JP2003522117A - 治療薬の送達のための二機能性分子 - Google Patents

治療薬の送達のための二機能性分子

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JP2003522117A JP2000604058A JP2000604058A JP2003522117A JP 2003522117 A JP2003522117 A JP 2003522117A JP 2000604058 A JP2000604058 A JP 2000604058A JP 2000604058 A JP2000604058 A JP 2000604058A JP 2003522117 A JP2003522117 A JP 2003522117A
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トーマス ダブリュ.ジュニア ファーコル
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Abstract

(57)【要約】 治療用分子、およびトランスサイトーシス受容体と特異的に結合するリガンドからなる二機能性分子は上皮細胞の基底外側表面から頂端表面へと特異的に輸送されうる。このアプローチは、適切なリガンドによるトランスサイトーシス受容体のターゲティングにより、上皮の頂端表面に治療用分子を直接的に送達する能力を提供する。したがって、治療用分子の最高濃度は頂端表面で得られると考えられ、そこで最大の治療効果を有しうると考えられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本出願は、1997年10月24日に提出された米国特許出願第08/957,333号の一部継
続出願であり、その開示は参照として本明細書に明確に組み入れられる。
【0002】発明の背景 上皮は種々の病原体に対する防御の第一線である。上皮細胞は低分子量の抗菌
ペプチド、抗菌酵素および抗プロテアーゼを産生する。しかし、治療用分子を上
皮細胞に特異的に向かわせるための最適な方法は当技術分野にはない。嚢胞性線
維症、喘息および肺気腫などの疾患において呼吸器上皮細胞に、ならびに例えば
炎症性腸疾患において腸上皮細胞に、治療薬を提供するための方法に対する継続
的な需要が当技術分野には存在する。
【0003】発明の概要 治療用分子の送達のために有用な二機能性分子、および治療用分子を細胞に送
達するための方法を提供することが本発明の1つの目的である。本発明の上記お
よび他の目的は、以下に述べる1つまたは複数の態様によって提供される。
【0004】 1つの態様において、本発明は融合タンパク質を提供する。本融合タンパク質
は、ヒトトランスサイトーシス受容体(transcytotic receptor)を標的とする
一本鎖Fv分子が治療用タンパク質と共有結合したものを含む。治療用タンパク質
は、例えば、α-抗トリプシン、インターロイキン-2もしくはインターロイキ
ン-10などのサイトカイン、またはペプチド抗生物質であってよい。適したペプ
チド抗生物質には、エロスポリン、アンフォマイシン、アスパルトシン(aspart
ocin)、バシトラシン、カペロマイシン(caperomycin)、コリスチン、ダクチ
ノマイシン、グルママイシン(glumamycin)、グラミシジンD、グラミシジンS、
ミカマイシンB、ポリミキシン、プリスチナマイシン、シオマイシン、スタフィ
ロマイシンS、チオストレプトン、チロシジン、チロトリシン、バリノマイシン
、バンコマイシン、ベラマイシン(veramycin)Bが含まれる。上皮細胞に送達す
ることを望む任意の治療用タンパク質を用いてよい。融合タンパク質はさらに、
50、40、30、20または10アミノ酸残基未満のリンカー領域を含んでもよい。リン
カーは、一本鎖Fv分子と治療用タンパク質との間に共有結合させることができる
【0005】 治療用タンパク質を上皮細胞に送達する方法も本発明のもう1つの面によって
提供される。本方法は以下を含む:治療用タンパク質が上皮細胞に送達されるよ
うに上記の融合タンパク質を患者に投与すること。上皮細胞は例えば、気道上皮
細胞または腸内腔細胞であってよい。肝臓を標的とすることもできる。投与様式
は当技術分野で知られた任意のものでよい。しかし、吸入および静脈内投与が好
都合でしかも有効であることが明らかになっている。
【0006】 核酸分子も本発明によって提供される。これらは、トランスサイトーシス受容
体を標的とする一本鎖Fv分子が治療用タンパク質と共有結合したものを含む融合
タンパク質をコードする。治療用タンパク質は、例えば、α-抗トリプシン、
インターロイキン-2もしくはインターロイキン-10などのサイトカイン、または
ペプチド抗生物質であってよい。上皮細胞に送達することを望む任意の治療用タ
ンパク質を用いてよい。融合タンパク質はさらに、50、40、30、20または10アミ
ノ酸残基未満のリンカー領域を含んでもよい。リンカーは、一本鎖Fv分子と治療
用タンパク質との間に共有結合させることができる。核酸分子の複製のため、お
よびコードされた融合タンパク質の発現のための宿主細胞およびベクターも提供
される。原核生物性および真核生物性にかかわらず、任意のベクターまたは宿主
細胞を用いうる。当技術分野ではこのような目的のための多くのベクターおよび
宿主細胞が知られている。望ましい用途のために適したセットを選択することは
当技術分野の技能の範囲に含まれる。
【0007】 本発明は、非タンパク質性治療用分子と連結したリガンドを含む二機能性分子
も提供する。リガンドは、ヒト重合免疫グロブリン受容体の分泌成分などのトラ
ンスサイトーシス受容体と特異的に結合する。連結はリガンドがトランスサイト
ーシス受容体と結合しうるような形で行われる。
【0008】 本発明のもう1つの態様は、治療用分子を上皮細胞に送達する方法を提供する
。二機能性分子が患者に投与される。二機能性分子は非タンパク質性治療用分子
と連結したリガンドを含む。リガンドは、ヒト重合免疫グロブリン受容体の分泌
成分などのトランスサイトーシス受容体と特異的に結合する。治療用分子はそれ
によって上皮細胞に送達される。上皮細胞は例えば、気道上皮細胞または腸内腔
細胞であってよい。肝臓を標的とすることもできる。投与様式は当技術分野で知
られた任意のものでよい。しかし、吸入および静脈内投与が好都合でしかも有効
であることが明らかになっている。
【0009】 したがって、本発明は、しばしば到達不能である、または確実に到達すること
が困難であるような身体の部分に治療用分子を送達する有効な手段を提供する。
【0010】発明の詳細な説明 本発明者らは、細胞のもう一方の側に治療用分子を送達することのできるトラ
ンスサイトーシス受容体を支持する細胞に対し機能的治療用分子を効率よく送達
できるということを発見した。このような受容体としては、小児の消化管内の免
疫グロブリン輸送受容体、胎盤内の免疫グロブリン輸送用受容体及び重合免疫グ
ロブリン受容体(pIgR)がある。例えば、pIgRは、上皮細胞の基底外側(basola
teral)表面まで輸送され、ここでこれは重合体抗体(21)すなわち2量体免疫グ
ロブリンA(dIgA)及び五量体免疫グロブリンM(pIgM)の内在化及び非分解性移
送のために特異的に適合化される。受容体リガンド複合体は、細胞を横断して先
端表面まで輸送され、ここで受容体は分割され、受容体の外形質ドメインに結合
されたdIgA又は分泌成分(SC)を管腔内に放出する(図1)。受容体は、エンド
サイトーシスのための天然のリガンドを必要とせず、ヒトのSCに対し向けられた
抗体(又はFab断片)に同様に効率の良いトランスサイトーシスが起こる(22)
。ヒトにおいては、受容体は例えば、管腔表面に到達する気道上皮細胞内及び粘
膜下腺の細胞、特に漿液細胞の中で発現される(23)。かくしてヒトにおけるpI
gRは、気管支及び細気管支に対する治療用分子の送達に充分適したものである。
【0011】 例えば、この受容体は、抗プロテアーゼといったような治療用分子を気道上皮
の先端表面へ送達させることができる。抗体ベースの治療用分子の輸送パターン
は、同様に、その他の組織に対して関連する治療用分子を送達するためにも使用
できる。例えば、胆管及び腸管は、管腔表面から比較的近づきにくく、この要領
でターゲティングすることができる。ヒトにおけるpIgRによる治療用分子のター
ゲティングは、肺に送達されない治療用分子が例えば小腸粘膜上皮細胞を通して
か胆汁内で腸管腔まで輸送され、そこで排出されることになるため、インビトロ
での付加的な安全性レベルを提供する。
【0012】 げっ歯類におけるpIgRの発現及び組織分布は、ヒトにおいて観察されたものと
は異なっている(35、36)。げっ歯類においては、受容体の発現は、SCの産生に
基づいて肺よりも肝臓において著しく大きい。その上、体循環内に注入された放
射性標識付けされたdIgAの50パーセントが、ラットの肝細胞によって血液から胆
汁まで急速に輸送され、一方2パーセント未満が2時間後に肺の中で検出される(
37)。ラット内のウサギ由来の抗SC Fab抗体の浄化及び組織分布は、天然リガン
ドと類似している。それでもなお、げっ歯類は、上皮に対する治療用分子の送達
のためのモデルとして役立つことができる。
【0013】 ターゲティング可能なもう1つの有用な受容体は、セルピン-酵素複合体(sec)
受容体である。この受容体はマクロファージの中に見られる。sec受容体をター
ゲティングすることにより、結核菌が存在するマクロファージ内への例えば抗結
核性抗体の送達が可能になるだろう。
【0014】 本発明の一態様においては、トランスサイトーシス受容体を特異的なリガンド
を含む二機能性分子が、標的へと治療用分子の送達のために使用される。トラン
スサイトーシス受容体のための結合部位を含むあらゆるリガンドを、二機能性分
子の構築に使用することができる。1つの適切なトランスサイトーシス受容体リ
ガンドは、抗体又は抗体由来の分子の抗原結合部位である。抗原結合部位を支持
するための最小の断片は、重鎖及び軽鎖のアミノ末端可変ドメインから成る26kD
aのヘテロダイマーである抗体のFv部分である(26)。抗原結合部分は、全抗体
、抗体断片又はサブ断片の中にあるかもしれない。抗体は、例えばIgG、IgM、Ig
A、IgD、IgEといったあらゆるクラスの全免疫グロブリン(IgG)、2重又は多重
の抗原又はエピトープ特異性をもつキメラ抗体又はハイブリッド抗体、又はハイ
ブリッド断片を含むF(ab')2、Fab'、Fabなどといった断片でもあり得る。治療
用分子をターゲティングするためには、トランスサイトーシス受容体に結合する
ことにより抗体のように作用するあらゆる免疫グロブリン又はあらゆる天然、合
成又は遺伝子工学処理されたタンパク質を使用することができる。
【0015】 ポリクローナル抗体の調製は、当技術分野において周知のものである標準的な
方法を用いて行なうことができる。抗体には、一般的に使用されるさまざまな動
物、例えばヤギ、霊長類、ロバ、ブタ、ウサギ、ウマ、雌鶏、モルモット、ラッ
ト又はマウスさらにはヒトの抗血清由来の、適切な選択及び精製後の抗血清調製
物が含まれる可能性がある。動物の抗血清は、従来の方法でトランスサイトーシ
ス受容体の免疫原性エピトープを動物に接種し、動物を放血させ、血清又は免疫
グロブリンを含有する血清分画を回収することによって生み出される。
【0016】 ハイブリドーマ由来のモノクローナル抗体(ヒト、サル、ラット、マウスなど
)も同様に、本発明において使用するために適しており、高い特異性という利点
をもつ。これらの抗体は、免疫原性トランスサイトーシス受容体調製物での哺乳
動物の免疫化、不滅の骨髄腫細胞系統と免疫性あるリンパ球又は脾細胞の融合及
び特異的ハイブリドーマクローンの分離の従来の手順であると現在一般にみなさ
れているものによって容易に調製される。種間融合及び超可変領域の遺伝子工学
操作といったような、モノクローナル抗体を調製するさほど従来通りでない方法
も、本発明におけるその有用性に影響を及ぼすのがトランスサイトーシス受容体
に対する抗体の特異性であることから、除外されるわけではない。
【0017】 1本鎖抗体も調製できる。トランスサイトーシス受容体に特異的に結合する1本
鎖抗体は、例えば、当技術分野において既知であるように、1本鎖免疫グロブリ
ン表示ライブラリから分離できる。このライブラリは、受容体のアミノ酸配列に
対して「パニング」され、受容体の異なるエピトープに対して高い親和力で結合
する一定数の1本鎖抗体を分離することが可能である。Hayashiら、1995,Gene16
0;129-30.鋳型としてハイブリドーマ cDNAを用いるポリメラーゼ連鎖反応(PC
R)といったようなDNA増幅方法を用いて、1本鎖抗体を構築することもできる。T
hirionら, 1996,Eur. J.Cancer Prev. 5:507-11。
【0018】 1本鎖抗体は、単一特異性又は2重特異性抗体であってもよいし、また2価又は4
価であってもよい。4価の2重特異性1本鎖抗体の構築は、例えばColoma及びMorri
son,1997,Nat, Biotechnol,15;159-63の中で教示されている。2価の2重特異
性1本鎖抗体の構築は、なかんづく、Mallender及びVoss, 1994,J. Biol. Chem.
