JP2003513030A - 低い水溶性および脂肪親和性を示す物質のカプセル化方法、およびこの方法により得られる製剤 - Google Patents

低い水溶性および脂肪親和性を示す物質のカプセル化方法、およびこの方法により得られる製剤

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ルトハー・ウィリブロルデス・ヘンリクス・マリア・スタッフホルスト
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シード・キャピタル・インヴェストメンツ−2・(エスシーアイ−2)・ベスローテン・フエンノートシャップ
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、低い水溶性および脂肪親和性を示す物質、特に薬剤のカプセル化方法であって、負に帯電した脂質を1種以上含有する脂質系を提供すること、該脂質系を前記物質と低い合計溶質濃度の媒体中で結合させること、こうして得られる混合物を凍結−解凍サイクルに1サイクル以上付して、脂質被覆された前記物質の凝集体を生成すること、および任意に、遊離した(非内包の)物質を除去することを含むカプセル化方法に関する。前記方法は、特にシスプラチンをカプセル化するのに適している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、一般に低い水溶性および脂肪親和性を示す物質、特にシスプラチン
の新規な製剤方法に関する。本発明は、前記方法により得られる製剤にも関する
【0002】 シス-ジアミンジクロロプラチナム(II)(シスプラチン)は、固形腫瘍の治療
において最も広範に使用されている試薬の一つであり、睾丸や卵巣の癌に特に有
効である。しかし、シスプラチンの臨床的な有用性の拡大は、その毒性によって
のみならず、多数の共通した腫瘍タイプにおける内因性および後天性の抵抗力の
発生によっても制限されている。シスプラチンの臨床上の使用と関連した有毒な
副作用としては、悪心や嘔吐、腎毒性、聴器毒性、神経障害および骨髄抑制が挙
げられる。
【0003】 加えて、シスプラチンは、種々の細胞外生体分子だけでなく、細胞内の生体分
子とも相互作用を生じる高い反応性分子でもある。特に、硫黄-および窒素-ドナ
ー原子は、シスプラチンに対して高い親和性を有する。結果として、シスプラチ
ンは、血漿および組織蛋白質と広範囲に結合して、投与された用量の大部分が生
物学的利用能および有効不活性化においておおきく低下する。in vitroでの研究
では、シスプラチンの96%が24時間以内に血漿蛋白質と結合することが示さ
れている。残りの非複合化または遊離シスプラチンは、受動拡散と蛋白質-媒介
摂取の組み合わせにより細胞に入り込み、細胞内物質、例えばグルタチオンなど
のチオール、メチオニン含有蛋白質およびペプチド、およびRNAおよびDNA
中のグアニン塩基と相互作用を生じる。細胞に入り込むシスプラチンの数%のみ
がDNAと結合し得る。
【0004】 すなわち、シスプラチンおよびその多数の類似体の臨床上の使用は、以下の3
つの主要な問題点と直面している。(i)特に腎毒性と神経毒性における重大な
用量限界毒性、(ii)血漿および組織蛋白質との複合体形成の結果としての薬剤
の迅速な不活性化、および(iii)白金抵抗性の頻繁な発生。
【0005】 一般に、前記問題点は、薬剤を細胞外環境から、いわゆるリポソームなどの脂
質コーティングを用いて保護することにより軽減され得る。リポソームは、微粒
子状またはコロイド状のキャリアであって、通常、0.05〜5.0μmの寸法
であり、特定の脂質を水性媒体中で水和すると自発的に形成される。リポソーム
は、比較的生体適合性(非毒性)でかつ生分解可能な材料から構成されており、
1種以上の天然および/または合成脂質二重層によって包括された水性容積から
成る。その脂肪親和性に依存して、薬剤は、リン脂質二重層内に、水性区画内に
、または二重層の界面でカプセル化され得る。
【0006】 静脈、間質または腔内への投与後、リポソームは一般に、目標の器官の細胞と
相互作用を生じ、その結果として、内包した薬剤を局部放出する。薬剤は、細胞
表面でのリポソームキャリアの不安定後には細胞外で、または標的細胞によるキ
ャリアのエンドサイトーシス摂取後には細胞内で放出される。
【0007】 リポソームは、多数の薬理学的な活性剤(例えば、抗悪性腫瘍薬および抗菌薬
、ステロイド、ワクチンおよび遺伝子材料)のキャリアとして使用されている。
【0008】 しかし、多くの場合、このアプローチは、薬剤の脂質製剤中へのカプセル化効
率が悪く、その結果、腫瘍による薬剤摂取量が少なくなるため失敗している。こ
のことは、特に、シスプラチンの脂質製剤において顕著である。低い水溶性およ
び脂肪親和性を示すシスプラチンは、薬剤/脂質比が非常に低い脂質製剤となる
【0009】 従って、本発明の課題は、一般に低い水溶性と低い脂肪親和性を示す物質、特
に薬剤、特にシスプラチンを非常に有効に脂質製剤中にカプセル化する方法を提
供することである。
【0010】 本発明を導いた研究では、負に帯電したリン脂質の存在下、シスプラチンの濃
厚化溶液を凍結−解凍サイクルに1サイクル以上付することに基づく方法が、単
一の(場合により2種または3種の)脂質二重層で被覆されたシスプラチンの小
さな凝集体(「ナノ粒子」)を生成することが分かった。脂質被覆されたシスプ
ラチンのナノ粒子は、前例のない薬剤/脂質比、および遊離薬剤の1000倍以
