JP2003532416A - 内皮分化遺伝子6様gタンパク質共役受容体 - Google Patents

内皮分化遺伝子6様gタンパク質共役受容体

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Abstract

(57)【要約】 内皮分化遺伝子6(EDG6)様Gタンパク質共役受容体の新規核酸配列およびアミノ酸配列を開示する。EDG6様受容体遺伝子産物に結合する物質を、炎症過程に関連する異常、例えば、アレルギー、喘息、自己免疫疾患および免疫系の過剰な活性化または長期にわたる活性化によって組織にダメージが与えられる他の慢性炎症性疾患を処置するのに用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は新規Gタンパク質共役受容体の核酸配列およびアミノ酸配列に関する
。より詳細には、内皮分化遺伝子6(EDG6)様Gタンパク質共役受容体、そ
の核酸配列およびその調節の分野に関する。
【0002】 (背景技術) Gタンパク質共役受容体 多くの医学的に重要な生体プロセスは、Gタンパク質を含むシグナル伝達経路
により媒介されている(Lefkowitz, Nature 351, 353-354, 1991)。Gタンパク
質共役受容体(GPCR)のファミリーには、ホルモン、神経伝達物質、成長因
子、およびウイルスに対する受容体が含まれる。GPCRの具体的例としては、
ドーパミン、カルシトニン、アドレナリン作動性ホルモン、エンドセリン、cA
MP、アデノシン、アセチルコリン、セロトニン、ヒスタミン、トロンビン、キ
ニン、卵胞刺激ホルモン、オプシン、内皮分化遺伝子(endothelial differenti
ation gene)−1、ロドプシン、臭気物質、サイトメガロウイルス、Gタンパク
質自身、エフェクタータンパク質(例えばホスホリパーゼC、アデニル酸シクラ
ーゼおよびホスホジエステラーゼ)、およびアクチュエータータンパク質(例え
ばプロテインキナーゼAおよびプロテインキナーゼC)などの多彩な物質につい
ての受容体が挙げられる。
【0003】 GPCRは、少なくとも8つの異なる親水性ループを連結する7つの保存性の
(保存的)膜貫通ドメインを有する。GPCR(7TM受容体としても知られる
)は、少なくとも8つの異なる親水性ループを連結する、7つのアミノ酸約20
〜30個より成る保存的疎水性区間を含むことで特徴付けられている。たいてい
のGPCRは、最初の二つの細胞外ループのそれぞれに、機能性タンパク質構造
を安定化させると考えられているジスルフィド結合を形成する単一の保存的シス
テイン残基を有している。この7つの膜貫通領域はTM1、TM2、TM3、T
M4、TM5、TM6およびTM7と称される。TM3がシグナル伝達に関与し
ている。
【0004】 システイン残基のリン酸化および脂質化(パルミチル化またはファルネシル化
)は、幾つかのGPCRのシグナル伝達に影響を及ぼし得る。たいていのGPC
Rは、第三の細胞質ループ内部に潜在的なリン酸化部位、および/またはカルボ
キシ末端を含んでいる。幾つかのGPCR、例えばβ−アドレナリン作動性受容
体は、プロテインキナーゼAおよび/または他の特異的受容体キナーゼによるリ
ン酸化によって受容体の脱感作が媒介される。
【0005】 幾つかの受容体については、GPCRのリガンド結合部位に、数個のGPCR
膜貫通ドメインにより形成される親水性ソケットが含まれると考えられている。
この親水性ソケットは、GPCRの疎水性残基に取り囲まれている。各GPCR
膜貫通ヘリックスの親水性側は内側を向き、極性リガンド結合部位を形成すると
推定されている。TM3はリガンド結合部位、例えばTM3のアスパラギン酸残
基を有するように、幾つかのGPCRと関わりがある。TM5のセリン、TM6
のアスパラギン、およびTM6またはTM7のフェニルアラニンまたはチロシン
もまたリガンド結合に関与している。
【0006】 GPCRは細胞内部でヘテロ三量体Gタンパク質を介して、種々の細胞内酵素
、イオンチャンネルおよび輸送体と共役している(Johndonら、Endoc.Rev. 10,
317-331, 1989を参照のこと)。種々のGタンパク質αサブユニットは特定のエ
フェクター(効果器)を優先的に刺激し、細胞の様々な生体機能を調整する。G
PCRの細胞質残基のリン酸化は、幾つかのGPCRの調節に重要なメカニズム
である。例えば、シグナル伝達の一つの形態におけるホルモン結合は、細胞内部
での酵素、アデニル酸シクラーゼの活性化に影響する。ホルモンによる酵素の活
性化はヌクレオチド GTPの存在に依存する。また、GTPはホルモン結合に
も影響を及ぼす。Gタンパク質はホルモン受容体をアデニル酸シクラーゼに関係
させる。Gタンパク質はホルモン受容体によって活性化された場合に、結合して
いるGDPをGTPに交換する。その後、このGTP運搬型が、活性化されるア
デニル酸シクラーゼに結合する。Gタンパク質自身により触媒されるGTPから
GDPへの加水分解によって、Gタンパク質はその基本的な不活性型へと戻る。
このようにGタンパク質は、シグナルを受容体からエフェクターへ中継する仲介
物質としての役割と、シグナルの長さを制御する時計としての役割の二つを担っ
ている。
【0007】 過去15年間にわたり、7TM受容体を標的とする350近くの治療薬が市場
に出され、成功している。このことは、これらの受容体が治療薬として確立され
、折り紙付きの歴史を有することを示すものである。細菌感染症、真菌感染症、
原虫感染症およびウイルス感染症などの感染症、特にHIVウイルスによって引
き起こされる感染症、疼痛、癌、摂食障害、過食症、喘息、パーキンソン病、急
性心不全、低血圧症、高血圧症、尿閉、骨粗鬆症、狭心症、心筋梗塞、潰瘍、喘
息、アレルギー、良性前立腺肥大、並びに不安症(anxiety)、統合失調症、躁鬱
病、譫妄、痴呆、様々な精神遅延およびジスキネジア(例えばハンチントン舞踏
病とテゥレット(Tourett)症候群)を含む精神異常および神経疾患、を包含する
機能障害または疾患(これらに制限されない)を予防、改善または是正する役割
を果たすことのできる、さらなる受容体の同定および特徴づけに対する必要性が
あることは明らかである。
【0008】 EDG6 Gタンパク質共役受容体EDG6はスフィンゴシン1−ホスフェートに対する
受容体であると考えられており、そして他の同類のリゾスフィンゴ脂質(例えば
スフィンゴシルホスホリルコリン)またはリゾリン脂質(例えばリゾホスファチ
ジン酸)とも結合できる(Yamazakiら、Biochem Biophys Res Commun., 2000 Fe
b 16;268(2):583-9)。このスフィンゴシン1−ホスフェートに対する受容体と
しての役割が、炎症応答を媒介するのに重要である。スフィンゴシン1−ホスフ
ェートは、Fas、TNF−β、およびNF−ΚBやErkの活性化を介したセ
ラミド誘導アポトーシス、から白血球を保護することが示されている(Cuvillie
r Oら、Nature. 1996 Jun 27;381(6585):800-3, Cuvillier Oら、J Biol Chem.
1998 Jan 30;273(5):2910-6)。
【0009】 多くの炎症媒介病態は、白血球の過剰な活性化または長期にわたる活性化が、
周辺(bystander)組織にダメージを与えることが原因であろうと考えられてい
る。過剰な活性化または必要以上に長く持続された活性化を防ぐため、免疫応答
は自己制御型、すなわち白血球の長期にわたる活性化によってプログラムされた
細胞死プロセスが引き起こされ、そのような白血球が排除されることになる免疫
応答が典型的である。一方、免疫応答の早過ぎる停止は有害な場合があるため、
免疫応答を持続させる機構が存在する。スフィンゴシン1−ホスフェートは後者
のタイプの応答、すなわち、プログラムされた細胞死を防ぎ、免疫応答を継続さ
せる役割を果たし得る。
【0010】 その活性を調節して治療効果、特に炎症応答に関与する疾患および異常につい
て、治療効果を与えることができるEDG6受容体ファミリーのさらなるメンバ
ーを同定する必要性が当分野にはある。
【0011】 (発明の概要) 本発明の一態様は、 配列番号1に示すアミノ酸配列と少なくとも約25%一致するアミノ酸配列;
および、 配列番号1に示すアミノ酸配列、 より成る群から選ばれるアミノ酸配列を含むEDG6様GPCRポリペプチドで
ある。
【0012】 本発明のさらに別の態様は、EDG6様GPCRの活性を低下させる物質をス
クリーニングする方法である。被験化合物を、 配列番号1に示すアミノ酸配列と少なくとも約25%一致するアミノ酸配列;
および、 配列番号1に示すアミノ酸配列、 より成る群から選ばれるアミノ酸配列を含むEDG6様GPCRポリペプチドと
接触させる。
【0013】 被験化合物とEDG6様GPCRポリペプチドとの間の結合を検出する。それ
により、EDG6様GPCRポリペプチドに結合する被験化合物を、EDG6様
GPCRの活性を低下させる可能性のある物質と同定する。
【0014】 本発明のその他の態様は、EDG6様GPCRの活性を低下させる物質をスク
リーニングする方法である。被験化合物を、 配列番号2に示すヌクレオチド配列と少なくとも約25%一致するヌクレオチ
ド配列;および、 配列番号2に示すヌクレオチド配列、 より成る群から選ばれるヌクレオチド配列を含むEDG6様GPCRポリペプチ
ドをコードするポリヌクレオチドと接触させる。
【0015】 ポリヌクレオチドに対する被験化合物の結合を検出する。ポリヌクレオチドに
結合する被験化合物を、EDG6様GPCRの活性を低下させる可能性のある物
質と同定する。この物質はEDG6様GPCR mRNAとの相互作用を通じて
EDG6様GPCR量を減少させることによって作用させることができる。
【0016】 本発明の別の態様は、EDG6様GPCRの活性を調節する物質をスクリーニ
ングする方法である。被験化合物を、 配列番号1に示すアミノ酸配列と少なくとも約25%一致するアミノ酸配列;
および、 配列番号1に示すアミノ酸配列、 より成る群から選ばれるアミノ酸配列を含む、EDG6様GPCRポリペプチド
と接触させる。
【0017】 上記ポリペプチドのEDG6様GPCR活性を検出する。それにより、被験化
合物の不存在時におけるEDG6様GPCR活性と比べて該ポリペプチドのED
G6様GPCR活性を増大させる被験化合物を、EDG6様GPCRの活性を増
大させる可能性のある物質と同定する。それにより、被験化合物の不存在時にお
けるEDG6様GPCR活性と比べて該ポリペプチドのEDG6様GPCR活性
を低下させる被験化合物を、EDG6様GPCRの活性を低下させる可能性のあ
る物質と同定する。
【0018】 本発明のさらに別の態様は、EDG6様GPCRの活性を低下させる物質をス
クリーニングする方法である。被験化合物を、 配列番号2に示すヌクレオチド配列と少なくとも約25%一致するヌクレオチ
ド配列;および、 配列番号2に示すヌクレオチド配列、 より成る群から選ばれるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドのEDG6様
GPCR産物と接触させる。
【0019】 EDG6様GPCR産物に対する被験化合物の結合を検出する。それにより、
EDG6様GPCR産物と結合する被験化合物を、EDG6様GPCRの活性を
低下させる可能性のある物質と同定する。
【0020】 本発明のさらに他の態様は、EDG6様GPCRの活性を減少させる方法であ
る。細胞を、 EDG6様GPCRポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、または、 配列番号2に示すヌクレオチド配列と少なくとも約25%一致するヌクレオチ
ド配列;および、配列番号2に示すヌクレオチド配列より成る群から選ばれるヌ
クレオチド配列を含むポリヌクレオチドによってコードされている産物、 と特異的に結合する物質と接触させる。
【0021】 それにより、細胞のEDG6様GPCR活性を低下させる。
【0022】 このように本発明は、炎症過程に関連する異常を調節して処置できるEDG6
様Gタンパク質共役受容体を提供する。
【0023】 (発明の詳細な説明) 本発明は、EDG6様GPCRポリペプチドをコードしている単離されたポリ
ヌクレオチドであって、 a)配列番号1に示すアミノ酸配列と少なくとも約25%一致するアミノ酸配
列;および、 配列番号1に示すアミノ酸配列 より成る群から選ばれるアミノ酸配列を含むEDG6様GPCRポリペプチドを
コードしているポリヌクレオチド; b)配列番号2に記載の配列を含むポリヌクレオチド; c)(a)および(b)に明記したポリヌクレオチドとストリンジェントな条
件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド; d)遺伝コードの縮重のため、その配列が(a)〜(c)に明記するポリヌク
レオチド配列から逸脱している配列のポリヌクレオチド;および、 e)(a)〜(d)に明記したポリヌクレオチド配列の断片、誘導体またはア
レル変異体を表すポリヌクレオチド、 より成る群から選ばれるポリヌクレオチドに関する。
【0024】 本明細書中にて用いる全ての技術用語は、本発明に属する分野の当業者が通常
用いるのと同じ意味を有する。
【0025】 本発明のポリヌクレオチドはRNA形態またはDNA形態であってよく、DN
AにはcDNA、ゲノムDNAおよび合成DNAが含まれる。DNAは二本鎖ま
たは一本鎖のいずれであってもよい。成熟ポリペプチドをコードするコード配列
は、配列番号:2に示すコード配列と同一であるか、または配列番号:2に記載
のDNAと同じ成熟ポリペプチドをコードするコード配列と、遺伝コードの重複
または縮重により異なっていてもよい。
【0026】 配列番号:1に記載の成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドには、 (1)成熟ポリペプチドのコード配列のみ、 (2)成熟ポリペプチドのコード配列、およびリーダー配列または分泌配列ま
たはプロタンパク質配列などの付加的なコード配列、 (3)成熟ポリペプチドのコード配列(および場合によっては付加的なコード
配列)、および非コード配列(例えば、イントロン、または成熟ポリペプチドコ
ード配列の非コード配列5'および/若しくは3')、 が含まれ得る。
【0027】 このように、用語「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」には、ポリ
ペプチドのコード配列のみを含むポリヌクレオチド、並びに付加的なコード配列
および/または非コード配列を含むポリヌクレオチドが包含される。
【0028】 本明細書中で用いる「核酸配列」は、オリゴヌクレオチド配列、ヌクレオチド
配列またはポリヌクレオチド配列、それらの断片若しくは一部を、並びにゲノム
起源または合成起源のDNA若しくはRNAを意味し、それらは二本鎖または一
本鎖であっても、センス鎖またはアンチセンス鎖を表していてもよい。本発明の
核酸配列には、配列番号:1から推定されるアミノ酸配列を有するポリペプチド
の断片、類似体(アナログ)、誘導体および変異体をコードするポリヌクレオチ
ドが含まれる。本ポリヌクレオチドの変異体は、配列番号:2に記載のポリヌク
レオチドの天然アレル変異体または非天然変異体であってもよい。
【0029】 「ストリンジェントな条件下」は、6×SSC、1% 硫酸ナトリウムラウリ
ル、100μg/ml サケ精子DNAおよび5×デンハルト溶液を含む溶液中
にて10〜20時間、65℃の条件(これに制限されない)を含むことを意味す
る。
【0030】 同様に、本明細書中にて用いる「アミノ酸配列および/または残基配列」は、
ペプチド配列またはタンパク質配列、あるいはそれらの一部を意味する。「配列
番号:1中の1つ乃至幾つかのアミノ酸残基(群)に置換、欠失、付加または転
移が生じたアミノ酸配列」には、1つ乃至幾つかのアミノ酸「置換」によって異
なる配列番号:1に示す修飾アミノ酸配列が含まれる。また、これには配列番号
:1から1つ乃至幾つかのアミノ酸が欠失したものや、付加されたもの、あるは
その両方の修飾アミノ酸配列が含まれる。修飾アミノ酸配列には、置換アミノ酸
が類似の構造または化学的性質を有する「保存的」変化が含まれ、例えばロイシ
ンとイソロイシンとの置換がある。より希な修飾アミノ酸配列には、「非保存的
」変化があり、例えばグリシンとトリプトファンとの置換がある。修飾アミノ酸
配列には、元来のヒトEDG6様GPCRの生物学的活性または免疫学的活性を
破壊しない置換、欠失または付加が含まれ得る。
【0031】 本発明のポリペプチドには、配列番号:1に記載のポリペプチド(詳細には成
熟ポリペプチド)が含まれ、同様に、配列番号:1に記載のポリペプチドと少な
くとも25%一致するポリペプチド、およびより好ましくは配列番号:1に記載
のポリペプチドと少なくとも40%一致するポリペプチド、さらにより好ましく
は配列番号:1に記載のポリペプチドと少なくとも50%一致するポリペプチド
が含まれ、並びに、一般に少なくとも30アミノ酸、より好ましくは少なくとも
50アミノ酸を含む該ポリペプチドの一部もまた含まれる。当分野で周知のよう
に、2つのポリペプチド間の「類似性」はそのアミノ酸配列と、1つのポリペプ
チドから二番目のポリペプチドの配列への保存的アミノ酸置換とを比較すること
によって決定される。そのような保存的置換には、Dayhoff著のThe Atlas of Pr otein Sequence and Structure 5 (1978) およびArgos著のEMBO J., 8:779-785
(1989)に記載のものが挙げられる。例えば、以下の群: ala, pro, gly, gln, asn, ser, thr; cys, ser, tyr, thr; val, ile, leu, met, ala, phe; lys, arg, his; phe, tyr, trp, his; および asp, glu、 の1つに属するアミノ酸は、保存的変化を示す。
【0032】 本発明のポリペプチドの断片または一部を用いて、ペプチド合成により相当す
る完全長のポリペプチドを産生することができる。したがって、断片を中間体と
して用いて、完全長のポリペプチドを産生することができる。本発明のポリヌク
レオチドの断片またはその一部を使用して、本発明の完全長のポリヌクレオチド
を合成することができる。
【0033】 「相同性(ホモロジー)」、「一致性」または「類似性」とは、2つまたはそ
れ以上のペプチド間、或いは2つまたはそれ以上の核酸分子間の配列の類似度を
意味し、通常パーセンテージで表される。相同性は、比較のためにアライメント
することができる各々の配列の或る部位を比較することによって決定することが
できる。比較される配列の或る部位が、同じ塩基またはアミノ酸によって占めら
れている場合、その分子はその部位で相同的である。配列間の相同性の程度は、
配列によって分けられる一致部位または相同部位数の関数である。
【0034】 1.ヒトEDG6様GPCRのアミノ酸配列 G−タンパク質共役受容体EDG6(Graler MHら., Genomics. 1998 Oct 15;
53(2):164-9., Graler MHら., Curr Top Microbiol Immunol. 1999;246:131-6)
の相同体(核酸配列はアクセッション番号 AL033379、アミノ酸配列は
アクセッション番号 CAB55871)は、日本のDNAデータバンク(DD
BJ)の高処理ゲノム配列装置(High Throughput Genome Sequence division)の
ホモロジー検索を通じて見つけられる。この相同体(クエリー配列)をEDG6
(サブジェクト配列)と比較することで、この相同体が図1に示すように81残
基中26残基が同一であり、かつ81残基中41残基が同一または類似である8
1アミノ酸領域にわたってEDG6と似ていることが示される。
【0035】 2.EDG6の機能 EDG6様GPCRは、EDG6に対するその相同性のために、EDG6と同
じリガンドと結合し、それにより白血球を活性化するか、またはプログラムされ
た細胞死を予防する役割を果たすと仮説が立てられている。それは免疫媒介疾患
、例えば、アレルギー、喘息、自己免疫疾患および他の慢性炎症性疾患(免疫系
の過剰な活性化または長期化した活性化による正常組織へのダメージが不意に生
じる場合がある)に重要な役割を果たし得る。したがって、EDG6様GPCR
を標的として用いて、その機能に選択的に作用する阻害物質(インヒビター)ま
たは活性物質(アクチベーター)を開発することができ、そして、そのインヒビ
ターまたはアクチベーターを炎症性疾患の処置に用いることができる。
