連小流量イオン源28
0'について行ったシミュレーションの結果として得られた等電位線が示される
。二連スプレー器イオン源280'は、イオンレンズ298に加えて、二連スプ
レー器イオン源280について図36に示される要素の全てを備える。シミュレ
ーションにおける印加電位は、スプレー器282及び284について4300V
,カーテンプレート286について1800V,イオンレンズ298について5
220V,オリフィスプレート290について190V,外囲器294について
0Vとした。等電位線はスプレー器282及び284の先端近傍で平坦化されて
いる。これにより、検出されるべきイオンはカーテンプレート286の開口28
8に向け、次いでオリフィス292に向けて、一直線に導かれる。
【0090】 図37に示されるイオンレンズ298をもつ二連小流量イオン源280'は、
スプレー器282及び284が順次使用されるように動作させることができる。
2つの相異なる試料が分析されなければならない場合に、1つの試料を第1のス
プレー器282に入れることができ、第2の試料を第2のスプレー器284に入
れることができる。次いで、第1のスプレー器282を第1の試料からイオンを
つくるために動作させ、イオンは続いて下流の質量分析器で分析される。この分
析が完了すると、溶液流を止めることにより第1のスプレー器282が切られる
。次いで第2のスプレー器284を第2の試料からイオンをつくるために動作さ
せ、イオンは続いて同じ質量分析器で分析される。さらに、電子スプレー電位を
制御することによりスプレー器を切ることができるように、別々の電源をそれぞ
れのスプレー器に用いることができる。単連スプレー器はそれぞれの試料が分析
された後に交換/洗浄されなければならないから、本システムは、1つより多く
の試料を分析する必要がある場合には、単連スプレー器をもつシステムに比較し
て好ましい。あるいは、2つより多くのスプレー器を用いることができる。別の
実施形態において、複数の相異なる試料を単一のイオンレンズに差し込まれた複
数の相異なるスプレー器から同時にスプレーすることができる。これは、内標準
または質量較正物質の注入を含む研究に有益であろう。質量較正物質は飛行時間
型質量分析計のような装置における質量範囲の較正に有用であり、一方、内標準
は分析において検体濃度の決定に有用である。内標準は、スプレー器効率の変化
の検出にも役立つ。
【0091】 図30から37に基づけば1つまたは複数のイオンレンズを1つまたは複数の
スプレー器とともに用いるための様々な実施形態がある。1つのスプレー器及び
そのスプレー器を取り囲む1つのイオンレンズがあり得る。あるいは、1つのス
プレー器及びそのスプレー器を取り囲む複数のイオンレンズがあり得る。複数の
スプレー器及びそれらのスプレー器を取り囲む1つのイオンレンズもあり得る。
【0092】 実験において、いくつかの状況の下では、電子スプレーが止まり、スプレー器
の先端で液滴の成長が見られるため、イオンレンズの電圧をスプレー器の電圧よ
り高め得ないことが認められた。これは、スプレー器先端の電場が液滴の表面張
力に打ち勝つに十分ではなくなる点まで、電場が低下することによりおこり得る
。しかし、当業者には普通に知られるように、検体試料に小分率のメタノールそ
の他の有機溶媒を用いて液滴を形成する表面張力を弱めることができ、よってイ
オンレンズに与えられる最大電位を高めることができて、イオン信号をさらに強
めることができる。
【0093】 実質的に大気圧にあるイオンレンズの原理を、質量分析計とともに用いられる
、ESI、イオンスプレー、小流量イオンスプレー、小流量ESI及びナノスプ
レー源について説明した。しかし本発明の原理は、毛管電気泳動質量分析法、マ
イクロチャネルESI質量分析法及び、被膜形成のための表面上へのイオン被着
のような、ただしこれには限定されない、その他の目的のためのイオン輸送に利
用することもできる。本発明は、イオン化が先端コロナ放電で生じる大気圧化学
イオン化源に適用することもできる。本発明はさらに、マトリクス補助型レーザ
蓄積イオン化を用いるイオン源に試料を堆積するために用いることができる。本
発明はさらに、大気圧、減圧及び真空またはほぼ真空にある下流領域で用いられ
得るイオンを供給するために用いることができる。さらに、小流量電子スプレー
イオン源について示される結果は、小流量イオンスプレー源から期待され得る結
果に一致し得る。
【0094】 本発明の根本的原理及び精神を逸脱することなく、毛管先端近傍に配置される
