JP2003533179A - 心臓病を診断および治療する方法 - Google Patents

心臓病を診断および治療する方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、心不全のような心臓病の診断方法、心臓病の治療または予防に使用できる化合物を同定するためのスクリーニング法、およびこれらの化合物を用いて心臓病を治療または予防する方法を提供する。また、スクリーニング法を実施するための動物モデル系も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の分野 本発明は心臓病の診断および治療方法に関する。
【0002】 発明の背景 心臓病とは、多くの異なる心臓の状態を記述するために使用される一般的な用
語である。例えば、最も一般的な心臓病である冠動脈疾患は、心臓に酸素に富む
血液を供給する動脈の収縮または狭窄という特徴を持ち、心筋の一部が死ぬ心筋
梗塞に至る可能性がある。心不全とは、心臓が全身に適切な量の血液を汲み出す
ことができないことから生じる状態である。心不全は、心臓の活動が突然、急に
停止するのではなく、むしろ一般的は何年もかかって、心臓が血液を効率良く汲
み出す能力を次第に失うにつれて、ゆっくりと進行する。心不全の危険因子には
、冠動脈疾患、高血圧、心臓弁膜症、心筋症、心筋の疾患、肥満、糖尿病、およ
び心不全の家族歴が含まれる。
【0003】 発明の概要 本発明は、タイチン遺伝子の変異が、ゼブラフィッシュにおいて、哺乳類の心
不全と類似した表現型をもたらすという観察に基づいた、診断、薬物スクリーニ
ング、および治療方法を提供する。
【0004】 1つの局面では、本発明は被験対象(例えば、ヒトのような哺乳類)がタイチ
ン関連疾患または状態(例えば、心不全)を有するか、またはそれを発現する危
険に曝されているかどうかを決定する方法を提供する。この方法は、被験対象由
来の試料の核酸分子を分析して、被験対象がタイチン遺伝子に変異(例えば、N2
Bエクソンのような、心臓特異的エクソン中の変異;例えば、ピックウィック変
異;以下参照)を有するどうかを決定する段階を伴う。そのような変異の存在に
より、被験対象はタイチンに関連する疾患を有するか、またはそれを発現する危
険に曝されていることが示される。この方法は、ポリメラーゼ連鎖反応によるタ
イチン遺伝子の核酸分子増幅のために、タイチン遺伝子に特異的な核酸分子プラ
イマーを用いる段階、または被験対象由来のタイチン核酸分子の配列を決定する
段階もさらに伴う。
【0005】 別の局面では、本発明は心不全の治療または予防に使用できる化合物を同定す
るための、スクリーニング法を提供する。本方法は、タイチン変異(例えば、N2
Bエクソンのような、心臓特異的エクソンにおける変異;例えば、ピックウィッ
ク変異;以下参照)および心不全に特徴的な表現型を持つ生物(例えば、ゼブラ
フィッシュ)に、化合物を接触させる段階、ならびにその表現型に対する化合物
の影響を決定する段階を伴う。表現型に改善が検出されることにより、心不全を
治療または予防するために使用できる化合物の同定が示される。
【0006】 別の局面では、本発明は患者において心不全のような心臓病を治療または予防
する方法を提供する。本方法は、上述のスクリーニング法を用いて同定された化
合物を、患者に投与する段階を伴う。本方法を用いて治療される患者は、タイチ
ン遺伝子に変異を持つ可能性がある。
【0007】 さらなる局面では、本発明はタイチン遺伝子に変異を持つ非ヒト動物(例えば
、ゼブラフィッシュまたはマウス)を提供する。変異は、例えばN2Bエクソンの
ような、タイチン遺伝子の心臓特異的エクソン中にある可能性があり、例えば終
止コドンの導入により、短縮型(truncated)タイチン産物の産生をもたらす可
能性がある。
【0008】 「ポリペプチド」または「ポリペプチド断片」は、翻訳後修飾(例えば、糖鎖
形成またはリン酸化)にかかわらず、天然または非天然のポリペプチドの全体ま
たは一部を構成する、2つまたはそれ以上のアミノ酸の鎖を意味する。「翻訳後
修飾」は、合成中または合成後にポリペプチドまたはポリペプチド断片に施され
る任意の変化を意味する。翻訳後修飾は、天然に生じるか(細胞内での合成中な
ど)、または人工的に作製される(組換えもしくは化学的手法などにより)。「
タンパク質」は1つまたは複数のポリペプチドから構成され得る。
【0009】 「タイチン」、「タイチンタンパク質」、または「タイチンポリペプチド」は
、ヒト(以下参照)またはゼブラフィッシュのタイチンポリペプチドと、少なく
とも45%、好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも75%、およ
び最も好ましくは少なくとも90%のアミノ酸配列の同一性を持つポリペプチドを
意味する。タイチン遺伝子配列のスプライス変異体(splice variant)、および
変異を含むタイチン遺伝子由来のポリペプチド産物もまた、この定義に含まれる
。本明細書で定義されるタイチンポリペプチドは、心臓の発生、モデリング、構
造、および収縮性において役割を果たし、心不全のような心臓病のマーカーとし
て使用されうる。
【0010】 「タイチン核酸分子」は、上記のタイチン、タイチンタンパク質、タイチンポ
リペプチド、またはそれらの一部をコードする、ゲノムDNA、cDNA、またはRNA(
例えば、mRNA)のような、核酸分子を意味する。
【0011】 本明細書で使用される「同一性」という用語は、特定の核酸分子またはポリペ
プチドの配列と、同じ種類の基準分子の配列との関係を記述するために使用され
る。例えば、ポリペプチドまたは核酸分子が、それに対して整列された基準分子
と比較して、所与の位置で同一のアミノ酸またはヌクレオチド残基を持てば、そ
の位置で「同一性」があると言われる。核酸分子またはポリペプチドの、基準分
子に対する配列の同一性レベルは、一般的に、配列分析ソフトウェアを用いて、
最適の整列化(alinement)を得るためにギャップを導入するというような、デ
フォルトのパラメータを指定して、測定される(例えば、Genetics Computer Gr
oup、ウィスコンシン生物工学センター、1710 University Avenue、マディソン
、ウィスコンシン州 53705の配列分析ソフトウェアパッケージ、BLAST、またはP
ILEUP/PRETTYBOXプログラム)。これらのソフトウェアプログラムは、様々な置
換、欠失、またはその他の修飾に対して同一性の度合いを割り当てて、同一また
は類似の配列を対応させる。保存的な置換には、一般的に、以下の群内の置換が
含まれる:グリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、およびロイシン;アス
パラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、およびグルタミン;セリンおよびス
レオニン;リジンおよびアルギニン;ならびにフェニルアラニンおよびチロシン
【0012】 核酸分子またはポリペプチドは、基準分子の配列と全長にわたって少なくとも