269;199-206の中で教示されている。
【0019】 1本鎖抗体をコードするヌクレオチド配列を、手動式又は自動式のヌクレオチ
ド合成を用いて構築し、標準的な組換え型DNA方法を用いて発現構成体へとクロ
ーニングさせ、以下で記述するようにコーディング配列を発現するべく細胞の中
に導入することができる。代替的には、例えば、繊維状ファージ技術を用いて直
接、1本鎖抗体を産生することができる。Verhaarら、1995年、Int. J. Cancer61
;497-501;Nichollasら、J. Immunol, Meth. 165;81-91。
【0020】 二機能性分子内で治療として用いられる場合に抗体に対する免疫応答を患者が
起こすのを防ぐ目的で、モノクローナル抗体及びその他の抗体を「ヒト化」する
こともできる。このような抗体は、療法において直接使用されるのに充分なほど
ヒト抗体と配列が類似している可能性もあり、また、わずかな主要残基の改変を
必要とする可能性もある。例えばげっ歯類抗体とヒト配列の間の配列差は、例え
ば個々の残基の部位特異的突然変異誘発によりヒト配列のものと異なる残基を置
換することによってか又は全相補性決定領域を移植することによって、最小限に
おさえることができる。代替的には、GB2188638Bに記述されているように、組換
え型方法を用いてヒト化された抗体を生成することができる。pIgRといったよう
なトランスサイトーシス受容体に特異的に結合する抗体は、米国特許第5,565,33
2号内に開示されているように、部分的にか又は完全にヒト化された抗原結合部
位を含むことができる。
【0021】 マウス及びラットといったようなげっ歯類は、トランスサイトーシス受容体リ
ガンドを提供するため、ヒト抗体の大きなレパートリを産生するべく遺伝子工学
処理され得る。ヒト免疫グロブリン遺伝子座のセグメントをこれらのげっ歯類の
生殖細胞系の中に導入することができる。1〜2VHのセグメントを含むミニ遺伝子
座か又はヒト重及び軽免疫グロブリン遺伝子座の大きな連続断片を使用すること
ができる。望ましい場合、げっ歯類抗体を作らないげっ歯類を作り出すために遺
伝子ターゲティングを使用することができる。工学処理されたげっ歯類は、充分
にヒトである抗体を産生する。特に、ヒト抗原を含めさまざまな抗原に対する親
和性及び特異性をもつヒトモノクローナル抗体を産生することが可能である。こ
のとき、ヒト抗体は、発明の二機能性分子内で使用するためのトランスサイトー
シス受容体リガンドを提供するために使用できる。完全ヒト抗体を遺伝子導入げ
っ歯類から産生する方法は、当技術分野において周知のものである(86-92)。
【0022】 本発明の二機能性分子を構築するためにその他のタイプの抗体を構築し使用す
ることもできる。例えば、ヒト定常領域及びマウス可変又は結合領域といったよ
うな2つの異なる種から誘導された部分を含むキメラ抗体を構築することができ
る。2つの異なる種から誘導された部分は、従来の技術によって化学的に接合さ
せることもできるし、或いは又遺伝子工学技術を用いて単一の隣接タンパク質と
して調製することもできる。キメラ抗体の軽鎖及び重鎖の両方の部分のタンパク
質をコードするDNAを隣接タンパク質として発現させることが可能である。キメ
ラ抗体は、W093/03151に開示されているように構築することができる。W094/138
04中に記述されている「ダイアボディ」といったような、免疫グロブリンから誘
導され多価で多重特異性である結合タンパク質も同様に調製することができる。
【0023】 抗体は、当技術分野において周知の方法によって精製されうる。例えば、トラ
ンスサイトーシス受容体が結合されている1本のカラム全体に抗体を適すことに
よって、抗体を親和力精製することができる。その後、結合した抗体を、高い塩
濃度をもつ緩衝液を用いて、カラムから溶出させることができる。
【0024】 また、例えば、確率論的に生成されたポリヌクレオチド配列を含む発現ベクタ
ーのライブラリーを用いて、トランスサイトーシス受容体リガンドを産生するこ
とも可能である。発現ベクターを含有する宿主細胞を培養して、ポリヌクレオチ
ド配列によってコードされたポリペプチドを産生させる。次に、非変性ゲルを通
しての電気泳動、カラムクロマトグラフィー、酵母2ハイブリッド検定などとい
った当技術分野において既知のタンパク質結合検定を用いて、トランスサイトー
シス受容体に結合する能力について、ポリペプチドをスクリーニングすることが
できる。リガンドを生成するこの方法は、参照として本明細書中に組み入れられ
ている米国特許第5,763,192号の中で教示されている。トランスサイトーシス受
容体のためのリガンドを生成するためには、コンピュータ援用分子設計も同様に
使用可能である。(93、94)。
【0025】 トランスサイトーシス受容体のためのリガンドは、細胞に対してターゲティン
グされた送達のためさまざまな治療用分子にカップリングされ得る。カップリン
グできる治療用分子のクラスとしては、ステロイド、タンパク質,炭水化物、必
須アミノ酸、ビタミン、アルカロイド、グリコシド、脂質、放射性同位元素、検
出可能な標識、キレーター、ホウ素化合物、毒素などが含まれる。静真菌、静マ
イコバクテリア、静菌、化学療法、抗ウイルス、殺住血吸虫、殺トリパノゾーマ
、静ライ菌、殺虫、殺寄生虫、栄養、ホルモン、麻酔、気管支拡張、血管収縮、
血管拡張、制酸、緩下、催吐、鎮吐、吸着、消化、抗ヒスタミン、鎮痙、抗腫瘍
、殺菌、制吐、抗菌、診断、通利、鎮咳、筋弛緩、鎮静、抗炎症、アドレナリン
拮抗又は作動、ムスカリン様拮抗又は作動、免疫抑制、利尿、整腸、減量或いは
去痰効果を含む(但しこれらに制限される訳ではない)効果をもつ治療用分子が
、このような分子をトランスサイトーシス受容体リガンドにカップリングさせる
ことによって効果的にターゲティングされ得る。
【0026】 ターゲティングすべき治療用分子は、カップリングされる特定の治療用分子に
適切であるような標準的化学接合技術を用いて、トランスサイトーシスリガンド
に対しカップリングされ得る。抗体又はその他のタンパク質リガンドといったよ
うなタンパク質を第2の分子にカップリングする方法は、当技術分野において周
知のものであり、例えば、参照として本明細書中に組み入れられている米国特許
第5,082,928号、米国特許第5,057,313号、米国特許第4,671,958号、米国特許第5
,663,306号及び米国特許第5,106,951号の中で記述されている。使用可能な反応
には、エステル化、アミド化、混合無水物形成、ヘミアセタノール形成、過ヨウ
素酸塩カップリング及びエーテル化が含まれる。
【0027】 リガンド及び治療用分子は、トランスサイトーシス受容体に対するリガンドの
結合が損なわれないような形でカップリングされるべきである。カップリングは
、治療用分子がその未変性形態で放出されたときにより有効であるか、又は治療
用分子の薬学的活性がリガンドにリンクされた状態にある間維持されうるかに応
じて、分割可能なリンク又は分割不可能なリンクを用いて行なうことができる。
治療用分子は、カルボキシル又はスルフヒドリル基又はリシン残基といったよう
なリガンド上の或る種の基の求核置換を通してトランスサイトーシス受容体リガ
ンドに直接リンクさせることが可能であり、そうでなければ、TRMはヘテロ又は
ホモ二機能性クロスリンカーを用いてリガンドに対し接合され得る。リンカー基
は、接合のため化学的リンカーと置換された小さな有機化合物又はペプチドであ
りうる。分割可能なリンカーの例としては、N-スクシニミジル-3-(2-ピリジル
ジチオ)プリオプリオネート(SPDP)、シス-アコニット酸,シス-カルボン酸ア
ルカジエン、シス-カルボン酸アルカトリエン、及びポリマレイン酸無水物とい
ったような酸不安定リンカーが含まれる。その他の分割可能なリンカーは、第一
級アルコール基に付着する能力をもつ。
【0028】 1つの態様においては、プロテアーゼのためのタンパク質分解性分割認識配列
を含むリンカーを使用してトランスサイトーシス受容体リガンドに対し治療用分
子をカップリングすることができる。このようなタンパク質分解性分割認識配列
は、高レベルのプロテアーゼ活性により特徴づけされる活性感染部位に治療用分
子の放出を制限するために使用することができる。例としては、マトリクスメタ
ロプロティナーゼ(MMP)で活性化され表皮細胞成長因子でターゲティングされ
たレトロウイルスベクター(79)、ドキソルピシンペプチドプロドラッグ(80)
及び融合誘導ペプチド-リポソーム接合体(81)のヒト好中性エラスターゼ(HNE
)媒介された活性が含まれる。エラスターゼ及びカテプシンGは、好中球の一次
顆粒内に含まれ感染部位において高レベルで見い出されるプロテアーゼである。
大部分のプロテアーゼは、タンパク質分解性分割の結果としてその活性化が得ら
れるチモーゲンとして存在するものの、エラスターゼ及びカテプシンGは、好中
球の貯蔵顆粒の中で完全に活性であることが発見されている2つの例外を成して
いる。従って感染に対して有効な毒性抗生物質を、特異的プロテアーゼ認識部位
を含むペプチドリンケージを用いて、トランスサイトーシス受容体リガンドにカ
ップリングすることができる。
【0029】 エラスターゼ及びカテプシンGは、類似の基質特異性を共有するが、エラスタ
ーゼは、カテプシンGがその最良の基質に対してもつ反応性の70倍の反応性をそ
の最良の基質に対して有している(83)。使用可能なエラスターゼ認識部位には
、N-Ac-Ala-Ala-DOPE、Ala-Ala-Pro-Val、 及びMeO-Suc-Ala-Ala-Pro-Val-pNA(
82、83)が含まれる。後者の認識部位は、最も有効なクロロメチルケトンエラス
ターゼ阻害物質MeO-Suc-Ala-Ala-Pro-Val-CH2Cl(84)の正確な類似体である。