イオンレンズの数及び形状において本発明に改変がなされ得ることは、当業者に
は容易に明らかであろう。
【0095】 当業者には:1) 本説明に用いられる電位は全て相対的であり、例えば陽イオ
ンをつくるために、スプレー器を0Vの電位におき、カーテンプレート及びオリ
フィスプレートを負の高電位にし、イオンレンズを中間の負電位において、スプ
レー器を動作させ得ること;2) 本発明は、先に説明した電位の全ての極性を反
転させれば、陰イオンにも等しく適用できること;及び、3) 溶液流量は、本明
細書で述べた、説明の目的のために過ぎない流量に限定されないことも、明らか
であろう。
【0096】 その範囲が特許請求項で定められる、本発明を逸脱することなく、本明細書で
説明され、図示された、好ましい実施形態に様々な改変が成され得ることは当然
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 大液流量で動作している従来技術の通常の電子スプレーイオン源に対する、等
電位線及び定性的なイオン軌道を示すシミュレーション結果である
【図2】 従来技術の小流量ESI源の好ましい配置の1つに対する、等電位線及び定性
的なイオン軌道を示すシミュレーション結果である
【図3】 従来技術の小流量ESI源の第2の好ましい配置に対する、等電位線及び定性
的なイオン軌道を示すシミュレーション結果である
【図4a】 本発明にしたがう小流量ESI源の先端近くに設置されるイオンレンズをもつ
取付具の上面図である
【図4b】 図4aの側端に配置されたイオンレンズ及びイオンレンズを所望の電位にバイ
アスするための付属素子の正面図である
【図4c】 毛管を備える、図4aの取付具の上面図である
【図4d】 図4cによる、毛管先端を取り囲む図4cのイオンレンズの正面図である
【図5a】 イオンレンズの一実施形態の略図である
【図5b】 イオンレンズのオリフィスが調節可能である、イオンレンズの別の実施形態の
略図である
【図5c】 図5bに示されるスロット付ウインドウピースの正面図である
【図5d】 スロット付ウインドウピースをイオンレンズに取り付けるカバーピースの正面
図である
【図6a】 イオンレンズに対する電子スプレー毛管の配置の好ましい実施形態の正面図で
ある
【図6b】 イオンレンズに対する電子スプレー毛管の配置の好ましい実施形態の側面図で
ある
【図6c】 イオンレンズに対する電子スプレー毛管の配置の第2の好ましい実施形態の正
面図である
【図6d】 イオンレンズに対する電子スプレー毛管の配置の第2の好ましい実施形態の側
面図である
【図7】 イオンレンズがイオンスプレー源の先端近くに配置される、本発明の実施形態
の略図である
【図8a】 レセルピン試料について、従来技術の通常のイオンスプレー源を用いて得られ
た質量スペクトルである
【図8b】 レセルピン試料について、従来技術の通常の小流量ESI源を用いて得られた
質量スペクトルである
【図8c】 レセルピン試料について、本発明にしたがうイオンレンズを組み込んでいる小
流量ESI源を用いて得られた質量スペクトルである
【図9a】 β−シクロデキストリン試料について、従来技術の通常の小流量ESI源を用
いて得られた質量スペクトルである
【図9b】 β−シクロデキストリン試料について、本発明にしたがう第1の位置にイオン
レンズをもつ小流量ESI源を用いて得られた質量スペクトルである
【図9c】 β−シクロデキストリン試料について、本発明にしたがう第2の位置にイオン
レンズをもつ小流量ESI源を用いて得られた質量スペクトルである
【図10a】 β−シクロデキストリンについて、従来技術の通常の小流量ESI源を用い、
ESI源を二プロトン化イオンの生成に最適化した、質量スペクトルである
【図10b】 β−シクロデキストリンについて、本発明にしたがう第1の位置にイオンレン
ズをもつ小流量ESI源を用い、ESI源を二プロトン化イオンの生成に最適化
した、質量スペクトルである
【図10c】 β−シクロデキストリンについて、本発明にしたがう第2の位置にイオンレン
ズをもつ小流量ESI源を用い、ESI源を二プロトン化イオンの生成に最適化
した、質量スペクトルである
【図11a】 シトクロムcについて、従来技術の通常のイオンスプレー源を用い、イオンス
プレー源を最大イオン信号に最適化した、質量スペクトルである
【図11b】 シトクロムcについて、従来技術の通常の小流量ESI源を用い、ESI源を
