JP2003535576A - 薬物標的を同定するためのバーコード化された合成的致死スクリーニング - Google Patents

薬物標的を同定するためのバーコード化された合成的致死スクリーニング

Info

Publication number
JP2003535576A
JP2003535576A JP2001553391A JP2001553391A JP2003535576A JP 2003535576 A JP2003535576 A JP 2003535576A JP 2001553391 A JP2001553391 A JP 2001553391A JP 2001553391 A JP2001553391 A JP 2001553391A JP 2003535576 A JP2003535576 A JP 2003535576A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mutation
cells
library
gene
primary
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Ceased
Application number
JP2001553391A
Other languages
English (en)
Inventor
ブレンナー,チャールズ,エム.
シューメイカー,ダニエル,ディー.
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Rosetta Inpharmatics LLC
Original Assignee
Rosetta Inpharmatics LLC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Rosetta Inpharmatics LLC filed Critical Rosetta Inpharmatics LLC
Publication of JP2003535576A publication Critical patent/JP2003535576A/ja
Ceased legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/01Preparation of mutants without inserting foreign genetic material therein; Screening processes therefor
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/10Processes for the isolation, preparation or purification of DNA or RNA
    • C12N15/1034Isolating an individual clone by screening libraries

Abstract

(57)【要約】 本発明は、薬物標的を同定するための合成的致死スクリーニング技術の使用方法に関する。本発明の方法は細胞の「バーコード化」ライブラリーを使用し、該ライブラリーは異なる突然変異クローンの集合体からなり、それぞれの突然変異クローンは異なる遺伝子のノックアウト突然変異を保有する。突然変異クローンはそれぞれがユニークなDNA識別タグ、つまり「バーコード」をもっており、その結果、該クローンとその突然変異の迅速かつ簡便な同定が可能となる。かかるライブラリーの使用は、突然変異を起こした標的遺伝子と相互作用する遺伝子の迅速、定量的、高感度および簡便な同定を可能にする。このようにして同定された遺伝子は薬物スクリーニングのための有望な標的となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 1.緒言 本発明は薬物標的を同定するための合成的致死スクリーニング技術の使用方法
に関する。本発明の方法は細胞の「バーコード化」ライブラリーを用いるが、こ
のライブラリーは異なる突然変異株の集合体からなり、各突然変異株は異なる遺
伝子のノックアウト突然変異を有する。各突然変異株はまた、クローンおよびそ
の突然変異の迅速かつ簡便な同定を可能にするユニークなDNA識別タグ、すなわ
ち「バーコード」を有する。かかるライブラリーの使用は突然変異を起こした標
的遺伝子と相互作用する遺伝子の迅速かつ簡便な同定を可能にするものである。
このようにして同定された遺伝子は薬物スクリーニングの有望な標的となる。
【0002】 2.発明の背景 癌の発生に関与すると考えられるメカニズムには、癌遺伝子の活性化と腫瘍抑
制遺伝子(TSG)の欠損がある。21世紀の分子医学は、患者の腫瘍の遺伝子診断と
、それに続く同様の遺伝子変化を有する腫瘍に合わせた特定の化学療法剤の適用
に頼ることになろう。かかる化合物は一般に細胞傷害性が少なく、抗腫瘍性が高
く、しかも生活の質を高く維持しながら癌の治癒により有効であることが期待さ
れる。腫瘍において癌遺伝子が活性化された場合、それらのタンパク質産物およ
びそれらを修飾するタンパク質は新世代の抗腫瘍薬のデザインおよび最適化にと
っての明確な分子標的を提供する。例えば、活性化されたまたは増幅されたHER2
遺伝子を有する腫瘍はHer2指向薬物に過敏である。しかし、多くの癌はp53、p16
、PTEN、APCおよびFHITをはじめとする遺伝子座の遺伝情報の欠損を特徴として
いる。残念なことに、特定のTSGの欠損がただちに細胞標的を提示するわけでは
なく、その阻害はこれらの不活性化された遺伝子を含む細胞を殺してしまう。か
かる細胞標的を同定し得る方法があることが望ましい。
【0003】 2.1. 合成的致死スクリーニング 従来の酵母合成的致死スクリーニングでは、「プラスミドシャッフリング」法
が使用される(Sikorski RS, Boeke, 1991, Methods Enzymol., 194:302-18;参
照によりその全内容を組み入れる)。最初のステップは標的遺伝子を欠失させた
菌株を構築することを含む。次に、この遺伝子を、プラスミドの選択にまたはプ
ラスミド欠損の検出に使用できるマーカー(例えば、ADE2)を含む低コピー数プラ
スミドにて細胞へ再導入する。次に、この菌株を突然変異誘発にかけ、プラスミ
ド選択の非存在下で増殖させる。この条件下では大部分の菌株が経時的にプラス
ミドを失い、その結果、外観上赤と白に分かれたコロニーが生じる(ADE2を欠く
酵母株は中間体の蓄積のため赤いコロニーを形成する)。しかし、標的遺伝子と
共に合成的に致死性となる遺伝子の突然変異を獲得した細胞は完全に白いコロニ
ーを形成する。プラスミドを失った細胞はどれも二重突然変異体の致死的性質の
ために死滅するので、これらのコロニーは白色となる。
【0004】 酵母において合成的致死スクリーニングを行うためのもう1つのアプローチで
は、標的遺伝子の条件致死突然変異体を作出することを含む。次に、かかる突然
変異を有する菌株を突然変異誘発にかけ、その温度感受性を特に悪化させる第2
部位の突然変異についてスクリーニングする。このアプローチはタンパク質分泌
のトランスロケーション段階に関与するタンパク質を同定するのに成功裏に利用
されている(Boisrame Aら, 1999, Mol Gen Genet, 261 (4-5):601-9; 参照によ
りその全内容を組み入れる)。
【0005】 従来のアプローチの欠点は、以下のとおりである: 1. コロニー分割アッセイの感度が不十分なことから強い合成表現型しか検出
できない。 2. 合成的致死スクリーニングでの突然変異体の選択は、突然変異を作り出す
ために用いられる突然変異誘発剤により制限される。例えば、全ての遺伝子が、
DNAを非特異的にメチル化するメタンスルホン酸メチルを用いて破壊されるわけ
ではない。 3. プラスミドの選択にまたはプラスミド欠損の検出に使用できるマーカー遺
伝子を有する酵母のような遺伝系を必要とする。 4. ゲノムにおける合成的に致死性の突然変異遺伝子の同定は、極めて労働集
約的である。
【0006】 3.発明の概要 本発明は薬物標的を同定するための合成的致死スクリーニング技術の使用方法
に関する。本発明の方法は細胞の「バーコード化」ライブラリーの使用を伴うが
、このライブラリーは異なる突然変異クローンの集合体からなり、各突然変異ク
ローンは異なる遺伝子のノックアウト突然変異を有する。さらに、各突然変異ク
ローンは、該クローンとその突然変異の迅速かつ簡便な同定を可能にするユニー
クなDNA識別タグ、すなわち「バーコード」を有する。この突然変異クローンの
ライブラリーは「二次突然変異」のパネルとして用いられ、これに対して「一次
突然変異」の作用が評価される。「一次突然変異」は、バーコード化ライブラリ
ーを構成するクローンの各々において特定の標的遺伝子に誘発されたノックアウ
ト突然変異である。ライブラリーの突然変異クローンに一次突然変異を誘発した
後、その一次突然変異とライブラリー中に存在する各二次突然変異との相互作用
を調べることができる。ライブラリーに一次突然変異を誘発した後、そのライブ
ラリーを増殖させる。ライブラリーが数倍に増えた後、一次突然変異と相互作用
して該クローンの増殖速度を低下させる二次突然変異を保有するクローンを、そ
のように相互作用する二次突然変異をもたないクローンに対して選択する。すな
わち、前者のクローンは後者のクローンよりも低濃度で存在する。各突然変異ク
ローンにはタグが付けられている(バーコード化されている)ので、各クローンの
相対的存在量は各々のタグをアッセイすることで容易に測定することができる。
これは例えば、培養物から得られたDNAを、各タグに相補的なDNA分子からなるDN
Aマイクロアレイにハイブリダイズさせることで行なうことができる。タグを欠
くことは、「合成的致死」二次突然変異、すなわち、一次突然変異と相互作用し
て一次突然変異と二次突然変異の両者を保有する細胞の増殖速度の低下をもたら
す突然変異、を有するクローンを表す。突然変異株のライブラリーにはタグが付
けられて特徴付けされているので、一次突然変異の導入後にライブラリー中にま
だ現れていないタグを同定することは、もしノックアウトされていれば、一次突
然変異と組み合わされたときに増殖速度の低下をもたらす遺伝子産物を同定する
ことに等しい。かかる遺伝子産物は、一次突然変異を有する細胞の増殖を阻害し
得る薬物を同定するよう設計された薬物スクリーニング法に用いるための優れた
候補となる。それは、本発明のスクリーニングが、もしノックアウトされていれ
ば、一次突然変異をも有する細胞の増殖速度の低下を引き起こす遺伝子を同定す
るものであるからである。
【0007】 上記参考文献の引用または考察は、そのようなものが本発明の先行技術である
ことを容認するものとして解釈されるべきでない。
【0008】 4.本発明の詳細な説明 本発明は、標的遺伝子を欠く哺乳動物細胞の生存にとって示差的に必要とされ
る遺伝子の同定に関する。この標的遺伝子は、限定されるものではないが、腫瘍
抑制遺伝子および突然変異誘発遺伝子をはじめ、その機能が癌細胞においては欠
損または低下している、あらゆるクラスの遺伝子であってもよい。本発明は、合
成的致死スクリーニングを用いて、特定の標的遺伝子を欠いた細胞の増殖または
生存にとってより重要性の高い遺伝子を、該標的遺伝子を有する野生型細胞の増
殖または生存にとってそれらの遺伝子がどのように重要かということに比べて、
同定することに関する。この情報は、一定の遺伝子型の哺乳動物細胞において薬
物標的を合理化するために用いられる。標的遺伝子のその改変体またはホモログ
中に不活性化突然変異を有する細胞が与えられれば、合成的致死スクリーニング
はその細胞において遺伝子X、YおよびZ(各遺伝子は、単一突然変異体としてより
も、標的遺伝子突然変異体との二重突然変異体として、より有害な表現型をもつ
)を同定できる。哺乳動物において遺伝子産物X、YおよびZ(またはそれらの相同
体)を同定する際、これらの遺伝子産物は標的遺伝子を欠く細胞を除去するため
の薬物標的として合理化される。さらに本発明は、合成的致死スクリーニングを
実施するためのバーコード化ライブラリーおよびオリゴヌクレオチドアレイの使
用に関する。バーコード化された突然変異体からなるライブラリーの使用は広範
に記載されている(Giaever, G.ら, 1999, Nat Genet 21(3):278-83; Shoemaker,
