JP2003521895A - スーパーpsaプロモーターにより指令された遺伝子発現 - Google Patents

スーパーpsaプロモーターにより指令された遺伝子発現

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チュン,レランド,ダブリュ.,ケイ.
イェウン,ファン
カオ,チングァイ
トラップマン,ジャン
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、前立腺および非前立腺の腫瘍を、スーパーPSAプロモーターによって駆動される治療用遺伝子を用いた遺伝子治療法で治療するために、治療用遺伝子を送達し発現させるための方法ならびに組成物を提供する。このアプローチは、挿入する治療用遺伝子のサイズを増大せしめ、かつ遺伝子発現の特異性および効率を維持する可能性を高めるものである。このタイプの遺伝子治療法を単独で、または他の補助的治療法と組み合わせて使用するか、様々な遺伝子治療法と共に使用することにより、癌の治療において最大の効果を達成することができ、正常および良性の組織においては治療上の効果を高めることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の背景 前立腺特異的抗原(Prostate Specific Antigen: PSA)は、前立腺癌の一般的な
腫瘍マーカーである。通常、この抗原はヒト前立腺の管腔上皮細胞において合成
され、該細胞から分泌される(Cleutijens KBJM, Korput HAGMら, Mol Endocrin
11 (9): 1256-65)。PSAの血清レベルは腫瘍の大きさによく比例していて、この
疾患の臨床上の病期に関係していることが報告されている(Cleave ME, Hsieh JT
ら, J. Urol. 147: 1151-59)。ほとんどの患者は、ホルモン療法中、しばしば劇
的な、初期PSAレベルの低下を示す。しかしながら、この疾患がホルモンに抵抗
する病期へと進行するにつれて、一部の患者はPSAレベルの逆もどり(リバウン
ド)を経験する(Montgomery BT, Young CYら, (1992) The prostate 21: 63-7)
。ひとたび初期のホルモン療法に失敗してしまうと、平均生存率はたったの6ヶ
月である(Montgomery BT, Young CYら (1992) The prostate 21: 63-7)。現在、
前立腺癌がどのようにしてアンドロゲン依存性(AD)からアンドロゲン非依存性(A
I)の病期にまで進行するのかは、よく分かっていない。ホルモン抵抗性の前立腺
癌細胞におけるPSAのリバウンドとその組織特異的発現パターンからすると、前
立腺癌細胞に治療用遺伝子を送達するための候補物質としてはPSAプロモーター
が好ましいものである。
【0002】 ホルモン依存性および非依存性の前立腺癌細胞におけるPSA発現の調節は、興
味深い関心事である。本研究の狙いは、ホルモン依存性および非依存性の前立腺
癌細胞がそれぞれアンドロゲン刺激の存在下および非存在下で如何にしてPSAを
アップレギュレートするかを理解することである。本研究で使用したin vitro P
SA発現系は2つの細胞系、すなわちLNCaPおよびC4-2、から成るものである(Thal
maun GN, Anizinis PEら (1994) Cancer Res. 54: 2577-81; Gleave ME, Hsieh
JTら (1992) J. Urol. 147: 1151-59)。両細胞系は内因性PSAとアンドロゲン受
容体(AR)を発現する前立腺癌腫の細胞である。LNCaPはホルモン依存性で非転移
性であるので早期の前立腺癌に相当し、一方C4-2はホルモン非依存性で高度に転
移性であるので進行期の前立腺癌に相当する(Thalmaun GN, Anizinis PEら (199
4) Cancer Res. 54: 2577-81; Montgomery BT, Young CYら (1992) The prostat
e 21: 63-7)。LNCaPと相違して、C4-2はアンドロゲンの非存在下で大量のPSAを
分泌する能力がある(Hsieh JT, Wu HCら (1993) Cancer Res 52:2852-57)。本研
究の一つの重要な面は、ホルモン抵抗性のC4-2細胞におけるPSA発現の調節を定
義づけることである。PSAプロモーターをルシフェラーゼレポーター遺伝子の上
流に挿入して、LNCaP細胞およびC4-2細胞へ一過性にトランスフェクトした。PSA
のプロモーターは約6Kbの長さである。それはアンドロゲン応答エレメント(ARE
)や前立腺特異的エンハンサー(PSE)などの複数の調節エレメントを含んでおり、
かつアンドロゲンによって強く調節されている(Schur ER, Henderson GAら JBC
271(12): 7043-51 (1996); Rieginan PHJ, Vlietstra RJら (1991) Mol Endocri
n 5(12): 1921-30; Cleutijens KBJM, Korput HAGMら Mol Endocrin (1997) 11:
148-161)。プロモーター解析研究を行なって、アンドロゲンの非存在下でのPSA
の発現にとって決定的に重要なプロモーター内のエレメントを同定した。ホルモ
ン抵抗性のC4-2細胞においてPSAプロモーター活性に大いに寄与する2つの明確
に異なるエレメントが見出された。これら2つのエレメントを一緒にした場合、
それは天然のPSAプロモーター活性より2〜4倍まさっており、しかも天然PSAプ
ロモーターの組織特異性を依然保持している。本研究の最終目的は、これら2つ
の調節エレメントと相互作用する転写因子を同定することである。
【0003】発明の概要 以前、近位の632bp PSAプロモーターはトランスジェニックマウスにおいて前
立腺特異性を指令できず、完全長PSAプロモーターのみがin vivoで組織特異性を
示すことが明らかにされた(Schur ER, Henderson GAら (1996) JBC 271(12): 70
43-51)。完全長PSAプロモーターはまた、腫瘍異種移植片および前立腺癌細胞へ
の治療用遺伝子の送達ならびに該細胞での発現にも使用された。PSAプロモータ
ー中の特定のエレメントが遺伝子発現の前立腺特異性を制御していることは明白
である。天然のPSAプロモーターを操作することによって、Hendersonのグループ
は遺伝子治療用にPSAプロモーターの小型版であるPSEを作製した(Yeh S, Chang
C, (1996) PNAS 93: 5517-21)。PSEは近位の200bp PSAプロモーターと、Trapman
(Stamey TA, Yang Nら (1989) J Urol. 141: 1088-90)により同定された440bp A
REエンハンサーコア(AREc)エレメントを含有する。しかしながら、PSEは前立腺
組織に特異的ではなく(未発表データ)、その活性は天然のPSAプロモーターよ
りやや低いものである。
【0004】 天然のPSAプロモーターより2〜4倍高い基礎活性を有するスーパーPSAプロモ
ーターを作製した。さらに、このスーパーPSAプロモーターは前立腺組織特異的
様式でアンドロゲンにより高度に誘導することもできる。このプロモーターはAR
Eエンハンサーコアと、新たに発見された120bpエレメントのpTATAとを並置する
ことによって作製される。スーパーPSAプロモーターの基礎活性は、ARを発現す
る前立腺細胞(LNCaP、C4-2およびNbEなど)において特に印象的である。ARもPS
Aも発現しない細胞(PC-3など)において、スーパーPSAプロモーターの活性は天
然PSAプロモーターよりなおも2〜4倍高い。アンドロゲン依存性(AD)LNCaPとア
ンドロゲン非依存性(AI)C4-2との間でスーパーPSAプロモーター活性を比較する
と、明らかにC4-2はアンドロゲン刺激の非存在下でLNCaPより相当高いレベルに
までスーパーPSAプロモーターを活性化することができた。したがって、スーパ
ーPSAプロモーターはホルモン抵抗性の腫瘍細胞における遺伝子発現を駆動させ
るための強力なプロモーターである。スーパーPSAプロモーターの高い基礎活性
と大きなアンドロゲン誘導性のため、スーパーPSAプロモーターは、アンドロゲ
ンの非存在下と存在下の両方において細胞内で遺伝子発現を駆動させるのに非常
に有効なプロモーターとなる。
【0005】 さらに、スーパーPSAプロモーターの大きさ(560bp)は天然のPSAプロモーター(
6Kb)よりかなり小さいので、遺伝子導入研究、遺伝子治療への応用、およびAR介
在型作用を与えるシス作用性の組織特異的転写因子の同定に有利である。
【0006】 pTATAエレメント内に、pTATA活性にとって不可欠なP2領域が発見された。120b
p pTATAに対してDNAフットプリント法を行なったところ、2つの明確に異なる部
位がDNアーゼI消化からタンパク質因子により保護された。その後、これらの部
位の1つとしてP2が同定された。PSA産生細胞に特異的な1種以上の転写因子がP
2部位と相互作用して、そのプロモーター活性を活性化することが示唆された。
このP2領域は大きな可能性があり、高度に特異的かつ効率的に正常および腫瘍細
胞へ遺伝子を送達してそれを発現させるためのキメラプロモーター構築物を作製
するために、単独でまたは他のプロモーターエレメントと共に使用できるだろう
。さらに、P2部位と相互作用する特異的転写因子を同定することによって、ARも
PSAも発現しない細胞(例えばPC-3)における遺伝子の発現が可能になるだろう
。人工的なTATAボックスの上流に3コピーのP2を挿入すると、ルシフェラーゼレ
ポーター遺伝子の高発現が生じることを示すデータが提供される。この3(P2)構
築物の活性は実際、LNCaP細胞において野生型PSAプロモーター活性にまさってい
る。こうして、多コピー数のP2は、内因性のARおよびPSAを有する前立腺細胞に
おいてよく作動する。P2のシス作用性因子の同定後には、正の調節応答を開始さ
せるために、(PSAを産生しない細胞を含めて)あらゆる細胞にP2含有プロモー
ターをそのシス作用性因子と共に送達できるだろう。
【0007】 転写因子とP2部位またはP2様配列との特異的相互作用の上記概念は、AREc内の
アンドロゲン応答エレメントIII(AREIII)の周囲の別の領域にも存在する。前立
腺特異的因子はARと相互作用し、特定のDNA配列(例えば、P2またはP2様コンセ
ンサス配列)に結合し、そしてPSA産生細胞における遺伝子発現をトランス活性
化すると考えられる。したがって、AREIIIの周囲の領域もまた、リガンド依存的
または非依存的かつ組織特異的様式で遺伝子発現を指令するためのキメラ構築物
を作製するために、他のプロモーターエレメントと共に使用することができるだ
ろう。
【0008】詳細な説明 PSAは約33kDaの分子量をもつ一本鎖の糖タンパク質である。それはヒト・カリ
クレイン様セリンプロテアーゼのファミリーのメンバーである(Landwall A, (19
89) Biochem. Biophys. Res. Commun. 161: 1151-59; Lilja H, (1985) J. Clin
. Invest. 76: 1899-1903)。PSAはヒト前立腺の管腔上皮細胞において合成され
、該細胞から分泌される。in vivoでは、PSAはセミノゲリンおよびフィブロネク
チンのタンパク質分解により精液凝塊を液化するように機能しうる(Cleutijens
KBJM, Korput HAGMら Mol Endocrin 11: 1256-65; Stamey TA, Yang Nら J Urol
. 141: 1088-90)。このPSA遺伝子は5つのエキソンから成り、およそ5Kbの領域
にわたっている(Nazarth LV, Wigel NL (1996) JBC 271: 19900-19907)。この遺
伝子は、ヒト染色体19q13.2-13.4上の60Kbの領域で、腺カリクレイン(hGK-1)遺
伝子および腎カリクレイン(KLK-1)遺伝子と共にクラスター化される(Nazarth LV
, Wigel NL (1996) JBC 271: 19900-19907)。PSAはもっぱらヒト前立腺と前立腺
由来の腫瘍および腫瘍細胞系においてのみ発現される(Gleave ME, Hsieh JTら (
1992) J. Urol. 147: 1151-59)。したがって、PSAは前立腺癌の診断と管理に広
く利用されている血清マーカーである。ヒト前立腺で特異的に発現される遺伝子
産物の中で、これまでPSA遺伝子の転写調節のみが研究されてきた(Schur ER, He
nderson GAら JBC 271(12): 7043-51 (1996); Rieginan PHJ, Vlietstra RJら (
1991) Mol Endocrin 5(12): 1921-30; Cleutijens KBJM, Korput HAGMら Mol En
docrin (1997) 11: 148-161)。PSAプロモーターは約6Kbの長さであり、該プロ
モーター中の3つのアンドロゲン応答エレメント(ARE)を通してアンドロゲンに
より強く調節されている(Rieginan PHJ, Vlietstra RJ ら (1991) Mol Endocrin
5(12): 1921-30; Cleutijens KBJM, Korput HAGMら Mol Endocrin (1997) 11:
148-161)。アンドロゲンと結合すると、ARは核に移行してAREに結合し、その後A
REがPSA遺伝子発現を活性化する。AREのうち2つは、-170位(ARE I: AGAACAgcaA
GTGCT)および-394位(ARE II: GGA TCAgggAGTCTC)の近位PSAプロモーターに位置
する。3番目のARE IIIは転写開始部位の約4200bp上流に位置する。3つのAREは
全てがPSAプロモーターの最大アンドロゲン誘導性に寄与している。ARE IIIは非
常に強いアンドロゲン調節性エンハンサー領域(AREc)の部分であることが示され
た。西欧諸国において、前立腺癌は男性では最も診断数の多い腫瘍であり、男性
の癌死の主因の一つとなっている(Culig Z, Hobisch Aら (1994) Cancer Res. 5
4: 5474-781)。前立腺癌の治療法はその悪性疾患の病期(ステージ)によって決
まる。初期には、大多数の前立腺腫瘍の成長は、正常な前立腺の発達と同様、ア
ンドロゲンに依存している(Ruiter de PE, Twuwen Rら (1995) Mol Cell Endocr
inol 110: R1-6)。転移した腫瘍の治療は一般的にAR機能のアンドロゲンによる
除去または遮断に基づいている。内分泌治療の開始後、ほとんどの前立腺腫瘍は
退行現象を示すようになる(Stamey TA, Yang Nら (1989) J Urol. 141: 1088-90
; Lyss AP (1987) "Systemic treatment for Prostate cancer (前立腺癌の全身
治療)" American J Med 83: 1120-27)。しかしながら、元々ホルモン応答性であ
った腫瘍が実質的に全て、この期間中に明らかにホルモン非依存性となる(Thalm
aun GN, Anizinis PEら (1994) Cancer Res. 54: 2577-81)。 大多数の前立腺癌では PSAが発現しているので、内分泌治療中の血清 PSAの増
加は一般的には前立腺腫瘍の再発または進行の証拠であると見なされる(Thalmau
n GN, Anizinis PEら (1994) Cancer Res. 54: 2577-81)。ホルモン非依存性腫
瘍細胞におけるPSAのアップレギュレーションは、ARのリガンド非依存的活性化
のためであると考えられる。前立腺癌細胞において、Culigら(Kleinerman DI, T
roncoso Pら (1996) AUA ninety-first annual meeting, Orlando, J. Urol)は
、IGF-1やKGFのような増殖因子がAR介在型のプロモーター特異的転写活性化を誘
導しうることを示している。さらに、ARと、PKAまたはPKCシグナル伝達経路との
、混信(cross-talk)も報じられている(Nazarth LV, Wigel NL (1996) JBC 271:
19900-19907; Ruiter de PE, Twuwen Rら (1995) Mol Cell Endocrinol 110: R1
-6)。前立腺癌におけるARの役割は依然論争中である。局所進行性のホルモン抵
抗性腫瘍の大多数は、正常の前立腺よりも均質ではないが、高いAR発現を示す(L
andwall A. (1989) Biochem. Biophys. Res. Commun. 161: 1151-59)。興味深い
ことに、前立腺癌の離れた骨転移物はARを発現するが、その発現レベルは局所再
発性の腫瘍より高レベルで、不均質であるようにみえる(Landwall A. (1989) Bi
ochem. Biophys. Res. Commun. 161: 1151-59)。AR発現レベルの増加により、癌
細胞はアンドロゲン欠乏条件下でのその成長および生存を補償することができ、
低レベルの血清テストステロンの存在下で増殖し続けることができると考えられ
る。
【0009】 組織特異的プロモーターを使用して腫瘍細胞に治療用遺伝子を送達し発現させ
るという考え方は、すでに十分に認識されている。このアプローチは正常細胞に
対する治療用遺伝子の有害作用を減少させ、しかも正常および腫瘍細胞への遺伝
子導入の特異性および効率を向上させる。正常、良性および悪性の前立腺上皮に
おけるPSAの高度に組織特異的な発現パターンゆえに、研究者らは、PSAプロモー
ターを用いて前立腺癌細胞における治療用遺伝子の組織特異的発現を指令させる
ことを試みてきたし、現在も試みている。天然のPSAプロモーターを用いて前立
腺細胞における特異的かつ効率的遺伝子発現を指令させる際に直面する問題は、
次のとおりである。すなわち、1) 完全長PSAプロモーターは、単独では、アンド
ロゲンを投与しない場合、前立腺癌細胞において下流の治療用遺伝子の発現を駆
動させるのに十分な強さのプロモーターではない。2) PSAプロモーターは比較的
大きいので、治療目的で挿入された遺伝子の能力を低下させる。こうした問題は
本発明において開示される以下のストラテジーにより克服することができる。第
一に、AREcエンハンサーエレメントおよびpTATA エレメントを並置することによ
ってスーパーPSAプロモーターを作製した。このスーパーPSAプロモーターは天然
のPSAプロモーターより2〜4倍高い活性を示し、組織特異的様式でアンドロゲ
ンにより高度に誘導される。さらに、スーパーPSAプロモーターの活性はホルモ
ン非依存性の前立腺癌細胞において特に強力であり、これによりスーパーPSAプ