【0036】 本発明は、EDG6様G−タンパク質共役受容体(EDG6様GPCR)を調
節することで、炎症過程に関連する異常を処置することができ、その受容体のア
ゴニストおよびアンタゴニストを同定することができるという発見に基づく。
【0037】EDG6様GPCRポリペプチド 本発明に係るEDG6様GPCRポリペプチドには、配列番号:1に示すアミ
ノ酸配列、その配列の一部、または下記定義による生理学的に活性なそのアミノ
酸配列の変異体が含まれる。したがって、本発明のEDG6様GPCRポリペプ
チドは、EDG6様GPCRタンパク質の一部、完全長のEDG6様GPCR、
またはEDG6様GPCRの全部または一部を含む融合タンパク質であり得る。
配列番号:1に示すEDG6様GPCRは、特徴的な「NPXXY」モチーフ(
配列番号:1においては、NPLIY、アミノ酸381−385)を有しており
、このことは、この受容体が内部移行(インターナリゼーション)を受けること
を意味している。
【0038】生理学的に活性な変異体 生理学活性がある、即ちEDG6関連リガンドと結合し、生物学的効果(例え
ばサイクリックAMP形成、細胞内カルシウムの流動化、またはホスホイノシチ
ド代謝)を産する能力を保持しているEDG6様GPCRポリペプチド変異体も
また、EDG6様GPCRポリペプチドである。天然または非天然EDG6様G
PCR変異体は配列番号:1に示すアミノ酸配列と少なくとも約50、好ましく
は約75、90、96若しくは98%一致するアミノ酸配列を有することが好ま
しい。推定されるEDG6様GPCRポリペプチドと配列番号:1のアミノ酸配
列との一致パーセントは、Blast2整列(アラインメント)プログラムを用
いて決定される。
【0039】 一致パーセントの変異は例えばアミノ酸置換、挿入または欠失に起因し得る。
アミノ酸置換は1対1のアミノ酸の置き換えとして定義される。置換されたアミ
ノ酸が類似の構造的および/または化学的性質を有する場合、置換は保存的であ
る。保存的置換の例は、イソロイシンまたはバリンによるロイシンの置換、グル
タミン酸塩によるアスパラギン酸塩の置換、またはセリンによるスレオニンの置
換である。
【0040】 アミノ酸挿入または欠失はアミノ酸配列への、またはその内部での変化である
。これらは典型的には約1から5アミノ酸の範囲で起こる。EDG6様GPCR
ポリペプチドの生物学的または免疫学的活性を破壊することなく、どのアミノ酸
残基が置換、挿入または欠失できるかを決定する際の指針は、当分野で周知のコ
ンピュータープログラム、例えばDNASTARソフトウェアを用いて見出すことがで
きる。あるアミノ酸変化が生物学的に活性なEDG6受容体様ポリペプチドを生
成するか否かは、例えば以下の具体的実施例に記載のように、EDG6様GPC
Rポリペプチド活性を検定することにより容易に決定できる。
【0041】融合タンパク質 融合タンパク質は、配列番号1に示すアミノ酸配列の少なくとも5、6、8、
10、25、もしくは50、またはそれ以上の連続アミノ酸を含むことができる
。融合タンパク質は、EDG6様GPCRポリペプチドアミノ酸配列に対する抗
体の作製に、そして様々な検定系での使用に有用である。例えば、融合タンパク
質は、EDG6様GPCRポリペプチドの一部と相互作用するタンパク質の同定
に使用できる。タンパク質親和クロマトグラフィーまたはタンパク質−タンパク
質相互作用のためのライブラリーに基づく検定、例えば酵母2−ハイブリッドま
たはファージディスプレイ系をこの目的のために使用できる。このような方法は
当分野で周知であり、薬物スクリーニングとしても使用できる。
【0042】 EDG6様GPCRポリペプチド融合タンパク質は、ペプチド結合により融合
した二つのポリペプチドセグメントを含んでいる。第一のポリペプチドセグメン
トは配列番号1、または上記のようなそれらの配列の生物学的に活性な変異体の
少なくとも5、6、8、10、25、もしくは50、またはそれ以上の連続アミ
ノ酸を含む。第一のポリペプチドセグメントはまた、完全長EDG6様GPCR
タンパク質を含むことができる。
【0043】 第二のポリペプチドセグメントは完全長タンパク質またはタンパク質断片であ
ってよい。融合タンパク質の構築に一般的に使用するタンパク質は、β−ガラク
トシダーゼ、β−グルクロニダーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、自己蛍光
タンパク質(青色蛍光タンパク質(BFP)を包含する)、グルタチオン−S−
トランスフェラーゼ(GST)、ルシフェラーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ
(HRP)、およびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT
)を包含する。さらに、融合タンパク質の構築には、ヒスチジン(His)標識、
FLAG標識、インフルエンザへマグルチニン(HA)標識、Myc標識、VS
V−G標識、およびチオレドキシン(Trx)標識を包含するエピトープ標識を
使用する。その他の融合構築は、マルトース結合タンパク質(MBP)、S−標
識、Lex a DNA結合ドメイン(DBD)融合物、GAL4 DNA結合ドメイ
ン融合物、および単純ヘルペスウイルス(HSV)BP16タンパク質融合物を
包含する。融合タンパク質はさらに、EDG6様GPCRポリペプチドコード配
列と非相同タンパク質配列の間に位置する開裂部位を含むよう構築することがで
き、その結果、このEDG6様GPCRポリペプチドは、開裂させ、非相同部分
を無くすように精製できる。
【0044】 融合タンパク質は当分野で周知のように化学合成できる。好ましくは、融合タ
ンパク質は二つのポリペプチドセグメントを共有結合で連結することにより、ま
たは分子生物学分野で標準的な方法により調製する。例えば、当分野で知られて
いるように、第二のポリペプチドセグメントをコードしているヌクレオチドを有
する適切なリーディングフレームに配列番号2より選ばれるコード配列を含むD
NA構築物を作製し、このDNA構築物を宿主細胞で発現させることによる組換
えDNA法を用いて、融合タンパク質を調製できる。融合タンパク質構築用の多
くのキットが、Promega Corporation(Madison, WI)、Stratagene(La Jolla, CA)
、CLONTECH(Mountain View, CA)、Santa Cruz Biotechnology(Santa Cruz, CA)
、MBL international Corporation(MIC; Watertown, MA)、およびQuantum Biote
chnologies(Montreal, Canada; 1-888-DNA-KITS)といった企業から入手できる。
【0045】種相同体の同定 ヒトEDG6様GPCRポリペプチドのポリヌクレオチド(下記)を使用して
、他の種、例えばマウス、サル、または酵母由来のcDNA発現ライブラリーを
スクリーニングするために好適なプローブまたはプライマーを作製し、EDG6
様GPCRポリペプチドの相同体をコードしているcDNAを同定し、そして当
分野で周知のようにこのcDNAを発現させて、EDG6様GPCRポリペプチ
ドの種相同体を得ることができる。
【0046】EDG6様GPCRポリヌクレオチド EDG6様GPCRポリヌクレオチドは一本鎖または二本鎖であってよく、E
DG6様GPCRポリペプチドのコード配列またはこのコード配列の相補体を含
んでいる。ヒトEDG6様GPCRポリペプチドのコード配列を配列番号2に示
す。
【0047】 ヒトEDG6様GPCRポリペプチドをコードしている縮重ヌクレオチド配列
、および、配列番号2に示すヌクレオチド配列と少なくとも約50、好ましくは
約75、90、96または98%一致するホモローガスなヌクレオチド配列もま
た、EDG6様GPCRポリヌクレオチドである。二つのポリヌクレオチド配列
間の配列一致パーセントは、ALIGNのようなコンピュータープログラムを用いて
決定するが、これは、ギャップオープンペナルティー−12およびギャップエク
ステンションペナルティー−2によるアフィンギャップ検索を用いるFASTAアル
ゴリズムを使用するものである。相補的DNA(cDNA)分子、種相同体およ
び生物学的に活性なEDG6様GPCRポリペプチドをコードしているEDG6
様GPCRポリヌクレオチドの変異体もやはりEDG6様GPCRポリヌクレオ
チドである。
【0048】EDG6様GPCRポリヌクレオチド変異体および相同体の同定 上記のEDG6様GPCRポリヌクレオチド変異体および相同体もまたEDG
6様GPCRポリヌクレオチドである。典型的には、EDG6様GPCRポリヌ
クレオチド配列は、当分野で周知のように、ストリンジェントな条件下で候補ポ
リヌクレオチドを既知のEDG6様GPCRポリヌクレオチドにハイブリダイズ
することにより同定できる。例えば、以下の洗浄条件 -- 2X SSC(0.3M
NaCl、0.03Mクエン酸ナトリウム、pH7.0)、0.1%SDS、室温 2
回、各々30分間;次いで2× SSC、0.1%SDS、50℃ 1回、30分
間;次いで2× SSC、室温 2回、各々10分間 -- を使用して、最大約25
−30%の塩基対ミスマッチを含む相同配列を同定できる。より好ましくは、相
同核酸鎖は15−25%の塩基対ミスマッチを、さらに好ましくは5−15%の
塩基対ミスマッチを含む。
【0049】 本明細書に開示するEDG6様GPCRポリヌクレオチドの種相同体はさらに
、適当なプローブまたはプライマーを作製し、他の種、例えばマウス、サル、ま
たは酵母由来のcDNA発現ライブラリーをスクリーニングすることによって同
定できる。EDG6様GPCRポリヌクレオチドのヒト変異体は、例えばヒトc
DNA発現ライブラリーをスクリーニングすることにより同定できる。二本鎖D
NAのTmは相同性が1%低下する毎に1−1.5℃低下することがよく知られて
いる(Bonnerら、J.Mol.Biol. 81,123(1973))。故にヒトEDG6様GPCRポ
リヌクレオチドの変異体または他の種のEDG6様GPCRポリヌクレオチドは
、推定の相同EDG6様GPCRポリヌクレオチドを、配列番号2に記載のヌク
レオチド配列を有するポリヌクレオチドまたはその相補物とハイブリダイズさせ
て被験ハイブリッドを作製することによって同定できる。被験ハイブリッドの融
解温度を完全に相補的なヌクレオチド配列を有するトランスホルミラーゼポリヌ
クレオチドを含むハイブリッドの融解温度と比較し、被験ハイブリッドの中の塩
基対ミスマッチのパーセント数を算出する。
【0050】 ストリンジェントなハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件に従いト
ランスホルミラーゼポリヌクレオチドまたはその相補物とハイブリダイズするヌ
クレオチド配列もまたEDG6様GPCRポリヌクレオチドである。ストリンジ
ェントな洗浄条件は当分野で周知且つ理解されており、例えばSambrookら、MOLE
CULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 2d ed., 1989, 9.50-9.51頁に開示され
ている。
【0051】 典型的には、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件のためには、温
度と塩濃度の組み合わせを、検討中のハイブリッドの理論的Tmよりおよそ12
−20℃低くなるよう選択すべきである。配列番号2に示すヌクレオチド配列を
有するEDG6様GPCRポリヌクレオチドまたはその相同体と、それらのヌク
レオチド配列のいずれか1つと少なくとも約50、好ましくは約75、90、9
6、または98%一致するポリヌクレオチド配列とのハイブリッドのTmは、例
えばBoltonおよびMcCarthy, Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A. 48,1390(1962)の式: Tm=81.5℃−16.6(log10[Na+])+0.41(%G+C)−0.63(%ホ
ルムアミド)−600/l)、 [式中、l=塩基対で表したハイブリッドの長さ] を用いて算出できる。
【0052】 ストリンジェントな洗浄条件としては例えば、4× SSC(65℃)、また
は50%ホルムアミド、4× SSC(42℃)、または0.5× SSC、0.1
%SDS(65℃)が挙げられる。高度ストリンジェントな洗浄条件は、例えば
0.2× SSC(65℃)などである。
【0053】EDG6様GPCRポリヌクレオチドの調製 天然に存在するEDG6様GPCRポリヌクレオチドは、膜構成成分、タンパ
ク質および脂質といった他の細胞成分を含まないよう単離できる。ポリヌクレオ
チドは細胞から調製でき、標準的核酸精製技術を用いて単離、またはポリメラー
ゼ連鎖反応(PCR)のような増幅技術を用いて合成、もしくは自動合成機を用
いることによって調製できる。ポリヌクレオチドを単離する方法は機械的であり
、当分野で知られている。ポリヌクレオチドを取得するためこのような任意の技
術を用いて、単離されたEDG6様GPCRポリヌクレオチドを得ることができ
る。例えば、制限酵素およびプローブを用いてEDG6様GPCRヌクレオチド
配列を含むポリヌクレオチド断片を単離できる。単離したポリヌクレオチドは含
まないか、あるいは他の分子を少なくとも70、80、または90%含まない調
製物である。
【0054】 EDG6様GPCR cDNA分子は、EDG6様GPCR mRNAを鋳型に
用いて標準的分子生物学技術にて調製できる。その後EDG6様GPCR cD
NA分子は、当分野で周知でありSambrookら.(1989)のようなマニュアルに開示
される分子生物学技術を用いて複製できる。ヒトゲノムDNAまたはcDNAを
鋳型に使用して本発明に係るポリヌクレオチドのさらなるコピーを得るため、P
CRのような増幅技術を用いることができる。
【0055】 別法として、合成化学技術を用いてEDG6様GPCRポリヌクレオチドを合
成することもできる。遺伝コードの縮重は、例えば配列番号1に示すアミノ酸配
列を有するEDG6様GPCRポリペプチドまたはその生物学的に活性な変異体
をコードしている別のヌクレオチド配列の合成を可能にする。
【0056】EDG6様GPCRポリヌクレオチドの伸長 PCRに基づく様々な方法を用いて開示されたヒトEDG6様GPCRポリペ
プチドの一部をコードする核酸配列を伸長させ、プロモーターおよび調節要素と
いった上流配列を検出することができる。例えば制限部位PCRは、既知の座に
隣接する未知配列を検索するため、ユニバーサルプライマーを使用する(Sarkar
, PCR Methods Applic. 2,318-322,1993)。まず、ゲノムDNAを、リンカー配
列に対するプライマーと既知領域に特異的なプライマーの存在下で増幅する。次
に、増幅させた配列を、同じリンカープライマーと最初のものの内部にある別の
特異的プライマーを用いて、第二回目のPCRを行なう。各回のPCR産物を適
当なRNAポリメラーゼで転写し、逆転写を行ない配列決定する。
【0057】 既知領域に基づく異なるプライマーを用いて配列を増幅または伸長するために
、逆PCRを使用することもできる(Trigliaら、Nucleic Acids Res. 16,8186,
1988)。OLIGO 4.06 Primer Analysisソフトウェア(National Biosciences Inc
., Plymouth, Minn)のような市販ソフトウェアを用いて、長さ22−30ヌク
レオチド長、50%またはそれ以上のGC含有量を持ち、約68−72℃の温度
で標的配列とアニーリングするプライマーを設計できる。この方法は、幾つかの
制限酵素を用いて、遺伝子の既知領域に適当な断片を作り出せる。次いでこの断
片を分子内ライゲーションにより環化し、PCR鋳型として使用する。
【0058】 使用できるもう一つの方法は、ヒトおよび酵母人工染色体DNA中の既知配列
に隣接するDNA断片のPCR増幅を含む、捕捉PCRである(Lagerstromら、
PCR Methods Applic. 1,111-119,1991)。この方法では、作製した二本鎖配列を
、PCRの実施前に当該DNA分子の未知断片中に入れるため、さらに複数の制
限酵素消化とライゲーションを行うことができる。
【0059】 未知配列を回収するために使用できるもう一つの方法はParkerら、Nucleic Ac
ids Res. 19,3055-3060,1991の方法である。さらに、PCR、ネスティド(neste
d)プライマー、およびPROMOTERFINDERライブラリー(CLONTECH, Palo Alto, Cal
if.)を用いてゲノムDNA歩行を行なうことができる(CLONTECH, Palo Alto,
Calif.)。このプロセスはライブラリーをスクリーニングする必要性を排除し、
イントロン/エクソン接合点の発見に有用である。
【0060】 スクリーニングで完全長cDNAを求める場合、より大きなcDNAを含むよ
うサイズ選択したライブラリーを使用するのが望ましい。遺伝子の5'領域を含
む配列をより多く含んでいるという点で、無作為プライミングしたライブラリー
が好ましい。無作為プライミングしたライブラリーの使用は、オリゴd(T)ライ
ブラリーが完全長cDNAを産生しない状況で特に好ましいであろう。ゲノムラ
イブラリーは、配列を5'非転写調節領域へと伸長させるのに有用な場合がある
【0061】 市販品が入手可能な毛細管電気泳動系を用いて、PCRまたは配列決定産物の
サイズを分析、またはヌクレオチド配列を確認することができる。例えば、毛細
管配列決定は、電気泳動分離用の流動性ポリマー、レーザー励起する4種の異な
る蛍光色素(各ヌクレオチドにつき1種ずつ)、および電荷結合素子カメラによ
る放射された波長の検出を利用することができる。出力/光強度は適当なソフト
ウェア(例えばGENOTYPERおよびSequence NAVIGATOR、Perkin Elmer)を用いて
電気信号に変換でき、試料のロードからコンピューター分析および電子的データ
表示に至る全プロセスをコンピューター管理することができる。毛細管電気泳動
は、特定の試料中に限られた量で存在するかも知れないDNAの小片を配列決定
するのに特に好ましい。
【0062】EDG6様GPCRポリペプチドの取得 EDG6様GPCRポリペプチドは、例えばヒト細胞からの精製によって、E
DG6様GPCRポリヌクレオチドの発現によって、または直接的化学合成によ
って取得できる。
【0063】タンパク質精製 EDG6様GPCRポリペプチドは、EDG6様GPCRポリヌクレオチドで
トランスフェクト宿主細胞を包含する、受容体を発現する任意のヒト細胞から精
製できる。脳、網膜、肺、神経内分泌肺カルチノイド、胎盤、正常な睾丸、B−
細胞、胎児の肺、リンパ組織および正常な胚中心B−細胞がEDG6様GPCR
ポリペプチドの特に有用な原料である。精製EDG6様GPCRポリペプチドは
、細胞内のEDG6様GPCRポリペプチドに通常付随するその他の化合物、例
えばある種のタンパク質、炭水化物または脂質から、当分野で周知の方法を用い
て分離する。このような方法は、サイズ排除クロマトグラフィー、硫酸アンモニ
ウム分画、イオン交換クロマトグラフィー、親和クロマトグラフィー、および調
製用ゲル電気泳動を包含するが、これらに限定されない。
【0064】 EDG6様GPCRポリペプチドは、下記の具体的な実施例に記載のように、
関連Gタンパク質との複合体として簡便に分離することができる。精製EDG6
様GPCRポリペプチドの調製物は少なくとも80%純粋であり、好ましくは該
調製物は90%、95%、または99%純粋である。調製物の純度はSDS−ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動のような当分野で既知の任意の手段によって評価
できる。
【0065】EDG6様GPCRポリヌクレオチドの発現 EDG6様GPCRポリペプチドを発現させるため、挿入されたコード配列の
転写と発現に必要な要素を含む発現ベクター中にEDG6様GPCRポリヌクレ
オチドを挿入することができる。当業者に周知の方法を利用して、EDG6様G
PCRポリペプチドをコードしている配列および適当な転写および翻訳調節要素
を含む発現ベクターを構築できる。これらの方法には、インビトロ組換えDNA
技術、合成技術、およびインビボ遺伝子組換えがある。このような技術は、例え
ばSambrookら、(1989)およびAusubelら、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOL
OGY, John Wiley & Sons, New York., 1989に記載されている。
【0066】 EDG6様GPCRポリペプチドをコードしている配列を含み、そして発現す
る様々な発現ベクター/宿主系が利用できる。これらには、微生物、例えば組換
えバクテリオファージ、プラスミド、またはコスミドDNA発現ベクターにより
形質転換された細菌;酵母発現ベクターにより形質転換された酵母、ウイルス発
現ベクター(例えばバキュロウイルス)により感染を受けた昆虫細胞系、ウイル
ス発現ベクター(例えばカリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザ
イクウイルス、TMV)、もしくは細菌発現ベクター(例えばTiまたはpBR
322プラスミド)により形質転換された植物細胞系、または動物細胞系が包含
されるがこれらに限定される訳ではない。
【0067】 調節要素または調節配列は、宿主細胞タンパク質と相互作用して転写と翻訳を
実行するベクターの非翻訳領域−エンハンサー、プロモーター、5'および3'非
翻訳領域−である。かかる要素はその強さと特異性において異なっている。利用
するベクター系および宿主に応じて、構成的および誘導的プロモーターを包含す
る、多数の好適な転写および翻訳要素を使用できる。例えば、細菌系でクローニ
ングを行う場合、BLUESCRIPTファージミド(Stratagene, LaJolla,Calif.)ま
たはpSPORT1プラスミド(Life Technologies)等のハイブリッドlacZプロモー
ターのような誘導的プロモーターを使用できる。バキュロウイルスのポリヘドリ
ンプロモーターは昆虫細胞に使用できる。植物細胞のゲノムから誘導したプロモ
ーターまたはエンハンサー(例えば熱ショック、RUBISCO、および貯蔵タンパク
質遺伝子)、または植物ウイルスから誘導したプロモーターまたはエンハンサー
(例えば、ウイルスプロモーターまたはリーダー配列)を該ベクター中にクロー
ニングすることができる。哺乳動物細胞系では、哺乳動物遺伝子由来の、または
哺乳動物ウイルス由来のプロモーターが好ましい。EDG6様GPCRポリペプ
チドをコードしているヌクレオチド配列を複数コピー含む細胞系を作製する必要
がある場合は、SV40またはEBVに基づくベクターを適当な選択マーカーと
共に使用することができる。
【0068】細菌および酵母発現系 細菌系では、EDG6様GPCRポリペプチドに対して意図する用途に応じて
幾つかの発現ベクターを選択できる。例えば、抗体の誘導のため大量のEDG6
様GPCRポリペプチドが必要である場合は、容易に精製できる融合タンパク質
の高レベル発現を指令するベクターが使用できる。このようなベクターは、BLUE
SCRIPT(Stratagene)のような多機能E.coliクローニングおよび発現ベクターを包
含するが、これに限定される訳ではない。BLUESCRIPTベクターにおいては、ED
G6様GPCRポリペプチドをコードしている配列を、β−ガラクトシダーゼの
アミノ末端Metとこれに続く7残基の配列と共にフレーム内で該ベクター中に
ライゲーションすることができ、その結果ハイブリッドタンパク質が産生される
。pINベクター(Van Heeke & Schuster, J.Biol.Chem. 264,5503-5509,1989
)またはpGEXベクター(Promega, Madison, Wis.)もまた、グルタチオンS
−トランスフェラーゼ(GST)を伴う融合タンパク質として外来ポリペプチド
を発現させるのに使用できる。一般に、このような融合タンパク質は可溶性であ
り、グルタチオン−アガロースビーズに吸着させ、その後遊離グルタチオンの存
在下で溶離することにより、溶菌させた細胞から容易に精製できる。このような
系で調製したタンパク質は、ヘパリン、トロンビン、または第Xa因子プロテア
ーゼ開裂部位を含むよう設計でき、その結果、目的とするクローンポリペプチド
をGST部分から随意に解放することができる。
【0069】 酵母Saccharomyces cerevisiaeにおいては、α因子、アルコールオキシダーゼ
、およびPGHのような構成的または誘導的プロモーターを含む幾つかのベクタ
ーが使用できる。総説としてAusubelら、(1989)およびGrantら、Methods Enzymo
l. 153,516-544,1987を参照されたい。
【0070】植物および昆虫発現系 植物発現ベクターを使用する場合、EDG6様GPCRポリペプチドをコード
している配列の発現は、幾つかのプロモーターのうち任意のものにより駆動でき
る。例えば、CaMVの35Sおよび19Sプロモーターのようなウイルスプロ
モーターを、単独で、またはTMV由来のオメガリーダー配列と組み合わせて使
用できる(Takamatsu, EMBO J. 6,307-311,1987)。別法として、RUBISCOの小サ
ブユニットのような植物プロモーターまたは熱ショックプロモーターを使用する
こともできる(Coruzziら、EMBO J. 3,1671-1680,1984;Broglieら、Science 22
4,838-843,1984;Winterら、Results Probl.Cell Differ. 17,85-105,1991)。
これらの構築物は、直接DNA形質転換または病原体媒介トランスフェクション
により植物細胞中に導入できる。このような技術は幾つかの一般に入手可能な総
説に記載されている(例えば、HobbsまたはMurray、MCGRAW HILL YEARBOOK OF S
CIENCE AND TECHNOLOGY, McGraw Hill, New York, N.Y., pp191-196,1992)。
【0071】 昆虫系もまたEDG6様GPCRポリペプチドの発現に使用できる。例えば、
かかる系の1つAutographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)は、
Spodoptera frugiperda細胞またはTrichoplusiaの幼虫で外来遺伝子を発現させ
るベクターとして使用する。EDG6様GPCRポリペプチドをコードしている
配列を、ポリヘドリン遺伝子のような該ウイルスの非必須領域中にクローニング
し、ポリヘドリンプロモーターの調節下に置くことができる。EDG6様GPC
Rポリペプチドをうまく挿入すると、ポリヘドリン遺伝子は不活性化し、コート
タンパク質を欠く組換えウイルスが生成する。次いでこの組換えウイルスをS.fr
ugiperda細胞またはTrichoplusiaの幼虫への感染に使用し、そこでEDG6様G
PCRポリペプチドを発現させることができる(Engelhardら、Proc.Nat.Acad.S
ci. 91,3224-3227,1994)。
【0072】哺乳動物発現系 ウイルスに基づく多くの発現系を用いて哺乳動物宿主細胞でEDG6様GPC
Rポリペプチドを発現させることができる。例えば、発現ベクターとしてアデノ
ウイルスを使用する場合、EDG6様GPCRポリペプチドをコードしている配
列は、後期プロモーターおよび3部に分かれたリーダー配列を含むアデノウイル
ス転写/翻訳複合体中にライゲーションできる。該ウイルスゲノムの非必須E1
またはE3領域における挿入を用いて、感染宿主細胞においてEDG6様GPC
Rポリペプチドを発現できる生存ウイルスを取得できる(Logan & Shenk, Proc
.Natl.Acad.Sci. 81,3655-3659,1984)。所望によりラウス肉腫ウイルス(RS
V)エンハンサーのような転写エンハンサーを用いて哺乳動物宿主細胞での発現
を増大させることができる。
【0073】 ヒト人工染色体(HAC)もまた、プラスミドが内包し発現するDNA断片よ
りも大きなDNA断片の運搬に使用できる。6Mから10MのHACを構築し、
常套的送達法により細胞に到達させる(例えば、リポソーム、ポリカチオンアミ
ノポリマー、または小胞)。
【0074】 さらに、EDG6様GPCRポリペプチドをコードしている配列のより効率的
な翻訳を達成するために、特異的開始シグナルを使用できる。かかるシグナルは
ATG開始コドンおよび連続配列を包含する。EDG6様GPCRポリペプチド
をコードしている配列、その開始コドン、および上流配列を適当な発現ベクター
中に挿入した場合、さらなる転写または翻訳調節シグナルは必要ないであろう。
しかしながら、コード配列またはその断片のみを挿入した場合は、外因性の翻訳
調節シグナル(ATG開始コドンを包含する)を供給すべきである。開始コドン
は挿入物全体を確実に翻訳させるために、正しいリーディングフレームになけれ
ばならない。外因性翻訳要素および開始コドンは天然および合成両者の様々な起
源であってよい。発現の効率は、使用する特定の細胞系に対し適切なエンハンサ
ーを存在させることにより増強できる(Scharfら、Results Probl.Cell Differ.
20,125-162,1994)。
【0075】宿主細胞 宿主細胞菌株は、挿入した配列の発現を調節する能力または発現されたEDG
6様GPCRポリペプチドを所望の方法で処理できる能力を目的として選択でき
る。該ポリペプチドのこのような修飾には、アセチル化、カルボキシ化、グリコ
シル化、リン酸化、脂質化、およびアシル化が包含されるがこれらに限定されな
い。該ポリペプチドの「プレプロ」型を開裂する翻訳後プロセシングもまた、正
しい挿入、折り畳み、および/または機能を促進するために使用できる。翻訳後
活性のための特異的な細胞機構および特徴的メカニズムを持つ異なる宿主細胞(
例えばCHO、HeLa、MDCK、HEK293、B−リンパ腫細胞およびW
I38)が、American Type Culture Collection(ATCC;10801 University
Boulevard, Manassas, VA 20110-2209)から入手でき、外来タンパク質の正し
い修飾およびプロセシングを確実とするために選択できる。
【0076】 組換えタンパク質の、長期高収量産生のために、安定な発現が好ましい。例え
ば、EDG6様GPCRポリペプチドを安定に発現する細胞系を、ウイルス複製
起点および/または内因性発現要素、および同じまたは別のベクター上にある選
択マーカー遺伝子を含む発現ベクターを用いて形質転換することができる。該ベ
クターの導入に続いて、細胞を強化培地で1−2日間生育させた後、培地を選択
培地に交換することができる。選択マーカーの目的は選択に対する抵抗性を付与
することであり、その存在が、導入されたEDG6様GPCR配列をうまく発現
する細胞の生育と回収を可能にする。安定に形質転換された細胞の耐性クローン
は、その細胞型にとって適当な組織培養技術を用いて増殖させることができる。
例えば、ANIMAL CELL CULTURE, R.I.Freshney,ed.,1986を参照されたい。
【0077】 幾つかの選択系を用いて、形質転換された細胞系を回収できる。これらには、
それぞれtk-またはaprt-細胞で使用できる単純ヘルペスウイルスチミジンキナー
ゼ(Wiglerら、Cell 11,223-32,1977)およびアデニンホスホリボシルトランス
フェラーゼ(Lowyら、Cell 22,817-23,1980)遺伝子が包含されるがこれらに限
定される訳ではない。さらに、代謝拮抗物質、抗生物質、または除草剤耐性を選
択の基準に用いることができる。例えば、dhfrはメソトレキサートに対する耐性
を付与し(Wiglerら、Proc.Natl.Acad.Sci. 77,3567-70,1980)nptはアミノグリ
コシド、ネオマイシンおよびG−418に対する耐性を付与し(Colbere-Garapi
nら、J.Mol. Biol. 150,1014,1981)、そしてalsおよびpatはそれぞれクロルス
ルフロンおよびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼに対する耐性を
付与する(Murray, 1992,上記)。さらなる選択遺伝子が記載されている。例え
ば、trpBは細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用するようにさせ、
hisDは細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノールを利用するようにさせる(Hart
man & Mulligan, Proc.Natl.Acad.Sci. 85,8047-51,1988)。アントシアニンの
ような可視マーカー、β−グルクロニダーゼとその基質GUS、およびルシフェ
ラーゼとその基質ルシフェリンは、形質転換体を同定し、特異的ベクター系に帰
すことのできる一過性または安定なタンパク質発現の量を定量するために使用で
きる(Rhodesら、Methods Mol.Biol. 55,121-131,1995)。
【0078】EDG6様GPCRポリペプチドの発現の検出 マーカー遺伝子発現の存在はEDG6様GPCRポリヌクレオチドが存在する
ことも示唆しているが、EDG6様GPCRポリヌクレオチドの存在と発現は確
認する必要がある。例えば、EDG6様GPCRポリペプチドをコードしている
配列がマーカー遺伝子配列内部に挿入されている場合、EDG6様GPCRポリ
ペプチドをコードしている配列を含む形質転換された細胞は、マーカー遺伝子機
能の不在によって同定できる。これとは別に、単一のプロモーターの調節下にE
DG6様GPCRポリペプチドをコードしている配列と、マーカー遺伝子が直列
(タンデム)に位置する場合がある。誘導または選択に応答してこのマーカー遺
伝子は発現し、通常、EDG6様GPCRポリヌクレオチドの発現を示す。
【0079】 これとは別に、EDG6様GPCRポリヌクレオチドを含み、EDG6様GP
CRポリペプチドを発現する宿主細胞は、当業者に知られる様々な方法によって
同定できる。これらの方法には、DNA−DNAまたはDNA−RNAハイブリ
ダイゼーションおよびタンパク質生検またはイムノアッセイ技術(核酸またはタ
ンパク質の検出および/または定量のための膜、溶液、またはチップに基づく技
術を包含する)が包含されるがこれらに限定されない。例えば、EDG6様GP
CRポリペプチドをコードしているポリヌクレオチド配列の存在は、プローブま
たは断片またはEDG6様GPCRポリペプチドをコードしているポリヌクレオ
チドの断片を使用するDNA−DNAまたはDNA−RNAハイブリダイゼーシ
ョンまたは増幅によって検出できる。核酸増幅に基づく検定は、EDG6様GP
CRポリヌクレオチドを含む形質転換体を検出するための、EDG6様GPCR
ポリペプチドをコードしている配列から選択されるオリゴヌクレオチドの使用を
含む。
【0080】 EDG6様GPCRポリペプチドに対し特異的なポリクローナルまたはモノク
ローナル抗体のいずれかを使用して該ポリペプチドの発現を検出および測定する
ための様々なプロトコルが当分野で知られている。例として、酵素結合免疫吸着
測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、および蛍光活性化セ
ルソーティング(FACS)がある。EDG6様GPCRポリペプチド上の2個
の非干渉性エピトープに反応するモノクローナル抗体を用いる、2部位のモノク
ローナルに基づくイムノアッセイが使用でき、または、競合的結合検定を使用す
ることができる。これらのおよびその他の検定はHamptomら、SEROLOGICAL METHO
DS: A LABORATORY MANUAL, APS Press, St.Paul, Minn., 1990およびMaddoxら、
J.Exp.Med. 158,1211-1216,1983に記載されている。
【0081】 多岐にわたる標識およびコンジュゲーション技術が当業者に知られており、様
々な核酸およびアミノ酸検定に使用できる。EDG6様GPCRポリペプチドを
コードしているポリヌクレオチドに関連する配列を検出するための標識化ハイブ
リダイゼーションまたはPCRプローブを調製する手段は、標識したヌクレオチ
ドを使用する、オリゴ標識化、ニック翻訳、末端標識化、またはPCR増幅を包
含する。これとは別に、EDG6様GPCRポリペプチドをコードしている配列
を、mRNAプローブの産生のためのベクター中にクローニングすることもでき
る。このようなベクターは当分野で既知であり、市販品が入手でき、標識化ヌク
レオチドおよび適当なRNAポリメラーゼ、例えばT7、T3、またはSP6を
添加することによりインビトロでのRNAプローブの合成に使用することができ
る。これらの方法は、市販の様々なキットを用いて実施できる(Amersham Pharm
acia Biotech、 Promega、およびUS Biochemical)。検出を容易にするために使
用できる適当なリポーター分子または標識には、放射性核種、酵素、および蛍光
、化学ルミネセント、または色素生成物質、ならびに基質、補助因子、インヒビ
ター、磁性粒子などが包含される。
【0082】EDG6様GPCRポリペプチドの発現および精製 EDG6様GPCRポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列で形質転
換させた宿主細胞は、発現と、細胞培養からのタンパク質の回収に適した条件下
で培養できる。形質転換細胞により産生されたポリペプチドは、その配列および
/または使用したベクターに応じて分泌されまたは細胞内に貯留され得る。当業
者には理解できるであろうが、EDG6様GPCRポリペプチドをコードしてい
るポリヌクレオチドを含む発現ベクターは、原核または真核細胞膜を通った可溶
性EDG6様GPCRポリペプチドの分泌を指令する、または膜結合EDG6様
GPCRポリペプチドの、膜挿入を指令する、シグナル配列を含むよう設計でき
る。
【0083】 上に論じたように、他の構築物を用いて、EDG6様GPCRポリペプチドを
コードしている配列を、可溶性タンパク質の精製を促進するポリペプチドドメイ
ンをコードしているヌクレオチド配列と結合させることができる。このような精
製促進ドメインは、金属キレート化ペプチド、例えば固定化金属上での精製を可
能にするヒスチジン−トリプトファンモジュール、固定化免疫グロブリン上での
精製を可能にするタンパク質Aドメイン、およびFLAGS伸長/親和精製系で利用
するドメインが包含されるが、これらに限定されない(Immunex Corp., Seattle
, Wash.)。精製ドメインとEDG6様GPCRポリペプチドとの間に開裂可能
リンカー配列、例えば第Xa因子またはエンテロキナーゼに特異的なリンカー配
列を入れること(Invitrogen, San Diego, CA)もまた、精製を促進するために
利用できる。このような発現ベクターの1つは、EDG6様GPCRポリペプチ
ドと、チオレドキシンまたはエンテロキナーゼ開裂部位に先立つ6個のヒスチジ
ン残基とを含む融合タンパク質の発現を提供する。このヒスチジン残基はIMA
C(Porathら、Prot.Exp.Purif. 3,263-281,1992に記載の固定化金属イオン親和
クロマトグラフィー)による精製を促進し、一方エンテロキナーゼ開裂部位は融
合タンパク質からのEDG6様GPCRポリペプチドの精製手段を提供する。融
合タンパク質を含むベクターはKrollら、DNA Cell Biol. 12,441-453,1993に開
示されている。
【0084】化学合成 EDG6様GPCRポリペプチドをコードしている配列は、その全体または一
部を、当分野で周知の化学的方法を用いて合成できる(Caruthersら、Nucl.Acid
s Res.Symp.Ser. 215-223,1980;Hornら、Nucl.Acids Res.Symp.Ser. 225-232,1
980)。これとは別に、EDG6様GPCRポリペプチド自身を、そのアミノ酸
配列を合成するための化学的方法、例えば固相技術を用いる直接ペプチド合成を
用いて調製できる(Merrifield, J.Am.Chem.Soc. 85,2149-2154,1963;Roberge
ら、Science 269,202-204,1995)。タンパク質合成は手動技術またはオートメー
ションを用いて実施できる。自動化合成は、例えばApplied Biosystems 431Aペ
プチド合成機(Perkin Elmer)を用いて達成できる。所望により、EDG6様G
PCRポリペプチドの断片を別々に合成し、化学的方法を用いて合して完全長の
分子を調製することもできる。
【0085】 新たに合成したペプチドは、調製用高速液体クロマトグラフイー(例えばCrei
ghton, PROTEINS: STRUCTURES AND MOLECULAR PRINCIPLES, WH Freeman and Co.