上のin vitroでの細胞障害性(cytotoxicity)を有する。脂質1μモル当たりシス
プラチン1〜4mgのカプセル化効率が非常に高い。
【0011】 更には、前記結果は、等モル量のジオレオイル-ホスファチジルセリン(PS
)とジオレオイル-ホスファチジルコリン(PC)を包含する乾燥した脂質フィ
ルムをシスプラチンの緩衝液(pH7.4)5mMで水和した後、エタノール/
ドライアイス(−70℃)および水浴(37℃)を用いた10サイクル以上の凍
結−解凍(FT)サイクルにより得られた。続いて、遊離(小胞外の(extravesi
cular))シスプラチンを、緩衝液中のメンブランペレットの遠心分離および再懸
濁を繰り返すことにより除去した。得られたシスプラチン含有脂質懸濁液(cisP
t-PS/-PC)は、遊離薬剤(汎用のシスプラチン)0.5μMと比べて、IC50 が〜2nMと、極めて細胞障害性が高かった。シスプラチンを添加しなかった脂
質懸濁液(ブランク)は、細胞障害性を示さず、汎用のシスプラチンとブランク
脂質懸濁液とを混合しても、シスプラチンの細胞障害性の上昇は得られなかった
【0012】 シスプラチン脂質製剤の極端な細胞障害性についての理由を確認するために、
標準プロトコルでの多数の変量の効果を、in vitroの抗腫瘍活性およびカプセル
化効率において調べた。凍結−解凍工程の省略、または脂質混合物中の負に帯電
したPSの除外は、前記製剤の細胞障害性を劇的に低下させた。この細胞障害性
の劇的な低下は、カプセル化効率、または薬剤/脂質比と細胞障害性との間の直
接的な関係を暗示する薬剤/脂質比の同様の低下と近似していた。凍結−解凍工
程の省略またはPSの除外は、薬剤/脂質モル比をそれぞれ10倍および4倍低
下させた。
【0013】 標準プロトコルとして、PSとPCの等モル混合物、およびシスプラチンの緩
衝液(Pipes−NaOH 10mM、EGTA 1mM、pH7.4)5mMを
用いると、脂質製剤のシスプラチン/脂質モル比は〜0.5であった。これは、
シスプラチンの理論上の小胞内濃度に言い換えると30mM過剰である(リン脂
質1モル当たりカプセル化容積15Lに基づく計算)。すなわち、この小胞内濃
度は、シスプラチンの溶解性(塩素を含まない媒体中では〜8mM)より遥かに
過剰であり、前記脂質製剤がシスプラチンの凝集体を含有することを強く示唆し
ていた。そこで、前記製剤を、低温電子工学顕微鏡を用いて検査して、薄い脂質
層で被覆されたシスプラチンの実に小さな凝集体、いわゆる「ナノ粒子」を観察
した。
【0014】 〜2.5の高い薬剤/脂質比も、緩衝液の代わりにシスプラチンのHO溶液
5Mを用いて脂質製剤を調製することにより得られ、この製剤を用いて、高密度
スクロースクッションを通じてペレット化することにより脂質被覆されたナノ粒
子を単離した。電子顕微鏡分析により、脂質被覆されたナノ粒子ペレットが存在
することと、脂質小胞が事実上存在しないことを確認した。前記粒子の大部分は
、約46nm×86nmの細長い形状(脂質コートを含む)であり、ペレット画
分の薬剤/脂質モル比は、〜11と、非常に高かった。これは、リン脂質1μモ
ル当たりシスプラチン〜3.3mgに相当する。
【0015】 このいわゆる「ナノピル」を形成するスキームの分析は、前記方法が、低い水
溶性および脂肪親和性を示す他の物質(例えば、薬剤)に普及し得ることを示し
ている。
【0016】 従って、本発明は、低い水溶性および脂肪親和性を示す物質、特に薬剤のカプ
セル化方法であって、 a)負に帯電した脂質を1種以上含有する脂質系を提供すること、 b)該脂質系を前記物質と媒体中で低い合計溶質濃度で結合させること(combining
)、 c)こうして得られる混合物を凍結−解凍サイクルに1サイクル以上付して、脂質
被覆された前記物質の凝集体を生成すること、および d)任意に、遊離した(非内包の)物質を除去すること を含む、低い水溶性および脂肪親和性を示す物質のカプセル化方法に関する。
【0017】 本発明は、単一の物質にも、または前記物質の混合物にも適用し得る。このこ
とを示すために、「物質(substance(s))」という用語を使用する。
【0018】 低い合計溶質濃度の媒体は、好ましくは最大合計溶質濃度が0.1モルの媒体
である。より好ましくは、前記合計溶質濃度は、0.02モル以下である。
【0019】 好ましくは、前記物質は、高濃度で使用される。高濃度とは、前記物質の溶液
中で(すなわち、凍結−解凍サイクル前に)前記物質の高分子凝集体の形成を導
かない濃度である。
【0020】 好ましくは、前記濃度は、前記物質の溶解度限界に近似している。ここで「近
似」とは、溶解度限界の下方近辺または上方近辺を意味する。しかし、溶解度限
界を完全に超える濃度は、高分子凝集体が前記物質の出発溶液中に存在しないの
であれば、特定条件下では好適であることもある。しかし、非常に小さな凝集体
は、本発明の凝集体形成のための核形成部位として役立つことがあり、それらも
媒体中で同様に許容される。
【0021】 物質の溶解度限界は、用いられる媒体、そのpHおよび温度などの種々のパラ
メータに依存する。明細書中で用いられる溶解度限界は、本発明の方法で用いら
れる条件下に存在する限界であることは明白である。
【0022】 物質の溶液にとっては低濃度限界ではない。しかし、本発明の方法が有効に行
われる濃度を選択することが実際的(practical)である。
【0023】 脂質系は、単一系または混成系であってよい。後者の系は、負に帯電した脂質
を少なくとも20モル%、好ましくは50モル%含有する。前記脂質系は、フィ
ルム状であってよいが、予備形成されたリポソームも同様に十分適している。