ロモーターはホルモン非依存性の前立腺癌細胞へ遺伝子を送達するためのすぐれ
たプロモーターとなる。加えて、DNAフットプリント実験から、PSAプロモーター
活性にとって不可欠なP2エレメントが同定された。P2エレメントに結合する因子
は、内因性PSAを発現する能力がある細胞に特異的でありうる。P2エレメントを
操作する(それを多コピー数で用いるか、またはその配列をその部位で改変する
)ことにより、正常、良性および悪性の前立腺細胞におけるPSAプロモーターま
たは他の組織特異的プロモーターの活性を高めることができる。こうした想定は
、レポーター遺伝子の発現を駆動させるために3コピーのP2エレメントを用いた
とき、アンドロゲンの非存在下で途方もなく高い活性が認められたという観察に
基づいている。かくして、 P2のタンデムコピーは PSA陽性細胞(例えば、 LNC
aPおよびC4-2)においてプロモーターの活性を増強することができる。P2エレメ
ントとそのシス作用性因子との相互作用にはアンドロゲンもARも必要でないので
、P2エレメント含有プロモーターはPSAおよびAR陰性の前立腺細胞(例えば、PC-
3)においてさえ効率よく治療用遺伝子を送達できると予想される。ただし、P2
シス作用性因子も標的細胞内に導入されるという条件を前提とする。たとえシス
作用性因子がPSA産生細胞に特異的であったとしても、遺伝子治療でのP2エレメ
ントの使用は前立腺細胞に制限されない。P2部位含有構築物と共にシス作用性因
子を導入することによって、どのような種類の細胞にも治療用遺伝子を送達する
ことができると予想される。したがって、P2シス作用性因子を同定することによ
って、P2エレメントは事実上あらゆる所与の細胞に治療用遺伝子を送達するため
の非常に融通のきく強力なプロモーターとなるだろう。
【0010】 要するに、本発明は、前立腺および非前立腺の腫瘍を、スーパーPSAプロモー
ターによって駆動される治療用遺伝子を用いた遺伝子治療法で治療するために、
治療用遺伝子を送達し発現させるための方法ならびに組成物を提供する。pTATA
およびP2ボックスは単独でも、治療上の利益のために、前立腺および非前立腺細
胞において治療用遺伝子の発現を指令すると予想される。これらのアプローチは
、挿入する治療用遺伝子のサイズを増大せしめかつ遺伝子発現の特異性および効
率を維持する能力を高めるものである。このタイプの遺伝子治療戦略を単独で、
または他の補助的治療法と組み合わせて使用するか、様々な遺伝子治療戦略と共
に使用することにより、癌の治療において最大の効果を達成することができ、正
常および良性の組織においては治療上の利益を高めることができる。
【0011】1.本発明の更なる実施形態 更なる実施形態において、本明細書に開示する本発明は、前立腺特異的遺伝子
転写のためのモデルを提供する。本発明は、一部には、アンドロゲンにより高度
に誘導可能であり、前立腺特異的様式で発現されるスーパーPSA調節領域の、本
明細書に開示する機能的特徴付けに基づいている。
【0012】 本発明は、前立腺細胞内での発現をモジュレートする化合物をスクリーニング
するための組成物および方法を提供する。特に、本発明は、前立腺特異的様式で
核酸コード配列の発現を制御するPSAプロモーター由来のヌクレオチド、その転
写活性のある断片、または該ヌクレオチドと高度ストリンジェントおよび中程度
ストリンジェント条件下でハイブリダイズする核酸を含有する組成物を提供する
。さらに特定すると、異種レポーター遺伝子(例えば、LacZ)と機能的に結合さ
れたスーパーPSA調節領域またはその転写活性のある断片を含有する発現ベクタ
ー、ならびに該ベクターを含有する宿主細胞およびトランスジェニック動物を提
供する。本発明はまた、前立腺関連疾患のアゴニストまたはアンタゴニストにつ
いて候補分子をスクリーニングするための前記ベクター、細胞または動物の使用
方法を提供する。スクリーニングアッセイで同定された分子および化合物を治療
処置のために使用する方法も提供する。
【0013】 例えば、限定するものではないが、レポーター遺伝子を含む組成物は前立腺特
異的調節配列(本明細書ではスーパーPSA調節領域と呼ぶ)と機能的に連結され
る。スーパーPSAによって駆動されるレポーター遺伝子は動物内でトランスジー
ンとして発現される。トランスジェニック動物および該トランスジェニック動物
の前立腺に由来する細胞を用いて、前立腺関連疾患をモジュレートするのに有用
な候補物質について化合物をスクリーニングすることができる。どのような特定
の理論によっても拘束されないが、かかる化合物はトランス作用性因子(例えば
、転写因子)、シス作用性エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー)
、ならびに前立腺関連疾患に係わるクラスの転写後、翻訳または翻訳後の化合物
の機能を妨げるようである。そのようなものとして、それらは前立腺関連疾患を
治療するための強力な候補物質である。
【0014】 一実施形態において、本発明は、前立腺内での遺伝子の特異的発現をモジュレ
ートする化合物のハイスループット(高効率)スクリーニング法を提供する。本
発明のこの態様では、トランスジェニック動物から前立腺由来の細胞を取り出し
て、in vitroで培養する。レポーター遺伝子の発現を利用して前立腺特異的遺伝
子活性をモニターする。特定の実施形態においては、LacZをレポーター遺伝子と
する。この方法で同定された化合物は、正常な動物において前立腺関連疾患に及
ぼすその効果についてさらに試験することができる。
【0015】 別の実施形態では、本発明のトランスジェニック動物モデルをin vivoスクリ
ーニングに使用して、候補薬物が前立腺関連疾患に及ぼす効果に関する作用機構
を調べることができる。特に、前立腺関連疾患に対する薬物の効果をアッセイす
ることができる。
【0016】 別の実施形態においては、前立腺関連疾患を治療および/または予防するため
の遺伝子治療法を提供する。スーパーPSA調節配列を用いて、前立腺の細胞に導
入された治療用分子の前立腺特異的発現を駆動させる。この方法は、治療用分子
をコードする核酸と機能的に結合されたスーパーPSA調節配列を前立腺の細胞に
導入することを含む。一実施形態において、本発明は、治療用分子をコードする
核酸と機能的に結合されたスーパーPSA調節配列を前立腺の細胞に導入して、前
立腺関連疾患を遅らせるおよび/または予防することを含む予防的遺伝子治療法
を提供する。特定の実施形態では、本発明は、前立腺癌を含めて、癌または他の
増殖性疾患を治療するための遺伝子治療法を提供する。スーパーPSA調節配列を
用いて、患者の腫瘍細胞内での1以上のコード配列の特異的発現を駆動させる。
【0017】 本発明はさらに、スーパーPSA調節配列をモジュレートする新規転写因子のス
クリーニング方法を提供する。この方法で同定された新規転写因子は前立腺関連
疾患を治療するための標的として使用することができる。
【0018】1.1 本発明のポリヌクレオチドおよび核酸 本発明は、PSA遺伝子の5'調節領域、およびその転写活性のある断片を含むポ
リヌクレオチド配列を包含する。具体的には、本発明は、PSA遺伝子内に位置す
る図3に示すpTATA配列を含むポリヌクレオチド、およびその転写活性のある断
片を提供する。pTATA配列は、in vivoにおける前立腺特異的転写を指令するため
に必要なcisエレメントを含有する。例えば、pTATA配列の23bpの断片(pTATAのP
2領域)はpTATA活性に必須である。本発明はさらに、図3に示すpTATAヌクレオ
チド配列を含み、図3に示すAREcヌクレオチド配列に並置されたスーパーPSA調
節領域を包含する。このスーパーPSA調節領域は、天然PSAプロモーターよりも2
〜4倍高い基礎活性を付与するのに十分であり、これは、前立腺特異的にアンド
ロゲンにより高度に誘導されうる。
【0019】 本発明はさらに、スーパーPSA調節領域のプローブ、プライマーおよび断片を
提供する。一実施形態においては、スーパーPSA調節配列の少なくとも8ヌクレ
オチド(すなわちハイブリダイズ可能な部分)をからなる精製した核酸が提供さ
れる。別の実施形態においては、核酸は、スーパーPSA配列の少なくとも20の(
連続した)ヌクレオチド、25ヌクレオチド、50ヌクレオチド、100ヌクレオチド
、200ヌクレオチド、または500ヌクレオチドからなる。当業者に周知の方法を用
いて、これらの配列を、単離した形態でまたはベクターに含まれた形態で構築す
ることができる。これらの方法としては、例えば、in vitro組換えDNA手法、合
成手法およびin vivo遺伝的組換え手法が挙げられる。例えば、Sambrookら、198
9(前掲)およびAusabelら、1989(前掲)に記載の手法を参照されたい。また例
えば、「オリゴヌクレオチド合成」(Oligonucleotide Synthesis)1984, Gait
M. J.編、IRL Press, Oxfordに記載の手法も参照されたい。同書は参照によりそ
の全文を本願明細書に組み入れる。
【0020】 別の実施形態では、核酸は、20、25、35、200または500ヌクレオチド長より短
い。核酸は、一本鎖でも二本鎖でもよい。本発明はまた、前記配列とハイブリダ
イズ可能な核酸または該配列に相補的な核酸を包含する。特定の態様において、
スーパーPSA配列の少なくとも10、20、25、50、100、200、500ヌクレオチドまた
はその全調節領域と相補的な配列を含む核酸を提供する。
【0021】 本発明によって提供されるスーパーPSA調節領域のプローブ、プライマーおよ
び断片は、研究者によって、様々な目的に使用されうる。これらは、サザンブロ
ットゲルの分子量マーカーとして;染色体を同定するためまたは関連する遺伝子
の位置をマッピングするための染色体マーカーまたはタグ(標識されている場合
)として;患者における内因性DNA配列と比較して潜在的な遺伝的疾患を同定す
るため;ハイブリダイズさせて新規の関連するDNA配列を発見するためのプロー
ブとして;遺伝的フィンガープリンティングのためのPCRプライマーを得るため
の情報源として;および、その他の新規ポリヌクレオチドを発見する過程におい
て公知の配列を「見つけて排除する(subtract-out)」ためのプローブとして使
用できる。上に挙げた用途を実施する方法は当業者に公知である。そのような方
法を開示する参考文献として、限定するものではないが、「分子クローニング:
実験室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」(第2版 Cold S
pring Harbor Laboratory Press, Sambrook, J., E. F. FritschおよびT. Mania
tis編、1989)ならびに「酵素学の方法:分子クローニング技術への招待(Metho
ds in Enzymology: Guide to Molecular Cloning Techniques)」(Academic Pr
ess, Berger, S. L.およびA. R. Kimmel 編、1987)が挙げられる。
【0022】 本発明のヌクレオチド配列はまた、図3に示したヌクレオチド配列に対し、少
なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくはそれ以上の
ヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列、および/またはその転写活
性のある断片を含む。
【0023】 2つのアミノ酸配列または2つの核酸の同一性%を決定するには、最適な比較
目的のために配列のアライメントをとる(例えば、第2のアミノ酸または核酸配
列との最適なアライメントのために第1のアミノ酸または核酸配列の配列内にギ
ャップを導入してもよい)。そうして、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチ
ド位置にあるアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列内の位置
が、第2の配列内の対応する位置のものと同一のアミノ酸残基またはヌクレオチ
ドによって占められているときは、該分子はその位置において同一である。2つ
の配列間における同一性%は、該配列に共通の同一位置の数の関数である(すな
わち、同一性%=同一の重複する位置の数/位置の総数×100)。一実施形態に
おいて、2つの配列は同一の長さである。 2つの配列間の同一性%の決定はまた、数学的アルゴリズムを用いて行うこと
もできる。2つの配列を比較するために使用される数学的アルゴリズムの好まし
い非限定的な例は、KarlinおよびAltschul (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA
87: 2264-2268に記載のアルゴリズム、KarlinおよびAltschul (1993) Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA 90: 5873-5877に記載の改変型アルゴリズムである。このよ
うなアルゴリズムは、Altschulら(1990) J. Mol. Biol. 215: 403-410のNBLAST
およびXBLASTプログラムに組み込まれている。BLASTヌクレオチド検索は、NBLAS
Tプログラム(スコア= 100、ワード長 = 12)を用いて実施でき、本発明の核酸
分子に相同的なヌクレオチド配列が得られる。BLASTタンパク質検索は、XBLAST
プログラム(スコア= 50、ワード長= 3)を用いて実施でき、本発明のタンパク
質分子に相同的なアミノ酸配列が得られる。比較の目的でギャップアライメント
を得るため、Altschulら(1997) Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402に記載のGap
ped BLASTを利用できる。あるいは、PSI-Blastを使用して反復検索を実施し、分
子間の遠位関係を検出することができる(Id)。BLAST、Gapped BLASTおよびPSI
-Blastプログラムを使用する場合、それぞれのプログラムのデフォルトパラメー
ター(例えば、XBLASTおよびNBLAST)を使用できる(http://www. ncbi. nlm. n
ih. gov参照)。配列の比較に使用される数学的アルゴリズムの別の好ましい非
限定的な例は、MyersおよびMiller(1988) CABIOS 4: 11-17のアルゴリズムであ
る。このようなアルゴリズムは、GCG配列アライメントソフトウェアパッケージ
の一部であるALIGNプログラム (version 2.0)に組み込まれている。アミノ酸配
列を比較するためにALIGNプログラムを使用する場合は、PAM120重み付け残基表
(weight residue table)、ギャップ長ペナルティ12およびギャップペナルティ
4を使用できる。別の実施形態では、NA_MULTIPLE_ALIGNMENT 1.0プログラム(ギ
ャップ重み5、およびギャップ長さ重み1を使用)を用いてアライメントが得ら
れる。
【0024】 2つの配列間における同一性%は、上記と同様の技術を用いて、ギャップあり
または無しで、決定できる。同一性%の計算においては、典型的には、正確なマ
ッチのみを計数する。
【0025】 本発明はまた、 (a) 前記のスーパーPSA調節配列、および/またはその相補配列(すなわち、ア
ンチセンス)の任意のものを含むDNAベクター; (b) レポーター遺伝子などの異種遺伝子に機能しうる形で連結された前記スー
パーPSA調節エレメント配列のうち任意のものを含むDNA発現ベクター;ならびに (c) 前記スーパーPSA調節エレメントが宿主細胞内で異種遺伝子の発現を指令
するように、異種遺伝子に機能しうる形で連結された該スーパーPSA調節エレメ
ント配列のうち任意のものを含むよう遺伝子操作された宿主細胞; を包含する。
【0026】 本発明の範囲にはまた、上記調節領域の転写活性のある種々の断片が包含され
る。本発明の、スーパーPSA配列の「転写活性のある」または「転写機能を有す
る」断片とは、組換え細胞宿主内で、組換えポリペプチドまたは組換えポリヌク
レオチドを発現するための調節領域として機能する前記ポリヌクレオチドの断片
を含むポリヌクレオチドをいう。本発明の目的に対し、核酸またはポリヌクレオ
チドは、該調節ポリヌクレオチドが転写情報を含むヌクレオチド配列を含有し、
このような配列が所望のポリペプチドまたは所望のポリヌクレオチドをコードす
るヌクレオチド配列に機能しうる形で連結している場合に、組換えポリペプチド
または組換えポリヌクレオチドを発現するための調節領域として「転写活性」が
ある。
【0027】 特に、本発明のスーパーPSA調節領域の転写活性のある断片は、スーパーPSA調
節配列に機能しうる形で連結され、前立腺細胞系にトランスフェクトされた際に
、レポーター遺伝子などの異種遺伝子の転写を促進するのに十分な長さの断片を
包含する。典型的には、調節領域は、コード配列と接して5'側に配置され、コー
ド配列に機能しうる形で連結される。本明細書で使用する場合、「機能しうる形
で連結された」という用語は、転写開始に必要な転写活性化因子(転写因子、ポ
リメラーゼサブユニットおよびアクセサリータンパク質など)がこの領域と結合
でき、レポーター遺伝子のRNAポリメラーゼによる転写の開始が可能となるよう
に、調節配列をレポーター遺伝子と接して5’側(上流)に配置することをいう
【0028】 一実施形態では、選択したポリヌクレオチド配列はさらに、PSA遺伝子または
異種遺伝子のいずれかに由来するその他のヌクレオチド配列を含みうる。別の実
施形態では、プロモーター配列またはその断片の複数のコピーが互いに連結され
ていてもよい。例えば、プロモーター配列またはその断片を、別のコピーのプロ
モーター配列またはその別の断片に、ヘッド−テイル、ヘッド−ヘッド、または
テイル−テイルの方向で連結してもよい。別の実施形態では、前立腺癌細胞特異
的エンハンサーが、スーパーPSA調節配列またはその断片に機能しうる形で連結
していてもよく、これを使用してスーパーPSA調節配列を含む構築物からの転写
を増強することができる。
【0029】 また、このヌクレオチド配列を、その転写活性に実質的な影響を及ぼすことな
く改変することも、本発明の範囲に包含される。このような改変には、付加、欠
失および置換が含まれる。さらに、ストリンジェントな条件下で図3に示した配
列に対する相補配列と選択的にハイブリダイズし、コード配列の発現を活性化す
ることができるヌクレオチド配列であればいずれのものも本発明に包含される。
典型的な中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、以下のよ
うなものである:DNAを含むフィルターのプレハイブリダイゼーションを8時間か
ら一晩かけて、バッファー(6X SSC、50 mM Tris-HCl (pH 7.5)、1 mM EDTA、0.