, New York, N.Y., 1983)により実質的に精製できる。合成EDG6様GPCR
ポリペプチドの組成はアミノ酸分析または配列決定により確認できる(例えばエ
ドマン分解法;Creighton、上記を参照されたい)。さらに、直接合成中にED
G6様GPCRポリペプチドのアミノ酸配列の任意の部分を改変させ、そして/
または化学的方法を用いて他のタンパク質由来の配列と合して、変異体ポリペプ
チドまたは融合タンパク質を調製することができる。
【0086】改変EDG6様GPCRポリペプチドの調製 当業者には理解できるであろうが、天然に存在しないコドンを有するEDG6
様GPCRポリペプチドコード化ヌクレオチドを調製することは有利であり得る
。例えば、特定の原核または真核宿主が好むコドンを選択して、タンパク質発現
の速度を増大させ、または所望の性質、例えば天然に存在する配列から産み出さ
れる転写物の半減期より長い半減期を持つRNA転写物を調製することができる
【0087】 本明細書に開示するヌクレオチド配列は、当分野で一般的に知られる方法を用
いて、該ポリペプチドまたはmRNA産物のクローニング、プロセシング、およ
び/または発現を修飾する改変を包含する(但しこれらに限定される訳ではない
)様々な理由で、EDG6様GPCRポリペプチドコード配列を改変させるよう
に設計できる。無作為断片化によるDNAシャフリングと遺伝子断片および合成
オリゴヌクレオチドのPCR再集合を用いてヌクレオチド配列を設計できる。例
えば、位置指定突然変異誘発を用いて、新たな制限部位を挿入し、グリコシル化
パターンを変え、コドンの優先性を変え、スプライス変異体を調製し、突然変異
を導入する等を実施できる。
【0088】抗体 当分野で知られているいかなる型の抗体も、EDG6様GPCRポリペプチド
のエピトープと特異的に結合するよう作製できる。本明細書で使用する「抗体」
とは、無処理の免疫グロブリン分子、およびその断片、例えばFab、F(ab'
)2、およびFvを包含し、これらはEDG6様GPCRポリペプチドのエピトー
プに結合できる。典型的には、エピトープを形成するためには少なくとも6、8
、10、または12の連続するアミノ酸が必要である。しかしながら、非連続ア
ミノ酸を含むエピトープはより多くの、例えば少なくとも15、25、または5
0のアミノ酸を必要とするかも知れない。
【0089】 EDG6様GPCRポリペプチドのエピトープと特異的に結合する抗体は治療
に使用でき、そして免疫化学検定、例えばウェスタンブロット、ELISA、ラ
ジオイムノアッセイ、免疫組織化学検定、免疫沈降、またはその他の当分野で既
知の免疫化学的検定に使用できる。所望の特異性を有する抗体の同定のため、様
々なイムノアッセイが使用できる。競合的結合または免疫放射検定のための多数
のプロトコルが当分野でよく知られている。このようなイムノアッセイは典型的
には、免疫原と、その免疫原に特異結合する抗体との間の複合体形成の測定を含
んでいる。
【0090】 典型的には、EDG6様GPCRポリペプチドと特異的に結合する抗体は、免
疫化学検定に使用する時、他のタンパク質が提供する検出シグナルより少なくと
も5、10、または20倍高い検出シグナルを提供する。好ましくは、EDG6
様GPCRポリペプチドに特異結合する抗体は、免疫化学検定で他のタンパク質
を検出せず、EDG6様GPCRポリペプチドを溶液から免疫沈降させることが
できる。
【0091】 EDG6様GPCRポリペプチドは、哺乳動物、例えばマウス、ラット、ウサ
ギ、モルモット、サル、またはヒトを免疫してポリクローナル抗体を産生させる
のに使用できる。所望により、EDG6様GPCRポリペプチドは、担体タンパ
ク質、例えば牛血清アルブミン、チログロブリン、およびスカシガイヘモシアニ
ンとコンジュゲートさせることができる。宿主の種に応じて、免疫学的反応を増
大させるために種々のアジュバントを使用できる。このようなアジュバントは、
フロイントアジュバント、鉱物性ゲル(例えば水酸化アルミニウム)、および界
面活性物質(例えばリゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペ
プチド、油性エマルジョン、スカシガイヘモシアニン、およびジニトロフェノー
ル)を包含するがこれらに限定されない。ヒトに使用するアジュバントの中では
BCG(bacilli Calmette-Guerin)およびCorynebacterium parvumが特に有用
である。
【0092】 EDG6様GPCRポリペプチドと特異的に結合するモノクローナル抗体は、
培養中の連続的細胞系により抗体分子の産生を提供する任意の技術を用いて調製
できる。これらの技術には、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技
術、およびEBV−ハイブリドーマ技術があるがこれらに限定されない(Kohler
ら、Nature 256,495-497,1985; Kozborら、J.Immunol.Methods 81,31-42,1985;
Coteら、Proc.Natl.Acad.Sci. 80,2026-2030,1983; Coleら、Mol.Cell Biol. 62
,109-120,1984)。
【0093】 さらに、マウス抗体遺伝子をヒト抗体遺伝子にスプライシングして適当な抗原
特異性と生物活性を持つ分子を得る、「キメラ抗体」の産生のために開発された
技術が利用できる(Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci. 81,6851-6855,1984; Neu
bergerら、Nature 312,604-608,1984; Takedaら、Nature 314,452-454,1985)。
モノクローナルおよびその他の抗体はまた、これを治療に使用した場合に患者が
該抗体に対する免疫反応を起こすのを防ぐため、「ヒト化」することができる。
このような抗体は、治療に直接使用できるほど配列が充分ヒトに類似しているか
も知れず、または幾つかの重要残基の変更を必要とするかも知れない。齧歯類の
抗体とヒト配列の間の配列相違は、個々の残基の位置指定突然変異誘発により、
または相補性決定領域全体の格子により、ヒト配列内の残基と相違する残基を置
き換えることによって最小化することができる。別法として、ヒト化抗体はGB21
88638Bに記載のように組換え法を用いて調製できる。EDG6様GPCRポリペ
プチドと特異的に結合する抗体は、U.S.5565332に開示のように、部分的または
完全にヒト化した抗原結合部位を含むことができる。
【0094】 これに代わり、当分野で既知の方法を用いて、一本鎖抗体の調製のために記載
した技術を適合させ、EDG6様GPCRポリペプチドに特異結合する一本鎖抗
体を調製することができる。関連する特異性を持つが別個のイディオタイプ組成
を有する抗体を、無作為組み合わせ免疫グロブリンライブラリーから鎖シャフリ
ングによって調製することができる(Burton, Proc.Natl.Acad.Sci. 88,11120-2
3,1991)。
【0095】 一本鎖抗体はまた、ハイブリドーマcDNAを鋳型に用いて、PCRのような
DNA増幅法を用いて構築することができる(Thirionら、1996, Eur.J.Cancer
Prev. 5,507-11)。一本鎖抗体は単一または二重特異性であり得、また、二価ま
たは四価であり得る。四価二重特異性一本鎖抗体の構築は例えばColoma & Morr
ison, 1997, Nat.Biotechnol. 15,159-63に教示されている。二価二重特異性一
本鎖抗体の構築はMallender & Voss, 1994, J.Biol.Chem. 269,199-206に教示
されている。
【0096】 下記のように、一本鎖抗体をコードしているヌクレオチド配列を手動または自
動ヌクレオチド合成を用いて構築し、標準的組換えDNA法を用いて発現構築物
中にクローニングし、そして細胞中に導入してコード配列を発現させることがで
きる。別法として、一本鎖抗体を、例えば繊維ファージ技術を用いて直接調製す
ることもできる(Verhaarら、1995, Int.J.Cancer 61,497-501; Nichollaら、19
93, J.Immunol.Meth. 165,81-91)。
【0097】 EDG6様GPCRポリペプチドに特異結合する抗体はまた、リンパ球集団に
おいてインビボ産生を誘導することによって、または、文献に開示されている極
めて特異的な結合試薬のパネルまたは免疫グロブリンライブラリーをスクリーニ
ングすることによって調製することもできる(Orlandiら、Proc.Natl.Acad.Sci.
86,3833-3837,1989; Winterら、Nature 349,293-299,1991)。
【0098】 その他の型の抗体を、本発明方法において構築し、治療に使用することができ
る。例えば、WO93/03151に開示のように、キメラ抗体を構築することができる。
免疫グロブリンから誘導され多価且つ多重特異的である結合タンパク質、例えば
WO94/13804に記載の「ジアボディイ(diabody)」もまた調製できる。
【0099】 本発明に係る抗体は当分野で周知の方法により精製できる。例えば、抗体は、
EDG6様GPCRポリペプチドが結合しているカラムを通過させることにより
親和精製できる。次いで、結合した抗体を、高い塩濃度の緩衝液を用いてカラム
から溶出することができる。
【0100】アンチセンスオリゴヌクレオチド アンチセンスオリゴヌクレオチドは、特定のDNAまたはRNA配列に対し相
補的なヌクレオチド配列である。いったん細胞中に導入されるとこの相補的ヌク
レオチドは、該細胞が産生した天然配列と結合して複合体を形成し、転写または
翻訳のいずれかを遮断する。好ましくはアンチセンスオリゴヌクレオチドは少な
くとも11ヌクレオチド長であるが、少なくとも12、15、20、25、30
、35、40、45、もしくは50またはそれ以上のヌクレオチド長であっても
よい。より長い配列もまた使用できる。アンチセンスオリゴヌクレオチド分子を
DNA構築物に提供し、上記のように細胞中に導入して、その細胞におけるED
G6様GPCR遺伝子産物のレベルを低下させることができる。
【0101】 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレ
オチド、またはこの両者の組み合わせであってよい。オリゴヌクレオチドは、1
つのヌクレオチドの5'末端を、アルキルホスホネート、ホスホロチオエート、
ホスホロジチオエート、アルキルホスホノチオエート、アルキルホスホネート、
ホスホロアミデート、燐酸エステル、カルバメート、アセトアミデート、カルボ
キシメチルエステル、カルボネート、および燐酸トリエステルといった非ホスホ
ジエステルヌクレオチド間結合を有する別のヌクレオチドの3'末端と共有結合
させることにより、手動で、または自動合成機によって合成できる。Brown, Met
h.Mol. Biol. 20,1-8,1994; Sonveaux, Meth.Mol.Biol. 26,1-72,1994; Uhlmann
ら、Chem.Rev. 90,543-583,1990を参照されたい。
【0102】 EDG6様GPCR遺伝子の制御、5'、または調節領域と二本鎖を形成する
アンチセンスオリゴヌクレオチドを設計することにより、EDG6様GPCR遺
伝子発現の修飾が得られる。転写開始部位、例えば開始部位から−10および+
10位の間から誘導されるオリゴヌクレオチドが好ましい。同様に、「三重らせ
ん」塩基対合法を用いて阻害を達成できる。三重らせん対合は、ポリメラーゼ、
転写因子またはシャペロンが結合するのに十分なほど開く二重らせんの能力の阻
害を引き起こすため、有用である。三本鎖DNAを用いる治療上の進歩が文献に
記載されている(例えばGeeら、Huber & Carr, MOLECULAR AND IMMUNOLOGIC AP
PROACHES, Futura Publishing Co., Mt.Kisco, N.Y., 1994)。転写物がリボソ
ームに結合するのを防ぐことによりmRNAの翻訳を遮断するアンチセンスオリ
ゴヌクレオチドもまた設計できる。
【0103】 アンチセンスオリゴヌクレオチドとEDG6様GPCRポリヌクレオチドの相
補配列との間に好結果の複合体を形成させるためには、正確な相補性は必要ない
。例えばEDG6様GPCRポリヌクレオチドに対し正確に相補的である2、3
、4、もしくは5またはそれ以上の長さの連続するヌクレオチドであって、その
各々が、隣接するEDG6様GPCRヌクレオチドとは相補的ではない連続する
ある長さのヌクレオチドによって隔てられているものを含有するアンチセンスオ
リゴヌクレオチドは、EDG6様GPCR mRNAに対する充分な標的化特異
性を提供できる。好ましくは、相補的な連続ヌクレオチドの長さはそれぞれ少な
くとも4、5、6、7もしくは8またはそれ以上のヌクレオチド長である。非相
補的な介在配列は、好ましくは1、2、3、または4ヌクレオチド長である。当
業者は、アンチセンス−センスの対の算出融点を容易に使用して、特定のアンチ
センスオリゴヌクレオチドと特定のEDG6様GPCRポリヌクレオチド配列間
で寛容されるミスマッチの程度を決定できるであろう。
【0104】 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、EDG6様GPCRポリヌクレオチドと
ハイブリダイズする能力に影響を及ぼすことなく修飾できる。これらの修飾は該
アンチセンス分子の内部、または一端もしくは両端である。例えば、ヌクレオシ
ド間の燐酸結合は、アミノ基と末端リボースの間にいろいろな数の炭素残基を有
するコレステリルまたはジアミン部分を加えることによって修飾できる。修飾さ
れた塩基および/または糖、例えばリボースの代わりのアラビノース、または3
'ヒドロキシ基または5'燐酸基が置換されている3',5'−置換オリゴヌクレオ
チドもまた修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドに使用できる。これらの修飾オ
リゴヌクレオチドは当分野で周知の方法により調製できる。例えば、Agrawalら
、Trends Biotechnol. 10,152-158,1992; Uhlmannら、Chem.Rev. 90,543-584,19
90; Uhlmannら、Tetrahedron.Lett. 215,3539-3542,1987を参照されたい。
【0105】リボザイム リボザイムは触媒活性を有するRNA分子である。例えば、Cech, Science 23
6,1532-1539; 1987; Cech, Ann.Rev.Biochem. 59,543-568; 1990, Cech, Curr.O
pin.Struct.Biol. 2,605-609; 1992, Couture & Stinchcomb, Trends Genet. 1
2,510-515, 1996を参照されたい。当分野で知られるように、リボザイムは、R
NA配列を開裂することにより遺伝子機能を阻害するのに使用できる(例えば、
Haseloffら、米国特許5641673)。リボザイムの作用機構は、相補的標的RNA
に対するリボザイム分子の配列特異的ハイブリダイゼーションと、その後の内ヌ
クレオチド鎖分解性の(endonucleolytic)開裂を含む。例には、特異的ヌクレオ
チド配列の内ヌクレオチド鎖分解性の開裂を特異的且つ効果的に触媒できる、設
計されたハンマーヘッドモチーフリボザイム分子がある。
【0106】 EDG6様GPCRポリヌクレオチドのコード配列、例えば配列番号2に示し
たヌクレオチド配列を用いて、EDG6様GPCRポリヌクレオチドから転写さ
れたmRNAに特異結合するリボザイムを作製できる。他のトランスのRNA分
子を極めて配列特異的に開裂できるリボザイムを設計し構築する方法が開発され
、当分野で記載されている(Haseloffら、Nature 334,585-591,1988)。例えば
、リボザイムの開裂活性は、別個の「ハイブリダイゼーション」領域を該リボザ
イム中に組み入れることによって、特定のRNAを標的とさせることができる。
このハイブリダイゼーション領域は標的RNAに対し相補的な配列を含んでおり
、したがってその標的と特異的にハイブリダイズする(例えばGerlachら、EP321
201を参照されたい)。
【0107】 EDG6様GPCR RNA標的内部の特異的リボザイム開裂部位は、この標
的分子を、以下の配列:GUA、GUU、およびGUCを包含するリボザイム開
裂部位についてスキャンすることにより同定できる。同定できたならば、該開裂
部位を含む標的RNAの領域に対応する、15および20の間のリボヌクレオチ
ドを有する短いRNA配列を、標的を非機能的にし得る二次構造の特徴について
評価できる。さらに、候補のEDG6様GPCR RNA標的の適合性を、リボ
ヌクレアーゼ防護検定を用いて相補的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼー
ションに対する利用可能性を試験することによって評価できる。配列番号2に示
すヌクレオチド配列およびこれらの相補物は、適当なハイブリダイゼーション領
域配列の供給源を提供する。より長い相補配列を用いて、標的に対するハイブリ
ダイゼーション配列の親和性を増大させることができる。リボザイムのハイブリ
ダイズおよび開裂する領域は、相補領域を介して標的RNAにハイブリダイズす
る時、リボザイムの触媒領域が標的を開裂し得るといったように、完全に相関し
ている。
【0108】 リボザイムはDNA構築物の一部として細胞内に導入できる。マイクロ注入、
リポソーム媒介トランスフェクション、電気穿孔、または燐酸カルシウム沈殿と
いった機械的方法を用いて、EDG6様GPCR発現の低下が望まれる細胞中に
リボザイム含有DNA構築物を導入することができる。これとは別に、細胞がD
NA構築物を安定的に保持することが望まれる場合は、該構築物をプラスミド上
で供給し、当分野で知られるように、別個の要素として維持するか、または細胞
のゲノム中に組み込むことができる。リボザイムコード化DNA構築物は、細胞
中のリボザイムの転写を調節するために、プロモーター要素、エンハンサーまた
はUAS要素、および転写ターミネーターシグナルといった転写調節要素を含み
得る。
【0109】 Haseloffら、米国特許5641673に教示のように、リボザイムは、標的遺伝子の
発現を誘導する因子に応答してリボザイムの発現が起こるように設計することが
できる。リボザイムはまた、追加レベルの調節を提供するよう設計でき、その結
果、mRNAの破壊はリボザイムと標的遺伝子の両者が細胞に誘導された時にの
み起こる。
【0110】スクリーニング方法 本発明は、EDG6様GPCRポリペプチドまたはEDG6様GPCRポリヌ
クレオチドに結合する、またはその活性を調節する、被験化合物をスクリーニン
グするための検定を提供する。好ましくは、被験化合物はEDG6様GPCRポ
リペプチドまたはポリヌクレオチドに結合する。より好ましくは、被験化合物は
、ヒトEDG6様GPCRを介して媒介されるEDG6またはEDG6アナログ
の効果を、被験化合物の不在時に比較して少なくとも約10、好ましくは約50
、より好ましくは約75、90、または100%低下または増大させる。
【0111】被験化合物 被験化合物は当分野で既知の薬理学的物質であってよく、または薬理活性を持
っていることが前もって分かっていない化合物であってよい。この化合物は天然
に存在する、または実験室で設計されたものであってよい。これらは、微生物、
動物、または植物から単離されたものであってよく、そして組換え的に調製され
、または当分野で既知の化学的方法により合成されたものであってよい。所望に
より被験化合物は、生物学的ライブラリー、空間的アドレス特定可能な並行固相
または液相ライブラリー、デコンボルーションを要する合成ライブラリー法、「
一ビーズ一化合物」ライブラリー法、および親和クロマトグラフィー選択を用い
る合成ライブラリー法を包含する(但しこれらに限定される訳ではない)当分野
で既知の数多くの組み合わせライブラリー法のいずれかを用いて取得できる。生
物学的ライブラリーアプローチはポリペプチドライブラリーに限定されているが
、他の4種のアプローチはポリペプチド、非ペプチドオリゴマー、または化合物
の小分子ライブラリーに適用できる。Lam, Anticancer Drug Des. 12,145,1997
を参照されたい。
【0112】 分子ライブラリーの合成法は当分野でよく知られている(例えば、DeWittら、
Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 90,6909,1993; Erbら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.