最大イオン信号に最適化した、質量スペクトルである
【図11c】 シトクロムcについて、本発明にしたがうイオンレンズをもつ小流量ESI源
を用い、ESI源を最大イオン信号に最適化した、質量スペクトルである
【図12a】 β−シクロデキストリン試料について、本発明にしたがうイオンレンズをもつ
小流量ESI源を用い、イオンレンズに3750Vの電位を与えたときの、フラ
グメンテーションの度合を示す質量スペクトルである
【図12b】 イオンスプレー器の先端がさらにカーテンプレート近くに移動され、本発明に
したがうイオンレンズに与えられた電位が5100Vであるときの、イオン信号
の質量スペクトルである
【図12c】 イオンスプレー器の先端がカーテンプレートとほぼ同一面に配置され、本発明
にしたがうイオンレンズに与えられた電位が4500Vであるときの、イオン信
号の質量スペクトルである
【図13】 本発明にしたがうイオンレンズをもつ小流量ESI源に対する、等電位線及び
定性的なイオン軌道を示すシミュレーション結果である
【図14】 大流量で動作している、本発明にしたがうイオンレンズをもつイオンスプレー
源または電子スプレー源に対する、等電位線及び定性的なイオン軌道を示すシミ
ュレーション結果である
【図15】 イオンレンズをもたない従来技術のイオンスプレー源を用いてイオン信号をモ
ニタしながら、複数イオンモードで測定した信号のグラフである
【図16】 本発明にしたがうイオンレンズをもつイオンスプレー源を用いてイオン信号を
モニタしながら複数イオンモードで測定した2つの信号のグラフである
【図17】 本発明にしたがうイオンレンズをもつイオンスプレー源を用いてイオン信号を
モニタしながら複数イオンモードで測定した信号のグラフである
【図18】 イオンレンズをもたない従来技術のイオンスプレー源及び本発明にしたがうイ
オンレンズをもつイオンスプレー源のスプレー器の水平方向位置に対するイオン
信号減衰のグラフである
【図19】 イオンレンズをもたない従来技術のイオンスプレー源及び本発明にしたがうイ
オンレンズをもつイオンスプレー源のスプレー器の垂直方向位置に対するイオン
信号減衰のグラフである
【図20】 本発明にしたがうイオンレンズを組み込んだイオン源の動作パラメータを様々
に変えていったときのイオン信号強度対時間のグラフである
【図21a】 本発明にしたがうイオン源のイオンレンズに与える電位を高めていったときの
イオン信号強度対時間の3つのグラフを含む
【図21b】 本発明にしたがうイオン源のイオンレンズに与える電位を高めていったときの
全イオン信号強度対時間のグラフである
【図21c】 0.433分に得られた図21bのイオン信号に対する質量スペクトルである
【図21d】 2.07分に得られた図21bのイオン信号に対する質量スペクトルである
【図22a】 イオンレンズをもたない従来技術の小流量イオン源を用いたタンパク蒸解物に
ついての質量スペクトルである
【図22b】 本発明にしたがうイオンレンズをもつ小流量イオン源を用いたタンパク蒸解物
についての質量スペクトルである
【図23a】 グルフィブリノペプチド試料について、イオンレンズをもたない標準的な従来
技術の小流量イオン源を用いて得られた、イオン信号強度対時間のグラフ及び対
応する質量スペクトルである
【図23b】 グルフィブリノペプチド試料について、本発明にしたがうイオンレンズをもつ
標準的な小流量イオン源を用いて得られた、イオン信号強度対時間のグラフ及び
対応する質量スペクトルである
【図24a】 β−カゼインの500フェムトモル試料の蒸解物内の一ペプチドについて、イ
オンレンズをもたない従来技術の小流量イオン源を用いて得られた、イオン信号
強度対時間のグラフ及び対応する質量スペクトルを含む
【図24b】 β−カゼインの500フェムトモル試料の蒸解物内の一ペプチドについて、本
発明にしたがうイオンレンズをもつ小流量イオン源を用いて得られた、イオン信
号強度対時間のグラフ及び対応する質量スペクトルを含む
【図24c】 β−カゼインの500フェムトモル試料の蒸解物内の一ペプチドについて、イ
オンレンズをもたない従来技術の小流量イオン源を用いて得られた、背景雑音強
度対時間のグラフ及びイオン信号強度対時間のグラフを含む
【図24d】 β−カゼインの500フェムトモル試料の蒸解物内の一ペプチドについて、本
発明にしたがうイオンレンズをもつ小流量イオン源を用いて得られた、背景雑音
強度対時間のグラフ及びイオン信号強度対時間のグラフを含む