D.D.ら, 1996, Nat Genet 14(4):450-6; Winzeler, E.A.ら, 1999, Science 19
99, 285(5429):901-6; Hensel, M.ら, 1995, Science 269(5222):400-3)。
【0009】 バーコード化された欠失株のライブラリーを用いて合成的致死スクリーニング
を行うと、酵母で開発された従来法に優るいくつかの利点が得られる。 1. バーコード化欠失突然変異株を用いた競合増殖試験の定量的性質は、増殖
速度の微細な差の検出を可能とする。これにより、標準的な合成的致死突然変異
では通常検出できない合成的致死組合せを検出することが可能となる。例えば、
5%の増殖差がある菌株は、20回の細胞数倍加後には集団から50%枯渇される。 2. バーコード化欠失突然変異株の完全なライブラリーを作製することが可能
となる。ゲノム中のどの遺伝子でも欠失させることができ、それぞれの欠失は標
的遺伝子の全コード領域を取り除く。 3. バーコード化細胞系の集合体が作製されれば、異なる一次突然変異を用い
て合成的致死スクリーニングを行なうことが比較的容易である。潜在的二次突然
変異を有する菌株の集合体を一回作製する必要があるだけである。このことは、
潜在的二次突然変異を、新たな一次突然変異を分析するたびに毎回作製する必要
がある従来法とは対称的である。この事実は、表現型を調べるのに各遺伝子の両
コピーとも破壊しなければならない二倍体生物においては特に重要である。
【0010】用語の定義 合成的致死: 2つの非致死性の突然変異(非致死性の突然変異は、細胞の生存能または増殖
にほとんど影響を及ぼさないか全く影響を及ぼさない突然変異である)が同一の
細胞内に存在し、それらが一緒になると、その細胞を増殖不能にさせるか、また
はより遅い速度で増殖させるか、または細胞に対して致死的となる場合、これら
の組み合わされた突然変異は、合成的に致死性の突然変異であると見なされる。
すなわち、2つの突然変異の組合せはその組合せをもつ細胞の生存能にとって有
害である。
【0011】 一次突然変異および二次突然変異: 一対の合成的致死突然変異において、一方の突然変異は一次突然変異と呼ばれ
、他方は二次突然変異と呼ばれる。一次突然変異は標的遺伝子の突然変異であり
、すなわち、該遺伝子に対して合成的に致死性となる二次突然変異の同定が所望
される。突然変異ライブラリーを構成する菌株中に存在する突然変異が二次突然
変異である。本発明の方法は、ライブラリー中に存在する二次突然変異のうちど
れが、所定の一次突然変異に関して合成的致死突然変異であるかを確認する方法
を提供する。
【0012】 ノックアウト突然変異: ある遺伝子のノックアウト突然変異は、突然変異を起こした遺伝子の機能を消
失させる。これは一般にその遺伝子の破壊または欠失の結果である。
【0013】 バーコード化突然変異ライブラリー: バーコード化突然変異ライブラリーは、細胞のさまざまな突然変異株を含むラ
イブラリーのことであり、各株がユニークなDNAタグを保持している。このDNAタ
グをバーコードと称する。DNAタグは、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応を利用し
てタグを増幅してから、増幅したタグを、各タグに相補的な配列を含むDNAマイ
クロアレイにハイブリダイズさせることにより、識別可能である。そのようなラ
イブラリーの1つの例は酵母欠失突然変異株の集合体であり、各突然変異株が異
なるオープンリーディングフレーム(ORF)を欠失されており、かつそのゲノム中
に1以上のユニークなDNAタグをもっている。
【0014】 本発明は、一次および二次突然変異の相互作用により引き起こされる合成的致
死性の検出方法を提供する。好ましい方法は、以下のステップ: (a) 第2遺伝子に二次突然変異をもつ細胞のライブラリー中に存在する1個以
上の細胞に一次突然変異を導入すること、ここで、該ライブラリーは細胞の集団
からなり、該集団に含まれる各細胞は異なる遺伝子に異なる二次突然変異をもつ
ものであること、 (b) ステップ(a)の細胞を、ステップ(a)の非存在下では該細胞の増殖を可能と
する条件下でインキュベートすること、 (c) 一次突然変異をもつステップ(b)の各細胞の増殖を、一次突然変異を含ま
ないが二次突然変異をもつ対照細胞の増殖と比較すること、 (d) 一次突然変異を含まないが二次突然変異をもつ対照細胞の増殖速度と比較
して低下した増殖速度を示すステップ(b)の細胞を、細胞中で一次突然変異と組
み合わされたとき増殖速度の低下を引き起こす二次突然変異を含むものとして同
定すること、 (e) 一次突然変異と組み合わされたとき増殖速度の低下を引き起こす、ステッ
プ(d)で同定された二次突然変異がどの遺伝子に存在するかを決定すること、 を含んでなる。
【0015】 好ましい実施形態において、本発明の方法は、以下の追加のステップ: (f) 一次突然変異と組み合わされたとき増殖速度の低下を引き起こす、ステッ
プ(d)で同定された二次突然変異が存在する遺伝子を単離すること、 を含んでなる。
【0016】 突然変異ライブラリーがヒト細胞突然変異ライブラリーでない場合、上記方法
はさらに、以下のステップ: (g) ステップ(f)で単離された遺伝子のヒトホモログを単離すること、 を含んでなる。
【0017】 本発明はまた、異なる突然変異細胞を含むバーコード化された欠失突然変異体
ライブラリーを提供し、各突然変異細胞は異なる欠失突然変異をもつものであり
、ここで、該ライブラリーを構成する細胞の25〜100%、50〜95%、または60〜9
0%はさらに一次突然変異を有しており、該一次突然変異は、該一次突然変異を
含む異なる突然変異細胞のそれぞれにおいて同一遺伝子の突然変異である。
【0018】 4.1. 酵母におけるバーコード化合成的致死スクリーニング 好ましい実施形態においては、本発明の方法に従って酵母細胞が使用される。
以下では、特許請求された方法のうち、酵母モデル系の使用に関係する態様につ
いて説明する。
【0019】 4.4.1 酵母突然変異ライブラリー 突然変異体のライブラリーはどれも、本発明の方法に従って一次突然変異を誘
導するための潜在的二次突然変異のパネルとして使用することができる。
【0020】 当技術分野では、酵母において遺伝子を破壊したり突然変異を起こさせる方法
が多数知られている。一実施形態においては、完全な遺伝子、および該遺伝子の
部分がまったく発現されないヌル対立遺伝子が作製される。他の実施形態では、
遺伝子機能にとって十分でない遺伝子の部分のみを含む欠失対立遺伝子が構築さ
れるが、これは、例えば、突然変異mRNA転写産物の翻訳が早期に終止するように
遺伝子の配列にナンセンスコドンを挿入することにより構築しうる。また、遺伝
子機能を低下させるかまたは破壊する点突然変異を個別にまたは組合せで含む対
立遺伝子も作製することができる。そのような方法は当技術分野で周知である。 遺伝子の条件対立遺伝子(conditional allele)を作製するためのストラテジー
はいろいろある。一般的には、対立遺伝子は機能または発現に対して条件付きで
ありうる。機能に対して条件付きである対立遺伝子の一例は温度感受性突然変異
であり、この場合、遺伝子産物はある温度(すなわち、許容温度)で機能するが
、異なる温度(すなわち、非許容温度)では、例えばミスフォールディングまた
はミス局在のため、機能しない。当業者であれば、1個または数個の改変ヌクレ
オチドを含むにすぎないが、不活性または温度感受性のタンパク質をコードする
突然変異対立遺伝子を作製することができる。温度感受性突然変異株である酵母
細胞は許容温度で機能性タンパク質を発現するが、非許容温度では機能性タンパ
ク質を発現しない。
【0021】 発現について条件付きである対立遺伝子の一例は、調節されたプロモーターが
遺伝子の発現を制御しているキメラ遺伝子である。ある条件下では遺伝子が発現
されるが、別の条件下では発現されない。当業者であれば、遺伝子の内在性プロ
モーターを、特定の条件下でのみ活性化される異種プロモーターまたは改変プロ
モーターで置換または改変することができる。これらの条件突然変異株は一定の
実験条件下でその遺伝子を発現するにすぎない。こうした方法はすべて当技術分
野で周知である。例えば、Stark, 1998, Methods in Microbiology 26:83-100;
Garfinkelら, 1998, Methods in Microbiology 26:101-118; およびLawrence &
Rothstein, 1991, Methods in Enzymology 194:281-301 を参照されたい。
【0022】 本発明の別の実施形態においては、遺伝子を破壊したり突然変異を起こしたり
することなく、その遺伝子の発現を低下させることができる。例えば、遺伝子の
発現は、酵母を、調節されたまたは構成的なプロモーターの制御下にあるアンチ
センス分子で形質転換することにより、低下させることができる(Nasrら, 1995
, Molecular & General Genetics 249:51-57を参照されたい)。誘導プロモータ
ーに機能的に連結されたそのようなアンチセンス構築物は、条件対立遺伝子の機
能を研究するため(Nasrら, 前掲を参照)、または細胞の摂動(perturbation)と
して作用させるため、S. cerevisiaeに導入することができる。
【0023】 また、分解に関してmRNAまたはタンパク質を標的とする配列を、相同組換えに
より標的遺伝子にまたはその隣に挿入することで、遺伝子発現を低下させてもよ
い。例えば、当業者であれば、ユビキチンをコードする構築物を導入して、ユビ
キチン融合タンパク質を産生させることができる。この融合タンパク質は野生型
タンパク質よりも短い半減期をもつと考えられる。例えば、Johnsonら, 1992, E
MBO J. 11:497-505を参照されたい。
【0024】 好ましい方法では、標的遺伝子の機能が確実に残留しないようにするため、標
的遺伝子を完全に破壊する。遺伝子は「古典的」方法またはPCRに基づく方法に
より破壊され得る。遺伝子ノックアウトの「古典的」方法は、Rothstein, 1991
に記載されている。しかし、いくつかの実施形態では、PCRに基づく欠失方法を
使用するほうが、より迅速で、労力もあまりかからないため、好適である。
【0025】 好ましくは、突然変異ライブラリーは欠失突然変異ライブラリーであって、バ
ーコード化されている。バーコード化欠失突然変異株は、「サッカロミセスゲノ
ム欠失プロジェクト」(Saccharomyces Genome Deletion Project)により作出さ
れており、いくつかの刊行物に記載されている(Winzeler EAら, 1999, Science
285:901-6; Shoemaker, D.ら, 1996, Nature Genetics, 14, 450-456; Hensel,
M.ら, 1995, Science 269(5222):400-3;それぞれを参照によりそのまま本明細
書に組み入れるものとする)。「サッカロミセスゲノム欠失プロジェクト」の目
標は、酵母欠失株の完全なセットを作製することである。PCRに基づく遺伝子欠
失法(Baudinら, 1993, Nucl. Acids Res. 21, 3329-3330; Wachら, 1994, Yeas
t 10, 1793-1808;それぞれを参照によりそのまま本明細書に組み入れるものと
する)を採用して、酵母ゲノム中の約6,200のオープンリーディングフレーム(OR
F)のそれぞれについて個々の欠失株を作製した。菌株構築プロセスの一環として
、それぞれの欠失株が2つの独立した20mer配列によりユニークにタグ付けされ
た。タグの存在は高密度オリゴヌクレオチドアレイへのハイブリダイゼーション
により検出することができ、得られる欠失株の増殖表現型を並行して分析するこ
とが可能である。現在、10,000を超える菌株が入手可能である(Research Geneti
cs, Huntsville, Alabama; American Type Culture Collection, Manassas, VA)
【0026】 突然変異株のプールを作製するためには、個々の突然変異株を富栄養培地の個