51%、好ましくは少なくとも55%、60%、または65%、および最も好ましくは75
%、85%、90%、または95%の同一性を示す場合、基準分子と「実質的に同一」
であると呼ばれる。ポリペプチドの場合、比較する配列の長さは、少なくとも16
アミノ酸、好ましくは少なくとも20アミノ酸、さらに好ましくは少なくとも25ア
ミノ酸、および最も好ましくは少なくとも35アミノ酸である。核酸分子に関して
は、比較する配列の長さは少なくとも50ヌクレオチド、好ましくは少なくとも60
ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも75ヌクレオチド、および最も好まし
くは少なくとも110ヌクレオチドである。
【0013】 タイチンの核酸分子またはタイチンポリペプチドに対して、その生物活性また
はそれが野生型か変異型かを決定できる試験手順が行われる場合に、「分析され
る」または「分析」に供される。例えば、動物(例えば、ヒトまたはゼブラフィ
ッシュ)のゲノムDNAをポリメラーゼ連鎖反応を用いて増幅し、かつ増幅されたD
NA変異が、例えばピックウィック変異を含むかどうかを、例えばヌクレオチド配
列決定または制限酵素断片分析によって決定することにより、その動物のタイチ
ン遺伝子を分析することができる。
【0014】 「プローブ」または「プライマー」は、相補的な配列(「標的」)を含む第2
のDNAまたはRNA分子と塩基対を形成できる、限定された配列の一本鎖DNAまたはR
NA分子を意味する。結果として生じるハイブリッドの安定性は、生じる塩基対合
の程度による。安定性は、プローブと標的分子間の相補性の度合い、およびハイ
ブリダイゼーション条件の厳密度(stringency)の度合いのような、パラメータ
ーに影響される。ハイブリダイゼーションの厳密度の度合いは、温度、塩濃度、
およびホルムアミドのような有機分子の濃度によって影響され、かつ当業者に公
知の方法で決定される。タイチン核酸分子に特異的なプローブまたはプライマー
は、ヒト(以下参照)またはゼブラフィッシュのタイチンの配列に対して、好ま
しくは、45%を超える配列の同一性、より好ましくは少なくとも55%〜75%の配
列同一性、さらにより好ましくは少なくとも75%〜85%の配列同一性、さらに好
ましくは少なくとも85%〜99%の配列同一性、および最も好ましくは100%の配
列同一性を持つ。
【0015】 プローブは、当業者に公知の方法によって、放射線または非放射線によって検
出可能なように標識できる。プローブは核酸配列決定、ポリメラーゼ連鎖反応に
よる核酸増幅、一本鎖高次構造多型(SSCP)分析、制限酵素断片長多型(RFLP)
分析、サザンハイブリダイゼーション、ノーザンハイブリダイゼーション、イン
サイチューハイブリダイゼーション、電気泳動移動度シフトアッセイ法(EMSA)
のような核酸ハイブリダイゼーション、および当業者に公知の他の方法を伴う方
法に使用できる。
【0016】 分子、例えば、オリゴヌクレオチドプローブもしくはプライマー、遺伝子もし
くはその断片、cDNA分子、ポリペプチド、または抗体は、試料中でその存在が直
接に同定できるように印をつけられている場合に、「検出可能なように標識」さ
れているといえる。分子を検出可能なように標識する方法は、当技術分野で公知
であり、放射性標識(例えば、32Pまたは35Sのような同位体)、および非放射性
標識(例えば、フルオレセインのような蛍光標識)を含むが、これらに限定され
ない。
【0017】 「実質的に純粋なポリペプチド」は、天然ではそれに伴うタンパク質および有
機分子から分離された、ポリペプチド(またはその断片)を意味する。一般的に
、ポリペプチドは、天然状態でそれに結合するタンパク質および天然に存在する
有機分子を、重量で少なくとも60%含まない場合、実質的に純粋である。好まし
くは、ポリペプチドは、重量で少なくとも75%、さらに好ましくは少なくとも90
%、および最も好ましくは少なくとも99%純粋な、タイチンポリペプチドである
。実質的に純粋なタイチンポリペプチドは、例えば天然の供給源(例えば、分離
された心臓組織)からの抽出、タイチンポリペプチドをコードする組換え核酸分
子の発現、または化学合成によって、得ることができる。純度は、例えば、カラ
ムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、またはHPLC分析のよ
うな、任意の適当な方法によって測定できる。
【0018】 ポリペプチドは天然状態でそれに伴うタンパク質および有機分子から分離され
ているとき、天然に結合する成分を実質的に含まない。化学合成されるタンパク
質、または天然で産生される細胞とは異なる細胞系で産生されるタンパク質は、
天然でそれに結合する成分を実質的に含まない。したがって、実質的に純粋なポ
リペプチドは、真核生物由来のみならず、大腸菌または他の原核生物中で合成さ
れるものを含む。
【0019】 抗体は、試料中、例えば天然にポリペプチドを含む生物試料中で、そのポリペ
プチド(例えば、タイチンポリペプチド)を認識して結合するが、他の分子(例
えば、非タイチン関連ポリペプチド)は実質的に認識および結合しない場合に、
そのポリペプチドに「特異的に結合する」といわれる。
【0020】 「厳密度の高い条件」とは、長さが少なくとも500ヌクレオチドのDNAプローブ
を用いて、0.5 M NaHPO4、pH 7.2、7% SDS、1 mM EDTAおよび1% BSA(分画V)
を含む緩衝液中、65℃の温度で、または48%ホルムアミド、4.8 x SSC、0.2 M T
ris-Cl, pH 7.6, 1 x デンハルト溶液、10%硫酸デキストラン、および0.1 % S
DSを含む緩衝液中、42℃で起きるハイブリダイゼーションに相当する、ハイブリ
ダイゼーションを可能にする条件を意味する。(これらは厳密度の高いノーザン
またはサザンハイブリダイゼーションの典型的条件である。)厳密度の高いPCR
,DNA配列決定、一本鎖高次構造多型、およびインサイチューハイブリダイゼー
ションのような、分子生物学者が通常行なう多くの技術の成功に関して、厳密度
の高いハイブリダイゼーションが信頼される。ノーザンおよびサザンハイブリダ
イゼーションとは異なり、これらの技術は比較的短いプローブ(例えば、PCRま
たは配列決定には通常16ヌクレオチドまたはそれより長いヌクレオチド、インサ
イチューハイブリダイゼーションには40ヌクレオチドまたはそれより長いヌクレ
オチド)を用いて行われる。これらの技術で使用される厳密度の高い条件は、分
子生物学の当業者には公知であり、その例は、例えば、参照として本明細書に組
み入れられる、オースベル(Ausubel)ら、「分子生物学における現行プロトコ
ール(Current Protocols in Molecular Biology)」, John Wiley & Sons、ニ
ューヨーク、ニューヨーク州、1998、に記載されている。
【0021】 「試料」とは、患者または被験対象から得た、組織生検、羊水、細胞、血液、
血清、尿、便、またはその他の標本を意味する。試料は、当業者に公知の方法で