02% PVP、0.02% Ficoll、0.02% BSA、および500 μg/ml 変性サケ精子DNAか
らなる)中で、65℃にて実施する。フィルターは、100 μg/mlの変性サケ精子DN
Aおよび5〜20 X l06 cpm の32P-標識プローブを含むプレハイブリダイゼーショ
ン混合物中、65℃にて48時間かけてハイブリダイズさせる。フィルターの洗浄は
、2X SSC、0.01% PVP、0.01% Ficollおよび0.01% BSAを含む溶液中で、37℃
にて1時間かけて実施する。この後、オートラジオグラフィーの前に0.1X SSC中
で、50℃にて45分間洗浄する。また、高度にストリンジェントな条件の例は、以
下の通りである:例えば、0.5 M NaHPO4、7% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1
mM EDTA中で65℃にて、フィルター結合DNAとハイブリダイズさせ、0.1xSSC/0.1
% SDS中で68℃にて洗浄する(Ausubel F. M.ら編、1989, Current Protocols in
Molecular Biology, Vol. I, Green Publishing Associates, Inc.,およびJohn
Wiley & Sons, Inc., New York, at p. 2.10.3)。採用しうる高ストリンジェン
シーの別の条件は、当技術分野では周知である。一般に、長さが14〜70ヌクレオ
チドのプローブについては、融解温度(TM)は以下の式を用いて計算する: Tm (℃) =81.5+16.6 (log [一価のカチオン(モル濃度)]) +0.41 (% G+C)- (500
/N) [式中、Nはプローブの長さである]。ハイブリダイゼーションをホルムア
ミドを含む溶液中で実施する場合、融解温度は次の式を用いて計算する: Tm (℃) =81.5+16.6 (log [一価のカチオン(モル濃度)]) +0.41 (% G+C)- (0.
61% ホルムアミド)- (500/N)[式中、Nはプローブの長さである]。一般的に、
ハイブリダイゼーションは、Tmから約20〜25℃低い温度(DNA-DNAハイブリッド
の場合)、または10〜15℃低い温度(RNA-DNAハイブリッドの場合)で実施する
【0030】 スーパーPSA調節領域、またはその転写機能的な断片は、好ましくは、哺乳動
物生物体由来のものである。核酸ハイブリダイゼーションによるスクリ−ニング
法により、種々の生物に由来する遺伝子配列を単離することが可能である。本明
細書で開示した単離されたポリヌクレオチド配列、またはその断片を標識して、
これを使用することにより、目的の生物に由来する好適な細胞または組織(例え
ば、前立腺組織)から得られるmRNAから構築されたcDNAライブラリーをスクリ−
ニングできる。採用するハイブリダイゼーション条件は、cDNAライブラリーが、
標識した配列を得た生物と異なるタイプの生物に由来する場合、低度のストリン
ジェンシー条件にする必要がある。低度のストリンジェンシー条件は、当業者に
は公知であり、そのライブラリーおよび標識配列を得た所定の生物に応じて変更
することになる。このような条件に関する手引きとして、例えば、Sambrookら、
1989、「分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A Laborato
ry Manual)」(第2版、Cold Spring Harbor Press)ならびにAusabelら、1989、「
分子生物学の最新プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」(Gr
een Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y.)を参照されたい(
これらは、参照によりその全体を本明細書に組み入れるものとする)。さらに、
哺乳動物のスーパーPSA調節領域相同体は、例えば、ウシまたはその他のヒト以
外の核酸から、本明細書に開示したスーパーPSA調節領域のヌクレオチド配列に
基づき設計された2つのプライマープールを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR
)増幅を実施することにより単離できる。この反応の鋳型は、例えば、ウシもし
くはその他のヒト以外の細胞系、またはPSA遺伝子を発現することが知られてい
る組織から調製されたmRNAの逆転写によって得られるcDNAでもよい。このような
条件に関する手引き書として、例えば、Innisら(編) 1995, PCR Strategies, Ac
ademic Press Inc., San Diego;およびErlich (編) 1992, PCR Technology, Oxf
ord University Press, New Yorkを参照されたい(これらは、参照によりその全
体を本明細書に組み入れるものとする)。
【0031】 PSA遺伝子の5’非コード領域内のプロモーター配列は、エキソヌクレアーゼII
Iまたは好適な制限エンドヌクレアーゼによる消化などの慣用の技術を用いて、
ネステッド化5’および/または3’欠失を構築することによって、さらに特定で
きる。得られた欠失断片を、プロモーターレポーターベクターに挿入して、その
欠失がプロモーター活性を減ずるかまたは消失させるかどうかを判定することが
できる。これについては、例えば、Colesら(Hum. Mol. Genet., 7: 791-800,199
8)などにより記載されている。この方法により、プロモーターの境界を決定でき
る。所望により、部位特異的突然変異誘発またはリンカースキャニングを用い、
プロモーター内の潜在的な転写因子結合部位を、個々にまたは組み合わせて消失
させることにより、プロモーター中の潜在的な個々の調節部位を同定することが
できる。このような突然変異の転写レベルでの影響は、プロモーターレポーター
ベクター中のクローニング部位に突然変異を挿入することにより判定できる。こ
のようなタイプのアッセイは、当業者に公知である (WO 97/17359、US 5,374,54
4、EP 582 796、US 5,698,389、US 5,643,746、US 5,502,176およびUS 5,266,48
8)。
【0032】 スーパーPSA調節領域およびその転写機能を有する断片、並びにスーパーPSA調
節領域およびその断片を同定するために利用される本明細書に記載の断片および
プローブは、当技術分野で公知の技術を用いて組換えDNA技術によって作製でき
る。当業者に公知の方法を使用して、これらの配列を、単離された形態でまたは
発現ベクターに含まれた形態で、構築することができる。このような方法として
は、例えば、in vitro組換えDNA法、合成法およびin vivo遺伝子組換え法が挙げ
られる。例えば、Sambrookら、1989(前掲)およびAusabelら、1989(前掲)に
記載の方法を参照されたい。また、「オリゴヌクレオチド合成(Oligonucleotide
Synthesis)」、1984, Gait M. J.編、IRL Press, Oxfordに記載の方法も参照さ
れたい。これらは参照によりその全体を本明細書に組み入れるものとする。
【0033】 調節配列における改変は、当業者に公知の様々な化学的および酵素的方法を用
いて作製できる。例えば、制限部位によって特定される配列領域を欠失させるこ
とができる。オリゴヌクレオチド指定突然変異誘発を使用して、配列を特定して
改変することができ、および/または配列内の特定の領域に制限部位を導入する
ことができる。さらに、欠失突然変異体は、Bal31、ExoIIIまたはS1ヌクレアー
ゼなどのDNAヌクレアーゼを用いて作製できる。DNAをヌクレアーゼと共にインキ
ュべートする時間を増加させることにより、調節配列中の欠失を次第に大きくす
ることができる(例えば、Ausubelら、1989(前掲)を参照されたい)。
【0034】 改変配列は、好適な宿主細胞において異種コード配列の発現を指令する能力に
ついて評価する。さらなる使用のために組換え発現ベクターに組み込まれた、コ
ード配列の発現を指令する能力を保持する任意の改変型調節配列は、本発明の範
囲に包含される。
【0035】1.2 前立腺特異的プロモーター活性の解析 スーパーPSA調節領域は、選択的組織および細胞型に対する特異性を示し、つ
まり、前立腺特異的に遺伝子発現を誘導する。したがって、本発明の調節領域お
よびその転写活性のある断片を用いて、前立腺細胞において異種コード配列の発
現を誘導することができる。本発明は、標的遺伝子の組織特異的発現を達成する
ためのスーパーPSA調節領域の使用を提供する。スーパーPSA調節領域の活性およ
び特異性はさらに、種々のタイプの細胞および組織における、スーパーPSA調節
領域と機能しうる形で連結した検出可能なポリヌクレオチドの発現レベルをモニ
タリングすることにより、評価することができる。以下に記述するように、この
検出可能なポリヌクレオチドは所定のオリゴヌクレオチドプローブと特異的にハ
イブリダイズするポリヌクレオチドであってもよく、または検出可能なタンパク
質をコードするポリヌクレオチドであってもよい。
【0036】1.2.1 スーパーPSAプロモーター駆動性レポーター構築物 本発明の調節ポリヌクレオチドは、コード配列またはレポーター遺伝子を所望
の宿主細胞または宿主生物内で発現させるために用いられる組換え発現ベクター
の一部とすることが有利でありうる。本発明のスーパーPSA調節領域およびその
転写活性のある断片を用いて異種コード配列の発現を指令することができる。特
に、本発明は、哺乳動物のスーパーPSA調節領域を包含する。本発明においては
、スーパーPSA調節領域の転写活性のある断片とは、該断片が機能しうる形で連
結しているレポーターコード配列の転写を促進するのに十分な長さを有する上記
領域の断片を包含する。
【0037】 当業者に公知のさまざまなレポーター遺伝子配列を用いることができる。該レ
ポーター遺伝子配列としては、限定されるものではないが、緑色蛍光タンパク質
(GFP)などの蛍光タンパク質、酵素(例えば、CAT、β-ガラクトシダーゼ、ルシフ
ェラーゼ)または抗原マーカーなどが挙げられる。便宜的に、比色定量的および
蛍光定量的なアッセイにより解析される酵素的レポーターおよび発光性レポータ
ーが本発明のスクリーニングアッセイには好ましい。
【0038】 一実施形態では、例えば生物発光、化学発光または蛍光タンパク質を発光性レ
ポーターとして本発明に用いることができる。発光性レポーターの種類は、基質
または補因子を必要としないものとして、限定するものではないが、オワンクラ
ゲ(Victoria aequoria)の野生型緑色蛍光タンパク質(GFP)(Chalfieら、1994、Sc
ience 263:802-805)および改変型GFP(Heimら、1995、Nature 373:663-4; 国際公
開WO96/23810)が挙げられる。この種のレポーター遺伝子の転写および翻訳によ
り、試験する細胞内で蛍光タンパク質が蓄積され、それを蛍光計またはフローサ
イトメーターにより、例えば当業者に公知の方法で測定することができる(Lacko
wicz、1983、「蛍光分光解析の原理」(Principles of Fluorescence Spectrosco
py), Plenum Press、New Yorkなどを参照のこと)。
【0039】 利用可能な他の種のレポーター遺伝子としては、発光するために補因子を必要
とする酵素があり、限定されるものではないが、ウミシイタケ(Renilla)のルシ
フェラーゼが挙げられる。他の起源のルシフェラーゼもまた当業者には公知であ
り、限定されるものではないが、ビブリオ・ハーベイ(Viborio harveyi)の細菌
性ルシフェラーゼ(LuxAB遺伝子産物)(Karp、1989、Biochim. Biophys. Acta.100
7:84-90; Stewartら、1992、J. Gen. Microbiol, 138: 1289-1300)およびホタル
のホチヌス・ピラリス(Photinus pyralis)のルシフェラーゼ(De Wetら、1987、M
ol. Cell. Biol. 7: 725-737)が挙げられる。これらは、光の生成によりアッセ
イすることができる(Miyamotoら、1987、J. Bacteriol. 169:247-253; Loessner
ら、1996、Environ. Microbiol. 62:1133-1140; ならびにSchultzおよびYarus、
1990、J. Bacteriol. 172: 595-602)。
【0040】 比色定量分析を用いて解析可能なレポーター遺伝子としては、限定されるもの
ではないが、β-ガラクトシダーゼ(Nolanら、1988、Proc. Natl. Acad. Sci. US
A 85: 2603-07)、β-グルクロニダーゼ(Robertsら、1989、Curr. Genet. 15:177
-180)、ルシフェラーゼ(Miyamotoら、1987、J. Bacteriol. 169: 247-253)また
はβ-ラクタマーゼが挙げられる。一実施形態では、レポーター遺伝子配列はLac
Z遺伝子産物であるβ-ガラクトシダーゼをコードするヌクレオチド配列を含む。
この酵素は非常に安定であり、かつ広範な特異性を有しているため、種々の組織
化学的、発色または発蛍光基質の使用が可能となる。そのような基質としては、
例えば限定されるものではないが、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドイル-β-D-ガラ
クトシド(X-gal)、ラクトース2,3,5,-トリフェニル-2H-テトラゾリウム(ラクト
ース-テトラゾリウム)およびフルオロセインガラクトピラノシド(Nolanら、1988
、前掲を参照のこと)が挙げられる。
【0041】 他の実施形態では、大腸菌(E.coli)のβ-グルクロニダーゼ遺伝子(GUS)の産物
をレポーター遺伝子として用いることができる(Robertsら、1989、Curr. Genet.
15: 177-180)。GUS活性は、さまざまな組織化学的および発蛍光基質(例えば、X
-グルクロニド(Xgluc)および4-メチルウンベリフェリルグルクロニド)により検
出可能である。
【0042】 従来の比色応答を呈する上記のようなレポーター遺伝子配列に加えて、他のレ
ポーター遺伝子配列(例えば、選択レポーター遺伝子配列等)を慣例的に用いるこ
とができる。例えば、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)
のコード配列を用いることができ、それにより、クロラムフェニコール耐性細胞
の増殖についてスーパーPSA調節領域依存的な発現がもたらされる。CATの使用お
よび選択レポーター遺伝子の利点は当技術分野では公知である(Eikmannsら、199
1、Gene 102: 93-98)。他の選択レポーター遺伝子配列もまた使用でき、例えば
限定されるものではないが、ゼオシン(zeocin)耐性(Hegedusら、1998、Gene 207
: 241-249)またはカナマイシン耐性(FriedrichおよびSoriano、1991、Genes. De
v. 5: 1513-1523)を付与するポリペプチドをコードする遺伝子配列が挙げられる
【0043】 他のレポーター遺伝子、例えば毒性遺伝子産物、潜在的毒性遺伝子産物および
抗細胞増殖性または増殖抑制性遺伝子産物などを用いることもできる。他の実施
形態では、検出可能なレポーターポリヌクレオチドは所定のオリゴヌクレオチド
プローブと特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチドでもよく、またはPSA
ポリペプチドもしくはその断片またはそれらの変異体などの検出可能なタンパク
質をコードするポリヌクレオチドでもよい。この種のアッセイは、当業者には公
知である(米国特許第5,502,176号および同第5,266,488号)。
【0044】 スーパーPSA駆動性レポーター構築物は、標準的な組換えDNA技法に従って構築
することができる(例えば、「酵素学における方法」(Methods in Enzymology),
1987, 154巻、Academic Press; Sambrookら、1989、「分子クローニング-実験室
マニュアル」(Molecular Cloning-A Laboratory Manual)、第2版、Cold Spring
Harbor Press, New York; およびAusubelら、「分子生物学における最新のプロ
トコル」(Current Protocols in Molecular Biology)、Greene Publishing Asso
ciates and Wiley Interscience、New Yorkなどを参照のこと。これらはいずれ
も全文を参照として本明細書に組み入れるものとする)。
【0045】 プロモーター活性をアッセイする方法は当技術分野で公知である(例えば、Sam
brookら、Molecular Cloning A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Labor
atory, Cold Spring Harbor, NY, 1989を参照のこと)。利用可能な典型的な方法
の一例には、レポーター遺伝子およびスーパーPSA遺伝子由来の配列を含有する
組換えベクターを利用する。簡単に説明すると、レポーター遺伝子 (例えば、緑
色蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼまたはクロラムフェ
ニコールアセチルトランスフェラーゼ)の発現が、生物学的に活性なポリヌクレ
オチド断片の制御下に配置される場合には検出される。その遺伝子の第1エキソ
ンの上流に位置するゲノム配列を、任意の適切なプロモーターレポーターベクタ
ーにクローニングすることができる。例えば、種々の市販のベクターを遺伝子操
作して本発明のスーパーPSA調節領域を挿入し、哺乳動物宿主細胞で発現させる
ことができる。このようなベクターの非限定的な例としては、pSEAPBasic、pSEA
P-エンハンサー、pβgal-Basic、pβgal-エンハンサーもしくはpEGFP-1プロモー
ターレポーターベクター(Clontech, Palo Alto, CA)またはpGL2-basicもしくはp
GL3-basicプロモーター不含ルシフェラーゼレポーター遺伝子ベクター(Promega,
Madison, WI)などが挙げられる。これらの各プロモーターレポーターベクター
は、簡便にアッセイ可能なタンパク質(例えば、分泌性アルカリホスファターゼ
、緑色蛍光タンパク質、ルシフェラーゼまたはβ-ガラクトシダーゼ)をコードす
るレポーター遺伝子の上流の位置にマルチクローニング部位を有している。PSA
遺伝子の調節配列をレポーター遺伝子の上流にあるクローニング部位に両方向で
挿入して、適切な宿主細胞に導入する。レポータータンパク質のレベルをアッセ
イし、クローニング部位にインサートを含まないベクターで得られたレベルと比
較する。対照のベクターに対してインサートを含有するベクターで発現レベルの
上昇が認められると、インサート内にプロモーターが存在することが示される。
【0046】 スーパーPSA調節領域を含む発現ベクターは、選択マーカーをコードする遺伝
子をさらに含有してもよい。さまざまな選択系を用いることができ、例えば限定
されるものではないが、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子(Wigle
rら、1997、Cell 11: 223)、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランス
フェラーゼ遺伝子(SzybalskaおよびSzybalski、1962、Proc. Natl. Acad. Sci.