々の培養物中で飽和状態になるまで増殖させる。得られた培養物を一緒にプール
して、本発明のスクリーニングに使用することができる。特定の実施形態におい
て、突然変異株のプールは、100〜15,000個の異なる突然変異株、1000〜15,000
個の異なる突然変異株、1000〜10,000個の異なる突然変異株、または2000〜8000
個の異なる突然変異株を含有する。本発明では、どのような数の菌株の使用も意
図される。好ましい実施形態において、ライブラリーは酵母ゲノム中のオープン
リーディングフレームの100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%ま
たは20%について個々の欠失株を含有する。
【0027】 4.1.2 一次突然変異の選択 本発明の方法は、標的遺伝子の所定の一次突然変異に対する二次突然変異を同
定するために使うことができる。好ましい標的遺伝子は、その機能が癌細胞内で
存在しないかまたは低下している哺乳動物遺伝子、例えば腫瘍抑制遺伝子または
突然変異誘発遺伝子の酵母ホモログが挙げられる。そのような哺乳動物遺伝子の
例は、p53、pl6、PTEN、NF-1、NF-2、DPC4、MTS1、網膜芽細胞腫遺伝子、APCお
よびFHITが挙げられる。
【0028】 現在、約2000のヒト遺伝病が認められていると推定される。わずか250の疾患
関連遺伝子の配列が確認されており、250遺伝子のうち、105は酵母遺伝子と類似
性を持つ(Foury, F., 1997, Gene 195:1-10)。従って、その研究がヒトの疾患
の治療に有用な情報を提供しうる酵母標的遺伝子が多数存在する。
【0029】 例えば、ヒト腫瘍抑制遺伝子FHITの酵母ホモログであるHNT2を標的遺伝子とし
て利用することができる(K. Huebnerら, 1999, Advances in Oncology 15:3-10
;米国特許第5,928,884号、国際公開特許W097/29119、その全文が参照により組
み入れられる)。HNT2の場合、一次突然変異はHNT2遺伝子産物または遺伝子産物
機能の低下または消失を引き起こす突然変異である。そのような一次突然変異の
一例はHNT2ノックアウト突然変異であり、この場合、HNT2の配列を除去し、場合
によっては、他の遺伝子、例えばURA3などのマーカー遺伝子によって置き換える
。もしHNT2ノックアウト一次突然変異を利用して酵母突然変異ライブラリー中の
二次突然変異の同定がもたらされるのであれば、これらの二次突然変異に関連す
る酵母遺伝子のヒトホモログは、低いまたは非存在のレベルの癌抑制因子FHITを
含有する癌細胞の増殖を阻害し得る化合物の同定に有用な、薬物スクリーニング
標的となる可能性がある。
【0030】 哺乳動物の腫瘍抑制遺伝子が目的の遺伝子として好ましいが、一次突然変異は
いずれの遺伝子の突然変異であってもよい。例えば、酵母のバーコード化された
欠失突然変異ライブラリー中に存在するそれぞれの個々の突然変異を一次突然変
異として利用して、もしライブラリー中にいずれかの他の突然変異が存在すれば
、どれが一次突然変異との組合せで合成的致死を与えるうるかを同定することが
できる。従って、バーコード化欠失突然変異体の所与の集合体中に存在する2つ
の突然変異体の全ての可能な組合せの合成的致死に対するスクリーニングも、本
発明により提供される。
【0031】 4.1.3 酵母突然変異ライブラリー中への一次突然変異の導入 標的遺伝子の一次突然変異は、当業者には周知の、第5.1.2節に記載した方法
を含むいずれかの方法によって、酵母突然変異ライブラリー中に導入することが
できる。一次突然変異は、ライブラリー中に存在する細胞の高いパーセントに導
入することが好ましく、突然変異ライブラリーの細胞の好ましくは30%を超える
、40%を超える、50%を超える、60%を超える、70%を超える、80%を超える、90%を
超える、または95%を超える細胞が一次突然変異を受ける。本発明の目標は、十
分独立した単離体を作製して、可能な二重突然変異体のほとんどまたは全てを作
ることである。酵母突然変異ライブラリーの利用は複数の利点を与える。酵母ゲ
ノムは容易に相同組換えを受け、標的遺伝子の標的を定めた突然変異を可能にす
る。さらに、酵母細胞は一倍体または二倍体細胞のいずれかとして増殖しうるの
で、標的遺伝子の1コピーだけ突然変異すればよい。
【0032】 好ましい実施形態においては、一次突然変異は、突然変異ライブラリーの細胞
を一次突然変異をもつ細胞と接合(mating)することによって突然変異ライブラ
リーに導入する。この手法は、十分に独立した単離体を試験することができ、突
然変異ライブラリーの複雑性を維持することを保証する。突然変異ライブラリー
の細胞を、一次突然変異をもつ細胞との、ならびに一次突然変異をもつ細胞と同
一であるが一次突然変異を欠く対照細胞との、別々の接合反応にかけることがで
きる。好ましい実施形態においては、一次突然変異をもつ細胞と突然変異ライブ
ラリーの細胞とは異なる選択マーカーを有し、これによって、二倍体細胞の選択
、すなわち両方の選択マーカーをもつ細胞の選択を可能にする。対照細胞も一次
突然変異をもつ細胞が含有するのと同じ選択マーカーを含有する必要がある。一
次および二次突然変異の両方を含有する任意の所与の二重突然変異体細胞につい
ては、その二重突然変異体に対応する対照細胞は二次突然変異だけを含有する細
胞である。好ましい実施形態においては、2つの選択マーカーはURA3およびKanMX
である。さらに好ましい実施形態においては、URA3は標的遺伝子との相同組換え
により一次突然変異を作製するために用い、標的遺伝子のURA3遺伝子による置換
えを引き起こす。この好ましい実施形態においては、突然変異ライブラリーの細
胞中の突然変異はKanMX遺伝子による相同組換えにより作製し、それらの細胞をG
418耐性にする。様々な他の選択マーカーを利用しうる(Goldstein, A. L.ら, 1
999, Yeast, 15(6):507-11)。この好ましい実施形態においては、二倍体は、接
合した細胞をG418およびSC-URA培地の存在下でインキュベートすることによって
選択する。
【0033】 上記の接合から得た二倍体細胞は、次に、インキュベートして胞子形成させ、
一倍体細胞を作る。好ましくは、一次突然変異と二次突然変異の両方をもつこれ
らの二重突然変異一倍体細胞だけを得る。好ましい実施形態においては、二次突
然変異および一次突然変異は、異なる選択マーカーとの相同組換えにより作製し
、これによって、両方のマーカー、従って両方の変異を含有する細胞の選択を可
能にする。一倍体細胞だけが存在することを保証するために、突然変異ライブラ
リーの細胞または一次突然変異をもつ細胞のいずれか(しかし両方ではない)が
優性選択マーカーを有することが好ましい。そのような優性選択マーカーの例は
、Can1遺伝子である(Broach,J.R.ら, 1979, Gene 8(1):121-33)。Can1遺伝子
の機能的コピーをもついずれの細胞もカナバニン感受性である。他の例はCYH2遺
伝子であり;CYH2遺伝子のコピーをもついずれの細胞もシクロヘキシミド感受性
である。二倍体細胞はCan1遺伝子をもつ細胞とCan1遺伝子をもたない細胞との接
合によって作ったので、Can1遺伝子の1コピーを含有するであろういずれの二倍
体細胞も、カナバニンの存在に対して選択されて一倍体細胞だけを残すであろう
【0034】 一次突然変異を突然変異ライブラリーに導入する他の好ましい方法は直接形質
転換である。この手法は上記の接合方法と比較すると、ビュアー(viewer)ステ
ップを必要とする利点を与える。具体的には、標的遺伝子と隣接するゲノム領域
を、URA3遺伝子などの選択マーカー遺伝子のそれぞれの側にクローニングする。
この欠失構築物を相同組換えにより突然変異ライブラリーに導入する。マーカー
に対しての選択後は、選択マーカーをゲノム中にうまく組込んだ細胞だけが生存
しうる。酵母においては、標的遺伝子中への挿入は90%を越えうる(Wach, A., 1
996, Yeast, 12(3):259-65)。対照については、細胞増殖に必要でないHOエンド
ヌクレアーゼ遺伝子(YDL227c)などの遺伝子との相同性を標的とすることによ
り、隣接した選択マーカーを含有する欠失構築物を作製することができる。この
遺伝子は、遺伝子産物が正常の栄養成長にとって必要なものではないので良い対
照である(Baganz, F.ら, 1997, Yeast 13:1563-1573、参照によりその全文が組
み入れられる)。
【0035】 4.1.4 合成的致死の検出 一次突然変異と突然変異ライブラリー中にある突然変異のいずれかとの間の合
成的致死の存在は、当業者が周知するいずれの方法により検出してもよい。好ま
しくは、一次突然変異の突然変異ライブラリー中への導入および一次突然変異と
二次突然変異の両方を含有する細胞の選択の後に、得られる二重突然変異一倍体
細胞を繁殖させる。好ましくは、該細胞を、少なくとも5、少なくとも10、少な
くとも15、20、約20、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも
50、60、約60、または少なくとも60集団倍化を可能にする条件のもとでかつ十分
な時間をかけて増殖する。この競合増殖期間に、二重突然変異体のいずれかの差
別的増殖速度の増幅が起こる。例えば、もし細胞の集団中のある細胞が集団の他
の細胞より5%遅い速度で増殖すれば、20集団倍化後にその細胞は集団の他の細胞
と比較して50%だけ不足するであろう。また、対照実験も実施することが好まし
く、その場合は、単一突然変異体対照(すなわち、二次突然変異だけを持つ細胞
)の集合体を同じ条件のもとで同じ時間だけ増殖する。
【0036】 増殖後に、それぞれの二次突然変異をもつ二重突然変異体細胞の存在量を測定
する。それぞれの二重突然変異体の存在量を、同じ二次突然変異をもつ単一突然
変異体対照細胞の存在量と比較する。もし二重突然変異体とその対応する単一突
然変異体対照が同じ速度で増殖すれば(すなわち、二重突然変異体の存在量と単
一突然変異体対照の存在量との間の差が小さいか無ければ)、これらの2つの遺
伝子間に合成的致死は検出されず、従って、二次突然変異は一次突然変異に対し
て合成的致死突然変異でない。しかし、もし二重突然変異体がその対応する単一
突然変異体対照と比較して遅い速度で増殖すれば(すなわち、対応する単一突然
変異体と比較して二重突然変異の量がより少ないかまたは検出されなければ)、
これらの2つの遺伝子間に合成的致死が検出され、従って、二次突然変異は一次
突然変異に対して合成的致死突然変異である。
【0037】 好ましい実施形態においては、二重突然変異体と対応する単一突然変異体の相
対量は、突然変異ライブラリーに存在するDNAタグ、またはバーコードを検出す
ることにより決定する。上記のバーコード化突然変異ライブラリーは、突然変異
をもつ細胞集団の迅速かつ簡単な評価を可能にする。バーコード化突然変異ライ
ブラリーのそれぞれのメンバーはユニークなDNAタグを有するので、かつそれぞ
れのタグは既知の欠失突然変異と関連するので、所与のDNAタグの検出(または
その欠落)は、タグを持つ細胞中のどの遺伝子が欠失しているのかを知らせる。
さらに、タグは、ポリメラーゼ連鎖反応を介して最初にそれらを増幅し、そして
蛍光標識し、その後、DNAタグと相補的なDNA分子を含んでなるDNAマイクロアレ
イによる増幅産物のハイブリダイゼーションにより、検出することができる。適
当な蛍光標識の例は、Cy3、Cy5およびフルオレセインが挙げられる。バーコード
化酵母突然変異ライブラリーに存在するタグを検出するためのDNAマイクロアレ
イの利用が開示されている(Winzeler, E.A.ら, 1999, 285:901-906、参照によ
りその全文が組み入れられる)。このようなアレイは、当業者であれば確立され
たプロトコル(Marton, M. J.ら, 1998, Nat Med 4(11):1293-301)に従って作
製するかまたは市販品(Affymetrix Inc., Santa Clara, CA、また1999年4月30
日に出願された米国特許出願第09/303,082号も参照)を購入することができる。
DNAマイクロアレイの各アドレスは、既知DNAタグと相補的なDNAを含有する。ハ