【0024】 そのため、前記脂質系の薬剤による結合は、乾燥した脂質系フィルムを薬剤の
溶液で水和することにより行われる。別法としては、乾燥した脂質フィルムを最
初に水和して、予備形成されたリポソームを得た後、薬剤を添加する。いずれの
方法も同じ結果を導く。
【0025】 本発明によれば、凍結−解凍サイクルが少なくとも1サイクル必要であるが、
複数サイクル、好ましくは5サイクル以上、通常10サイクルが可能である。
【0026】 本発明の方法は、脂質被覆された薬剤凝集体を、例えばスクロースクッション
を介した高速遠心分離(ペレット化)により、あるいはスクロースクッションの
不存在下での低速遠心分離により、単離する工程を更に含んでいてよい。
【0027】 この方法は、前記物質が薬剤シスプラチンであるときに特に有用である。本発
明の方法によりカプセル化され得る他の物質は、低い水溶性を示す親水性物質、
例えば、ユーロピウムまたはガドリニウムをベースとする磁気共鳴およびX線画
像形成剤である。
【0028】 混合物中の脂質は、好ましくはジオレオイル脂肪酸を保有するホスファチジル
セリン(PS)およびホスファチジルコリン(PC)である。別法では、アシル
鎖は、他の不飽和または飽和脂肪酸であるか、または他の脂肪族炭化水素である
。これら以外の負に帯電した脂質は、ホスファチジン酸(PA)、ホスファチジ
ルグリセロール(PG)、ホスファチジルイノシトール(PI)、およびこれら
以外の負に帯電した両親媒性物質である。上記以外の中性脂質は、ホスファチジ
ルエタノールアミン(PE)、ポリエチレングリコールまたは他の親水性ポリマ
ーに誘導化されたPE、スフィンゴミエリン(SM)およびコレステロール、並
びに他の純正な中性の両親媒性物質(net neutral amphiphiles)である。
【0029】 カプセル化される前記物質、特に薬剤を含有する溶液は、ほぼ中性のpH、特
にpH約7.4の緩衝液であってよい。あるいは、前記物質は、水に溶解されて
いてもよい。
【0030】 本発明の別の態様では、ヘルパー物質が薬剤溶液中に含まれていてよい。ヘル
パー物質は、好ましくは、正に帯電している。前記方法の条件は、正に帯電した
種の物質(またはヘルパー物質)が存在するように選択されなければならない。
【0031】 凍結−解凍サイクルは、当業者には公知の方法で行ってよいが、実際的なモー
ドは、エタノール/ドライアイスでの凍結と37℃の水浴中での解凍を包含する
【0032】 乾燥した脂質フィルムは、この分野で公知の方法により提供されてよく、例え
ば、ディ・リヒテンバーグおよびワイ・バレンホルツ著(1988年)リポソームズ
:プレパレーション、キャラクタリゼーション、アンド・プリザヴェイション(L
iposimes: preparation, characterization, and preservation)メソッズ・バイ
オケム・アナル(Methods Biochem. Anal.)33、第337〜462頁に開示されている
【0033】 小胞外の薬剤の除去は、薬剤を溶解した媒体(緩衝液、水)などの適した媒体
中でのメンブランペレットの繰り返される遠心分離および再懸濁により、好適に
行われる。
【0034】 シスプラチンをカプセル化される物質として用いる場合に基づいて、本発明の
ナノ粒子形成を以下のスキーム(図5(Fig.5))により説明する。H2O中の
シスプラチンのほぼ飽和した溶液は、添加した塩素の不存在下では、水中で低い
溶解性を示す、シスプラチンの中性のジクロライド-およびジヒドロキソ-種の混
合物と、非常に高い溶解性を示す、正に帯電したシスプラチンのアクオ-種を含
有する。凍結中、溶質は、広がる氷の相から締め出され、そしてシスプラチンが
、残りの流体中で段々濃厚化される。シスプラチンの中性種の溶解度限界は、初
めは限度を超え、そして小さな凝集体が形成される。その後、これは、正に帯電
したシスプラチンのアクオ-種で被覆される。正に強く帯電したシスプラチン凝
集体は、負に帯電した脂質小胞と相互作用を生じて、メンブランが前記凝集体の
表面を覆うように再編成され、その結果として、脂質被覆されたシスプラチンの
ナノ粒子が得られる。脂質で完全に被覆されたシスプラチンの凝集体だけが、解
凍時に再溶解しない。
【0035】 このモデルは、シスプラチンの凝集化が凍結に依存し、かつ脂質コーティング
が正に帯電したシスプラチン種と負に帯電した脂質との間の静電学的な相互作用
に依存するという実験結果(表1)と非常に一致している。
【0036】 第一に、ナノ粒子形成は、負に帯電した脂質とシスプラチンの両方の存在を必
要とし、そして重大なことに凍結−解凍サイクルに依存する。アニオン性および
両性の脂質の選択やシスプラチンを添加する溶きの状態は重要ではなく、PSは
、ホスファチジン酸(PA)で置き換えることができ、しかも同じ結果が、シス
プラチンを乾燥した脂質フィルムに添加するかあるいはリポソームを予備形成す
ることで得られる。
【0037】 第二に、高い塩素濃度やアルカリ性pHなどの、正に帯電したシスプラチンの
「アクア化(aquated)」種の形成を抑制する条件は、ナノ粒子の形成を妨げる。
塩素濃度50mMでは、ナノ粒子の形成は、10%の予備形成された2アクア化
(diaquated)シスプラチンを凍結−解凍サイクルの直前に添加することにより完
全に回復する。最後に、高濃度のNaNOなどの塩は、氷と溶質との相分離を
妨げ、そしてそれにより凍結中のシスプラチンの凝集を妨げて、ナノ粒子の形成
を強く抑制する。