このエラスターゼ合成ペプチド基質は、天然ポリペプチド基質により良く似るよ
うに分割部位のすぐ後にp-ニトロアニリド(pNA)含有アミド結合を有し、N末端
MeO-Sucリンケージは、水中のペプチドの溶解度を増大させる。カテプシンのG認
識部位には、MeO-Suc-Ala-Ala-Pro-Met-pNA(82)、Suc-Ala-Ala-Pro-Phe-pNA、及
びSuc-Ala-Ala-Pro-Lys-pNA(85)が含まれる。このようにして特定の治療用分子
の放出が望まれる速度及び濃度に応じて認識部位及びプロテアーゼを選択するこ
とができる。
【0030】 本発明の二機能性分子を用いて処理できる呼吸器系の疾患には、制限的な意味
なく、嚢包性繊維炎、喘息及び気腫が内含される。クローン病及び潰瘍性大腸炎
といったような特発性炎症性腸疾患ならびにウイルス性、細菌性及び寄生虫性感
染といったような立証された原因をもつ炎症性腸疾患も同様に、本明細書に開示
された二機能性分子を用いて治療することができる。これらの疾患を治療する上
で有用な治療用分子は、トランスサイトーシス受容体リガンドに対して治療用分
子をカップリングすることによって適切な部位にターゲティングされ得る。例え
ば、抗生物質コルチコステロイド又はIL-10といったようなその他の有効な治療
用分子を、気腫又は喘息患者において気道上皮にターゲティングさせることがで
きる。同様にして、コルチコステロイド、抗生物質、免疫抑制薬又はIL-10とい
ったようなその他の有効な治療用分子を、クローン病疾患者又は潰瘍性大腸炎患
者の腸上皮にターゲティングすることもできる。
【0031】 発明の1つの態様においては、抗生物質が、pIgRといったようなトランスサイ
トーシス受容体を含む細胞にターゲティングされる。好ましくは、この細胞は、
気道又は腸上皮細胞といったような上皮細胞である。ターゲティングされ得る抗
生物質には、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、スト
レプトマイシン及びトブラマイシンといったアミノグリコシド系;セファマンド
ール・ナファート、セファゾリン、セファレキシン、セファログリシン、セファ
ロリジン、セファロチン、セファピリン及びセファラジンといったセファロスポ
リン系;アモキシシリン、アンピシリン、カルベニシリン、クロクサシリン、ジ
クロクサシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンG、ペニ
シリンV及びチカルシリンといったペニシリン系;スルフォナミド系;バシトラ
シン、コリスチメセート、コリスチン及びポリミキシンBといったポリペプチド
系抗生物質、シプロフラキシンといったフルオロキノロン系;クロルテトラサイ
クリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、メタサイクリン、ミノサイク
リン、オキシテトラサイクリン及びテトラサイクリンといったテトラサイクリン
系;及び、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、シクロセリン、リンコマ
イシン、エリスロマイシン、リファンピン、スペクチノマイシン、バンコマイシ
ン、バイオマイシン、ホスホマイシン、フシジン酸ナトリウム及びノボビオシン
といったその他の抗生物質が含まれるが、これらに制限される訳ではない。
【0032】 本発明のもう1つの態様においては、二機能性分子は、治療用タンパク質に共
有結合によってリンクされたヒトトランスサイトーシス受容体に対して向けられ
た1本鎖Fv分子を含む融合タンパク質である。この態様において、1本鎖Fv分子は
トランスサイトーシス受容体リガンドである。1つの可変ドメインのカルボキシ
末端をペプチドリンカーを用いてもう1つの可変ドメインのカルボキシル末端に
付着させる遺伝子工学処理された1本鎖Fv(Fv)ペプチドが合成された(27〜29
)。これらのFv断片は、トランスフェリン受容体といったような特異的抗原を結
合するものであることが示され(30)、ターゲティングされた細胞に融合タンパ
ク質を局在化させるために使用されてきた。研究者らは、このようなキメラを、
組換え型毒素(例えば、シュードモナス外毒素)を含有する融合タンパク質を送
達しかつ適切な受容体を発現する細胞をインビトロ及びインビボで選択的に殺す
ために使用してきた(30、31)。両方の成分のこのような融合及び保持機能を表
明する実験が、当技術分野において数多く存在している。代替的細胞のターゲテ
ィングを可能にする異なるFv断片を、異なる受容体のターゲティングのために利
用することができる。例えば、ガン細胞は、ガン細胞に毒素をターゲティングす
るのに使用できる受容体を有する。このような受容体の一例は、EGFRvIIIである
。米国特許第5,212,290号は、このようなガン細胞特異的受容体に対する抗体を
開示しており、参照として本明細書中に組み入れられている。
【0033】 特に、本発明の二機能性分子は、嚢胞性繊維症を治療するために特に適してい
る。嚢胞性繊維症(CF)患者は人生の早期において、上皮防御が破られている。
生きた細菌がひとたびその表面に達すると、上皮細胞は、インターロイキン8(I
L-8)及びインターロイキン6(IL-6)を放出しかつインターロイキン10(IL-10
)の発現を低減させることによって初期炎症応答を導く。好中球のための付着分
子発現の増大と組合わせた場合、化学的誘引物質は、気道内への炎症性細胞移動
を増強させる。ひとたびそこにつくと、好中球は、細菌を浄化しようとして、プ
ロセス中に分解酵素を放出する。好中球が上皮に付着した状態にとどまる場合、
これらの酵素は、まさに上皮表面で放出される。細胞の機械的分断さらには好中
球エラスターゼ(NE)の低い濃度の両方が、結果として気道上皮からのプロ炎症
性メディエーターのより大きい放出をもたらす。かくして炎症性応答がさらに増
強される。
【0034】 このサイクルを中断するためのいくつかの戦略が提案されてきた。上皮表面に
おける気道の抗菌防御を増大させることが有用でありうる。気道内に移動する好
中球によって発生する炎症性応答の上昇の防止は、気道細胞表面におけるエラス
ターゼの作用を防止することによって達成可能である。残念なことに、CF患者に
おける抗プロテアーゼの使用を検査する臨床研究の結果は、失望させられるもの
であった。αt-抗トリプシン(AtAT)の全身投与は効果がなく、抗プロテアーゼ
の静脈内投与によって達成されるレベルは、CF患者の肺の中に圧倒的量のNEを阻
害するには不充分なものである。エアゾール投与されたAtATは、気道に対する直
接的送達を可能にするはずであるが、噴霧化によって送達された抗プロテアーゼ
は、不均等であり、細胞の表面にある発症部位ではなくむしろ粘膜ブランケット
の上に薬物を被着させる。本発明はこれらの問題点を回避する。
【0035】 本発明を用いると、さまざまな機能的タンパク質を気道表面に選択的に送達す
ることができる。これらには、制限的な意味なく、タンパク質抗生物質、抗体、
サイトカイン及び酵素が含まれる。AtAT及びSLP1も同様に、本発明の融合タンパ
ク質又は二機能性分子を用いてターゲティングすることができる。例えば、Pseu
domonas aeruginosaが気道上皮細胞と相互作用してIL-8及びその他のプロ炎症性
メディエーターの産生を刺激する場合には、抗菌防御がまさに上皮表面で発生す
ることが非常に重要でありうる。組換え型デフェンシン又はプロテグリン、内因
性抗菌ペプチドも同じく、本発明の二機能性分子を用いて繊毛周囲の空間まで送
達され得る。実際、このような抗菌ペプチドは、ヒトの気道上皮細胞内で同定さ
れてきた(8,9)。Pseudomonas aeruginosaに対する或る種のデフェンシンの機
能は、CF肺内のELFの改変した電解質組成によって妨害され得る(32)。かくし
て、ELFの塩化物濃度が異常である場合、これらの抗菌ペプチドの塩非感受性形
態を使用することができる。もう1つの興味をそそる戦略は、CF患者における肺
感染を治療するためにすでに使用されている作用物質である(33)コリスチンを
抗ヒトSCFvにカップリンクすることである。上皮表面においてシュードモナスを
殺すことは、炎症プロセスを刺激するのが細菌と上皮細胞の相互作用である場合
に価値あることでありうる。上皮表面に対し抗炎症性サイトカインを輸送するこ
ともでき(34)、インターロイキン10(IL-10)の特異的送達により肺の炎症を
遮断でき、こうして気道内の好中球の流入を防ぐことが可能である。
【0036】 SLPIは、二機能性分子の抗プロテアーゼ成分としてAtATに比べて潜在的利点を
もつ。SLPIは、気管支内分泌のエラスターゼ阻害能力の大部分を占めるセリンプ
ロテアーゼの有力なアンタゴニストであり、血清中のその機能又は安定性のため
にグリコシル化を必要としない(11、12)。例えば、以上で記述された技術を用
いてSLP1にリンクされた抗ヒトSCFvを含有する二機能性タンパク質をコードする
遺伝子を用いて、融合タンパク質を産生することができる。ヒト気道上皮細胞か
らの全SLP1 cDNAは、抗プロテアーゼ遺伝子のためのプライマーを用いて増幅さ
れ得る。発現ベクター内へのクローニングを可能にするため、ユニークなCla1部
位を含む制限エンドヌクレアーゼのための特異的認識部位をヒトSLP1オリゴヌク
レオチドプライマー内に取込むことが可能である。SLP1をコードする遺伝子を、
モノクローナル抗体から抗ヒト分泌成分1本鎖Fvに対し下流側でクローニングベ
クター、プラスミドpRc/CMV内に「インフレーム」挿入することができる。キメ
ラ遺伝子の配列は、容易に確認可能である。融合タンパク質の治療用成分として