イブリダイゼーション後、DNAマイクロアレイ内の所与の位置に検出しうる蛍光
量は、その位置におけるDNAと相補的なタグを持つ細胞の相対的存在量を表す。
好ましくは、単一突然変異対照細胞のタグを増幅し、二重突然変異細胞から増幅
したタグを標識するのに用いたものとは異なる蛍光体を用いて標識する。差別的
に標識したタグを同時にDNAマイクロアレイとハイブリダイズすると、DNAマイク
ロアレイの各アドレスにおいて検出しうる1つの蛍光と他の蛍光との比は、タグ
を増幅した元の培養に存在した対応する単一突然変異体に対する各二重突然変異
体の相対存在量の直接標準を提供する。1:1に近い比は単一突然変異体と二重突
然変異体の増殖速度に差がないことを示すが、一方1:1と有意に異なる比は単一
と二重突然変異体が異なる速度で増殖することを示す。好ましくは、2:1より大
きい、3:1より大きい、5:1より大きい、8:1より大きい、または10:1より大きい
単一突然変異体蛍光体の二重突然変異体蛍光体に対する比が、本発明によるスク
リーニング方法における合成的致死の指標であると考えられる。
【0038】 場合によっては、対照細胞と比較する代わりに、他の二重突然変異体と比較し
て低いレベルで存在する二重突然変異体を同定したいときがある。他の二重突然
変異体細胞と比較して、より低い存在量で存在する細胞は、一次突然変異と合成
的致死二次突然変異をもつ細胞として同定する。
【0039】 4.2 哺乳動物細胞におけるバーコード化合成的致死スクリーニング 4.2.1 哺乳動物細胞突然変異ライブラリー 本発明による方法により一次突然変異を導入する二次突然変異のパネルとして
、いずれの突然変異体のライブラリーを利用してもよい。突然変異ライブラリー
を含んでなる突然変異株は、当業者には周知のいずれの方法により構築してもよ
い。好ましくは、それぞれの突然変異株は様々な遺伝子の発現の低下もしくは非
存在を表す。遺伝子発現もしくは活性のレベルの低下は、該遺伝子の少なくとも
1コピーの欠失もしくは突然変異により、該遺伝子の細胞経路の成分の優性ネガ
ティブ型を発現させることにより、または該遺伝子がコードするRNAの活性もし
くは存在量を低下させることにより作製することができる。遺伝子がコードする
RNAの活性または存在量は、リボザイム、アンチセンス核酸、二本鎖RNAまたはア
プタマーを使って低下させてもよい。
【0040】 組織培養中のタンパク質の過小発現は、そのタンパク質をコードするmRNAの存
在量もしくは活性を低下することによって最もうまく達成される。RNA存在量も
しくは活性を低下する方法は、現在、リボザイム、アンチセンス種、およびRNA
アプタマーの3クラスに分類される(Goodら, 1997, Gene Therapy 4:45-54)。
細胞のこれらの物質への制御可能な曝露により、RNA存在量の制御可能な摂動が
実現する。
【0041】 リボザイムはRNA切断反応を触媒する能力のあるRNAである。(Cech, 1987, Sc
ience 236:1532-1539;1990年10月4日に開示されたPCT国際公開WO 90/11364;S
arverら, 1990, Science 247:1222-1225)。「ヘアピン」および「ハンマーヘッ
ド」RNAリボザイムは、特定の標的mRNAを特異的に切断するように設計できる。
他のRNA分子を高度に配列特異的な方法で切断することができかつ実質的に全て
の種類のRNAを標的とすることができることを特徴とする、リボザイム活性をも
つ短いRNA分子の設計に対するルールは確立されている(Haseloffら, 1988, Nat
ure 334:585-591;Koizumiら, 1988, FEBS Lett. 228:228-230;Koizumiら, 198
8, FEBS Lett. 239:285-288)。遺伝子の過小発現に対するリボザイム法は、そ
のような小RNAリボザイム分子の細胞等における発現の誘導に関わる(Grassiお
よびMarini, 1996, Annals of Medicine 28:499-510;Gibson, 1996, Cancer an
d Metastasis Reviews 15:287-299)。
【0042】 リボザイムは、mRNAを切断する触媒として有効な十分な数を慣例的にin vivo
で発現させ、それによって細胞内mRNA存在量を改変することができる(Cottenら
, 1989, EMBO J. 8:3861-3866)。特に、従来のルールに従い設計しかつ、例え
ば標準のホスホロアミダイト化学により合成した、リボザイムをコードするDNA
配列を、tRNAをコードする遺伝子のアンチコドン・ステムおよびループ内の制限
酵素切断部位中にライゲートし、次いで当業界の慣例的方法により目的の細胞中
へ形質転換しかつ発現させることができる。好ましくは、誘導性プロモーター(
例えば、グルココルチコイドまたはテトラサイクリン応答エレメント)もこの構
築物中に導入し、リボザイム発現を選択的に制御できるようにする。tDNA遺伝子
(すなわち、tRNAをコードする遺伝子)はサイズが小さく、転写が高速度であり
、そして様々な種類の組織内に偏在して発現するので、この応用に有用である。
従ってリボザイムは、実質的にあらゆるmRNA配列を切断するように慣例的に設計
することができ、そして細胞は、制御可能でありかつ触媒として有効な量のリボ
ザイムをを発現するように、そのリボザイム配列をコードするDNAを用いて、慣
例的に形質転換することができる。従って、細胞内の実質的にいずれのRNA種の
存在量も摂動させることができる。
【0043】 他の実施形態においては、RNA(好ましくはmRNA)種の活性、具体的にはその
翻訳速度は、制御可能なアンチセンス核酸の適用により阻害することができる。
本明細書中で使用する「アンチセンス」核酸とは、RNAの配列特異的(例えば、
非ポリ-A)部分、例えばその翻訳開始領域と、コードおよび/または非コード領
域との配列相補性によってハイブリダイズすることができる核酸を意味する。本
発明のアンチセンス核酸は、RNAの翻訳を摂動するために十分かつ制御可能な量
で導入した外因性配列の転写によって細胞内で産生させる。
【0044】 好ましくは、アンチセンス核酸は少なくとも6ヌクレオチドかつ約200までのオ
リゴヌクレオチドである。本発明のアンチセンス核酸は、RNA種の少なくとも一
部分と相補的な配列を含んでなる。しかし、絶対的相補性は、好ましいが、必要
ではない。本明細書中で言及する「RNAの少なくとも一部分と相補的な」配列と
は、RNAとハイブリダイズし、安定な二重鎖(duplex)を形成し得るのに十分な
相補性を有する配列を意味し;二本鎖アンチセンス核酸の場合、二重鎖DNAの一
本鎖をこのように試験してもよいしまたは三重鎖形成をアッセイしてもよい。ハ
イブリダイズする能力は、相補性の程度とアンチセンス核酸の長さの両方に依存
しうる。一般的に、ハイブリダイズする核酸が長いほど、含有する所与のRNAと
の塩基ミスマッチが多くても、そのRNAと安定な二重鎖(または、場合によって
は、三重鎖)を形成する。当業者は、ハイブリダイズした複合体の融点を測定す
る標準手法を用いて許容しうるミスマッチの程度を確かめることができる。所与
のRNAの翻訳を阻害するために有効なアンチセンス核酸の量は標準アッセイ技術
により確認することができる。
【0045】 本発明のアンチセンス核酸は、外因性配列から転写により、制御可能な形で細
胞内に発現される。例えば、ベクターを細胞に取り込まれるようにin vivoで導
入し、細胞内でベクターもしくはその一部分が転写され、本発明のアンチセンス
核酸(RNA)を産生することができる。そのようなベクターはアンチセンス核酸
をコードする配列を含有することができる。そのようなベクターは、転写されて
所望のアンチセンスRNAを産生しうる間、エピソームとして残るかまたは染色体
に組込まれていてもよい。そのようなベクターは当業界で標準の組換えDNA技法
により構築することができる。ベクターはプラスミド、ウイルス、または他の当
業界で周知の哺乳動物および昆虫細胞の複製および発現に利用されるベクターで
あってもよい。アンチセンスRNAをコードする配列の発現は、目的の細胞内で作
用する当業界で周知のいずれのプロモーターで行ってもよい。そのようなプロモ
ーターは誘導的または構成的であってもよい。最も好ましくは、プロモーターは
、アンチセンスオリゴヌクレオチドの制御可能な発現を達成するために、外因成
分の投与によって制御可能または誘導可能である。このような制御可能なプロモ
ーターは、限定されるものでないが、Tetプロモーター、SV40初期プロモーター
領域(BernoistおよびChambon, 1981, Nature 290:304-310)、ラウス肉腫ウイル
スの3'末端反復配列(LTR)に含有されるプロモーター(Yamamotoら, 1980, Cel
l 22:787-797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagnerら, 1981, Pr
oc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78:1441-1445)、メタロチオネイン遺伝子の調節
配列(Brinsterら, 1982, Nature 296:39-42)などが挙げられる。
【0046】 従って、アンチセンス核酸は、実質的にあらゆるmRNA配列を標的とするように
設計することができ、そして細胞をそのようなアンチセンス配列をコードする核
酸により慣例的に形質転換して有効かつ制御可能な量のアンチセンス核酸を発現
させることができる。従って、細胞中の実質的にあらゆるRNA種の翻訳も制御可
能な形で摂動させることができる。
【0047】 最後に、さらなる実施形態においては、RNAアプタマーを細胞に導入しまたは
発現することができる。RNAアプタマーは、TatおよびRevRNAなどのタンパク質に
対する特異的RNAリガンド(Goodら, 1997, Gene Therapy 4:45-54)であり、そ
れらの翻訳を特異的に阻害することができる。
【0048】 突然変異体のプールを作製するために、個々の突然変異株を、富栄養培地にお
ける個々の培養物中で飽和状態になるまで増殖してもよい。得られる培養物を一
緒にプールし、本発明のスクリーニングに用いる。特定の実施形態においては、
突然変異体のプールは、100〜100,000の異なる突然変異株、1000〜100,000の異
なる突然変異株、10,000〜50,000の異なる突然変異株、または20,000〜50,000の
異なる突然変異株を含有する。いずれの数の株の使用も本発明では明白に意図し
ている。好ましい実施形態においては、ライブラリーは、哺乳動物細胞ゲノムの
オープンリーディングフレームの100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%ま
たは20%に対する個々の欠失株を含有する。
【0049】 好ましくは、突然変異ライブラリーは欠失突然変異ライブラリーである。また
、突然変異ライブラリーはバーコード化されているのが好ましい。バーコード化
された欠失株は、サッカロミセスゲノム欠失プロジェクト(Saccharomyces Geno
me Deletion Project)により作製され、文献に記載されている(Winzeler EAら
, 1999, Science 285:901-6、Shoemaker, D.ら, 1996, Nature Genetics, 14, 4
50-456、それぞれ参照によりその全文が組み入れられる)。サッカロミセスゲノ
ム欠失プロジェクトの到達目標は、酵母欠失株の完全なセットを作製することで
ある。PCRに基づく遺伝子欠失方法(Baudinら, 1993, Nucl. Acids Res. 21, 33
29-3330;Wachら, 1994, Yeast 10, 1793-1808、それぞれ参照によりその全文が
組み入れられる)を利用して、酵母ゲノムの約6,200のオープンリーディングフ
レーム(ORF)のそれぞれに対する個々の欠失株を作製した。欠失株構築方法の
一環として、2つの独立した20merの配列を用いてそれぞれの欠失にユニークなタ
グを付けた。タグの存在は、高密度オリゴヌクレオチドアレイとのハイブリダイ