【図25a】 イオンレンズをもたない従来技術の小流量イオン源を用いて得られた、β−カ
ゼイン蒸解物からの三価に荷電したペプチドについての質量スペクトルである
【図25b】 本発明にしたがうイオンレンズをもつ小流量イオン源を用いて得られた、β−
カゼイン蒸解物からの三価に荷電したペプチドについての質量スペクトルである
【図26a】 イオンレンズをもたない従来技術の小流量イオン源を用いて得られた、β−カ
ゼイン蒸解物からの三価に荷電したペプチド(図25aの信号)に対する背景雑音
である
【図26b】 本発明にしたがうイオンレンズをもつ小流量イオン源を用いて得られた、β−
カゼイン蒸解物からの三価に荷電したペプチド(図25bの信号)に対する背景雑
音である
【図27a】 イオンレンズをもたない従来技術の小流量イオン源を用いて得られた、β−カ
ゼイン蒸解物からの二価に荷電したペプチドについての質量スペクトルである
【図27b】 本発明にしたがうイオンレンズをもつ小流量イオン源を用いて得られた、β−
カゼイン蒸解物からの二価に荷電したペプチドについての質量スペクトルである
【図28a】 本発明にしたがうイオンレンズをもつイオン源を備えるナノ−高性能液体クロ
マトグラフィ(HPLC)-MSを用いて得られた、ウシ血清アルブミンの100
フェムトモル試料の蒸解物についての、時間に対する、質量分析計スキャンのそ
れぞれにおける、全イオンクロマトグラム、ベースピーククロマトグラム、最も
支配的なペプチドに対するフラグメントイオンクロマトグラム及び2番目に支配
的なペプチドに対するフラグメントイオンクロマトグラムのグラフを含む
【図28b】 本発明にしたがうイオンレンズをもつイオン源を備えるナノ−HPLC-MS
質量分析計を用いて得られた、ウシ血清アルブミンの100フェムトモル試料の
蒸解物からのペプチド及びこのペプチドからのフラグメントイオンについての質
量スペクトルである
【図29】 本発明にしたがうイオンレンズをもつナノ−HPLC-MSを用いて得られた
、ウシ血清アルブミンの50フェムトモル試料の蒸解物についての全イオン強度
信号対時間のグラフである
【図30】 本発明にしたがう2つの同軸イオンレンズを有するイオン源に対する等電位線
を示すシミュレーション結果である
【図31】 本発明にしたがう2つの同軸イオンレンズを有するイオン源に対する等電位線
を示すシミュレーション結果である
【図32】 毛管の軸に沿って位置が互いに若干ずらされた本発明にしたがうイオンレンズ
をもつ図31のイオン源に対する等電位線を示すシミュレーション結果である
【図33】 毛管の軸に沿って位置が互いにかなりずらされた本発明にしたがうイオンレン
ズをもつ図31のイオン源に対する等電位線を示すシミュレーション結果である
【図34】 スプレイ器の軸線に沿って並べて配置された本発明にしたがうイオンレンズを
もつ図31のイオン源に対する等電位線を示すシミュレーション結果である
【図35】 本発明にしたがうイオンレンズをもつ多重スプレーイオン源の略図である
【図36】 イオンレンズをもたない従来技術の多重スプレーイオン源に対する等電位線を
示すシミュレーション結果である
【図37】 本発明にしたがうイオンレンズをもつ多重スプレーイオン源に対する等電位線
を示すシミュレーション結果である
【符号の説明】
10 大流量ESI源 12,264,266,282,284 スプレー器 14,286 カーテンプレート 15,288 開口 16,292 オリフィス 18,290 オリフィスプレート 20,294 外囲器 30,40 小流量ESI源 62,240,242,258,298 イオンレンズ 250,280 二連小流量イオン源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE ,DK,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD, GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,I S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG, MK,MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,P T,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL ,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US, UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ダグラス,ドナルド ジェイ カナダ国 ヴィー5ズィー 1ティー1 ブリティッシュ コロンビア州 ヴァンク ーヴァー ダブリュ シックスティーンス アヴェニュー 876 ナンバー105 (72)発明者 シュナイダー,ブラッドリー ビー カナダ国 ヴィー6アール 2エイ2 ブ リティッシュ コロンビア州 ヴァンクー ヴァー ダブリュ エイス アヴェニュー 4414 Fターム(参考) 5C038 FF07 GG08 GH05 GH11 GH13 GH15

Claims (58)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検体試料からイオンを生成するためのイオン源装置において
    、前記装置が、イオン源、少なくとも1つの対抗電極及びイオン集束素子を備え
    ;前記イオン源は前記少なくとも1つの対抗電極に対向して取り付けられ、前記
    イオン集束素子は前記イオン源に相対して取り付けられており;使用において、
    前記イオン源と前記少なくとも1つの対抗電極との間に、イオン化された液滴の
    スプレーを生成するため及びイオンを前記少なくとも1つの対抗電極に向けて移
    動させるための電位差が与えられ、前記イオン集束素子に、前記イオン源に隣接
    する等電位線を変化させて、イオンを集束させ、所望のイオン伝搬軸に導くため
    の電位が与えられることを特徴とする装置。
  2. 【請求項2】 前記イオン集束素子が前記イオン源に隣接して配置されてい
    ることを特徴とする請求項1記載の装置。
  3. 【請求項3】 イオンが前記イオン源から延びる軸に沿って導かれ、前記イ
    オン源に隣接する前記等電位線が前記所望のイオン伝搬軸に対して、前記伝搬軸
    上でも前記伝搬軸の周囲の実質的な領域についても、実質的に垂直であることを
    特徴とする請求項1記載の装置。
  4. 【請求項4】 前記イオン源、前記少なくとも1つの対抗電極及び前記イオ
    ン集束素子が外囲器内に取り付けられていることを特徴とする請求項1から3い
    ずれか1項記載の装置。
  5. 【請求項5】 前記外囲器が前記対抗電極の内の1つであることを特徴とす
    る請求項4記載の装置。
  6. 【請求項6】 前記外囲器の内部が実質的に大気圧にあることを特徴とする
    請求項4または5記載の装置。
  7. 【請求項7】 前記装置が、入口オリフィスを有するオリフィスプレート及
    び、開口を有し、前記外囲器を閉鎖する、カーテンプレートを備え;前記イオン
    源、前記少なくとも1つの対抗電極及び前記イオン集束素子が前記生成されたイ
    オンを前記入口オリフィスに向けて導くように適合され;使用において、より大
    量でより安定な生成イオン束が前記入口オリフィスを通過することを特徴とする
    請求項1から6いずれか1項記載の装置。
  8. 【請求項8】 前記装置が前記外囲器を閉鎖する入口毛管を有する入口プレ
    ートを備え;前記イオン源、前記少なくとも1つの対抗電極及び前記イオン集束
    素子が前記生成されたイオンを前記入口毛管に向けて導くように適合され;使用
    において、より大量でより安定な生成イオン束が前記入口毛管を通過することを
    特徴とする請求項1から6いずれか1項記載の装置。
  9. 【請求項9】 前記入口プレートまたは前記オリフィスプレートが質量分析
    計の入口部品であることを特徴とする請求項7または8記載の装置。
  10. 【請求項10】 前記装置がさらに、前記イオン源及び前記イオン集束素子
    に接続され、使用において前記少なくとも1つの対抗電極に接続が可能であって
    、相異なるDC電位を前記イオン源及び前記イオン集束に供給するように適合さ
    れた、少なくとも1つの電源を備えることを特徴とする請求項1から9いずれか
    1項記載の装置。
  11. 【請求項11】 前記イオン集束素子がイオンレンズ及び付属素子を備え;
    前記付属素子が、前記生成されたイオンを導き、集束させるために前記イオン集
    束素子に与えられる電位を受け取るように適合されていることを特徴とする請求
    項2記載の装置。