91,11422,1994; Zuckermannら、J.Med.Chem. 37,2678,1994; Choら、Science 2
61,1303,1993; Carellら、Angew.Chem.Int.Ed.Engl. 33,2059,1994; Carellら、
Angew.Chem.Int.Ed.Engl. 33,2061; Gallopら、J.Med.Chem. 37,1233,1994を参
照されたい)。化合物のライブラリーは溶液で(例えば、Houghten, Biotechniq
ues 13,412-421,1992)、またはビーズ(Lam, Nature 354,82-84,1991)、チップ
(Fodor, Nature 364,555-556,1993)、細菌または胞子(Ladner、米国特許5223
409)プラスミド(Cullら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 89,1865-1869,1992)、
またはファージ(Scott & Smith, Science 249,386-390, 1990; Devlin, Scien
ce 249,404-406,1990);Cwirlaら、Proc.Natl.Acad.Sci.97,6378-6382,1990; Fe
lici, J.Mol.Biol. 222,301-310,1991; およびLadner、米国特許5223409)上に
提供できる。
【0113】ハイスループットスクリーニング 被験化合物は、高(ハイ)スループットスクリーニングを用いて、EDG6様
GPCRポリペプチドまたはポリヌクレオチドに結合する能力、またはEDG6
様GPCR活性もしくはEDG6様GPCR遺伝子発現に影響を及ぼす能力につ
いてスクリーニングできる。ハイスループットスクリーニングを使用して、多く
の個別的化合物を並行して試験でき、その結果多数の被験化合物を迅速にスクリ
ーニングできる。最も広範に確立されている技術は96ウェル微量定量プレート
を利用するものである。この微量定量プレートのウェルは、典型的には50から
500μlの範囲の検定容量を必要とする。このプレートに加えて、96ウェル
フォーマットに適合させた多くの機器、材料、ピペット、ロボット、プレート洗
浄機、およびプレート読み取り機が市販されている。
【0114】 別法として、「自由フォーマット検定」、または試料間に物理的障壁を持たな
い検定が使用できる。例えば、組み合わせペプチドライブラリーのための、単純
な均質検定で色素細胞(メラノサイト)を用いる検定が、Jayawickremeら、Proc
.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 19,1614-18(1994)に記載されている。ペトリ皿中のアガ
ロースの下にこの細胞を入れ、次いで組み合わせ化合物を伴っているビーズをア
ガロースの表面に載せる。組み合わせ化合物はこのビーズから化合物を部分的に
放出する。化合物がゲルマトリックス中へと局所的に拡散するにつれて活性化合
物が細胞の色の変化を惹起するため、活性化合物を暗色色素領域として視覚化す
ることができる。
【0115】 自由フォーマット検定のもう一つの例は、生体分子スクリーニング学会第1回
年次総会(Philadelphia,Pa.、1995年11月7-10日)で報告されたChelsky、「組
み合わせライブラリーのスクリーニングのための戦略:新規な、そして伝統的な
アプローチ」により記載されている。Chelskyは、カルボニックアンヒドラーゼ
のための単純な均質酵素検定をアガロースゲルの内部に入れ、その結果ゲル中の
酵素がゲル全体に色の変化を惹起するようにさせた。その後、光リンカーを介し
て組み合わせ化合物を持つビーズをゲル内部に入れ、すると該化合物はUV光に
より部分的に放出された。酵素を阻害する化合物は、色の変化がより少ない局所
阻害領域として観察された。
【0116】 さらに別の例がSalmonら、Molecular Diversity 2,57-63(1996)に記載されて
いる。この例では、組み合わせライブラリーを、寒天中で生育する癌細胞への細
胞毒性効果を有する化合物についてスクリーニングした。
【0117】 もう一つのハイスループットスクリーニング法がBeutelら、米国特許5976813
に記載されている。この方法では、被験試料を多孔性マトリックスに入れる。次
に1またはそれ以上の検定成分を、マトリックス、例えばゲル、プラスチックシ
ート、フィルター、またはその他の形の容易に操作できる固体担体の内部、上、
または底に入れる。試料がこの多孔性マトリックスに導入されるとこれらは充分
ゆっくりと拡散し、その結果、被験試料が混ざらずに検定が遂行できる。
【0118】結合検定 結合検定について、被験化合物は好ましくは、EDG6様GPCRポリペプチ
ドの活性部位に結合してこれを占有し、それにより基質をリガンド結合部位に接
近できなくさせる結果、正常な生物活性が妨げられるような小分子である。この
ような小分子の例は小ペプチドまたはペプチド様分子を包含するが、これらに限
定される訳ではない。本発明のポリペプチドに結合する可能性のあるリガンドに
は、既知のEDG6様GPCRの天然リガンドおよびそれらのアナログまたは変
異体が含まれるが、これらに制限されない。
【0119】 結合検定では、被験化合物またはEDG6様GPCRポリペプチドのいずれか
が検出可能な標識、例えば蛍光、放射性同位元素、化学ルミネセント、または酵
素標識(例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、または
ルシフェラーゼ)を含むことができる。そこで、EDG6様GPCRポリペプチ
ドに結合している被験化合物の検出は、例えば放射能の放出を直接計数すること
により、またはシンチレーション計数により、または検出可能産物への適当な基
質の変換を測定することにより、達成できる。
【0120】 別法として、EDG6様GPCRポリペプチドへの被験化合物の結合を、反応
体のいずれをも標識せずに測定することができる。例えば、マイクロフィジオメ
ーターを用いて、被験化合物とEDG6様GPCRポリペプチドとの結合を検出
できる。マイクロフィジオメーター(例えばサイトセンサーTM)とは、細胞がそ
の環境を酸性化する速度を光アドレッサブル電位差センサー(LAPS)を用い
て測定する分析機器である。この酸性化速度の変化は、被験化合物とEDG6様
GPCRポリペプチドの相互作用の指標として使用できる(McConnellら、Scien
ce 257,1906-1912,1992)。
【0121】 被験化合物がEDG6様GPCRポリペプチドに結合する能力の測定はまた、
実時間Bimolecular Interaction Analysis(BIA)のような技術を用いて達成
できる(Sjolander & Urbaniczky, Anal.Chem. 63,2338-2345,1991、およびSza
boら、Curr.Opin.Struct.Biol. 5,699-705,1995)。BIAは、いかなる反応体
をも標識せずに、生体特異的相互作用を実時間で研究するための技術である(例
えばBIAcore(登録商標))。光学的現象表面プラズモン共鳴(SPR)の変化を
、生体分子間の実時間反応の指標に使用できる。
【0122】 本発明のさらに別の態様では、EDG6様GPCRポリペプチドを二ハイブリ
ッド検定または三ハイブリッド検定(例えば、米国特許5283317; Zervosら、Cel
l 72,223-232,1993; Maduraら、J.Biol.Chem. 268,12046-12054,1993; Bartelら
、Biotechniques 14,920-924,1993; Iwabuchiら、Oncogene 8,1693-1696,1993;
およびBrent WO94/10300)における「おとりタンパク質」として使用し、EDG
6様GPCRポリペプチドに結合またはこれと相互作用してその活性を調節する
他のタンパク質を同定することができる。
【0123】 二ハイブリッド系はたいていの転写因子のモジュール的性格に基づくものであ
り、それは、分離可能なDNA結合および活性化ドメインから成っている。簡潔
に述べると、この検定は二種の異なるDNA構築物を利用する。例えば、一方の
構築物においては、EDG6様GPCRポリペプチドをコードしているポリヌク
レオチドが、既知の転写因子のDNA結合ドメインをコードしているポリヌクレ
オチドに融合できる(例えばGAL−4)。別の構築物においては、未同定タン
パク質(「餌」または「試料」)をコードしているDNA配列が、既知の転写因
子の活性化ドメインをコードしているポリヌクレオチドに融合できる。もし「お
とり」および「餌」タンパク質がインビボで相互作用してタンパク質依存複合体
を形成できたならば、該転写因子のDNA結合および活性化ドメインは極めて近
位に招来される。この近位性が、転写因子に応答する転写調節部位と機能的に結
合しているリポーター遺伝子(例えばLacZ)の転写を可能にする。リポータ
ー遺伝子の発現が検出でき、機能的転写因子を含む細胞コロニーを単離し、ED
G6様GPCRポリペプチドと相互作用するタンパク質をコードしているDNA
配列取得に使用することができる。
【0124】 反応体の一方または両方の非結合型からの結合型の分離を促進するため、そし
て検定の自動化の便宜を図るため、EDG6様GPCRポリペプチド(またはポ
リヌクレオチド)または被験化合物のいずれかを固定化することが望ましいかも
知れない。したがって、EDG6様GPCRポリペプチド(またはポリヌクレオ
チド)または被験化合物のいずれかを固体支持体に結合させることができる。好
適な固体支持体は、ガラスまたはプラスチックスライド、組織培養プレート、微
量定量ウェル、管、シリコンチップ、またはビーズ(ラテックス、ポリスチレン
、またはガラスビーズを包含するがこれらに限定されない)のような粒子を包含
するがこれらに限定されない。共有および非共有結合、受動吸収、またはそれぞ
れポリペプチド(またはポリヌクレオチド)または被験化合物に付着させた結合
部分と固体支持体の対、の使用を包含する、当分野で既知の任意の方法を用いて
EDG6様GPCRポリペプチド(またはポリヌクレオチド)または被験化合物
を固体支持体に付着させることができる。被験化合物は好ましくは整列して固体
支持体に結合させ、その結果個々の被験化合物の位置を追跡することができる。
EDG6様GPCRポリペプチド(またはポリヌクレオチド)への被験化合物の
結合は、反応体を入れるのに適した任意の容器で達成できる。かかる容器の例に
は微量定量プレート、試験管、および微量遠沈管がある。
【0125】 一つの態様において、EDG6様GPCRポリペプチドは、EDG6様GPC
Rポリペプチドを固体支持体に結合させるドメインを含む融合タンパク質である
。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ融合タンパク質をグルタチオ
ンセファロースビーズ(Sigma Chemical, St.Louis, Mo.)上またはグルタチオ
ン誘導体化微量定量プレート上に吸着させ、次いでこれを被験化合物または被験
化合物および非吸着EDG6様GPCRポリペプチドに合し;次にこの混合物を
複合体形成が行われる条件下でインキュベートする(例えば、塩およびpHに関し
て生理的条件)。インキュベーションの後、ビーズまたは微量定量プレートのウ
ェルを洗浄して未結合成分を除去する。反応体の結合は上記のように直接的また
は間接的に測定できる。別法として、複合体を固体支持体から解離させた後に結
合を測定することもできる。
【0126】 本発明に係るスクリーニング検定には、タンパク質またはポリヌクレオチドを
固体支持体上に固定化するためのその他の技術を使用することもできる。例えば
、EDG6様GPCRポリペプチド(またはポリヌクレオチド)または被験化合
物のいずれかを、ビオチンとストレプトアビジンのコンジュゲーションを利用し
て固定化できる。当分野で周知の技術(例えばビオチニル化キット、Pierce Che
micals, Rockford,Ill.)を用いて、ビオチニル化したEDG6様GPCRポリ
ペプチド(またはポリヌクレオチド)または被験化合物をビオチン−NHS(N
-ヒドロキシスクシンイミド)から調製し、ストレプトアビジン被覆した96ウ
ェルプレート(Pierce Chemical)のウェルに固定化できる。別法として、ED
G6様GPCRポリペプチド、ポリヌクレオチド、または被験化合物と特異的に
結合するが、所望の結合部位、例えばEDG6様GPCRポリペプチドの活性部
位に干渉しない抗体をプレートのウェルに誘導体化することができる。未結合の
標的またはタンパク質が抗体コンジュゲーションによりウェル中に捕捉できる。
【0127】 GST−固定化複合体について上に記載した方法に加え、このような複合体を
検出する方法には、EDG6様GPCRポリペプチドまたは被験化合物に特異結
合する抗体を用いる、複合体の免疫検出、EDG6様GPCRポリペプチドの活
性検出へと引き継がれる酵素結合検定、および非還元条件下でのSDSゲル電気
泳動がある。
【0128】 EDG6様GPCRポリペプチドまたはポリヌクレオチドに結合する被験化合
物を求めるスクリーニングは、無傷の細胞で実施することもできる。EDG6様
GPCRポリペプチドまたはポリヌクレオチドを含む任意の細胞が、細胞に基づ
く検定系で使用できる。EDG6様GPCRポリヌクレオチドは細胞中に天然に
存在し、または上記のような技術を用いて導入できる。EDG6様GPCRポリ
ペプチドまたはポリヌクレオチドに対する被験化合物の結合は、上記のように測
定する。
【0129】機能検定 EDG6様GPCRポリペプチドの生物学的効果を増大または低下させる能力
について被験化合物を試験できる。かかる生物学的効果は、下記の具体的実施例
に記載の機能検定を用いて測定できる。機能検定は、精製したEDG6様GPC
Rポリペプチド、細胞膜調製物、または無傷の細胞を被験化合物と接触させた後
に実施できる。EDG6様GPCRの機能的活性を少なくとも約10、好ましく
は約50、より好ましくは約75、90、または100%低下させる被験化合物
を、EDG6様GPCR活性を低下させる可能性のある物質として同定する。E
DG6様GPCR活性を少なくとも約10、好ましくは約50、より好ましくは
約75、90、または100%増大させる被験化合物を、EDG6様GPCR活
性を増大させる可能性のある物質として同定する。
【0130】 そのようなスクリーニング方法の1つは、EDG6様GPCRポリペプチドを
発現するようトランスフェクトしたメラノフォア(メラニン細胞)の使用を含む
。そのようなスクリーニング技術は1992年2月6日に公開されたWO92/
01810に記載されている。したがって、例えば、この受容体を含むメラニン
細胞を、その受容体リガンド(例えば、EDG6またはEDG6アナログ)とス
クリーニングされる被験化合物の両方と接触させる検定を用いて、この受容体ポ
リペプチドの活性を阻害する化合物をスクリーニングすることができる。このリ
ガンドによって発せられるシグナルを阻害することは、被験化合物がこの受容体
のアンタゴニスト、即ちこの受容体の活性を阻害することを示している。前記細
胞を、スクリーニングされる化合物と接触させるスクリーニングを行なうことで
、この受容体を活性化する被験化合物を同定し、各々の被験化合物がシグナルを
発するか否か、即ちこの受容体を活性化するか否かを決定することができる。
【0131】 その他のスクリーニング技術には、受容体の活性化によって引き起こされる細
胞外pH変化を測定する系におけるヒトEDG6様GPCRポリペプチドを発現
する細胞(例えば、トランスフェクトCHO細胞)の使用が含まれる(例えば、
Science 246, 181-296, 1989を参照のこと)。例えば被験化合物を、ヒトEDG
6様GPCRポリペプチドを発現する細胞と接触させ、そして二次メッセンジャ
ー応答、例えばシグナル伝達またはpH変化を測定して、被験化合物が受容体を
活性化するか、または阻害するかを決定することができる。
【0132】 別のこのようなスクリーニング技術には、その受容体を一過的に発現させるべ
くヒトEDG6様GPCRポリペプチドをコードするRNAをゼノパス(Xenopus
)卵母細胞中に導入することが含まれる。その後、このトランスフェクトした卵
母細胞をその受容体リガンドおよびスクリーニングされる被験化合物と接触させ
、次いでカルシウムシグナルの阻害または活性化を検出し、その場合に、受容体
の活性を阻害すると考えられる被験化合物をスクリーニングすることができる。
【0133】 別のスクリーニング技術には、本受容体がホスホリパーゼCまたはDと関連し
ている細胞において、ヒトEDG6様GPCRポリペプチドを発現させることが
含まれる。そのような細胞には、内皮細胞、平滑筋細胞、胚の腎細胞などが含ま
れる。ホスホリパーゼ活性の変化から受容体の活性化の程度を定量化して、この
スクリーニングを上記のように行なうことができる。
【0134】 上に記載のような機能検定の詳細は、下記の具体的実施例に提供する。
【0135】EDG6様GPCR遺伝子発現 別の態様では、EDG6様GPCR遺伝子の発現を増大または減少させる被験
化合物を同定する。EDG6様GPCRポリヌクレオチドを被験化合物と接触さ
せ、RNAまたはEDG6様GPCRポリヌクレオチドのポリペプチド産物の発
現を測定する。被験化合物存在下での適当なmRNAまたはポリペプチドの発現
レベルを、該被験化合物不在下でのmRNAまたはポリペプチドの発現レベルと
比較する。すると被験化合物が、この比較に基づく発現のモジュレーターとして
同定できる。例えば、mRNAまたはポリペプチドの発現が、被験化合物の不在
時よりも存在時により大きい場合は、この被験化合物を、該mRNAまたはポリ
ペプチド発現の刺激物質または増強物質と同定する。そうではなく、mRNAま
たはポリペプチドの発現が、被験化合物の不在時よりも存在時により小さい場合
は、この被験化合物を、該mRNAまたはポリペプチド発現のインヒビターと同
定する。
【0136】 細胞におけるEDG6様GPCR mRNAまたはポリペプチド発現のレベル
は、mRNAまたはポリペプチドを検出するための当分野で周知の方法により決
定できる。定性または定量的方法のいずれかが使用できる。EDG6様GPCR
ポリヌクレオチドのポリペプチド産物の存在は、例えばラジオイムノアッセイの
ような免疫化学的方法、ウエスタンブロッティング、および免疫組織化学を包含
する、当分野で周知の様々な技術を用いて決定できる。別法として、ポリペプチ
ド合成は、EDG6様GPCRポリペプチド内への標識アミノ酸の取り込みを検
出することにより、インビボで、細胞培養で、またはインビトロ翻訳系で決定で
きる。
【0137】 このようなスクリーニングは、無細胞検定系または無傷の細胞のいずれかで実
施できる。EDG6様GPCRポリヌクレオチドを発現するいかなる細胞も細胞
に基づく検定系で使用できる。EDG6様GPCRポリヌクレオチドは細胞内に
天然に存在するか、または上記のような技術を用いて導入することができる。一
次培養または確立された細胞系、例えばCHOまたはヒト胚性腎293細胞のい
ずれかを使用できる。
【0138】医薬組成物 本発明はさらに、治療効果を達成するために患者に投与できる医薬組成物を提
供する。本発明に係る医薬組成物は、例えばEDG6様GPCRポリペプチド、
EDG6様GPCRポリヌクレオチド、EDG6様GPCRポリペプチドと特異
的に結合する抗体、または類似体、アゴニスト、アンタゴニスト、またはEDG
6様GPCRポリペプチド活性のインヒビターを含み得る。この組成物は単独で
、または少なくとも1種類の他の物質、例えば安定化化合物と組み合わせて投与
でき、これは、食塩水、緩衝化食塩水、デキストロース、および水を包含する(
但しこれらに限定されない)任意の無菌で生物学的適合性のある製薬的担体中で
投与できる。この組成物は単独で、または他の物質、薬物またはホルモンと組み
合わせて患者に投与できる。
【0139】 活性成分に加えてこれらの医薬組成物は、賦形剤および補助物質を含む適当な
製薬的に許容し得る担体を含有でき、これらは、製薬的に使用できる調製物への
活性化合物の処理を促進する。本発明に係る医薬組成物は、経口、静脈内、筋肉
内、動脈内、髄内、髄腔内、心室内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、非経口、局
所、舌下、または直腸手段を包含する(但しこれらに限定されない)多くの経路
により投与できる。経口投与用医薬組成物は、当分野で既知の製薬的に許容し得
る担体を用いて経口投与に適した用量に調合できる。このような担体により、該
医薬組成物を、患者が内服するための錠剤、丸剤、糖衣剤、カプセル剤、液体、
ゲル、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤などに調合できる。
【0140】 経口使用のための医薬製剤は、活性化合物を、固体賦形剤と合し、得られた混
合物を所望により粉砕し、そしてこの顆粒混合物を、所望ならば適当な補助物質
を加えた後に処理して錠剤または糖衣剤核を得る。好適な賦形剤は炭水化物また
はタンパク質増量剤、例えば乳糖、シュクロース、マンニトール、またはソルビ
トールを包含する糖;トウモロコシ、小麦、米、馬鈴薯、またはその他の植物由
来の澱粉;セルロース、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロース、またはカルボキシメチルセルロースナトリウム;アラビアゴムおよび
トラガカントゴムを包含するゴム;ならびにゼラチンおよびコラーゲンのような
タンパク質である。所望により崩壊剤または可溶化剤、例えば架橋ポリビニルピ
ロリドン、寒天、アルギン酸、またはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムを添
加できる。
【0141】 糖衣剤核は、濃縮糖溶液のような適当な被覆剤と共に使用でき、これはさらに
、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポル(carbopol)ゲル、
ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および
適当な有機溶媒または溶媒混合物を含むことができる。製品の同定のためまたは
活性化合物の量、即ち用量をあらわすために染料または色素を錠剤または糖衣被
覆剤に添加できる。
【0142】 経口的に使用できる医薬調合物は、ゼラチン製の押してはめ込むカプセル剤、
ならびに、ゼラチンおよび被覆剤、例えばグリセロールまたはソルビトールでで
きた軟封入カプセル剤を包含する。押してはめ込むカプセル剤は、活性成分を、
乳糖または澱粉のような増量剤または結合剤、タルクまたはステアリン酸マグネ
シウムのような潤滑剤、および所望により安定剤と混合して含有できる。軟カプ
セル剤では、活性化合物を、安定剤を加えた、または加えない適当な液体、例え