ゼーションを介して検出することができ、これによって、得られる欠失株の増殖
表現型を並行して分析することが可能である。10,000以上の株が現在利用しうる
(Research Genetics, Huntsville, Alabama;American Type Culture Collecti
on, Manassas, VA)。
【0050】 4.2.2 一次突然変異の選択 本発明の方法は、標的遺伝子の所与の一次突然変異に対する二次突然変異を同
定するために利用することができる。好ましくは、標的遺伝子は、癌細胞内でそ
の機能が非存在かもしくは低下している哺乳動物遺伝子、例えば腫瘍抑制遺伝子
または変異誘発遺伝子が挙げられる。そのような哺乳動物遺伝子の例は、p53、p
l6、PTEN、NF-1、NF-2、DPC4、MTS1、網膜芽細胞腫遺伝子、APCおよびFHITが挙
げられる。
【0051】 4.2.3 哺乳動物細胞突然変異ライブラリー中への一次突然変異の導入 標的遺伝子の一次突然変異は、当業者には周知の、本明細書の第5.2.1節に記
載の方法を含むいずれかの方法によって、哺乳動物突然変異ライブラリー中に導
入することができる。一次突然変異は、ライブラリー中に存在する細胞の高いパ
ーセントに導入することが好ましく、突然変異ライブラリーの好ましくは30%を
超える、40%を超える、50%を超える、60%を超える、70%を超える、80%を超える
、または90%を超える細胞が一次突然変異を受ける。一次突然変異の結果は、標
的遺伝子の発現または活性レベルの低下または非存在である。
【0052】 4.2.4 合成的致死の検出 一次突然変異と突然変異ライブラリー中にある突然変異のいずれかとの間の合
成的致死の存在は、当業者が周知するいずれの方法により検出してもよい。好ま
しくは、一次突然変異の突然変異ライブラリー中への導入および一次突然変異と
二次突然変異の両方を含有する細胞の選択の後に、得られる二重突然変異一倍体
細胞を繁殖させる。好ましくは、該細胞を、少なくとも5、少なくとも10、少な
くとも15、20、約20、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも
50、60、約60、または少なくとも60集団倍化を可能にする条件のもとでかつ十分
な時間をかけて増殖する。この競合増殖期間に、二重突然変異体のいずれかの差
別的増殖速度の増幅が起こる。例えば、もし細胞の集団中のある細胞が集団の他
の細胞より5%遅い速度で増殖すれば、20回の細胞数倍加後にその細胞は集団の他
の細胞と比較して50%だけ枯渇するであろう。また、対照実験も実施することが
好ましく、その場合は、単一突然変異体対照(すなわち、二次突然変異だけを持
つ細胞)の集合体を同じ条件のもとで同じ時間だけ増殖する。
【0053】 増殖後に、それぞれの二次突然変異をもつ二重突然変異体細胞の存在量を測定
する。それぞれの二重突然変異体の存在量を、同じ二次突然変異をもつ単一突然
変異体対照細胞の存在量と比較する。もし二重突然変異体とその対応する単一突
然変異体対照が同じ速度で増殖すれば(すなわち、二重突然変異体の存在量と単
一突然変異体対照の存在量との間の差が小さいか無ければ)、これらの2つの遺
伝子間に合成的致死は検出されず、従って、二次突然変異は一次突然変異に対し
て合成的致死突然変異でない。しかし、もし二重突然変異体がその対応する単一
突然変異体対照と比較して遅い速度で増殖すれば(すなわち、対応する単一突然
変異体と比較して二重突然変異の量がより少ないかまたは検出されなければ)、
これらの2つの遺伝子間に合成的致死が検出され、従って、二次突然変異は一次
突然変異に対して合成的致死突然変異である。
【0054】 好ましい実施形態においては、二重突然変異体と対応する単一突然変異体の相
対量は、突然変異ライブラリーに存在するDNAタグ、またはバーコードを検出す
ることにより決定する。上記のバーコード化突然変異ライブラリーは、突然変異
をもつ細胞集団の迅速かつ簡単な評価を可能にする。バーコード化突然変異ライ
ブラリーのそれぞれのメンバーはユニークなDNAタグを有するので、かつそれぞ
れのタグは既知の欠失突然変異と関連するので、所与のDNAタグの検出(または
その欠落)は、タグを持つ細胞中のどの遺伝子が欠失しているのかを知らせる。
さらに、タグは、ポリメラーゼ連鎖反応を介して最初にそれらを増幅し、そして
蛍光標識し、その後、DNAタグと相補的なDNA分子を含むDNAマイクロアレイによ
る増幅産物のハイブリダイゼーションにより、検出することができる。適当な蛍
光標識の例は、Cy3、Cy5およびフルオレセインが挙げられる。バーコード化突然
変異ライブラリーに存在するタグを検出するためのDNAマイクロアレイの利用が
開示されている(Winzeler, E.A.ら, 1999, 285:901-906、参照によりその全文
が組み入れられる)。このようなアレイは、当業者であれば確立されたプロトコ
ル(Marton, M. J.ら, 1998, Nat Med 4(11):1293-301)に従って作製するかま
たは市販品(Affymetrix Inc., Santa Clara, CA)を購入することができる。DN
Aマイクロアレイの各アドレスは、既知DNAタグと相補的なDNAを含有する。ハイ
ブリダイゼーション後、DNAマイクロアレイ内の所与の位置に検出しうる蛍光量
は、その位置におけるDNAと相補的なタグを持つ細胞の相対的存在量を表す。好
ましくは、単一突然変異対照細胞のタグを増幅し、二重突然変異細胞から増幅し
たタグを標識するのに用いたものとは異なる蛍光体を用いて標識する。示差的に
標識したタグを同時にDNAマイクロアレイとハイブリダイズすると、DNAマイクロ
アレイの各アドレスにおいて検出しうる1つの蛍光と他の蛍光との比は、タグを
増幅した元の培養物に存在した対応する単一突然変異体に対する各二重突然変異
体の相対存在量の直接標準を提供する。1:1に近い比は単一突然変異体と二重突
然変異体の増殖速度に差がないことを示すが、一方1:1と有意に異なる比は単一
と二重突然変異体が異なる速度で増殖することを示す。好ましくは、2:1より大
きい、3:1より大きい、5:1より大きい、8:1より大きい、または10:1より大きい
単一突然変異体蛍光体の二重突然変異体蛍光体に対する比が、本発明によるスク
リーニング方法における合成的致死の指標であると考えられる。
【0055】 場合によっては、対照細胞と比較する代わりに、他の二重突然変異体と比較し
て低いレベルで存在する二重突然変異体を同定したいときがある。他の二重突然
変異体細胞と比較して、より低い存在量で存在する細胞は、一次突然変異と合成
的致死二次突然変異をもつ細胞として同定する。
【0056】 4.3. 他の系におけるバーコード化合成的致死スクリーニング 当業者であれば、上記の方法は、細菌細胞、昆虫細胞および植物細胞などの他
の系に容易に適合できることを理解しうる。好ましい実施形態においては、突然
変異ライブラリーの細胞は線虫(C. elegans)細胞、ショウジョウバエ(drosop
hila)細胞、または大腸菌(E.coli)細胞である。
【0057】 5. 実施例:酵母欠失突然変異ライブラリーを用いるバーコード化合成的致死ス クリーニング バーコード化突然変異ライブラリーの取得 本発明者らの合成的致死スクリーニングに用いられるバーコード化欠失株は、
サッカロミセスゲノム欠失プロジェクト(Saccharomyces Genome Deletion Proje
ct)(Winzeler EAら, 1999, Science 285:901-6;Shoemaker, D.ら, 1996, Natur
e Genetics, 14:450-456)によって作製されたものである。このプロジェクトの
目的は酵母の欠失株の完全なセットを作製することである。PCRに基づく遺伝子
欠失法を、酵母ゲノムの約6,200のORFの各々について個々に欠失株を作製するた
めに用いた。そのような株の構築プロセスの一環として、各欠失体に2種類の独
立した20merの配列のユニークなタグを付した(Winzeler EAら, 1999, Science 2
85:901-6)。このタグの存在は高密度オリゴヌクレオチドアレイとハイブリダイ
ズさせることによって検出することができ、それによってその結果得られた欠失
株の増殖しうる表現型を並行して分析できるようになる。現在、10,000株以上が
Research GeneticsおよびATCC(Research Genetics, Huntsville, 米国アラバマ
州およびAmerican Type Culture Collection, Manassas, 米国バーモント州)か
ら入手しうる。下記の合成的致死実験のために、1,600の一倍体株のプール(BY47
39、MATα leu2D0 lys2D0 ura3D0 CAN1 KanMX+)を用いた。これらの一倍体α株
は薬剤G418に対して耐性で、薬剤カナバニンに対して感受性である。
【0058】 バーコードを付された欠失突然変異体のプールを作製するために、1,600株の
各々を、栄養素に富むYPD(酵母抽出物−ペプトン−デキストロース)培地を含む5
mLの個々の培養物中で飽和状態となるまで増殖させた。この結果得られた培養液
を集めてプールし、グリセロールを最終濃度が15%となるように添加し、10mLの
アリコートを作製し、−80℃で保存した。
【0059】標的遺伝子中の一次突然変異の作製 本発明者らはHNT2遺伝子に興味を抱いたが、それは、この遺伝子がヒトFHIT、
これはヒト腫瘍抑制遺伝子であって、多くの固形腫瘍中で欠失しているものであ
るが(K. Huebnerら, 1999, Advances in Oncology 15:3-10; 米国特許第5,928,8
84号, 国際特許公開 WO97/29119)、そのFHITの酵母での相同物であるからである
。本発明者らの目的は、HNT2を用いて合成的致死である突然変異を同定すること
によって、新規の抗癌剤の標的を同定することである。本実施例では、二倍体酵
母株(MATa can1 hnt2DO::URA3)中のHNT2遺伝子(YDR305c)を欠失させるために標
準的な酵母遺伝子技法を用いた。具体的には、HNT2遺伝子のコード領域全体を選
択マーカーURA3と相同組換えを用いて置換した。この株はCAN1遺伝子に突然変異
があり、それはアルギニン類似体のカナバニンに対する耐性を与える。対照とし
て、HNT2遺伝子の機能的コピーを含有する同質遺伝子系統の酵母株を作製し、UR
A3遺伝子を第5染色体上の正常な位置に挿入した(MATa can1)。
【0060】接合による二重突然変異体の作製 hnt2と1,600個のバーコードを付された欠失株集団との間の二重突然変異体で
作りうるもの全てを作製するために、接合を行った。このアプローチによって、
バーコード化欠失突然変異ライブラリーの複雑性を維持するために、十分な数の
独立した単離体が試験できることとなる。具体的には、バーコード化ライブラリ
ーの2,000,000個の細胞を5,000,000個のhnt2変異体細胞および5,000,000HNT2野
生型細胞と別々に接合反応させた。これらの細胞を、YPD寒天プレート上に置い
た、コロニー側を上に向けた滅菌済みニトロセルロースフィルター上で30℃で16
時間インキュベートした。次いでその細胞を200μg/mLのG418を含むSC-URA培地
上にまき、二倍体を選択した。hnt2細胞からは2,000,000個の独立した二倍体コ
ロニーが得られ、野生型の対照からは3,000,000個の独立した二倍体コロニーが
得られた。二倍体細胞(2つのプールの各々から2,000,000個)を前胞子形成培地上
で2日間30℃でインキュベートし、次いで胞子形成パッチの全体を5mLの1%酢酸
カリウム、0.005%酢酸亜鉛中へ移し、さらに2日間ローラードラム中でインキュ
ベートした。胞子形成の程度は30%と判定し、8,000,000個の細胞をザイモリア
ーゼを用いガラスビーズとともに攪拌してランダム胞子分析にかけた。これらの
細胞をG418およびカナバニン含有のSC-URA培地上に蒔いて所望の二重突然変異を
含む一倍体の胞子を選択した。カナバニン耐性は劣性形質であるため、カナバニ
ンにより胞子形成しない二倍体細胞について選択できる。URA+、カナバニン耐
性、G418耐性の細胞数は、8,000,000×30% 胞子形成 ×4胞子/四分子×正しい