  12. 【請求項12】 前記イオンレンズが前記イオン源の先端を実質的に取り囲
    むように取り付けられていることを特徴とする請求項1から11いずれか1項記
    載の装置。
  13. 【請求項13】 前記イオンレンズが概ね平形であり、前記イオン源の軸線
    に実質的に垂直に設置されていることを特徴とする請求項12記載の装置。
  14. 【請求項14】 前記イオンレンズが前記イオン源の軸線に対してある角度
    に設置されていることを特徴とする請求項12記載の装置。
  15. 【請求項15】 前記イオンレンズが連続及び不連続な断面の内の少なくと
    も1つを有する環状レンズであり、前記断面が、円形、長円形、正方形、長方形
    及びその他のいずれかの正多角形及び非正多角形の内の1つと実質的に類似の形
    状を有することを特徴とする請求項11,12,13または14記載の装置。
  16. 【請求項16】 前記イオン源が前記イオンレンズで定められる平面に接す
    るか、または交差するように、前記イオンレンズが取り付けられていることを特
    徴とする請求項12記載の装置。
  17. 【請求項17】 前記イオンレンズが前記イオン源の先端の後方に設置され
    ていることを特徴とする請求項16記載の装置。
  18. 【請求項18】 前記イオンレンズが前記イオン源の先端の後方ほぼ0.1
    から5mmに設置されていることを特徴とする請求項17記載の装置。
  19. 【請求項19】 前記イオンレンズが前記イオン源の先端の後方ほぼ1から
    3mmに設置されていることを特徴とする請求項18記載の装置。
  20. 【請求項20】 前記イオンレンズが前記イオン源の先端の後方ほぼ2mm
    に設置されていることを特徴とする請求項19記載の装置。
  21. 【請求項21】 前記イオンレンズが開口を有し、前記イオン源の先端が、
    前記開口の2つの中心軸の内の第1の中心軸に沿って対称に配置され、前記開口
    の2つの中心軸の内の第2の中心軸に沿って非対称に配置されていることを特徴
    とする請求項12から20いずれか1項記載の装置。
  22. 【請求項22】 前記イオンレンズが開口を有し、前記イオン源の先端が前
    記開口の2つの中心軸の第1及び第2の中心軸に沿って対称に配置されているこ
    とを特徴とする請求項12から20いずれか1項記載の装置。
  23. 【請求項23】 前記イオンレンズが開口を有し、前記イオン源の先端が前
    記開口の2つの中心軸の第1及び第2の中心軸に沿って非対称に配置されている
    ことを特徴とする請求項12から20いずれか1項記載の装置。
  24. 【請求項24】 前記開口の前記中心軸の長さが、前記生成されたイオンを
    さらに集束させ、導くために、調節可能であることを特徴とする請求項21,2
    2または23記載の装置。
  25. 【請求項25】 前記装置が、前記イオン源の先端を実質的に取り囲むよう
    に取り付けられた、複数のイオン集束素子を備えることを特徴とする請求項10
    から20いずれか1項記載の装置。
  26. 【請求項26】 前記複数のイオン集束素子が、前記イオン源の先端を実質
    的に取り囲むように、共通平面において同軸で取り付けられていることを特徴と
    する請求項25記載の装置。
  27. 【請求項27】 第1及び第2のイオン集束素子を備え、前記第1のイオン
    集束素子は前記イオン源の先端を取り囲むように配置され、前記第2のイオン集
    束素子は前記第1のイオン集束素子を囲んで同軸に配置されていることを特徴と
    する請求項26記載の装置。
  28. 【請求項28】 前記複数のイオン集束素子が前記イオン源の軸線に沿って
    互いに隔てられていることを特徴とする請求項25記載の装置。
  29. 【請求項29】 それぞれのイオン集束素子が調節可能なように取り付けら
    れていることを特徴とする請求項13から28いずれか1項記載の装置。
  30. 【請求項30】 それぞれのイオン集束素子が固定して取り付けられている
    ことを特徴とする請求項13から28いずれか1項記載の装置。
  31. 【請求項31】 前記装置が少なくとも2つのイオン源を備え、前記イオン
    レンズが、前記少なくとも2つのイオン源を実質的に取り囲むように、前記少な
    くとも2つのイオン源に近接して配置されていることを特徴とする請求項1から