、タイチン遺伝子中の変異またはタイチン遺伝子の発現レベルを検出するために
分析できる。例えば、患者の試料に由来するPCR産物の、配列決定、一本鎖高次
構造多型(SSCP)分析、または制限酵素断片長多型(RFLP)分析のような方法は
、タイチン遺伝子中の変異の検出に使用できる;ELISAは、タイチンポリペプチ
ドのレベルの測定に使用できる;およびPCRはタイチン核酸分子のレベルの測定
に使用できる。
【0022】 「タイチン関連疾患」または「タイチン関連状態」は、タイチン遺伝子の発現
が不適切に高いもしくは低いために生じる、またはタイチン核酸分子もしくはポ
リペプチドの生物活性を変える、タイチン遺伝子内の変異に起因する、疾患また
は状態である。タイチン関連疾患または状態は、出生前または出生後にタイチン
が発現される、任意の組織で起こりうる。タイチン関連疾患または状態は、心不
全のような心臓病を含み得る。種々の種類の心不全の具体例は、以下に説明され
る。
【0023】 本発明には、いくつかの利点がある。例えば、本発明の診断方法を使用するこ
とにより、患者において心不全のような心臓病の可能性の増大を検出でき、任意
の症状が発現する前に適切な介入を始めることができる。これは、例えば、心不
全の高危険率群(上記)の患者に役立つ可能性がある。また、本発明の診断方法
により、患者において心不全のような既存の心臓病の病因の決定が容易になり、
そのため適切な治療法を選択できる。さらに、本発明のスクリーニング法を用い
て、心不全のような心臓状態の治療または予防に使用できる化合物を同定できる
【0024】 本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から
、明らかになると考えられえる。
【0025】 詳細な説明 本発明は、心臓病の診断方法、心臓病の治療または予防に使用できる化合物を
同定するためのスクリーニング方法、およびこれらの化合物を用いた心臓病の治
療または予防方法を提供する。本発明は本発明のスクリーニング方法で使用でき
る動物モデル系もまた提供する。
【0026】 特に、本発明者らはタイチン遺伝子中の変異(ピックウィック変異)が心不全
のような心臓病に関連していることを発見した。「コネクチン」としても知られ
るタイチンは、公知の最大の一本鎖タンパク質であり、分子量は約3,000 kDaで
ある。タイチンは構造タンパク質であり、脊椎動物の骨格筋および心筋の集合お
よび弾性において、中心的な役割を果たす。したがって、本発明の診断方法は、
タイチン遺伝子の変異の検出を伴うが、本発明の化合物同定法は、心不全のよう
な心臓病のタイチン変異体または他のモデルの表現型に影響を与える、化合物の
スクリーニングを伴う。このようにして同定される化合物は、心臓病(例えば、
心不全)の治療または予防に使用できる。本発明の診断、スクリーニング、およ
び治療方法、ならびに本発明の動物モデル系は、以下にさらに説明されている。
【0027】診断方法 タイチン核酸分子、ポリペプチド、および抗体は、タイチン遺伝子中の変異ま
たはその不適切な発現を伴う疾患および状態を、診断またはモニターするための
方法に使用できる。以下に詳述するように、ゼブラフィッシュ中のピックウィッ
ク変異はタイチン遺伝子中にあるが、ヒトの心不全と同様の表現型をもつという
特徴がある。したがって、タイチン遺伝子またはその発現における異常の検出を
利用して、心不全のようなヒトの心臓病の診断または治療もしくは進行のモニタ
ーを行うことができる。参照として、ヒト心臓タイチンcDNA配列は、http://www
.embl-heidelberg.de/ExternalInfo/Titin/cardiacseq.html(配列番号:1)に
見出されるが、対応するタンパク質配列は、http://www.embl-heidelberg.de/Ex
ternalInfo/Titin/cardiacpep.html(配列番号:2)に見出される。
【0028】 上述のように、本発明の診断方法は、例えば心不全を有する患者に対して、病
因を決定しかつ適切な治療進路を選択するのを容易にしようとして、使用できる
。本診断方法はまた、まだ心不全を発現していないが、そのような疾患を発現す
る危険に曝されている患者、またはそのような疾患の初期段階にある患者にも使
用できる。また、本発明の診断方法は、例えば劣性タイチン変異の保因者である
親を同定するために、出生前の遺伝子スクリーニングに使用できる。
【0029】 本発明の方法を用いて診断(および治療)できる心不全の例には、心臓がポン
プとして機能できないことに起因する、肺または体内の体液を特徴とするうっ血
性心不全;右心室のポンプ機能不全を特徴とし、身体、特に脚部と腹部に膨張が
起きる、右心不全(右心室の);左心室のポンプ機能不全により引き起こされ、
肺のうっ血が生じる、左心不全(左心室の);安静時または運動時に、身体の酸
素需要を満たすのに十分な速度で、心臓が血液を前方に汲み出すことのできない
ことを特徴とする、前方心不全;心臓の充満圧が異常に高い場合に限り、身体の
需要を心臓が満たすことを特徴とする、後方心不全;血液の拍出量を維持できな
いことを特徴とする、低拍出量;および心拍出量が高いときでも心不全の症状を
特徴とする、高拍出量が含まれる。
【0030】 タイチンは、冠動脈疾患または弁膜形成不全に関連する状態のような、心不全
以外の心臓病においても役割を果たす可能性があり、タイチン遺伝子またはその
発現の異常の検出は、これらの状態を診断およびモニターする方法にも使用でき
る。本発明の方法は、例えば、ヒト、ペット、または家畜のような任意の哺乳類
において、本明細書に記載される疾患の診断(または治療)に使用できる。
【0031】 本発明の診断方法を用いて検出できるタイチンの異常には、例えば、(i) 異
常なタイチンポリペプチド、(ii) そのようなポリペプチドの産生をもたらす
変異を含む、タイチン遺伝子、および(iii) 異常な量のタイチンの産生をもた
らす、タイチンの変異という特徴を持つものが含まれる。そのような異常の検出
は、心不全のようなヒトの心臓病の診断方法に使用できる。本発明の方法を用い
て検出できるタイチン変異の例は、ピックウィック変異である(以下参照)。
【0032】 タイチン変異の検出は、任意の診断技術を用いて実行できる。例えば、患者か
ら得た生体試料は、ミスマッチ検出法を用いて、タイチン核酸分子中の1つまた
は複数の変異(例えば、ピックウィック変異)について分析できる。一般に、こ
の方法には、患者の試料由来の核酸分子のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅を
伴い、続いて変化したハイブリダイゼーション、異常な電気泳動ゲル移動、ミス
マッチ結合タンパク質を介する切断もしくは結合の検出、または核酸分子の直接
の配列決定による、変異(例えば、ミスマッチ)の同定を伴う。これらの任意の
技術は、変異タイチン遺伝子の検出を容易にするために使用でき、それぞれ当技
術分野では公知である。これらの技術の例は、オリタ(Orita)ら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:2766-2770, 1989)およびシェフィールド(Sheffield)ら