ば脂肪油、液体、または液体ポリエチレングリコールに溶解または懸濁できる。
【0143】 非経口投与に好適な医薬製剤は、水溶液、好ましくは生理学的適合性の緩衝液
、例えばハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理学的に緩衝化した食塩水中で
調合できる。水性注射用懸濁剤は、該懸濁液の粘度を増加させる物質、例えばカ
ルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランを含
有できる。さらに、活性化合物の懸濁剤は適当な油性注射用懸濁剤として調製で
きる。好適な親油性溶媒または媒質は、胡麻油のような脂肪油、またはオレイン
酸エチルまたはトリグリセリドのような合成脂肪酸エステル、またはリポソーム
を包含する。非脂質ポリカチオンアミノポリマーもまた送達に使用できる。所望
により懸濁剤は、化合物の溶解性を増し高濃縮溶液の調製を可能にするような適
当な安定剤または物質を含むことができる。局所または鼻腔投与のためには、透
過すべき特定の障壁に対し適当な浸透剤を製剤に使用する。このような浸透剤は
当分野で一般に知られている。
【0144】 本発明に係る医薬組成物は当分野で既知の方法で、例えば常套的混合、溶解、
顆粒化、糖衣剤製造、すりつぶし、乳化、カプセル化、捕捉、または凍結乾燥プ
ロセスによって製造できる。この医薬組成物は塩として提供でき、塩酸、硫酸、
酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、琥珀酸などを包含する(但しこれらに限定さ
れない)多くの酸を用いて調製できる。塩は、水性または他のプロトン性溶媒に
おいて、対応する遊離塩基型よりもより可溶性の傾向がある。別の場合には、好
ましい調製物は、pH範囲4.5から5.5において以下のもの:1−50mMヒスチ
ジン、0.1%−2%シュクロース、および2−7%マンニトール、の全てまた
は任意のものを含有できる凍結乾燥粉末であってよく、これを使用前に緩衝液と
合する。
【0145】 調合と投与のための技術のさらなる詳細は、REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCI
ENCES(Maack Publishing Co., Easton, Pa)の最新版に見出すことができる。
医薬組成物を製造した後、これらを適当な容器に入れ、適応状態の治療のために
ラベルを貼る。このようなラベル表示は、投与の量、頻度、および投与方法を包
含する。
【0146】治療上の適応および方法 GPCRは哺乳類の宿主に広範囲に分布し、多くの病理を包含するたくさんの
生体機能を担っている。したがって、一方ではGPCRを刺激し、他方ではGP
CRの機能を阻害する化合物および薬物を発見することが望まれる。例えば、G
PCRを活性化する化合物を治療目的、例えば喘息、パーキンソン病、急性心不
全、尿閉および骨粗鬆症を処置するために用いることができる。詳細には、GP
CRを活性化する化合物は、様々な心血管の病気、肺血流欠乏または高血圧症に
よって引き起こされる病気を処置するのに有用である。加えて、これらの化合物
を用いて、体液および電解液ホメオスタシスの異常な制御に関連する様々な生理
的疾患、並びに異常なアンジオテンシン誘導性アルドステロン分泌に関係する疾
患を処置することができる。
【0147】 一般に、GPCRの活性化を阻害する化合物を様々な治療目的、例えば、低血
圧症および/または高血圧症、狭心症、心筋梗塞、潰瘍、喘息、アレルギー、良
性前立腺肥大症、並びに統合失調症、躁病性興奮、うつ病、譫妄、痴呆または様
々な精神遅滞を含む精神病および神経病、ジスキネジア(例えば、ハンチントン
病若しくはテューレット症候群)、その他のものを処置するために用いることが
できる。また、GPCRを阻害する化合物も内在的摂食障害を回復させるのに、
過食症を制御するのに、および例えば過剰な肺の血流または高血圧によって引き
起こされる種々の心血管の病気を処置するのに有用である。
【0148】 EDG6様GPCRの調節は炎症過程に伴う皮膚病を処置するのに特に有用で
ある。EDG6様GPCR調節を用いて、内部器官の疾患(急性または慢性炎症
コンポーネントを記載する、例えば間接疾患(関節炎);気道の疾患(喘息、鼻
炎、アレルギーおよび慢性閉塞性肺疾患);炎症性腸疾患(大腸炎);および、
一時的な血管の病的閉塞によってもたらされる再灌流ダメージ(心臓、腸または
腎臓に対する))を処置することができる。加えて、複数の硬化症およびショッ
クを処置することができ、同様に炎症過程の他の疾患、および白血球などの細胞
の形成や発育が病的に増加する疾患、あるいは動脈硬化症を処置することができ
る。
【0149】 本発明はさらに、上記のスクリーニング検定により同定する新規物質の使用に
関するものである。したがって、本明細書に記載のように定義する被験化合物を
適当な動物モデルに使用することが、本発明の範囲内にある。例えば、本明細書
記載のように特定する物質(例えば、調節物質、アンチセンス核酸分子、特異抗
体、リボザイム、またはEDG6様GPCRポリペプチド結合分子)を動物モデ
ルに使用して、かかる物質による治療の有効性、毒性、または副作用を決定する
ことができる。これとは別に、本明細書に記載のように定義する物質は、かかる
物質の作用機構を決定するための動物モデルに使用できる。さらに、本発明は、
本明細書記載の治療のための上記スクリーニング検定により同定する新規物質の
用途・使用に関するものである。
【0150】 EDG6様GPCR活性に影響を及ぼす試薬をインビトロまたはインビボでヒ
ト細胞に投与し、EDG6様GPCR様活性を低下させることができる。この試
薬は好ましくはヒトEDG6様GPCR遺伝子の発現産物に結合する。発現産物
がタンパク質である場合、この試薬は好ましくは抗体である。ヒト細胞をex viv
oで治療するために、身体から取り出した幹細胞の調製物に抗体を添加できる。
次いでこの細胞を、当分野で既知のクローン増幅を行って、または行わずに、同
じまたは別のヒトの身体に戻すことができる。
【0151】 一つの態様では、この試薬はリポソームを用いて送達する。好ましくはリポソ
ームは、投与される動物中で少なくとも約30分間、より好ましくは少なくとも
約1時間、さらに好ましくは少なくとも約24時間安定である。リポソームは、
試薬、とりわけポリヌクレオチドを動物、例えば人間の特定部位に標的化できる
脂質組成物を含んでいる。好ましくはリポソームのこの脂質組成物は、動物の特
定の臓器、例えば肺、肝臓、脾臓、心臓、脳、リンパ節、および皮膚を標的とす
ることができる。
【0152】 本発明において有用なリポソームは、標的細胞の細胞質膜と融合してその内容
物を細胞へと運搬できる脂質組成物を含んでいる。好ましくは、リポソームのト
ランスフェクション効率は、約106細胞に送達されるリポソーム16nmoleあた
りDNA約0.5μg、より好ましくは約106細胞に送達されるリポソーム16n
moleあたりDNA約1.0μg、さらに好ましくは約106細胞に送達されるリポ
ソーム16nmoleあたりDNA約2.0μgである。好ましくは、リポソームは直
径が約100および500nmの間、より好ましくは約150および450nmの間
、そしてさらに好ましくは約200および400nmの間である。
【0153】 本発明での使用にとって好適なリポソームには、例えば当業者に知られる遺伝
子送達法で標準的に用いるリポソームが包含される。より好ましいリポソームは
、ポリカチオン脂質組成物を有するリポソームおよび/またはポリエチレングリ
コールとコンジュゲートしたコレステロールバックボーンを有するリポソームを
包含する。所望により、リポソームはこのリポソームを腫瘍細胞、例えばリポソ
ームの外表面に暴露している腫瘍細胞リガンドへと標的化できる化合物を含む。
【0154】 リポソームと、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイムのような試
薬との複合体形成が、当分野において標準的な方法を用いて達成できる(例えば
米国特許5705151)。好ましくは約0.1μgから約10μgのポリヌクレオチドを
約8nmolのリポソームと、より好ましくは約0.5μgから約5μgのポリヌクレ
オチドを約8nmolのリポソームと、そしてさらに好ましくは約1.0μgのポリヌ
クレオチドを約8nmolのリポソームと合する。
【0155】 別の態様では、受容体媒介標的化送達を用いて抗体を特異的組織にインビボ送
達できる。受容体媒介DNA送達技術は、例えばFindeisら、Trends in Biotech
nol. 11,202-05(1993); Chiouら、GENE THERAPEUTICS: METHODS AND APPLICATIO
NS OF DIRECT GENE TRANSFER(J.A.Wolff編)(1994); Wu & Wu, J.Biol.Chem.
263,621-24(1988); Wuら、J.Biol.Chem. 269,542-46(1994); Zenkeら、Proc.Nat
l.Acad.Sci.U.S.A. 87,3655-59(1990); Wuら、J.Biol.Chem. 266,338-42(1991)
に教示されている。
【0156】治療的有効量の決定 治療的有効量の決定は、充分当業者の能力の範囲内にある。治療的有効量とは
、治療的有効量の不在下で起こるEDG6様GPCR活性に比較してEDG6様
GPCR活性を増大させ、または低下させる活性成分の量を指す。
【0157】 いかなる化合物に関しても、治療的有効量は最初に細胞培養検定で、または動
物モデル、通常マウス、ウサギ、イヌ、またはブタで見積もることができる。動
物モデルは適当な濃度範囲および投与経路の決定にも使用できる。次にこのよう
な情報を用いて人間での有用な用量と投与経路を決定できる。
【0158】 治療的有効性および毒性、例えばED50(集団の50%で治療的に有効な用量
)およびLD50(集団の50%で致死的な用量)は、細胞培養または実験動物に
おける標準的薬学的方法により決定できる。治療効果に対する毒性効果の用量比
が治療指数であり、比LD50/ED50で表すことができる。
【0159】 大きな治療指数を示す医薬組成物が好ましい。細胞培養検定および動物研究か
ら得られるデータを、人間への使用のための用量範囲を処方する際に使用する。
かかる組成物に含まれる用量は、好ましくは殆どまたは全く毒性を持たないED50 を包含する循環濃度の範囲内である。この用量は、使用する用量型、患者の感
受性、および投与経路に応じてこの範囲内で変わる。
【0160】 正確な用量は、治療を必要とする対象に関連する因子に照らして医師が決定す
る。用量および投与は、充分なレベルの活性成分を提供するよう、または所望の
効果を保持するよう、調節する。考慮できる因子は、疾病状態の重篤度、対象の
全身健康状態、年齢、体重、および対象の性別、食餌、投与の時間および頻度、
薬物の組み合わせ、反応の感受性、および療法に対する寛容/応答を包含する。
長時間作用性医薬組成物は、その製剤の半減期およびクリアランス率に応じて3
から4日毎、毎週、または2週間に1回投与することができる。
【0161】 標準的な用量は投与経路に応じて0.1から100,000マイクログラムまで
変えることができ、約1gまでの総用量とすることができる。特定の用量および
送達方法についての指針は文献に提供されており、一般に当分野の医師が入手で
きる。当業者は、ヌクレオチド用にはタンパク質またはそれらのインヒビター用
のものとは異なる製剤を使用するであろう。同様に、ポリヌクレオチドまたはポ
リペプチドの送達は特定の細胞、状態、場所などに特異的である。
【0162】 この試薬が一本鎖抗体である場合、この抗体をコードしているポリヌクレオチ
ドを構築し、トランスフェリン−ポリカチオン−媒介DNA転移、裸のまたはカ
プセル内核酸を用いるトランスフェクション、リポソームの媒介する細胞融合、
DNA被覆ラテックスビーズの細胞内輸送、プロトプラスト融合、ウイルス感染
、電気穿孔、「遺伝子銃」、およびDEAE−または燐酸カルシウム−媒介トラ
ンスフェクションを包含する(但しこれらに限定される訳ではない)充分確立し
た技術を用いて、ex vivoまたはインビボで細胞内に導入できる。
【0163】 抗体の有効なインビボ用量は、約5μgから約50μg/kg、約50μgから約5
mg/kg、約100μgから約500μg/kg(患者の体重)、および約200から約
250μg/kg(患者の体重)の範囲である。一本鎖抗体をコードしているポリヌ
クレオチドの投与のためには、有効なインビボ用量は、約100ngから約200
ng、500ngから約50mg、約1μgから約2mg、約5μgから約500μg、お
よび約20μgから約100μgのDNAの範囲である。
【0164】 発現産物がmRNAである場合、試薬は好ましくはアンチセンスオリゴヌクレ
オチドまたはリボザイムである。アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザ
イムを発現するポリヌクレオチドは、上記のように多岐にわたる方法によって細
胞中に導入できる。
【0165】 好ましくは、試薬は、EDG6様GPCR遺伝子の発現またはEDG6様GP
CRポリペプチドの活性を、該試薬の不在時と比較して少なくとも約10、好ま
しくは約50、より好ましくは約75、90、または100%低下させる。ED
G6様GPCR遺伝子の発現レベルまたはEDG6様GPCRポリペプチドの活
性を低下させるよう選択した機構の有効性は、当分野で周知の方法、例えばED
G6様GPCR特異的mRNAへのヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーシ
ョン、定量的RT−PCR、EDG6様GPCRポリペプチドの免疫学的検出、
またはEDG6様GPCR活性の測定を用いて評価できる。
【0166】 上記のいずれの態様においても、本発明に係る任意の医薬組成物は他の適当な
治療薬と組み合わせて投与できる。併用療法に使用するための適当な物質の選択
は、常套的製薬原理に従い、当業者により実施することができる。治療薬の組み
合わせは、相乗的に働いて、上記の様々な疾患の治療または予防を奏効させる。
このアプローチを用いて、より低い各物質の用量で治療効果を達成することがで
き、したがって有害な副作用の可能性を低減することができる。
【0167】 上記の治療方法のいずれも、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、サル、
および最も好ましくはヒトといった哺乳動物を包含する、このような治療を必要
とする任意の対象に適用することができる。
【0168】診断方法 GPCRはさらに、GPCRをコードしている核酸配列における突然変異の存
在に関連する疾病および異常、または疾病および異常に対する感受性を検出する
診断検定に使用できる。このような疾患は、実例として、例えば、腫瘍および癌
などの細胞の形質転換体、および低血圧症および高血圧症を含む様々な心血管疾
患、並びに異常な血流、異常なアンジオテンシン誘導性アルドステロン分泌、お
よびその他の体液および電解液ホメオスタシスの異常な制御から生じる疾患に関
する。
【0169】 疾病に罹患している個体と正常な個体とにおけるGPCRをコードしているc
DNAまたはゲノム配列の間の相違を決定できる。もし罹患している個体の幾つ
かまたは全てに突然変異が観察され、正常な個体には観察されないならば、この
突然変異がその疾病の原因であると思われる。
【0170】 レファレンス遺伝子および突然変異を有する遺伝子の間の配列相違は、直接D
NA配列決定法によって明らかにできる。加えて、クローニングしたDNAセグ
メントを、特定のDNAセグメントを検出するためのプローブとして使用できる
。この方法の感受性はPCRと組み合わせる時極めて増強される。例えば、二本
鎖PCR産物または修飾PCRにより調製された一本鎖鋳型分子と共に、配列決
定プライマーを使用することができる。配列決定は、放射標識したヌクレオチド
を用いる常套的方法によって、または蛍光標識を使用する自動配列決定法によっ
て実施する。
【0171】 DNA配列相違に基づく遺伝子試験は、変性させる物質を含むまたは含まない
ゲル中のDNA断片の電気泳動移動度の変化を検出することにより実施できる。
小配列の欠失および挿入は、例えば高分解能ゲル電気泳動によって視覚化できる
。異なる配列のDNA断片は変性させるホルムアミド勾配ゲル上で識別でき、こ
こでは、異なるDNA断片の移動度が、それらの特異的融解温度または部分的融
解温度に従って、ゲル中の異なる位置で遅延する(例えば、Myersら、Science 2
30,1242,1985を参照されたい)。特定の位置での配列改変もまたヌクレアーゼ保
護検定、例えばRNアーゼおよびS1保護または化学的開裂法によって明らかに
することができる(例えば、Cottonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85,4397-4401,
1985)。即ち特異的DNA配列の検出は、ハイブリダイゼーション、RNアーゼ
保護、化学的開裂、直接DNA配列決定といった方法によって、または制限酵素
とゲノムDNAのサザンブロッティングを使用することによって実施できる。ゲ
ル電気泳動およびDNA配列決定のような直接法に加えて、突然変異はin situ
分析により検出することもできる。
【0172】 GPCRレベルの変化もまた種々の組織で検出できる。血液または組織生検の
ように、宿主から誘導した身体試料中の受容体ポリペプチドのレベルを検出する
ために用いる検定は、当業者に周知であり、ラジオイムノアッセイ、競合的結合
検定、ウェスタンブロット分析、およびELISA検定を包含する。
【0173】 本明細書に引用する全ての特許および特許出願は、引用により特に本明細書の
一部とする。上記の内容は本発明を一般的に記載するものである。より完全な理
解は以下の具体的実施例を参照することによって得られ、それらの実施例は例示
のみの目的で提供するものであり、本発明の範囲を限定する意図は無い。
【0174】実施例1 EDG6様GPCR活性の検出 配列番号:2に記載のポリヌクレオチドを発現ベクターpCEV4に挿入し、
得られた発現ベクターpCEV4−EDG6様GPCRポリペプチドをヒト胚の
腎臓293細胞にトランスフェクトする。その細胞を培養フラスコから掻き出し
、トリスHCl、5mM EDTA、pH7.5、5ml中にとり超音波処理して
溶解させる。細胞の溶解物を1000rpmの遠心分離を4℃で5分間行なう。
その上清を30,000×g、4℃で20分間遠心分離する。そのペレットを、
50mM トリスHCl、5mM MgSO4、1mM EDTA、100mM N
aCl、pH7.5を含み、0.1% BSA、2μg/ml アプロチニン、0.5
mg/ml ロイペプチンおよび10μg/ml ホスホラミドンを補助添加した結
合バッファー中に懸濁する。添加する放射リガンド、即ち125I−標識化EDG
6の10%未満と結合するのに必要とされるタンパク質濃度で規定される最適な
膜懸濁物の希釈物を、リガンド、非標識化ペプチド、および結合バッファーを含
む96ウェルポリプロピレン微量定量プレートに添加し、最終量を250μlと
する。
【0175】 平衡飽和結合検定において、膜調製物を125Iリガンドの増大濃度(0.1nM
〜4nM)の存在下でインキュベートする。
【0176】 結合反応混合物を30℃で1時間インキュベートする。この反応を、0.5%
ポリエチレンイミンを用いて処理したGF/Bフィルターに通じてろ過し、反応
を停止させ、細胞を回収する。放射活性をシンチレーション計数して計測し、デ
ータをコンピューターによる非線形回帰プログラムによって分析する。非特異的
結合は、非標識化ペプチド100nMの存在下にて、膜タンパク質をインキュベ
ートした後に残存する放射活性の量として規定される。タンパク質濃度を、標準
的としてウシ血清アルブミンと共にBio-Rad Reagentを用いるBradford法により
測定する。配列番号:1に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドのEDG6様
GPCR活性を実証する。
【0177】実施例2 放射リガンド結合検定 ヒトEDG6様CPCRを発現するポリヌクレオチドを用いてトランスフェク
トしたヒト胚の腎臓293細胞を培養フラスコから掻き出し、トリスHCl、5
mM EDTA、pH7.5、5ml中にとり超音波処理して溶解させる。細胞の
溶解物を1000rpmの遠心分離を4℃で5分間行なう。その上清を30,0
00×g、4℃で20分間遠心分離する。そのペレットを、50mM トリスH
Cl、5mM MgSO4、1mM EDTA、100mM NaCl、pH7.5
を含み、0.1% BSA、2μg/ml アプロチニン、0.5mg/ml ロイペ
プチンおよび10μg/ml ホスホラミドンを補助添加した結合バッファー中に
懸濁する。添加する放射リガンド、即ちEDG6の10%未満と結合するのに必
要とされるタンパク質濃度で規定される最適な膜懸濁物の希釈物を、125I−標
識化リガンドまたは被験化合物、非標識化ペプチド、および結合バッファーを含
む96ウェルポリプロピレン微量定量に添加し、最終量を250μlとする。
【0178】 平衡飽和結合検定において、膜調製物を、125I標識化リガンドの増大濃度(
0.1nM〜4nM)または被験化合物(特異的活性 2200Ci/mmol)
の存在下でインキュベートする。種々の被験化合物の結合親和度を、各々12種
の異なる濃度の被験化合物の存在下にて0.1nM 125I−ペプチドを用いる平
衡競合結合検定にて決定する。
【0179】 結合反応混合物を30℃で1時間インキュベートする。この反応を、0.5%
ポリエチレンイミンを用いて処理したGF/Bフィルターに通じてろ過し、反応
を停止させ、細胞を回収する。放射活性をシンチレーション計数により計測し、
データをコンピューターによる非線形回帰プログラムによって分析する。
【0180】 非特異的な結合は、非標識化ペプチド100nMの存在下にて、膜タンパク質
をインキュベートした後に残存する放射活性の量として規定される。タンパク質
濃度を、標準的として、ウシ血清アルブミンと共にBio-Rad Reagentを用いるBra
dford法により測定する。膜タンパク質の放射活性を、被験化合物を用いてイン
キュベートしなかった膜タンパク質の放射活性と比較して、少なくとも15%ま
で増大させる被験化合物を、ヒトEDG6様GPCRポリペプチドに結合する化
合物と同定する。
【0181】実施例3 ヒトEDG6様GPCR媒介サイクリックAMP形成における被験化合物の効果 受容体媒介cAMP形成の阻害は、ヒトEDG6様GPCRを発現する宿主細
胞において検定することができる。細胞を、96ウェルプレートに蒔き、10m
M HEPES、5mM テオフィリン、2μg/ml アプロチニン、0.5mg/
ml ロイペプチンおよび10μg/ml ホスホラミドンを補助添付したダルベ
ッコリン酸緩衝食塩水(PBS)において、5%CO2下にて37℃、20分間