遺伝子型の12.5%、すなわち1,200,000個と算出された。胞子形成した二重突然
変異体をプールした結果得られた420,000個の独立したコロニー、および胞子形
成した単一突然変異体のプールからの380,000個の独立したコロニーが得られた
。この収率が理論的収率の1/3であったことは、細胞がザイモリアーゼおよびガ
ラスビーズを用いた処理によっていくらか死滅したことを示している。しかし、
400,000個の二倍体は1,600種類ある複雑性を有するライブラリーの250倍に及ん
でいることとなる。得られた100個のコロニーのうちの100個ともが同定可能な接
合型を有しており、このことはこのプロトコールが接合およびランダム胞子分析
を介して迅速かつ効率的に二倍体株を作製することを証明している。
【0061】合成的致死突然変異を同定するための競合的増殖 得られた380,000〜420,000個の独立の二倍体コロニーのセットの各々をプール
し、20回の細胞数倍加を行った。その増殖の後、対照の単一突然変異体および二
重突然変異体のプールから100,000,000個の細胞を採取して−80℃で保存した。
【0062】タグの検出 目的は、競合増殖で20回の細胞数倍加を行った後に、対照には存在するがhnt2
欠失株には存在しないタグを同定することである。それらのタグはhnt2の欠失と
組み合わされて、合成的致死突然変異、もしくは合成的により適合しないような
突然変異が起こったことを示している。
【0063】 生存している二重突然変異体からのゲノムDNAの単離 1. 室温でhnt2と対照のペレットを融解させる。そのペレットには競合的増殖
の20回の細胞数倍加後に採取した100,000,000個の細胞が含まれている。 2. Epicentre Kit(MasterPure Yeast DNA Purification Kit #mpy80200)から
の300μLの溶解バッファー中にペレットを再懸濁する。 3. 酸で洗ったガラスビーズ(約0.5mm)をメニスカスまで加え、ミニビーズビ
ーターで5000rpmの速度で30秒間ボルテックスにかける。氷上で直ちに冷却する
。 4. 試験管を氷上に5分間置く。Epicentre Kitからの150μLのMPC Protein Pr
ecipitation Reagentを添加する。10秒間ボルテックスで混合する。14krpm(もし
くはトップスピードで)で10分間マイクロ遠心する。 5. 上清を注意深く新たなエッペンドルフ試験管中に傾斜して注ぐ。500μLの
イソプロパノールを添加し、倒立させて十分混合する。14krpm(もしくはトップ
スピードで)で10分間マイクロ遠心する。ペレットを0.5mLの70% EtOHで洗い、
ボルテックスにかけ、回転させ、EtOHを流して除去する。さらに10秒間回転させ
、残存しているEtOHをP200で除去し、ペレットを室温で3〜5分間乾燥する。ペレ
ットを100μLのTE中に再懸濁する。 6. Hoefer DyNA Quant 200フルオロメーターを用いてゲノムDNAを定量する。
【0064】 タグの増幅 欠失株の各々を2つの別々のタグで標識し、それらは選択マーカーの上流に1つ
、下流に1つ置いた。2個のタグは「上流タグ(uptag)」および「下流タグ(dntag)
」と名付ける。上流タグおよび下流タグをゲノムサンプルから別々に増幅する。
このタグの増幅法は既に報告されている(Winzeler EAら, 1999, Science 285:90
1-6; Giaever, G.ら, 1999, Nat Genet 21(3):278-83; Shoemaker, DD.ら, 1996
, Nat Genet 14(4):450-456)。全ての上流タグバーコードは、1upおよび3upと呼
ばれる共通の18merのプライマーペアを1つ用いて増幅することができる(下記参
照)。3upプライマーは5'末端にCy3もしくはCy5標識を有する。下流タグバーコー
ドには異なる共通プライミング部位が隣接している。これらのタグは、1DNおよ
び3DNと呼ばれる2つの18merのプライマーで増幅することができる。ここでも、1
DNプライマーはその5'末端にCy3もしくはCy5標識を有している。本実施例では、
対照細胞からのタグをCy3標識プライマーで増幅し、hnt2細胞からのタグはCy5標
識プライマーで増幅した。
【0065】 5μL プライマーミックス (終濃度0.5μM) 1μL ゲノム鋳型(最終的に15ng) 44μLのPCR Super Mix(PCR Platinum SuperMix, Gibco#11306-016) 総計50μL UPTAG プライマーミックス: 5μM 1UP 5' gatgtccacgaggtctct 3' 5μM 3UP-Cy3/5 5' Cy-gtcgacctgcagcgtacg 3' 1UP 5' gatgtccacgaggtctct 3' 20mer バーコード 5' gatgtccacgaggtctctTTGGTGCGCCCACAAACAAAcgtacgctgcaggtcgac -kan 3' ctacaggtgctccagagaAACCACGCGGGTGTTTGTTTgcatgcgacgtccagctg -kan 3' gcatgcgacgtccagctg Cy 5' 3UP-Cy DNTAG プライマーミックス: 5μM 1DN-Cy3/5 5' Cy-cgagctcgaattcatcg 3' 5μM 3DN 5' cggtgtcggtctcgtag 3' 1DN-Cy 5' Cy-cgagctcgaattcatcg 3' 20mer バーコード kan cgagctcgaattcatcgatTTTCTATATTGGGACACGGGctacgagaccgacaccg 3' kan gctcgagcttaagtagctaAAAGATATAACCCTGTGCCCgatgctctggctgtggc 5' 3' gatgctctggctgtggc 5' 3DN PCR 反応条件: 1. 94℃ 5分間 2. 94℃ 30秒間 3. 50℃ 30秒間 2、3、4の条件を35サイクル 4. 72℃ 30秒間 5. 72℃ 7分間
【0066】 ハイブリダイゼーション 増幅されたタグを共通のプライミング部位と結合するブロッキングプライマー
と混合する。このことによってハイブリダイゼーションの際のバックグラウンド
を低減させる。
【0067】 1. Cy3およびCy5上流タグ増幅物の35μLを200μL PCR試験管に移す。 2. 5μLの「上流ブロッキングミックス」を添加する(1UPおよび2UP、各100ピ
コモル、−下記参照)。 3. Cy3およびCy5下流タグ増幅物の35μLを別の200μL PCR試験管に移す。 4. 5μLの「下流ブロッキングミックス」を添加する(3DNおよび4DN、各100ピ
コモル、−下記参照)。 5. 99℃で2分間インキュベートしてPCR産物を変性させる。 1UP 2UP 5' gatgtccacgaggtctct 3' 20mer バーコード 5' cgtacgctgcaggtcgac 3' 3' ctacaggtgctccagagaAACCACGCGGGTGTTTGTTTgcatgcgacgtccagctg Cy 5' 20mer バーコード 5' Cy cgagctcgaattcatcgatTTTCTATATTGGGACACGGGctacgagaccgacaccg 3' 3' gctcgagcttaagtagcta 5' 3' gatgctctggctgtggc 5' 4DN 3DN 6. 3.5mLのハイブリダイゼーションミックス(1M NaCl, 10mM Tris pH 7.0, 0
.5% Triton-X 100)を調製する。 7. 変性させた上流タグおよび下流タグ(各75μL)を3.5mLのハイブリダイゼー
ションミックス中に添加する。 8. プラスチックバッグ中に1×3スライドグラスを1枚置き、ハイブリダイゼ
ーションミックスを添加する。この1×3スライドガラスは、種々の欠失株の各々
からのタグ配列に相補的なオリゴヌクレオチドを含んでいる。本実施例では、Ro
setta Inpharmaticsで開発されたインクジェット合成機(Marton MJ,ら, 1988, N
at Med 4(11):1293-301)を用いて高密度オリゴヌクレオチドアレイを作製した。
このアレイは、6,200種の欠失株の各々に対するタグを含んでいる(現在のプール
では1,600種の欠失株が含まれているものしかない)。類似のチップはAffymetrix
Inc.(Santa Clara, 米国カリフォルニア州)から入手することができる。 9. hybstrip 1の試験管を開け、ハイブリダイゼーションミックスを含む15mL
のファルコン試験管中に移す。 10. そのミックス全体を1×3cmのスライドを入れたプラスチックバッグに移
し、閉じ、40℃のローラー上に3時間置く。
【0068】 洗浄 1. 300mLの6×SSPE+0.05% Triton-Xを300mLのビーカーに加える。 2. バッグからチップを取り出し、ブルークランプを用いて20回勢いよく回転
させて洗う。 3. 300mLの冷0.06×SSPEを別の300mLのビーカーに加える。 4. スライドをステップ(3)の低塩バッファー中に浸漬する。
【0069】 スキャニング 1×3 スライドをGMS 418 Array Scanner中に挿入する。このスキャナーはGene
tic Microsystems(34 Commerce Way, Woburn, 米国マサチューセッツ州 01801;
http://www.arrayer.com/products/html/mass.html)から市販されている。スラ
イドは適切なPMT設定でCy5およびCy3チャンネルの双方でスキャンした(Winzeler
EAら, 1999, Science 285:901-6)。
【0070】 データ分析 オリゴヌクレオチドアレイのスキャニングされた像を標準的なソフトウエアパ
ッケージで分析した。このプログラムによって種々のタグの各々のCy5およびCy3
チャンネルの双方でのシグナル強度を定量できる。データを標準化した後、この
プログラムでは種々のタグの各々について比率を計算する。最終的な出力は、プ
ール中の欠失株を、対応する上流タグと下流タグの比率とともに示すリストであ
る。その比率の低いものから順に高いものへそのリストをソーティングして、HN
T2で合成的致死である欠失株を同定する。本実施例では、1,600種のタグを付し
た欠失株のうちの1%が、野生型の対照と比べてhnt2遺伝的バックグラウンドに
おいて顕著な増殖の差異を示した。
【0071】 種々の参考文献、例えば特許出願、特許、および公表文献が本明細書に引用さ
れているが、これらの開示事項はその全体を参照により本明細書に組み入れるこ
ととする。
【0072】 本発明は上述のとおり説明してきたが、同一のものを多数の方法で変更しうる
ことは明白であろう。そのような変更は本発明の精神と範囲から逸脱したものと
は見なされるべきではなく、そのような改変事項の全ては、当業者であれば明確
に理解できるように、本明細書の特許請求の範囲に記載の範囲内に含まれるべき
ことを意図している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/50 G01N 33/58 A 33/53 37/00 102 33/58 C12R 1:645 37/00 102 C12N 15/00 ZNAA //(C12Q 1/68 X C12R 1:645) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ブレンナー,チャールズ,エム. アメリカ合衆国 19147 ペンシルバニア 州,フィラデルフィア,イー.パシュンク アベニュー 749 (72)発明者 シューメイカー,ダニエル,ディー. アメリカ合衆国 98011 ワシントン州, ボーセル,106ティーエイチ アベニュー 14316 Fターム(参考) 2G045 AA24 AA40 BA13 BB20 BB35 CB01 DA12 DA13 DA14 FB02 FB07 FB12 FB15 4B024 AA13 CA02 CA09 GA18 GA25 4B063 QA17 QQ08 QQ12 QQ43 QQ52 QR08 QR42 QR56 QS25 QS34 QX02