【0038】 遊離した薬剤と比べて、脂質被覆されたシスプラチンのナノ粒子が非常に高い
細胞障害性である理由は、恐らく、低減された薬剤不活性のためである。脂質コ
ートは、シスプラチンと、細胞環境外および細胞表面に存在する基質との反応を
阻害する。脂質コーティングは、細胞表面との相互作用によって、あるいは腫瘍
細胞によるエンドサイトーシス摂取後に、不安定化される(図5)。エンドソー
ム系に存在する脂肪分解酵素は、脂質コートを代謝してシスプラチンを放出し、
これが、エンドソーム膜を超えた後、遂には核DNAと相互作用して、細胞死を
引き起こす。
【0039】 本発明の製剤内に内包されるシスプラチンの量は、現時点での文献に記載され
ているシスプラチンの脂質形成よりも、二桁から三桁大きい(ニューマン・エム
・エス、コールバーン・ジー・ティ、ワーキング・ピー・ケイ、エングバーズ・
シーおよびアマンティ・エム・エイ著(1999年)、キャンサー・ケモサー・ファ ーマコル(Cancer Chemother. Pharmacol.) 43、第1〜7頁;シュアー・ビー、
レイ・アール・アール、シュアー・ピーおよびロイ・ディ・ケイ著(1983年) ンコロジー(Oncology) 40、第372〜376頁;スティーレンバーグ・ピー・エイ、
ストーム・ジー、デ・ジージー、クラッセン・エイ、バーガーズ・ジェイ・ジェ
イ、フランケン・エム・エイ・エム、ヴァン・ホイセル・キュー・ジー・シー・
エム、ウーブス・ケイ・エルおよびデ・ヨング・ワブリュー・エイチ著(1988年
キャンサー・ケモサー・ファーマコル21、第299〜307頁)。さらに、脂質被
覆されたナノ粒子は、in vitroで、遊離した薬剤よりも1000倍までの、非常
に高い抗腫瘍活性を有する。
【0040】 脂質被覆されたナノ粒子の脂質組成、表面電荷および寸法分布は、抗癌剤とし
てのin vivoでの使用のために処置されて、最適化される。これまでに用いられ
たシスプラチンの脂質製剤の主な問題は、低い薬剤/脂質比であると考えられる
。これは、腫瘍内でのシスプラチンの生物学的利用能を制限し、しかも低い細胞
障害性および白金抵抗性腫瘍の再増殖をもたらし得る。本発明の方法は、これら
の問題を克服し得る。
【0041】 従って、シスプラチンによる癌治療の改良における2つの主要な目的、すなわ
ち全身毒性の低下、および投与量の増大と組み合わせた白金抵抗性の予防と反作
用が達成され得る。
【0042】 脂質被覆されたナノ粒子内にシスプラチンを有効にカプセル化する機構は、同
じ原理体系が、シスプラチンと同様の、その低い水溶性と低い脂肪親和性のため
に、リポソーム内に内包するのが困難な他の薬剤のカプセル化での成功をも証明
し得ることを強く示唆している。
【0043】 本発明の特に見込みのある態様では、水溶性の低い中性薬剤と、より水溶性が
高い、正電荷を有するヘルパー物質との混合物を、負に帯電したリン脂質の存在
下で凍結−解凍することを必要とする。凍結中、先ず前記薬剤の溶解度限界が限
度を超えて、小さな凝集体が形成され、その後、それが正に帯電したヘルパー物
質で被覆される。正に帯電した凝集体と負に帯電した脂質との相互作用により、
解凍に耐える、脂質被覆された薬剤(-ヘルパー物質)凝集体が得られる。
【0044】 本発明の方法の別態様は、脂質の代わりに他の両親媒性分子の使用と、別法で
の凝集体の誘発を含んで成る。別の凝集方法は、カプセル化しようとする物質の
過飽和溶液の使用と、そこへの核部位の添加を包含する。これらの2つの変化(
他の両親媒性分子と他の凝集体誘発方法)は、クレームに記載するように、前記
の方法とは別に使用しても、組み合わせてもよい。
【0045】 更に、本発明によれば、ナノ粒子の表面電荷を、スピールマンズらの論文(バ
イオケミストリー、36(1997年)、第10545〜10550頁)に記載の通り、シスプ
ラチンとホスファチジルセリンまたはシスプラチンとホスファリジン酸との間で
形成される配位錯体の使用によって処置することが可能である。
【0046】 本発明は、クレームに記載の方法で得られる低い水溶性と低い脂肪親和性の物
質の製剤にも関する。製剤中、前記物質は、1層以上の脂質二重層で被覆された
凝集体の形態をとる。好ましくは、凝集体の大部分は、1層の脂質二重層で被覆
されている。
【0047】 本発明の特別な態様では、前記製剤は、シスプラチン製剤であって、シスプラ
チンは、1層以上の脂質二重層で被覆された凝集体の形態をとる。この凝集体の
大部分は、好ましくは1層の脂質二重層で被覆されている。シスプラチンの凝集
体は、好ましくは約40〜50nm(特に約46nm)×80〜90nm(特に
約86nm)(脂質コートを含む)の細長い形状である。このようなシスプラチ
ン製剤は、例えば、前述の本発明の方法により得られる。
【0048】 本発明を、薬剤であるシスプラチンに関する以下の実施例により更に説明する
。しかし、本発明は、低い水溶性と低い脂肪親和性を示す他の物質(例えば、薬
剤)にも広く適用できる。
【0049】 実施例では、以下の図を参照する。 図1:ヒトの卵巣癌細胞に対する細胞障害性。 (A) シスプラチンの脂質懸濁液(cisPT-PS/PC;
【化1】 )、汎用のシスプラチン(
【化2】 )、汎用のシスプラチンと(シスプラチンを含まない)ブランク脂質懸濁液の混
合(□;
【化3】 と同じ脂質濃度)、ブランク脂質懸濁液(点線)。 (B) 標準プロトコルでの変化、FT省略(△)、PS省略(○)。汎用のシ
スプラチン(
【化4】 )の細胞障害性は、FT(□)に影響されない。
【0050】 図2:形態と細分画。 (A) cisPT-PS/PCの低温−EMは、シスプラチンのナノ粒子を示している(