    12いずれかまたは15記載の装置。
  32. 【請求項32】 前記イオンレンズが前記少なくとも2つのイオン源の内の
    少なくとも1つの先端の後方に設置されていることを特徴とする請求項31記載
    の装置。
  33. 【請求項33】 前記イオンレンズが前記少なくとも2つのイオン源の内の
    少なくとも1つの先端の後方ほぼ0.1から5mmに設置されていることを特徴
    とする請求項32記載の装置。
  34. 【請求項34】 前記イオンレンズが前記少なくとも2つのイオン源の内の
    少なくとも1つの先端の後方ほぼ1から3mmに設置されていることを特徴とす
    る請求項33記載の装置。
  35. 【請求項35】 前記イオンレンズが前記少なくとも2つのイオン源の内の
    少なくとも1つの先端の後方ほぼ2mmに設置されていることを特徴とする請求
    項34記載の装置。
  36. 【請求項36】 前記イオンレンズが、前記生成されたイオンをさらに集束
    させ、導くように、調節可能な開口を有することを特徴とする請求項31から3
    5のいずれか記載の装置。
  37. 【請求項37】 前記イオン源が、大気圧化学イオン化源、小流量電子スプ
    レーイオン源、小流量イオンスプレー源、電子スプレー源、イオンスプレー源、
    及びナノスプレー源の内の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から
    36のいずれか記載の装置。
  38. 【請求項38】 検体試料からイオンを生成するための方法において、前記
    方法が: 1) イオン源に前記検体試料を供給する工程; 2) 前記イオン源から隔てられた少なくとも1つの対抗電極を提供する工程; 3) イオンまたはイオン化された液滴のスプレーを生成するために、前記イオ
    ン源と前記少なくとも1つの対抗電極との間に電位差を与える工程;及び 4) イオン集束素子を提供する工程及び、前記イオン源に隣接する等電位線を
    変化させて、イオンを集束させ、所望のイオン伝搬軸に導くために、前記イオン
    集束素子に電位を与える工程; を含むことを特徴とする方法。
  39. 【請求項39】 前記方法が前記イオン集束素子を前記イオン源に隣接させ
    て提供する工程をさらに含むことを特徴とする請求項38記載の方法。
  40. 【請求項40】 前記イオンが前記イオン源から延びる軸に沿って導かれ;
    前記方法が、前記イオン源に隣接する前記等電位線が前記所望のイオン伝搬軸に
    対して、前記伝搬軸上でも前記伝搬軸の周囲の実質的な領域についても、実質的
    に垂直であることを保証するように、前記イオン集束素子に与えられる前記電位
    を調節する工程をさらに含むことを特徴とする請求項38記載の装置。
  41. 【請求項41】 前記方法が、前記イオン源及び前記イオン集束素子に接続
    され、使用において前記少なくとも1つの対抗電極に接続が可能であって、相異
    なるDC電位を前記イオン源及び前記イオン集束素子に供給する、少なくとも1
    つの電源を提供する工程をさらに含むことを特徴とする請求項38または39記
    載の装置。
  42. 【請求項42】 前記方法がイオンレンズ及び付属素子を提供する工程をさ
    らに含み;前記付属素子は、前記生成されたイオンを導き、集束させるために前
    記イオン集束素子に与えられる電位を受け取るように適合されていることを特徴
    とする請求項38,39または41記載の方法。
  43. 【請求項43】 前記方法が前記イオン源の先端を実質的に取り囲むように
    前記イオンレンズを取り付ける工程をさらに含むことを特徴とする請求項42記
    載の方法。
  44. 【請求項44】 前記方法が、前記イオン源が前記イオンレンズにより定め
    られる平面に接するかまたは交差するように前記イオンレンズを取り付ける工程
    をさらに含むことを特徴とする請求項43記載の方法、
  45. 【請求項45】 前記イオンレンズが開口を有し、前記方法が前記生成され
    たイオンをさらに集束させ、導くように前記開口を調節する工程をさらに含むこ
    とを特徴とする請求項42,43または44記載の方法。
  46. 【請求項46】 少なくとも2つのイオン源があり、前記方法が前記少なく
    とも2つのイオン源の先端を実質的に取り囲むように前記イオンレンズを設置す