USA 48: 2026)およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Lowyら
、1980、Cell 22: 817)(それぞれ、tk-、hgprt-、またはaprt-細胞で用いる)が
挙げられる。また、メトトレキセートに対する耐性を付与するdhfr (Wiglerら、
1980、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77: 1527、O'Hareら、1980、Proc. Natl. A
cad. Sci. USA 78: 1527)、ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt(Mulli
ganおよびBerg、1981、Proc. Natl Acad. Sci. USA 78: 2072)、アミノグリコシ
ドG-418に対する耐性を付与するneo(Colberre-Gerapinら、1981、J. Mol. Biol.
150: 1)およびハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygro(Santerreら、19
84、Gene 30: 147)の遺伝子についての選択に基づくような代謝拮抗物質耐性を
利用することもできる。他の選択可能な遺伝子としては、細胞がトリプトファン
の代わりにインドールを利用できるようにするtrpB、細胞がヒスチジンの代わり
にヒスチノールを利用できるようにするhisD(HartmanおよびMulligan、1988、Pr
oc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 8047)、オルニチンデカルボキシラーゼ阻害剤で
ある2-(ジフルオロメチル)-DL-オルニチン(DFMO)に対する耐性を付与するODC(
オルニチンデカルボキシラーゼ)(McConlogue L.、1987、「分子生物学の最新の
ニュース」(Current Communications in Molecular Biology)中、Cold Spring H
arbor laboratory編)、およびグルタミン合成酵素(Bebbingtonら、1992、Biotec
h 10: 169)が挙げられる。
【0047】1.2.2 転写活性のある調節断片の特性解析 スーパーPSA調節領域またはその断片を含む融合構築物を転写活性についてア
ッセイすることができる。プロモーター解析における第1段階として、研究対象
とする前立腺特異的遺伝子の転写開始点(+1の位置)を、標準的方法(Sambrookら
、1989、「分子クローニング:実験室マニュアル」(Molecular Cloning: A Labo
ratory Manual), Cold Spring Harbor、Cold Spring Harbor Press)に従ってプ
ライマー伸長アッセイおよび/またはRNAaseプロテクションアッセイを用いて決
定しなければならない。+1の位置の上流にあるDNA配列は、一般に、遺伝子調節
を担っているプロモーター領域であると考えられる。しかし、イントロン内の配
列を含む下流の配列もまた、遺伝子調節に関与している可能性がある。プロモー
ター活性の試験を始める際には、-3kb〜+3kbまでの領域(この場合、+1は転写開
始点である)をレポーター遺伝子コード領域の上流にクローニングするとよい。
また、調節領域の5'末端および/または3'末端切断型を含有する2種以上のさら
なるレポーター遺伝子構築物を作製して、前立腺特異的発現を担っている領域の
同定に役立てることができる。レポーター遺伝子の種類は、用途に基づいて選択
される。
【0048】 好ましい実施形態では、GFPレポーター遺伝子構築物を用いる。緑色蛍光タン
パク質(GFP)をレポーターとして使用することは、前立腺特異的遺伝子プロモー
ターの研究に特に有用である。レポーターとしてGFPを用いることの主な利点は
、新たに単離された前立腺細胞において、基質を必要とすることなくGFPを検出
できるということにある。
【0049】 本発明の他の実施形態では、LacZレポーター構築物を用いる。LacZ遺伝子産物
であるβ-ガラクトシダーゼは、極めて安定であり、広範な特異性を有している
ため、例えば限定されるものではないが、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドイル-β-
D-ガラクトシド(X-gal)、ラクトース2,3,5,-トリフェニル-2H-テトラゾリウム(
ラクトース-テトラゾリウム)およびフルオロセインガラクトピラノシドなどの種
々の組織化学的、発色または発蛍光基質の使用が可能となる(Nolanら、1988、前
掲を参照のこと)。
【0050】 トランスジェニックマウスにおけるプロモーター解析には、哺乳動物細胞内で
の発現のために既に最適化されているGFPが好ましい。プロモーター不含クロー
ニングベクターpEGFP1(Clontech, Palo Alto, CA)は、蛍光がより明るくなるよ
うに、また哺乳動物細胞中の発現が増大するように最適化されている野生型GFP
の赤色シフト型変異体をコードする(Cormackら、1996、Gene 173: 33; Haasら、
1996、Curr. Biol. 6: 315)。さらに、この増強型GFP(EGFP)の最大励起ピークは
488nmにあるため、450〜500nmで発光するフルオロセインイソチオシアネート(FI
TC)用の光学フィルター等の汎用のフィルターのセットを用いてGFPの蛍光を可視
化することができる。pEGFP1は、トランスジェニックマウスでのプロモーター解
析用のレポーターベクターとして有用であることが判明している(Okabeら、1997
、FEBS Lett. 407:313)。他の実施形態では、LacZまたはルシフェラーゼレポー
ター遺伝子の上流にスーパーPSA調節領域を有するトランスジーンを含有するト
ランスジェニックマウスを用いる。
【0051】 推定上のプロモーター断片(通常、プロモーター領域を含む8〜10kbのゲノムD
NAを含んだ親ファージクローンに由来するもの)は、当技術分野で公知の方法を
用いてクローニングするために調製することができる。しかしながら、この方法
の実施可能性は、調節断片中の適切な制限エンドヌクレアーゼ部位が利用可能か
どうかに依存する。好適な実施形態においては、必要とされるプロモーター断片
を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR;Saikiら, 1988, Science 239:487)により、
制限エンドヌクレアーゼ切断に適した部位を有するオリゴヌクレオチドプライマ
ーを用いて増幅する。制限切断に必要な配列は、増幅対象の調節断片が隣接する
前方向および逆方向プライマーの5'末端に含まれる。PCR増幅後、PCR産物の制限
消化により適切な末端を生成する。いずれかの方法により生成されたプロモータ
ー断片を、次に、標準的なクローニング手法(Sambrookら, 1989, 上掲)に従っ
てレポーターベクターのマルチクローニング部位に連結する。この構築物中のPC
Rにより生成したプロモーター断片のDNA配列は、トランスジェニック動物を作製
する前に確認する方がよい。得られたレポーター遺伝子構築物は、レポーター遺
伝子のオープンリーディングフレーム、例えばGFPまたはLacZ cDNAの上流に位置
するように推定上のプロモーター断片を含むことになる。
【0052】 好適な実施形態においては、以下のプロトコールが用いられる。50〜100 pgの
レポーター遺伝子構築物を、適切な制限エンドヌクレアーゼを用いて消化して、
トランスジーン断片を切り出す。その制限エンドヌクレアーゼ切断産物を、0.5
μg/mlのエチジウムブロマイドおよびTAEバッファー(1×TAE:0.04M Tris-酢酸
, 0.001M EDTA, pH 8.0)を含有する1%(w/v)アガロースゲル中で5〜6 V/cmに
て分離する。UVトランスイルミネーターを用い、好ましくはDNAにニックが入る
のを低減するために長波長のUVランプを使用して、トランスジーンのバンドを大
きさにより特定し、必要とするバンドを含むゲル片を注意深く切り出す。そのゲ
ル薄片と1mlの0.5×TAEバッファーとを、1mM EDTA, pH 8.0中で10分間煮沸し
た透析バッグに入れ(Sambrookら, 1989, 上掲)、その端を閉じる。ゲル片を含
有するその透析バッグを0.5×TAEバッファーを含む水平型ゲル電気泳動チャンバ
ー中に沈め、5〜6 V/cmにて45分間電気泳動する。泳動を停止する前に、電気泳
動チャンバーにおける電流を1分間逆方向にして、透析チューブの壁に付着して
いる可能性のあるDNAを解離させる。透析バッグから電気溶出したDNAを含むTAE
バッファーを新しいエッペンドルフチューブ中に集める。上記ゲル片をUVトラン
スイルミネーター上で観察して、該DNAが完全に電気溶出したことを確認するこ
とができる。
【0053】 電気溶出したDNAサンプルを、Elutip D カラムを通してさらに精製する。該カ
ラムのマトリックスを高塩濃度バッファー(1.0M NaCl, 20mM Tris.Cl, 1.0mM E
DTA, pH 7.5)1〜2 mlで予備洗浄し、続いて低塩濃度バッファー(0.2M NaCl, 2
0mM Tris.Cl, 1.0mM EDTA, pH 7.5)5 mlで洗浄する。逆流を避けるために、5 m
lシリンジを用いて溶液をElutip D カラムにアプライする。電気溶出したDNAを
含む溶液は、ゆっくりとローディングする。このカラムを低塩濃度バッファー2
〜3 mlで洗浄し、DNAを高塩濃度バッファー0.4 mlで溶出させる。二倍量の95%
冷エタノールを添加して、DNAを沈殿させる。DNAを微量遠心分離機にて14,000g
で10分間遠心分離することにより回収し、DNAペレットを壊さないように注意深
くアルコールを取り除く。該ペレットを、70%(v/v)エタノールで2回以上洗浄
し、乾燥させる。残留した塩およびエタノールは発生中の胚にとって致命的であ
ることから、この洗浄および乾燥工程は重要である。DNAをインジェクション用
バッファー(10mM TM, 0.1mM EDTA, pH 7.5をMilli-Q品質の水で調製したもの)
中に再懸濁する。精製したトランスジーンDNA断片の濃度は、分光光度計を用い
てA260(50μg/mlのDNAに対してはA260=1)にて光学密度を測定することにより
決定する。このように調製されたDNAは、マウス受精卵中へのマイクロインジェ
クションに適している。
【0054】1.2.3 トランスジェニックマウスを用いた前立腺特異的プロモーター解析 哺乳動物のスーパーPSA調節領域は、とりわけトランスジェニック動物におい
て同種遺伝子または異種遺伝子であるレポーターコード配列の発現を誘導するた
めに、用いることができる。任意の動物種、例えば限定するものではないが、マ
ウス、ラット、ウサギ、モルモット、ブタ、ミニブタ、ヤギ、ヒツジ、およびヒ
ト以外の霊長類(例えばヒヒ、モンキー、およびチンパンジー)などを用いて、
トランスジェニック動物を作製することができる。本明細書中で用いられる「ト
ランスジェニック」という用語は、異種由来のスーパーPSA配列を発現する非ヒ
ト動物(例えばスーパーPSA配列を発現するマウス)だけでなく、内在性(すな
わち同種)スーパーPSA配列を過剰発現するように遺伝子操作された動物または
遺伝子操作して特定配列をノックアウトした動物を指す。
【0055】 一実施形態においては、本発明は、スーパーPSA調節領域またはその転写活性
のある断片の制御下にあるレポーター遺伝子のトランスジーンをその全ての細胞
中に保持するトランスジェニック動物、ならびにその全ての細胞ではなく一部の
細胞にトランスジーンを保持する動物(すなわちモザイク動物)を提供する。該
トランスジーンは、単一のトランスジーンとして、または例えばヘッド−ヘッド
直列体もしくはヘッド−テイル直列体等のコンカテマーの状態で、組み込んでも
よい。該トランスジーンはまた、例えばLaskoら(1992, Proc. Natl. Acad. Sci
. USA 89:6232-6236)の教示に従って、特定の細胞型に選択的に導入してそこで
活性化することができる。トランスジーンを対応する内在性遺伝子の染色体部位
に組み込むことが求められる場合には、遺伝子ターゲティングが好適である。簡
潔に説明すると、そのような技術を利用しようとする場合、内在性遺伝子に相同
的なある程度の長さのヌクレオチド配列を含むベクターは、染色体上の配列との
相同組換えによりこのヌクレオチド配列を内在性遺伝子のヌクレオチド配列中に
組み込んでその機能を破壊するという目的に適うように、設計する。
【0056】 当技術分野で公知の任意の技術を用いて、スーパーPSA調節領域の制御下とな
るようトランスジーンを動物に導入し、トランスジェニック動物の創始系列を作
製することができる。そのような技術としては、限定するものではないが、前核
へのマイクロインジェクション(HoppeおよびWagner, 1989, 米国特許第4,873,1
91号)、静止期に誘導された胚、胎児、または成体の培養細胞に由来する核の、
核除去卵母細胞への核移入(Campbellら, 1996, Nature 380:64-66、Wilmutら,
Nature 385:810-813)、生殖系列へのレトロウイルス遺伝子導入(Van der Putt
enら, 1985, Proc. Natl. Acad. Sci., USA 82:6148-6152)、胚性幹細胞におけ
る遺伝子ターゲティング(Thompsonら, 1989, Cell 65:313-321)、胚へのエレ
クトロポレーション(Lo, 1983, Mol. Cell. Biol. 31:1803-1814)、および精
子媒介遺伝子導入(Lavitranoら, 1989, Cell 57:717-723;Gordon, 1989, Tran
sgenic Animals, Intl. Rev. Cytol. 115:171-229を参照)が挙げられる。
【0057】 例えば、受精卵のマイクロインジェクション用には、調節領域、レポーター遺
伝子、およびポリアデニル化シグナルを含む直鎖状DNA断片(トランスジーン)
を、レポーター遺伝子構築物から切り出す。このトランスジーンを当技術分野で
公知の方法により、例えば電気溶出法により、ゲル精製することができる。ゲル
断片の電気溶出に続いて、Elutip D カラムを通すことにより微量な夾雑物をさ
らに除去する(SchleicherおよびSchuell, Dassel, Germany)。
【0058】1.3 スクリーニングアッセイ 前立腺細胞の異常な機能および/または増殖を妨げる化合物は、前立腺に関連
した疾患の異常部分を標的化した治療を提供し得る。そのような化合物は、前立
腺に関連した疾患の発症または進行を妨げるために用いることができる。プロモ
ーター活性を刺激または阻害する化合物もまた、前立腺に関連した疾患の症状を
軽減するために用いることができる。
【0059】 スーパーPSA調節領域もしくはその断片を機能し得る形でレポーター遺伝子に
連結して含むトランスジェニック動物または細胞は、スーパーPSA転写活性をモ
ジュレートする薬剤をスクリーニングするための系として使用することができる
。さらに、スーパーPSAを含有するトランスジェニックマウスは、前立腺に関連
した疾患の進行を抑制する治療薬を目標として定めることにより該疾患を治療す
る新しい方法を開発する上で用いられ得る、in vivoおよびin vitroにおける実
験モデルを提供する。
【0060】 本発明は、スーパーPSA調節領域の活性をモジュレートする化合物を同定する
ために計画されるスクリーニングアッセイを包含する。本発明は、in vitroアッ
セイおよび細胞に基づくアッセイ、ならびにトランスジェニック動物におけるin
vivoアッセイを包含する。本明細書中に後述するとおり、被験化合物としては
、限定するものではないが、オリゴヌクレオチド、ペプチド、タンパク質、小分
子有機化合物もしくは小分子無機化合物、抗体等が挙げられる。
【0061】 化合物の例としては、限定するものではないが、例えば可溶性ペプチド等のペ
プチド(限定するものではないが、Ig付加融合ペプチドおよびランダムペプチド
ライブラリーのメンバーが挙げられる。例えばLamら, 1991, Nature 354:82-84
、Houghtenら, 1991, Nature 354:84-86を参照のこと)、ならびにコンビナトリ
アルケミストリーによって得られる分子ライブラリーであって、D-および/もし
くはL-配位アミノ酸、ホスホペプチド(限定するものではないが、ランダムもし
くは部分的に縮重した指向性ホスホペプチドライブラリーのメンバーが挙げられ
る。例えばSongyangら, 1993, Cell 72:767-778)、抗体(限定するものではな
いが、ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化、抗イディオタイプ、キメラ、
もしくは一本鎖の抗体、およびFAb、F(ab')2およびFAb発現ライブラリー断片、
ならびにそれらのエピトープ結合性断片が挙げられる)、ならびに有機小分子も
しくは無機小分子が挙げられる。
【0062】 前記化合物にはさらに、前立腺に関連した疾患の症状を軽減することが知られ
ている化合物、特に薬剤または薬剤の部類もしくは群のメンバーが含まれる。
【0063】 そのような化合物としては、限定するものではないが、抗鬱剤(例えばリチウ
ム塩、カルバマゼピン、バルプロ酸、リゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)、p-クロ
ロフェニルアラニン、p-プロピルドプアセトアミドジチオカルバメート誘導体(
例えばFLA 63));抗不安剤(例えばジアゼパム);モノアミンオキシダーゼ(M
AO)阻害剤(例えばイプロニアジド、クロルジリン、フェネルジン、およびイソ
カルボキサジド);生体アミン取り込み遮断剤(例えば、デシプラミン、イミプ
ラミン、アミトリプチリン等の三環系抗鬱剤);セロトニン再取り込み阻害剤(
例えばフルオキセチン);抗精神病薬として例えばフェノチアジン誘導体(例え
ばクロルプロマジン(ソラジン)およびトリフルオプロマジン)、ブチロフェノ
ン(例えばハロペリドール(Haldol))、チオキサンテン誘導体(例えばクロルプ
ロチキセン)、およびジベンゾジアゼピン(例えばクロザピン);ベンゾジアゼ