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:232-236, 1989)に記述されている。
【0033】 変異検出アッセイ法は、症状が発現する前に、タイチンが仲介する心臓病の素
因を診断する機会を提供する。例えば、正常なタイチンの生物活性または発現を
抑制するタイチン変異に関して、ヘテロ接合の患者は、タイチン関連疾患の臨床
症状は示さない可能性があり、さらに心不全のような心臓病を発症する確率は通
常よりも高い。そのような診断ならば、患者は有害な環境要因への曝露を最小限
にするように用心し、かつ例えば、頻繁に健康診断を受けることにより、健康状
態を注意深くモニターできる。上述のように、この種の診断方法は、出生前審査
でタイチン変異を検出するためにも使用できる。
【0034】 上述のタイチン診断アッセイ法は、通常タイチンが発現している任意の生体試
料(例えば、筋肉組織試料)を用いて実施されうる。タイチンが発現する組織は
限定されており、これらの組織の試料を入手することが比較的困難であるため、
血液または羊水試料のような別の、より簡単に入手できる試料で、例えばミスマ
ッチ検出技術を用いて、変異タイチン遺伝子を検出するのが好ましい場合がある
。好ましくは、そのような試料中のDNAは、分析前にPCR増幅に供される。
【0035】 患者試料中のタイチンの発現レベルは、当技術分野で公知の多数の標準的技術
のうち、任意のものを用いて決定できる。例えば、患者由来の生体試料(例えば
、血液もしくは組織試料、または羊水)中のタイチンの発現は、標準的なノーザ
ンブロット分析または定量的PCR(例えば、Ausubelら、上記;「PCRテクノロジ
ー:原理とDNA増幅への応用 (PCR Technology: Principles and Applications
for DNA Amplification)」、H.A. Ehrlich編、Stockton 出版、ニューヨーク;
Yapら、Nucl. Acids Res. 19:4294, 1991参照)によってモニターできる。
【0036】 本発明の別の診断方法では、生体試料中のタイチンタンパク質レベルの検出ま
たはモニターに、免疫アッセイ法が使用される。タイチン特異的ポリクローナル
またはモノクローナル抗体を、任意の標準的な免疫アッセイ法(例えば、ELISA
,ウェスタンブロット、またはRIA;例えばAusubelら、上記参照)形式で使用し
て、タイチンポリペプチドレベルを測定することができる。これらのレベルは、
野生型タイチンレベルと比較される。例えば、タイチン産生の低下は、不十分な
タイチンの生物活性を伴う状態またはその状態に対する素因を示している可能性
がある。
【0037】 タイチンの検出には、免疫組織化学技術も利用できる。例えば、患者から組織
試料を入手し、薄片に切って、抗タイチン抗体および任意の標準的検出系(例え
ば、西洋ワサビペルオキシダーゼに結合した2次抗体を含む系)を用いて、タイ
チンの存在に関して染色できる。そのような技術に関する一般的な手引きは、例
えば、バンクロフト(Bancroft)ら、「組織学的技術の理論と実践(Theory and
Practice of Histological Techniques)」、チャーチル・リヴィングストン、
1982、およびオースベル(Ausubel)ら、上記、に記載されている。
【0038】心不全を治療または予防するために使用できる分子の同定 心不全に関連する表現型をもたらす、タイチン中の変異を同定することにより
、心不全を治療または予防するために使用できる分子(例えば、小さな有機分子
、ペプチド、または核酸分子)の同定が容易になる。心不全に対する候補化合物
の効果は、例えば、ゼブラフィッシュ系を用いて調べることができる。ゼブラフ
ィッシュ、ダニオ・レオリ(Danio rerio)は、血管の発生の遺伝解析に使用す
るのに都合の良い生物である。短い世代時間と繁殖力に加えて、入手しやすく透
明な胚を持つため、ごく初期の段階から血管の機能を直接観察できる。以下にさ
らに説明されるように、これらの方法で使用できる、タイチン遺伝子に変異を持
つゼブラフィッシュおよび他の動物もまた、本発明に含まれる。
【0039】 本発明のスクリーニング方法の1つの例では、タイチン遺伝子に変異を持つゼ
ブラフィッシュ(例えば、ピックウィック変異を持つゼブラフィッシュ、以下参
照)を、候補化合物に接触させ、かつ心不全に特徴的な心臓の異常の発生に対す
るその化合物の影響、またはそのような既存の心臓の異常状態に対するその化合
物の影響を、処置しない同一の変異体対照と比較して、モニターする。以下にさ
らに説明されるように、ピックウィック変異を持つゼブラフィッシュは、例えば
最大収縮期圧の低下、引き伸ばされた薄い心筋、過剰な心軟肉、房室(A-V)膜
(cushion)の欠損、および心室流出路の閉塞などの特徴を持つ。したがって、
これらの特徴(心不全の他の特徴に加えて)を、本発明のスクリーニング方法を
用いてモニターすることができる。
【0040】 化合物はゼブラフィッシュ系で望ましい影響を与えることが示された後に、他
の心臓病モデル、例えばタイチン遺伝子に変異を持つマウスまたは他の動物にお
いて、試験することができる。または、そのような動物モデル系での試験は、ゼ
ブラフィッシュ試験なしに行なうこともできる。
【0041】 候補化合物は、精製された(または実質的に精製された)分子、または化合物
の混合物(例えば、細胞から得られた抽出物または上清;Ausubelら、上記)の1
つの成分でよい。混合化合物アッセイ法では、単一化合物または最小の化合物混
合物が所望の影響を持つことが示されるまで、徐々に小さくした候補化合物プー
ルの部分集合(例えば、標準的な精製技術、例えばHPLCまたはFPLCで作製)に対
して、心不全の表現型に対する影響を試験する。
【0042】 上述の方法でスクリーニングされうる被験化合物は、天然に存在するもの、ま
たは人工的に誘導される化学物質であり得る。そのような化合物には、例えばポ
リペプチド、合成有機分子、天然に存在する有機分子、核酸分子、およびその成
分が含まれうる。候補化合物は、例えば、細胞抽出物、哺乳類の血清、または哺
乳類細胞が培養された増殖培地で見出される可能性がある。
【0043】 一般に、変異タイチンに関連する心臓病の予防または治療のための、新規の薬
剤は、天然産物、合成(または半合成)抽出物の両方の大きなライブラリー、お
よび化学ライブラリーから、当技術分野で公知の方法を用いて同定され得る。創
薬および薬剤開発の分野の当業者は、被験抽出物または化合物の厳密な供給源は
、本発明のスクリーニング方法には重要ではないことを理解すると考えられる。
したがって、事実的にはこれらの方法を用いて、任意の数の化学抽出物または化
合物がスクリーニングできる。そのような抽出物または化合物の例には、植物、
真菌、原核生物、または動物に基づく抽出物、発酵培養液および合成化合物、な
らびに既存の化合物の修飾が含まれるが、これらに限定されない。