使用することのできるその他のタンパク質には、サイトカイン、インターロイキ
ン2,インターロイキン10及びペプチド抗生物質が含まれる。
【0037】 融合タンパク質は、1本鎖抗体及び治療用タンパク質に加えて、その他のポリ
アミノ配列を含むことができる。タンパク質の2つの部分を互いに離隔させそれ
らの間に融通性をもたせるためにリンカー領域が望まれる可能性もある。標準的
には、これらは、30個未満のアミノ酸残基で、主に中性残基で構成されることに
なる。望まれる場合、その他の半分も内含されていてよい。これらの半分には、
融合タンパク質の精製及び処理又は小型分子の化学的カップリングのための融合
タンパク質の修飾のために有用でありうるアビジン又はエピトープといったよう
な結合領域が内含されていてよい。さらに体内又は細胞内を通しての融合タンパ
ク質の輸送を適切に監視できるように、融合タンパク質に対し検出可能なマーカ
ーを付着させることもできる。このようなマーカーとしては、放射性核種、酵素
、フッ素などが内含され得る。
【0038】 本発明の二機能性分子は、上皮細胞への投与のために特に有用である。気道上
皮細胞及び腸管腔細胞は、分子にとって特に優れた標的である。ターゲティング
された又は局在化された投与様式といったようなこれらの器官に対するあらゆる
投与様式でうまく行くが、本発明の二機能性分子は、例えば静脈内、筋肉又は皮
下注射又は吸入によるように、全身的に投与され得る。分子のトランスサイトー
シス受容体リガンド部分は、優れたターゲティング手段を提供し、かくして、タ
ーゲティングされた投与手段に対する必要性を軽減させる。
【0039】 投与のための適切な用量を、容易に決定でき、送達される治療用分子に幾分か
左右されることになる。ただし、標準的用量範囲は0.05mg〜5000mg、好ましくは
0.5mg〜500mg、さらに好ましくは1mg〜50mg又は5〜50mgの間となる。分子がター
ゲティングされているという性質に起因して、治療用分子を単独で投与するとき
に必要とされることになるものよりも少ない用量で治療用分子を使用することが
できる。肺嚢胞性繊維症に対する抗プロテアーゼの送達の場合、例えば好中球エ
ラスターゼに対する防御を達成するためには約10〜100mg、好ましくは70mgの静
脈内投与することが必要となる。
【0040】 以下の実施例は、本発明の特定の態様を提供している。ただし、本発明は、こ
れらの実施例の範囲によって制限又は定義されるものではない。
【0041】実施例1 重合免疫グロブリン受容体のインビトロでのターゲティング 本発明者らは、ポリLリジンに共有結合させた、ヒトSCに対して免疫したウサ
ギ由来ポリクローナル抗体のFab部分からなる複合体がプラスミドDNAに結合し濃
縮するであろうことを示している(38)。複合体は、pIgRを発現するよう誘導さ
れた培養中のヒト気管上皮細胞に効果的に外来遺伝子を送達する(38)。受容体
の発現を下方制御する条件であるプラスチック上で成長させたヒト気管上皮細胞
はレポーター遺伝子を発現することができないが、コラーゲンゲル上で維持され
た同一の気管に由来する細胞はトランスフェクトされることができる。したがっ
て送達は培養中で受容体を発現する細胞に特異的である。
【0042】 DNAの送達は培養液中の過剰のヒトSCにより阻害され、おそらくFab断片の認識
部位を占有し、受容体との相互作用を阻止すると考えられる。しかしながら、pI
gRに対する4倍モル過剰量のdIgAとの競合は複合体の送達を阻止できず、おそら
くpIgR上のdIgAおよび抗体の結合サイトは重複していないと考えられる。または
天然型リガンドは、抗ヒトSCとは受容体を効果的には競合しないかもしれず、ま
たは受容体は過剰量存在するかもしれない。無関係な抗体由来のFab断片との複
合体の使用はレポーター遺伝子の発現を可能にしないため、取り込みは培養液中
にFab断片が存在することに対する二次的なピノサイトーシスの非特異的増加に
よるものではない。
【0043】 初代培養中の様々な比率のヒト気管上皮細胞がpIgRを介してトランスフェクト
された。本発明者らは培養細胞における受容体発現の差が観測された変動の多く
を説明することを示した。結合体により送達されたレポーター遺伝子を発現する
細胞が5%から66%であるのと比較して、免疫蛍光法により同定可能なpIgRを発
現する培養中のヒト気管上皮細胞の割合は8%から35%の範囲であった。レポー
ター遺伝子の発現は免疫組織化学法により同定される受容体発現細胞と共局在し
ていた。したがってヒトSCに対するFab断片を有する結合体はpIgRを発現する細
胞への巨大分子のインビトロでの取り込みを媒介する(38)。
【0044】実施例2 重合免疫グロブリン受容体のインビボでのターゲティング これらの抗体がdIgAと同じ血管分布およびクリアランスを有するかを決定する
ために、成体ラットにおける抗ラットSC Fab断片の輸送パターンを検討した。50
マイクログラムの抗ラットSC抗体が全身循環へ注入された。胆汁および血液の連
続試料が10分毎に回収され、酵素結合抗体免疫アッセイ法(ELISA)によりウサ
ギ由来抗体の存在が検討された。抗SC Fabは迅速に血液より除去され、その抗体
は注入後20分には胆汁中に現れた(図2)。胆汁への取り込みは免疫前ウサギ由
来Fab抗体の注入後では確認されなかった(図2)。しかしながらラット抗SC Fab
は注入後2時間のBAL液中では検出されずこれはELFの50倍希釈と関連していると
考えられた。加えてBALは受容体が発現していない肺胞腔から優先的にサンプリ
ングしている。
【0045】実施例3 pIgRを用いたラットへのインビボ遺伝子送達 pIgRはインビボでのラットへの遺伝子送達のために開発された(39)。受容体
は非対称に上皮細胞の基底側表面に主に分布しているので、複合体は最適には全
身循環により送達されるべきである。本発明者らの最初の実験ではレポーター遺
伝子のラット肺および肝臓への移送が試験された(39)。pIgRを発現しない2つ
の組織、心臓と脾臓もまた対照として試験された。大腸菌(Escherichia Coli
)pUC19ベクターに挿入されたホタルの1種(Photinus pyralis)ルシフェラー
ゼ遺伝子に連結されたSV40ウイルスプロモーターおよびエンハンサーからなる、
300マイクログラムの発現プラスミドpGL2が抗SC Fabポリリジン結合体と複合体
化され、ラットの尾部大静脈に注射された。
【0046】 ルシフェラーゼの発現は肝臓と肺由来のホモジネートでは検出されたが、脾臓
または心臓由来のものでは検出されなかった。無関係なプラスミドまたは無関係
なFab断片に基づく担体と結合された真正な発現プラスミドのいずれかを含む複
合体を用いて処理された動物由来の全ての検索された組織において有意なルシフ
ェラーゼ活性は検出されなかった。したがってpIgRを有する細胞を含む組織のみ
がトランスフェクトされ、形質導入は非特異的な取り込みに帰することはできな
い。
【0047】 特に、抗ラットSC Fabが胆汁で優先的に回収されたにも関わらず、ラットにお
ける導入遺伝子の発現は肺で最大であり肝臓ではそれより少なかった。したがっ
て気道は十分量のトランスフェクション複合体により明らかにアクセスされる。
導入遺伝子の細胞分布を検討したところ気管上皮細胞の17パーセントが微生物β
ガラクトシダーゼ陽性であった。しかしながら、より感度の高いレポーター(ヒ
トインターロイキン2受容体遺伝子)は気管上皮細胞の大多数が導入遺伝子を発
現していることを示した(図15)。これらのデータは抗SC Fabによってのみ指向
されたトランスフェクション複合体が静脈投与後に気道上皮細胞にアクセスする
能力を証明した(39)。
【0048】実施例4 免疫原性を低下させるための分子結合体の修飾 次に、免疫原性を低下させるために分子結合体が修飾された。特に抗SCFv断片
がリガンドとして合成された(図3)。本研究方法は、上述された研究で使用さ
れたポリクローナル抗体に代わるモノクローナル抗体の作製、および1本鎖Fvの
調整を必要とする。この戦略はFabの種特異的定常領域を除去し、可変ドメイン
内の依然としてマウス特異的であるフレームワーク領域のみを残す。
【0049】実施例5 ヒト重合免疫グロブリン受容体に対するモノクローナル抗体の産生 ヒト初乳から単離された精製ヒトSCを用いてBalb/cマウスが過免疫化された。
マウスはヒトSCの腹腔内注射を受け、フロイント補助物質の皮下注射を受け、各
週毎に採血された。ヒトSCに対する抗体の産生を検出するためELISAが使用され
た。接種された5匹のマウスのうち3匹が、2回目の免疫後2週間時に血清において
抗原に対する十分な応答を示した。2匹のマウスから脾臓が採取され、ハイブリ
ドーマ細胞を生成する標準的研究法を用いてSP2/0マウス骨髄腫細胞系との融合
実験に使用された(42)。
【0050】 ハイブリドーマ細胞はその後、融合しなかった骨髄腫細胞を除去するためのヒ
ポキサンチンおよびチミヂンを含む選択培地中に置かれた。上清が抗ヒトSC抗体
の産生を分析するために使用された。陽性ハイブリドーマ細胞が限界希釈により
2度クローニングされた。いくつかのサブクローンがELISAで検出されるように抗
ヒトSC抗体の産生を持続した。ヒトSCに対するモノクローナル抗体が生成され、
その全てが精製ヒトSC(図4)およびsIgA(図4)との交差反応した。したがって
これらの抗体は天然型リガンドの結合部位以外のエピトープを認識する可能性が
最も高い。蛍光活性化細胞分類装置(FACS)を用いた分析に基づいて、ヒトpIgR
をコードするcDNAを形質導入したMDCK細胞の表面に発現された受容体を最もよく
認識するのでモノクローナル抗体4121および4214が初期の実験のために選択され