ピン;ドーパミン作動性アゴニストおよびアンタゴニスト(例えばL-DOPA、コカ
イン、アンフェタミン、α-メチル-チロシン、レセルピン、テトラベナジン、ベ
ンゾトロピン、パルジリン);ノルアドレナリン作動性アゴニストおよびアンタ
ゴニスト(例えばクロニジン、フェノキシベンザミン、フェントラミン、トロポ
ロン);ニトロ血管拡張剤(例えばニトログリセリン、ニトロプルシド、および
NO合成酵素);ならびに増殖因子(例えばVEGF、FGF、アンギオポエチン、およ
びエンドスタチン)の群が挙げられる。
【0064】 好適な一実施形態においては、哺乳動物のスーパーPSA調節領域を機能し得る
形で異種遺伝子に連結して含む生殖細胞の一次培養物を用いて、配列特異的DNA-
タンパク質相互作用を抑制できる化合物をスクリーニングするためのアッセイ系
を開発する。このような方法は、スーパーPSA調節領域またはその転写活性のあ
る断片の制御下にある遺伝子を発現する細胞と化合物とを接触させ、該遺伝子の
発現レベルまたは遺伝子産物の活性レベルを測定し、さらに、そのレベルを該化
合物の不在下で該細胞により示される遺伝子発現レベルまたは遺伝子産物の活性
レベルと比較することを含み、それによって、該化合物の存在下で得られるレベ
ルと不在下で得られるレベルとに差がある場合には、哺乳動物のスーパーPSA調
節領域の発現をモジュレートすることができる化合物が同定されることとなる。
遺伝子発現レベルの変化は、当業者には公知の数多くの任意の方法により、例え
ばレポーター遺伝子活性に関するアッセイ、mRNA転写産物に関する細胞溶解物の
アッセイ(例えば、ノーザン解析)によるか、または細胞により発現された遺伝
子産物をアッセイするための当技術分野で公知の他の方法を用いることにより、
測定し得る。
【0065】 別の実施形態において、顕微解剖(microdissection)およびトランスイルミネ
ーション(transillumination)を使用してもよい。これらの技法は、スーパーPSA
調節領域駆動型レポーター遺伝子を含むトランスジェニック動物における前立腺
細胞に対する推定薬物の影響をモニタリングするための迅速なアッセイを提供す
る。本実施形態において、試験薬は任意の様々な方法によりトランスジェニック
動物に送達される。試験薬の導入方法には、経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈
内、皮下、鼻腔内および乱刺法(scarification)(例えば分枝針を用いて、皮膚
上層を引っ掻くこと)、または任意の他の標準的な薬物送達経路が挙げられる。
このような試験化合物が前立腺細胞に及ぼす影響を、前立腺細胞の顕微解剖およ
びトランスイルミネーションにより分析してもよい。上記化合物の存在下で観察
または測定されるレポーター遺伝子発現レベルが、不存在下で得られるレベルと
異なる場合には、哺乳動物のスーパーPSA調節領域の発現をモジュレートしうる
化合物が同定されることになる。
【0066】 本発明のさまざまな実施形態において、前立腺に関連した疾患のモジュレータ
ーのスクリーニングに使用しうる化合物としては、ペプチド、天然および/また
は合成小分子(例えば、小分子またはペプチドのライブラリー)、細胞結合性ま
たは可溶性分子、有機非タンパク質分子、ならびに組換え分子であって、スーパ
ーPSA調節領域結合能力を有することにより、医薬品の候補となりうるものが挙
げられる。
【0067】 あるいは、上記タンパク質および化合物としては、in vivoにおいてスーパーP
SA調節領域配列と相互作用する内因性の細胞成分が挙げられる。細胞溶解物また
は組織ホモジネートを、スーパーPSA調節領域またはそれらの断片と結合するタ
ンパク質または他の化合物についてスクリーニングしてもよい。このような内因
性の成分は、医薬的および治療的介入(処置)のための新しいターゲットを提供
しうる。
【0068】 一実施形態においては、ライブラリーをスクリーニングしてもよい。使用しう
る多数のライブラリーが当該技術分野で知られており、例えば、ペプチドライブ
ラリー、化学的合成ライブラリー、組換えライブラリー(例えば、ファージディ
スプレイライブラリー)、およびin vitro翻訳系ライブラリーがある。本発明の
一実施形態においては、ペプチドライブラリーを用いてスーパーPSA関連レポー
ター発現のアゴニストまたはアンタゴニストをスクリーニングしうる。多様性ラ
イブラリー(例えば、ランダムペプチドライブラリー、またはコンビナトリアル
ペプチドライブラリー、もしくは非ペプチドライブラリー)をスーパーPSA調節
領域活性を特異的にモジュレートする分子についてスクリーニングしてもよい。
固相支持体に結合されたアミノ酸の全ての可能な組み合わせからなるランダムペ
プチドライブラリーを用いて、スーパーPSA調節領域活性を活性化または阻害し
うるペプチドを同定することも可能である(Lam, K.S.ら, 1991, Nature 354: 82
-84)。ペプチドライブラリーのスクリーニングは、プロモーター領域と相互作用
することによってスーパーPSAの発現を刺激または阻害する医薬品を発見すると
いう点で、治療的価値を有しうる。
【0069】 化学合成ライブラリーの例は以下に記載されている:Fodorら, 1991, Science
251: 767-773; Houghtenら, 1991, Nature 354: 84-86; Lamら, 1991, Nature
354: 82-84; Medynski, 1994, Bio Technology 12: 709-710; Gallopら, 1994,
J.Medicinal Chemistry 37(9): 1233-1251; Ohlmeyerら, 1993, Proc. Natl. Ac
ad. Sci. USA 90: 10922-10926; Erbら, 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91
: 11422-11426; Houghtenら, 1992, Biotechniques 13: 412; Jayawickremeら,
1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 1614-1618; Salomonら, 1993, Proc. N
atl. Acad. Sci. USA 90: 11708-11712; PCT公開番号WO93/20242;ならびにBrenn
erおよびLerner, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 5381-5383。
【0070】 ファージディスプレイライブラリーの例は以下に記載されている:Scottおよ
びSmith, 1990, Science 249: 386-390; Devlinら, 1990, Science 249: 404-40
6; Christianら, 1992, J. Mol. Biol. 227: 711-718; Lenstra, 1992, J. Immu
nol. Meth. 152: 149-157; Kayら, 1993, Gene 128: 59-65; およびPCT公開番号
WO94/18318(1994年8月18日公開)。
【0071】 非ペプチドライブラリーの例として、ベンゾジアゼピンライブラリー(例えば
、Buninら, 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 4708-4712参照)を採用し
てもよい。ペプトイドライブラリー(Simonら, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. U
SA 89: 9367-9371)もまた使用可能である。使用しうるライブラリーの他の例と
して、ペプチド中のアミド官能基が過メチル化され、化学的に転換されたコンビ
ナトリアルライブラリーを作製しているものが、Ostreshら(1994, Proc. Natl.
Acad. Sci. USA 91: 11138-11142)に記載されている。
【0072】 このようなin vitroスクリーニングアッセイの特定の実施形態を以下に記載す
る。スーパーPSA調節領域−レポーターベクターを用いてトランスジェニックマ
ウスを作製し、これよりスーパーPSA調節領域−レポーターベクターを含む生殖
細胞の一次培養物を確立する。ウェルあたり約10,000個の細胞を、細胞系に適し
た培養液を用いて96ウェルのプレートに最終容量100μlでプレートする。PSA遺
伝子発現の阻害物質候補を細胞に添加する。PSA遺伝子活性化の阻害物質の影響
は、スーパーPSA調節領域により駆動されるレポーター遺伝子の応答を測定する
ことにより決定することができる。本アッセイは、レポーター遺伝子活性を減少
(または増加)するが細胞毒性を示さない96ウェルフォーマットを用いれば、化
合物ライブラリーを評価するためのハイスループットスクリーニングモードで容
易に準備できる。6時間のインキュベーション後、100μl DMEM培地+2.5%ウシ
胎児血清(FBS)を1.25%最終血清濃度となるように上記細胞に添加し、合計24時
間(さらに18時間)インキュベートする。24時間経った時点で、プレートをPBS
で洗浄し、ブロットを乾燥し、-80℃で凍結する。翌日、プレートを解凍し、レ
ポーター活性の存在について分析する。
【0073】 in vivoスクリーニングアッセイの好ましい例において、トランスジェニック
マウス由来の前立腺細胞を、正常または他の所望の表現型を示すマウスへ移植し
てもよい(Brinsterら, 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 11298-302; Oga
waら, 1997, Int. J. Dev. Biol. 41: 111-12)。次いで、このようなマウスを用
いて化合物および他の様々な因子が前立腺に関連した疾患に及ぼす影響を試験し
てもよい。上記の化合物および薬剤に加えて、このようなマウスを用いて、他の
方法を使用して試験することが困難な因子または条件(例えば、食餌の影響、体
内pH、温度等)をアッセイしてもよい。
【0074】 一旦スーパーPSA調節領域活性を阻害または増大する化合物が同定されたなら
ば、次に、この化合物が前立腺に関連した疾患の症状を緩和および/または予防
する薬物として作用する能力を示すかどうかを調べるために、動物に基づくアッ
セイで試験してもよい。前立腺に関連した疾患としては、限定するものではない
が、前立腺癌が挙げられる。
【0075】 本発明のアッセイは初めにスモールスケールで(すなわち試験管中で)最適化
し、次いでハイスループットアッセイのためにスケールアップしてもよい。本発
明のスクリーニングアッセイは、in vitroすなわち試験管中で、精製成分または
細胞溶解物を使用して実施しうる。また本発明のスクリーニングアッセイは、培
養中および動物モデル中の完全な細胞で行なってもよい。本発明によれば、本明
細書中に記載したように、in vitroでスーパーPSA調節領域の活性をモジュレー
トすることが示された試験化合物がin vivoで同様の影響を有するかどうかを調
べるために、また該試験化合物が前立腺に関連した疾患に及ぼす影響を調べるた
めに、培養細胞および動物モデルにおいてin vivoでさらにアッセイしうる。
【0076】1.4 スーパーPSAヌクレオチドの治療用途のための組成物および方法 スーパーPSAポリヌクレオチド、またはその転写活性のある断片を用いて、前
立腺特異的に、PSAまたはスーパーPSA調節領域と結合した異種遺伝子のレベルま
たは発現を変化させることにより緩和されうる疾患、症状または障害を治療およ
び/または予防しうる。このような治療処置の方法を本明細書中に記載する。
【0077】 上記スーパーPSA調節領域を用いて、遺伝子治療プロトコールにおいて組織特
異的発現を達成しうる。そのような細胞が主要細胞の場合、スーパーPSA調節領
域による細胞傷害性産物の誘導を、PSA発現に必要とされるトランス活性化因子
を含む前立腺主要細胞を特異的に標的とする癌遺伝子治療という手法で使用して
もよい。このように、スーパーPSA調節領域は、前立腺が関与する癌に対する遺
伝子治療手法のための送達経路として機能しうる。さらに、アンチセンス、アン
チジーン(antigene)またはアプタメリック(aptameric)オリゴヌクレオチドを、
本明細書中に記載する発現構築物を用いて細胞へ送達してもよい。リボザイムま
たは一本鎖RNAもまた細胞内で発現させることにより、対象の標的遺伝子の発現
を阻害しうる。これらのアンチセンス分子またはリボザイム分子に対する標的遺
伝子は、細胞の維持に必須な遺伝子産物をコードするものである必要がある。
【0078】 本発明のスーパーPSA調節領域およびその転写活性のある断片は、多種多様な
目的のため(例えば、PSA遺伝子発現をダウンレギュレートするため、あるいは
、異種遺伝子の前立腺特異的、段階特異的発現を獲得するため)に使用しうる。
【0079】 一実施形態において、例えば、内因性スーパーPSA調節領域は、PSA遺伝子の発
現を特異的にダウンレギュレートするための標的としうる。例えば、調節領域に
相補的なオリゴヌクレオチドを設計し、細胞へ送達しうる。このようなオリゴヌ
クレオチドは調節配列とアニーリングし、転写活性を妨害しうる。あるいは、調
節配列、またはそれらの一部を、転写因子の結合に対して競合する飽和濃度で細
胞に送達してもよい。遺伝子治療方法の一般的概説としては以下を参照されたい
:Goldspielら, 1993, Clinical Pharmacy 12:488-505; WuおよびWu, 1991, Bio
therapy 3:87-95; Tolstoshev, 1993, Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 32:573-
596; Mulligan, 1993, Science 260:926-932; ならびにMorganおよびAnderson,
1993, Ann. Rev. Biochem. 62:191-217; May, 1993, TIBTECH 11:155-215。使用
しうる当該技術分野で一般的に知られている組換えDNA技法は、Ausubelら(編),
1993, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY; お
よびKrieger, 1990, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, St
ockton Press, NY.に記載されている。
【0080】 別の実施形態において、前立腺に関連した疾患を緩和するための遺伝子治療方
法を提供する。スーパーPSA調節領域配列を前立腺に導入し、薬物または毒物の
前立腺特異的発現を駆動させるために使用する。該方法は、薬物または毒物遺伝
子と機能しうる形で結合したスーパーPSA調節領域配列を前立腺に導入すること
を含む。
【0081】 さらに別の実施形態において、本発明は、癌または他の増殖性疾患の治療のた
めの遺伝子治療方法を提供する。スーパーPSA調節領域を用いて、患者の前立腺
腫瘍細胞に特異的な1種以上のタンパク質を発現させる。このようなタンパク質
としては、例えば、腫瘍抑制遺伝子、チミジンキナーゼ(アシクロビルと組み合
わせて使用する)、細胞死に関与する毒物またはタンパク質(例えば、アポトー
シス経路に関与するタンパク質)が挙げられる。
【0082】 またさらに別の実施形態において、本発明は、前立腺に関連した疾患の発症を
予防および/または遅延させるための予防的遺伝子治療方法を提供する。スーパ
ーPSA調節領域は、前立腺に導入して、治療用化合物の前立腺特異的発現を駆動
するために使用する。上記方法は、治療用化合物をコードする核酸と機能しうる
形で連結されたスーパーPSA調節領域配列を前立腺に導入し、前立腺に関連した
疾患の発症を予防および/または遅延することを含む。
【0083】 哺乳動物細胞における発現用の遺伝子導入方法は、当技術分野で公知である。
一般に、そのような遺伝子治療方法の場合、核酸は、レポーター遺伝子に機能し
うる形で連結されたスーパーPSA調節領域を発現する標的細胞またはトランスジ
ェニックマウスに、in vivoで直接投与される。これは、当技術分野で公知のい
ずれの方法によっても達成でき、かかる方法としては、例えば核酸を適当な核酸
発現ベクターの一部として構築し、それを投与して細胞内に存在させること;欠
陥もしくは弱毒化レトロウイルスベクターまたは他のウイルスベクターを用いて
感染させること(米国特許第4,980,286号を参照);そのままのDNAを直接注入す
ること;ミクロ粒子の打込み(microparticle bombardment)を用いること(例
えば、遺伝子銃;Biolistic, Dupont);脂質または細胞表面受容体またはトラン
スフェクト剤で被覆すること;リポソーム、ミクロ粒子もしくはマイクロカプセ
ルに封入すること;核に侵入することが知られているペプチドに核酸を結合させ
て投与すること;あるいは、核酸を受容体媒介型エンドサイトーシスを受けやす
いリガンドに結合させて投与すること(これは該受容体を特異的に発現する細胞
型をターゲティングするのに使用可能である)(例えばWuおよびWu, 1987, J. B
iol. Chem. 262:4429-4432を参照)が挙げられる。別の実施形態では、核酸−リ
ガンド複合体を形成することができ、そこにおいて、該リガンドは、エンドソー
ムを破壊するために融合誘導性ウイルスペプチドを含んで、該核酸がリソソーム
による分解を受けないようにしている。更に別の実施形態では、特定の受容体を
ターゲッティングすることにより、該核酸を、細胞特異的な取込みおよび発現の
ためにin vivoでターゲッティングしうる(例えば、1992年4月16日付けのPCT公
報WO92/06180;1992年12月23日付けのWO92/22635;1992年11月26日付けのWO92/2
0316;1993年7月22日付けのWO93/14188;1993年10月14日付けのWO93/20221を参
照のこと)。あるいはまた、核酸は、細胞内に導入し、これを発現させるために
相同組換えにより宿主細胞DNA内に取り込ませることが可能である(Kollerおよ
びSmithies, 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:8932-8935;Zijlstraら, 1