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1遺伝子中に一次突然変異をもつ細胞において増殖速度の
    低下を引き起こす二次突然変異を、第1遺伝子とは異なる第2遺伝子中に、保有
    する細胞をスクリーニングする方法であって、以下のステップ: (a) 第2遺伝子に二次突然変異をもつ細胞のライブラリー中に存在する1個以
    上の細胞中の第1遺伝子に一次突然変異を導入すること、ここで、該ライブラリ
    ーは細胞の集団からなり、該集団に含まれる各細胞は異なる遺伝子に異なる二次
    突然変異を保有するものであること、 (b) ステップ(a)の細胞を、ステップ(a)の非存在下では該細胞の増殖を可能と
    する条件下でインキュベートすること、 (c) 一次突然変異をもつステップ(b)の各細胞の増殖を、一次突然変異を含ま
    ないが二次突然変異をもつ対照細胞の増殖と比較すること、 を含んでなり、その際、一次突然変異を含まないが二次突然変異をもつ対照細胞
    の増殖速度と比較して低下した増殖速度を示すステップ(b)の細胞が、細胞中で
    一次突然変異と組み合わされたとき、増殖速度の低下を引き起こす二次突然変異
    を含むものとして同定される、上記方法。
  2. 【請求項2】 突然変異細胞のライブラリーが酵母細胞のライブラリーであ
    る、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記ライブラリーがバーコード化された欠失突然変異ライブ
    ラリーである、請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 突然変異細胞のライブラリーが哺乳動物細胞のライブラリー
    である、請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記ライブラリーがバーコード化された欠失突然変異ライブ
    ラリーである、請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記ライブラリーが100〜10,000の異なる突然変異を保有す
    る細胞からなり、各細胞がただ1つの突然変異を保有する、請求項3または5に
    記載の方法。
  7. 【請求項7】 一次突然変異が、該一次突然変異をもつ細胞と前記ライブラ
    リー中の突然変異細胞との接合により導入される、請求項3に記載の方法。
  8. 【請求項8】 一次突然変異が、前記ライブラリー中の突然変異細胞の直接
    形質転換により導入される、請求項3に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記細胞の増殖がバーコードの存在を定量的に検出すること
    により測定される、請求項3に記載の方法。
  10. 【請求項10】 バーコードを検出する方法が、該バーコードをポリメラー
    ゼ連鎖反応により増幅し、該反応の産物を、1以上の該バーコードに相補的なDN
    A分子を含むDNAマイクロアレイにハイブリダイズさせることを含む、請求項9に
    記載の方法。
  11. 【請求項11】 ポリメラーゼ連鎖反応の産物が蛍光標識されている、請求
    項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 対照細胞から生成されたポリメラーゼ連鎖反応の産物が、
    ステップ(a)の細胞から生成されたポリメラーゼ連鎖反応の産物に比べて、異な
    る蛍光体により標識されており、ステップ(c)での比較が、DNAマイクロアレイの
    各アドレスで検出された各蛍光体の相対量を比較することにより行われる、請求
    項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 細胞において第1遺伝子中の一次突然変異と組み合わされ
    たとき、該細胞の増殖速度の低下を引き起こす突然変異遺伝子をスクリーニング
    して同定する方法であって、以下のステップ: (a) 第2遺伝子に二次突然変異をもつ細胞のライブラリー中に存在する1個以
    上の細胞中の第1遺伝子に一次突然変異を導入すること、ここで、該ライブラリ
    ーは細胞の集団からなり、該集団に含まれる各細胞は異なる遺伝子に異なる二次
    突然変異を保有するものであること、 (b) ステップ(a)の細胞を、ステップ(a)の非存在下では該細胞の増殖を可能と
    する条件下でインキュベートすること、 (c) 一次突然変異をもつステップ(b)の各細胞の増殖を、一次突然変異を含ま
    ないが二次突然変異を保有する対照細胞の増殖と比較すること、 (d) 一次突然変異を含まないが二次突然変異を保有する対照細胞の増殖速度と
    比較して低下した増殖速度を示すステップ(b)の細胞を、細胞中で一次突然変異
    と組み合わされたとき増殖速度の低下を引き起こす二次突然変異を含むものとし
    て同定すること、 (e) 一次突然変異と組み合わされたとき増殖速度の低下を引き起こす、ステッ
    プ(d)で同定された二次突然変異が、どの遺伝子に存在するかを決定すること、
    を含んでなる、上記方法。
  14. 【請求項14】 突然変異細胞のライブラリーが酵母細胞のライブラリーで
    ある、請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記ライブラリーがバーコード化された欠失突然変異ライ
    ブラリーである、請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 突然変異細胞のライブラリーが哺乳動物細胞のライブラリ
    ーである、請求項13に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記ライブラリーがバーコード化された欠失突然変異ライ
    ブラリーである、請求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記ライブラリーが100〜10,000の異なる突然変異株から
    なる、請求項15または17に記載の方法。
  19. 【請求項19】 一次突然変異が、該一次突然変異をもつ細胞と前記ライブ
    ラリー中の突然変異細胞との接合により導入される、請求項15に記載の方法。
  20. 【請求項20】 一次突然変異が、前記ライブラリー中の突然変異細胞の直
    接形質転換により導入される、請求項15に記載の方法。
  21. 【請求項21】 前記細胞の増殖がバーコードの存在を定量的に検出するこ
    とにより測定される、請求項15に記載の方法。
  22. 【請求項22】 バーコードを検出する方法が、該バーコードをポリメラー
    ゼ連鎖反応により増幅し、該反応の産物を、1以上の該バーコードに相補的なDN
    A分子を含むDNAマイクロアレイにハイブリダイズさせることを含む、請求項21
    に記載の方法。
  23. 【請求項23】 ポリメラーゼ連鎖反応の産物が蛍光標識されている、請求
    項22に記載の方法。
  24. 【請求項24】 対照細胞から生成されたポリメラーゼ連鎖反応の産物が、
    ステップ(a)の細胞から生成されたポリメラーゼ連鎖反応の産物に比べて、異な
    る蛍光体により標識されており、ステップ(c)での比較が、DNAマイクロアレイの
    各アドレスで検出された各蛍光体の相対量を比較することにより行われる、請求
    項23に記載の方法。
  25. 【請求項25】 一次突然変異と組み合わされたとき増殖速度の低下を引き
    起こす、ステップ(d)で同定された二次突然変異が存在する遺伝子を単離するこ
    とをさらに含む、請求項13に記載の方法。
  26. 【請求項26】 以下のステップ: (f) 一次突然変異と組み合わされたとき増殖速度の低下を引き起こす、ステッ
    プ(d)で同定された二次突然変異が存在する遺伝子を単離すること、 をさらに含む、請求項15に記載の方法。
  27. 【請求項27】 以下のステップ: (g) ステップ(f)で単離された遺伝子のヒトホモログを単離すること、 をさらに含む、請求項26に記載の方法。
  28. 【請求項28】 異なる突然変異細胞の集団を含むバーコード化欠失突然変
    異体ライブラリーであって、該集団中の各突然変異細胞は異なる遺伝子に異なる
    欠失突然変異を保有しかつそれと関連した異なるバーコードを有しており、該ラ
    イブラリーを構成する細胞の25〜100%はさらに一次突然変異を有しており、該
    一次突然変異は、該一次突然変異を含む異なる突然変異細胞のそれぞれにおいて
    、同一遺伝子の突然変異である、上記バーコード化欠失突然変異体ライブラリー
  29. 【請求項29】 前記ライブラリーを構成する細胞の50〜95%がさらに一次
    突然変異を有しており、該一次突然変異は、該一次突然変異を含む異なる突然変
    異細胞のそれぞれにおいて、同一遺伝子の突然変異である、請求項28に記載の
    バーコード化欠失突然変異体ライブラリー。
  30. 【請求項30】 前記ライブラリーを構成する細胞の60〜90%がさらに一次
    突然変異を有しており、該一次突然変異は、該一次突然変異を含む異なる突然変
    異細胞のそれぞれにおいて、同一遺伝子の突然変異である、請求項28に記載の
    バーコード化欠失突然変異体ライブラリー。
JP2001553391A 2000-01-20 2001-01-18 薬物標的を同定するためのバーコード化された合成的致死スクリーニング Ceased JP2003535576A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US11746000P 2000-01-20 2000-01-20
US60/117,460 2000-01-20
PCT/US2001/001661 WO2001053532A2 (en) 2000-01-20 2001-01-18 Barcoded synthetic lethal screening to identify drug targets