    る工程をさらに含み、前記イオンレンズは前記少なくとも2つのイオン源の内の
    少なくとも1つの先端の後方に設置されることを特徴とする請求項42,43,
    44または45記載の方法。
  47. 【請求項47】 前記方法が: 5) 前記生成されたイオンを下流の質量分析装置に供給する工程; をさらに含むことを特徴とする請求項38から46いずれか1項記載の方法。
  48. 【請求項48】 前記方法が: 5) 前記生成されたイオンを、表面を被覆するためのイオン被着のために供給
    する工程; をさらに含むことを特徴とする請求項38から46いずれか1項記載の方法。
  49. 【請求項49】 前記方法が: 5) 前記少なくとも2つのイオン源のそれぞれに同じ検体試料を入れる工程;
    及び 6) 前記それぞれのイオン源を同時に動作させる工程; をさらに含み、よって、前記検体試料から生成される総イオン束が増量されるこ
    とを特徴とする請求項46記載の方法。
  50. 【請求項50】 前記方法が: 5) 前記少なくとも2つのイオン源のそれぞれに相異なる検体試料を入れる工
    程;及び 6) 前記それぞれのイオン源を順次に動作させる工程; をさらに含み、よって、前記相異なる検体試料間の切換えが容易になることを特
    徴とする請求項46記載の方法。
  51. 【請求項51】 前記方法が: 5) 前記少なくとも2つのイオン源の内の1つのイオン源に検体試料を入れ、
    別のイオン源に質量較正物質を入れる工程; 6) 前記イオン源のそれぞれを同時に動作させる工程;及び 7) 前記生成されたイオンを質量分析のために質量分析計内に送る工程; をさらに含み、よって、前記質量較正物質が前記質量分析計を較正するために用
    いられることを特徴とする請求項46記載の方法。
  52. 【請求項52】 前記方法が: 5) 前記少なくとも2つのイオン源の内の1つのイオン源に検体試料を入れ、
    別のイオン源に内標準を入れる工程; 6) 前記イオン源のそれぞれを同時に動作させる工程;及び 7) 前記生成されたイオンを質量分析のために質量分析計内に送る工程; をさらに含み、よって、前記内標準がイオン源効率の評価及び検体定量の補助に
    用いられることを特徴とする請求項46記載の方法。
  53. 【請求項53】 前記方法が: 5) 前記少なくとも2つのイオン源の内の1つのイオン源に検体試料を入れ、
    別のイオン源に異なる検体試料を入れる工程; 6) 前記イオン源のそれぞれを同時に動作させる工程;及び 7) 前記生成されたイオンを質量分析のために質量分析計内に送る工程; をさらに含むことを特徴とする請求項46記載の方法。
  54. 【請求項54】 前記方法が、前記生成されたイオンから得られるイオン信
    号の強度が高められるように、前記イオン源を最適に配置する工程及び前記イオ
    ン集束素子に適切な電位を与える工程をさらに含むことを特徴とする請求項38
    から45いずれか1項記載の方法。
  55. 【請求項55】 前記方法が、前記生成されたイオンから得られるイオン信
    号の相対標準偏差が小さくなるように、前記イオン源を最適に配置する工程及び
    前記イオン集束素子に適切な電位を与える工程をさらに含むことを特徴とする請
    求項38から45いずれか1項記載の方法。
  56. 【請求項56】 前記方法が、前記生成されたイオンの電荷状態が変化する
    ように、前記イオン源を最適に配置する工程及び前記イオン集束素子に適切な電
    位を与える工程をさらに含むことを特徴とする請求項38から45いずれか1項
    記載の方法。
  57. 【請求項57】 前記方法が、前記生成されたイオンから得られるイオン信
    号のイオンフラグメンテーションが変化するように、前記イオン源を最適に配置
    する工程及び前記イオン集束素子に適切な電位を与える工程をさらに含むことを
    特徴とする請求項38から45いずれか1項記載の方法。
  58. 【請求項58】 前記方法が、不要な背景雑音の強度が低くなるように、前
    記イオン源を最適に配置する工程及び前記イオン集束素子に適切な電位を与える
    工程をさらに含むことを特徴とする請求項38から45いずれか1項記載の方法
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