【0044】 糖、脂質、ペプチド、および核酸分子に基づく化合物を含むが、これらに限定
されない、任意の数の化学化合物の無作為なまたは管理された合成(例えば、半
合成または完全合成)のために、多数の方法が利用できる。合成化合物ライブラ
リーは、ブランドン・アソシエーツ(Brandon Associates)(メリマック、ニュ
ーハンプシャー州)およびアルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemical)(ミル
ウォーキー、ウィスコンシン州)から市販されている。または、細菌、真菌、植
物、および動物抽出物の形の天然化合物のライブラリーは、バイオティクス(Bi
otics)(サセックス、イギリス)、ゼノバ(Xenova)(スラウ、イギリス)、
ハーバーブランチ海洋学(Harbor Branch Oceanographic)研究所(Et.ピアス、
フロリダ州)、およびファーマー(PharmaMar)U.S.A.(ケンブリッジ、マサチ
ューセッツ州)を含む、多数の供給源から市販されている。さらに、天然または
合成的に作製されたライブラリーは、所望であれば、当技術分野で公知の方法に
従って、例えば標準的な抽出および分画によって、作製できる。さらに、所望な
らば、任意のライブラリーまたは化合物は、標準的な化学的、物理的、または生
化学的方法を用いて容易に修飾できる。
【0045】 また、創薬および薬剤開発の当業者は、脱複製(dereplication)(例えば、
分類学的複製、生物学的複製、および化学的複製、またはそれらの任意の組み合
わせ)、または心不全の治療活性に関して公知の材料の複製または反復の除去の
ための方法が、可能な場合にはいつでも使用されうることを容易に理解する。
【0046】 粗抽出物が心不全の発生または持続に効果を有することが見出されると、陽性
リード抽出物をさらに分画して、観察された効果を担う化学的成分を単離できる
。このように、抽出、分画、および精製過程の目的は、粗抽出物中で所望の活性
を持つ化学的実体を注意深く特徴付けし、かつ同定することである。化合物の混
合物中で活性を検出するための、本明細書に説明されたのと同一のアッセイ法を
用いて、活性化合物を精製し、さらにそれらの化合物の誘導体を試験することが
できる。そのような不均一な抽出物の分画および精製方法は、当技術分野で公知
である。所望ならば、治療に有用な薬剤であることが示された化合物は、当技術
分野で公知の方法に従って化学的に修飾されうる。
【0047】心不全の治療または予防 上述のスクリーニング方法で同定された化合物は、心不全のような心臓病を持
つ、またはそれを発現する危険に曝されている患者の治療に使用できる。そのよ
うな治療は、短期間にのみ必要であるか、またはいくつかの方式では患者の生涯
にわたって必要とされる可能性がある。しかし任意の治療の継続的な必要性は、
例えば上述の診断方法を用いて決定できる。様々な治療法を考慮すると、そのよ
うな治療法は、罹患器官または罹患の可能性のある器官、すなわち心臓を標的と
していることが好ましいと理解される。
【0048】 変異タイチン遺伝子に起因する疾病の治療または予防は、例えば変異タイチン
タンパク質の機能を調整する、適当な細胞に正常なタイチンタンパク質を送達す
る、正常または変異タイチンタンパク質のレベルを変える、変異タイチン遺伝子
を正常タイチン遺伝子で置換する、または正常なタイチン遺伝子を投与すること
によっても、達成されうる。タイチンタンパク質が関与している生理的経路(例
えば、シグナル伝達経路)を修飾することによって、タイチンの欠陥を修正する
ことも可能である。
【0049】 タイチン変異に関してヘテロ接合である、またはタイチン変異もしくは異常な
タイチン発現に影響されやすい(たとえそれらの変異または発現パターンが、ま
だタイチン発現または生物活性に変化をもたらしていなくても)と診断された患
者では、疾病の表現型の発現前に、上述の任意の治療を施しうる。特に、タイチ
ン発現を調整する、またはタイチン変異体の表現型に影響を与えることが示され
る化合物は、標準的な投与量および経路によって、潜在的なまたは実際の心臓病
と診断された患者に投与できる。
【0050】 本発明に従って、心不全の治療または予防に有効であることが見出された化合
物を投与するために、任意の投与経路を使用できる。例えば、投与は非経口、静
脈内、動脈内、皮下、筋肉内、心室内、嚢内、脊髄内、槽内、腹腔内、鼻腔内、
噴霧、または経口でありうる。しかし上述のように、好ましくは投与は罹患組織
、すなわち心臓へ局所的に行なう。治療用製剤は、液体または懸濁液の形状でよ
い;経口投与には、製剤は錠剤またはカプセルの形状でよい;鼻腔内製剤には、
粉末、点鼻液、または噴霧の形状でよい。
【0051】 本発明の治療用化合物は、単位剤形として、薬学的に許容される希釈剤、単体
、または賦形剤の中で投与できる。投与は患者が症状を示す前または後に始める
ことができる。当技術分野で公知である製剤化の方法は、例えば「レミントンの
薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」(第18版)、A. ジェナロ(Ge
nnaro)編、1990、Mack Publishing Company、イーストン、ペンシルバニア州、
に記述されている。非経口投与の製剤は、例えば、賦形剤;無菌水;もしくは生
理食塩水;ポリエチレングリコールのようなポリアルキレングリコール;植物由
来の油;または水素化ナフタレンを含みうる。化合物の放出を制御するために、
生体適合性のある、生分解性ラクチド重合体、ラクチド/グリコリド共重合体、
またはポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン共重合体が使用できる。本発
明の方法を用いて同定される、化合物の非経口送達に有用な可能性のある他の系
には、エチレン/酢酸ビニル共重合体粒子、浸透圧ポンプ、植え込み型輸液装置
、およびリポソームが含まれる。吸入用の製剤は、賦形剤、例えばラクトースを
含むことができ、または例えばポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、グリ
ココール酸、およびデオキシコール酸を含む水溶液、または点鼻液の形状で投与
するための油性溶液もしくはゲルでありうる。
【0052】 タイチン核酸分子およびポリペプチドは、組織工学、例えば人工心臓または部
分的に人工の心臓の製造にも使用できる。上述のように、タイチンは心臓血管の
弾性、完全性、および収縮性において役割を果たす。したがって、上述のように
、タイチン核酸分子またはポリペプチドは、人工心臓または部分的に人工の心臓
に、そのような特性を与えるために使用できる。
【0053】動物モデル系 本発明はまた、上述のスクリーニング方法の実施において使用するための、動
物モデル系を提供する。モデル系の例には、タイチン遺伝子に変異を持つ、ゼブ
ラフィッシュおよびマウスのような他の動物が含まれる。例えば、本発明で使用
できるゼブラフィッシュモデルは、タイチンの産生の欠如、または短縮型(例え