インキュベートする。その培地を吸引し、100mM HClを添加して、その
反応を停止させる。そのプレートを4℃で15分間保存する。この反応を停止さ
せた溶液中のcAMP含有量を放射免疫測定によって測定する。
【0182】 放射活性を、データ換算ソフトウェアーを備えたガンマ計測器を用いて定量化
する。被験化合物の非存在下でウェル中の内容物の放射活性と比較して、ウェル
中の内容物の放射活性を減少させる被験化合物を、cAMPの形成を阻害する可
能性のあるインヒビターとして同定する。被験化合物の非存在下でウェル中の内
容物の放射活性と比較して、ウェル中の内容物の放射活性を増大させる被験化合
物を、cAMPの形成を増大させる可能性のあるエンハンサーとして同定する。
【0183】実施例4 細胞内カルシウム流動化における被験化合物の効果 細胞内の遊離カルシウム濃度は、蛍光指標染色Fura−2/AM(Bushら、J
Neurochem. 57,56274,1991)を用いた顕微分光蛍光光度計によって測定するこ
とができる。安定なトランスフェクト細胞を、ガラスのカバースリップ挿入を含
む35mm培養皿にシードする。細胞をHBSで洗浄し、被験化合物と共にイン
キュベートし、そしてFura−2/AM(10μM)100μlを20〜40
分間充填する。HBSを用いて洗浄してFura−2/AM溶液を取り除き、細
胞をHBS中にて10〜20分間平衡化する。その後、細胞をLeitz Fl
uovert FSマイクロスコープの40×対物レンズの下で可視化する。
【0184】 340nM〜380nMの間で変更する励起波長を用いて、510nMの蛍光
発光を決定する。生の蛍光データを基準カルシウム濃度およびソフトウェアー解
析技術を用いて、カルシウム濃度に変換する。被験化合物の非存在下における蛍
光と比較して、少なくとも15%蛍光を増大させる被験化合物を、細胞内カルシ
ウムを流動化させる化合物として規定する。
【0185】実施例5 ホスホイノシチド代謝における被験化合物の効果 ヒトEDG6様GPCRcDNAを安定に発現する細胞を、96ウェルプレー
トにプレーティングし、増殖させて密集させる。検定を行なう前日に、培養培地
を、1%の血清と0.5μCi3H−ミノシトール(myinositol)を含む培地100
μlに交換する。そのプレートをCO2インキュベーター(37℃で、5% CO2 )において一晩中、インキュベートする。検定の直前に、その培地を取り除き
、10mM LiClを含むPBS200μlに置き換え、その細胞を新しい培
地で20分間、平衡化する。この期間間にもまた、細胞をアンタゴニストを用い
て、PBS中にて20倍濃縮溶液の一部10μlとして加えて平衡化する。
【0186】 イノシトールリン脂質代謝由来の3H−イノシトールリン酸蓄積は、被験化合
物を含む溶液10μlを添加することで開始される。最初のウェルに10μlを
添加し、基礎蓄積を測定する。被験化合物の11種の異なる濃度を、以下の11
ウェルの各々のプレート列にて検定する。全ての検定は、2つの平行プレート列
に同じ添加を繰り返すことによって二度行なう。
【0187】 そのプレートをCO2インキュベーターにて1時間、インキュベートする。こ
の反応を、50% v/v トリクロロ酢酸(TCA)15μlを添加し、4℃で
40分間、インキュベートして停止させる。1M トリス40μlを用いてTC
Aを中和した後、ウェルの内容物を、Dowex AG1−X8(200−400網目
、ホルマート型)を含むマルチスクリーンHVフィルタープレート(ミリポア)
に移す。このフィルタープレートは、各々のウェルにDowex AG1−X8
懸濁液(50% v/v、水:樹脂)200μlを加えることによって調製される
。このフィルタープレートをバキュームマニホールドに置き、残基ベッドを洗浄
または溶出する。それぞれのウェルを水200μlを用いて二度洗浄した後、5
mM テトラホウ酸ナトリウム/60mM ギ酸アンモニウム 200μlで二回
洗浄する。
【0188】 3H−IPを1.2M ホウ酸アンモニウム/0.1ギ酸 200μlを用いて、
空の96ウェルプレート中に溶離させる。そのウェルの内容物をシンチレーショ
ンカクテル3ml中に加え、放射活性を液体シンチレーション計数によって決定
する。
【0189】実施例6 受容体の結合方法 標準的な結合検定。結合検定は50mM HEPES、pH 7.4、0.5%
BSA、および5mM MgCl2を含む結合バッファー中にて行なう。EDG6
様GPCRポリペプチドを含む膜断片に結合する放射リガンドについての標準的
な検定は、以下のように96ウェル微量定量プレート(例えば、Dynatech Immul
on II Removawellプレート)にて行なう。放射リガンドを、PMSF/Baci
を含む結合バッファー中にて希釈し、50μl当たり所望のcpmにした後、5
0μl部分をウェルに加える。非特異的結合試料については、40μM 冷リガ
ンド5μlもまたウェルに加える。結合は、PMSF/Baciを含む結合バッ
ファー中にて所望の濃度(10〜30μg膜タンパク質/ウェル)に希釈した膜
をウェル当たり150μl添加することで開始される。その後、プレートをLinb
roマイラープレートシーラー(Flow Lab)を用いて覆い、Dynatechマイ
クロシェイカーIIに設置する。結合は、室温にて1〜2時間行なわせることがで
き、そのプレートを2,000×gで15分間遠心分離して止めることができる
。その上清をデカントし、膜ペレットを冷結合バッファー200μlを加えて一
度洗浄し、短時間攪拌し、再び遠心分離にかける。個々のウェルを12×75m
mチューブに設置し、LKB Gammamaster計測器(効率75%)にて計測する。
この方法による特異的結合は、遊離リガンドを素早く(3〜5秒)ろ過し、ポリ
エチレンイミンコーティングガラス繊維フィルターで洗浄することによって取り
除いた場合に測定したものと一致する。
【0190】 標準結合検定の3つの変法もまた用いられる 1.冷リガンド対、125I標識化リガンドの濃度範囲を用いる競合放射リガンド
結合検定を、改良して上記のように行なう。検定されるリガンドの全希釈物を4
0×PMSF/Baci中にて、この検定の最終濃度の40倍の濃度にする。そ
の後、ペプチド試料(それぞれ5μl)を微量定量ウェルごとに加える。膜と放
射リガンドを、プロテアーゼインヒビターを含まない結合バッファー中に希釈す
る。放射リガンドを加え、冷リガンドを混合し、その後結合を膜を加えることに
よって開始させる。
【0191】 2.受容体を用いる放射リガンドの化学交差連結を、標準検定と同一の結合工程
の後に行なう。しかしながら、洗浄工程はBSAを用いた放射リガンドの非特異
的な交差連結を減少させるべく、BSAを引いた結合バッファーを用いて行う。
交差連結は下記のごとく行なわれる。
【0192】 3.受容体とリガンドの複合体の可溶化における研究、および受容体精製のため
の膜ペレットを得るための大規模な結合検定もまた行なわれる。これらは、(a
)結合を1〜250ml量のポリプロピレンチューブにて行なうこと、(b)膜
タンパク質濃度が常に0.5mg/mlであること、および(c)受容体精製のた
めに、結合バッファー中のBSA濃度を0.25%にまで減らし、洗浄工程を精
製した受容体のBSA汚染を減少させるために、BSAを含まない結合バッファ
ーを用いて行なうこと、を除いて標準的な検定と同一である。
【0193】実施例7 受容体に対する放射リガンドの化学交差連結 上記の放射リガンド結合工程の後に、膜ペレットを微量定量プレートウェル当
たりBSAを含まない冷結合バッファー200μl中に再懸濁する。その後、D
MSO中、4mM N−5−アジド−2−ニトロベンゾイルオキシスクシンイミ
ド(ANBNOS、Pierce)をウェル当たり5μl添加し、混合する。試料を氷上にて
維持し、5〜10cmの距離でミネラライト(Mineralight)R−52Gランプ(U
VP Inc., San Gabriel, Calif.)を用いて10分間、UV照射を行なう。その後
、その試料をエッペンドルフマイクロチューブに移し、遠心分離により膜をペレ
ット化し、上清を取り除き、そしてポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE
)用のLaemmili SDSサンプルバッファー中に膜を可溶化させる。下記のごと
くPAGEを行なう。放射標識化タンパク質を、コダックXARフィルムとDupo
ntイメージ増強スクリーンを用いて、乾燥ゲルをオートラジオグラフィーにより
可視化する。
【0194】実施例8 膜の可溶化 膜の可溶化は、25mM トリス、pH 8、10% グリセロール(w/v)お
よび0.2mM CaCl2を含むバッファー(可溶化バッファー)中にて行なう
。トリトンX−100、デオキシコレート、デオキシコレート:リゾレシチン、
CHAPSおよびzwittergentを含む高可溶性界面活性剤を、可溶化バッファー
中において10%濃度作製し、凍結標本として保存する。リゾレシチンは凍結融
解の際に不溶化するため、新しく作製し、ジギトニンはその可溶性がより制限さ
れるために低濃度で新たに作製する。
【0195】 膜を可溶化するために、結合工程後の洗浄ペレットを、粒子が見えなくなるま
でピペッティングや可溶化バッファー中で100,000×gのボルテックスを
30分間行なって再懸濁する。この上清を取り出して氷上で維持し、ペレットを
除去する。
【0196】実施例9 可溶化受容体の検定 125Iリガンドを結合させ、界面活性剤を用いて膜を可溶化させた後に、無処
理のR:L複合体を4つの異なる方法によって検定することができる。全ての検
定は氷上、または4〜10℃の低温室で行う。
【0197】 1.カラムクロマトグラフィー(Knuhtsenら、Biochem. J. 254, 641-647, 1988
)。Sephadex G−50カラム(8×250mm)を、膜を可溶化するのに用い
た濃度の界面活性剤と1mg/ml ウシ血清アルブミンを含む可溶化バッファー
を用いて平衡化する。可溶化膜試料(0.2〜0.5ml)をカラムに充填し、約
0.7ml/分の流速にて溶出する。試料(0.18ml)を回収する。放射活性
をガンマ計測器にて決定する。カラム空隙容量をブルーデキストランの溶出量に
より決定する。空隙容量中に溶出する放射活性をタンパク質に対する結合と考え
る。溶出後の放射活性は、遊離125Iリガンドと同量の、非結合と考えられる。
【0198】 2.ポリエチレングリコール沈降(Cuatrecasas, Proc. Natl. Acad. Sci. USA
69, 318-322, 1972)。12×75mmポリプロピレンチューブ中に可溶化した
膜試料100μlに0.1M リン酸ナトリウムバッファー中の1%(w/v)ウ
シガンマグロブリン(シグマ)0.5mlを加えた後、25%(w/v)ポリエチ
レングリコール(シグマ)0.5mlを加えて、混合する。その混合物を氷上に
15分間維持する。その後、0.1M リン酸ナトリウム、pH 7.4を試料当た
り3ml加える。試料を素早く(1〜3秒)Whatman GF/Bガラス繊維フィル
ターでろ過し、リン酸バッファー4mlで洗浄する。PEG沈殿受容体:125
−リガンド複合体を、そのフィルターをガンマ計数することによって決定する。
【0199】 3.GFB/PEIフィルター結合(Brunsら、Analytical Biochme.132, 74-8
1, 1983)。Whatman GF/Bガラス繊維フィルターを0.3% ポリエチレンイ
ミン(PEI、シグマ)に3時間浸す。可溶化膜試料(25〜100μl)を1
2×75mmポリプロピレンチューブに移しかえる。その後、界面活性剤を含ま
ない可溶化バッファーを試料当たり4ml加え、その試料を素早く(1〜3秒)
GFB/PEIフィルターを通じてろ過し、可溶化バッファー4mlで洗浄する
。フィルターに吸着した受容体:125I−リガンド複合体のCPMをガンマ計数
することで決定する。
【0200】 4.木炭(チャコール)/デキストラン(PaulおよびSaid, Peptides 7[Suppl.
1], 147-149, 1986)。デキストランT70(0.5g、ファルマシア)を水1
リットル中に溶解させ、その後、活性炭(Norit A, アルカリン;Fisher Scient
ific)5gを加える。その懸濁液を室温で10分間攪拌した後、使用するまで4
℃で保存する。R:L複合体を測定するために、木炭/デキストラン懸濁液容量
4部を、可溶化膜容量1部に加える。試料を混合し、氷上に2分間維持した後、
ベックマン微量遠心管にて11,000×gで遠心分離を2分間行なう。遊離放
射リガンドは木炭/デキストランに吸着されており、ペレットと共に廃棄する。
受容体:124I−リガンド複合体は上清中に残存しており、それをガンマ計数に
より決定する。
【0201】実施例10 受容体の精製 ビオチニル−受容体のGH4Cl膜に対する結合は、上記のごとく行なう。室
温で1時間、インキュベートする。標準的な精製手段における結合インキュベー
トには10nM Bio−S29が含まれる。125I リガンドをトレーサーとし
て、膜タンパク質mg当たり5,000〜100,000cpmレベルで加える。
コントロールインキュベートには、ビオチン化していないリガンドを用いて受容
体を飽和させるための10μM 冷リガンドが含まれる。
【0202】 また、受容体:リガンド複合体の可溶化は0.2mM MgCl2を含む可溶化
バッファー中の0.15% デオキシコール酸:リゾレシチンを用いて上記のよう
に行ない、可溶化R:L複合体を含む100,000×g上清を得る。
【0203】 固定化ストレプトアビジン(6% ビーズ状アガロースに対する交差連結スト
レプトアビジン、Pierce Chemical Co.;「SA−アガロース」)を可溶化バッフ
ァー中にて洗浄し、可溶化膜に最終容量の1/30となるように添加する。この
混合物を4〜10℃で4〜5時間、反転ローテーションにより定期的に攪拌しな
がらインキュベートする。その後、この混合物をカラムに充填し、非結合物質を
洗い流す。SA−アガロースに対する放射リガンドの結合を、100,000×
g上清中のcpmをSA−アガロースに対する吸着後のカラム廃液のcpmと比
較することによって決定する。最終的に、カラムを0.15% デオキシコレート
を含む可溶化バッファー:1/500(vol/vol)100×4パセ(pase)を含
むリゾレシチンの12〜15カラム容量を用いて洗浄する。
【0204】 そのストレプトアビジンカラムを、0.1mM EDTA、0.1mM EGTA
、0.1mM GTP−ガンマ−S(シグマ)、0.15%(wt/vol)デオキシコ
レートを含む可溶化バッファー:1/1000(vol/vol)100倍の4pas
eを含むリゾレシチンを用いて溶出する。初めに、溶出バッファー1カラム容量
をこのカラムに通じ、流出を20〜30分間止める。その後、溶出バッファー3
〜4カラム容量を通じる。全ての溶出物をプールする。
【0205】 ストレプトアビジンカラム由来の溶出物を、固定化したコムギ胚芽凝集素(W
GAアガロース、Vector Labs)と共に一晩中(12〜15時間)インキュベー
トし、共有結合炭水化物の相互作用を介してWGAレクチンと受容体を吸着させ
る。ストレプトアビジンカラム溶出物に対するWGA−アガロースの割合(vol
:vol)は一般に1:400である。また、1:1000〜1:200範囲を用
いてもよい。結合工程後に、樹脂を遠心分離してペレット化し、上清を取り出し
て保存し、その樹脂を50mM HEPES、pH 8、5mM MgCl2、およ
び0.15% デオキシコレート:リゾレシチンを含むバッファー中にて3回(約
2分ごと)洗浄する。WGA−結合受容体を溶出するために、その樹脂を、この
樹脂の洗浄するのに用いたのと同じHEPESバッファーを中の10mM N−
N'−N''−トリアセチルシトトリロースを、毎回3樹脂カラムを用いて氷上で
15〜30分間かけて繰り返し混合(低速でのボルテックスミキサー)して3回
抽出する。各々の溶出工程後に、樹脂を遠心沈降させ、その上清を慎重に取り除
き、WGA−アガロースペレットを除去する。この3つのプールした溶出物には
、最終的な精製受容体が含まれる。WGAに結合していない物質には、ストレプ
トアビジンカラムから特異的に溶出したGタンパク質サブユニットと同様に、非
特異的な汚染物質が含まれる。これら全てのフラクションを−90℃で凍結保存
する。
【0206】実施例11 EDG6様GPCRポリペプチドに結合する被験化合物の同定 グルタチオン−S−トランスフェラーゼタンパク質を含むEDG6様GPCR
ポリペプチドを精製し、96ウェル微量定量プレートのグルタチオン誘導化ウェ
ルに吸着させたものを、生理バッファー溶液中、pH 7.0の低分子ライブラリ
ー由来の被験化合物と接触させる。EDG6様GPCRポリペプチドには、配列
番号:1に示されるアミノ酸配列が含まれる。被験化合物には蛍光タグが含まれ
る。この試料を5分〜1時間インキュベートする。コントロール試料は被験化合
物の非存在化にてインキュベートする。
【0207】 被験化合物を含むバッファー溶液をウェルから洗い出す。被験化合物のEDG
6様GPCRポリペプチドに対する結合を、ウェル内容物の蛍光測定によって検
出する。被験化合物をインキュベートしなかったウェルの蛍光と比較して、少な
くとも15%までウェルの蛍光を増大させる被験化合物を、EDG6様GPCR
ポリペプチドに結合する化合物として規定する。
【0208】実施例12 EDG6様GPCR遺伝子発現を減少させる被験化合物の同定 被験化合物をヒトの胃細胞の培養物に投与し、37℃で10〜45分間インキ
ュベートする。被験化合物を用いず、同時にインキュベートした同型の細胞の培
養物をネガティブコントロールとする。
【0209】 RNAをChirgwinら、Biochem. 18, 5294−99, 1979に記載のように2つの培
養物から単離する。全RNA20〜30μgを用いて、ノーザンブロットを調製
し、32P−標識化EDG6様GPCR特異的プローブを用いて、Express
−hyb(クローンテック)にて65℃でハイブリダイズさせる。このプローブ
には、配列番号:2の構成成分から選ばれる少なくとも11個の連続するヌクレ
オチドが含まれる。被験化合物の不存在下にて得られるシグナルと比較して、E
DG6様GPCRに特異的なシグナルを減少させる被験化合物を、EDG6様G
PCR遺伝子発現のインヒビターとして規定する。
【0210】実施例13 ヒトEDG6様GPCRの機能を増大させることによる炎症の処置 ヒトEDG6様GPCRを発現するポリヌクレオチドを、炎症を患っている患
者に投与する。患者の炎症の重症度を減少させる。
【0211】実施例14 EDG6様GPCRの定量発現プロファイリング 発現プロファイリングは定量ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析、または動
的(キネティクス)分析とも称される分析(最初にHiguchiら,1992、およびHiguch
iら,1993によって記載された)に基づく。重要なことは、PCR対数期の任意の
サイクルにおいて、産生物量が最初の鋳型のコピー数に比例していることである
。この技術を用いることで、染色体からメッセンジャーRNA(mRNA)とし
て転写される特定の遺伝子の発現レベルを、最初にDNAコピー(cDNA)を
mRNAから作製した後に、そのcDNAについて定量PCRを行なう、定量逆
転写ポリメラーゼ連鎖反応(定量RT−PCR)と称される方法で測定する。
【0212】 種々のヒト組織由来のRNAの定量RT−PCR分析を行い、EDG6様GP
CR mRNAの組織分布を調査する。種々の組織由来の全RNA(ヒト全RN
AパネルI〜V、Clontech Laboratories, Palo Alto, CA, USA)25μgを鋳
型として用いて、第一ストランドcDNAをRT−PCR用のSUPERSCRIPTTM
一ストランドA合成系(Life Technologies, Rockville, MD, USA)を用いて合
成する。第一ストランドcDNA合成は工業手順に従い、mRNAの3'ポリA
テイルとハイブリダイズするオリゴ(dT)を用い、合成反応を開始させて行な
う。その後、第一ストランドcDNA10ngをポリメラーゼ連鎖反応における
鋳型として用いる。ポリメラーゼ連鎖反応で2本鎖DNAの合成が上手くいった
場合にのみ形成されるDNA2重螺旋の副溝に結合する、DNA結合蛍光染色サ
イバーグリーンI(SYBR Green I)の存在下で、ポリメラーゼ連鎖反応をライト
サイクラー(LightCycler)(ロッシュモレキュラーバイオケミカルズ(Roche Mol
ecular Biochemicals), アメリカ合衆国インディアナ州インディアナポリス)に
て行なう(Morrisonら、1998)。2本鎖DNAと結合する際に、サイバーグリー
ンIはライトサイクラー器によって定量的に測定され得る光を発する。このポリ
メラーゼ連鎖反応はオリゴヌクレオチドプライマーEDG6H−L5(CCTC
CTTGCCAGCCTAGCTTTTGC)とEDG6H−R3(ATCTG
CAGGTCGGGGTTTCCTACG)を用いて行い、反応が温度81℃に
達する反応サイクルごとに発せられる光の強度を測定する。発せられた光の強度
を、同時に反応させた既知濃度のストランドを比較することによって、鋳型cD
NAng当たりの遺伝子転写物のコピー数に変換した。
【0213】 種々の組織型における細胞当たりのmRNA転写物レベルの差異を補正すべく
、標準化法は、種々の組織の5種のハウスキーピング遺伝子:グリセルアルデヒ
ド−3−ホスファターゼ(G3PDH)、ヒポキサチン グアニン フォフォリボ
シル(phophoribosyl) トランスフェラーゼ(HPRT)、β−アクチン、ポルフ
ォビリノーゲンデアミナーゼ(PBGD)、およびβ−2−ミクログロブリンに
おいて同様に計算した発現レベルを用いて行なう。このハウスキーピング遺伝子
発現レベルは、全ての組織で比較的一定していると考えられており(Adamsら、1
993, Adamsら、1995, Liewら、1994)、それ故cDNAの合成工程に用いられる
全RNAmu.g当たりの、細胞の適当な相対数に対するゲージとして用いるこ
とができる。わずかに異なる組みのハウスキーピング遺伝子を用いること、およ
び発現レベルを測定するのにライトサイクラー系を用いることを除けば、標準化
法はRNA Master Blot User Mamual, Apendix C(1997, Clontech Laboratori
es, Palo Alto, CA, USA)に記載のものと実質的に同一である。簡潔に述べると
、全ての組織試料における5つのハウスキーピング遺伝子の発現レベルを、ライ
トサイクラーと一定量の出発RNA(25μg)を用いて遺伝子当たり、独立し
た3回の反応で測定した。同時に反応させた既知濃度ストランドと比較して得ら
れた各々の遺伝子について計算したコピー数を記録し、全組織試料の遺伝子コピ
ー数の和パーセンテージに変換した。その後、それぞれの組織試料について、そ