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003535576A true JP2003535576A (ja) 2003-12-02

Family

ID=22373061

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001553391A Ceased JP2003535576A (ja) 2000-01-20 2001-01-18 薬物標的を同定するためのバーコード化された合成的致死スクリーニング

Country Status (5)

Country Link
EP (1) EP1248860A2 (ja)
JP (1) JP2003535576A (ja)
AU (1) AU2001229589A1 (ja)
CA (1) CA2398690A1 (ja)
WO (1) WO2001053532A2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE602004024034D1 (de) 2003-01-29 2009-12-24 454 Corp Nukleinsäureamplifikation auf basis von kügelchenemulsion
AU2014310695B2 (en) * 2013-08-21 2018-03-15 Mycartis Nv Heterogenous surface functionalization
WO2022133734A1 (en) * 2020-12-22 2022-06-30 Singleron (Nanjing) Biotechnologies, Ltd. Methods and reagents for high-throughput transcriptome sequencing for drug screening
WO2023102610A1 (en) * 2021-12-08 2023-06-15 The University Of Queensland Methods and compositions for multiplexing cell analysis

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1029072A4 (en) * 1997-11-06 2004-04-07 Hutchinson Fred Cancer Res METHOD FOR RECOGNIZING ATTACK TARGETS OF MEDICAMENTS

Also Published As

Publication number Publication date
WO2001053532A2 (en) 2001-07-26
CA2398690A1 (en) 2001-07-26
AU2001229589A1 (en) 2001-07-31
EP1248860A2 (en) 2002-10-16
WO2001053532A3 (en) 2002-02-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Pannone et al. A role for the yeast La protein in U6 snRNP assembly: evidence that the La protein is a molecular chaperone for RNA polymerase III transcripts
EP0973943B1 (en) Methods for identifying nucleic acid sequences encoding agents that affect cellular phenotypes
Zordan et al. Interlocking transcriptional feedback loops control white-opaque switching in Candida albicans
US5916810A (en) Method for producing tagged genes transcripts and proteins
Wu et al. A 700 bp cis-acting region controls mating-type dependent recombination along the entire left arm of yeast chromosome III
Sharp et al. Structure and transcription of eukaryotic tRNA gene
US5932435A (en) Screening antisense and ribozyme nucleic acids in schizosaccharomyces pombe
Singleton et al. A yeast protein that bidirectionally affects nucleocytoplasmic transport
Gerton et al. Mnd1p: an evolutionarily conserved protein required for meiotic recombination
WO1998039483A9 (en) Methods for identifying nucleic acid sequences encoding agents that affect cellular phenotypes
West et al. Shared protein components of SINE RNPs
Munasinghe et al. Serial analysis of gene expression (SAGE) in Plasmodium falciparum: application of the technique to A–T rich genomes
JP2001504321A (ja) 微生物菌株プールを用いるスクリーニング方法
Sadowski et al. Disintegrator vectors for single‐copy yeast chromosomal integration
Jacobsen et al. Direct isolation of poly (A)+ RNA from 4 M guanidine thiocyanate‐lysed cell extracts using locked nucleic acid‐oligo (T) capture
Hendrick et al. Yeast frameshift suppressor mutations in the genes coding for transcription factor Mbf1p and ribosomal protein S3: evidence for autoregulation of S3 synthesis
JP2003535576A (ja) 薬物標的を同定するためのバーコード化された合成的致死スクリーニング
US20040121324A1 (en) Barcoded synthetic lethal screening to identify drug targets
Chang et al. Genetic interactions of conserved regions in the DEAD-box protein Prp28p
Muramoto et al. Construction of a gamete-enriched gene pool and RNAi-mediated functional analysis in Dictyostelium discoideum
Magrath et al. A mutation in GRS1, a glycyl-tRNA synthetase, affects 3′-end formation in Saccharomyces cerevisiae
US20030027175A1 (en) Dynamic whole genome screening methodology and systems
US6635440B1 (en) Method of isolation of RNA-binding compounds
Franko et al. Molecular cloning and functional characterization of two murine cDNAs which encode Ubc variants involved in DNA repair and mutagenesis
Teng et al. Induction of global stress response in Saccharomyces cerevisiae cells lacking telomerase

Legal Events

Date Code Title Description
A045 Written measure of dismissal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A043

Effective date: 20050712