ば、終止コドンの導入による)もしくは他の状態に変化したタイチン遺伝子産物
の産生をもたらす変異を含むことができる。変異は例えば、N2Bエクソン(例え
ば、IS3領域中;以下参照)のように、心臓特異的エクソン中に終止コドンを生
じうる。変異は、I帯(I band)をコードする領域で、I帯が切断され、A帯(A b
and)とM線(M line)を持たないタンパク質の産生をもたらしてもよくまたはA
帯またはM線領域のような、分子の別の部分をコードする領域中でも良い。具体
的な例として、ピックウィック変異を持つゼブラフィッシュが使用できる。
【0054】実験結果 ゼブラフィッシュゲノムの大規模変異導入スクリーニングにおいて、心臓の収
縮性に影響を与える一群の変異が同定された。その変異の1つはピックウィック
(pik)と呼ばれ、両室の機能を劇的に低下させ、ゼブラフィッシュ胚において
劣性の致死的な心不全を引き起こす。
【0055】 ヌル平衡(null balance)フィードバックシステムによる心室内圧の直接的な
インビボ記録は、年齢を合わせた対照と比較して、ピックウィックは最大収縮期
圧を5.8倍低下させることを示す(0.084+/-0.008対0.49+/-0.06 mm Hg)。ピッ
クウィックの形態学的解析では、引き伸ばされた薄い心筋、過剰な心軟肉、房室
膜の欠如、および心室流出路の閉塞が示された。Z板の集合および筋フィラメン
トの構成に影響を与える、大規模な超微細構造の欠損が透過型電子顕微鏡で見出
された。割球の相互移植では、ピックウィックは細胞が自律的に行う筋原細胞系
統の変異と同定された。
【0056】 遺伝子同定には、位置クローニング法が適用された。ピックウィック変異は、
BACクローンに含まれる小さな染色体区間に割り当てられた。タイチン遺伝子は
この区間に広がり、したがってピックウィック表現型はタイチン遺伝子の変異に
よる。特に、5つの心臓特異的対立遺伝子(pikm242, pikm171, pikm740, pikm18
6, pikmnm2)の1つであるpikm242対立遺伝子を用いたバルクセグレガント(bulk
segregant)分析では、ピックウィック遺伝子は連鎖群(LG) 9に位置づけられ
た。この連鎖群中のZマーカーのパネルで、931のホモ接合変異胚を用いて単一配
列長多型(simple sequence length polymorphisms)(SSLP)に関して調べた。
マーカーZ8363およびZ26463は、ピックウィック遺伝子座に隣接することが分か
り、遺伝子を含む1.2 cMの区間を規定した。1 cMはゼブラフィッシュゲノム中で
500 kb〜600 kb DNAに相当すると見積もられる(Postlethwaitら、Science 264:
699-703, 1994)。したがって、本発明者らは変異から0.7 cMにあるZ8363マーカ
ーから、染色体歩行を開始した(1750の減数分裂から12の組換え体)。
【0057】 ヒトタイチンコード配列に高度に相同性である、T7末端を持つ陽性YACクロー
ン(YAC5)が同定された。タイチンのゲノム領域はヒトでは300 kbを超えると見
積もられるので、本発明者らはゼブラフィッシュタイチンESTクローンの配列情
報に基づいてBACクローンを同定することにした。これらの配列に基づいて、タ
イチンゲノム領域全体を含む、物理的コンティグ(conting)が構築された。こ
れらのクローンの末端から一本鎖高次構造多型(SSCP)が作製され、これらのク
ローンの内部配列が詳細な組換え地図作成に使用された。タイチンゲノム領域中
の1つのSSCPマーカー(B9F2)は、Z26463側から1つの組換え体を拾い上げた。タ
イチンゲノム領域内の別の4つのSSCPマーカー(B4SP1、B2T7、B7SP、およびB6SP
)は、1750の減数分裂から組換え体を選択しなかった。これらの遺伝学的データ
は、ピックウィック遺伝子座は、タイチンゲノム領域内またはこれに非常に近い
ことを示す。
【0058】 タイチンcDNAのみで約82 kbであるので、RNA注入による表現型の救出(rescui
ng)は非常に困難な可能性がある。しかし、ピックウィック対立遺伝子の一方に
おいて点変異を同定することにより、ピックウィック遺伝子座がタイチン遺伝子
内である証拠が見つかった。ピックウィック対立遺伝子の大部分は心臓特異的表
現型を持つので、本発明者らは点変異は心臓特異的エクソン内に存在すると仮定
した。心臓アイソフォームは全てN2Bドメインが基になっているので、本発明者
らはタイチンのI帯中のN2Bドメインに注目した。ゼブラフィッシュのN2Bドメイ
ンはRT-PCRによってクローニングされた。これはヒトおよびマウスと類似した基
礎構造をコードする4.3 kb cDNAであり、4つのIG反復、ならびにより長いIS3お
よびより短いIS1を含む3つのユニーク配列を含む。
【0059】 次にピックウィック変異胚からN2Bドメインがクローニングされた。点変異の
位置を同定するために、RNAミスマッチ分析が行われた。pikm171およびpikm242
由来のPCR産物の間に1つのミスマッチが同定された。PCR産物の配列決定により
、pikm171対立遺伝子にT -> Gの転位が同定された。この変異により、N2Bドメイ
ンのIS3断片(N2B-IS3)中のロイシンが終止コドンに変化した。この変異は、7
つのpikm171ホモ接合変異胚の全てにおいて確認されたが、4つのpikm242ホモ接
合胚では見られなかった。pikm171変異体では、心臓特異的アイソフォームとし
てのみ、短縮型のタイチンが存在すると予測される。これはZ板(Z disc)およ
びI帯の一部を含み、全長で27,000アミノ酸を持つ、相同的なヒトタイチン配列
との比較に基づき、約4,000アミノ酸であるはずである。pikm171対立遺伝子にお
ける、心臓特異的N2Bドメイン中のナンセンス変異の同定により、タイチンがピ
ックウィック遺伝子であるという仮説が確認された。
【0060】 タイチンは、ピックウィック表現型が最初に検出される時期に、ゼブラフィッ
シュの胚で発現された。全載インサイチューハイブリダイゼーション分析では、
24 hpfで、心臓および体節の両方でタイチンが強度に発現していることが示され
た。心臓におけるタイチンmRNA発現は、pikm171では正常である。全載インサイ
チューハイブリダイゼーションでIS3ドメイン内のプローブを標識をすることに
よって、N2Bがゼブラフィッシュにおける心臓特異的エクソンであるという見解
を確認した。
【0061】 このようにN2Bドメイン中の点変異を同定したことにより、ピックウィックは
、心臓におけるタイチンの機能を研究するための、最初のインビボ脊椎動物系と
して確立された。提案されているようにタイチンがばねのような機能を果たすな
らば、収縮ははるかに弱いと予想される。これはピックウィック変異胚で本発明
者らがまさに観察したことである。タイチンが筋節の集合時に鋳型として働くな
らば、タイチンのヌル変異ではサイレント心臓(silent heart)表現型が予測さ
れる。筋原線維発生の現行モデルによると(Dabiriら、Proc. Natl. Acad. Sci.