989, Nature 342:435-438)。
【0084】 オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾塩基部分を含むことができ、該
修飾塩基部分としては、例えば限定されるものではないが、5-フルオロウラシル
、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、
キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル
、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミ
ノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β-D-ガラクトシルクエオシン、イノシ
ン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-
ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、
5-メチルシトシン、N6-アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウ
ラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、β-D-マンノシルクエオシン
、5’-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ
-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン
、プソイドウラシル、クエオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル
、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢
酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、5-メチル-2-チオウラシル、3
-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6-ジアミ
ノプリンを含む群より選択されるものが挙げられる。
【0085】 内因性標的遺伝子の発現は、標的化相同組換え(targeted homologous recomb
ination)を用いてスーパーPSA調節領域を不活性化または「ノックアウト」する
ことによっても低減できる(例えば、Smithiesら, 1985, Nature, 317:230-234
;ThomasおよびCapecchi, 1987, Cell 51:503-512;Thompsonら, 1989, Cell 5:
313-321を参照;それらの各々は参照によりその全体を本明細書に組み入れる)
。例えば、PSA遺伝子の調節領域に相同なDNAが隣接している突然変異型の非機能
性標的遺伝子(または完全に無関係なDNA配列)を選択マーカーおよび/もしく
はネガティブ選択マーカーと共にまたはそれらなしで用いて、該標的遺伝子をin
vivoで発現する細胞をトランスフェクトすることができる。該DNA構築物を標的
化相同組換えにより挿入することにより、スーパーPSA調節領域が不活性化され
る。この方法はヒトにおける用途に適合させることができ、但しその場合、組換
えDNA構築物は、直接投与されるか、適当なベクターを用いてin vivoで必要とさ
れる部位にターゲッティングされる。
【0086】 他の実施形態において、内因性標的遺伝子の発現は、スーパーPSA調節領域に
相補的なデオキシリボヌクレオチド配列を標的として、体内の標的細胞における
標的遺伝子の転写を抑制する三重らせん構造を形成することにより低減してもよ
い(一般的には、Helene. 1991, Anticancer Drug Des., 6(6):569-584;Helene
ら, 1992, Ann. N.Y. Acad. Sci., 660:27-36;ならびにMaher, 1992, Bioassay
s 14(12):807-815を参照されたい)。
【0087】 転写抑制のための三重らせん形成において用いられる核酸分子は、一本鎖であ
り、かつデオキシヌクレオチドから構成されるものである必要がある。これらの
オリゴヌクレオチドの塩基組成は、フーグスティーン(Hoogsteen)型塩基対合
則による三重らせん形成を促進するように設計されなければならず、このために
は、通常、二重らせんの一方の鎖にプリンまたはピリミジンのかなり大きなスト
レッチが存在することが必要である。ヌクレオチド配列は、ピリミジンベースの
ものであってもよく、この場合、得られる三重らせんの3本の結合鎖を横切って
TATおよびCGCトリプレットが生じる。ピリミジンに富む分子には、その鎖と平行
に並んでいる二重らせんの一方の鎖のプリンに富む領域に対する塩基相補性が備
わっている。更に、プリンに富んでいる(例えばG残基のストレッチを含んでい
る)核酸分子を選んでもよい。これらの分子は、GC対に富むDNA二重らせんと
三重らせんを形成し、そこにおいて、プリン残基の大部分は、標的とする二重ら
せんの一方の鎖に位置して、三重らせんの3本の鎖を横切ってGGCトリプレッ
トを生じる。
【0088】 特定の実施形態において、三重らせん形成の標的とされ得る可能性のある配列
は、いわゆる「スイッチバック(折り返し)」型核酸分子を作製することにより
増やすことができる。スイッチバック型分子は、それらがまず二重らせんの一方
の鎖と塩基対合し次にもう一方の鎖と塩基対合するように、5’−3’と3’−5’
が交互に並ぶ様に合成して、プリンもしくはピリミジンのかなり大きなストレッ
チが二重らせんの一方の鎖に存在しなくても済むようにする。
【0089】 本発明のアンチセンスRNAおよびDNA分子、ならびに三重らせん分子は、核酸分
子を合成するための当技術分野で公知のいずれの方法によっても調製できる。こ
れらの方法としては、当技術分野で公知のオリゴデオキシリボヌクレオチドを化
学的に合成するための技法、例えば固相ホスホロアミダイト化学合成法が挙げら
れる。あるいはまた、RNA分子は、RNA分子をコードするDNA配列のin vitroおよ
びin vivo転写により作製することが可能である。そのようなDNA配列は、T7また
はSP6ポリメラーゼプロモーターなどの適切なRNAポリメラーゼプロモーターを含
有する多種多様なベクターに組み込まれ得る。あるいはまた、使用するプロモー
ターよっては、アンチセンスRNAを構成的または誘導的に合成するアンチセンスc
DNA構築物を細胞系に安定に導入してもよい。
【0090】 DNA分子に対する種々の改変は、細胞内安定性および半減期を増大するための
手段として導入しうる。可能な改変としては、限定するものではないが、DNA分
子の5'および/もしくは3'末端へのリボヌクレオチドもしくはデオキシヌクレオ
チドのフランキング配列の付加、またはオリゴデオキシリボヌクレオチド骨格に
おけるホスホジエステラーゼ連結ではなくホスホロチオエートもしくは2' O-メ
チルの使用が挙げられる。
【0091】 本発明のスーパーPSA調節領域およびその転写活性のある断片を用いて、正常
細胞における発現と比較して変化した様式でPSA遺伝子を発現させうる。本発明
のスーパーPSA調節領域およびその転写活性のある断片はまた、標的遺伝子の組
織特異的発現を行うためにも使用することができる。従って、この調節配列を対
象とした適切な治療および診断手法を設計し、標的遺伝子の発現をモジュレート
することが可能である。本発明において、「モジュレート(モジュレーション)
」という用語は、標的遺伝子の発現の抑制または増大を包含し、また標的遺伝子
の組織特異的抑制または発現をも包含する。細胞増殖性疾患がPSA遺伝子産物の
過少発現または過剰発現に関連している場合には、本明細書に記載するようなオ
リゴヌクレオチドに基づく化合物、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドを使
用して、PSA遺伝子の発現をモジュレートしうる。例えば、上記関連する疾患が
癌である場合には、細胞傷害性遺伝子産物をスーパーPSA調節領域を利用して誘
導する手法を癌の治療として使用しうる。当業者であれば、当業者に公知のいく
つかの方法(例えば筋肉繊維分析または生検)によって、治療における特定の治
療過程が成功するかどうかを決定しうる。
【0092】1.4.1 調節性アンチセンス、リボザイムおよび三重らせん手法 別の実施形態においては、公知のアンチセンス、遺伝子「ノックアウト」、リ
ボザイムおよび/または三重らせん法を利用してスーパーPSA調節領域の発現レ
ベルを低減させて、スーパーPSA調節領域の活性レベルを低減することにより前
立腺が関与する疾患の症状を改善しうる。スーパーPSA調節領域の活性、発現ま
たは合成をモジュレートする能力(例えば前立腺に関連した疾患の症状を改善す
る能力)を示す化合物には、アンチセンス、リボザイムおよび三重らせん分子が
ある。このような分子は、スーパーPSA調節領域の損なわれていない活性、また
は適切であれば変異型の活性を低下または阻害するように設計することができる
。このような分子を作製および使用するための技術は当業者に周知である。
【0093】 アンチセンスRNAおよびDNA分子は、標的化mRNAにハイブリダイズしてタンパク
質翻訳を妨げることによりmRNAの翻訳を直接ブロックするように作用する。アン
チセンス手法は、標的遺伝子のmRNAに相補的であるオリゴヌクレオチドの設計を
含むものである。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、相補的な標的遺伝子のmR
NA転写産物に結合し、翻訳を妨げる。完全な相補性は、好ましいものではあるが
、必要ではない。
【0094】 RNAの一部に「相補的」である配列は、本明細書で用いる場合、RNAとハイブリ
ダイズして安定な二本鎖を形成することができる程度に十分な相補性を有する配
列を意味する。二本鎖アンチセンス核酸の場合には、その二本鎖DNAの一本鎖を
試験してもよいし、または三重らせn形成をアッセイしてもよい。ハイブリダイ
ズする能力は、そのアンチセンス核酸の相補性の程度および長さの両者応じて変
化する。一般には、ハイブリダイズする核酸が長くなるほど、RNAとの塩基ミス
マッチが多く含まれていてもよく、それでもなお安定な二本鎖(または場合によ
っては三重らせん)を形成する。当業者であれば、ハイブリダイズした複合体の
融点を決定する標準的な手順を用いることにより、ミスマッチの寛容され得る程
度を確認することができる。
【0095】 一実施形態においては、対象となる遺伝子の非コード領域に相補的なオリゴヌ
クレオチドをアンチセンス手法において用いることにより、内在性mRNAの翻訳を
阻害しうる。アンチセンス核酸は、少なくとも6ヌクレオチド長である必要があ
り、好ましくは、6〜約50ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドである。特定の
態様においては、このオリゴヌクレオチドは少なくとも10ヌクレオチド、少なく
とも17ヌクレオチド、少なくとも25ヌクレオチドまたは少なくとも50ヌクレオチ
ドである。
【0096】 標的配列の選択に関わりなく、まずin vitro試験を行って標的遺伝子の発現を
阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドの能力を定量化することが好ましい。
これらの試験では、オリゴヌクレオチドのアンチセンス遺伝子阻害と非特異的生
物学的作用とを区別する対照を利用することが好ましい。また上記試験では、標
的のRNAまたはタンパク質のレベルを内部対照のRNAまたはタンパク質のものと比
較することが好ましい。加えて、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて得ら
れた結果を対照オリゴヌクレオチドを用いて得られた結果と比較することも考え
られる。対照オリゴヌクレオチドは、試験オリゴヌクレオチドとほぼ同じ長さの
ものであり、かつこのオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列は標的配列への特
異的ハイブリダイゼーションを防止する必要があるにすぎないアンチセンス配列
とは異なることが好ましい。
【0097】 上記オリゴヌクレオチドは、DNAもしくはRNA、またはキメラ混合物であっても
よいし、あるいはそれらの誘導体または修飾体であってもよく、一本鎖であって
もよいし二本鎖であってもよい。これらのオリゴヌクレオチドは、例えばその分
子の安定性、ハイブリダイゼーション等を改善するため、塩基部分、糖部分また
はリン酸骨格が修飾されていてもよい。上記オリゴヌクレオチドは、他の付随基
、例えばペプチド(例えば、in vivoで宿主細胞受容体をターゲティングするた
めのもの)、または細胞膜(例えば、Letsingerら、1989, Proc. Natl. Acad. S
ci. U.S.A. 86:6553-6556;Lemaitreら、1987, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.
84:648-652;1988年12月15日公開のPCT公開WO88/09810を参照)もしくは血液
−脳関門(例えば、1988年4月25日公開のPCT公開WO89/10134を参照)を通過す
る輸送を促進する薬剤、ハイブリダイゼーション誘発開裂剤(例えば、Krolら、
1988, BioTechniques 6:958-976を参照)または挿入剤(例えば、Zon, 1988, Ph
arm. Res. 5:539-549を参照)を含んでいてもよい。上記目的のため、オリゴヌ
クレオチドは、他の分子、例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーション誘発架橋
剤、輸送剤、ハイブリダイゼーション誘発開裂剤等にコンジュゲートさせてもよ
い。
【0098】 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾塩基部分を含んで
いてもよく、該修飾塩基部分としては、例えば限定されるものではないが、5-フ
ルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒ
ポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシル
メチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボ
キシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β-D-ガラクトシルクエ
オシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチル
イノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メ
チルシトシン、5-メチルシトシン、N6-アデニン、7-メチルグアニン、5-メチル
アミノメチルウラシル、5-メトキシアミノエチル-2-チオウラシル、β-D-マンノ
シルクエオシン、5’-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル
、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ワ
イブトキソシン、プソイドウラシル、クエオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2
-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシ
ル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、5-メチル-2-チ
オウラシル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、およ
び2,6-ジアミノプリンを含む群より選択されるものが挙げられる。
【0099】 また、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、限定されるものではないが、アラ
ビノース、2-フルオロアラビノース、キシルロースおよびヘキソースを含む群よ
り選択される少なくとも1つの修飾糖部分を含んでいてもよい。
【0100】 さらに別の実施形態においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ホスホ
ロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホルアミドチオエート、ホスホルア
ミデート、ホスホルジアミデート、メチルホスホネート、アルキルホスホトリエ
ステルおよびホルムアセタール、またはそれらの類似体からなる群より選択され
る少なくとも1つの修飾リン酸骨格を含むものである。
【0101】 さらに別の実施形態においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドはα−アノ
マーオリゴヌクレオチドである。α−アノマーオリゴヌクレオチドは、相補的な
RNAと特異的な二本鎖ハイブリッドを形成するものであり、該ハイブリッドにお
いては、通常のβ−ユニットとは対照的に、鎖が互いに平行に伸びる(Gautier
ら、1987, Nucl. Acids Res. 15:6625-6641)。このオリゴヌクレオチドは2’-O
-メチルリボヌクレオチド(Inoueら、1987, Nucl. Acids Res. 15:6131-6148)
またはキメラRNA−DNA類似体(Inoueら、1987, FEBS Lett. 215:327-330)であ
る。
【0102】 本発明のオリゴヌクレオチドは、当技術分野で公知の標準的な方法、例えば、
自動DNAシンセサイザー(例えば、Biosearch、Applied Biosystems等から市販さ
れているもの)を用いることによって合成することができる。例として、ホスホ
ロチオエートオリゴヌクレオチドはSteinらの方法(1988, Nucl. Acids Res. 16
:3209)によって合成することができ、メチルホスホネートオリゴヌクレオチド
は制御化細孔ガラスポリマー支持体(Sarinら、1988, Proc. Natl. Acad. Sci.