れぞれの遺伝子のパーセンテージ値の和を計算し、標準として任意に選び出した
1つの組織のパーセンテージ値の合計で、それぞれの組織のパーセンテージ値の
合計を割ることによって、標準化因子を計算する。組織試料中の特定の遺伝子発
現について実験的に得られた値を標準化するために、得られた値を試験した組織
についての標準化因子で掛けた。
【0214】 結果を図3に示し、その左には実験的に得られた第一ストランドcDNA10
ng当たりのmRNAのコピー数を示し、右にはその標準値を示す。cDNA合
成に用いたRNAを、その供給元およびカタログナンバーにそって、図4に示す
【0215】引用文献 Higuchi, R., Dollinger, G., Walsh, P. S. およびGriffith, R. (1992) 特定
のDNA配列の同時増幅および検出. BioTechnology 10: 413-417。 Higuchi, R., Fockler, C., Dollinger, G. およびWatson, R. (1993) 動的PC
R分析: DNA増幅反応の実時間モニタリング. BioTechnology 11: 1026-1030
。 T. B. Morrison, J. J. Weis & C. T. Wittwer. (1998) 増幅時の連続サイバー
グリーンIモニタリングによる低コピー転写物の定量.Biotechniques 24: 954-
962。 Adams, M. D., Kerlavage, A. R., Fields, C. & Venter, C. (1993) 3,40
0の新規発現配列タグによるヒト脳における転写物の多様性の同定. Nature Gen
et. 4: 256-265。 Adams, M. Dら. (1995) cDNA配列の8300万ヌクレオチドに基づくヒト遺
伝子の多様性および発現パターンの初期評価. Nature 377 supp : 3-174。 Liew, C. C., Hwang, D. M., Fung, Y. W., Laurenson, C., Cukerman, E., Tsu
i, S. & Lee, C. Y. (1994) 発現遺伝子タグによって同定される循環系におけ
る遺伝子カタログ. Proc. Natl. Acad Sci. USA 91: 10145-10649。
【図面の簡単な説明】
【図1】 EDG6様GPCRポリペプチドのアミノ酸配列。
【図2】 図1に示すEDG6様GPCRポリペプチドをコードするDNA
配列。
【図3】 EDG6様GPCRポリヌクレオチドのTaqman発現プロフ
ァイリングの結果。
【図4】 発現プロファイリングに用いられる組織パネル。
【図5】 本発明のEDG6様GPCRとEDG6間の比較。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 39/395 A61K 48/00 4C084 A61P 11/06 4C085 45/00 29/00 4C086 48/00 37/06 4C087 A61P 11/06 37/08 4H045 29/00 C07K 14/705 37/06 19/00 37/08 C12N 1/15 C07K 14/705 1/19 19/00 1/21 C12N 1/15 C12P 21/02 C 1/19 C12Q 1/02 1/21 1/68 A 5/10 G01N 33/15 Z C12P 21/02 33/50 Z C12Q 1/02 33/53 D 1/68 M G01N 33/15 33/566 33/50 C12N 15/00 ZNAA 33/53 5/00 A A61K 37/02 33/566 37/48 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE ,DK,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD, GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,I S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG, MK,MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,P T,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL ,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US, UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 BB05 BB10 BB41 BB46 BB50 BB51 CB01 DA13 DA36 FA20 FB02 FB07 FB08 FB12 GC15 JA01 4B024 AA01 AA11 BA63 CA04 CA06 DA02 DA05 DA06 DA11 DA12 EA04 GA11 HA12 4B063 QA19 QA20 QQ08 QQ43 QR08 QR42 QR56 QS25 QS34 QX02 QX07 4B064 AG01 CA02 CA05 CA06 CA10 CA19 CC24 DA01 DA13 4B065 AA01X AA57X AA72X AA90X AB01 BA02 CA24 CA44 CA46 4C084 AA02 AA13 AA17 DC50 NA14 ZA591 ZB081 ZB111 ZB131 4C085 AA13 CC02 CC03 CC04 DD86 EE06 FF02 FF03 FF17 4C086 AA01 EA16 MA01 MA04 NA14 ZA59 ZB08 ZB11 ZB13 4C087 BC83 CA12 NA14 ZA59 ZB08 ZB11 ZB13 4H045 AA10 AA20 AA30 BA10 CA40 DA50 EA20 EA50 FA74

Claims (79)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 EDG6様GPCRポリペプチドをコードしている単離され
    たポリヌクレオチドであって、 a)配列番号1に示すアミノ酸配列と少なくとも約25%一致するアミノ酸配
    列;および、 配列番号1に示すアミノ酸配列 より成る群から選ばれるアミノ酸配列を包含するEDG6様GPCRポリペプチ
    ドをコードしているポリヌクレオチド; b)配列番号2に記載の配列を含むポリヌクレオチド; c)(a)および(b)に明記したポリヌクレオチドとストリンジェントな条
    件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド; d)遺伝コードの縮重のため、その配列が(a)から(c)に明記するポリヌ
    クレオチド配列から逸脱している配列のポリヌクレオチド;および、 e)(a)から(d)に明記したポリヌクレオチド配列の断片、誘導体または
    アレル変異体を表すポリヌクレオチド、 より成る群から選ばれるポリヌクレオチド。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の任意のポリヌクレオチドを含む発現ベクタ
    ー。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のポリヌクレオチドによりコードされている
    、実質上精製されたEDG6様GPCRポリペプチド。
  5. 【請求項5】 a)請求項3に記載の宿主細胞を、EDG6様GPCRポリ
    ペプチドの発現に好適な条件下で培養し;そして、 b)EDG6様GPCRポリペプチドを該宿主細胞培養から回収する工程、 を含む、EDG6様GPCRポリペプチドを調製する方法。
  6. 【請求項6】 a)請求項1に記載の任意のポリヌクレオチドを生体試料の
    核酸材料とハイブリダイズさせ、それによりハイブリダイゼーション複合体を形
    成させ;そして、 b)該ハイブリダイゼーション複合体を検出する工程、 を含む、生体試料中のEDG6様GPCRポリペプチドをコードしているポリヌ
    クレオチドを検出する方法。
  7. 【請求項7】 ハイブリダイゼーションの前に、生体試料の核酸材料を増幅
    させる、請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 生体試料を、請求項1に記載のポリヌクレオチドまたは請求
    項4に記載のEDG6様GPCRポリペプチドと特異的に相互作用する試薬と接
    触させる工程を含む、該ポリヌクレオチドまたは該EDG6様GPCRポリペプ
    チドを検出する方法。
  9. 【請求項9】 請求項6〜8のいずれかに記載の方法を実施するための診断
    キット。
  10. 【請求項10】 被験化合物を、請求項1に記載の任意のポリヌクレオチド
    によりコードされる任意のEDG6様GPCRポリペプチドと接触させ; 該EDG6様GPCRポリペプチドに対する被験化合物の結合を検出する工程
    、 を含むEDG6様GPCRの活性を低下させる物質をスクリーニングする方法で
    あって、該ポリペプチドに結合する被験化合物を、EDG6様GPCRの活性を
    低下させる可能性のある治療物質として同定する方法。
  11. 【請求項11】 被験化合物を、請求項1に記載の任意のポリヌクレオチド
    によりコードされるEDG6様GPCRポリペプチドと接触させ;そして、 該ポリペプチドのEDG6様GPCR活性を検出する工程、 を含むEDG6様GPCRの活性を調節する物質をスクリーニングする方法であ
    って、EDG6様GPCR活性を増大させる被験化合物を、EDG6様GPCR
    の活性を増大させる可能性のある治療物質として同定し、かつ該ポリペプチドの
    EDG6様GPCR活性を低下させる被験化合物を、EDG6様GPCRの活性
    を低下させる可能性のある治療物質として同定する方法。
  12. 【請求項12】 被験化合物を、請求項1に記載の任意のポリヌクレオチド
    と接触させ;そして、 該ポリヌクレオチドに対する被験化合物の結合を検出する工程、 を含むEDG6様GPCRの活性を低下させる物質をスクリーニングする方法で
    あって、該ポリヌクレオチドに結合する被験化合物を、EDG6様GPCRの活
    性を低下させる可能性のある治療物質として同定する方法。
  13. 【請求項13】 細胞を、請求項1に記載の任意のポリヌクレオチドまたは
    請求項4に記載の任意のEDG6様GPCRポリペプチドと特異的に結合する試
    薬と接触させ、それによりEDG6様GPCRの活性を低下させる工程、を含む
    EDG6様GPCRの活性を低下させる方法。
  14. 【請求項14】 請求項10〜12のいずれかに記載の方法によって同定さ
    れる、該EDG6様GPCRポリペプチドまたは該ポリヌクレオチドの活性を調
    整する試薬。
  15. 【請求項15】 請求項2に記載の発現ベクターまたは請求項14に記載の
    試薬および製薬的に許容し得る担体、を含む医薬組成物。
  16. 【請求項16】 疾患においてEDG6様GPCRの活性を調整するための
    、請求項15に記載の医薬組成物の使用。
  17. 【請求項17】 該疾患が慢性炎症性疾患、アレルギー性疾患、喘息または
    自己免疫疾患である、請求項16に記載の使用。
  18. 【請求項18】 配列番号1に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドをコー
    ドしているcDNA。
  19. 【請求項19】 配列番号2を含む請求項18に記載のcDNA。
  20. 【請求項20】 配列番号2より成る請求項18に記載のcDNA。
  21. 【請求項21】 配列番号1に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドをコー
    ドしているポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
  22. 【請求項22】 該ポリヌクレオチドが配列番号2より成る、請求項21に
    記載の発現ベクター。
  23. 【請求項23】 配列番号1に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドをコー
    ドしている発現ベクターを含む宿主細胞。
  24. 【請求項24】 該ポリヌクレオチドが配列番号2より成る、請求項23に
    記載の宿主細胞。
  25. 【請求項25】 配列番号1に示すアミノ酸配列を含む精製されたポリペプ
    チド。
  26. 【請求項26】 配列番号1に示すアミノ酸配列より成る、請求項25に記
    載の精製されたポリペプチド。
  27. 【請求項27】 配列番号1に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドを含
    む融合タンパク質。
  28. 【請求項28】 配列番号1に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドをコー
    ドしている発現ベクターを含む宿主細胞を、該ポリペプチドが発現される条件下
    で培養し;それにより、該ポリペプチドを単離する工程、を含む該ポリペプチド
    を調製する方法。
  29. 【請求項29】 該発現ベクターが配列番号2を含む、請求項28に記載の
    方法。
  30. 【請求項30】 配列番号2に記載の11個の連続ヌクレオチドを含むポリ
    ヌクレオチドを、生体試料の核酸材料とハイブリダイズさせ、それによりハイブ
    リダイゼーション複合体を形成させ;そして、該ハイブリダイゼーション複合体
    を検出する工程、を含む配列番号1に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドのコ
    ード配列を検出する方法。
  31. 【請求項31】 ハイブリダイズさせる工程の前に、核酸材料を増幅する工
    程をさらに含む、請求項30に記載の方法。
  32. 【請求項32】 配列番号2に記載の11個の連続ヌクレオチドを含むポリ
    ヌクレオチド;および、請求項30に記載の方法のための使用説明書を含む、配
    列番号1に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドのコード配列を検出するための
    キット。
  33. 【請求項33】 生体試料を、配列番号1に示すアミノ酸配列を含むポリペ
    プチドと特異的に結合する試薬と接触させて、試薬−ポリペプチド複合体を形成
    させ;そして、該試薬−ポリペプチド複合体を検出する工程、を含む該ポリペプ
    チドを検出する方法。
  34. 【請求項34】 該試薬が抗体である、請求項33に記載の方法。
  35. 【請求項35】 配列番号1に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドと特異
    的に結合する抗体;および、請求項33に記載の方法のための使用説明書、を含
    む該ポリペプチドを検出するためのキット。
  36. 【請求項36】 被験化合物を、(1)配列番号1に示すアミノ酸配列と少
    なくとも約25%一致するアミノ酸配列、および(2)配列番号1に示すアミノ
    酸配列、より成る群から選ばれるアミノ酸配列を含むポリペプチドと接触させ;
    そして、 該ポリペプチドに対する被験化合物の結合を検出する工程、 を含むEDG6様GPCRタンパク質の活性を調節できる物質をスクリーニング
    する方法であって、該ポリペプチドに結合する被験化合物をEDG6様GPCR
    タンパク質の活性を調節する可能性のある物質と同定する方法。
  37. 【請求項37】 接触させる工程が細胞においてである、請求項36に記載
    の方法。
  38. 【請求項38】 インビトロにおける細胞である、請求項36に記載の方法
  39. 【請求項39】 接触させる工程が無細胞系においてである、請求項36に
    記載の方法。
  40. 【請求項40】 該ポリペプチドが検出可能な標識を含む、請求項36に記
    載の方法。
  41. 【請求項41】 被験化合物が検出可能な標識を含む、請求項36に記載の
    方法。
  42. 【請求項42】 被験化合物が該ポリペプチドと結合している標識リガンド
    に取って代わる、請求項36に記載の方法。
  43. 【請求項43】 該ポリペプチドが固体支持体と結合している、請求項36
    に記載の方法。
  44. 【請求項44】 被験化合物が固体支持体と結合している、請求項36に記
    載の方法。
  45. 【請求項45】 被験化合物を、(1)配列番号1に示すアミノ酸配列と少
    なくとも約25%一致するアミノ酸配列、および(2)配列番号1に示すアミノ
    酸配列、より成る群から選ばれるアミノ酸配列を含むポリペプチドと接触させ;
    そして、 該ポリペプチドの活性を検出する工程、 を含むヒトEDG6様GPCRタンパク質の活性を調節する物質をスクリーニン
    グする方法であって、該ポリペプチドの活性を増大させる被験化合物を、ヒトE
    DG6様GPCRタンパク質の活性を増大させる可能性のある物質として同定し
    、かつ該ポリペプチドの活性を低下させる被験化合物を、ヒトEDG6様GPC
    Rタンパク質の活性を低下させる可能性のある物質として同定する方法。
  46. 【請求項46】 接触させる工程が細胞においてである、請求項45に記載
    の方法。
  47. 【請求項47】 インビトロにおける細胞である、請求項45に記載の方法
  48. 【請求項48】 接触させる工程が無細胞系においてである、請求項45に
    記載の方法。
  49. 【請求項49】 該活性がサイクリックAMP形成である、請求項45に記
    載の方法。
  50. 【請求項50】 該活性が細胞内カルシウム流動である、請求項45に記載
    の方法。
  51. 【請求項51】 該活性がホスホイノシチド代謝である、請求項45に記載
    の方法。
  52. 【請求項52】 被験化合物を、配列番号2に示すヌクレオチド配列を含む
    ポリヌクレオチドによりコードされている産物と接触させ;そして、 該産物に対する被験化合物の結合を検出する工程、 を含むヒトEDG6様GPCRタンパク質の活性を調節する物質をスクリーニン
    グする方法であって、該産物と結合する被験化合物をヒトEDG6様GPCRタ
    ンパク質の活性を調節する可能性のある物質として同定する方法。
  53. 【請求項53】 該産物がポリペプチドである、請求項52に記載の方法。
  54. 【請求項54】 該産物がRNAである、請求項52に記載の方法。
  55. 【請求項55】 細胞を、配列番号2に示すヌクレオチド配列を含むポリヌ
    クレオチドによりコードされている産物と特異的に結合する試薬と接触させ、そ
    れによりヒトEDG6様GPCRタンパク質の活性を低下させる工程、を含むヒ
    トEDG6様GPCRタンパク質の活性を低下させる方法。
  56. 【請求項56】 該産物がポリペプチドである、請求項55に記載の方法。
  57. 【請求項57】 該試薬が抗体である、請求項56に記載の方法。
  58. 【請求項58】 該産物がRNAである、請求項55に記載の方法。
  59. 【請求項59】 該試薬がアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項
    58に記載の方法。
  60. 【請求項60】 該試薬がリボザイムである、請求項58に記載の方法。
  61. 【請求項61】 インビトロにおける細胞である、請求項55に記載の方法
  62. 【請求項62】 インビボにおける細胞である、請求項55に記載の方法。
  63. 【請求項63】 配列番号1に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドと特異
    的に結合する試薬;および、製薬的に許容し得る担体、を含む医薬組成物。
  64. 【請求項64】 該試薬が抗体である、請求項63に記載の医薬組成物。
  65. 【請求項65】 配列番号2に示すヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチ
    ド産物と特異的に結合する試薬;および、製薬的に許容し得る担体、を含む医薬
    組成物。
  66. 【請求項66】 該試薬がリボザイムである、請求項65に記載の医薬組成
    物。
  67. 【請求項67】 該試薬がアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項
    65に記載の医薬組成物。
  68. 【請求項68】 該試薬が抗体である、請求項65に記載の医薬組成物。
  69. 【請求項69】 配列番号1に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドをコー
    ドしている発現ベクター;および、製薬的に許容し得る担体、を含む医薬組成物
  70. 【請求項70】 該発現ベクターが配列番号2を含む、請求項69に記載の
    医薬組成物。
  71. 【請求項71】 ヒトEDG6様GPCRタンパク質の機能を阻害する試薬
    の治療的有効量をそれを必要とする患者に投与し、それによりEDG6様GPC
    R疾患の症状を改善する工程、を含むEDG6様GPCR疾患を処置する方法。
  72. 【請求項72】 該試薬が請求項36に記載の方法によって同定される、請
    求項71に記載の方法。
  73. 【請求項73】 該試薬が請求項45に記載の方法によって同定される、請
    求項71に記載の方法。
  74. 【請求項74】 該試薬が請求項52に記載の方法によって同定される、請
    求項71に記載の方法。
  75. 【請求項75】 ヒトEDG6様GPCRタンパク質の機能を阻害する試薬
    の治療的有効量をそれを必要とする患者に投与し、それによりEDG6様GPC
    R疾患の症状を改善する工程、を含むEDG6様GPCR疾患を処置する方法。
  76. 【請求項76】 該試薬が請求項36に記載の方法によって同定される、請
    求項75に記載の方法。
  77. 【請求項77】 該試薬が請求項45に記載の方法によって同定される、請
    求項75に記載の方法。
  78. 【請求項78】 該試薬が請求項52に記載の方法によって同定される、請
    求項75に記載の方法。
  79. 【請求項79】 該EDG6様GPCR疾患が慢性炎症性疾患、アレルギー
    性疾患、喘息または自己免疫疾患である、請求項75に記載の方法。
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