た。
【0051】実施例6 抗ヒト分泌因子のFv断片をコードする発現プラスミド 抗ヒトSC抗体のVLおよびVH部分がハイブリドーマ細胞株からクローニングされ
た。抗体産生細胞より全細胞RNAが抽出され、mRNA転写産物がランダムヘキサマ
ーをプライマーとして用い、モロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素により処
理された。その結果として生じるcDNA分子が、Nichollsおよび同僚(43)に記載
されるように異なるオリゴヌクレオチドを用いてVLおよびVHドメインに対してス
クリーニングされた。これらの配列はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅
された。DNA配列はスプライスされ、重複伸長と呼ばれるPCR技術(28、43)を用
いて14または15アミノ酸をコードするドメイン間リンカーにより分割された。分
子モデリング(44)および核磁気共鳴分析(45)は1本鎖Fvのリンカーの最適サ
イズが12アミノ酸超であることを示した。リンカー内に主にグリシンを使用する
ことで最大の分子柔軟性が可能になり、したがって2つのドメインが適切にフォ
ールディングされること、およびお互いに適切な配向をとることを可能にする。
抗ヒトSCFvのVLおよびVHドメインをコードするcDNAがT3RNAポリメラーゼプロモ
ーターの下流に、発現ベクターに挿入された。機能的Fv断片の産生のためにはど
ちらの配置も使用可能であるが、1本鎖FvドメインはVL-リンカー-VHドメインの
順番に集合された。抗ヒトSCFv cDNAはジデオキシ連鎖停止反応により配列決定
された。
【0052】実施例7 抗分泌因子Fvおよびヒトα1抗トリプシンをコードするキメラ遺伝子 モノクローナル抗体4121由来の抗ヒトSCFv、および緑膿菌多糖類(D8)に対す
る無関係の抗体のcDNA配列がFvに対する以下のプライマーを用いて30サイクル増
幅された:5'領域を検出するプライマー、GGCCCAAGCTTGCCACCATGGACATTGTGCTG(
配列番号:1)およびアンチセンスプライマー、CCTAGTCTAGACTTACATCGATGAGGAGA
CTGTGAGAGTGGTGCC(配列番号:2)。真核生物における融合タンパク質の最適な
翻訳効率を可能にするように、Kozak開始配列がFv配列の直上流に置かれた(46
)。他のハイブリドーマクローンから単離された抗ヒトSCFvをコードする別の配
列は別のリガンドとして機能することができる。
【0053】 ヒトA1AT遺伝子に対する以下のプライマーを用いてヒトA1AT cDNAの全長が増
幅された:5'末端に対するプライマー、GAGCCATCGATGCCGTCTTCTGTCTCGTGG(配列
番号:3)および遺伝子の3'末端に対応するアンチセンスプライマー、CCTAGTCTA
GATAAGCTTTTATTTTTGGGTGGGATTCAC(配列番号:4)。ヒトFv cDNAおよびヒトA1AT
のプライマー内のHindIII、ClaI、およびXbaI制限エンドヌクレアーゼの特異的
認識部位は完全なキメラ遺伝子を切り出すことおよび発現ベクターへインフレー
ムにクローニングすることができるように両セットのプライマーに導入された。
【0054】 大腸菌(E.Coli)クローニングベクター(pRc/CMV)が抗ヒトSCFv/ヒトA1ATキ
メラ遺伝子を構築するために使用された。pRc/CMVベクターは真核細胞での高レ
ベルの安定した発現のために設計され、そして多重クローニング部位ポリリンカ
ー、サイトメガロウイルスプロモーターおよびエンハンサー、およびウシ成長ホ
ルモンポリアデニル化シグナルを含む。安定形質転換体を選択するために、その
ベクターはまたSV40初期プロモーターにより駆動されるネオマイシン耐性遺伝子
も含む。このプラスミドはHindIIIおよびXbaIにより消化され、それにより多重
クローニング部位区分が除去され、抗ヒトScFvをコードする増幅cDNAが挿入され
た。この構築物はClaIおよびXbaIにより消化され、ヒトA1ATをコードする増幅cD
NAがこの部位に抗ScFvと同じ転写方向に連結された(図5)。エピソーム複製起
点はプラスミド内に存在しない。キメラ遺伝子の5'および3'末端の核酸配列はジ
デオキシ連鎖停止反応により検討され、再配列は見られなかった。キメラ遺伝子
の正確性は制限部位解析により確認された(図5)。
【0055】 キメラ遺伝子が構築されると、両末端のHindIII部位を介して適切な原核生物
または真核生物発現ベクターに移動させることができる。原核生物での発現には
、抗ヒトScFV/ヒトA1ATキメラ遺伝子はHindIII消化により切り出され、プラスミ
ドpQE-30(Qiagen社、Chatsworth、カリフォルニア州)に連結された。その遺伝
子は、イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)誘導前の発現を除去
するために大腸菌ファージT5および2つのlacオペロン配列により駆動される。こ
のベクターはまたリボソーム結合部位およびアンピシリン耐性遺伝子を有する。
ホリヒスチジン(HHHHHH)標識をコードする配列がこのベクターの上流に存在し
、翻訳された組換えタンパク質をニッケルNTA樹脂カラム上で同定および精製す
ることを可能にする(47)。抗ヒトScおよびヒトA1ATを単独でコードするcDNAを
含む原核生物および真核生物発現プラスミドの両者が構築された。ヒトA1ATに連
結された無関係な抗D8Fv断片を含む融合タンパク質が対照として産生された。
【0056】 抗ヒトScFV/ヒトA1ATをコードするキメラ遺伝子が発現可能であるかを決定す
るために、キメラ遺伝子のインビトロ転写および翻訳がウサギ網状赤血球溶解液
系を用いて実施された。キメラ遺伝子をコードするメッセンジャーRNAは発現プ
ラスミドをT7RNAポリメラーゼにより転写することで生成され、それから連結型T
NT系(Promega社、マディソン、ウィスコンシン州)を用いて網状赤血球溶解液
中で翻訳された。合成されたタンパク質は翻訳反応に[35S]メチオニンを添加す
ることにより放射性標識された。SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動による溶
解液の分析は抗ヒトScFV、ヒトA1AT、および融合タンパク質の適切なサイズのタ
ンパク質の存在を示した(図6)。
【0057】実施例8 抗ヒト分泌因子Fv/ヒトα1抗トリプシン融合タンパク質の原核生物での産生 原核生物は大量の融合タンパク質を産生することが可能であるのでほとんどの
1本鎖Fv構築物は微生物で産生される。大腸菌系統M15[pREP4]は、大腸菌ファー
ジT5により駆動される抗ヒトScFV/ヒトA1ATキメラ遺伝子を有するプラスミドを
形質導入された。アンピシリン耐性クローンが100mg/mlのアンピシリンを含むLB
培地中で選択された。形質転換された微生物クローンの単離封入体から抽出され
たタンパク質はポリヒスチジン標識を利用したニッケルキレート親和性クロマト
グラフィーにより精製され、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動に供せられ、
確立された方法を用いてニトロセルロース膜フィルターに転写された。タンパク
質産物は、同一の完全な非糖化融合タンパク質を証明する各構成成分、すなわち
ホリヒスチジン標識、1本鎖Fv断片、およびヒトA1AT)に対する抗体を用いたウ
エスタンブロット解析により同定された(図7)。細胞質封入体由来のタンパク
質は不活性であり、機能を回復するためにはFvを基礎とする融合タンパク質は可
溶化され、その結果生じる融合タンパク質を希釈することにより再活性化された
(48)。いくつかの再フォールディングを試験し、その方法の有効性は不明であ
るが、希釈が原核生物で産生された融合タンパク質の再活性化の最も効果的な研
究方法であるようだった。
【0058】 ヒトA1ATは大腸菌での作製に成功し、タンパク質分解酵素阻害活性を保持して
いたが(49)、抗プロテアーゼの非糖化型は循環中で非常に短期の半減期を有し
、抗プロテアーゼの半減期を数時間に減少させる(50)。しかしながら、抗SC抗
体の75パーセントが1時間で循環中から除去されるために、組換えヒトA1ATの短
縮された寿命は本発明者らの融合タンパク質にとって重要ではないかもしれない
【0059】実施例9 ヒト分泌因子の抗ヒト分泌因子Fvによる認識 融合タンパク質の1本鎖Fv部分がヒトSCを認識することを証明するためにELISA
が使用された。ヒトSCは96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルで保温、
洗浄され、ブロッキングされた。微生物により合成された融合タンパク質は単離
され、標準的技術を用いて再フォールディングされ、それからウェルに添加され
た。洗浄後ウサギ由来ポリクロナール抗ヒトA1ATおよび西洋ワサビペルオキシダ
ーゼ結合型ヤギ由来抗ウサギ(Fab')2が連続的に加えられ、タンパク質の抗プ
ロテアーゼ部分を検出するために使用された。
【0060】 抗ヒトSCFvを含む融合タンパク質はヒト分泌因子に有効に結合し、一方無関係
の(抗D8)Fvを含む融合物は結合しなかった(図8)。その分子のFv部分はヒトS
Cを認識するので、後の実験で使用される融合タンパク質は親和性カラムクロマ
トグラフィーにより精製することができると考えられる。
【0061】 したがって形質転換された微生物はヒトSCを認識する融合タンパク質を生じる
ことができ、1本鎖Fv成分が機能的であることを示している。融合物の免疫学的
に認識可能な3つの全ての構成因子が存在する。融合タンパク質は二元機能タン