アスタリスク(*)で示した箇所;MLV、多層小胞)。 (B) HO中で調製したcisPT-PS/PC(対照はシスプラチンを用いずに調製
した。)の濃度勾配遠心分離、高濃度分画(矢じり)、ペレット(矢印)。ペレ
ットは、勾配上に添加された脂質を17±5%(n=18)含んでいた。 (C) 低温−EM、および (D) ペレット分画の負の染色のEM(挿入部、高い電子ドーズ量)。等倍率
での顕微鏡写真、バーは100nmを表す。
【0051】 図3:脂質コートの特性。 (A) 単離されたナノ粒子(ペレット)および対照(シスプラチンを用いずに
調製したPS/PC脂質懸濁液)の31P−NMRスペクトル。 (B) トリトン(Triton)X100添加(0.2%)は、ナノ粒子の迅速な溶解を
導く。
【0052】 図4:シスプラチンナノ粒子の細胞障害性とサイジング。 (A) 汎用のシスプラチン(
【化5】 )と、サイジング前(
【化6】 )およびサイジング後(△)に単離されたナノ粒子の細胞障害性。 (B) サイジング前(
【化7】 )および後(△)の動的光散乱分析。
【0053】 図5:ナノ粒子形成と細胞相互作用のモデル。シスプラチンの水中での部分加
水分解により、正に帯電した弱酸が得られる。中性および正に帯電した種のシス
プラチンは、FT(1)前には、負に帯電したリポソームの懸濁液中に含まれて
いる。凍結すると、氷の結晶化と中性種の凝集が生じ(2)、正に帯電した種の
沈殿(3)、正に帯電したシスプラチン凝集体と負に帯電したリポソームとの相
互作用(4)、シスプラチンの脂質被覆されたナノ粒子(5)をもたらす。ナノ
粒子のエンドーシス摂取、シスプラチンの不安定化および細胞内放出(6)。
【0054】 実施例シスプラチンのカプセル化 材料と方法 シスプラチンの脂質製剤 シスプラチン(シグマ、セントルイス、ミズーリ州)を、Pipes-EGTA緩衝
液(Pipes-NaOH 10mM、EGTA 1mM、pH7.4)またはミリック(Mi
lliQ)水中に溶解し、暗所において37℃で一晩インキュベートして、完全に平衡
させた。脂質分散液(1.2mM)は、シスプラチン5mMを乾燥したリン脂質フ
ィルム(アヴァンティ・ポーラー・リピッズ、インク(Avanti Polar Lipids, in
c.)、バーミンガム、アラバマ州)に加え、37℃で15分間インキュベートした後
、エタノール/ドライアイス(−70℃)と水浴(37℃)を用いて凍結−解凍(F
T)サイクルを10サイクルすることにより調製した。
【0055】 遊離した(小胞外の)シスプラチンを遠心分離を繰り返して除去し(3回、T
LA120.2、40,000rpm、10分、20℃;ベックマン・コールター・インク(Beck
man Coulter, Inc.)、カリフォルニア州)、Pipes-EGTA緩衝液中でのメンブ
ランペレットを再懸濁した。
【0056】 別法として、MilliQ水(1mL)中のシスプラチン−脂質分散液を、Pipes-E
GTA緩衝液中、1.8M、0.6Mおよび0.2Mスクロースそれぞれ1mLから成る段
階勾配の一番上に加えて、遠心分離し(SW60、ベックマン・コールター・イン
ク、55,000rpm、30分、4℃)、そしてペレットをMilliQ水に再懸濁させた。
濾過したペレット分画が、ポリカーボネートフィルター(200nm細孔寸法)を
介した高圧押し出し後に得られ(ホープ・エム・ジェイ、ベイリー・エム・ビー
、メイヤー・エル・ディ、ヤノフ・エイ・エスおよびキュリス・ピー・アール著
(1986年)ケム・フィズ・リピッズ(Chem. Phys. Lipids)40、第89〜107頁)
、そしてこのペレットをスクロース勾配遠心分離により再単離した。
【0057】 カプセル化効率 リン脂質含量は、文献(ロウザー・ジー、フライッシャー・エスおよびヤマモ
ト・エイ著、(1970年)リピッズ(Lipids)5、第494〜496頁)の記載と同様にし
て決定し、そしてシスプラチンは、フレームレス原子吸収分析法により、水中0
.5%TritonX−100の修飾溶液とKPtCl(シグマ、セントルイス、ミ
ズーリ州)を標準として用いて定量した。
【0058】 細胞障害性アッセイ ヒト由来の卵巣腫瘍細胞IGROV−1を、Hepes 25mM、10%FCSおよ
び1%PenStrepを補充したRPMI(ギブコ、グラスゴー、英国)中でのプラス
チック上で成長させた。株化細胞は、マイコプラズマ感染していなかった。 シスプラチン製剤を、FCSを有しないRPMI中で希釈して、シスプラチン
濃度を233μMとした。腫瘍細胞成長抑制は、96穴プレートとスルホローダミン
−Bアッセイを用いて求めた(スケハン・ピー、ストレング・アール、スキュデ
ィエロ・ディ、モンクス・エイ、マクマホン・ジェイ、ヴィスティカ・ディ、ウ
ォーレン・ジェイ・ティ、ボケッシュ・エイチ、ケニー・エスおよびボイド・エ
ム・アール(1990年)ジャーナル・オブ・ナショナル・キャンサー・インスティ チュート(J. Natl. Cancer Inst.) 82、第1107〜1112頁)。穴1個につき約100
0個の細胞を播種し、48時間後にシスプラチン製剤を加えて、細胞を37℃におい
て更に120時間インキュベートした。 データは、グラフパッド・プリズム・ソフトウェアー(GraphPad Prism Softw
are、サンディエゴ、カリフォルニア州)を用いてS字形の用量−応答曲線(傾
きは変形可能)に適合させた。
【0059】 電子顕微鏡観察 シスプラチン−脂質分散液を、剥き出しのまたはレース状のカーボングリッド