USA 94:9493-9498, 1977)、太いエレメントおよび/または筋節は集合して拍動
器になることができなかった。対照的に、ホモ接合のpikm171変異胚および他の
ピックウィック対立遺伝子における心臓は、弱まりながらもなお拍動する。
【0062】 pikm171の変異からは、弾性のあるI帯の大部分が欠失し、C末端のA帯およびM
線領域が除去された短縮型タンパク質が予測される。このように、この変異はば
ねとしての機能の点ではヌル変異、筋節集合の鋳型としての機能の点では、潜在
的ドミナントネガティブ変異と考えられる(Turnaciogluら、Mol. Biol. Cell 8
:705-717, 1997)。ピックウィック変異胚で弱い拍動が観察されることから、タ
イチンのない原始的収縮機構が存在することが示唆される。実際、心室性心筋細
胞中には、太いエレメントおよび細いエレメントが検出されうる。これらは、タ
イチンの非存在下で機能的な拍動構造へと集合する能力を持つ。
【0063】 このように本発明者らは、両室の収縮性を低下させる、ゼブラフィッシュの心
臓機能変異であるピックウィックの、詳細な生理学的および形態学的分析を行な
った。タイチンがピックウィック遺伝子であることを示す証拠がいくつかある。
遺伝分析ではピックウィック遺伝子座がタイチンゲノム領域と密接に結びつけら
れた。付加的な体節表現型を持つピックウィック対立遺伝子であるpikmVO62Hの
同定は、タイチン仮説によって説明できる。点変異はタイチンの心臓型および体
節型アイソフォームが共有する、共通エクソン中にあると予想される。この仮説
を確認する証拠は、ピックウィック対立遺伝子の1つであるpikm171で、タイチン
の心臓特異的N2Bドメインにおける点変異が同定されたことから得られた。本発
明者らは続いて、筋節構造がpikm171の心筋細胞中で破壊されているが、体節の
筋細胞では破壊されていないことを示した。タイチンの発現パターンは、この表
現型と矛盾がない。ピックウィック表現型の発現時に、心筋および骨格筋の両方
における強い発現が検出された。
【0064】 このように、ゼブラフィッシュにおける本発明者らの観察結果は、タイチンは
筋収縮時にばねとして機能するという見解と一致する。タイチンは筋節の構造タ
ンパク質であるので、ピックウィック変異胚において、心筋は細胞自律的に影響
を受けると考えられる。薄く引き伸ばされた形態は、より高次の筋節構造を形成
できないこと、およびばねが失われたことから生じた、機械的張力による可能性
がある。機械的張力は、心筋細胞と心内膜細胞が分離し、過剰な心軟肉が生じる
理由でもありうる。しかし、心筋の分化プログラムがタイチン変異の影響を受け
ている可能性もある。ピックウィック変異胚の弁形成表現型は、2次的な欠陥で
ある可能性がある。弁形成時の内皮侵入過程は、局在化した心筋シグナルの制御
下にあることが示唆されている(総説はFishmanら、Development 124:2099-2117
, 1997参照)。心筋と心内膜の物理的な距離および/または心筋に蔓延する(sta
lked)分化プログラムが、正常な房室膜形成を妨害する理由である可能性もある
【0065】 材料および方法ゼブラフィッシュ株および維持 ゼブラフィッシュは、記述されるようにして維持および実施した。pikm242、p
ikm171、pikm740、pikm186はABバックグラウンドでのスクリーニングで作製され
た(Stainierら、Devleopment 123: 285-292, 1996)。pikmVO62Hおよびpikmnml
2は、TLバックグラウンドでのスクリーニングで作製された。地図作成株はpikm2
42をインド(india)株と交配して作製された。発現分析およびEMに使用されたp
ikm171胚は、pikm171/TLヘテロ接合体の2つ1組の交配から得られた。
【0066】インサイチューハイブリダイゼーション 全載インサイチューハイブリダイゼーションは、記述されるようにして行われ
た(Thisseら、Development 119:1203-1215, 1993)。T5プローブは、ESTクロー
ンAI629069 (Research Genetics)の消化によって作製された。N2BおよびN2Aプ
ローブは、タグのついたT7プロモーターを用いたPCRで作製された。プライマー
対は、 P238F: (配列番号:3);およびP3785RT: (配列番号:4)である。
【0067】ピックウィックの地図作成 16のホモ接合変異および16のヘテロ接合または野生型ピック(pick)pikm242/
インド胚由来のDNAを用いた、大量分離(bulk sagregation)分析で、連鎖が確
立された(Michelmoreら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:9828-9832, 1991)
。Zマーカー(単一配列長多型(SSLP))は本研究室で開発された(Knapikら、N
at. Genet. 18:338-343, 1998; Shimodaら、Genomics 58:219-232, 1999)。遺
伝子型決定(genotyping)産物は6% PAGEゲルで解析した。
【0068】染色体歩行 YACおよびBACクローンは、製造者の指示にしたがって、クローンのプールとし
てPCRでスクリーニングされた(Research Genetics)。YAC末端はプラスミド救
出によってクローニングされた(Zhongら、Genomics 48:136-138, 1998)。キメ
ラ末端はRHパネルによって決定された(Geislerら、Nat. Genet. 23:86-89, 199
9)。BAC DNAはキアゲン(QIAgene)キットを用いて抽出し、末端配列は直接の
配列決定によって決定した。Genebank中で相同配列を探すために、BLAST-Xが行
われた。ESTクローンはワシントン大学ゼブラフィッシュEST計画によって作製さ
れ、リサーチ・ジェネティクス(Research Genetics)から入手した。YACおよび
BACクローンの末端配列に由来するオリゴヌクレオチドは、クローンの重複を決
定するために標準的なPCR反応で使用された。プライマー対B9F2は、BAC5をBamHI
で消化してpUC19ベクターにサブクローニングして作製された断片に由来した。
このクローンは、BAC7のT7末端に由来するプライマー対によりヒット(hit)さ
れ得る。一本鎖高次構造多型(SSCP)分析は、40℃で6% MDEアクリルアミド(F
MC Bioproducts)上で試験された。
【0069】ゼブラフィッシュN2Bドメインのクローニング 成体ゼブラフィッシュの心臓mRNA抽出物由来のN2Bドメインを増幅するために
、ロングRT-PCRが行われた。mRNAは、記述されるように、TRIzole試薬(GibcoBR
L)を用いて、10匹のゼブラフィッシュ成体の心臓のプールから抽出された。cDN
AはSuperScrip(商標)II RNA分解酵素 H-逆転写酵素(GIbcoBRL)を用いて合成
され、かつ次にRNA分解酵素 Hで処理された。プライマーはEST3:I19R1に由来す
る: (配列番号:5)。ロングPCRはExpand 20kbPlus PCRシステム(Roch)を用いて
記述されるようにして行われた。プライマー対は:I14F1: (配列番号:6) I19R2: (配列番号:7)である。
【0070】 4.6 kb産物は、記述されるようにしてTOPO TAクローニングキット(Invitroge
n)を用いてサブクローニングされた。配列はプライマー歩行で決定された。約3
倍の範囲を持つ1つの読み枠のみを含む大きなコンティグが得られるように、Phr
ed/Phradソフトウェアによって、48の読み取りが整列化された。
【0071】 ホモ接合の変異ゼブラフィッシュ胚からN2B領域を増幅するために、成体N2B配