パク質の両部分に対する抗体、すなわち商業的に入手可能な抗ヒトA1AT抗体およ
びオリゴ核酸プライマーでカバーされ1本鎖Fv断片を生成するために使用された
フレームワーク領域に対して調整された抗体の両者により、認識される。発現ベ
クター由来のポリヒスチジン標識もまた適当な抗体により認識される。
【0062】実施例10 抗ヒト分泌因子Fv/ヒトα1抗トリプシン融合タンパク質の真核細胞での産生 哺乳類タンパク質を適切にプロセシングおよび糖化できないために、原核生物
は本発明の融合タンパク質を発現するための最良の系ではないかもしれない。糖
化は抗プロテアーゼには影響を与えずに、A1ATを血液中で安定化させる。糖化は
、1本鎖Fvにより迅速に作用部位へ指向されるであろうと本発明者らのデータが
示唆している融合タンパク質よりも天然型A1ATにおいてより重要であろう。それ
にもかかわらず、融合タンパク質の糖化は重要であろう、そして望ましくない抗
原性の差異を示すかもしれない。したがって天然型A1ATを複製することが好まし
いであろう。すなわち融合物の抗プロテアーゼ成分はこの戦略が成功するために
は真核細胞により翻訳後プロセシングを受ける必要があるかもしれない。
【0063】 真核細胞は効果的に1本鎖Fvタンパク質を分泌することができ、これは融合タ
ンパク質の大量産生および精製のために必要であるかもしれない。キメラ遺伝子
はFvの5'末端に免疫グロブリン軽鎖リーダー配列を導入するように変更され、こ
れは真核細胞による融合タンパク質の分泌を可能にするであろう(51)。モノク
ローナル抗体4121由来の抗ヒトSCFvをコードするcDNAが免疫グロブリン軽鎖リー
ダー配列およびFv用の以下のプライマーを用いて30サイクル増幅された:1本鎖F
vのリーダー配列および5'領域を検出するためのプライマーである、GCGCCCAAGCT
TGCCACCATGAGGACCCCTGCTCAGTTTCTTGGAATCTTGTTGCTCTGGTTTCCAGGTATCAAATGTGACAT
TGTGCTGACCCAGTCTCC(配列番号:5)、およびアンチセンスプライマーである、C
CTAGTCTAGACTTACATCGATGAGGAGACTGTGAGAGTGGTGCC(配列番号:2)。Kozak開始配
列が再びリーダー配列の上流に挿入された。制限エンドヌクレアーゼHindIII、X
baI、およびClaIの特異的認識部位がクローニングベクターへのライゲーション
を可能にするためにプライマーに含められた。抗ヒトSCFv/ヒトA1ATをコードす
るキメラ遺伝子を集合するためにpRc/CMVベクターが使用された。このプラスミ
ドはHindIIIおよびXbaIにより消化され、抗ヒトSCFvをコードする増幅cDNAが挿
入された。この中間体はClaIおよびXbaIで消化され、ヒトA1ATをコードするcDNA
は同一の転写方向でその部位に連結された。
【0064】 昆虫細胞はタンパク質の多産性工場として相当の注目を集めている。本発明者
らはトランスフェクトされたショウジョウバエ(S2)細胞による融合タンパク質
の合成もまた検討した。抗ヒトSCFv/ヒトA1ATをコードするキメラ遺伝子は、マ
ウスメタロチオネイン1プロモーター制御領域と同じ転写方向に、pUC-hygMT発現
プラスミドの多重クローニング部位にBamHIおよびXbaI部位にて連結された(52
)。このベクターはまた選択を可能にするためのハイグロマイシン耐性遺伝子お
よびアンピシリン耐性遺伝子を含む。リポフェクチンを用いてS2細胞はプラスミ
ドとの懸濁液中にて形質導入され、トランスフェクション2日後に0.5mM硫酸銅を
用いて24時間細胞を処理することにより導入遺伝子の発現が誘導された(52)。
細胞溶解液は回収されタンパク質は10%SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動に
より分離された。全長融合タンパク質は、細胞溶解液中で約100ng/mlの濃度の抗
ヒトA1AT抗体を用いてウエスタンブロットハイブリダイゼーションにより検出さ
れた。予備的研究では選択後のトランスフェクトされたS2細胞は、ヒトSCを認識
するELISAの測定によれば、3μg/mlから5μg/mlの融合タンパク質を培地に分泌
した。
【0065】実施例11 抗分泌因子抗体およびFv断片のトランスサイトーシス コラーゲンゲル上で初代培養成長されているヒト気管上皮細胞はpIgRの産生を
維持している。しかしながらその受容体の発現は調整により異なる。ヒトSCに対
するインシツ染色された細胞は初代気管上皮細胞でのpIgRの産生発現は多様であ
ることを示しており、蛍光活性化細胞分類装置分析によれば培養中の細胞におい
て8%から35%の範囲にあり平均値は22%である。この多様性のために気管上皮
細胞は本発明者らの調査に適切なモデルではない。
【0066】 ウサギpIgR cDNAをトランスフェクトされたMadin-Darbyイヌ腎臓(MDCK)細胞
が数名の研究者により受容体輸送を検討する方法として精力的に使用された(53
、54)。本発明者らは分極細胞におけるヒト受容体の輸送のための類似の系を開
発した。MDCK細胞はヒトpIgRをコードする遺伝子により形質転換された。安定的
にトランスフェクトされた細胞はネオマイシン耐性にて選択され、陽性細胞は蛍
光活性化細胞分類装置により最高レベルのヒトpIgRを得るために繰り返し分類さ
れた(図9)。高い発現を示す各細胞は選択されクローンとして拡大された。多
孔性フィルター上で成長させると、形質転換MDCK細胞はヒトpIgRおよび天然型リ
ガンドdIgAを基底側から頂端膜に適切に輸送した。
【0067】 ヒトpIgR発現細胞を通過しての抗ヒトSCモノクローナル抗体の輸送もまた検討
された。50マイクログラムのモノクローナル抗体4121およびモノクローナル抗体
4214がこれら単層細胞の基底側表面に添加された。抗ヒトSCモノクローナル抗体
は頂端表面に輸送され、培養液中に放出された(図10)。基底側表面に添加され
た無関係なモノクローナル抗体は輸送されなかった。いかなる抗体も逆方向(す
なわち頂端面から基底側に)には細胞を通過して輸送されなかった。したがって
本発明者らはヒトpIgRを介したタンパク質のトランスサイトーシスを検討する能
力を有しており、二元機能タンパク質の細胞輸送効率を評価するための細胞モデ
ルを使用した。
【0068】 上皮細胞は明確な頂端面および基底側表面を有しており、その極性を細胞骨格
成分により維持している。微小管はエンドソーム小胞の融合、いくつかのタンパ
ク質のトランスサイトーシス、および頂端面での再利用に必須である。微小管機
能を破壊する試薬であるコルセチンおよびノコダゾール(55、56)はエンドサイ
トーシス過程を制限する一方でpIgRのトランスサイトーシスを中断させることが
報告されている。その受容体を発現する形質転換MDCK細胞を通過しての、モノク
ロナール抗ヒトSC抗体の輸送に関するノコダゾールの影響を検討した。完全型モ
ノクローナル抗体の15マイクログラムが基底側培地に添加され、頂端面側培地が
様々な時間に採取された。ノコダゾール(濃度範囲は0.1μg/ml〜1μg/ml)は抗
ヒトSC抗体のトランスサイトーシスを顕著に抑制した(図11)。
【0069】 pIgRおよび抗体が細胞の頂端表面に到達すると、受容体の細胞外部分は切断さ
れ、依然としてSCに結合していたリガンドは頂端表面に放出される。切断が起き
ない場合SCは放出されないと考えられる。本発明者らはpIgRの切断を阻害するロ
イペプチンがモノクローナル抗体の放出を阻止する能力を試験した(57)。確か
に高い濃度のロイペプチン(濃度範囲は10μg/ml〜100μg/ml)は頂端面側培地
中に検出される抗体の量を減少させた(図11)。
【0070】 ヒトA1ATに化学的に結合された完全型抗ヒトSC抗体(4121)のヒトpIgRを適切
に輸送する形質転換単層MDCK細胞を通過してのトランスサイトーシスもまた検討
された。コラーゲン支持体上で成長させたとき、これらの細胞は分極し、pIgRを
基底側からSCが放出される場所である頂端面側に輸送する。抗ラットSC免疫グロ
ブリンGがヒトA1ATに、ヘテロ二元機能性架橋剤であるN-スクシンイミジル 3-
(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸塩(SPDP)により確立された技術(38、39)
を用いて、結合された。結果として生じた結合体は(1μgのA1AT含有量)これら
単層細胞の基底側培地に添加され、頂端面側の培地が様々な時間に採取されELIS
AによりヒトA1ATの存在が検討された。無関係なモノクローナル抗体(抗D8)を
含む結合体は平行して対照として検討された。矛盾なく、抗ヒトSC/ヒトA1AT結
合体はヒトpIgRを発現するMDCK細胞を通過して基底側から頂端方向に輸送された
(図12)。無関係なFvを含む結合体は単層を通過して輸送されなかった。事実上
逆方向の、すなわち頂端面から基底側方向への融合タンパク質の輸送は生じなか
った。
【0071】 安定的にトランスフェクトされたショウジョウバエS2細胞により産生される抗
ヒトSCFv(2μgのA1AT含有量)を含む親和性精製された融合タンパク質の単層細
胞を通過しての輸送もまた検討された。融合物は受容体発現MDCK細胞を通過して
基底側から頂端方向に効果的に輸送された(図13)。かなり少量の融合タンパク
質がこれらの細胞を通過して逆方向に輸送された(図13)。精製ヒトA1ATは単層
を通過していずれの方向にも輸送されなかった。形質転換されていないMDCK細胞
の単層を通過しては融合タンパク質およびヒトA1ATのいずれも輸送されなかった
。加えて、形質転換MDCK細胞を通過して頂端面分画に輸送された融合タンパク質