を用いて可視化し、溶融エタン中でガラス化して、文献(フレデリック・ピー・
エム、スチュアート・エム・シー、ボーマンズ・ピー・エイチおよびブッシング
・ダブリュー・エム(1989年)ジャーナル・オブ・マイクロスコーピー(J.Micro sc.) 153、第81〜92頁;テンプルトン・エヌ・エス、レイシック・ディ・ディ、
フレデリック・ピー・エム、ストレイ・エイチ・エイチ、ロバーツ・ディ・ディ
およびパヴラキス・ジー・エヌ著(1997年)ナト・バイオテクノル(nat.Biotech nol.) 15、第647〜652頁)に従って、低いドーズ量で低温電子顕微鏡観察(cry
o−EM)した。負の染色EMは、標準手順に従って、酢酸ウラニルを用いて行
った。
【0060】 種々の手順 2アクア化シスプラチンは、文献(アップルトン・ティ・ジー、ベリー・アー
ル・ディ、デイヴィス・シー・エイ、ホール・ジェイ・アールおよびキムリン・
エイチ・エイ著(1984年)イノーガニック・ケミストリー(Inorg. Chem.)23、
第3514〜3521頁)の記載と同様にして、シスプラチンをAgNOと共にインキ
ュベートすることによって調製した。大きな単層の小胞は、文献(ホープら著(
1986年)、上述の文献)に従って押出しにより調製した。粒子寸法の動的光散乱
分析は、ゼータサイザー(Zetasizer)3000(モールヴァーン・インストルメンツ
・リミテッド(Malvern Instruments Ltd.)、モールヴァーン、英国)を用いて行
った。試料(リン脂質7mM)1mLの31P−NMRスペクトルは、文献(デ
・プランク・エム・アール、クリュイーッツァー・ジェイ・エイ、リスカンプ・
アール・エム、マーシュ・ディ、グレートハウス・ディ・ヴイ、ケッペ・アール
・イー・セコンド、デ・クリュイフ・ビーおよびキラン・ジェイ・エイ著(1999
年)ジャーナル・オブ・ザ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)274
、第20839〜20846頁)に記載されている通り、30℃において60,000スキャンする
ブラッカー(Brucker)MSL300分光光度計で記録した。
【0061】 結果と考察 シスプラチンの脂質カプセル化のための新規な方法 本発明の方法は、等モル量のジオレオイル−ホスファチジルセリン(PS)お
よびジオレオイル−ホスファチジルコリン(PC)から成る乾燥した脂質フィル
ムの、5mMシスプラチンの緩衝液(pH7.4)による水和の後、凍結−解凍(
FT)サイクルを1サイクル以上、好ましくは10サイクル行って、遊離した(
小胞外の)シスプラチンを遠心分離により除去した。 シスプラチン含有脂質懸濁液(cisPt-PS/PC)は、細胞成長が50%抑制され
る薬剤濃度である典型的なIC50が、遊離した薬剤(汎用のシスプラチン)の
0.5μMに比べて2nM以下であり、非常に細胞障害性が高かった(図1A)。
シスプラチンを添加していない脂質懸濁液(ブランク)は、細胞障害性がなく、
また、汎用のシスプラチンとブランク脂質懸濁液との混合物は、シスプラチンの
細胞障害を高めなかった。
【0062】 シスプラチンの脂質被覆されたナノ粒子 凍結−解凍工程を省略するか、または脂質混合物中の負に帯電したPSを除去
したことにより、製剤の細胞障害性が劇的に低下した(図1B)。この細胞障害
性の劇的な低下は、薬剤/脂質比と細胞障害性の間の比例関係を示唆するカプセ
ル化効率の同様の低下と匹敵していた。凍結−解凍の省略またはPSの除去は、
通常、薬剤/脂質モル比を、それぞれ10倍および4倍低下させた。
【0063】 シスプラチン/脂質モル比は、0.5±0.1(n=17)であった。これは、(リン
脂質1モル当たりのカプセル化容積15L(ホープら著(1986年)、上述の文献 参照)に基づいて)30mMを超えるシスプラチンの理論的な小胞内濃度に相当す
る。この値は、シスプラチンの溶解度限界を遥かに超えており(塩素を含まない
媒体中で8mMまで)(リリー・シー・エムおよびスターソン・エル・エイ著(
1985年)アナリティカル・プロファイルズ・オブ・ドラッグ・サブスタンシーズ (Analytical profiles of drug substances) 14、第78〜105頁参照)、そして
脂質製剤がシスプラチン凝集体を含有することを示唆していた。事実、低温−E
M実験(図2A)および元素微量分析(EDAX;データは示さず)では、白金
を含む少量の電子−高密度(electron-dense)粒子の存在が認められた。このシス
プラチンのナノ粒子は、薄い脂質層で被覆されていることが分かった。
【0064】 シスプラチン製剤の調製中に緩衝液の代わりに、水中のシスプラチン溶液を使
用すると、2.5±0.1という、非常に高い薬剤/脂質比(n=4)が得られた。こ
の条件下では、ナノ粒子は、非常に豊富であり、スクロース濃度遠心分離を用い
て単離できた(図2B)。
【0065】 勾配分画のEM分析により、脂質被覆されたナノ粒子のペレット分画が存在す
ること(図2C)、および脂質小胞が事実上存在しないこと(データは示さず)
が分かった。大部分の粒子は、測定に拠れば46±16nm×86±32nm(脂質コー
トを含む)の豆状であった。
【0066】 負の染色EMでは、染色され難かった明るい層で囲まれた電子−高密度ナノ粒
子が示された(図2D)。この明るい層は、水和された脂質コーティングに対応
する。単一の二重層コートは、厚さ6.6nm以下であると予想されるが、2層の
二重層から成るコートは、厚さが少なくとも10.4nmであった(二重層の厚さ3.