U.S.A. 85:7448-7451)等を用いることによって調製することができる。
【0103】 標的遺伝子のコード領域配列に相補的なアンチセンスヌクレオチドを使用可能
であるが、転写されているが未翻訳の領域に相補的なものが最も好ましい。
【0104】 アンチセンス分子は、in vivoで標的遺伝子を発現する細胞に送達する必要が
ある。アンチセンスDNAまたはRNAを細胞に送達するための幾つかの方法が開発さ
れており、例えば、アンチセンス分子は、組織部位に直接注入してもよいし、あ
るいは、目的の細胞を標的とするように設計された改変アンチセンス分子(例え
ば、標的細胞の表面に発現された受容体または抗原と特異的に結合するペプチド
または抗体に連結したアンチセンス)を全身投与してもよい。
【0105】 内因性mRNAの翻訳を抑制するのに十分であるアンチセンスの細胞内濃度を達成
するための好ましい方法は、アンチセンスオリゴヌクレオチドが強力なpol III
またはpol IIプロモーターの調節下に置かれている組換えDNA構築物を利用する
ものである。患者において標的細胞をトランスフェクトするためにそのような構
築物を使用すれば、内因性標的遺伝子の転写産物と相補的な塩基対を形成する一
本鎖RNAが十分な量で転写され、それにより標的遺伝子mRNAの翻訳を抑制する。
例えば、ベクターを導入し、例えばそれが細胞に取り込まれてアンチセンスRNA
の転写を指令するようにすることができる。そのようなベクターは、それが転写
されて目的のアンチセンスRNAを産生できる限り、エピソーム性のものであって
もよいし、染色体に組み込まれるものであってもよい。そのようなベクターは、
当技術分野で標準的な組換えDNAテクノロジー法により構築できる。ベクターは
、哺乳動物細胞内での複製および発現に用いられるプラスミド、ウイルスベクタ
ー、または当技術分野で公知の他のベクターとすることができる。アンチセンス
RNAをコードする配列の発現は、当技術分野において哺乳動物(好ましくはヒト
細胞)で機能することが知られているどのようなプロモーターによるものであっ
てもよい。そのようなプロモーターは、誘導性のものであっても構成性のもので
あってもよい。そのようなプロモーターとしては、限定されるものではないが、
SV40初期プロモーター領域(BernoistおよびChambon, 1981, Nature 290:304-31
0)、ラウス肉腫ウイルスの3’側の長い末端反復配列中に含まれるプロモーター
(Yamamotoら, 1980, Cell 22:787-797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモー
ター(Wagnerら, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78:1441-1445)、メタ
ロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら, 1982, Nature 296:39-42)などが
挙げられる。いずれのタイプのプラスミド、コスミド、YACまたはウイルスベク
ターも、組織部位に直接導入可能な組換えDNA構築物を調製するのに使用できる
。あるいはまた、目的の組織に選択的に感染するウイルスベクターを使用しても
よく、その場合、投与は別の経路(例えば全身投与)により達成しうる。
【0106】 標的遺伝子のmRNA転写産物を触媒的に切断するように設計されたリボザイム分
子もまた、標的遺伝子mRNAの翻訳、ひいては標的遺伝子産物の発現を抑制するた
めに使用可能である。(例えば、1990年10月4日に公開されたPCT国際公開WO90/
11364;Sarverら, 1990, Science 247, 1222-1225を参照のこと。) リボザイムは、RNAの特異的分解を触媒できる酵素活性を持つRNA分子である。
(概説については、Rossi, 1994, Current Biology 4:469-471を参照されたい。
)リボザイムの作用機構には、リボザイム分子の相補的な標的RNAへの配列特異
的ハイブリダイゼーションと、それに続くエンドヌクレレアーゼによる(endonu
cleolytic)の切断事象が関与する。リボザイム分子の組成は、標的遺伝子mRNA
に相補的な1つ以上の配列を含む必要があり、且つ、mRNAの切断に関与する公知
の触媒活性を持つ配列を含む必要がある。この配列については、例えば米国特許
第5,093,246号(参照によりその全体を本明細書に組み入れる)を参照されたい
【0107】 標的遺伝子mRNAを破壊するために、mRNAを部位特異的な認識配列において切断
するリボザイムを使用可能であるが、ハンマーヘッド型リボザイムの使用が好ま
しい。ハンマーヘッド型リボザイムは、mRNAを、標的のmRNAと相補的塩基対を形
成するフランキング領域により指定された位置で切断する。ただ1つの要件は、
標的mRNAが次の2塩基、すなわち5’-UG-3’からなる配列を含むことである。ハ
ンマーヘッド型リボザイムの構築および作製は当技術分野で公知であり、Myers,
1995, Molecular Biology and Biotechnology: A Comprehensive Desk Referen
ce, VCH Publishers, New York(特に833頁の図4を参照のこと)ならびにHasel
offおよびGerlach, 1988, Nature, 334:585-591(引用によりその全体を本明細
書に組み入れる)に更に詳細に記載されている。
【0108】 好ましくは、リボザイムは、切断認識部位が標的遺伝子mRNAの5’末端の近傍
に位置するように、つまり、効率を増大させ且つ機能性でないmRNA転写産物の細
胞内蓄積を最小限に抑えるように作製される。
【0109】 また本発明のリボザイムとしては、テトラヒメナ・サーモフィラ(Tetrahymen
a thermophila)内に天然に存在するもの(IVSまたはL-19 IVS RNAとして知られ
ている)や、Thomas Cechおよび共同研究者により広範に記載されているもの(Z
augら, 1984, Science, 224:574-578;ZaugおよびCech, 1986, Science, 231:47
0-475;Zaugら, 1986, Nature, 324:429-433;University Patents Inc.による
公開されている国際特許公開WO88/04300;BeenおよびCech, 1986, Cell, 47:207
-216)などのRNAエンドリボヌクレアーゼも含まれる(以下、「Cech型リボザイ
ム」と呼ぶ)。Cech型リボザイムは、標的RNA配列とハイブリダイズする8塩基
対からなる活性部位を含み、そのハイブリダイゼーションの後で該標的RNAの切
断が起こる。本発明は、標的遺伝子中に存在する8塩基対からなる活性部位配列
を標的とするCech型リボザイムを包含する。
【0110】 アンチセンス法の場合と同様に、リボザイムは、(例えば安定性やターゲッテ
ィングなどを向上させるための)改変オリゴヌクレオチドから構成されてもよく
、in vivoで標的遺伝子を発現する細胞に送達される必要がある。好ましい送達
方法は、強力な構成的pol IIIもしくはpol IIプロモーターの制御下でリボザイ
ムを「コードする」DNA構築物を用い、トランスフェクトした細胞が十分な量の
リボザイムを産生して内因性標的遺伝子のメッセージを破壊し且つ翻訳を阻止す
るようにすることを含む。リボザイムは、アンチセンス分子とは異なり触媒活性
を持つので、効率のために必要とされる細胞内濃度はより低いものである。
【0111】 内因性標的遺伝子の発現は、標的化相同組換え(targeted homologous recomb
ination)を用いて該標的遺伝子またはそのプロモーターを不活性化または「ノ
ックアウト」することによっても低減できる(例えば、Smithiesら, 1985, Natu
re, 317:230-234;ThomasおよびCapecchi, 1987, Cell 51:503-512;Thompsonら
, 1989, Cell 5:313-321を参照;それらの各々は参照によりその全体を本明細書
に組み入れる)。例えば、内因性の標的遺伝子(該標的遺伝子のコード領域か調
節領域のいずれか)に相同的なDNAが隣接している突然変異型の非機能性標的遺
伝子(または完全に無関係なDNA配列)を選択マーカーおよび/もしくはネガテ
ィブ選択マーカーと共にまたはそれらなしで用いて、該標的遺伝子をin vivoで
発現する細胞をトランスフェクトすることができる。該DNA構築物を標的相同組
換えにより挿入することにより、該標的遺伝子が不活性化される。そのような方
法は、特に農業分野において適しており、その場合、ES(胚性幹)細胞への改変
を利用して、不活性な標的遺伝子を含む動物子孫を作製できる(例えば、Thomas
およびCapecchi, 1987およびThompson, 1989,前掲を参照のこと)。しかし、こ
の方法はヒトにおける用途で利用可能であるが、その場合には、組換えDNA構築
物は直接投与されるか、適当なウイルスベクターを用いてin vivoで必要とされ
る部位にターゲッティングされる。
【0112】 あるいはまた、内因性標的遺伝子の発現は、該標的遺伝子の調節領域(すなわ
ち、標的遺伝子のプロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なデオキ
シリボヌクレオチド配列を標的として、体内の標的細胞における該標的遺伝子の
転写を抑制する三重らせん構造を形成することにより低減してもよい。(一般的
には、Helene. 1991, Anticancer Drug Des., 6(6):569-584;Heleneら, 1992,
Ann. N.Y. Acad. Sci., 660:27-36;ならびにMaher, 1992, Bioassays 14(12):8
07-815を参照されたい。) 転写抑制のための三重らせん形成において用いられる核酸分子は、一本鎖であ
り、且つデオキシヌクレオチドから構成される必要がある。これらのオリゴヌク
レオチドの塩基組成は、フーグスティーン(Hoogsteen)型塩基対合則による三
重らせん形成を促進するように設計される必要があり、このためには、通常、二
重らせんの一方の鎖にプリンまたはピリミジンのかなり大きなストレッチが存在
することが必要である。ヌクレオチド配列は、ピリミジンベースのものであって
もよく、この場合、得られる三重らせんの3本の結合鎖を横切ってTATおよびCGC トリプレットが生じる。ピリミジンに富む分子には、その鎖と平行に並んでい
る二重らせんの一方の鎖のプリンに富む領域に対する塩基相補性が備わっている
。更に、プリンに富んでいる(例えばG残基のストレッチを含んでいる)核酸分
子を選んでもよい。これらの分子は、GC対に富むDNA二重らせんと三重らせん
を形成し、そこにおいて、プリン残基の大部分は、標的とする二重らせんの一方
の鎖に位置して、三重らせんの3本の鎖を横切ってGGCトリプレットを生じる
【0113】 あるいはまた、三重らせん形成の標的とされ得る可能性のある配列は、いわゆ
る「スイッチバック(折り返し)」型核酸分子を作製することにより増やすこと
ができる。スイッチバック型分子は、それらがまず二重らせんの一方の鎖と塩基
対合し、次にもう一方の鎖と塩基対合するように、5’−3’と3’−5’が交互に
並ぶ様に合成して、プリンもしくはピリミジンのかなり大きなストレッチが二重
らせんの一方の鎖に存在しなくても済むようにする。
【0114】 本明細書で記載するアンチセンス、リボザイムおよび/または三重らせん分子
を利用して突然変異型遺伝子発現を抑制する場合、おそらく、該方法は、正常な
標的遺伝子の対立遺伝子により生じるmRNAの転写(三重らせんの場合)および/
または翻訳(アンチセンス、リボザイムの場合)をそのように効率的に低減また
は抑制でき、存在する正常な標的遺伝子産物の濃度は正常な表現型に必要な濃度
よりも低い可能性が生じることがある。したがって、そうした場合、実質的に正
常な標的遺伝子の活性レベルが確実に維持されるようにするためには、正常な標
的遺伝子の活性を示す標的遺伝子ポリペプチドをコードし発現する核酸分子を、
例えば後述するような遺伝子治療方法により、利用されているアンチセンス、リ
ボザイムまたは三重らせん処理に影響される配列を含まない細胞に導入すればよ
い。あるいはまた、標的遺伝子が細胞外タンパク質をコードする場合、必要な標
的遺伝子の活性レベルを維持するために、正常な標的遺伝子タンパク質を同時投
与することが好ましいこともある。
【0115】 本発明のアンチセンスRNAおよびDNA、リボザイムならびに三重らせん分子は、
上述したように、DNAおよびRNA分子の合成のための当技術分野で公知のいずれの
方法によっても調製できる。これらの方法としては、当技術分野で公知のオリゴ
デオキシリボヌクレオチドおよびオリゴリボヌクレオチドを化学的に合成するた
めの技法、例えば固相ホスホルアミド化学合成法が挙げられる。あるいはまた、
RNA分子は、アンチセンスRNA分子をコードするDNA配列のin vitroおよびin vivo
転写により作製することが可能である。そのようなDNA配列は、T7またはSP6ポリ
メラーゼプロモーターなどの適切なRNAポリメラーゼプロモーターを組み込む多
種多様なベクターに組み込まれ得る。あるいはまた、使用するプロモーターよっ
ては、アンチセンスRNAを構成的または誘導的に合成するアンチセンスcDNA構築
物を細胞系に安定に導入してもよい。
【0116】1.4.2 遺伝子置換療法 上述した本発明の核酸配列は、組換え核酸配列を細胞に導入し、該配列をレシ
ピエント細胞内で発現させるのに利用できる。そのような技法は、例えば、細胞
のマーキングにおいて、または前立腺が関連した疾患の治療に利用可能である。
そのような治療は、遺伝子置換療法(gene replacement therapy)の形式とし得
る。具体的に述べると、正常な遺伝子または該遺伝子の正常な遺伝子機能を示す
遺伝子産物の生成を指令する部分の1以上のコピーを、ベクター、例えば限定さ
れるものではないが、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、およびレトロウイ
ルスのベクターなど(しかしそれらに限定されない)のベクターや、リポソーム
などのDNAを細胞に導入する他の粒子を用いて、患者の適切な細胞に挿入すれば
よい。
【0117】 一実施形態において、送達方法は、例えばそのような遺伝子配列を、該遺伝子
配列を発現させようとする細胞の部位に定位送達することによる直接投与を含む
【0118】 遺伝子発現および/または遺伝子産物の活性の全体的レベルを増大させるのに
利用可能な別の方法としては、上述したように、標的化相同組換え法を用いて、
異種DNA調節エレメントを挿入して、その挿入調節エレメントが対象の内因性遺
伝子と機能しうる形で連結されるようにすることにより、細胞または微生物にお
ける内因性遺伝子の発現特性を変えることが挙げられる。したがって、標的化相
同組換えは、「転写上サイレントである」(すなわち、通常は発現されないか、
通常は非常に低レベルでしか発現されない)内因性遺伝子の転写を活性化するた
めに、あるいは通常発現される内因性遺伝子の発現を増強するために用いること
ができる。
【0119】 更に、標的遺伝子の発現および/または遺伝子産物の活性の全体的レベルは、
適切な標的遺伝子発現細胞(好ましくは自己由来の細胞)を、前立腺に関連した
疾患の症状を改善するのに十分な位置にかつ十分な数で患者に導入することによ
り増大させることができる。そのような細胞は組換え細胞でも非組換え細胞のい
ずれでもよい。
【0120】 投与しようとする細胞が自己由来の細胞でない場合、それらは、導入した細胞
に対する宿主の免疫応答が起こるのを抑制する公知の方法を用いて投与できる。
例えば、該細胞は、成分が隣接する細胞外環境と交換されるようにはするが、導
入された細胞が宿主の免疫系により認識されないようにする封入形態で導入しう
る。
【0121】 更に、スーパーPSA調節領域の活性をモジュレートできる化合物、例えば上記
のような方法により同定されるものなどを、当業者に公知である標準的な技法を
用いて投与してもよい。
【0122】1.5 医薬製剤および投与方法 スーパーPSA調節領域の活性または遺伝子産物の活性を改変させることが判明
した化合物は、患者に治療上有効な量で投与して、前立腺が関連する障害を治療
または改善することができる。治療上有効な量とは、そのような疾患の症状の改
善をもたらすのに十分な化合物の量をいう。
【0123】1.5.1 有効量 上記ような化合物の毒性および治療効力は、例えばLD50(集団の50%に対する
致死量)およびED50(集団の50%における治療上有効な量)を決定するための細
胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順により決定できる。有害作用
と治療作用との用量比が治療指数であり、それはLD50/ED50の比として表わすこ
とができる。大きな治療指数を示す化合物が好ましい。有害な副作用を示す化合
物を用いることも可能であるが、未感染細胞に対して与えうる損傷を最低限に抑
え、それにより副作用を低減するために、そのような化合物を罹患組織の部位に
ターゲッティングする送達系を設計するよう注意を払わねばならない。
【0124】 細胞培養アッセイおよび動物試験から得られるデータは、ヒトにおける使用の
ためのある範囲の投与量を処方するのに用いることができる。そのような化合物
の投与量は、好ましくは、毒性が殆どまたは全くない、ED50を含む循環濃度の範
囲内である。投与量は、採用する剤形や利用する投与経路に応じて、この範囲内
で様々に変えることができる。本発明の方法において用いられるいずれの化合物
についても、治療上有効な量は、最初に細胞培養アッセイから評価することがで
きる。用量は、動物モデルにおいて、細胞培養において測定したIC50(すなわち
、症状の最大抑制の半分を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲
を達成するように処方されればよい。そのような情報は、ヒトにおける有用な用
量をより正確に決定するのに用いることができる。血漿中レベルは、例えば高速
液体クロマトグラフィーにより測定できる。
【0125】1.5.2 製剤および用途 本発明に従って使用するための医薬組成物は、1種以上の生理学上許容される
担体または賦形剤を用いて慣用の方法で製剤化できる。
【0126】 したがって、上記化合物ならびにそれらの生理学上許容される塩および溶媒和
化合物は、吸入もしくはガス注入(insufflation)(口または鼻のいずれかを経
由する)による投与用、または経口、口腔内(buccal)、非経口もしくは直腸投
与用に製剤化できる。
【0127】 経口投与の場合、該医薬組成物は、例えば、慣用の手段により、製薬上許容さ
れる賦形剤、例えば、結合剤(例えば、予備α化トウモロコシデンプン、ポリビ
ニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、充填剤(例えば
、乳糖、微結晶セルロースまたはリン酸水素カルシウム)、滑沢剤(例えば、ス
テアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ)、崩壊剤(例えば、馬鈴薯デン
プンまたはデンプングリコール酸ナトリウム)、あるいは湿潤剤(例えば、ラウ
リル硫酸ナトリウム)などを用いて調製される錠剤またはカプセル剤の剤形を取
り得る。錠剤は、当技術分野で公知の方法によりコーティングされていてもよい
。経口投与用の液体製剤は、例えば液剤、シロップ剤または懸濁剤の剤形を取っ
てもよいし、使用前に水または他の適切な溶媒で構成するための乾燥製品として
もよい。そのような液体製剤は、慣用の手段により、製薬上許容される添加剤、
例えば、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または硬
化食用脂肪)、乳化剤(例えば、レシチンまたはアラビアゴム)、非水性溶媒(
例えばアーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは分留植物性油)、
および保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピルまたはソ
ルビン酸)などを用いて調製できる。上記製剤はまた、適宜に、緩衝塩、矯味矯
臭剤、着色剤および甘味剤を配合してもよい。
【0128】 経口投与用の製剤は、活性化合物の制御放出をもたらすのに適した形で処方し
てもよい。
【0129】 口腔内投与の場合、該組成物は、慣用の方法で処方された錠剤またはロゼンジ
の剤形を取ることができる。
【0130】 吸入による投与の場合、本発明に従って使用するための化合物は、加圧パック
または噴霧器からのエアゾールスプレー投与の形態で簡便に送達され、この場合
、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテト
ラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切なガスなどの適切な噴射剤を用い