はSCに結合した(図1参照)。頂端面側培地に輸送された融合タンパク質はヒト
分泌因子特異的モノクローナル抗体を用いた免疫沈降により単離された。結合タ
ンパク質はそれからSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動に供され、ニトロセル
ロース膜フィルターに転写された。融合物のヒトA1AT成分がウエスタンブロット
ハイブリダイゼーションにより検出された。輸送されなかった融合物または精製
ヒトA1ATのいずれも抗ヒトSC抗体により認識されず、沈降されなかった。したが
って融合物の取りこみは抗SC抗体のヒトpIgRとの特異的な相互作用により媒介さ
れ、これらの構築物はインビトロで細胞の頂端表面に輸送された。
【0072】 増加させた濃度の融合タンパク質を基底側または頂端側の培地に添加後24時間
時に実施された用量反応実験(38、95、および190nM)は、融合タンパク質の基
底側から頂端側方向への輸送が用量依存的様式で生じることを示した(図16)。
【0073】 融合タンパク質および、10倍モル過剰量の抗分泌因子モノクローナル抗体また
は無関係なマウス抗体のいずれかが、基底側または頂端側画分に添加され、反対
側の画分での融合タンパク質の濃度(fmol)がELISAにより決定された。図17は
無関係な抗体は減少させないが、親抗体は頂端側培地中の融合タンパク質の量を
減少させたことを示している。
【0074】 加えて、融合タンパク質のトランスサイトーシスは16倍モル過剰量までのIgA
二量体によっては阻止されない(図18)。このデータは、ヒトにおいて融合タン
パク質の静脈内注射は、循環しているIgAにより阻害されないであろうことを示
唆している。
【0075】実施例12 抗ヒト分泌因子Fv/ヒトα1抗トリプシン融合タンパク質の抗プロテアーゼ活性 ヒトA1AT融合タンパク質の他の成分も、エラスターゼと複合体を形成する融合
物の能力に基づけば、機能的であった。好中球エラスターゼ(NE)の阻害はA1AT
の主な生理学的機能であり、抗プロテアーゼのカルボキシ末端領域内の基質様領
域に直接的に酵素が結合させることで遊離エラスターゼを中和し、各反応物に一
分子を含む複合体を形成する結果となる。
【0076】 融合タンパク質(A1AT含有量100ng)は等モル量の精製NEとともに30分間室温
にて加温され、結果として得られる産物がSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動
にて分離された。ウサギ由来ポリクロナール抗ヒトA1ATは用いた産物のウエスタ
ンブロットハイブリダイゼーションは融合タンパク質の明らかなサイズシフトを
示した(図14)。過剰量の抗プロテアーゼが反応中に添加された場合、ヒトA1AT
は部分分解された。さらに融合物に結合したヒトSCは抗プロテアーゼのエラスタ
ーゼへの結合に影響を与えないようであった(図14)。したがって抗ヒトSCFv/
ヒトA1ATの二元機能性タンパク質の両成分は実際に機能的である。
【0077】実施例13 Fab治療タンパク質結合体の調整 抗pIgR免疫グロブリンGのFab断片が、ヘテロ二元機能性架橋剤であるN-スクシ
ンイミジル 3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸塩(SPDP)を用いて治療タン
パク質へ共有結合された。Fab断片は75倍モル過剰量のSPDPとともに0.1Mリン酸
緩衝生理食塩水(PBS)、pH7.5中で22℃、60分間保温された。2-ピリジルジスル
フィド構築物をFab断片に導入した後、未反応のSPDPおよび低分子量反応産物は
透析により除去された。修飾Fab断片のジスルフィド架橋は2mMジチオトレイトー
ルにより切断された。15倍モル過剰量の治療タンパク質およびSPDPが修飾Fab断
片に添加され、反応は22℃にて24時間実施された。結合体は低分子量反応産物を
除去するために透析され、結果として生じるタンパク質を0.1%SDS-7.5%ポリア
クリルアミドゲル電気泳動により分離し解析した。
【0078】実施例14 scFV-A1AT融合タンパク質による好中球エラスターゼの機能阻害 本発明者らは精製A1AT、scFV-A1AT融合タンパク質、およびヒトSC結合型融合
タンパク質による好中球エラスターゼの機能阻害を測定した。会合反応は、23℃
で0.1Mトリス、0.5M NaCl、pH7.5中、0.6nM精製ヒト喀エラスターゼ(Elastin
Products社、Owensville、ミズーリ州)にA1AT(カルビオケム社)またはscFV
-A1ATを添加することにより開始された。結合が擬一次条件下で測定されている
ことを保証するために、阻害剤の濃度は好中球エラスターゼの1.7〜4.2倍に調節
された。阻害剤の濃度は標準好中球エラスターゼを用いた滴定により決定された
【0079】 反応は基質(N-メトキシサクシニル-アラニン-アラニン-プロリン-バリン p
ニトロアニリド、シグマ社)を終濃度1.0mMで添加することにより様々な時間で
停止させられた。連続分析追跡はCary3A可視分光光度計(Varian社)の410nmに
て直ちに記録された。好中球エラスターゼ非存在下でのバックグラウンド速度が
減算された。
【0080】 会合反応からのアッセイ速度、vは、これらの阻害剤が存在しない場合の対照
分析速度で除され、正規化された値(V(N))を与える。これらの値は非線形回
帰分析(図P DOS用6.0、Biosoft社、Ferguson、ミズーリ州)により方程式1に
適合化され、そこではV(N)initialおよびV(N)finalがそれぞれ時間0および
平衡状態でのV(N)の計算値であり、平衡化を達成するための観測された擬一次
速度定数kは方程式2で与えられる(93)。
【式1】 である場合、
【式2】 方程式2では、kassocは会合速度であり、一方kdissocは好中球エラスターゼに結
合する阻害剤の解離速度である。A1ATの好中球エラスターゼへの結合は非可逆的
または偽非可逆的(15)であると考えられているので、kdissocは会合速度定数
の計算において0に固定することができる。
【0081】 融合タンパク質のA1ATドメインは好中球エラスターゼを、血しょうA1ATの会合
速度定数(0.87+/−0.05×107M−1s−1)と類似した会合速度定数0.79+/−0.1
3×107M−1s−1で阻害した(図19)。類似の会合速度定数がトランスサイトーシ
スされた融合タンパク質においても観察された(図19)。
【0082】実施例15 初代気道上皮細胞を通過してのリガンドのインビトロおよびインビボでの輸送 ヒト初代細胞でのインビトロ輸送を証明するために、抗SCIgG(26pmol/ウェル
)またはdIgA(21pmol/ウェル)がヒト気管支上皮細胞の頂端面側または基底側
にインビトロで添加された。24時間後に培地と洗浄液が頂端面側および基底側画
分から回収された。ヒトSCおよびリガンドの量がELISAで測定された。図20はヒ
ト気管支上皮細胞においてリガンドが基底膜から頂端面側画分に輸送されたこと
を示している。
【0083】 インビボ輸送を示すために、抗SC/scFV-A1AT融合タンパク質が、ヒト気管支上
皮細胞を付着させたラット気管輪を移植したヌードマウスに静脈内注射された。
外植片は洗浄され、ヒトSCおよびリガンドの量がELISAで測定された。融合タン
パク質の基底側から頂端面側への輸送もまたこのインビボモデルで生じた。
【0084】引用文献
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 融合タンパク質の体循環から上皮表面への輸送を示す模式図(図
1A)。融合タンパク質は基底外側面でpIgRと結合し、頂端膜へと輸送される(図
1B)。ひとたびこの表面に到達すれば、融合物が気道内腔に放出され、抗プロテ
アーゼ成分が結合してエラスターゼを中和する部位であるヒト重合免疫グロブリ
ン受容体の分泌成分(SC)に付着する(図1C)。
【図2】 抗ラットSC Fabの排出および肝摂取。50μgの無関係物(n=5)ま
たは抗ラットSC Fab(n=5)の注射後に血液(図2A)および胆汁(図2B)を10分
毎に採取し、ELISAを用いてウサギ由来の抗体に関して分析した。Fabレベルは最
高血清中濃度に対する比率として表されている。
【図3】 可変(VおよびV)および定常(CおよびC)領域を示した
、抗体、Fab断片および一本鎖Fv断片の模式図。
【図4】 抗ヒトSCモノクローナル抗体の結合。(図4A)ELISAによって測
定した、抗体の精製ヒトSCとの相対的結合度。モノクローナル抗体4121は斜線付
きのカラムで示されている。(図4B)抗体のsIgAとの相対的結合度。(図4C)抗
ヒトSC抗体4121のそのほかの特徴分析。抗体のヒトSCおよびラットSCとの親和性
の差に注目されたい。
【図5】 (図5A)PCRによる抗hSC Fvタンパク質の作製。全細胞RNAを抗体
産生細胞から抽出し、ランダムヘキサマーをプライマーとして用いてモロニーマ
ウス白血病ウイルス逆転写酵素で処理した。この結果得られたcDNAを、さまざま
なオリゴヌクレオチドプライマーを用いてVおよびVドメインに関してスクリ
ーニングし、これらの配列をPCRによって増幅した。続いて、一本鎖Fvをコード
する完全長遺伝子を作製する目的でオーバーラップ伸長(overlap extension)
と呼ばれるPCR法を用いたスプライシングが可能となるようにリンカー配列を含
めるためにVおよびVドメインを増幅した。(図5B)抗ヒトSC Fv/ヒトAAT
キメラ遺伝子の構造の模式図。(図5C)抗ヒトSC Fv/ヒトAATキメラ遺伝子を
含むプラスミドの制限酵素消化。1μgのプラスミドDNAをClaI/HindIII(レーン1