8nmおよび水の層2.8nmを基準とする;ルイス・ビー・エイおよびエンゲルマ
ン・ディ・エム著(1983年)ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(J . Mol. Biol.) 166、第211〜217頁参照)。従って、前記層の厚さは、粒子の80%
まででは5〜9nmであり、大抵のシスプラチンのナノ粒子が単一の脂質二重層
で被覆されていることを示していた。
【0067】 脂質コートの存在は、31P−NMR実験(図3A)で同定したところ、この
形および寸法の膜状の粒子に典型的な二重層のスペクトルが示された(バーネル
・イー・イー、キュリス・ピー・アールおよびデ・クリュイフ・ビー著(1980年
バイオキム・バイオフィズ・アクタ(Biochim. Biophys. Acta)603、第63〜69
頁によるもの)。
【0068】 脂質コートの崩壊は、脂質被覆されたナノ粒子の迅速な溶解を導く。ペレット
を再懸濁すると、乳白色外観を有するコロイド状の溶液となった。これに洗浄剤
を添加すると、すぐに透明に変わった(図3B)。
【0069】 ペレット分画の薬剤/脂質モル比は、11±2(n=18)と非常に高かった。こ
れは、リン脂質1μモルにつきシスプラチン〜3.3mgに相当する。
【0070】 ペレット分画の細胞障害性は、汎用のシスプラチンよりも非常に大きく、ペレ
ット分画を濾過することにより更に増大した(図4A)。
【0071】 ポリカーボネートフィルターを介したペレットの押出しにより、平均寸法127
nmの狭い寸法分布が得られた(図4B)。押出されたペレット分画の細胞障害
性は、典型的なIC50が0.3nMと、最も高かった。これは、すなわち、平行
して試験した汎用のシスプラチンよりも細胞障害性が約1000倍大きかった(図4
A)。
【0072】
【表1】
【0073】 ナノ粒子組成は、スクロース濃度遠心分離により、対照ペレット中のシスプ
ラチンの量に対するペレット分画中のシスプラチンの量(PS/PC、HO中、シ
スプラチン5mM、FT)として求めた。70%超(+)、15〜50%(+/−)、
10%未満(−)。目視観察。シスプラチンを予備形成されたリポソームに添
加した(単層または多層)。§O中のシスプラチン5mMは、pH5.5であ
り、シスプラチンの2アクア化(aquo/hydroxo)種を〜10%含有する。略符:
ジオレオイル−ホスファチジン酸(PA)、−ホスファチジルグリセロール(P
G)、−ホスファチジルエタノールアミン(PE)、スフィンゴミエリン(SM
)、コレステロール(Chol)。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例における、各試料のIC50でのヒトの卵巣癌細
胞に対する細胞障害性を表すグラフである。
【図2】 本発明の実施例における各試料の形態と細分画を表すものであっ
て、Aは、cisPT-PS/PCの低温電子顕微鏡写真を、Bは、水中でのcisPT-PS/PCの
濃度勾配遠心分離法を(矢じりは高濃度分画を、矢印はペレットをそれぞれ示す
)、Cは、脂質被覆されたナノ粒子のペレット分画の低温電子顕微鏡写真を、お
よびDは、ペレット分画の負の染色の電子顕微鏡写真(挿入部は、高い電子ドー
ズ量のもの)をそれぞれ表す。
【図3】 Aは、本発明の実施例において単離されたナノ粒子(ペレット)
および対照(シスプラチンを用いずに調製したPS/PC脂質懸濁液)の各31P−
NMRスペクトルを、およびBは、トリトン(Triton)X1000.2%を添加する
前(左)とその後(右)の状態をそれぞれ表す。
【図4】 Aは、本発明の実施例における、汎用のシスプラチンとサイジン
グ前後の単離されたナノ粒子についてのシスプラチン濃度に対する細胞障害性を
表し、Bは、サイジング前後の動的光散乱分析結果を表す。
【図5】 本発明のナノ粒子形成と細胞相互作用のモデルを表すスキームで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 49/04 A61K 49/04 F A61P 35/00 A61P 35/00 // A61K 33/24 A61K 33/24 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ルトハー・ウィリブロルデス・ヘンリク ス・マリア・スタッフホルスト オランダ、エヌエル−5051ハーデー・ホイ ルレ、ベルフストラート88番 (72)発明者 ベン・デ・クルエイフ オランダ、エヌエル−3999ウェーエル・ト ゥル・エン・トワール、ランヘ・アイトウ ェッヒ40番 Fターム(参考) 4C076 AA53 AA63 AA65 CC27 DD63H FF63 GG26 4C085 HH05 HH07 JJ05 KB12 4C086 AA01 AA02 DA32 MA02 MA03 MA05 MA38 NA03 NA10 ZB26

Claims (42)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低い水溶性および脂肪親和性を示す物質、特に薬剤のカプセ
    ル化方法であって、 a)負に帯電した脂質を1種以上含有する脂質系を提供すること、 b)該脂質系を前記物質と媒体中で低い合計溶質濃度で結合させること(combining
    )、 c)こうして得られる混合物を凍結−解凍サイクルに1サイクル以上付して、脂質
    被覆された前記物質の凝集体を生成すること、および d)任意に、遊離した(非内包の)物質を除去すること を含む、低い水溶性および脂肪親和性を示す物質のカプセル化方法。
  2. 【請求項2】 低い合計溶質濃度の媒体が、最高合計溶質濃度0.1モルの
    前記物質の溶液である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 低い合計溶質濃度の媒体が、最高合計溶質濃度0.02モル
    浸透圧(osmolar)の前記物質の溶液である請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記物質が、高濃度で使用される請求項1〜3記載の方法。
  5. 【請求項5】 高濃度が、前記物質の溶液中で該物質の高分子凝集体の形成
    を導かない濃度である請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 高濃度が、前記物質の溶解度限界(limit)と近似している請
    求項4または5記載の方法。
  7. 【請求項7】 脂質系が、1種の脂質から成る単一系である請求項1〜6記