る。加圧エアゾールの場合、投与単位は、ある一定量を送達するためのバルブを
備えることにより決定できる。吸入またはガス注入において使用するための、該
化合物と適切な粉末基剤(例えば乳糖またはデンプン)との粉末混合物を含むカ
プセルおよびカートリッジ(例えばゼラチン製のもの)を処方してもよい。
【0131】 上記化合物は、注射による(例えば、ボーラス注射や連続輸液による)非経口
投与用に処方してもよい。注射用の製剤は、例えばアンプルや多投与量容器中で
の単位剤形とすることができ、この場合、保存剤が添加される。該組成物は、油
性または水性溶媒中で調製した懸濁剤、液剤または乳剤の剤形を取ってもよいし
、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤などの配合剤(formulatory agents)
を含んでもよい。あるいはまた、活性成分は、使用前に、例えば無菌の発熱物質
不含水などの適切な溶媒で構成するための粉末形態としてもよい。
【0132】 また、上記化合物は、例えばココア脂や他のグリセリドなどの慣用の坐剤用基
剤を含む、坐剤や停留性浣腸剤などの直腸用組成物に処方してもよい。
【0133】 特定の実施形態では、本発明の医薬組成物を治療が必要な領域に局所的に投与
することが望ましい場合がある。これは、例えば限定しようとするものではない
が、手術中の局所的輸液、例えば手術後に創傷用包帯と併用した局所的適用、注
射、カテーテル、坐剤、または移植片により達成できる。該移植片は、多孔質性
、非多孔質性、またはゼラチン状の物質のものであり、例えばシラスティック(
sialastic)膜などの膜や繊維が挙げられる。一実施形態では、投与は、悪性腫
瘍または新生物形成もしくは前新生物形成組織の部位(または前方部位)に直接
注射することにより行いうる。
【0134】 局所適用の場合、上記化合物は、目的とする活性に基づいて、有効量が送達さ
れるように担体と組み合せることができる。
【0135】 これまで記載した製剤以外に、上記化合物は、デポー製剤としても処方できる
。そのような長期作用性の製剤は、(例えば皮下または筋肉内の)埋め込みによ
り、あるいは筋肉内注射により投与可能である。したがって、例えば、該化合物
は、適切な重合体性もしくは疎水性の物質と共に(例えば、許容される油中での
乳濁液として)、またはイオン交換樹脂と共に処方してもよいし、あるいは僅か
に可溶性の誘導体(例えば僅かに可溶性の塩)としても処方できる。
【0136】 上記組成物は、それが望まれる場合には、活性成分を含む1以上の単位投与剤
形を含み得るパック内またはディスペンサーデバイス内に配合してもよい。この
パックは、金属箔もしくはプラスチック箔を含むもの、例えば、ブリスターパッ
クなどであってよい。このパックまたはディスペンサーデバイスには、投与のつ
いての説明書が同封されていてもよい。
【0137】 本発明は、本発明の個々の態様の単なる例示を目的とする、本明細書に記載の
特定の実施形態によりその範囲を限定されるものではなく、機能的に同等な方法
および構成は本発明の範囲内である。実際に、本明細書の記載および添付する図
面から、当業者には、本明細書に示し記載したもの以外にも本発明の種々の変更
が明らかであろう。そのような変更は、本発明の特許請求の範囲内にあるものと
する。
【0138】 本明細書で明示した刊行物および特許出願は全て、その個々の刊行物または特
許出願が参照により組み込まれるものとして具体的にかつ別々に開示されている
のと同じ程度に参照により本明細書に組み入れるものとする。
【0139】2.実施例:プロモーター解析研究 本実施例においては、プロモーター解析研究データを図1に示す。野生型PSA
プロモーターはp61として示し、そのプロモーターの長さは約6Kbである。アンド
ロゲン応答エレメント(ARE)I、IIおよびIIIの位置をプロモーター内に示す。
また転写開始部位(TATAボックス)を矢印で表す。全長プロモーターをルシフェ
ラーゼレポーター遺伝子の上流に挿入し、これをLNCaPおよびC4-2細胞に一過性
にトランスフェクトした。相対ルシフェラーゼ単位(RLU)は、内部対照のCMV/
β-galによるルシフェラーゼ活性を正規化することにより得た。アンドロゲン刺
激を行わない場合に、天然のPSAプロモーターはLNCaPよりもC4-2において約15倍
活性を有していた。種々の欠失構築物を作製して、プロモーター上の、アンドロ
ゲン不在下におけるPSAプロモーターの活性化に重要な領域を特定した。p61-2構
築物は、AREIIとIIIとの間の内部欠失を含有している。この欠失は、天然のプロ
モーター活性には影響を及ぼさないため、この欠失領域はPSAプロモーター活性
にとって必須ではないと考えられる。p61-5は、ARE IIIの下流に末端欠失を含有
している。この構築物の活性は約50%低減している。しかし、この欠失がARE II
Iの上流にまで伸びた場合には、プロモーター活性の著しい低下が認められた(
約85%)。p61-4におけるさらなる欠失(500bp)によって、プロモーター活性が
有意に低下したことが明らかである。従って、p61-3構築物において500bp(AREc
)を欠失した場合には、p61-4と同様に活性が低下する。このことは、AREcが、
アンドロゲン不在下においてPSAプロモーター活性に必須であることを強く示唆
している。
【0140】3.実施例:スーパーPSAプロモーター(AREc/pTATA)活性と、天然のPSAプロモ ーター(P61)および PSEプロモーター(AREc/(PA8)との比較 スーパーPSAプロモーター(AREc/pTATA)活性と天然のPSAプロモーター(p61
)およびPSEプロモーター(AREc/(PA8)との比較を行った。AREcに加えて、AREI
、II、IIIの間で生じうる協同作用を試験した。C4-2細胞においてPSAプロモータ
ー活性のリガンド非依存性活性化を付与するpTATA領域のDNA配列を特定した(以
下参照)。スーパーPSAプロモーターのサイズはわずか560bpであり、これは6Kb
の野生型PSAプロモーターよりも顕著に小さく、また1071bpのPSEプロモーターよ
りも小さい。さらに、スーパーPSAプロモーターは、野生型と比較した場合に2
〜4倍高い活性を有し、PSEプロモーターと比較した場合に約5倍高い活性を有
する。また、スーパーPSAプロモーターは、LNCaPおよびC4-2において高い誘導性
を有する(それぞれ52倍および16倍)。この高い基底のアンドロゲン誘導型スー
パーPSAプロモーター活性は、AR活性を発現した細胞において認められた。この
ことは、ARおよび未同定の共同因子が、PC3細胞ではなくC4-2およびLNCaP細胞に
おいて、PSAプロモーター活性のアップレギュレーションに関与していることを
示唆している(以下参照)。しかしながら、pTATA領域単独でも、アンドロゲン
およびAR非依存的にC4-2細胞においてPSAプロモーター活性のアップレギュレー
ションを引き起こすことができた(以下参照)。このグラフから、スーパーPSA
プロモーターがAD LNCaP細胞よりもAI C4-2細胞においてはるかに高い活性を有
することが明らかであり、これにより、スーパーPSAプロモーターはAl前立腺癌
細胞における遺伝子の送達および発現に優れたプロモーターとなる。
【0141】4.実施例:スーパーPSAプロモーターの全配列の決定 スーパーPSAプロモーターの全配列は、Trapman(Stamey TA, Yang Nら、J Uro
l. 141: 1088-90)により同定されているAREエンハンサーコア(AREc)、および
本明細書に記載のように同定された新規なpTATAエレメントからなる。アンドロ
ゲン誘導性はAREエンハンサーコア領域内に存在する。十分に特性決定されてい
るアンドロゲン応答エレメント(ARE)III以外に、最近、他のAREがエンハンサ
ーコア内で同定された(Lyss AP. (1987) American J Med 83: 1120-27)。ARE
のアンドロゲン誘導性は、ARE IIIに非常に依存しており、内因性PSAを有する細
胞に対し特異的である(Stamey TA, Yang Nら、J Urol. 141: 1088-90)。アン
ドロゲンの不在下で、ARが、アンドロゲン非依存性前立腺癌細胞において、選択
した増殖因子および細胞内シグナル伝達に関与するリガンド非依存的経路により
シグナル伝達する可能性が示唆されている(Culig Z, Hobisch Aら(1994). Canc
er Res. 54: 5474-78;Nazarth LV, Wigel NL. (1996). JBC 271: 19900-19907
;Ruiter de PE, Twuwen R.ら(1995) Mol Cell endocrinol 110 : R1-6)。ARは
、共同因子と複合体形成し、続いてそれらが共にAREcに結合してPSA遺伝子発現
をトランス活性化しうる(Hsieh JT, Wu HCら(1993) Cancer Res 52: 2852-57)
。AREIIIの周囲の領域が上記タンパク質複合体の結合部位であることが推測され
ている。従って、上記領域のいずれの改変によってもスーパーPSAプロモーター
活性は増大または減少する可能性がある。pTATA自体は強力なエレメントであり
、AREcに並置された場合には、エンハンサーコアと相乗的に作用して、天然のPS
Aプロモーターにまさる優れたプロモーター活性を示す。DNAフットプリント実験
により、pTATAにおける、C4-2およびLNCAP核抽出物中のタンパク質因子により保
護される2つの部位が同定された。配列マーカーとの比較において、保護領域の
正確な位置を特定した。保護領域の1つはP2と称し、pTATA活性に極めて重要で
あった。P2の欠失によって、前立腺癌細胞におけるpTATA活性の大部分が失われ
た。得られたデータは、特定の転写因子がP2と結合し、これが一般的な転写機構
と相互作用して、アンドロゲンの不在下でPSA遺伝子発現を増強する可能性があ
ることを示唆している。更に、この相互作用はアンドロゲンもその受容体も必要
としない。
【0142】5.実施例:放射性標識P2エレメントへの潜在的タンパク質因子の結合の測定 本実施例においては、放射性標識P2エレメントへの潜在的タンパク質因子の結
合を電気泳動移動度シフトアッセイ(Electrophoretic-Mobility-Shift-Assay;
EMSA)で測定した。これらのタンパク質は高分子量であるため、上記タンパク質
とDNAとの複合体はゲルにおいて遊離プローブよりも遅く移動し、それぞれの分
子量に応じた異なるバンドを生じる。LNCaP核抽出物をレーン1〜5で使用し、C
4-2核抽出物をレーン6〜10で使用し、PC3核抽出物をレーン11〜13で使用した。
コンセンサス部位の検索によって、P2がSP-1部位と高い相同性を有することが明
らかとなったため、P2部位との比較にSP-1部位を使用した。レーン1、7および
11においては、SP-1部位は、SP1、SP-2およびSP-3タンパク質の結合に対応する
3つの別個のバンドを示し、これらのバンドは非標識SP-1部位(レーン2、6)
とは特異的に競合しうる。P2部位では、いくつかのバンドが検出された(レーン
3、8および12)。矢印で示したバンドが主要バンドであると考えられ、それら
のいずれもSP-1部位により生じたバンドとは似ていない。さらに、非放射性標識
SP-1部位はP2により生じたタンパク質-DNA複合体とは競合することができなかっ
た(レーン4、9)が、非標識P2部位は、タンパク質-DNA複合体と特異的に競合
した(レーン5、10)。従って、P2関連因子はSP-1タンパク質ではないと結論す
るのが妥当である。さらに、レーン3および8に示す2つのバンドは、LNCaP核
抽出物よりもC4-2核抽出物においてより濃いものであり、このことは、ホルモン
非依存性C4-2細胞において因子のアップレギュレーションがあり、そのためC4-2
においてPSAプロモーター活性が増強されうることを示唆している。PC3核抽出物
では、P2エレメントもまた2つの主要なバンド(レーン12および13)を生じたが
、このバンドのサイズはLNCaP(レーン3)およびC4-2(レーン8)のバンドと
は明らかに異なるものである。種々の因子がPC3細胞におけるP2部位を占有する
が、PSAプロモーター活性をアップレギュレートすることはできない可能性があ
る。従って、pTATAにおけるP2部位と結合したタンパク質因子は、C4-2およびLNC
aPと同様にPSA産生細胞に特異的である。
【0143】6.実施例:スーパーPSAプロモーターの基礎活性およびアンドロゲン誘導性の
測定 本実施例においては、天然およびスーパーPSAプロモーターの基礎活性および
アンドロゲン誘導性を測定した。スーパーPSAプロモーターは、一貫して、他の
前立腺細胞系において天然のPSAプロモーターよりも高い基礎活性を有している
(図5)。NbEは、自然に不死化した正常ラットの前立腺上皮細胞系であり、天
然のPSAプロモーター活性よりも約10倍高いスーパーPSAプロモーター活性を有す
る。NbEにおけるスーパーPSAプロモーターの活性レベルは、AI C4-2細胞のもの
と類似している。PC3はヒト前立腺癌細胞系である。これは内因性ARもPSAも有し
ないため、天然のPSAプロモーター活性は一般的に低い。しかしながら、スーパ
ーPSAプロモーターはなおもPC3において天然のPSAプロモーター活性の約3倍高
い活性を示すことができる。
【0144】 NbEおよびPC-3細胞における天然およびスーパーPSAプロモーターのアンドロゲ
ン誘導性を図6に示す。図6のNbEおよびPC-3細胞における天然およびスーパーP
SAプロモーターのアンドロゲン誘導性を図5と比較した場合、NbEおよびPC-3細
胞におけるAREc/pTATAプロモーター媒介型レポーター活性ではなく、p61がさら
にアンドロゲンアゴニストであるR-1881により増強されうる。反対に、AREc/pTA
TA媒介型レポーター活性の多少の低減が、R-1881暴露後にNbEおよびPC-3細胞に
おいて示された。現時点でこれらの示差的な応答の正確な機構は不明である。し
かしながら、スーパーPSAプロモーターが、PSAを産生するかしないかに関わらず
前立腺由来の細胞において標的遺伝子の発現を駆動可能であることを説明するに
は十分である。しかし、スーパーPSAプロモーターは、ARを含有しない前立腺細
胞(例えばPC-3など)よりもARを含有する前立腺細胞(例えばC4-2、LNCaPおよ
びNbEなど)においてはるかに高い活性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 プロモーター解析研究の要約を示した図である。
【図2】 スーパーPSAプロモーター(AREc/pTATA)活性と、天然PSAプロモーター(p61)お
よびPSEプロモーター(AREc/PA8)との比較を示した図である。
【図3】 スーパーPSAプロモーターの完全な配列を示した図である。
【図4】 電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)における放射性標識P2エレメントへの潜
在的タンパク質因子の結合を示した図である。
【図5】 他の前立腺細胞系におけるスーパーPSAプロモーターおよび天然PSAプロモータ
ーの基礎活性の測定を示した図である。
【図6】 NbEおよびPC-3細胞における天然およびスーパーPSAプロモーターのアンドロゲ
ン誘導性を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 13/08 A61P 35/00 4C087 35/00 43/00 111 43/00 111 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 C12Q 1/02 5/10 C12N 15/00 ZNAA C12Q 1/02 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 カオ,チングァイ アメリカ合衆国 22903 ヴァージニア州 シャーロッツビレ,ロデス ストリート 525 (72)発明者 トラップマン,ジャン オランダ国 エヌエル−3271 ビイケイ ミジンシェーレンランド ラーン ヴァン ウエストモレン 44 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA12 BA36 DA02 FA02 FA06 HA17 4B063 QA08 QA18 QQ08 QQ79 QR48 QR77 QX02 4B065 AA91X AA91Y AA93X AB01 CA24 CA44 4C084 AA13 MA02 ZA811 ZB261 ZC022 4C086 AA01 AA02 AA03 EA16 MA02 MA04 NA14 ZA81 ZB26 ZC02 4C087 AA01 AA02 BB65 CA12 MA02 NA14 ZA81 ZB26 ZC02

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の配列: (a) 図3に示すpTATAヌクレオチド配列、 (b) 図3に示すAREcヌクレオチド配列に並置された図3に示すpTATAヌクレオ
    チド配列、または (c) 上記(a)または(b)の単離されたポリヌクレオチドの転写活性のある断片、
    からなる、単離されたポリヌクレオチド。
  2. 【請求項2】 図3に示すP2ヌクレオチド配列またはその転写活性のある断
    片からなる、単離されたポリヌクレオチド。
  3. 【請求項3】 高度にストリンジェントな条件下で請求項1に記載のポリヌ
    クレオチドの相補体とハイブリダイズする、単離されたポリヌクレオチド。
  4. 【請求項4】 中程度にストリンジェントな条件下で請求項1に記載のポリ
    ヌクレオチドの相補体とハイブリダイズする、単離されたポリヌクレオチド。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のポリヌクレオチドの相補体からなる、単離
    されたポリヌクレオチド。
  6. 【請求項6】 異種コード配列と機能的に結合された請求項1または2に記
    載のポリヌクレオチドからなる、単離されたポリヌクレオチド。
  7. 【請求項7】 請求項1、2、3または4に記載のポリヌクレオチドを含有
    するベクター。
  8. 【請求項8】 異種コード配列と機能的に結合された請求項1、2、3また
    は4に記載のポリヌクレオチドを含有する発現ベクター。
  9. 【請求項9】 請求項1、2、3または4に記載のポリヌクレオチドを含有
    する遺伝子操作宿主細胞。
  10. 【請求項10】 異種コード配列と機能的に結合された請求項1、2、3ま
    たは4に記載のポリヌクレオチドを含有する遺伝子操作宿主細胞。
  11. 【請求項11】 請求項1、2、3または4に記載のポリヌクレオチドを含
    有するトランスジェニック非ヒト動物。
  12. 【請求項12】 異種コード配列がレポーター遺伝子である、請求項6に記
    載のポリヌクレオチド。
  13. 【請求項13】 レポーター遺伝子がルシフェラーゼである、請求項12に
    記載のポリヌクレオチド。
  14. 【請求項14】 前立腺特異的遺伝子発現をモジュレートすることができる
    試験化合物を同定する方法であって、 (a) 試験化合物の存在下および非存在下で、スーパーPSA調節領域またはその
    転写活性のある断片の制御下におけるレポーター遺伝子の発現のレベルを測定し
    、その結果、試験化合物の存在下で得られた該レベルがその非存在下で得られた
    ものと異なっている場合には、該試験化合物を前立腺特異的遺伝子発現をモジュ
    レートする化合物として同定する、 ことを含んでなる、上記方法。
  15. 【請求項15】 レポーター遺伝子がルシフェラーゼである、請求項14に
    記載の方法。
  16. 【請求項16】 請求項14に記載の方法により同定された試験化合物を含
    有する医薬組成物。
  17. 【請求項17】 被験者の前立腺癌細胞に、治療用分子をコードする異種核
    酸と機能的に連結された、スーパーPSA調節領域配列またはその転写活性のある
    断片を含有するベクターを導入することを含んでなる、治療用分子の送達方法。
  18. 【請求項18】 被験者の細胞に、異種核酸(その遺伝子産物は該細胞を殺
    すことができるものである)と機能的に連結された、スーパーPSA調節領域配列
    またはその転写活性のある断片を含有するベクターを導入することを含んでなる
    、前立腺関連癌または他の増殖性疾患の阻害または治療方法。
  19. 【請求項19】 被験者の細胞に、前立腺関連疾患を予防または遅延させる
    ことができる治療用分子をコードする異種核酸と機能的に連結された、スーパー
    PSA調節領域配列またはその転写活性のある断片を含有するベクターを導入する
    ことを含んでなる、前立腺関連疾患の予防または遅延方法。
  20. 【請求項20】 前記疾患が前立腺癌である、請求項19に記載の方法。
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