)、ClaI/XbaI(レーン2)およびHindIII(レーン3)で消化した。分子量マーカ
ーを右側のレーンに示している。
【図6】 抗ヒトSC Fv、ヒトAATおよび抗ヒトSC Fv/ヒトAAT融合タン
パク質のインビトロ転写および翻訳。網状赤血球可溶化物を用いてメッセンジャ
ーRNAを翻訳し、合成されるタンパク質に[35S]標識メチオニンを取り込ませた
。SDSポリアクリルアミドゲル中での電気泳動によるタンパク質の分析により、
抗ヒトSC Fv、26Wa;ヒトAAT、52kDaおよび抗ヒトSC Fv/ヒトAAT、78kDaの
存在が示された。
【図7】 原核生物における抗ヒトSC Fv/ヒトAATおよび抗D8 Fv/ヒトA ATの発現。形質転換後に得られた細菌クローンからのタンパク質抽出物を、確立
された方法を用いて、ニッケルキレートアフィニティークロマトグラフィーによ
って精製し、SDSポリアクリルアミドゲル中での電気泳動にかけ、ニトロセルロ
ース膜フィルターに移行させた。ウエスタンブロットハイブリダイゼーションに
より、ポリヒスチジン、一本鎖FvおよびヒトAAT成分のそれぞれが同定された
。以下の試料を検討した:抗D8Fv/ヒトAAT(IR)および抗ヒトSC Fv/ヒトAA
T(SC)。矢印は融合物の予想分子量を示している。これよりも低分子量のバン
ドも存在しており、これは切断型融合タンパク質である可能性が高い。
【図8】 ELISAによって評価した、抗ヒトSC Fv/ヒトAATによるヒトSCの
認識。抗ヒトSC Fvを主体とする融合タンパク質(SC)はヒト母乳からのSCと結
合し、このことからFv部分が機能性であることが示された。無関係物である抗D8
Fvを含む融合タンパク質(IR)はヒトSCと結合しなかった。
【図9】 ネオマイシン耐性に関する選択後(図9A)および蛍光活性化セル
ソーター分析による連続選別後(図9B)の初期選別物からのトランスフェクトMD
CK細胞におけるヒトpIgRの発現。pIgR発現レベルが最も高かったクローンを選択
し、その後の実験に用いた。
【図10】 (図10A)基底外側-頂端方向にpIgRを発現する分極性MDCK細胞
を介した融合タンパク質または抗体の輸送を示した、細胞モデル系の模式図。(
図10B)pIgRを発現するMDCK細胞単層を介した抗ヒトSC抗体の輸送。基底外側培
地に抗体を添加した後に6時間にわたり頂端培地を回収し、マウス由来の抗体の
濃度(ng/ml)をELISAによって測定した。抗ヒトSC抗体(4121および4214)は基
底外側面から頂端培地に効率的に輸送されたが、無関係な抗体(D8)はそうでは
なかった。頂端-基底外側方向に輸送された抗体はなかった。
【図11】 形質導入がなされたMDCK細胞を介した抗体の輸送に対するノコ
ダゾール(nocodazole)(図11A)およびロイペプチン(図11B)の影響。基底外
側培地にモノクローナル抗体(4121)を添加した後のさまざまな時点で頂端培地
を回収し、マウス由来の抗体の濃度(ng/ml)をELISAによって測定した。ロイペ
プチンおよびノコダゾールはいずれも、頂端培地中に検出される抗体の量を用量
依存的な様式で減少させた。さらに、非トランスフェクトMDCK細胞または形質導
入細胞において抗体の頂端-測定方向の輸送は全く起こらなかった。
【図12】 抗ヒトSCを主体とするタンパク質結合物の細胞単層を介した輸
送。1μgの結合物を基底外側または頂端培地に添加して24時間後に、培地をそれ
ぞれ頂端または基底外側区画から採取した。輸送された免疫反応性AATの量(n
g)をELISAによって測定した。抗ヒトSC/ヒトAAT結合物は、pIgRを発現するMD
CK細胞を介して基底外側-頂端方向に効率的に輸送された(斜線付きのカラム)
。その反対の頂端-基底外側方向への融合タンパク質のトランスサイトーシスは
事実上全く起こらなかった(白抜きのカラム)。非トランスフェクトMDCK細胞は
真性の融合タンパク質も無関係なものもいずれも輸送しなかった(各群ともn=5
)。
【図13】 細胞単層を介した融合タンパク質の輸送。2μgの融合物を基底
外側または頂端培地に添加して24時間後に培地をそれぞれ頂端または基底外側区
画から採取し、輸送された免疫反応性AATの量(ng)をELISAによって測定した
。抗ヒトSC Fv/ヒトAAT融合物は、pIgRを発現するMDCK細胞を介して基底外側-
頂端方向に効率的に輸送された(斜線付きのカラム)。その反対の頂端-基底外
側方向にトランスサイトーシスを受けた融合タンパク質はかなり少なかった(約
25%)(白抜きのカラム)。精製ヒトAATはいずれの方向にも輸送されなかっ
た。非トランスフェクトMDCK細胞はヒトAATおよび融合タンパク質をいずれも
輸送しなかった(各群ともn=5)。
【図14】 融合タンパク質の抗プロテアーゼ成分の好中球エラスターゼと
の結合。精製抗ヒトSC Fv/ヒトAAT融合タンパク質、およびトランスサイトー
シス後の頂端培地から得た融合タンパク質をNEとともに22℃で30分間インキュベ
ートし、その結果得られたプロテアーゼ-抗プロテアーゼ複合体を非還元条件下
でのSDSポリアクリルアミドゲル中での電気泳動によって分離し、ウエスタンブ
ロット分析を行った。レーン1、ブランク(馴化培地);レーン2、ブランク+2p
molエラスターゼ;レーン3、ブランク+融合タンパク質(100ngのAAT含量);
レーン4、2pmolエラスターゼとのインキュベーション後の融合タンパク質(100n
gのAAT含量);レーン5、トランスサイトーシス後融合タンパク質;レーン6、
2pmolエラスターゼとのインキュベーション後のトランスサイトーシス後融合タ
ンパク質(100ngのAAT含量);レーン7、100ngの精製ヒトAAT;レーン8、2p
molエラスターゼとのインキュベーション後の100ngの精製ヒトAAT。
【図15】 plgRを標的とするPLASmin(登録商標)DNAの静脈内注射による
、IL-2受容体遺伝子のラット気管上皮細胞へのインビボ導入。矢印はヒトIL-2受
容体を発現している上皮細胞を示す。基底膜層には非特異的自己蛍光が観察され
た(bm)。
【図16】 細胞単層を介した融合タンパク質の輸送の用量反応。
【図17】 受容体を有する細胞を介した融合タンパク質輸送の阻害。
【図18】 二量体IgAによる融合タンパク質の輸送阻害がみられないこと
【図19】 融合タンパク質による好中球エラスターゼの機能的阻害。
【図20】 インビトロでの初代気道上皮細胞を介したリガンドの輸送。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 19/00 ZNA C07K 19/00 ZNA (72)発明者 ファーコル トーマス ダブリュ.ジュニ ア アメリカ合衆国 オハイオ州 コンコルド ウェザースフィールド ドライブ 9970 (72)発明者 エックマン エリザベス アメリカ合衆国 フロリダ州 ポント ベ ドラ ビーチ サウス ロスコー 28 Fターム(参考) 4C076 AA11 AA24 BB13 BB27 CC32 EE41 EE59 FF68 4C084 AA17 MA05 MA16 MA56 MA66 NA13 ZB35 4H045 AA20 AA30 BA10 BA41 CA40 DA01 DA76 EA20 FA72 FA74

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下を含む二機能性分子: トランスサイトーシス受容体と特異的に結合するリガンド、および リガンドがトランスサイトーシス受容体と結合しうるようにリガンドと連結し
    ている、非タンパク質性治療用分子。
  2. 【請求項2】 トランスサイトーシス受容体がヒト重合(polymeri
    c)免疫グロブリン受容体の分泌成分である、請求項1記載の二機能性分子。
  3. 【請求項3】 治療用分子が抗生物質である、請求項1記載の二機能性分子
  4. 【請求項4】 リガンドが一本鎖Fvである、請求項1記載の二機能性分子
  5. 【請求項5】 リガンドが抗体である、請求項1記載の二機能性分子。
  6. 【請求項6】 リガンドがモノクローナル抗体である、請求項1記載の二機
    能性分子。
  7. 【請求項7】 リガンドがF(ab’)、FabまたはFab’断片であ
    る、請求項1記載の二機能性分子。
  8. 【請求項8】 非タンパク質性治療用分子が、タンパク質分解切断認識配列
    を含むリンカーによってリガンドと連結された、請求項1記載の二機能性分子。
  9. 【請求項9】 タンパク質分解切断認識配列が好中球エラスターゼに対して
    特異的である、請求項8記載の二機能性分子。
  10. 【請求項10】 タンパク質分解切断認識配列がカテプシンGに対して特異
    的である、請求項8記載の二機能性分子。
  11. 【請求項11】 治療用分子を上皮細胞に送達するための方法であって、 治療用分子が上皮細胞に送達されるように、請求項1記載の二機能性分子を患
    者に投与する段階 を含む方法。
  12. 【請求項12】 トランスサイトーシス受容体がヒト重合免疫グロブリン受
    容体の分泌成分である、請求項11記載の方法。
  13. 【請求項13】 上皮細胞が気道上皮細胞である、請求項11記載の方法。
  14. 【請求項14】 上皮細胞が腸内腔細胞である、請求項11記載の方法。
  15. 【請求項15】 投与の段階が静脈内投与によって行われる、請求項11記
    載の方法。
  16. 【請求項16】 投与の段階が吸入によって行われる、請求項11記載の方
    法。
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