列にしたがって、重複する3つのプライマー対が設計された。このようにして、
骨格筋特異的タイチンアイソフォーム由来の混入は除去された。mRNAは記述され
るようにして、TRIzole試薬(GibcoBRL)を用いて、ゼブラフィッシュの2日目の
胚10個のプールから抽出された。配列決定の結果により、胚の心臓のタイチンは
、この領域に1つ少ないIGドメインを持つことが示された。
【0072】点変異の同定 ホモ接合変異胚由来のN2Bドメインは、0.6 kbと約1kbの間の大きさになる、6
つの重複するPCR産物を生成するプライマーによって増幅された。RNAミスマッチ
分析は、製造者のプロトコールにしたがって、MutationScreener(商標)(Ambi
on)を用いて行なった。以下のプライマー対を用いて、pikm171とpikm242の間に
1つのミスマッチが同定された: p238FT: (配列番号:8) P3785RT: 5'- (配列番号:9)。配列決定の結果は、ホモ接合pikm171胚由来のcDNA中にT -> G のナンセンス突然変異があることを示す。この領域のゲノム配列は、以下のプラ
イマー対を用いて増幅され: P238F: (配列番号:10) P341R: (配列番号:11) さらにGeneclean Spin キット(BIO101)を用いて精製後、直接配列決定を行な
った。
【0073】電子顕微鏡 48時間の胚が4℃で一晩、1.5%グルタルアルデヒド、1%パラホルムアルデヒ
ド、70 mM NaPO4 pH 7.2, 3%スクロース中で固定された。その後、0.1 Mカコジ
ル酸緩衝液、pH 7.4中で5分間ずつ3回洗浄された。
【0074】その他の態様 本発明は、その好ましい態様に関して説明されてきたが、当業者は、その本質
的な特徴を容易に突き止めることができ、その趣旨および範囲から逸れることな
く、本発明に様々な変更および修正をなし、種々の用法や条件に適合させること
ができる。当業者は、日常的程度の実験を用いて、本明細書に記載される発明の
具体的な態様と同等なものを多数認識し、または突き止めることができると考え
られる。そのような同等物は、本発明の範囲に含まれると意図される。
【0075】 本明細書中で言及された全ての刊行物および特許は、参照として本明細書に組
み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヒトタイチンフィラメントのドメイン構造の模式図である。ヒト
タイチンの核酸およびアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:1および2に提供され
ている。全長cDNAから予想される心臓タイチンのモジュラー構造が示されている
。この分子には、縦の長方形で示される100残基の繰り返しの、計244のコピーが
含まれている。そのうちの112はIgドメインに属し、132はFN3スーパーファミリ
ーに属する。タイチンキナーゼドメインならびにPEVKエレメントN2-B 163残基の
変異体もまた、示されている。A帯内で、D帯には示された7つのドメインの6つの
縦列反復が含まれており(A1からA42)、およびC帯には、示された11ドメインの
11の縦列反復が含まれている(A43からA163)。Z板およびM線領域におけるRMSP
およびVKSPモチーフの縦列反復の位置も示されている。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 15/09 ZNA G01N 33/50 Z G01N 33/15 33/53 D 33/50 M 33/53 33/566 C12N 15/00 ZNAA 33/566 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ,VN, YU,ZA,ZW Fターム(参考) 2G045 AA25 AA35 AA40 CA25 CA26 CB01 CB03 CB04 CB17 DA12 DA13 DA14 DA36 DA77 FB02 FB03 FB05 FB07 4B024 AA11 CA01 CA09 CA11 HA11 4B063 QA01 QA18 QA19 QQ01 QQ42 QQ52 QR08 QR42 QR55 QR62 QS16 QS36 QX02 4C084 AA17 ZA36

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被験対象がタイチン(titin)遺伝子に変異を持つかどうか
    を決定するために、被験対象由来の試料の核酸分子を分析する段階を含む、被験
    対象がタイチン関連の疾患または状態を持つ、または発現する危険に曝されてい
    るかどうかを決定する方法であって、該変異の存在は、被験対象がタイチン関連
    疾患を持つか、またはそれを発現する危険に曝されていることを示す方法。
  2. 【請求項2】 ポリメラーゼ連鎖反応によるタイチン遺伝子の核酸分子増幅
    のために、タイチン遺伝子に特異的な核酸分子プライマーを使用する段階をさら
    に含む、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 被験対象由来のタイチン核酸分子の配列決定をする段階をさ
    らに含む、請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 被験対象が哺乳類である、請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 被験対象がヒトである、請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 疾患または状態が心不全である、請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 変異がピックウィック(pickwick)変異である、請求項1記
    載の方法。
  8. 【請求項8】 タイチン変異を含み、心不全に特徴的な表現型を持つ生物に
    、化合物を接触させる段階、および該表現型に対する該化合物の影響を決定する
    段階を含む、心不全を治療または予防するために使用できる化合物を同定する方
    法であって、該表現型における改善の検知によって、心不全を治療または予防す
    るために使用できる化合物の同定が示される方法。
  9. 【請求項9】 生物がゼブラフィッシュである、請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】 タイチン変異がピックウィック変異である、請求項8記載
    の方法。
  11. 【請求項11】 請求項8記載の方法を用いて同定された化合物を患者に投
    与する段階を含む、患者の心不全を治療または予防する方法。
  12. 【請求項12】 患者がタイチン遺伝子に変異を持つ、請求項11記載の方法
  13. 【請求項13】 変異がピックウィック変異である、請求項12記載の方法。
  14. 【請求項14】 タイチン遺伝子に変異を含む、非ヒト動物。
  15. 【請求項15】 非ヒト動物がゼブラフィッシュである、請求項14記載の非
    ヒト動物。
  16. 【請求項16】 変異がタイチン遺伝子の心臓特異的エクソン中にある、請
    求項14記載の非ヒト動物。
  17. 【請求項17】 変異がタイチン遺伝子のN2Bエクソン中にある、請求項16
    記載の非ヒト動物。
  18. 【請求項18】 変異によってタイチン遺伝子中に終止コドンが存在するよ
    うになる、請求項14記載の非ヒト動物。
  19. 【請求項19】 変異がピックウィック変異である、請求項14記載の非ヒト
    動物。
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