    載の方法。
  8. 【請求項8】 脂質系が、負に帯電した脂質を少なくとも20モル%、好ま
    しくは50モル%含有する混成系である請求項1〜6記載の方法。
  9. 【請求項9】 脂質系を前記物質と結合させることが、脂質系の乾燥したフ
    ィルムを前記物質の溶液で水和することにより行われる請求項1〜8記載の方法
  10. 【請求項10】 脂質系を前記物質と結合させることが、先ず乾燥したフィ
    ルムを水和して予備形成されたリポソームを得て、その後、前記物質の溶液を添
    加することにより行われる請求項1〜8記載の方法。
  11. 【請求項11】 凍結−解凍サイクルが5〜10サイクル行われる請求項1
    〜10記載の方法。
  12. 【請求項12】 脂質被覆された前記物質の凝集体を単離する工程を更に含
    む請求項1〜11記載の方法。
  13. 【請求項13】 脂質被覆された前記物質の凝集体がスクロースクッション
    を介した高速遠心分離(ペレット化)により単離される請求項12記載の方法。
  14. 【請求項14】 脂質被覆された前記物質の凝集体が低速遠心分離により単
    離される請求項12記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記物質が薬剤シスプラチンである請求項1〜14記載の
    方法。
  16. 【請求項16】 前記物質が、ガドリニウムのユーロピウムをベースとする
    磁気共鳴およびX線画像形成剤から選択される請求項1〜14記載の方法。
  17. 【請求項17】 負に帯電した脂質が、ホスファチジルセリン(PS)、ホ
    スファチジン酸(PA)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジ
    ルイノシトール(PI)、およびこれら以外の負に帯電した両親媒性物質から成
    る群より選択される請求項1〜16記載の方法。
  18. 【請求項18】 混成脂質系中の負に帯電していない脂質が、ホスファチジ
    ルコリン(PC)、スフィンゴミエリン(SM)、コレステロール、ホスファチ
    ジルエタノールアミン(PE)、ポリエチレングリコール(PEG-PE)また
    は他の親水性ポリマーで誘導化されたホスファチジルエタノールアミン、および
    他の純正な中性の両親媒性物質(net neutral amphiphiles)から成る群より選択
    される中性の脂質である請求項1〜6および8〜17記載の方法。
  19. 【請求項19】 混成脂質系中の脂質が、ジオレオイル脂肪酸を保有するホ
    スファチジルセリン(PS)およびホスファチジルコリン(PC)である請求項
    1〜6および8〜18記載の方法。
  20. 【請求項20】 カプセル化しようとする前記物質、特に1種以上の薬剤を
    含有する溶液が、ほぼ中性のpHの緩衝液である請求項1〜19記載の方法。
  21. 【請求項21】 緩衝液のpHが約7.4である請求項20記載の方法。
  22. 【請求項22】 カプセル化しようとする前記物質、特に1種以上の薬剤を
    含有する溶液が、水である請求項1〜19記載の方法。
  23. 【請求項23】 前記物質の溶液が、1種以上のヘルパー物質を更に含有す
    る請求項1〜22記載の方法。
  24. 【請求項24】 ヘルパー物質が、正に帯電されている請求項1〜22記載
    の方法。
  25. 【請求項25】 条件が、前記物質の正に帯電された種(またはヘルパー物
    質)が該物質の溶液中に存在するように選択される請求項1〜24記載の方法。
  26. 【請求項26】 凍結−解凍サイクルが、エタノール/ドライアイス中で凍
    結し、そして37℃の水浴中で解凍することにより行われる請求項1〜25記載
    の方法。
  27. 【請求項27】 小胞外の薬剤(extravesicular drug)の除去が、媒体中で
    のメンブランペレットの繰り返される遠心分離および再懸濁により行われる請求
    項1〜26記載の方法。
  28. 【請求項28】 前記媒体が、ヒトの使用に適合性がある請求項1〜27記
    載の方法。
  29. 【請求項29】 前記媒体が、水、合成緩衝液の水溶液、および緩衝液の水
    溶液から成る群より選択される請求項28記載の方法。
  30. 【請求項30】 脂質被覆された前記物質の凝集体をサイジングする工程を
    更に含む請求項1〜29記載の方法。
  31. 【請求項31】 脂質被覆された前記物質の凝集体をサイジングする工程が
    、得ようとする凝集体の寸法に対応したカットオフを有するフィルターを介した
    該凝集体の溶液の押出しにより行われる請求項30記載の方法。
  32. 【請求項32】 脂質被覆された前記物質の凝集体をサイジングする工程が
    、超音波処理により行われる請求項30記載の方法。
  33. 【請求項33】 前記脂質の代わりに、脂質以外の1種以上の両親媒性結合
    物が使用される請求項1〜32記載の方法。
  34. 【請求項34】 凝集体形成が、1サイクル以上の凍結−解凍サイクルの代
    わりに、脂質系をカプセル化しようとする前記物質の過飽和溶液と結合させ、そ
    してそこへ核形成部位を添加することにより誘発される請求項1〜33記載の方
    法。
  35. 【請求項35】 請求項1〜34記載の方法により得られる、低い水溶性と
    低い脂肪親和性を有する物質の製剤。
  36. 【請求項36】 前記物質が、1以上の脂質二重層で被覆された凝集体の形
    態をとる請求項35記載の製剤。
  37. 【請求項37】 凝集体の大部分が1つの脂質二重層で被覆されている請求
    項36記載の製剤。
  38. 【請求項38】 シスプラチンが1つ以上の脂質二重層で被覆されたシスプ
    ラチンの凝集体の形態をとるシスプラチン製剤。
  39. 【請求項39】 凝集体の大部分が1つの脂質二重層で被覆されている請求
    項38記載のシスプラチン製剤。
  40. 【請求項40】 シスプラチンの凝集体が、(脂質コートを包含して)測定
    すると約46nm×86nmの細長い形である請求項38および39記載のシス
    プラチン製剤。
  41. 【請求項41】 請求項1〜34記載の方法で得られる請求項38〜40記
    載のシスプラチン製剤。
  42. 【請求項42】 請求項1〜34記載の方法で得られるシスプラチン製剤。
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